説明

定着ヒータ、加熱装置、画像形成装置

【課題】安価なコストで発熱抵抗体が形成された絶縁基板を効率よく発熱させるとともに、ひびや割れの発生を抑えることが可能な定着ヒータを実現する。
【解決手段】窒化アルミニウム等の高熱伝導特性を有する長尺平板状の絶縁基板11の一方の面に、銀・パラジウム等の通電により発熱が得られる発熱抵抗体121〜123と電力を供給させるための銀、銀白金等の単位面積当たりの抵抗値が低く通電しても大きな発熱現象が起こりにくい給電用の電極部14〜16を形成する。発熱抵抗体121〜123上には、オーバーコート層17を形成する。発熱抵抗体121〜123が形成された絶縁基板11の反対面に絶縁基板11より熱伝導率が高い材料を用いて、急激な電力の給電を行った場合に、最も発熱する部分に放熱パターン181,182を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報機器、家電製品や製造設備などの小型機器類に装着されて用いられる薄型の定着ヒータおよびこの定着ヒータを実装したプリンタ、複写機やファクシミリなどの加熱装置ならびにこの加熱装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の厚膜印刷による定着ヒータは、発熱体を形成した面とは反対の面の略全面に基板よりも熱伝導性の高い物質でパターンを形成している。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開平9−16306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した特許文献1の技術は、発熱抵抗体パターンが形成された面とは反対の絶縁基板の略全面に熱伝導性の高いパターンを形成しているため、発熱抵抗体の温度勾配が緩和され、絶縁基板に加わる熱応力が小さく抑えられ、ひびや割れの発生を抑えられることができる。しかし、絶縁基板の略全面にパターンを形成することは形成する面積が広くなるため、コストが高くなる問題がある。
【0004】
この発明の目的は、安価なコストで熱効率を良くすることができるとともに、ひびや割れの発生を抑えることのできる定着ヒータ、この定着ヒータを用いた加熱装置、この加熱装置を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、この発明の定着ヒータは、窒化アルミニウム等の高熱伝導特性を有する長尺平板状の絶縁基板と、前記絶縁基板の一面に形成された発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に電力を供給するために形成された給電用電極部と、前記発熱抵抗体を覆うように配置されたオーバーコート層と、前記給電用電極部から電力が供給された場合に、前記発熱抵抗体の他の部分より高い熱を発する部分の前記絶縁基板の裏面に、前記絶縁基板より熱伝導率の高い材料で形成された放熱パターンとを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、厚膜印刷により形成された定着ヒータの暴走時に破壊までの時間を長くすることでヒータ破壊前に安全回路が確実に作動する時間を稼ぐことで、周辺の部品等含めて発煙、発火等を防止させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1、図2は、この発明の定着ヒータの第1の実施形態について説明するためのもので、図1(a)は表面図、図1(b)は図1(a)の裏面図である。
図1において、11は、耐熱、電気絶縁性材料の例えばアルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)等の電気絶縁性を有する高剛性のセラミック等の基材で高い熱伝導性の短冊状絶縁基板である。121〜123は、絶縁基板11の表面側の長手方向に沿って平行に形成されたAg(銀)・Pd(パラジウム)をはじめとする銀系材料や、ルテニウム系、炭素系等などの発熱体ペーストをスクリーン印刷、高温で焼成し所定の抵抗値を有する膜厚が10μm程度の帯状の発熱抵抗体である。
【0009】
13は、発熱抵抗体121〜123それぞれ一端の一部を重層した銀系の導体ペーストを焼成して形成した接続部である。14は、発熱抵抗体121,123のそれぞれの他端と一部が重層形成されたAg、Ag/Pt、Ag/Pd合金等のいずれかを主体とする電極ペーストをスクリーン印刷、焼成して形成された給電用の電極である。15は、発熱抵抗体122の他端と一部が重層形成されたAg、Ag/Pt、Ag/Pd合金等のいずれかを主体とする電極ペーストをスクリーン印刷、焼成して形成された給電用の電極である。16は、接続部13の一部を重層形成したAg、Ag/Pt、Ag/Pd合金等のいずれかを主体とする電極ペーストをスクリーン印刷、焼成して形成された給電用の電極である。
【0010】
電極14〜16を残した発熱抵抗体121〜123および接続部上は、ガラスペーストをスクリーン印刷、焼成して電気的、機械的、化学的な保護を行うとともに摺動面ともなるオーバーコート層17で覆われている。
【0011】
図2に示すように、発熱抵抗体121,123はそれぞれの広い幅d11に比べて長手方向両側の一部に狭い幅d12がそれぞれ形成してある。また、発熱抵抗体122にも中央部の広い幅d21に比べて長手方向両側の一部に狭い幅d22が形成してある。発熱抵抗体121,123が通電されたときの狭い幅d12の部分は、これより広い幅d11より抵抗が高く発熱温度が高くなる。また、発熱抵抗体122が通電されたときの狭い幅d22の部分は、これより広い幅d21より抵抗が高く発熱温度が高くなる。
【0012】
狭い幅d12,d22を設けて通電時に抵抗が広い幅d11,d21に比べて高くする理由は、狭い幅d12,d22付近で発生した熱が接続部13,電極15,16により熱が奪われこの部分の温度の低下を抑えるためである。
【0013】
図1のu−u’断面を示す図3のように、発熱抵抗体121〜123等が形成された反対の絶縁基板11面には、例えば、導電性成分がAg、Ag/Pt、Ag/Pd等のいずれかで構成される表面に使用した電極14等と同じ電極ペーストをスクリーン印刷、焼成して放熱パターン181,182が形成される。
【0014】
発熱抵抗体121〜123は、予め紙に塗布されたトナーを定着するために発熱させるが、例えば使用の紙厚が薄いときは抵抗発熱体121,123を発熱させ、厚いときは抵抗発熱体121,123に加え発熱抵抗体122を発熱させるものである。発熱抵抗体121,123と発熱抵抗体122との切り換えは、使用する紙の状態に基づき図4に示すスイッチ41をオン・オフさせることで可能である。
【0015】
また、図1(b)に示すように、発熱抵抗体121〜123が最も発熱する図4の狭い幅d12,d22が形成された図1(a)の一点鎖線L1,L2で囲む部分の反対の絶縁基板11面には、例えば、導電性成分がAg、Ag/Pt、Ag/Pd等のいずれかで構成される表面に使用した電極14等と同じ電極ペーストをスクリーン印刷、焼成して放熱パターン181,182を形成する。
【0016】
ところで、発熱抵抗体121〜123が暴走すると狭い幅d12,d22部分の温度上昇が著しく広い幅d11,d21に比べて先に破壊することになる。
【0017】
そこで、先に加熱される部分の裏面に熱伝導性が高いAg、Ag/Pt、Ag/Pd等のいずれかの材料を用いて放熱パターン181,182を形成することで、絶縁基板11に発生する温度差を効率よく緩和させ、絶縁基板11の特定部分に加わる熱応力や熱衝撃を小さく押さえることで、絶縁基板11のひびや割れの発生を防止できる。
【0018】
図5は、この発明の定着ヒータの第2の実施形態について説明するためのもので、図1(b)に相当する裏面図である。
【0019】
図1(b)に示す放熱パターン181,182は、絶縁基板11の短手方向に同一の幅としたが、この実施形態では、発熱抵抗体121〜123の狭い幅d12,d22の真裏に位置する部分は絶縁基板11の短手方向に広く、絶縁基板11の長手方向の中央側を短手方向に狭い放熱パターン51,52を形成したものである。この放熱パターン51,52は、図1(b)の放熱パターン181,182と同様に、例えば導電性成分がAg、Ag/Pt、Ag/Pd等のいずれかで構成されるペーストをスクリーン印刷、焼成して形成させたものである。
【0020】
この実施形態では、発熱抵抗体121〜123が一番発熱する部分に先に発熱する部分の絶縁基板11の中央部側に、絶縁基板11の短手方向に狭く放熱パターン51,52が形成されているため、先に加熱される絶縁基板11部分の熱と絶縁基板11の短手方向の中央部に溜まる熱と一番発熱する熱と一緒により効率よく放出でき、絶縁基板11に発生する温度差を緩和させ、絶縁基板11に加わる熱応力や熱衝撃を小さく押さえ、絶縁基板11のひびや割れの発生が防止できる。
【0021】
図6は、この発明の定着ヒータの第3の実施形態について説明するためのもので、図1(b)に相当する裏面図である。
【0022】
図5の放熱パターン51,52では、絶縁基板11の短手方向に広い部分と狭い部分を形成したが、この実施形態では、図5の放熱パターン51,52の絶縁基板11の短手方向に広い部分から狭い部分まで漸次狭くなる放熱パターン61,62を形成したものである。放熱パターン61,62は、図5の放熱パターン51,52と同様の材料と方法で形成されるものである。
【0023】
この実施形態によれば、発熱抵抗体121〜123が一番発熱する部分に先に発熱する部分の絶縁基板11の長手方向の端部から絶縁基板11の長手の中央部に向かって漸次狭くなる放熱パターン61,62が形成されているため、先に加熱される絶縁基板11部分の熱と絶縁基板11の短手方向の中央部に溜まる熱と一番発熱する熱と一緒により効率よく放出でき、絶縁基板11に発生する温度差を緩和させ、絶縁基板11に加わる熱応力や熱衝撃を小さく押さえ、絶縁基板11のひびや割れの発生が防止できる。
【0024】
図7、図8は、この発明の定着ヒータの第4の実施形態について説明するためのもので、図7は図1(b)に相当する裏面図で、図8は図7のw−w’断面図である。
【0025】
この実施形態は、発熱抵抗体121〜123の狭い幅d12,d22の真裏に位置する絶縁基板11に放熱パターン71,72をそれぞれ形成するとともに、発熱抵抗体121〜123の真裏に位置する絶縁基板11上に放熱パターン71,72と一体形成された3条の結合パターン731〜733を形成したものである。放熱パターン71,72、結合パターン731〜733は、第1の実施形態と同様の材料、方法により形成されるものである。
【0026】
この場合、第1の実施形態の放熱パターン181,182の有する効果に加え、絶縁基板11の長手方向の中央部にこもりがちな熱を、結合パターン731〜733を通して拡散させることができる。このため、絶縁基板11全体の温度の均一化に寄与することが可能となる。
【0027】
図9、図10は、この発明の定着ヒータの第5の実施形態について説明するためのもので、図9は図1(b)に相当する裏面図で、図10(a)は図9のx−x’断面図、図10(b)は図9のy−y’断面図、図10(c)は図9のz−z’断面図である。
【0028】
この実施形態は、第4の実施形態での放熱パターン71との接合部分の結合パターン731〜733にそれぞれ幅広部741〜743を、放熱パターン72との接合部分の結合パターン731〜733にそれぞれ幅広部751〜753をそれぞれ形成したものである。
【0029】
この場合、発熱抵抗体121〜123が加熱すると、絶縁基板11の短手方向の端より絶縁基板11中央により熱が溜まることにより発生する温度差を結合パターン731〜733で防止することともに、幅広部741〜743、751〜753が放熱パターン71,72と結合パターン731〜733の熱の緩衝的な役割を果たし、絶縁基板11に発生する温度差を効率よく緩和させ、絶縁基板11に加わる熱応力や熱衝撃を小さく押さえることができ、絶縁基板11のひびや割れの発生が防止できる。
【0030】
図11は、この発明の定着ヒータの第6の実施形態について説明するための、図1(b)に相当する裏面図である。
【0031】
この実施形態は、第5の実施形態に放熱パターンと絶縁基板11の短手方向の漸次狭くする第3の実施形態とを組み合わせたものである。この場合、絶縁基板11中央により熱が溜まることによる温度差を解消するとともに、幅広部741〜743、751〜753が放熱パターン71,72と結合パターン731〜733の熱の緩衝的な役割を果す部分が絶縁基板11に発生する温度差をより効率よく緩和させ、絶縁基板11に加わる熱応力や熱衝撃をより小さく押さえることができ、絶縁基板11のひびや割れの発生が防止できる。
【0032】
上記した定着ヒータの第1〜第6の実施形態では、特に温度の高くなる部分にのみ熱応力や熱衝撃を抑える放熱パターンを施したことから必要とする熱伝導のよい材料の使用を抑えて廉価にすることができる。
【0033】
上記した各実施形態では、用紙の厚さが厚いか薄いかにより発熱抵抗体121,123を加熱するか、発熱抵抗体121〜123を加熱するかにしたが、用紙の幅が広いか狭いかの場合にも同様の考えが適用できる。この場合、図2の発熱抵抗体122はそのままとし、発熱抵抗体121,123の狭い幅d12を幅d11よりも広くする。これにより、使用の用紙の幅が狭いときは抵抗発熱体121,123を発熱させ、広いときは抵抗発熱体121,123に加えて抵抗発熱体122を発熱させるとよい。
【0034】
また、発熱抵抗体は3本の例を挙げたが、少なくとも1本でもこの発明の効果を享受することができる。要は、発熱抵抗体の発熱温度が高くなる絶縁基板の裏面付近に熱伝導性の高い放熱パターンが形成されていればよい。
【0035】
次に、図12を参照し、上記した定着ヒータを加熱装置200に実装した場合の、この発明の加熱装置の一実施形態について説明する。図中ヒータ100については、図1、図2で説明した定着ヒータであり、同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0036】
図12において、201は回転軸202で回転自在に回転される加圧ローラで、その表面に耐熱性弾性材料たとえばシリコーンゴム層203が嵌合してある。加圧ローラ201の回転軸202と対向してヒータ100が、並置して図示しない基台内に取り付けられている。
【0037】
ヒータ100の周囲にはポリイミド樹脂等の耐熱性のシートからなるエンドレスのロール状の定着フィルム204が循環自在に巻装されており、発熱抵抗体121〜123が形成された絶縁基板11のオーバーコート層17の表面は、この定着フィルム204を介して加圧ローラ201のシリコーンゴム層203と弾接している。
【0038】
図12の加熱装置200において、ヒータ100は電極14〜16に接触したりん青銅板等に銀メッキを施した弾性が付与された図示しないコネクタを通じて通電され、発熱抵抗体121〜123で発生させた熱が絶縁基板11、オーバーコート層17と伝わり、オーバーコート層17上の定着フィルム204面とシリコーンゴム層203との間で、トナー像T1がまず定着フィルム204を介してヒータ100により加熱溶融され、少なくともその表面部は融点を大きく上回り完全に軟化溶融する。この後、加圧ローラ201の用紙排出側では複写用紙Pがヒータ100から離れ、トナー像T2は自然放熱して再び冷却固化し、定着フィルム204も複写用紙Pから離反される。
【0039】
このように、トナー像T1は一旦完全に軟化溶融された後、加圧ローラ201の用紙排出側で再び冷却されることから、トナー像T2の凝縮力は非常に大きくなものとなっている。
【0040】
この加熱装置200では、ヒータ100の上流側あるいは下流側に形成したオーバーコート層17によって定着フィルム204の走行の軌跡を変更することが可能となる。これにより、定着フィルム204とヒータ100の端部の角にフィルムがあたることを防ぐことができ、フィルムにキズが入ったりダメージを与えたりすることなく良好な定着性が得られる。また、フィルムの回転が良好になりスリップも防止できる。
【0041】
次に、図13を参照して、この発明に係る定着ヒータ、この定着ヒータを用いた加熱装置を搭載した複写機を例とした、この発明の画像形成装置について説明する。図中、加熱装置200の部分は、上記した説明と同じであり、同一部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0042】
図13において、301は複写機300の筐体、302は筐体301の上面に設けられたガラス等の透明部材からなる原稿載置台で、矢印Y方向に往復動作させて原稿P1を走査する。
【0043】
筐体301内の上方向には光照射用のランプと反射鏡とからなる照明装置302が設けられており、この照明装置302により照射された原稿P1からの反射光源が短焦点小径結像素子アレイ303によって感光ドラム304上スリット露光される。なお、この感光ドラム304は矢印方向に回転する。
【0044】
また、305は帯電器で、例えば酸化亜鉛感光層あるいは有機半導体感光層が被覆された感光ドラム304上に一様に帯電を行う。この帯電器305により帯電された感光ドラム304には、結像素子アレイ303によって画像露光が行われた静電画像が形成される。この静電画像は、現像器306による加熱で軟化溶融する樹脂等からなるトナーを用いて顕像化される。
【0045】
カセット307内に収納されている複写用紙Pは、給送ローラ308と感光ドラム304上の画像と同期するタイミングをとって上下方向で圧接して回転される対の搬送ローラ309によって、感光ドラム304上に送り込まれる。そして、転写放電器310によって感光ドラム304上に形成されているトナー像は複写用紙P上に転写される。
【0046】
その後、感光ドラム304上から離れた用紙Pは、搬送ガイド311によって加熱装置200に導かれて加熱定着処理された後に、トレイ312内に排出される。なお、トナー像が転写された後、感光ドラム304上の残留トナーはクリーナ313を用いて除去される。
【0047】
加熱装置200は複写用紙Pの移動方向と直交する方向に、この複写機300が複写できる最大判用紙の幅(長さ)に合わせた有効長、すなわち最大判用紙の幅(長さ)より長い発熱抵抗体121〜123を延在させて定着ヒータ100の加圧ローラ201が設けられている。
【0048】
そして、定着ヒータ100と加圧ローラ201との間を送られる用紙P上の未定着トナー像T1は、発熱抵抗体121〜123の熱を受け溶融して複写用紙P面上に文字、英数字、記号、図面等の複写像を現出させる。
【0049】
この実施形態では、定着フィルムとの摺動性の阻害の防止や良好な定着性を図ることができるヒータ100よる加熱装置200を用いた複写機300を実現できる。
【0050】
なお、この発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、オーバーコート材は相対する定着フィルムの材質やその他条件によって変える必要があるため特定はできないが、定着フィルムが樹脂の場合、オーバーコート層はガラス、定着フィルムが金属の場合オーバーコート層は樹脂を組み合わせるのが望ましい。この樹脂は一般的に摺動性に優れるとされる材料、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびポリフェニレンサルファイド、エラストマー系、ポリオレフィン系、フッ素等があり、基本的にはどれを使用しても良いが耐熱性から弾性に富むPI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)等のイミド系が好ましいが、硬度が低すぎると樹脂被膜の方が削れてしまうため、3H以上の硬度は必要である。
【0051】
また、発熱抵抗体は便宜的に2本折り返す構成としているが、発熱抵抗体構成は特に限定するものではない。
【0052】
定着ヒータの用途としては、複写機等の画像形成装置の定着用に用いたが、これに限らず、家庭用の電気製品、業務用や実験用の精密機器や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の定着ヒータに関する第1の実施形態について説明するための(a)は表面図、(b)は裏面図。
【図2】図1の抵抗発熱体をより詳細に説明するための説明図。
【図3】図1のu−u’断面図。
【図4】図1の抵抗発熱体の切り換えについて説明するための説明図。
【図5】この発明の定着ヒータに関する第2の実施形態について説明するための裏面図。
【図6】この発明の定着ヒータに関する第3の実施形態について説明するための裏面図。
【図7】この発明の定着ヒータに関する第4の実施形態について説明するための裏面図。
【図8】図7のw−w’断面図。
【図9】この発明の定着ヒータに関する第5の実施形態について説明するための裏面図。
【図10】(a)は図9のx−x’断面図、(b)は図9のy−y’断面図、(c)は図9のz−z’断面図。
【図11】この発明の定着ヒータに関する第6の実施形態について説明するための裏面図。
【図12】この発明の加熱装置に関する一実施形態について説明するための説明図。
【図13】この発明の画像形成装置に関する一実施形態について説明するための説明図。
【符号の説明】
【0054】
11 絶縁基板
121〜123 発熱抵抗体
13 接続部
14〜16 電極
17 オーバーコート層
181,182,41,42,51,52,61,62,71,72 放熱パターン
d11,d21 広い幅
d12,d22 狭い幅
731〜733 結合パターン
741〜743、751〜753 幅広部
100 定着ヒータ
200 加熱装置
300 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化アルミニウム等の高熱伝導特性を有する長尺平板状の絶縁基板と、
前記絶縁基板の一面に形成された発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体に電力を供給するために形成された給電用電極部と、
前記発熱抵抗体を覆うように配置されたオーバーコート層と、
前記給電用電極部から電力が供給された場合に、前記発熱抵抗体の他の部分より高い熱を発する部分の前記絶縁基板の裏面に、前記絶縁基板より熱伝導率の高い材料で形成された放熱パターンとを具備したことを特徴とする定着ヒータ。
【請求項2】
前記放熱パターンは、前記絶縁基板の長手方向の中央部側に向かい、前記絶縁基板の短手方向に広い幅と狭い幅を有するか、広い幅から漸次狭い幅としたことを特徴する請求項1記載の定着ヒータ。
【請求項3】
前記放熱パターンは、前記発熱抵抗体の両端付近に、他の部分より高い熱を発する部分を形成し、該高い熱を発する部分の前記絶縁基板の裏面に、該絶縁基板より熱伝導率の高い材料でそれぞれ形成し、
前記放熱パターンは、前記発熱抵抗体の反対側に位置する部分の前記絶縁基板上で形成された結合パターンで一体的に結合してなることを特徴とする請求項1または2記載の定着ヒータ。
【請求項4】
加熱ローラと、
前記加熱ローラに対向配置された発熱抵抗体が圧接された請求項1〜3のいずかに記載のヒータと、
前記ヒータと前記加圧ローラとの間を移動可能に設けられた定着フィルムとを具備したことを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する形成手段と、
画像が形成された用紙を加圧ローラにより定着フィルムを介して前記定着ヒータに圧接しながら通過させることによって、トナーを定着するようにした請求項4記載の加熱装置とを具備したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−121955(P2007−121955A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317487(P2005−317487)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】