対象物にエネルギーを印加するための装置、方法、及びコンピュータプログラム
本発明は対象物2にエネルギーを印加するための装置に関し、該装置は対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素37を複合するための少なくとも1つの複合要素36を有し、複合要素は、周囲にエネルギー印加要素37が巻きつけられる軸60を有し、エネルギー印加要素37は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物にエネルギーを印加するための装置、方法、及びコンピュータプログラムに関する。本発明はさらに、該装置での使用のため、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素と、該装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物にエネルギーを印加するための装置は、例えば心房細動のインターベンショナル療法の分野で使用され、ここでは温熱療法により心臓組織が変性させられる。カテーテルを用いてラジオ周波数エネルギーが心臓組織に印加され、心筋の組織における抵抗損失により、熱エネルギーが生成される。心臓組織中の加熱された筋細胞は死滅し、その生物学的機能を失うが、これは組織インピーダンスの増加によって測定されることができる。
【0003】
US5,830,209は心臓の組織に光エネルギーを印加するための複数の光ファイバを有するレーザカテーテルを開示している。光ファイバはカテーテルの遠位端において小円に配列され、カテーテルが組織と接するときに組織の表面上に広範な光スポットを形成するよう、光を実質的に同じ方向に発する。組織上のある線に沿ってエネルギーを印加するためには、カテーテルがその線に沿って動かされなければならない、すなわち、光エネルギーはその線に沿って異なる位置に印加されなければならず、その異なる位置の間で、カテーテルは組織から離され、次の位置へ動かされ、そして再び組織に付着しなければならない。
【0004】
これは、特に対象物が動いている場合、組織への光エネルギーの不適切な印加を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より正確に線に沿ってエネルギーを印加することを可能にする、対象物にエネルギーを印加するための装置、方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。本発明のさらなる目的は、該装置での使用のためのエネルギー印加要素を有する対応する複合要素、及び該装置を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様では、対象物にエネルギーを印加するための装置が提供され、該装置は、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を有し、複合要素は、周囲にエネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【0007】
本発明は、エネルギー放出位置が線に沿って配列されるので、エネルギーがその線に沿って対象物に印加されることができ、エネルギー放出位置を有するエネルギー印加要素が複合要素の軸の周囲に巻きつけられるので、複数のエネルギー放出位置が互いに非常に近接して配列されることができる、すなわち、エネルギーが印加される対象物の隣接位置間の距離が非常に小さいか、又は全く距離がない、すなわち、エネルギーが例えば連続線に沿って印加されることができる、という考えに基づく。さらに、エネルギー印加要素をある位置から別の位置へと動かす必要なく、エネルギー放出位置が例えば対象物と接している間、エネルギーが線に沿って印加されることができるので、線に沿ってエネルギーを印加する精度が向上される。
【0008】
それに沿ってエネルギー放出位置が配列される線は、好ましくは複合要素の軸に平行である。該線は実質的に直線又は曲線であるか、あるいは該線はらせんを形成することがさらに好ましい。該線は閉ループであることもできる。好ましくは、該線は複合要素の長手方向にのびる。
【0009】
エネルギー印加要素は、例えば、光エネルギーが印加される場合は光ファイバ、又は電気エネルギーが印加される場合は電線を有し、光ファイバ又は電線はそれぞれ、複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。
【0010】
エネルギー放出位置は、好ましくは、例えば光エネルギー又は電気エネルギーなどのエネルギーがエネルギー印加要素から出る位置である。例えば、光ファイバの場合、エネルギー放出位置は、光が光ファイバから出ることができるように、光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングが光ファイバコアから除去される位置によって定められる。電線の場合、これは好ましくは絶縁材料によって囲まれるが、エネルギー放出位置は、電気エネルギーが電線から出ることができるように絶縁材料が電線から除去される位置である。
【0011】
該装置は好ましくは、エネルギーが印加されるべき位置へとエネルギー印加要素をガイドするために、中に複合要素、従ってエネルギー印加要素、特に光ファイバが位置する、管、特にカテーテルを有する、すなわち、該装置が例えば心腔内のアブレーション手術用に使用される場合、エネルギー印加要素はエネルギー印加要素をヒトの心臓へとガイドするためのガイドカテーテル内に位置する。
【0012】
該装置は好ましくは、複合要素、従ってエネルギー印加要素を包含する管を、エネルギーが印加されるべき位置、特に心腔などの対象物の内部空間内へと導く及び/又はナビゲートするためのガイド手段をさらに有する。
【0013】
エネルギー印加要素は好ましくは対象物の組織に適用される光アブレーション手術に適している。
【0014】
複合要素は、複合要素の軸の周囲に巻きつけられる、対象物を検出するための検出要素をさらに有することが好ましく、検出要素は、それに沿ってエネルギー放出位置が配列される線に沿って配列される検出位置を有する。従って、温度又は電位といった対象物の特性は、ある線に沿って検出されることができ、これに沿ってエネルギーも印加される。これは、検出される対象物の特性を観察することによってエネルギーの印加を制御することを可能にする。検出要素は例えば、検出位置から対象物の電位を測定するための電気測定装置へと電気信号を伝達するための電線、あるいは、検出位置から、吸収、散乱、及び/又は反射挙動などの特性を光学的に計測するための、例えば分光器などの光学測定装置へと光信号を伝達するための光ファイバを有する。電線及び/又は光ファイバは複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。検出位置は好ましくは、信号、特に電気又は光信号が受信され、かつ検出要素に入る、例えば電線又は光ファイバに入ることができる位置である。例えば、光ファイバの場合、検出位置は、光が光ファイバに入ることができるように、光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングが光ファイバコアから除去される位置によって定められる。電線の場合、これは好ましくは絶縁材料によって囲まれるが、検出位置は、電気信号が電線に入ることができるように絶縁材料が電線から除去される位置である。
【0015】
検出要素は、例えば温度検出又は電気検出に適しており、温度検出の場合検出要素は好ましくは熱電対を有する。検出要素は好ましくは互いに独立である。エネルギーが印加される各位置に対して対象物の特性が独立に検出されるよう、各検出要素が1つのエネルギー印加要素に割り当てられることがさらに好ましい。エネルギー印加要素は個々に制御可能であることがさらに好ましい。さらに、検出要素は光学温度センサを有することができ、これは例えば光ファイバの端に蛍光体コーティングを有する。
【0016】
少なくともエネルギー放出位置の一部と検出位置の一部が交互に配列されるよう、エネルギー印加要素と検出要素が軸の周囲に交互に巻きつけられることがさらに好ましい。この配列を用いることによって、エネルギー放出位置と検出位置がすぐ近くに配列され、エネルギーが印加される位置、又はこの位置の付近における特性の検出精度が向上される。
【0017】
複合要素は好ましくは軸を形成する保持要素を有する。つまり、エネルギー印加要素と、もしある場合は検出要素も、例えば光ファイバ及び/又は電線が、保持要素の周囲に巻きつけられる。保持要素はエネルギー印加要素と、これもまた存在することが好ましい検出要素を、支持及び/又はガイドする。
【0018】
保持要素は好ましくはワイヤである。保持要素は、例えば保持要素が、保持要素を例えば直線形状といった特定形状に維持するカテーテルなどの管の内部にあるがために強制された形状ではない場合、所定形状をとるように形状記憶効果を持つこともまた好ましい。これは、複合要素が管内で直線形状である間、エネルギーが印加される位置へとエネルギー印加要素をガイドすることを可能にし、保持要素は、エネルギーが印加される位置において複合要素が管から出た後、エネルギーの印加のための所定形状を複合要素に与えることができる。保持要素は好ましくは形状記憶合金ワイヤ、特にニチノールワイヤである。
【0019】
保持要素は好ましくは管状である。管状保持要素は、例えば対象物の外側を行き来しして、保持要素内において、複合要素が位置する位置を行き来して物質を移動させることができるという効果を持つ。例えば、エネルギーが印加される又は印加された位置を洗浄及び冷却するために、生理食塩水を保持要素内で移動させることができる。好ましくは管状保持要素は複合要素の軸に沿って孔を持ち、生理食塩水などの物質が軸に沿って管状保持要素を出入りすることができるよう、該孔は好ましくは例えばエネルギー印加要素によって覆われない。特に、エネルギー印加要素は、管状保持要素の孔を行き来する物質の伝達を可能にするために、中に孔が位置する光ファイバを有することができる。該孔は、該孔から出る生理食塩水が、光を光ファイバから対象物へ、及び/又はその反対にガイドするための光ガイドとなることができるように配列されることができる。管状保持要素は好ましくはニチノール管である。
【0020】
複数の複合要素が1つの構成、特にバスケット構造を形成することもまた好ましく、これは、複数の複合要素が互いに平行である折り畳み状態と、複数の複合要素が互いに平行ではない展開状態との間で変化可能であり、後者においては特に、折り畳み状態よりも多くの空間を要し、導電性コーティングを持つ光ファイバが、複合要素によって定められる体積、特に楕円形又は球状の体積の表面上に位置する。これは、複合要素が折り畳み状態である間、複合要素を管内でエネルギーが印加される位置へとガイドすることを可能にし、エネルギーが印加される位置に達した後、複合要素は管から出て、展開状態へと変化させられることができる。好ましくは、展開状態において複合要素は、エネルギーを印加するため、及び好ましくは対象物を検出するために対象物の表面と接する。
【0021】
複合要素は好ましくは、中にエネルギー印加要素が位置するケーシングを有する。好ましくは、検出要素及び好ましくは保持要素もまたケーシング内に位置する。ケーシングは、例えば中に血液が存在する心腔である、ケーシングの外部から、ケーシングの内部、特にエネルギー印加要素を分離する。ケーシングは好ましくは、保持要素が形状記憶効果を持つ場合は特に、保持要素の形状に従って複合要素が成形されることができるよう、弾性である。ケーシングは好ましくは生体適合性材料で作られる。ケーシングは、エネルギー、特に光及び/又は電気エネルギーがケーシングの内外で交換されることができるように、すなわち、ケーシングが少なくとも部分的に光透過性及び/又は導電性であるように構成されることがさらに好ましい。
【0022】
ケーシングは、エネルギー放出位置においてエネルギー印加要素のエネルギーに対して少なくとも部分的に透過性である窓を有することがさらに好ましく、特に、窓は少なくとも部分的に光透過性及び/又は電気エネルギー導電性である。好ましくは、ある材料が導電性である場合、その材料は電気エネルギーに対して透過性、すなわち電気的に透過性である。これは例えば光及び/又は電気エネルギーなどのエネルギーをケーシングの内外で伝達することを可能にする。好ましくは、エネルギー印加エネルギーが光を加える場合、光をフォーカスする及び/又は導くためのマイクロレンズが窓に加えられることができる。光エネルギーが印加される場合、窓はTiO2のような好ましくは光を吸収しない拡散粒子を有することがさらに好ましい。
【0023】
窓は好ましくは少なくとも部分的に光透過性でありかつ少なくとも部分的に導電性である。これはケーシングの内外で光を伝達することを可能にする。導電性の窓又は窓の導電性部分は、好ましくはエネルギー印加要素又は検出要素の導電体と電気的に接し、これは電気信号を受信又は印加するはずである。この接点は好ましくは電気信号が受信又は印加されるべき場所に位置する。光透過性部分は好ましくは導電性ではない。これは、窓の光透過性部分を通る対象物(心臓であり得る)からの電気信号の伝達を妨げる。
【0024】
各エネルギー印加要素が窓又は複数の窓を通してエネルギーを印加することができるよう、窓又は複数の窓は長手方向に寸法設定されることがさらに好ましい。複合要素がさらに検出要素を有する場合、検出要素もまた窓又は複数の窓を通して対象物からの信号を受信することができるよう、窓又は複数の窓は好ましくは長手方向に寸法設定される。
【0025】
窓は好ましくは、光透過性材料と導電性材料という少なくとも二種類の材料から成り、光透過性材料は光エネルギーが伝達されるべき位置に位置し、導電性材料は電気エネルギーが伝達されるべき位置に位置する。導電性の窓は好ましくはチタン又は白金イリジウムから成る。窓は好ましくは生体適合性である。
【0026】
窓の少なくとも一部は、ケーシングと、ケーシング内で開口が位置する場所の周囲に配列される、管状又は輪状の材料によって形成されることがさらに好ましい。これは、まずケーシングを持つ複合要素が製造されなければならないので、複合要素の製造工程を容易にする。その後、開口が所望のサイズで所望の位置に作られることができ、その後、管状又は輪状の材料がケーシングの周囲に配列されることができる。窓のサイズ及び位置についての決定は製造工程内の後期段階においてなされることができる。該材料は好ましくは少なくとも部分的に光学的及び/又は電気的に透過性である。さらに該材料は、該材料を所望の位置に固定するための少なくとも部分的に固定する要素を有する、すなわち該材料は弾性特性を持つことができ、又は例えばケーシングに接着させることができる。
【0027】
窓は好ましくは光透過性部分と導電性部分を交互に有する。これはある位置において光又は電気エネルギーを印加し、エネルギーが印加されるその位置のすぐ近くで対象物の特性を電気的又は光学的に検出することを可能にする。これはエネルギーの印加中における対象物の特性の観察の質を向上させる。
【0028】
少なくとも2つの複合要素が好ましくは共に巻きつけられる。これは線に沿ったエネルギー放出位置の数を増加させる。
【0029】
本発明のさらなる態様では、請求項1に記載の装置での使用のため、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素が提供され、複合要素は周囲にエネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【0030】
本発明のさらなる態様では、対象物にエネルギーを印加するための方法が提供され、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を用いることによって、エネルギーが線に沿って印加され、複合要素は周囲にエネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【0031】
本発明のさらなる態様では、請求項1に記載の装置を製造するための方法が提供され、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素は、複合要素の軸の周囲にエネルギー印加要素を巻きつけることによって、及びエネルギー放出位置が線に沿って配列されるようにエネルギー印加要素においてエネルギー放出位置を作ることによって製造される。
【0032】
本発明のさらなる態様では、対象物にエネルギーを印加するためのコンピュータプログラムが提供され、該コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置を制御するコンピュータで該コンピュータプログラムが実行されるとき、請求項10に記載の方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する。
【0033】
請求項1に記載の装置、請求項9に記載の複合要素、請求項10及び11に記載の方法、並びに請求項12に記載のコンピュータプログラムは、特に従属請求項に定められるものと同様及び/又は同一の好ましい実施形態を持つことが理解されるものとする。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項と各独立請求項の任意の組み合わせであることもできることが理解されるものとする。
【0035】
本発明のこれらの、及びその他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかとなり、これらを参照して説明される。以下の図面において、
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明に従って対象物にエネルギーを印加するための装置を概略的かつ例示的に示す。
【図2】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図3】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図4】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図5】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図6】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図7】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図8】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図9】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図10】図10は第二種の複合要素の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図11】図11は複合要素の構成を概略的かつ例示的に示す。
【図12】図12は複合要素の遠位端を概略的かつ例示的に示す。
【図13】図13及び図14は、カテーテルが肺静脈の2つの開口間に配列された状態で、複合要素を概略的に示す。
【図14】図13及び図14は、カテーテルが肺静脈の2つの開口間に配列された状態で、複合要素を概略的に示す。
【図15】図15及び図16は肺静脈の開口における複合要素の構成を概略的かつ例示的に示す。
【図16】図15及び図16は肺静脈の開口における複合要素の構成を概略的かつ例示的に示す。
【図17】図17は対象物にエネルギーを印加するための方法を例示的に図示するフローチャートを示す。
【図18】図18は対象物にエネルギーを印加するための装置を製造するための方法を例示的に図示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は対象物にエネルギーを印加するための装置1を示す。装置1は、管、この実施形態ではカテーテル6と、エネルギー放出位置及び検出位置を有する構成7を有する。構成7はカテーテル6を介して第一の制御ユニット5に接続される。カテーテル6は構成7と共に、この実施形態では患者台4上に位置する患者3の心臓である、対象物2へと導入されることができ、カテーテル6は、ガイド制御ユニット23によって外側から制御されることができる組み込みガイド手段(図示せず)によって心腔へと誘導及びナビゲートされる。別の実施形態では、カテーテルは、例えばカテーテルを心臓へと受動的にガイドするためにガイドワイヤを用いることによって、誘導及びナビゲートされることができる。ガイドワイヤもまたガイド制御ユニット23によって制御されることができる。
【0038】
構成7及びカテーテル6の対象物2への導入中、この実施形態では蛍光透視装置である画像装置12が、対象物2及び構成7の画像を生成する。この画像装置12は好ましくは、構成7が既に対象物2内に位置する場合も、対象物2及び構成7の画像を生成する。
【0039】
他の実施形態では、対象物は、その内面がエネルギーで処理されるべき、例えば患者の別の中空器官又は技術的対象物、特に中空技術的対象物であることができる。
【0040】
画像装置12、すなわちこの実施形態では蛍光透視装置12は、X線源9及び検出ユニット10を有し、これらは画像装置制御ユニット11によって制御される。画像装置12は既知の方法で対象物2及び構成7のX線投影画像を生成する。X線源9のX線は矢印35によって概略的に示される。
【0041】
別の実施形態では、蛍光透視装置の代わりに、別の画像装置が対象物2及び構成7を有する画像を生成するために使用されることができる。例えば、磁気共鳴画像装置、超音波画像装置、又はコンピュータ断層撮影装置が、対象物及び構成7の画像を生成するために使用されることができる。
【0042】
第一の制御ユニット5は、ガイド制御ユニット23、光エネルギー印加及び/又は検出用の光学装置8、電気エネルギー印加及び/又は検出用の電気装置13を有する。光学装置8及び/又は電気装置13は、対象物にエネルギーを印加するためのエネルギー印加要素に接続される。光エネルギーが印加されなければならない場合、エネルギー印加要素は光ファイバであり、これは光学装置8に接続され、光エネルギーが印加されるべき対象物内の位置へと光エネルギーを伝達する。電気エネルギーが対象物に印加されなければならない場合は、エネルギー印加要素は例えば電線などの導電体であり、これは電気装置に接続され、エネルギーが印加されるべき対象物内の位置へと電気エネルギーを伝達する。エネルギー印加要素は、複数のエネルギー印加要素を有する複合要素に複合され、これらエネルギー印加要素は複合要素の軸の周囲に、特に複合要素の中心軸の周囲に巻きつけられる。複合要素は対象物を検出するための検出要素をさらに有する。検出要素は、例えば検出される電気エネルギーを検出位置から電気装置13へと伝達するための電線を有する。検出要素は、例えば心臓などの対象物の電位を検出するため、及び/又は対象物の温度を検出するために構成されることができる。検出要素が対象物の温度を検出するために構成される場合、検出要素は好ましくは熱電対である。光検出が実行されるべき場合は、検出要素は光を検出位置から光学装置へと伝達するための光ファイバを有する。検出要素もまた複合要素の軸の周囲に巻きつけられる、すなわち全検出要素又は検出要素の一部が複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。例えば、検出要素が電線を有する場合は、電線が複合要素の軸の周囲に巻きつけられ、検出要素が光ファイバを有する場合は、光ファイバが複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。
【0043】
電気装置が対象物を検出するために使用される場合、電気装置は好ましくは、例えば対象物の電位又は温度を測定するために電気信号を測定するための検出器を有する。対象物の温度が測定されなければならない場合、検出要素は好ましくは二種の金属材料から成る熱電対であり、これらは検出位置において互いに接し、これら二種の金属材料間の電圧は電気装置によって測定され、電気装置は測定電圧に温度を割り当てる。電気装置は好ましくは、対象物の特性が検出要素の異なる検出位置において個々に測定されることができるように構成される。例えば、電気装置は各検出要素に対し単一の検出器を有することができる。
【0044】
電気装置が電気エネルギーを印加するために使用されるべき場合は、電気装置は好ましくは、エネルギーが印加されるべき位置へと電気エネルギーを伝達するため、特にエネルギー印加要素のエネルギー放出位置へと電気エネルギーを伝達するために、電線に接続される例えば電源などの電気エネルギー源を有する。好ましくは、異なるエネルギー印加要素が個々にアドレス可能である、すなわち、例えば電気装置は専用回路又は複数の電気エネルギー源を有し、各電気エネルギー源はエネルギー印加要素の単一電線に接続される。
【0045】
光学装置が光検出のために使用されるべき場合は、光学装置は好ましくは光を測定するための光学検出器と、好ましくは分光器を有する。この場合、光学装置は、例えば光ファイバである検出要素に接続され、異なる検出位置において互いに独立に対象物の特性を検出するために、好ましくは各検出要素が個々にアドレス可能であるようになっている。
【0046】
光学装置が光エネルギーを印加するために使用されるべき場合は、光学装置は例えば少なくとも1つのレーザ装置を有し、これは、この実施形態では光学装置から対象物内のエネルギー放出位置へと光エネルギーを伝達するためのエネルギー印加要素である、光ファイバに接続される。好ましくは、各エネルギー放出位置は個々にアドレス可能である、すなわち、例えば各エネルギー印加要素は光学装置の単一レーザ装置に接続されるか、あるいは光学装置は、異なるエネルギー印加要素を個々にアドレスするために、ビームスプリッタ、シャッタ、又は他の光学要素を有する。
【0047】
この実施形態では、電気装置は検出用に使用され、光学装置は光エネルギー印加用に使用される。
【0048】
各エネルギー印加要素は単一のエネルギー放出位置を有し、各検出要素は単一の検出位置を有する。エネルギー放出位置及び検出位置は実質的にある線に沿って配列される。この線は好ましくは複合要素の長手方向にのび、好ましくは複合要素の軸に対して平行であり、特に、複合要素の中心軸に対して平行である。該線は好ましくは曲線であるが、該線は直線であることもできる。
【0049】
エネルギー放出位置は好ましくは、例えば光エネルギー又は電気エネルギーなどのエネルギーがエネルギー印加要素から出る位置である。例えば光ファイバの場合、エネルギー放出位置は、光が光ファイバから出ることができるように、光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングが光ファイバコアから除去される位置によって定められる。電線の場合、これは好ましくは絶縁材料によって囲まれるが、エネルギー放出位置は、電気エネルギーが電線から出ることができるように絶縁材料が電線から除去される位置である。
【0050】
構成7は好ましくは複数の複合要素を有し、これらは、複合要素、従ってエネルギー印加要素及び検出要素を、エネルギーが印加されるべき位置へとガイドするためのカテーテル6内に位置する、すなわち、装置1が例えば心腔内のアブレーション手術用に使用される場合、複合要素は複合要素をヒトの心臓へとガイドするためのカテーテル内に位置する。好ましくは、エネルギー印加要素及び検出要素は対象物の組織に適用される光アブレーション手術に適している。
【0051】
エネルギー印加要素及び検出要素は好ましくは、少なくともエネルギー放出位置の一部と検出位置の一部が交互に配列されるように、複合要素の対象物の周囲に交互に巻きつけられる。
【0052】
この実施形態では、複合要素は軸を形成する保持要素を有する、すなわち、エネルギー印加要素及び検出要素の、例えばワイヤ、金属箔又は金属コーティングなどの導電体と光ファイバが、保持要素の周囲に巻きつけられる。保持要素はエネルギー印加要素と検出要素を支持及びガイドし、複合要素に特定形状を与える。保持要素は例えばワイヤ又は管であり、これは、例えば保持要素が、保持要素を例えば直線形状といった特定形状に維持するカテーテル6の内部にあるがために強制された形状ではない場合、所定形状をとるように形状記憶効果を持つ。これは、複合要素がカテーテル6内で直線形状である間、エネルギー印加要素と検出要素を有する複合要素をエネルギーが印加される位置へとガイドすることを可能にし、保持要素は、エネルギーが印加される位置において複合要素がカテーテル6から出た後、エネルギーの印加のための所定形状を複合要素に与えることができる。この実施形態では保持要素はニチノールで作られる。保持要素が管である場合、保持要素は好ましくは各複合要素の軸に沿って孔を有し、該孔は、生理食塩水が軸に沿って管状保持要素から出ることができるよう、例えばエネルギー印加要素又は検出要素によって覆われない。特に、エネルギー印加要素が光ファイバを有する場合、管状保持要素の孔からの生理食塩水の移動を可能にするために、光ファイバ内に孔を配置することができる。それら孔は、孔から出る生理食塩水が、光を各光ファイバから対象物へ、及び/又はさらにその反対にガイドするための光ガイドとなることができるように配列されることができる。
【0053】
複合要素はケーシングを有し、その中にエネルギー印加要素と検出要素が保持要素と共に位置する。ケーシングは、この実施形態では、複合要素が保持要素の形状に従って成形されることができるよう、弾性である。ケーシングは、この実施形態では、生体適合性材料で作られ、この実施形態では、エネルギー放出位置においてエネルギー印加要素のエネルギーに対して少なくとも部分的に透過性であり、かつ、検出位置において検出要素によって検出されるべき信号に対して少なくとも部分的に透過性である、窓を有する。
【0054】
以下では、複合要素の異なる実施形態が例示的に示される。
【0055】
図2は、ニチノール管である保持要素30を有する複合要素36を概略的かつ例示的に示す。検出要素としての電線31,32は、保持要素30の周囲、すなわち複合要素の中心軸60の周囲に、エネルギー印加要素としての光ファイバ37と共に巻きつけられる。保持要素30、電線31,32、及び光ファイバ37はケーシング39内に位置する。ケーシングは複合要素36の側面に作られる窓40を有する。各電線32とニチノール管30の間の接点において温度検出用の熱電対を形成するために、窓の位置において、電線32とニチノール管30の間にガルバニ接点が作られ、これらの接点の位置は温度検出位置である。温度検出位置は参照符号33によって示される。電線31は検出位置34における対象物の電位を測定するために使用される。電線31は好ましくは絶縁されるので、絶縁材料は検出位置34において除去される。例えば凝固、変性した組織の病変が予定される部分を洗浄するために、洗浄位置38においてニチノール管に開口が作られる。窓40は、この実施形態では、材料によって覆われない開口である。他の実施形態では、開口は例えばカバーによって覆われてもよく、これは少なくとも部分的に光学的に透過性かつ電気的に透過性、すなわち導電性であり、好ましくは洗浄用の孔を有する。つまり、カバーは好ましくは、光学的に透過性かつ好ましくは非導電性の領域と、導電性の領域とを有する。
【0056】
ニチノール管30は金属コーティングを有することができ、温度検出位置33において電線32は熱電対を形成するためにこの金属コーティングに接する。複合要素36は、洗浄、多点エネルギー印加、多点温度検出、及び多点電気検出を同時に実行するために使用されることができる。
【0057】
図3は複合要素136のさらなる実施形態を概略的かつ例示的に示す。図3及び図4、またこれ以降の図における同様の要素は同様の参照符号を有する。
【0058】
図3に示される複合要素136は、洗浄位置38において孔が光ファイバ37を通して作られる点で、図2に示される複合要素36とは異なる。この孔の内部は好ましくは金属コーティングでコーティングされ、これは電線32と保持要素30の間のガルバニ接点、又は保持要素30が金属コーティングを有する場合は電線32とこのコーティングの間の接点を確立し、熱電対を形成する。好ましくは、光ファイバ内の孔におけるコーティングは、光ファイバからの光を、対象物、特にヒトの心臓の組織に結合させるのを助けるために、光、特に赤外光を反射する。
【0059】
複合要素のさらなる実施形態は図4に概略的かつ例示的に示される。
【0060】
図4は、温度検出用の検出要素として使用される二種の金属箔41a,41bを有する複合要素236を示す。箔41a,41bは、熱電対を形成するために2つの箔41a,41bが接する温度検出位置33を除いて、互いに電気的に絶縁される。複合要素236は、複数の検出要素に複数の温度検出位置33を与えるために、2つの箔41a,41bの複数のペアを有する。検出位置34においてさらなる金属箔31を用いて電位が測定されることができる。洗浄開口38は光ファイバ37の間に作られる。付加的に又は代替的に、洗浄開口は光ファイバ37の中に作られることができ、これらの洗浄開口は、複合要素136について上述したように、熱電対を作るため、及び/又は対象物への光の結合を助けるために、コーティングされることができる。金属箔41a,41bのペアを有し、光ファイバ37を通る洗浄孔38を有するそのような複合要素の実施形態336は、図5に例示的かつ概略的に示される。
【0061】
図6は複合要素のさらなる実施形態436を概略的かつ例示的に示す。複合要素436はエネルギー印加要素として複数の光ファイバ37を有し、これらは金属コーティング42でコーティングされる。検出要素又は検出要素の一部として、少なくとも光ファイバ37の一部、特に各光ファイバ37に、金属箔41aが付加され、金属コーティング42は金属箔41aに対して電気的に絶縁される。温度検出位置33において、金属箔41aと金属コーティング42の間にガルバニ接点が作られる。ガルバニ接点は温度を測定するための熱電対を作り出す。別の実施形態では、温度検出位置において、光ファイバの各々又は少なくとも一部を、その間に電気絶縁コーティング層を持つ少なくとも2つの金属コーティングでコーティングすることによって、熱電対が作られる。温度検出位置において、熱電対を作るために2つの金属コーティング層の間にガルバニ接点が作られる。さらに、光ファイバ又は保持要素上の金属コーティングは、対象物、特にヒトの心臓における電位を検出するための導電体を形成するために使用されることができる。図6に示される実施形態436では、洗浄開口38は、光エネルギーが印加される位置を洗浄するため、特に、病変位置の洗浄のために、管状保持要素30の中に存在する。
【0062】
複合要素のさらなる実施形態536が図7に例示的かつ概略的に示される。複合要素536は、金属コーティング42,43でコーティングされる光ファイバ37を有する。窓40の位置において、金属コーティング43と保持要素30の間、又は、温度検出位置33において金属コーティング43と保持要素30上の金属コーティングの間に、熱電対を形成するためにガルバニ接点が作られる。電気検出位置34において、対象物の電気信号が光ファイバ37の金属コーティング42を用いて受信される。管状保持要素30への洗浄開口は洗浄位置38に配列される。温度検出位置は、光が光ファイバから出るエネルギー放出位置の近くに位置する。
【0063】
図7に示される実施形態536と同様の実施形態636が、図8に概略的かつ例示的に示される。図8に示される複合要素636は、光ファイバ37を通る洗浄位置38に位置する洗浄開口を有する。洗浄開口の内部は金属コーティングでコーティングされ、これは好ましくは、金属コーティング43と保持要素30の間、又は金属コーティング43と温度検出位置33における保持要素30上の金属コーティングの間に、熱電対を確立するためにガルバニ接点を確立する。洗浄開口内の金属コーティングは好ましくは、対象物、特にヒトの心臓の組織へ、光ファイバからの光を結合させるのを助けるために、光、特に赤外光を反射する。
【0064】
複合要素のさらなる実施形態736は図9に概略的かつ例示的に示される。複合要素736は、熱電対の代わりに、又はこれに加えて、温度検出位置において温度を検出するための光学温度センサを使用する。この場合、検出要素は光ファイバ44を有し、これは蛍光体コーティング45を有する。この複合要素736はまた、図9には示されていないさらなるエネルギー印加要素及び/又は検出要素を有することができる。複合要素736はまた洗浄開口38も有する。
【0065】
好ましい実施形態では、複数の複合要素が共通軸の周囲に共に巻きつけられ、上述された第一種の複合要素とみなされることができる複数の複合要素を有する、第二種の複合要素を形成する。第二種の複合要素はケーシング無しの複数の第一種の複合要素を有することができる。好ましくは、第二種の複合要素はケーシングを有し、その中にケーシング無しの第一種の複合要素が位置する。第二種の複合要素のケーシングは、好ましくは窓を有し、これはカバーの有無を問わずケーシング内の単純な開口であってよく、エネルギー放出位置において窓を通してエネルギー印加要素がエネルギーを印加すること、及び窓を通して検出位置において検出要素が対象物を検出することを可能にする。第二種の複合要素は複数の窓を有することができる。別の実施形態では、第一種の複合要素の各々はケーシングを有することができ、第二種の複合要素はケーシングを有さない。
【0066】
第二種の複合要素が図10に例示的かつ概略的に示される。第二種の複合要素45は窓47を持つケーシング46を有する。複数の第一種の複合要素、この実施形態では第一種の複合要素36が、共通軸48の周囲に巻きつけられる。窓47を通して、第一種の複合要素36のエネルギー印加要素と検出要素はアクセス可能である。さらに、第一種の複合要素36の管状保持要素は窓47を通してアクセス可能である。エネルギー印加要素のエネルギー放出位置、検出要素の検出位置、及び管状保持要素の洗浄位置は軸48に平行な線に沿って配列される。図10は、これらの位置において光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングを除去することによって作られる、光エネルギーを放出するエネルギー放出位置48、好ましくはこれらの位置において二種類の金属にガルバニックに接することによって作られる温度検出位置49、対象物の電位を検出するための電気検出位置50、及び洗浄開口51を概略的に示す。
【0067】
既に上述した通り、好ましくはエネルギーは異なるエネルギー放出位置において互いに独立して個々に対象物に印加されることができる。さらに、好ましくは対象物の特性は異なる検出位置において互いに独立して検出されることができる。エネルギーの印加と対象物の特性の検出は同時に実行されることがさらに好ましい。従ってエネルギーの印加は、異なる検出位置における電位若しくは温度などといった対象物の特性の検出によって制御されることができる。装置1はさらに、異なる検出位置において検出された特性に依存して異なるエネルギー放出位置におけるエネルギーの印加を制御するための第二の制御ユニット26を有し、好ましくは異なる検出位置において検出された特性が所定閾値を超えないようになっている。第二の制御ユニット26は好ましくはさらに画像装置12を制御するように構成される。
【0068】
図2から図9に示された複合要素は、複合要素の左側が開いているように示されている。開いた左側は、光ファイバ内及び複合要素内の要素の配列を例示するために示されているに過ぎず、実際には図2から図9に示された左側は、好ましくは全光エネルギーが反射されるように閉じられ、また電気絶縁材料でコーティングされる。図2から図9に示された右側は、好ましくは光学装置及び電気装置に接続され、特にプラグで接続される。
【0069】
図2から図9に示されたケーシングはコーティングであることができる。さらに、エネルギー印加要素及び考えられる検出要素は、好ましくはこれらが外側の絶縁コーティングを有する場合、又はこれらが導電性ではない場合は、保持要素の周囲に直接巻きつけられることができ、あるいは保持要素と距離を置いて巻きつけられることができる。後者の場合、間にスペーサが配列されることができ、又はケーシングが内腔を有することができ、これらは一般的に互いに分離され、その中にエネルギー印加要素及び考えられる検出要素が位置し、エネルギー放出位置及び/又は検出位置を形成するために必要な場合、これらは接続する。
【0070】
図11は構成7を概略的かつ例示的に示し、これに沿ってエネルギー放出位置と検出位置が配列される。構成7は複数の複合要素、この実施形態では複合要素36を有する。他の実施形態では、該構成は他の複合要素、例えば上記の複合要素、第一種及び/又は第二種の複合要素などを有することができる。
【0071】
複数の複合要素36が構成7を形成し、これは、複数の複合要素36が互いに平行である折り畳み状態と、図11に示された、複数の複合要素31が互いに平行ではない展開状態との間で変化可能であり、後者において複合要素36の窓は、好ましくは複合要素36によって定められる体積、特に楕円形又は球状の体積の表面上に位置する。これは、複合要素36が折り畳み状態である間、カテーテル6内において、エネルギーが印加される位置へと複合要素36をガイドすることを可能にし、エネルギーが印加される位置に達した後、複合要素36はカテーテル6から出ることができ、図11に示される展開状態へと変化させられることができる。カテーテル6と構成7は、この実施形態では、複合要素36の窓の少なくとも一部が、対象物にエネルギーを印加するため、及び対象物を検出するために対象物の表面に接するようにガイドされる。
【0072】
複合要素36の一端はリング要素26に取り付けられ、複合要素36の他端はシャフト28に取り付けられる。リング要素26の代わりに、全複合要素36を互いに固定する別の要素が使用されることができる。例えば、キャップ状構造が使用されることができる。
【0073】
図12は複合要素、特に上記の第一種又は第二種の複合要素のうちの1つの遠位端を概略的かつ例示的に示し、これはエネルギー印加要素、検出要素、及び洗浄用の管状保持要素を有する。これらの要素は、図12には示されていない窓を有する複合要素のケーシング39,46の中に位置し、例えば光ファイバなどのエネルギー印加要素、例えば電線などの検出要素が、例えばニチノール管である保持要素の周囲に巻きつけられる。図12に見られるように、エネルギー放出位置48、温度検出位置49、電気検出位置50、及び洗浄開口51は線53に沿って配列される。これは線に沿ったエネルギーの印加を可能にし、対象物の特性はこの線に沿って検出されることができ、冷却及び洗浄はこの線に沿って実行されることができる。
【0074】
図13は対象物にエネルギーを印加するための別の装置のカテーテル6を概略的に示し、これは1つの複合要素36のみを有する。他の実施形態では、対象物にエネルギーを印加するための装置は、図13に示された第一種の複合要素36の代わりに、別の単一の第一種の複合要素、特に上記の第一種の複合要素のうちの1つ、又は第二種の複合要素を有することができる。図13において複合要素36は、肺静脈の2つの開口54の間に位置し、これら2つの開口54の間の線に沿ってエネルギーを印加する。
【0075】
エネルギー放出位置48の配列が図14に概略的かつ例示的に示される。エネルギー放出位置48は、肺静脈の2つの開口54の間の線53に沿って配列され、これら2つの開口の間に線状病変をもたらす。
【0076】
図15は、図1に示される対象物にエネルギーを印加するための装置1の構成7の位置を概略的かつ例示的に示す。図15において構成7は展開されており、肺静脈の開口54と接している。エネルギー放出位置48の配列が図16に概略的かつ例示的に示される。エネルギー放出位置48は肺静脈の開口54を包囲する閉じた線55に沿って配列される。
【0077】
カテーテルは、好ましくは標準的なガイドカテーテルを通してガイドされることができるように寸法設定される。従って、構成7が折り畳み状態である場合、カテーテルは好ましくは3mm未満の外径を持つ。構成7が展開状態であり、例えば図15及び図16に概略的に示されるように肺静脈の開口54に押し付けられる場合は、閉じた線55の直径は好ましくは最小限に約15又は16mmである。さらに、肺静脈の開口の周囲でアブレーション手術を実行するために、2つの隣接エネルギー放出位置48の中心間距離は好ましくは5mm未満である。特に、2つの隣接エネルギー放出位置48間の距離は好ましくは4mmである。例えば、12の光ファイバが1つの複合要素のケーシング内に存在することができ、その光ファイバの外径は100μmであることができる。洗浄管の外径は300μmであることができる。従って複合要素は例えば500乃至600μmの外径を持つことができる。好ましくは、構成7は第一種又は第二種から10乃至15の複合要素を有することができる。電線は好ましくは25μm未満の直径を持ち、従って複合要素のケーシング内にその外径を増加させることなく一体化されることができる。
【0078】
以下では対象物にエネルギーを印加するための方法が図17に示されるフローチャートを参照して説明される。
【0079】
ステップ101では、構成7は折り畳み状態であり、カテーテル6内に位置し、カテーテル6はガイド制御ユニット23を用いることによって対象物内の所望の位置にガイドされる。
【0080】
ステップ102では、ガイド制御ユニット23を用いることによって、構成7がカテーテル6から出て、図11に概略的に示される展開状態へと変化させられる。展開された構成7は、ここでバスケット構造を持ち、エネルギーが印加されるべき対象物2の位置と接するようにガイドされる。構成7は複数のエネルギー放出位置と複数の検出位置を有するため、多点エネルギー印加及び検出が実行されることができる。別の実施形態では、構成7の代わりに、第一種又は第二種の、複数の複合要素又は単一の複合要素の別の構成が使用されることができる。
【0081】
エネルギー放出位置の少なくとも一部及び検出位置の少なくとも一部は対象物と接し、その接触力は、例え対象物が動いていても、エネルギー放出位置と検出位置が、位置している対象物の表面に対して動かないよう、十分に大きい。
【0082】
ステップ103では、光学装置8が光ファイバを介して複数のエネルギー放出位置において光エネルギーを印加し、光エネルギーの印加を観察するために、同時に検出要素によって検出位置において対象物が検出される。好ましくは、同時に、エネルギーが印加される対象物の位置が、洗浄開口から出る生理食塩水によって冷却及び洗浄される。
【0083】
エネルギーの印加及び観察は第二の制御ユニット26によって制御され、検出された対象物の特性が所定範囲外であることを第二の制御ユニット26が検出する場合は、第二の制御ユニット26は、ステップ105においてエネルギーの印加を停止すべきことを、ステップ104において決定する。また、エネルギーの印加を停止すべきことをユーザが第二の制御ユニット26に入力する場合、第二の制御ユニット26はエネルギーの印加を停止する。
【0084】
対象物2内における構成7を伴うカテーテル6のガイドは画像装置12によって観察される。
【0085】
以下ではエネルギーを印加するための装置を製造するための方法が図18に示されるフローチャートを参照して例示的に説明される。
【0086】
ステップ201では、複数のエネルギー印加要素と複数の検出要素、特に複数の光ファイバと複数の電線が提供される。さらに、保持要素、特に事前に成形されたニチノール管が提供される。
【0087】
ステップ202では、複数のエネルギー印加要素と複数の検出要素を1つの保持要素の周囲に巻きつけることによって、複数のエネルギー印加要素と検出要素を複合する少なくとも1つの複合要素が作られる。この実施形態では、複数の光ファイバと複数の電線が、保持要素となる1つのニチノール管の周囲に巻きつけられる。
【0088】
ステップ203では、エネルギー放出位置と検出位置がエネルギー印加要素と検出要素において作られる。別の実施形態では、ステップ203はステップ202の前に実行されることができる。この実施形態では、光が光ファイバコアから出ることができ、対象物に印加されることができるよう、クラッド及び考えられるさらなるコーティングが、エネルギー放出位置において光ファイバコアから除去される。さらに、この実施形態では、各電線は絶縁コーティングを有し、これは各検出位置において除去される。
【0089】
ステップ204では、中にエネルギー印加要素と検出要素が位置するケーシングを各複合要素が有するよう、各複合要素にケーシングが加えられる。この実施形態では、巻きつけられた光ファイバと電線を持つニチノール管がケーシング内に位置する。ケーシングは少なくとも1つの窓を有し、エネルギー印加要素と検出要素を持つ保持要素は、エネルギー放出位置と検出位置が窓に位置するようにケーシング内に配列される。
【0090】
複合要素が自由である場合、すなわち、例えばカテーテル6内に位置するがために強制された形状ではない場合、複合要素がバスケット構造を形成するよう、複数の複合要素が作られた後にこれらの複合要素は構成7に複合される。
【0091】
ステップ206では、構成7がカテーテル6から出され、カテーテル6に戻ることができるように、構成7がカテーテル6内に置かれる。さらに、エネルギー印加要素及び/又は検出要素が光学装置8及び電気装置13に接続される。特に、光ファイバが光学装置8に接続され、電線が電気装置13に接続される。さらに、光学装置8、電気装置13、及びガイド制御ユニット23が第一の制御ユニット5に複合され、これは第二の制御ユニット26に接続され、第二の制御ユニット26は画像装置12に接続される。
【0092】
上記の実施形態では、エネルギーがヒトの心臓の組織に印加され、この組織の特性が検出される。他の実施形態では、エネルギーが別の対象物、例えば技術的対象物に印加されることができ、技術的対象物の特性が検出要素によって検出されることができる。
【0093】
上記の実施形態では、光エネルギーが対象物に印加され、対象物が電気的に検出される。別の実施形態では、電気装置と、電線、金属箔又は金属コーティングなどの導電体を用いて、電気エネルギーが対象物に印加されることができ、光学装置と光ファイバを用いて対象物が光学的に検出されることができる。この場合、電気装置は好ましくは複数の電気エネルギー源を有し、光学装置は好ましくは分光器を有する。
【0094】
図2から図10に概略的かつ例示的に示される複合要素は好ましい実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、特に、異なるワイヤ、箔、コーティング、及び光ファイバ、並びに温度検出位置、電気検出位置、及び洗浄位置の分布は概略的かつ例示的に示され、本発明の範囲を限定すべきではない。
【0095】
対象物にエネルギーを印加するための装置は、例えば周囲アブレーション及び/又は部分アブレーションのために使用されることができる。
【0096】
本発明は図面と前述の説明において詳細に図示され記載されているが、そのような図示と記載は例証的又は例示的であって限定的なものではないとみなされる。本発明は開示された実施形態に限定されない。
【0097】
開示された実施形態への他の変更は、図面、開示、及び添付の請求項の考察から、請求された発明を実践する当業者によって理解され、遂行されることができる。
【0098】
請求項において、"有する"という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞"a"又は"an"は複数形を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項において列挙される複数の項目の機能を満たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0099】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に格納/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の通信システムを介するといった他の形式でも配布されてもよい。
【0100】
請求項における任意の参照符号は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物にエネルギーを印加するための装置、方法、及びコンピュータプログラムに関する。本発明はさらに、該装置での使用のため、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素と、該装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物にエネルギーを印加するための装置は、例えば心房細動のインターベンショナル療法の分野で使用され、ここでは温熱療法により心臓組織が変性させられる。カテーテルを用いてラジオ周波数エネルギーが心臓組織に印加され、心筋の組織における抵抗損失により、熱エネルギーが生成される。心臓組織中の加熱された筋細胞は死滅し、その生物学的機能を失うが、これは組織インピーダンスの増加によって測定されることができる。
【0003】
US5,830,209は心臓の組織に光エネルギーを印加するための複数の光ファイバを有するレーザカテーテルを開示している。光ファイバはカテーテルの遠位端において小円に配列され、カテーテルが組織と接するときに組織の表面上に広範な光スポットを形成するよう、光を実質的に同じ方向に発する。組織上のある線に沿ってエネルギーを印加するためには、カテーテルがその線に沿って動かされなければならない、すなわち、光エネルギーはその線に沿って異なる位置に印加されなければならず、その異なる位置の間で、カテーテルは組織から離され、次の位置へ動かされ、そして再び組織に付着しなければならない。
【0004】
これは、特に対象物が動いている場合、組織への光エネルギーの不適切な印加を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より正確に線に沿ってエネルギーを印加することを可能にする、対象物にエネルギーを印加するための装置、方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。本発明のさらなる目的は、該装置での使用のためのエネルギー印加要素を有する対応する複合要素、及び該装置を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様では、対象物にエネルギーを印加するための装置が提供され、該装置は、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を有し、複合要素は、周囲にエネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【0007】
本発明は、エネルギー放出位置が線に沿って配列されるので、エネルギーがその線に沿って対象物に印加されることができ、エネルギー放出位置を有するエネルギー印加要素が複合要素の軸の周囲に巻きつけられるので、複数のエネルギー放出位置が互いに非常に近接して配列されることができる、すなわち、エネルギーが印加される対象物の隣接位置間の距離が非常に小さいか、又は全く距離がない、すなわち、エネルギーが例えば連続線に沿って印加されることができる、という考えに基づく。さらに、エネルギー印加要素をある位置から別の位置へと動かす必要なく、エネルギー放出位置が例えば対象物と接している間、エネルギーが線に沿って印加されることができるので、線に沿ってエネルギーを印加する精度が向上される。
【0008】
それに沿ってエネルギー放出位置が配列される線は、好ましくは複合要素の軸に平行である。該線は実質的に直線又は曲線であるか、あるいは該線はらせんを形成することがさらに好ましい。該線は閉ループであることもできる。好ましくは、該線は複合要素の長手方向にのびる。
【0009】
エネルギー印加要素は、例えば、光エネルギーが印加される場合は光ファイバ、又は電気エネルギーが印加される場合は電線を有し、光ファイバ又は電線はそれぞれ、複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。
【0010】
エネルギー放出位置は、好ましくは、例えば光エネルギー又は電気エネルギーなどのエネルギーがエネルギー印加要素から出る位置である。例えば、光ファイバの場合、エネルギー放出位置は、光が光ファイバから出ることができるように、光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングが光ファイバコアから除去される位置によって定められる。電線の場合、これは好ましくは絶縁材料によって囲まれるが、エネルギー放出位置は、電気エネルギーが電線から出ることができるように絶縁材料が電線から除去される位置である。
【0011】
該装置は好ましくは、エネルギーが印加されるべき位置へとエネルギー印加要素をガイドするために、中に複合要素、従ってエネルギー印加要素、特に光ファイバが位置する、管、特にカテーテルを有する、すなわち、該装置が例えば心腔内のアブレーション手術用に使用される場合、エネルギー印加要素はエネルギー印加要素をヒトの心臓へとガイドするためのガイドカテーテル内に位置する。
【0012】
該装置は好ましくは、複合要素、従ってエネルギー印加要素を包含する管を、エネルギーが印加されるべき位置、特に心腔などの対象物の内部空間内へと導く及び/又はナビゲートするためのガイド手段をさらに有する。
【0013】
エネルギー印加要素は好ましくは対象物の組織に適用される光アブレーション手術に適している。
【0014】
複合要素は、複合要素の軸の周囲に巻きつけられる、対象物を検出するための検出要素をさらに有することが好ましく、検出要素は、それに沿ってエネルギー放出位置が配列される線に沿って配列される検出位置を有する。従って、温度又は電位といった対象物の特性は、ある線に沿って検出されることができ、これに沿ってエネルギーも印加される。これは、検出される対象物の特性を観察することによってエネルギーの印加を制御することを可能にする。検出要素は例えば、検出位置から対象物の電位を測定するための電気測定装置へと電気信号を伝達するための電線、あるいは、検出位置から、吸収、散乱、及び/又は反射挙動などの特性を光学的に計測するための、例えば分光器などの光学測定装置へと光信号を伝達するための光ファイバを有する。電線及び/又は光ファイバは複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。検出位置は好ましくは、信号、特に電気又は光信号が受信され、かつ検出要素に入る、例えば電線又は光ファイバに入ることができる位置である。例えば、光ファイバの場合、検出位置は、光が光ファイバに入ることができるように、光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングが光ファイバコアから除去される位置によって定められる。電線の場合、これは好ましくは絶縁材料によって囲まれるが、検出位置は、電気信号が電線に入ることができるように絶縁材料が電線から除去される位置である。
【0015】
検出要素は、例えば温度検出又は電気検出に適しており、温度検出の場合検出要素は好ましくは熱電対を有する。検出要素は好ましくは互いに独立である。エネルギーが印加される各位置に対して対象物の特性が独立に検出されるよう、各検出要素が1つのエネルギー印加要素に割り当てられることがさらに好ましい。エネルギー印加要素は個々に制御可能であることがさらに好ましい。さらに、検出要素は光学温度センサを有することができ、これは例えば光ファイバの端に蛍光体コーティングを有する。
【0016】
少なくともエネルギー放出位置の一部と検出位置の一部が交互に配列されるよう、エネルギー印加要素と検出要素が軸の周囲に交互に巻きつけられることがさらに好ましい。この配列を用いることによって、エネルギー放出位置と検出位置がすぐ近くに配列され、エネルギーが印加される位置、又はこの位置の付近における特性の検出精度が向上される。
【0017】
複合要素は好ましくは軸を形成する保持要素を有する。つまり、エネルギー印加要素と、もしある場合は検出要素も、例えば光ファイバ及び/又は電線が、保持要素の周囲に巻きつけられる。保持要素はエネルギー印加要素と、これもまた存在することが好ましい検出要素を、支持及び/又はガイドする。
【0018】
保持要素は好ましくはワイヤである。保持要素は、例えば保持要素が、保持要素を例えば直線形状といった特定形状に維持するカテーテルなどの管の内部にあるがために強制された形状ではない場合、所定形状をとるように形状記憶効果を持つこともまた好ましい。これは、複合要素が管内で直線形状である間、エネルギーが印加される位置へとエネルギー印加要素をガイドすることを可能にし、保持要素は、エネルギーが印加される位置において複合要素が管から出た後、エネルギーの印加のための所定形状を複合要素に与えることができる。保持要素は好ましくは形状記憶合金ワイヤ、特にニチノールワイヤである。
【0019】
保持要素は好ましくは管状である。管状保持要素は、例えば対象物の外側を行き来しして、保持要素内において、複合要素が位置する位置を行き来して物質を移動させることができるという効果を持つ。例えば、エネルギーが印加される又は印加された位置を洗浄及び冷却するために、生理食塩水を保持要素内で移動させることができる。好ましくは管状保持要素は複合要素の軸に沿って孔を持ち、生理食塩水などの物質が軸に沿って管状保持要素を出入りすることができるよう、該孔は好ましくは例えばエネルギー印加要素によって覆われない。特に、エネルギー印加要素は、管状保持要素の孔を行き来する物質の伝達を可能にするために、中に孔が位置する光ファイバを有することができる。該孔は、該孔から出る生理食塩水が、光を光ファイバから対象物へ、及び/又はその反対にガイドするための光ガイドとなることができるように配列されることができる。管状保持要素は好ましくはニチノール管である。
【0020】
複数の複合要素が1つの構成、特にバスケット構造を形成することもまた好ましく、これは、複数の複合要素が互いに平行である折り畳み状態と、複数の複合要素が互いに平行ではない展開状態との間で変化可能であり、後者においては特に、折り畳み状態よりも多くの空間を要し、導電性コーティングを持つ光ファイバが、複合要素によって定められる体積、特に楕円形又は球状の体積の表面上に位置する。これは、複合要素が折り畳み状態である間、複合要素を管内でエネルギーが印加される位置へとガイドすることを可能にし、エネルギーが印加される位置に達した後、複合要素は管から出て、展開状態へと変化させられることができる。好ましくは、展開状態において複合要素は、エネルギーを印加するため、及び好ましくは対象物を検出するために対象物の表面と接する。
【0021】
複合要素は好ましくは、中にエネルギー印加要素が位置するケーシングを有する。好ましくは、検出要素及び好ましくは保持要素もまたケーシング内に位置する。ケーシングは、例えば中に血液が存在する心腔である、ケーシングの外部から、ケーシングの内部、特にエネルギー印加要素を分離する。ケーシングは好ましくは、保持要素が形状記憶効果を持つ場合は特に、保持要素の形状に従って複合要素が成形されることができるよう、弾性である。ケーシングは好ましくは生体適合性材料で作られる。ケーシングは、エネルギー、特に光及び/又は電気エネルギーがケーシングの内外で交換されることができるように、すなわち、ケーシングが少なくとも部分的に光透過性及び/又は導電性であるように構成されることがさらに好ましい。
【0022】
ケーシングは、エネルギー放出位置においてエネルギー印加要素のエネルギーに対して少なくとも部分的に透過性である窓を有することがさらに好ましく、特に、窓は少なくとも部分的に光透過性及び/又は電気エネルギー導電性である。好ましくは、ある材料が導電性である場合、その材料は電気エネルギーに対して透過性、すなわち電気的に透過性である。これは例えば光及び/又は電気エネルギーなどのエネルギーをケーシングの内外で伝達することを可能にする。好ましくは、エネルギー印加エネルギーが光を加える場合、光をフォーカスする及び/又は導くためのマイクロレンズが窓に加えられることができる。光エネルギーが印加される場合、窓はTiO2のような好ましくは光を吸収しない拡散粒子を有することがさらに好ましい。
【0023】
窓は好ましくは少なくとも部分的に光透過性でありかつ少なくとも部分的に導電性である。これはケーシングの内外で光を伝達することを可能にする。導電性の窓又は窓の導電性部分は、好ましくはエネルギー印加要素又は検出要素の導電体と電気的に接し、これは電気信号を受信又は印加するはずである。この接点は好ましくは電気信号が受信又は印加されるべき場所に位置する。光透過性部分は好ましくは導電性ではない。これは、窓の光透過性部分を通る対象物(心臓であり得る)からの電気信号の伝達を妨げる。
【0024】
各エネルギー印加要素が窓又は複数の窓を通してエネルギーを印加することができるよう、窓又は複数の窓は長手方向に寸法設定されることがさらに好ましい。複合要素がさらに検出要素を有する場合、検出要素もまた窓又は複数の窓を通して対象物からの信号を受信することができるよう、窓又は複数の窓は好ましくは長手方向に寸法設定される。
【0025】
窓は好ましくは、光透過性材料と導電性材料という少なくとも二種類の材料から成り、光透過性材料は光エネルギーが伝達されるべき位置に位置し、導電性材料は電気エネルギーが伝達されるべき位置に位置する。導電性の窓は好ましくはチタン又は白金イリジウムから成る。窓は好ましくは生体適合性である。
【0026】
窓の少なくとも一部は、ケーシングと、ケーシング内で開口が位置する場所の周囲に配列される、管状又は輪状の材料によって形成されることがさらに好ましい。これは、まずケーシングを持つ複合要素が製造されなければならないので、複合要素の製造工程を容易にする。その後、開口が所望のサイズで所望の位置に作られることができ、その後、管状又は輪状の材料がケーシングの周囲に配列されることができる。窓のサイズ及び位置についての決定は製造工程内の後期段階においてなされることができる。該材料は好ましくは少なくとも部分的に光学的及び/又は電気的に透過性である。さらに該材料は、該材料を所望の位置に固定するための少なくとも部分的に固定する要素を有する、すなわち該材料は弾性特性を持つことができ、又は例えばケーシングに接着させることができる。
【0027】
窓は好ましくは光透過性部分と導電性部分を交互に有する。これはある位置において光又は電気エネルギーを印加し、エネルギーが印加されるその位置のすぐ近くで対象物の特性を電気的又は光学的に検出することを可能にする。これはエネルギーの印加中における対象物の特性の観察の質を向上させる。
【0028】
少なくとも2つの複合要素が好ましくは共に巻きつけられる。これは線に沿ったエネルギー放出位置の数を増加させる。
【0029】
本発明のさらなる態様では、請求項1に記載の装置での使用のため、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素が提供され、複合要素は周囲にエネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【0030】
本発明のさらなる態様では、対象物にエネルギーを印加するための方法が提供され、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を用いることによって、エネルギーが線に沿って印加され、複合要素は周囲にエネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する。
【0031】
本発明のさらなる態様では、請求項1に記載の装置を製造するための方法が提供され、対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素は、複合要素の軸の周囲にエネルギー印加要素を巻きつけることによって、及びエネルギー放出位置が線に沿って配列されるようにエネルギー印加要素においてエネルギー放出位置を作ることによって製造される。
【0032】
本発明のさらなる態様では、対象物にエネルギーを印加するためのコンピュータプログラムが提供され、該コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置を制御するコンピュータで該コンピュータプログラムが実行されるとき、請求項10に記載の方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する。
【0033】
請求項1に記載の装置、請求項9に記載の複合要素、請求項10及び11に記載の方法、並びに請求項12に記載のコンピュータプログラムは、特に従属請求項に定められるものと同様及び/又は同一の好ましい実施形態を持つことが理解されるものとする。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項と各独立請求項の任意の組み合わせであることもできることが理解されるものとする。
【0035】
本発明のこれらの、及びその他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかとなり、これらを参照して説明される。以下の図面において、
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明に従って対象物にエネルギーを印加するための装置を概略的かつ例示的に示す。
【図2】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図3】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図4】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図5】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図6】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図7】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図8】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図9】図2乃至図9は第一種の複合要素の異なる実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図10】図10は第二種の複合要素の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【図11】図11は複合要素の構成を概略的かつ例示的に示す。
【図12】図12は複合要素の遠位端を概略的かつ例示的に示す。
【図13】図13及び図14は、カテーテルが肺静脈の2つの開口間に配列された状態で、複合要素を概略的に示す。
【図14】図13及び図14は、カテーテルが肺静脈の2つの開口間に配列された状態で、複合要素を概略的に示す。
【図15】図15及び図16は肺静脈の開口における複合要素の構成を概略的かつ例示的に示す。
【図16】図15及び図16は肺静脈の開口における複合要素の構成を概略的かつ例示的に示す。
【図17】図17は対象物にエネルギーを印加するための方法を例示的に図示するフローチャートを示す。
【図18】図18は対象物にエネルギーを印加するための装置を製造するための方法を例示的に図示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は対象物にエネルギーを印加するための装置1を示す。装置1は、管、この実施形態ではカテーテル6と、エネルギー放出位置及び検出位置を有する構成7を有する。構成7はカテーテル6を介して第一の制御ユニット5に接続される。カテーテル6は構成7と共に、この実施形態では患者台4上に位置する患者3の心臓である、対象物2へと導入されることができ、カテーテル6は、ガイド制御ユニット23によって外側から制御されることができる組み込みガイド手段(図示せず)によって心腔へと誘導及びナビゲートされる。別の実施形態では、カテーテルは、例えばカテーテルを心臓へと受動的にガイドするためにガイドワイヤを用いることによって、誘導及びナビゲートされることができる。ガイドワイヤもまたガイド制御ユニット23によって制御されることができる。
【0038】
構成7及びカテーテル6の対象物2への導入中、この実施形態では蛍光透視装置である画像装置12が、対象物2及び構成7の画像を生成する。この画像装置12は好ましくは、構成7が既に対象物2内に位置する場合も、対象物2及び構成7の画像を生成する。
【0039】
他の実施形態では、対象物は、その内面がエネルギーで処理されるべき、例えば患者の別の中空器官又は技術的対象物、特に中空技術的対象物であることができる。
【0040】
画像装置12、すなわちこの実施形態では蛍光透視装置12は、X線源9及び検出ユニット10を有し、これらは画像装置制御ユニット11によって制御される。画像装置12は既知の方法で対象物2及び構成7のX線投影画像を生成する。X線源9のX線は矢印35によって概略的に示される。
【0041】
別の実施形態では、蛍光透視装置の代わりに、別の画像装置が対象物2及び構成7を有する画像を生成するために使用されることができる。例えば、磁気共鳴画像装置、超音波画像装置、又はコンピュータ断層撮影装置が、対象物及び構成7の画像を生成するために使用されることができる。
【0042】
第一の制御ユニット5は、ガイド制御ユニット23、光エネルギー印加及び/又は検出用の光学装置8、電気エネルギー印加及び/又は検出用の電気装置13を有する。光学装置8及び/又は電気装置13は、対象物にエネルギーを印加するためのエネルギー印加要素に接続される。光エネルギーが印加されなければならない場合、エネルギー印加要素は光ファイバであり、これは光学装置8に接続され、光エネルギーが印加されるべき対象物内の位置へと光エネルギーを伝達する。電気エネルギーが対象物に印加されなければならない場合は、エネルギー印加要素は例えば電線などの導電体であり、これは電気装置に接続され、エネルギーが印加されるべき対象物内の位置へと電気エネルギーを伝達する。エネルギー印加要素は、複数のエネルギー印加要素を有する複合要素に複合され、これらエネルギー印加要素は複合要素の軸の周囲に、特に複合要素の中心軸の周囲に巻きつけられる。複合要素は対象物を検出するための検出要素をさらに有する。検出要素は、例えば検出される電気エネルギーを検出位置から電気装置13へと伝達するための電線を有する。検出要素は、例えば心臓などの対象物の電位を検出するため、及び/又は対象物の温度を検出するために構成されることができる。検出要素が対象物の温度を検出するために構成される場合、検出要素は好ましくは熱電対である。光検出が実行されるべき場合は、検出要素は光を検出位置から光学装置へと伝達するための光ファイバを有する。検出要素もまた複合要素の軸の周囲に巻きつけられる、すなわち全検出要素又は検出要素の一部が複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。例えば、検出要素が電線を有する場合は、電線が複合要素の軸の周囲に巻きつけられ、検出要素が光ファイバを有する場合は、光ファイバが複合要素の軸の周囲に巻きつけられる。
【0043】
電気装置が対象物を検出するために使用される場合、電気装置は好ましくは、例えば対象物の電位又は温度を測定するために電気信号を測定するための検出器を有する。対象物の温度が測定されなければならない場合、検出要素は好ましくは二種の金属材料から成る熱電対であり、これらは検出位置において互いに接し、これら二種の金属材料間の電圧は電気装置によって測定され、電気装置は測定電圧に温度を割り当てる。電気装置は好ましくは、対象物の特性が検出要素の異なる検出位置において個々に測定されることができるように構成される。例えば、電気装置は各検出要素に対し単一の検出器を有することができる。
【0044】
電気装置が電気エネルギーを印加するために使用されるべき場合は、電気装置は好ましくは、エネルギーが印加されるべき位置へと電気エネルギーを伝達するため、特にエネルギー印加要素のエネルギー放出位置へと電気エネルギーを伝達するために、電線に接続される例えば電源などの電気エネルギー源を有する。好ましくは、異なるエネルギー印加要素が個々にアドレス可能である、すなわち、例えば電気装置は専用回路又は複数の電気エネルギー源を有し、各電気エネルギー源はエネルギー印加要素の単一電線に接続される。
【0045】
光学装置が光検出のために使用されるべき場合は、光学装置は好ましくは光を測定するための光学検出器と、好ましくは分光器を有する。この場合、光学装置は、例えば光ファイバである検出要素に接続され、異なる検出位置において互いに独立に対象物の特性を検出するために、好ましくは各検出要素が個々にアドレス可能であるようになっている。
【0046】
光学装置が光エネルギーを印加するために使用されるべき場合は、光学装置は例えば少なくとも1つのレーザ装置を有し、これは、この実施形態では光学装置から対象物内のエネルギー放出位置へと光エネルギーを伝達するためのエネルギー印加要素である、光ファイバに接続される。好ましくは、各エネルギー放出位置は個々にアドレス可能である、すなわち、例えば各エネルギー印加要素は光学装置の単一レーザ装置に接続されるか、あるいは光学装置は、異なるエネルギー印加要素を個々にアドレスするために、ビームスプリッタ、シャッタ、又は他の光学要素を有する。
【0047】
この実施形態では、電気装置は検出用に使用され、光学装置は光エネルギー印加用に使用される。
【0048】
各エネルギー印加要素は単一のエネルギー放出位置を有し、各検出要素は単一の検出位置を有する。エネルギー放出位置及び検出位置は実質的にある線に沿って配列される。この線は好ましくは複合要素の長手方向にのび、好ましくは複合要素の軸に対して平行であり、特に、複合要素の中心軸に対して平行である。該線は好ましくは曲線であるが、該線は直線であることもできる。
【0049】
エネルギー放出位置は好ましくは、例えば光エネルギー又は電気エネルギーなどのエネルギーがエネルギー印加要素から出る位置である。例えば光ファイバの場合、エネルギー放出位置は、光が光ファイバから出ることができるように、光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングが光ファイバコアから除去される位置によって定められる。電線の場合、これは好ましくは絶縁材料によって囲まれるが、エネルギー放出位置は、電気エネルギーが電線から出ることができるように絶縁材料が電線から除去される位置である。
【0050】
構成7は好ましくは複数の複合要素を有し、これらは、複合要素、従ってエネルギー印加要素及び検出要素を、エネルギーが印加されるべき位置へとガイドするためのカテーテル6内に位置する、すなわち、装置1が例えば心腔内のアブレーション手術用に使用される場合、複合要素は複合要素をヒトの心臓へとガイドするためのカテーテル内に位置する。好ましくは、エネルギー印加要素及び検出要素は対象物の組織に適用される光アブレーション手術に適している。
【0051】
エネルギー印加要素及び検出要素は好ましくは、少なくともエネルギー放出位置の一部と検出位置の一部が交互に配列されるように、複合要素の対象物の周囲に交互に巻きつけられる。
【0052】
この実施形態では、複合要素は軸を形成する保持要素を有する、すなわち、エネルギー印加要素及び検出要素の、例えばワイヤ、金属箔又は金属コーティングなどの導電体と光ファイバが、保持要素の周囲に巻きつけられる。保持要素はエネルギー印加要素と検出要素を支持及びガイドし、複合要素に特定形状を与える。保持要素は例えばワイヤ又は管であり、これは、例えば保持要素が、保持要素を例えば直線形状といった特定形状に維持するカテーテル6の内部にあるがために強制された形状ではない場合、所定形状をとるように形状記憶効果を持つ。これは、複合要素がカテーテル6内で直線形状である間、エネルギー印加要素と検出要素を有する複合要素をエネルギーが印加される位置へとガイドすることを可能にし、保持要素は、エネルギーが印加される位置において複合要素がカテーテル6から出た後、エネルギーの印加のための所定形状を複合要素に与えることができる。この実施形態では保持要素はニチノールで作られる。保持要素が管である場合、保持要素は好ましくは各複合要素の軸に沿って孔を有し、該孔は、生理食塩水が軸に沿って管状保持要素から出ることができるよう、例えばエネルギー印加要素又は検出要素によって覆われない。特に、エネルギー印加要素が光ファイバを有する場合、管状保持要素の孔からの生理食塩水の移動を可能にするために、光ファイバ内に孔を配置することができる。それら孔は、孔から出る生理食塩水が、光を各光ファイバから対象物へ、及び/又はさらにその反対にガイドするための光ガイドとなることができるように配列されることができる。
【0053】
複合要素はケーシングを有し、その中にエネルギー印加要素と検出要素が保持要素と共に位置する。ケーシングは、この実施形態では、複合要素が保持要素の形状に従って成形されることができるよう、弾性である。ケーシングは、この実施形態では、生体適合性材料で作られ、この実施形態では、エネルギー放出位置においてエネルギー印加要素のエネルギーに対して少なくとも部分的に透過性であり、かつ、検出位置において検出要素によって検出されるべき信号に対して少なくとも部分的に透過性である、窓を有する。
【0054】
以下では、複合要素の異なる実施形態が例示的に示される。
【0055】
図2は、ニチノール管である保持要素30を有する複合要素36を概略的かつ例示的に示す。検出要素としての電線31,32は、保持要素30の周囲、すなわち複合要素の中心軸60の周囲に、エネルギー印加要素としての光ファイバ37と共に巻きつけられる。保持要素30、電線31,32、及び光ファイバ37はケーシング39内に位置する。ケーシングは複合要素36の側面に作られる窓40を有する。各電線32とニチノール管30の間の接点において温度検出用の熱電対を形成するために、窓の位置において、電線32とニチノール管30の間にガルバニ接点が作られ、これらの接点の位置は温度検出位置である。温度検出位置は参照符号33によって示される。電線31は検出位置34における対象物の電位を測定するために使用される。電線31は好ましくは絶縁されるので、絶縁材料は検出位置34において除去される。例えば凝固、変性した組織の病変が予定される部分を洗浄するために、洗浄位置38においてニチノール管に開口が作られる。窓40は、この実施形態では、材料によって覆われない開口である。他の実施形態では、開口は例えばカバーによって覆われてもよく、これは少なくとも部分的に光学的に透過性かつ電気的に透過性、すなわち導電性であり、好ましくは洗浄用の孔を有する。つまり、カバーは好ましくは、光学的に透過性かつ好ましくは非導電性の領域と、導電性の領域とを有する。
【0056】
ニチノール管30は金属コーティングを有することができ、温度検出位置33において電線32は熱電対を形成するためにこの金属コーティングに接する。複合要素36は、洗浄、多点エネルギー印加、多点温度検出、及び多点電気検出を同時に実行するために使用されることができる。
【0057】
図3は複合要素136のさらなる実施形態を概略的かつ例示的に示す。図3及び図4、またこれ以降の図における同様の要素は同様の参照符号を有する。
【0058】
図3に示される複合要素136は、洗浄位置38において孔が光ファイバ37を通して作られる点で、図2に示される複合要素36とは異なる。この孔の内部は好ましくは金属コーティングでコーティングされ、これは電線32と保持要素30の間のガルバニ接点、又は保持要素30が金属コーティングを有する場合は電線32とこのコーティングの間の接点を確立し、熱電対を形成する。好ましくは、光ファイバ内の孔におけるコーティングは、光ファイバからの光を、対象物、特にヒトの心臓の組織に結合させるのを助けるために、光、特に赤外光を反射する。
【0059】
複合要素のさらなる実施形態は図4に概略的かつ例示的に示される。
【0060】
図4は、温度検出用の検出要素として使用される二種の金属箔41a,41bを有する複合要素236を示す。箔41a,41bは、熱電対を形成するために2つの箔41a,41bが接する温度検出位置33を除いて、互いに電気的に絶縁される。複合要素236は、複数の検出要素に複数の温度検出位置33を与えるために、2つの箔41a,41bの複数のペアを有する。検出位置34においてさらなる金属箔31を用いて電位が測定されることができる。洗浄開口38は光ファイバ37の間に作られる。付加的に又は代替的に、洗浄開口は光ファイバ37の中に作られることができ、これらの洗浄開口は、複合要素136について上述したように、熱電対を作るため、及び/又は対象物への光の結合を助けるために、コーティングされることができる。金属箔41a,41bのペアを有し、光ファイバ37を通る洗浄孔38を有するそのような複合要素の実施形態336は、図5に例示的かつ概略的に示される。
【0061】
図6は複合要素のさらなる実施形態436を概略的かつ例示的に示す。複合要素436はエネルギー印加要素として複数の光ファイバ37を有し、これらは金属コーティング42でコーティングされる。検出要素又は検出要素の一部として、少なくとも光ファイバ37の一部、特に各光ファイバ37に、金属箔41aが付加され、金属コーティング42は金属箔41aに対して電気的に絶縁される。温度検出位置33において、金属箔41aと金属コーティング42の間にガルバニ接点が作られる。ガルバニ接点は温度を測定するための熱電対を作り出す。別の実施形態では、温度検出位置において、光ファイバの各々又は少なくとも一部を、その間に電気絶縁コーティング層を持つ少なくとも2つの金属コーティングでコーティングすることによって、熱電対が作られる。温度検出位置において、熱電対を作るために2つの金属コーティング層の間にガルバニ接点が作られる。さらに、光ファイバ又は保持要素上の金属コーティングは、対象物、特にヒトの心臓における電位を検出するための導電体を形成するために使用されることができる。図6に示される実施形態436では、洗浄開口38は、光エネルギーが印加される位置を洗浄するため、特に、病変位置の洗浄のために、管状保持要素30の中に存在する。
【0062】
複合要素のさらなる実施形態536が図7に例示的かつ概略的に示される。複合要素536は、金属コーティング42,43でコーティングされる光ファイバ37を有する。窓40の位置において、金属コーティング43と保持要素30の間、又は、温度検出位置33において金属コーティング43と保持要素30上の金属コーティングの間に、熱電対を形成するためにガルバニ接点が作られる。電気検出位置34において、対象物の電気信号が光ファイバ37の金属コーティング42を用いて受信される。管状保持要素30への洗浄開口は洗浄位置38に配列される。温度検出位置は、光が光ファイバから出るエネルギー放出位置の近くに位置する。
【0063】
図7に示される実施形態536と同様の実施形態636が、図8に概略的かつ例示的に示される。図8に示される複合要素636は、光ファイバ37を通る洗浄位置38に位置する洗浄開口を有する。洗浄開口の内部は金属コーティングでコーティングされ、これは好ましくは、金属コーティング43と保持要素30の間、又は金属コーティング43と温度検出位置33における保持要素30上の金属コーティングの間に、熱電対を確立するためにガルバニ接点を確立する。洗浄開口内の金属コーティングは好ましくは、対象物、特にヒトの心臓の組織へ、光ファイバからの光を結合させるのを助けるために、光、特に赤外光を反射する。
【0064】
複合要素のさらなる実施形態736は図9に概略的かつ例示的に示される。複合要素736は、熱電対の代わりに、又はこれに加えて、温度検出位置において温度を検出するための光学温度センサを使用する。この場合、検出要素は光ファイバ44を有し、これは蛍光体コーティング45を有する。この複合要素736はまた、図9には示されていないさらなるエネルギー印加要素及び/又は検出要素を有することができる。複合要素736はまた洗浄開口38も有する。
【0065】
好ましい実施形態では、複数の複合要素が共通軸の周囲に共に巻きつけられ、上述された第一種の複合要素とみなされることができる複数の複合要素を有する、第二種の複合要素を形成する。第二種の複合要素はケーシング無しの複数の第一種の複合要素を有することができる。好ましくは、第二種の複合要素はケーシングを有し、その中にケーシング無しの第一種の複合要素が位置する。第二種の複合要素のケーシングは、好ましくは窓を有し、これはカバーの有無を問わずケーシング内の単純な開口であってよく、エネルギー放出位置において窓を通してエネルギー印加要素がエネルギーを印加すること、及び窓を通して検出位置において検出要素が対象物を検出することを可能にする。第二種の複合要素は複数の窓を有することができる。別の実施形態では、第一種の複合要素の各々はケーシングを有することができ、第二種の複合要素はケーシングを有さない。
【0066】
第二種の複合要素が図10に例示的かつ概略的に示される。第二種の複合要素45は窓47を持つケーシング46を有する。複数の第一種の複合要素、この実施形態では第一種の複合要素36が、共通軸48の周囲に巻きつけられる。窓47を通して、第一種の複合要素36のエネルギー印加要素と検出要素はアクセス可能である。さらに、第一種の複合要素36の管状保持要素は窓47を通してアクセス可能である。エネルギー印加要素のエネルギー放出位置、検出要素の検出位置、及び管状保持要素の洗浄位置は軸48に平行な線に沿って配列される。図10は、これらの位置において光ファイバのクラッド及び考えられるさらなるコーティングを除去することによって作られる、光エネルギーを放出するエネルギー放出位置48、好ましくはこれらの位置において二種類の金属にガルバニックに接することによって作られる温度検出位置49、対象物の電位を検出するための電気検出位置50、及び洗浄開口51を概略的に示す。
【0067】
既に上述した通り、好ましくはエネルギーは異なるエネルギー放出位置において互いに独立して個々に対象物に印加されることができる。さらに、好ましくは対象物の特性は異なる検出位置において互いに独立して検出されることができる。エネルギーの印加と対象物の特性の検出は同時に実行されることがさらに好ましい。従ってエネルギーの印加は、異なる検出位置における電位若しくは温度などといった対象物の特性の検出によって制御されることができる。装置1はさらに、異なる検出位置において検出された特性に依存して異なるエネルギー放出位置におけるエネルギーの印加を制御するための第二の制御ユニット26を有し、好ましくは異なる検出位置において検出された特性が所定閾値を超えないようになっている。第二の制御ユニット26は好ましくはさらに画像装置12を制御するように構成される。
【0068】
図2から図9に示された複合要素は、複合要素の左側が開いているように示されている。開いた左側は、光ファイバ内及び複合要素内の要素の配列を例示するために示されているに過ぎず、実際には図2から図9に示された左側は、好ましくは全光エネルギーが反射されるように閉じられ、また電気絶縁材料でコーティングされる。図2から図9に示された右側は、好ましくは光学装置及び電気装置に接続され、特にプラグで接続される。
【0069】
図2から図9に示されたケーシングはコーティングであることができる。さらに、エネルギー印加要素及び考えられる検出要素は、好ましくはこれらが外側の絶縁コーティングを有する場合、又はこれらが導電性ではない場合は、保持要素の周囲に直接巻きつけられることができ、あるいは保持要素と距離を置いて巻きつけられることができる。後者の場合、間にスペーサが配列されることができ、又はケーシングが内腔を有することができ、これらは一般的に互いに分離され、その中にエネルギー印加要素及び考えられる検出要素が位置し、エネルギー放出位置及び/又は検出位置を形成するために必要な場合、これらは接続する。
【0070】
図11は構成7を概略的かつ例示的に示し、これに沿ってエネルギー放出位置と検出位置が配列される。構成7は複数の複合要素、この実施形態では複合要素36を有する。他の実施形態では、該構成は他の複合要素、例えば上記の複合要素、第一種及び/又は第二種の複合要素などを有することができる。
【0071】
複数の複合要素36が構成7を形成し、これは、複数の複合要素36が互いに平行である折り畳み状態と、図11に示された、複数の複合要素31が互いに平行ではない展開状態との間で変化可能であり、後者において複合要素36の窓は、好ましくは複合要素36によって定められる体積、特に楕円形又は球状の体積の表面上に位置する。これは、複合要素36が折り畳み状態である間、カテーテル6内において、エネルギーが印加される位置へと複合要素36をガイドすることを可能にし、エネルギーが印加される位置に達した後、複合要素36はカテーテル6から出ることができ、図11に示される展開状態へと変化させられることができる。カテーテル6と構成7は、この実施形態では、複合要素36の窓の少なくとも一部が、対象物にエネルギーを印加するため、及び対象物を検出するために対象物の表面に接するようにガイドされる。
【0072】
複合要素36の一端はリング要素26に取り付けられ、複合要素36の他端はシャフト28に取り付けられる。リング要素26の代わりに、全複合要素36を互いに固定する別の要素が使用されることができる。例えば、キャップ状構造が使用されることができる。
【0073】
図12は複合要素、特に上記の第一種又は第二種の複合要素のうちの1つの遠位端を概略的かつ例示的に示し、これはエネルギー印加要素、検出要素、及び洗浄用の管状保持要素を有する。これらの要素は、図12には示されていない窓を有する複合要素のケーシング39,46の中に位置し、例えば光ファイバなどのエネルギー印加要素、例えば電線などの検出要素が、例えばニチノール管である保持要素の周囲に巻きつけられる。図12に見られるように、エネルギー放出位置48、温度検出位置49、電気検出位置50、及び洗浄開口51は線53に沿って配列される。これは線に沿ったエネルギーの印加を可能にし、対象物の特性はこの線に沿って検出されることができ、冷却及び洗浄はこの線に沿って実行されることができる。
【0074】
図13は対象物にエネルギーを印加するための別の装置のカテーテル6を概略的に示し、これは1つの複合要素36のみを有する。他の実施形態では、対象物にエネルギーを印加するための装置は、図13に示された第一種の複合要素36の代わりに、別の単一の第一種の複合要素、特に上記の第一種の複合要素のうちの1つ、又は第二種の複合要素を有することができる。図13において複合要素36は、肺静脈の2つの開口54の間に位置し、これら2つの開口54の間の線に沿ってエネルギーを印加する。
【0075】
エネルギー放出位置48の配列が図14に概略的かつ例示的に示される。エネルギー放出位置48は、肺静脈の2つの開口54の間の線53に沿って配列され、これら2つの開口の間に線状病変をもたらす。
【0076】
図15は、図1に示される対象物にエネルギーを印加するための装置1の構成7の位置を概略的かつ例示的に示す。図15において構成7は展開されており、肺静脈の開口54と接している。エネルギー放出位置48の配列が図16に概略的かつ例示的に示される。エネルギー放出位置48は肺静脈の開口54を包囲する閉じた線55に沿って配列される。
【0077】
カテーテルは、好ましくは標準的なガイドカテーテルを通してガイドされることができるように寸法設定される。従って、構成7が折り畳み状態である場合、カテーテルは好ましくは3mm未満の外径を持つ。構成7が展開状態であり、例えば図15及び図16に概略的に示されるように肺静脈の開口54に押し付けられる場合は、閉じた線55の直径は好ましくは最小限に約15又は16mmである。さらに、肺静脈の開口の周囲でアブレーション手術を実行するために、2つの隣接エネルギー放出位置48の中心間距離は好ましくは5mm未満である。特に、2つの隣接エネルギー放出位置48間の距離は好ましくは4mmである。例えば、12の光ファイバが1つの複合要素のケーシング内に存在することができ、その光ファイバの外径は100μmであることができる。洗浄管の外径は300μmであることができる。従って複合要素は例えば500乃至600μmの外径を持つことができる。好ましくは、構成7は第一種又は第二種から10乃至15の複合要素を有することができる。電線は好ましくは25μm未満の直径を持ち、従って複合要素のケーシング内にその外径を増加させることなく一体化されることができる。
【0078】
以下では対象物にエネルギーを印加するための方法が図17に示されるフローチャートを参照して説明される。
【0079】
ステップ101では、構成7は折り畳み状態であり、カテーテル6内に位置し、カテーテル6はガイド制御ユニット23を用いることによって対象物内の所望の位置にガイドされる。
【0080】
ステップ102では、ガイド制御ユニット23を用いることによって、構成7がカテーテル6から出て、図11に概略的に示される展開状態へと変化させられる。展開された構成7は、ここでバスケット構造を持ち、エネルギーが印加されるべき対象物2の位置と接するようにガイドされる。構成7は複数のエネルギー放出位置と複数の検出位置を有するため、多点エネルギー印加及び検出が実行されることができる。別の実施形態では、構成7の代わりに、第一種又は第二種の、複数の複合要素又は単一の複合要素の別の構成が使用されることができる。
【0081】
エネルギー放出位置の少なくとも一部及び検出位置の少なくとも一部は対象物と接し、その接触力は、例え対象物が動いていても、エネルギー放出位置と検出位置が、位置している対象物の表面に対して動かないよう、十分に大きい。
【0082】
ステップ103では、光学装置8が光ファイバを介して複数のエネルギー放出位置において光エネルギーを印加し、光エネルギーの印加を観察するために、同時に検出要素によって検出位置において対象物が検出される。好ましくは、同時に、エネルギーが印加される対象物の位置が、洗浄開口から出る生理食塩水によって冷却及び洗浄される。
【0083】
エネルギーの印加及び観察は第二の制御ユニット26によって制御され、検出された対象物の特性が所定範囲外であることを第二の制御ユニット26が検出する場合は、第二の制御ユニット26は、ステップ105においてエネルギーの印加を停止すべきことを、ステップ104において決定する。また、エネルギーの印加を停止すべきことをユーザが第二の制御ユニット26に入力する場合、第二の制御ユニット26はエネルギーの印加を停止する。
【0084】
対象物2内における構成7を伴うカテーテル6のガイドは画像装置12によって観察される。
【0085】
以下ではエネルギーを印加するための装置を製造するための方法が図18に示されるフローチャートを参照して例示的に説明される。
【0086】
ステップ201では、複数のエネルギー印加要素と複数の検出要素、特に複数の光ファイバと複数の電線が提供される。さらに、保持要素、特に事前に成形されたニチノール管が提供される。
【0087】
ステップ202では、複数のエネルギー印加要素と複数の検出要素を1つの保持要素の周囲に巻きつけることによって、複数のエネルギー印加要素と検出要素を複合する少なくとも1つの複合要素が作られる。この実施形態では、複数の光ファイバと複数の電線が、保持要素となる1つのニチノール管の周囲に巻きつけられる。
【0088】
ステップ203では、エネルギー放出位置と検出位置がエネルギー印加要素と検出要素において作られる。別の実施形態では、ステップ203はステップ202の前に実行されることができる。この実施形態では、光が光ファイバコアから出ることができ、対象物に印加されることができるよう、クラッド及び考えられるさらなるコーティングが、エネルギー放出位置において光ファイバコアから除去される。さらに、この実施形態では、各電線は絶縁コーティングを有し、これは各検出位置において除去される。
【0089】
ステップ204では、中にエネルギー印加要素と検出要素が位置するケーシングを各複合要素が有するよう、各複合要素にケーシングが加えられる。この実施形態では、巻きつけられた光ファイバと電線を持つニチノール管がケーシング内に位置する。ケーシングは少なくとも1つの窓を有し、エネルギー印加要素と検出要素を持つ保持要素は、エネルギー放出位置と検出位置が窓に位置するようにケーシング内に配列される。
【0090】
複合要素が自由である場合、すなわち、例えばカテーテル6内に位置するがために強制された形状ではない場合、複合要素がバスケット構造を形成するよう、複数の複合要素が作られた後にこれらの複合要素は構成7に複合される。
【0091】
ステップ206では、構成7がカテーテル6から出され、カテーテル6に戻ることができるように、構成7がカテーテル6内に置かれる。さらに、エネルギー印加要素及び/又は検出要素が光学装置8及び電気装置13に接続される。特に、光ファイバが光学装置8に接続され、電線が電気装置13に接続される。さらに、光学装置8、電気装置13、及びガイド制御ユニット23が第一の制御ユニット5に複合され、これは第二の制御ユニット26に接続され、第二の制御ユニット26は画像装置12に接続される。
【0092】
上記の実施形態では、エネルギーがヒトの心臓の組織に印加され、この組織の特性が検出される。他の実施形態では、エネルギーが別の対象物、例えば技術的対象物に印加されることができ、技術的対象物の特性が検出要素によって検出されることができる。
【0093】
上記の実施形態では、光エネルギーが対象物に印加され、対象物が電気的に検出される。別の実施形態では、電気装置と、電線、金属箔又は金属コーティングなどの導電体を用いて、電気エネルギーが対象物に印加されることができ、光学装置と光ファイバを用いて対象物が光学的に検出されることができる。この場合、電気装置は好ましくは複数の電気エネルギー源を有し、光学装置は好ましくは分光器を有する。
【0094】
図2から図10に概略的かつ例示的に示される複合要素は好ましい実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、特に、異なるワイヤ、箔、コーティング、及び光ファイバ、並びに温度検出位置、電気検出位置、及び洗浄位置の分布は概略的かつ例示的に示され、本発明の範囲を限定すべきではない。
【0095】
対象物にエネルギーを印加するための装置は、例えば周囲アブレーション及び/又は部分アブレーションのために使用されることができる。
【0096】
本発明は図面と前述の説明において詳細に図示され記載されているが、そのような図示と記載は例証的又は例示的であって限定的なものではないとみなされる。本発明は開示された実施形態に限定されない。
【0097】
開示された実施形態への他の変更は、図面、開示、及び添付の請求項の考察から、請求された発明を実践する当業者によって理解され、遂行されることができる。
【0098】
請求項において、"有する"という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞"a"又は"an"は複数形を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項において列挙される複数の項目の機能を満たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0099】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に格納/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の通信システムを介するといった他の形式でも配布されてもよい。
【0100】
請求項における任意の参照符号は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物にエネルギーを印加するための装置であって、前記装置は、前記対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を有し、前記複合要素は周囲に前記エネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、前記エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する、装置。
【請求項2】
前記複合要素が、前記複合要素の前記軸の周囲に巻きつけられる、前記対象物を検出するための検出要素をさらに有し、前記検出要素は、前記エネルギー放出位置が沿って配列される前記線に沿って配列される検出位置を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも前記エネルギー放出位置のいくつかと前記検出位置のいくつかが交互に配列されるように、前記エネルギー印加要素と前記検出要素が前記軸の周囲に交互に巻きつけられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複合要素が前記軸を形成する保持要素を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記保持要素が管状である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複合要素が、中に前記エネルギー印加要素が位置するケーシングを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ケーシングが、前記エネルギー放出位置において前記エネルギー印加要素のエネルギーに対して少なくとも部分的に透過性である窓を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つの複合要素が一緒に巻きつけられる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置での使用のため、前記対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素であって、前記複合要素は、周囲に前記エネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、前記エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する、複合要素。
【請求項10】
対象物にエネルギーを印加するための方法であって、前記対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を用いることによって、エネルギーが線に沿って印加され、前記複合要素は周囲に前記エネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、前記エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する、方法。
【請求項11】
対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素が、前記複合要素の軸の周囲にエネルギー印加要素を巻きつけることによって、及び前記エネルギー放出位置が線に沿って配列されるように前記エネルギー印加要素においてエネルギー放出位置を作ることによって製造される、請求項10に記載の装置を製造するための方法。
【請求項12】
対象物にエネルギーを印加するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置を制御するコンピュータで前記コンピュータプログラムが実行されるとき、請求項10に記載の方法のステップを前記コンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【請求項1】
対象物にエネルギーを印加するための装置であって、前記装置は、前記対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を有し、前記複合要素は周囲に前記エネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、前記エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する、装置。
【請求項2】
前記複合要素が、前記複合要素の前記軸の周囲に巻きつけられる、前記対象物を検出するための検出要素をさらに有し、前記検出要素は、前記エネルギー放出位置が沿って配列される前記線に沿って配列される検出位置を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも前記エネルギー放出位置のいくつかと前記検出位置のいくつかが交互に配列されるように、前記エネルギー印加要素と前記検出要素が前記軸の周囲に交互に巻きつけられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複合要素が前記軸を形成する保持要素を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記保持要素が管状である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複合要素が、中に前記エネルギー印加要素が位置するケーシングを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ケーシングが、前記エネルギー放出位置において前記エネルギー印加要素のエネルギーに対して少なくとも部分的に透過性である窓を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つの複合要素が一緒に巻きつけられる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置での使用のため、前記対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素であって、前記複合要素は、周囲に前記エネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、前記エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する、複合要素。
【請求項10】
対象物にエネルギーを印加するための方法であって、前記対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための少なくとも1つの複合要素を用いることによって、エネルギーが線に沿って印加され、前記複合要素は周囲に前記エネルギー印加要素が巻きつけられる軸を有し、前記エネルギー印加要素は線に沿って配列されるエネルギー放出位置を有する、方法。
【請求項11】
対象物にエネルギーを印加するための複数のエネルギー印加要素を複合するための複合要素が、前記複合要素の軸の周囲にエネルギー印加要素を巻きつけることによって、及び前記エネルギー放出位置が線に沿って配列されるように前記エネルギー印加要素においてエネルギー放出位置を作ることによって製造される、請求項10に記載の装置を製造するための方法。
【請求項12】
対象物にエネルギーを印加するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置を制御するコンピュータで前記コンピュータプログラムが実行されるとき、請求項10に記載の方法のステップを前記コンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2011−505893(P2011−505893A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536558(P2010−536558)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054984
【国際公開番号】WO2009/072039
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054984
【国際公開番号】WO2009/072039
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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