説明

対象物検知装置

【課題】監視画像に現れる対象物の像を検知する対象物検知装置において、検知精度を向上させる。
【解決手段】特徴領域抽出手段40は監視画像から対象物の特徴を有した特徴領域を抽出する。一方、画像分割手段41は、監視画像に対してセグメンテーション処理を行い、それぞれ画素値が所定の類似性を有する画素からなる複数の画像断片に監視画像を分割する。存否判定手段43は、特徴領域の内外に跨る不確定断片を検出し、不確定断片のうち特徴領域の内側にある画素数に応じて増加する内側評価値を求め、当該内側評価値を特徴領域の抽出誤差として特徴領域に対象物が存在するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視画像から検知対象物の特徴を有する領域を抽出し、検知対象物の存在を判定する対象物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
侵入者や不審者などを検知するために監視画像から検知対象物である人間の領域を抽出することが行われる。この領域の抽出には背景差分処理や識別器による探索処理などが用いられるが、その際、検知対象物以外の領域が誤抽出される場合があり、誤報の原因となる。
【0003】
この点、特許文献1に記載の移動物体追跡装置では、背景差分処理により抽出された領域の寸法や縦横比などの形状の特徴が監視対象としてふさわしくない場合に当該領域を処理対象から除外することにより誤抽出の低減を図っている。
【0004】
また、特許文献2に記載の対象物検出装置では、検出したい対象物の大きさとなるウィンドウを入力画像に順次設定して、識別器を用いたスキャンを行うことにより誤抽出の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−250772号公報
【特許文献2】特開2005−157679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術においては誤抽出された領域を除外しきれず、依然として誤抽出された領域に検知対象物の存在を判定してしまうという問題が残っていた。
【0007】
例えば、背景差分処理を用いる特許文献1に記載の移動物体追跡装置においては、草木が揺れたり、ヘッドライトに照らされたりした背景の一部領域が、たまたま人間程度の寸法や縦横比を有している場合に、これらの領域を誤抽出してしまう。背景に生じる変化は多種多様であるため、寸法や縦横比の基準を調整するだけでは誤抽出を根絶するのは困難である。
【0008】
また例えば、識別器を用いる特許文献2に記載の対象物検出装置においては、背景の一部領域がたまたま人間と似た大きさや特徴を有する場合にこの領域を誤抽出してしまう。背景は多種多様であるため識別器の学習データを増やしても誤抽出を根絶するのは困難である。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、背景の誤抽出を排除して高い精度で物体の存在を検知できる対象物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る対象物検知装置は、判定対象画像に基づいて検知対象物を検出するものであって、前記判定対象画像から前記検知対象物の特徴を有した特徴領域を抽出する特徴領域抽出手段と、それぞれ画素値が所定の類似性を有する画素からなる複数の画像断片に前記判定対象画像を分割する画像分割手段と、前記画像断片のうち前記特徴領域の内外に跨る不確定断片を検出し、当該不確定断片のうち当該特徴領域の内側にある画素数に応じて増加する内側評価値を求め、当該内側評価値を用いて前記特徴領域に前記検知対象物が存在するか否かを判定する存否判定手段と、を有する。
【0011】
他の本発明に係る対象物検知装置は、前記存否判定手段が、前記不確定断片毎に前記内側評価値と前記特徴領域の外側にある画素数に応じて増加する外側評価値とを求め、前記外側評価値が前記内側評価値より大きい前記不確定断片についての前記内側評価値を用いて判定するものである。
【0012】
別の本発明に係る対象物検知装置は、前記存否判定手段が、前記外側評価値が前記内側評価値より大きい前記不確定断片についての前記内側評価値と、前記外側評価値が前記内側評価値以下である前記不確定断片についての前記外側評価値との合計値を用いて判定するものである。
【0013】
上記本発明に係る対象物検知装置において、前記存否判定手段は、前記不確定断片を構成する画素と前記特徴領域の輪郭との距離に応じて増加する重みを合計することにより前記内側評価値又は前記外側評価値を算出するものとすることができる。
【0014】
本発明の好適な態様は、前記不確定断片の内外での前記画素値の所定の相違性に応じた断片明瞭度を求める断片明瞭度算出手段を有し、前記存否判定手段が、前記判定に際して、前記不確定断片についての前記内側評価値を当該不確定断片の前記断片明瞭度で重み付けすること、を特徴とする対象物検知装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背景の誤抽出を排除して対象物の存在を高精度に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像監視装置の概略のブロック構成図である。
【図2】断片明瞭度算出処理を説明するための模式図である。
【図3】存否判定手段の抽出正誤判定処理を説明するための模式図である。
【図4】画素と特徴領域の輪郭との距離に応じた重みを定義する関数Fの模式的なグラフである。
【図5】特徴領域を横切る直線に沿った関数Fの変化を説明する説明図である。
【図6】断片明瞭度が低い場合に生じる現象を説明するための模式図である。
【図7】画像監視処理の概略のフロー図である。
【図8】抽出正誤判定処理の概略のフロー図である。
【図9】監視画像における特徴領域の抽出及びセグメンテーションの処理結果の例を示す模式図である。
【図10】誤抽出された特徴領域と画像断片との位置関係を示す模式図である。
【図11】正しく抽出された特徴領域と画像断片との位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)である画像監視装置1について、図面に基づいて説明する。画像監視装置1は、監視空間から得られた監視画像において、検知対象物である人間の特徴を有する特徴領域を抽出することで侵入者を検知する。侵入者を検知すると画像監視装置1は異常信号を出力する。図1は、実施形態に係る画像監視装置1の概略のブロック構成図である。画像監視装置1は、画像入力部2、記憶部3、制御部4及び出力部5を含んで構成される。
【0018】
画像入力部2は、監視カメラであり、監視空間内に設置され、監視空間を所定の時間間隔で撮影し、各画素が多階調の画素値で表現される監視画像(判定対象画像)を出力する。本実施形態において監視画像はカラー画像であり、例えば、各画素の画素値がそれぞれ256階調のR値、G値及びB値の組で表現される。また、監視画像は輝度値で表される濃淡画像であってもよく、この場合、画素値は例えば256階調の輝度値で表現される。本画像監視装置1において監視カメラは、少なくとも検知対象物と共にその周辺の背景が監視画像に含まれるような設置条件(設置位置等)及び撮像条件(画角等)にて撮像を行うように構成されている。より好適には監視カメラは検知対象物が撮像されたときに監視画像に占める背景の面積が検知対象物の面積以上となるような設置条件および撮像条件にて撮像を行うように構成されている。撮影された監視空間の監視画像は順次、制御部4へ出力される。
【0019】
記憶部3は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の記憶装置であり、制御部4で使用されるプログラムやデータを記憶する。記憶部3はこれらプログラム、データを制御部4との間で入出力する。記憶部3に記憶されるデータには抽出用情報30が含まれる。
【0020】
抽出用情報30は、対象物の領域を抽出するための情報であり、抽出処理に先立って生成され記憶部3に格納されている情報である。背景差分処理で対象物を抽出する本実施形態では、抽出用情報30は、具体的には監視空間に対象物が存在していない画像であり、抽出処理に先立って監視画像に基づいて背景画像として生成される。なお、対象物の領域を識別器により抽出する他の実施形態では、抽出用情報30として、特徴空間において対象物とそれ以外を分ける識別面を表すパラメータが格納される。この識別面を表すパラメータは、対象物が撮像されている多数のサンプル画像、及び対象物が撮像されていない多数のサンプル画像の特徴量(コントラスト、エッジ方向等)をサポートベクターマシーンやブースティング法に適用することで予め学習される。
【0021】
制御部4は、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Micro Control Unit)等の演算装置を用いて構成され、画像入力部2、記憶部3及び出力部5と接続される。制御部4は、記憶部3からプログラムを読み出して実行し、後述する各種の手段(特徴領域抽出手段40、画像分割手段41、断片明瞭度算出手段42、存否判定手段43、異常検知手段44)として機能する。
【0022】
特徴領域抽出手段40は、監視画像と抽出用情報30との比較により、監視画像にて検知対象物の特徴を有する特徴領域を抽出し、抽出された特徴領域の情報を存否判定手段43へ出力する。具体的には、特徴領域抽出手段40は、抽出用情報30として記憶されている背景画像を用いて、監視画像と当該背景画像との差分処理を行い、差分閾値より大きな差を有する画素のまとまりを特徴領域として抽出する。この場合、画素値が背景と異なる領域が特徴領域として抽出されることになる。
【0023】
識別器を用いる他の実施形態では、特徴領域抽出手段40は、監視画像に所定大きさ、所定形状の候補領域を順次設定し、候補領域の画像を分析して特徴量(コントラスト、エッジ方向など)を抽出し、抽出された特徴量を、抽出用情報30として記憶されている識別面のパラメータと比較して識別結果(対象物か否か)を導出する。なお、候補領域を設定した探索は、候補領域の大きさ及び形状を変更して複数回繰り返してもよい。この場合、特徴量が対象物と類似する領域が特徴領域として抽出されることになる。
【0024】
画像分割手段41は、監視画像において画素値が互いに類似する隣接画素をまとめることで複数の画像断片を抽出する。この抽出処理により、監視画像は、画素値が所定の類似性を有する画素からなる複数の画像断片に分割される。抽出された画像断片の情報は断片明瞭度算出手段42及び存否判定手段43へ出力される。このような画像断片は、一般にセグメントと称され、セグメントを抽出する処理は一般にセグメンテーションと称される。かかる画像断片は、画素値が互いに類似する隣接画素からなるので、道路・建物・人物などごとに抽出される。
【0025】
代表的なセグメンテーションの方式として、k平均法や平均シフト法がある。これらによるセグメンテーションの手順を説明する。
【0026】
[k平均法に基づくセグメンテーション]
(手順1)監視画像からk個の画素を任意に選択し、選択された画素の画素値をシードに設定する。
(手順2)監視画像中の各画素を最も類似するシードに関連付ける。
(手順3)シードごとに、関連付けられた画素の平均画素値を算出し、シードから平均画素値への移動量を求める。
(手順4)移動量が予め設定された閾値ε以下なら次の手順5へ進み、そうでなければ算出された平均画素値をシードに設定して手順2に戻る。
(手順5)同一シードに関連付けられた画素のうち互いに隣接する画素同士をひとつのセグメントにまとめる。
【0027】
[平均シフト法に基づくセグメンテーション]
(手順1)監視画像中の各画素を中心とする所定大きさの局所領域を初期設定する。
(手順2)局所領域の密度勾配ベクトルを算出しては山登り法を用いて該ベクトル方向へ(密度が高くなる方向へ)局所領域をシフトすることをシフト量が収束するまで繰り返す。
(手順3)監視画像中の各画素に収束点の画素値(最頻画素値を意味する)を設定する。
(手順4)手順3により生成される画像にて、隣接する画素との画素値の差が規定値以下の画素同士を一つのセグメントにまとめる。
【0028】
なお、平均シフト法についての参考文献として、Dorin Comaniciu, Peter Meer: Mean
Shift: A Robust Approach Toward Feature Space Analysis. IEEE Trans. Pattern
Anal. Mach. Intell. 24(5): 603-619 (2002)がある。
【0029】
その他のセグメンテーション方法として、画像をグラフとみなした上でその最小切断や正規化切断を求める方法などを用いることもできる。
【0030】
断片明瞭度算出手段42は、画像分割手段41において抽出された各画像断片について、その内外での画素値の所定の相違性に応じた断片明瞭度を算出し、存否判定手段43へ出力する。当該画像断片の周囲画像と大きく相違する画像断片は周囲画像と明瞭に区別でき、その輪郭は対象物の輪郭、対象物を構成する対象構成物の輪郭、又は背景を構成する背景構成物の輪郭といった真の輪郭と一致している可能性が高い。一方、相違が小さな画像断片は、陰影等の影響により対象構成物や背景構成物の一部のみが抽出された画像断片である可能性が高い。
【0031】
例えば、断片明瞭度は、注目断片の縁部に存在する各縁部画素と、注目断片の外側に存在し当該縁部画素に隣接する周囲画素との相違度(相互相違度)を総和することで算出される。具体的には、縁部画素の画素値をc、各縁部画素に隣接する周囲画素の画素値をcと表すと、画像断片sの断片明瞭度Lの算出式は次の(1)式で定義することができる。
=G(1/Σ{α・exp(−‖c−c/β)}) ・・・(1)
【0032】
(1)式において、G(x)はx=0で0、x=∞で1となる増加関数であり、このG(x)により断片明瞭度Lの値域は[0,1)に正規化される。本実施形態では画素値c,cはRGB値からなるベクトルであり、‖x‖はベクトルxのノルムを表す。また、α及びβは予め設定される定数である。Σは、画素値c,cの組についての総和を表す。
【0033】
ここで、縁部画素の多寡や縁部画素の画素値の分布は画像断片ごとに異なるため、縁部画素と周囲画素との関係のみから断片明瞭度を算出すると、画像断片間で断片明瞭度の信頼性に格差が生じ得る。そこで、断片明瞭度算出手段42は、注目断片内の画素間についての相違度(自己相違度)を算出し、当該自己相違度により上記相互相違度を正規化する。自己相違度は、注目断片内の互いに隣接する画素間の相違度を総和することで算出され、画像断片s内の互いに隣接する2つの画素の画素値をそれぞれch1,ch2と表すと、画像断片sの正規化された断片明瞭度Lの算出式は(2)式で与えられる。
=G(Σ{exp(−‖ch1−ch2/β)}/Σ{exp(−‖c−c/β)}) ・・・(2)
【0034】
(2)式において第1のΣは画素値ch1,ch2の組についての総和、第2のΣは画素値c,cの組についての総和を表す。このように正規化処理を行うことで、画像断片間の格差により生じる断片明瞭度の信頼性低下を防ぐことができる。
【0035】
図2(a)は注目断片s及び周囲画像の模式図であり、注目断片s内の縁部画素(画素値c)、注目断片s外の周囲画素(画素値c)の位置が示されている。図2(b)は関数Gの一例を示しており、横軸が引数x、縦軸が関数値G(x)である。
【0036】
存否判定手段43は、特徴領域抽出手段40により抽出された特徴領域に検知対象物が存在するか否かを判定し、その判定結果を異常検知手段44へ出力する。以下、存否判定手段43について説明する。
【0037】
特徴領域の抽出結果とセグメンテーションされた画像とを重ね合わせたとき、対象物の像が特徴領域として完璧に抽出されていれば、対象物の像に対応する画像断片群がパズルのピースのごとく特徴領域に適合することが期待される。これに対し、特徴領域の形状と特徴領域に対応する部分にある画像断片群の形状との整合性が低いほど、特徴領域が誤抽出されているおそれが大きい。このことは、画像断片が互いに類似する隣接画素をまとめたものであるので、対象物又はその部分ごとに画像断片が抽出されていることに起因する。画像断片が特徴領域に整合しない状態では、特徴領域の輪郭と交差する画像断片が生じる。ここでは、画像断片のうち特徴領域の内外に跨り当該特徴領域への帰属が不確かであるものを不確定断片と呼ぶことにする。例えば、誤抽出により特徴領域に背景が含まれている状態では、背景に属する画像断片が特徴領域の内外を跨ぐ。そして、特徴領域に含まれる背景が大きくなるほど、個々の不確定断片が特徴領域内に食い込む程度が大きくなる、又は/及び不確定断片が増加する。
【0038】
存否判定手段43は、画像断片の帰属情報を特徴領域の全周に亘ってまとめて領域評価値を算出し、当該領域評価値に基づいて特徴領域の抽出が正しいか否かを判定する。
【0039】
例えば、存否判定手段43は、画像断片のうち不確定断片であるものを検出し、特徴領域と不確定断片との重複度合いに応じた領域評価値を算出する。ここで算出される領域評価値は、不確定断片のうち当該特徴領域の内側にある画素数に応じて増加するものであり、これを内側評価値と呼ぶことにする。存否判定手段43は、当該内側評価値を当該特徴領域の抽出誤差として前記特徴領域に前記検知対象物が存在するか否かを判定する。具体的には、内側評価値が予め設定された基準値以下である特徴領域は正しく抽出されており、一方、内側評価値が基準値を超える特徴領域は誤抽出されたものであると判断できる。そこで、存否判定手段43は、この特徴領域の抽出の正誤の判断に対応して、内側評価値が基準値以下である特徴領域には対象物が存在すると判定し、一方、内側評価値が予め設定された基準値を越える特徴領域には対象物は存在しないと判定する。
【0040】
図3は、存否判定手段43の抽出正誤判定処理を説明するための模式図である。この図3を用いて、当該処理を具体的に説明する。図3には、監視画像にて抽出される画像断片の例として、特徴領域80に対する位置関係が異なる画像断片81〜84が示されている。画像断片81,82は特徴領域80の輪郭を内側に含んでいることから不確定断片として検出される。一方、画像断片83,84は特徴領域80の輪郭を内側に含まないので不確定断片として検出されない。図3にて横線で網掛けされた部分は不確定断片における特徴領域80との重複部分であり、一方、縦線で網掛けされた部分は不確定断片における特徴領域80からのはみ出し部分である。
【0041】
上述したように不確定断片は背景の画像断片である可能性があり、その場合、不確定断片と特徴領域との重複部分は、特徴領域の一部として背景を誤抽出した部分となる。すなわち、重複部分が大きいほど誤抽出の可能性が高く、小さいほど当該可能性は低いといえる。そこで、存否判定手段43は、不確定断片ごとに内側評価値として重複部分の面積(画素数)を算出し、その合計値を領域評価値として求める。不確定断片の識別記号をs、当該不確定断片の内側評価値をgと表すと領域評価値Jの算出式は次の(3)式となる。
J=Σg ・・・(3)
【0042】
(3)式においてΣは特徴領域の不確定断片sについての総和を表す。
【0043】
存否判定手段43は、この(3)式で得られた領域評価値Jを基準値Tと比較し、既に述べたように基準値T以下の特徴領域には対象物が存在すると判定し、そうでない特徴領域には対象物は存在しないと判定する。
【0044】
内側評価値は、単純な面積に代えて、次のように特徴領域の輪郭からの距離に応じた重み付けを行ってもよく、この構成について以下説明する。特徴領域抽出手段40においてどのような抽出方法を用いても対象物の領域が完璧に抽出されることは稀である。画素単位でみた場合、特徴領域の輪郭近傍の画素の帰属(当該画素が対象物と背景とのいずれに属するか)の不確定性が高い。逆に、輪郭から離れるほど帰属の不確定性は低くなり、特徴領域の中心に近い画素ほど対象物に帰属する確度が高い。そこで、存否判定手段43は、重複部分の各画素について特徴領域の輪郭から当該画素までの距離に応じた重みを算出し、当該重みの和を内側評価値として求める構成とすることができる。
【0045】
具体的には、重複部分の画素をe1、特徴領域の輪郭から当該画素e1までの距離をde1と表すと、内側評価値gの算出式は下記(4)式で表される。
=ΣF(de1) ・・・(4)
【0046】
(4)式においてΣは画素e1についての総和を表す。また、F(x)は引数xとして入力される距離de1に応じた重みを定義する予め定められた関数であり、x>0に対して値域が(0,1)であり、かつ増加関数である。図4は関数Fの一例を示しており、横軸が引数x、縦軸が関数値F(x)である。
【0047】
領域評価値Jは、(4)式で与えられる各不確定断片ごとの内側評価値gを用いて(3)式により求めることができる。
【0048】
また、領域評価値Jは次に述べるように、不確定断片のはみ出し部分を考慮に入れて定めることもできる。この場合、存否判定手段43は、不確定断片ごとにそのはみ出し部分の画素数に応じて増加する評価値を求める。当該評価値を外側評価値と呼ぶことにする。
【0049】
不確定断片には、不確定断片81のように重複部分よりもはみ出し部分の方が大きいものと、不確定断片82のように重複部分よりもはみ出し部分の方が小さいものとがある。はみ出し部分の方が大きい不確定断片は本来背景に属する画像断片である可能性が高く、一方、重複部分の方が大きい不確定断片は本来対象物に属する画像断片である可能性が高いといえる。そこで、重複度合いがはみ出し度合いよりも小さい不確定断片についてだけ内側評価値を合計して領域評価値Jを算出することで、領域評価値Jは、背景に属する可能性の高い不確定断片が特徴領域に与える影響を好適に表し、抽出誤差としての領域評価値Jの信頼性が向上し、ひいては存否判定の確度が向上する。
【0050】
具体的には、(5)式に示すように、存否判定手段43は各不確定断片について内側評価値と外側評価値とを比較し、内側評価値が外側評価値よりも小さい不確定断片の内側評価値の合計値を領域評価値Jとする。
J=Σg {s;g<n} ・・・(5)
【0051】
(5)式において、不確定断片sの内側評価値がg、外側評価値がnであり、Σはg<nなる不確定断片sについての総和を表す。
【0052】
外側評価値nは、内側評価値gと対比可能に定義することが好適である。すなわち、内側評価値gを重複部分の面積で定義する場合には、外側評価値nははみ出し部分の面積で定義する。一方、内側評価値gを(4)式で求める場合には、外側評価値nも(4)式と同様の関数Fを用いて次式で求める。
=ΣF(de2) ・・・(6)
【0053】
(6)式においてΣははみ出し部分の画素e2についての総和であり、de2は特徴領域の輪郭から当該画素e2までの距離である。
【0054】
(6)式の外側評価値nには、特徴領域の輪郭近傍の画素は帰属の不確定性が高く、逆に特徴領域から離れた画素ほど背景に帰属する確度が高いという性質が反映される。図5は、特徴領域80の輪郭からの距離に応じた関数Fの値の変化を模式的に示しており、同図の上側には特徴領域80を示し、これを横切る直線86に沿った関数Fのグラフを同図の下側に示している。
【0055】
なお、重複度合いとはみ出し度合いとの比較は重複部分の面積とはみ出し部分の面積との比較により行い、領域評価値Jの計算に用いる内側評価値gは(4)式の結果を用いるように存否判定手段43を構成することもできる。
【0056】
ここまで説明してきた領域評価値Jは、特徴領域抽出手段40が背景を特徴領域の一部として誤抽出したという観点から評価した抽出誤差であった。さて、特徴領域抽出手段40による誤抽出の別の側面には対象物の一部を抽出し損ねる現象がある。この抽出し損ねの要素を考慮に加えれば領域評価値Jの信頼性はさらに向上する。そこで、(5)式の領域評価値Jにさらに、はみ出し度合いが重複度合い以下である不確定断片についての外側評価値を加えるように存否判定手段43を構成してもよい。
【0057】
この場合、領域評価値Jの算出式は次の(7)式で与えられる。
J=Σ{min(g,n)} ・・・(7)
【0058】
(7)式においてΣは特徴領域の不確定断片sについての総和を表す。これにより特徴領域が背景を含んでいるという観点と特徴領域が対象物を抽出し損ねているという観点との両面から評価した抽出誤差である領域評価値Jが得られるので、領域評価値Jの信頼性が向上し、ひいては存否判定の確度が向上する。
【0059】
(7)式の内側評価値g及び外側評価値nとして、特徴領域の輪郭からの距離に応じた重みを考慮した(4)式、(6)式の値を用いることができる。上述したように距離に応じて画素を重み付けする関数Fは画素の帰属の確度を表しているので、(4)式、(6)式の値を用いることで、領域評価値Jの信頼性が向上し、ひいては存否判定の確度が向上する。なお、(7)式の内側評価値g及び外側評価値nは、それぞれ重複部分、はみ出し部分の面積とすることもできる。
【0060】
さらに、存否判定の精度を高めるために、断片明瞭度算出手段42にて得られる断片明瞭度を考慮することができる。この構成を以下説明する。断片明瞭度算出手段42の説明で述べたように、陰影等の影響により対象構成物や背景構成物の像の一部分だけが画像断片として不適切に抽出される場合がある。このような不適切な画像断片においては重複度合いとはみ出し度合いとの大小関係が本来の関係と逆転してしまうことがある。図6は、断片明瞭度が低い場合に生じる現象を説明するための模式図である。図6(a)は、特徴領域80についての不確定断片85-1の断片明瞭度が高い場合を示している。このように断片明瞭度が高い不確定断片85-1は上述したように対象構成物や背景構成物の像を好適に表している可能性が高い。図6(a)に示す一例として示す不確定断片85-1は、外側評価値より内側評価値(横線網掛け部分の大きさ)の方が小さいため、(7)式による領域評価値Jを求める総和演算にて、内側評価値gが加算される。
【0061】
一方、図6(b)は、特徴領域80についての不確定断片85-2の断片明瞭度が低い場合を示している。不確定断片85-2は、本来の像が画像断片85-1のような形状である対象構成物や背景構成物について、その一部のみが抽出された場合を示しており、画像断片85-1のうち特徴領域80の外側に属する部分(点線で境界を示す部分)は別の画像断片を構成すると認識されている。この場合、外側評価値(縦線網掛け部分の大きさ)の方が内側評価値より小さくなってしまい、(7)式による領域評価値Jを求める総和演算にて、外側評価値nが加算される。つまり、本来は背景に属する画像断片として評価されるべき不確定断片85-2が対象物に属する画像断片として誤って評価される。このような誤りが領域評価値Jに与える影響を軽減するために、領域評価値Jの算出に際して、存否判定手段43は不確定断片sの内側評価値及び外側評価値を当該不確定断片の断片明瞭度Lで重み付けする。
【0062】
具体的には(7)式に対応する領域評価値Jは、断片明瞭度を考慮する構成では次式で計算される。
J=Σ{L・min(g,n)} ・・・(8)
【0063】
これにより、断片明瞭度が高く信頼できる不確定断片に高い加重をかけて領域評価値Jを算出できるので、領域評価値Jの信頼性が向上し、ひいては正誤判定の確度が向上する。
【0064】
なお、この断片明瞭度による重み付けは、(3)式、(5)式の領域評価値Jの計算にも導入することができる。
【0065】
以上、存否判定手段43について説明した。存否判定手段43の判定結果は異常検知手段44へ出力される。
【0066】
異常検知手段44は、存否判定手段43により正しい抽出と判定された特徴領域の情報に基づいて異常を検知する。具体的には、異常検知手段44は正しい抽出と判定された特徴領域を複数時刻に亘って追跡して対象物の動きを分析し、例えば、監視空間内にて所定距離以上の動きが確認された場合に侵入異常を検知する。また、不審者が存在する異常を検知する別の実施形態では、同様に動きを分析して所定時間以上の滞留を確認すると異常を検知したり、動きパターンが予め定めた不審パターンに合致すると異常を検知する。
【0067】
異常検知手段44は、存否判定手段43にて誤抽出の排除がなされた特徴領域の情報に基づいて異常を検知するので、確実に誤報を減じることができる。異常を判定した場合、制御部4は出力部5を制御して異常信号の出力を行わせる。
【0068】
出力部5は、外部装置と接続され、当該外部装置へ異常信号を出力するインターフェース回路である。外部装置は、侵入者の存在を警報するスピーカー、ブザー又はランプ等の警報表示手段、又は/及び通信網を介して接続される遠隔地のセンタ装置等である。
【0069】
次に図7を参照して、画像監視装置1の動作を説明する。監視空間が無人であることを確認した管理者が装置に電源を投入すると、各部、各手段が初期化され動作を開始する(S1)。初期化の後は、画像入力部2から制御部4へ新たな監視画像が入力されるたびにステップS2〜S10の処理がループ処理として繰り返される。
【0070】
画像監視装置1は、特徴領域抽出手段40の背景差分処理にて用いる背景画像を、ループ処理の各回が終わるごとに更新する(S2)。制御部4は、前回のループ処理における監視画像のうち特徴領域が抽出されなかった部分の画像を現在の背景画像に合成して、背景画像を更新する(S2)。なお、電源投入直後、すなわち初回のステップS3〜S10の処理の開始時においては背景画像は未だ記憶されていない。この場合、制御部4は背景画像更新処理(S2)として、画像入力部2から得られる監視画像によって背景画像を初期化する。
【0071】
新たな監視画像が入力されると(S3)、特徴領域抽出手段40は、更新された背景画像を用いて背景差分処理を行い、監視画像から特徴領域を抽出する(S4)。
【0072】
ちなみに、識別器により特徴領域を抽出する装置構成ではステップS2の更新処理は不要となる。
【0073】
特徴領域が一つも抽出されなかった場合(S5にてNO)、処理はステップS2へ戻される。一方、1以上の特徴領域が抽出された場合(S5にてYES)、制御部4は各特徴領域に対象物が存在するか否かを判定する(S6)。
【0074】
図8を参照して、存否判定処理の詳細を説明する。まず、制御部4の画像分割手段41は監視画像にセグメンテーション処理を施して当該監視画像から複数の画像断片を抽出し(S600)、制御部4の断片明瞭度算出手段42は抽出された各画像断片とその周辺画像の画素値を(2)式に適用して各画像断片の断片明瞭度Lを算出する(S601)。
【0075】
次に制御部4の存否判定手段43は、図7のステップS6にて抽出された特徴領域を順次、注目特徴領域に設定して特徴領域のループ処理を実行する(S602〜S612)。この特徴領域のループ処理において、さらに存否判定手段43はステップS600にて抽出された画像断片を順次、注目断片に設定して画像断片のループ処理を実行する(S603〜S607)。
【0076】
画像断片のループ処理において、存否判定手段43は注目断片と注目特徴領域との位置関係を判定し(S604)、注目断片が注目特徴領域の輪郭を跨ぐ不確定断片と判定されれば(S605にてYES)、(4)式により当該画像断片の内側評価値gを算出すると共に、(6)式により当該画像断片の外側評価値nを算出する(S606)。
【0077】
画像断片のループ処理が終わると(S607にてYES)、存否判定手段43は、ステップS601にて算出された断片明瞭度L、ステップS606にて算出された重複度合いg、はみ出し度合いnを(8)式に適用して注目特徴領域の領域評価値を算出する(S608)。
【0078】
領域評価値の算出後、存否判定手段43は注目特徴領域の領域評価値を、予め設定された基準値と比較する(S609)。存否判定手段43は、領域評価値が基準値以下であれば(S609にてYES)、注目特徴領域に対象物が存在すると判定する(S610)。一方、領域評価値が基準値を超えていれば(S609にてNO)、注目特徴領域に対象物は存在しないと判定する(S611)。対象物が存在しないと判定された特徴領域の情報は一時記憶されている情報から削除される。
【0079】
なお、領域評価値と基準値との比較を行うに際して、領域評価値又は基準値のいずれかを特徴領域の大きさを表す指標Ωに応じてスケーリングすることが好適である。例えば、基準値をΩに依らずに一定とする場合には、(8)式で得られた領域評価値JをΩで除するスケーリングを行う。例えば、Ωとして、特徴領域の画素数を合計して得られる面積や、上述の重み関数Fを特徴領域内の全画素について総和した値などを用いることができる。一方、監視画像における検知対象物の像の大きさが予め想定できる場合には、スケーリングを省略することもできる。なお、スケーリングを行う場合の基準値は例えば、各特徴領域の大きさΩの20〜40%程度の大きさに設定することができる。
【0080】
以上の処理により、全ての特徴領域に対して対象物の存否が判定されると(S612にてYES)、処理は図7のステップS7へ進められる。
【0081】
再び図7を参照して画像監視処理の続きを説明する。存否判定手段43により対象物の存在が判定された特徴領域がある場合(S7にてYES)、制御部4の異常検知手段44は、当該特徴領域に基づき異常の有無を判定する(S8)。すなわち異常検知手段44は、特徴領域の追跡を行い、追跡の結果、予め設定された距離閾値を越える距離の移動が検出されると、当該特徴領域が侵入者によるものであるとして異常を検知する。追跡は、例えば、現時刻の監視画像において特徴領域に対応する部分画像の色ヒストグラムを分析し、当該色ヒストグラムと、同様にして過去に分析され記憶されている色ヒストグラムとを比較することで前後する時刻の特徴領域を対応付けることで行われる。また、次時刻の追跡に備えて異常検知手段44は、現時刻の監視画像から分析された色ヒストグラムを記憶部3に追加記憶させる。
【0082】
異常検知手段44により異常が検知されると(S9にてYES)、出力部5は異常信号を生成して、異常信号を例えば、警報表示手段及び通信網へ出力する(S10)。このとき出力部5は通信網へ出力する異常信号に現時刻の監視画像のデータを含ませる。異常信号が入力された警報表示手段は、スピーカーの鳴動やランプの点灯により警報表示を行って侵入者を威嚇するとともに利用者の注意を喚起する。また、異常信号は通信網により監視員が常駐する警備センタのセンタ装置へ伝送され、異常信号を受信したセンタ装置は警報音の鳴動や監視画像の表示等を行う。そして、監視画像により状況確認した監視員は状況に応じた対処を行う。
【0083】
一方、存否判定手段43により対象物の存在が判定された特徴領域が無い場合(S7にてNO)、ステップS8以降の処理はスキップされる。また、対象物の存在が判定された特徴領域があっても未だ異常が判定されない場合(S9にてNO)、ステップS10の処理はスキップされる。
【0084】
以上の処理が終了すると、処理は再びステップS2へ戻され、次時刻の監視画像に対する処理が行われる。
【0085】
図9は処理結果を説明する模式的な画像例である。図9(a)は特徴領域91,92が抽出された監視画像90を示している。特徴領域91は揺れた木が誤抽出されたものであり。一方、特徴領域92には侵入者が抽出されている。図9(b)は、監視画像90にセグメンテーション処理を施して生成された画像93を示している。画像93において、実線の各閉領域が画像断片である。なお、図9(b)には、理解補助のために、特徴領域91,92の輪郭を点線で示している。
【0086】
図10は特徴領域91及びその近傍領域を拡大した模式図であり、一方、図11は特徴領域92及びその近傍領域を拡大した模式図である。図10において、点線で示す特徴領域91と重複する部分を有する2つの画像断片はいずれも不確定断片である。そして、これら2つの不確定断片はいずれも特徴領域91の外側に大きくはみ出しており、重複部分よりはみ出し部分の方が大きい。そのため、領域評価値はそれら不確定断片それぞれの内側評価値の和で与えられる。しかも、不確定断片との重複部分が特徴領域の全体を占めるので、比較処理S609にて領域評価値が基準値を超える。その結果、特徴領域91には対象物は存在しないと判定される。
【0087】
一方、図11では、点線で示す特徴領域92と重複する部分を有する画像断片は3つ存在する。それらのうち2つは特徴領域92の外側に大きくはみ出した不確定断片であり、それらは特徴領域92と重複部分96,97を有する。残りの1つの不確定断片はその殆どの部分が特徴領域92の内側に存在する不確定断片であり、当該不確定断片は特徴領域92からのはみ出し部分98を有する。この場合、領域評価値は重複部分96,97から算出される内側評価値と、はみ出し部分98から算出される外側評価値との和で与えられ、当該領域評価値は基準値以下となる。その結果、特徴領域92には対象物である人間が存在すると判定される。
【0088】
上述の実施形態では、画像入力部2に監視カメラを備え、リアルタイムで監視空間から得られる監視画像に基づいて対象物の検知を行う構成を説明した。これとは別の実施形態では、画像入力部2がHDDレコーダー等の画像記録装置であって、記録している監視画像を制御部4に入力する構成とすることもできる。この構成では、画像監視装置1は、過去に撮像された監視画像から対象物の検知を行う。
【0089】
また上述の実施形態においては、異常検知処理に先だって、抽出された全特徴領域に対して抽出正誤判定を行うことで誤報の減少を図った。これに対し、先に異常検知処理を行い、異常が検知された特徴領域に対して抽出正誤判定を行って、異常が検知された特徴領域が正しく抽出されたものと判定された場合に出力部5により異常信号を出力させる構成とすることもできる。
【0090】
また、上述の実施形態では、領域評価値Jは抽出の誤りの可能性の多さ、つまり抽出誤差を表していたが、逆に領域評価値Jが、抽出の誤りの可能性の少なさ、つまり抽出の正確性を表す指標となるように定義することもできる。例えば、内側評価値gの逆数の和、又は内側評価値gの逆数及び外側評価値nの逆数の和を、抽出の正確性を表す領域評価値Jとして定めることができる。この場合、(3)に相当する領域評価値Jの定義式は下記(9)式となり、また(8)式に相当する定義式は下記(10)式となる。
J=Σ(1/g) ・・・(9)
J=Σ{L/min(g,n)} ・・・(10)
【0091】
なお、(9)式や(10)式の領域評価値Jを用いる場合、領域評価値Jと基準値Tとの大小関係は逆になり、領域評価値Jが基準値T以上である特徴領域に対象物が存在すると判定され、そうでない特徴領域に対象物は存在しないと判定される。
【符号の説明】
【0092】
1 画像監視装置、2 画像入力部、3 記憶部、4 制御部、5 出力部、30 抽出用情報、40 特徴領域抽出手段、41 画像分割手段、42 断片明瞭度算出手段、43 存否判定手段、44 異常検知手段、80 特徴領域、81,82 不確定断片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象画像に基づいて検知対象物を検出する対象物検知装置において、
前記判定対象画像から前記検知対象物の特徴を有した特徴領域を抽出する特徴領域抽出手段と、
それぞれ画素値が所定の類似性を有する画素からなる複数の画像断片に前記判定対象画像を分割する画像分割手段と、
前記画像断片のうち前記特徴領域の内外に跨る不確定断片を検出し、当該不確定断片のうち当該特徴領域の内側にある画素数に応じて増加する内側評価値を求め、当該内側評価値を用いて前記特徴領域に前記検知対象物が存在するか否かを判定する存否判定手段と、
を有することを特徴とする対象物検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の対象物検知装置において、
前記存否判定手段は、前記不確定断片毎に前記内側評価値と前記特徴領域の外側にある画素数に応じて増加する外側評価値とを求め、前記外側評価値が前記内側評価値より大きい前記不確定断片についての前記内側評価値を用いて判定すること、を特徴とする対象物検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の対象物検知装置において、
前記存否判定手段は、前記外側評価値が前記内側評価値より大きい前記不確定断片についての前記内側評価値と、前記外側評価値が前記内側評価値以下である前記不確定断片についての前記外側評価値との合計値を用いて判定すること、を特徴とする対象物検知装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の対象物検知装置において、
前記存否判定手段は、前記不確定断片を構成する画素と前記特徴領域の輪郭との距離に応じて増加する重みを合計することにより前記内側評価値又は前記外側評価値を算出すること、を特徴とする対象物検知装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の対象物検知装置において、
前記不確定断片の内外での前記画素値の所定の相違性に応じた断片明瞭度を求める断片明瞭度算出手段を有し、
前記存否判定手段は、前記判定に際して、前記不確定断片についての前記内側評価値を当該不確定断片の前記断片明瞭度で重み付けすること、を特徴とする対象物検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−277296(P2010−277296A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128519(P2009−128519)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】