説明

家電機器制御ネットワークシステム

本発明では、電文の送受信に基づく家電機器間の連動動作を制御するために必要な情報を設定することとする。その際、その情報の1つとしてセキュア通信に関する、ユーザが変更可能なフラグを確保する。他の家電機器に電文を送信する際は、このフラグの内容に従って、セキュア通信を行う。さらに、上記設定の有効/無効を表すフラグを別途用意することで、上記連動動作について容易に設定/解除することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ネットワークに接続された家電機器について制御を行う家電機器制御ネットワークシステムに関し、特に、家電機器制御ネットワークシステムにおける家電機器の制御方法に関する。
【背景技術】
従来の家電機器制御ネットワークシステムとしては、例えば、特開2001−86572号公報(従来例1)に記載された家電機器制御ネットワークシステムがある。図1は、従来例1に記載された従来の家電機器制御ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。図1の家電機器制御ネットワークシステムは、電灯線を流用したネットワーク1100を介して接続されているコントローラ1000とコントローラ1000の制御のもとで他の家電機器と連携動作(例えば、ある家電機器が他の家電機器の始動/停止を制御する。)を行う家電機器3000を備える。コントローラ1000は、通信を制御する通信管理手段1010と、送信条件情報管理手段1020と、動作状態データ取得手段1030とを備える。また、家電機器3000は、当該家電機器3000における通信を管理する通信管理手段3010と、送信条件保持手段3020と、動作状態データ送信管理手段3030と、送信条件情報管理手段3040と、動作状態データ管理手段3050とを備える。これにより、家電機器3000は、自機器のデータを、送信条件情報管理手段3040において管理されている情報と送信情報保持手段3020において保持されている情報とに基づいて、コントローラ1000を含む他の家電機器に送信することで、ネットワーク内に存在する他の家電機器との通信を可能するものである。
しかしながら、上記従来例1の家電機器制御ネットワークシステムは、今日ネットワークのセキュリティー問題が深刻化している中、通信をセキュアに行うための設定ができないという問題がある。また、連携動作を制御するための条件設定を一度行ってしまうと、その条件が成立すれば直ちに電文を送信してしまい、不要な電文を送付してしまうことも生じる。さらに、上記設定を変更する際の操作が複雑であり、操作性が悪いという問題もある。
【発明の開示】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、家電機器間の通信をセキュアに行うことが可能な家電機器制御ネットワークシステムを実現することを目的とする。さらに、本発明は、ネットワーク上の他の家電機器との不要な連動動作を回避させることが可能な家電機器制御ネットワークシステムを実現することを第2の目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る家電機器制御ネットワークシステムは、ネットワークを介して接続される第1家電機器と第2家電機器とを備える家電機器制御ネットワークシステムであって、前記第1家電機器は、前記第2家電機器との連動に関する事象を検出する事象検出手段と、検出された前記事象に関する電文を送信すべきか否かを予め設定された第1データに基づいて判定する電文送信判定手段と、前記電文についてセキュア処理を施すべきか否かを予め設定された第2データに基づいて判定する処理実施判定手段と、電文を送信すべきであると判定され、かつ前記セキュア処理を施すべきであると判定された場合に、前記電文にセキュア処理を施し、当該セキュア処理が施された電文を前記第2家電機器に送信する電文送信手段とを備え、前記第2家電機器は、電文を受信する電文受信手段と、受信した前記電文に施されているセキュア処理に応じた解読を行い、その解読した内容に基づいて予め規定されている処理を実行する処理手段とを備えることを特徴とする。
これにより、家電機器間の通信をセキュアに行うことが可能な家電機器制御ネットワークシステムを実現することが可能となる。
さらに、上記目的を達成するために、本発明に係る家電機器制御ネットワークシステムは、さらに、当該家電機器制御ネットワークシステムを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、ユーザから指示を受け付ける指示受け付け手段と、受け付けた前記指示に基づいて、予め設定された前記第1データおよび前記第2データを変更するデータ変更手段とを備えることを特徴とする。
これにより、ユーザからの指示を受け付け、その指示に基づいて予め設定されているネットワーク上の他の家電機器を制御するための設定を変更するので、ネットワーク上の他の家電機器との不要な連動動作を回避させることが可能な家電機器制御ネットワークシステムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来の家電機器制御ネットワークシステムの機能構成を示すブロック図である。
図2は、実施の形態1における家電機器制御ネットワークシステムの構成概要を示す図である。
図3は、実施の形態1におけるコントローラの機能構成を示すブロック図である。
図4は、実施の形態1における人体感知装置の機能構成を示すブロック図である。
図5は、実施の形態1におけるアクション定義情報の構成例を示す図である。
図6は、実施の形態1におけるアクション条件のデータ構造の一例を示す図である。
図7は、実施の形態1における連動起動条件の具体例を示す図である。
図8は、実施の形態1におけるアクション電文有効無効フラグの構成を示す図である。
図9は、実施の形態1におけるアクション電文構成情報の構成例を示す図である。
図10は、実施の形態1におけるアクション電文セキュア設定のデータ構造の一例を示す図である。
図11は、実施の形態1における家電機器制御ネットワークシステムの動作を示す通信シーケンス図である。
図12は、上記図11におけるアクション定義情報の具体例を示す図である。
図13は、実施の形態1において使用する電文の具体例を示す図である。
図14は、実施の形態1におけるアクション判定処理部の処理の流れを示すフローチャートである。
図15は、実施の形態2における家電機器制御ネットワークシステムの構成概要を示す図である。
図16は、実施の形態2におけるエアコンの機能構成を示すブロック図である。
図17は、実施の形態2におけるトリガ定義情報の構成例を示す図である。
図18は、実施の形態2におけるトリガ処理情報のデータ構造の一例を示す図である。
図19は、実施の形態2におけるトリガ電文有効無効フラグの構成を示す図である。
図20は、実施の形態2におけるトリガ電文構成情報の構成例を示す図である。
図21は、実施の形態2におけるトリガ電文セキュア設定のデータ構造の一例を示す図である。
図22は、実施の形態2における家電機器制御ネットワークシステムの動作を示す通信シーケンス図である。
図23は、上記図22におけるトリガ定義情報の具体例を示す図である。
図24は、実施の形態2におけるトリガ判定処理部の処理の流れを示すフローチャートである。
図25は、実施の形態3における家電機器制御ネットワークシステムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図2は、本発明に係る実施の形態1における家電機器制御ネットワークシステムの構成概要を示す図である。図2に示すように、家電機器制御ネットワークシステム(以下「本システム」という。)10は、アクション連動サービスを実現するシステムであり、有線(例えば、電灯線)又は無線のネットワーク40、本システム10全体を制御するコントローラ50、人体感知装置100および防犯装置200を備える。ここで、「アクション連動サービス」とは、任意の家電機器において予め設定した条件を満たす事象が発生した場合は、他の家電機器に対して電文を送信するサービスをいう。
図3は、本システム10におけるコントローラ50の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、コントローラ50は、通信管理部51、定義情報管理部52およびユーザインタフェース部53を備える。
通信管理部51は、CPUやROM、RAM等を備え、コントローラ50全体を制御すると共に、ネットワーク40を介して行われる人体感知装置100や防犯装置200との通信を制御する。
定義情報管理部52は、ユーザインタフェース部53を介して受け付けたユーザからの指示に基づいて、アクション定義情報140の特定や変更等を行い、特定したアクション定義情報140を通信管理部51に送信する。
ユーザインタフェース部53は、各種の入力ボタンや液晶パネル等を備え、ユーザからの指示を受け付け、その内容を通信管理部51に送信する。さらに、ユーザインタフェース部53は、必要に応じて、所定(例えば、アクション定義情報140や機器プロパティ151)の情報を液晶パネルに表示し、ユーザに提供する。
図4は、本システム10における人体感知装置100の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、人体感知装置100は、電文送信処理部110、アクション判定処理部120、定義情報記憶部130、機器プロパティ記憶部150および感知センサ160を備える。
電文送信処理部110は、アクション判定処理部120の指示により、指定された電文をネットワーク40に送出する。例えば、電文送信処理部110は、ネットワーク40に対して同報通信用として電文を送信する。
アクション判定処理部120は、人体感知装置100における通信を制御する部署であり、例えばROMやRAM等を有するCPUを備える。さらに、アクション判定処理部120は、所定の事象(例えば、感知センサー160が作動)が発生したとき又は定期的(例えば5秒毎)に機器プロパティ記憶部150に記憶されている感知センサ160の監視結果や機器の状態等を記録した機器プロパティ151を調べ、定義情報記憶部130に記憶されているアクション定義情報140に定義されている条件を満たす事象が発生した場合に、所定の処理(例えば、防犯装置200においてブザーを鳴らす処理。)を特定の家電機器にさせるための電文を生成し、電文送信処理部110に送信する。
定義情報記憶部130は、例えばRAMであり、上記アクション判定処理部120が所定の処理を実行すべきか否かを判定するために用いるアクション定義情報140を記憶する。なお、定義情報記憶部130は、人体感知装置100の電源をOFFにしてもアクション電文情報140が消失してしまうことがないように、不揮発性RAMを用いることとしてもよい。
機器プロパティ記憶部150は、定期的(例えば1秒毎)に感知センサ160から送信される機器プロパティ(例えば、感知センサ160の場合は「監視結果」)を記憶する。ここで、機器プロパティ151は、家電機器の動作内容やその状態など、家電機器に関する情報をいう。
感知センサ160は、例えば赤外線センサであり、定期的(例えば1秒毎)に人体の温度の変化等を監視し、その結果を機器プロパティ記憶部140に送信する。
図5は、アクション定義情報140の構成例を示す図である。図5に示すように、アクション定義情報140は、アクション条件141、アクション電文有効無効フラグ142およびアクション電文構成情報143から構成されている。なお、アクション電文構成情報143は、上記図4に示すように、アクション電文セキュア設定144およびアクション電文情報145から構成されている。また、アクション定義情報140には、クラスグループコードとクラスコードとが割り当てられている。さらに、アクション定義情報140毎にインスタンスコードが割り当てられている。また、プロパティコード(PC)140aは、情報毎(例えば、アクション条件141などの情報)に割り当てられる識別子である。
アクション条件141は、アクション電文情報145により示される電文を送信する条件を表す情報である。さらに、アクション条件141には、複数の送信条件を設定することができることとする。
図6は、アクション条件141のデータ構造の一例を示す図である。アクション条件数141aは、後に続くアクション条件要素(即ち、電文を送信するための条件)の数(図6の場合は「n」)を表す。従って、必要に応じて、n個のアクション条件要素を設定することが可能である。
アクション条件数141aの内容が「0」の時は、有効なアクション条件要素は設定されていないことを表し、たとえ、アクション条件要素が設定されていたとしても電文が送信されることは無い。アクション条件要素1サイズ141bは、アクション条件要素1のデータサイズを表す。
また、アクション条件数141aに設定された数分の全てのアクション条件要素に定義されている条件が満たされたときのみ、アクション電文情報145に設定されている電文が送信される。
図6に示すように、アクション条件要素(その一例として、アクション条件要素1)は、アクション設定オブジェクトコード(OJ)141c、アクション設定プロパティコード(PC)141d、連動起動条件141e、連動起動条件値サイズ情報141fおよび連動起動条件値141gから構成される。アクション設定オブジェクトコード141cとアクション設定プロパティコード141dは、機器プロパティ151を特定するための情報である。連動起動条件141eは、対応する機器プロパティ151の値と連動起動条件値141gとの間の関係を示す情報である。そして、全てのアクション条件要素について、機器プロパティ151の値と連動起動条件値141gとの間における連動起動条件141eが成立したとき、アクション電文セキュア設定144とアクション電文情報145に基づいて電文を送信する。
図7は、上記連動起動条件141eの具体例を示す図である。
次に、アクション電文有効無効フラグ142について説明する。アクション電文有効無効フラグ142は、現在設定されているアクション電文情報145が示す電文を送信する/しないを表す情報である。
図8は、アクション電文有効無効フラグ142の構成を示す図である。図8に示すように、アクション電文有効無効フラグ142は、1Byteのデータであり、「b0」が「0」に設定されている場合は、たとえアクション条件が成立したとしても、電文の送信は行わない。つまり、アクション電文有効無効フラグ142が、アクション条件やアクション電文情報と独立な情報として保持されることで、アクション条件141やアクション電文情報145の内容をまったく変更することなく、設定したアクション条件要素の有効/無効を変更することを可能にしている。
次に、アクション電文構成情報143について説明する。
図9は、アクション電文構成情報143の構成例を示す図である。図9に示すように、アクション電文構成情報143は、アクション電文セキュア設定144およびアクション電文情報145から構成され、さらに、アクション電文情報145は、電文形式情報145a、送信先アドレス145b、OHD情報145c、SOJ情報145d、DOJ情報145e、SV情報145f、処理プロパティ145g、プロパティデータカウンタ145h、処理プロパティ145iおよびプロパティ値145jから構成されている。
アクション電文セキュア設定144は、送信する電文を平文電文形式(暗号化又は機器認証を必要とする旨の情報を付加するというセキュア処理をしていない電文形式)か、セキュア処理を施したセキュア電文形式かを設定するための情報であり、セキュア電文形式の場合は、さらにどのようにセキュア処理を施すのかを表す情報が設定される。なお、上記の機器認証に代えて、電子署名でもよい。
図10は、アクション電文セキュア設定144のデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、アクション電文セキュア設定144は、1byteのフラグであり、b7およびb6の両方が「1」の時は、アクション電文が平文電文形式の電文であることを表し、アクション電文情報145にある内容をそのまま送信するものとする。b7が「0」の時は、アクション電文情報145の一部(又はすべて)の内容を送信時に暗号化する。またb6が「0」の時は、電文を送信する家電機器と電文を受信する家電機器との間の機器認証に必要な情報を送信時に付加することとする。
アクション電文情報145は、アクション条件が成立した後に送信する電文の内容を表した情報である。この場合、アクション電文情報145のデータフォーマットは、そのままネットワーク40に送信できるデータフォーマットとなっていてもよい。
なお、アクション電文情報145は、基本部分は最小限の情報とし、送信時に一部の情報(例えば、電文の長さの情報など)を付加することとしてもよい。また、アクション電文情報145の内容は任意であり、例えば自機器のデータを他機器に通知する電文、他機器を制御するような電文又は他機器のデータを取得する等の内容とする電文でもよい。
アクション判定処理部120は、機器プロパティ151の値が変化した際にアクション定義情報140毎にアクション条件141およびアクション電文有効無効フラグ142の内容に基づき、電文を送信するか否かの判定を行い、条件が成立した場合は、アクション電文セキュア設定144の内容に基づいて(上記セキュア処理が必要な場合はその処理を施し)、電文送信処理部110に電文の送信を依頼する。
次に、上記のように構成される家電機器制御ネットワークシステム10の動作について説明する。
図11は、家電機器制御ネットワークシステム10の動作を示す通信シーケンス図である。
最初に、コントローラ50は、人体感知装置100宛てにアクション定義情報1を送信する(S100)。
この後、人体感知装置100は、人体を感知すると(S110)、電文の内容(例えば、防犯装置200に「ブザーON」を指示するための電文)を特定する(S112)。
一方、防犯装置200は、人体感知装置100から受信した電文の内容を解読して「ブザー」を鳴らす(S113)。
その後、コントローラ50から人体感知装置100宛てに、防犯装置200の警戒モードの変更に関するアクション定義情報2が送信されると(S101)、人体感知装置100は、アクション定義情報2の内容を解読する(S120)。そして、人体感知装置100の感知センサ160の電源が「OFF」にされると「警戒モードOFF」を表す電文(この電文については暗号化および認証を行う。)を防犯装置200に送信する(S122)。
これにより、防犯装置200は、人体感知装置100から受信した電文を復号すると共に、機器認証を実行し(S123)、警戒モードを「OFF」に変更する。
図12は、上記図11におけるアクション定義情報1およびアクション定義情報2の具体例を示す図である。
図13は、上記図11のステップ122において使用する電文の具体例を示す図である。
図14は、アクション判定処理部120における処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、アクション判定処理部120は、機器プロパティ151の値の変化がアクション条件141を満たすか否かを調べる(S200)。もし、そのアクション条件141が成立する場合は(S200:YES)、さらにアクション電文有効無効フラグ142の内容が「有効」か否かを調べる(S201)。もし、アクション電文有効無効フラグ142の内容が「有効」の場合(S201:YES)、アクション判定処理部120は、アクション電文セキュア設定144の内容に応じて電文の暗号化や認証を行い(S202、S203)、その電文をネットワーク40に送信する(S204)。
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、アクション連動サービスを実現する家電機器制御ネットワークシステムについて説明したが、本実施の形態では、トリガ連動サービスを実現する家電機器制御ネットワークシステムについて説明する。ここで、「トリガ連動サービス」とは、他の家電機器から受信した電文の内容が予め設定されている条件を満たす場合は、その電文の内容に従った処理を実行するサービスをいう。
図15は、本発明に係る実施の形態2における家電機器制御ネットワークシステムの構成概要を示す図である。図15に示す家電機器制御ネットワークシステム(以下「本システム」という。)20は、トリガ連動サービスを実現するシステムであり、有線(例えば、電灯線)又は無線(例えば、特定小電力無線)のネットワーク40、本システム20全体を制御するコントローラ150、人体感知装置100、防犯装置200、エアコン300および非常検知装置400を備える。なお、以下では、上記実施の形態1の家電機器制御ネットワークシステム10における機能構成と同じ機能構成については同じ符番を付し、その説明は省略する。
図16は、本システム20におけるエアコン300の機能構成を示すブロック図である。図16に示すように、エアコン300は、電文受信処理部310、トリガ判定処理部320、定義情報記憶部330および機器プロパティ記憶部350を備える。
電文受信処理部310は、ネットワーク40を介して電文を受信してその内容を解読する。例えば、他の家電機器からネットワーク40に同報通信としての電文が送信された場合、電文受信処理部310は、この電文を受信する。さらに、電文受信処理部310は、受信した電文が暗号化されている場合はその電文を復号し、機器認証が必要な場合は認証処理も行う。
トリガ判定処理部320は、エアコン300における通信を制御する部署であり、例えばROMやRAM等を有するCPUを備える。さらに、トリガ判定処理部320は、受信した電文の内容、トリガ定義情報340および機器プロパティ351の内容に基づいて、電文の内容に従った処理を実行するか否かを決定する。
定義情報記憶部330は、例えばRAMであり、上記トリガ処理判定部320が、所定の処理を実行すべきか否かを判定するために用いるトリガ定義情報340を記憶する。
機器プロパティ記憶部350は、例えばRAMであり、機器プロパティ351を記憶する。ここで、機器プロパティ351は、家電機器の動作内容やその状態など、家電機器に関する情報をいう。
図17は、トリガ定義情報340の構成例を示す図である。図17に示すように、トリガ定義情報340は、トリガ処理情報341、トリガ電文有効無効フラグ342およびトリガ電文構成情報343から構成されている。さらに、トリガ電文構成情報343は、上記図16に示すように、トリガ電文セキュア設定344およびトリガ電文情報345から構成されている。また、トリガ定義情報340には、上記実施の形態1におけるアクション定義情報140と同様に、クラスグループコードとクラスコードが割り当てられている。さらに、トリガ定義情報340毎にインスタンスコードが割り当てられている。
受信した電文がトリガ電文情報345に示される受信電文に関する条件に一致し、トリガ電文セキュア設定344によって示される暗号の有無や認証の有無等の内容が受信した電文の形式と一致する場合は、「トリガ条件が成立した」こととし、トリガ処理情報341は、トリガ条件が成立した際に行う処理内容を表す情報である。なお、トリガ処理情報341には、トリガ条件が成立した時の処理を複数設定することも可能である。
図18は、トリガ処理情報341のデータ構造の一例を示す図である。トリガ処理設定数341aは、後に続くトリガ処理要素の数(図18の場合は「n」)を表す。トリガ処理設定数341aが「0」の時、実行すべきトリガ処理は設定されていないもとのみなし、たとえトリガ電文情報345が設定されていたとしてもトリガ処理を実行することは無い。トリガ処理要素1サイズ341bは、トリガ処理要素1のデータサイズを表す情報である。なお、必要に応じて複数のトリガ処理要素を設定することが可能である。トリガ条件が満たされると、トリガ処理設定数341aに設定された数分(即ち、n個)のトリガ処理を行う。
図18に示すように、トリガ処理要素(具体的には、トリガ処理要素1)は、オブジェクトコード(OJ)情報341c、プロパティコード(PC)情報341d、プロパティ設定値341eおよびプロパティ設定値341fから構成される。プロパティ設定値341fは、トリガ条件が成立した時に、OJ情報341cおよびPC情報341dで示される機器プロパティに設定する設定値などを表す情報である。
トリガ電文有効無効フラグ342は、トリガ処理情報341に設定されているトリガ処理を実行するか否かをあらわす情報である。
図19は、トリガ電文有効無効フラグ342のデータ構造の一例を示す図である。図19に示されるように、トリガ電文有効無効フラグ342は、1Byteのデータであり、b0が「0」になっている場合、たとえトリガ条件が成立したとしても、トリガ処理を実行しない。
図20は、トリガ電文構成情報343の構成例を示す図である。図20に示すように、トリガ電文構成情報343は、トリガ電文セキュア設定344およびトリガ電文構成情報345から構成され、さらに、トリガ電文情報345は、電文形式情報145a、送信先アドレス145b、OHD情報145c、SOJ情報145d、DOJ情報145e、SV情報145f、トリガ条件要素数345a、トリガ条件要素1及びトリガ条件要素2等から構成されている。さらに、各トリガ条件要素(例えば、トリガ条件要素1)は、EPC情報345b、連動起動条件345c、EDTサイズ情報345dおよびEDT情報345eから構成されている。トリガ電文セキュア設定344は、受信する電文のセキュア設定を表す情報である。トリガ条件が成立するためには、受信した電文がトリガ電文セキュア設定344で示されるセキュア処理に関する設定内容と一致し、かつトリガ電文情報345におけるトリガ条件要素すべてが一致する必要がある。
図21は、トリガ電文セキュア設定344のデータ構造の一例を示す図である。トリガ条件が成立するために、b7およびb6の両方が「1」の時は、受信した電文は平文電文形式である必要がある。b7が「0」の時は、受信した電文が暗号化されている必要がある。また、b6が「0」の時は、受信した電文に認証が付加されている必要がある。
トリガ電文情報345は、トリガ条件が成立するか否かを判定する際に用いる、電文の条件を保持する。この場合、トリガ電文セキュア設定344の一部に暗号化や認証が必要である旨の設定がされていたとしても平文電文形式で保持することとする。なお、トリガ電文情報345には、電文の情報をフレーム構成毎の情報として保持してもよい。なお、フレーム構成毎の情報として保持した場合、フレーム構成における全ての情報を保持しなくてもよいものとする。
トリガ判定処理部320は、電文受信処理部310が電文を受信したときに電文が暗号化されている時は平文電文形式に変換(復号)し、認証が必要な場合は認証を実行するように電文受信処理部310に指示する。そして、トリガ電文セキュア設定344およびトリガ電文情報345に基づいてトリガ条件が成立するか否かを判定し、トリガ電文有効無効フラグ342が有効であれば、トリガ処理を実行する。
次に、以上のように構成される家電機器制御ネットワークシステム20の動作について説明する。
図22は、家電機器制御ネットワークシステム20の動作を示す通信シーケンス図である。
最初に、コントローラ150は、エアコン300宛てにトリガ定義情報1およびトリガ定義情報2を送信する(S300、S301)。
次に、人体感知装置100は、人体を感知すると(S310)、電文を生成する(S311)。この際、人体感知装置100は、必要に応じて電文を暗号化する。
一方、エアコン300は、人体感知装置100から電文を受信すると、トリガ定義情報に基づいて、その電文を解読(復号)して動作モードを「OFF」から「ON」に変更する(S314、S315)。
また、非常検知装置400が火災や地震等の非常事態を検知すると(S320)、電文を生成して送信する(S321、S322)。
これにより、エアコン300は、非常検知装置400から受信した電文を復号し(S323、S324)、動作モードを「OFF」に変更する(S325)。図23は、上記図22におけるトリガ定義情報1およびトリガ定義情報2の具体例を示す図である。
図24は、トリガ判定処理部320における処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、トリガ判定処理部320は、ネットワーク40を介して電文を受信して平文形式に変換(復号)すると(S400)、その電文内容に関するトリガ条件が成立するか否かを調べる(S401)。もし、トリガ条件が成立する場合は(S401:Yes)、さらにトリガ電文有効無効フラグ342の内容が「有効」か否かを調べる(S402)。トリガ電文有効無効フラグ342の内容が「有効」の場合(S402:Yes)、トリガ判定処理部320は、トリガ処理を実行する(S403)。
(実施の形態3)
上記実施の形態1においてはアクション連動サービスを行う家電機器制御ネットワークシステムについて、また、上記実施の形態2においてはトリガ連動サービスを行う家電機器制御ネットワークシステムについて説明したが、本実施の形態3では、上記のアクション連動サービスとトリガ連動サービスとを連続して行う家電機器制御ネットワークシステムについて説明する。
図25は、本実施の形態における家電機器制御ネットワークシステム30の機能構成を示すブロック図である。なお、図25においては、上記実施の形態1又は2における家電機器をノードA〜Cに一般化して表現している。
図25に示されるように、ノードAはアクション連動サービス機能を、ノードBはアクション連動サービス機能とトリガ連動サービス機能を、ノードCはトリガ連動サービス機能を有している。この場合、ノードBのトリガ連動サービス機能は、アクション連動サービス機能を有するノードAから受信した電文に応じた処理を実行すると共に、自ノードのアクション連動サービス機能を起動するための状態変化を起こさせる(例えば、特定のフラグをセットする)。これにより、ノードBのアクション連動サービス機能が起動され、ノードCを制御するための電文を送信する。
産業上の利用の可能性
本発明に係る家電機器制御ネットワークシステムは、連動設定にセキュア通信設定を可能としたことで、より安心してユーザに連動設定を利用してもらうことができるとともに、ネットワークに接続された機器の機器連動設定の設定解除を容易にしたことで、家電機器などにおける連動させて制御するシステムに有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される第1家電機器と第2家電機器とを備える家電機器制御ネットワークシステムであって、
前記第1家電機器は、
前記第2家電機器との連動に関する事象を検出する事象検出手段と、
検出された前記事象に関する電文を送信すべきか否かを予め設定された第1データに基づいて判定する電文送信判定手段と、
前記電文についてセキュア処理を施すべきか否かを予め設定された第2データに基づいて判定する処理実施判定手段と、
電文を送信すべきであると判定され、かつ前記セキュア処理を施すべきであると判定された場合に、前記電文にセキュア処理を施し、当該セキュア処理が施された電文を前記第2家電機器に送信する電文送信手段とを備え、
前記第2家電機器は、
電文を受信する電文受信手段と、
受信した前記電文に施されているセキュア処理に応じた解読を行い、その解読した内容に基づいて予め規定されている処理を実行する処理手段とを備える
ことを特徴とする家電機器制御ネットワークシステム。
【請求項2】
前記セキュア処理は、
電文に対する暗号化処理、又は電文の送信側の家電機器と電文の受信側の家電機器との間において機器認証を実施する旨を表す情報の電文への付加のうち、少なくとも何れか一方を含む
ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の家電機器制御ネットワークシステム。
【請求項3】
前記家電機器制御ネットワークシステムは、さらに、
当該家電機器制御ネットワークシステムを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
ユーザから指示を受け付ける指示受け付け手段と、
受け付けた前記指示に基づいて、予め設定された前記第1データおよび前記第2データを変更するデータ変更手段とを備える
ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の家電機器制御ネットワークシステム。
【請求項4】
ネットワークを介して接続される第1家電機器と第2家電機器とを備える家電機器制御ネットワークシステムであって、
前記第1家電機器は、
前記第2家電機器との連動に関する事象を検出する事象検出手段と、
前記事象に対応する電文を特定する電文特定手段と、
特定された前記電文にセキュア処理を施すべきか否かを判定する処理実施判定手段と、
セキュア処理を施すべきであると判定された場合に、前記電文にセキュア処理を施し、当該セキュア処理が施された電文を第2家電機器に送信する電文送信手段とを備え、
前記第2家電機器は、
電文を受信する電文受信手段と、
受信した前記電文に施されているセキュア処理に応じた解読を行う電文解読手段と、
解読した前記電文の内容が、予め規定されている条件と一致するか否かを判定する条件判定手段と、
一致すると判定された場合に、受信した前記電文の内容に基づく処理を実行する処理手段とを備える
ことを特徴とする家電機器制御ネットワークシステム。
【請求項5】
前記セキュア処理は、
電文に対する暗号化処理、又は電文の送信側の家電機器と電文の受信側の家電機器との間において機器認証を実施する旨を表す情報の付加のうち、少なくとも何れか一方を含む
ことを特徴とする請求の範囲第4項記載の家電機器制御ネットワークシステム。
【請求項6】
ネットワーク上に複数の家電機器が接続されている家電機器制御ネットワークシステムにおける家電機器であって、
他の家電機器との連動に関する事象を検出する事象検出手段と、
検出された前記事象に関する電文を送信すべきか否かを判定する電文送信判定手段と、
前記電文についてセキュア処理を施すべきか否かを判定する処理実施判定手段と、
電文を送信すべきであると判定され、かつ前記セキュア処理を施すべきであると判定された場合に、前記電文にセキュア処理を施し、当該セキュア処理が施された電文を前記他の家電機器に送信する電文送信手段と
を備えることを特徴とする家電機器。
【請求項7】
ネットワーク上に複数の家電機器が接続されている家電機器制御ネットワークシステムにおける家電機器であって、
電文を受信する電文受信手段と、
受信した前記電文に施されているセキュア処理に応じた解読を行う電文解読手段と、
解読した前記電文の内容が、予め規定されている条件と一致するか否かを判定する条件判定手段と、
一致すると判定された場合に、受信した前記電文の内容に基づく処理を実行する処理手段とを備える
を備えることを特徴とする家電機器。
【請求項8】
第1家電機器と第2家電機器とを備えるネットワークシステムにおいて、第2家電機器を制御する家電機器制御方法であって、
前記第1家電機器では、
前記第2家電機器との連動に関する事象を検出する事象検出ステップと、
検出された前記事象に関する電文を送信すべきか否かを判定する電文送信判定ステップと、
前記電文についてセキュア処理を施すべきか否かを判定する処理実施判定ステップと、
電文を送信すべきであると判定され、かつ前記セキュア処理を施すべきであると判定された場合に、前記電文にセキュア処理を施し、当該セキュア処理が施された電文を第2家電機器に送信する電文送信ステップとを含み、
前記第2家電機器では、
電文を受信する電文受信ステップと、
受信した前記電文に施されているセキュア処理に応じた解読を行い、その内容に基づいて予め規定されている処理を実行する処理ステップとを含む
ことを特徴とする家電機器制御方法。
【請求項9】
第1家電機器と第2家電機器とを備えるネットワークシステムにおいて、前記第2家電機器を制御する家電機器制御方法であって、
前記第1家電機器では、
前記第2家電機器との連動に関する事象を検出する事象検出ステップと、
前記事象に対応する電文を特定する電文特定ステップと、
特定された前記電文にセキュア処理を施すべきか否かを判定する処理実施判定ステップと、
セキュア処理を施すべきであると判定された場合に、前記電文にセキュア処理を施し、当該セキュア処理が施された電文を前記第2家電機器に送信する電文送信ステップとを含み、
前記第2家電機器では、
電文を受信する電文受信ステップと、
受信した前記電文に施されているセキュア処理に応じた解読を行う電文解読ステップと、
解読した前記電文の内容が、予め規定されている条件と一致するか否かを判定する条件判定ステップと、
一致すると判定された場合に、受信した前記電文の内容に基づく処理を実行する処理ステップとを含む
ことを特徴とする家電機器制御方法。

【国際公開番号】WO2005/029340
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514077(P2005−514077)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013715
【国際出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】