説明

定着用ローラの製造方法、定着用ローラ、定着装置および画像形成装置

【課題】弾性層の厚さ方向の熱伝導率を向上させ、定着装置の起動時間の短縮が可能な定着用ローラを容易かつ確実に製造し得る定着用ローラの製造方法、また、この定着用ローラの製造方法により製造された定着用ローラ、かかる定着用ローラを備え、信頼性の高い定着装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】定着ローラは、ローラ本体210の外周面側に、繊維状炭素系物質212と弾性材料213またはその前駆体とを含む液状組成物をノズル48から液滴50として吐出して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させ、繊維状炭素系物質212と弾性材料213とを含む弾性層を得るものであり、塗膜の形成を行う際に、ローラ本体210の軸に対してほぼ垂直な方向に電界を発生させた状態でこれを行い、塗膜中においてその厚さ方向に繊維状炭素系物質212を配向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着用ローラの製造方法、定着用ローラ、定着装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー、ファクシミリ等のような画像形成装置には、トナーにより形成されたトナー像を未定着状態で担持する記録材(記録媒体)を加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録用紙に定着させる定着装置が備えられているものがある。
このような定着装置としては、例えば、いずれもハロゲンヒータ(加熱手段)を内蔵した定着ローラと加圧ローラとの間に、トナー像が転写された記録材を通過させて、2つのローラによる加熱および加圧により、トナー像を記録材に定着させるものが用いられている(例えば、特許文献1(図1)参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載の定着装置に用いられる定着用ローラ(定着ローラおよび加圧ローラ)は、芯金(ローラ本体)の外周面に、1層または2層以上の弾性層が形成されて構成されている。このため、ヒータは、芯金を介して弾性層を加熱し、定着用ローラ全体を加熱することになる。
なお、弾性層の中には、シリコーンゴムで構成される層が含まれているが、シリコーンゴムは熱伝導率が低い(0.2〜0.5W/m・k)ため、ヒータによる加熱開始後、定着用ローラ全体を暖めるのに時間を要するという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平5−32898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題点を解決する方法として、弾性層中に熱伝導性に優れる繊維状炭素系物質を、弾性層の厚さ方向に配向させることが考えられる。かかる構成によれば、ヒータの熱が繊維状炭素系物質の軸方向(弾性層の厚さ方向)に沿って、定着用ローラの外表面にまで伝わるため、定着用ローラ全体を効率よく暖めることができる。
そして、かかる新規な構成の定着用ローラを、容易かつ確実に製造し得る方法の開発が望まれるところである。
【0006】
したがって、本発明の目的は、弾性層の厚さ方向の熱伝導率を向上させ、定着装置の起動時間の短縮が可能な定着用ローラを容易かつ確実に製造し得る定着用ローラの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、このような定着用ローラの製造方法により製造された定着用ローラ、かかる定着用ローラを備え、信頼性の高い定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の定着用ローラの製造方法は、ローラ本体の外周面側に、繊維状炭素系物質と弾性材料またはその前駆体とを含む液状組成物による塗膜を形成する第1の工程と、
前記塗膜を硬化させ、前記繊維状炭素系物質と前記弾性材料とを含む弾性層を得る第2の工程とを有し、
前記第1の工程において、前記ローラ本体の軸に対してほぼ垂直な方向に電界を発生させた状態で、前記塗膜の形成を行うことにより、該塗膜中において、その厚さ方向に前記繊維状炭素系物質を配向させることを特徴とする。
これにより、弾性層の厚さ方向の熱伝導率を向上させ、定着装置の起動時間の短縮が可能な定着用ローラを容易かつ確実に製造し得る。
【0008】
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記第1の工程において、前記液状組成物をノズルから液滴として吐出することにより、前記塗膜を形成することが好ましい。
このような方法、いわゆる、静電塗布法によれば、繊維状炭素系物質の配向方向を揃えるのが容易であるとともに、比較的薄い弾性層を均一な膜厚で形成することができる。
【0009】
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記液状組成物において、繊維状炭素系物質と、前記弾性材料またはその前駆体との配合比は、重量比で0.5:95.5〜2:98であることが好ましい。
これにより、液状組成物の粘度が極端に高くなるのを防止することができ、静電塗布を効率よく行うことができる。また、繊維状炭素系物質の含有量を、このような範囲に調製することにより、繊維状炭素系物質の配設密度を目的とする範囲に設定するのが容易である。
【0010】
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記第1の工程において、前記液状組成物の粘度は、10〜20cPであることが好ましい。
これにより、粘度が低過ぎることに起因するノズルからの液滴の吐出不良や、粘度が高過ぎることに起因するノズルの目詰まりを確実に防止することもできる。
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記第1の工程において、発生させる前記電界の強度は、5×10〜5×10V/mであることが好ましい。
これにより、繊維状炭素系物質の配向方向の制御を確実に行いつつ、静電塗布を効率的に行うことができる。
【0011】
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記弾性材料は、シリコーンゴムを主成分とするものであることが好ましい。
シリコーンゴムは、特に耐熱性に優れるとともに、弾力性(可撓性)に優れる材料であることから好ましい。
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記繊維状炭素系物質は、その軸方向における熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましい。
このように熱伝導率の高い繊維状炭素系物質を用いることにより、弾性層の熱伝導率がより向上し、結果として、定着ローラ全体をより迅速かつ確実に暖めることが可能となる。
【0012】
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記繊維状炭素系物質は、カーボンナノチューブを主成分とするものであることが好ましい。
カーボンナノチューブは、極めて高い熱伝導性を有する。このため、ヒータからの熱をより確実かつ無駄なく定着ローラの外周面に伝えることができる。
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記第1の工程および前記第2の工程を繰り返して行い、前記カーボンナノチューブの最大長さの1.1〜2倍である層を複数積層して、前記弾性層を形成することが好ましい。
これにより、弾性層からカーボンナノチューブが不本意に突出することを好適に防止することができる。また、弾性層を構成する各層の外表面側においてカーボンナノチューブの存在しない部分が増加して、弾性層の熱伝導率が低下するのを好適に防止することもできる。
【0013】
本発明の定着用ローラの製造方法では、前記弾性層は、その硬度がアスカーCで20度以下であることが好ましい。
かかる弾性層は、十分な柔軟性を有するものとなるため、定着装置においてニップ部の面積を十分に確保することができる。これにより、未定着像の記録媒体への定着不良をより確実に防止することができる。
【0014】
本発明の定着用ローラは、本発明の定着用ローラの製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、弾性層の厚さ方向の熱伝導率を向上させ、定着装置の起動時間の短縮が可能な定着用ローラが得られる。
本発明の定着装置は、定着ローラと、該定着ローラに圧接される加圧ローラとを備え、前記定着ローラと前記加圧ローラとの間に、未定着像を担持した記録媒体を通過させることにより、該記録媒体に前記未定着像を定着させる定着装置であって、
前記定着ローラと前記加圧ローラのうちの少なくとも一方を、本発明の定着用ローラで構成したことを特徴とする。
これにより、起動に要する時間が短く、かつ信頼性の高い定着装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置は、本発明の定着装置を備えることを特徴とする。
これにより、起動に要する時間が短く、かつ信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、定着用ローラの製造方法、定着用ローラ、定着装置および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、本発明の定着用ローラの製造方法について説明する前に、本発明の定着用ローラの製造方法により製造された定着用ローラ、かかる定着用ローラを備える定着装置および画像形成装置について説明する。
【0016】
[画像形成装置]
まず、本発明の画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明の定着装置を備えた本発明の画像形成装置の全体構成図である。
画像形成装置1の装置本体2内には、感光体ドラムで構成される像担持体3が配設されている。この像担持体3は、図示しない駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。
【0017】
像担持体3の周囲には、その回転方向に沿って、像担持体3を一様に帯電するための帯電装置4と、像担持体3上に静電潜像を形成するための露光装置5と、静電潜像を現像するためのロータリー現像装置6と、像担持体3上に形成された単色のトナー像を一次転写するための中間転写装置7とが配設されている。
ロータリー現像装置6は、イエロー用現像装置6Y、マゼンタ用現像装置6M、シアン用現像装置6Cおよびブラック用現像装置6Kが支持フレーム8に装着され、支持フレーム8は図示しない駆動モータにより回転駆動される構成になっている。
【0018】
これらの複数の現像装置6Y、6C、6M、6Kは、像担持体3の1回転毎に選択的に1つの現像装置の現像ローラ6aが像担持体3に対向するように回転移動するようにされている。
なお、各現像装置6Y、6C、6M、6Kには各色のトナーが収納されたトナー収納部が形成されている。
【0019】
中間転写装置7は、駆動ローラ9および従動ローラ10と、両ローラにより図示矢印方向に駆動される中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11の裏面で像担持体3に対向して配設された一次転写ローラ12と、中間転写ベルト11上の残留トナーを除去する転写ベルトクリーナ13と、駆動ローラ9に対向して配設され、中間転写ベルト11に形成された4色フルカラー像を記録媒体(紙等)上に転写するための二次転写ローラ14とを有している。
装置本体2の底部には、給紙カセット15が配設され、給紙カセット15内の記録媒体は、ピックアップローラ16、記録媒体搬送路17、二次転写ローラ14、定着装置19を経て排紙トレイ20に搬送されるように構成されている。
【0020】
次に、上記のような構成の画像形成装置の作用について説明する。
図示しないコンピュータからの画像形成信号が入力されると、像担持体3、現像装置6の現像ローラ6aおよび中間転写ベルト11が回転駆動し、先ず、像担持体3の外周面が帯電装置4によって一様に帯電され、一様に帯電された像担持体3の外周面に、露光装置5によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、イエローの静電潜像が形成される。
【0021】
像担持体3上に形成された潜像位置には、イエロー用現像装置6Yが回動してその現像ローラ6aが当接し、これによってイエローの静電潜像のトナー像が像担持体3上に形成され、次に、像担持体3上に形成されたトナー像は一次転写ローラ12により中間転写ベルト11上に転写される。このとき、二次転写ローラ14は中間転写ベルト11から離間されている。
【0022】
上記の処理が画像形成信号の第2色目、第3色目、第4色目に対応して、像担持体3と中間転写ベルト11の1回転による潜像形成、現像、転写が繰り返され、画像形成信号の内容に応じた4色のトナー像が中間転写ベルト11上において重ねられて転写される。
そして、このフルカラー画像が二次転写ローラ14に達するタイミングで、記録媒体が搬送路17から二次転写ローラ14に供給され、このとき、二次転写ローラ14が中間転写ベルト11に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト11上のフルカラートナー像(未定着像)が記録媒体上に転写される。
【0023】
そして、当該トナー像を担持した記録媒体を、定着ローラ21と加圧ローラ22との間、すなわち、定着装置19を通過させることにより、トナー像が加熱加圧され記録媒体に定着される。中間転写ベルト11上に残留しているトナーは転写ベルトクリーナ13によって除去される。
なお、両面印刷の場合には、定着装置19を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路23を経て、二次転写ローラ14に供給され、中間転写ベルト11上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置19により加熱加圧され定着される。
定着装置19は、熱源を備える定着ローラ(本発明の定着用ローラ)21とこれに圧接される加圧ローラ22とを有し、定着ローラ21の軸と加圧ローラ22の軸とを結ぶ線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
【0024】
[定着装置]
以下、本発明の定着装置について、詳細に説明する。
図2〜図6は、図1に示す定着装置の詳細を示し、図2は、本発明の定着装置の一部破断面を示す斜視図であり、図3は、図2に示す定着装置の平面図であり、図4は、図2に示す加圧ローラおよび定着ローラの取付状態を示す側面図であり、図5は、図2に示す加圧ローラの断面図であり、図6は、図2に示す定着ローラの断面図である。
【0025】
図2および図3に示すように、定着装置19のハウジング24内には、定着ローラ21が回動自在に装着され、定着ローラ21の一端には駆動ギヤ28が連結されている。
そして、定着ローラ21に対向して加圧ローラ22が回動自在に装着されている。加圧ローラ22の軸方向長さは定着ローラ21のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受25が設けられ、加圧ローラ22の両端は軸受25により支持されている。
軸受25には加圧レバー26が回動可能に設けられ、加圧レバー26の一端とハウジング24間には加圧スプリング27が配設され、これにより加圧ローラ22と定着ローラ21とが加圧(圧接)されるように構成されている。
【0026】
ハウジング24の両側面には、支持軸29、30が設けられており、この支持軸29、30にそれぞれ、定着ローラ21側の剥離部材31と、加圧ローラ22側の剥離部材32とが回動自在に装着されている。これにより、定着ローラ21と加圧ローラ22との軸方向でニップ部N(図4参照)の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材31、32が配設されることになる。
【0027】
図5に示すように、加圧ローラ22は、金属製の筒体221と、筒体221に固定された回転軸222と、回転軸222を軸支持する軸受25と、筒体221の外周に設けられたシリコーンゴム等で構成された弾性層223と、弾性層223の表面に被覆された表層224とを有している。
表層224は、例えば、フッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばパーテトラフロロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA))等から構成される。このよう材料で構成された表層224を設けることにより、トナーが加圧ローラ22(表層224)に付着するのを防止することができる。
【0028】
なお、回転軸222は、図示のように、中空体で構成されているのに限定されず、中実体で構成されていてもよい。
図6に示すように、定着ローラ21は、ローラ本体210と、ローラ本体210の外周面(表面)に設けられた弾性層214と、さらに弾性層214の外周面に設けられた表層215とを有している。
【0029】
また、ローラ本体210は、筒体210aと、筒体210a内に固定された円筒状の回転軸210bとを備えている。
そして、ローラ本体210(回転軸210b)内には、ハロゲンランプ等のヒータ(熱源)211が設置されている。
このような構成により、回転軸210bを中心(軸)として、筒体210a、弾性層214および表層215が一体で回転するとともに、ヒータ211により定着ローラ21全体が暖められるようになっている。
【0030】
ローラ本体210(筒体210aおよび回転軸210b)は、熱伝導率が良好な材料、例えば、金属材料等で構成されている。
弾性層214は、その厚さ方向に配向した繊維状炭素系物質212と、この繊維状炭素系物質212を固定する弾性材料213とを含んでなるものである。
これにより、ヒータ211からの熱を繊維状炭素系物質212を介して、定着ローラ21の外表面に伝えることができるようなる。このため、熱伝導率が比較的低い弾性材料213を用いた場合でも、弾性層214全体の厚さ方向における熱伝導率を高めることができる。これにより、定着ローラ21全体を迅速かつ確実に暖めること(クイックヒート)が可能となり、定着装置19(画像形成装置1)の起動時間の短縮を図ることができる。
【0031】
例えば、繊維状炭素系物質を含まない弾性層を有する定着ローラを用いた場合に対して、約6割程度の時間で、画像形成装置1の起動が可能となる。
また、繊維状炭素系物質212は、比較的柔軟な(可撓性の高い)物質であるため、弾性層214の硬度が高くなるのを防止することができる。このため、加圧ローラ22を圧接した際に形成されるニップ部Nの面積を十分に確保することができ、結果として、未定着像の記録媒体への定着不良が生じるのを確実に防止することができる。
【0032】
なお、ここで、繊維状炭素系物質212は、弾性層214の厚さ方向に配向した状態で、ローラ本体210(筒体210a)の外周面に対してほぼ垂直をなしているのが好ましいが、ローラ本体210の外周面に対して若干傾斜していてもよい。
また、繊維状炭素系物質212が配向した状態では、大多数の繊維状炭素系物質212が同じ方向に向いて揃った状態となっていればよく、一部に全く異なる方向を向く繊維状炭素系物質212を含んでいてもよい。
繊維状炭素系物質212としては、例えば、炭素繊維(例えば、ピッチ系、PAN系等)、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
これらの中でも、繊維状炭素系物質212としては、その軸方向における熱伝導率が1W/m・K以上であるものが好ましく、5W/m・K以上であるものがより好ましく、10W/m・K以上であるものがさらに好ましくい。このように熱伝導率の高い繊維状炭素系物質212を用いることにより、弾性層214の熱伝導率がより向上し、結果として、定着ローラ21全体をより迅速かつ確実に暖めることが可能となる。
このような繊維状炭素系物質212としては、カーボンナノチューブを主成分とするものが好ましい。
カーボンナノチューブは、極めて高い熱伝導性を有する。このため、ヒータ211からの熱をより確実かつ無駄なく定着ローラ21の外周面に伝えることができる。
【0034】
ところで、カーボンナノチューブは、微細な繊維であるため互いに絡まり易い特性を有するが、分散媒に分散することにより、この絡まりあいを解消することができる。したがって、繊維状炭素系物質212をローラ本体210の外表面側に配設する際に、繊維状炭素系物質212を分散媒中に分散して調製した液状組成物を用いる方法(後述するような静電塗布法等)を採用する場合に、繊維状炭素系物質212として、カーボンナノチューブを用いることは特に好ましい。これにより、弾性層214におけるカーボンナノチューブの分布状態(密度)を均一にすることができ、結果として、定着ローラ21の外表面に温度ムラが生じるのを確実に防止することができる。
【0035】
また、弾性層214におけるカーボンナノチューブの密度を調整することにより、弾性層214の硬度が必要以上に高くなるのを防止しつつ、弾性層214に高い熱伝導性を付与することができる。また、ローラ本体210の外表面に温度ムラが生じるのをより確実に防止することができる。
なお、弾性層214における繊維状炭素系物質212の密度は、例えば、後述する液状組成物中の繊維状炭素系物質212の含有量等を調節することにより適宜設定が可能である。
【0036】
一方、弾性材料213としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
これらの中でも、弾性材料213としては、シリコーンゴムを主成分とするものが好ましい。シリコーンゴムは、特に耐熱性に優れるとともに、弾力性(可撓性)に優れる材料であることから好ましい。
また、図示の弾性層214は、単層構成であるが、繊維状炭素系物質212として、前記カーボンナノチューブのように、その長さが比較的短いものを用いる場合には、弾性層214は、後述する工程[2]および工程[3]を繰り返し行うことにより、複数層積層して形成してもよい。
【0038】
この場合、各層の平均厚さは、カーボンナノチューブの最大長さの1.1〜2倍程度であるのが好ましく、1.1〜1.5倍程度であるのがより好ましい。これにより、弾性層214からカーボンナノチューブが不本意に突出することを好適に防止することができる。また、弾性層214を構成する各層の外表面側においてカーボンナノチューブの存在しない部分が増加して、弾性層214の熱伝導率が低下するのを好適に防止することもできる。
【0039】
また、弾性層214の厚さは、加圧ローラ22の弾性層223の厚さより小さいのが好ましい。これにより、図4に示すように、加圧ローラ22側が凹状をなすようなニップ部Nを確実に形成することができる。
なお、弾性層214の平均厚さは、1〜5mm程度であるのが好ましく、0.75〜2mm程度であるのがより好ましい。
【0040】
また、このような弾性層214の硬度は、アスカーC(SRIS 0101に規定)で20度以下であることが好ましい。かかる弾性層214は、十分な柔軟性を有するものとなるため、加圧ローラ22との接触面積(ニップ部Nの面積)を十分に確保することができる。これにより、未定着像の記録媒体への定着不良をより確実に防止することができる。
【0041】
弾性層214の外周面には、表層(剥離層)215が設けられている。
この表層215は、主として樹脂材料で構成されている。この樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、パーテトラフロロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のようなフッ素系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これにより、トナーが定着ローラ21(表層215)に付着するのを防止することができる。
【0042】
なお、表層215の平均厚さは、特に限定されず、1〜100μm程度であるのが好ましく、30〜50μm程度であるのがより好ましい。
以上のような定着装置19では、定着ローラ21において、弾性層214の厚さ方向に沿って、軸が揃うように繊維状炭素系物質212が配設されているので、弾性層214の厚さ方向の熱伝導率が向上し、熱効率を低下させることなく、ヒータ211からの熱を記録媒体に確実に伝えることができる。
【0043】
また、弾性層214の厚さ方向の熱伝導率が向上するため、定着ローラ21の外表面を迅速かつ確実に暖めること(すなわち、クイックヒート)が可能となる。これにより、定着装置19は、その起動時間を確実に短縮することができる。
なお、前述した定着ローラ21の構成は、加圧ローラ22に適用することもできる。すなわち、本発明の定着用ローラは、定着装置19が備える一対のローラのいずれか一方または双方に適用することができる。
【0044】
また、例えば、定着ローラ21において、ローラ本体210の内部にハロゲンランプ等のヒータ211を設ける場合を例に挙げて説明したが、ヒータは、ローラ本体210と弾性層214との間に設けられた発熱層で構成することもできる。
また、かかる発熱層は、ローラ本体210内に、その内周面に沿って、かつ、回転中心から離間した位置に前記内周面と間隙を介して配置する構成であってもよい。
また、ヒータを発熱層としてローラ本体210と弾性層214との間に設ける場合、定着ローラ21の回転軸210bは、中実体で構成してもよい。
【0045】
次に、上述した定着ローラ21の製造方法(本発明の定着用ローラの製造方法)について、図7および図8を参照しながら説明する。
[1] まず、前述したようなローラ本体210を用意する。
[2] 次に、ローラ本体210の軸に対してほぼ垂直な方向に電界を発生させた状態で、ローラ本体210の外周面に、繊維状炭素系物質212と弾性材料213またはその前駆体とを含む液状組成物を液滴として吐出して(いわゆる、静電塗布法により)、塗膜を形成する(第1の工程)。
かかる静電塗布法によれば、繊維状炭素系物質212の配向方向を揃えるのが容易であるとともに、比較的薄い弾性層214を均一な膜厚で形成することができる。
【0046】
なお、液状組成物を調製するのに用いる溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0047】
液状組成物において、繊維状炭素系物質と、弾性材料またはその前駆体(以下、「固形成分」と言う。)との配合比は、重量比で0.5:95.5〜2:98であるのが好ましい。これにより、液状組成物の粘度が極端に高くなるのを防止することができ、静電塗布を効率よく行うことができる。また、繊維状炭素系物質212の含有量を、このような範囲に調製することにより、弾性層214中の繊維状炭素系物質212の密度を好適な範囲に設定するのが容易である。
【0048】
また、液状組成物の粘度は、10〜20cP程度であるのが好ましい。これにより、繊維状炭素系物質212と固形成分とが均一に混合した微小液滴を形成することができる。なお、粘度が低すぎると、繊維状炭素系物質212と固形成分とが分離し易くなる傾向を示し、一方、高すぎると、微小液滴を形成し難くなる傾向を示す。
この静電塗布は、例えば、図8に示すような静電塗布装置40を用いることにより、好適に行うことができる。
【0049】
図8は、静電塗布装置の構成を示す概略図である。なお、図8中上側を「上」、下側を「下」として説明する。
図8に示す静電塗布装置40は、チャンバ51を備えており、チャンバ51内には、ローラ本体210を支持し、かつ、これを回転させることができる支持部52が設けられている。そして、この支持部52は、アースされている。
【0050】
また、チャンバ51の上方には、液状組成物を液滴50として吐出するノズル48と、その近傍に電極55が設けられている。
なお、ノズル48および電極55は、図示しない移動手段により、ローラ本体210の長手方向(軸方向)に、一体的に移動可能になっている。
電極55には、ケーブル54を介して電源53が接続されている。電極55に電圧を印加すると、アース電位の支持部52(ローラ本体210)との間に電界が発生する。また、ノズル48から吐出される液滴50を帯電させることができる。
【0051】
一方、ノズル48は、後述する微粒子化された液状組成物を搬送する搬送ライン47の一端に接続され、搬送ライン47の他端は、分級チャンバ44に接続されている。
分級チャンバ44内には、搬送ライン47が開口する下方に、衝突板45が所定角度傾斜した状態で配置されている。
また、分級チャンバ44には、その側壁部に、液状組成物を噴出する噴出ノズル421と、その底部に、キャリアガス(例えば窒素等の不活性ガス)を供給するガス供給ノズル461とが接続されている。
【0052】
噴出ノズル421は、液状組成物を供給するライン42の一端に接続され、このライン42の他端は、液状組成物を貯留するタンク41に接続されている。また、ライン42の途中には、ポンプ43が設けられている。液状組成物は、ポンプ43により、例えば、20〜30kg/cm程度の圧力でライン42を圧送され、噴出ノズル421から分級チャンバ44内に、微粒子化されて噴出される
一方、ガス供給ノズル461は、ライン46を介して、図示しないガスボンベ等に接続されている。キャリアガスは、ガス供給ノズル461から、例えば、20〜30L/分程度の流量で分級チャンバ44内に供給される。
【0053】
さて、噴出ノズル421から噴出された液状組成物の微粒子は、分級チャンバ44内において、衝突板45に衝突する。この際、この微粒子は、さらに小粒径化される。そして、その一部のものは、上方に向かって供給されるキャリアガスとともに、搬送ライン47を搬送され、ノズル48から液滴50として吐出される。
ここで、この液滴50は、例えば、図9に示すように、繊維状炭素系物質212の周囲に、弾性材料213またはその前駆体の溶液が付着した状態となっている。
【0054】
ノズル48から吐出された液滴50は、前述したように帯電することにより、ローラ本体210に向かって飛んでいき、その外表面に付着する。
また、このとき、電極55とローラ本体210との間には、ローラ本体210の軸に対してほぼ垂直な方向に電界が発生しているため、繊維状炭素系物質212は、この電界の方向に沿って整列することになる。
【0055】
以上の操作を、ローラ本体210を回転させるとともに、ノズル48および電極55を一体として、ローラ本体210の軸方向(長手方向)に沿って相対的に移動させつつ行う。これにより、ローラ本体210の外周面には、そのほぼ全体に液状組成物の塗膜が形成される。また、この塗膜中において、その厚さ方向に繊維状炭素系物質212が配向する。
【0056】
この際、電極55とローラ本体210との間に発生させる電界の強度は、特に限定されないが、5×10〜5×10V/mであるのが好ましく、1×10〜1×10V/mであるのがより好ましい。電界強度が小さ過ぎると、静電塗布を効率的に行うことができないおそれがあり、一方、前記上限値を超えると、静電気力が大きなり過ぎ、繊維状炭素系物質212の配向制御が難しくなる傾向を示す。
【0057】
なお、本実施形態では、ノズル48および電極55を、ローラ本体210の軸方向に沿って移動させるように構成されているが、ノズル48および電極55を固定し、ローラ本体210をその軸方向に移動させるように構成してもよい。
また、サイズの大きい電極55を用意し、ノズル48のみをローラ本体210の軸方向に沿って相対的に移動可能に構成してもよい。
また、本実施形態では、塗膜を形成する方法として、液滴を吐出して行う方法を代表にして説明したが、塗膜の形成は、その他、例えば、浸漬法(ディッピング法)、刷毛塗りのような各種塗布法等を用いて行うことができる。
【0058】
[3] 次に、塗膜(液状被膜)を硬化させる(第2の工程)。これにより、図7(a)に示すように、ローラ本体210の外周面に弾性層214を得る。
液状組成物に弾性材料そのものが含まれる場合、例えば、加熱、真空乾燥等による脱分散媒により、塗膜を硬化(固化)されることができる。
一方、液状組成物に弾性材料の前駆体が含まれる場合、例えば、加熱、紫外線照射等の方法により、前駆体を反応させて弾性材料に変化させることにより、塗膜を硬化(固化)されることができる。
なお、弾性材料の前駆体としてシリコーンゴムの前駆体を用いる場合、100〜150℃程度での加熱が行われる。
【0059】
[4] 次に、図7(b)に示すように、弾性層214の外周面に表層215を形成する。
この表層215は、例えば、押出成形、LIM成形、熱収縮チューブを被覆した後、加熱を行う方法等により形成することができる。
[5] 次に、ローラ本体210(回転軸210b)の内側に、ヒータ211を設置する。
以上の工程を経て、定着ローラ21が製造される。
【0060】
なお、弾性層214は、例えば、ローラ本体210の外表面に、その半径方向に繊維状炭素系物質212を配向するように配設した後、繊維状炭素系物質212同士の間に弾性材料213を充填するようにして形成することもできるが、本発明のように、予め繊維状炭素系物質212が混合された液状組成物を用いて形成することにより、工程の簡略化を図ることができる。このように、本発明によれば、定着ローラ21の製造時間および製造コストの削減を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の定着用ローラの製造方法、定着用ローラ、定着装置および画像形成装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、定着用ローラ、定着装置および画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の定着装置を備えた本発明の画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の定着装置の一部破断面を示す斜視図である。
【図3】図2に示す定着装置の平面図である。
【図4】図2に示す加圧ローラおよび定着ローラの取付状態を示す側面図である。
【図5】図2に示す加圧ローラの断面図である。
【図6】図2に示す定着ローラの断面図である。
【図7】図6に示す定着ローラの製造方法を説明する図である。
【図8】静電塗布装置の構成を示す概略図である。
【図9】液滴を示す模式図である。
【符号の説明】
【0063】
1……画像形成装置 2……装置本体 3……像担持体 4……帯電装置 5……露光装置 6……ロータリー現像装置 6Y……イエロー用現像装置 6M……マゼンタ用現像装置 6C……シアン用現像装置 6K……ブラック用現像装置 6a……現像ローラ 7……中間転写装置 8……支持フレーム 9……駆動ローラ 10……従動ローラ 11……中間転写ベルト 12……一次転写ローラ 13……転写ベルトクリーナ 14……二次転写ローラ 15……給紙カセット 16……ピックアップローラ 17……記録媒体搬送路 19……定着装置 20……排紙トレイ 21……定着ローラ 210……ローラ本体 210a……筒体 210b……回転軸 211……ヒータ 212……繊維状炭素系物質 213……弾性材料 214……弾性層 215……表層 22……加圧ローラ 221……筒体 222……回転軸 223……弾性層 224……表層 23……両面印刷用搬送路 24……ハウジング 25……軸受 26……加圧レバー 27……加圧スプリング 28……駆動ギヤ 29、30……支持軸 31、32……剥離部材 40……静電塗布装置 41……タンク 42……ライン 421……噴出ノズル 43……ポンプ 44……分級チャンバ 45……衝突板 46……ライン 461……ガス供給ノズル 47……搬送ライン 48……ノズル 50……液滴 51……チャンバ 52……支持部 53……電源 54……ケーブル 55……電極 N……ニップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ本体の外周面側に、繊維状炭素系物質と弾性材料またはその前駆体とを含む液状組成物による塗膜を形成する第1の工程と、
前記塗膜を硬化させ、前記繊維状炭素系物質と前記弾性材料とを含む弾性層を得る第2の工程とを有し、
前記第1の工程において、前記ローラ本体の軸に対してほぼ垂直な方向に電界を発生させた状態で、前記塗膜の形成を行うことにより、該塗膜中において、その厚さ方向に前記繊維状炭素系物質を配向させることを特徴とする定着用ローラの製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程において、前記液状組成物をノズルから液滴として吐出することにより、前記塗膜を形成する請求項1に記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項3】
前記液状組成物において、繊維状炭素系物質と、前記弾性材料またはその前駆体との配合比は、重量比で0.5:95.5〜2:98である請求項1または2に記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項4】
前記第1の工程において、前記液状組成物の粘度は、10〜20cPである請求項1ないし3のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項5】
前記第1の工程において、発生させる前記電界の強度は、5×10〜5×10V/mである請求項1ないし4のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項6】
前記弾性材料は、シリコーンゴムを主成分とするものである請求項1ないし5のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項7】
前記繊維状炭素系物質は、その軸方向における熱伝導率が1W/m・K以上である請求項1ないし6のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項8】
前記繊維状炭素系物質は、カーボンナノチューブを主成分とするものである請求項1ないし7のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項9】
前記第1の工程および前記第2の工程を繰り返して行い、前記カーボンナノチューブの最大長さの1.1〜2倍である層を複数積層して、前記弾性層を形成する請求項8に記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項10】
前記弾性層は、その硬度がアスカーCで20度以下である請求項1ないし9のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の定着用ローラの製造方法により製造されたことを特徴とする定着用ローラ。
【請求項12】
定着ローラと、該定着ローラに圧接される加圧ローラとを備え、前記定着ローラと前記加圧ローラとの間に、未定着像を担持した記録媒体を通過させることにより、該記録媒体に前記未定着像を定着させる定着装置であって、
前記定着ローラと前記加圧ローラのうちの少なくとも一方を、請求項11に記載の定着用ローラで構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項13】
請求項12に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−101735(P2007−101735A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289219(P2005−289219)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】