説明

容器をブロー成形するための方法および装置

本発明による方法および装置は、容器をブロー成形するために用いる。熱可塑性材料から成るパリソンを熱調整した後、該パリソンをブロー成形型内部で引伸ばし棒によって延伸させ、ブロー成形圧を作用させることによって容器に成形する。電子機械的引伸ばし棒駆動部を使用して引伸ばし棒の位置決めの設定を行なう。サーボモータのモータ軸の回転運動を、機械的連結装置によって引伸ばし棒の往復運動に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料から成るパリソンを熱調整した後、該パリソンをブロー成形型内部で引伸ばし棒によって延伸させ、ブロー成形圧を作用させることによって容器に成形するようにした、容器をブロー成形するための方法に関するものである。
さらに、本発明は、熱可塑性材料から成る容器をブロー成形するための装置であって、ブロー成形型を備える少なくとも1つのブローステーションと、延伸装置とを備え、延伸装置の領域に、ブロー成形型のなかに挿着可能なパリソンに作用する引伸ばし棒が配置され、引伸ばし棒が該引伸ばし棒の運動を調整するための往復動制御部と連結されている前記装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料(たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート))から成っているパリソンは、ブロー成形機内部において種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱装置とブロー装置とを有し、ブロー装置の領域において、予め温度調整したパリソンを両軸方向に配向することで該パリソンを膨張させ容器を形成させる。膨張は圧縮空気を用いて行われ、圧縮空気は膨張されるパリソンの内部へ導入される。パリソンをこのように膨張させる際の方法技術的な処理に関しては特許文献1に説明されている。なお、冒頭で述べた加圧状態にあるガスを導入することは、成長している容器ブローホールに圧縮ガスを導入すること、および、ブロー過程の当初にパリソン内へ圧縮ガスを導入することをも含んでいる。
【0003】
容器を成形するためのブローステーションの基本的な構成に関しては特許文献2に記載されている。また、パリソンを温度調整する可能な態様に関しては特許文献3に説明されている。
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に、パリソンを嵌合させる搬送心棒の使用が好ましい。しかし、他の搬送装置を用いてパリソンを操作することもでき、たとえばパリソンを操作するやっとこの使用、パリソンの保持のために該パリソンの開口領域に挿入可能な拡開心棒の使用もその構造的な例である。
【0004】
搬送ホイールを使用した容器の操作はたとえば特許文献4に記載されており、搬送ホイールをブローホイールと搬出路との間に配置する構成になっている。
【0005】
前述したパリソンの操作にはいわゆる2段階方式で行われるものがある。すなわち、まずパリソンを射出成形法で製造し、次に中間蓄積してその後温度に関しコンディショニングを行い、容器にブロー成形させる。他方いわゆる1段階方式を適用したものもある。この方式では、パリソンを射出成形技術で製造し十分に固化した直後に、適宜温度調整してブロー成形する。
【0006】
使用されるブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。回転搬送ホイール上に配置されるブローステーションの場合には、型担持体を本のように開閉させる構成のものが多い。他方、互いに変位可能な型担持体或いは他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。特に複数のキャビティを収容するのに適している位置固定の型担持体の場合には、互いに平行に配置された板を型担持体として使用するのが通常である。
【0007】
引伸ばし棒の運動の調整は、種々の原理にしたがって行なうことができる。たとえば、曲線軌道に沿って案内されているカムローラを使用して引伸ばし棒を位置決めすることが知られている。この種のカム制御の場合、カムローラが2面で案内され、これによって正確に定義された軌道に追従するようにすると、延伸工程の特に高い精度と再現性とを実現できる。しかしこの種のカム制御には、重くて空間的に大きなディメンションをもつ、通常は鋼から製造されるカム軌道を使用しなければならないという欠点がある。延伸運動を変更させるために延伸システムを変形すると、高いコストが生じる。
【0008】
同様に、カムローラを片側でのみ案内し、空気圧シリンダを使用して片側の案内軌道に対し押圧させるようにしたカム制御も知られている。この場合、構成が簡潔になり、したがって安価になり、軽量になるものの、発生する延伸力によっては、カムローラが負荷される空気圧締め付け力に抗してカム軌道から浮き上がり、これによって延伸工程が所定のプロセス特性から離脱することがある。その結果、ブロー成形された容器の品質が悪化する。
【0009】
非常に精密な延伸システムは、電気リニアモータを使用すれば提供される。しかしながら、必要なパワーを持った最近のリニアモータは非常に高価であり、さらに大きな構成空間をも必要とする。
【0010】
同様に、純粋に空気圧による延伸システムおよびハイブリッドシステムも知られるようになった。この種のシステムでは、空気圧駆動部とリニアモータとが双方とも使用される。
【0011】
このように、従来公知の、延伸工程の実施を調整するためのシステムには、すべて一連の利点と欠点があるが、欠点を最小限にとどめて諸々の要求を最適に満たすにはまだ至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法において、簡単に適合可能で、安価で且つ軽量な延伸システム用制御装置を提供することである。
さらに、本発明の課題は、冒頭で述べた種類の装置において、コンパクトで、且つ簡単に適合可能な引伸ばし棒制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、方法においては、電子機械的引伸ばし棒駆動部を使用して引伸ばし棒の位置決めの設定を行い、サーボモータのモータ軸の回転運動を、機械的連結装置によって引伸ばし棒の往復運動に変換することによって解決される。
【0015】
また、装置においては、引伸ばし棒が、サーボモータと引伸ばし棒をサーボモータに接続させるための機械的連結装置とを有する電子機械的引伸ばし棒駆動部と接続されていることによって解決される。
【0016】
電子機械的引伸ばし棒駆動部と機械的連結装置と引伸ばし棒とを組み合わせることにより、空気圧延伸システムにおいて発生していた撓みを解消した堅固な延伸システムが提供される。これにより、極めて精密な引伸ばし棒位置決めを保証することができる。さらに、個々の構成要素が比較的軽量であることにより、機械的慣性が小さく、したがって高度な制御ダイナミックスが提供される。
【0017】
コンパクトな構成を達成するため、特に、回転運動の往復運動への変換を、雌ねじを備えた連結要素を案内するねじ棒を使用して行なう。
【0018】
コンパクト性をさらに向上させるため、ねじ棒をモータ軸の縦軸線の方向において位置決めする。
【0019】
プロセス技術を改善させるため、サーボモータとねじ棒とを使用してパワーコントロール延伸を行う。
【0020】
容器製造時の他の実施態様によれば、サーボモータとねじ棒とを使用してパワーコントロールブロー成形を行う。
【0021】
エネルギー需要量を低減させるため、引伸ばし棒の戻り行程運動時にサーボモータを発電機で作動させることが提案される。
【0022】
電気的に最適化を行なうため、サーボモータに、該サーボモータを直接に取り囲んでいる雰囲気の中に配置される制御部を作用させる。
【0023】
伝動装置を設けずに済み、伝動装置から生じる慣性を回避するため、ねじ棒をモータ軸と同じ回転数で作動させる。
【0024】
引伸ばし棒の汚染を回避するため、ねじ棒を引伸ばし棒の方向においてカバーにより覆う。
【0025】
高いデータ伝送率を達成するため、サーボモータの制御部をバスシステムにより外部制御部と接続させる。
【0026】
典型的な実施態様は、サーボモータをブローホイールにより周回するように搬送させることにある。
【0027】
モジュール方式の制御コンセプトを達成するため、サーボモータを、ブローホイールに配置される電圧供給源およびブローホイールに配置される制御ユニットと接続させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸させ、膨張させるためのブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明する概略図である。
【図4】加熱容量を大きくした加熱路の変形実施形態を示す図である。
【図5】引伸ばし棒を引伸ばし棒担持体によって位置決めさせるようにしたブローステーションの側面斜視図である。
【図6】図5の配置構成の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1と図2はパリソン(1)をブロー成形して容器(2)を形成するための装置の基本構成図である。
【0030】
容器(2)の成形装置は実質的にブローステーション(3)から成り、ブローステーション(3)はパリソン(1)を挿着可能なブロー成形型(4)を備えている。パリソン(1)はたとえばポリエチレンテレフタラートから成る射出成形品である。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿着し、且つ完成した容器(2)を取り出すことができるようにするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部(7)とから成っている。底部(7)は昇降装置(8)により位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域において搬送心棒(9)によって保持してよい。搬送心棒(9)はパリソン(1)とともに装置内の多数の処理ステーションを通過する。しかし、パリソン(1)をたとえばやっとこ或いは他の操作手段を介して直接ブロー成形型(4)に挿着するようにしてもよい。
【0031】
圧縮空気の誘導を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置されている。接続ピストン(10)はパリソン(1)に圧縮空気を供給するとともに、搬送心棒(9)に対する密封の用をも成す。他方、変形実施形態では、固定の圧縮空気供給管を使用することも基本的には考えられる。
【0032】
この実施形態の場合、パリソン(1)の引伸ばしは、引伸ばし棒(11)を用いて行う。引伸ばし棒(11)はシリンダ(12)により位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックアップローラによって付勢されるカムセグメントを介して引伸ばし棒(11)の機械的位置決めを行うことも考えられる。カムセグメントの使用は、特に、多数のブローステーション(3)が1つの回転ブロー成形ホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0033】
図1に図示した実施形態の場合、引伸ばしシステムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が可能であるように構成されている。引伸ばし棒(11)は、本来の引伸ばし工程を開始する前に、まず第1次シリンダ(13)によりパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動する。本来の引伸ばし工程を実施している間、引伸ばし棒を走出させた第1次シリンダ(13)は、該第1次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに第2次シリンダ(16)により位置決めされ、或いはカム制御部を介して位置決めされる。特に、引伸ばし工程を実施している間に曲線軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により実際の引伸ばし位置が設定されるように、第2次シリンダ(16)をカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は第2次シリンダ(16)により案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0034】
担持体(19,20)の領域に配置される型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(40)を用いて担持体(19,20)を互いにロックさせる。
【0035】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスレッドインサート(22)を使用する。
【0036】
図2はブロー成形された容器(2)に加えて破線でパリソン(1)を示すとともに、成長している容器ブローホール(23)を概略的に図示したものである。
【0037】
図3はブロー成形機の基本構成を示す。ブロー成形機は加熱路(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)はパリソン装入部(26)を起点として搬送ホイール(27,28,29)により加熱路(24)の領域へ搬送される。加熱路(24)に沿って放射加熱器(30)とファン(31)とが配置され、パリソン(1)を温度調整するようになっている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソン(1)はブローホイール(25)へ搬送される。ブローホイール(25)の領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を完了した容器(2)は他の搬送ホイールにより排出路(32)に供給される。
【0038】
容器(2)内に充填される食料品、特に飲料物の長い有効寿命を保証するような材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形するには、パリソン(1)の加熱と配向の際に特別な方法ステップを厳守する必要がある。さらに、特殊な寸法規定を厳守することにより有利な成果を得ることができる。
【0039】
熱可塑性材料としては種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用できる。
【0040】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は圧縮空気の供給により行う。圧縮空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧レベルで供給するブロー成形前段階と、ガスを高圧レベルで供給するブロー成形主段階とに分ける。典型的には、ブロー成形前段階を実施している間は10バールないし25バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給し、ブロー成形主段階を実施している間は25バールないし40バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給する。
【0041】
図3からわかるように、図示した実施形態の場合、加熱路(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)はチェーン状に互いに列設され、転向ホイール(34)によって案内されている。特に、チェーン状に配置することにより実質的に長方形の基本輪郭を張るよう想定している。図示した実施形態の場合、加熱路(24)の搬送ホイール(29)側および装入ホイール(35)側の拡がり領域には比較的大きなサイズの単独の転向ホイール(34)が使用され、この領域に隣接している転向領域には比較的小サイズの2つの転向ホイール(36)が使用されている。しかし基本的には他の任意のガイドも考えられる。
【0042】
搬送ホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することができるようにするにはこの種の配置が特に合目的であることが判明した。というのは、加熱路(24)の対応する拡がり領域には3つの転向ホイール(34,36)が位置決めされ、より厳密に言えば、小さいほうの転向ホイール(36)がそれぞれ加熱路(24)の直線部への移行領域に位置決めされ、大きいほうの転向ホイール(34)が搬送ホイール(29)と装入ホイール(35)とに直接移行する領域に位置決めされているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用してもよい。
【0043】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器(2)は取り出しホイール(37)によりブローステーション(3)から搬出され、搬送ホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出路(32)へ搬出される。
【0044】
図4に図示した加熱路(24)の変形実施形態では、より多くの放射加熱器(30)を設けることにより、単位時間当たりより大量のパリソン(1)を温度調整することができる。この変形実施形態では、ファン(31)が冷却空気を冷却空気管路(39)の領域へ誘導する。冷却空気管路(39)はそれぞれ付設の放射加熱器(30)に対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。このように排流方向を設定することにより、冷却空気の流動方向は実質的にパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気管路(39)は、放射加熱器(30)に対向している表面の領域に、加熱放射線のための反射器を備えていてもよい。同様に、放出された冷却空気を介して放射加熱器(30)の冷却を行うようにしてもよい。
【0045】
図5は、図1の図示とは異なり、ブローステーション(3)を前方から見た斜視図である。この図示から特にわかるように、引伸ばし棒(11)は引伸ばし棒担持体(41)によって保持されている。
【0046】
図5は、ブローステーション(3)にブロー成形圧を供給するための空気圧ブロック(42)の配置構成をも示している。空気圧ブロック(42)は、接続部(44)を介して1個または複数個の圧力供給源に接続させることのできる高圧弁(43)を備えている。容器(2)をブロー成形した後に周囲に排出されるブロー成形空気は、空気圧ブロック(42)を介してまず消音器(45)に供給される。
【0047】
ブロー成形工程の典型的な実施態様を、最も簡単なケースとして、図2を用いて説明する。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿入し、ブローステーション(3)をロックした後、まず引伸ばし棒(11)をパリソン(1)内へ送入させるとともに、これと同時に、パリソン(1)を軸線方向に延伸させることでパリソン(1)が半径方向に引伸ばし棒(11)のほうへ収縮しないようにブロー成形圧を維持させる。
【0048】
図2に図示したように引伸ばし工程を完全に実施した後、容器ブローホール(23)が容器(2)の最終輪郭になるように容器ブローホール(23)を完全に膨張させ、そのときの最大内圧を、容器(2)が冷却により十分な形状安定性を得るまでの間維持させる。この形状安定性が得られた後、ブロー成形圧の供給を遮断し、引伸ばし棒(11)を再びブロー成形型(4)から引き戻しさせ、よってブロー成形した容器(2)から引き戻させる。
【0049】
図5は、引伸ばし棒担持体(41)が少なくとも部分的にカバー(47)の後方にて案内されている連結要素(46)と結合されていることをも示している。連結要素(46)は、図5には認められないねじ棒(48)を使用してサーボモータ(49)によって位置決めさせることができる。次に、図6を参照してねじ棒(48)の配置構成をさらに説明する。
【0050】
図6は図5の配置構成の縦断面図である。空気圧ブロック(42)の側部にはカムローラ(50)が認められる。カムローラ(50)は空気圧ブロック(42)を機械的に位置決めするために用いる。特に、これによって、空気圧ブロック(42)を容器(2)またはパリソン(1)に対し相対的に上昇または降下させる。
【0051】
連結要素(46)は、図示した実施形態の場合、ねじブッシュとして実施されている。ねじブッシュは雌ねじによってねじ棒(48)の雄ねじに係合している。連結要素(46)はその結合脚部がカバー(47)の側方に延在しており、これによって引伸ばし棒担持体(41)と結合されている。カバー(47)は引伸ばし棒(11)をねじ棒(48)に対して遮蔽しており、その結果たとえばねじ棒(48)から出る油脂粒子による引伸ばし棒(11)の汚染が回避される。ねじ棒(48)の代わりにねじスピンドルを使用してもよい。
【0052】
ねじ棒(48)はクラッチ(51)を介してサーボモータ(49)のモータ軸(52)と結合されている。図示した実施形態の場合、モータ軸(52)とねじ棒(48)とは共通の縦軸線に沿って延在しており、その結果ねじ棒(48)はモータ軸(52)の延長部として配置されている。これにより、特に、伝動装置を使用しないでモータ軸(52)をねじ棒(48)と結合させることができる。
【0053】
引伸ばし棒担持体(41)の外面には、場合によっては引伸ばし棒(11)を通じてガス状媒体をパリソン(1)の方向または容器(2)の方向へ誘導するため、或いは、その逆の方向へ排出させるため、空気圧弁(53)が配置されている。ガス状媒体とはたとえばブロー成形空気または冷却空気である。
【0054】
サーボモータ(49)をねじ棒(48)と連結要素(46)と引伸ばし棒担持体(41)とを介して引伸ばし棒(11)と連結させると、外部荷重に対し強固で、それにもかかわらずハイダイナミックなシステムが提供される。
【0055】
サーボモータ(49)のモータ電流を測定技術により検知することで、実際の延伸力を簡単に推量することができる。特に、これにより、所定の位置決めプロフィールに依存して延伸工程を実施できるばかりでなく、所定のパワープロフィールに依存しても延伸工程を実施できる。この場合、たとえば、延伸距離の所定部分に沿って一定の延伸力または所定の可変延伸力を発生させるようにしてもよい。同様に、モータ電流の検知によって測定技術により検出された延伸力に依存して、ブロー成形圧の供給を適宜制御することがでぎる。というのは、実際に発生する延伸力はブロー成形圧の最適な供給の指標になるからである。
【0056】
他の実施形態によれば、引伸ばし棒(11)が容器(2)の内圧によって戻る場合にサーボモータ(49)を発電機で作動させ、これによってエネルギー回生を行なうことができる。これにより、使用する多数のサーボモータ(49)のための電気作動エネルギーを低減させることができる。
【0057】
本発明の他の実施形態によれば、回転するブローホイール(25)上にブローステーション(3)を配置する場合、さーぼもーた(49)用のエネルギー供給源をブローホイール(25)上に配置することを想定している。同様に、サーボモータ(49)を作動させるために使用する制御ユニットをブローホイール(25)上に配置することができる。他の有利な実施形態によれば、それぞれのサーボモータ(49)はそれぞれのサーボモータ(49)に直接隣接して配置される制御部を備えている。
【0058】
制御値の外部からの設定はバスシステムを使用して行なう。バスシステムは、ブローホイール(25)上に配置される前記制御ユニットを定置の主制御部と接続させる。ブローホイール(25)上に配置される、個々のサーボモータ(49)のための前記エネルギー供給源は、スリップリングカップリングを介して定置のエネルギー源と接続させることができる。
【0059】
有利な実施形態によれば、ねじ棒(48)はモータ軸(52)と同じ回転数で作動される。しかし、基本的には、これら両構成要素を連結させるための伝動装置を使用することも考えられる。図示した実施形態とは異なり、もし適当な連結要素を介して必要な摩擦結合が形成されるならば、モータ軸(52)とねじ棒(48)とを、そのそれぞれの縦軸線が互いに横方向に位置するように、或いは、互いに傾斜して位置するように配置してもよい。
【0060】
延伸工程の状態データに依存してブロー成形工程を前述のように制御することは、引伸ばし棒(11)の実際の具体的な位置に依存して予ブロー成形圧および/または主ブロー成形圧を導入することによっても実施できる。このために、引伸ばし棒(11)自体の実際の位置を測定する必要はなく、サーボモータ(49)の領域に配置されている増分検出器の測定データを評価することによって引伸ばし棒(11)の実際の位置を検出することができる。引伸ばし棒(11)が所定の位置に達すれば、付設のブロー成形弁がオンにされる。
【0061】
前述した実施形態では、それぞれのブローステーション(3)に、引伸ばし棒(11)とねじ棒(48)とサーボモータ(49)とを備えた固有の延伸システムが付設されている。本発明による延伸システムを備えたブローステーション(3)をブローホイール(25)上に配置する場合には、延伸工程の実施を種々の生産率に自動的に適合させること、よってブローホイール(25)の種々の回転数に自動的に適合させることが簡単に可能である。プロセス技術的には、ブローホイール(25)の回転数を変化させた場合、異なる延伸速度で延伸工程を実施するのが好ましくないことが明らかになった。というのは、これによって、製造される容器(25)の材料特性に影響するからである。したがって、ブローホイール(25)の回転数が異なっていても、所定の延伸速度または延伸力で延伸工程を実現するよう努力が払われる。本発明にしたがってサーボモータ(49)とねじ棒(48)とを備えた延伸システムを使用することにより、機械制御を介して、ブローホイール(25)の回転数とは独立に延伸パラメータを設定することが簡単に可能になる。これによって、予め設定可能で且つ可変な生産効率に対しても、製造される容器(2)の高品質を保証することができる。
【0062】
他の実施形態によれば、ブロー成形機に操作装置を備えさせれば、たとえば視覚化装置を備えさせれば、操作者が延伸距離・時間プロファイル、延伸力・時間プロファイル、延伸力・延伸距離プロファイル或いは延伸パラメータ用の他のプロファイルを設定し、本発明による高精度の延伸システムを使用することでこれらプロファイルを置換することを想定している。
【0063】
サーボモータ(49)に関しては、1実施形態によれば、使用する制御器を直接該モータに組み込むことが可能である。モータ軸(52)としてのねじ棒(48)を前述のように配置すること、および、同様に前述したように伝動装置または他の連結要素を中間に接続させてサーボモータ(49)をねじ棒(48)に対し傾斜してまたは直角に配置することに代えて、コンパクトな実施形態を達成するため、サーボモータをねじ棒(48)の側方に配置し、ダブルベベルギアトランスミッションまたは他の適当な連結装置を介してサーボモータ(49)とねじ棒(48)との必要な連結を実現させてもよい。
【0064】
本発明の有利な実施形態によれば、連結要素(46)とねじ棒(48)とから形成されるアッセンブリをテーパねじスピンドルに対応して構成することを特に想定している。この場合、連結要素(46)はナットに対応する雌ねじを有し、該雌ねじはねじ棒(48)の雄ねじに係合する。連結要素(46)の雌ねじのねじ山とねじ棒(48)の雄ねじとの直接的な接触は、ボールベアリングの場合のようにねじ山領域にボールが配置されていることによって回避できる。これにより雌ねじと雄ねじとが互いに直接接触して摺動することがなく、この場合滑り摩擦が発生することがなく、きわめて小さな転がり摩擦が実現される。
【0065】
コンパクトで安価な実施形態を支援するため、前記ボールは好ましくは連結要素(46)の雌ねじの領域に配置される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料から成るパリソンを熱調整した後、該パリソンをブロー成形型内部で引伸ばし棒によって延伸させ、ブロー成形圧を作用させることによって容器に成形するようにした、容器をブロー成形するための方法において、
電子機械的引伸ばし棒駆動部を使用して引伸ばし棒(11)の位置決めの設定を行い、サーボモータ(49)のモータ軸(52)の回転運動を、機械的連結装置によって引伸ばし棒(11)の往復運動に変換することを特徴とする方法。
【請求項2】
回転運動の往復運動への変換を、雌ねじを備えた連結要素(46)を案内するねじ棒(48)を使用して行なうことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ねじ棒(48)をモータ軸(52)の縦軸線の方向において位置決めすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
サーボモータ(49)とねじ棒(48)とを使用してパワーコントロール延伸を行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
サーボモータ(49)とねじ棒(48)とを使用してパワーコントロールブロー成形を行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
引伸ばし棒(11)の戻り行程運動時にサーボモータを発電機で作動させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
サーボモータ(49)に、該サーボモータを直接に取り囲んでいる雰囲気の中に配置される制御部を作用させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
ねじ棒(48)をモータ軸(52)と同じ回転数で作動させることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
ねじ棒(48)を引伸ばし棒(11)の方向においてカバーにより覆うことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
サーボモータ(49)の制御部をバスシステムにより外部制御部と接続させることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
サーボモータ(49)をブローホイール(25)により周回するように搬送させることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
サーボモータ(49)を、ブローホイール(25)に配置される電圧供給源およびブローホイール(25)に配置される制御ユニットと接続させることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性材料から成る容器をブロー成形するための装置であって、ブロー成形型を備える少なくとも1つのブローステーションと、延伸装置とを備え、延伸装置の領域に、ブロー成形型のなかに挿着可能なパリソンに作用する引伸ばし棒が配置され、引伸ばし棒が該引伸ばし棒の運動を調整するための往復動制御部と連結されている前記装置において、
引伸ばし棒(11)が、サーボモータ(49)と引伸ばし棒(11)をサーボモータ(49)に接続させるための機械的連結装置とを有する電子機械的引伸ばし棒駆動部と接続されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記連結装置が、ねじ棒(48)と、雌ねじによってねじ棒(48)で案内される連結要素(46)とを含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ねじ棒(48)がサーボモータ(49)のモータ軸(52)の延長部として配置されていることを特徴とする、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
サーボモータ(49)がパワーコントロール延伸を実施するための制御部に接続されていることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
サーボモータ(49)がパワーコントロールブロー成形を実施するための制御部に接続されていることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
サーボモータ(49)が一時的に発電機により作動するように構成されていることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
サーボモータ(49)の制御部が、サーボモータ(49)に対し最短距離で配置されていることを特徴とする、請求項13から18までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
モータ軸(52)がクラッチ(51)を介してねじ棒(48)と堅固に連結されていることを特徴とする、請求項13から19までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
ねじ棒(48)と引伸ばし棒(11)との間にカバー(47)が延在していることを特徴とする、請求項13から20までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
サーボモータ(49)の制御部がバスシステムを介して外部制御部と接続されていることを特徴とする、請求項13から21までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
ブローカテーション(3)がサーボモータ(49)とともにブローホイール(25)に配置されていることを特徴とする、請求項13から22までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項24】
サーボモータ(49)の電圧供給源もサーボモータ(49)の制御ユニットもブローホイール(25)に配置されていることを特徴とする、請求項13から23までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項25】
引伸ばし棒(11)がねじ棒(48)に対しほぼ平行に延在していることを特徴とする、請求項13から24までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−517832(P2010−517832A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549773(P2009−549773)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000263
【国際公開番号】WO2008/098565
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】