説明

子宮内膜細胞/月経血細胞の獲得、単離および凍結保存

月経血幹細胞(MSC)を含む組成物、ならびにそのための方法、プロセスおよびシステムを、本発明によって提供する。MSCは月経の間に収集された月経流出物から処理される。MSCは、凍結保存するか、凍結保存のための調製における様々な培養工程および選択工程を介して処理するか、または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために処理することができる。凍結保存したMSCは、治療用および薬用化粧品用の使用のための調製において解凍できる。MSCは、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを発現し、CD3およびHLAクラスIIを低く発現するかまたは発現しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、各々「子宮内膜細胞/月経血細胞の獲得、単離および凍結保存」と題する、2007年3月1日に出願された米国仮特許出願第60/904,836号、2007年3月20日に出願された第60/918,961号、2007年9月17日に出願された第60/994,166号、2007年10月9日に出願された第60/998,255号、2008年1月22日に出願された第61/011,881号、および2008年2月29日に出願された第61/067,849号についての優先権を主張するものであり、その全体を参照することによって本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、一般的に、月経血幹細胞(menstrual stem cell)(MSC)を得るための方法、プロセスおよびシステムに関する。本発明は、具体的には、凍結保存できるか、または凍結保存のためのまたは治療用もしくは薬用化粧品用の使用のための調製においてMSCを得る様々な培養工程および選択工程を介してさらに処理できる、月経血幹細胞の集団を単離および収集するために、月経の間に得られる血液、体液および組織の獲得および処理のための方法、プロセスおよびシステムに関する。本発明は、少なくとも1つの月経血幹細胞を含む物質の組成物にもまた関する。
【背景技術】
【0003】
幹細胞は、細胞間接触および内因性シグナルの制御を経由してインビボの細胞分裂および細胞分化を行う能力を先天的に有する。幹細胞は、局所的な環境要因をともなう刺激により細胞接触および内因性シグナルを制御することによって、分裂し、様々な細胞へとインビトロで分化できることが示されている。骨髄およびさらに胚組織などの様々な成体組織を含むいくつかのソースから幹細胞を得られることが認められる。
【0004】
特定の幹細胞は、c−kit受容体、スチール因子受容体および幹細胞因子受容体として公知の抗原因子CD117を発現する。c−kitの遺伝子は、マスト細胞増殖因子としてもまた公知の、造血、メラニン形成および生殖能のために必須の幹細胞因子(SCF)に対するチロシンキナーゼ増殖因子受容体をコードする。造血幹細胞、マスト細胞、生殖細胞、メラノサイト、特定の基底上皮細胞、乳房の内腔上皮および胃腸管のカハール介在細胞においてCD117が発現すことが認められる。CD117は、生殖細胞の確立、維持および機能において重大な役割を与える。研究は、胚の生殖腺において、CD117およびその対応するリガンドSCFは始原生殖細胞の生存および増殖のために必須であることを示す。さらに、研究は、CD117およびその対応するリガンドSCFが生殖腺刺激ホルモンに応答して配偶子を産生するために必須であることを示す。言いかえれば、CD117は、リガンドSCFとの組合せにおいて精巣の生殖細胞(精原細胞)の生存および増殖、および卵母細胞の増殖および成熟のために必要である。研究は、さらにCD117が原始造血細胞のインビトロでの増殖のための強力な増殖因子であることを示す。
【0005】
幹細胞の治療用適用は、骨髄の初期の実験から始まった。およそ1世紀前に、医師は貧血患者および白血病患者に対して経口で骨髄を投与した。かかる治療法は不成功であったが、実験研究者は、他のマウスから取られた骨髄を血流の中へ注入することにより骨髄欠損マウスが健康に回復できることを最終的には実証した。このことは、あるヒトから他のヒトに対して骨髄を移すことが実行可能かどうかを医師に推測させた(同種間移植)。骨髄および臍帯からの幹細胞は、様々な疾患を治療するために主として造血系移植において広く使用されている。骨髄を利用した最初の幹細胞移植から、幹細胞のための他のソースは羊水、胎盤、臍帯、臍帯内皮、ウォートンジェリー、脂肪および上皮細胞を含むことが確認されている。
【0006】
ヒト免疫系の効果(感染および異物から防御する身体の先天的なメカニズム)は、移植片対宿主病(GVHD)として後に特性が明らかにされる身体の細胞の拒絶から生じる、研究者が遭遇する病気および/または致死として、初期の移植における重大な問題となった。ヒト組織適合抗原とヒト免疫系との間の関係が見出だされる後まで、ヒトにおける骨髄移植の大規模な実行は試みられなかった。身体の中の大部分の細胞の表面上で見出されるこれらのタンパク質は、ヒト白血球抗原またはHLA抗原と呼ばれる。身体の免疫系は、どの細胞が身体に属し、どの細胞が属しないかを同定するためにこれらのHLA抗原を使用する。免疫系が細胞上の抗原を認識しない場合は常に、抗体および他の物質を生成して細胞を破壊する。身体が探索および破壊する対象は、感染症を引き起こす細菌、ウイルス、腫瘍細胞、および表在性異物などの外来物である。このように、免疫系は、身体に侵入して害を引き起こしうる物から身体を守る。治療のための標的とする病状に依存して、個体自身の幹細胞を利用する自家移植は、厳密にHLA一致するという利益から生じる一定の長所の可能性がある。ドナーおよびレシピエントのHLA抗原が一致するほど、提供された骨髄のT細胞(免疫系細胞)が患者の身体に対して反応しない。
【0007】
骨髄に由来する成体幹細胞の移植は、ファンコーニ貧血、再生不良性貧血、急性白血病および慢性白血病、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、リンパ増殖性障害、ならびに他の悪性腫瘍などのヒト疾患の治療においてうまく使用されてきた。骨髄成体幹細胞の代わりとなるソースは、末梢血前駆細胞、臍帯血、およびこれらのソースから採取された間葉系幹細胞を含む。しかしながら、成体幹細胞の治療用使用に関連するいくつかの欠点がある。成体幹細胞は、培養での数回の継代後に、増殖が遅いことおよび多分化能が消失することなどの、限定的な有効性を有することが示されている。
【0008】
胚性幹細胞は、細胞療法のためにふさわしい増殖能を示した。しかしながら、ヒト胚性幹細胞は奇形腫を産生することが示された。さらに、胚からの幹細胞の採取は、採取プロセスにおける成長胚の破壊に部分的に起因する倫理的な問題を提起する。
【0009】
成体幹細胞および胚性幹細胞に関連する問題の少なくともいくつかを克服する、幹細胞の他のソースが同定された。
【0010】
1つのソースはヒト成体幹細胞を含む臍帯血である。いくつかの理由で、臍帯血は生存幹細胞のソースであるということが証明されている。臍帯血は、子供の分娩の間での獲得および凍結保存のための処理が比較的容易である。臍帯血は、細胞分裂可能であり様々な細胞タイプへと分化可能な幹細胞の適切なソースを提供する。いくつかの公知のヒトの障害および疾患を治療するために、骨髄に対する代替物として臍帯血に由来する幹細胞を臨床設定において使用してきた。特に、臍帯血に由来する幹細胞は、造血系移植、造血系再構成および脊椎損傷の治療において好結果であった。さらに、臍帯血に由来する幹細胞は、卒中および心筋梗塞の影響を回復させることが動物モデルにおいて示されている。
【0011】
子宮内膜幹細胞/月経血幹細胞(MSC)が胚性幹細胞に類似する培養における増殖能を示すことは示されている。MSCは、インビトロおよびインビボの多能性能力の可能性を示す特定の間葉系幹細胞マーカーおよび特定の胚性幹細胞マーカーもまた提示する。幹細胞のソースとしてのMSCの使用はいくつかの理由のために有用である。第一に、MSCは、特異的細胞系譜へと分化する能力を示す。第二に、任意の倫理的な配慮または問題は、収集されなければ廃棄物と判断されるMSCを収集することによって解決される。最後に、月経周期の間にMSCを獲得するプロセスは比較的ドナーにリスクを与えない。
【0012】
MSCの収集および適切なサンプル量のMSCの獲得を対象とする公知の方法論、ならびにMSCによって発現される他の細胞表面因子の中で特定の間葉系幹細胞マーカーおよび/または特定の胚様抗原因子を発現する生存MSCの最大の収率を得るために有用な関連する処理および細胞収集の方法論はないと考えられている。
【0013】
従って、MSCを単離および凍結保存または処理するために月経の体液、血液および組織を処理する実験室への発送準備のための調製において、月経の間に脱落した体液、血液および組織中に存在する適切な量のMSCを収集する方法の当面の必要性がある。月経の血液、体液および組織に由来するMSCの細胞調製物を得るために、月経の体液、血液および組織を処理する方法の当面の必要性もまたある。例えばCD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む細胞表面マーカーまたは細胞内マーカーの少なくとも1つを発現できるが、細胞マーカーのCD3およびHLAクラスIIの少なくとも1つを低レベルで発現するかまたは発現しない細胞などを、凍結保存、さらなる処理または治療用使用のための調製において、月経流出物(menstrual flow)からMSCを単離、選択および/または培養するさらなる必要性もまたある。他の細胞マーカー特性は、本発明の実施形態の実践の結果と共に提供されている。月経の血液、体液および組織から得られ収集されたMSCの集団または特異的MSCを凍結保存するさらなる必要性がなおある。
【発明の概要】
【0014】
収集、処理、および凍結保存が容易であり、治療用、薬用化粧品用、または他の使用のための可能性を示す幹細胞のソースの当面の必要性がある。この必要性は、本発明の方法、プロセスおよび組成物によって満たされる。
【0015】
本発明は、月経血幹細胞を得る方法を提供する。1つの実施形態において、本方法は、月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程を含む。月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程は、遠心分離、密度勾配遠心法、濾過または沈降の少なくとも1つの工程により月経流出物を処理することを含む。月経血幹細胞を単離する工程は、少なくとも1つの抗生物質を含む溶液による月経血幹細胞の汚染除去もまた任意で含みうる。この実施形態において、本方法は、月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する追加の工程を含む。月経流出物サンプルから単離された月経血幹細胞を処理する工程は、特定の細胞表面マーカーについて月経血幹細胞を選択する工程、または処理後サンプル、選択サンプルもしくは月経血幹細胞の解凍したサンプルから月経血幹細胞を培養する工程の少なくとも1つの工程を含みうる。
【0016】
1つの実施形態において、月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する工程は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む少なくとも1つの細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択する工程を含む。選択された細胞は、月経血幹細胞の培養によってさらに処理できる。次に、培養した月経血幹細胞は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む少なくとも1つの細胞マーカーについて、月経血幹細胞を選択するさらなる工程を行なうことができる。選択された月経血幹細胞は、月経血幹細胞を培養するさらなる工程にかけることができる。月経血幹細胞を選択または培養する工程後の任意の時点で、月経血幹細胞は、凍結保存または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために月経血幹細胞を調製する工程を行なうことができる。次に、凍結保存のために調製された月経血幹細胞は使用のために凍結保存され、後に解凍できる。
【0017】
他の実施形態において、月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する工程は、月経血幹細胞の培養を含む。次に、培養した月経血幹細胞は、特定の細胞表面マーカーについて月経血幹細胞を選択する工程を行なうことができる。次に、選択された月経血幹細胞は、月経血幹細胞を培養するさらなる工程を行なうことができる。次に、さらに培養した月経血幹細胞は、細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択する追加の工程を行なうことができる。月経血幹細胞を選択または培養する工程後の任意の時点で、月経血幹細胞は、凍結保存または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために月経血幹細胞を調製する工程を行なうことができる。次に、凍結保存のために調製された月経血幹細胞は使用のために凍結保存され、後に解凍できる。
【0018】
他のさらなる実施形態において、月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する工程は、月経血幹細胞を凍結保存する工程を含む。
【0019】
なお他の実施形態において、月経血幹細胞を処理する工程は、月経血幹細胞、および月経血幹細胞の生存度を維持する細胞培地を含む組成物を調製するさらなる工程を含む。
【0020】
よりさらなる実施形態において、月経血幹細胞を処理する工程は、月経血幹細胞および薬用化粧品用調製物を含む組成物を調製するさらなる工程を含む。
【0021】
さらなる実施形態において、凍結保存した月経血幹細胞は、月経血幹細胞を培養する工程または選択する工程のいずれかの少なくとも1つの工程を含むさらなる処理のための調製において解凍できる。あるいは、凍結保存した月経血幹細胞は、治療用または薬用化粧品用の使用のための調製において解凍できる。
【0022】
本発明は、さらに月経流出物から月経血幹細胞を収集するためのプロセスを提供する。1つの実施形態において、このプロセスは、月経周期の間に月経流出物を獲得すること、処理施設に月経流出物を輸送すること、月経流出物から細胞調製物へと月経血幹細胞を単離すること、および月経血幹細胞の細胞調製物を処理することを含む。
【0023】
本発明は、月経流出物から月経血幹細胞を収集するためのシステムもまた提供する。1つの実施形態において、このシステムは、月経血幹細胞単離装置が月経流出物から月経血幹細胞を分離する月経血幹細胞単離装置、月経血幹細胞収集装置が月経血幹細胞を収集する月経血幹細胞収集装置、および月経血幹細胞処理装置が治療用使用または凍結保存のために月経血幹細胞を調製する月経血幹細胞処理装置を含む。
【0024】
本発明は、月経血幹細胞を凍結保存する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程、月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集取する工程、および月経流出物から単離された月経血幹細胞を凍結保存する工程を含む。
【0025】
月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程を含む月経血幹細胞を凍結保存する方法は、遠心分離、密度勾配遠心法、濾過または沈降の少なくとも1つの工程によって月経流出物を処理することを含む。月経血幹細胞を単離する工程は、少なくとも1つの抗生物質を含む溶液により月経血幹細胞を汚染除去することもまた任意で含みうる。この方法は、少なくとも凍結保存またはさらなる細胞培養の工程の前に、細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含みうる。この方法は、選択された月経血幹細胞を培養する少なくとも1つのさらなる工程を含みうる。
【0026】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する工程を含む月経血幹細胞を凍結保存する方法は、月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含む。この方法は、細胞培養から月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含みうる。
【0027】
本発明は、月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程および月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する工程を含むプロセスによって得られる月経血幹細胞の集団を提供する。
【0028】
本発明は、月経流出物から収集された月経血幹細胞の集団を濃縮するプロセスを提供する。1つの実施形態において、このプロセスは、月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程および月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する工程を含む。本プロセスは、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む群の少なくとも1つの細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含む。本プロセスは、月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含みうる。本プロセスは、月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程および選択された月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含みうる。月経血幹細胞を単離する工程は、少なくとも1つの抗生物質を含む溶液により月経血幹細胞を汚染除去することもまた任意で含みうる。別の方法では、本プロセスは、月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程、および細胞培養から月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含みうる。
【0029】
本発明は、月経血幹細胞の集団を濃縮するプロセスを提供する。1つの実施形態において、このプロセスは、月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程、月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する工程、およびMSCに関連した細胞マーカーを発現する月経血幹細胞を選択する工程を含む。
【0030】
本発明は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む細胞マーカーの少なくとも1つを含む月経血幹細胞の集団を提供する。
【0031】
本発明は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む細胞マーカーの少なくとも1つを発現し、細胞マーカーのCD3およびHLAクラスIIの少なくとも1つを含む細胞マーカーを低く発現するかまたは発現しない月経血幹細胞を含む細胞が濃縮された集団を提供する。
【0032】
本発明は、少なくとも1つの月経血幹細胞および凍結保存剤を含む組成物を提供する。
【0033】
本発明は、少なくとも1つの月経血幹細胞および細胞培地を含む組成物を提供する。
【0034】
本発明は、少なくとも1つの月経血幹細胞および薬用化粧品用薬剤を含む組成物を提供する。
【0035】
本発明は、少なくとも1つの月経血幹細胞および細胞生存度を維持する保存剤を含む組成物を提供する。
【0036】
本発明は、少なくとも1つの月経血幹細胞、および少なくとも1つの月経血幹細胞の治療用使用のための調製における容器中の細胞培地を含む組成物を提供する。
【0037】
本発明に従って収集された細胞は、治療用、薬用化粧品用もしくは再生医療用または他の適切な適用において使用できる。
【0038】
本発明は、月経の血液、体液および細胞および組織を含む月経流出物の少なくとも1つのサンプルを収集するための、収集培地と月経流出物サンプルを組み合わせることによって輸送のために月経流出物を調製するための、および凍結保存または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のためのMSCを単離、収集、および処理するために月経流出物サンプルが処理される処理施設に月経流出物サンプルを輸送するための、方法およびプロセスを提供する。
【0039】
本発明は、高収率の生存MSCを産生する様式で、MSCを単離、収集、および凝縮するための方法およびプロセスもまた提供する。
【0040】
1つの実施形態において、月経血幹細胞を選択する工程は、月経血幹細胞に存在する細胞マーカーの少なくとも1つを発現する細胞をポジティブに選択することを含みうる。別の方法では、月経血幹細胞を選択する工程は、月経血幹細胞に存在しない細胞マーカーを発現する不要な細胞を除去することによって、細胞をネガティブに選択することを含みうる。ネガティブ選択は、例えばCD45または月経血幹細胞上に存在しない他の細胞表面マーカーを発現する細胞を選択することを含みうる。
【0041】
さらなる実施形態において、月経血幹細胞を選択する工程は、例えばステム・セル・テクノロジーズ(Stem Cell Technologies)社からの、ロゼットセップ(RosetteSep)、イージーセップ(EasySep)、ロボセップ(RoboSep)、ステムセップ(StemSep)またはスピンセップ(SpinSep)などの、市販で入手可能な枯渇または凝縮のキットを使用することを含みうる。
【0042】
なおさらなる実施形態において、月経血幹細胞を選択する工程は、MSCを選択し、完全な形の細胞膜のない死んだ細胞および/または死にかけの細胞を除去するためにアルデフルオロ(ALDEFLUOR)(登録商標)(アルダゲン(Aldagen)社)を使用して、月経血幹細胞を選択することを含みうる。アルデフルオロ(登録商標)キットは、月経血幹細胞、系譜抗原陰性(Lin−)細胞、コロニー形成細胞、長期培養開始細胞およびNOD/SCID再構築細胞に存在する表面マーカーについて陽性のALDHbr細胞を選択するために使用できる。
【0043】
なおよりさらなる実施形態において、月経血幹細胞を選択する工程は、関係のあるMSCマーカーを発現するMSCを凝縮するために、月経血幹細胞に対して、約2週間〜約4週間の間の血清枯渇を行うことを含みうる。一旦細胞が採取および培養されれば、造血幹細胞は取り出されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一般的に全体的な方法およびプロセスを図示するフローチャートである。
【図2】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図3】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図4】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明のなお他の実施形態を示すフローチャートである。
【図5】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明のさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図6】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明のなおさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図7】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明のよりさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図8】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明のなおよりさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図9】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明の追加の実施形態を示すフローチャートである。
【図10】月経血幹細胞の収集および凍結保存ための本発明のさらなる追加の実施形態を示すフローチャートである。
【図11】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図12】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明のさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図13】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明のなおさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図14】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明のよりさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図15】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明のなおよりさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図16】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明の追加の実施形態を示すフローチャートである。
【図17】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明の追加のさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図18】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明のさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図19】治療用使用のための月経血幹細胞の収集および月経血幹細胞の調製のための本発明の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図20】治療用使用のための調製において凍結保存した月経血幹細胞を解凍するための本発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図21】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図22】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明のなお他の実施形態を示すフローチャートである。
【図23】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明のなおさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図24】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明のよりさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図25】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明のさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図26】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明のなおよりさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図27】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図28】治療用使用のために凍結保存した月経血幹細胞を調製するための本発明の他のさらなる実施形態を示すフローチャートである。
【図29a−j】以下に記載されるようなM2−01に関して、処理後サンプルおよびアイソタイプについてのフローサイトメトリー分析の結果を示した図である。処理後サンプルは約1mlの細胞懸濁としてM2−01から収集し、フローサイトメトリー分析のための分析チューブ中に置いた。この結果は、TNC集団のCD117+細胞の濃度が0.4%、TNC集団のCD44+細胞の濃度が17.7%、TNC集団のCD166+細胞の濃度が3.6%、TNC集団のCD105+細胞の濃度が8.0%、TNC集団のCD90+細胞の濃度が6.8%、TNC集団のCD29+細胞の濃度が0.1%、TNC集団のCD34+細胞の濃度が0.1%、および7AADによって測定されるような細胞生存度が95.4%であることを示す。
【図30a−e】本発明のCD117選択方法によって得られる陽性画分中の細胞に関するフローサイトメトリー分析の結果を示した図である。CD117選択後、約1mlの細胞懸濁を収集し、フローサイトメトリー分析のための分析チューブ中に置いた。この結果は、TNC集団のCD117+細胞の濃度が7.2%、TNC集団のCD44+細胞の濃度が93.6%および7AADによって測定されるような細胞生存度が95.8%であることを示す。この結果は、本発明のフローサイトメトリー分析に従って処理サンプルを流すことおよびIgG抗体のアイソタイプと共に流された処理後サンプルにより得られたバックグラウンド計算を引くことによって計算された。
【図31a−cc】以下に記載されるようなM2−02Cに関して、処理後サンプルおよびアイソタイプについてのフローサイトメトリー分析の結果を図示した図である。処理後サンプルは約1mlの細胞懸濁として収集し、フローサイトメトリー分析のための分析チューブ中に置いた。この結果は、TNC集団のCD117+細胞の濃度が0.2%、TNC集団のCD44+細胞の濃度が1.8%、TNC集団のCD166+細胞の濃度が0.1%、TNC集団のCD105+細胞の濃度が1.1%、TNC集団のCD90+細胞の濃度が0.4%、TNC集団のCD29+細胞の濃度が0.5%、TNC集団のCD34+細胞の濃度が0.0%、および7AADによって測定されるような細胞生存度が99.5%であることを示す。
【図32a−cc】本発明のCD117選択方法によって得られる陽性画分中の細胞に関するフローサイトメトリー分析の結果を図示した図である。陽性画分は約1mlの細胞懸濁として収集し、フローサイトメトリー分析のための分析チューブ中に置いた。この結果は、TNC集団のCD117+細胞の濃度が18.40%、TNC集団のCD44+細胞の濃度が93.0%、TNC集団のCD166+細胞の濃度が89.2%、TNC集団のCD105+細胞の濃度が81.4%、TNC集団のCD90+細胞の濃度が78.1%、TNC集団のCD29+細胞の濃度が73.6%、TNC集団のCD34+細胞の濃度0.1%、および7AADによって測定されるような細胞生存度が91.9%であることを示す。この結果は、本発明のフローサイトメトリー分析に従って処理サンプルを流すことおよびIgG抗体のアイソタイプと共に流された処理後サンプルにより得られたバックグラウンド計算を引くことによって計算された。
【図33】さらに詳細に本明細書において記述されるような培養における数回の継代、凍結保存、解凍および解凍後継代の後の、M2−03Eに関する細胞のフローサイトメトリー分析の結果を図示した図である。フローサイトメトリー結果は、ここで示されるように、細胞がMHC I、CD44、CD29、CD90、SSEA−4、CD105、CD49f、CD9、CD166、CD166およびCXCR4を発現し、CD133、MHC II、CD34、CD45およびCD38を低く発現するかまたは発現しないことを示した。
【図34a】月経血幹細胞M2−03EがCD117について陽性に染色されたことを示した図である。
【図34b】陰性対照はCD117について陽性に染色されないことを示した図である。
【図34c】月経血幹細胞M2−03EがSSEA−4について陽性に染色されたことを示した図である。
【図34d】陰性対照はSSEA−4について陽性に染色されないことを示した図である。
【図34e】月経血幹細胞M2−03EではさらにCD117およびSSEA−4が共局在することを示した図である。
【図34f】陰性対照ではCD117およびSSEA−4の共局在について陽性に染色されないことを示した図である。
【図35a】月経血幹細胞M2−03Eが急速に増殖することを示した図である。約24時間〜約36時間の倍加時間で凍結保存前の培養において月経血幹細胞M2−03Eが急速に増殖することを示す。急速な増殖により、8回の倍化で50,000細胞〜4800万細胞の増加が可能になった。
【図35b】月経血幹細胞(M2−03E)が多能性マーカーを発現することを示した図である。月経血幹細胞M2−03Eは、RT−PCRによって決定されるように、培養において約12継代までRNAレベルでOct−4を発現することを示す。L、ラダー;水;ESC、胚性幹細胞;P12、継代12。
【図36a−c】月経血幹細胞M2−03Eが神経組織へと分化したことを示した図である。月経血幹細胞を04およびGalCを発現する希突起神経膠細胞へと分化するように神経誘導した。
【図36d】月経血幹細胞M2−03Eが神経組織へと分化したことを示した図である。月経血幹細胞はMap−2もまた発現した。
【図36e】月経血幹細胞M2−03Eが神経組織へと分化したことを示した図である。月経血幹細胞はTub−3もまた発現した。
【図36f】月経血幹細胞M2−03Eが神経組織へと分化したことを示した図である。月経血幹細胞はビメンチンもまた発現した。
【図36g】月経血幹細胞M2−03Eが神経組織へと分化したことを示した図である。分化した細胞のRT−PCRの結果は神経系細胞に典型的なRNAレベル発現を示す。RT−PCR:L、ラダー;W、水;B、脳対照;神経誘導した月経血幹細胞。
【図37a】心臓組織へと分化した月経血幹細胞M2−03Eを示した図である。月経血幹細胞は8uMのアザ(Aza)により処理された。トロポニン発現は800uMのSNAPによる細胞の処理によって刺激された。
【図37b】心臓組織へと分化した月経血幹細胞M2−03Eを示した図である。月経血幹細胞は8uMアザにより処理され、免疫細胞化学によって表わされるアクチンの強い発現を示した。
【図37c】心臓組織へと分化した月経血幹細胞M2−03Eを示した図である。月経血幹細胞は8uMのアザにより処理された。コネキシン43発現は800uMのSNAPによる細胞の処理によって刺激された。
【図37d】心臓組織へと分化した月経血幹細胞M2−03Eを示した図である。RT−PCRにより心臓分化が確認された。RT−PCR:L、ラダー;W、水;H、心臓対照;心臓誘導した。
【図38a−b】月経血幹細胞M2−03Eが中胚葉タイプ組織へと分化したこと示した図である。図38aで示されるような対照に比較して、図38bにおいて示されるように、細胞の脂肪空胞はオイルレッドOにより染色され、脂肪組織への分化が誘導されたことを示す。
【図38c−d】月経血幹細胞M2−03Eが中胚葉タイプ組織へと分化したこと示した図である。図38cで示されるような対照に比較して、図38dで示されるように、細胞はアルシアンブルーにより染色され、誘導されたときの軟骨形成組織への分化を示す。
【図38e−f】月経血幹細胞M2−03Eが中胚葉タイプ組織へと分化したこと示した図である。図38eと比較して、図38fで示されるように、細胞はアリザリンレッドSにより染色され、カルシウム沈着の存在を示す。
【図39】M2−03E月経血幹細胞が、解凍後培養の継代12でテロメラーゼ活性を発現することを示すグラフである。hESC、ヒト胚性幹細胞;MEF、マウス胎児線維芽細胞;MenSCs P12。
【図40】3つの群へと分割され、本発明の月経血幹細胞収集方法に関連した変数を解析するために、事前に設定された条件下で収集された161サンプルで実行した研究の結果を示すグラフである。この研究は、抗生物質含有および抗生物質不含有の収集培地を使用すること、および氷ありおよび氷なしで月経流出物サンプルを送る効果を測定するために実行した。図40は、全有核細胞カウント分析が、3つの群について収集されたすべてのサンプルにわたって、収集されたサンプルあたり平均約790万細胞となることを示す。
【図41】図40中で参照された研究の結果を示すグラフである。図41は、処理後サンプルにおいて細胞生存度が3つの群について収集されたすべてのサンプルにわたって、平均約74%の生存度となることを示す。
【図42】図40中で参照された研究の結果を示すグラフである。図42は、3つの群について収集されたすべてのサンプルについて平均温度が平均約15℃となることを示す。
【図43】図40中で参照された研究の結果を示すグラフである。図43は、3つの群について収集されたすべてのサンプルの平均試料体積が、約1mlの月経流出物サンプルおよび約10mlの収集培地を含んで、平均約11mlとなることを示す。
【図44】図40中で参照された研究の結果を示すグラフである。図44は、収集から処理施設での受領より計算される平均試料齢が、約5時間未満〜140時間以上にわたることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の理解は、付随の説明および図中で記述されるような特定の例示的な実施形態と併用して、援用される本発明の実施形態の以下の詳細な説明の考察によって容易になる。本発明の明瞭な理解に適切な要素を図示するために本発明の図および説明は単純化されていることが、理解されるべきである。
【0046】
ここで図1〜44を参照して、本発明は、月経の間に脱落した血液、細胞、体液、および組織(この開示の本明細書において「月経流出物」とも呼ばれる)から単離され、本発明の方法、プロセスおよびシステムに従って収集された月経血幹細胞の獲得に関連した方法、プロセス、システムおよび組成物を提供する。本発明の開示の全体にわたって使用されるように、語句「子宮内膜細胞/月経血細胞」、「子宮内膜幹細胞/月経血幹細胞」、「月経血幹細胞」および「月経血細胞」、ならびに用語「MSC」および「細胞」は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含むが、これらに限定されない細胞マーカーまたは細胞内マーカーの少なくとも1つを発現するが、CD3およびMHC IIを低レベルで発現するかまたは発現しない、月経流出物から収集された任意の1つまたは複数の細胞に関して、全体にわたって一般的に使用される。用語「細胞」は単数の意味で使用されるが、本発明の1つ以上の細胞を指す複数の意味でもまた使用できる。細胞の前述の特性は例示的な特性として提供されているが、月経血幹細胞の追加の細胞表面特性は、任意の表および図の上で本明細書に提供される特性を含むがこれらに限定されずに、本発明の開示の全体にわたって本明細書において提供され、本発明の月経血幹細胞に関するさらなる開示を提供する。
【0047】
ここで特に図36〜38を参照して、いくつかの幹細胞が多数の別個の細胞タイプへと分化する細胞の能力により多能性の性質であることが認識される。多能性細胞は、多数の異なる哺乳類の細胞タイプへと分化を行う能力を有する。特に、図36〜38中で図示されるように、本発明のMSCは、例えば神経細胞系譜、心臓形成系譜、軟骨形成系譜、脂肪細胞形成系譜および骨形成系譜などの様々な別個の細胞系譜へと分化する能力もまた示す。
【0048】
本発明のMSCは、身体中で260の体細胞のいかなるものへと分化することができると考えられる。例えば、細胞は、少なくとも肝細胞、膵細胞、筋原細胞、骨形成細胞、軟骨形成細胞、脂肪細胞、上皮細胞、神経細胞、角化細胞および心筋細胞へと分化できる。共培養系において見られるように、細胞は、肝細胞、膵細胞、筋原細胞、骨形成細胞、軟骨形成細胞、脂肪細胞、上皮細胞、神経細胞、角化細胞および心筋細胞などの他の分化しやすい細胞と共に培養しときに分化する能力もまた保ちうる。分化から得られた細胞および共培養から得られた細胞は、置換療法または再生療法、他の治療用適用、薬用化粧品、器官拒絶の治療法および他の適用のための処理で使用される可能性もまた有する。
【0049】
特に、治療用、薬用化粧品用、および他の適用におけるMSCの可能な使用は、MSCが(a)使用しなければ生物学的廃棄物と見なされる、問題とならないソースから容易に得られ、(b)医学的訓練の必要性なしにドナーによって有効に収集され、(c)高度に増殖し、(d)所望される細胞タイプへと分化が可能であり、(e)自己適用が可能であり、(f)同種異系適用が可能であり、(g)複数の治療法の可能なソースとして使用できる単一の細胞株を提供でき、(h)他の正常細胞と潜在的に共培養が可能であり、(i)カスタマイズされた再生医療のソリューションのためのソースとして使用でき、(j)数十年間にわたる規則的な周期で即座に複数の収集が可能であるという多数の理由のために有用である。
【0050】
他のソースから得られた幹細胞の利用は、再生医学の様々な形態で以下の状況に使用されている:糖尿病、心筋梗塞、弁/動脈置換、パーキンソン病、アルツハイマー病、MS、卒中治療法、インスリン再生、アンチエイジング血清、熱傷/創傷治癒包帯、にきび管理、白斑、毛髪置換、歯再生、乳房置換/増大、肝硬変、陰茎増大、スポーツ療法、貧血、白血病、リンパ腫、肺線維症、鎌状赤血球貧血、骨置換、骨粗鬆症、脊柱側弯症、関節リウマチ、脊髄損傷、膝/腰/肘置換、ホルモン補充療法、PMS/鬱管理、自閉症、生殖不能治療法、視覚再生、レンズ置換。
【0051】
一般的に、および1つの実施形態において、本発明は、月経流出物からMSCを得て収集する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は月経流出物からMSCを収集するためのシステムを提供する。なお他の実施形態において、本発明は、月経流出物から収集されたMSCを凍結保存する方法を提供する。なおさらなる実施形態において、MSCの集団を含む生産物は、月経流出物からMSCを得て単離する様々なプロセスによって収集できる。なおよりさらなる実施形態において、本発明は、濃縮されたMSCの集団および月経流出物から得られたMSCの集団を濃縮するプロセスを提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、例えば、MSCおよび凍結保存剤を含む組成物、MSCおよび少なくとも1つの薬用化粧品用薬剤を含む組成物、ならびにMSCおよび保存剤を含む組成物などの、MSCおよび他の薬剤を含む様々な組成物を提供する。本発明のこれらの様々な実施形態は、さらに詳細に以下に記述される。
【0052】
本発明の全体的な方法およびプロセスの例示的な概略図を図1中に示す。一般的に、様々な工程は、月経流出物を獲得し、特定の使用のためにさらに処理できるMSCを得るように月経流出物を処理するために使用できる。特に、MSCは、凍結保存でき、細胞の選択または培養の単一工程または複数工程を介して濃縮でき、および/または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために調製できる。本発明の実行の全体にわたって、MSCおよび周辺環境は、例えば収集されたMSCの特性を評価するフローサイトメトリー、およびサンプルの任意の混入の可能性を同定する微生物分析などの、方法およびプロセスによる品質管理分析を行なうことができる。
【0053】
図1で図示された本発明の様々な実施形態は、本発明の実動する実施例の明文化された説明と共に図2〜28でさらに詳述される。
【0054】
ここで図2を参照して、本発明はMSCの凍結保存ための方法およびプロセスを提供する。図2に従って、月経流出物は収集プロセスにより収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCをさらに処理し、凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせることができ、次に凍結保存する。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0055】
ここで図3を参照して、本発明はMSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図3に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによってさらに濃縮または凝縮できる。選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも処理され、凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせ、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0056】
ここで図4を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図4に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによってさらに濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSCを増やすように培養できる。次に培養したMSCは凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせ、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0057】
ここで図5を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図5に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物がMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによってさらに濃縮または収集できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSCを増やすように培養できる。次に培養したMSCは、特異的MSCを濃縮または収集するために特異的細胞表面マーカーについてさらに選択できる。選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせ、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0058】
ここで図6を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図6に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまた複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによってさらに濃縮または収集できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSCを増やすように培養できる。次に培養したMSCは、特異的MSCを濃縮または収集するために特異的細胞表面マーカーについてさらに選択できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSC数を増やすようにさらに培養できる。次にMSCは凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせ、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0059】
ここで図7を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図7に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。培養したMSCは処理され、凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせ、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0060】
ここで図8を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図8に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。培養したMSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによって濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、個別に凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせて、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0061】
ここで図9を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図9に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。培養したMSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することよって濃縮および凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSCを増やすように培養できる。選択されたMSCの培養および未選択のMSCの培養でさえ、個別に凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせて、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に使用のために解凍できる。
【0062】
ここで図10を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図10に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。培養したMSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによって濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSCを増やすように培養できる。選択されたMSCの培養および未選択のMSCの培養でさえ、特異的細胞マーカーについてさらに選択できる。次に選択された細胞および未選択の細胞は、個別に凍結保存のための調製において凍結保存剤と組み合わせ、次に凍結保存できる。次に凍結保存したMSCは、後に治療用使用のために解凍できる。本発明の実施形態のすべての説明の全体にわたって、語句「治療用使用」は、任意のタイプの幹細胞治療法のためのMSCの使用を含み、薬用化粧品用使用もまた含む。
【0063】
ここで図11を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図11に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCを処理し、治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するための細胞培地と組み合わせることができる。
【0064】
ここで図12を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図12に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理でききる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。培養後、MSCを処理し、治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するための細胞培地と組み合わせることができる。
【0065】
ここで図13を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図13に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞マーカーについて選択できる。次に治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、選択されたMSCおよび未選択のMSCは細胞培地と個別に組み合わせることができる。
【0066】
ここで図14を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図14に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞マーカーについて選択できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCは、細胞数を増やすように個別に培養できる。次に治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、培養したMSCは細胞培地と個別に組み合わせることができる。
【0067】
ここで図15を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図15に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCはMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞マーカーについて選択できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCは、細胞数を増やすように個別に培養できる。次に個別に培養したMSCは、特定の細胞表面マーカーについて再び選択できる。次に治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、選択されたMSCおよび未選択のMSCは細胞培地と個別に組み合わせることができる。
【0068】
ここで図16を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図16に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによって濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、細胞培地と個別に組み合わせることができる。
【0069】
ここで図17を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図17に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによって濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSC数を増やすように個別に培養できる。次に治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、培養されたMSCは細胞培地と組み合わせることができる。
【0070】
ここで図18を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図18に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによって濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSC数を増やすように個別に培養できる。次に培養したMSCは特異的細胞マーカーについて選択できる。次に治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、選択されたMSCおよび未選択のMSCは細胞培地と組み合わせることができる。
【0071】
ここで図19を参照して、本発明は、MSCを凍結保存する方法およびプロセスを提供する。図19に従って、月経流出物は収集され、次に月経流出物はMSCを単離および収集するために処理できる処理施設に移送できる。月経流出物からのMSCの単離および収集は、収集されるMSC数を最大にするために使用する遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の方法論によって行なうことができる。一旦収集されたならば、MSCは、例えばMSCに関連した任意の1つまたは複数の細胞マーカーのような特定の細胞マーカーを発現するMSCを選択することによって濃縮または凝縮できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCでさえも、MSC数を増やすように個別に培養できる。次に培養したMSCは特異的細胞マーカーについて選択できる。次に選択されたMSCおよび未選択のMSCは、MSC数を増やすようにさらに培養できる。次に治療用使用のための調製において細胞生存度を維持するために、培養したMSCは細胞培地と組み合わせることができる。
【0072】
本発明のさらなる実施形態が提供され、図20〜28で記述される。さらなる実施形態は、MSCが本発明の以前に記述された実施形態のいずれか、または他の細胞収集および/または凍結保存の方法またはプロセスに従って収集および凍結保存された後の、MSCの処理を含む。
【0073】
ここで図20を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供する。図20に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次に治療用使用のための細胞培地と組み合わせる。
【0074】
ここで図21を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供する。図21に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次に特定のMSC細胞表面マーカーについて選択される。次に選択された細胞および未選択の細胞は、治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0075】
ここで図22を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供する。図22に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次に特定のMSC細胞表面マーカーについて選択される。次に選択された細胞および未選択の細胞は、MSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0076】
ここで図23を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供する。図23に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次に特定のMSC細胞表面マーカーについて選択される。次に選択された細胞および未選択の細胞は、MSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定のMSC細胞マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択の細胞は、治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0077】
ここで図24を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供する。図24に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次に特定のMSC細胞表面マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択の細胞は、MSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定のMSC細胞マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択の細胞は、MSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0078】
ここで図25を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供した。図25に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次にMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0079】
ここで図26を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供した。図26に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次にMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択のMSCは、個別に治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0080】
ここで図27を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供した。図27に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次にMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択のMSCは、MSCの数を増やすように個別に培養できる。次に培養したMSCは治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0081】
ここで図28を参照して、本発明は、以前に記述された方法もしくはプロセスもしくはプロセスのいずれかまたは他の細胞収集および/もしくは凍結保存の方法もしくはプロセスに従って収集および凍結保存したMSCの調製のための方法およびプロセスを提供した。図28に従って、凍結保存したMSCは解凍され、次にMSC数を増やすように培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択のMSCは、MSC数を増やすように個別に培養できる。次に培養したMSCは特定の細胞表面マーカーについて選択できる。次に選択された細胞および未選択のMSCは、治療用使用のための細胞培地と組み合わせることができる。
【0082】
図1〜28で参照されるような本発明の前述の実施形態は、以下に提供および記載されるようにさらに詳述される。本発明に従って、月経血幹細胞、および例えば凍結保存剤、細胞培地または薬用化粧品用薬剤のような他の薬剤を含む組成物もまた以下に提供および記載される。
【0083】
月経血幹細胞の収集および輸送
【0084】
本発明の方法およびプロセスに従って、月経血幹細胞は、月経の間の、収集キットと共に提供される収集器具を使用して、月経流出物(それは月経血幹細胞を含んでいる)を収集することによって最初に得られる。月経流出物は、月経期の重い日、中程度の日または軽い日を含むが、これらに限定されていない、月経の任意の時の間に収集することができる。任意で、末梢血のサンプルは、比較で感染症分析のためにドナーから収集できる。
【0085】
収集キットは、月経血幹細胞を処理するために月経流出物の少なくとも1つのサンプルを収集する目的のためにドナーに提供できる。例えば、月経血幹細胞収集キットは、発送のための月経流出物の少なくとも1つのサンプルを収集、処理、およびパッケージングするために提供できる。収集キットは、ボックス、バッグ、または月経流出物の少なくとも1つのサンプルを任意で低温で送るために適切な他の容器のような輸送容器(例えばナノクール(Nanocool)、スタイロフォームまたは断熱コンテナ);例えばムーンカップ(Mooncup)、ディヴァカップ(Divacup)、インステッドカップ(Instead cup)、または月経流出物の少なくとも1つのサンプルの収集のために適切な他のサニタリー収集器具のような収集器具;例えば50mlのチューブまたは他の適切なサイズにしたチューブのような適切なサイズの少なくとも1つの滅菌済み収集容器;少なくとも1つの月経流出物サンプルの懸濁ための収集培地;少なくとも1つのプラスチックのチャックつきバッグ;少なくとも1枚の吸収性のタオル;少なくとも1つのバイオハザードバッグ;滅菌済み4×4ガーゼ;少なくとも1つの収集容器を包むためのパラフィルム;ならびに消毒済み浄化用濡れナプキンまたはワイプ、を含みうる。月経血幹細胞を含む少なくとも1つの月経流出物サンプルの収集の前に、ドナーの識別には、ドナーによって収集された任意のサンプルを同定するために本発明の実行を通して使用できるアクセッション番号を割り当てることができる。
【0086】
収集キットのための収集培地は、DPBSおよびヘパリンの混合物を含みうる。必要なpHの適切な同等の組織培養培地をDPBSの代わりに使用できる。例えば、ヘパリンは1mlあたり約1000単位の濃度で提供できる。1つの実施形態において、収集培地は、1mlあたり約1000単位の濃度のヘパリンを200単位で有する約10mlのDPBSを含みうる。収集キットのための培地は、約10mlのDPBSに、1mlあたり1000単位の濃度の約0.20mlのヘパリンを追加することによって調製できる。サンプルが収集される前に、滅菌済み収集容器中にこの体積を置くことができる。他の実施形態において、収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有のダルベッコのリン酸緩衝液生理食塩水(DPBS)(メディアテック(Mediatech)社または適切な置換培地の他の製造者);ペニシリン(1ミリリットルあたり約100単位)、ストレプトマイオシン(Streptomyocin)(1ミリリットルあたり約100マイクログラム)、アンフォテリシンB、および/または他の適切な抗生物質を含みうる抗生物質;ならびにDPBS培地1mlあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンまたは例えばACD、CPD、CPDAもしくはCPDA−1のような適切な抗凝血剤、を含みうる。収集培地は無菌技術を使用して調製できる。
【0087】
膣領域は、月経血幹細胞を含む少なくとも1つの月経流出物サンプルの収集のための調製において消毒剤により浄化できる。1つの実施形態において、消毒剤を濡れナプキン上に提供することができる。次に、ドナーは、収集器具の使用のための説明書に従って膣内に、収集器具(それはあらかじめ石鹸および水により洗浄してもよい)を置くことができる。収集器具は、月経流出物の少なくとも1つのサンプルを収集するためにドナーの月経期の間に膣内に置かなくてはいけない。1つの実施形態において、収集器具は月経の重い日の間に膣内に置くことができる。他の実施形態において、収集器具は月経の中程度の日または軽い日の間に膣内に置くことができる。
【0088】
収集器具は、月経流出物の少なくとも1つのサンプルを収集する時間量で膣内に維持されるべきである。例えば、収集器具は約3時間またはそれ以下の間膣内に維持できる。サンプルを収集する追加の時間は必要でありうる。約3時間膣内に維持された後に、次に月経流出物サンプルを含む収集器具は取り出すことができる。月経流出物サンプルは、約0.1ml〜約5mlの体積の月経血血液、組織、体液および月経血幹細胞を含みうる。次に月経流出物サンプルは、滅菌済み収集チューブ中の収集培地に移すことができる。滅菌済み容器への月経流出物サンプルの移行は、処理施設への月経流出物サンプルの発送のための調製において収集器具から月経流出物サンプルを容器中の培地へと注ぐことによって行なうことができる。月経流出物サンプルおよび収集培地の溶液の漏出を防止するために、容器にキャップをするかそうでなければシールすべきである。シールは、収集容器の内部への空気の侵入もまた防止するべきである。1つの実施形態において、堅く閉まる対応するふたを備えた容器をパラフィルムにより包み、輸送のためにパッケージングできる。
【0089】
1つ以上の月経流出物サンプルを収集し、容器に移し、処理施設への発送のために調製できる。1つ以上の月経流出物サンプルが収集されるならば、最後のサンプルが収集されるまで、収集チューブの中の収集培地中に収集された各サンプルは、冷蔵庫中に保存できる。一旦すべての月経流出物サンプルが収集されたならば、次にサンプルは発送のためにパッケージングできる。
【0090】
1つの実施形態において、月経血幹細胞は、子宮内膜領域または頸部領域において行われるパパニコロー試験または任意の生検によって獲得できる。
【0091】
月経血幹細胞を含む月経流出物の少なくとも1つのサンプルは、発送および処理施設での処理を通して獲得後に低温で維持できる。月経流出物および培地の溶液を保持する任意のシール容器は、処理施設への発送の間に約1℃〜約25℃の範囲内の温度で発送するために各サンプルを維持するようにパッケージングできる。1つの実施形態において、サンプルは各、処理施設への発送の間に約1℃〜約15℃の温度領域で維持できる。他の実施形態において、収集された月経流出物サンプルは、獲得後に、および発送の全体にわたって室温または周囲温度で維持できる。
【0092】
月経血幹細胞および収集培地を含む月経流出物サンプルを含む各収集容器は、バッグのチャック機能によりシールされる大きなプラスチックのチャック付きバッグ中に収集容器を置くことによって、輸送のためにパッケージングできる。封入された滅菌容器をともなう大きなプラスチックバッグは、第2の大きなチャック付きバッグ中に置かれ、さらにシールできる。吸収性の2枚のタオルを輸送容器の底部に置くことができる。ナノクール器具が使用されているならば、追加の氷は必要ではない。レンガ状の発泡スチロールまたは他の器具は月経流出物サンプルを保有する輸送容器を冷やすために使用できる。濡れた氷で満たされたバッグは吸収性のタオルの上に置くことができる。シールバッグ中の滅菌された容器は、氷嚢の下に置くことができる。残りの吸収性のタオルは、氷のバッグの上に置くことができる。輸送容器は閉じられ、確実にされ、シールされる。
【0093】
容器が発送の間に約1℃〜約25℃の間の温度で月経血幹細胞を含む月経流出物サンプルを維持する限り、他の適切な容器は容器の輸送のために使用できる。例えば、他の適切な容器は、セラパック(Therapak)株式会社によって販売される冷却断熱発送容器、任意のタイプの断熱コンテナまたは発送のためにデザインされたスタイロフォームボックスを含むが、これらに限定されない。
【0094】
収集培地に少なくとも1つの月経流出物サンプルを含む輸送容器を集荷するために、輸送会社は、発送の少なくとも2時間以内に連絡をとることができる。輸送会社は、エアネット(AirNet)社または生物学的物質の輸送のために適切な他の好ましい宅配便業者、またはフェデックスまたはUPSのような他の発送会社でありうる。輸送容器は、収集後約5時間〜約125時間以内に処理施設に到着すべきである。1つの実施形態において、輸送容器は、収集後約24時間〜約72時間の間に処理施設に到着しうる。他の実施形態において、輸送容器は、約24時間〜約48時間の間に処理施設に到着しうる。輸送容器は高温環境において保存されるべきでない。
【0095】
処理施設は、輸送容器およびカタログ(月経血幹細胞を含む月経流出物サンプルの処理の全体にわたる使用のための各ドナーサンプルについての識別情報)を受け取る。適切なバリアおよび個人保護手段を、処理施設での月経血幹細胞を含む月経流出物の任意のサンプルの扱いの全体にわたって使用できる。一旦輸送容器が処理施設で受け取られたならば、月経流出物サンプルをともなう各容器を、輸送容器から取り出し、アイスパン中の(または冷蔵庫中の)氷の上に置き、そして月経流出物からの月経血幹細胞の単離、月経血幹細胞の収集ならびに後の使用および/または凍結保存のための処理のために生物学的安全キャビネット(BSC)中のクリーンルームへと移すことができる。
【0096】
処理施設での月経流出物の処理
月経流出物サンプルは処理施設によって受け取られ、処理施設システムへと記録される。一旦月経流出物サンプルが処理施設で受け取られたならば、それは、処理の全体にわたって約1℃〜約25℃の温度で維持できる。各月経流出物サンプルはBSC中で処理し、無菌技術を使用して遠心分離できる。BSCで作業するときに70%のIPAによりグローブを頻繁に拭く。レッドトップチューブ、針、シリンジ、レッドトップチューブのためのラック、BacTボトル、アルコールパッド、50mlのコニカル、50mlのコニカルのためのラック、および月経流出物サンプルの処理の前のピペッターを含むが、これらに限定されていない、BSC中で処理するために必要な他のすべての資材を無菌的に置く。BSCを消毒した後に、すべての滅菌済み供給品を置く。このプロセスのために使用される滅菌済み供給品はすべて、パンまたは滅菌済みドレープ中に置くことができる。滅菌済み供給品は、針、シリンジ、ならびにレッドトップチューブ、レッドトップチューブのためのラック、血液培養ボトル、アルコールパッド、50mlの収集用のコニカルチューブ、50mlの収集用のコニカルチューブのためのラック、ピペットおよびアイスパンを含むBSC中に置かれた他の資材を含みうる。培地および試薬はすべて、好ましくは氷上に置かれ、約1℃〜約15℃の間で保存されるが、製造者の使用説明書に基づいて約2℃〜約8℃でもまたありうる。
【0097】
緩衝生理食塩水培地(DPBS)または適切な置換物は、月経血幹細胞単離プロセスの全体にわたって使用できる。DPBS培地は、約5ml〜約10mlのヘパリン(ヘパリンナトリウム1,000USP単位/ml−アメリカン・ファーマシューティカル・パートナーズ(American Pharmaceutical Partners)社)を含有する約100ミリリットルのDPBSを含む。
【0098】
月経流出物サンプルを処理施設で受け取る最初の日に、月経血幹細胞を含む月経流出物の各標本は、ステージ1処理を行なうことができる。最初に、月経流出物サンプルを保持する収集容器の外部は、遠心分離の前に消毒できる。収集容器中の月経流出物サンプルは、遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過、および/またはデンプン沈降を行なうことができる。
【0099】
遠心分離
1つの実施形態において、月経流出物サンプルの遠心分離は約4℃で約7分間約2000rpmで行なうことができる。遠心分離後に、次に月経流出物サンプルの各標本を遠心分離機から取り出すことができる。上清を吸引するために収集チューブをBSCへ移す前に、収集容器の外部を消毒することができる。沈殿を約10mlのDPBS(または同等の置換物)中に再懸濁し、次にステージ2処理を行なうことができる。沈殿は本明細書において記述されるような任意の汚染除去工程に従って処理することもまたできる。
【0100】
密度勾配遠心分離
他の実施形態において、月経流出物サンプルの遠心分離は密度勾配を使用して行なうことができる。例えば、密度勾配は、リンパ球分離培地(約20℃で密度1.077〜1.083g/ml−セルグロー(Cellgro))、またはより高密度もしくはより低密度を有する他の適切な勾配でありえる。月経流出物サンプル、収集培地および密度勾配を含む収集用のコニカルチューブを、遠心分離にかける。例えば、収集用のコニカルチューブは、約15℃〜約30℃の間で(好ましくは約20℃で)、および遠心分離機を減速させるために適用されるブレーキなしで、約30分間約14,000rpmで遠心分離できる。
【0101】
密度勾配遠心分離の結果として、バフィーコート層は上清と密度勾配との間の境界面で形成される。バフィーコート層は、月経流出物サンプルから得られた月経血幹細胞を含む所望される細胞集団を含む。バフィーコート層の上の上清は、バフィーコート層の約5ml上で吸引して、廃棄する。バフィーコート層は、穏やかにバフィーコート層を旋回させ、10mlのピペットによりバフィーコート層でコニカルチューブの側面をすくうことによって取り出される。可能なかぎり最少量の体積の密度勾配をバフィーコート層と共に収集すべきである。残りの密度勾配および赤血球を含む沈殿は廃棄できる。密度勾配分離は室温の試薬および細胞により実行できる。細胞が冷却されるならば、分離された細胞の回復は至適でない。
【0102】
収集されたバフィーコート層を、50mlの収集用のコニカルチューブ中に置くことができ、体積は洗浄溶液により約30mlまでにする。次に、細胞懸濁は約15℃〜約30℃の間で約7分間約2000rpmで遠心分離することができる。
【0103】
遠心分離後に、次に標本を遠心分離機から取り出すことができ、上清を吸引するために収集チューブをBSCへ移す前に収集容器の外部は消毒できる。沈殿を約10mlのDPBS中に再懸濁し、次にステージ2処理を行なうことができる。沈殿は本明細書において記述されるような任意の汚染除去工程に従って処理することもまたできる。
【0104】
濾過
なおさらなる実施形態において、月経流出物サンプルを滅菌済みフィルターで濾過することができる。滅菌済みフィルターは、約40ミクロン、約70ミクロン、または約100ミクロンでありえる。濾過は、月経血幹細胞を含む月経流出物サンプルを約1℃〜約30℃の間で約7分間約2000rpmで遠心分離することを含むことができる。
【0105】
遠心分離後に、次に標本を遠心分離機から取り出すことができ、上清を吸引するために収集チューブをBSCへ移す前に収集容器の外部は消毒できる。沈殿を約10mlのDPBS中に再懸濁し、次にステージ2処理を行なうことができる。沈殿は本明細書において記述された任意の汚染除去工程に従って処理することもまたできる。
【0106】
デンプン沈降
さらなる実施形態において、月経流出物サンプルはデンプン沈降によって処理できる。1つの実施形態において、ヒドロキシエチルデンプンは1対5の比率、すなわち、約1mlのデンプン対約5mlの月経流出物サンプルで使用できる。各月経流出物サンプルは前述の比率に従って混合できる。混合物は、沈降を補助するために約6分間約50gで遠心分離できる。前述の遠心分離工程ありまたはなしで、混合物を約30分間または最大約2時間沈降できる。沈降後、月経血幹細胞を含むバフィーコートを取り出し、月経血幹細胞を遠心分離して凝縮した。遠心分離は、DPBS中に懸濁した月経血幹細胞を、約1℃〜約30℃の間で約7分間約2000rpmで遠心分離することを含む。
【0107】
遠心分離後に、次に標本を遠心分離機から取り出すことができ、上清を吸引するために収集チューブをBSCへ移す前に収集容器の外部は消毒される。沈殿を約10mlのDPBS中に再懸濁し、次にステージ2処理を行なうことができる。沈殿は本明細書において記述された任意の汚染除去工程に従って処理することもまたできる。
【0108】
汚染除去
遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過またはデンプン沈降の前述の工程の任意の1つに従って収集されるような、収集された月経血幹細胞のサンプルは、任意の汚染除去プロセスを行なうことができる。沈殿についての過剰の液体は、サンプルの全体積を最初に計算した後に除去できる。沈殿は約5mlの汚染除去培地中で再懸濁できる。
【0109】
汚染除去培地は月経流出物サンプルを汚染除去するために使用できる。汚染除去培地は、適切な培地中に少なくとも1つの抗生物質を含む。非限定例によって、抗生物質は、バンコマイシン、クラフォラン、アミカシン、ゲンタマイシンおよびアンフォテリシンBの少なくとも1つを含みうる。適切な培地はハンク平衡塩類溶液(HBSS)または他の培地を含みうる。もし乾燥形態で提供されるならば、抗生物質は再構成を必要としうる。
【0110】
1つの実施形態において、汚染除去培地は、以下の濃度の抗生物質、50ug/mlのバンコマイシン、250ug/mlクラフォラン、100ug/mlアミカシン、120ug/mlゲンタマイシンおよび2.7ug/mlアンフォテリシンBを含みうる。抗生物質の他の濃度レベルも適切でありうる。例えば汚染除去培地は、約100mg/mlの濃度を得るように、バンコマイシンの約1gのバイアルに約10mlのHBSSを追加することによって作製できる。約1mlの100mg/mlの濃度のバンコマイシンを、約199mlのHBSSに追加して、約500ug/mlの濃度を得る。約1mlの約500ug/mlの濃度のバンコマイシンを、汚染除去培地の調製のために最終バイアルに追加する。約2mlのHBSSを約500mg/バイアルのクラフォランに追加し、約250mg/mlの濃度を得る。約1mlの約250mg/mlのクラフォラン溶液を、約99mlのHBSSに追加し、約2500ug/mlのクラフォランの濃度を得る。約1mlの約2500ug/ml濃度のクラフォランを、汚染除去培地のための最終バイアルに追加する。約10mlのHBSSを約1gのアミカシンのバイアルに追加し、約100mg/mlの濃度を得る。約1mlの約100mg/バイアルの濃度のアミカシンを約99mlのHBSSに追加し、約1000ug/ml得る。約1mlのアミカシンを最終バイアルに追加して汚染除去培地を調製する。約10mlのHBSSをゲンタマイシンの約1gのバイアルに追加して、約100mg/mlの濃度を得る。約1mlの約100mg/mlの濃度のゲンタマイシンを約99mlのHBSSに追加して約1000ug/ml濃度を得る。約1.2mlのゲンタマイシンの約1000ug/ml溶液を最終バイアルに追加して汚染除去培地を調製する。約2mlのアンフォテリシンBを約8mlの滅菌水に追加して1mlあたり約50ugの濃度のアンフォテリシンBを調製する。約0.540mlのアンフォテリシンB(27ug)によりアンフォテリシンBの最終濃度を調製する。
【0111】
汚染除去培地は、50mlの滅菌チューブ中に、抗生物質の溶液の、約1mlの500ug/mlバンコマイシン、約1mlの2500ug/mlのクラフォラン、約1mlの1000ug/mlのアミカシン、約1.2mlの1000ug/mlのゲンタマイシン、および約0.540ml(27ug)のアンフォテリシンBを追加して約4.74mlの培地を作製することによって、調整できる。約0.200mlの1mlあたり1000単位ヘパリンを抗生物質溶液に追加し、約5.06mlのHBSSを抗生物質溶液に追加して、最終体積10mlの汚染除去培地を作成する。培地は使用まで約2℃〜約8℃で保存できる。
【0112】
沈殿は約5mlの汚染除去培地中に再懸濁できる。血餅または他の高分子が存在するならば、細胞は濾過が必要でありうる。再懸濁した細胞が、血餅のためにまたは他の理由のために濾過を必要とするならば、サンプルは100ミクロンのフィルターを使用して濾過できる。濾過のために、懸濁は、懸濁中の血餅サイズに依存して100ミクロンのフィルターまたはより小さなもの、および滅菌済み50mlのコニカルチューブを使用して濾過できる。一旦懸濁がフィルターを介して通過すれば、フィルターは追加の抗生物質培地を使用して洗浄できる。
【0113】
汚染除去培地中の濾過された細胞または濾過されない細胞は、汚染除去のためにインキュベートできる。1つの実施形態において、汚染除去培地中の濾過された細胞または濾過されない細胞は、クリーンルーム中の冷蔵庫において約2℃〜約8℃で約20時間〜約30時間インキュベートできる。インキュベーションの間、細胞はローテーターに置かれるか、またはインキュベーションの最初の5時間に毎時約1回で転倒させることができる。汚染除去プロセスの終わりに、次に月経血幹細胞を含む細胞懸濁はステージ2処理を行なうことができる。
【0114】
月経血幹細胞を含む細胞懸濁は、汚染除去プロセスありまたはなしで、ステージ2処理に従って処理できる。ステージ2処理は、DPBSまたは汚染除去培地のどちらかの中で月経血幹細胞を含む細胞懸濁を遠心分離することを含む。1つの実施形態において、細胞懸濁の遠心分離は約4℃で約7分間約2000rpmで行うことができる。月経血幹細胞を保持するチューブの外部は、遠心分離後におよびBSCに移す前に消毒できる。一旦BSCの中にあれば、チューブの底の細胞の沈殿を残して、上清を除去することができる。細胞は約10mlのDPBSにより再懸濁し、混合し、約4℃で約7分間約2000rpmで遠心分離できる。遠心分離後、容器はBSCに移す前に汚染除去できる。
【0115】
月経血幹細胞の細菌学的分析は、処理中のこの時点の間に行うことができる。BSCの中で、および無菌技術を使用して、月経血幹細胞を含む沈殿の上の約5mlの上清は滅菌済みシリンジを使用して取り出すことができる。約4mlの上清を嫌気性血液培養ボトル中に置き、約1mlの上清を好気性血液培養ボトル中に置くことができる。ボトルはBacT/Alertシステムにおける使用のために構成できる。次にボトルは、製造者の使用説明書に従ってBacT/Alertシステムを使用してインキュベートできる。BacT/ALERTの血液培養ボトルおよびシステムは、本発明の実行のために適切な試験システムの実施例として提供される。21C.F.R.セクション610.12またはこのCFRセクションに類似するパフォーマンスが認証されたものを遵守する限り、他の適切な自動または手動の血液培養標本ボトルおよびシステムが使用できる。
【0116】
残りの上清は沈殿の上から取り出すことができる。細胞を含む沈殿は、約5.1mlまでのDPBS中で再懸濁し、混合することができる。約100μlの細胞は処理後試験のためにチューブに小分けにし、細胞カウントおよび生存率を得ることができる。細胞カウントは自動または手動の血球計数器を使用して実行できる。細胞生存率はトリパンブルーまたは他の方法を使用して実行できる。
【0117】
DPBS中で懸濁した残りの細胞は、凍結保存、細胞培養、細胞選択、または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために調製できる。
【0118】
凍結保存
凍結保存のために、DPBS中で懸濁した残りの細胞は、凍結保存のための調製において少なくとも約15分間氷上に置くことができる。調製は、月経血幹細胞に凍結保存培地を追加すること、および速度制御フリーザーまたは他の適切なフリーザーシステム(モニタリングダンプフリーズまたはフリーズコンテナー(ナルゲン(Nalgene)社))を利用して、約−90℃の最終温度まで月経血幹細胞の温度を低下させるいくつかの温度低下工程を混合物に対して行うことを含むことができる。適切な速度制御フリーザーは、クリオメド・サーモ・フォーマ・コントロールド・レート・フリーザー(Cryomed Thermo Forma Controlled Rate Freezer)7454(サーモ・エレクトロン(Thermo Electron)社)、プラナー・コントロールド・レート・フリーザー・クリオ(Planar Controlled Rate Freezer Kryo)10/16(TSサイエンティフィック(TS Scientific)社)、ゴーディナー(Gordinier)、バイオ−クール−FTSシステムズ(Bio−Cool−FTS Systems)、およびアシンプトート(Asymptote)EF600、バイオストア(BIOSTOR)CBS 2100シリーズを含むが、これらに限定されない。
【0119】
凍結保存培地は、培地およびDMSOを含んで調製できる。約3mlのDPBSを例えば50mlのコニカルチューブなどの容器に追加できる。約1mlのヒト血清アルブミン(HSA)を約3mlのDPBSに追加し、次に氷上で約10分間冷却することができる。約1mlの冷却99%DMSOをHSAおよびDPBSに追加し、最終的な凍結保存培地を調製する。次に、凍結保存培地を細胞サンプルに追加する前に、凍結保存培地および細胞サンプルを約15分間氷上に置くことができる。細胞サンプルの中への凍結保存培地の小分けのために、バッチ処理を使用できる。例えば、細胞懸濁の約100ulの単一の小分けは、約3mlのDPBS、1mlのHSA、および約1mlの99%DMSOと組み合わせることができる。細胞懸濁の約200ulの約2つの小分けは、約6mlのDPBS、2mlのHSA、および約2mlの99%DMSOと組み合わせることができる。細胞サンプルの約5つの小分けは、約15mlのDPBS、約5mlのHSA、および約5mlの99%DMSOと組み合わせることができる。細胞サンプルの約10の小分けは、約30mlのDPBS、約10mlのHSA、および約10mlの99%DMSOと組み合わせることができる。
【0120】
他の実施形態において、他の凍結保存培地を使用することができる。例えば、凍結保存剤を含む凍結保存培地は、例えばクリオストア(CryoStor)S10もしくはCS5(バイオライフ(Biolife)社)、プロパンジオールおよびスクロースを追加した胚の凍結保存培地(ビトロライフ(Vitrolife)社)、またはSAGE培地(クーパー・サージカル(Cooper Surgical)社)のような、解凍後の高細胞生存率の転帰を維持するために使用できる。グリセロールは他の凍結保存剤(DMSOなどの)と共に使用できるか、または適切なタンパク質を含む培地中で約10%の濃度で単独で使用できる。
【0121】
凍結保存培地は細胞サンプルに追加できる。懸濁した月経血幹細胞および凍結保存培地の全混合物の体積が凍結保存細胞混合物の最終的な所望される体積になるまで、凍結保存培地をDPBS中に懸濁した月経血幹細胞に一滴ずつ追加できる。最終的な凍結保存細胞培地は、5mlのバイアルのキャップ中に保存されたQCサンプルを備えた2×5ml バーコード付きのクリオクオート(cryoquat)の中への移すことができる。サンプルの約200μl小分けを取り出すため、およびQCキャップの中へ小分けするためにピペッターを使用する。キャップが満たされた後、5mlのバイアルの中への残りの4.8mlの標本を追加する。サンプルは感染症および他の分析のために送付するべきである。クリオバイアルをクリオメドフリーザー中に置き、約−85℃またはそれ以下で温度まで制御された速度による温度低下を行なう。凍結保存した標本は、−150℃またはそれ以下の液体窒素の蒸気中の保存のための貯蔵庫に移すべきである。感染症について陽性のテスト結果の任意のサンプルは隔離されるべきである。感染症について陰性のテスト結果の任意のサンプルは異なる永久保存に移すことができる。
【0122】
以下の温度低下工程は、最初に凍結保存剤および月経血幹細胞の混合物を低下させて、速度制御フリーザーにおいてプログラムできる。凍結保存剤と組み合わせた月経血幹細胞は、フリーザー中での最終的な保存のための調製において速度制御した温度低下を行なうことができる。速度制御した低下は、細胞生存率を維持するようにデザインできる。クリオ−メド(Cryo−Med)フリーザー(サーモ・エレクトロン社)、液体窒素シリンダーおよびポータブルクリオ−メドフリーザーを、フリーザー中での最終保存のための調製における速度制御した低下のために使用できる。約−90℃の温度に到達するまで、クリオバイアルまたはクリオバッグ(cryobag)中で、細胞は速度制御した低下を行うことができる。
【0123】
クリオバッグ中に収集された月経血幹細胞のサンプルについて、以下の速度制御した低下プロフィールを細胞に対して行うことができる:約4℃で待機、−6.0℃まで1分につき1.0℃(サンプル)、−50.0℃まで1分につき25.0℃(チャンバー)、−14.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、−45.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−90.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、および終了(サンプルは−85.0℃またはそれ以下で)。
【0124】
クリオバイアル中に収集された月経血幹細胞のサンプルについて、以下の速度制御した低下プロフィールを細胞に対して行うことができる:4.0℃で待機、−3.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−20.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、−40.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−90.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)および終了。
【0125】
一旦凍結保存剤および月経血幹細胞の混合物が約−85℃またはそれ以下になれば、凍結保存バイアルは低温保存ユニットに移され、約−135℃またはそれ以下の温度で液体窒素の蒸気中に保存されるか、またはあるいはバイアルは液体窒素の液相中で保存できる。例えば適切な低温保存ユニットは、LN2フリーザーMVE 1830(チャート・インダストリーズ)を含むが、これらに限定されない。
【0126】
フローサイトメトリー分析
月経血幹細胞の任意の収集されたサンプルは、全細胞カウントおよび色素排除を介するトリパンブルーによる細胞生存率について試験できる。月経血幹細胞のサンプルは、細胞マーカーを発現する細胞の存在についてもまた解析できる。
【0127】
処理前の細胞、処理後の細胞、および任意の他のサンプルの細胞の全細胞カウントおよび細胞生存率は、血球計数器による手動カウント、フローサイトメーター、または例えばバイセル(ViCell)(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社)もしくは顕微鏡画像に表示された細胞をカウントするのに適切なソフトウェアなどの、細胞カウントを得るのに適切な他の手段によって定量できる。
【0128】
処理前の細胞は、フローサイトメトリーによって解析できる。赤血球が存在するならば、1×NH4CL溶解溶液(ステムキット(StemKit))を、50mlのチューブ中へ約36mlの蒸留水および約4mlの10×溶解溶液を追加することによって調製できる。1クライアントあたり約100ulの処理前のサンプルを2本のチューブに追加して、分析を実行することができる。1本のチューブはCD34+/生存率の分析のためのものであり、2本目のチューブはアイソクロニック対照のためのものである。約20ulのCD45−FITC/CD34−PEを各チューブの底に追加できる。約20ulの7−AAD生存率用色素(Viability dye)をチューブの中へ追加すべきである。混合物をボルテックスにより撹拌し、次に遮光して、約15℃〜約30℃で少なくとも20分間インキュベートした。次に約1mlの1×NH4CL溶解溶液を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌できる。混合物を約15℃〜約30℃で約20分間インキュベートできる。約100uLのステム−カウント・フルオロスフェア(Stem−Count Fluorosphere)を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌できる。次にサンプルを分析のためにフローサイトメーター上に流すべきである。
【0129】
処理後の細胞はフローサイトメトリーによって分析することができる。1×NH4CL溶解溶液を、50mlのチューブの中へ約36mlの蒸留水および4mlの10×溶解溶液を追加することによってステムキットから調製できる。1クライアントあたり約50ulの処理後のサンプルを2本のチューブに追加して、分析を実行することができる。1本のチューブはCD34+/生存率の分析のためのものであり、2本目のチューブはアイソクロニック対照のためのものである。約10μLの7−AAD生存率用色素を各チューブに追加できる。約10μLのCD45−FITC/CD34−PEを第1のチューブに追加できる。約10μLのCD45−FITC/CTRL−PEを第2のチューブに追加できる。混合物をボルテックスにより撹拌し、次に遮光して、約15℃〜約30℃で少なくとも20分間インキュベートした。次に約1mlの1×NH4CL溶解溶液を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌した。混合物は約15℃〜約30℃で約20分間インキュベートできる。約100uLのステム−カウント・フルオロスフェアを各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌できる。次にサンプルを分析のためにフローサイトメーター上に流すべきである。
【0130】
細胞表面マーカー、細胞生存率、および他の細胞特性を解析するために、月経血幹細胞の新鮮なサンプルおよび以前に凍結保存した月経血幹細胞の解凍したサンプルも、フローサイトメトリーによって解析されてもよい。新鮮なサンプルは細胞溶解後に以下のプロトコールに従ってもまた解析されてもよい。
【0131】
凍結保存した月経血幹細胞は、本明細書において記述された解凍プロセスに従って解凍されなくてはならない。細胞サンプルが解凍されなくてはならない場合において、細胞は、解凍後直ちに、または細胞を培養して特定の細胞継代を評価した後に、フローサイトメトリー分析を必要としうる。凍結保存したサンプルは、細胞を完全に解凍させずに、37℃水浴中で撹拌してもよい。細胞は約1mlの冷却した洗浄培地の中へ移され、転倒により混合できる。サンプルは約7分間約2000rpmで遠心分離できる。上清を除去し、約100ulの洗浄培地(25%HSA、DNAse、ヘパリンならびにCa+およびMg+含有HBSS)中に細胞を再懸濁する。次に再懸濁した細胞は、約1分間ブラッド・バンク・セロフュージ(Blood Bank Serofuge)中で遠心分離できる。上清はデカントすることができ、細胞を約1.2mlのシース液中で再懸濁し、ボルテックスにより撹拌した。
【0132】
シース液中の細胞は多数の細胞表面マーカーについて解析できる。限定するのではなく例として、表Aにおいて記述されているように、約100ulのシース液中の細胞のサンプルを、各チューブ中に1つの試薬あたり10ulまたは20ul体積のどちらかで以下の試薬を含む各チューブに追加し、次にチューブをボルテックスにより撹拌して試薬およびサンプルを混合する。
【0133】
【表1】

【0134】
20分間室温(15〜30℃)でインキュベートする。遮光する。RBCを含む新鮮なサンプルで実行するならば、500μlの溶解溶液を追加し、さらに10分間室温でインキュベートし、遮光する。密度勾配または解凍したサンプルで実行する場合は、溶解しない。サンプルを溶解しなかった場合は、20分のインキュベーション後に1mlの洗浄培地により洗浄する。1分間遠心分離し、次に上清をデカントする。サンプルを溶解した場合は、1分間サンプルを遠心分離し、溶解物をデカントする。1mlの洗浄培地を追加し、ボルテックスにより撹拌し、再び遠心分離し、次に再びデカントする。各チューブに500uLのシース液を追加し、ボルテックスにより撹拌し、FC500フローサイトメーターを実行する。
【0135】
細胞マーカー分析の前に、全細胞カウントを新鮮な細胞サンプルまたは解凍したサンプルで実行できる。多数の陽性対照は、カスミ(Kasumi)−3対照細胞または他の対照細胞を使用して、フローサイトメトリー分析のために設定できる。
【0136】
細胞カウントならびに細胞生存率分析のための資材は、フローサイトメーター、イソフロー・シース液(Isoflow Sheath Fluid)、コールター・クレンズ洗浄剤(Coulter Clenz Cleaning Agent)、ならびにCD45−FITC/CD34−PE、CD45−FITC/アイソクロニック対照PE、7−AAD生存率用色素、ステム−カウント・フルオロスフェア、塩化アンモニウム(NH4CL)溶解溶液10×濃縮および22%のウシアルブミン溶液を含むが、これらに限定されない試薬を含むが、これらに限定されない。ステムキット(Stem Kit)(商標)CD34+HPCエニュメレーション・キット(Enumeration Kit)添付文書−バージョン03(PNIM2390);ベックマン・コールター製品是正処置、CXP 2.0&2.1パネルインタラプション−3/10/06、PCAM−D−1013;14.3 ステムラボ(StemLab)、ビルド番号、バージョン3.2.1 200706260856を参照。フローサイトメトリーのための資材もまた、イソフロー・シース液;コールター・クレンズ洗浄剤;および以下の試薬(使用の前に約20〜25℃):CD117−PE、CD29−FITC、CD34−ECD、CD44−FITC、CD45−ECD、CD90−PC5、CD105−PE、CD166−PE、IgGFITC、IgG−PE、IgG−ECD、IgG1−PC5、HLA−I−FITC、CD133−PE、HLA−II ECD、CD9−FITC、CD54−PE、CD10−PC5、CD59−FITC、CD63−PE、CD13−PC5、CD49e−FITC、CD81−PE、CD49f−PC5、CD44−FITC、CD38−PC5、CD29−FITC、CD105−PE、CD41−ECD、CD3−PC5、CD19−FITC、NANOG−FITC、SSEA3−PE、SSEA4−PE、CD14−FITC、CD56−PE、7−AAD生存率用色素、塩化アンモニウム(NH4CL)溶解溶液10×濃縮、洗浄培地(HBSS(Ca+およびMg+含有ハンクス)500ml、ヘパリン5ml、25%ヒト血清アルブミン50ml、DNASEを1アンプル含む)、カスミ−3細胞株(CD117+細胞)、タイマーおよびボルテックスミキサーを含むが、これらに限定されない。
【0137】
他の実施形態において、対照の使用、および月経血幹細胞の新鮮なサンプル、処理前のサンプル、処理後のサンプル、または解凍したサンプルを調製する方法を含む、以前に記述されたフローサイトメトリー法に類似する代わりとなるフローサイトメトリー法によって、細胞を解析できる。細胞マーカーもまた免疫組織化学的分析によって評価できる。
【0138】
各サンプルについての全細胞カウントはフローサイトメトリーの前に解析できる。サンプルが>=3.5×106細胞を含んでいるならば、全パネルを評価できる。サンプルが<3.5×106細胞を含んでいるならば、より少ないチューブが必要でありえる。
【0139】
解凍の必要のある凍結サンプルでフロー試験を実行する必要がある場合は、細胞を完全に解凍させずに、37℃水浴中でバイアルを撹拌する。解凍したサンプルは、以前に論じられたフローサイトメトリー分析法のための方法に従って処理し、以下の表Bに従う細胞数に依存して多数のチューブに追加した。
【0140】
【表2】

【0141】
各チューブは約15℃〜約30℃で約20分間インキュベートできる。遮光する。RBCを含む新鮮なサンプルで実行するならば、500μlの溶解溶液を追加し、約10分間同じ温度でインキュベートし、遮光する。密度勾配または解凍したサンプルで実行する場合は、溶解しない。サンプルを溶解しなかった場合は、約20分のインキュベーション後に1mlの洗浄培地により洗浄し、約1分間遠心分離し、次に上清をデカントするサンプルを溶解した場合は、約1分間サンプルを遠心分離し、溶解物をデカントする。約1mlの洗浄培地を追加する、ボルテックスにより撹拌し、遠心分離し、次に再びデカントする。約1mlのシース液を追加して、ボルテックスにより撹拌して、FC500または適切な代わりのフローサイトメーターで実行する。
【0142】
細胞選択
細胞は、本明細書において記述されるような月経血幹細胞のための細胞マーカーの少なくとも1つについて選択できる。細胞は、所望されない細胞を除去するネガティブ選択工程もまた行なうことができる。細胞選択プロセスの全体にわたって、無菌技術を使用できる。細胞選択は、新鮮な細胞、処理後の細胞、あらかじめ凍結保存した解凍した細胞、および培養中の細胞について使用できる。細胞選択は、250万細胞〜1000万細胞で実行できる。細胞は、250万未満の細胞を含むサンプルまたは1000万以上の細胞を含むサンプルからもまた選択できる。
【0143】
細胞選択についての資材は、DNase、パルモザイム(ジェネンテック(Genentech)社)−1アンプル、ネガティブまたはポジティブに選択される任意の抗細胞の表面マーク、例えば抗CD117抗体(サンタクルズ(Santa Cruz)社の104D2、またはBDバイオサイエンス(BD Bioscience)社のYB5.58)、ヤギ抗マウスIgGマイクロビーズ、および磁石体を含むが、これらに限定されない。
【0144】
新鮮なサンプル、処理後サンプル、解凍したサンプルまたは月経血幹細胞の培養したサンプルから得られた月経血幹細胞を含む細胞懸濁は、約4℃で約10分間約300gで遠心分離できる。上清は細胞沈殿を乱さずに取り出すことができる。沈殿は、約100ulのワーキングバッファーおよび約20ulの抗細胞表面抗体により再懸濁できる。1つの実施形態において、抗細胞表面抗体は抗CD117抗体である。溶液中の細胞は約20分〜約25分間氷上でインキュベートできる。インキュベーション後に、約2mlのワーキングバッファーを細胞に追加し、穏やかに混合することができる。混合物は約4℃で約10分間約300gで遠心分離できる。遠心分離後に、上清は沈殿を乱さずに吸引できる。沈殿は約80ulのワーキングバッファー中に再懸濁できる。約20ulのヤギ抗マウスIgGを細胞懸濁に追加し、穏やかに混合することができる。混合物を氷上で約30分間インキュベートすることができる。インキュベーション後、細胞を約2mlのワーキングバッファーの追加によって洗浄し、次に溶液を混合することができる。細胞を約4℃で約10分間約300gで遠心分離できる。
【0145】
カラムは選択されない細胞から選択された細胞を分離するために使用できる。カラムは約500ulのワーキングバッファー中で湿らせることによって調製できる。遠心分離後に、上清は沈殿を乱さずに吸引できる。沈殿は約500ulのワーキングバッファー中で再懸濁できる。細胞接着を回避するために、追加のDNaseを細胞に追加できる。細胞懸濁はピペットを使用して、カラムに追加できる。抗体に標識された細胞(陽性画分)は、マックス(MACS)セパレーターによって提供される磁石体にさらされるカラムに結合する。未標識細胞(陰性画分)はカラムを通って流出したものであり、収集すべきである。
【0146】
細胞懸濁をカラムを通して流出させ、陰性画分として収集した後、カラムは1洗浄あたり500ulのワーキングバッファーを使用して、少なくとも3回洗浄することができる。各洗浄は、次の洗浄の前にカラムを通して完全に流出させることができる。各洗浄は陰性画分と共に収集できる。約100ulの陰性画分を分析のために取り出すことができる。血球計を使用する細胞カウント、およびトリパンブルーまたは他の方法を使用する生存率を実行できる。表現型分析は、以前に論じられたようなフローサイトメトリーを使用して、または他のフローサイトメトリー法を使用して、行なうことができる。陰性画分は凍結保存のために調製できるか、またはさらなる細胞増殖および増加ならびに後の処理のための培養を行なうことができる。
【0147】
陰性画分を収集し、カラムを洗浄した後に、別のチューブを陽性画分を収集するためにカラム下に置くことができる。約1mlのワーキングバッファーをカラムに追加し、カラムから磁石体を取り除くことができる。ワーキングバッファーおよび陽性画分が収集されるべきである。陽性画分についてのカラムから可能な限り多くの標識細胞を取り出すために、プランジャーを使用することができる。トリパンブルーまたはフローサイトメトリーを使用する細胞カウントおよび生存率を含むが、これらに限定されない分析のために、約100ulの陽性画分を取り出すことができる。陽性画分は凍結保存するか、培養するか、または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために調製できる。
【0148】
MSC細胞マーカーを発現する月経血幹細胞を選択する工程は、図3〜6、8〜10、13〜19、21〜24および26〜28中で示されるような本発明の実施形態のいずれかに従って行なうことができる。特に、選択は、(a)凍結保存の前に、(b)少なくとも1つの細胞培養の工程の前および/または後に、または(c)凍結保存した細胞を解凍した後に、行なうことができる。特定の細胞マーカーを発現する月経血幹細胞を選択する工程は、選択された細胞マーカーを発現する濃縮された細胞の集団を提供し、それは、本発明の方法論に従って、さらなる細胞培養、凍結保存、または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のために使用できる。
【0149】
1つの実施形態において、細胞の集団からCD117を発現する月経血幹細胞を選択する工程は、抗ヒトCD117抗体により月経血幹細胞を標識すること、および次に抗ヒトCD117抗体に結合が可能な磁気標識抗体によりCD117幹細胞−抗ヒトCD117抗体複合体を標識することを含む。さらに、この方法は、CD117を発現する任意の細胞を抗ヒトCD117抗体により標識すること、および次に抗ヒトCD117抗体に結合が可能な磁気標識抗体によりCD117細胞−抗ヒトCD117抗体複合体を標識することを含む。CD117を発現する月経血幹細胞を選択する方法は、本発明の方法論のいずれかに従って収集されるCD117を発現する任意の細胞を選択することを含むことができる。月経血幹細胞を単離する工程は、カラムに複合体の磁気標識抗体およびその他のものを引き付けるために、CD117細胞、抗ヒトCD117抗体および磁気標識抗体を含む複合体を磁石体に暴露すること、および分析のためのカラムを通して他のすべてのCD117陰性細胞を洗浄することを含む。
【0150】
CD117を発現する月経血幹細胞を選択する工程の全体にわたって、細胞の細胞懸濁およびワーキングバッファー(Dnase含有マックス分離(登録商標)ランニングバッファー、ミルテニー(Miltenyi)社)は、低温で維持できる。他の磁気分離キットは使用のために適切でありうる(R&Dシステムズ(R&D Systems)社)。CD117を発現する子宮内膜細胞/月経血細胞を選択する工程が、(a)凍結保存の前に、(b)少なくとも1つの細胞培養の工程の前におよび/または後に、または(c)本発明の実施形態の全体にわたって示されるような凍結保存した細胞を解凍した後に、行なわれる場合に、細胞懸濁は洗浄溶液中に懸濁された細胞の集団を含むことができる。
【0151】
細胞懸濁は約10分間約300gで遠心分離できる。沈殿は抗ヒトCD117抗体を含むワーキングバッファー中に懸濁できる。例えば、ワーキングバッファーは、例えばPBS(約pH7.2)、ウシ血清アルブミン、EDTAおよび約0.09%のアジ化物(または適切な溶液)(BDバイオサイエンス社)を含むことができる。沈殿は、例えば約100ulのワーキングバッファーおよび約5ugのヒトCD117に親和性を有する精製抗体の中に懸濁できる。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありうる。抗体は、ヒトCD117に結合が可能な精製されたIgGまたは他の抗体でありうる。抗体はマウス抗CD117抗体でありうる。例えば、抗体は、モノクローナルマウス抗ヒトCD117抗体(サンタクルズ社からの104D2またはBDバイオサイエンス社からのYB5.58として入手可能)でありえる。
【0152】
細胞、ワーキングバッファーおよび抗CD117の抗体を含む溶液を、インキュベーション期間の間インキュベートする。例えば、インキュベーション期間は氷上で約20分〜約25分の間を含みうる。あるいはインキュベーション期間は、温度が少なくとも約2℃〜約8℃である場合は約20分未満、または少なくとも室温である場合は約5分〜約10分に短縮できる。インキュベーション期間後、細胞を含む溶液を、未結合抗体を除去するためにワーキングバッファーにより洗浄し、次に遠心分離できる。例えば遠心分離は約10分間約300gで行なうことができる。遠心分離後、上清を吸引し、分析のために保存でき、沈殿をワーキングバッファー中で懸濁する。例えばワーキングバッファーの体積は約80ulでありえる。
【0153】
添付されるマイクロビーズを有し、抗ヒトCD117抗体に親和性を有する第2バッチの抗体に、沈殿を懸濁するために使用するワーキングバッファーを追加した。マイクロビーズは例えば酸化鉄および多糖類を含むことができる。マイクロビーズは生物分解性でありえる。マイクロビーズはミルテニー・バイオテク社を介して入手可能である。例えば、抗体の第2バッチは、ヒトCD117に対して親和性を有する抗体に特異的であり、例えばヤギ抗マウスIgG抗体などである。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありえる。抗体は、マウス抗体の軽鎖および/または重鎖に結合することが可能でありえる。抗体は、例えば製品130−048−401としてミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なヤギ抗マウスIgGマイクロビーズコンジュゲートでありえる。前述のヤギ抗マウスIgGの2mlのバイアルを、およそ1.0×109の全未分離細胞のために使用できる。
【0154】
細胞懸濁を、第2のインキュベーション期間の間インキュベートする。例えばインキュベーション期間は、約30分〜約35分の範囲でありえる。あるいはインキュベーション期間は、インキュベーションが約2℃〜約8℃で行なわれる場合は約30分未満、またはインキュベーションがおよそ室温で行なわれる場合は約5〜約10分でありえる。インキュベーション期間が完了した後に、細胞を例えば約2mlのワーキングバッファーのようなワーキングバッファーにより洗浄し、次に細胞を遠心分離する。例えば遠心分離は約10分間約300gで行なうことができる。上清を吸引し、分析のために保存でき、細胞を含む沈殿を、例えば約500ulのワーキングバッファーのなどのワーキングバッファー中に懸濁する。
【0155】
細胞分離
CD117幹細胞は、CD117幹細胞を分離するためにMSカラムを使用して、ワーキングバッファー中の細胞懸濁から分離できる。例えば、MSカラム(ミルテニー・バイオテク社)または他の適切なカラムを使用できる。あるいは、分離細胞に対して他の適切な方法を使用できる。ユニット、マルチスタンド、MSカラムおよびマイクロビーズを含む、ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なミニマックス(MiniMACS)キットは、CD117細胞選択のために使用できる。MSカラムは、ワーキングバッファーによるリンスによって調製できる。例えば、カラムをリンスするために使用するワーキングバッファーの体積は約500ulでありえる。カラムを、ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なマックスセパレーターの磁石体または磁石体を提供する適切なセパレーター中に置く。
【0156】
ワーキングバッファー中の細胞懸濁を、ピペットまたはある体積の液体を移すことができる他の器具によりカラムに追加する。抗ヒトCD117抗体により標識されたCD117細胞(それはマイクロビーズが付着した抗体に結合される)は、マックスセパレーターの磁石体のためにカラム中で保持される。任意の未標識細胞は、ワーキングバッファーと一緒にカラムを通って流出するべきであり、細胞の表現型決定および細胞カウントのために滅菌済みチューブ中に収集できる。カラムを通って流出する未標識細胞を陰性画分として同定できる。カラムは細胞懸濁の追加後にワーキングバッファーにより洗浄できる。例えばカラムは、少なくとも3回、またはすべてもしくは実質的にすべての未標識細胞がカラムを通って通過する任意の量の時間で洗浄できる。洗浄工程からの排出物は、細胞の表現型決定およびカウントのために収集できる。排出物は陰性画分としても同定できる。
【0157】
カラムを洗浄した後に、標識されたCD117幹細胞をカラムから収集できる。標識されたCD117細胞は、滅菌済みチューブをカラム下に置き、カラムを磁石体から取り出すことによって収集される。一旦カラムが磁石体から取り出されれば、標識されたCD117細胞はカラムを通って通過し、滅菌済みチューブの中へ入る。カラム中の残りの標識されたCD117幹細胞は、カラムにワーキングバッファーを追加してカラムを通して細胞を洗浄することによって、および任意でプランジャーによりカラムを剥がして細胞を放出することによって、洗い出すことができる。収集した標識されたCD117細胞は、陽性画分として同定できる。標識されたCD117細胞のより精製された集団を得るために、陽性画分は、任意で、以前に開示された洗浄手順に従ってカラムを通すことを少なくとも1回以上実行できる。陽性画分を約10分間約300gで遠心分離し、上清を吸引することができる。沈殿を約5mlのワーキングバッファー中に懸濁できる。
【0158】
陽性画分および陰性画分を血球計数器により解析し、全生存細胞のカウントを得る。陰性画分を表現型決定のためのフローサイトメトリーによって解析する。任意で、陽性画分は表現型決定のためのフローサイトメトリーによって解析できる。
【0159】
例えばCD117または他の細胞マーカーのようなMSC細胞マーカーを発現する幹細胞を含む陽性画分は、本発明の方法に従って凍結保存のために調製でき、本明細書においてさらに詳述される。約1mlのヒト血清アルブミン、約3mlDPBSおよび約1mlのDMSOを、約5mlの陽性画分に追加した。あるいは、例えば完全培地、ウシ血清アルブミン、ウシ胎仔血清、ウシ胎仔血清、タンパク質血漿画分または自己血清のような他の培養培地は、凍結保存のために細胞を調製する工程において使用できる。MSCを含む溶液を混合し、約10分間氷上で冷却する。約1mlのDMSOを、凍結保存剤として追加する。あるいは、約6%HESヒドロキシエチルデンプンおよび約5%DMSOの約1mlの混合物を凍結保存剤として使用できる。結果として生じる溶液をクリオバイアルの中へ小分けにする。あるいは、結果として生じる溶液を例えば凍結保存バッグなどの凍結保存のために適切な任意の容器の中へ小分けすることができる。次にクリオバイアルは、本明細書においてさらに詳述されるような本発明の速度制御フリーザープロトコールに従って、速度制御フリーザー(クリオメド)中で凍結保存する。一旦MSCを含む溶液が約−90℃の目標温度に到達すれば、クリオバイアルを長期間保存用フリーザーの中へ移し、約−135℃またはそれ以下で保存する。あるいは、クリオバイアルまたは他の適切な凍結保存容器を、モニタリングダンプフリーズへと置き、約−80℃に凍結し、次に約−135℃またはそれ以下で長期間保存用フリーザー中の液体窒素の蒸気相の中へ移すことができる。
【0160】
あるいは、陽性画分は培養フラスコに播種し、本発明の方法に従って細胞を培養するために使用できる。次にMSCを細胞培養から選択し、本発明の方法に従って凍結保存できる。
【0161】
本発明に従って得られた細胞は、CD117選択が用いられる本発明の実行における任意の時点で、他の適切なプロセスおよび方法によって選択または単離できる。例えば、本明細書において記述されるCD117選択プロセスおよび方法を使用するのではなく、本発明の細胞(凍結保存前、解凍後、または細胞培養から得られたかにかかわらず)は、培養において血清枯渇培地を約2週間〜約4週間または他の適切な期間の間使用して、適切な温度および条件での血清枯渇によって凝縮することができる。血清枯渇培地はES−FBSありまたはなしで使用できる。
【0162】
細胞培養のための調製
本発明の方法論に従って収集された月経血幹細胞を含む細胞懸濁は、さらなる選択工程、凍結保存、または治療用もしくは薬用化粧品用の使用のための調製においてさらに培養できる。月経血幹細胞を含む細胞懸濁は、本発明に従う凝縮後に、または凍結保存および解凍後に、細胞培養のために調製できる。適用可能な場合、解凍工程は、解凍する予定の約5mlの凍結保存した細胞を含む各バイアルのために、ヒストパック(Histopaque)(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)社)として入手可能な約15mlの密度勾配培地または他の適切な培地の小分けをおよそ室温で調製すること、および次に解凍する予定の約5mlの凍結保存した細胞を含む各バイアルのために、チャン(Chang)完全培地、DMEM完全培地もしくはIMDM完全培地または他の適切な培地の約25mlの小分けを調製することを含む。本明細書において記述されたように、処理後、密度勾配、および細胞選択からの新鮮な細胞サンプルもまた培養において播種することができる。
【0163】
チャン完全培地は約325mlのMEMアルファ培地(ギブコ(Gibco)社)(製品12571−063として)を含み、約90mlのチャンB(基本)C110(18%v/v)(アーバイン・サイエンティフィック(Irvine Scientific)社)、約10mlのサプリメントC106からのチャン培地C(2%v/v)(アーバイン・サイエンティフィック社)、約5mlのペニシリン/ストレプトマイシン(0.85%の生理食塩水(ギブコ(Gibco)社−15140−122)中の10,000単位/mlペニシリンGナトリウムおよび10,000ug/ml硫酸ストレプトマイシンにより調製された液体)約5mlのL−グルタミン200mM(100×)(ギブコ社−25030−081)、および約75mlのESウシ胎仔血清(15%v/v)(ギブコ社−10439−024)を含むように20%のチャン培地を追加する。チャン培地は完全培地(アーバイン・サイエンティフィック社)として購入することができる。
【0164】
凍結保存した細胞は、完全培地、DNAse(ジェネンテック社#50242−100−40)、トリプLE(TrypLE)(商標)エクスプレス(ギブコ社、#12605−010)、およびDPBS(メディアテック社、MT21−031 CV)を含むが、これらに限定されていない資材を使用して解凍できる。
【0165】
凍結保存した細胞を液体窒素の蒸気中の保存から取り出し、37℃水浴中に置かなくてはならない。細胞を水浴中で攪拌し、完全に解凍させないこともできる。部分的に解凍した細胞は、DNAse含有冷却したチャン完全培地に移され、転倒によって混合できる。DNAseは100mlのチャン培地あたり約10滴で追加できる。約5mlの各細胞調製物を、約25mlの冷却したチャン培地に追加した。懸濁は約5分間約120gで遠心分離できる。上清を吸引でき、細胞培養のための調製において適切な培地中で細胞を再懸濁される。
【0166】
あるいは、および、解凍が必要でない場合(例えば月経血幹細胞を含む細胞懸濁が凍結保存の工程なしで培養された場合など)、パルモザイムとして入手可能な約1mgのDNAseを含む約25mlの冷却したチャン完全培地の小分けの中へ、細胞懸濁の約5mlの小分けを置くことによって希釈できる。
【0167】
希釈する細胞懸濁は転倒によって混合できる。懸濁は約7分間約840gで遠心分離する。上清は沈殿を乱さずに吸引する。沈殿は、チャン完全培地で全体積を約30mlまでにする。少量の細胞懸濁を、血球計数器による細胞カウントおよびトリパンブルーを使用する生存率試験または他の適切な生存率試験法を含む分析のために取り出す。約30mlの懸濁をヒストパック(シグマ−アルドリッチ社)または他の適切な培地として入手可能な密度勾配溶液上に重層し、ブレーキなしで約30分間約420gで遠心分離する。バフィーコートを破壊しないように、チューブを遠心分離機から取り出す。上清は吸引し、バフィーコートを収集する。バフィーコートをチャン完全培地により約20mlまでにし、約7分間約840gで洗浄する。上清を吸引し、沈殿をチャン完全培地中で約10mlまでにして懸濁するが、約20mlもしくは約30mlまでにすることも、または約10ml未満でさえもすることができる。例えば約100ulなどの懸濁の小分けを、細胞カウントおよび生存率分析を実行するために取り出す。
【0168】
凍結保存した細胞の培養
細胞は、約48時間の継代期間で、1cm2あたり約2000細胞でプレーティングできる。細胞がより高い濃度で使用される場合、継代は約24時間の間隔で行なうことができる。組織培養用の処理をしていないT75フラスコを、約15mlの完全培地中で約150,000細胞をプレーティングするのに使用できる。約80%でサブコンフルエントになるまで、プレーティングした細胞を5%CO2インキュベーター中でインキュベートできる。
【0169】
細胞は多数の継代を行なうことができる。細胞をフラスコから解離する準備ができている場合、培地をフラスコから吸引できる。次にフラスコを、約5mlのカルシウムまたはマグネシウム不含有のリン酸塩緩衝液(PBS)によりリンスすることができる。次に接着細胞を1回洗浄した後に、PBSを除去することができる。約2mlのトリプシン様酵素または他の適切な酵素的溶液を、約37℃であらかじめ暖めて、T75フラスコに追加した(T25フラスコあたり1ml)。フラスコを撹拌して、酵素様溶液で細胞を覆うことができる。酵素様溶液を入れたフラスコはインキュベーター中で約37℃で約5分間インキュベートできる。インキュベーション後に、フラスコを固体表面の上でタッピングして、細胞を外すことができる。フラスコの内容物を約2mlの完全培地により希釈して、リンスし、反応を停止することができる。細胞を約2ml〜約5mlのDPBSにより洗浄し、洗浄のための50mlの遠心分離チューブに移すことができる。チューブは約5分間約120gで遠心分離できる。上清は遠心分離後に廃棄でき、採取した細胞をチャン完全培地中に懸濁できる。約7mlの細胞懸濁をT25フラスコ中での培養のために、および約15mlをT75フラスコのために使用することができる。
【0170】
細胞培養のためのチャン完全培地は約325mlのMEMアルファ培地(ギブコ社#12571−063)、約90mlのチャンB(基本培地)(18%v/v)(アーバイン・サイエンティフィック社、C110)、約10mlのチャンC(2%v/v)(アーバイン・サイエンティフィック社、サプリメントC106)、約5mlのペニシリン/ストレプトマイシン(10,000単位/mlペニシリンGナトリウムおよび10,000ug/ml硫酸ストレプトマイシン(ギブコ社#15140−122))、約5mlのL−グルタミン200mM(100×)(ギブコ社、#25030−081)および約75mlのESウシ胎仔血清(15%v/v)(ギブコ社#10439−024)を含む。
【0171】
解凍および培養方法の他の実施形態。
細胞を液体窒素の蒸気から取り出した後に、細胞を完全に解凍させずに、クリオバイアルを37℃水浴中で撹拌する。部分的に解凍した細胞をDNAse含有冷却したチャン培地に移し、転倒によって穏やかに混合できる。各5mlの細胞懸濁のために、約25mlの冷却したチャンの培地を使用できる。100mlの冷却したチャンの培地に対して約10滴のDNAseをチャン培地に追加できる。細胞懸濁は約5分間約120gで遠心分離できる。上清は吸引でき、細胞を以前に説明した抗生物質培地中に置くことができる。約37℃での少なくとも約12時間のインキュベーション後に、チャン完全培地を使用して細胞を洗浄できる。
【0172】
次に洗浄した細胞を細胞培養のために播種できる。1つの実施形態において、解凍した細胞は、1cm2あたり約40,000細胞、またはT−25あたり100万細胞でプレーティングできる。細胞は、48時間の継代期間で、1cm2あたり2000細胞でプレーティングできる。より多くの細胞をプレーティングする場合、継代は約24時間の間隔内で行なうことができる。組織培養用の処理をしていないT75フラスコを、約15mlの完全培地中で約150,000細胞をプレーティングするのに使用できる。80%でサブコンフルエントになるまで、細胞を5%CO2インキュベーター中でインキュベートできる。細胞をフラスコから解離する準備ができている場合、培地をフラスコから吸引できる。次にフラスコを、約5mlのカルシウムまたはマグネシウム不含有リン酸塩緩衝液によりリンスすることができる。接着細胞を少なくとも1回洗浄した後に、PBSを除去することができる。約2mlのトリプシン様酵素を、約37℃であらかじめ暖めて、T75フラスコに追加し(T25フラスコについては1ml)、フラスコを撹拌して、酵素で細胞を覆うことができる。酵素を入れたフラスコはインキュベーター中で約37℃で約5分間インキュベートできる。インキュベーション後に、フラスコを固体表面の上で穏やかにタッピングして、細胞を外すことができる。フラスコの内容物を約2mlの完全培地により希釈して、リンスし、反応を停止することができる。細胞を約2ml〜約5mlのDPBSにより洗浄し、洗浄のために50mlの遠心分離チューブに再懸濁した細胞を移す。チューブは約5分間約120gで遠心分離できる。上清は遠心分離後に廃棄でき、採取した細胞をチャン完全培地中に懸濁し、次の継代のために使用できる。約7mlをT25フラスコのために、および約15mlをT75フラスコのために使用することができる。
【0173】
他の細胞培養方法
懸濁中の細胞は、チャン完全培地、DMEM完全培地(高グルコースまたは低グルコース含有)または他の適切な培地中に、無処理の培養フラスコの中へ1cm2あたり約40,000細胞で播種できる。フラスコは、約37℃の温度で、CO2インキュベーター(サーモ・エレクトロン社またはバイオサイエンス・テクノロジーズ(Bioscience Technologies)社)、または他の適切なインキュベーターシステム中で約5%CO2でインキュベートできる。細胞培養は濁度およびpH変化についてモニタリングされる。pHが高い場合、培地の約50%を交換すべきである。
【0174】
フラスコは、最初に約7日間、または培地が培地中のフェノールレッド指示薬の色によって示されるように著しく範囲外になるまで、インキュベートする。約7日後にpHが安定したままである場合、培地は、新鮮培地(本明細書において「処女培地」とも呼ばれる)と必要に応じて交換する。培地はほとんどすべて交換する。7日目での培地交換後に、細胞は8日目〜21日目までにコンフルエントになりうる。いったん約70〜80%のコンフルエンスに達すると、細胞は継代培養できる。細胞培養は、本発明に従って細胞選択を実行するのに十分な細胞を提供するために、トリプLE(商標)エクスプレス(ギブコ社)のようなトリプシン様酵素または他の適切な酵素を使用して継代培養する。例えば細胞選択は、約1000万の細胞により行なうことができる。細胞選択は、約1000万以上のまたはそれ未満の細胞により行なうこともまたできる。
【0175】
本発明に従って、細胞は適切な時期の細胞培養から収集できる。細胞を収集するために、接着細胞はフラスコから解離するべきである。フラスコから細胞を解離するために、培地は自動ピペットを介して吸引する。次にフラスコを、約5mlのカルシウムまたはマグネシウム不含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)によりリンスする。次に接着細胞を少なくとも1回洗浄してPBSをフラスコから除去する。トリプLE(商標)エクスプレス (または他の適切な酵素)(ギブコ)のような約1mlのトリプシン様組換え酵素を、好ましくは約37℃であらかじめ暖めて、フラスコ中の細胞培養に追加するべきである。フラスコを撹拌して、酵素で細胞を覆う。酵素の入ったフラスコを約37℃で約5分間インキュベートすべきである。インキュベーション後に、フラスコを固体表面に穏やかにタッピングして、細胞を外すべきである。フラスコを約2mlのチャン完全培地で希釈するべきであり、細胞をチャン完全培地、DMEM完全培地(高グルコースまたは低グルコース含有)または他の適切な培地による洗浄のために15mlの遠心分離チューブに移す。チューブは約100gで約7分間遠心分離すべきである。上清を吸引し廃棄する。沈殿を、チャン完全培地、DMEM完全培地(高グルコースまたは低グルコース含有)または他の適切な培地の適切な体積中に懸濁する。
【0176】
この時点で、細胞は本発明の細胞選択の方法論に従って細胞培養から選択できる。一旦選択されたならば、細胞はペトリ皿上にプレーティングするか、培養フラスコの中へ播種するか、または本発明に従って凍結保存できる。
【0177】
細胞は、チャン完全培地(約15%FBS)を使用して、9cm2ペトリ皿中にプレーティングできる。あるいは、細胞は通気口付きキャップを備えた培養フラスコ中に置くことができる。培地のpHが高くなる場合、細胞をチャン完全培地により洗浄することができる。適切な増殖後に必要な場合は、細胞はトリプシン様酵素を使用して、ペトリ皿または培養フラスコから解離でき。次にチャン完全培地を使用して無処理の培養フラスコ中に置いた。適切な増殖後、細胞はトリプLE(商標)エクスプレス(ギブコ)のようなトリプシン様酵素を使用して解離でき、次に新鮮な無処理の培養フラスコ中に播種した。このプロセスは所望される細胞増殖を維持するために繰り返すことができる。細胞は新鮮培地により洗浄できるか、または培地のpHが高い場合、培地の約50%もしくは他の適切な量を新鮮な培地と置換することができる。この時点で、本発明の細胞選択の方法論に従って、細胞を細胞培養から選択できる。選択された細胞は、ペトリ皿上にプレーティングするか、培養フラスコの中へ播種するか、または本発明に従って凍結保存することができる。
【0178】
本発明の実行の全体にわたって、連邦施行規則集中の、米国食品医薬品局によって制定された最新の医薬品最適製造基準(cGMP)規格および最新の優良組織実施基準(Good Tissue Practices)(cGTP)に従う。
【0179】
本発明のプロセス、方法およびシステムの前述の工程は、あるいは、図2〜28によって図示されるように具体化できる。
【0180】
M2−01細胞
実施例において、本発明の実行に従って、月経血幹細胞を収集した。特に、M2−01として本明細書において呼ばれて参照される約0.4mlの月経流出物サンプルは、月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。約0.4mlの月経流出物サンプルを、収集器具から収集チューブ中の約10mlの収集培地へと注いだ。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有DPBS(メディアテック社)、DPBS1ミリリットルあたり約100単位のペニシリン、DPBS1ミリリットルあたり約100マイクログラムのストレプトマイシン、およびDPBS1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、収集容器中で氷の上にパックし、発送して処理施設へ輸送した。
【0181】
月経流出物サンプルは、収集後約24時間以内に処理施設に到着した。抗生物質含有収集培地中に約10.0mlの月経流出物サンプルを含む収集容器を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、好気性微生物および嫌気性微生物について陰性であった。
【0182】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlのDPBS中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、細胞カウント、フロー分析および生存率によって解析した。血球計数器を使用して実行された全細胞カウントは、約750万細胞が処理後サンプル中に収集されることを示した。フローサイトメトリー分析はFC500フローサイトメーターを使用して本発明の方法に従って実行して、処理後サンプル中の月経血幹細胞上に存在する特定の細胞表面マーカーを同定した。図29a〜29jにおいて示されるように、この結果は、細胞集団の約0.4%の濃度でCD117+細胞が収集されたことを示す。さらに、この結果は細胞集団の約58%の濃度でCD45陰性細胞が収集されることを示した。この結果は、細胞集団の約17%の濃度でCD44+細胞が収集され、細胞集団の約3%の濃度でCD166+細胞が収集され、細胞集団の約8.0%の濃度でCD105+細胞が収集され、細胞集団の約6.8%の濃度でCD90+細胞が収集され、細胞集団の約0.1%の濃度でCD29+細胞が収集されることを示し、この結果は、細胞集団の約0.1%の濃度でCD34+細胞が収集されることを示した。フローサイトメトリー分析は7AADもまた使用して実行し、細胞生存率を評価した。この結果は、月経血幹細胞の約95%が生存していることを示す。
【0183】
残りの細胞懸濁を、本発明の方法に従って培養した。特に、細胞懸濁の一部を、1.083g/mlの15mlの密度勾配溶液(ヒストパック、シグマ−アルドリッチ社)上に重層した。細胞懸濁を、ブレーキなしで約30分間約420gで遠心分離した。上清を吸引し、バフィーコートを取り出し、チューブ中に置いた。チャン完全培地をバフィーコートへ追加して、全体積を約30mlまでにした。溶液を約7分間約840gで2回洗浄した。第2の洗浄に対する遠心分離後に、上清は沈殿を残して取り出し、約15mlのチャン完全培地をチューブに追加して沈殿を懸濁した。約100uLの懸濁を取り出して、血球計数器による細胞カウント分析およびトリパンブルーを使用する生存率分析を実行する。
【0184】
1日目に、約100万細胞を、無処理のT25培養フラスコの中へ1cm2あたり約40,000細胞でチャン培地中に播種した。フラスコは約37℃の温度で約5%CO2中でインキュベートした。8日目に、細胞は1回目の継代を行い、培地を交換した。
【0185】
この開示の全体にわたって使用されるように、継代は一般的に自動ピペットによる培地の吸引によってフラスコから細胞を解離することを含んでいた。フラスコを、約5mlのカルシウムまたはマグネシウム不含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)によりリンスした。次に付着した細胞が入ったフラスコをいったん洗浄した後、PBSを除去した。約37℃であらかじめ暖めた約1mlのトリプシン様酵素(トリプLE(商標)エクスプレス−ギブコ社)をフラスコへ追加し、フラスコを撹拌して酵素で細胞を覆った。酵素を入れたフラスコはインキュベーター中で約37℃で約5分間インキュベートした。インキュベーション後に、フラスコを固体表面の上で穏やかにタッピングして、細胞を外した。フラスコの内容物を約2mlの完全培地により希釈して、細胞を洗浄のために15mlの遠心分離チューブへ移した。チューブを約100gで約7分間遠心分離した。上清を遠心分離後に廃棄し、採取した細胞をチャン完全培地中で懸濁し、少なくとも1つの新しいT25またはT75の無処理の細胞培養フラスコの中へ置いた。
【0186】
細胞培養の追加の継代を、10、14、19、21、24、26、29、32および35日目に行なった。8日目に、約165,000細胞を採取し、本発明の培養方法に従って、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。10日目に、約270,000細胞を採取し、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。14日目に、約840,000細胞を採取し、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。19日目に、約220万細胞を採取し、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。21日目に、約500万細胞を採取し、そのうちの約350万細胞を細胞表現型のために使用した。24日目に、約300万細胞を採取し、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。26日目に、約490万細胞を採取し、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。29日目に、約1480万細胞を採取し、約1110万細胞をCD117発現細胞のポジティブ選択のために使用し、約350万細胞を表現型分析のために使用するように、無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種し、約200,000細胞を培養用に播種した。32日目に、約130万を採取し、そのうちの約100万細胞をフローの表現型のために使用し、約300,000細胞を無処理の組織培養フラスコ中のチャン培地中に播種した。
【0187】
29日目に、およびあらかじめ検討されたように、培養から採取された細胞は、本明細書において記述されるような本発明の選択の方法論に従って、CD117選択を行なった。CD117幹細胞選択の前に、各細胞培養の小分けを、表Cにおいて示される結果の分析のために取り出す。
【0188】
特に、採取した細胞をマウス抗ヒトCD−117抗体により標識した。約1000万の採取した細胞を遠心分離し、上清を吸引した。沈殿を、約5ugの製品104D2(サンタクルズ社)の精製されたマウス抗ヒトCD117モノクローナル抗体(IgG1)を含む約100ulのワーキングバッファー中に懸濁した。BDバイオサイエンス社を介して入手可能なワーキングバッファーは、pH約7.2のPBS、ウシ血清アルブミン、EDTAおよび約0.09%アジ化物を含む。細胞および抗体を含む溶液を、氷上に約20分〜約25分間インキュベートした。細胞をワーキングバッファーにより洗浄して未結合抗体を除去し、細胞および抗体を含む溶液を約10分間約300gで遠心分離した。遠心分離後に、上清を吸引して廃棄し、沈殿を約80ulのワーキングバッファー中に懸濁した。
【0189】
CD117幹細胞−抗体複合体を、マウスIgGの重鎖および/または軽鎖に結合可能なヤギ抗マウス抗体により標識した。磁石のマイクロビーズがヤギ抗マウス抗体に付着されている。ヤギ抗マウスIgG抗体をワーキングバッファー中で懸濁された沈殿に追加し、約30分〜約35分間氷上でインキュベートした。インキュベーション後に、細胞を約2mlのワーキングバッファーにより洗浄し、約10分間約300gで遠心分離した。上清を吸引し、最終的な細胞を約500ulのワーキングバッファー中に懸濁した。
【0190】
ワーキングバッファーを含む、採取された幹細胞および溶液を含む細胞懸濁を、実験の全体にわたって冷たく保ち、細胞の非特異的標識を防止した。
【0191】
MSカラム(ミルテニー・バイオテク社)を、カラムを通して約500ulのワーキングバッファーでリンスすることによって調製した。ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なミニマックスをCD117幹細胞選択のために使用した。ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なマックスセパレーターの磁石体中にカラムを置いた。細胞懸濁をピペットを介してカラムに追加した。未標識細胞およびワーキング溶液はカラムを通して流し、表現型決定および細胞カウント分析のために滅菌済みチューブ中に収集した。収集された流出物を有するチューブを、CD117陰性細胞画分として標識した。カラムは、細胞懸濁の追加後に、ワーキングバッファーにより3時間洗浄した。陽性画分がカラムを通って、滅菌済みチューブの中へと通過できるように、カラムを磁石体から取り出して、滅菌済みチューブをカラム下に置いた。約1mlのワーキングバッファーをカラムに追加し、プランジャーをカラムを通して押し出して細胞の陽性画分を放出した。収集された流出物を有するチューブを、CD117陽性細胞画分として標識した。
【0192】
陽性画分および陰性画分を血球計数器により解析して、生存細胞の総数を得た。陰性画分をフローサイトメトリーによって解析した。M2−01細胞を、処理および培養の全体にわたる様々な工程で解析し、図30a〜30e中に結果を示して、以下の表Cに要約した。
【0193】
【表3】

【0194】
M2−02C細胞
他の実施例において、本発明の実行に従って、月経血幹細胞を収集した。特に、M2−02Cとして本明細書において呼ばれて参照される約1.0ml未満の月経流出物サンプルは、月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。月経流出物サンプルを、収集器具から収集チューブ中の約10mlの収集培地へと注いだ。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有DPBS(メディアテック社)、DPBS培地1ミリリットルあたり約100単位のペニシリン、DPBS培地1ミリリットルあたり約100マイクログラムのストレプトマイシン、およびDPBS培地1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、収集容器中で氷の上にパックし、発送して処理施設に輸送した。
【0195】
月経流出物サンプルは、収集後に約24時間未満以内に処理施設に到着した。約10.0mlの月経流出物サンプルおよび抗生物質含有収集培地を含む収集容器を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、好気性微生物および嫌気性微生物について陰性であった。
【0196】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlの緩衝生理食塩水中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、フローサイトメトリー分析によって解析して、細胞カウント、フロー分析および生存率を得た。
【0197】
処理サンプルの全細胞カウントを血球計数器を使用して実行した。約1970万細胞が処理サンプル中に収集された。フローサイトメトリー分析はFC500フローサイトメーターを使用して実行して、細胞表面マーカーを同定した。図31a〜31iiiにおいて示されるように、この結果は、細胞集団の約0.2%の濃度でCD117+細胞が収集されることを示した。さらに、この結果は細胞集団の約97%の濃度でCD45陰性細胞が収集されることを示した。この結果は、細胞集団の約1%の濃度でCD44+細胞が収集され、細胞集団の約0.1%の濃度でCD166+細胞が収集され、細胞集団の約1%の濃度でCD105+細胞が収集され、細胞集団の約0.4%の濃度でCD90+細胞が収集され、細胞集団の約0.5%の濃度でCD29+細胞が収集されることを示し、この結果は、細胞集団の約0%の濃度でCD34+細胞が収集されることを示した。この結果は、7AADによって決定されるように、収集された細胞の約99%が生存していることもまた示す。
【0198】
細胞浮遊液はすべて1本の50mlの収集用のコニカルチューブに移し、洗浄溶液を使用して、細胞懸濁の体積を約31mlの全体積までにした。30mlの細胞懸濁の約半分を密度勾配遠心分離によって凝縮した。細胞を、密度勾配遠心分離および体積減少、凝縮ならびに洗浄を含む方法によって処理した。細胞懸濁を約30mlまでにし、約15mlのリンパ球分離培地(約20℃で密度1.077〜1.080g/ml−セルグロー)の密度勾配を下に置いた。細胞懸濁および密度勾配を、約20℃の温度でブレーキなしで約30分間約14,000rpmで遠心分離した。バフィーコート層が形成され、月経血幹細胞集団を含んでいた。バフィーコート層の上の上清を吸引して廃棄した。バフィーコート層を、若干の洗浄溶液および可能な限り少ない体積の密度勾配と共に取り出した。残りの密度勾配および赤血球を含む沈殿を廃棄した。
【0199】
バフィーコート層を50mlの収集用のコニカルチューブ中に置き、体積を洗浄溶液により約30mlまでにした。細胞懸濁を、約20℃の室温で約7分間約2000rpmで遠心分離した。遠心分離後に、コニカル収集チューブの上部近くの約1mlの上清を取り出し、BacT/ALERT血液培養ボトルを使用して接種した。血液培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、上清および細胞懸濁が任意の好気性微生物または嫌気性微生物を含まないことを示す。残りの上清は、月経血幹細胞を含む沈殿を注意深く残しながら吸引した。
【0200】
約100万細胞を、無処理のT25培養フラスコの中へ1cm2あたり約40,000細胞で15%のチャン完全培地中に播種した。フラスコは37℃の温度で約5%CO2中でインキュベートした。6日目の継代1で細胞は約80,000、11日目に324,000細胞、17日目に600,000細胞、9日目に290万(230万は細胞表現型のために提供された)、22日目に120万、24日目に260万、29日目に2680万細胞(細胞表現型のために350万、CD117選択のために1000万、1億3100万を凍結保存、200,000細胞を培養のために播種)で採取した。細胞および培地の小分けを、表現型決定および有効性評価のために細胞培養の全体にわたって収集した。表現型決定および有効性評価は、すべての細胞株に関するすべての細胞培養実験について、本明細書において記述された方法に従って実行した。細胞培養の間の細胞カウントは、すべての細胞株に関して血球計数器を使用して実行した。評価から集めたデーターは、細胞株M2−02Cは、CD117、CD166、CD105、CD29、CD90およびCD44について最初は陽性であり、およびCD45について陰性であり、高生存率のパーセンテージであることを示した。
【0201】
【表4−1】

【表4−2】

【0202】
継代4で培養されたM2−02Cについてのフローサイトメトリー分析の結果を、図32a〜32iii中に提供する。培養したサンプルは、本発明に従って播種した約100万の細胞を含む。この結果は、継代4では細胞集団の約0.0%の濃度でCD117+細胞が収集されることを示した。さらに、この結果は細胞集団の約82%の濃度でCD45−細胞が収集されることを示した。この結果は、細胞集団の約93%の濃度でCD44+細胞が収集されることを示した。この結果は、7AADによって決定されるように、収集された細胞の約99%が生存していることもまた示した。この結果は、M2−02Cの継代8では、細胞集団の約14%の濃度でCD117+細胞が収集されることを示した。さらに、この結果は細胞集団の約84%の濃度でCD45−細胞が収集されることを示した。この結果は、細胞集団の約93.3%の濃度でCD44+細胞が収集され、細胞集団の約93%の濃度でCD166+細胞が収集され、細胞集団の約90%の濃度でCD105+細胞が収集され、細胞集団の約87%の濃度でCD90+細胞が収集され、細胞集団の約85%の濃度でCD29+細胞が収集されることを示し、結この果は、細胞集団の約0.2%の濃度でCD34+細胞が収集されることを示した。この結果は、7AADによって決定されるように、収集された細胞の約97%が生存していることもまた示す。
【0203】
細胞培養中の細胞は本発明の方法論に従い、本明細書において記述されるように、継代4でCD117幹細胞選択を行なった。採取した細胞を、マウス抗ヒトCD−117抗体により標識した。約1000万の採取した細胞を遠心分離し、上清を吸引した。沈殿を、約5ugの製品104D2(サンタクルズ社)の精製されたマウス抗ヒトCD117モノクローナル抗体(IgG1)を含む約100ulのワーキングバッファー中に懸濁した。BDバイオサイエンス社を介して入手可能なワーキングバッファーは、pH約7.2のPBS、ウシ血清アルブミン、EDTAおよび約0.09%アジ化物を含む。細胞および抗体を含む溶液を、氷上に約20分〜約25分間インキュベートした。細胞をワーキングバッファーにより洗浄して未結合抗体を除去し、細胞および抗体を含む溶液を約10分間約300gで遠心分離した。遠心分離後に、上清を吸引して廃棄し、沈殿を約80ulのワーキングバッファー中に懸濁した。
【0204】
CD117幹細胞−抗体複合体を、マウスIgGの重鎖および/または軽鎖に結合可能なヤギ抗マウス抗体により標識した。磁石のマイクロビーズがヤギ抗マウス抗体に付着されている。ヤギ抗マウスIgG抗体を追加し、約30分〜約35分間氷上でインキュベートした。インキュベーション後に、細胞を約2mlのワーキングバッファーにより洗浄し、約10分間約300gで遠心分離した。上清を吸引し、最終的な細胞を約500ulのワーキングバッファー中に懸濁した。
【0205】
ワーキングバッファーを含む、採取された幹細胞および溶液を含む細胞懸濁を、実験の全体にわたって冷たく保ち、細胞の非特異的標識を防止した。
【0206】
MSカラム(ミルテニー・バイオテク社)を、カラムを通して約500ulのワーキングバッファーでリンスすることによって調製した。ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なミニマックスをCD117幹細胞選択のために使用した。ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なマックスセパレーターの磁石体中にカラムを置いた。細胞懸濁をピペットを介してカラムに追加した。未標識細胞およびワーキング溶液はカラムを通して流し、表現型決定および細胞カウント分析のために滅菌済みチューブ中に収集した。収集された流出物を有するチューブを、CD117陰性細胞画分として標識した。カラムは、細胞懸濁の追加後に、ワーキングバッファーにより3時間洗浄した。陽性画分がカラムを通って、滅菌済みチューブの中へと通過できるように、カラムを磁石体から取り出して、滅菌済みチューブをカラム下に置いた。収集された流出物を有するチューブを、CD117陽性細胞画分として標識した。
【0207】
陽性画分および陰性画分を、密度勾配、CD117選択および後続する培養による他の処理の全体にわたる様々な工程で、血球計数器およびフローサイトメトリーにより解析し、表D中に陽性画分および陰性画分ならびに以下の表E中に陽性画分について、一般的に結果を示した。
【0208】
M2−03E細胞
なお他の実施例において、本発明の実行に従って、月経血幹細胞を収集した。特に、M2−03Eとして本明細書において呼ばれて参照される月経流出物のサンプルは、月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。月経流出物サンプルを、収集器具から収集チューブ中の約10mlの収集培地へと注いだ。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有DPBS(メディアテック社)、DPBS培地1ミリリットルあたり約100単位のペニシリン、DPBS培地1ミリリットルあたり約100マイクログラムのストレプトマイシン、およびDPBS培地1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、収集容器中で氷の上にパックし、発送して処理施設に輸送した。
【0209】
月経流出物サンプルは、収集後約24時間未満以内に処理施設に到着した。約10.0mlの月経流出物サンプルおよび抗生物質含有収集培地を含む収集容器を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、好気性微生物および嫌気性微生物について陰性であった。
【0210】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlの緩衝生理食塩水中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、フローサイトメトリー分析によって解析して、細胞カウント、フロー分析および生存率を得た。
【0211】
処理サンプルの全細胞カウントは血球計数器を使用して実行した。結果は、約520万細胞が本発明に従う処理後サンプル中に収集されることを示した。フローサイトメトリー分析はFC500フローサイトメーターで実行した。この結果は、細胞集団の約0.5%の濃度でCD117+細胞が収集されることを示した。さらに、この結果は細胞集団の約88.4%の濃度でCD45陰性細胞が収集されることを示した。この結果は、細胞集団の約2.1%の濃度でCD44+細胞が収集されることを示した。この結果は、7AADによって決定されるように、収集された細胞の約97.0%が生存していることもまた示した。
【0212】
約400万細胞を、0日目に、無処理のT75培養フラスコの中へ1cm2あたり約40,000細胞でチャン培地中に播種した。フラスコは約37℃温度で約5%CO2中でインキュベートした。継代1の10日目に培地を交換した。追加の継代を、14、16、19、22および26日目に行なった。継代5の26日目に、本発明の選択方法に従って、CD117選択のために細胞を採取した。
【0213】
採取した細胞を、マウス抗ヒトCD−117抗体により標識した。約1000万の採取した細胞を遠心分離し、上清を吸引した。沈殿を、約5ugの製品104D2(サンタクルズ社)の精製されたマウス抗ヒトCD117モノクローナル抗体(IgG1)を含む約100ulのワーキングバッファー中に懸濁した。BDバイオサイエンス社を介して入手可能なワーキングバッファーは、pH約7.2のPBS、ウシ血清アルブミン、EDTAおよび約0.09%アジ化物を含む。細胞および抗体を含む溶液は、氷上に約20分間インキュベートした。細胞をワーキングバッファーにより洗浄して未結合抗体を除去し、細胞および抗体を含む溶液を約10分間約300gで遠心分離した。遠心分離後に、上清を吸引して廃棄し、沈殿を約80ulワーキングバッファーの中に懸濁した。
【0214】
CD117幹細胞−抗体複合体を、マウスIgGの重鎖および/または軽鎖に結合可能なヤギ抗マウス抗体により標識した。磁石のマイクロビーズがヤギ抗マウス抗体に付着されている。ヤギ抗マウスIgG抗体を追加し、約30分間氷上でインキュベートした。インキュベーション後に、細胞を約2mlのワーキングバッファーにより洗浄し、約10分間約300gで遠心分離した。上清を吸引し、最終的な細胞を約500ulのワーキングバッファー中に懸濁した。
【0215】
ワーキングバッファーを含む、採取された幹細胞および溶液を含む細胞懸濁を、実験の全体にわたって冷たく保ち、細胞の非特異的標識を防止した。
【0216】
MSカラム(ミルテニー・バイオテク社)を、カラムを通して約500ulのワーキングバッファーでリンスすることによって調製した。ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なミニマックスをCD117幹細胞選択のために使用した。ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なマックスセパレーターの磁石体中にカラムを置いた。細胞懸濁をピペットを介してカラムに追加した。未標識細胞およびワーキング溶液はカラムを通して流し、表現型決定および細胞カウント分析のために滅菌済みチューブ中に収集した。収集された流出物を有するチューブを、CD117陰性細胞画分として標識した。カラムは、細胞懸濁の追加後に、ワーキングバッファーにより3時間洗浄した。陽性画分がカラムを通って、滅菌済みチューブの中へと通過できるように、カラムを磁石体から取り出して、滅菌済みチューブをカラム下に置いた。約1mlのワーキングバッファーをカラムに追加し、プランジャーをカラムを通して押し出して細胞の陽性画分を放出した。収集された流出物を有するチューブを、CD117陽性細胞画分として標識した。
【0217】
陽性画分および陰性画分を血球計数器により解析して、生存細胞の総数を得た。
【0218】
陽性画分をチャン培地中で培養した。約9000億細胞を、0日目に、4−T25無処理の培養フラスコの中へ1cm2あたり約3,000細胞でチャン培地中に播種した。フラスコは約37℃温度で約5%CO2中にインキュベートした。3日目に、細胞は1回目の継代を行い、培地を交換した。追加の継代を、3、6および8日目に行なった。継代3の8日目に、約2400万細胞を採取し、本発明の凍結保存方法に従って約2050万細胞を凍結保存した。CD117陽性で選択された残りの細胞は培養へと播種して、さらに幾つかの継代を行なった。陽性の選択された細胞培養の継代5で、細胞は表Eでリストされるような細胞表面マーカーを示した。
【0219】
【表5】

【0220】
凍結保存した細胞を後に解凍し、R. Gonzalez et al.、ヒト妊娠第2期MSCの多能性マーカー発現および分化(Pluripotent marker expression and differentiation of human second trimester MSC)、Biochem. Biophys, Res. Commun. (2007)において記載された、細胞培養、フローサイトメトリー方法、核型分析、分化方法ならびにRNA抽出およびRT−PCR方法に従って解析した。
【0221】
凍結保存した細胞を解凍し、Gonzalezの培養技術に従って1回の継代のために培養した。細胞は、第1の継代でフローサイトメトリー方法、核型方法およびGonzalezの分化方法によって解析した。図33において示されるようなフローサイトメトリー結果は、細胞がCD117およびSSEA−4について陽性であることを示し、特に図34において示されるように、およびCD44、CD105、CD166、CD90、CD49f、MHC I、CD29およびCD9もまた陽性であり、単離された細胞上で共局在を示した。細胞はCXCR4についてもまた陽性であった。細胞は、CD38、CD133、CD45、CD34、MHC IIおよびLINについて陰性であった。図35aにおいて示されるように、細胞は培養中に約24〜約36時間の割合で倍化した。さらに図35bにおいて示されるように、最初の細胞培養は50,000細胞で始まり、培養26日目までに48,000,000に増殖した。図35bにおいてもまた示されるように、RT−PCR分析は、細胞が継代12でSOX−2またはNanogは発現せず、多能性マーカーOct−4を発現することを示した。
【0222】
Gonzalezの方法に従う核型分析は、細胞が見かけ上正常な女性核型であり、染色体異常のない状態で維持された二倍体細胞であることを示した。図39において示されるように、細胞は継代12で50%以上のテロメラーゼ活性を示す。
【0223】
RT−PCR結果を図35bにおいて示し、細胞は少なくとも多能性マーカーOct−4を発現することを示す。
【0224】
Gonzalezの方法に従う分化分析の結果は、細胞が神経細胞系譜、心臓形成系譜、軟骨形成系譜、骨形成系譜および脂肪細胞形成系譜へと分化する能力を有することを示す。
【0225】
神経細胞系譜分化のためのGonzalezの方法の結果に従って、図36において示されるように、細胞は、希突起神経膠細胞によって発現されるマーカーのO4およびGalCを発現して、神経組織へと分化する能力を示した。図36において示されるように、神経細胞誘導した細胞は、神経細胞および神経前駆細胞によって発現されるTub3、Map2およびビメンチンもまた発現した。4日間FDFを含む培地中で、続いて約7日間FGF、PDGFおよびEGFを追加して培養し、次に5日間EGFを除いてFGFおよびPDGFが存在する中で培養した場合、図36において示されるように、細胞は、O4およびGalC、神経マーカーのMap−2、ビメンチンならびに星状細胞マーカーのGFAPを発現した。RT−PCRは、細胞がRNAレベルで、ネスチン、NCAMおよびNurr−1を含む神経マーカーを発現することを示す。RT−PCRデーターは、45〜50%の割合で細胞が複数の神経細胞表現型への分化の可能性を有することを示す。
【0226】
心臓形成系譜分化のためのGonzalez方法の結果に従って、細胞は、心臓形成系譜へと分化する能力を示した。図37においてもまた示されるように、心臓誘導した細胞は心臓細胞において発現されるアクチンおよびトロポニンを発現した。
【0227】
軟骨形成系譜分化のためのGonzalezの方法の結果に従って、図38cおよび38dにおいて示されるように、細胞は軟骨形成系譜へと分化する能力を示した。軟骨形成分化した細胞は、軟骨形成組織タイプによって発現される硫酸化プロテオグリカン類について、アルシアンブルーにより陽性に染色された。
【0228】
脂肪細胞形成系譜分化のためのGonzalezの方法の結果に従って、図38eおよび38fにおいて示されるように、細胞は脂肪細胞形成系譜へと分化する能力を示した。特に図38fにおいてもまた示されるように、脂肪細胞形成分化した細胞は、脂肪細胞形成組織によって発現される脂肪空胞について、オイルレッドOにより陽性に染色された。
【0229】
骨形成系譜分化のためのGonzalezの方法の結果に従って、図38aおよび38bにおいて示されるように、細胞は造骨組織に典型的なカルシウム沈着について、アリザリンレッドSによる低染色を示した。
【0230】
心臓系譜分化のためのGonzalez方法の結果に従って、図37において示されるように、細胞は心臓系譜へと分化する能力を示した。図37において示されるように、細胞は、8uMアザまたは800uMのSNAPのいずれかを使用する細胞の分化後に、心臓マーカーのアクチン、トロポニンおよびコネキシン43について陽性に染色された。RT−PCRデーターは、細胞が細胞凝集体をともなって過剰に増殖する場合、細胞がRNAレベルで心臓マーカーを発現することを実証する。このデーターは、約50〜約60%の割合で細胞レベルおよび分子レベルで細胞が心臓形成マーカーを発現することを示す。
【0231】
研究例
月経流出物サンプルの収集の代替方法の結果を解析する研究を実行した。この研究は、収集カップおよび抗生物質含有およびあるいは不含有の収集培地を使用する月経流出物収集方法に従って収集された月経血幹細胞の全有核細胞カウントおよび細胞生存率の決定に注目した。この研究は、月経流出物サンプルが氷上でまたはあるいは室温で輸送された場合、収集後約4時間〜約112時間の間の処理施設の到着後の月経流出物サンプルの温度にもまた注目した。収集され、研究に従って解析された全月経流出物サンプルは161あった。以下のように、全月経流出物サンプルを処理した。(a)46の月経流出物サンプルは、すべて本発明に従って、収集器具を使用して収集し、抗生物質を含む収集培地中に置き、氷上で輸送した、(b)34の月経流出物サンプルは、すべて本発明に従って、収集器具を使用して収集し、抗生物質不含有収集培地中に置き、室温で発送した、および(c)81の月経流出物サンプルは、すべて本発明に従って、収集器具を使用して収集し、抗生物質不含有収集培地中に置き、氷上で輸送した。
【0232】
処理施設への到着と同時に各サンプルを解析して、到着での温度および全月経流出物サンプル体積を評価した。血球計数器を使用する全有核細胞カウントおよびトリパンブルー排除色素による細胞生存率を、処理後に評価した。各サンプルは、全有核細胞カウントの評価および細胞生存率分析の前に、ステージ1処理ならびに任意で汚染除去プロセスおよびステージ2処理を行なった。図40において示されるように、すべてのサンプルについて評価した平均細胞カウントは約790万細胞であった。生存率の範囲は、1つのサンプルあたり約6%〜約100%であった。図41において示されるように、トリパンブルー色素排除によって決定される収集されたすべてのサンプルについての平均細胞生存率は約74%だった。月経流出物サンプルの到着時に測定された温度は、研究で解析されたすべてのサンプルについて約5.8℃〜約25℃にわたった。図42において示されるように、月経流出物サンプル到着時に測定された平均温度は約15℃であった。収集培地中の月経流出物サンプルの全体積は、約5ml〜約30mlにわたった。図43において示されるように、収集培地中の月経流出物サンプルの平均体積は約11mlであった。
【0233】
収集器具を使用して収集し、抗生物質を含む収集培地中に置き、氷上で輸送した46の月経流出物サンプルもまた評価した。月経流出物サンプルは、約6.6℃〜約16.9℃にわたる温度で処理施設に到着し、このグループについての到着に際しての平均温度は約10.5℃であった。このグループにおける月経流出物サンプルは、サンプル収集後の約4時間〜約112時間の間で処理施設に到着し、このグループについての平均時間は約47.9時間であった。収集培地中の月経流出物を含む月経流出物サンプル体積は、約5ml〜約30mlにわたり、このグループについては平均11.5mlであった。このグループについての細胞生存率は処理後サンプルで評価し、約6%〜約100%の生存率にわたり、平均約72%の生存率であった。3つのサンプルのみが50%未満の生存率であると評価された。このグループについての全有核細胞カウントは処理後サンプルで評価し、約20万細胞〜約924万細胞にわたり、平均約924万細胞であった。処理後の月経血細胞を本発明の凍結保存方法に従って凍結保存し、次に細胞生存率および全有核細胞カウントの追加の評価のための調製において解凍した。培養された解凍サンプルにおいて、トリパンブルーによって評価した細胞生存率は約60%〜約100%の範囲の生存率を示した。解凍したサンプルにおいて、全有核細胞カウントは約10万細胞〜約1300万細胞間にわたり、平均約324万細胞であった。
【0234】
収集器具を使用して収集し、抗生物質不含有収集培地中に置き、室温で輸送した34の月経流出物サンプルもまた評価した。月経流出物サンプルは、約21℃〜約25℃にわたる温度で処理施設で到着し、このグループについての到着に際しての平均温度は約22.8℃であった。このグループにおける月経流出物サンプルは、サンプル収集後の約7時間〜約94時間の間で処理施設に到着し、このグループについての平均時間は約37時間であった。収集培地中の月経流出物を含む月経流出物サンプル体積は、約7.4ml〜約17.5mlにわたり、このグループについては平均10.8mlであった。このグループについての細胞生存率は処理後サンプルで評価し、約12%〜約100%の生存率にわたり、平均約80%の生存率であった。このグループについての全有核細胞カウントは処理後サンプルで評価し、約30万細胞〜約5000万細胞にわたり、平均約1160万細胞であった。処理後の月経血細胞を本発明の凍結保存方法に従って凍結保存し、次に細胞生存率および全有核細胞カウントの追加の評価のための調製において解凍した。解凍したサンプルにおいて、トリパンブルーによって評価した細胞生存率は約37%〜約100%の範囲の生存率を示した。解凍されたサンプルにおいて、全有核細胞カウントは約10万細胞〜約590万細胞間にわたり、平均約162万細胞であった。
【0235】
収集器具を使用して収集し、抗生物質不含有収集培地中に置き、氷上で輸送した81の月経流出物サンプルもまた評価した。月経流出物サンプルは、約5.8℃〜約25.8℃にわたる温度で処理施設で到着し、このグループについての到着に際しての平均温度は約15.5℃であった。このグループにおける月経流出物サンプルは、サンプル収集後の約2.5時間〜約164時間の間で処理施設で到着し、このグループについての平均時間は約54.6時間であった。収集培地中の月経流出物を含む月経流出物サンプル体積は、約5.1ml〜約21.5mlにわたり、このグループについては平均10.8mlであった。このグループについての細胞生存率は処理後サンプルで評価し、約10%〜約100%の生存率にわたり、平均約73%の生存率であった。グループについての全有核細胞カウントは処理後サンプルで評価し、約10万細胞〜約4200万細胞にわたり、平均約584万細胞であった。処理後の月経血細胞を本発明の凍結保存方法に従って凍結保存し、次に細胞生存率および全有核細胞カウントの追加の評価のための調製において解凍した。解凍したサンプルにおいて、トリパンブルーによって評価した細胞生存率は約45%〜約100%の範囲の生存率を示した。解凍したサンプルにおいて、全有核細胞カウントは約10万細胞〜約4830万の細胞間にわたり、平均約845万細胞であった。
【0236】
月経血幹細胞クローン
月経流出物サンプルは本発明の収集方法に従って4人の異なるドナーから収集し、MSCクローンを月経流出物サンプルから生じさせた。
【0237】
月経血幹細胞クローン−M2−014−02
本発明の実行に従って、いくつかの異なる月経血幹細胞クローンを得た。特に、M2−014−02として本明細書において呼ばれて参照される約30mlの月経流出物サンプルを収集した。月経流出物および収集培地を含んだ月経流出物サンプルは月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を石鹸および水により洗浄し、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有DPBS(メディアテック社)、DPBS培地1ミリリットルあたり約100単位のペニシリン、DPBS培地1ミリリットルあたり約100マイクログラムのストレプトマイシン、およびDPBS培地1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、収集容器中で氷の上にパックし、発送して処理施設に輸送した。
【0238】
収集から約17時間後、収集培地中の約30mlの月経流出物サンプルに、月経血幹細胞を単離し収集する処理を行なった。月経流出物サンプルは約10℃で処理施設に到着した。月経流出物サンプルおよび抗生物質含有収集培地を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、好気性微生物および嫌気性微生物について陰性であった。
【0239】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlのDPBS中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、細胞カウント、フロー分析および生存率のために解析した。血球計数器を使用して実行された全細胞カウントは、約4100万細胞が処理後サンプル中に収集されることを示した。収集された細胞は、凍結保存の前に約75%の生存率を示した。
【0240】
凍結保存した月経血幹細胞を解凍し、トリプシン処理し、培養した。培養の前に、解凍後月経血幹細胞を解析した。解凍後サンプルの全細胞カウントは、約700万の月経血細胞が約66%の生存率で存在することを示した。
【0241】
培養の前に、細胞は、20%のチャン培地による2工程希釈で、1mlあたり約2.5細胞、1mlあたり約5.0細胞、1mlあたり約10.0細胞、および1mlあたり約15.0細胞に希釈する。約0.2mlの各希釈を96ウェルプレート中の84ウェルに個別に追加し、残りの12ウェルはプレートを湿らすためにDPBSで満たす。1mlあたり約2.5細胞の希釈は1ウェルあたり0.5細胞のプレートを産生する。1mlあたり約5.0細胞の希釈は1ウェルあたり1.0細胞のプレートを産生する。1mlあたり約10.0細胞は1ウェルあたり2細胞のプレートを産生する。1mlあたり約15.0細胞の希釈は1ウェルあたり3細胞のプレートを産生する。ウェルは単一細胞について倒立顕微鏡下で検査する。培地は、4日〜6日ごとに新鮮な20%のチャン培地と交換した。単一細胞を有するウェルを50%コンフルエンシーまで増殖させ、この時点で細胞をトリプシン処理し、T−25フラスコ中に20%のチャン培地により細胞を播種する。特定の細胞を本発明の方法に従う細胞培養のためにウェルから取り出した。
【0242】
細胞培養の前に、6つの月経血幹細胞クローンをプレートから収集し、各クローンを細胞表面特性について本明細書において開示された方法に従うフローサイトメトリーによって解析した。各クローンの細胞表面特性の要約を表Fにおいて示す。
【0243】
【表6】

【0244】
月経血幹細胞クローン−M2−015−03
本発明の実行に従って、いくつかの異なる月経血幹細胞クローンを得た。特に、M2−015−03として本明細書において呼ばれて参照される約30mlの月経流出物サンプルを収集した。月経流出物および収集培地を含んだ月経流出物サンプルは月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を石鹸および水により洗浄し、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有ダルベッコリン酸緩衝液生理食塩水(DPBS)(メディアテック社)、DPBS培地1ミリリットルあたり約100単位のペニシリン、DPBS培地1ミリリットルあたり約100マイクログラムのストレプトマイシン、およびDPBS培地1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、収集容器中で氷の上にパックし、発送して処理施設に輸送した。
【0245】
収集から約6時間後、収集培地中の約23mlの月経流出物サンプルに、月経血幹細胞を単離し収集する処理を行なった。月経流出物サンプルは約10℃で処理施設に到着した。月経流出物サンプルおよび抗生物質含有収集培地を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、好気性微生物および嫌気性微生物について陰性であった。
【0246】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlのDPBS中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、細胞カウント、フロー分析および生存率のために解析した。血球計数器を使用して実行された全細胞カウントは、約100万細胞が処理後サンプル中に収集されることを示した。収集された細胞は、凍結保存の前に約18%の生存率を示した。
【0247】
凍結保存した月経血幹細胞を解凍し、トリプシン処理し、培養した。培養の前に、解凍後月経血幹細胞を解析した。解凍後サンプルの全細胞カウントは、約30万の月経血細胞が約60%の生存率で存在することを示した。
【0248】
培養の前に、細胞は、20%のチャン培地により処理する2工程希釈で、1mlあたり約2.5細胞、1mlあたり約5.0細胞、1mlあたり約10.0細胞、および1mlあたり約15.0細胞に希釈する。約0.2mlの各希釈を96ウェルプレート中の84ウェルに個別に追加し、残りの12ウェルはプレートを湿らすためにDPBSで満たす。1mlあたり約2.5細胞の希釈は1ウェルあたり0.5細胞のプレートを産生する。1mlあたり約5.0細胞の希釈は1ウェルあたり1.0細胞のプレートを産生する。1mlあたり約10.0細胞は1ウェルあたり2細胞のプレートを産生する。1mlあたり約15.0細胞の希釈は1ウェルあたり3細胞のプレートを産生する。ウェルは単一細胞について倒立顕微鏡下で検査する。培地は、4〜6日ごとに新鮮な20%のチャン培地と交換した。単一細胞を有するウェルを50%コンフルエンシーまで増殖させ、この時点で細胞をトリプシン処理し、T−25フラスコ中に20%のチャン培地により細胞を播種する。特定の細胞を本発明の方法に従う細胞培養のためにウェルから取り出した。
【0249】
継代2で、2つの月経血幹細胞クローンをプレートから収集し培養した。各クローンを、細胞表面特性について本明細書において開示された方法に従うフローサイトメトリーによって解析した。各クローンの細胞表面特性の要約を表Gにおいて示す。
【0250】
【表7】

【0251】
月経血幹細胞クローン−M2−017−03
本発明の実行に従って、いくつかの異なる月経血幹細胞クローンを得た。特に、M2−015−03として本明細書において呼ばれて参照される約30ml月経流出物サンプルを収集した。月経流出物および収集培地を含んだ月経流出物サンプルは月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を石鹸および水により洗浄し、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有DPBS(メディアテック社)、およびDPBS培地1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、氷なしで発送して処理施設に輸送した。
【0252】
収集から約28時間後、収集培地中の約8mlの月経流出物サンプルに、月経血幹細胞を単離し収集する処理を行なった。月経流出物サンプルは約23℃で処理施設に到着した。月経流出物サンプルおよび抗生物質含有収集培地を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、エンテロコッカス・フェカーリス(E.faecalis)による汚染を示す。
【0253】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlのDPBS中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、細胞カウント、フロー分析および生存率のために解析した。血球計数器を使用して実行された全細胞カウントは、約80万細胞が処理後サンプル中に収集されることを示した。収集された細胞は、凍結保存の前に約87%の生存率を示した。
【0254】
凍結保存した月経血幹細胞を解凍し、トリプシン処理し、培養した。培養の前に、解凍後月経血幹細胞を解析した。解凍後サンプルの全細胞カウント、約20万の月経血細胞が約63%の生存率で存在することを示した。
【0255】
培養の前に、細胞は、20%のチャン培地による2工程希釈で、1mlあたり約2.5細胞、1mlあたり約5.0細胞、1mlあたり約10.0細胞、および1mlあたり約15.0細胞に希釈する。約0.2mlの各希釈を96ウェルプレート中の84ウェルに個別に追加し、残りの12ウェルはプレートを湿らすためにDPBSで満たす。1mlあたり約2.5細胞の希釈は1ウェルあたり0.5細胞のプレートを産生する。1mlあたり約5.0細胞の希釈は1ウェルあたり1.0細胞のプレートを産生する。1mlあたり約10.0細胞は1ウェルあたり2細胞のプレートを産生する。1mlあたり約15.0細胞の希釈は1ウェルあたり3細胞のプレートを産生する。ウェルは単一細胞について倒立顕微鏡下で検査する。培地は、4日〜6日ごとに新鮮な20%のチャン培地と交換した。単一細胞を有するウェルを50%コンフルエンシーまで増殖させ、この時点で細胞をトリプシン処理し、T−25フラスコ中に20%のチャン培地により細胞を播種する。特定の細胞を本発明の方法に従う細胞培養のためにウェルから取り出した。
【0256】
第1の継代までの培養の間に、アンフォテリシンBは培養培地にペニシリン/ストレプトマイシンと共に含まれていた。継代3では、培養における各クローンを、細胞表面特性について本明細書において開示された方法に従うフローサイトメトリーによって解析した。各クローンの細胞表面特性の要約を表Hにおいて示す。
【0257】
【表8】

【0258】
月経血幹細胞クローン−M2−54−02
本発明の実行に従って、いくつかの異なる月経血幹細胞クローンを得た。特に、M2−54−02として本明細書において呼ばれて参照される約12mlの月経流出物サンプルを収集した。月経流出物および収集培地を含んだ月経流出物サンプルは月経周期の間にドナーによって収集された。滅菌された収集器具を石鹸および水により洗浄し、月経流出物のサンプルを収集するのに十分な時間の間ドナーの膣内に置いた。収集培地は、カルシウム、マグネシウムまたはフェノールレッド不含有DPBS(メディアテック社)、およびDPBS培地1ミリリットルあたり約10単位〜約20単位の範囲の防腐剤不含有ヘパリンを含んでいた。月経流出物サンプルおよび収集培地を、収集チューブ中にシールし、収集容器中で氷の上にパックし、発送して処理施設に輸送した。
【0259】
収集から約73時間後、収集培地中の約12mlの月経流出物サンプルに、月経血幹細胞を単離し収集する処理を行なった。月経流出物サンプルは約20℃で処理施設に到着した。月経流出物サンプルおよび抗生物質含有収集培地を、処理施設への到着と同時に消毒し、クリーンルームへと移し、氷上に置いた。収集容器を約18℃の温度で約7分間約2000rpmで遠心分離し、次に消毒した。約5mlの上清のサンプルを吸引し、2本のBacT/ALERT血液培養ボトル(好気培養ボトルの中へ約4mlおよび嫌気培養ボトルの中へ約1ml)を接種のために使用した。培養ボトルを、BacT/ALERTシステムにおいて約37℃で約14日間インキュベートした。結果は、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)による汚染を示した。
【0260】
残りの上清を吸引して廃棄した。沈殿を約2mlのDPBS中に懸濁した。約1mlの細胞懸濁を処理後サンプルとして収集し、細胞カウント、フロー分析および生存率のために解析した。血球計数器を使用して実行された全細胞カウントは、約80万細胞が処理後サンプル中に収集されることを示した。収集された細胞は、凍結保存の前に約72%の生存率を示した。
【0261】
凍結保存した月経血幹細胞を解凍し、トリプシン処理し、培養した。培養の前に、解凍後月経血幹細胞を解析した。解凍後サンプルの全細胞カウントは、約2100万の月経血細胞が約92%の生存率で存在することを示した。
【0262】
培養の前に、細胞は、20%のチャン培地による2工程希釈で、1mlあたり約2.5細胞、1mlあたり約5.0細胞、1mlあたり約10.0細胞、および1mlあたり約15.0細胞に希釈する。約0.2mlの各希釈を96ウェルプレート中の84ウェルに個別に追加し、残りの12ウェルはプレートを湿らすためにDPBSで満たす。1mlあたり約2.5細胞の希釈は1ウェルあたり0.5細胞のプレートを産生する。1mlあたり約5.0細胞の希釈は1ウェルあたり1.0細胞のプレートを産生する。1mlあたり約10.0細胞は1ウェルあたり2細胞のプレートを産生する。1mlあたり約15.0細胞の希釈は1ウェルあたり3細胞のプレートを産生する。ウェルは単一細胞について倒立顕微鏡下で検査する。培地は、4〜6日ごとに新鮮な20%のチャン培地と交換した。単一細胞を有するウェルを50%コンフルエンシーまで増殖させ、この時点で細胞をトリプシン処理し、T−25フラスコ中に20%のチャン培地により細胞を播種する。特定の細胞を本発明の方法に従う細胞培養のためにウェルから取り出した。
【0263】
培養の前に、1つの月経血幹細胞クローンを培養から収集し、細胞表面特性について本明細書において開示された方法に従うフローサイトメトリーによって解析した。各クローンの細胞表面特性の要約を表Iにおいて示す。
【0264】
【表9】

【0265】
治療用使用
本発明の月経血幹細胞は、適切な細胞培地または薬学的に許容される賦形剤と共に細胞を組み合わせることによって調製されていてもよい。例えば、本発明の月経血幹細胞は、GMP(医薬品最適製造基準)に従う注入または移植のために調製できる。適切な培地または希釈剤は、月経血幹細胞の保持に適切なpHを維持するヘペスバッファーを必要とするHBSS、IMDM、RPMI、アルファMEM、M199およびDMEMのような組織培養培地(分析証明書で立証される適切な試験および結果を含む)を含みうる。タンパク質を最小約0.2%で追加できるが、最高で約30%追加できる。使用されるタンパク質は、ヒト血清アルブミン、ヒト血漿タンパク質画分、ウシ胎仔血清(畜産物を使用する場合、米国食品医薬品局によって必要に応じて適切な安全性試験を含まなくてはならない)、またはウシ血清アルブミンもまた含むことができる。細胞が、凝固、クランピングまたは血餅のリスクがある場合、培地は抗凝血剤を必要としうる。ヘパリン(防腐剤が幹細胞増殖および細胞の増殖能力に影響する可能性があるので、防腐剤不含有が好ましい)、酸性クエン酸デキストロースまたはクエン酸リン酸デキストロース、または生存細胞と組み合わせるのに安全な任意の適切な抗凝血剤を含む、抗凝血剤を使用できる。細胞は、細胞を増やす細胞培地が注入または移植のために安全である限り、その培地中で送ることができる。
【0266】
例えば、製品を病院において調製し、病院において投与する場合、近距離のために細胞をシリンジ中で送ることができる。他の場合には、製品は、ガス交換を含むか、または含まない滅菌済みバッグ中で輸送できる。近距離で発送する製品は、細胞が近距離のために耐性があり生存できる他のタイプの滅菌済み容器中でも輸送でき、それは滅菌済みコニカルチューブ、または円形または正方形の滅菌済み平面底容器を含みうる。製品が4時間以上の長い距離で発送される場合、ガス交換が可能なバッグ中で送ることができる。バッグは、空気交換を可能にする立体配置においてもまた発送されてもよい。製品バッグは、発送される容器中での適切なガス交換を可能にするためのラックに置くことができる。細胞を含む容器は、月経血幹細胞を維持するような適温に最適化できる。細胞が低温の環境を必要とする場合、氷パックまたは他の冷却器具を使用できる。細胞が約20℃〜約24℃の室温を必要とする場合、この温度を維持するためにゲルパックが必要となりうる。
【0267】
一旦細胞が注入または移植のために施設に到着したなら、モニタリングされた温度環境に細胞を置くことができる。後日の使用のために保存する細胞は、温度を維持する断熱容器中に凍結保存し、−150℃またはそれ以下で発送できる。凍結保存されて出荷した細胞は、解凍および注入の説明書、ならびに可能ならば治療用使用のために最適な生存細胞製品の維持に必要な培地と共に送ることができる。
【0268】
適切な輸送機構を、注入場所に製品を輸送するために使用するべきである。多数の異なるタイプの輸送サービス、例えば医療国際宅配便、国際宅配便、またはUPS、DHLもしくはフェデックスのような会社などを使用できる。ドライシッパーが移動期間の間は垂直のままでなくてはならないという事実のような、製品の必要性を、宅配便業者が理解している場合、培地中の月経血幹細胞はより高い安全性で輸送できる。シッパーを側面に置く場合、迅速に液体窒素のチャージが失われ、有効な温度を保持することができない。
【0269】
薬用化粧品用適用
用語の薬用化粧品は、(a)少なくとも1つの製品の使用者に対する効果を有する生物学的活性成分と、(b)少なくとも1つの薬用化粧品用に許容される担体とを含む製剤形態または組成に関して使用される。生物学的活性成分は、例えば、本発明の実行に従って収集されたMSC、または本発明のMSC、遺伝子操作したMSCもしくは分化したMSCによって産生された、増殖因子もしくは他の組成物、化学物質もしくはタンパク質でありえる。さらなる実施例によって、例えば、増殖因子、または薬用化粧品として使用可能な他の生物学的活性成分のような、所望される細胞生産物を産生するように、MSC、分化したMSC、または遺伝子操作したMSCを培養において増殖させることができる。増殖因子または他の生物学的活性成分は、MSC、分化したMSC、または遺伝子操作したMSCが増殖される細胞培養培地または他の培地から収集できる。上清(それは後に精製するために処理するか、または成分を凝縮する)中の所望される成分を収集するために、増殖因子または他の生物学的活性成分を、遠心分離工程によって細胞培養培地または他の培地から収集できる。
【0270】
薬用化粧品は、特定の適用において、および適切な条件下で、薬効または薬物様有効性を提供できる化粧品として見なすことができる。特定の適用において、例えば、薬用化粧品は、皮膚の下層にある構造に影響を与えるか、しわの深さを減少させるか、または皮膚の光酸化または加齢の影響を回復もしくは改善できる。薬用化粧品は、スキンケア製品、ヘアケア製品、組織または器官の修飾または増大、およびサンケア製品として特に有用でありうる。特定の実施形態において、薬用化粧品用組成物は、リポソーム、シクロデキストリン、ポリマー系、またはヒアルロン酸もしくは関連化合物の少なくとも1つを含む送達システムを含む。薬用化粧品用組成物は、薬用化粧品用に許容される担体を含む。局所適用のために適切な薬学的に許容される担体または製剤形態は、典型的には薬用化粧品用に許容される担体または製剤形態でもありえる。
【0271】
局所用の化粧品または薬用化粧品用の軟膏、ローションまたはゲル組成物は、典型的には、薬学的クリームベース、水中油滴型エマルジョン、油中水滴型エマルジョン、ゲルまたは同種のもののような、化粧品用に許容される担体または薬用化粧品用に許容される担体中に、約1〜99%、約5〜95%、約20〜75%、または約5〜20%の濃度で、馴化培地またはその抽出物を含む活性成分を含む。局所用の使用のための様々な化粧品用および薬用化粧品用の組成物は、馴化培地または抽出物および適切な担体を含むドロップ、チンキ、ローション、クリーム、膏薬、血清、溶液および軟膏を含んでいる。各組成物中の馴化培地または抽出物の至適パーセンテージは、組成物の製剤形態および所望される治療効果に従って変化する。
【0272】
薬用化粧品は、製品のタイプ、組成物の性質、組成物の使用の場所、所望される効果および同種のものに依存して、多数の化粧品用に許容される製剤形態、薬用化粧品用に許容される製剤形態、または薬学的に許容される製剤形態のいずれかを含みうる。特許製剤形態は製剤形態技術中で一般的であるが、製剤化を行なう者は不必要な実験なしに、具体的適用のために適切な製剤形態を決定するか、または容易に選択することができる。
【0273】
発明の組成物の適切な担体は、典型的には化粧品分野および薬用化粧品分野において典型的には見出される、油脂、ワックスもしくは他の標準的な脂肪性物質、または従来のゲル化剤および/もしくは増粘剤;乳化剤;保湿剤;皮膚軟化剤;日焼け止め;セラミドのような親水性もしくは疎水性の活性薬剤;フリーラジカルと闘うための薬剤;殺菌剤;金属イオン封鎖剤;防腐剤;塩基性化剤もしくは酸性化剤;香料;界面活性剤;増量剤;アロエもしくは緑茶抽出物のような、天然産物もしくは天然産物の抽出物;ビタミン類;または着色材のような成分を含む。これらの様々な成分の量は、組成物の使用および所望される化粧品または薬用化粧品の効果に依存して変化する。
【0274】
化粧品用および薬用化粧品用に許容される成分および製剤形態の考察は、他のところ、FDA化粧品ハンドブック(FDA Cosmetics Handbook)、アメリカ食品薬品局;化粧品およびパーソナルケアの添加剤のハンドブック(Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives)、AshおよびAsh編、1994年、ケミカル・パブリッシング(Chemical Publishing)社、ニューヨーク、ニューヨーク;ベネットの化粧品処方集(Bennett’s Cosmetic Formulary)、1993年、ケミカル・パブリッシング社;ハリーの化粧品学(Harry’s Cosmeticology)第7版、WilkinsonおよびMoore、1982年および第8版、Rieger、2000年、ケミカル・パブリッシング社;化粧品のための作業台での参考書(Cosmetic Bench Reference)、2001年、アレルッド・パブリッシング(Allerud Publishing)社;CTFA化粧品成分組成物の大要(Compendium of Cosmetic Ingredient Composition)、NikitakisおよびMcEwen編、1990年、トイレ化粧品・香料工業協会、ワシントンD.C.、界面活性剤事典、改訂第2版、Rieger、1996年、アルレッド・パブリッシング(Allured Publishing)社;化粧品の化学および製造(The Chemistry and Manufacture of Cosmetics)、第2版、De Navarre、ヴァン・ノストランド(Van Nostrand)社、プリンストン、ニュージャージー;食物、薬物および化粧品において使用される一般的な天然成分の事典(Encyclopedia of Common Natural Ingredients Used in Food, Drugs, and Cosmetics)、Leung、1996年、ジョン・ワイリー(John Wiley)社;消費者のための化粧品成分の辞典(A Consumer’s Dictionary of Cosmetic Ingredients)、第5版、Winter、1999年、スリー・リバーズ・プレス(Three Rivers Press)社、ニューヨーク、ニューヨーク;薬用化粧品:積極的なスキントリートメント(Cosmeceuticals:Active Skin Treatment)、1998年、アルレッド・パブリッシング社;化粧品科学および技術のハンドブック(Handbook of Cosmetic Science and Technology)、KnowltonおよびPearce、1993年、エルゼビア・アドバンスト・テクノロジー(Elsevier Advanced Technology)社、オックスフォード、イギリス;パーソナルケアの処方(Personal−Care Formulas)、1997年、アルレッド・パブリッシング社;化粧品化学の初歩(Beginning Cosmetic Chemistry)、ScheullerおよびRomanowski(1999年)、アルレッド・パブリッシング社;ならびに皮膚浸透:基礎および適用(Skin Permeation:Fundamentals and Application)、Zatz、1993年、アルレッド・パブリッシング社の中に見出すことができる。薬学的に許容される成分および製剤形態の考察は、他のところ、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第18版、Gennaro編、1990年、マック・パブリッシング(Mack Publishing)社の中に見出すことができる。
【0275】
定義
【0276】
本明細書において使用されるように、かかる用語が使用される文脈が特に示唆しなければ、以下の用語は以下の定義を示すものとする。
【0277】
DMEMはダルベッコの最小必須培地を意味する。
【0278】
DMSOはジメチルスルホキシドを意味する。
【0279】
DNAseは、非生存細胞が溶解した後に見出されるDNAを破壊するために使用されるデオキシリボヌクレアーゼを意味する。
【0280】
DPBSはダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を意味する。
【0281】
HBSSはハンクス平衡塩類溶液を意味する。
【0282】
ヘパリンは、抗凝血剤特性を有するグリコサミノグリカンである。
【0283】
HSAは、輸送体タンパク質として作用することができる多量の血漿タンパク質であるヒト血清アルブミンを意味する。
【0284】
LSMは、密度勾配細胞分離を実行するために使用されるリンパ球分離培地を意味する。
【0285】
μgはマイクログラムを意味する。
【0286】
μl、μL、ulおよびuLは、マイクロリットルを意味するように同義的に使用される。
【0287】
mlおよびmLは、ミリリットルを意味するように同義的に使用される。
【0288】
×は、すなわち濃度または希釈によって掛けることを意味する。
【0289】
本明細書において参照された具体的な試薬および製品および製造者の代わりに、他の適切な代わりの試薬、製品および製造者を使用することができる。
【0290】
その幅広い発明の概念から逸脱せずに、上述された実施形態に対して修飾を行なうことができる。本発明の好ましい実施形態、追加の実施形態、適応、変形、修飾および同等のアレンジについて記述したことは、当業者に対して明らかである。これらおよび他の実施形態は、添付された請求項の範囲内であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
月経血幹細胞を得る方法であって、
a)月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程と;
b)月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する工程と
を含む方法。
【請求項2】
月経流出物から月経血幹細胞を単離する前記工程が、遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の少なくとも1つにより月経流出物を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する前記工程が、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む、少なくとも1つの細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
月経血幹細胞を処理する前記工程が、月経血幹細胞を培養するさらなる工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
月経血幹細胞を処理する前記工程が、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166、HLAクラスIを含む、少なくとも1つの細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択するさらなる工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
月経血幹細胞を処理する前記工程が、月経血幹細胞を培養するさらなる工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を処理する前記工程が、月経血幹細胞を培養することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
月経血幹細胞を処理する前記工程が、月経血幹細胞を選択するさらなる工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
月経血幹細胞を処理する前記工程が、月経血幹細胞を培養するさらなる工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
月経血幹細胞を処理する前記工程が、細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択するさらなる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が月経血幹細胞を凍結保存するさらなる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、凍結保存した月経血幹細胞を解凍し、解凍された月経血幹細胞を処理するさらなる工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、月経血幹細胞および月経血幹細胞の生存率を維持する細胞培地を含む治療用組成物を調製するさらなる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、月経血幹細胞および薬用化粧品用調製物を含む薬用化粧品用組成物を調製するさらなる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
月経流出物から月経血幹細胞を収集するプロセスであって、
a)月経周期の間に月経流出物を獲得することと;
b)処理施設に月経流出物を輸送することと;
c)細胞調製物へと月経流出物から月経血幹細胞を単離することと;
d)月経血幹細胞の細胞調製物を処理することと
を含むプロセス。
【請求項16】
月経流出物から月経血幹細胞を収集するためのシステムであって、
a)月経血幹細胞単離装置が月経流出物から月経血幹細胞を分離する、月経血幹細胞単離装置と;
b)月経血幹細胞収集装置が月経血幹細胞を収集する、月経血幹細胞収集装置と;
c)月経血幹細胞処理装置が治療用使用または凍結保存のために月経血幹細胞を調製する、月経血幹細胞処理装置と
を含むシステム。
【請求項17】
月経血幹細胞を凍結保存する方法であって、
a)月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程と;
b)月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する工程と;
c)月経流出物から単離された月経血幹細胞を凍結保存する工程と
を含む方法。
【請求項18】
月経流出物から月経血幹細胞を単離する前記工程が、遠心分離、密度勾配遠心分離、濾過または沈降の少なくとも1つによって月経流出物を処理することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する前記工程が、細胞マーカーについて月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する前記工程が、選択された月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する前記工程が、月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する前記工程が、細胞培養から月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
月経血幹細胞の集団であって、
a)月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離することと;
b)月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集することと
を含むプロセスによって得られる月経血幹細胞の集団。
【請求項24】
月経流出物から収集された月経血幹細胞の集団を濃縮するプロセスであって、
a)月経の間に収集された月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程と;
b)月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集すること工程と
を含むプロセス。
【請求項25】
前記プロセスが、細胞マーカーのCD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIの少なくとも1つについて月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記プロセスが、月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項27】
前記プロセスが、月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程、および選択された月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程を含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項28】
前記プロセスが、月経血幹細胞を培養する少なくとも1つの工程、および細胞培養から月経血幹細胞を選択する少なくとも1つの工程を含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項29】
CD117を発現する月経血幹細胞の集団を濃縮するプロセスであって、
a)月経流出物から月経血幹細胞を単離する工程と、
b)月経流出物から単離された月経血幹細胞を収集する工程と;
c)CD117を発現する月経血幹細胞を選択する工程と
を含むプロセス。
【請求項30】
CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む細胞マーカーの少なくとも1つを含む、月経血幹細胞の集団。
【請求項31】
月経血幹細胞を含む細胞が濃縮された集団であって、
a)CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166およびHLAクラスIを含む細胞マーカーの少なくとも1つを発現し;
b)CD3およびHLAクラスIIを含む細胞マーカーの少なくとも1つを低く発現するかまたは発現しない、
集団。
【請求項32】
少なくとも1つの月経血幹細胞および凍結保存剤を含む組成物。
【請求項33】
少なくとも1つの月経血幹細胞および細胞培地を含む組成物。
【請求項34】
少なくとも1つの月経血幹細胞および薬用化粧品用薬剤を含む組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの月経血幹細胞および細胞生存率を維持する保存剤を含む組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの月経血幹細胞、および少なくとも1つの月経血幹細胞の治療用使用のための調製物における容器中の細胞培地を含む、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c−29f】
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【図29g−29j】
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【図30a−30d】
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【図30e】
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【図31a−31e】
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【図31f−31j】
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【図31k−31n】
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【図31o−31s】
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【図31t−31x】
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【図31y−31cc】
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【図32a−32e】
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【図32f−32j】
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【図32k−32n】
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【図32o−32s】
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【図32t−32x】
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【図32y−32cc】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2010−530214(P2010−530214A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551758(P2009−551758)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/002838
【国際公開番号】WO2008/109063
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509245577)クライオ−セル インターナショナル インコーポレイテッド (4)
【出願人】(509245555)
【出願人】(509245566)
【Fターム(参考)】