説明

容器塗装のシステム及び方法

高い生産性及びフレキビシティを持ち最新のワンステージ成形機またはブロー成形機との効率的な組合せが可能な、ブロー成形されたプラスチック製容器(9)の塗装システム(1)。塗装システム(1)は、高い生産性を持つにも関わらず、全体構造がコンパクトであり、設置コスト及びエネルギー消費を低減できる。このシステムに対応する塗装方法は、プラスチック製容器(9)に効率的且つ迅速に複数の塗料層を形成することからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばブロー成形により製造されるペットボトル(PETボトル)のようなプラスチック材料製の容器を塗装するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばPET,PP,HDPE,PEN等からなる瓶(ボトル)及び壺(ポット)等の種々の形状を持つプラスチック材料製の食品グレードの容器の製造には、現在、一段成形機(ワンステージ成形機)又はブロー成形機が使用されている。
【0003】
ボトル及びポット等の容器の製造のためのワンステージ成形機は、1つの機械内で、射出並びに延伸及びブローのシーケンスを通して、原料プラスチック材料粒を変形させることからブロー成形された最終形状の容器を形成することまでの全てを実行するシステムである。
【0004】
一方、ブロー成形機は、加熱及びそれに続く延伸及びブローのプロセスを通して、射出機を用いて別途得られたプリフォームを、ブロー成形された容器へと変形させる装置である。これは、二段成形機(ツーステージ成形機)として知られる。
【0005】
たとえば収容すべき液体のタイプに関連して容器に特別の性能が要求されるような場合においては、ブロー成形工程に続いて塗装(コーティング)の工程が実行される。この塗装には、容器を酸素及び/又は二酸化炭素のようなガスに対して不透過性となすのに適する物質が採用される。容器壁のガス透過の問題は、とくに、たとえば炭酸飲料を収容するための容器においてのみならず、酸化により内容物の官能的性質の劣化が引き起こされて保存期限の短縮を来すような他の飲食物においても、存在する。
【0006】
塗装は容器に対して1つ以上の塗料層からなる外的保護層を形成するものであり、これにより、未処理の容器の他の機械的及び強度上の特性を変化させたり更にはこれらを改善したりすることなしに、酸素及び/又は二酸化炭素に対するバリア性能を増加させる。
【0007】
また、塗装システムは、ワンステージ成形機またはブロー成形機の出力部から直接的に到来し或いはサイロなどの貯蔵エリアから到来する予め定められた特性を持つ容器に対して、適宜連続的または間欠的に塗装方法を適用するように構成された工業的製造ラインである。
【0008】
既知の塗装システムは、現在では1時間あたり数100乃至10000個とされているシステムに要求される生産性(製造速度)に応じて大きく変化する寸法を持つ。
【0009】
従って、このようなシステムは、高度に自動化され、一般的には専用または汎用のコンピュータにより制御され、或るケースにおいては特別に開発されたソフトウェアを用いてパーソナルコンピュータにより制御される。
【0010】
これらのシステムに共通する構造は、塗装されるべき容器を装着する少なくとも1つの装着ステーション、塗装ステーション、たとえば使用塗料に応じて選択される種々のタイプの炉からなる塗料網状化[reticulation]のステーション、及び塗装済みの容器を他の機械へと移動させる脱着または移動のステーションを有する。このようなシステムでは、容器は当該システムを構成する種々のステーションに沿って搬送され、この搬送には、把持装置とくに所謂プリフォームホルダを備えたチェーン、あるいは容器が載置されるコンベアが使用される。
【0011】
市場においてプラスチック製容器の使用が拡大するにつれて、極めて高い生産性を持つワンステージ成形機またはブロー成形機が製作されている。しかしながら、現在の塗装システムは、上記のような高い生産性をもって塗料を塗装し、乾燥させ及び網状化させる塗装方法のような込み入ったプロセスの連続作業を十分には許容しない。実際、容器内の物質の保存期限を十分に効果的に延長させ得る塗料が開発されている。しかし、そのような塗料は、従来のものに比べて、塗装方法の完了までに複雑で数多くの作業を要する。そのような作業を実行するためには、高いエネルギー消費と長い時間とが必要であり、システムにおける生産速度が低下する。この生産速度は、2以上の塗料層が形成され網状化される場合には、更に低下する。更に、ワンステージ成形機またはブロー成形機から到来する容器に対して直接塗装システムを供給する機会を持つことが好ましい。その理由は、容器自体の清浄性の程度が良好となり、続く工程での塗料付着が良好となり欠陥発生のリスクが低くなるからである。更に、良好な塗料付着により一層均一性の高い塗料分布が得られ、従って、その網状化により塗料の一般的性能(バリア効果、化学的耐久性、機械的強度、美観上の品質等)において改良された品質が得られる。このようにして、不良品の数が低減される。現行の塗装システムとくに高生産性のものは、不利なことに、高いエネルギー消費をもたらし、これは明らかに好ましくないエネルギーバランスを生じ、大きな面積を占めるプロセスステーションを持つ極めて大きな構造のものとなり、従って、設備コストが高くなる。かくして、以上のような欠点を克服し得る塗装システム及び塗装方法を得ることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の目的は、とくに塗料塗布層の乾燥及び網状化[reticulating]を行う炉の構成に基づき、エネルギーバランスをかなり改善し、製造の効率及び柔軟性を確保でき、最新のワンステージ成形機またはブロー成形機との組合せが十分可能な、ブロー成形プラスチック製容器のための塗装システムを得ることにある。
【0013】
本発明の他の目的は、生産性が高いにも関わらず、全体構造がコンパクトで設備コストが低い塗装システムを提供することにある。
【0014】
本発明の更なる目的は、プラスチック製容器に複数の塗料層を効率的で迅速に形成し得る塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、請求項5の特徴を持つブロー成形プラスチック製容器の塗装システム、及び請求項15の特徴を持つプラスチック製容器の塗装方法を用いて、上記の目的を達成することを意図している。本発明のシステムは、それぞれ第1及び第2の塗料層のための第1の炉及び第2の乾燥−網状化炉を有する。第1及び第2の炉は、請求項1による1つ以上の熱処理トンネルを有するモジュール構造を持つ。
【0016】
本発明のシステムの生産性は、約6000乃至42000個/時間とすることができ、更に高くてもよい。本発明のシステムは、有利には、新規な特徴の故に、種々の製造上のニーズに適するように構成することができ、たとえば1時間あたり6000乃至42000個としながら、工程数を更に増加させるよう構成することも可能である。
【0017】
熱処理トンネルの数は、システムを再設計する必要性なく又は主要な構造上の介在物を要することなしに、システムにより占められる面積を外見上変化させることなく、増大させることができる。このようなモジュール構造のシステムは、生産性を増減しつつシステム範囲の拡張を促進する。
【0018】
有利には、容器に付される複数の塗料層の網状化及び乾燥の炉は、2つのレベルを有する。各レベルは、互いに隔てられた2つのバンクからなる。
【0019】
エネルギー消費を低減するために、有利には、炉の幾つかの部分において、容器/塗装システムにより吸収されなかった赤外線輻射のエネルギーの回収がなされる。この回収は、容器が通過するバンクの近くに適宜配置されたエアー/水熱交換機を用いて実行される。このエネルギー回収は、容器に吸収されなかったUV輻射に関しても実行される。
【0020】
更なる利点は、エアー/水熱交換機に供給される水の温度を調節することにより炉内のエアーの温度を調節することが可能なことである。
【0021】
赤外線領域及び加熱エアー領域から独立している混合システムにより、炉からの排気加熱エアー流の少なくとも一部が、外部から取り込んだエアーと混合され、その後炉内へと戻される。
【0022】
更に、炉又は単一の熱処理トンネルの中心領域に配置された少なくとも1つのファンインペラーが存在することで、炉の隔室又はセクタへのエアーの均一な配分が可能になる。これは、炉自体の内部構造により引き起こされる対称性及びそれとは異なる構造を利用することにより、得られる。
【0023】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を記述している。
【0024】
図面を参照して、非制限的な具体例として記載されている、塗装システムの非制限的な好ましい実施形態の詳細な説明を参照すれば、本発明の更なる特徴及び利点が更に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による塗装システムの斜視図である。
【図2】図1のシステムの平面図である。
【図3】図1のシステムの第1のプロセスステーションの平面図である。
【図4】図3の第1のステーションの斜視図である。
【図5a】第1のステーションの第1の部分の模式的断面図である。
【図5b】第1のステーションの第2の部分の模式的断面図である。
【図6】本発明によるシステムの第1の炉内での容器の経路を示す模式図である。
【図7】図6の第1の炉の第1の断面図である。
【図8】図6の第1の炉の第2の断面図である。
【図9】本発明によるシステムの第2の炉内での容器の経路を示す模式図である。
【図10】図9の第2の炉の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明による塗装システムの好ましい実施形態につき説明する。このシステムは、とくに、たとえば、PET,PP,HDPE等からなるプラスチック製の容器又はボトルに対する2層の塗料塗布層の形成を意図している。
【0027】
塗布されるべき第1層すなわちベース塗布層は、一般にO及び/又はCOのバリア性を持つタイプの塗布層であり、単にバリア層と呼ばれることがある。第2層すなわちトップ塗布層(トップ層)は、一般に保護塗料タイプの層である。容器に形成される塗布層の数は、1つでもよいし、又は3つ以上であってもよい。
【0028】
本発明による塗装システムは、全体として参照符号1で示されており、以下の部分を有する:
−容器を塗装システムの単一の搬送チェーン10に装着し、塗装プロセスが完了した時に前記チェーン10から容器を脱着する(すなわち取り外す)のに使用される、装着/脱着ステーション2;
−容器の表面の活性化システムを持つオプショナル(すなわち随意に使用される)の表面処理ステーション(不図示);
−バリア層及びトップ層の形成のための塗布ステーション3;
−ベース層の乾燥−網状化のステーションすなわち炉14;
−トップ層の流動−網状化のステーションすなわち炉14’。
【0029】
装着/脱着ステーション2は、以下のことが可能な装着ドラムを有する:
−ワンステージ成形機又はブロー成形機から直接的に或いはサイロ又は貯蔵エリアから、予め定められた特徴を持つコンベアラインたとえばエアーコンベア、ベルトコンベア又はスラットコンベアにより、搬送される容器を取り込むこと、
−これらの容器を上下方向に向けて特定のピッチで配列すること、
−これらの容器を損傷させることなく、その首部を機械的に保持し、塗装システム1の全体を通る閉じた経路内に配置された単一の搬送チェーン10上に前記容器を搬送すること。
【0030】
好ましくは、容器は、単一の搬送チェーン10に対して垂直方向の位置(姿勢)に保持される。この保持は、たとえばプリフォームホルダ等の一連の把持部材又はグリップを用いて、チェーン自体に沿って等間隔になされる。有利には、装着ドラムは、以下のようなものである:
−装着に関する問題が発生した場合には、容器9の排出が可能であること;
−寸法規格に合わない容器が搬送チェーンに装着されて塗布ステーションヘと送られるのを阻止するための形状モニタリングを行うこと;
−容器の首部のタイプに応じて容易且つ迅速にカスタマイズできること。首部の変化に対処するための概算時間は1時間である。
【0031】
装着ドラムのすぐ下流のオプショナルの表面処理又は前処理のステーションとしては、クラウン[crown]効果、プラズマ処理、UV処理及び表皮乾燥のような方法を用いて容器の表面を活性化するシステムを意図している。この活性化により、塗料塗布の際の容器の濡れ性が向上し、より良好な結果が得られる。とくに、PP容器は、一連のカスタマイズされた電極により生ぜしめられるイオン化環境を通ることで活性化される(クラウン効果)。プラズマ効果表面活性化システムの場合の概算処理時間は約4秒以下である。
【0032】
貯蔵エリアから到来する容器は、そのステーションで、脱イオン化エアー吹き付け処理を受ける。これにより、容器の外表面上に付着している可能性のある静電荷及び埃などを除去することができる。必要な場合には、次の工程は、容器を、たとえば10乃至15kVの電界中で電荷に曝すことであり、これにより、塗装ステーションにおける次工程へと送る前に、容器を適宜の電流により帯電させる。
【0033】
図3乃至5bに示されるバリア塗布層(バリア層)又はトップ塗布層(トップ層)の形成のための塗装ステーション3は、塗布機又は塗布ロータリー[roundabout]4を有する。このような塗布ロータリー4は、容器9を受け入れる回転機械であり、以下の部分を有する:
−それぞれ、バリア塗料又はベース塗料を塗布し及びベース塗布層(ベース層)の厚さを調節するための、第1の浸漬ホイール5及び第1のスピニングホイール6、
−それぞれ、トップ塗料を塗布し及びトップ層の厚さを調節するための、第2の浸漬ホイール7及び第2のスピニングホイール8。
【0034】
図3に示されるように運動の方向を変化させるために前記搬送チェーン10が巻き掛けられている第1及び第2の浸漬ホイールまたはドラム5,7の下には、複数のタンク11が配置されており、これらのタンクにはそれぞれのタイプの塗料たとえばバリア塗料及びトップ塗料が収容されている。これらのタンク11は、各ホイール又はドラムの回転運動と同期して回転する。その回転の間に、各タンクは上下方向にシフトして対応する容器9を収納する。これにより、容器9は塗料中に浸漬される。
【0035】
図3を参照して、チェーン10は、容器の首部を支持するグリップを持ち、第1の浸漬ホイール5の周りに巻き掛けられている。該第1の浸漬ホイール5の下方には、図5aに示されるように複数の第1のタンク11が配置されている。該タンク11は、第1のホイール5と同期して回転し、ベース塗料又はバリア塗料を収容している。これらの複数の第1のタンクに容器を浸漬するプロセスにより、ベース層が塗布される。これらのタンクは、それぞれが一時に1つの容器を受けるように、配置及び移動せしめられる。一時に複数の容器を浸漬させ得るタンクを用いてもよい。
【0036】
本発明によるシステムの動作の間に、タンク11上に容器9を位置させ;タンクが高い位置へと上昇したときに容器をタンク中の塗料に浸漬させてベース塗料又はバリア塗料の第1の塗布層が形成されるように、容器とタンクとを同期させてシフトさせ;タンクを下降させて、容器を塗料から引き上げる、という時間シーケンスがなされる。
【0037】
塗布ロータリー4は、以下の機能を発揮する:
−容器の首部をしっかりと保持すると同時に、埃や液体が容器へと入り込むのを防止すること;
−たとえばカムシステムにより、容器とタンクとの相対移動を制御すること。
【0038】
全浸漬ストロークは、使用される機械的構造に依存しており、2つの部分に分割されている:ここで、容器9に対する流体装入タンクすなわち流体フロントイン[front in]タンク11の第1のアプローチのストロークにおいて、平均上昇速度は、機械システムの信頼性に見合った最大速度であり;浸漬プロセスが実行される第2のストロークにおいては、浸漬及び引き上げの平均速度は300mm/秒未満である。浸漬ストロークは、浸漬が生ずるタンクの幾何学的構造に依存する。カムシステムは、容器を浸漬位置に約0.2秒間維持する。
【0039】
第1の変形例(不図示)においては、システムの寸法上から必要な場合には、1つ又は複数のデリバリーポンプを用い、更にジョイントを用いて、塗料がタンクへと供給される。
【0040】
デリバリーポンプは、回転ジョイントを用いて該ジョイント内の第1のチャンバーを通ってタンク11へと塗料を連続的に供給する。該ジョイントは、タンク間を繋ぐフレキシブルな供給チューブのためのアタッチメントである。回転ジョイントは、又、第1のチャンバーとは別の第2のチャンバーを備える。これは、フレキシブルな戻りチューブのためのアタッチメントである。第2のチャンバーは、サクションポンプを用いて過剰塗料をくみ出すためのタンクと繋がっている。回転ジョイントは、その下端部が、塗料の供給及び戻りのためのチューブを用いて回収タンクと繋がっている。この回収タンクは、回転ジョイントとベース塗料の中央タンク(不図示)との間の位置に配置されている。
【0041】
図5aに示される第2の変形例においては、チューブ101により塗料が供給されるトロイダルタンク100を用いて、タンク11へと塗料が供給される。第1の変形例では、トロイダルタンク100及びタンク11は、チューブ102を用いて接続されている。繋ぎ管としてのチューブ102は、タンク11及び100において塗料がレベル105に届くようにしている。
【0042】
ホイール5の回転の間に、タンク11は位置11’まで上昇し、容器9は塗料中に浸漬される。バルブ103は、繋ぎ管の原理が用いられる場合に、塗料がタンク11の底部から流出するのを阻止する。オーバーフローバルブ104は、タンク11からオーバーフローした塗料を、図5aにおいて右側に示される高い位置の回収タンク106へと導く。
【0043】
有利な場合には、2つの繋ぎ管供給システムと回転ジョイントを備えたポンプとを、適宜組み合わせて使用してもよい。
【0044】
更に、容器が浸漬ホイール5から出ると、チェーン10は第1のスピニングホイール6の周りでの旋回を開始し、バリア塗料のベース層の厚さを調節する。このホイール6において、動作の進行と共に、各容器は、その周囲に配置されるそれぞれのセルまたは保護シールド60(図5b)内で、その長手方向軸の周りに回転する。
【0045】
このようなセルは、有利には、スピンナーにより除去される過剰塗料を全て回収するシステムを持つ。このようにシステムは、塗料戻りチューブにより回収タンクに接続される下端部を有する回転ジョイントからなるか、或いは、図5bに示されるように回収タンク106’へと除去過剰塗料を排出するように保護セル60の底部に配置されたバルブ103’である。
【0046】
スピニングの間の容器の回転速度は、毎分200乃至3000回転の範囲で調節され、ロータリー4の回転速度から独立している。スピニングの時間は、約1秒間である。
【0047】
塗布されたウェット状態のバリア塗料の膜は、100乃至20ミクロン(公差5ミクロン)の厚さを持つ。このウェット状態の膜の厚さは、容器の全表面につき及び機械動作の全期間にわたって、要求される公差内に維持しなければならない。
【0048】
浸漬により容器に第1の塗料層を形成し、更に過剰塗料を除去するために容器をスピニングした後に、搬送チェーン10は容器をベース層の乾燥−網状化炉(これは単に「ベース炉」と呼ばれる)14へと搬送する。
【0049】
ベース炉14の目的は、一般には水である溶媒をバリア塗料から除去して、塗料を完全に重合させることである。容器の塗装済みの表面の許容最高温度は65±2℃であり、塗装されていない部分すなわち首部及び首部リングの許容最高温度は55±2℃である。
【0050】
ベース炉14への導入の前に、搬送チェーン10の運動の方向は先ず上下方向に次いで再び水平方向に偏向せしめられるので、グリップ又はプリフォームホルダが回転し、たとえば図7に示されるように、容器はその長手方向軸が水平位置(水平姿勢)となるように配置される。次いで、チェーン10に第1のネジリが発生する。容器9は、搬送チェーン10に係留されたまま水平位置にてベース炉14を通過する。搬送チェーン10は、図6に模式的に示される2つのレベルの経路を進む。この経路は、4つのバンクすなわち2つの下側バンク及び2つの上側バンクを有する。これらのバンクは、曲がったセグメント又は単にカーブにより互いに結合されている。
【0051】
乾燥工程は、バリア塗料から一般に水である溶媒を除去することを目的とするものであり、赤外線(IR)及びエアー対流を併用するものからなる。容器は、溶媒が十分に蒸発し、続くプロセス工程が最適に完了する、たとえば続く網状化工程の間に泡が発生するのを阻止する、のに必要な時間だけ乾燥処理を受ける。更に、塗料は、容器の表面上で均等に流動(フロー)することが要求される。
【0052】
乾燥用のベース炉14の一部は、以下の2つの主要エリアに分割(分画)される:
−赤外線輻射エリア又はIRエリア;
−加熱エアーエリア。
【0053】
チェーンは、先ずベース炉14のIRエリアを通る。IRエリアは、参照符号15で示されており、その断面が図7に示されている。バリア塗料の塗布層により被覆された水平位置の容器9は、IRエリア15に入り、図7の紙面を考慮すれば、観察者に向かう方向に右下側のバンク20を通る。カーブ21(図6)に従って移動した後に、容器9はエリア15へと戻り、観察者から離れる方向に左下側のバンク20’を通る。次に、カーブ22に従って移動した後に、容器は観察者に向かう方向に左上側のバンク20”を通る。最後に、カーブ23に移動した後に、容器は観察者から離れる方向に右上側のバンク20”’を通って、IRエリア15の出口へと向かう。
【0054】
好ましい実施形態においては、IRエリア15は以下の部分を備える:
−ベース炉の上部壁に配置された少なくとも1つのエアー吸入フィルター31(ここで、エアーは、炉の外部から到来し、温度が15乃至35℃である)、
−上側及び下側のバンクの間のIRエリアのほぼ中央に配置され、1つのインペラー30を備えた少なくとも1つのファン;
−バンクのそれぞれに配置された複数のIRモジュール(ここで、必ずしも必要ではないが、好ましくは各バンクに5つのモジュールが配置される)。
【0055】
IRモジュールは、孔あきの金属シート(たとえばアルミニウムシート)36により頂部及び底部を画定され、それぞれ、たとえば‘中波長[medium wave]IRランプ’として知られている熱起動[thermal inertia]タイプの温度1800°Kの石英ランプのようなIRランプ32、又は、有利には温度2400°Kの‘短波長ランプ’として知られているランプ、のバッテリーを有する。
【0056】
炉内では、インペラー30の軸Xに沿って上下方向にフィルター31を介してエアーが吸入され、該エアーは前記軸に対して90°の角度で前記インペラーにより排出される。かくして生成された側方エアー流40は、ベース炉の側壁に衝突して第1の上昇流41及び第2の下降流42に分割される。上昇流41及び下降流42は、それぞれ上側バンク20”,20”’及び下側バンク20’,20のIRモジュールを通る。このようにして、IRエリア15内のエアー流が最適化される。すなわち、IRエリアの15中央領域にファンインペラー30を配置することで、構造上の対称性を利用して炉の4つの隔室へ供給されるエアーの分布を均一化することが可能になる。
【0057】
容器に到達する前に、エアー流41,42はそれぞれ熱交換機たとえばフィン付のエアー−水熱交換機又はラジエター33を通過する。ラジエター33は、容器/塗装システムにより吸収されなかった輻射熱のエネルギーを回収する機能を持ち、かくして炉内のエアーの温度が有利に調節される。
【0058】
IRエリア15の出口では、容器9は、右上側バンク20”’に残り、加熱エアーエリア16に入る。ここには、前述のラジエター33の熱が予め定められた温度及び速度で運ばれる。この実施形態では、加熱エアーエリア16は、カーブ24,25,26により接続されたバンク20”’,20”,20’に延びており、各バンクはたとえば15個のモジュールに分割されている。加熱エアーエリア16を有するベース炉14の部分の断面は、図8に示されている。この例においては、加熱エアーは、少なくとも1つのフィルター31’により吸引され、少なくとも1つのインペラー30’により排出される。インペラー30’は側方エアー流40’を生成し、該側方エアー流40’は右側において上昇流41’のみを形成する。なぜならば、右下側のバンク20は、隔壁27により他のバンクから隔離されているからである。これに対して、左側では、上昇流41’及び下降流42’が生成される。加熱エアーエリア16においても、バンクには、フィン付のエアー−水パック又はラジエター33’及び孔あきの金属プレート36’が設けられている。
【0059】
乾燥工程の時間は、有利には、公称値で、以下の部分に分けられる:
−IRエリア15では、ネットでのカーブの最小時間は10乃至20秒間、好ましくは16秒間であり、
−加熱エアーエリア16では、ネットでのカーブの最小時間は30乃至50秒間、好ましくは40秒間である。
【0060】
乾燥工程の熱的な特徴は、次の通りである:
−IRエリア15では、電力密度は50乃至80kW/m(好ましくは60kW/m);50乃至70℃の温度でのフリー領域での通風は約2m/秒;パワーの分布は、高レベル、中高レベル、中低レベル及び低レベルの4つのレベル;
−加熱エアーエリア16では、50乃至70℃±2℃の温度でのフリー領域での通風は約2m/秒。
【0061】
バリア塗料の網状化のためのベース炉14の部分は以下の2つの主要エリアに分けられている:
−加熱エアーエリア16を出た容器9が冷却される冷却エアー調節エリア17(ここでは、容器の表面の温度は、約65℃から40度未満の温度へと低下せしめられる);
−バリア塗料が予め定められた波長のUV輻射により実際に重合せしめられる紫外線エリア又はUVエリア18。
【0062】
好ましい実施形態では、エリア17,18は、いずれも、加熱エアーが流れる他の3つのバンクから隔壁27により隔てられた右下側のバンク20に位置する。図8では、バンク20における、ファン35を備えた冷却エアー加圧チャンネル34を有するエリア17、及び中圧水銀放電ランプ28を備え、オゾン放出チャンネル29を有するUVエリア18、の断面が示されている。
【0063】
網状化ステップの時間は、好ましくは、以下のように分けられている:
−エアー調節エリア17では、グロスでの最長時間は約9秒(±3秒);
−UVエリア18では、グロスでの最短時間は約5秒(±2秒)。
【0064】
網状化ステップの熱的な特徴は、以下の通りである:
−エアー調節エリア17では、40℃の最高温度でのフリー領域での通風は約2m/秒;
−UVエリア18では、電力密度はグロスで120kW/m;40℃の最高温度でのフリー領域での通風は約2m/秒。
【0065】
図6に示される実施形態では、ベース炉14には、全体で4つの熱処理トンネルがある。そのうちの1つは、赤外線輻射発生専用のものである。他の3つは、加熱エアー調節、冷却エアー調節及び紫外線輻射発生などの種々のものである。各トンネルは、インペラーを持つ少なくとも1つのファンを備えており、パネル300により隣接トンネルとは区画されている。
【0066】
バリア塗料の第1の層が容器上で網状化されると、搬送チェーン10は容器をベース炉14から塗布ステーション3へと戻す。UVエリア18の出口では、チェーン10は、その運動の方向を先ず上下方向下向きに次いで再び水平方向に変化させ、これによりプリフォームホルダが回転して、容器を再びその長手方向軸が上下方向に位置するようにする。次に、チェーン10の第2のネジリが引き起こされる。
【0067】
次いで、容器は、チェーン10が第2の浸漬ホイール7に巻き掛けられた状態で、塗布ステーション3を垂直位置(垂直姿勢)で通過する。第2の浸漬ホイール7の下には複数の第2のタンクが配置されており、該第2のタンクは第2の浸漬ホイール7と同期して回転し、トップ塗料を収容している。この場合においても、上記のベース層の形成の場合と同様にして容器を複数の第2のタンクに浸漬することでトップ層が塗布される。
【0068】
更に、容器が第2の浸漬ホイール7を出るときには、上記の第1のスピニングホイール6の場合と同様にして、保護塗料のトップ層の厚さを調節するために、チェーン10は第2のスピニングホイール8への巻き掛けを開始する。
【0069】
塗布されたウェット状態のトップ塗料の膜は、20乃至10ミクロン(公差2ミクロン)の厚さを持ち、このウェット状態の膜の厚さは、容器の全表面につき及び機械動作の全期間にわたって、要求される公差内に維持しなければならない。
【0070】
浸漬により容器に第2の塗料層を形成し、更に過剰塗料を除去するために容器をスピニングした後に、搬送チェーン10は容器9をトップ層の流動(フローイング[flowing])−網状化炉または乾燥−網状化の炉(これは単に「トップ炉」と呼ばれる)14’へと搬送する。
【0071】
トップ炉14’の目的は、たとえばエタノールである低沸点溶媒をトップ塗料膜から除去して膜を流動させ、トップ塗料を完全に重合させることである。容器の塗装済みの表面の許容最高温度は65±2℃であり、塗装されていない部分すなわち首部及び首部リングの許容最高温度は55±2℃である。
【0072】
トップ炉14’へ入る前に、搬送チェーン10の運動の方向は、更に、先ず上下方向上向きに次いで再び水平方向に偏向されるので、プリフォームホルダが回転し、容器は再びその長手方向軸が水平位置(水平姿勢)となるように配置される。次いで、チェーン10に第3のネジリが発生する。容器9は、搬送チェーン10に係留されたまま水平位置にてトップ炉14’を通過する。搬送チェーン10は、図9に模式的に示される2つのレベルの経路を進む。この経路は、4つのバンクすなわち2つの下側バンク及び2つの上側バンクを有する。これらのバンクは、曲がったセグメント又は単にカーブにより互いに結合されている。
【0073】
図9及び図10の断面図を参照する。図10の紙面を考慮すれば、容器9は、先ず観察者から離れる方向に左下側のバンク50を通過する。次に、容器9は、カーブ51に従って移動した後に、観察者に向かう方向に右下側のバンク50’を通過する。次に、容器9は、カーブ52に従って移動した後に、観察者から離れる方向に右上側のバンク50”を通過する。最後に、容器9は、カーブ53に従って移動した後に、観察者に向かう方向に左上側のバンク50”’を通過して、トップ炉14’の出口の方へと移動する。
【0074】
好ましい実施形態においては、左下側のバンク50は次の通りである:
−第1の赤外線輻射エリア15’は、IRモジュールを備えている。IRモジュールの数は、必須ではないが好ましくは5個である。
【0075】
−第2の加熱エアー対流エリア16’は、モジュールに分けられている。モジュールの数は、必須ではないが好ましくは、総計15個であることを考慮して、各バンクにつき10個である。
【0076】
右下側のバンク50’及び右上側のバンク50”は、類似の加熱エアーモジュールを備えている。
【0077】
IRモジュールは、孔あきの金属シート(たとえばアルミニウムシート)36”により頂部及び底部を画定され、それぞれ、たとえば‘中波長IRランプ’として知られている熱起動タイプの温度1800°Kの石英ランプのようなIRランプ32’、又は、有利には温度2400°Kの‘短波長ランプ’として知られているランプ、のバッテリーを有する。
【0078】
流動−網状化炉14’は以下の部分を備える:
−炉14’の上部壁に配置された少なくとも1つのエアー吸入フィルター31”(ここで、エアーは、炉の外部から予め定められた速度で到来し、温度が15乃至35℃である);
−炉のモジュラー構造を構成する熱処理トンネルのそれぞれの上方及び下方のバンクの間に配置された、インペラー30”を備えた少なくとも1つのファン。
【0079】
エアーは、インペラー30”の軸X”に沿って上下方向にフィルター31”を介して吸入され、次いで前記軸に対して90°の角度で前記インペラーにより排出される。かくして生成された側方エアー流40”は、トップ炉の側壁に衝突して第1の上昇流41”及び第2の下降流42”に分割される。上昇流41”及び下降流42”は、IRモジュール及び加熱エアーモジュール(バンク50,50’,50”のそれぞれのもの)を通る。この例においては、エアーは、フィルター31”により吸引され、インペラー30”により排出される。左側においては(図9)、下降流42”のみが形成される。なぜならば、左上側のバンク50”は、隔壁27’により他のバンクから隔離されているからである。容器9に到達する前に、加熱エアー流41”,42”及びチャンネル34”からの冷却エアー流は、フィン付のエアー−水パック又はラジエター33”を通る。ラジエター33”は、容器/塗装システムにより吸収されなかった輻射熱のエネルギーを回収する機能を発揮して、炉のエアーの熱を調節する作用を行う。このようにして、トップ炉14’内のエアー流が有利に最適化される。
【0080】
双方の炉14,14’において、とくにこれらの炉のモジュラー構造を形成する熱処理トンネルのそれぞれにおいては、たとえば1つ以上の調節可能なシャッター200を有する少なくとも1つの出口部、及び、排気エアーの回収のための少なくとも1つの側方排出導管201が、設けられている。排気エアー排出システムは、有利には、2つの炉14,14”に設けられる。ベース炉14の場合には、排気エアーは水蒸気で充満しており、トップ炉14’の場合には、排気エアーはエタノール及/または他の溶媒により充満されている。
【0081】
流動工程は、トップ塗料から一般的には水である溶媒を除去することを目的としており、従って赤外線輻射(IR)と加熱エアー対流とを組合せたものに基づいている。容器は、溶媒が十分に蒸発するに必要な時間、赤外線及び加熱エアーに曝され、これに伴い容器の表面でのトップ塗料の均一な流れが可能になる。この場合においても、後続の工程が改善され、すなわち網状化の間での泡の形成が避けられる。
【0082】
トップ塗料は、上述のように隔壁27’により他のバンクから隔離されている左上側のバンク50”’において、最終的に網状化される。バンク50”’は以下の部分を有する:
−加熱エアーモジュールを出る容器9が冷却される冷却エアー調節エリア17’(ここでは、容器表面の温度は約60℃から40℃未満へと低下せしめられる);
−適宜の波長のUV輻射によりトップ塗料の重合プロセスが生ずる紫外線輻射エリア18’。
【0083】
本実施形態においても、ファン35’を備えた冷却エアー加圧チャンネル34’を有するエリア17’、及び中圧水銀放電ランプ28’を備え、オゾン放出チャンネル29’を有するエリア18’が設けられている。
【0084】
トップ塗料の流動−網状化工程は、以下のように分けられている:
−流動:赤外線輻射及び加熱エアー対流のエリアでの最短時間は、カーブのネットで、30乃至50秒間(好ましくは40秒間);
−エアー調節エリア17’では、グロスでの最長時間は約9秒(±3秒);
−UV網状化エリア18’では、グロスでの最短時間は約5秒(±2秒)。
【0085】
流動−網状化工程の熱的な特徴は、次の通りである:
−IR/加熱エアーのエリア:ランプ32’の電力密度は約50乃至80kW/m(好ましくは60kW/m);環境から直接取り込まれるエアーでの、40乃至70℃±2℃の温度でのフリー領域での通風は約2m/秒;
−冷却エアー調節エリア17’:サーモスタットで制御される20℃の温度のエアーのフリー領域での通風は2m/秒;
−UVエリア18’:ランプ28’のグロスでの電力密度は約120kW/m;サーモスタットで制御される20℃の最高温度のエアーのフリー領域での通風は2m/秒。
【0086】
図9に示される実施形態では、トップ炉14’には、全体で3つの熱処理トンネルがある。それらのそれぞれは、異なるバンク、すなわち加熱エアー調節、冷却エアー調節及び紫外線輻射発生のバンクを持つ。各トンネルは、インペラーを持つ少なくとも1つのファンを備えており、パネル300’により隣接トンネルとは区画されている。
【0087】
ここで、トップ炉14”の出口において、搬送チェーン10は第4の及び最後のネジリを受け、完全に乾燥し2つの塗料層により覆われた容器9をその長手方向軸が上下方向となるように戻す。チェーン10は、最終的に、装着/脱着ステーション2に至る。ここで、容器9は、適宜の把持具によりチェーンから取り外され、予め定められた特性を持つ1つ以上の下流搬送ラインへとシフトされる。下流搬送ラインは、容器を後続の処理ステーションや包装ステーションなどへと運ぶ。下流搬送ラインのタイプは、たとえばエアーコンベアまたはスラットコンベアである。
【0088】
有利には、双方の炉14,14’において、容器は、プリフォームホルダに固定されて水平位置にて進行する。従って、粒体或いは搬送チェーン10から落下する潤滑剤滴その他のゴミ粒子による汚染が防止される。炉内では、その温度が潤滑剤の粘度を低下させ、潤滑剤の流動性が高められるので、潤滑剤の必要性が高く、この潤滑剤での容器の汚染の危険性が増加するのであるが、上記のようにすることで、チェーン10を炉内で十分に潤滑することができる。
【0089】
図示はされていないが、有利には、双方の炉14,14’において、高エアー流を可能となす1以上の排気エアー回収調節ステーションを設ける。この回収調節ステーションでは、赤外線輻射エリア及び加熱エアーエリアから独立して、炉から排出される加熱エアー流の少なくとも一部を外部から取り込んだエアーと混合して炉へと戻すシステムを備える。有利には、本発明のシステムにおいては、エアー/水熱交換機へ供給される水の温度を調節することで、炉内のエアーの温度を調節することができる。本発明の塗装方法においては、他の補助ステーションを設けてもよい。補助ステーションとしては、たとえば、塗料貯蔵調製ステーション及び排気エアー清浄化ステーションが挙げられる。排気エアー清浄化ステーションは、システムが設置される国の基準に適合するように排気レベルを維持することができ、排気エアーから溶媒を回収するシステムまたは清浄化されるべき排気エアー中に存在する溶媒の熱量の一部を回収するためのバーナーとすることができる。炉のバンクにおけるIRモジュール、加熱エアーモジュール、冷却エアーモジュール及びUVモジュールの配置は、本発明の範囲から逸脱することなしに、使用塗料のタイプに応じて変わる塗装方法の各工程における時間その他のパラメータにより適宜変えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を持つプラスチック製容器用の熱処理トンネルであって、
該熱処理トンネルは、
前記長手方向軸に関する断面内において少なくとも4つのセクタに分割されており、
前記セクタの全てを順に通過する前記容器の搬送チェーン(10);
前記セクタの少なくとも1つに配置された熱輻射発生源;
前記トンネル内のエアーの第1の流れを入れるため前記トンネルの壁に形成された第1の開口;及び、
上下のセクタ間に配置され、複数の第2の部分流れを生じさせ、これらを各セクタ内で偏向させるように構成された、強制通風手段(30)、
を有することを特徴とする、プラスチック製容器用熱処理トンネル。
【請求項2】
前記第1の開口は、少なくとも1つの吸気フィルタ(31,31’,31”)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック製容器用熱処理トンネル。
【請求項3】
前記セクタのうちの少なくとも1つは、隔壁(27,27’)により遮蔽されていることを特徴とする、請求項2に記載のプラスチック製容器用熱処理トンネル。
【請求項4】
プラスチック製容器に少なくとも2層の塗料層を形成する塗装システムであって、
該塗装システムは、
容器(9)を搬送チェーン(10)に装着し及び前記容器の塗装プロセスが完了した時に前記容器を前記搬送チェーンから脱着する装着/脱着ステーション(2)であって、前記搬送チェーン(10)が前記システム内を通過するように閉じた経路に沿って走行するように構成されている、前記装着/脱着ステーション(2);
前記容器に少なくとも1つの塗料層を形成するように構成された少なくとも1つの塗料塗布ステーション(3);
1つまたは複数の請求項1に記載の熱処理トンネルを有し、各塗料塗布ステーションにおいて前記搬送チェーン(10)の通過の際に前記容器に形成された第1の塗料層のための第1の乾燥−網状化炉(14);及び、
1つまたは複数の請求項1に記載の熱処理トンネルを有し、各塗料塗布ステーションにおいて前記搬送チェーン(10)の通過の際に前記容器に形成された第2の塗料層のための第2の乾燥−網状化炉(14’)、
を有しており、
前記第1及び第2の炉(14,14’)は、それぞれ、前記容器上の塗料を乾燥/流動させるよう構成された第1の熱輻射発生部及び第1のエアー調節部、並びに、前記塗料の重合を完了させる第2のエアー調節部及び第2の熱輻射発生部、を有することを特徴とする塗装システム。
【請求項5】
前記第1の熱輻射発生部(15,15’)は、孔あきシート(36,36”)により区画された赤外線モジュールを有しており、該赤外線モジュールのそれぞれはIRランプ(32,32’)のバッテリーを備えていることを特徴とする、請求項4に記載の塗装システム。
【請求項6】
前記第1のエアー調節部(16,16’)は、モジュールに分割されており、第2の部分エアー流(40,40’,40”)を生成するように及び少なくとも1つの熱処理トンネルのそれぞれのセクタ内で各エアー流を偏向させて、前記赤外線輻射モジュール及び/又は前記第1のエアー調節部(16)のモジュールを均一に通過させるように構成された、少なくとも1つの強制通風手段(30,30’,30”)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の塗装システム。
【請求項7】
前記第2のエアー調節部(17,17’)は、少なくとも1つの熱処理トンネルの4つのセクタのうちで隔壁(27,27’)により他のセクタから区画されているセクタに設けられており、前記容器を予め定められた温度に冷却するように構成されたファン(35,35’)を備えた加圧エアーチャンネル(34,34’)を有することを特徴とする、請求項6に記載の塗装システム。
【請求項8】
前記第2の熱輻射発生部(18)は、少なくとも1つの熱処理トンネルの4つのセクタのうちで隔壁(27,27’)により他のセクタから区画されているセクタに設けられており、放電ランプ(28,28’)を備えた紫外線輻射モジュールを有し、オゾン放電チャンネル(29,29’)を有することを特徴とする、請求項7に記載の塗装システム。
【請求項9】
前記搬送チェーン(10)は、4つのセクタ内で上部及び下部の2つのレベルで前記炉(14,14’)内を移動するように構成されており、各セクタは、バンク(20,20’,20”,20”’,50,50’,50”,50”’)を有しており、該バンクのそれぞれは屈曲したセグメントにより次のバンクに接続されており、前記容器(9)の長手方向軸が前記炉内では実質上水平に位置し及び前記炉外では実質上垂直に位置するように前記容器(9)を配置させるよう構成されていることを特徴とする、請求項4乃至8の何れか一項に記載の塗装システム。
【請求項10】
前記バンクのそれぞれにおいて、熱交換器(33,33’)が前記容器(9)により吸収されなかった輻射熱のエネルギーを回収し、前記炉(14,14’)内の温度を調節するように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の塗装システム。
【請求項11】
各炉に関して1つ以上の排気エアー側方排出管が設けられており、また、ここには混合システムを有する1つ以上の排気エアー回収及び調節ステーションが形成されており、該排気エアー回収及び調節ステーションは、前記第1の熱輻射発生部(15,15’)から及び前記第1のエアー調節部(16,16’)からそれぞれ独立しており、前記炉からの排気エアーの少なくとも一部を外部環境から導入したエアーと混合し、続いて各炉内でエアーを搬送するように構成されていることを特徴とする、請求項4乃至10の何れか一項に記載の塗装システム。
【請求項12】
前記第1の炉(14)の第1の部分では、前記赤外線輻射モジュールは4つのバンク(20,20’,20”,20”’)上に配置されており、前記第1の炉の第2の部分では、前記第1のエアー調節部のモジュールが3つのバンク(20”’,20”,20’)上に配置されており、前記第1の炉の第2の部分のバンク(20)上には、前記第2のエアー調節部(17)及び前記紫外線輻射モジュールが配置されており、
前記第2の炉(14’)においては、前記第1のバンク(50)の一部分の上に前記赤外線輻射モジュールが配置されており、前記第1のバンクを有する3つのバンク(50,50’,50”)上に前記第1のエアー調節部のモジュールが配置されており、第4のバンク(50”’)上に前記第2のエアー調節部(17’)及び前記紫外線輻射モジュールが配置されていることを特徴とする、請求項9乃至11の何れか一項に記載の塗装システム。
【請求項13】
少なくとも1つの前記塗料塗布ステーション(3)は、回転タイプの機械(4)を有しており、
前記機械は、
それぞれ前記第1の塗料層を塗布し及び前記第1の塗布層の厚さを調節するための第1の浸漬ホイール(5)及び第1のスピニングホイール(6)、
それぞれ前記第2の塗料層を塗布し及び前記第2の塗布層の厚さを調節するための第2の浸漬ホイール(7)及び第2のスピニングホイール(8)、
前記第1及び第2の浸漬ホイール(5,7)のそれぞれの下に配置された第1層及び第2層の塗布層のための塗料をそれぞれ収容する複数の第1及び第2のタンク(11)であって、前記搬送チェーン(10)は前記第1及び第2の浸漬ホイール(5,7)に巻き掛けられて移動方向を変えるように構成されており、前記タンク(11)は、それぞれの浸漬ホイールと同期して回転し、同時に塗料中に沈めるため少なくとも1つの容器(9)を収容するよう垂直方向に変位するように構成されている、前記第1及び第2のタンク(11)、
少なくとも1つのデリバリーポンプ及び少なくとも1つの回転ジョイント、及び/又は、塗料をタンク(11)内へと供給する連絡配管システム、及び、
前記第1及び第2のスピニングホイール(6,8)によるスピニングの際に前記容器(9)の周囲に位置するように構成され、過剰塗料の回収システムを備えている保護シールド(60)、
を有することを特徴とする、請求項4乃至12の何れか一項に記載の塗装システム。
【請求項14】
請求項4乃至13のいずれか一項に記載の塗装システムを用いてプラスチック製容器を塗装する方法であって、
前記方法は、
前記システム内での閉じた経路上を走行するように構成された搬送チェーン(10)上の装着/脱着ステーション(2)に前記容器(9)を装着する工程、
各塗料塗布ステーション内で前記容器上に第1の塗料層を塗布する工程、
第1の乾燥−網状化炉(14)内で前記第1の塗料層を乾燥−網状化させる工程、
各塗料塗布ステーション内で前記容器上に第2の塗料層を塗布する工程、
第2の乾燥−網状化炉(14’)内で第2の塗料層を乾燥−網状化させる工程、及び、
前記搬送チェーンから容器(9)を脱着する工程、
を有しており、
前記第1及び第2の炉(14,14’)のそれぞれにおいて、乾燥ステップは前記容器上の塗料をそれぞれ乾燥/流動させる第1の熱輻射発生及び第1のエアー調節からなり、網状化ステップは塗料の重合を完了させるための第2のエアー調節及び第2の熱輻射発生からなることを特徴とする、プラスチック製容器の塗装方法。
【請求項15】
前記第1の熱輻射発生は赤外線輻射であり、前記第2の熱輻射発生は紫外線輻射であることを特徴とする、請求項14に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項16】
前記第1のエアー調節は、前記炉の壁に形成された少なくとも1つの吸入フィルタ(31,31’,31”)を用いて外部から15乃至35℃の温度で第1エアー流を吸入し、第2の部分エアー流(40,40’,40”)を発生させる少なくとも1つの強制通風手段(30,30’,30”)を用いて前記容器(9)に対して強制的に通風させ、これにより第2の部分エアー流が前記赤外線輻射モジュール及び/又は加熱エアー調節部(16)を均一に通過することができるようにすることを含んでなることを特徴とする、請求項15に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項17】
前記第2のエアー調節は、ファン(35,35’)を用いて前記容器に対する第2の強制通風を行い、これにより前記容器の表面温度を40℃未満にすることを含んでなることを特徴とする、請求項16に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項18】
前記第1の炉(14)において、乾燥及び網状化の工程は、フリーの部分において約2m/秒の通風によりなされ、ここで、第1の熱輻射発生部(15)及び第1のエアー調節部(16)では50乃至70℃の温度のエアーを用い、第2のエアー調節部(17)及び第2の熱輻射発生部(18)では40℃以下の温度のエアーを用い、
前記第2の炉(14’)において、乾燥及び網状化の工程は、フリーの部分において約2m/秒の通風によりなされ、ここで、第1の熱輻射発生部(15’)及び第1のエアー調節部(16’)では40乃至70℃の温度のエアーを用い、第2のエアー調節部(17)及び第2の熱輻射発生部(18)では20℃以下の温度のエアーを用いることを特徴とする、請求項14乃至17の何れか一項に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項19】
前記第1の炉(14)において、前記容器の滞在時間は、前記第1の熱輻射発生部(15)では約10乃至20秒であり、前記第1のエアー調節部(16)では約30乃至50秒であり、前記第2のエアー調節部(17)では約6乃至12秒であり、前記第2の熱輻射発生部(18)では約3乃至7秒であり、
前記第2の炉(14’)において、前記第1の熱輻射発生部(15’)及び前記第1のエアー調節部(16’)での前記容器の滞在時間の合計は約30乃至50秒であり、前記第2のエアー調節部(17’)での前記容器の滞在時間は約6乃至12秒であり、前記第2の熱輻射発生部(18’)での前記容器の滞在時間は約3乃至7秒であることを特徴とする、請求項18に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項20】
前記容器に吸収されなかった輻射熱のエネルギーを回収し、各バンクに備えられた熱交換器(33,33’)を用いて前記炉内のエアーの熱を調節し、
少なくとも1つの側方管を通って各炉からの排気エアーを排出し、
前記炉から排出される排気エアーの少なくとも一部を外部環境から取り込んだエアーと混合し、続いてエアーを各炉へと送給することにより、可能な限り前記排気エアーの回収及び調節を行うことを特徴とする、請求項14乃至19の何れか一項に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項21】
少なくとも1つの前記塗布ステーション(3)において、容器上の少なくとも1つの塗料層の塗布はタンク(11)内に容器(9)を浸漬することでなされ、ここで、搬送チェーン(10)が巻き掛けられている各浸漬ホイール(5,7)と同期して前記タンクが回転し、同時に該タンクが上下方向に変位して少なくとも1つの容器(9)を収容し、これにより前記容器を前記塗料に浸漬し、
該浸漬のステップは、タンク(11)を少なくとも1つの容器(9)に第1のストロークで接近させ、沈め及び取り出しの平均速度が約300mm/秒で沈めた状態の維持時間が約0.2秒間であるような第2のストロークで浸漬させるものであることを特徴とする、請求項14乃至20の何れか一項に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項22】
前記第1及び第2の塗料層の厚さは、各スピニングホイール(6,8)において配置される保護シールド(60)内で、該スピニングホイール(6,8)の回転速度から独立して毎分200乃至3000回転の範囲内の速度で予め定められた時間、容器(9)をその長手方向軸の周りで回転させることにより、調節されることを特徴とする、請求項21に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項23】
前記第1のスピニングホイール(6)を離れる時の容器(9)の外面における第1の塗料層の厚さは約100乃至20ミクロンであり、前記第2のスピニングホイール(8)を離れる時の容器(9)の外面における第2の塗料層の厚さは約20乃至10ミクロンであることを特徴とする、請求項22に記載のプラスチック製容器の塗装方法。
【請求項24】
前記炉(14,14’)内で、前記容器の塗装済み外面の最高温度は65±2℃であり、前記容器の塗装されていない表面の許容最高温度は55±2℃であることを特徴とする、請求項23に記載のプラスチック製容器の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−537319(P2009−537319A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511507(P2009−511507)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054943
【国際公開番号】WO2007/135147
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(503308405)エス.アイ.ピー.エイ.ソシエタ’インダストリアリザッジオーネ プロゲッタジオーネ エ オートマジオーネ ソシエタ ペル アチオニ (15)
【Fターム(参考)】