説明

官能性シラン又は官能性シロキサンを基質と架橋するための新規触媒

本発明は有機官能性カルボキシ化合物の、シラン加水分解用の触媒としての、及び/又はシラノール縮合用の触媒としての使用に関する。カルボキシ化合物という用語は、本発明によれば4〜46個の炭素原子を有する有機酸、有利には有機カルボン酸、例えば脂肪酸、又はケイ素含有の有機酸前駆体化合物、α−カルボキシシラン[(R3-(CO)O)4-z-xSiR2x(A)z、α−Si−オキシカルボニル−R3]、又は有機酸のケイ素不含前駆体化合物を意味すると解釈される。有機酸の前駆体化合物という用語は、有機カチオンのエステル、ラクトン、無水物、塩であると解釈される。更に、本発明は基質を表面変性するための少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の使用、これで変性された基質ならびに基質を製造する際に使用するキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機官能性カルボキシ化合物のシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒としての使用に関し、その際に、前記カルボキシ化合物とは本発明によれば有機酸、有利には4〜46個の炭素原子を有する有機カルボン酸、例えば脂肪酸、又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物、α−カルボキシシラン[(R3-(CO)O)4-z-xSiR2x(A)z、α−Si−オキシカルボニル−R3)]、又は有機酸のケイ素不含前駆体化合物を意味すると解釈される。有機酸の前駆体化合物とは、存在する有機カチオンのエステル、ラクトン、無水物、塩であると解釈される。更に、本発明は基質を表面変性するための少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の使用、これで変性された基質ならびに基質を製造する際に使用するキットに関する。
【0002】
現在のところ多くの用途では、錫含有触媒系が使用されるか、またはその有毒性ゆえに触媒の使用が断念されている。有機錫化合物、例えばジブチル錫化合物は、一般に著しい毒性が際立っている。
【0003】
例えば、これまでに湿式架橋可能な飽和及び不飽和ポリマー化合物、特にポリエチレン(PE)ならびにそれらのコポリマーの製造には、シラングラフト又はシラン共重合したポリエチレンもしくはその他のポリマーを架橋するために、シラノール縮合触媒として有機錫化合物又は芳香族スルホン酸(Borealis Ambicat(R))が使用されてきた。有機錫化合物の欠点は、それらに著しい毒性であるのに対し、スルホン酸は鼻を突くような臭いが目立ち、これは全てのプロセス工程により最終生成物では取り除かれる。反応に条件付けられる副生成物により、スルホン酸と架橋するポリマー化合物は通常は食料品の分野又は飲料水供給の分野で、例えば飲料水パイプの製造で使用するには不適切である。シラノール縮合触媒の通常の錫は、その配位圏領域にわたり触媒として作用するジブチル錫ジラウレート(dibutyltindilaurate, DBTDL)及びジオクチル錫ジラウレート(dioctyltindilaurate, DOTL)である。
【0004】
EP207627には、更に錫含有触媒系、及びジブチル錫オキシドとエチレン−アクリル酸コポリマーの反応をベースとする前記触媒で変性されたコポリマーが開示されている。JP58013613では、Sn(Acetyl)2を触媒として使用し、JP05162237では、錫、亜鉛又はコバルトカルボキシレートを結合炭化水素基と一緒にシラノール縮合触媒として使用することを教示している。この例は、ジオクチル錫ジマレエート、モノブチル錫オキシド、ジメチルオキシブチル錫又はジブチル錫ジアセテートである。JP3656545では、亜鉛及びアルミニウム石けん、例えば亜鉛オクチレート、ラウリン酸アルミニウムが架橋に使用されている。JP1042509には、シランを架橋するために有機錫化合物の使用、またチタンキレート化合物をベースとするアルキルチタン酸エステルの使用も開示されている。
【0005】
ポリウレタンは、金属含有触媒の存在で架橋される(JP2007045980)。ここで挙げられている触媒系は、コバルトのような金属、第三級アミン及び酸とのβ−ジケトン錯体から成る。
【0006】
官能性トリクロロシランの脂肪酸反応生成物は、特に潤滑剤添加剤として一般的に1960年代から公知である。DE2544125には、磁気バンドの被覆におけるジメチルジカルボキシシランの潤滑剤添加剤としての使用が開示されている。強酸及び強塩基の不在で、加水分解に対してこの化合物は十分に安定である。
【0007】
本発明の課題は、従来技術の公知触媒の前記欠点を有さず、有利には有機官能性シラン及び/又は有機官能性シロキサンと、例えばシラングラフト、シラン−共重合されたポリマー、モノマー又はプレポリマーと分散又はホモジナイズできる新規シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒を開発することである。シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒は、液体、ろう状から固体であり及び/又は担体材料上に塗布もしくはカプセル封入されるのが有利である。
【0008】
前記の課題は、請求項1及び2に記載の特徴に相応する本発明による使用及び請求項7に記載の基質ならびに請求項12に記載のキットならびに請求項13に記載の方法及び請求項15に記載の組成物により解決された。本発明のもう1つの対象は、シラン末端化ポリウレタン、特に金属不含ポリウレタンである。有利な実施態様は、従属請求項及び説明から引き出される。
【0009】
意外にも、カルボキシ化合物、特に4〜46個の炭素原子を有する有機カルボン酸、例えば脂肪酸のようなもの、又は有機酸、特に長鎖カルボン酸のケイ素含有前駆体化合物、又は有機酸の相応するケイ素不含前駆体化合物、有機官能性塩、無水物を、シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として使用できることが見出された。特に有機酸のケイ素含有前駆体化合物をシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として使用できること、特に有機官能性シラン、オリゴマーの有機官能性シロキサンを加水分解するための触媒として使用できること、ならびにシラノール、シロキサンを架橋もしくは縮合するための触媒として、又は基質の縮合可能な他の官能基と架橋もしくは縮合するための触媒として使用できることは意外であった[例えば、ヒドロキシ官能化ケイ素化合物もしくはヒドロキシ官能化基質(HO−Si又はHO−基質)]。
【0010】
本発明によるカルボキシ化合物で、特に脂肪酸で、及び/又は有機酸とりわけ脂肪酸のケイ素含有前駆体化合物で触媒された系は、例えばHCl又は酢酸を用いる標準系に対して、より長い系のポットライフ及び系の貯蔵時間に著しい改善を示した。
【0011】
本発明により被覆される充填剤は、触媒されていない系に対して速い硬化ならびに短い後反応時間を示す。従って、カルボキシ化合物の本発明による使用により、被覆基質、特に充填剤、例えば難燃性充填剤のような物の製造の際に流量は高まる。この手法により生産は著しく経済的になる。
【0012】
前駆体化合物に対する一般的な要件は、これが加水分解可能であること、特に水分の存在で加水分解可能であることであり、かつそれにより特にそれぞれのプロセスの所定の方法条件下に遊離有機酸を放出できることである。本発明によれば、有機酸のケイ素含有前駆体化合物は、熱の供給下に水分の存在でより良好な溶融状態で加水分解することができ、かつ少なくとも部分的又は完全に有機酸を遊離できる。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物をシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として、及び/又は基質を表面処理するために、特に縮合もしくは反応する能力のある官能基を有する基質、例えばHO−官能化基質、シリケート、不動態化金属、酸化化合物、ゼオライト、花崗岩、石英のようなものならびに更に当業者に周知の基質を表面変性するために使用できる。
【0014】
本発明による有機酸のカルボキシ化合物は、4〜46個の炭素原子を有するカルボン酸である。例えば、不飽和、モノ又はポリ不飽和脂肪酸、更に官能化されていてもよい合成又は天然のもの、又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物、例えば、モノ、ジ、又はテトラα−カルボキシシラン、すなわち前記の定義に相応して酸を遊離できるもの、又は有機酸の前駆体化合物、例えば、酸の有機化合物のエステル、ラクトン、無水物、塩、たとえば相応する酸の有機カチオン、アンモニム、イミニウム塩、又はシラン又はシロキサン中で分散できる相応するプロトン化第二、第三級アミン又はN−含有ヘテロ環である。遊離酸は、前記の定義に相応して、4〜46個、有利には8〜22個の炭素原子を有するカルボン酸である。
【0015】
本発明によれば、有機官能性カルボキシ化合物は、
b.1)一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2)u(A)ySi−A−Si(A)y(R2)u(OR13-y-u (IVb)
[式中、
zは互いに独立に0、1、2又は3であり、
xは、0、1、2又は3であり、
yは、0、1、2又は3であり、かつ
uは、0、1、2又は3であるが、但し式IVa中、z+xは3以下(≦)であり、かつ
式IVb中、y+uは、独立に2以下(≦)であり、
−式IVa及び/又はIVb中、Aは互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ
式IVb中の2価の基としてのAは、2価の有機官能基を表し、
−R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は、1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、特に非置換又は置換されていてもよい飽和又は不飽和炭化水素基(KW-基)に相応する、
−R2は、互いに独立に炭化水素基である]
の有機酸のケイ素含有前駆体化合物、及び/又は
b.2)次のグループ
iii.a)4〜45個の炭素原子を含有するカルボン酸、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然もしくは合成アミノ酸
から選択される有機酸、及び/又は
b.3)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、特に有機カチオンの無水物、エステル、ラクトン、塩、天然又は合成トリグリセリド及び/又はホスホグリセリド
から選択され、かつ少なくとも1つの有機官能化シラン、特にアルコキシシランの存在で;及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン及び/又はそれらの混合物及び/又は縮合生成物及び場合により基質の存在で、シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として、及び/又は基質を表面変性するための、又は表面変性する際の触媒として作用する。
【0016】
式IVa中、トリカルボキシシランに関しては、z=1かつx=0、又はz=0かつx=1であるのが有利であり、及び/又はテトラカルボキシシランに関しては、z=0かつx=0であるのが有利であり、かつジカルボキシシランに関しては、z=2かつx=1であるのが有利である。二者択一的にz=2であるのが有利である。
【0017】
(b.1)有機酸のケイ素含有前無体化合物は、末端のカルボキシシラン化合物ではなく、本発明によれば一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2u(A)ySi−A−Si(A)y(R2u(OR13-y-u (IVb)
の化合物である。
【0018】
前記式中、zは互いに独立に0、1、2又は3であり、xは、0、1、2又は3であり、yは0、1、2又は3であり、かつuは、0、1、2又は3であるが、但し式IVa中、z+xは3以下(≦)であり、かつ式IVb中、y+uは独立に2以下(≦)であるが、その際、zは実施態様に相応して有利には1であり、有利には2又は3であることもでき、他の有利な実施態様に相応してzは0であり(テトラ−α−カルボキシジシラン)、式IVbの相応する化合物に関しては、yとuは両方とも0であることができる(ビス(トリス−α−カルボキシジシラン)、
− 式IVa及び/又はIVb中のAは、互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ式IVb中2価の基としてのAは、2価の有機官能基であり、
− 式IVa及び/又はIVb中の有機官能基としてのAは、互いに独立にアルキル−、アルケニル−、アリール−、エポキシ−、ジヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、ポリアルキルグリコールアルキル−、ハロゲンアルキル−、メルカプトアルキル−、スルファンアルキル−、ウレイドアルキル−及び/又はアクリロキシアルキル官能基、特に1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基、及び/又は
1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルコキシ−、アルコキシアルキル−、アリールアルキル−、アミノアルキル−、ハロゲンアルキル−、ポリエーテル−、アルケニル−、アルキニル−、エポキシ−、メタクリルロキシアルキル−及び/又はアクリロキシアルキル−、及び/又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するウレイドアルキル基、メルカプトアルキル基、シアノアルキル基及び/又はイソシアノアルキル基に相応し、特にAは、1〜300、特に1〜180、有利には1〜100の鎖長nを有する式
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−、及び/又は
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−のポリエーテル及び/又は1〜18個の炭素原子を有するイソアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するシクロアルキル、例えば、シクロヘキシル基、3−メタクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フルオロアルキル基、ビニル基、3−グリシジルオキシプロピル基、及び/又はアリル基のようなものを有する。
【0019】
Aは、次のものであってもよい:
1)1価のオレフィン基、特に
−(R92C=C(R9)−M*k
(式中、R9は、同じ又は異なっていてもよく、かつR9は、水素原子であるか、又はメチル基又はフェニル基であり、基M*は、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−O(O)C(CH23−、又は−C(O)O−(CH23−の系列から成る基であり、kは0又は1であり、例えばビニル、アリル、3−メタクリロキシプロピル及び/又はアクリロキシプロピル、n−3−ペンテニル、n−4−ブテニル又はイソプレニル、3−ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ターペンテニル、スクアラニル、スクアレニル、ポリターペニル、ベツルアプレノキシ(Betulaprenoxy)、シス/トランス−ポリイソプレニルである)
に相応する、又は
− R8−Fg−[C(R8)=C(R8)−C(R8)=C(R8)]r−Fg−、
(式中、R8は同じ又は異なっていて、かつR6は水素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基又はアラルキル基、有利にはメチル基又はフェニル基を意味し、基Fは同じ又は異なっていて、かつFは−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−O(O)C(CH23−又は−O(O)O−(CH23−の系列から成る基を意味し、rは1〜100、特に1又は2であり、かつgは0又は1である)、かつ
− 式IVb中、二価の基としてのAは式IVb中のオレフィン基、例えば相応のアルケニレン、例えば2−ペンテニレン、1,3−ブタジエニレン、イソ−3−ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘキセンジエニレン、シクロヘキセニレン、ターペニレン、スクアラニレン、スクアレニレン、ポリターペニレン、シス/トランス−ポリイソプレニレンである、及び/又は
2)Aは、IVaでもIVb中でも互いに独立に、IVb中の1価のアミノ官能基又は2価のアミノ官能基であることができ、特にAは−(CH23−NH2、−(CH23−NHR’、−(CH23−NH(CH22−NH2及び/又は−(CH23−NH(CH22−NH(CH22−NH2(式中、R’は1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝又は環状アルキル基、又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基である)に相応する式のアミノプロピル官能基であり、
−Aは、以下の一般式Va又はVb
R10h*NH(2-h*)[(CH2h(NH)]j[(CH2l(NH)]n−(CH2k− (Va)
(Va中、0≦h≦6;h*=0、1又は2、j=0、1又は2であり、0≦l≦6;n=0、1又は2;0≦k≦6、かつR10はベンジル基、アリール基、ビニル基、ホルミル基及び/又は1〜8個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基に相応する)、及び/又は
[NH2(CH2m]2N(CH2p− (Vb)
(Vb中、0≦m≦6かつ0≦p≦6である)
のアミノ官能基のうち1つであり、
− 式VIb中のAは、式VI
−(CH2i−[NH(CH2f]gNH[(CH2f*NH]g*−(CH2i* (Vc)
(式Vc中、i、i*、f、f*、g又はg*は、同じ又は異なっていて、i及び/又はi*=0〜8、f及び/又はf*=1、2又は3、g及び/又はg*=0、1又は2である)
の2価のビスアミノ官能基に相応することができる、
3)Aは、エポキシ基及び/又はエーテル基、特に3−グリシドキシアルキル基、3−グリシドキシプロピル基、エポキシアルキル基、エポキシシクロアルキル基、エポキシシクロヘキシル基、ポリアルキルグリコールアルキル基又はポリアルキルグリコール−3−プロピル基、又はジオールとして存在する相応の開環エポキシドであることができる。
【0020】
4)Aはハロゲンアルキル基、例えばR8*−Ym*−(CH2s*
(式中、R8*は1〜9個の炭素原子を有するモノアルキル基、オリゴアルキル基又はペルフルオロアルキル基、又はモノアリール基、オリゴアリール基又はペルフルオロアリール基であり、ここで、更にYはCH2−、O−、アリール基又はS基に相応し、かつm*=0又は1であり、かつs*=0又は2である)、及び/又は
5)Aは、スルファンアルキル基に相応し、その際に、スルファンアルキル基は一般式VIIの−(CH2q*−X−(CH2q*−に相応し、ここで、q*=1、2又は3であり、X=Sp(pは鎖中、2〜12個の硫黄原子の分布で、平均して2もしくは2.18であるか、又は平均して4もしくは3.8である)であり、及び/又は
6)Aは、ポリマー、特にシラン末端化ポリウレタンプレポリマー、−NH−CO−nBuN−(CH23−;ポリエチレンポリマー、ポリプロピレンポリマー、エポキシド樹脂又は他の当業者に周知のポリマーであることができる。
【0021】
式IVa及び/又はIVb中、基R1は互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、特に非置換もしくは置換されていてもよい飽和もしくは不飽和炭化水素基(KW基)に相応する。
【0022】
式IVa及び/又はIVb中R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応する。すなわち−(CO)R3−基(−(C=O)−R3)に相応するので、−OR1は−O(CO) R3に等しく、ここで、R3は非置換又は置換炭化水素基(KW基)に相応し、特に1〜45個の炭素原子、有利には4〜45個の炭素原子、特に6〜45個の炭素原子、有利には6〜22個の炭素原子、特に有利には6〜14個の炭素原子、有利には8〜13個の炭素原子を有する炭化水素基、特に線状、分枝及び/又は環状の非置換及び/又は置換炭化水素基、特に有利には天然又は合成の脂肪酸の炭化水素基であり、特にR1中のR3は、互いに独立に−Cn2n+1を有する飽和炭化水素基(ここで、n=4〜45)、例えば、−C49、−C511、−C613、−C715、−C817、−C919、−C1021、−C1123、−C1225、−C1327、−C1429、−C1531、−C1633、−C1735、−C1837、−C1939、−C2041、−C2143、−C2245、−C2347、−C2449、−C2551、−C2653、−C2755、−C2857、−C2959であるか、又は有利には不飽和炭化水素基、例えば−C1019、−C1529、−C1733、−C1733、−C1937、−C2141、−C2141、−C2141、−C2345、−C1731、−C1729、−C1729、−C1931、−C1929、−C2133及び/又は−C2131であることができる。短鎖KW基R3、例えば−C4H9、−C37、−C2H5、−CH3(アセチル)及び/又はR3=H(ホルミル)を同様に組成物の形で使用することもできる。しかし炭化水素基(KW基)の僅かな疎水性に基づき、通常式IVa及び/又はIVb(式中、R1はカルボニル−R3基を使用する)の化合物に関しては、4〜45個の炭素原子、特に6〜22個の炭素原子、有利には8〜22個の炭素原子、とりわけ有利には6〜14個の炭素原子、又は有利には8〜13個の炭素原子を有する非置換又は置換炭化水素基を有する基R3から選択される。本発明によれば、脂肪酸、例えばカプリル酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、コハク酸及び/又はミリスチン酸が使用され、その際に、特にカプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸、ベヘン酸及び/又はミリスチン酸から選択される脂肪酸が特に有利である。
【0023】
式IVa及び/又はIVb中のR2は、互いに独立に炭化水素基、特に1〜24個の炭素原子を有する、有利には1〜18個の炭素原子を有する置換又は非置換の線状、分枝及び/又は環状アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、アルケニルアリール基及び/又はアリール基である。特に、1〜3個の炭素原子を有する場合にはアルキル基である。アルキル基として特にエチル基、n−プロピル基及び/又はi−プロピル基が適切である。置換炭化水素基として、特にハロゲン化炭化水素基、例えば、3−ハロゲンプロピル基、例えば3−クロロプロピル又は3−ブロモプロピル基が適切であり、これらは場合により求核置換を自由に使用でき、又はPVCにおいて使用することもできる。
【0024】
従って、一般式IVa及び/又はIVbの有機酸のケイ素含有前駆体化合物を使用することもでき、これはアルキル置換ジカルボキシシラン又はトリカルボキシシラン(z=0かつx=1又は2)に相応する。このための例は、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸又はラウリン酸をベースとする、有利にはミリスチン酸をベースとするメチル置換、ジメチル置換、エチル置換、メチルエチル置換カルボキシシランである。
【0025】
カルボニルR3基とは、R3−(CO)−のような有機カルボン酸の酸エステルと解釈され、カルボキシル基は式に相応して、上記のようなケイ素Si-OR1に結合する。一般的に、式I及び/又はIIの酸エステルは、天然由来であるか又は合成された脂肪酸から得ることができる。この例は、飽和脂肪酸、バレリアン酸(ペンタン酸、R3=C4H9)、カプロン酸(ヘキサン酸、R3=C5H11)、エナント酸(ヘプタン酸、R3=C6H13)、カプリル酸(オクタン酸、R3=C7H15)、パラルゴン酸(ノナン酸R3=C8H17)、カプリン酸(デカン酸、R3=C9H19)、ラウリン酸(ドデカン酸、R3=C9H19)、ウンデカン酸(R3=C10H23)、トリデカン酸(R3=C12H25)、ミリスチン酸(テトラデカン酸、R3=C13H27)、ペンタデカン酸(R3=C14H29)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸、R3=C15H31)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸、R3=C16H33)、ステアリン酸(オクタデカン酸、R3=C17H35)、ノナデカンデカン酸(R3=C18H37)、アラキン酸(エイコサン酸/イコサン酸、R3=C19H39)、ベヘン酸(ドデカン酸、R3=C21H43)、リグノセリン酸(テトラコサン酸、R3=C23H47)、セロチン酸(ヘキサコサン酸、R3=C25H51)、モンタン酸(オクタコサン酸、R3=C27H55)及び/又はメリセン酸(トリアコンタン酸、R3=C29H59)、また短鎖不飽和脂肪酸、例えばバレリン酸(ペンタン酸、R3=C4H9)、酪酸(ブタン酸、R3=C3H7)、プロピオン酸(プロパン酸、R3=C2H5)、酢酸(R3=CH3)及び/又はギ酸(R3=H)ならびに式IVa及び/又はIVbのケイ素含有前駆体化合物として、その他の単なる有機シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒を使用することができる。
【0026】
しかし、十分に疎水性又は親油性であるか又は相応して有機官能性シラン中、有機官能性シロキサン中又は場合により1つ又は2つの化合物の混合物中ならびに場合により基質の存在で分散可能であるか又は化合物とホモジナイズ可能であり、かつ遊離後に容認できない臭いを有さず、かつ製造された基質もしくはポリマーから風解されない疎水性KW基を有する式IVa及び/又はIVbの脂肪酸を使用するのが有利である。十分な疎水性とは、シラン、シロキサン及び/又は混合物中の酸が、場合により基質と、及び場合によりポリマー又はモノマーもしくはプレポリマーと分散可能であるか又はホモジナイズ可能であるKW基である。
【0027】
次の酸、例えば、カプリン酸、カプリル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸又はベヘン酸から、有利にはミリスチン酸から生じる式IVa及び/又はIVb中の有利な酸基を使用することができる。
【0028】
同様に、天然に得られる又は合成された不飽和脂肪酸を反応させて式IVa及び/又はIVbの前駆体化合物にすることができる。これらは、同じ2つの機能を満たすことができる。一方では、これらはシラン加水分解触媒として及び/又はシラノール縮合触媒として及び、これらはその不飽和炭化水素基により場合により所望の、特にイオン、ラジカル重合に直接に関与することができる。有利な不飽和脂肪酸は、ソルビン酸(R3=C5H7)、ウンデシレン酸(R3=C10H19)、パルミトレイン酸(R3=C15H29)、オレイン酸(R3=C21H41)、エラジン酸(R3=C17H33)、バクセン酸(R3=C19H37)、イコセン酸(R3=C21H41)、セトレイン酸(R3=C21H41)、エルカン酸(R3=C21H41)、ネルボン酸(R3=C23H45)、リノール酸(R3=C17H29)、α−リノレン酸(R3=C17H29)、γ−リノレン酸(R3=C17H29)、アラキドン酸(R3=C19H31)、チムノドン酸(R3=C19H29)、クルパノドン酸(R3=C21H33)、リジノール酸(12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸)、(R3=C17H33O)、及び/又はセルボン酸(R3=C21H31)である。オレイン酸(R3=C17H33)の少なくとも1つの基を含有している式IVa及び/又はIVbの前駆体化合物が特に有利である。
【0029】
R3−COOもしくはR1Oを有する式IVa及び/又はIVbの前駆体化合物を製造できる更に合理的な酸は、グルタル酸、乳酸(R1は(CH3)(HO)CH−である)、クエン酸(R1はHOOCCH2C(COOH)(OH)CH2−である)、ブルピン酸、テレフタル酸、グルコン酸、アジピン酸(その際に、全てのカルボキシル基はSi−官能化されていることもできる)、安息香酸(R1はフェニルに等しい)、ニコチン酸(Vitamin B3, B5)である。しかし、天然又は合成されたアミノ酸を使用することもでき、R1は相応する基に一致する。前記アミノ酸の例は、トリプトファン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−フェニルアラニン、L−ロイシンから出発し、その際に、L−ロイシンを有利に使用できる。相応して、相応のD−アミノ酸又はL−アミノ酸とD−アミノ酸の混合物を使用することもでき、又はD[(CH2)d)COOH]3のような酸(ここで、D=N、Pであり、かつdは独立して1〜12、有利には1、2、3、4、5又は6であり、カルボン酸官能性のヒドロキシ基はSi−官能化されていてもよい)である。
【0030】
従って、これらの酸の基をベースとする式IVa及び/又はIVbの相応する化合物をシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として使用することもできる。
【0031】
有機酸のケイ素含有前駆体化合物は、特に加水分解された形でシラン加水分解触媒及び/又はシラン縮合触媒として、遊離有機酸に対して活性でありならびにそれ自体が加水分化された形又は加水分解されていない形で有機官能性基の反応が可能である。例えば、第二級アミンはポリウレタンプレポリマーと反応することができ、ポリマー上でグラフトする及び/又はプレポリマー又はベースポリマーと共重合するか、又は架橋するために、例えば接着促進剤として適切である。加水分解された形では、形成されたシラノール化合物は縮合の際に、形成されたSi-O-Si-シロキサン架橋により及び/又はSi-O−基質結合もしくは担体材料結合により架橋に寄与する。これらの架橋は、他のシラノール、シロキサン又は一般的に架橋に適切である官能基と、基質、充填剤及び/又は担体材料及び/又は構造部材、特に無機ベース、例えば、モルタル、煉瓦、コンクリート、アルミナート、シリケート、金属、金属合金ならびに更なる当業者に周知の酸化基質及び/又はヒドロキシ基を有する基質において架橋を行うために適切である。
【0032】
従って、有利な充填剤及び/又は担体材料は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解法ケイ酸、沈降ケイ酸、シリケートならびに更に以下に挙げる充填剤及び担体材料である。
【0033】
とりわけ有利な前駆体化合物は、有機官能性A−シラントリミリステート、A−シラントリカプリレート、A−シラントリカプリネート、A−シラントリオレエート又はA−シラントリラウレート(その際にAは上記の意味する)、ビニルシラントリミリステート、ビニルシラントリラウレート、ビニルシラントリカプレートならびに前記酸の相応するアルキルシラン化合物又はアミノ官能性シラン化合物、及び/又はシランテトラカルボキシレートSi(OR1)4、例えば、シランテトラミリステート、シランテトララウレート、シランテトラカプレート又はこれらの化合物の混合物である。
【0034】
IVa及び/又はIVb中のR2は、互いに独立に炭化水素基であり、R2はメチル、エチル、イソプロピル及び/又はn−プロピル又はオクチル基であるのが有利である。
【0035】
カルボキシシシランの製造は当業者に長い間公知である。従って、US4028391には、クロロシランをペンタン中の脂肪酸と反応させるそれらの製法が開示されている。US2537073には更なる方法が開示されている。例えば、酸をペンタンのような非極性溶剤中でトリクロロシランと、又は還流下に官能化トリクロロシランと直接に加熱し、カルボキシシランを得ることができる。テトラカルボキシシランを製造するために、例えばテトラクロロシランを相応する酸と、適切な溶剤中で反応させることができる(Magazine for Chemical (1963), 3(12), 475-6頁)。更なる方法は、酸の塩又は無水物と、テトラクロロシンランもしくは官能化トリクロロシランとの反応に関する。例えば、官能化トリクロロシランと有機酸のマグネシウム塩の反応を行うことができる。もう1つの可能性は、カルボン酸のエステル化を予定する。
【0036】
もう1つの態様によれば、本発明によるアミノ官能性シラントリカルボキシレートは、3−ハロゲンプロピル−シラントリカルボキシレートとアンモニア、エチレンアミン又は他の第一級及び/又は第二級アルキルアミンの反応により製造することができる。この方法により、アミノ官能性及びジアミノ官能性トリカルボキシシランの両方を製造できる。
【0037】
有機酸とは、スルフェート又はスルホン酸基を有さないカルボン酸であり、特にこれはR3−COOHに相応する有機酸であると解釈される。ケイ素不含前駆体化合物として、無水物、エステル又は塩、特に有機カチオンの塩、これらの有機酸が含まれる。特に有利には、これらは長鎖で、非極性、特に置換もしくは非置換の炭化水素基により提供される。その際に、前記炭化水素基は飽和又は不飽和であることができ、例えばR3は1〜45個の炭素原子を有し、かつ場合により更なる有機基を有することができる。但しスルホン酸基及びスルフェート基を除く。R3が1〜45個の炭素原子、特に4〜45個の炭素原子、有利には8〜45個の炭素原子、とりわけ有利には6〜22個の炭素原子、更には8〜22個の炭素原子、特に6〜14個の炭素原子を有する炭化水素基であるのが有利であり、極めて有利にはR3は8〜13個の炭素原子を有するのが有利であり、その際に、R3は11〜13個の炭素原子を有するのが特に有利である。これらは、例えばラウリン酸又はミリスチン酸である;又は水素(R3)及び少なくとも1つのカルボン酸基(COOH)である。有機酸の定義から得られる例は、有機アリール−スルホン酸、例えば、スルホンフタル酸、またナフタリン−ジスルホン酸である。従って、疎水性の長鎖炭化水素基を有する酸が極めて有利である。これらの酸は、分散助剤として及び/又は加工助剤としても機能することができる。
【0038】
ケイ素含有前駆体化合物に対する一般的な要件は、これらが方法条件下にプロセスを加水分可能であること、ひいては遊離有機酸を遊離することである。加水分解は、有利には方法の架橋工程において初めて始まるべきである。例えば基質、構造部材に塗布した後、又は成形した後に、例えば水分の存在で加熱により、又は成形プロセス後に水浴中で始まるか又は水分の存在で成形後に始まるべきである。合理的には、ケイ素不含前駆体化合物からは、加水分解下に、無機酸及び有機酸中で加水分解されるものが除外される。無機酸としてシラノールは含まれない。
【0039】
有利なアミノ官能性トリカルボキシシランは、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、ステアリン酸及び/又はパルミチン酸で官能化される。同様に、前記酸のアルキル官能性又はハロゲン官能性トリカルボキシシランが有利である。本発明によれば、ミリスチン酸及びラウリン酸で官能化されたα−カルボキシシランを使用する。
【0040】
本発明によれば、b.2)は、次のグループから選択される有機酸である:
iii.a)4〜45個の炭素原子を含有するカルボン酸、その際にこれらの定義は更なる官能基を含むことができる、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然又は合成アミノ酸、ここで少なくとも1つの有機酸として、iii.b)の飽和及び/又は不飽和脂肪酸(天然又は合成)であることができ、これらは例えば飽和脂肪酸:バレリン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ウンデカン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリセン酸、バレリン酸、乳酸、プロピオン酸、酢酸、ギ酸、ウンデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカン酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸、セルボン酸、リグノセリン酸(H3C−(CH222−COOH)、セロチン酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、ニコチン酸、アラキドン酸(5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、C20H32O2)、エルカ酸(シス−13−ドコサエン酸、H3C−(CH2)7−CH=CH−(CH211−COOH)、グルコン酸、イコセン酸(H3C-(CH2)7−CH=CH−(CH29−COOH)、リシノール酸(12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸)、ソルビン酸(C6H8O2)、及び/又は天然又は合成アミノ酸、例えばトリプトファン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、その際、L−ロイシンが有利であり、ジカルボン酸、例えばアジピン酸、グルタル酸、テレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)、その際、ラウリン酸、ミリスチン酸が有利であるか、又は例えば、D[(CH2)dCOOH]3(ここで、D=N、P、かつn=1〜12、有利には1、2、3、4、5又は6)のような酸である。
から選択される有機酸である。
【0041】
一般に、疎水性の長鎖炭化水素基を有する酸は、バレリン酸、有利にはカプリン酸、ラウリン酸及び/又はミリスチン酸で始まり、シラノール縮合触媒として優れて良好である。より少ない疎水性の酸、例えば、プロピオン酸、酢酸、ギ酸、基質、有機官能性シラン及び/又は有機官能性シロキサンとの反応に合理的なものとして評価される。相応して、鼻に突く脂肪酸、例えば、酪酸及びカプリル酸は突くような臭いゆえに、キットにおける又は方法における成分として合理的に使用されるか又は僅かにだけ適切であるか又は不適切である。
【0042】
これは、特に製造されたシロキサン、変性基質、ポリマー又はポリマー化合物を飲料水パイプの製造や食料品の分野において使用する場合、又は製品を食料品と直接に接触する場合、又はエンドユーザーにより直接に使用される場合に該当する。製造されたシロキサン又は変性基質を医薬品技術(チューブなど)の分野で更に使用するのがよい。
【0043】
有機酸とは、スルフェート基又はスルホン基を有さないカルボン酸、特にR3−COOH に相応する有機酸であると解釈され、ケイ素不含前駆体化合物とは、これらの有機酸の無水物、エステル又は塩であると解釈される。特に有利には、これらは非極性の長鎖炭化水素基、特に置換又は非置換の炭化水素基を提供し、その際、前記炭化水素基は、飽和又は不飽和であることができ、例えばR3は1〜45個の炭素原子、特に4〜45個の炭素原子、有利には8〜45個の炭素原子、特に6〜22個の炭素原子、有利には8〜22個の炭素原子、とりわけ有利には6〜14個の炭素原子を有し、特に有利にはR3は8〜13個の炭素原子を有する。その際に、R3は11〜13個の炭素原子に等しいのが特に有利であり、これは例えばラウリン酸又はミリスチン酸である;又は水素(R3)及び少なくとも1つのカルボン酸基(COOH)である。例示的には、有機酸の定義から、有機アリール−スルホン酸、例えばスルホンフタル酸又はナフタリン−ジスルホン酸が除外される。
【0044】
従って、疎水性の長鎖炭化水素基を有する酸が著しく有利である。これらの酸は、分散助剤及び/又は加工助剤として機能することもできる。一般的に、酸として天然に生じる又は合成脂肪酸、例えば、飽和脂肪酸であるバレリアン酸(ペンタン酸、R3=C4H9)、カプロン酸(ヘキサン酸、R3=C5H11)、エナント酸(ヘプタン酸、R3=C6H13)、カプリル酸(オクタン酸、R3=C7H15)、パラルゴン酸(ノナン酸、R3=C8H17)、カプリン酸(デカン酸、R3=C9H19)、ウンデカン酸(R3=C10H23)、トリデカン酸(R3=C12H25)、ラウリン酸(ドデカン酸、R3=C9H19)、ミリスチン酸(テトラデカン酸、R3=C13H27)、ペンタデカン酸(R3=C14H29)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸、R3=C15H31)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸、R3=C16H33)、ステアリン酸(オクタデカン酸、R3=C17H35)、ノナデカンデカン酸(R3=C18H37)、アラキン酸(エイコサン酸/イコサン酸、R3=C19H39)、ベヘン酸(ドデカン酸、R3=C21H43)、リグノセリン酸(テトラコサン酸、R3=C23H47)、セロチン酸(ヘキサコサン酸、R3=C25H51)、モンタン酸(オクタコサン酸、R3=C27H55)及び/又はメリセン酸(トリアコンタン酸、R3=C29H59)、また短鎖不飽和脂肪酸、例えばバレリン酸(ペンタン酸、R3=C4H9)、酪酸(ブタン酸、R3=C3H7)、プロピオン酸(プロパン酸、R3=C2H5)、酢酸(R3=CH3)及び/又はギ酸(R3=H)を有機酸として、シラノール縮合触媒として使用することができ、その際、前記短鎖不飽和脂肪酸は分散助剤及び/又は加工助剤として適切ではないので、有利な組成物中では無くてもよい。ラウリン酸及び/又はミリスチン酸が特に有利である。
【0045】
同様に、同じ2つの機能を満たすことができる天然に生じるか又は合成の不飽和脂肪酸を使用することもできる。一方では、これらはシラノール縮合触媒として寄与し、かつ不飽和炭化水素基により直接にラジカル重合に寄与できる。有利な不飽和脂肪酸は、ソルビン酸(R3=C5H7)、ウンデシレン酸(R3=C10H19)、パルミトレイン酸(R3=C15H29)、ol酸(R3=C17H33)、エライジン酸(R3=C17H33)、バクセン酸(R3=C19H37)、イコセン酸(R3=C21H41;(H3C-(CH2)7-CH=CH-(CH2)9-COOH))、セトレイン酸(R3=C21H41)、エルカン酸(R3=C21H41;シス−13−ドコセン酸、H3C-(CH2)7-CH=CH-(CH2)11-COOH)、ネルボン酸(R3=C23H45)、リノール酸(R3=C17H29)、α−リノレン酸(R3=C17H29)、γ−リノレン酸(R3=C17H29)、アラキドン酸(R3=C19H31、5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、C20H32O2)、チムノドン酸(R3=C19H29)、クルパノドン酸(R3=C21H33)、リジノール酸(12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸)、(R3=C17H33O)、及び/又はセルボン酸(R3=C21H31)である。
【0046】
更に合理的な酸は、リグノセリン酸(H3C-(CH2)22-COOH)、セロチン酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、ニコチン酸(Vitamin B3, B5)、グルコン酸、又はこれらの酸の混合物である。しかし、天然又は合成されたアミノ酸を使用することもでき、その例は、トリプトファン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−フェニルアラニン、L−ロイシンであり、その際に、L−ロイシンが有利である。相応して、相応のD−アミノ酸又はアミノ酸の混合物、又はジカルボン酸、例えば、アジピン酸、グルタル酸、テトラフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)又は例えばD[(CH2)d)COOH]3(ここで、D=N、Pであり、かつn=1〜12、有利には1、2、3、4、5又は6である)のような酸を使用することもでき、及び/又は
3.b)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、例えば、有機無水物又はエステル、特に前記酸の、又は天然又は合成トリグリセリド、例えば、脂肪、油の形で存在するようなもの、特に中性脂肪及び/又はホスホグリセリド、例えば、レクチン、ホスファチジルエチノールアミン、ホスファチジノシトール、ホスファチジルセリン及び/又はジホスファチジルグリセリン、又は塩、例えば有機官能性カチオンの塩、例えば、アルキル鎖との第四級アンモニウム塩又は通常のイオン性相間移動触媒が含まれる。天然に存在する植物性及び動物性トリグリセリドの他に、合成トリグリセリドを使用することもできる。
【0047】
前駆体化合物(Si不含及び/又はSi含有)に対する一般的な要件は、これらがそれぞれの方法条件下に加水分解可能であること、ひいては遊離有機酸を遊離することである。加水分解は、有利には方法の架橋工程において初めて、特に混合、塗布及び/又は成形後に、例えば、水分及び場合により熱の添加により開始されるべきである。合理的には、ケイ素不含前駆体化合物から、無機及び有機酸中での加水分解下に加水分解されるものが除外される。無機酸としてシラノールは考慮に入れない。例えば、ケイ素不含前駆体化合物とは酸塩化物ではなく、一般的に上記有機酸の相応する酸ハロゲン化物ではないと解釈される。また有機酸過酸化物はケイ素不含前駆体化合物ではないと解釈すべきである。
【0048】
前記カルボキシ化合物は、少なくとも1つの有機官能化シランの存在で;及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋オリゴマー有機官能化シロキサン及び/又はそれらの混合物の存在で、及び場合により基質の存在で、シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として、及び/又は基質を表面変性するための又は表面変性の際の触媒として使用される。表面変性とは、縮合工程による共有結合の形成であると解釈される。二者択一的に、表面変性は不飽和カルボキシ化合物と基質のイオン反応又はラジカル反応により行うこともできる。超分子相互作用、特に水素架橋結合による結合は同様に有利である。特にカルボキシ化合物又はそれらの反応生成物が有利である。
【0049】
本発明によれば、有機官能性ケイ素化合物ならびに場合により有機官能性カルボキシ化合物の反応生成物は基質に結合する。これは、本発明によれば共有結合又は超分子相互作用を行うことができる。
【0050】
本発明により使用可能な有機官能化シラン及び/又は有機官能化シロキサンは、
a.1)一般式III
(B)bSiR4a(OR5)4-b-a (III)
[式中、
bは互いに独立に0、1、2又は3であり、
aは、0、1、2又は3であるが、但し式III中、b+aは3以下(≦)であり、かつ
Bは互いに独立に式III中の1価の有機官能基を表し、
R5は互いに独立にメチル、エチル、n−プロピル及び/又はイソプロピルであり、
R4は互いに独立に置換又は非置換の炭化水素基である]
に相応する少なくとも1つの有機官能性シラン、特にアルコキシシラン、及び/又は
a.2)少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマー有機官能化シロキサンに相応し、理想的な形で一般式IとII
【化1】

(式中、鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントの置換基Rは、有機基及び/又はヒドロキシ基から成り、かつ一般式Iのオリゴマーに関するオリゴマー化度mは、0≦m≦50、有利には0≦m≦30の範囲内、特に有利には0≦m≦20の範囲内であり、かつ一般式IIのオリゴマーに関しては、nは2≦n≦50、有利には2≦n≦30の範囲内である)
の両方により表される鎖状及び/又は環状構造エレメントを有するシロキサン、その際、架橋した構造エレメントは空間架橋されたシロキサン−オリゴマーを生じることができる、及び/又は
a.3)前記一般式I、II及び/又はIIIの少なくともとも2つの混合物に相応する及び/又は
a.4)前記一般式I、II及び/又はIIIの少なくともとも2つの反応生成物としての混合物、及び/又はそれらの縮合物又は共縮合物及び/又はブロック共縮合物に相応する。
【0051】
有機官能性シランは、それ自体として従来技術から公知であり、かつEP0518057に開示により相応して製造することができる。
【0052】
本発明によるカルボキシ化合物で触媒された系、特に脂肪酸及び/又は有機酸、特に脂肪酸のケイ素含有前駆体化合物で触媒された系は、例えばHCl又は酢酸を触媒として用いる従来の系に対して長いポットライフを有する。全体として、この系では貯蔵性が改善され、かつ高い柔軟性を達成することができる。
【0053】
a.1)有機官能性シランは、特に一般式III
(B)bSiR4a(OR5)4-b-a (III)
[式中、
− bは互いに独立に0、1、2又は3であり、かつaは、0、1、2又は3であるが、但し式III中、b+aは3以下(≦)であり、かつテトラアルコキシシランに関してはbとaは0である。テトラアルコキシシランはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン又は前記アルコキシシランの混合物であるのが有利であり、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン及び/又はトリプロポキシシランに関してはa又はbは0であり、ジエトキシシラン、ジメトキシシランに関しては、bは1かつaは1であるか又はbは2又はaは2である;
− 式III中のBは互いに独立に一価の有機官能性基であり、
− R5は互いに独立にメチル、エチル、n−プロピル及び/又はイソプロピルであり、
− R4は互いに独立に、置換又は非置換の炭化水素基、有利にはメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチルである]
のアルコキシシランに相応するのが有利である。
【0054】
式III中のBは互いに独立に1価の有機官能性基であるのが有利であり、その際、
式III中のBは、互いに独立に、アルキル−、アルケニル−、アリール−、エポキシ−、ジヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、ポリアルキルグリコールアルコキル−、ハロゲンアルキル−、メルカプトアルキル−、スルファンアルキル−、ウレイドアルキル−及び/又はアクリロキシアルキル官能基であり、特に1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルコキシ−、アルコキシアルキル−、アリールアルキル−、アミノアルキル−、ハロゲンアルキル−、ポリエーテル、アルケニル−、アルキニル−、エポキシ−、メタクリルロキシアルキル−及び/又はアクリロキシアルキル基、及び/又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するウレイドアルキル−、メルカプトアルキル−、シアノアルキル−及び/又はイソシアノアルキル基に相応し、特にAは、1〜300、特に1〜180、有利には1〜100の鎖長nを有する式H3C−(O−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−、及び/又は
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−のポリエーテル、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するイソアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3−メタクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フルオロアルキル基、ビニル基、3−グリシジルオキシプロピル基、及び/又はアリル基に相応することができ、及び/又は
− Bはシラン末端化ポリウレタンプレポリマー、特にプレポリマー−NH−CO−nBuN−(CH23−又はプレポリマー−NR−CO−nBuN−(CH23−[式中、R=アルキル、有利にはメチル]であることができ、及び/又は
−Bは1価のオレフィン基にも相応し、例えば特に
−(R9*2C=C(R9*)−M*k*
(式中、R9*は同じ又は異なっていてもよく、かつR9*は、水素原子であるか、又はメチル基又はフェニル基であり、基M*は、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−O(O)C(CH23−、又は−C(O)O−(CH23−の系列から成る基であり、k*は0又は1であり、例えば、ビニル、アリル、3−メタクリロキシプロピル及び/又はアクリロキシプロピル、n−3−ペンテニル、n−4−ブテニル又はイソプレニル、3−ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ターペニル、スクアラニル、スクアレニル、ポリターペニル、ベツルアプレノキシ(Betulaprenoxy)、シス/トランス−ポリイソプレニルである)
に相応し、又は
− R8’−Fg’−[C(R8’)=C(R8’)−C(R8’)=C(R8’)]r’−F’g’−、
(式中、R8’は同じ又は異なっていてよく、かつR6’は水素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、又はアリール基又はアラルキル基、有利にはメチル基又はフェニル基を意味し、基F’は同じ又は異なっていて、かつF’は−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−O(O)C(CH23−又は−O(O)O−(CH23−の系列から成る基を意味し、r’は1〜100、特に1又は2であり、かつg’は0又は1である)
が含まれ、
− かつ式III中のBは互いに独立に一価のアミノ官能基であることができ、特にBは式−(CH23-NH2、−(CH23−NHR’、−(CH23−NH(CH2)2-NH2及び/又は−(CH23-NH(CH2)2-NH(CH2)2-NH2のアミノプロピル官能基に相応し、ここで、R’は、1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝、又は環状アルキルであるか、又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基であり、
− Bはシクロアルキルアミノアルキル基、シクロヘキシルアミノアルキル基、例えば、シクロヘキシルアミノプロピル基であり、
− Bは、以下の一般式Va*又はVb*のアミノ官能基
R10h*NH(2-h*)[(CH2h(NH)]j[(CH2l(NH)]n−(CH2k− (Va*)
(Va*中、0≦h≦6;h*=0、1又は2、j=0、1又は2であり、0≦l≦6;n=0、1又は2;0≦k≦6、かつR10はベンジル基、アリール基、ビニル基、ホルミル基及び/又は1〜8個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基に相応する)、及び/又は
[NH2(CH2m]2N(CH2p− (Vb*)
(Vb*中、0≦m≦6かつ0≦p≦6である)
に相応することができる。
−Bは、エポキシ基及び/又はエーテル基、特に3−グリシドキシアルキル基、3−グリシドキシプロピル基、エポキシアルキル基、エポキシシクロアルキル基、エポキシシクロヘキシル基、ポリアルキルグリコールアルキル基又はポリアルキルグリコール−3−プロピル基、又はそれらの相応する開環エポキシド(ジオールとして存在する)に相応する。
【0055】
−Bは、ハロゲンアルキル基、例えば、R8*−Y’m’−(CH2s’−のようなものに相応し、ここで、R8*は1〜9個の炭素原子を有するモノ、オリゴ又はペルフルオロ化アルキル基であるか、又はモノ、オリゴ又はペルフルオロ化アリール基であり、その際に更にY’はCH2−基、O−基、アリール基又はS−基に相応し、かつm’=0又は1、かつs’=0又は2であり、かつ/又は
−Bは、スルファンアルキル基に相応してもよく、その際に前記スルファンアルキル基は、一般式VII’の−(CH2q’−X’−(CH2q’−(式中、q’=1、2又は3、X’=Sp’であり、ここでp’は鎖中に2〜12個の硫黄原子の分布で、平均して2もしくは2.18であるか、又は平均して4もしくは3.8である)に相応する。
【0056】
有機官能性シロキサンは、当業者に公知の方法により得ることができる。例えばEP0518057A1ならびにDE19624032A1、EP0518057又はUS5282998による方法により得られる。
【0057】
有利な有機官能性シランは式IIIである:
アルキルシラン、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−ブチル及びi−ブチル−トリメトキシシラン、n−及びi−ブチルトリエトキシシラン、n−及びi−ペンチルトリメトキシシラン、n−及びi−ペンチルトリエトキシシラン、n−及びi−ヘキシルトリメトキシシラン、n−及びi−オクチルトリメトキシシラン、n−及びi−オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−及びi−ブチルメチルジメトキシシラン、n−及びi−ブチルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン及びイソブチル−イソプロピルジメトキシシラン、ビニルシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルトリス−(2−メトキシエトキシシラン)、アミノアルコキシシラン、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノ官能性プロピルトリメトキシシラン及び3−(4,5−ジヒドロイミダゾリル)プロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、グリシドエーテル−もしくはグリシジルアルキル−官能性アルコキシシラン、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、フルオロアルキル官能性アルコキシシラン、例えば、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、アクリル−又はメタクリル官能性アルコキシシラン、例えば、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシ−2−メチル−プロピルトリメトキシシラン及び3−メタクリロキシ−2−メチル−プロピルトリエトキシシラン、メルカプト官能性アルコキシシラン、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びメルカプトプロピルトリエトキシシラン、スルファン−又はポリスルファン官能性アルコキシシラン、例えば、ビス(トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルファン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−テトラスルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−ジスルファン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−ジスルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−スルファン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−スルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−ペンタスルファン及びビス−(トリメトキシシリルプロピル)−ペンタスルファン。
【0058】
a.2)による理想的に表記された式IとIIに相応する有利な有機官能性シロキサン、特にオリゴマーのシロキサンは、鎖状及び/又は環状構造エレメントを有する線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能性シロキサンに一致し、これらは理想的な形で一般式IとII
【化2】

[式中、鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントの置換基Rは、有機基及び/又はヒドロキシ基から成り、かつ一般式Iのオリゴマーに関するオリゴマー化度mは、0≦m≦50、有利には0≦m≦30の範囲内、特に有利には0≦m≦20の範囲内であり、かつ一般式IIのオリゴマーに関しては、nは2≦n≦50、有利には2≦n≦30の範囲内である]
の両方により表され、その際に、架橋構造エレメントは、空間架橋されたシロキサン−オリゴマーを生じることができる。
【0059】
置換基Rは、殆ど又は実質的に有機基に相応するのが有利であり、有利には部分的にだけヒドロキシ基であるのが有利である。合理的には、多数の置換基Rがヒドロキシ基に相応するシロキサンを使用することができる。
【0060】
鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントの置換基Rは、互いに独立に以下の有機基に相応するのが有利である:1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基、アミノアルキル基、ハロゲンアルキル基、ポリエーテル基、アルケニル基、アルキニル基、エポキシ基、メタクリロキシアルキル基及び/又はアクリロキシアルキル基、及び/又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するウレイドアルキル基、メルカプトアルキル基、シアノアルキル基及び/又はイソシアノアルキル基、特に有利には、以下の有機基:1〜4個の炭素原子を有する線状及び/又は分枝アルコキシ基、有利にはメトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基及び/又はプロポキシ基、及び/又は式
−(CH23−NH2、−(CH23−NHR’、−(CH23−NH(CH22−NH2及び/又は−(CH23−NH(CH22−NH(CH22−NH2(式中、R’は1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝又は環状アルキル基であるか、又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基である)のアミノプロピル官能基、
1〜300の鎖長nを有する以下の式のポリエーテル
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−、及び/又は
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するイソアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3−メタクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フルオロアルキル基、ビニル基、3−グリシジルオキシプロピル基及び/又はアリル基に相応する。一般に有機基Rは互いに独立に先に定義した有機官能性基A及び/又はBに相応することもできる。
【0061】
式I及び/又はIIのシロキサンの有利なオリゴマー混合物は、Si/アルコキシ基≧0.5から成る比、特に有利には≧1を有する。有利には、オリゴマー混合物はn−プロピルエトキシシランを含み、その際、オリゴマー混合物は2〜6のオリゴマーのオリゴマー化度で、80〜100質量%のn−プロピルエトキシシロキサンを有する。その際に、一般式I及び/又は式IIのオリゴマーに関しては、nは1〜5及び/又はmは0〜4である。
【0062】
鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントを有するオリゴマーのオリゴマー化度は、分子あたりSi単位の数に相当する。式Iの場合には、オリゴマー化度はmの数に対して2個のSi単位だけ多く、かつ式IIの場合には1つのSi単位だけ多い。それぞれのシロキサン−オリゴマーの組成物は、モノマーのシロキサン単位の酸素原子が、2個のケイ素原子間で架橋形成剤として機能できるということを考慮に入れて生じる。従って、使用可能な酸素原子数により、個々のシロキサン単位の官能価も決定される;すなわちオルガノシロキサン単位は、モノ−、ジ−、トリ−及び部分的にテトラ官能性でもある。それに応じて、鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントを有するシロキサン−オリゴマーを構成するために存在する構成単位は、一官能性(R)3−Si−O[記号M]、二官能性−O−Si(R)2−O−[記号D]、三官能性(−O−)3SiR[記号Tを割り当てる]及び四官能性Si(−O−)4[記号Q]を含む。
【0063】
構成単位の表記法は、その官能価に従い記号M、D、T及びQを用いて行う。このような構成単位からオリゴマーが組み立てられる知識に基づき、逆に構造エレメントを推し量ることができる。この場合に構造エレメントは、オリゴマーの考え得る全体構造からの一片、又は混合物の形で理想的に表示されたオリゴマーの全体構造に相応する。従って、オリゴマーは鎖状からも環状及び/又は同時に架橋構造エレメントからも組み立てることができる。二者択一的に、オリゴマーのシロキサンは専ら鎖状又は環状又は架橋構造エレメントから組み立てられる。
【0064】
オリゴマーの有機官能性シロキサンは、カルボキシ化合物の存在で、特に式IVa、IVb及び/又は有機カルボン酸(R3は4〜22個の炭素原子、特に有利には8〜14個の炭素原子である)の存在で、基質の変性に使用できる。特に、卓越した方法で、これらは平滑で多孔性及び/又は粒子状の基質、特に構造部材、特にコンクリートのような無機基質及び多孔質の鉱質ファッサード原材料に撥水性を付与するために適切である。
【0065】
更に本発明による混合物は傑出した使用特性を有する。本発明によるオリゴマーシロキサン混合物を塗布する際、又は前記オリゴマーシロキサンが組み込まれた水性エマルションの形で組成物を塗布する際に、コンクリートに極めて良好な浸透深さ、ひいては簡単でかつ経済的な方法で卓越した深い含浸を達成することができる。本発明により処理された基質は、通常は色の変化を示さなかった。更に、本発明によるオリゴマーのシロキサンの混合物及びカルボキシ化合物は、通常は蒸発安定性であり、かつ水中で乳化する際に優れて貯蔵安定性であり、1年間の期間後に50%濃度の水性エマルションは使用可能である。また該混合物は、モノマーの有機官能性シラン及び/又はシロキサン及び/又はケイ酸エステルと一緒に既製の組成物として有利に使用できる。
【0066】
鎖状n−プロピルエトキシシランは、通常は以下の一般式VIII:
【化3】

[式VIIIのxは、オリゴマー化度を表している]
により具体的に説明できる。
【0067】
オリゴマー化度は、分子当たりのSi単位の数を示す。オリゴマー化度を決定するために、現在の手法に関して、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC−法)及び29Si-NMR法が使用される。本明細書では、例えば定義した全体のオリゴマーに対して、100質量%でオリゴマー混合物を表す場合には、この数値は現時点で約1%の検出限界に相応するオリゴマーである。
【0068】
また本発明の対象は、以下に挙げる化合物と一緒の本発明によるシロキサン−オリゴマー混合物のキットとしての使用であり、前記混合物は有機官能性シラン及び/又は有機官能性シロキサン及び/又はこれらの混合物及び/又は、特に少なくとも1つの有機官能性シランとのそれらの縮合精製物を含み、前記有機官能性シランは次の系列:アルキルシラン、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−及びi−ブチルトリメトキシシラン、n−及びi−ブチルトリエトキシシラン、n−及びi−ペンチルトリメトキシシラン、n−及びi−ペンチルトリエトキシシラン、n−及びi−ヘキシルトリメトキシシラン、n−及びi−オクチルトリメトキシシラン、n−及びi−オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−及びi−ブチルメチルジメトキシシラン、n−及びi−ブチルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン及びイソブチル−イソプロピルジメトキシシラン、ビニルシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルトリス−(2−メトキシエトキシシラン)、アミノアルコキシシラン、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピル−メチルジメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノ官能性プロピルトリメトキシシラン及び3−(4,5−ジヒドロイミダゾリル)プロピルトリエトキシシラン、グリシドエーテルもしくはグリシジルアルキル官能性アルコキシシラン、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、フルオロアルキル官能性アルコキシシラン、例えば、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、アクリル−又はメタクリル−官能性アルコキシシラン、例えばアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシ−2−メチル−プロピルトリメトキシシラン及び3−メタクリロキシ−2−メチル−プロピルトリエトキシシラン、メルカプト官能性アルコキシシラン、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びメルカプトプロピルトリエトキシシラン、スルファン又はポリスルファン官能性アルコキシシラン、例えば、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルファン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−テトラスルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−ジスルファン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−ジスルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−スルファン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−スルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−ペンタスルファン及びビス−(トリメトキシシリルプロピル)−ペンタスルファンから成る[ここで、有機官能性シロキサンは、混合物に対して特に0.5〜99.5%の濃度で存在していてよい]及び/又は次の系列から成る少なくとも1つの有機官能性シロキサンが使用される:
ビニル官能性シロキサン、ビニル−アルキル官能性シロキサン(共縮合物)、メタクリル官能性シロキサン、アミノ官能性シロキサン、アミノアルキル−アルキル官能性シロキサン、アミノアルキル−フルオロアルキル官能性シロキサン又は相応する共縮合物ならびに縮合物、例えばEP0590270A、EP0748357A、EP0814110A、EP0879842A、EP0846715A、EP0930342A、DE19818923A、DE19904132AならびにDE19908636Aから引用されるもの、及び/又は少なくとも1つのケイ酸エステル、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロピルシリケート、テトラブチルグリコールシリケートならびにエチルポリシリケート及び/又は少なくとも1つのオリゴマーケイ酸エステル、例えばDYNASYLAN(R)40又はDE2744726CならびにDE2809871Cも比較のこと。
【0069】
特に、本発明に関しては、シロキサン−オリゴマー又は共縮合物の上記特許文献の全体の開示を参照し、これらを専ら使用してもよい。
【0070】
本発明によるオリゴマーの有機官能性シロキサンの混合物は、EP0538555A1に記載されているように低粘性から高粘性の水性泥膏状のエマルションにおいて油相として使用するために適切である。従って、例えば乳化剤、炭酸ナトリウムのようなバッファー、増粘剤、殺虫剤、特に防カビ剤、殺藻剤と一緒にシロキサン含有混合物を水性エマルション中で使用できる。
【0071】
DE1518551A、EP0587667A、EP0716127A、EP0716128A、EP0832911A、EP0846717A、EP0846716A、EP0885895A、DE19823390AならびにDE19955047Aから引用できるように、特にシロキサン含有混合物は、少なくとも1つの水溶性シラン共縮合物と一緒に、及び/又はUS5112393、US3354022又はWO92/06101から引用できるように、少なくとも1つの場合により水溶性のフルオロ有機化合物と一緒に、及び/又は水乳化シリコンワックスと一緒に使用できる。
【0072】
本発明による変性すべき基質は、有利には少なくとも1つのHO基、MO基及び/又はO-−基を有し、通常は、これらは多くの相応する官能基により結合し、かつ有機材料、無機材料又はコンポジット材料でるか又はこれらをベースとする(Mは有機カチオン又は無機カチオンである)。Mはカチオンであることができ、例えば金属カチオン又は有機カチオンである。変性基質とは、Si−O−基質結合又はSi-O-Si結合の形成のような、例えば、シラノール及び/又はシロキサンの間の、例えば、加水分解された有機官能化シラン(III)、式IVa及び/又はIVbの加水分解されたケイ素前駆体化合物、シロキサン(式I及び/又はII)、シリケート、ケイ酸又は誘導体の間のSi−架橋であると解釈される。基質としては、縮合能力のある全ての官能化基質、特に、前記充填剤、担体材料、添加剤、顔料又は難燃性化合物が該当する。
【0073】
基質としては、有利には無機酸化及び/又はヒドロキシ基を有する化合物、例えば、シリケート、カルボネート、例えば、炭酸カルシウム、石膏、アルミネート、ゼオライト、金属、金属合金、酸化もしくは不動態化金属及び/又は合金、又は有機基質、例えば、ポリマーマトリックス、ポリマー、特に活性化(コロナ処理された)ポリマー、例えば、PE又はPP、又はポリマー、例えば、PE;PP、EVA、樹脂、例えば、エポキシド樹脂、アクリレート樹脂、フェノール樹脂、ポリマーマトリックスとしてのポリウレタン(それぞれ充填もしくは非充填)、コンパウンドとして、又は成形体、顆粒、ペレットの中間生成物の形で、ならびに当業者に周知の、通常の挙動を有しかつ/又は通常の粒子サイズの基質が使用される。
【0074】
基質は、平滑で、多孔性、粗性の及び/又は粒子状から完全な製品、構造部材、構造物の部分又は建築物であることができる。しかし基質は、例えば粉末、粉塵、砂、繊維、無機又は有機基質の薄片、例えば石英、ケイ酸、熱分解法ケイ酸、酸化ケイ素含有金属、酸化チタン及びその他の酸素含有チタン鉱物、酸化アルミニウム及びその他の酸化アルミニウム含有鉱物、水酸化アルミニウム、例えば水酸化アルミニウム(III)、酸化マグネシウム及び酸化マグネシウム含有鉱物、水酸化マグネシウム、例えば、水酸化マグネシウム(II)、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム含有鉱物、ガラス繊維、鉱物綿繊維に限ることなく、特にセラミック粉末、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、タングステンカーバイド、金属又は金属粉末、特にアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、銅、鉄ならびに金属合金、カーボンブラックであってもよい。
【0075】
本発明によれば、基質は、構造部材、ガラス、石英硝子、難燃剤(EP0970985及びEP955344の開示を完全に引用することにし、かつこれらの出願の内容を開示したことにする)、充填剤、担体材料、安定剤、添加剤、顔料、添加物及び/又は助剤であることができる。前記基質は、同様に、繊維、木材、紙、ボール紙、革、絹糸、綿のような有機物ならびに天然の有機基質、例えば植物繊維、例えばヒモ、亜麻の繊維、絹糸、木綿ならびに更に当業者に公知の有機基質であることができる。又は、無機基質、例えば花崗岩、モルタル、煉瓦、コンクリート、床、気泡コンクリート(Yton)、石膏、特に建築物保護の領域内の構造部材としてならびに更に当業者に公知の有機基質であることもできる。構造部材は、建築物、クラフト、芸術品の一部であるか、又は人造石、例えば人造大理石、人造花崗岩又は同様のものであることもできる。
【0076】
担体は、多孔質、粒子状、膨潤可能であるか又は場合により泡状で存在できる。担体材料として、特にPE、PP、EVAのようなポリオレフィン又はポリマーブレンドが適切であり、かつ充填剤として有利に強化、伸長ならびに難燃性にした無機又は鉱物性のものが適切である。担体は、更に焼成、沈降及び/又は粉砕されて存在することができる。担体材料及び充填剤は、後で個々に詳説することにする。例えば、気泡ガラスを基質として使用することもできる。担体材料は、例えばウォラストナイト、カオリンならびに焼成、沈降又は粉砕された変異体を含むことができる。
【0077】
有利には、本発明によれば以下の難燃剤を使用できる:
アンモニウムオルトホスフェート、例えば、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4又はそれらの混合物(例えば、FR CROS TM 282、FABUTIT TM 747S)、二リン酸アンモニウム、例えば、NH4H3P2O7、(NH4)2H2P2O7、(NH4)3HP2O7、(NH4)4P2O7又はこれらの混合物(例えば、ER CROS TM 134)、アンモニウムポリホスフェート、例えば、次のものに限定するわけではないがJ. Am. Chem. Soc. 91, 62(1969)から引用されるもの、例えば、結晶構造相1(例えば、FR CROS TM 480)を有するもの、結晶構造相2(例えば、FR CROS TM 484)を有するもの、又はこれらの混合物(例えば、FR CROS TM 485)、メラミンオルトホスフェート、例えば、C3H6N6.H3PO4.2C3PO4、2C3H6N6.H3PO4、3C3H6N6.2H3PO4、C3H6N6.H3PO4、メラミンジホスフェート、例えば、C3H6N6.H4P2O7、2C3H6N6.H4P2O7、3C3H6N6.H4P2O7、又は4C3H6N6.H4P2O7、メラミンポリホスフェート、メラミンボレート、例えばBUDIT TM 313、メラミノイアヌレート(melaminoyanurate)、例えば、BUDIT TM315、メラミノボロホスフェート、メラミン−1,2−ホスフェート、メラミン−1,3−フタレート、メラミン−1,4−ホスフェートならびにメラミノキサレート。
【0078】
充填剤として、有利には無機又は鉱物性材料を使用できる。これらは有利な方法で、強化、伸長ならびに難燃性として作用する。これらは、その表面上にシラノールのアルコキシ基、ヒドロキシ基、又は式I及び/又は式IIの不飽和シラン化合物又は加水分解された化合物と反応できる基を少なくとも有する。これにより、結果としてケイ素原子と、これに結合した官能基は表面上で化学的に固定することができる。充填剤の表面上のこのような基は、特にヒドロキシル基であることができる。有利に使用される充填剤は、相応して化学当量分を有する金属水酸化物であるか、又はその種々の脱水工程において、酸化物になるまで化学当量分のヒドロキシル基が比較的に僅かに残るが、しかしDRIFT-IR−スペクトロスコピー又はNIR−スペクトロスコピーにより検出可能なヒドロキシル基である。
【0079】
特に有利に使用される充填剤は、アルミニウムトリヒドロキシド(ATH)、酸化水酸化アルミニウム(AlOOH、aq)、水酸化マグネシウム(MDH)、ブルーサイト、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、雲母及びモンモリロナイトである。更に、充填剤として、炭酸カルシウム、タルクならびにガラス繊維を使用できる。更に、いわゆる"char former"、例えば、アンモニウムポリホスフェート、錫酸塩、ボレート、タルク又は他の充填剤との組合せ物を使用できる。本発明によれば、表面変性された充填剤は、有利には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チョーク、白雲母、タルク、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、雲母、ケイ酸ならびに二酸化チタンである。
【0080】
安定剤及び/又は更なる添加剤及び/又は添加物又はこれらの混合物として、例えば以下のものを使用できる。安定剤及び/又は更なる添加剤として、場合により金属不活性化剤、加工助剤、無機又は有機顔料、粘着剤を使用できる。これらは、例えば、酸化チタン(TiO2)、タルク、クレイ、石英、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ベントナイト、モンモリロナイト、雲母(マスコバイトマイカ)、炭酸カルシウム(チョーク、ドロマイト)、染料、タルカム、カーボンブラック、SiO2、沈降ケイ酸、熱分解法ケイ酸、酸化アルミニウム、例えばα及び/又はγ−酸化アルミニウム、酸化水酸化アルミニウム、ベーマイト、重晶石、硫酸バリウム、石灰石、シリケート、アルミネート、ケイ酸アルミニウム及び/又はZnO又はこれらの混合物である。有利には、添加剤、例えば、顔料又は添加物は、粉末状、粒子状、多孔質で膨潤可能又は場合により泡状で存在する。
【0081】
二者択一的に、担体材料はナノスケールであってよい。有利な担体材料、充填剤又は添加剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解法ケイ酸、沈降ケイ酸、ウォラストナイト、焼成変異体、化学及び/又は物理的に変性した、例えば、カオリン、変性カオリン、特に粉砕され剥離作用物質、例えば、層状ケイ酸塩、有利には特にカオリン、ケイ酸カルシウム、ワックス、例えば、PE-LD("低密度ポリエチレン")をベースとするポリオレフィンワックス、又はカーボンブラックである。
【0082】
担体材料は、ケイ素含有前駆体化合物及び/又は有機官能性シラン化合物をカプセル封入して保持するか、又は物理もしくは化学的に結合して保持することができる。この場合に、負荷又は負荷していない担体材料は膨潤可能である場合が望ましい。
【0083】
個々に有利な担体材料を言及する:ATH(水酸化アルミニウム、Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)又は熱分解法ケイ酸、これは工業的規模で、爆鳴気フレーム中で四塩化ケイ素を連続的に加水分解することにより製造される。この場合に、四塩化ケイ素が蒸発し、引き続きフレーム中で爆鳴気反応から生じる水と自発的かつ定量的に反応する。熱分解法ケイ酸は、青味がかったゆるい粉末の形の二酸化ケイ素が非晶質変性したものである。粒子サイズは、通常は数ナノメーターの範囲内であり、従って比表面積は、大きくかつ一般的に50〜600m2/gである。ビニルアルコキシシラン及び/又はケイ素含有前駆体化合物又はこれらの混合物の吸収は、実質的に吸着による。沈降ケイ酸は、一般的に苛性ソーダガラス溶液から無機酸での中和により制御された条件下に製造される。液相を分離し、洗い流しかつ乾燥させた後に粗生成物は、例えば蒸気噴射ミル中で細かく粉砕される。また沈降ケイ酸は、通常50〜150m2/gの比表面積を有する十分に非晶質の二酸化ケイ素である。沈降ケイ酸は、熱分解性ケイ酸に対してある程度の、例えば約10体積%の多孔性を有する。従って、ビニルアルコキシシラン及び/又はケイ素含有前駆体化合物又はこれらの混合物の吸収は、表面での吸着によっても孔内での吸収によっても行うことができる。ケイ酸カルシウムは工業的に石英又は珪藻土と炭酸カルシウムもしくは酸化カルシウムと一緒に溶融することにより、又はメタケイ酸ナトリウム水溶液を水溶性カルシウムで沈殿させることにより製造できる。綿密に乾燥させた生成物は通常は多孔質であり、かつ水又は油を5倍の重量まで吸収できる。
【0084】
同様に、担体材料としてポリプロピレン、ポリオレフィン、炭素数の少ないアルケンとのエチレン−コポリマー、エチレン−ビニルアセテート−コポリマー、高密度を有するポリエチレン、僅かな密度を有するポリエチレン又は僅かな密度を有する線状ポリエチレンの系列から選択される多孔質ポリマーが適切である。その際に、多孔質ポリマーは、30〜90%の孔体積を有することができ、かつ特に顆粒化されるか又はペレットの形で使用できる。
【0085】
担体材料として、多孔質ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)ならびにコポリマー、例えば炭素数が少ないアルケンとのエチレンコポリマー、例えばプロペン、ブテン、ヘキセン、オクテン、又はエチレンビニルアセテート(EVA)も適切であり、これらは特殊な重合技術及び重合法により製造される。粒子サイズは、一般的には3〜<1mmの範囲内であり、かつ多孔度は50体積%を上回るので、生成物を適切な方法で、特に大量のカルボキシ化合物IVa及び/又はIVb及び/又は式IIIのシラン及び/又は式I及び/又はIIのシロキサン又はこれらの混合物を吸収できるが、但しその流動特性を損じることはない。このように負荷された担体材料は、本発明によるキットを含むことができる。
【0086】
ワックスとして、特に"低密度ポリエチレン"(PE-LD)をベースとする、有利には分枝した長い側鎖を有するものをベースとするポリオレフィンワックスが適切である。この融点及び凝固点は、通常は90〜120℃の間である。ワックスは、通常は低粘度の溶融物中で、カルボキシ化合物及び/又は有機官能性シラン及び/又は有機官能性シロキサン又はこれらの混合物と良好に混合できる。凝固混合物は、一般的に十分に硬化するので、これらを顆粒化することができる。特に、本発明によるキットはこのような混合物を顆粒化して有する。
【0087】
カーボンブラックは、その種々の取り扱いの形で、例えば黒いケーブル被覆を製造するために適切である。
【0088】
例えば本発明によるキット中で(乾燥体−液体)として使用するための変性又は担持された基質の製造に関して、例えば有機官能性シラン及び/又は有機官能性シロキサン及び/又はカルボキシ化合物、例えば、有機官能性シランカルボキシシラン、例えば、ミリスチン酸もしくはラウリン酸のビニルシランカルボキシレートと担体材料、又はビニルシランステアレートと担体材料、又はテトラカルボキシシラン及びビニルアルコキシシランと担体材料から生じるものは、特に以下の方法が提供できる。
【0089】
公知の方法には噴霧乾燥がある。以下に、二者択一的な方法を詳説する:鉱物性担体又は多孔質ポリマーを通常は、例えば加熱オーブン中で60℃まで予め温め、かつ乾燥窒素でパージし、かつ充填しておいた円筒形容器に添加する。引き続き一般的に、シラン及び/又はシロキサン及び/又はカルボキシ化合物を添加し、かつ容器をロール装置中に置き、これを約30分間回転に課す。この時間後に、通常は担体材料と液体で高粘度の又はワックス状のシラン、シロキサン及び/又はカルボキシ化合物、例えば、カルボキシシランからは、さらさらに表面乾燥された顆粒が形成され、合理的には窒素下に光透過性容器に置かれる。二者択一的に、加熱した担体材料を乾燥窒素でパージしかつ充填したミキサー中、例えば、レーディゲ(LOEDIGE)タイプのブレードミキサー又はHENSCHELタイプのプロペラーミキサーに添加する。この混合産物は運転中に取り出してもよく、かつ有機官能性シラン及び/又は有機官能性シロキサン及び/又はカルボキシシラン、特に式IVa、又はこれらの混合物は最大の混合性が達成された後に、ノズルを介して噴霧される。添加を終了した後に、一般的になお約30分間ホモジナイズし、かつこの後に生成物を例えば、乾燥窒素で運転される空気圧による搬出により、窒素で充填された光透過性容器に移す。
【0090】
90〜120℃又はそれ以上の融点を有するペレット化された形のワックス/ポリエチレンワックスを、撹拌機、還流冷却器及び液体供給装置を備えた加熱可能な容器内で少しずつ溶融し、かつ溶融液体の状態で保持した。全体の製造プロセスの間に、適切な方法で乾燥窒素を装置を介して通す。液体供給装置により、例えば、液体プロピルカルボキシシラン、ビニルカルボキシシラン、プロピルシロキサン又は混合物を溶融物中に次々に加え、かつ強力な撹拌によりワックスと混合する。通常、この後に溶融物は成形において凝固物になり、排出されて、かつ凝固生成物を顆粒化する。二者択一的に、溶融物を冷却した成形バンド上に滴下し、この上で使用しやすいパステル型に凝固することもできる。
【0091】
本発明の実施態様によれば、表面変性された難燃剤を製造することができる。意外にも簡単で、経済的で、かつ同時に環境を汚染しない方法で、表面処理された難燃剤が得られることが見出された。前記方法は、有機官能性シラン又は有機官能性シランの混合物又はオリゴマーの有機官能性シロキサン又はオリゴマーシロキサンの混合物、又はモノマーの有機官能性シラン及び/又はオリゴマーの有機官能性シロキサンをベースとする溶剤含有の調製物、又は水溶性有機官能性シロキサンをベースとする調製物を、粉末状の難燃剤上に塗布し、かつこの難燃剤を被覆の間に、本発明により使用可能なカルボキシ化合物の存在で動かし続ける。
【0092】
適切な方法で、被覆剤を処理すべき難燃剤の流動化床に直接に滴下し、蒸発濃縮又は噴霧し、その際に、被覆剤は通常は難燃剤の表面と反応し、かつこのように粒子が覆われる。ここで、凝縮水ならびに場合により少量のアルコールが凝縮又は加水分解により生じ、これは自体公知の方法で排気精製、例えば、凝縮又は触媒的もしくは熱的後燃焼によりプロセス排気と一緒に加えられる。
【0093】
本発明によるカルボキシ化合物に基づき、殆ど媒体不含である被覆を行うのが有利であり、これはカルボキシ化合物の分散性又はホモジナイズ性に基づき、実質的に更なる溶剤が無くてもよい。溶剤としては、ペンタン、エタノール、メタノール、キシロール、トルエン、THF、酢酸エステルが挙げられる。有機官能性シロキサン及び/又は有機官能性シランをベースとする糊状又は固体の調製物を使用することは、経済的で、かつ環境を汚染しない。少量の溶剤を使用するか、又は溶剤を何も添加しないのが有利である。更に、プラントの爆発が生じずに済む。更に本方法の場合には濾過残留物及び洗浄水が生じない。
【0094】
従って本発明の対象は、基質、特にカオリンのような無機充填剤、TiO2及び顔料の表面を変性するための方法であり、本発明による方法を難燃剤を例に詳説するが、この方法に限定されるわけではない。
【0095】
以下に、ケイ素含有被覆剤で粒子を覆うことにより、難燃剤で基質の表面を変性する方法を説明する。前記方法は、シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒としての本発明によるカルボキシ化合物の存在で、有機官能性シラン、又は有機官能性シランの混合物、又はオリゴマーの有機官能性シロキサン、又は少なくとも2つの化合物の混合物、又はモノマーの有機官能性シラン及び/又はオリゴマーの有機官能性シロキサンをベースとする溶剤含有調製物、又はシロキサンをベースとする調製物を、特に粉末状の難燃剤上に塗布し、かつ被覆の間に難燃剤を動かし続ける。
【0096】
本発明による方法では、難燃剤の量に対して、ケイ素含有被覆剤を有利には0.05〜10質量%、特に有利には0.1〜3質量%、とりわけ有利には0.1〜2.5質量%、更に有利には0.5〜1.5質量%使用する。
【0097】
特に、被覆剤を0〜200摂氏(℃)の温度で10秒から2時間の間、有利には20〜100摂氏(℃)の温度で30秒〜10分の間、特に有利には30〜80摂氏(℃)の温度で1〜3分間の間塗布する。
【0098】
適切な方法で、本発明による方法では、被覆剤で覆われた基質、特に充填剤又は難燃剤を、熱の作用下もしくは僅かな圧力下に、又は同時に熱を作用させながら僅かな圧力下に後処理する。
【0099】
被覆剤で覆われた基質、特に充填剤又は難燃剤のこのような後処理は、0〜200摂氏(℃)の温度で、特に有利には80〜150摂氏(℃)の温度で、とりわけ有利には90〜120摂氏(℃)の温度で行うのが有利である。
【0100】
本発明による方法は、適切な方法で流動する空気中、又は流動する不活性ガス、例えば、窒素、二酸化炭素中で実施される。
【0101】
更に、本発明による方法は、被覆及び場合により引き続き覆われた基質、特に充填剤又は難燃剤の乾燥を、1回又は複数回繰り返して行うことができる。
【0102】
本発明による方法の際に、1〜100μm(ミクロメーター)、特に有利には2〜25μ、とりわけ有利には5〜15μmの平均粒子サイズ(d50−値)を有する基質、特に担体材料、充填剤又は難燃剤が使用される。
【0103】
合理的には、本発明による方法の際に、アルコールの含有量が全体の調製物に対して0.5質量%以下であり、かつ2〜6又は8〜12のpH値を有する溶剤含有調製物が使用される。
【0104】
更に、以下の有機官能性シラン、例えば、アミノアルキル−、又はエポキシアルキル−、又はアクリロキシアルキル−、又はメタクリロキシアルキル−、又はメルカプトアルキル−又はアルケニル−、又はアルキル官能性アルコキシシランを使用するのが有利である。その際に、予め挙げた炭化水素単位は、有利に1〜8個の炭素原子を含有し、かつアルキル基は、線状、分枝又は環状の形で存在することができる。特に有利な有機官能性アルコキシシランは次の物である:
3−アミノプロピル−トリアルコキシシラン、3−アミノプロピル−メチル−ジアルコキシシラン、シクロヘキシル−アミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシル−アミノプロピル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリアルコキシシラン、3−アクリロキシプロピル−トリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチル−ジアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、プロピルトリアルコキシシラン、ブチルトリアルコキシシラン、ペンチルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、ヘプチルトリアルコキシシラン、オクチルトリアルコキシシラン、プロピル−メチル−ジアルコキシシラン、ブチル−メチル−ジアルコキシシラン、及びアルコキシ基、特にメトキシ−、エトキシ−又はプロポキシ基。
【0105】
オリゴマーの有機官能性シロキサンとして、本発明によれば特にEP0518057A1ならびにDE19624032 A1から由来するものを使用できる。使用する場合には、置換基として(i)アルキル基及びアルコキシ基、特に1〜24個の炭素原子及び1〜3個の炭素原子を有する線状、分枝又は環状アルキル基、又は(ii)ビニル基及びアルコキシ基、及び場合によりアルキル基、特に1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ基、及び場合により1〜24個の炭素原子を有する線状、分枝又は環状アルキル基を有するものを有利に使用できる。その際に、前記オリゴマーのオルガノアルコキシシロキサンは、有利には2〜50、特に有利には3〜20のオリゴマー化度を有する。
【0106】
この場合に、オリゴマーのビニル官能性メトキシシロキサン、例えば、DYNASYLAN(R) 6490又はProtecsosil(R)、又はオリゴマーの、プロピル官能性メトキシシラン、例えばDYNASYLAN TM BSM 166を使用するのが特に有利である。
【0107】
適切な方法で、モノマーの有機官能性アルコキシシラン及び/又はオリゴマーの有機官能性アルコキシシランをベースとする溶剤含有調製物を使用することもでき、その際に、これらは有利にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及び/又は水を溶剤として含有する。このような溶剤含有調製物は乳化剤を含有していてもよい。
【0108】
一般的に、本発明による方法は以下のように行うことができる:
通常は液体の被覆剤を、ガスの供給により流動化された粉末状の難燃剤、例えばアンモニウムポリホスフェートから成る床に直接にもたらすことができる。
【0109】
通常は、この場合に難燃剤の粒子が被覆剤で覆われ、その際に、被覆剤は難燃剤の表面と反応し、かつ加水分解アルコール又は凝縮水を遊離できる。
【0110】
このように処理された難燃剤は、被覆剤を塗布した後に、場合により以下の混合工程の際に、例えば、乾燥した温かい空気の供給ならびに圧力の減少によりなお付着している加水分解アルコールもしくは凝縮水から除去される。
【0111】
これまで公知の被覆方法では有機溶剤中で処理されていたのに対して、本発明による方法では、一般に費用をかけずに取り扱い可能であるか又は特に環境に負荷を与える助剤が必要ではない。
【0112】
更に、本発明は以下の方法の実施を含む:
被覆すべき難燃剤を適切な装置内の流動床中に移す。これは、例えば、ある程度の高速回転ミキサー又は同様の装置であることができ、その際に、載せた粉末状の難燃剤は適切な方法で持続的に動かしたままであり、かつ個々の粒子を互いにに連続して接触させて行われる。更に、装置に、ガス、例えば、空気、窒素又はCO2を供給することもでき、その際に、前記ガスは場合により予め加熱されている。更に、例えば加熱可能な装置を使用することができる。
【0113】
被覆剤は、できるだけ均質に分布させて流動化材料中に入れるのがよい。これは、流動化材料への被覆剤のノズル注入又は滴下又は噴霧により行うことができる。
【0114】
塗布すべき被覆剤の量は、一般的には被覆すべき難燃剤の使用目的に左右され、かつこれは大抵は被覆すべき難燃剤の大きさと比表面積ならびに被覆すべき難燃剤の量による。その際に例えば難燃剤の比表面積:被覆剤の特異的架橋面の比は、分子被覆に対する基準値として取り入れることができる。
【0115】
本発明による方法では、表面変性された難燃剤は、簡単で、経済的かつ環境を汚染しない方法で得られるだけではなく、未処理の難燃剤又は他の被覆剤で処理した難燃剤と比べて僅かな水溶性を有し、かつポリマー材料中で更に加工する場合に有利な特性、例えば、大量の難燃剤を添加する可能性(充填度)、容易な挿入性及び物理データの僅かな影響を有する。
【0116】
同様に本発明の対象は、本発明による方法により得られる表面変性された難燃剤である。
【0117】
本発明による方法による表面処理ならびに安定化された難燃剤は、特に有利な作用で多くの可燃性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びそれらのコポリマー、例えば、ABS、SAN、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリアミド、樹脂、例えば、エポキシド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、フラン樹脂、ポリウレタンならびに天然又は人工ゴムに挿入することができる。
【0118】
しかし本発明による表面処理された難燃剤は、可燃性材料の膨潤被覆に有利な方法で使用することもできる。
【0119】
可燃性の天然材料、例えば、木材、木片、紙は本発明により得られる難燃剤で、防火性又は難燃性に仕上げられるか、又は本発明による難燃剤を含有する分散剤で膨潤被覆できる。
【0120】
また、本発明による難燃剤はハロゲンの無いことも有利であり、ひいては環境を汚染しないことが益々要求される需要が前記難燃剤から製造される製品に対して満たされる。
【0121】
従って、本発明の対象は、ポリマー化合物における本発明による難燃剤の使用、及び可燃性天然材料を難燃性に仕上げるための本発明による難燃剤の使用でもある。
【0122】
また本発明の対象は変性基質であり、その際に、変性基質、特にその外表面及び/又は内表面は、少なくとも1つの有機官能性ケイ素化合物でならびに場合により有機官能性カルボキシ化合物の少なくとも1つの反応生成物で変性される。変性基質の製造は、前記難燃剤の被覆と同様に行うことができる。従って方法によっては、難燃剤の代わりに他の基質が使用される。
【0123】
基質がシラン、シロキサン及びカルボキシ化合物の使用下に初めて製造される場合には、基質をそのままの形で、すなわち材料として変性するのが有利である。1例としては、石膏又は石膏プレートの製造である。
【0124】
有機酸のケイ素含有前駆体化合物、特に一般式IVa及び/又はIVb、有機酸、及び/又は有機酸のケイ素不含前駆体化合物のグループから選択される少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の存在で、少なくとも1つの有機官能化シラン、特に一般式IIIのシラノール、有利には式IIIのアルコキシシラン;及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン、特に理想的な一般式I及び/又はIIを反応させた反応生成物の有機官能性ケイ素化合物で変性された基質が特に有利である。
【0125】
有利には、本発明により変性された基質を得るために上記シラン、シロキサン、有機酸及び/又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物が使用される。変性とは官能化された基質に当てはまり、その際に官能化は超分子相互作用、特に水素架橋結合、及び本発明によるSi−O−基質の共有結合、又はSiと基質の間のその他の共有架橋により行われ、特に有機官能性ケイ素化合物は共有結合し、かつ有機官能性カルボキシ化合物の反応生成物は共有結合及び/又は超分子により基質に結合する。
【0126】
本発明による基質は、
a.1)一般式III
(B)bSiR4a(OR5)4-b-a (III)
[式中、
bは互いに独立に0、1、2又は3であり、かつ
aは0、1、2又は3であるが、但し式III中、b+aは3以下(≦)であり、かつ
Bは互いに独立に式III中の1価の有機官能基を表し、その際、Bは前記の定義の意味を有する、
R5は互いに独立にメチル、エチル、n−プロピル及び/又はイソプロピルであり、
R4は互いに独立に置換又は非置換の炭素含有基であり、特に炭化水素基である]
の少なくとも1つのアルコキシシラン、及び/又は
a.2)鎖状及び/又は環状構造エレメントを有する、少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン、その際、前記シロキサンは理想的な形で一般式IとII
【化4】

(鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントの置換基Rは、有機基及び/又はヒドロキシ基から成り、かつ一般式Iのオリゴマーに関するオリゴマー化度mは、0≦m≦50、有利には0≦m≦30の範囲内、特に有利には0≦m≦20の範囲内であり、かつ一般式IIのオリゴマーに関しては、nは2≦n≦50、有利には2≦n≦30の範囲内であり、その際に置換基Rは上記に定義した意味を有する)の両方により表されている、ここで、架橋した構造エレメントは空間架橋されたシロキサン−オリゴマーを生じることができる、及び/又は
a.3)前記式I、II及び/又はIIIの少なくともとも2つの混合物、及び/又はそれらの縮合物及び/又は共縮合物及び/又はブロック共縮合物又はこれらの混合物を、
− 基質の存在で、かつ
− 次のグループから選択される有機官能性カルボキシ化合物:
b.1)一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2)u(A)ySi−A−Si(A)y(R2)u(OR13-y-u (IVb)
[式中、
zは互いに独立に0、1、2又は3であり、
xは、0、1、2又は3であり、
yは、0、1、2又は3であり、かつ
uは、0、1、2又は3であるが、但し式IVa中、z+xは3以下(≦)であり、かつ
式IVb中、y+uは、独立に2以下(≦)である
− 式IVa及び/又はIVb中、Aは互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ
式IVb中の2価の基としてのAは、2価の有機官能基を表し、
−R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は、1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、特に炭化水素基であり、
−R2は、互いに独立に炭化水素基であり、その際に、z、x、y、u、A、R2、R1は、上記の意味を有する]
の有機酸のケイ素含有前駆体化合物、及び/又は
b.2)次のグループ
iii.a)4〜45の炭素原子を含有するカルボン酸、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然もしくは合成アミノ酸
から選択される有機酸、及び/又は
b.3)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、例えば有機カチオンの無水物、エステル、ラクトン、塩、特に天然又は合成トリグリセリド及び/又はホスホグリセリド(酸及び/又は前駆体化合物は前記定義に相応する)
の存在で反応させた反応生成物の有機官能性ケイ素化合物で変性される。
【0127】
上記の実施態様に相応して変性は、基質と有機官能性ケイ素化合物及び/又は有機官能性カルボキシ化合物の反応生成物の共有結合及び/又は超分子架橋、特に前記カルボキシ化合物と基質の反応により得られるカルボキシ化合物の反応生成物の共有結合及び/又は超分子架橋を意味する。
【0128】
本発明による基質は、HO基、MO基及び/又はO-−基、ならびに多数の基質−O−ケイ素−有機官能性化合物を有し、かつ有機材料、無機材料又はコンポジット材料である。本発明による基質ならびにMの意味は先に挙げた通りである。
【0129】
本発明の対象は、粘着組成物及びシール剤としてのシラン末端化された、特にその金属含有量が減少した有利には金属不含ポリウレタンである。その際に、これは少なくとも1つの脂肪族第一級又は第二級アミノアルコキシシラン及び/又は一般式VIa及び/又はVIb、
(R6n’NH(2-n’)(CH2m’Si(R7v’(OR6(3-v’) VIa
(R6n’NH(2-n’)CH2CH(R7)CH2Si(R7v’(OR8(3-v’) VIb
(式中、R6は1〜18個の炭素原子を有する線状又は分枝のアルキル基であり、R7は独立にメチル基であり、かつR8は独立にメチル基、エチル基又はプロピル基であり、v’は、0又は1であり、n’は0又は1であり、かつm’は0、1、2又は3であり、特にm’は3である)
、特に一般式Va、又は一般式Vbの脂肪族第一級又は第二級アミノアルコキシシラン(n’は1である)、とりわけ式VIa及び/又は一般式VIbの第二級アミノアルコキシシランと、ポリウレタンプレポリマーとの反応に基づくか、もしくはこの後に得られ、更なる工程では加水分解及び/又は縮合、特にアルコキシ基の加水分解及び/又は縮合、又は場合によりポリウレタンの架橋は、前記の定義に相応するカルボキシ化合物の存在で、特にシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として、及び/又はポリウレタン架橋触媒として行われる。
【0130】
建築術では、個々の構造部材の間での変動の調整に接合箇所が利用されている。これは例えば熱膨張又は設置過程により引き起こされる。通常は、接合箇所を閉じるために、例えばDIN EN ISO 11600による接着剤が使用される。密閉機能の他に、接着剤は弾性変形による変動も調整しなくてはならない。この接着剤を製造するためのベースポリマーとして、シリコーン、アクリレート、ブチルゴム、ポリスルフィド、ポリウレタン及びMS−ポリマーが使用される。シラン架橋ポリウレタンはこの用途にとって新規である。
【0131】
第一級、有利には第二級アミノシランとイソシアネート含有ポリウレタンプレポリマーの反応は、水分で架橋できるシラン末端化ポリウレタンを生じる。相応するシール剤及び粘着組成物の架橋は、触媒の添加により促進することができる。本発明によるカルボキシ化合物、例えば、有機酸及び/又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物、特に式IVa及び/又はIVbは、架橋を促進する相応の触媒である。
【0132】
従来のイソシアナト含有ポリウレタンプレポリマーは、一般的にポリオール(大抵はエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドから構成される)と、脂肪族又は芳香族イソシアネートから得られる。
【0133】
金属触媒、特に錫触媒の不在で、一般式(VIa)又は(VIb)の脂肪族第二級アミノシランとイソシアナト含有ポリウレタンプレポリマーの反応により無色の低粘性シラン末端化ポリウレタンを生じることが見出された。金属触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)は、本発明のシラン末端化反応には不必要である。このことは利点である。それというのも、特に錫の含有量が高いと−NR−CO−NR−基の熱的分離が促進されるからである。
【0134】
本発明によれば、シラン末端化ポリウレタンと、触媒としてのカルボキシ化合物を反応させ、特に粘着組成物及びシール剤にする。
【0135】
低粘性の金属不含シラン末端化ポリウレタンは、簡単かつ経済的な方法で更なる添加剤、例えば充填剤、軟化剤、チキソトロピー剤、安定剤、顔料などと一緒に、接着剤及びシーラントに成形される。
【0136】
更に、本発明により製造されるシラン末端化ポリウレタン−シール剤及び粘着組成物は、特に環境を汚染しない。それというのも、実質的に金属触媒の残分を有さない、すなわち金属不含であるからである。
【0137】
同様に、カルボキシ化合物の存在で金属含有架橋触媒を使用するのが有利である。カルボキシ化合物の存在で、ジブチル錫のような金属含有架橋触媒又は他の通常の架橋触媒を、シール剤の全体量に対して0.06質量%以下〜0質量%だけ使用するのが有利である。上記定義によるカルボキシ化合物の存在で、全体のシール剤に対して0.01質量%以下〜0質量%まで、特に有利には0.005〜0質量%まで金属含有架橋触媒の量を減らすのが有利である。
【0138】
シラン末端化ポリウレタンを製造する際に、以下の反応スキーム:
プレポリマー−NCO+nBu−NH−(CH23−Si(OMe)3
プレポリマー−NH−CO−nBuN−(CH23−Si(OMe)3
により、ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基が、一般式(VIa)又は(VIb)の脂肪族第二級アミノシランと、有利にはDYNASYLAN(R)1189と迅速に反応するのが有利である。
【0139】
不所望な副反応も考え得るが望ましくない。それというのも、粘度を上昇するからであるが、第二級アミノシランの場合には方法において鎖伸長が観察されず、それにより効果的であり、したがって有利に抑えられる。
プレポリマー−NH−CO−nBuN−(CH23−Si(OMe)3+プレポリマー−NCO→
プレポリマー−N(CO-NH-プレポリマー)−CO−nBuN−(CH23−Si(OMe)3
【0140】
従って、本発明の対象は、粘着組成物及びシール剤としての、金属不含の、特に錫不含のシラン末端化ポリウレタンである。
【0141】
更に、本発明の対象は、金属触媒の不在で、
一般式(VIa)
R’’−(NH−(CH23Si(R1’x(OR2’(3-x) VIa
の少なくとも1つの脂肪族第二級アミノアルキルアルコキシシラン(例えば、n’=1)、又は一般式(VIb)
R’’−(NH−CH2−CH(R1’)−CH2−Si(R1’x(OR2’(3-x) VIb
の少なくとも1つの脂肪族第二級アミノアルキルアルコキシシラン(n’=1)と、ポリウレタンプレポリマーの反応により得られる、金属不含のシラン末端化ポリウレタンである。前記式(VIa)と(VIb)中、R’’は1〜18個の炭素原子、有利には1〜6個の炭素原子を有する線状、分枝又は環状(例えば、シクロヘキシル)アルキル基であり、R1’は、メチル基であり、かつR2’は、メチル基又はエチル基であり、かつx’は、0又は1である。その際に、前記ポリウレタンプレポリマーは少なくとも1つの末端のイソシアナト基を有し、ここで、もう1つの工程では前記定義に相応するカルボキシ化合物の存在で架橋が行われる。
【0142】
二者択一的に、式(IVa)及び/又は(IVb)中、n’=0であることができ、この場合には第一級アミンである。
【0143】
特に、錫触媒の不在で、脂肪族第二級アミノアルキルアルコキシシランと、ポリウレタンプレポリマーの反応が実施される。錫触媒として、従来技術によれば通常のジブチル錫ジラウレート(DBTL)又は他のジアルキル錫ジカルボキシレート化合物が使用される。
【0144】
この場合に、有利には第二級アミノアルキルアルコキシシランとして、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピル−メチルジエトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノ−2−メチル−プロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノ−2−メチルプロピルトリエトキシシラン又はN−(n−エチル)−3−アミノ−2−メチル−プロピルトリメトキシシランが使用される。
【0145】
ポリウレタンプレポリマーとは通常は、ジオール、例えば、いわゆるポリエーテルポリオール、例えば、末端のヒドロキシル基及び200〜2000g/molの分子量を有するポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドから成る反応生成物、又はポリオール、すなわちポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオール、もしくはそれらの混合物及び少なくとも1つのジイソシアネートから成る反応生成物を指す。この場合に、通常は過剰のジイソシアネートが使用されるので、ポリウレタンプレポリマーは末端のイソシアナト(NCO)−基を含有する。ポリウレタンプレポリマーのジオール/ポリオール成分は、著しくバリエーション可能な分子量を有するポリエーテル構造もポリエステル構造も有することができる。
【0146】
ジイソシアネートとして、適切な方法で脂肪族、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDH)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)も、芳香族化合物、例えば、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)も使用できる。
【0147】
脂肪族ジイソシアネート、有利にはイソホロンジイソシアネート(IPD)又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をベースとするポリウレタンプレポリマーが更に有利である。芳香族ジイソシアネートをベースとするポリウレタンプレポリマーとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が有利である。
【0148】
更に、本発明の対象は、金属不含のシラン末端化ポリウレタンの粘着組成物及びシール剤を製造する方法であり、その際に、金属触媒の不在で、上記定義による一般式(VIa)の少なくとも1つの脂肪族第一級及び/又は第二級アミノアルキルアルコキシシラン、又は上記定義による一般式(VIb)の少なくとも1つの脂肪族第一及び/又は第二級アミノアルキルアルコキシシランと、ポリウレタンプレポリマーを反応させ、その際に、前記ポリウレタンプレポリマーは少なくとも1つの末端のイソシアナト基を有し、ここで、更なる工程では前記定義に相応するカルボキシ化合物の存在で架橋が行われる。
【0149】
更に、本発明の対象は、本発明による、特に金属不含の有利には錫不含のシラン末端化ポリウレタン粘着組成物及びシール剤を製造するための、一般式(VIa)又は(VIb)の少なくとも1つの脂肪族第一級及び/又は第二級アミノシランと一緒のカルボキシ化合物の使用である。
【0150】
一般的に、この方法は以下のように行われる:プレポリマーを製造するために、例えば、ポリエーテルジオール及びポリエーテルトリオールから成る水不含の混合物を、約30〜40摂氏(℃)でジイソシアネートと混合させる。
【0151】
保護ガスで覆いながら、かつ水の除去下に反応を実施するのが適切な方法である。通常は、この混合物を約70摂氏(℃)で、一定のイソシアナト(NCO)−含有量が達成されるまで反応させることができる。通常は、このNCO含有量は反応の間に試験、すなわち分析される。前記反応混合物は有利に不活性である希釈剤又は溶剤、例えばトルエンを更に含有できる。NCO含有量に相応して、第二級アミノシランが添加される。
【0152】
ポリウレタンプレポリマーと第二級アミノシランの反応は、有利には25〜80摂氏(℃)で実施され、その際に第二級アミノシランは有利には5〜25mol%過剰に添加される。
【0153】
出発物質は、適切な方法で60〜75摂氏(℃)の範囲内、特に約70摂氏(℃)の温度で、遊離NCOがもはや検出されなくなるまで撹拌される。
【0154】
更に、本発明による反応の反応混合物に"乾燥剤"、例えば有機官能性アルコキシシラン、有利にはビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランを加えることができる。
【0155】
有利な方法で、カルボキシ化合物の存在で、金属触媒不含のシラン末端化ポリウレタンが得られる場合には、特に有機酸及び/又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物を粘着組成物及びシーラントに使用できる。
【0156】
それに対して、シラン末端化ポリウレタンは、架橋前に有利には12000〜25000mPas、特に有利には15000〜20000mPasの粘度(DIN 53015による25摂氏(℃)での粘度の値)を有する。
【0157】
従って、シラン末端化ポリウレタンは、粘着組成物及び接着剤用途のための調製物を製造するために、カルボキシ化合物と一緒に使用できる。この場合に、シラン末端化ポリウレタンは適切な方法でベース剤として使用できる。このために、一般的にポリウレタンを予め装入し、かつこれをまず軟化剤と混合する。引き続き、充填剤の添加及び以後の材料のガス分除去を行うのが有利である。この後に通常は乾燥剤、接着促進剤及び他の添加物が添加される。材料は、通常は良く混合され、かつ例えば薬包中に充填される。架橋はカルボキシ化合物の存在で行うことができる。
【0158】
シラン末端化ポリウレタンをベースとする接着剤及びシーラントは、シラン末端化ポリウレタンの他に、有利には更に以下の成分を含有する:
充填剤及び/又は顔料、軟化剤、乾燥剤、接着促進剤、レオロジー添加剤、例えばチキソトロピーを生成するための、安定剤及び保存剤。
【0159】
従って、本発明の対象は、前記定義によるカルボキシ化合物の存在での接着剤及びシーラント用の調製物における金属不含のシラン末端化ポリウレタンの使用である。
【0160】
また本発明の対象は、少なくとも1つの有機官能化シラン、特に前記定義に相応する一般式III及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン及び/又は混合物、特に前記定義に相応する式I及び/又はII及び/又はそれらの縮合生成物及び少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物、特に有機酸のケイ素含有前駆体化合物、特に式IVa及び/又はIVb、及び/又は有機酸、特に前記定義に相応する飽和及び/又は不飽和脂肪酸を含むキットの実施である。本発明によれば、シラン、シロキサン及びこれらの混合物は、カルボキシシランと一緒に調製されるか又は別々に調製される。本発明によれば、前記定義によるカルボキシ化合物は、水分の存在で加熱処理により初めて触媒として活性になる。
【0161】
有利なキットは、ジアミノ官能性アルコキシシラン、アルキルトリミリスチン酸シラン及び溶剤及び/又は第二級アミノアルコキシシラン、アルキルトリミリスチン酸シランを含む。
【0162】
本発明によるキットのもう1つの成分は、前記基質、特に充填剤、難燃剤、担体材料、顔料、添加物、添加剤及び/又は助剤であることができる。
【0163】
本発明の対象は、組成物の製法、特に有機官能性ケイ素化合物及びシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒及び場合により溶剤ならびに場合により水を含有する変性基質又は物品の製法であり、その際に前記定義による少なくとも1つの有機官能性シラン及び/又は前記定義による線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能性シロキサン及び/又はそれらの混合物及び/又はそれらの縮合生成物を、カルボキシ化合物の存在で、特に
b.1)一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2)u(A)ySi−A−Si(A)y(R2)u(OR13-y-u (IVb)
[式中、
zは互いに独立に0、1、2又は3であり、
xは、0、1、2又は3であり、
yは、0、1、2又は3であり、かつ
uは、0、1、2又は3であるが、但し式I中、z+xは3以下(≦)であり、かつ
式II中、y+uは、独立に2以下(≦)であり、
− 式IVa及び/又はIVb中、Aは互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ
式IVb中、2価の基としてのAは、2価の有機官能基を表し、
−R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は、1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、
−R2は、互いに独立に炭化水素基である]
の有機酸のケイ素含有前駆体化合物、及び/又は
b.2)次のグループ
iii.a)4〜45個の炭素原子を含有するカルボン酸、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然もしくは合成アミノ酸
から選択される有機酸、及び/又は
b.3)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、特に有機カチオンの無水物、エステル、ラクトン、塩、特に天然又は合成トリグリセリド及び/又はホスホグリセリド
の存在で、水分の存在で加水分解し及び/又は縮合させる。
【0164】
1実施態様に相応して、加水分解及び/又は縮合の際に基質が添加される。場合により基質を含有する組成物を硬化させ、特に物品又はコーティングもしくは被覆にすることができる。
【0165】
基質は、特に無機物、例えば石膏、モルタル、石造建造物、セメント又は有機物、有利には充填剤、難燃剤、担体材料、顔料、添加物、添加剤及び/又は助剤であることができる。
【0166】
該方法は、通常はpH1〜12の間のpH値、有利にはpH2〜9、有利にはpH2〜6又は7〜9で実施される。
【0167】
溶剤として、特にペンタン、トルエン、キシレン、アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、メタノール、エーテル、例えばTHF、t−ブチルメチルエーテルならびに当業者に周知の更なる溶剤が適切である。溶剤は単独で、又は水との混合物で使用できる。二者択一的に、溶剤として水、又は水/アルコール混合物が使用される。
【0168】
溶剤を別々に添加せずに方法を実施するのが特に有利である。従って、該方法は特に環境を汚染せず、かつ溶剤の量を著しく減少させる。よって、加水分解及び/又は縮合を高温にて組成物中で周囲水分を用いて行うか、又は水分を含有する組成物中で行う場合に特に有利である。
【0169】
加水分解及び/又は縮合は、有利には20〜120摂氏(℃)、特に有利には30〜100摂氏(℃)で行われる。
【0170】
変性基質を製造するために、種々の方法が可能である。これは、前記方法と同様に防火充填剤を被覆するために処理される、いわゆる前処理法、in-situ法及びドライ−シラン法であり、一般的に変性基質を製造することができる。
【0171】
従って、本発明の対象は前記方法、場合により架橋及び/又は硬化により得られる組成物、特に変性基質又は物品でもある。
【0172】
本発明の対象は、前記定義による式IVa及び/又はIVbの有機酸のケイ素含有前駆体化合物であり、その際に特に、有機酸のケイ素含有前駆体化合物は末端のカルボキシ−シラン化合物ではなく、本発明によればこれは一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2u(A)ySi−A−Si(A)y(R2u(OR13-y-u (IVb)
の化合物であり、前記式中、zは互いに独立に0、1、2又は3であり、xは、0、1、2又は3であり、yは0、1、2又は3であり、かつuは、0、1、2又は3であるが、但し式IVa中、z+xは3以下(≦)であり、かつ式IVb中、y+uは独立に2以下(≦)であり、その際、zは実施態様に相応して有利には1であり、有利には2又は3であることもでき、他の有利な実施態様に相応してzは0であり(テトラ−α−カルボキシシラン)、式IVbの相応する化合物に関しては、yとuは両方とも0であることができる(ビス(トリス−α−カルボキシシラン)、
− 式IVa及び/又はIVb中のAは、互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ式IVb中2価の基としてのAは、2価の有機官能基であり、
− 式IVa及び/又はIVb中の有機官能基としてのAは、互いに独立にアルキル−、アルケニル−、アリール、エポキシ−、ジヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、ポリアルキルグリコールアルコキル−、ハロゲンアルキル−、メルカプトアルキル−、スルファンアルキル−、ウレイドアルキル−及び/又はアクリロキシアルキル官能基、特に1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基、アミノアルキル基、ハロゲンアルキル基、ポリエーテル基、アルケニル基、アルキニル基、エポキシ基、メタクリロキシアルキル基及び/又は1〜18個の炭素原子を有するアクリロキシアルキル基、及び/又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するウレイドアルキル−、メルカプトアルキル−、シアノアルキル−及び/又はイソシアノアルキル基に相応し、特にAは、1〜300、特に1〜180、有利には1〜100の鎖長nを有する式
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−CH2−、
H3C−(O−CH2−CH2−)nO−、
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−)nO−、及び/又は
H3C−(O−CH2−CH2−CH2−CH2−)nO−のポリエーテル、及び/又は1〜18個の炭素原子を有するイソアルキル、1〜18個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3−メタクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フルオロアルキル基、ビニル基、3−グリシジルオキシプロピル基、及び/又はアリル基に相応し、及び/又は
Aは、以下のものであることもできる:
1)1価のオレフィン基、特に
−(R92C=C(R9)−M*k
(式中、R9は、同じ又は異なっていてもよく、かつR9は、水素原子であるか、又はメチル基又はフェニル基であり、基M*は、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−O(O)C(CH23−、又は−C(O)O−(CH23−の系列から成る基、kは0又は1であり、例えばビニル、アリル、3−メタクリロキシプロピル及び/又はアクリロキシプロピル、n−3−ペンテニル、n−4−ブテニル又はイソプレニル、3−ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ターペニル、スクアラニル、スクアレニル、ポリタ−ペニル、ベツルアプレノキシ(Betulaprenoxy)、シス/トランス−ポリイソプレニルである)
に相応する、又は
− R8−Fg−[C(R8)=C(R8)−C(R8)=C(R8)]r−Fg−、
(式中、R8は同じ又は異なっていて、R6は水素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基又はアラルキル基、有利にはメチル基又はフェニル基を意味し、基Fは同じ又は異なっていて、かつFは−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−O(O)C(CH23−又は−C(O)O−(CH23−の系列から成る基を意味し、rは1〜100、特に1又は2であり、かつgは0又は1である)、かつ
− 式IVb中、二価の基としてのAは式IVb中のオレフィン基、例えば相応のアルケニレン、例えば2−ペンテニレン、1,3−ブタジエニレン、イソ−3−ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘキセンジエニレン、シクロヘキセニレン、ターペニレン、スクアラニレン、スクアレニレン、ポリターペニレン、シス/トランス−ポリイソプレニレンである、及び/又は
2)Aは、IVaでもIVb中でも互いに独立に、IVb中の1価のアミノ官能基又は2価のアミノ官能基であることができ、特にAは−(CH23−NH2、−(CH23−NHR’−、−(CH23−NH(CH22−NH2及び/又は−(CH23−NH(CH22−NH(CH22−NH2(式中、R’は1〜18個の炭素原子を有する線状、分枝又は環状アルキル基、又は6〜12個の炭素原子を有するアリール基である)に相応する式のアミノプロピル官能基であり、
Aは、シクロアルキルアミノアルキル基、シクロヘキシルアミノアルキル基、例えば、シクロヘキシルアミノプロピル基であり、
−Aは、以下の一般式Va又はVb
R10h*−NH(2-h*)[(CH2h(NH)]j[(CH2l(NH)]n−(CH2k− (Va)
(Va中、0≦h≦6;h*=0、1又は2、j=0、1又は2であり、0≦l≦6;n=0、1又は2;0≦k≦6、かつR10はベンジル基、アリール基、ビニル基、ホルミル基及び/又は1〜8個の炭素原子を有する線状、分枝及び/又は環状アルキル基に相応する)、及び/又は
[NH2(CH2m]2N(CH2p− (Vb)
(Vb中、0≦m≦6かつ0≦p≦6である)
のアミノ官能基のうち1つであり、
−式VIb中のAは、式VI
−(CH2i−[NH(CH2f]gNH[(CH2f*NH]g*−(CH2i* (Vc)
(式Vc中、i、i*、f、f*、g又はg*は、同じ又は異なっていて、i及び/又はi*=0〜8、f及び/又はf*=1、2又は3、g及び/又はg*=0、1又は2である)
に相応する2価のビスアミノ官能基であり、
3)Aは、エポキシ基及び/又はエーテル基に相応し、特に3−グリシドキシアルキル基、3−グリシドキシプロピル基、エポキシアルキル基、エポキシシクロアルキル基、エポキシシクロヘキシル基、ポリアルキルグリコールアルキル基又はポリアルキルグリコール−3−プロピル基、又はジオールとして存在する相応の開環エポキシドであることができる。
【0173】
4)Aはハロゲンアルキル基、例えばR8*−Ym*−(CH2s*
(式中、R8*は1〜9個の炭素原子を有するモノアルキル基、オリゴアルキル基又はペルフルオロ化アルキル基、又はモノアリール基、オリゴアリール基又はペルフルオロ化アリール基であり、ここで、更にYはCH2−、O−、アリール基又はS基に相応し、かつm*=0又は1であり、かつs*=0又は2である)
に相応することができ、及び/又は
5)Aは、スルファンアルキル基に相応し、その際に、スルファンアルキル基は
−(CH2q*−X−(CH2q*−の一般式VIIに相応し、ここで、q*=1、2又は3であり、X=Sp(pは鎖中、2〜12個の硫黄原子の分布で、平均して2もしくは2.18であるか、又は平均して4もしくは3.8である)であり、及び/又は
6)Aは、シラン末端化ポリウレタンプレポリマー−NH−CO−nBuN−(CH23−であることができる。
【0174】
式IVa及び/又はIVb中、基R1は互いに独立にカルボニル基−R3基に相応し、その際、R3は1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、特に非置換もしくは置換されていてもよい飽和もしくは不飽和炭化水素基(KW基)に相応する。
【0175】
式IVa及び/又はIVb中R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応する。すなわち−(CO)R3−基(−(C=O)−R3)に相応するので、−OR1は−O(CO) R3に等しく、ここで、R3は非置換又は置換炭化水素基(KW基)に相応し、特に1〜45個の炭素原子、有利には4〜45個の炭素原子、特に6〜45個の炭素原子、有利には6〜22個の炭素原子、特に有利には6〜14個の炭素原子、有利には8〜13個の炭素原子を有する炭化水素基、特に線状、分枝及び/又は環状の非置換及び/又は置換炭化水素基、特に有利には天然又は合成の脂肪酸の炭化水素基であり、特にR1中のR3は、互いに独立に−Cn2n+1を有する飽和KW−基(ここで、n=4〜45)、例えば、−C49、−C511、−C613、−C715、−C817、−C919、−C1021、−C1123、−C1225、−C1327、−C1429、−C1531、−C1633、−C1735、−C1837、−C1939、−C2041、−C2143、−C2245、−C2347、−C2449、−C2551、−C2653、−C2755、−C2857、−C2959であるか、又は有利には不飽和KW基、例えば−C1019、−C1529、−C1733、−C1733、−C1937、−C2141、−C2141、−C2141、−C2345、−C1731、−C1729、−C1729、−C1931、−C1929、−C2133及び/又は−C2131であることができる。短鎖KW基R3、例えば−C4H9、−C37、−C2H5、−CH3(アセチル)及び/又はR3=H(ホルミル)を同様に組成物中で使用することもできる。しかし炭化水素基(KW基)の僅かな疎水性により、前記組成物は通常式I及び/又はIIの化合物をベースとし、ここでR1はカルボニル−R3基であり、基R3は、4〜45個の炭素原子、特に6〜22個の炭素原子、有利には8〜22個の炭素原子、とりわけ有利には6〜14個の炭素原子、又は有利には8〜13個の炭素原子を有する非置換又は置換炭化水素基から選択される。
【0176】
R2は、式IVa及び/又はIVb中では互いに独立に炭化水素基であり、特に1〜24個の炭素原子を有する、有利には1〜18個の炭素原子を有する置換又は非置換の線状、分枝及び/又は環状アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、アルケニルアリール基及び/又はアリール基である。特に、1〜3個の炭素原子を有する場合にはアルキル基である。アルキル基として特にエチル基、n−プロピル基及び/又はi−プロピル基が適切である。置換炭化水素基として、特にハロゲン化炭化水素基、例えば、3−ハロゲンプロピル基、例えば3−クロロプロピル又は3−ブロモプロピル基が適切であり、これらは場合により求核置換を自由に使用でき、又はPVCにおいて使用することもできる。
【0177】
IVa中、xが0、かつzが1又は2であるか場合により3である場合には、Aはアルキル基でもビニル基でもなく、kは1である。IVa中、xが0では無い場合には、Aはアルキル基でもビニル基でもなく、及び/又はzが0、かつxは0である場合には、R3は有利には4〜22個の炭素原子、特に有利には8〜14個の炭素原子を有する。
【0178】
−OR1がミリスチル基であり、Aが特にビニル基ではなく、場合によりオレフィン及び/又は非置換アルキル基でもないのが有利である、x=0であるのが有利である。カルボキシシランは、官能基Aとしてアミノプロピル、アミノエチル−アミノプロピル、アミノエチル−アミノエチル−アミノプロピル、N−ブチル−アミノプロピル、N−エチルアミノプロピル、シクロヘキシルアミノプロピル、グリシジルオキシプロピル、メタクリロキシプロピル、ペルフルオロアルキルを有するのが有利である。
【0179】
前記カルボキシシランの製造は、場合により溶剤中で、相応の有機官能性基Aで置換されたハロゲンシランを、相応の有機酸と反応させる、特に相応のカルボン酸
(A)zSiR2x(Hal)4-z-x (IVa*)
と反応させることにより行われる。
【0180】
相応するクロロシランの製造は当業者に公知である。二者択一的に、方法としてカルボン酸の塩でのエステル化又は反応が提供される。
【0181】
本発明の対象は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の変性基質の使用、特に請求項11に記載のポリウレタンの、接着剤、シール剤、ポリマー材料、粘着組成物、接着材料、染料及び/又は塗料としての使用である。
【0182】
更に本発明の対象は、カルボキシ化合物、特に式IVa及び/又はIVb、及び/又は有機酸を少なくとも1つの有機官能化シラン、特に式IIIと一緒の、及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン、特に式I及び/又は式II、及び/又はこれらの混合物(前記定義による)と一緒に、基質を処理、変性、疎水化及び/又は油性化するための、又は防指紋特性及び/又は抗−落書き特性を有する基質に仕上げるための、接着促進剤として、結合剤として、建築物保護剤としての使用である。
【0183】
本発明のもう1つの対象は、物品、特に成形品、有利にはケーブル、チューブ又はパイプの、特に有利には飲料水パイプの、又は医療技術分野のチューブを製造する際の、少なくとも1つの有機酸のケイ素含有前駆体化合物の使用である。
【0184】
更に、本発明の対象は、シラン及び/又はシロキサンの使用、特にn−プロピルエトキシシロキサンと本発明によるカルボキシ化合物のオリゴマー混合物の、基質表面、特に平滑で多孔性の及び/又は粒子状の基質を処理するため、特に有利には無機表面の水(疎水化)、油(疎油化)、汚れを撃退するための、生分解及び/又は腐食防止に仕上げるための使用である。適切な方法で前記オリゴマー混合物を、蛍光有機化合物もしくは蛍光官能性シラン又はシロキサンと結合した形で抗−落書き用途に使用するか又は薬剤中、特に組成物中で抗−落書き用途に使用することができる。
【0185】
特に、シラン及び/又はシロキサン及び本発明によるカルボキシ化合物、有利にはn−プロピルエトキシシランとカルボキシ化合物のシロキサンのオリゴマー混合物は、建築材料又は建築物を深く含浸するために適切であり、とりわけ鉱物建築材料、例えば、コンクリート、石灰質砂岩、花崗岩、石灰、大理石、パーライト、クリンカー、タイル、煉瓦、多孔性タイル及び化粧タイル、テラコッタ、天然石、ポーラスコンクリート、繊維セメント、またコンクリートから成る既成材料、鉱物装飾品、粘度商品、人造石、大理石原料、ファサード、屋根ならびに建造物、例えば、橋、港の設備、住宅用建物、工業用建物及び公共用の建物、例えば、公園建物、駅又は学校、また既成部材、例えば、枕木又はL字形−石材に適切であるが、これらは一例を挙げたにすぎない。
【0186】
更に、本発明によるカルボキシ化合物と一緒に得られるシラン及び/又はシロキサンの混合物、有利にはシロキサンオリゴマーは、繊維、革、セルロース製品及びデンプン製品を疎水化し、油、汚れ及び/又はシミを撃退するように仕上げるため、生分解及び/又は腐食を回避するか又は粘着を促進するように仕上げるため、及び/又は表面変性するための、ガラス及び鉱物繊維を被覆するための、結合剤として又は結合剤への添加剤として、充填剤を表面変性するため、分散液及びエマルションのレオロジー特性を改善するため、接着促進剤として、例えば、無機基質上で有機ポリマーの接着を改善するため、離型剤として、架橋剤として、又は染料及び塗料用の添加剤として使用できる。
【0187】
適切な方法で、シラン及び/又はシロキサンと、本発明によるカルボキシ化合物の混合物は、抗−落書き用途又は薬剤、特に抗−落書き用途のための組成物において、特に蛍光有機化合物もしくは蛍光官能性のシラン又はシロキサンと組み合わせて使用される。
【0188】
本発明の対象は、平滑で、多孔性及び/又は粒子状の基質、例えば紙、粉塵、砂、繊維、無機又は有機基質の薄片、例えば石英、ケイ酸、熱分解法ケイ酸、酸化ケイ素含有鉱物、酸化チタン及びその他の酸素含有チタン鉱物、酸化アルミニウム及びその他の酸化アルミニウム含有鉱物、水酸化アルミニウム、例えば水酸化アルミニウム(III)、酸化マグネシウム及び酸化マグネシウム含有鉱物、水酸化マグネシウム、例えば、水酸化マグネシウム(II)、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム含有鉱物、カオリン、ウォラストナイト、タルク、シリケート、層状ケイ酸塩、ならびにそれらの変性された変異体、すなわち焼成され粉砕されたカオリンなど;ガラス繊維、鉱物綿繊維、また特にセラミック粉末、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、タングステンカーバイド、金属又は金属粉末、特にアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、銅、鉄ならびに金属合金、カーボンブラックを処理するための、n−プロピルエトキシシロキサンとカルボキシ化合物の本発明による混合物の使用である。
【0189】
本発明により、以下の実施例を用いて詳説する。
A)アルキル−、アルケニルトリカルボキシルシラン又はテトラカルボキシシランの製造
一般例:
a)一般式IVa及び/又はIVbの有機官能性カルボキシシランを製造するために、例えば有機官能性トリカルボキシシランを製造するために、シラン1molと有機モノカルボン酸3mol又は過剰量を直接に反応させるか、又は不活性溶剤中で、特に高温で反応させた。アミノ官能性シランの反応には、カルボン酸の塩、例えばステアリン酸、ラウリン酸又はミリスチン酸のマグネシウム塩との反応、又は水を分離しながら酸の相応するエステルとの反応を実施するのが有利であることができる。場合により、アミノ基を予め通常の保護基で遮断する。アミノカルボキシシランをg)で記載した方法下に従って製造するのが有利である。
【0190】
b)二者択一的に、有機官能性トリカルボキシシランを製造するために、有機官能性トリクロロシラン1molと有機モノカルボン酸3mol又は過剰量を直接に反応させるか、又は不活性溶剤中で反応させる。反応を高温で、例えば、溶剤の沸点までの温度で又は有機脂肪酸もしくは有機酸の融点で行うのが有利である。
【0191】
c)テトラカルボキシシランを製造するために、テトラハロゲンシラン、特にテトラクロロシラン又はテトラブロモシラン1molを、少なくとも1つのモノカルボン酸、例えば、脂肪酸又は脂肪酸混合物4mol又は過剰量と反応させる。この反応は、不活性溶剤中で溶融により直接に、有利には高温で行うことができる。
【0192】
d)アルケニルトリカルボキシシランを製造するために、アルケニルトリクロロシランもしくは一般的にアルケニルトリハロゲンシラン1molを、有機モノカルボン酸3mol又は過剰量と直接に反応させるか、又は不活性溶剤中で特に高温で反応させる。
【0193】
e)アルキルトリカルボキシシランを製造するために、アルキルトリクロロシラン1molを、有機モノカルボン酸3mol又は過剰量と直接に反応させるか、又は不活性溶剤中で反応させる。有利には前記反応は高温で、例えば溶剤の沸点までの温度で又は有機脂肪酸もしくは有機酸の融点で行うのが有利である。
【0194】
f)テトラカルボキシシランを製造するために、テトラハロゲンシラン、特にテトラクロロシラン又はテトラブロモシラン1molを、少なくとも1つのモノカルボン酸、例えば、脂肪酸又は脂肪酸混合物4mol又は過剰量と反応させる。この反応は、溶融により又は不活性溶剤中で直接に、有利には高温で行うことができる。
【0195】
g)アミノ官能性カルボキシシランを製造するために、まずハロゲンプロピルシラン又はハロゲンアルキルシラン、例えばクロロプロピルトリカルボキシシランを製造する。アルキル基におけるハロゲンの求核置換により、アミノアルキルシラン又はアンモニアの存在でのアミノカルボキシシランを製造することができる。相応して、カルボキシシランのジアミノアルキルも製造できる。
【0196】
例1 ビニルトリステアリルシランの製造
溶剤としてのトルエン中における、ビニルトリクロロシラン1molとステアリン酸3molの反応:ステアリン酸50g(50.1g)をトルエン150.0gと一緒にフラスコに装入した。簡単に加熱した後に固体が溶けた。冷却後に、濁った高粘度の物質を形成したが、これは新たに加熱することで再び元の透明な液体の状態に戻った。油浴を試験開始の際に95℃に調節し、約20分の混合時間は透明な液体が生じた。引き続き、ビニルトリクロロシラン9.01gをピペットで素早く滴加した。約10分後に、透明な液体が存在し、かつ油温度を150℃に調節した。試験開始から更に3時間後に、不活性ガス雰囲気下に冷却した。後処理は、蒸留によりトルエンを除去することにより行った。溶融した状態で油性かつ黄色く見える白色の固体が得られた。更に精製するために、この固体を新たに回転蒸発装置内で、例えば、約90℃の油浴温度で長時間(3〜5時間)、及び1mbar未満の圧力で処理した。固体をNMR(1H、13C、29Si)によりビニルトリクロロシランとして特徴付けられた。
【0197】
例2 ビニルトリデカン酸の製造
溶剤としてのトルエン中における、ビニルトリクロロシラン1molとカプリン酸3molの反応:カプリン酸(デカン酸)60.0gをトルエン143.6gと一緒にフラスコに装入した。試験開始の際に油浴を80℃に調節し、かつ約55℃の塔底温度で、ビニルトリクロロシランをゆっくり滴加した(19.1gを約0.5時間で)。約45分後に、油温度を150℃に高めた。更に約2時間の反応時間後に、油浴を取り除き、その際に、撹拌、水の冷却及び窒素での覆いは、完全に冷却されるまで継続した。透明な液体を、一つ首フラスコに充填し、かつ回転蒸発器によりトルエンを取り除いた。油浴温度として、約80℃に調節した。真空を徐々に1mbar未満に調節した。生成物は透明な液体であった。液体はNMR(1H、13C、29Si)によりビニルトリカプリルシランとして特徴付けられた。
【0198】
例3 ヘキサデシルトリカプリルシランの製造
溶剤としてのトルエンにおける、Dynasylan(R) 9016(ヘキサデシルトリクロロシラン)1molとカプリン酸3molの反応:カプリン酸(デカン酸)73.1gをトルエン156.2gと一緒にフラスコに装入した。試験開始の際に油浴を95℃に調節し、かつDynasylan(R) 9016 50.8gを約25分間にわたり滴加した。約30分後に、油温度を150℃に高めた。更に約1.5時間の還流後に試験を終了した。透明の液体から回転蒸発器によりトルエンを取り除いた。油浴温度として、約80℃に調節した。真空を徐々に1mbar未満に調節した。生成物は、僅かに突くような臭いのある油性で黄色い液体であった。NMR(1H、13C、29Si)により前記液体は実質的にヘキサデシルトリカプリルシランとして特徴付けられた。
【0199】
例4 ビニルトリパルミチルシランの製造
溶剤としてのトルエンにおける、ビニルトリクロロシラン1molとパルミチン酸3molの反応:パルミチン酸102.5gをトルエン157.0gと一緒にフラスコに装入した。試験開始の際に油浴を92℃に調節し、かつビニルトリクロロシラン22.0gを約15分間にわたりゆっくり滴加した。約70分後に、油温度を150℃に高めた。還流下に約4時間加熱し、かつ引き続きトルエンを留去した。油浴温度として、約80℃に調節し、真空を徐々に2mbarに調節した。生成物を冷却後に、再溶融可能な白色固体が生じた。この固体は、NMR(1H、13C、29Si)によりビニルトリパルミチルシランとして特徴付けられた。
【0200】
例5 クロロプロピルトリパルミチルシランの製造
溶剤としてのトルエンにおけるCPTCS(クロロプロピルトリクロロシラン)1molとパルミチン酸3molの反応:パルミチン酸40.01gを3首フラスコ中に装入し、かつ油浴を加熱した。この後に、全部のパルミチン酸が溶解し、約10分間以内にCPTCS(99.89%(GC/WLD)の純度)11.03gを滴加した。引き続き、温度を130℃に高めた。約3.5時間後に、連結されたガス洗浄ビン中でガス活性は観察されず、かつ合成が終了した。トルエンを回転蒸発器中で除去した。後の時点では、固体を新たに溶融し、かつ約90℃の油浴温度で、かつ1mbar未満の真空で撹拌した。約4.5時間後に、ガス漏れは確認されなかった。固体は、NMR(1H、13C、29Si)によりクロロプロピルトリパルミチルシランとして特徴付けられた。
【0201】
例6 プロピルトリミリスチルシランの製造
溶剤としてのトルエンにおけるPTCS(プロピルトリクロロシラン、98.8%純度)1molとミリスチン酸3molの反応:反応は、前記の実施例にならって行った。反応生成物は、プロピルトリミリスチルシランとして特徴付けることができた。
【0202】
例7 ビニルトリミリスチルシランの製造
Dynasylan(R) VTCとミリスチン酸の反応:ミリスチン酸40.5gとトルエン130gを反応フラスコ中に装入し、混合し、かつ約60℃まで加熱した。滴下漏斗により、Dynasylan(R) VTC9.5gを15分間以内に滴加した。添加の際に、フラスコ中の温度は約10℃だけ高まった。添加後に、15分間後撹拌し、かつその後に、油浴温度が150℃まで高った。後撹拌の間に、ガス発生(HCL-ガス)が観察された。ガス発生が観察されなくなるまで(ガス流出コック)後撹拌し、かつ3時間後撹拌した。出発材料を冷却した後に、反応していないDynasylan(R) VTC、トルエンを約80℃及び低圧(0.5mbar)で留去した。反応フラスコ中に残った生成物を一晩フラスコ中で、N2で覆ってで貯蔵し、次に更に後処理せずに流し移した。生成物は後で固まった。約44.27gの粗生成物が得られた。
【0203】
例8 プロピルトリミリスチルシランの製造
Dynasylan(R) PTCSとミリスチン酸の反応:ミリスチン酸40.5gとトルエン150gを反応フラスコ中に装入し、混合し、かつ約60℃まで加熱した。滴下漏斗により、Dynasylan(R) PTCSを15分間以内に滴加した。添加の際に、フラスコ中の温度は約10℃だけ高まった。添加後に、油浴温度は150℃まで高まり、かつ3時間後撹拌した。後撹拌の際に、ガス発生、HCL−ガスが観察された。ガス流出コックにおいてガス発生が観察されなくなるまで後撹拌した。出発材料を冷却した後に、反応していないDynasylan(R) PTCS、トルエンを約80℃及び低圧(0.5mbar)で留去した。生成物を不活性ガス下に保存し、かつ固まった。約44.0gの粗生成物が得られた。
【0204】
例9 ビニルトリステアリルの製造
このために、ビニルトリクロロシラン1molとステアリン酸マグネシウム3molを反応させた。
ビニルトリクロロシラン 7.8g
ステアリン酸マグネシウム 43g
トルエン(1349426710, Merck)150g
【0205】
まず、ステアリン酸マグネシウムとトルエンを装入した。よく撹拌しながら、ビニルトリクロロシランをピペットを用いて2工程で連続的に滴加した。白色の懸濁液が形成された。所望の混合時間(数分)後に、前記懸濁液を良く撹拌(磁気撹拌機)しながら約100℃まで加熱した。フラスコ中の水蒸気相をpH試験紙で分析した。水蒸気相は強い酸性であった。更に約10時間で油浴を100℃まで放置させ、かつ良く撹拌しながらこの温度まで放置させた。引き続き、油浴温度を150℃まで高めた。試験した水蒸気相は、なお強い酸性であった。更に約6時間で試験を終了した。ガラスフラスコ中の液体は、ひだ付き濾紙を用いて濾過し、かつ一つ首フラスコ中に充填した。ひだ付き濾紙の上の固体は水溶性ではなかった。
【0206】
数日後に、一つ首フラスコの内容物は透明であり、かつ底に細かい沈殿物が沈殿した。フラスコの内容物を、まず圧力濾過(窒素)で、固体から分離し、かつ引き続きトルエンを回転蒸発器により留去した。得られた固体は白−茶色の結晶であった。融点は150〜160℃の範囲内であった。溶融した液体は粘性であった。NMRにより特徴付けを行った。
【0207】
例10 エステル化によるカルボキシシランの製造
例10.1 ビニルトリメトキシシラン1molとミリスチン酸5molの反応
ビニルトリメトキシシラン1molとミリスチン酸5mol及びエントレーナーとしてのn−ヘプタンを反応させた。
【0208】
四つ首フラスコ、ビグロー(Vigreux)カラム、及び水冷却された蒸留塔頂及び手動で調節可能な還流環境を備えた試験装置を使用した(磁気撹拌機、油浴、N2−で覆って)。n−ヘプタンを装入した。引き続き、ミリスチン酸を添加し、かつ最後にビニルトリメトキシシランを添加した。油浴を125℃に調節した。カラムの塔頂で還流を調節した後に、極めて僅かな抽出物の取り出しを始めた(フラクション1)。2相が形成された。塔頂温度が著しく上昇しすぎないように、取り出しの比率を数時間で調節した。精製したエステル化生成物は僅かに黄色い固体であった。得られた生成物はNMR分析により殆どビニルトリミリスチネートとして特徴付けられた。
【0209】
例10.2 エントレーナーとしてn−ヘプタンを用いるミリスチン酸5molでのビニルトリメトキシシラン1molのエステル化(水滴分離器を使用)
4つ首フラスコ、ビグローカラムの他に、このアプローチでは後続の水滴分離器が続く簡単な蒸留ブリッジを使用した(磁気撹拌機、油浴、N2−で覆って)。逆戻りする化合物により水滴分離器への水蒸気の侵入を回避するために、小さな水冷却器を取り付けた。これは、この箇所での蒸気の凝縮により、ビグローカラムによる蒸気だけを漏出させた。まずミリスチン酸(テトラカルボン酸)、次にn−ヘプタン及び引き続きビニルトリメトキシシランを添加した。油浴を155℃に調節した。一定の時間後に、平衡が生じ、かつ蒸気相が凝縮し、かつ水滴分離器中に滴下した。すぐに2相が形成された。数時間後に、上の相が溢れるまで水滴分離器が満たされた。強制的に圧力をかけること無く、液体を塔底に戻した。エステル化が終わるにつれて塔頂温度が下がり続け、油浴温度を165℃に高めた。一定の逆戻りが得られた。蒸留前に、フラスコ内容物が透明な液体であることが確認された。蒸留の際には、n−ヘプタンが問題なく分離された。一定の時間後に、塔底温度は、ビニルトリメトキシシランの沸点の範囲内(常圧で約123℃)であり、かつ塔頂温度が下がり続け、蒸留が終了した。調製されたエステル化生成物は、部分的に液体の僅かに黄色い固体であり、これは加熱の際に再び溶融することができる。
【0210】
得られた生成物はNMR分析により大多数がビニルトリミリスチネートとして特徴付けられた。
【0211】
A)ゾル−ゲル被覆系の製造は、計量装置と撹拌装置を備えたガラス製の密封された実験用丸底フラスコ中で行った。
【0212】
例11 メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランから成るゾル−ゲル系
メチルトリメトキシシラン 563g
フェニルトリメトキシシラン 41g
イソプロパノール 50g
メトキシプロパノール 100g
水 62g
ミリスチン酸 5g。
【0213】
溶剤、酸及び水を装入した。シランを混合し、かつ酸−水−溶剤混合物中に撹拌しながら計量供給した。数分以内に、溶剤は透明になり、かつ再び約30分間撹拌した。この溶液は数日間使用可能であった。アルミニウム上にナイフコーティングし、柔軟で透明な0.5〜15μmの厚さの被覆が達成された。硬化は高温(例えば、5分、200℃)で最良に行うことができた。
【0214】
例12 メチルトリエトキシシランとフェニルトリエトキシシランから成るゾル−ゲル系
メチルトリエトキシシラン 737g
フェニルトリエトキシシラン 50g
イソプロパノール 50g
メトキシプロパノール 100g
水 62g
カプリン酸 5g。
【0215】
溶剤、酸及び水を装入した。シランを混合し、かつ酸−水−溶剤混合物中に撹拌しながら計量供給した。数分以内に、溶剤は透明になり、かつ再び約30分間撹拌した。この溶液は数日間使用可能であった。アルミニウム上にナイフコーティングし、柔軟で透明な0.5〜15μmの厚さの被覆が達成された。硬化は高温(例えば、5分、200℃)で最良に行うことができた。
【0216】
例13 グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランとトリデカフルオロオクチルメトキシシランから成るゾル−ゲル系
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン 225g、
トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン(短くは、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン)25g、
イソプロパノール422g、
水265g、
カプリン酸5g。
【0217】
溶剤、酸及び水を装入した。シランを混合し、かつ酸−水−溶剤混合物中に撹拌しながら計量供給した。24時間以内に溶剤は透明になり、かつ更に24時間撹拌した。この溶液は数ヶ月使用可能であった。アルミニウム上にナイフコーティングし、塗布された液体に対して強い防水効果(接触角>90゜)を有する柔軟で透明な0.5〜15μmの厚さの被覆が達成された。硬化は高温(例えば、10分、200℃)で最良に行うことができた。
【0218】
例14 グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランとトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランから成るゾル−ゲル系
3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン 265g、
トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン 27g、
イソプロパノール 442g、
水 265g、
カプリン酸 5g。
【0219】
溶剤、酸及び水を装入した。シランを混合し、かつ酸−水−溶剤混合物中に撹拌しながら計量供給した。24時間以内に溶剤は透明になり、かつ更に24時間撹拌した。この溶液は数ヶ月使用可能であった。アルミニウム上にナイフコーティングし、塗布された液体に対して強い防水効果(接触角>90゜)を有する柔軟で透明な0.5〜15μmの厚さの被覆が達成された。硬化は高温(例えば、10分、200℃)で最良に行うことができた。
【0220】
例15 グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びテトラメトキシシランから成るゾル−ゲル系
メチルトリメトキシシラン 229g、
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン 255g、
テトラメトキシシラン 73g、
メトキシプロパノール 224g、
水 75g、
ステアリン酸5g。
【0221】
溶剤、酸及び水を装入した。シランを混合し、かつ酸−水−溶剤混合物中に撹拌しながら計量供給した。数分以内に溶剤は透明になり、かつ更に10分間撹拌した。この溶液は数日間使用可能であった。アルミニウム上にナイフコーティングし、柔軟で透明な0.5〜15μmの厚さの被覆が達成された。硬化は高温(例えば、10分、200℃)で最良に行うことができた。
【0222】
例16 グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びテトラエトキシシランから成るゾル−ゲル系
メチルトリエトキシシラン 300g、
3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン 300g、
テトラエトキシシラン 100g、
メトキシプロパノール 224g、
水 75g、
パルミチン酸5g。
【0223】
溶剤、酸及び水を装入した。シランを混合し、かつ酸−水−溶剤混合物中に撹拌しながら計量供給した。数分以内に溶剤は透明になり、かつ更に約30分間撹拌した。この溶液は数日間使用可能であった。アルミニウム上にナイフコーティングし、柔軟で透明な0.5〜15μmの厚さの被覆が達成された。硬化は高温(例えば、15分、200℃)で最良に行うことができた。
【0224】
B)長鎖脂肪酸の存在での充填剤の処理
【0225】
例17 水酸化アルミニウム(III)
1質量%アルキルシランオリゴマーDynasylan(R)9896もしくはアルキルシランDynasylan(R) OCTEOによるATHの処理
装置:レーディゲミキサー(加熱可能、真空乾燥)、油浴:70〜80℃、充填剤の使用量:1500g
まず、充填剤を加熱されたミキサー室(約60℃)に充填し、かつ混合工程を開始した。ミキサー室内で測定した温度をまず50℃以下まで下げた。この温度が50℃を上回り次第、回転数を減少させ、かつシランをミキサー中に加えた(充填剤上への注入/滴下)。どの場合でも、シランが充填剤だけと接触するように注意した。引き続き、回転数をゆっくりと約200rpmまで調節し、かつ20分間混合した。20分間が経過した後に、真空に掛け(約400mbar)、その際に真空を掛ける前に、回転数を約50rpmまで減らし、かつ意図した低圧が達成された後に、ゆっくり新たに200rpmまで高めた。60分の乾燥後にミキサーから充填剤を取り出した。
【0226】
例18 水酸化アルミニウム
1質量%シラン(アルキルシランオリゴマーDynasylan(R)9896もしくはアルキルシランDynasylan(R) OCTEO)、更に1質量%ステアリン酸(シランに対して)によるATHの処理
装置:レーディゲミキサー(加熱可能、真空乾燥)、油浴:70〜80℃、充填剤の使用量:1500g
まず、充填剤を加熱されたミキサー室(約60℃)に充填し、かつ混合工程を開始した。ミキサー室内で測定した温度をまず50℃以下まで下げた。この温度が50℃を上回り次第、回転数を減少させ、かつシランをミキサー中に添加した(充填剤上への注入/滴下)。どの場合でも、シランが充填剤だけと接触するように注意した。引き続き、回転数をゆっくりと約200rpmまで調節し、かつ15分間混合した。15分間が経過した後に、真空に掛け(約400mbar)、その際に真空を掛ける前に、回転数を約50rpmまで減らし、かつ意図した低圧が達成された後に、ゆっくり新たに200rpmまで高めた。40分の乾燥後にミキサーから充填剤を取り出した。
【0227】
効果試験
−浮力試験
2つのビーカーを水で満たした。未処理の充填剤と処理した充填剤のスパチュラ先端量の試料を、それぞれ水の表面に置き、かつ充填剤が沈むまで時間をストップウォッチで計った。
【0228】
−沈殿試験
処理した試料と未処理の試料をそれぞれ連続して積み上げ、かつ水1mlから成る水滴を、それぞれ小さな塊の上に置いた。水滴が沈むまでの時間を測定した。
【0229】
ステアリン酸の存在でのシラン処理は、短い反応時間後でも、脂肪酸なしで極めて長い時間処理した後のものと同じく良好な結果を生じたことが確認された。
【0230】
例19 Primaxミキサー中でのシランでの充填剤処理
TiO2(Kronos(R) 2081)をPrimaxミキサーのステンレス容器内に装入した。シランを、それぞれ1〜2mlずつ充填剤の上に滴下した。滴加の間、ミキサーをゆっくりした段階で(1Skt)混合することができた。シラン添加の間に、それぞれSkt.1で約1分間更に混合した。シランを完全に添加した後に、Skt.2.5で15分間更に混合した。充填剤をステンレス薄板に置き、かつ最終的に80℃で3.5時間乾燥させた。
【0231】
例20 パルミチン酸の存在でのシランでの充填剤処理
TiO2(Kronos(R) 2081)をPrimaxミキサーのステンレス容器内に装入した。シラン(シランに対してパルミチン酸1質量%含有)を、それぞれ1〜2mlずつ充填剤の上に滴下した。滴加の間、ミキサーをゆっくりした段階で(1Skt.)混合することができた。シラン添加の間に、それぞれSkt.1で約1分間更に混合した。シランを完全に添加した後に、Skt.2.5で15分間更に混合した。充填剤をステンレス薄板に置き、かつ最終的に80℃で2.5時間乾燥させた。
【0232】
効果試験:水性分散液の安定性
ビーカー中に水100mlを添加し、かつ処理した充填剤5gを加えた。生じた分散液について、粒子が沈殿するかどうかを観察した。
【0233】
ステアリン酸の存在でのシラン処理は、短い反応時間後でも、脂肪酸なしで極めて長い時間処理した後のものと同じく良好な結果を生じたことが確認された。
【0234】
c)接着剤の製造:
c.1)カルボキシ化合物:ベヘン酸、ミリスチン酸、プロピルシラントリミリステート及びビニルシラントリミリステートをジイソウンデシルフタレート(DIDP)中に10質量%濃度の溶液として50℃で溶かした。シラン末端化ポリウレタンシーラントを製造するために、プロピルシラントリミリステートとビニルシラントリミリステートをそれぞれシラン末端化ポリウレタンに添加した。
【0235】
Speedmixer中で、その都度シール剤100gを製造し、その際に比較調剤はジブチル錫ジアセチルアセトネート0.006%を含有していた。2つのシラントリカルボキシレートから、10質量%濃度溶液の1質量%をそれぞれDIDPに添加した。これは、純粋なカルボキシレート0.1質量%の添加に相応した。カルボキシレート溶液の軟化剤のフラクションを、全体の軟化剤の量から引いた。
【0236】
シール剤の試験:
新たに製造されたシール剤で硬化性が満たされ、かつ厚紙の上にボタンを載せた。これをシール剤−薄膜を形成するために使用した。
【0237】
薄膜形成
錫触媒された試料は1時間後に薄膜を形成し、もはや糸引きが観察されなかった。トリカルボキシシランを含有する原料は、この時点ではまだ糸を引いていた。24時間後の新たな試験によれば、トリカルボキシシランで触媒したシール剤は残留粘性を生じた。相応の所見は硬化を示した。
【0238】
浸透硬化
シール剤の浸透硬化は、トリカルボキシシランの場合には、錫触媒系に対して幾分か遅れて開始した。2日後に、トリカルボキシシランで触媒したシール剤中に4mm浸透硬化し、かつ錫で触媒した系の場合には5mm浸透硬化した。7日後には、両方の試料は同じく10mmまで浸透硬化した。
【0239】
c.2)酸もしくは"カルボキシシラン"を用いるSPU−シール剤の製造
本発明のSPU−標準調剤では、PT−ミリスチン酸もしくはVT−ミリスチン酸だけを、ジブチル錫ジアセチルアセトネートと一緒に使用した。Speedmixer中で原料それぞれ100gを製造し、その際に、ジブチル錫ジアセチルアセトネート0.006%だけを含有し、かつ両方のカルボキシレートから、10%濃度溶液の1%をそれぞれDIDPに添加した。これは、純粋なカルボキシレート0.1%の添加に相応した。カルボキシレート溶液の軟化剤のフラクションを全体の軟化剤の量から引いた。
【0240】
それにより、純粋な錫触媒を用いた場合と同様の硬化の値及びポットライフが得られたが、しかし、著しく減少した錫触媒の量の利点及びこれから生じる僅かな金属含有量もしくは減少した有毒性が生じた。
【0241】
B)建築物保護−石膏の材料疎水化としての石膏の疎水化
このために、下記の調製物を混合水中に分散させて利用した。硬化後に、試料を取り出し、乾燥器中、40℃で約8時間乾燥させた。続いて、試料を室温で1週間乾燥させ、かつ試験した。石膏プレート及び含浸した石膏プレートに対する要件は、DIN EN 520(2005年9月以降の石膏プレートの燃焼挙動に該当)に記載されている。水中に2時間貯蔵した後の水の吸収は10質量%以下であるべきである。
【0242】
調製物:
1.IBTEO(イソブチルトリエトキシシラン)30質量%+Dynasylan A30質量%+
ステアリン酸1質量%+エタノール39質量%
2.IBTEO(イソブチルトリエトキシシラン)30質量%+Dynasylan A30質量%+
ステアリン酸3質量%+エタノール37質量%
3.266(プロピルトリエトキシシラン−オリゴマー)30質量%+Dynasylan A30質量%+ステアリン酸1質量%+エタノール39質量%
4.IBTEO(イソブチルトリエトキシシラン)30質量%+Dynasylan A30質量%+
パルミチン酸3質量%+エタノール39質量%
5.ステアリン酸とHS 2909(1:2の比)、ここでHS2909は溶剤20質量%溶液である;(HS2909:アミノアルキル官能性コオリゴマー)。
【0243】
調製物1、3及び4を全体量に対してそれぞれ2質量%まで石膏に添加し、調製物2を全体量に対して3質量%まで、かつ調製物5を全体量に対して1質量%まで石膏に添加した。前記調製物を用いて、石膏の水の吸収を未処理の試料と比べて約5質量%減少させることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒としての少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の使用において、カルボキシ化合物は、有機酸、又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物、又は有機酸のケイ素不含前駆体化合物であることを特徴とする、シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒としての少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の使用。
【請求項2】
基質、特に縮合可能な官能基を有する基質を表面変性するため少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の使用において、カルボキシ化合物は、有機酸、又は有機酸のケイ素含有前駆体化合物、又は有機酸のケイ素不含前駆体化合物であることを特徴とする、基質、特に縮合可能な官能基を有する基質を表面変性するため少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の使用。
【請求項3】
有機官能性カルボキシ化合物は、
b.1)一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2)u(A)ySi−A−Si(A)y(R2)u(OR13-y-u (IVb)
[式中、
zは互いに独立に0、1、2又は3であり、
xは、0、1、2又は3であり、
yは、0、1、2又は3であり、かつ
uは、0、1、2又は3であるが、但し式IVa中、z+xは3以下(≦)であり、かつ
式IVb中、y+uは、独立に2以下(≦)であり、
−式IVa及び/又はIVb中、Aは互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ
式IVb中の2価の基としてのAは、2価の有機官能基を表し、
−R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は、1〜45個の炭素原子を有する基に相応する、
−R2は、互いに独立に炭化水素基である]
の有機酸のケイ素含有前駆体化合物、及び/又は
b.2)次のグループ
iii.a)4〜45個の炭素原子を含有するカルボン酸、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然もしくは合成アミノ酸
から選択される有機酸、及び/又は
b.3)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、特に有機カチオンの無水物、エステル、ラクトン、塩、天然又は合成トリグリセリド及び/又はホスホグリセリド
から選択され、かつ少なくとも1つの有機官能化シランの存在で;及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマー有機官能化シロキサン及び/又はそれらの混合物及び/又は縮合生成物及び場合により基質の存在で、シラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒として、及び/又は基質を表面変性するための触媒として作用する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
a.1)一般式III
(B)bSiR4a(OR5)4-b-a (III)
[式中、
bは互いに独立に0、1、2又は3であり、かつ
aは、0、1、2又は3であるが、但し式III中、b+aは3以下(≦)であり、かつ
Bは互いに独立に式III中の1価の有機官能基を表し、
R5は互いに独立にメチル、エチル、n−プロピル、及び/又はイソプロピルであり、
R4は、互いに独立に置換又は非置換の炭化水素基である]
のアルコキシシランに相応する有機官能化シラン、及び/又は
a.2)理想的な形で一般式IとII
【化1】

[式中、鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントの置換基Rは、有機基及び/又はヒドロキシ基から成り、かつ一般式Iのオリゴマーに関するオリゴマー化度mは、0≦m<50、有利には0≦m<30の範囲内、特に有利には0≦m<20の範囲内であり、かつ一般式IIのオリゴマーに関しては、nは2≦n≦50、有利には2≦n≦30の範囲内である]
の両方により表される、鎖状及び/又は環状構造エレメントを有する線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン、その際、架橋した構造エレメントは空間架橋されたシロキサン−オリゴマーを生じることができる、及び/又は
a.3)前記一般式I、II及び/又はIIIの化合物の少なくともとも2つの混合物及び/又は
a.4)前記式I、II及び/又はIIIの化合物の少なくともとも2つの反応生成物としての混合物、及び/又はそれらの共縮合物及び/又はブロック共縮合物である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
基質は、HO基、MO基及び/又はO-−基を有する有機材料、無機材料又はコンポジット材料であり、その際に、Mは有機又は無機カチオンに相応する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
基質は、構造部材、難燃剤、充填剤、担体材料、安定剤、添加剤、顔料、添加物及び/又は助剤である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
変性基質において、これは少なくとも1つの有機官能性ケイ素化合物で、ならびに場合により有機官能性カルボキシ化合物の少なくとも1つの反応生成物で変性されていることを特徴とする、変性基質。
【請求項8】
基質は、有機酸のケイ素含有前駆体化合物、有機酸及び/又は有機酸のケイ素不含前駆体化合物のグループから選択される少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物の存在で、少なくとも1つの有機官能化シラン;及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサンを反応させた反応生成物の有機官能性ケイ素化合物で変性されている、請求項7に記載の基質。
【請求項9】
有機官能性ケイ素化合物は、
a.1)一般式III
(B)bSiR4a(OR5)4-b-a (III)
[式中、
bは互いに独立に0、1、2又は3であり、かつ
aは0、1、2又は3であるが、但し式III中、b+aは3以下(≦)であり、かつ
Bは互いに独立に式III中の1価の有機官能基を表し、
R5は互いに独立にメチル、エチル、n−プロピル及び/又はイソプロピルであり、
R4は互いに独立に置換又は非置換の炭素含有基である]
の少なくとも1つのアルコキシシラン、及び/又は
a.2)理想的な形で一般式IとII
【化2】

(鎖状、環状及び/又は架橋構造エレメントの置換基Rは、有機基及び/又はヒドロキシ基から成り、かつ一般式Iのオリゴマーに関するオリゴマー化度mは、0≦m<50、有利には0≦m<30の範囲内、特に有利には0≦m<20の範囲内であり、かつ一般式IIのオリゴマーに関しては、nは2≦n≦50、有利には2≦n≦30の範囲内である)
の両方により表される鎖状及び/又は環状構造エレメントを有する、少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン、その際に、架橋した構造エレメントは空間架橋されたシロキサン−オリゴマーを生じることができる、及び/又は
a.3)前記式I、II及び/又はIIIの少なくともとも2つの化合物の混合物、及び/又はそれらの共縮合物及び/又はブロック共縮合物又はこれらの混合物を、
− 基質の存在で、かつ
− 次のグループから選択される有機官能性カルボキシ化合物:
b.1)一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2)u(A)ySi−A−Si(A)y(R2)u(OR13-y-u (IVb)
[式中、
zは互いに独立に0、1、2又は3であり、
xは、0、1、2又は3であり、
yは、0、1、2又は3であり、かつ
uは、0、1、2又は3であるが、但し式IVa中、z+xは3以下(≦)であり、かつ
式IVb中、y+uは、独立に2以下(≦)である
− 式IVa及び/又はIVb中、Aは互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ
式IVb中の2価の基としてのAは、2価の有機官能基を表し、
−R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は、1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、
−R2は、互いに独立に炭化水素基である]
の有機酸のケイ素含有前駆体化合物、及び/又は
b.2)次のグループ
iii.a)4〜45の炭素原子を含有するカルボン酸、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然もしくは合成アミノ酸
から選択される有機酸、及び/又は
b.3)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、特に有機カチオンの無水物、エステル、ラクトン、塩、特に天然又は合成トリグリセリド及び/又はホスホグリセリド
の存在で反応させた反応生成物を変性し、かつ特にカルボキシ化合物の反応生成物は、前記カルボキシ化合物と基質の反応により得られる、請求項7又は8に記載の基質。
【請求項10】
HO基、MO基及び/又はO-−基を有し、かつ有機、無機又はコンポジット材料である、請求項7から9までのいずれか1項に記載の基質。
【請求項11】
粘着組成物、シール剤としてのシラン末端化、特に金属不含のポリウレタンにおいて、これは一般式VIa
(R6n’NH(2-n’)(CH2m’Si(R7v’(OR8(3-v’) VIa
の少なくとも1つの脂肪族第一級又は第二級アミノアルコキシシラン、又は一般式Vb
(R6n’NH(2-n’)CH2CH(R7)CH2Si(R7v’(OR8(3-v’) VIb
の少なくとも1つの脂肪族第一級又は第二級アミノアルコキシシラン、特に式Va及び/又はVbの第二級アミノアルコキシシラン(n’は1である)
[Va及びVb中、R6は1〜18個の炭素原子を有する線状又は分枝のアルキル基であり、R7は独立にメチル基であり、かつR8は独立にメチル基、エチル基又はプロピル基であり、v’は、0又は1であり、n’は0又は1であり、かつm’は0、1、2又は3であり、特にm’は3である]と、ポリウレタンプレポリマーの反応に基づき、その際に、更なる工程で前記定義に相応するカルボキシ化合物の存在で加水分解及び/又は縮合、特にアルコキシ基の加水分解及び/又は縮合を行うことを特徴とする、粘着組成物、シール剤としてのシラン末端化、特に金属不含のポリウレタン。
【請求項12】
少なくとも1つの有機官能化シラン及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン及び/又はこれらの混合物及び/又は縮合生成物、及び少なくとも1つの有機官能性カルボキシ化合物を有するキット。
【請求項13】
有機官能性ケイ素化合物及びシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒及び場合により溶剤ならびに場合により水を含有する組成物を製造する方法において、少なくとも1つの有機官能性シラン及び/又は線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能化シロキサン及び/又はそれらの混合物及び/又はそれらの縮合生成物を、カルボキシ化合物、特に
b.1)一般式IVa
(A)zSiR2x(OR14-z-x (IVa)
(R1O)3-y-u(R2)u(A)ySi−A−Si(A)y(R2)u(OR13-y-u (IVb)
[式中、zは互いに独立に0、1、2又は3であり、
xは、0、1、2又は3であり、
yは、0、1、2又は3であり、かつ
uは、0、1、2又は3であるが、但し式I中、z+xは3以下(≦)であり、かつ
式II中、y+uは、独立に2以下(≦)であり、
− 式IVa及び/又はIVb中、Aは互いに独立に1価の有機官能基であり、かつ
式IVb中、2価の基としてのAは、2価の有機官能基を表し、
−R1は、互いに独立にカルボニル−R3基に相応し、その際、R3は、1〜45個の炭素原子を有する基に相応し、
−R2は、互いに独立に炭化水素基である]
の有機酸のケイ素含有前駆体化合物、及び/又は
b.2)次のグループ
iii.a)4〜45個の炭素原子を含有するカルボン酸、
iii.b)飽和及び/又は不飽和脂肪酸及び/又は
iii.c)天然もしくは合成アミノ酸
から選択される有機酸、及び/又は
b.3)有機酸のケイ素不含前駆体化合物、特に有機カチオンの無水物、エステル、ラクトン、塩、特に天然又は合成トリグリセリド及び/又はホスホグリセリド
の存在で、水分の存在で加水分解し及び/又は縮合させることを特徴とする、有機官能性ケイ素化合物及びシラン加水分解触媒及び/又はシラノール縮合触媒及び場合により溶剤ならびに場合により水を含有する組成物を製造する方法。
【請求項14】
基質を添加する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法により得られる組成物、特に変性基質。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の変性された基質又は組成物、特に請求項11に記載のポリウレタンの、接着剤、シール剤、ポリマー材料、粘着組成物、接着材料、染料及び/又は塗料のための使用。
【請求項17】
基質を処理、変性、疎水化及び/又は油性化するため、又は防指紋特性及び/又は抗−落書き特性有する基質に仕上げるための、接着促進剤としての、結合剤としての、前記定義に相応する少なくとも1つの有機官能化シラン及び/又は少なくとも1つの線状、分枝、環状及び/又は空間架橋されたオリゴマーの有機官能性シロキサン及び/又はこれらの混合物及び/又は縮合物と一緒のカルボキシ化合物の使用。
【請求項18】
前記定義による式IVa及び/又はIVbの有機酸のケイ素含有前駆体化合物。

【公表番号】特表2012−502151(P2012−502151A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526432(P2011−526432)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058723
【国際公開番号】WO2010/028877
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】