説明

実装基板

【課題】放熱性を向上させることが可能で、且つ、種々の形状に変形可能な実装基板を提供する。
【解決手段】実装基板2は、第1金属板により形成され電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板21と、第2金属板により形成されてなり伝熱板21の他面側に配置され電子部品を電気的に接続可能な配線パターン22と、伝熱板21と配線パターン22との間に介在する絶縁層23と、を備えている。実装基板2は、配線パターン22が、電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターン22uと、単位パターン22uの並設方向に直交する規定方向の一端側において単位パターン22uどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片22cと、上記規定方向の他端側が開放され連結片22cに至る第1スリット22dと、を有し、伝熱板21が、第1スリット22dに重なる第2スリット21dを有している。絶縁層23は、第1スリット22dに重なる第3スリット23dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図21および図22に示すように、複数個(図示例では、5個)のLED素子101と、これらのLED素子101を支持するベース102と、各LED素子101を各別に覆うモールド部材103とを備えた光源体100が提案されている(特許文献1)。ここにおいて、ベース102は、窒化アルミニウムにより形成されている。また、モールド部材103は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂やガラスなどにより形成されている。
【0003】
上述の光源体100は、ベース102の形状を、切頭四角錐体を成す中実ブロック状としてある。また、光源体100は、LED素子101に電力を供給するための電力供給回路122(図22参照)を、ベース102の表面に一体的に形成してある。
【0004】
また、特許文献1には、LED素子101に電力を供給するための電力供給回路を、図23に示すような回路基板131に形成し、LED素子101を回路基板131に実装するようにすれば、ベース102の材料の選択自由度を大きくできる旨が記載されている。この回路基板131は、ベース102に取付可能であり、且つ、LED支持面121a〜121eにそれぞれ重ね合わせる回路基板要素131a〜131eを一体に備えている。
【0005】
なお、特許文献1には、ベース102が立体形状であればよく、正多面体に代表される凸多面体とすることもできる旨が記載されている。また、特許文献1には、光源体100を用いた照明装置が記載されている。
【0006】
また、従来から、LED照明装置として、図24に示すように、略円盤状に形成されたアルミニウム製の装置本体202と、装置本体202の一面側において環状に配設された複数個のLEDモジュール203とを備えたものが提案案されている(特許文献2)。ここにおいて、LEDモジュール203は、セラミックや合成樹脂などの電気絶縁物からなる基板218と、発光色の異なる複数の第1〜第4の発光部219,220,221,222と、基板218に搭載された電気コネクタ231,231とを備えている。そして、LED照明装置は、LEDモジュール203の配設方向いおいて隣接したLEDモジュール203どうしが電気コネクタ231,231間にわたって配線される絶縁被覆電線232を介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−4415号公報
【特許文献2】特開2009−283214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の回路基板131を備えた光源体100では、各LED素子101で発生した熱が、回路基板131を通して放熱されるので、例えば、個々のLED素子101の光出力の増加などによって光源体100全体の光出力の高出力化を図った場合に、各LED素子101の温度上昇を十分に抑制できなくなる懸念がある。このため、上述の光源体100では、光出力の高出力化が制限されてしまう可能性がある。
【0009】
また、特許文献1には、回路基板131および回路基板要素131a〜131eの具体的な構成について明記されていない。ここで、仮に、回路基板131が、ガラス基材銅張積層板を用いたプリント配線板や、金属系基板を用いたプリント配線板(金属ベースプリント配線板)である場合には、電力供給回路が、銅箔をパターニングすることにより形成された配線パターンにより構成されるので、回路基板131を折り曲げたときに電力供給回路が断線してしまう懸念がある。また、仮に、回路基板131が、フレキシブル基板を用いたプリント配線板(フレキシブルプリント配線板)である場合には、各LED素子101とベース102との間にポリエステルフィルムやポリエステルフィルムなどのフレキシブル基板が介在することになり、各LED素子101で発生した熱を効率良く放熱させることが難しい。
【0010】
また、特許文献1には、光源体100のベース102の形状に関して、切頭四角錐体に限らず、立体形状であればよいことが記載されている。しかしながら、回路基板131を備えた光源体100では、形状の異なるベース102ごとに、形状の異なる回路基板131を設計しなければならず、設計コストを含めた製造コストや管理コストなどのコストが高くなってしまう。また、回路基板131を図23に示すような展開した形状で製造する場合には、材料歩留まりが低く、回路基板131のコストが高くなり、結果的に、光源体100のコストアップの要因となってしまう。
【0011】
また、特許文献2のLED照明装置では、複数個のLEDモジュール203が円環状に配設されているが、LEDモジュール203の配設方向において隣り合うLEDモジュール203どうしを、絶縁被覆電線232を介して電気的に接続する必要があり、製造コストが高くなってしまう。
【0012】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、放熱性を向上させることが可能で、且つ、種々の形状に変形可能な実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実装基板は、電子部品を実装可能な実装基板であって、第1金属板により形成され前記電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板と、第2金属板により形成されてなり前記伝熱板の他面側に配置され前記電子部品を電気的に接続可能な配線パターンと、前記伝熱板と前記配線パターンとの間に介在する絶縁層と、を備え、前記配線パターンは、前記電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターンと、前記単位パターンの並設方向に直交する規定方向の一端側において前記単位パターンどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片と、前記規定方向の他端側が開放され前記連結片に至る第1スリットと、を有し、前記伝熱板は、前記第1スリットに重なる第2スリットを有し、前記絶縁層は、前記第1スリットに重なる第3スリットを有することを特徴とする。
【0014】
本願の別の発明の実装基板は、電子部品を実装可能な実装基板であって、第1金属板により形成され前記電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板と、第2金属板により形成されてなり前記伝熱板の他面側に配置され前記電子部品を電気的に接続可能な配線パターンと、前記伝熱板と前記配線パターンとの間に介在する絶縁層と、を備え、前記配線パターンは、前記電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターンと、前記単位パターンの並設方向に直交する規定方向の一端側において前記単位パターンどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片と、前記規定方向の他端側が開放され前記連結片に至る第1スリットと、を有し、前記伝熱板は、前記第1スリットに重なる第2スリットを有し、前記連結片は、前記一端側において前記並設方向に沿った前記各単位パターンの側縁を含む平面よりも突出していることを特徴とする。
【0015】
上記別の発明の実装基板において、前記第1金属板により形成されてなり前記伝熱板の一方の側方に配置された第1側片および他方の側方に配置された第2側片を備え、前記第1側片、前記第2側片は、切断と折り曲げとが可能な第1バー、第2バーそれぞれを介して前記伝熱板に連結されてなることが好ましい。
【0016】
本願の更に別の発明の発光モジュールは、電子部品を実装可能な実装基板であって、第1金属板により形成され前記電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板と、第2金属板により形成されてなり前記伝熱板の他面側に配置され前記電子部品を電気的に接続可能な配線パターンと、前記伝熱板と前記配線パターンとの間に介在する絶縁層と、を備え、前記配線パターンは、前記電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターンと、前記単位パターンの並設方向に直交する規定方向の一端側において前記単位パターンどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片と、前記規定方向の他端側が開放され前記連結片に至る第1スリットと、を有し、前記伝熱板は、前記第1スリットに重なる第2スリットを有してなる実装基板と、前記実装基板に実装された前記電子部品とを備え、前記電子部品が固体発光素子からなることを特徴とする。
【0017】
この発光モジュールにおいて、前記固体発光素子は、LEDチップであることが好ましい。
【0018】
この発光モジュールにおいて、前記伝熱板は、前記第1金属板がアルミニウム板であり、前記アルミニウム板における前記絶縁層側とは反対側に前記アルミニウム板よりも高純度のアルミニウム膜が積層され、前記アルミニウム膜に屈折率の異なる2種類の誘電体膜からなる増反射膜が積層されてなることが好ましい。
【0019】
この発光モジュールにおいて、前記LEDチップから放射された光によって励起されて前記LEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透光性材料を含む色変換部を備え、前記色変換部は、前記伝熱板に接していることが好ましい。
【0020】
この発光モジュールにおいて、前記各LEDチップは、厚み方向の一面側に第1電極と第2電極とが設けられたものであり、前記第1電極および前記第2電極の各々がワイヤを介して前記配線パターンと電気的に接続されてなり、前記伝熱板は、前記各ワイヤの各々を通す貫通孔が形成されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実装基板においては、放熱性を向上させることが可能で、且つ、種々の形状に変形可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は実施形態1における実装基板の一表面側から見た概略斜視図、(b)は実施形態1における実装基板の他表面側から見た概略斜視図である。
【図2】実施形態1における実装基板の他表面側から見た概略分解斜視図である。
【図3】実施形態1における実装基板の形状を変化させた一例を示す概略斜視図である。
【図4】実施形態1における実装基板の形状を変化させる方法の説明図である。
【図5】実施形態1における実装基板の形状を変化させた他の例を示す概略斜視図である。
【図6】実施形態1における発光モジュールの概略斜視図である。
【図7】(a)は実施形態1における発光モジュールの要部概略斜視図、(b)は実施形態1における発光モジュールの一部破断した要部概略斜視図である。
【図8】実施形態1における発光モジュールの要部概略断面図である。
【図9】実施形態1における発光モジュールの要部概略平面図である。
【図10】実施形態1における発光モジュールの他の構成例の要部概略断面図である。
【図11】実施形態1における発光モジュールの更に他の構成例の要部概略断面図である。
【図12】実施形態1における発光モジュールの別の構成例の要部概略断面図である。
【図13】実施形態1における発光モジュールの更に別の構成例の要部概略断面図である。
【図14】実施形態1における実装基板の製造方法の説明図である。
【図15】実施形態1における実装基板の製造方法の説明図である。
【図16】実施形態1における実装基板の製造方法の説明図である。
【図17】実施形態1における発光モジュールの製造方法の説明図である。
【図18】実施形態2における発光モジュールの概略斜視図である。
【図19】実施形態2における実装基板の製造方法の説明図である。
【図20】実施形態2における発光モジュールの製造方法の説明図である。
【図21】従来例の光源体を示す全体斜視図である。
【図22】同上の光源体におけるベースへのLED素子の取付態様を模式的に示す要部拡大図である。
【図23】同上の光源体の他の形態における回路基板を示す展開図である。
【図24】他の従来例のLED照明装置におけるLEDモジュールの配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
まず、電子部品を実装可能な実装基板2について図1〜図5に基づいて説明し、その後、この実装基板2を備えた発光モジュールについて図6〜図9に基づいて説明する。
【0024】
実装基板2は、電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板21と、伝熱板21の他面側に配置され電子部品を電気的に接続可能な配線パターン22と、伝熱板21と配線パターン22との間に介在する絶縁層23とを備えている。ここで、伝熱板21は、第1金属板により形成されており、配線パターン22は、第1金属板とは別の第2金属板により形成されている。本実施形態の実装基板2は、全体として長尺状に形成されており、長手方向を行方向、短手方向を列方向として、複数個の電子部品を2行40列のマトリクス状に配列して実装できるように構成してある。したがって、実装基板2は、80個の電子部品を実装することが可能となっている。なお、実装基板2に実装可能とする電子部品の数は、特に限定するものではない。
【0025】
伝熱板21の基礎となる第1金属板の材料としては、アルミニウム、銅などの熱伝導率の高い金属が好ましい。ただし、第1金属板の材料は、これらに限らず、例えば、ステンレスやスチールなどでもよい。
【0026】
伝熱板21には、電子部品と配線パターン22とを電気的に接続する配線(例えば、ワイヤなど)の各々を通す貫通孔21bが形成されている。貫通孔21bは、伝熱板21の長手方向において電子部品の搭載領域の両側に形成してある。
【0027】
貫通孔21bは、開口形状を円形状としてある。貫通孔21bの内径は、0.5mmに設定してあるが、この値は一例であり、特に限定するものではない。貫通孔21bの形状は、円形状に限らず、例えば、矩形状、楕円形状などでもよい。
【0028】
また、絶縁層23は、伝熱板21の各貫通孔21bの各々に連通する貫通孔23bが形成されている。したがって、実装基板2に電子部品を実装する場合には、例えば、伝熱板21の貫通孔21bと絶縁層23の貫通孔23bとを通して、電子部品と配線パターン22とを電気的に接続することができる。
【0029】
また、配線パターン22の基礎となる第2金属板としては、金属フープ材に対してプレスによる打ち抜き加工を施すことにより形成したリードフレーム320(図16(a)参照)を用いている。
【0030】
第2金属板の材料としては、金属の中で熱伝導率が比較的高い銅(銅の熱伝導率は、398W/m・K程度)が好ましいが、銅に限らず、例えば、リン青銅などでもよいし、銅合金(例えば、42アロイなど)などでもよい。また、第2金属板の厚みは、例えば、100μm〜1500μm程度の範囲で設定することが好ましい。
【0031】
リードフレーム320は、外枠部321の内側に支持片322(図16(a)参照)を介して配線パターン22が支持されたものである。
【0032】
上述の実装基板2は、配線パターン22が、電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターン22uと、単位パターン22uの並設方向に直交する規定方向の一端側において単位パターン22uどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片(以下、第1連結片と称する)22cと、上記規定方向の他端側が開放され第1連結片22cに至る直線状の第1スリット22dとを有している。第1連結片22cは、平面形状を矩形状としてある。ここで、第1連結片22cは、上記一端側において上記並設方向に沿った各単位パターン22uの側縁から延設されていることが好ましい。言い換えれば、第1連結片22cは、上記一端側において上記並設方向に沿った各単位パターン22uの側縁を含む平面よりも突出していることが好ましい。そして、第1スリット22dは、上記規定方向において単位パターン22uの全長よりも長く形成されている。要するに、第1スリット22dは、一部が、第1連結片22cに形成されている。したがって、第1連結片22cは、第1スリット22dの長手方向に沿った第1部位を第1の折り目として折り曲げ可能で、また、第1スリット22dの終端の位置で第1スリット22dの幅方向に沿った第2部位を第2の折り目として折り曲げ可能となっている。
【0033】
また、実装基板2は、伝熱板21が、第1スリット22dに重なる直線状の第2スリット21dを有している。ここで、伝熱板21は、単位パターン22uの数と同じ数の伝熱ユニット21uが上記並設方向に並設されており、上記規定方向の一端側において隣り合う伝熱ユニット21uどうしを連結する連結片(以下、第2連結片と称する)21cを有している。そして、伝熱板21における第2スリット21dは、上記規定方向の他端側が開放され第2連結片21cに至るように形成されている。さらに、実装基板2は、絶縁層23が、第1スリット22dに重なる直線状の第3スリット23dを有している。ここで、絶縁層23は、単位パターン22uの数と同じ数の絶縁ユニット23uが上記並列方向に並設されており、上記規定方向の一端側において隣り合う絶縁ユニット23uどうしを連結する連結片(以下、第3連結片と称する)23cを有している。
【0034】
実装基板2は、単位パターン22uと、この単位パターン22uに対応する伝熱ユニット21uと、この単位パターン22uに対応する絶縁ユニット23uとで1つの基板ユニット2uを構成しており、単位パターン22uの数だけ、基板ユニット2uを備えている。そして、実装基板2は、隣り合う基板ユニット2uどうしが、第1連結片22cと第2連結片21cと第3連結片23cとで構成される連結部2cにより連結されている。本実施形態では、実装基板2が、5個の基板ユニット2uを備えており、各基板ユニット2uの各々において、16個の電子部品を2行8列のマトリクス状に配列できるようになっている。
【0035】
また、実装基板2は、長手方向の両端部の各々に端子部2fを備えている。端子部2fは、第1連結片22cを半割した第1半割片22fと、第2連結片21cを半割した第2半割片21fと、第3連結片23cを半割した第3半割片23fとで構成されている。
【0036】
絶縁層23は、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し且つ加熱時に低粘度化するとともに流動性が高くなる性質を有するBステージのエポキシ樹脂層(熱硬化性樹脂)と2枚のプラスチックフィルム(PETフィルム)とが積層された熱硬化型のシート状接着剤(例えば、東レ株式会社製の接着剤シートTSAなど)のエポキシ樹脂層を熱硬化させることにより形成されている。ここで、2枚のプラスチックフィルムは、Bステージのエポキシ樹脂層の厚み方向の両面に1枚ずつ積層されている。フィラーとしては、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂よりも熱伝導率の高い絶縁性材料を用いればよい。ここにおいて、シート状接着剤のエポキシ樹脂層は、電気絶縁性を有するとともに熱伝導率が高く加熱時の流動性が高く凹凸面への密着性が高いという性質を有している。したがって、絶縁層23と伝熱板21および配線パターン22との間に空隙が発生するのを防止することができて密着信頼性が向上するとともに、密着不足による熱抵抗の増大やばらつきの発生を抑制することが可能となる。しかして、伝熱板21と配線パターン22との間にサーコン(登録商標)のようなゴムシート状の放熱シートなどを挟む場合に比べて、各電子部品から配線パターン22までの熱抵抗を低減できるとともに、熱抵抗のばらつきを低減できて、放熱性が向上し、各電子部品の温度上昇を抑制できる。上述のエポキシ樹脂層の厚みは、100μmに設定してあるが、この値は一例であり、特に限定するものではなく、例えば、50μm〜150μm程度の範囲で適宜設定すればよい。なお、上述のエポキシ樹脂層の熱伝導率は、4W/m・K以上であることが好ましい。また、シート状接着剤のプラスチックフィルムは、配線パターン22と伝熱板21とを重ね合わせる前に、エポキシ樹脂層から剥離する。要するに、エポキシ樹脂層における一方のプラスチックフィルムを剥離してから、他方のプラスチックフィルム側とは反対側の一面を対象物に固着した後、当該他方のプラスチックフィルムを剥離する。
【0037】
ここで、絶縁層23の形成にあたっては、伝熱板21とエポキシ樹脂層と配線パターン22を有するリードフレーム320とを重ね合わせた状態で適宜加圧するようにしてもよい。
【0038】
絶縁層23の外形サイズは、リードフレーム320の外形サイズに基づいて適宜設定すればよい。ここで、絶縁層23は、電気絶縁性および熱伝導性を有し、伝熱板21と配線パターン22とを電気的に絶縁する機能および熱結合する機能を有している。
【0039】
また、配線パターン22は、第2金属板に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなり絶縁層23との密着性の高い表面処理層(図示せず)が形成されていることが好ましい。第2金属板の材料がCuの場合、表面処理層としては、例えば、Ni膜、Ni膜とAu膜との積層膜、Ni膜とPd膜とAu膜との積層膜などを形成することが好ましい。なお、表面処理層は、例えば、めっき法により形成すればよい。
【0040】
以上説明した本実施形態の実装基板2は、上述のように、第1金属板により形成され電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板21と、第2金属板により形成されてなり伝熱板21の他面側に配置され電子部品を電気的に接続可能な配線パターン22と、伝熱板21と配線パターン22との間に介在する絶縁層23とを備えている。そして、本実施形態の実装基板2は、配線パターン22が、電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターン22uと、単位パターン22uの並設方向に直交する規定方向の一端側において単位パターン22uどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片22cと、上記規定方向の他端側が開放され連結片22cに至る第1スリット22dとを有し、伝熱板21が、第1スリット22dに重なる第2スリット21dを有している。しかして、本実施形態の実装基板2は、例えば、各第1連結片22cの各々の上記第1部位を第1の折り目として折り曲げることにより、例えば、図3に示すように、側面視形状をアーチ状の形状に変形させることが可能となり、多面体に搭載することが可能となる。
【0041】
また、実装基板2は、上述のように、第1連結片22cが、上記一端側において上記並設方向に沿った各単位パターン22uの側縁を含む平面よりも突出していることが好ましい。これにより、実装基板2は、第1連結片22cの上記第2部位を第2の折り目として連結部2cを図4(a)に示すように折り曲げることが可能となり、さらに、第1連結片22cの上記第1部位を第1の折り目として連結部2cを図4(b)に示すように折り曲げることも可能となる。これにより、実装基板2は、例えば、図5に示すように、平面形状を円弧状の形状に変形させることが可能となる。
【0042】
次に、上述の実装基板2を用いた発光モジュール1について図6〜図9に基づいて説明する。
【0043】
発光モジュール1は、実装基板2と、実装基板2に実装された複数の固体発光素子3(図7〜9参照)とを備えている。ここで、固体発光素子3が、上述の電子部品を構成している。
【0044】
伝熱板21は、反射板としての機能を有することが好ましく、第1金属板の材料としてアルミニウムを採用することが、より好ましい。また、伝熱板21は、第1金属板がアルミニウム板であり、アルミニウム板における絶縁層23側とは反対側にアルミニウム板よりも高純度のアルミニウム膜が積層され、アルミニウム膜に屈折率の異なる2種類の誘電体膜からなる増反射膜が積層されていることが好ましい。ここで、2種類の誘電体膜としては、例えば、SiO膜とTiO膜とを採用することが好ましい。このような伝熱板21を用いることにより、可視光に対する反射率を95%以上とすることが可能となる。この伝熱板21としては、例えば、アラノッド(alanod)社のMIRO2、MIRO(登録商標)を用いることができる。上述のアルミニウム板としては、表面が陽極酸化処理されたものを用いてもよい。なお、伝熱板21の厚みは、例えば、0.2〜3mm程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0045】
固体発光素子3としては、LEDチップを用いているが、これに限らず、例えば、LEDチップがパッケージに収納されたものでもよい。また、固体発光素子3としては、例えば、レーザダイオード(半導体レーザ)や、有機EL素子などを用いてもよい。
【0046】
固体発光素子3は、図8に示すように、厚み方向の一面側に第1電極(アノード電極)31と第2電極(カソード電極)32とが設けられており、厚み方向の他面側が接合部35を介して伝熱板21に接合されている。そして、固体発光素子3は、第1電極31および第2電極32の各々がワイヤ(ボンディングワイヤ)26を介して配線パターン22と電気的に接続されている。ここにおいて、伝熱板21は、各ワイヤ26の各々を通すことが可能な上述の貫通孔21bが形成されている。貫通孔21bは、伝熱板21の長手方向において各固体発光素子3ごとの搭載領域の両側に形成してある。固体発光素子3がLEDチップの場合、接合部35は、ダイボンド材により形成すればよい。
【0047】
LEDチップは、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、基板としてサファイア基板を備えたものを用いている。ただし、LEDチップの基板は、サファイア基板に限らず、例えば、GaN基板、SiC基板、Si基板などでもよい。なお、LEDチップの構造は特に限定するものではない。
【0048】
LEDチップのチップサイズは、特に限定するものではなく、例えば、チップサイズが0.3mm□や0.45mm□や1mm□のものなどを用いることができる。
【0049】
また、LEDチップの発光層の材料や発光色は特に限定するものではない。すなわち、LEDチップとしては、青色LEDチップに限らず、例えば、紫色光LEDチップ、紫外光LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップなどを用いてもよい。
【0050】
ダイボンド材としては、例えば、シリコーン系のダイボンド材、エポキシ系のダイボンド材、銀ペーストなどを用いることができる。
【0051】
また、ワイヤ26としては、例えば、金ワイヤ、アルミニウムワイヤなどを用いることができる。
【0052】
ところで、発光モジュール1は、固体発光素子3としてLEDチップを用いている場合、例えば図8に示すように、伝熱板21の上記一面側において固体発光素子3およびワイヤ26を封止した封止部36を備えることが好ましい。図8では、封止部36の材料として、第1透光性材料であるシリコーン樹脂を用いている。第1透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ガラスなどを用いてもよい。
【0053】
また、発光モジュール1は、固体発光素子3としてLEDチップを用いている場合、高出力の白色光を得るためには、LEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する波長変換材料を有する色変換部37を備えていることが好ましい。このような色変換部37としては、例えば、LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体を波長変換材料として用い、蛍光体および第2透光性材料を含むものが好ましい。
【0054】
発光モジュール1は、例えば、LEDチップとして青色LEDチップを用い、色変換部37の蛍光体として黄色蛍光体を用いれば、白色光を得ることが可能となる。すなわち、発光モジュール1は、LEDチップから放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが色変換部37の表面を通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。色変換部37の材料として用いる第2透光性材料として、シリコーン樹脂を用いているが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、色変換部37の材料として用いる蛍光体も黄色蛍光体に限らず、例えば、黄色蛍光体と赤色蛍光体とを用いたり、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを用いることにより、演色性を高めることが可能となる。また、色変換部37の材料として用いる蛍光体は、1種類の黄色蛍光体に限らず、発光ピーク波長の異なる2種類の黄色蛍光体を用いてもよい。
【0055】
また、LEDチップ単体で白色光を放射できる場合や、封止部36に蛍光体を分散させている場合や、発光モジュール1で得たい光の色がLEDチップの発光色と同じである場合には、色変換部37を備えていない構造を採用することができる。
【0056】
発光モジュール1は、色変換部37が、伝熱板21に接していることが好ましい。これにより、発光モジュール1は、LEDチップで発生した熱だけでなく、色変換部37で発生した熱も伝熱板21を通して放熱させることが可能となり、光出力の高出力化を図ることが可能となる。図8に示した例では、色変換部37が、ドーム状の形状に形成されており、伝熱板21の上記一面側において伝熱板21との間にLEDチップおよび封止部36などを囲む形で配設されている。更に説明すれば、色変換部37は、伝熱板21の上記一面側において封止部36との間に気体層(例えば、空気層)38が形成されるように配設されている。発光モジュール1は、図10に示すように、色変換部37を半球状の形状として、色変換部37により固体発光素子3であるLEDチップおよびワイヤ26を封止するようにしてもよい。また、発光モジュール1は、図11に示すように、色変換部37をドーム状の形状として、色変換部37により、固体発光素子3であるLEDチップおよびワイヤ26を封止するようにしてもよい。また、発光モジュール1は、図12に示すように、色変換部37を、層状の形状として、色変換部37により、固体発光素子3であるLEDチップおよびワイヤ26を封止するようにしてもよい。なお、図8や図11のような色変換部37は、成形したものを用い、伝熱板21側の端縁(開口部の周縁)を伝熱板21に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて固着すればよい。また、図10に示すような色変換部37は、例えば、成形法により形成することができる。また、図12に示すような色変換部37は、例えば、ディスペンサを用いた塗布法や、スクリーン印刷法などにより形成することが可能である。
【0057】
また、図8,10,11,12に示した例では、配線パターン22にワイヤ26をボンディングしているが、図13に示すように、配線パターン22の一部に絶縁層23の貫通孔23bおよび伝熱板21の貫通孔21bに挿入される突出部22hを設けておき、突出部22hの先端面にワイヤ26をボンディングするようにしてもよい。
【0058】
配線パターン22は、単位パターン22uの各々において、固体発光素子3の第1電極31が接続される第1パターン22aと第2電極32が接続される第2パターン22bとを2つずつ有している。ここで、第1パターン22aおよび第2パターン22bは、平面形状が櫛形状に形成されている。また、単位パターン22uは、各2つの第1パターン22aおよび第2パターン22bが、基板ユニット2uの長手方向において並んで配置され、基板ユニット2uの短手方向において各1つの第1パターン22aと第2パターン22bとが入り組むように配置されている。ここで、単位パターン22uは、基板ユニット2uの短手方向において並んで配置される第1パターン22aと第2パターン22bとの櫛骨部22aa,22baどうしが対向し、基板ユニット2uの長手方向において第1パターン22aの櫛歯部22aaと第2パターン22bの櫛歯部22bbとが交互に並んでいる。そして、基板ユニット2uの長手方向において中央部にある第2パターン22bの櫛歯部22bbと第1パターン22aの櫛歯部22abとが連続して形成され電気的に接続されている。それ以外は、基板ユニット2uの長手方向において、第2パターン22bの櫛歯部22bbと第1パターン22aの櫛歯部22abとの間に隙間が形成されている。
【0059】
そして、発光モジュール1は、基板ユニット2uごとに、固体発光素子3がi行j列(ここで、i=2、j=8)の2次元アレイ状(マトリクス状)に配列されており、基板ユニット2uの長手方向(行方向)に並んだj個の固体発光素子3の直列回路どうしが並列接続された並列回路を備えている。また、発光モジュール1は、この並列回路を単位ユニット2uの個数であるm個(ここでは、m=5)だけ備えており、隣り合う基板ユニット2uごとに形成される並列回路が直列接続されている。また、発光モジュール1は、上述の2つの端子部2fの間に給電することにより、全ての固体発光素子3に対して給電することができる。基板ユニット2uごとに実装する固体発光素子3の個数は特に限定するものではなく、配列の形態も特に限定するものではなく、2次元アレイ状に限らず、例えば、1次元アレイ状(例えば、i=1、j=8)でもよい。また、複数個の発光モジュール1を並べて用いるような場合には、隣り合う発光モジュール1どうしを、例えば、送り配線用の電線(図示せず)やコネクタ(図示せず)などにより電気的に接続するようにすればよい。これにより、複数個の発光モジュール1の直列回路に対して、1つの電源ユニットから電力を供給して、各発光モジュール1の全ての固体発光素子3を発光させることが可能となる。
【0060】
いずれにしても、発光モジュール1は、実装基板2に複数個の固体発光素子3を実装しているが、実装基板2が伝熱板21と配線パターン22との間に上述の絶縁層23を備えているので、伝熱板21と配線パターン22との間にサーコン(登録商標)のようなゴムシート状の放熱シートなどを挟む場合に比べて、各固体発光素子3から配線パターン22までの熱抵抗を低減できるとともに、熱抵抗のばらつきを低減することが可能となる。これにより、発光モジュール1は、放熱性が向上し、各固体発光素子3のジャンクション温度の温度上昇を抑制できるから、入力電力を大きくすることが可能となり、光出力の高出力化を図ることが可能となる。
【0061】
また、絶縁層23は、上述のように、伝熱板21の各貫通孔21bの各々に連通する貫通孔23bが形成されている。したがって、発光モジュール1の製造時には、ワイヤ26を伝熱板21の貫通孔21bと絶縁層23の貫通孔23bとを通して配線パターン22にボンディングすることができる。ここで、発光モジュール1の製造時には、固体発光素子3の第1電極31および第2電極32それぞれと第1パターン22aおよび第2パターン22bとをワイヤ26を介して接続した後に、例えば、ディスペンサなどにより、貫通孔21bおよび貫通孔23bに封止部36(図8参照)の材料を充填してワイヤ26が伝熱板21に接触しないようにし、その後、封止部36を形成すればよい。
【0062】
ところで、伝熱板21の熱容量の大きさによっては、上述のエポキシ樹脂層の加熱温度を170℃程度まで上げて硬化させると、伝熱板21と配線パターン22との固着性能が低下し、加熱温度を150℃程度まで下げて硬化させると伝熱板21と配線パターン22との間の電気絶縁性が低下する懸念がある。すなわち、固着性能と電気絶縁性とがトレードオフの関係を有している。そこで、本実施形態では、後述のように、第1のシート状接着剤323(図14(a))のエポキシ樹脂層(以下、第1エポキシ樹脂層と称する)と第2のシート状接着剤333(図14(b)参照)のエポキシ樹脂層(以下、第2エポキシ樹脂層と称する)とを重ね合わせるようにし、第1エポキシ樹脂層を170℃で硬化させることにより電気絶縁性および熱伝導性を確保し、第2エポキシ樹脂層を150℃で硬化させることにより固着性能および熱伝導性を確保するようにしている。さらに説明すれば、第1エポキシ樹脂層を対象物である伝熱板21に170℃で固着させた後、第2エポキシ樹脂層およびリードフレーム320を重ね合わせて当該第2エポキシ樹脂層を150℃で硬化させるようにすればよい。これにより、本実施形態の発光モジュール1の製造にあたっては、伝熱板21の熱容量に関わらず、固着性能と電気絶縁性との両方の要求を満足させることが可能となる。
【0063】
以下、実装基板2の製造方法について図14および図15を参照しながら簡単に説明する。
【0064】
まず、図14(a)に示すように、一方のプラスチックフィルムからなる第1保護シート323aを剥がしたシート状接着剤323を第1エポキシ樹脂層が伝熱板21の基礎となる第1金属板を用いたシート状部材420に接するように重ねて、円柱状のゴムローラ340により所定圧力(例えば、0.5MPa)で加圧するとともに第1エポキシ樹脂層の硬化温度よりも低い第1規定温度(例えば、110℃〜120℃)で加熱して第1のシート状接着剤323を第1金属板420に仮固着する。その後、プレス360により、第1エポキシ樹脂層を上記硬化温度以上の温度(例えば、170℃)で加熱するとともに加圧して硬化させることで第1エポキシ樹脂層をシート状部材420に本固着する。なお、図14(a)には、シート状部材420を巻き出す巻出機351、シート状部材420を巻き取る巻取機352、第1のシート状接着剤323を巻き出す巻出機353、第1のシート状接着剤323の第1保護シート323aを巻き取る巻取機354aを模式的に図示してある。
【0065】
その後、図14(b)に示すように、シート状接着剤323が本固着されている第1金属板420を自然冷却させる。続いて、第1エポキシ樹脂層から第1のシート状接着剤323における他方のプラスチックフィルムからなる第2保護シート323bを剥がす。その後、第1エポキシ樹脂層に一方のプラスチックフィルムからなる第3保護シート333aを剥がした第2のシート状接着剤333を第2エポキシ樹脂層が第1エポキシ樹脂層に接するように重ねて、円柱状のゴムローラ340により所定圧力(例えば、0.5MPa)で加圧するとともに第2エポキシ樹脂層の硬化温度よりも低い第1規定温度(例えば、110℃〜120℃)で加熱して第2のシート状接着剤333を第1エポキシ樹脂層に仮固着する。なお、図14(b)には、第1のシート状接着剤323の第2保護シート323bを巻き取る巻取機354b、第2のシート状接着剤333を巻き出す巻出機355、第2のシート状接着剤333の第3保護シート333aを巻き取る巻取機356aも模式的に図示してある。
【0066】
その後、図14(c)に示すように、シート状部材420と第1エポキシ樹脂層と第2エポキシ樹脂層との積層構造において、伝熱板21の貫通孔21bおよび絶縁層23の貫通孔23bに対応する各領域に、例えばパンチプレス370により、貫通孔334を形成する。
【0067】
その後、図15(a)に示すように、第2エポキシ樹脂層から第2のシート状接着剤333における他方のプラスチックフィルムからなる第4保護シート333bを剥がす。その後、リードフレーム320を第2エポキシ樹脂層に接するように重ねて、円柱状のゴムローラ380により、所定圧力(例えば、0.5MPa)で加圧するとともに第2エポキシ樹脂層の硬化温度よりも低い第1規定温度(例えば、110℃〜120℃)で加熱してリードフレーム320を第2エポキシ樹脂層に仮固着する。なお、図15(a)には、第2のシート状接着剤333の第4保護シート333bを巻き取る巻取機356b、リードフレーム320を巻き出す巻出機357も模式的に図示してある。
【0068】
その後、プレス390により、リードフレーム320を介して第2エポキシ樹脂層を加圧するとともに加熱して上記硬化温度以上の温度(例えば、150℃)で硬化させることでリードフレーム320と第2エポキシ樹脂層とを本固着する。これにより、絶縁層23が形成される。
【0069】
その後、シート状部材420と絶縁層23とリードフレーム320との積層体を、裁断機などにより、図15(b)に示すように個々の実装基板2に相当する部分に分断し、続いて、リードフレーム320の外枠部321(図16(a)参照)と配線パターン22との間の支持片322(図16(a)参照)を切断して外枠部321を取り除くことにより、実装基板2を得る。この段階で得られる実装基板2は、図16(c)および図17(a)に示す形状であり、上述のシート状部材420により形成されリードフレーム320の外枠部321に絶縁層23を介して接合された外枠部21gを有している。この外枠部21gは、シート状部材420により形成された支持片21hを介して伝熱板21に連結されている。なお、図16(a)は、図16(c)の実装基板2の概略分解斜視図であり、図16(b)は、図16(c)の実装基板2においてリードフレーム320の外枠部321を取り外す前の概略斜視図である。
【0070】
次に、発光モジュール1の製造方法について、図17に基づいて説明する。
【0071】
発光モジュール1の製造にあたっては、まず、図17(a)に示す実装基板2の上記一面側に固体発光素子3を接合することで搭載してから、各固体発光素子3の第1電極31および第2電極32それぞれと第1パターン22aおよび第2パターン22bとをワイヤ26を介して電気的に接続する。その後、必要に応じて封止部36、色変換部37を実装基板2の上記一面側に設けることによって、図17(b)に示す構造を得る。
【0072】
その後、図17(c)に示すように、伝熱板21と外枠部21gとの間の支持片21hを切断して外枠部21gを取り除くことによって、図17(d)に示す発光モジュール1を得る。そして、発光モジュール1は、例えば図17(e)に示すように連結部2cを折り曲げたものとしてもよい。
【0073】
ところで、上述の発光モジュール1は、伝熱板21と、リードフレーム320を用いて形成される配線パターン22とを備えていることにより、固体発光素子3を金属ベースプリント配線板に実装して用いる場合に比べて、低コスト化で光出力の高出力化を図ることが可能となる。しかも、発光モジュール1は、伝熱板21として、反射板としての機能を有するものを用いることにより、伝熱板21での光損失を低減することが可能となり、光出力の高出力化を図ることが可能となる。したがって、本実施形態の発光モジュール1は、低消費電力化を図ることも可能となる。ここで、発光モジュール1は、伝熱板21の第1金属板がアルミニウム板であり、アルミニウム板における絶縁層23側とは反対側にアルミニウム板よりも高純度のアルミニウム膜が積層され、アルミニウム膜に屈折率の異なる2種類の誘電体膜からなる増反射膜が積層されているものを用いることにより、光出力の高出力化を図ることが可能となる。特に、発光モジュール1は、固体発光素子3として、LEDチップを用いている場合に、LEDチップで発生した熱を効率よく放熱させることが可能となって光出力の高出力化を図れ、そのうえ、LEDチップから放射された光の利用効率の向上を図ることが可能となる。また、発光モジュール1は、色変換部37(図8〜図13など参照)を備えている場合、色変換部37の波長変換材料である蛍光体から伝熱板21側へ放射された光や、LEDチップから放射され蛍光体で伝熱板21側へ散乱された光などを反射させることが可能なので、光の利用効率の向上を図ることが可能となる。
【0074】
以上説明した本実施形態の発光モジュール1は、上述の実装基板2と、実装基板2に実装された電子部品とを備え、電子部品が固体発光素子3からなるので、放熱性を向上させることが可能で、且つ、種々の形状(任意形状)に変形可能となる。これにより、本実施形態の発光モジュール1は、例えば、種々の形状の照明器具の光源として利用することが可能となり、低コスト化を図ることが可能となる。
【0075】
ここにおいて、本実施形態の発光モジュール1では、各固体発光素子3および各色変換部37で発生した熱を、伝熱板21により横方向に効率よく伝熱させて放熱させることが可能となり、また、伝熱板21の厚み方向へも伝熱させて放熱させることが可能となる。したがって、発光モジュール1は、放熱性を向上させることが可能で各固体発光素子3の温度上昇を抑制でき、且つ、光出力の高出力化を図ることが可能となる。要するに、本実施形態の発光モジュール1は、各固体発光素子3および各色変換部37で発生した熱が、第1金属板を用いて形成された伝熱板21を通して放熱されるので、例えば、個々の固体発光素子3の光出力の増加などによって発光モジュール1全体の光出力の高出力化を図った場合でも、各固体発光素子3および色変換部37の温度上昇を抑制することが可能となり、光出力の高出力化を図ることが可能となる。
【0076】
また、本実施形態の発光モジュール1は、絶縁層23が、熱硬化性樹脂に当該熱硬化性樹脂に比べて熱伝導率の高いフィラーを含有しているので、固体発光素子3で発生した熱をより効率良く放熱させることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態の発光モジュール1では、固体発光素子3をLEDチップとすることにより、LEDチップで発生した熱を伝熱板21により横方向へ伝熱させて効率良く放熱させることが可能となる。
【0078】
また、本実施形態の発光モジュール1では、実装基板2が、第2金属板を用いて形成された配線パターン22を備え、隣り合う基板ユニット2uどうしの間に、第1スリット22dと第3スリット23dと第2スリット21dとからなる隙間が形成され、隣り合う基板ユニット2uどうしが上述の連結部2cにより連結されているので、実装基板2を変形させた場合の断線を防止することが可能となる。本実施形態の発光モジュール1では、実装基板2を適宜変形させることにより、種々の形状の照明器具の光源として利用することが可能となるから、光源の設計コストを含めた製造コストや管理コストなどのコストを低減することが可能となる。また、本実施形態の発光モジュール1における実装基板2は、図23に示した回路基板131のような展開形状として正方形状の回路要素131aと台形状の回路要素131b〜131dとが混在するような場合に比べて、材料歩留まりを向上させることが可能となり、低コスト化を図ることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態の発光モジュール1は、隣り合う基板ユニット2uどうしの間に、第1スリット22dと第3スリット23dと第2スリット21dとからなる隙間が形成され、隣り合う基板ユニット2uどうしが上述の連結部2cにより連結されているので、実装基板2を長尺状のままで使用する場合でも、伝熱板21の反りを抑制することが可能となり、発光モジュール1全体の反りを抑制することが可能となる。これにより、発光モジュール1は、製造時の歩留まりの向上による低コスト化を図ることが可能となるとともに、製品としての信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0080】
また、本実施形態の発光モジュール1では、実装基板2の単位ユニット2uの数を適宜設定することにより、1個の発光モジュール1を円環状の形状に変形させることも可能であり、図24に示したLED照明装置のように、複数個のLEDモジュール203を円環状に配設し、LEDモジュール203の配設方向において隣り合うLEDモジュール203どうしを、絶縁被覆電線32を介して電気的に接続する場合に比べて、製造コストを低減することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態の発光モジュール1では、伝熱板21の基礎となる第1金属板がアルミニウム板であり、アルミニウム板における絶縁層23側とは反対側にアルミニウム板よりも高純度のアルミニウム膜が積層され、アルミニウム膜に屈折率の異なる2種類の誘電体膜からなる増反射膜が積層されているので、LEDチップから放射され伝熱板21の上記一面に入射した光を効率良く反射することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態の発光モジュール1では、固体発光素子3がLEDチップであり、厚み方向の一面側に第1電極31と第2電極32とが設けられており、第1電極31および第2電極32の各々がワイヤ26を介して配線パターン22と電気的に接続されてなり、伝熱板21に、各ワイヤ26の各々を通す貫通孔21bが形成されているので、LEDチップを伝熱板21にダイボンドすることができ、LEDチップで発生した熱が伝熱板21の横方向へ伝熱されやすくなり、放熱性を向上させることが可能となる。
【0083】
なお、固体発光素子3としてLEDチップを用いる場合、固体発光素子3と伝熱板21との線膨張率の差に起因してLEDチップに働く応力を緩和するサブマウント部材を介して伝熱板21にダイボンドするようにしてもよい。ここで、サブマウント部材は、LEDチップのチップサイズよりも大きな平面サイズに形成したものを用いることが好ましい。なお、LEDチップがGaN系青色LEDチップであり、第1金属板がアルミニウム板の場合、サブマウント部材の材料としては、例えば、AlN、複合SiC、Si、CuWなどを採用することができる。また、サブマウント部材は、LEDチップが接合される側の表面におけるLEDチップとの接合部位(つまり、LEDチップに重なる部位)の周囲に、LEDチップから放射された光を反射する反射膜が形成されていることが好ましい。また、LEDチップとして厚み方向の両面に電極が設けられたものを用いる場合には、サブマウント部材に、LEDチップにおいてサブマウント部材側に配置される第1電極31あるいは第2電極32に電気的に接続される導体パターンを設けておき、当該導体パターンと第1パターン22aあるいは第2パターン22bとをワイヤ26を介して電気的に接続するようにすればよい。
【0084】
また、発光モジュール1における実装基板2は、図17(a)に示す形状として、上述のシート状部材420により形成された外枠部21gを備えた構成としてもよく、外枠部21gを、固体発光素子3や色変換部37から放射された光を反射する反射板として利用することが可能となる。これにより、発光モジュール1は、光の利用効率を高めることが可能になるとともに、反射板による配光制御が可能となる。この場合、実装基板2は、伝熱板21と外枠部21gとのなす角度が所望の角度となるように、伝熱板21と外枠部21gとを連結している連結片21fのところで折り曲げればよい。なお、実装基板2の長手方向において外枠部21gと第2連結片2cとの間には第4スリット21kが形成されている。
【0085】
ところで、図17(a)に示した実装基板2は、第1金属板により形成されてなり伝熱板21の一方の側方に配置された第1側片21gaと他方の側方に配置された第2側片21gbとで外枠部21gが構成されている。また、第1側片21ga側の支持片21h、第2側片21gb側の支持片21hが、切断と折り曲げとが可能な第1バー21ha、第2バー21hbそれぞれを構成している。この場合、実装基板2は、伝熱板21と第1バー21haと第1側片21gaと第2バー21hbと第2側片21gbとが1つの第1金属板から形成されており、伝熱板21と第1バー21haと第1側片21gaと第2バー21hbと第2側片21gbとが一体となっている。したがって、伝熱板21とは別部材により反射板を形成して当該反射板を実装基板2に固着する場合に比べて、低コスト化を図ることが可能になるとともに、反射板の位置精度を高めることが可能となる。
【0086】
(実施形態2)
以下、本実施形態の発光モジュール1について図18に基づいて説明する。
【0087】
本実施形態の発光モジュール1の基本構成は実施形態1と略同じであり、実装基板2における連結部2cおよび端子部2fの構成が相違するだけである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
図19(a)は、図19(c)の実装基板2の概略分解斜視図であり、図19(b)は、図19(c)の実装基板2においてリードフレーム320の外枠部321を取り外す前の概略斜視図である。
【0089】
本実施形態における実装基板2では、連結部2cが、実施形態1において説明した第1連結片22cのみにより構成され、端子部2fが、実施形態1において説明した第1半割片22fのみにより構成されている。これにより、実装基板2は、連結部2cおよび端子部2fの折り曲げが、より容易となる。また、この実装基板2では、伝熱板21が実施形態1において説明した増反射膜を備えているような場合でも、端子部2fに電線やコネクタなどを接続する際の接触抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0090】
次に、発光モジュール1の製造方法について、図20に基づいて説明する。
【0091】
発光モジュール1の製造にあたっては、まず、図20(a)に示す実装基板2の上記一面側に固体発光素子3を接合することで搭載してから、各固体発光素子3の第1電極31および第2電極32それぞれと第1パターン22aおよび第2パターン22bとをワイヤ26を介して電気的に接続する。その後、必要に応じて封止部36、色変換部37を実装基板2の上記一面側に設けることによって、図20(b)に示す構造を得る。
【0092】
その後、図20(c)に示すように、伝熱板21と外枠部21gとの間の支持片21hを切断して外枠部21gを取り除くとともに第2連結片21c、第2半割片21fを取り除くことによって、図20(d)に示す発光モジュール1を得る。そして、発光モジュール1は、例えば図20(e)に示すように連結部2cを折り曲げたものとしてもよい。
【0093】
本実施形態における実装基板2は、実施形態1における実装基板2と同様、放熱性を向上させることが可能で、且つ、種々の形状に変形可能となる。
【0094】
また、本実施形態の発光モジュール1についても、実施形態1における発光モジュール1と同様、放熱性を向上させることが可能で、且つ、種々の形状に変形可能となる。
【符号の説明】
【0095】
1 発光モジュール
2 実装基板
21b 貫通孔
3 固体発光素子(電子部品、LEDチップ)
21 伝熱板
21d 第2スリット
21ga 第1側片
21gb 第2側片
21ha 第1バー
21hb 第2バー
22 配線パターン
22c 連結片
22d 第1スリット
22u 単位パターン
23 絶縁層
26 ワイヤ
31 第1電極
32 第2電極
37 色変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装可能な実装基板であって、第1金属板により形成され前記電子部品を一面側に搭載可能な伝熱板と、第2金属板により形成されてなり前記伝熱板の他面側に配置され前記電子部品を電気的に接続可能な配線パターンと、前記伝熱板と前記配線パターンとの間に介在する絶縁層と、を備え、前記配線パターンは、前記電子部品を電気的に接続可能な複数の単位パターンと、前記単位パターンの並設方向に直交する規定方向の一端側において前記単位パターンどうしを連結し且つ電気的に接続する連結片と、前記規定方向の他端側が開放され前記連結片に至る第1スリットと、を有し、前記伝熱板は、前記第1スリットに重なる第2スリットを有し、前記絶縁層は、前記第1スリットに重なる第3スリットを有することを特徴とする実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−8966(P2013−8966A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127334(P2012−127334)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【分割の表示】特願2011−138520(P2011−138520)の分割
【原出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】