説明

定着装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】磁気遮蔽を要する領域での完全な磁気遮蔽が可能な定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】誘導加熱コイル(52)と、コイルの周囲にて磁路を形成する固定コア(54,56)や可動コア(58)と、可動コアの外面に沿って円弧状に湾曲して設けられ、コイルで発生した磁気を遮蔽するリング形状の遮蔽部材(60)と、磁気の遮蔽時にはそのリング内を一方向の磁界が貫通する遮蔽位置に移動させ、磁気を遮蔽しない退避時にはリング内を双方向の磁界が貫通する退避位置に移動させる磁気遮蔽手段(83)とを具備し、遮蔽部材は、その磁気遮蔽を要する領域と磁気遮蔽を要しない域との境界部分に設けられるとともに、その周方向に閉じた形状で構成される一方、可動コアの軸線方向からみてこの周方向の一部分が電気的に絶縁された環状部(60B)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー画像を担持した用紙を加熱したローラ対や加熱ベルトとローラとのニップ間に通しながら、未定着トナーを加熱溶融させて用紙に定着させる定着装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置においては近年、定着装置でのウォームアップタイムの短縮や省エネルギー等の要望から、熱容量を少なく設定できるベルト方式が注目されている(例えば、特許文献1参照)。また、近年、急速加熱や高効率加熱の可能性をもった電磁誘導加熱方式(IH)が注目されており、カラー画像を定着させる際の省エネルギー化の観点から、電磁誘導加熱をベルト方式と組み合わせたものが多数製品化されている。ベルト方式と電磁誘導加熱とを組み合わせる場合、コイルのレイアウト及び冷却の容易さ、さらにはベルトを直接加熱できるメリット等から、ベルトの外側に電磁誘導器具を配置するケースが多く採用されている(いわゆる外包IH)。
【0003】
上記の電磁誘導加熱方式においては、定着装置に通紙される用紙サイズの幅(通紙幅)に合わせて、非通紙域での過昇温を防止するために各種の技術が開発されており、特に外包IHにおけるサイズ切り替え手段として以下の先行技術がある(例えば、特許文献2,3参照)。
第1の先行技術(特許文献2)は、磁性部材を複数に分割して通紙幅方向に並べておき、通紙する用紙サイズ(通紙幅)に合わせて、磁性部材の一部を励磁コイルに対して離接させるものである。この場合、非通紙域では磁性部材を励磁コイルから離隔させることで発熱効率が下がり、最小通紙幅の用紙に対応する領域よりも発熱量が小さくなると考えられる。
【0004】
また、第2の先行技術(特許文献3)は、発熱ローラの内部で最小通紙幅の外側に別の導電性部材を配置し、この導電性部材の位置を磁界の範囲内又は範囲外に切り替えるものである。この先行技術では、まず、導電性部材を磁界の範囲外に位置させて発熱ローラを電磁誘導加熱しておき、発熱ローラが昇温によってキュリー温度近傍まで上昇すると、導電性部材を磁界の範囲内に移動させることで、最小通紙幅の外側で発熱ローラから磁束を漏れさせて過昇温を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−318001号公報
【特許文献2】特開2003−107941号公報
【特許文献3】特許第3527442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1の先行技術は磁性部材の可動範囲が大きく、それだけ余計なスペースを必要とするため、装置全体を不用意に大型化させるという問題がある。一方、第2の先行技術は、発熱ローラ内部にサイズ切り替え用の部材を配置している分、省スペース化が可能である。しかしながら、発熱ローラ内部は高温環境であり、そこに何らかの部材を配置する場合はキュリー温度を高く設定する必要がある上、なにより熱容量の大きな部材はウォームアップタイムを長引かせるという問題がある。
【0007】
ここで、ウォームアップタイムの削減や省スペース化を実現するにあたり、非通紙域(磁気遮蔽を要する領域)では誘導加熱を抑え、通紙域(磁気遮蔽を要しない域)では誘導加熱を実施可能な磁気遮蔽部材を用いることも考えられるが、この非通紙域で遮蔽された磁界を通紙域に逃がす必要がある点にも留意しなければならない。当該磁界が非通紙域に留まると、この非通紙域での磁気遮蔽効果が弱くなり、過昇温防止の妨げになり得るからである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、非通紙域での完全な磁気遮蔽が可能な定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明は、画像形成部でトナー画像が転写された用紙を加熱部材と加圧部材との間に挟み込んで搬送し、この搬送過程で、少なくとも加熱部材からの熱によりトナー画像を用紙に定着させる定着装置であって、加熱部材を誘導加熱するための磁界を発生させるコイルと、コイルの周囲にて磁路を形成するべく磁性材料で構成された固定コアと、コイルによる磁界の発生方向でみて固定コアと加熱部材との間に設けられ、固定コアとともに磁路を形成するべく磁性材料で構成された可動コアと、可動コアの外面に沿って円弧状に湾曲して設けられ、コイルの発生させる磁界内で磁気を遮蔽するリング形状の非磁性金属で構成された遮蔽部材と、可動コアを磁界の通過方向に対して交差した軸線周りに回転させて遮蔽部材を移動可能に構成されており、遮蔽部材による磁気の遮蔽時にはそのリング内を一方向の磁界が貫通する遮蔽位置に移動させ、磁気を遮蔽しない退避時にはリング内を双方向の磁界が貫通する退避位置に移動させる磁気遮蔽手段とを具備し、遮蔽部材は、その磁気遮蔽を要する領域と磁気遮蔽を要しない域との境界部分に設けられるとともに、その周方向に閉じた形状で構成される一方、軸線方向からみてこの周方向の一部分が電気的に絶縁された環状部を備えている。
【0010】
第1の発明によれば、コイルで発生させた磁界により加熱部材を誘導加熱してトナー画像の加熱溶融を行うため、コイルを例えば加熱部材の外側に配置して外包IH方式を採用した場合、加熱部材の内側には特段の部材を設ける必要がない。また、固定コアは、コイルの発生させる磁界を導く磁路を形成するためにコイルの周囲に配置されており、可動コアも固定コアと加熱部材との間に設けられているだけであり、さらに、磁気の遮蔽を行う遮蔽部材が可動コアを内包しているので、遮蔽部材をコアと別の位置に配置する必要がなく、その分、全体として占めるスペースが不用意に大型化することはない。
【0011】
特に本発明では、可動コアを内包した遮蔽部材を退避位置に移動させると、コイルの発生させる磁界が固定コア、可動コアに導かれて加熱部材に渦電流を発生させて磁気誘導加熱を行う。一方、遮蔽部材を遮蔽位置に移動させると、磁路内の磁気抵抗が増大して磁界強度が低下し、加熱部材の発熱量を低減させることができる。したがって、加熱部材の発熱量の調整に際してコアを加熱部材から離隔させる必要がなく、それだけ省スペース化が図られる。また、外包IHの構成を採用した場合は加熱部材の内側に磁気誘導用のコアや磁界調整用の導電性部材を設ける必要がないので、熱容量の増加を抑えてウォームアップタイムの削減に寄与することができる。
【0012】
さらに、本発明で採用している遮蔽部材には以下のメリットがある。すなわち、遮蔽部材はリング形状をしているため、そのリングの内側の面に垂直な一方向の磁界(錯交磁束)が貫通すると、リング周方向に誘導電流が発生し、そこから貫通磁界と逆向きの反磁界を発生させる。この反磁界が上記錯交磁束をキャンセルすることで、遮蔽部材は磁気を遮蔽することができる。その一方で、リングの内側を磁界が双方向に行き交って通過したり、Uターンするように通過したりするように、リングの内側を双方向の磁界が貫通する場合は誘導電流が発生せず、磁気の遮蔽効果を発揮しない。
【0013】
本発明の発明者等は、上記のような遮蔽部材の性質に着目し、遮蔽位置ではリング内を一方向の磁界が貫通する配置として磁気の遮蔽効果を発生させる一方、退避位置ではリング内を双方向の磁界が貫通する配置として磁気の通過を許容することができる省スペース型の機構に想到したものである。
また、磁気遮蔽手段は、可動コアを磁界の通過方向に対して交差した軸線周りに回転させることで遮蔽部材を移動させることができる。すなわち、本発明では、可動コアを回転させるだけで遮蔽部材を遮蔽位置や退避位置へ自在に移動させることができる。このため遮蔽部材を移動させる機構が簡素化され、この点も省スペース化に更に寄与する。
【0014】
しかも、本発明の環状部は、コイルの発生させる磁界内で磁気を遮蔽するリング形状の構成要素であり、その周方向に閉じた形状で構成されるのに対し、上記回転の軸線方向からみれば電気的に絶縁されており、環状部自体は完全に導通していない。よって、遮蔽部材による磁気の遮蔽時において磁気遮蔽を要する領域、例えば非通紙域にて遮蔽された磁界は、従来に比して、可動コアを経由して磁気遮蔽を要しない域、例えば通紙域に到達することができ、上記非通紙域での完全な磁気遮蔽が可能になる。この結果、この非通紙域における磁気遮蔽効果のより一層の向上に寄与する。
【0015】
第2の発明は、第1の発明の構成において、遮蔽部材は、境界部分の環状部と、磁気遮蔽を要する領域のうち環状部を挟んで磁気遮蔽を要しない域とは反対側に設けられた他の環状部と、これら環状部及び他の環状部の間を連結し、環状部の周方向に間隔をおいて配置された直線部とを有してリング形状が構成されており、境界部分の環状部は、電気的絶縁部材を介在させることにより、軸線方向からみて重なり合っていることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、環状部は、その端部分が軸線方向からみて重なり合っており、他の環状部や直線部と相俟って磁気を遮蔽するリング形状になる。一方、当該重なり合う部分には、電気的絶縁部材が介在されているため、環状部の端部分は互いに確実に絶縁可能になる。
【0016】
第3の発明は、第2の発明の構成において、遮蔽部材は、1枚の板状からなる環状部、他の環状部及び直線部を有することを特徴とする。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、環状部、他の環状部及び直線部からなる遮蔽部材が1枚の板状に形成されていれば、可動コアの外面に沿って湾曲させれば済むことから、例えば分割された各リング形状をそれぞれ連結して構成させる場合に比して、製造が容易になる。
【0017】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、加熱部材は、定着ユニットにより搬送される用紙の最大通紙域にわたってコイルにより誘導加熱されるものであり、可動コアは、加熱部材の幅方向でみた全域で磁路を形成するべく軸線方向に延びており、遮蔽部材は、可動コアの軸線方向でみて、定着ユニットにより搬送される用紙の最小通紙域の外側に設けられていることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、用紙サイズに合わせて磁気遮蔽手段により可動コアを回転させ、遮蔽部材を移動させて遮蔽位置と退避位置とに切り替えれば、最小通紙域の外側を加熱する必要がない場合に加熱部材等の過昇温を防止することができる。
【0018】
第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、遮蔽部材は、銅を材料として構成されていることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、遮蔽部材が銅を材料として構成されていれば、銅は電気抵抗が小さく、透磁率が低いため、これを遮蔽部材に用いることで良好な磁気遮蔽効果を発揮することができる。
【0019】
第6の発明は、第1から第4の発明の構成において、遮蔽部材は、その厚みが0.5mm〜3mmの範囲内である非磁性金属で構成されていることを特徴とする。
第6の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、遮蔽部材の厚みが0.5mm〜3mmの範囲内である非磁性金属で構成されていれば、遮蔽部材の固有抵抗を充分に小さくすることで良好な導電性を確保し、充分な磁気遮蔽効果を得ることができるし、遮蔽部材の軽量化を図ることができる。遮蔽部材は、自己のジュール発熱を抑制して効率よく磁気を遮蔽するため、なるべく部材の固有抵抗(電気抵抗)を小さくする必要があるからである。
【0020】
第7の発明は、第1から第6の発明の構成において、コイルが加熱部材の外面に沿って配置されており、かつ、コイルの中心を挟んで両側に固定コアが分割して配置されており、可動コアは、その外側に遮蔽部材を配置するとともに、両側の固定コアを経てコイルの中心に磁路が合流する位置に設けられていることを特徴とする。
第7の発明によれば、第1から第6の発明の作用に加えてさらに、外包IH方式を採用している。すなわち、コイルが加熱部材の外面に沿って配置されており、かつ、コイルの中心を挟んで両側に固定コアが分割して配置されている。そして可動コアは、両側の固定コアを経てコイルの中心に磁路が合流する位置に設けられている構成である。この場合、可動コアが磁路の中心に位置することになるため、1つの可動コアで効率的に磁気の遮蔽や通過を切り替えることができる。
【0021】
第8の発明は、第1から第6の発明の構成において、コイルが加熱部材を外包するべく外側に配置された構成であり、かつ、遮蔽部材が加熱部材の内側に配置されていることを特徴とする。
第8の発明によれば、第1から第6の発明の作用に加えてさらに、この場合も同様に、遮蔽部材を加熱部材の内側で遮蔽位置と退避位置とに移動させることにより、磁気の遮蔽効果を発揮させ、また遮蔽を行わない場合は良好なウォームアップ環境を実現することができる。
【0022】
第9の発明は、第1から第8の定着装置を画像形成装置に搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を用紙に定着させる画像形成装置であることを特徴とする。
第9の発明によれば、第1から第8の発明の作用に加えてさらに、非通紙域における磁気遮蔽効果の大幅な向上が図られているので、良好なトナー画像が形成される結果、画像形成装置の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、遮蔽部材のうち、非通紙域と通紙域との境界部分に設けられた環状部では電気的な連結が切られているため、非通紙域における磁気遮蔽効果がより一層向上する定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施形態の画像形成装置の構成を示した概略図である。
【図2】定着ユニットの構造例を示す縦断面図である。
【図3】遮蔽部材の基本構成を示す斜視図である。
【図4】遮蔽部材による磁気遮蔽効果の原理を説明するための概念図である。
【図5】定着ユニットのブロック図である。
【図6】基本構成の遮蔽部材を用いた動作例を示す図である。
【図7】遮蔽部材の構造例(1)を示す平面図である。
【図8】構造例(1)をセンタコアの軸線方向からみた断面図である。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】構造例(1)の遮蔽部材をセンタコアに取り付けた状態を示す図である。
【図11】構造例(1)により全面遮蔽を行った場合の動作例を示す斜視図である。
【図12】図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材を60°回転させたときの動作例を示す斜視図である。
【図13】図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材を120°回転させたときの動作例を示す斜視図である。
【図14】図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材を180°回転させたときの動作例を示す斜視図である。
【図15】図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材を240°回転させたときの動作例を示す斜視図である。
【図16】図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材を300°回転させたときの動作例を示す斜視図である。
【図17】定着ユニットの他の構造例を示す図である。
【図18】定着ユニットのさらに他の構造例を示す図である。
【図19】定着ユニットのさらにまた他の構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて印刷用紙等の印刷媒体の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。
【0026】
図1に示される画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置1は、内部で用紙にカラー画像を形成(プリント)する四角箱状の装置本体2を備え、この装置本体2の上面部には、カラー画像が印刷された用紙を排出するための排出トレイ3が設けられている。
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2内の中央部には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ6が配設されている。そして、装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、この画像形成部7は、装置外部から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
【0027】
図1でみて装置本体2の左部には、給紙カセット5から繰り出された用紙を画像形成部7に搬送する第1の搬送路9が配設されており、右部から左部にかけては、スタックトレイ6から繰り出された用紙を画像形成部7に搬送する第2の搬送路10が配設されている。また、装置本体2内の左上部には、画像形成部7で画像が形成された用紙に対して定着処理を行う定着ユニット(定着装置)14と、定着処理の行われた用紙を排出トレイ3に搬送する第3の搬送路11とが配設されている。
【0028】
給紙カセット5は、装置本体2の外部(例えば図1の手前側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にする。この給紙カセット5は収納部16を備えており、この収納部16には、給紙方向のサイズが異なる少なくとも2種類の用紙を選択的に収納可能である。なお、収納部16に収納されている用紙は、給紙ローラ17及び捌きローラ18により1枚ずつ第1の搬送路9側に繰り出される。
【0029】
スタックトレイ6は、装置本体2の外面にて開閉可能であり、その手差し部19には手差し用の用紙が1枚ずつ載置されるか、又は複数枚が積載される。なお、手差し部19に載置された用紙はピックアップローラ20及び捌きローラ21により1枚ずつ第2の搬送路10側に繰り出される。
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ22の手前で合流しおり、レジストローラ22に供給された用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。送出された用紙には、二次転写部23で中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が用紙に二次転写される。この後、定着ユニット14でトナー画像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、最初とは反対側の面にも二次転写部23でフルカラーのトナー画像が二次転写される。そして、反対面のトナー画像が定着ユニット14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ24により排出トレイ3に排出される。
【0030】
画像形成部7は、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各トナー画像を形成する4つの画像形成ユニット26〜29を備える他、これら画像形成ユニット26〜29で形成した各色別のトナー画像を合成して担持する中間転写部30を備えている。
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
【0031】
なお、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32は、図示しない駆動モータにより図中の反時計回り方向に回転する。また、各画像形成ユニット26〜29の現像部35には、各トナーボックス51にブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーがそれぞれ収納されている。
中間転写部30は、画像形成ユニット26の近傍位置に配設された後ローラ38と、画像形成ユニット29の近傍位置に配設された前ローラ39と、後ローラ38と前ローラ39とに跨って配設された中間転写ベルト40と、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32における現像部35の下流側の位置に中間転写ベルト40を介して圧接可能に配設された4つの転写ローラ41とを備えている。
【0032】
この中間転写部30では、各画像形成ユニット26〜29の転写ローラ41の位置で、中間転写ベルト40上に各色別のトナー画像がそれぞれ重ね合わせて転写されて、最後にはフルカラーのトナー画像となる。
第1の搬送路9や第2の搬送路10は、給紙カセット5やスタックトレイ6から繰り出されてきた用紙を中間転写部30側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ43と、中間転写部30の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取るためのレジストローラ22とを備えている。
【0033】
定着ユニット14は、画像形成部7でトナー画像が転写された用紙を加熱及び加圧することにより、未定着トナー画像を用紙に定着させる処理を行うものである。定着ユニット14は、例えば加熱式の加圧ローラ(加圧部材)44と定着ローラ45からなるローラ対を備え、このうち加圧ローラ44が例えば金属製であり、定着ローラ45が金属製の芯材と弾性体の表層(例えば、シリコンスポンジ)及び離型層(例えば、PFA)を有するものである。また、定着ローラ45に隣接してヒートローラ46が設けられており、このヒートローラ46と定着ローラ45には加熱ベルト(加熱部材)48が掛け回されている。なお、定着ユニット14の詳細な構造についてはさらに後述する。
【0034】
用紙の搬送方向でみて、定着ユニット14の上流側及び下流側にはそれぞれ搬送路47が設けられており、中間転写部30を通って搬送されてきた用紙は上流側の搬送路47を通じて加圧ローラ44と定着ローラ45との間のニップに導入される。そして、加圧ローラ44及び定着ローラ45間を通過した用紙は下流側の搬送路47を通じて第3の搬送路11に案内される。
【0035】
第3の搬送路11は、定着ユニット14で定着処理の行われた用紙を排出トレイ3に搬送する。このため第3の搬送路11には、適宜位置に搬送ローラ49が配設されるとともに、その出口には上記の排出ローラ24が配設されている。
〔定着ユニットの詳細〕
次に、本実施形態の画像形成装置1に適用された定着ユニット14の詳細について説明する。
【0036】
図2は、定着ユニット14の構造例を示す縦断面図である。なお、図2では、画像形成装置1に実装した状態から向きを約90°反時計回りに転回させて示している。したがって、図1でみて下方から上方への用紙搬送方向は、図2でみると右方から左方となる。なお、装置本体2がより大型(複合機等)である場合、図2に示される向きで実装されることもある。
【0037】
本実施例の定着ユニット14は、例えば直径50mmの加圧ローラ44、例えば直径45mmの定着ローラ45、例えば直径30mmのヒートローラ46及び例えば35μmの厚み(1μm=1×10−6m)の加熱ベルト48を備えている。なお、当該ベルト48は例えば150〜200℃の範囲に調整される。
上記のように加圧ローラ44が金属製であるのに対し、定着ローラ45が表層にシリコンスポンジの弾性層を有することから、加熱ベルト48と定着ローラ45との間にはフラットニップが形成されている。なお、加圧ローラ44の内側には、ハロゲンヒータ44aが設けられている。加熱ベルト48は基材が強磁性材料(例えば、Ni)であり、その表層に薄膜の弾性層(例えば、シリコンゴム)が形成され、その外面には離型層(例えば、PFA)が形成されている。ヒートローラ46は芯金が磁性金属(例えば、Fe)であり、その表面には離型層(例えば、PFA)が形成されている。
【0038】
この他に定着ユニット14は、ヒートローラ46及び加熱ベルト48の外側にIHコイルユニット50を備えている(図1には示されていない)。IHコイルユニット50は、誘導加熱コイル52をはじめ一対のアーチコア(固定コア)54、同じく一対のサイドコア(固定コア)56及びセンタコア(可動コア)58から構成されている。
【0039】
〔コイル〕
図2の例では、ヒートローラ46及び加熱ベルト48の円弧状の部分で誘導加熱を行うため、誘導加熱コイル(コイル)52は円弧状の外面に沿う仮想的な円弧面上に配置されている。実際には、ヒートローラ46及び加熱ベルト48の外側に例えばPPS、PET、LCP等の耐熱性樹脂製のボビン(図示していない)が配置されており、このボビン上に誘導加熱コイル52が巻線状に配置される構成である。なお、当該ボビンに対するコイル52の固定は、例えばシリコン系接着剤を用いて行う。
【0040】
〔固定コア〕
図2でみてセンタコア58は中央に位置し、その両側で対をなすように上記のアーチコア54及びサイドコア56が配置されている。このうち両側のアーチコア54は、互いに対称をなす断面アーチ形に成形されたフェライト製コアであり、それぞれ全長は誘導加熱コイル52の巻線域よりも長い。また、両側のサイドコア56は、ブロック形状に成形されたフェライト製のコアである。両側のサイドコア56は各アーチコア54の一端(図2では下端)に連結して設けられており、これらサイドコア56は誘導加熱コイル52の巻線域の外側を覆っている。アーチコア54及びサイドコア56は、例えばヒートローラ46の長手方向に間隔をおいて複数箇所に配置されている。コア54,56の配置は、例えば誘導加熱コイル52の磁束密度(磁界強度)分布に合わせて決定されている。
【0041】
なお、図2の例では、ヒートローラ46の内側にサーミスタ62(図5のサーモスタット75でもよい)が設置されている。サーミスタ62は、ヒートローラ46の特に誘導加熱による発熱量の大きい箇所の内側に配置することができる。図5に示されるように、ヒートローラ46の温度は本体エンジン基板82に出力される。当該基板82はインバータ基板80に電気的に接続されており、ヒートローラ46の温度はサーモスタット75で一定に調整できる。また、この基板80は誘導加熱コイル52に電力を供給する。一方、このコイル52はコイル冷却ファン76からの冷却風で適宜冷却され、当該ファン76の駆動信号はエンジン基板82から出力される。
【0042】
なお、当該基板82は、例えばステッピングモータ66に駆動信号を出力することにより、センタコア58の回転機構64を駆動する機能を有している。詳しくは、センタコア58の回転角は、モータ66に印加する駆動パルス数によって制御することができ、本体エンジン基板82にはそのための制御部(磁気遮蔽量調整手段)83が付属する。この制御部83は、例えば制御用ICと入出力ドライバ、半導体メモリ等によって構成することができる。
【0043】
〔可動コア〕
再び図2に戻り、このセンタコア58は、例えば断面円筒形状をなすフェライト製コアである。センタコア58はヒートローラ46と略同様に、用紙の最大通紙幅13インチ(例えば340mm程度)に対応するだけの長さを有している。なお、当該用紙を用いる場合には20kHz以上の交番電流(交番周波数は例えば30kHz)を使用し、可聴域を避ける。さらに、図2には示されていないが、センタコア58は上記回転機構64に連結されており、この回転機構64により長手方向の軸線回りに回転可能となっている。
【0044】
〔遮蔽部材〕
また、センタコア58には、その外面に沿って遮蔽部材60が取り付けられている。遮蔽部材60は薄板の周縁部だけを残して内側を打ち抜いたリング形状をなしており、全体的に円弧状に湾曲して形成されている。なお、遮蔽部材60は例えば図示のようにセンタコア58の肉厚部分に埋め込んだ状態に設置されていてもよいし、センタコア58の外面に貼り付けた状態で設置されていていてもよい。遮蔽部材60の貼り付けは、例えばシリコン系接着剤を用いて行うことができる。
【0045】
遮蔽部材60の構成としては、非磁性かつ良導電部材が好ましく、例えば無酸素銅などが用いられる。遮蔽部材60はそのリング内を垂直な磁界が貫通することによる誘導電流で逆磁界を発生させ、錯交磁束(垂直な貫通磁界)をキャンセルすることで遮蔽する。また、良導電性部材を用いることで誘導電流によるジュール発熱を抑制し、効率よく磁界を遮蔽することができる。導電性を向上するには、例えば(1)なるべく固有抵抗の小さい材料を選定すること、(2)部材の厚みを厚くすること、等の方法が有効である。具体的には、遮蔽部材60の板厚は0.5mm以上が好ましく、本実施形態では例えば1mmのものを用いている。
【0046】
図2に示されるように、遮蔽部材60が加熱ベルト48の表面に近接する位置(遮蔽位置)にあると、誘導加熱コイル52の周囲で磁気抵抗が増大して磁界強度が低下する。一方、図2に示される状態からセンタコア58が180°回転(方向は特に限定しない)し、遮蔽部材60が加熱ベルト48から最も離隔した位置(退避位置)に移動すると、誘導加熱コイル52の周囲で磁気抵抗が低下し、センタコア58を中心として両側のアーチコア54及びサイドコア56を通じて磁路が形成され、加熱ベルト48やヒートローラ46に磁界が作用する。
【0047】
〔基本構成〕
図3は、遮蔽部材60の基本構成を示す斜視図である(センタコア58は図示されていない)。この遮蔽部材60は、全体としてリールのような形状をなしている。すなわち、この遮蔽部材60が長手方向でみて両端位置に一対の環状部60B及び他の環状部60Aを有しており、これらの間を3本の直線部60aで連結した構造である。直線部60aは、環状部60B及び他の環状部60Aの周方向に間隔をおいて配置され、また、他の環状部60Aはセンタコア58の一端部(最小通紙域の外側であって非通紙域の端部分)に、環状部60Bは、非通紙域と通紙域の境界部分にそれぞれ設けられる。また、図示されていないセンタコア58の他端部にも同じく遮蔽部材60が配置されている。
【0048】
この基本構成においては、リング形状の部分が周方向に3箇所にわたって形成され、周方向で隣り合う2本の直線部60aとこれらを連結する環状部60B及び他の環状部60Aによって1つのリング部分が形成されるため、遮蔽部材60が全体として3つのリング部分を有することになる。
〔磁気遮蔽効果の原理〕
図4は、遮蔽部材60による磁気遮蔽効果の原理を説明するための概念図である。なお、図4の遮蔽部材60は、1つのリング部分について単なるワイヤモデルとして簡略化されている。
【0049】
図4(A):リング形状の遮蔽部材60に対し、そのリング面(仮想的な平面)を垂直方向(一方向)に貫通磁界(錯交磁束)が発生すると、それによって遮蔽部材60の周方向に誘導電流が生じる。すると、電磁誘導によって貫通磁界と逆向きの磁界(反磁界)が発生するので、これらが互いに打ち消しあい、磁界をキャンセルする。本実施形態では、この磁界のキャンセル効果を用いて磁気を遮蔽するものである。
【0050】
図4(B):その上段に示されているように、リング形状の遮蔽部材60に対し、そのリング面に双方向に貫通磁界が発生し、このとき錯交磁束の総和が概ね差し引き0(±0)の場合を想定する。この場合、遮蔽部材60にはほとんど誘導電流が発生しない。したがって、遮蔽部材60はほとんど磁界のキャンセル効果を発揮せず、双方向への磁界は遮蔽部材60を素通りする。これは、下段に示されるように遮蔽部材60の内側をUターンする方向に磁界が通過した場合も同様となる。なお、本実施形態では、磁界がどの方向にも貫通しない位置に遮蔽部材60を退避させることで磁界を通過させている。
【0051】
図4(C):リング形状の遮蔽部材60に対し、そのリング面と略平行に磁界(錯交磁束)が発生した場合である。この場合も同様に、遮蔽部材60には誘導電流がほとんど発生せず、したがって磁界のキャンセル効果も発生しない。本実施形態では採用していないが、主に先行技術で用いられている退避の手法である。ただし、誘導加熱コイル52の周囲でこのような磁界環境を得るには遮蔽部材60を大きく変位させる必要があり、それだけ可動スペースが大きくなる。
【0052】
本発明の発明者等は、この基本構成では図4(A)によって磁気遮蔽の効果が得られる点に着目し、遮蔽部材60を遮蔽位置と退避位置とに変位させることで最適な磁気の遮蔽を行っている。
〔基本構成の動作〕
図6は、センタコア58の回転に伴う基本構成の遮蔽部材60を用いた動作例を示す図である。
【0053】
図6(A):センタコア58の回転に伴い、遮蔽部材60を退避位置に切り替えた場合の動作例を示す。基本構成の場合、遮蔽部材60を退避させた状態で図4(B)の下段に示した原理を適用している。すなわち、3本あるうちの1本の直線部60aをコイル52の中心線上に位置付けることで、ヒートローラ46と反対側(図6の上方)に位置する1つのリング部分を磁界の外側に退避させ、その他の2つのリング部分については、その内側に磁界をUターンする方向に通過させることで、磁気遮蔽効果を発生しない状態を実現している。したがって、磁界はサイドコア56、アーチコア54及びセンタコア58を通じて加熱ベルト48及びヒートローラ46を通過する。このとき強磁性体である加熱ベルト48及びヒートローラ46に渦電流が発生し、それぞれの材料の持つ固有抵抗によりジュール熱が発生して加熱が行われる。
【0054】
図6(B):遮蔽部材60を遮蔽位置に切り替えた場合の動作例を示す。この場合、最小通紙域の外側では磁気経路上に遮蔽部材60の1つのリング部分が位置し、磁界がそのリング内を貫通するため、図4(A)に示した原理で磁界の発生が部分的に抑制される。これにより、最小通紙域の外側で発熱量が抑えられ、加熱ベルト48やヒートローラ46の過昇温を防止することができる。
【0055】
〔構造例(1)〕
図7は、遮蔽部材60の構造例(1)を示す平面図であり(センタコア58は図示されていない)、図8(a)〜(d)はそれぞれ図7のa−a断面、b−b断面、c−c断面、d−d断面に相当する。そして、この構造例(1)の遮蔽部材60は、基本構成をさらに発展させた形態である。すなわち、構造例(1)では遮蔽部材60がその長手方向でみて一端位置に穴あき形状の環状部(上述した他の環状部)60Aや、長手方向に間隔をおいて同形状の環状部60Bを有する他、この環状部60Bに続いて、長手方向に間隔をおいて約3分の2円で穴あき形状の円弧部60Cを有し、他端位置には約3分の1円で穴あき形状の円弧部60Dを有している。
【0056】
より詳しくは、最小通紙域から最も離れた他の環状部60Aは最大サイズP1(例えばA3,A4R)に対応する位置にあり、次の環状部60Bは中サイズP2(例えばB4R)に対応する位置にあり、その次の円弧部60Cは中小サイズP3(例えばB4)に対応する位置にある。そして、最小通紙域近傍の円弧部60Dは最小サイズP4(例えばA5R)に対応した位置にある。
【0057】
これら4枚の環状部60A,60B、円弧部60C,60Dのうち、3枚の環状部60A,60B、円弧部60Cは、互いに3本の直線部60aを介して連結されている。そして、残る他端位置の円弧部60Dについては、隣接する円弧部60Cと2本の直線部60aを介して連結されている。これら各直線部60aは同一直線状に配置される。
【0058】
また、これら環状部60A,60B、円弧部60C,60Dや直線部60aは、1枚の板状に形成され、センタコア58の外面に沿って丸めて加工することができる。
そして、各環状部60A,60B、円弧部60C,60Dの断面は、図8に示される如く、まず、中小サイズP3に対応した円弧部60Cは同図でみて上側の端部60vと右側の端部60wとが離間し、最小サイズP4に対応した円弧部60Dもまた、同図でみて左側の端部60xと右側の端部60yとが離間している(同図(c),(d))。
【0059】
これに対し、最大サイズP1に対応した環状部60Aや、中サイズP2に対応した環状部60Bは、同図でみて上下方向に重なり合う上端部60s及び下端部60tをそれぞれ有し、その周方向に閉じた形状で構成されている(同図(a),(b))。
しかし、本実施例の環状部60Bは、中サイズP2でみた非通紙域(中サイズP2の外側)と通紙域(中サイズP2の内側)との境界部分に配置されるが、この図8、つまり、回転軸線方向からみて軸線方向からみて上記周方向の一部分が電気的に絶縁されている。
【0060】
具体的には、この図8を部分的に拡大した図9に示されるように、上端部60sの下面と下端部60tの上面との間には、耐熱性のある絶縁フィルム(電気的絶縁部材)60uが介在しており、環状の形状については確保するものの、その電気的連結については切断されている。
なお、この絶縁フィルムの他、PFAの絶縁チューブやカプトンフィルム等で上端部60sの下面や下端部60tの上面を被覆してもよいし、また、上端部60sと下端部60tとの間に例えば0.5〜1mm程度の間隙を設けてもよく、この場合には、エナメル被覆やポリアミドイミドのコーティングを施すことが好ましい。遮蔽部材60は、その自己発熱のみならず、コイル52による発熱や、加熱ベルト48等からの輻射熱の影響を受けるからである。
【0061】
なお、他の環状部60Aについても、環状部60Bと同様に上端部60sや下端部60tが形成されているが、当該他の環状部60Aは、上述した1枚の板状に構成させた点を鑑みたものであり、その機能を鑑みれば、特に、電気的連結を切断しなくてもよい。
次に、図10は、構造例(1)の遮蔽部材60をセンタコア58に取り付けた状態を示す図である。図10(A)はセンタコア58の平面図及び側面図に相当し、図10(B),(C),(D)はそれぞれ図中のB−B断面、C−C断面、D−D断面に相当する。なお、遮蔽部材60は全体としてセンタコア58にインサート成形された状態となっているが、環状部60A,60B、円弧部60C,60Dはセンタコア58の外面から僅かに周面を露出させている。また、この図10以降では都合上、上端部60sや下端部60t、及び絶縁フィルム60uなどの図示を省略して説明する。
【0062】
図10(A):構造例(1)の遮蔽部材60もまた、センタコア58の長手方向でみた端部に設けられている。このとき、最小通紙域から最も離れた他の環状部60Aは最大サイズP1(例えばA3,A4R)に対応する位置にあり、次の環状部60Bは中サイズP2(例えばB4R)に対応する位置にあり、その次の円弧部60Cは中小サイズP3(例えばB4)に対応する位置にある。そして、最小通紙域近傍の円弧部60Dは最小サイズP4(例えばA5R)に対応した位置にある。
【0063】
図10(B):環状部60A,60Bは、上記のように穴あき形状をなしていることが分かる。
図10(C):円弧部60Cは、上記のように約3分の2円の穴あき形状である。円弧部60Cの欠けた部分にはセンタコア58のフェライト材料が充填されている。
【0064】
図10(D):円弧部60Dは、上記のように約3分の1円の穴あき形状である。円弧部60Dについても、その欠けた部分にはセンタコア58のフェライト材料が充填されている。
〔構造例(1)の動作例〕
次に、構造例(1)の遮蔽部材60を適用した場合の動作例について説明する。図11から図16は、構造例(1)の遮蔽部材60を用いた6通りの動作例を順番に示す斜視図である。各図中に太線で示される矢印は、発生する誘導電流又は通過する磁界を示している。以下、それぞれについて説明する。
【0065】
〔全面遮蔽(0°)〕
まず、図11は、遮蔽部材60により全面遮蔽を行った場合の動作例を示す斜視図である。各動作例においては、遮蔽部材60に対して上方から下方へ貫通する方向に磁界が発生することを想定している。また以下の説明では、図11に示す全面遮蔽の状態を0°とし、そこからの回転角で遮蔽部材60の変位量を表すものとする。
【0066】
円弧部60Dが下方に位置する回転角(0°)に遮蔽部材60を移動させると、遮蔽部材60の長手方向の全面で磁気遮蔽効果を発揮させることができる。すなわち、一端位置の他の環状部60Aと他端位置の円弧部60D、そしてこれらを連結する直線部60aによって最大形状のリング部分が形成されるため、その全体で磁気遮蔽を行うことができる。この場合、最小サイズP4に対応して加熱ベルト48やヒートローラ46の過熱を防止することができる。
【0067】
そして、この最小サイズP4の場合には、他の環状部60Aと環状部60Bとの間で遮蔽された磁界は、当該環状部60Bでは誘導電流が生じないためにキャンセルされず、センタコア58の内部を経由し、環状部60Bからみて例えば円弧部60Dよりも内側などから加熱ベルト48やヒートローラ46に到達可能になる。
【0068】
〔遮蔽なし(60°)〕
図12は、図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材60を60°回転させたときの動作例を示す斜視図である。この場合、直線部60aがコイル52の中心線上に位置するので(図6(A)の状態)、遮蔽部材60は退避位置となり、磁気の遮蔽効果が発生しない。
【0069】
〔中小サイズ遮蔽(120°)〕
図13は、図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材60を120°回転させたときの動作例を示す斜視図である。この場合、他の環状部60Aと円弧部60Cとの間に形成される1つのリング部分で磁気遮蔽効果を発揮させることができる。この動作例では、例えば中小サイズP3に対応して加熱ベルト48やヒートローラ46の過熱を防止することができる。
【0070】
そして、この中小サイズP3の場合にも、他の環状部60Aと環状部60Bとの間で遮蔽された磁界はキャンセルされず、センタコア58の内部を経由し、例えば円弧部60Cと円弧部60Dとの間などから加熱ベルト48やヒートローラ46に到達可能になる。
〔遮蔽なし(180°)〕
図14は、図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材60を180°回転させたときの動作例を示す斜視図である。この場合、図12と同様に直線部60aがコイル52の中心線上に位置するので(図6(A)の状態)、遮蔽部材60は退避位置となり、磁気の遮蔽効果が発生しない。
【0071】
〔中サイズ遮蔽(240°)〕
図15は、図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材60を240°回転させたときの動作例を示す斜視図である。この場合、他の環状部60Aと環状部60Bとの間に形成される1つのリング部分で磁気遮蔽効果を発揮させることができる。この動作例では、例えば中サイズP2に対応して加熱ベルト48やヒートローラ46の過熱を防止することができる。
【0072】
そして、この中サイズP2の場合においても、他の環状部60Aと環状部60Bとの間で遮蔽された磁界はキャンセルされず、センタコア58の内部を経由し、例えば環状部60Bと円弧部60Cとの間などから加熱ベルト48やヒートローラ46に到達可能になる。
〔遮蔽なし(300°)〕
図16は、図11の状態から時計回り方向に遮蔽部材60を300°回転させたときの動作例を示す斜視図である。この場合、図12,図14と同様に直線部60aがコイル52の中心線上に位置するので(図6(A)の状態)、遮蔽部材60は退避位置となり、磁気の遮蔽効果が発生しない。なお、遮蔽なし(60°),(180°),(300°)の場合、最大サイズP1に対応して加熱ベルト48やヒートローラ46を誘導加熱することができる。
【0073】
〔他の構造例〕
図17は、定着ユニット14の他の構造例を示す図である。この構造例では、上記の加熱ベルトを用いずに定着ローラ45と加圧ローラ44とでトナー画像を定着する。定着ローラ45の外周には、例えば上記の加熱ベルトと同様の磁性体が巻かれており、誘導加熱コイル52によって磁性体を誘導加熱する構成である。この場合、サーミスタ62は定着ローラ45の外側で、磁性体層に対向する位置に設けられる。なお、その他については上記と同様であり、センタコア58を回転させて遮蔽部材60を遮蔽位置と退避位置にそれぞれ移動させることができる。
【0074】
図18は、さらに定着ユニット14の他の構造例を示す縦断面図である。この構造例では、ヒートローラ46が非磁性金属(例えばSUS:ステンレス鋼)の材料で構成されており、センタコア58や遮蔽部材60がヒートローラ46の内部に配置されている点が上記例と異なっている。また、合わせてアーチコア54が中央で連結されており、その下部に中間コア55が設置されている。
【0075】
ヒートローラ46を非磁性金属とした場合、誘導加熱コイル52により発生した磁界はサイドコア56、アーチコア54及び中間コア55を通り、ヒートローラ46を貫通して内部のセンタコア58に至る。加熱ベルト48は貫通磁界により誘導加熱される。
このような構造例において、図18に示されているように遮蔽部材60のリング部分を中間コア55に対向する位置(遮蔽位置)に切り替えると磁気が遮蔽され、通紙域の外側で過昇温が抑制される。一方、遮蔽部材60のリング内を磁気が貫通しない状態が退避位置となり、この場合は磁気の遮蔽効果が働かずに最大通紙域で加熱ベルト48が誘導加熱される。
【0076】
次に、図19の構造例では、加熱ベルト48の円弧状の位置ではなく、ヒートローラ46と定着ローラ45との間の平面状の位置で誘導加熱する構成である。この場合も同様に、センタコア58を回転させて磁気の遮蔽を行うことができる。
以上のように、本実施例によれば、コイル52で発生させた磁界により加熱ベルト48を誘導加熱してトナー画像の加熱溶融を行うため、コイル52を例えば加熱ベルト48の外側に配置して外包IH方式を採用した場合、ベルト48の内側には特段の部材を設ける必要がない。また、アーチコア54、サイドコア56は、コイル52の発生させる磁界を導く磁路を形成するためにコイル52の周囲に配置されており、センタコア58もコア54,56とベルト48との間に設けられているだけであり、さらに、磁気の遮蔽を行う遮蔽部材60がセンタコア58を内包しているので、遮蔽部材60をコア58と別の位置に配置する必要がなく、その分、全体として占めるスペースが不用意に大型化することはない。
【0077】
特に本実施例では、センタコア58を内包した遮蔽部材60を退避位置に移動させると、コイル52の発生させる磁界がコア54,56,58に導かれてベルト48に渦電流を発生させて磁気誘導加熱を行う。一方、遮蔽部材60を遮蔽位置に移動させると、磁路内の磁気抵抗が増大して磁界強度が低下し、ベルト48の発熱量を低減させることができる。したがって、加熱ベルト48の発熱量の調整に際してセンタコア58を加熱部材から離隔させる必要がなく、それだけ省スペース化が図られる。また、外包IHの構成を採用した場合はベルト48の内側に磁気誘導用のコアや磁界調整用の導電性部材を設ける必要がないので、熱容量の増加を抑えてウォームアップタイムの削減に寄与することができる。
【0078】
さらに、本実施例の遮蔽部材60には以下のメリットがある。すなわち、遮蔽部材60はリング形状をしているため、そのリングの内側の面に垂直な一方向の磁界(錯交磁束)が貫通すると、リング周方向に誘導電流が発生し、そこから貫通磁界と逆向きの反磁界を発生させる。この反磁界が上記錯交磁束をキャンセルすることで、遮蔽部材60は磁気を遮蔽することができる。その一方で、リングの内側を磁界が双方向に行き交って通過したり、Uターンするように通過したりするように、リングの内側を双方向の磁界が貫通する場合は誘導電流が発生せず、磁気の遮蔽効果を発揮しない。
【0079】
また、制御部83は、センタコア58を磁界の通過方向に対して交差した軸線周りに回転させることで遮蔽部材60を移動させることができる。すなわち、本発明では、センタコア58を回転させるだけで遮蔽部材60を遮蔽位置や退避位置へ自在に移動させることができる。このため遮蔽部材60を移動させる機構が簡素化され、この点も省スペース化に更に寄与する。
【0080】
しかも、本実施例のように、中サイズP2における非通紙域と通紙域との境界部分の環状部60Bは、コイル52の発生させる磁界内で磁気を遮蔽する3つのリング形状の構成要素であり、その周方向に閉じた形状で構成されるのに対し、上記回転の軸線方向からみれば電気的に絶縁されており、環状部60B自体は完全に導通していない。よって、遮蔽部材60による磁気の遮蔽時において中サイズにおける非通紙域にて遮蔽された磁界は、従来の如く誘導電流からの反磁界によってセンタコア58に向かうべき磁界がキャンセルされない。よって、長手方向に延びたセンタコア58を経由して中サイズにおける通紙域に到達することができ、上記非通紙域での完全な磁気遮蔽が可能になる。この結果、この非通紙域における磁気遮蔽効果のより一層の向上に寄与する。
【0081】
また、環状部60Bは、その端部分である上端部60sと下端部60tとが軸線方向からみて重なり合っており、他の環状部60Aや直線部60aと相俟って磁気を遮蔽するリング形状になる。一方、これら上端部60sと下端部60tとの間には、絶縁フィルム60uが介在されているため、上端部60sと下端部60tとは互いに確実に絶縁可能になる。
【0082】
さらに、環状部60B、他の環状部60A及び直線部60aからなる遮蔽部材60が1枚の板状に形成されていれば、センタコア58の外面に沿って湾曲させれば済むことから、例えば分割された各リング形状をそれぞれ連結して構成させる場合に比して、製造が容易になる。
さらにまた、用紙サイズに合わせて制御部83によりセンタコア58を回転させ、遮蔽部材60を移動させて遮蔽位置と退避位置とに切り替えれば、最小通紙域の外側を加熱する必要がない場合に加熱ベルト48等の過昇温を防止することができる。
【0083】
また、遮蔽部材60が銅を材料として構成されていれば、銅は電気抵抗が小さく、透磁率が低いため、これを遮蔽部材60に用いることで良好な磁気遮蔽効果を発揮することができる。
さらに、遮蔽部材60の厚みが0.5mm〜3mmの範囲内である非磁性金属で構成されていれば、遮蔽部材60の固有抵抗を充分に小さくすることで良好な導電性を確保し、充分な磁気遮蔽効果を得ることができるし、遮蔽部材60の軽量化を図ることができる。遮蔽部材60は、自己のジュール発熱を抑制して効率よく磁気を遮蔽するため、なるべく部材の固有抵抗(電気抵抗)を小さくする必要があるからである。
【0084】
さらにまた、IHコイルユニット50が外包IH方式であり、コイル52が加熱ベルト48の外面に沿って配置されており、かつ、コイル52の中心を挟んで両側にアーチコア54、サイドコア56が分割して配置されている。そしてセンタコア58は、両側のコア54,56を経てコイル52の中心に磁路が合流する位置に設けられている構成である。この場合、センタコア58が磁路の中心に位置することになるため、1つのセンタコア58で効率的に磁気の遮蔽や通過を切り替えることができる。
【0085】
また、上述した非通紙域における磁気遮蔽効果の大幅な向上が図られているので、良好なトナー画像が形成される結果、画像形成装置1の信頼性が向上する。
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。例えば、センタコア58の断面形状は円筒に限らず、円柱や多角形状であってもよい。また、遮蔽部材60の平面視での形状は台形に限らず、三角形状であってもよい。
【0086】
その他、アーチコア54やサイドコア56を含めた各部の具体的な形態は図示のものに限らず、適宜に変形可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、磁気遮蔽を要する領域での完全な磁気遮蔽を行えるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0087】
1 プリンタ(画像形成装置)
7 画像形成部
14 定着ユニット(定着装置)
44 加圧ローラ(加圧部材)
48 加熱ベルト(加熱部材)
50 IHコイルユニット
52 誘導加熱コイル(コイル)
54 アーチコア(固定コア)
56 サイドコア(固定コア)
58 センタコア(可動コア)
60 遮蔽部材
60A 他の環状部
60B 環状部
60a 直線部
60u 絶縁フィルム(電気的絶縁部材)
83 制御部(磁気遮蔽手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部でトナー画像が転写された用紙を加熱部材と加圧部材との間に挟み込んで搬送し、この搬送過程で、少なくとも前記加熱部材からの熱によりトナー画像を用紙に定着させる定着装置であって、
前記加熱部材を誘導加熱するための磁界を発生させるコイルと、
前記コイルの周囲にて磁路を形成するべく磁性材料で構成された固定コアと、
前記コイルによる磁界の発生方向でみて前記固定コアと前記加熱部材との間に設けられ、前記固定コアとともに磁路を形成するべく磁性材料で構成された可動コアと、
前記可動コアの外面に沿って円弧状に湾曲して設けられ、前記コイルの発生させる磁界内で磁気を遮蔽するリング形状の非磁性金属で構成された遮蔽部材と、
前記可動コアを磁界の通過方向に対して交差した軸線周りに回転させて前記遮蔽部材を移動可能に構成されており、前記遮蔽部材による磁気の遮蔽時にはそのリング内を一方向の磁界が貫通する遮蔽位置に移動させ、磁気を遮蔽しない退避時にはリング内を双方向の磁界が貫通する退避位置に移動させる磁気遮蔽手段とを具備し、
前記遮蔽部材は、その磁気遮蔽を要する領域と磁気遮蔽を要しない域との境界部分に設けられるとともに、その周方向に閉じた形状で構成される一方、前記軸線方向からみてこの周方向の一部分が電気的に絶縁された環状部を備えていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記遮蔽部材は、前記境界部分の環状部と、前記磁気遮蔽を要する領域のうち該環状部を挟んで前記磁気遮蔽を要しない域とは反対側に設けられた他の環状部と、これら環状部及び他の環状部の間を連結し、前記環状部の周方向に間隔をおいて配置された直線部とを有して前記リング形状が構成されており、
前記境界部分の環状部は、電気的絶縁部材を介在させることにより、前記軸線方向からみて重なり合っていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置であって、
前記遮蔽部材は、1枚の板状からなる前記環状部、前記他の環状部及び前記直線部を有することを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の定着装置であって、
前記加熱部材は、
前記定着ユニットにより搬送される用紙の最大通紙域にわたって前記コイルにより誘導加熱されるものであり、
前記可動コアは、
前記加熱部材の幅方向でみた全域で磁路を形成するべく前記軸線方向に延びており、
前記遮蔽部材は、
前記可動コアの前記軸線方向でみて、前記定着ユニットにより搬送される用紙の最小通紙域の外側に設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の定着装置であって、
前記遮蔽部材は、銅を材料として構成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の定着装置であって、
前記遮蔽部材は、その厚みが0.5mm〜3mmの範囲内である非磁性金属で構成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の定着装置であって、
前記コイルが前記加熱部材の外面に沿って配置されており、かつ、前記コイルの中心を挟んで両側に前記固定コアが分割して配置されており、
前記可動コアは、その外側に前記遮蔽部材を配置するとともに、前記両側の固定コアを経て前記コイルの中心に磁路が合流する位置に設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の定着装置であって、
前記コイルが前記加熱部材を外包するべく外側に配置された構成であり、かつ、前記遮蔽部材が前記加熱部材の内側に配置されていることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−256630(P2010−256630A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106717(P2009−106717)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】