説明

室温加硫性ポリマー

少なくともひとつの末端メチルイソプロピルケトキシミノ又はメチルケトキシミノ部位を有するオルガノシロキサン単位又はポリウレタン単位を含む室温(RTV)ポリマー成分、ならびにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシムシランエンドキャップポリマーを含む組成物に関する。より特定的には、本発明は、オキシム架橋剤を有する、室温加硫性(room temperature vulcanizable)(RTV)などの硬化性ケイ素組成物に関し、また、ポリウレタンなどのオキシムシランエンドキャップ有機ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンシーラント又は接着剤は、多くの異なる応用において使用することができる強力で柔軟な製品である。シリコーンシーラントは、一旦完全に硬化した後であっても、非常に柔軟なままである。また、シリコーンシーラントは、非常に高い温度にも耐えることができ、そのため高温曝露を伴う応用(例えば、エンジンガスケットシーラント)について理想的である。シリコーンシーラントは、種々の異なる形態となる。例えば、二成分系のものがあり、この場合、使用者は二成分を混合してシーラントを作ることを要する。混合は、使用する直前にしなければならず、そのためにこのタイプのシリコーンシーラントはかなり使用しにくいものとなっている。
【0003】
また、シリコーンシーラントは、混合を必要としない単一の生成物であってもよい。単一成分シリコーンシーラントのひとつのタイプは、室温加硫性(RTV)と呼ばれる。この形態のシーラントは、空気又は、より正確には、空気中の水分に曝露されるとすぐに硬化しはじめる。この簡潔性は、住居用又は商業用の建物における、シーリングギャップ、ジョイント、及び間隙において特に有利である。
【0004】
RTVシリコーンゴムにおける加硫剤は、架橋性化合物又は触媒である。中性硬化シリコーンシーラントにおいて、最も商業的に成功しかつ所望な架橋系のうちのひとつは、架橋剤としてオキシムシランを伴う。これらの架橋剤を用いるシリコーンシーラント及びコーティング系は、典型的には、アセトキシ、アルコキシ、又はアミン架橋系などの競合する技術のものより、貯蔵寿命、接着性、及び機械的特性がすぐれている。オキシムシランのうち最も豊富で経済的なものは、2−ブタノンオキシムである加水分解可能な基を特徴とするもの、すなわち、メチルエチルケトオキシム(MEKO)である。例えば、米国特許第3,189,576号(Sweet)(特許文献1)には、一般式(X=NO)SiR’4−aを有するオキシムシラン、メチルエチルケトオキシムが記載されている。
【0005】
それらの流通性にもかかわらず、架橋剤としてMEKOを利用するRTVシリコーンは、数多くの欠点を有している。例えば、多くの場合、透明性の欠如の問題がある。(例えば、メチルエチルケトキシムを含有するオキシムシランを典型的に使用した場合、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応すると、いかに不透明又は曇ったゴムを提供するかを説明している欧州特許660838B1(特許文献2)を参照のこと。)透明な状態に硬化するシリコーンゴム組成物は、商業的な市場において非常に望ましい。また、MEKOをベースとするRTVシリコーンは、シリコーンが硬化するにつれ加水分解反応を介して揮発性の副生物としてMEKOを生じる。MEKOの潜在的な発ガン作用に関する懸念のために、一部の市場においては、未硬化シーラント含有するフリーのMEKOが1重量%未満であるように、RTV中のMEKOの量を限定することが望ましい。
【0006】
シーラント中におけるMEKOの量を限定するためには、この化合物を種々の他の架橋剤により置換することが示唆されてきた。しかし、当技術分野においてこれまでに知られている置換物はすべて、有意な不都合を有している。例えば、シーラント中のMEKOの量を限定するひとつの一般的な方法は、シラン架橋剤上に2−ブタノン基とアルコキシ基の両方を含有するシランハイブリッドを使用することである。しかし、これらのハイブリッドを使用するかかるシーラントは、貯蔵寿命が不十分であり、特別な触媒の使用を必要とし不所望な混合手順が要求されることがよく知られている。加えて、そのようなハイブリッドは典型的には、所望のレオロジー特性未満のものを有している。
【0007】
この問題に対する他の解決策としては、アセトンオキシム(プロパノンオキシム)を含有するシランを使用することが挙げられる。しかし、このオキシムはオスのラットに腫瘍を引き起こすことがわかっており、このことは、この化合物が2−ブタノンオキシムと同様の毒性を有することを強く示唆している。加えて、2−プロパノンオキシムはかなり低い温度で昇華することから、このタイプの架橋剤を使用するシーラントは、暖かい温度を経験するチューブ中に貯蔵する場合には、シーラントが泡立ち、オーブンエージングの間に不所望に黄変することがある。
【0008】
欧州特許660838(特許文献3)は、メチルイソブチルケトキシム(MIBKO)をMEKOと組み合わせて使用して、RTVシーラント中のMEKO濃度を低減することを示唆している。しかし、MIBKOをベースとするRTVは、不快な臭気を有する残留オキシムを排気するために長い時間を要する。また、これらの同じ架橋剤は、シーラントにより放出されるフリーの2−ブタノンオキシムのレベルを低減するように、2−ブタノンをベースとするオキシムシラン架橋系と組み合わせて使用することができる。しかし、かかるシーラントは、長期間の残留臭気で特徴づけられる点においてなお不充分である。そのような不都合は、適用されるシーラント又はコーティングの換気が殆どされない又は不充分であり、シーラントを適用して硬化させた後、残留臭気が数日から数週間にわたって検出される室内の応用において特に関係がある。したがって、現在、RTVシリコーン製品中において使用して、残留臭気が発せられる時間を短くするなど、その臭気特徴を改良することができる架橋剤に対する実質的な必要性が存在する。かかる架橋剤は、RTVシリコーンシーラント中において、単独で使用することができ、又は場合により、2−ブタノンオキシムシラン架橋剤と混合することができる。本発明は、とりわけこの必要性を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,189,576号
【特許文献2】欧州特許660838B1
【特許文献3】欧州特許660838
【発明の概要】
【0010】
本出願人らは、ビス−、トリス−、又はテトラキス−メチルイソプロピルケトキシム(MIPKO)又はメチルプロピルケトキシム(MPKO)官能基を有するシランは、RTV シリコーン 組成物及びポリウレタンなどの他の硬化可能な有機ポリマーにおいて有効な架橋剤であることを見出した。より特定的には、オキシムシランは、ヒドロキシル基がオキシムシラン官能基で置換された、ヒドロキシルエンドキャップオルガノシロキサン及びヒドロキシルエンドキャップ有機ポリマーの存在下で容易に加水分解する。その後の組成物の硬化(すなわち、組成物を水分に曝露すること)により、揮発性であり周囲空気中に分散するフリーの2−ペンタノンオキシム(MIPKO)又は3−メチル−2−ブタノンオキシム(MPKO)が生成される。
【0011】
驚くべきことに、MPKO−及びMIPKO−ベースの架橋剤は、MIBKO−ベースの架橋剤と比較して、悪臭を放つ程度がかなり低い。MPKO−又はMIPKO−ベースポリマー化合物の硬化の間に起こる臭気が比較的短い期間であることは、長く停滞する残留臭気となりうるオキシムの比較的低い蒸気圧(すなわち、MIBKOに匹敵する蒸気圧)に照らして特に予想外である。そのうえ、本出願人らは、驚くべきことに、MIBKOを有する比較的高分子量のオキシム架橋剤と同様に、低分子量のMIPKOもまた、ヒドロキシル末端ポリジチルシロキサンとの反応により形成されるゴムの光学的特性を改良することを見出した。
【0012】
したがって、本発明の一側面は、式I:
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Qは、
【0015】
【化2】

【0016】
であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、そして、
nは、2又は3である)
にしたがった少なくともひとつの末端部位を有するポリマー単位を含む室温加硫性(RTV)ポリマー組成物であって、
前記ポリマー単位が、オルガノシロキサン、ポリエーテルポリオール、及びこれらの誘導体からなる群から選択される、前記組成物である。
【0017】
本発明の別の側面は、一成分RTVシリコーン系を製造するための方法であって、実質的に水分の不存在下で、ヒドロキシ末端キャップオルガノシロキサンをシラン架橋剤と反応させて、オキシム末端キャップシリコーンを生成することを含む、前記方法を提供する。かかる架橋剤は、式III:
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Qは、
【0020】
【化4】

【0021】
であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、そして、
nは、2、3、又は4である)
にしたがった化合物を含む。
【0022】
本出願人らは、そのようなRTVシリコーン組成物は、理想的には、一成分シリコーンシーラント系において使用するのに適していることを見出した。したがって、本発明の別の側面は、少なくともひとつの末端メチルイソプロピルケトキシミノ及び/又はメチルプロピルケトキシミノ部位を有する反応性オルガノシロキサンを含む、一成分RTVシリコーンシーラント系である。
【0023】
本発明の別の側面は、硬化性有機ポリマーを製造するための方法であって、実質的に水分の不存在下で、メルカプタン末端のポリウレタンを、シラン架橋剤と反応させて、オキシムエンドキャップポリウレタンポリマーを生成することを含む、前記方法を提供する。かかる架橋剤は、式V:
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、Qは、
【0026】
【化6】

【0027】
であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、但し、少なくともひとつのRはビニルであり、そして、
nは、2又は3である)
にしたがった化合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、好ましくは、メチルイソプロピルケトキシミノ及びメチルプロピルケトキシミノから独立して選択される複数の末端部位を有するオルガノシロキサンを含む。この化合物のメチルイソプロピルケトキシミノ官能基及びメチルプロピルケトキシミノ官能基 は、周囲空気中において、水、特に湿気などの水蒸気に曝露した場合に容易に加水分解して、フリーのオキシムと、少なくともひとつの末端ヒドロキシル官能基を有する修飾されたオルガノシロキサンとを生成する化合物である。これらの修飾されたオルガノシロキサンは、その後に、ヒドロキシルエンドキャップオルガノシロキサン及びシロキサンと反応して、高度に架橋された生成物を形成する。したがって、メチルイソプロピルケトキシミノ官能基及びメチルプロピルケトキシミノ官能基は、反応性オルガノシロキサンの間の架橋を促進する。
【0029】
一定の好ましい態様にしたがえば、室温加硫性(RTV)シリコーン組成物は、式I:
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、Qは、
【0032】
【化8】

【0033】
であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、そして、
nは、2又は3である)
にしたがった少なくともひとつの末端オキシム部位を有するオルガノシロキサンを含む。
【0034】
本明細書中において使用するように、オルガノシロキサンという用語は、ケイ素原子と酸素原子が交互に並び種々の有機基がケイ素にくっ付いたものからなる構造をベースとするシロキサンポリマーを意味する。
【0035】
本発明において有用なオルガノシロキサン単位は、好ましくは、25℃にて約100〜約500,000cP、より好ましくは25℃にて約2000〜約150,000cPの粘度を有する。一定の態様においては、オルガノシロキサンは、ジオルガノシロキサン単位を含む。
【0036】
一定の非常に好ましい態様においては、オルガノシロキサン単位は、式II(a):
【0037】
【化9】

【0038】
(式中、nは、オルガノシロキサンの粘度が約100〜約350,000cPであるように変化する)
にしたがった構造を有する。R及びR有機基は、独立して、一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化された炭素基から選択される。かかる一価の炭化水素基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ビニル、アリル、シクロヘキシル、トリル、及びイソプロピルである。一価のハロゲン化された炭化水素基の例は、クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル、及びクロロシクロヘキシルである。好ましくは、有機基は、メチル、エチル、フェニル、ビニル、及び3,3,3−トリフルオロプロピルである。
【0039】
オルガノシロキサン単位の末端オキシム部位は、好ましくは、モノ−、ジ−、又はトリス−オキシム官能基を有する置換シランである。好ましいオキシム官能基としては、メチルイソプロピルケトキシミノ、メチルプロピルケトキシミノ、及びこれらの組合せが挙げられる。ケトキシミノ置換基に加えて、モノ−及びジ−オキシムシランは、分枝又は直鎖のC−Cのアルキル又はアルコキシ、C−Cのシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、及びフェノールから選択される他の置換基を含むことができる。好ましい末端オキシム部位としては、これらに限定されないが、トリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、メチルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、エチルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、ビニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、プロピルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、フェニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、ジメチル(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、メチルエチル(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、メチルビニル(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、トリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、メチルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、エチルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、ビニルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、プロピルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、フェニルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、ジメチル(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、メチルエチル(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、及びメチルビニル(メチルプロピルケトキシミノ)シランが挙げられる。
【0040】
本発明に一定の態様は、本明細書中に説明するRTVシリコーン組成物を有する一成分RTVシリコーン系を製造するための方法に関する。一定の好ましい態様においては、本方法は、実質的に水分の不存在下で、ヒドロキシエンドキャップオルガノシロキサンをシラン架橋剤と反応させて、オキシムエンドキャップシロキサンポリマーを生成することを含む。架橋剤は、式III:
【0041】
【化10】

【0042】
(式中、Qは、
【0043】
【化11】

【0044】
であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、そして、
nは、2、3、又は4である)
にしたがった化合物を含む。
【0045】
一定の好ましい態様においては、Rは、メチル、ビニル、及び/又はフェニルである。
また、架橋剤は、環境の水分又はプロセスの水分に対する反応からの部分加水分解凝縮生成物(ダイマー、トリマー、及びオリゴマーなど)を含んでいてもよい。かかるケトキシミノ シランを調製するための方法はよく知られており、米国特許第4,033,991号、米国特許第4,400,527号、及び米国特許第4,918,209号に記載されるものなどの、当技術分野において既知の任意の手段により調製することができる。
【0046】
一定の好ましい態様において、架橋剤は、式IIIにしたがった一又はそれより多い化合物から本質的になる。本発明の一定の他の態様においては、架橋剤として、メチルイソプロピルケトキシミノシラン及び/又はメチルプロピルケトキシミノシランと、アルキル又はアルケニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、アルキル又はアルケニルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、アルキル又はアルケニルジ(メトキシ)(オキシミノ)シラン、あるいは、アルキル又はアルケニルジ−(ケトキシミノ)メトキシ又はエトキシシランなどの、当技術分野において知られているシラン架橋剤から選択することができる、少量の追加の架橋性化合物との混合物を使用する。かかる架橋剤の例は、式R−Si(OR’)(ON=CR”4−p(式中、Rは、独立して、メチル、エチル、ビニル、又はフェニルであり、aは0〜2であり、R’及びR”は、炭素原子1〜8個の任意の飽和直鎖又は分枝アルキル基であることができる)のシランである。使用することができる他の任意のシラン架橋剤の更なる例としては、これらに限定されないが、メチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルジ−(メチルエチルケトキシミノ)メトキシシラン、メチル(メチルエチルケトキシミノ)ジメトキシシラン、ビニルジ−(メチルエチルケトキシミノ)メトキシシラン、ビニル(メチルエチルケトキシミノ)ジメトキシシラン、ビニルジ(メチルメチルケトキシミノ)メトキシシラン、ビニルジ(メトキ)メチルメチルケトキシミノシラン、ビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、テトラキス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、及びテトラキス−(メチルアミルケトキシミノ)シランが挙げられる。また、ジメチルジ−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルビニルジ−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルビニルジ−(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、及びメチルビニルジ−(メチルアミルケトキシミノ)シランなどの、二官能性ケトキシミノシランを使用してもよい。
【0047】
これらの追加架橋剤を全体の架橋剤レベルの約50パーセントより低いレベルで使用することが望ましい。追加の架橋剤をより高い濃度で用いると、一般的には、硬化組成物の残留臭気の保持時間が増加する、及び/又は、得られるシーラント又はコーティングの透明性が低減する。例えば、メチルイソプロピルケトキシミノをベースとする架橋剤を、メチルエチルケトキシムを含有する少量のシラン架橋剤と混合すると、硬化シリコーンゴムにおいて透明性が低減する傾向があり、一方、メチルイソプロピルケトキシミノをベースとする架橋剤を、メチルイソブチルケトキシミンを含有する少量のシラン架橋剤と混合すると、硬化シリコーンゴムの残留臭気が増加する結果となる。
【0048】
本方法に含まれる好ましいヒドロキシエンドキャップオルガノシロキサンは、25℃で約100〜約500,000cP、好ましくは25℃で約2000〜約150,000cPの粘度を有するヒドロキシルエンドブロックジオルガノシロキサンである。これらのジオルガノシロキサンは、好ましくは、式II(b):
【0049】
【化12】

【0050】
(式中、n、R、及びRは、式III(a)において定義したとおりである)
にしたがった構造を有する。
また、本発明は、少なくともひとつの末端メチルイソプロピルケトキシミノ及び/又はメチルプロピルケトキシミノ部位を有する反応性オルガノシロキサンを含む一成分RTVシリコーンシーラント系を提供する。
【0051】
本明細書中で使用するように、反応性オルガノシロキサンは、他のオルガノシロキサンと架橋する傾向、又は架橋剤と反応する傾向を有するオルガノシロキサンを意味する。
一定の態様において、シーラント系は、反応性オルガノシロキサン、ヒドロキシルエンドキャップオルガノシロキサン、及び、ビス−、トリス−、又はテトラキス−メチルイソプロピルケトキシミノ及び/又はメチルプロピルケトキシミノ官能基を有するシラン架橋剤のブレンドを含有する。また、このブレンドは、非反応性シリコーンポリマー、可塑剤、充填剤、触媒、及び接着促進剤から選択される一又はそれより多い添加剤を含んでいてもよい。
【0052】
シーラントの押出特性を改良するため、また、硬化組成物の弾性率を改質するために、可塑剤を使用することができる。一般的には、架橋剤を添加する前に可塑剤を反応性オルガノシロキサンに添加する。
【0053】
よく知られている可塑剤としては、トリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン、好ましくは25℃で10〜100,000cPの粘度を有するもの、ジオルガノポリシロキサン、好ましくは25℃で100〜1000cPの粘度を有するもの、及び有機可塑剤、好ましくは1〜1000cPの粘度を有するものが挙げられる。相溶性のシクロパラフィン油、パラフィン油、及び、硬化シーラントからにじんだり、有意に蒸発したりしない他の長鎖非反応性有機油エクステンダーなどの、当技術分野において知られているような他の有機可塑剤も同様に使用することができる。これらの油の使用は、シーラントのより低い伸びやより増加した硬縮など、シーラントの性能にやや長期間の効果を与え得る。
【0054】
好ましくは、可塑剤は、反応性オルガノシロキサンの重量に基づいて100重量部あたり、0〜80重量部、より好ましくは30〜50重量部の濃度で存在する。
一定の態様においては、シーラント系は充填剤も含有する。充填剤は、強化充填剤、又は非強化充填剤、あるいはこれらの混合物であることができる。強化充填剤の例は、ヒュームドシリカ(fumed silica)及び沈殿シリカ(precipitated silica)などのシリカ充填剤である。ヒュームドシリカは、そのままで、又は疎水性表面を提供するために処理して、使用することができる。処理済み充填剤の例は、ポリジメチルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はヘキサメチルジシラザンである。充填剤の量及び種類は、目的組成物について所望な特性により変化するが、好ましくは、90〜300m/グラムの表面積を有するヒュームドシリカを使用する。より好ましくは、130〜200m/グラムの表面積を有するヒュームドシリカを使用する。使用する強化充填剤の量は、全体の組成物の重量基準で0〜20パーセントであり、2〜8重量パーセント使用することが好ましい。強化ヒュームドシリカを使用すると、硬化組成物に高い引張強度が付与されると同時に、硬化組成物にチクソトロピック特徴が提供される。また、非強化又は半強化充填剤も使用することができる。かかる充填剤の例は、粉砕又は沈殿炭酸カルシウム(処理済み又は未処理)、及び粉砕石英などの、2〜90m/グラムの表面積をもつ充填剤である。当技術分野において知られている他の半強化充填剤又は増量(extending)充填剤を使用してもよい。これらは、限定されないが、シリカエアロゲル、珪藻土、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、珪酸ジルコニウム、か焼クレー(calcined clay)、酸化マグネシウム、タルク、珪灰石、アルミナ水和物、及びカーボンブラックである。
【0055】
一定の好ましい態様において、本発明の組成物は、接着促進剤を含有してもよい。接着促進剤の選択は、支持体への接着の程度に有意に影響を与えることから、所望の応用に伴い変化する。また、接着促進剤の選択は、組成物の硬化速度と弾性率にも影響を与える。典型的には、接着促進剤は、当技術分野において知られている多くの有機官能性シランから選択される。かかるシランは、典型的には、官能基とケイ素原子との間にプロピレン基(架橋性基(bridging group)として)を有し、オルガノプロピルトリ又はジ−アルコキシシランの形態をとる。一部の場合において、有機官能性シランは、官能基とケイ素原子との間にメチレン架橋性基を含有してもよく、オルガノメチルトリ又はジ−アルコキシシランの形態をとる。官能基は、典型的には、アミノ、エポキシ、グリシドキシ、サルファ、ウレイド、メタアクリルオキシ、又はアクリルオキシ基である。かからシランの例としては、これらに限定されないが、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びこれらのオルガノメチルジアルコキシ変体(例えば、アミノプロピルメチルジエトキシシランなど)が挙げられる。本発明において好ましい接着促進剤としては、アミノプロピルトリアルコキシシラン(例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン)及びトリアルコキシシリルプロピルジエチレントリアミンが挙げられる。特許請求の範囲にかかる発明における接着促進剤の有用な濃度は、全体の組成物の約0.001〜約2.5重量パーセントである。より好ましくは、全体の組成物の0.5〜1.0重量パーセントを使用する。また、通常は、加水分解に対する改良された耐性又は改良された接着性などの、改良された特性を得るために、これまでに述べた接着促進剤のふたつ又はそれより多い混合物を使用することができる。
【0056】
また、シーラント系は、ヒドロキシルエンドキャップオルガノシロキサンとシラン架橋剤の間の反応を促進するために触媒を含むことができる。種々の触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズマレエート、ジアルキルスズヘキソエート、及びジオクチルスズジラウレートなどのオルガノスズカルボキシレートを使用することができる。オクタン酸鉄、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉛、ナフテン酸コバルトなどの他の化合物も同様に使用することができる。また、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどのチタン化合物も使用することができる。ジブチルスズジラウレートは好ましい触媒である。触媒の有用なレベルは、全体の組成物の0.001〜1.0パーセントであることができる。好ましいレベルは、全体の組成物の0.02〜0.15重量パーセントである。
【0057】
本発明の組成物は、特に硬化ゴムの透明性が重要な場合にコーティング及びシーリング材料を提供するなどの、種々の応用に特に役立つことができる。更に、これらは、フリーの2−ブタノンオキシムレベルが1重量パーセント未満に限定される他の非常に必要とされる応用に役立つ。
【0058】
本発明の一定の好ましい態様は、メチルイソプロピルケトキシミノ及びメチルプロピルケトキシミノ官能基を有する有機ポリマーを含む。好ましくは、有機ポリマーは、メルカプタン末端ポリウレタンなどのポリエーテルポリオール誘導体である。オキシムシラン末端ポリウレタンは、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールをジイソシアネートと反応させてポリウレタンを形成することにより合成することができる。このポリウレタンは、その後に、メルカプトアルコール又はアリルアルコール/ジメルカプタンアルキルの組合せとの反応により、メルカプタン末端ポリウレタンを形成することができる。メルカプタン末端ポリウレタンを、少なくともひとつのビニル基を有するMPKO又はMIPKOシラン(例えば、メチルビニルジ(MPKO)シラン)などの架橋剤と反応させると、MPKO又はMIPKO末端ポリウレタンがもたらされる。ここで、架橋剤のビニル基はポリウレタン上のメルカプト基と反応して、オキシミノエンドキャップポリウレタンを形成する。
【0059】
オキシミノエンドキャップポリウレタンを水分に曝露すると、これまでに説明したオルガノシロキサンと同様なやり方でポリウレタン単位の架橋が促進される。
本発明のMPKOベースのシラン架橋剤は、参照により本明細書中に援用する米国特許第4,400,527号に記載されるプロセスを用いて調製することができる。驚くべきことに、MPKOシランは、このプロセスにしたがって液相を形成するC−5オキシム異性体のみであり、したがって、このプロセスにより生成することができるのはC−5オキシム異性体だけである。これゆえに、MPKOシランは、液相において、式R4−nSiXのSi−ハライドを式R’R”C=NOHのオキシム化合物と、少なくとも2n:1のオキシム化合物対Si−ハライドのモル比で反応させて、式(R’R”C=NO)SiR4−nの生成物と式R’R”C=NOH・HXのオキシムハイドロハライド副生物を形成し、本質的に生成物からなる液体有機相を本質的に副生物からなる相から分離してその生成物を副生物オキシムから分離することにより調製することができる。式中、Rは、炭素数1−6のアルキル、炭素数2−6のアルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、又はこれらのハロゲンで置換された形態であり、Xは、Cl、Br、又はIであり、nは1〜4であり、R’はメチルであり、そしてR”はn−プロピルである。この方法は、場合により、本質的に生成物からなる液体有機相をアンモニアと反応させてオキシムハイドロハライド不純物を前記生成物と固体塩に転化し、そして固体塩を残りの液体から除去する工程を含んでもよい。
【実施例】
【0060】
以下に示す実施例は、本発明とその有用性を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例におけるすべての部分は重量基準である。
実施例1
この実施例の組成物1〜7は、加水分解可能な基としてメチルイソプロピルケトキシミン又はメチルイソプロピルケトキシミン部位を含有するオキシムシラン架橋剤の改良された光学的特性を実証している。
組成物1:
100mlの容器に、50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2重量部のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。この組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物1(A):
100mlの容器に、50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2重量部のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。この組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
組成物2:
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2.5重量部のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物2(A):
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2.5重量部のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
組成物3:
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、3.0重量部のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物3(A):
50,000cPの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、3.0重量部のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
組成物4:
20,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、4.0重量部のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物4(A):
20,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、4.0重量部のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
組成物5:
20,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、3.0重量部のビニルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物5(A):
20,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、3.0重量部のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
組成物6:
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2.5重量部のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン及び0.5重量部のメチルビニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物6(A):
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2.5重量部のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び0.5重量部のメチルビニルビス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
組成物7:
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2.5重量部のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン及び0.5重量部のテトラキス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は透明なシリコーンゴムへと硬化する。
比較組成物7(A):
50,000センチストークスの粘度を有する50重量部のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(HTPDMS)を添加した。次いで、2.5重量部のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び0.5重量部のテトラキス−(メチルエチルケトキシミノ)シランを添加した。この化合物を実験室用のHauschild回転速度ミキサーにおいて18秒混合した。上述の組成物は曇ったシリコーンゴムへと硬化する。
実施例2
以下の組成物は、メチル−イソプロピルケトキシム部位又はメチルプロピルケトキシム部位を含有するオキシムシラン架橋剤を用いて配合されたシーラントが、硬化時にいかに少ない残留臭気を有するか、また、いかに低いフリーのMEKO(メチルエチルケトキシム)含量でシーラントを生成するかを実証している。すべての場合において、比較組成物は、メチルプロピルケトキシム又はメチルイソプロピルケトキシムのいずれかを含有するシランを選択することが、残留臭気の発生に関して、メチルイソブチルケトキシムを含有するものよりいかに優れているか、また、シラーントに1%より低いフリーのMEKOレベルを提供するかを実証している。各々の比較のセットにおいては、臭気レベルを客観的に比較するために、同じモル当量の架橋剤を配合物に添加した。フリーのMEKO(2−ブタノンオキシム)含量は、無水条件(窒素ガス)下でシーラントサンプルのヘプタン抽出を実施して、ガスクロマトグラフィーにより(HoneywellフリーMEKO分析法により説明されるように、適切な応答因子を用いて)含量レベルを定量的に決定することにより測定した。
組成物8:
25℃にて50,000cPの粘度を有する一般に商業的に入手可能なシラノール末端ポリジメチルシロキサン(65.15)重量部を、25℃にて1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドキャップジオルガノポリシロキサン(20重量部)とHauschildミキサー中において18秒完全に混合した。この混合物に、架橋剤として5.7部(0.0166モル)のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。このシランを同じミキサー中で18秒混合した。次に、8.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を混合物に添加し、次いで同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.15部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、初めの48時間で中程度のレベルの残留臭気で硬化し、96時間後には臭気がなくなった(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して0%であった(すなわち、検出不可)。
組成物8A:
架橋剤としてメチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シランをメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランで置換したことを除いては、組成物8と同じ組成物を調製した。得られるゴムは、初めの48時間で中程度のレベルの残留臭気で硬化し、96時間後には臭気がなくなった(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して0%であった(すなわち、検出不可)。
比較組成物8(B):
組成物8におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(64.45)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として6.4重量部(0.0166モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランを添加した。このシランを同じミキサー中で18秒混合した。次に、8.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を同じやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.15重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、数日続く高いレベルの残留臭気で硬化した(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して0%であった(すなわち、検出不可)。
組成物9:
25℃にて50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(65.4)重量部を、25℃にて1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これら成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び3.5重量部(0.01019モル)のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次に、8.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を混合物に添加し、次いで同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、48時間未満続く低いレベルの残留臭気で硬化した(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物9(A):
架橋剤としてメチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シランをメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランで置換したことを除いては、組成物9と同じ組成物を調製した。得られるゴムは、48時間未満続く低いレベルの残留臭気で硬化した(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物9(B):
組成物9におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(65.97)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び3.93重量部(0.01019モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次に、8.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を同じやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、数日続く高いレベルの残留臭気で硬化した(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物10:
25℃にて50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(39.15)重量部を、25℃にて1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(15重量部)と完全に混合した。これら成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として5.7重量部(0.0166モル)のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランを添加した。このシランを同じミキサー中で18秒混合した。次に、3ミクロン(平均粒子径)のステアリン酸処理した炭酸カルシウムフィラー35重量部を添加し、他の添加物と同様に混合物中に混合した。次に4.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.15重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で非常に低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して0%であった(すなわち、検出不可)。
比較組成物10(A):
架橋剤としてメチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シランをメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランで置換したことを除いては、組成物10と同じ組成物を調製した。得られるゴムは、はじめの48時間で非常に低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して0%であった(すなわち、検出不可)。
比較組成物10(B):
組成物10におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(38.45)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(15重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として6.4重量部(0.0166モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランを添加した。このシランを同じミキサー中で18秒混合した。次に、3ミクロン(平均粒子径)のステアリン酸処理した炭酸カルシウムフィラー35重量部を添加し、他の添加物と同様に混合物中に混合した。次に4.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.15重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、数日続く高いレベルの残留臭気で硬化した(表Iを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して0%であった(すなわち、検出不可)。
組成物11:
25℃にて50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(39.4)重量部を、25℃にて1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(15重量部)と完全に混合した。これら成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び3.5重量部(0.01019モル)のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次に、3ミクロン(平均粒子径)のステアリン酸処理した炭酸カルシウムフィラー35重量部を添加し、他の添加物と同様に混合物中に混合した。次に4.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.15重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で非常に低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物11(A):
架橋剤としてメチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シランをメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランで置換したことを除いては、組成物11と同じ組成物を調製した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物11(B):
組成物11におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(38.78)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(15重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び3.92重量部(0.01019モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次に、3ミクロン(平均粒子径)のステアリン酸処理した炭酸カルシウムフィラー35重量部を添加し、他の添加物と同様に混合物中に混合した。次に4.0重量部の未処理のヒュームドシリカ(150m/gm表面積)を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.15重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、数日続く高いレベルの残留臭気で硬化した(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物12:
25℃にて50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.4)重量部を、25℃にて1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これら成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び2.5重量部(0.00728モル)のメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で非常に低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物12(A):
架橋剤としてメチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シランをメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランで置換したことを除いては、組成物12と同じ組成物を調製した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物12(B):
組成物12におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.1)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び2.8重量部(0.00726モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、数日続く初期に高いレベルの残留臭気で硬化した(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物12(C):
組成物12におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.4)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として1.0重量部(0.00332モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、1.0重量部(0.000319モル)のビニルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン、及び2.5重量部(0.00648モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、数日続く初期に高いレベルの残留臭気で硬化した(表IIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物13:
組成物12と同様に、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.1)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として2.0重量部(0.00664モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び2.5重量部(0.00629モル)のビニルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表IIIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物13(A):
架橋剤としてビニルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シランをメチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランで置換したことを除いては、組成物13と同じ組成物を調製した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後にはほぼ臭気がなくなった(表IIIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
比較組成物13(B):
組成物13におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.1)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として2.0重量部(0.00664モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び2.8重量部(0.00726モル)のメチルトリス−(メチルイソブチルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後に臭気がなくなった(表IIIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物14:
組成物13におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.4)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として3.5重量部(0.01161モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び1.0重量部(0.00281モル)のビニルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後に臭気がなくなった(表IIIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物15:
組成物14におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.4)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として4.0重量部(0.01327モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び0.50重量部(0.00141モル)のビニルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後に臭気がなくなった(表IIIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
組成物16:
組成物15におけるように、25℃で50,000cPの粘度を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン(66.9)重量部を、25℃で1000cPの粘度を有するトリオルガノシリルエンドブロックジオルガノポリシロキサン(20重量部)と完全に混合した。これらの成分をHauschildミキサー中で18秒混合した。この混合物に、架橋剤として3.0重量部(0.00995モル)のメチルトリス−(メチルエチルケトキシミノ)シラン及び1.0重量部(0.00370モル)のメチルビニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シランの組合せを添加した。このシランの組合せを同じミキサー中で18秒混合した。次にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ(150m/gm表面積)8.0重量部を混合物に添加し、同様なやり方で混合した。この混合物に、1.0重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、同様に混合した。最後にジブチルスズジラウレートを添加し(0.10重量部)、Hauschildミキサー中で18秒混合した。得られるゴムは、はじめの48時間で低いレベルの残留臭気で硬化し、72時間後に臭気がなくなった(表IIIを参照)。未硬化シーラントのヘプタン抽出後に、フリーのMEKO含量をガスクロマトグラフィーにより測定して1%未満であった。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
本発明のいくつかの特定の態様を説明してきたが、具体的に説明していない種々の変更、修飾、及び改良が可能であり、これらは本発明の範囲内であることは、本明細書中に含まれる教示に照らして、当業者には明らかであろう。そのような変更、修飾、及び改良は、本開示により自明なものとされるように、本明細書中に明白には示していないがこの説明の一部であると意図しており、また、本発明の精神及び範囲に含まれると意図している。したがって、前述の説明は、例としてのみのものであり、限定するものではない。本発明は、以下の特許請求の範囲とその均等物に定義されるとおりにのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともひとつの末端メチルイソプロピルケトキシミノ又はメチルプロピルケトキシミノ部位を有するオルガノシロキサン単位又はポリウレタン単位を含む、室温加硫性(RTV)ポリマー組成物。
【請求項2】
式I:
【化1】

(式中、Qは、
【化2】

であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、そして、
nは、2又は3である)
にしたがった少なくともひとつの末端部位を有するポリマー単位を含む室温加硫性(RTV)ポリマー組成物であって、
前記ポリマー単位が、オルガノシロキサン及びメルカプタン末端ポリウレタンからなる群から選択される、前記組成物。
【請求項3】
前記ポリマー単位が、オルガノシロキサンである、請求項2記載のRTVポリマー組成物。
【請求項4】
n=2であり、Rがメチル、エチル、ビニル、又はフェニルである、請求項3記載のRTVポリマー組成物。
【請求項5】
Qが
【化3】

である、請求項4記載のRTVポリマー組成物。
【請求項6】
Qが
【化4】

である、請求項4記載のRTVポリマー組成物。
【請求項7】
前記オルガノシロキサン単位が、25℃で約100〜約500,000センチポアズの粘度を有し、ジオルガノシロキサン単位を含む、請求項4記載のRTVポリマー組成物。
【請求項8】
前記オルガノシロキサン単位が、式II(a):
【化5】

(式中、R及びRは、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ビニル、アリル、シクロへキシル、トリル、イソプロピル、クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル、及びクロロシクロへキシルからなる群から選択され、そして、
nは、該オルガノシロキサンポリマーの粘度が100〜350,000センチポアズであるような数である)
にしたがった構造を有する、請求項7記載のRTVポリマー組成物。
【請求項9】
一成分RTVシリコーン系を製造するための方法であって:
実質的に水分の不存在下で、ヒドロキシエンドキャップオルガノシロキサンを式III:
【化6】

(式中、Qは、
【化7】

であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、そして、
nは、2、3、又は4である)
にしたがった化合物を含むシラン架橋剤と反応させて、オキシム末端キャップシロキサンポリマーを生成することを含む、前記方法。
【請求項10】
nが、2又は3であり、Rが独立して、メチル、エチル、ビニル、又はフェニルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
Qが、
【化8】

である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
Qが、
【化9】

である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記シランが、メチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、ジメチルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、メチルビニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、フェニルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、エチルトリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、テトラキス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)シラン、メチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、ジメチルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、メチルビニルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、フェニルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、エチルトリス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、テトラキス−(メチルプロピルケトキシミノ)シラン、及びこれらの部分加水分解凝縮物からなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記シランが、メチルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、メチルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、ビニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、ビニルビス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、トリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、トリス−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、ジメチル−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、ジメチル−(メチルイソプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、メチルビニル(メチルイソプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、メチルビニル(メチルイソプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、メチルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、メチルビス−(メチルプロピル ケトキシミノ)(エトキシ)シラン、ビニルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、ビニルビス−(メチルプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、トリス−(メチルプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、トリス−(メチルプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、ジメチル−(メチルプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、ジメチル−(メチルプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シラン、メチルビニル(メチルプロピルケトキシミノ)(メトキシ)シラン、及びメチルビニル(メチルプロピルケトキシミノ)(エトキシ)シランからなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記ヒドロキシエンドキャップオルガノシロキサンが、25℃にて約100〜約500,000センチポアズの粘度を有し、ジオルガノシロキサンポリマー単位を有する、請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記ヒドロキシエンドキャップオルガノシロキサンが、式II(b):
【化10】

(式中、R及びRは、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ビニル、アリル、シクロヘキシル、トリル、イソプロピル、クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル、及びクロロシクロヘキシルから選択され、そして、
nは、該ヒドロキシエンドキャップオルガノシロキサンポリマーの粘度が約100〜約350,000センチポアズであるような数である)
にしたがった構造を有する、請求項9記載の方法。
【請求項17】
少なくともひとつの末端メチルイソプロピルケトキシミノ及び/又はメチルプロピルケトキシミノ部位を有する反応性オルガノシロキサンを含む、一成分RTVシリコーンシーラント系。
【請求項18】
前記反応性オルガノシロキサンが、ブレンドの一部であり、前記ブレンドが更に、ヒドロキシルエンドキャップオルガノシロキサン及びビス−、トリス−、又はテトラキス−オキシミノ官能性を有するシランを含み、前記オキシミノ官能性が、メチルイソプロピルケトキシミノ官能基及び/又はメチルプロピルケトキシミノ官能基から誘導される、請求項17記載の一成分RTVシリコーンシーラント系。
【請求項19】
前記ブレンドが更に、非反応性シリコーンポリマー、可塑剤、充填材、触媒、及び接着促進剤から選択される一又はそれより多い添加剤を含む、請求項17記載の一成分RTVシリコーンシーラント系。
【請求項20】
前記系が更に、メチルエチルケトキシミノ末端部位を有するオルガノシロキサンを含み、但し、前記シーラント系が約1重量パーセント以下のフリーの2−ブタノンオキシムを含む、請求項17記載の一成分RTVシリコーンシーラント系。
【請求項21】
前記ポリマー単位がメルカプタン末端のポリウレタンであり、前記Rの少なくともひとつがアルキルである、請求項2記載のRTVポリマー組成物。
【請求項22】
硬化性有機ポリマーを製造するための方法であって、実質的に水分の不存在下で、メルカプタン末端のポリウレタンを、式VI:
【化11】

(式中、Qは、
【化12】

であり、
Rは、独立して、分枝又は直鎖のC−Cアルキル又はアルコキシ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール、又はフェニルから選択され、但し、少なくともひとつのRはビニルであり、そして、
nは、1、2、又は3である)
にしたがった化合物を含むシラン架橋剤と反応させて、オキシムエンドキャップポリウレタンポリマーを生成することを含む、前記方法。
【請求項23】
シランオキシメートを製造するための方法であって:
液体相において、式R4−nSiXのSi−ハロゲン化物を、式R’R”C=NOHのオキシム化合物と、少なくとも2n:1のオキシム化合物対Si−ハロゲン化物のモル比で反応させて、式(R’R”C=NO)SiR4−nの生成物と式R’R”C=NOH・HXのオキシムハイドロハライド副生物を形成し;そして、
本質的に該生成物からなる液体有機相を本質的に該副生物からなる相から分離することにより、該生成物を該副生物オキシムから分離することを含み、
Rは、炭素数1−6のアルキル、炭素数2−6アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、又はこれらのハロゲン置換形態であり、
Xは、Cl、Br、又はIであり、
nは、1〜4であり、
R’は、メチルであり、そして、
R”は、n−プロピルである、前記方法。
【請求項24】
本質的に該生成物からなる液体有機相をアンモニアと反応させて、オキシムヒドロハライド不純物を前記生成物及び固体塩に転化し;そして、
該固体塩を残りの液体から除去する
工程を更に含む、請求項23記載の方法。

【公表番号】特表2011−508805(P2011−508805A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540620(P2010−540620)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/026400
【国際公開番号】WO2009/085032
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】