説明

対象物追跡装置、対象物追跡方法、および制御プログラム

【課題】追跡対象の追随性と処理速度の高速化を両立できる対象物追跡装置を実現する。
【解決手段】この物体追跡装置は、第1フレームにおいて対象物の詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成部30と、第2フレームにおいて複数の探索位置を設定する探索位置設定部31と、上記複数の探索位置の各々において上記詳細輪郭モデルからラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成部32と、上記ラフ輪郭モデルの上記詳細輪郭モデルに対する尤度を判定する尤度判定部33と、上記尤度判定部33により判定された尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から探索位置を絞り込む探索位置絞込部34と、上記探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置の中から、上記第2フレームにおける上記対象物の位置を特定する対象物位置特定部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像の中の対象物を追跡する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画像の中の物体の動きを追跡する技術が利用されている。
【0003】
従来の物体追跡技術には、色を基にした追跡技術がある(非特許文献1)。この技術では、動画像の各フレームにおいて色の類似する領域を同一対象物と見なし、各フレームに渡ってその色の類似する領域を追跡することで、対象物の位置を追跡している。
【0004】
また、輪郭を基にした追跡技術もある(非特許文献2)。この技術では、最初に追跡対象物の輪郭モデルを作成し、その輪郭モデルを少しずつ移動させて、その輪郭モデルに類似する輪郭を探索することで、追跡対象物の位置を追跡している。この技術では、時刻間で追跡対象物が大きく移動しない事を前提としている。
【0005】
また、輪郭を基にした他の追跡技術として、パーティクルフィルタにより輪郭形状を追跡する追跡技術がある(特許文献1)。この技術では、追跡対象物と同一形状を有する候補の輪郭線を1つのパーティクルで表し、追跡候補として複数のパーティクルを導入し、運動モデルに基づいて各パーティクルを遷移させ、遷移後のパーティクルが定める候補輪郭線の尤度を観測することで、追跡対象物の位置を追跡している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−224924号公報(2009年10月1日公開)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Katja Nummiaro et al., ”An adaptive color-based particle filter”,Image and Vision Computing,Vol.21,Issue.1,pp.99-110,2003
【非特許文献2】Nikos Paragios and Rachid Deriche, ”Geodesic active contours and level sets for the detection and tracking of moving objects”,IEEE Trans.PAMI,Vo.22,Issue.3,pp.266-280,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記非特許文献1の技術では、色の類似する領域を同一対象物と見なすので、追跡対象が本来の対象物から本来の対象物と色の類似する背景に間違って乗り移り易い、即ち追跡対象物の追随性が悪いという問題点がある。
【0009】
また、上記非特許文献2の技術では、時刻間で追跡対象物が大きく移動しない事を前提としているので、デジタルカメラで人を撮影する場合の様にカメラと人が激しく動く場合や、追跡対象物の輪郭が複雑な場合は、処理時間が掛かる、即ち処理速度が遅いという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献1の技術では、追跡対象物の追随性を上げるためにパーティクルの数を増やすと、処理量が増大して処理速度が遅くなり、逆に、処理速度を上げるためにパーティクルの数を減らすと、追跡対象物の形状変化に対する追随性が悪くなるという問題点がある。
【0011】
この様に、従来の物体追跡技術では、追跡対象物の追随性と処理速度の高速化とを両立できる技術はなかった。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、追跡対象物の追随性と処理速度の高速化とを両立できる対象物追跡装置および対象物追跡方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る対象物追跡装置は、複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する対象物追跡装置であって、第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得部と、上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成部と、上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置設定部と、上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成部と、上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定部と、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定部と、を備えることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る対象物追跡方法は、複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する対象物追跡方法であって、第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成ステップと、上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置ステップと、上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成ステップと、上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定ステップと、上記尤度判定ステップにより判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0015】
ここで、画像特徴量とは、例えば、対応点または輪郭点に関連する(対応する)画素の画素値から得られる輝度差、またはエッジ強度等の特徴量を示す。
【0016】
上記の構成によれば、各探索位置について、詳細輪郭モデルを構成する輪郭点の数未満の数の第2対応点からなるラフ輪郭モデルが生成され、そのラフ輪郭モデルを用いて対象物の位置が追跡される。よって、各探索位置において詳細輪郭モデルを生成する場合(例えば特許文献1および非特許文献2)と比べて、対象物の追跡に要する処理(例えばラフ輪郭モデルの生成部および尤度判定部の各処理)を高速化できる。
【0017】
また、ラフ輪郭モデルを用いることで、時間経過に伴って対象物の形状が変化しても、その形状変化した対象物とラフ輪郭モデルの形状とが合致し易くなるので、対象物の追随性を向上できる。
【0018】
また、ラフ輪郭モデルを用いることで、各探索位置での処理量が低減できるので、その分、探索位置の数を増やすことでき、これによっても、対象物の追随性を向上できる。
【0019】
よって、対象物の追随性と処理の高速化を両立できる。
【0020】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記各探索位置について、上記各第1対応点について、上記第2フレームにおける当該第1対応点に関する第2の画像特徴量に基づいて、当該第1対応点が輪郭を表している輪郭度合いを求め、上記複数の第1対応点のうち、上記輪郭度合いの大きさが最大のものから上記第1の所定数の順位までに含まれるものを上記第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成することが望ましい。
【0021】
上記の構成によれば、各探索位置について、詳細輪郭モデルの複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、各第1対応点について、第2フレームにおける当該第1対応点に関する第2の画像特徴量に基づいて、当該第1対応点が輪郭を示している輪郭度合いを求める。そして、複数の第1対応点のうち、上記輪郭度合いの大きさが最大のものから上記第1の所定数の順位までに含まれるものを第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成する。
【0022】
よって、ラフ輪郭モデルは、複数の第1対応点のうち、輪郭を表している度合いの高いものにより構成されるので、少ない情報(対応点)で有効なモデルになっている。
【0023】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記第2フレームにおける、上記第1対応点に対応するエッジ強度に応じて、または、上記第1対応点に対応する複数の画素値の差に応じて、上記輪郭度合いを求めることが望ましい。
【0024】
上記の構成によれば、輪郭度合いは、第2フレームにおける第1対応点に対応するエッジ強度に応じて、または、上記第1対応点に対応する複数の画素値の差に応じて、求められるので、第2フレームの画像において有用な輪郭度合いを生成できる。
【0025】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記各第1対応点について、上記第2フレームにおける上記複数の第1対応点によって表される輪郭の内側の点の画素値と当該第1対応点に対応する画素値との差である第1画素値差と、該輪郭の外側の点の画素値と当該第1対応点に対応する画素値との差である第2画素値差との差に応じて、上記輪郭度合いを求めることが望ましい。
【0026】
上記の構成によれば、輪郭度合いは、各第1対応点について、第2フレームにおける複数の第1対応点によって表される輪郭の内側の点の画素値と当該第1対応点に対応する画素値との差である第1画素値差と、該輪郭の外側の点の画素値と当該第1対応点に対応する画素値との差である第2画素値差との差に応じて、求められるので、第2フレームの画像において有用な輪郭度合いを生成できる。
【0027】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記各第1対応点について、上記第2フレームにおける上記複数の第1対応点によって表される輪郭において、当該第1対応点とそれに隣接する上記第1対応点との間の画素値の差である第3画素値差と、上記第1画素値差および上記第2画素値差とに応じて、上記輪郭度合いを求めることが望ましい。
【0028】
上記の構成によれば、輪郭度合いは、各第1対応点について、第2フレームにおける複数の第1対応点によって表される輪郭において、当該第1対応点とそれに隣接する第1対応点との間の画素値の差である第3画素値差と、上記第1画素値差および上記第2画素値差とに応じて、求められるので、輪郭度合いの精度を向上させることができる。
【0029】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記複数の第1対応点の各々に対し、当該第1対応点およびその周囲の特定位置にある1つ以上の参考点の各々に対応する第1の領域の画素値に基づいて、当該第1対応点が輪郭を表している輪郭度合いを求めることで、上記複数の第1対応点の各々の上記輪郭度合いを求め、上記複数の第1対応点のうち、上記輪郭度合いの大きさが上位第1の所定数に含まれるものを上記第2対応点として選択して、上記第2対応点からなる上記ラフ輪郭モデルを生成することが望ましい。
【0030】
上記の構成によれば、複数の第1対応点の各々に対し、当該第1対応点およびその周囲の特定位置にある1つ以上の参考点の各々に対応する第1の領域の画素値に基づいて、当該第1対応点が輪郭を示している輪郭度合いを求めることで、上記複数の第1対応点の各々の上記輪郭度合いを求める。なお、当該第1対応点の参考点としては、輪郭に沿って当該第1対応点に隣合う2個の第1対応点と、当該第1対応点の近傍であって上記輪郭の内側の1点および外側の1点とを使用することができる。
【0031】
よって、当該第1対応点での輪郭度合いを当該第1対応点とその周囲の参考点とを用いて求めるので、当該第1対応点だけを用いて輪郭度合いを求めるよりも、より適切に、輪郭度合いを求めることができる。
【0032】
また、複数の第1対応点のうち、輪郭度合いの大きさが上位第1の所定数に含まれるものが選択されて、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルが生成される。よって、ラフ輪郭モデルは、複数の第1対応点のうち、輪郭を表している度合いの高いものにより構成されるので、少ない情報(対応点)で有効なモデルになっている。
【0033】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から探索位置を絞り込む探索位置絞込部と、上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置の数が第2の所定数以下であるか否かを判定する探索位置数判定部とを更に備え、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記ラフ輪郭モデルの生成後、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数より大きい場合は、上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置に対し、上記複数の第1対応点およびそれらの上記参考点の各々に対応する上記第1の領域の領域サイズを所定サイズ増大し、増大した上記第1の領域の画素値に基づいて上記複数の第1対応点の各々の上記輪郭度合いを求めることで、上記ラフ輪郭モデルを改めて生成し、上記尤度判定部は、上記ラフ輪郭モデル生成部により改めて生成された上記ラフ輪郭モデルに対して上記尤度を判定し、上記探索位置絞込部は、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記探索位置絞込部が絞り込んだ上記探索位置の中から更に探索位置を絞り込み、上記探索位置数判定部は、上記探索位置絞込部により更に絞り込まれた上記探索位置の数が上記第2の所定数以下であるか否かを判定し、上記対象物位置特定部は、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数以下の場合、上記探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置の中から、上記第2フレームにおける上記対象物の位置を特定することことが望ましい。
【0034】
上記の構成によれば、探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置の数が第2の所定数より大きい場合は、探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置に対し、複数の第1対応点およびそれらの参考点の各々に対応する第1の領域の領域サイズが所定サイズ増大され、その増大された第1の領域の画素値に基づいて複数の第1対応点の各々の輪郭度合いが求められることで、ラフ輪郭モデルが改めて生成される。
【0035】
この様に、第1の領域の領域サイズが所定サイズ増大されると、その分、各第1対応点の輪郭度合いがより正確に求められるので、同じ数の対応点でも、より正確な輪郭度合いに基づいてラフ輪郭モデルが生成される。よって、対象物の探索の精度が向上する。
【0036】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から探索位置を絞り込む探索位置絞込部と、上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置の数が第2の所定数以下であるか否かを判定する探索位置数判定部とを備え、上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記ラフ輪郭モデルの生成後、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数より大きい場合は、上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置に対し、上記第1の所定数を所定数増やして、上記ラフ輪郭モデルを改めて生成し、上記尤度判定部は、上記ラフ輪郭モデル生成部により改めて生成された上記ラフ輪郭モデルに対して上記尤度を判定し、上記探索位置絞込部は、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記探索位置絞込部が絞り込んだ上記探索位置の中から更に探索位置を絞り込み、上記探索位置数判定部は、上記探索位置絞込部により更に絞り込まれた上記探索位置の数が上記第2の所定数以下であるか否かを判定し、上記対象物位置特定部は、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数以下の場合、上記探索位置絞込部により更に絞り込まれた探索位置の中から、上記第2フレームにおける上記対象物の位置を特定することが望ましい。
【0037】
上記の構成によれば、探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置の数が第2の所定数より大きい場合は、探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置に対し、第1の所定数(即ち、ラフ輪郭モデルを構成する対応点の数)が所定数増やされて、ラフ輪郭モデルが改めて生成される。この様に、第1の所定数が所定数増やされると、その分、ラフ輪郭モデルのラフさ度合いが一段階低下するので、ラフさ度合いが一段階下げられて(換言すれば、少し詳細化されて)ラフ輪郭モデルが改めて生成される。
【0038】
これにより、始めは、ラフさ度合いが大きいラフ輪郭モデルを用いて広範囲を大雑把に速く探索し、探索位置の数を絞り込みながら、ラフさ度合いを徐々に下げて詳細に探索することができる。故に、画像中から対象物を効率良く(即ち素早く)検出することができる。
【0039】
また、本発明に係る対象物追跡装置は、上記位置情報取得部は、上記対象物位置特定部により上記第2フレームにおいて上記対象物の位置が特定された場合に、上記対象物位置特定部により特定された該第2フレームにおける上記対象物の位置情報を取得し、該第2フレームを上記第1フレームとして扱うことが望ましい。
【0040】
上記の構成によれば、位置情報取得部は、対象物位置特定部により第2フレームにおいて対象物の位置が特定された場合に、対象物位置特定部により特定された該第2フレームにおける上記対象物の位置情報を取得し、該第2フレームを第1フレームとして扱う。これにより、該第2フレームで特定された対象物の位置に基づいて、各処理部(詳細輪郭モデル生成部、探索位置設定部、ラフ輪郭モデル生成部、尤度判定部、対象物位置特定部)において同じ処理が繰り替えされて、該第2フレームより後の何れかのフレームにおいて当該対象物の位置が特定される。これにより、或るフレームにおいて最初に特定された対象物を自動的に追跡することができる。
【0041】
特に、詳細輪郭モデル生成部では、第2フレームで特定された対象物の輪郭に基づいて詳細輪郭モデルが生成されるので、対象物の形状が変化する場合でも、その形状変化を考慮して対象物を追跡することができる。
【0042】
なお、上記対象物追跡装置は、一部をコンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各部として動作させることにより上記対象物追跡装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、および上記制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明に係る対象物追跡装置は、複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する対象物追跡装置であって、第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得部と、上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成部と、上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置設定部と、上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成部と、上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定部と、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定部と、を備えている。
【0044】
また、本発明に係る対象物追跡方法は、複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する対象物追跡方法であって、第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成ステップと、上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置ステップと、上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成ステップと、上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定ステップと、上記尤度判定ステップにより判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定ステップと、を備えている。
【0045】
よって、対象物の追随性と処理の高速化を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物体追跡システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記物体追跡システムの追跡部の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、あるフレームの画像についての追跡処理の例を示す図であり、(b)は、その次のフレームの画像についての追跡処理の例を示す図である。
【図4】詳細輪郭モデルを説明する図である。
【図5】ラフ輪郭モデルを説明する図である。
【図6】探索位置S1・S2・S3でのラフ輪郭モデルの一例を示した図である。
【図7】探索位置が2個に絞り込まれた場合の一例を示した図である。
【図8】物体追跡装置における対象物の追跡処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【図9】初期化部における初期化処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】追跡部における追跡処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本実施の形態では、デジタルビデオカメラに搭載され、撮像された動画像の中の対象物を追跡して対象物に焦点を合わせ続ける物体追跡システムについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、本実施の形態について、図1〜10を参照して詳細に説明する。
【0048】
<物体追跡システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る物体追跡システム1の概略構成を示すブロック図である。物体追跡システム1は、撮像装置2と、焦点制御装置3、および、物体追跡装置(対象物追跡装置)10とを備える。
【0049】
撮像装置2は、動画像を撮像するものである。撮像装置2は、例えば、CCD(charge coupled device)またはCMOS(complementary metal oxide semiconductor)撮像素子等の撮像素子によって構成される。本実施の形態では、撮像装置2は、1秒間に30フレームの画像を撮像する。撮像装置2は、撮像した動画像を複数のフレームからなる時系列に並ぶ画像として物体追跡装置10に出力する。
【0050】
物体追跡装置10は、時系列の画像から追跡対象である対象物を追跡し、画像中における対象物の位置を、焦点制御装置3に出力する。物体追跡装置10の詳細な構成は後述する。
【0051】
焦点制御装置3は、物体追跡装置10から入力された画像中における対象物の位置に基づいて、撮像装置2の焦点を調節する。
【0052】
次に、物体追跡装置10の詳細構成について説明する。物体追跡装置10は、画像取得部11、記憶部12、初期化部13、および、追跡部14を備える。
【0053】
画像取得部11は、撮像装置2から時系列の画像を順番に取得して、時系列の画像を記憶部12に記憶させる。
【0054】
記憶部12は、各種の情報を記憶するものであり、例えばHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶デバイスによって構成される。記憶部12は、画像取得部11が取得した時系列の画像を記憶する。また、記憶部12は、初期化部13および追跡部14が出力する各種の情報を記憶する。
【0055】
初期化部13は、画像中の追跡対象となる対象物を特定するものであり、追跡部14は、時系列の画像中の上記対象物を追跡するものである。
【0056】
<初期化部の構成>
初期化部13は、対象物指定部21、および、対象物位置特定部22(位置情報取得部)を備える。
【0057】
対象物指定部21は、図3(a)の様に、あるフレームの画像G1の中の追跡対象となる対象物Tを特定するものである。対象物指定部21は、例えば、画像G1の中のいずれの位置に追跡対象となる対象物Tが存在するかを示す情報の入力を受け付ける。例えば、デジタルビデオカメラは、タッチパネルが備えられた表示装置によって撮像画像を利用者に提示し、利用者は、タッチパネルによって追跡対象となる対象物Tが存在する位置(例えば位置P)を指定する。対象物指定部21は、指定された位置Pの情報を対象物位置特定部22に出力する。
【0058】
なお、対象物指定部21は、対象物Tが存在する領域を示す情報を受け付けてもよい。
【0059】
対象物位置特定部22は、対象物指定部21において指定された位置Pに基づき、画像G1から対象物Tを探索することにより、対象物Tが存在する位置Qを特定する。
【0060】
具体的には、対象物位置特定部22は、記憶部12からある時点(例えば最新)のフレーム(第1フレーム)の画像G1を取得する。対象物位置特定部22は、図3(a)の様に、画像G1において、指定された位置Pを含む所定の領域サイズの領域(例えば位置Pを中心とする例えば100×100ピクセルの領域)Rについて、対象物Tの検出を行う。この対象物Tの検出では、色検出またはエッジ検出などの周知の技術を利用することができる。
【0061】
対象物位置特定部22は、検出された対象物Tが含まれる矩形の領域Wを対象物Tが存在する位置Qとする。なお、検出された対象物Tが大きければ、領域Wのサイズはより大きく設定される。ここでは、対象物Tの位置Qを対象物Tが存在する領域Wを用いて規定したが、領域Wの中心を対象物Tの位置Qと規定してもよい。また、領域Wは、円形等の他の形状の領域でもよいし、所定の大きさの領域でもよい。
【0062】
また、対象物位置特定部22は、対象物Tの位置Qの情報を、当該フレームの画像G1と対応付けて記憶部12に記憶させる。
【0063】
また、対象物指定部21は、特定の条件の入力を受け付け、対象物位置特定部22は、その条件に基づいて対象物Tの位置Qを検出してもよい。例えば、対象物指定部21が「顔を対象物にする」という条件の入力を受け付けた場合、対象物位置特定部22は、画像全体に渡って顔検出を行い、検出された顔のいずれかを対象物とし、その位置Qを検出する。対象物指定部21が「四角い物体を対象物にする」という条件の入力を受け付けた場合、同様に、対象物位置特定部22は、画像から検出された四角い物体のいずれかを対象物とし、その位置Qを検出する。
【0064】
以上により、あるフレーム(第1フレーム)の画像G1における対象物Tの位置Qが特定され、その情報が初期化部13によって記憶部12に記憶される。この情報を基に、追跡部14は、第1フレームより後の何れかのフレーム(第2フレーム)を用いて対象物Tの追跡のための情報を取得し、対象物Tの追跡を行う。以下では、説明便宜上、第2フレームは、第1フレームの次のフレームとするが、第1フレームから数フレーム後のフレームであってもよい。
【0065】
<追跡部の構成>
図2は、追跡部14の構成を示すブロック図である。追跡部14は、輪郭抽出部29、詳細輪郭モデル生成部30、探索位置設定部31、ラフ輪郭モデル生成部32、尤度判定部33、探索位置絞込部34、判定部35(探索位置数判定部)、対象物位置特定部36(位置情報取得部)、および、追跡結果出力部38を備える。
【0066】
画像取得部11は、初期化部13において追跡対象である対象物Tの位置Qを特定した画像G1の次のフレームの画像G2(図3(b)参照)を、撮像装置2から取得して記憶部12に記憶させる。追跡部14は、記憶部12に記憶された画像G1を用いて対象物Tの詳細輪郭モデルを生成する。また、追跡部14は、記憶部12に記憶された画像G2を用いて上記詳細輪郭モデルに基づいて追跡対象の候補となる複数のラフ輪郭モデルを動的に生成し、それら各ラフ輪郭モデルを徐々に詳細化して上記各候補を絞り込むことで、画像G2の中の対象物Tを追跡する。以降では、追跡部14において追跡処理を行う処理対象のフレームを現フレームと称し、現フレームの画像を処理対象画像と称する。
【0067】
輪郭抽出部29は、記憶部12に記憶された画像G1を用いて、初期化部13の対象物位置特定部22が特定した対象物Tの位置Qに基づいて、対象物Tの輪郭を抽出する。具体的には、輪郭抽出部29は、図4の様に、対象物位置特定部22が特定した対象物Tの位置Qに対し、例えばLevel Set、SnakeまたはB-splineなどの周知の輪郭抽出法を用いて輪郭抽出処理を行って、対象物Tの輪郭101を抽出する。
【0068】
詳細輪郭モデル生成部30は、輪郭抽出部29が抽出した輪郭101に基づいて対象物Tの詳細輪郭モデルを生成する。具体的には、詳細輪郭モデル生成部30は、図4の様に、画像G1において、輪郭抽出部29が抽出した輪郭101に沿って複数(n個)の輪郭点X1〜Xnを抽出し、その複数の輪郭点X1〜Xnからなる詳細輪郭モデルを生成する。
【0069】
この詳細輪郭モデルは、画像G1での対象物Tの輪郭101を複数の輪郭点X1〜Xnの集合で再現したものである。なお、各輪郭点X1〜Xnは、輪郭101上の点に限定されず、輪郭101付近の点であってもよい。
【0070】
なお、各輪郭点X1〜Xnには、輪郭101に沿って識別番号が付与されており、輪郭に沿って隣合う輪郭点が特定可能になっている。
【0071】
また、詳細輪郭モデル生成部30は、各輪郭点X1〜Xnでの尤度判定用の特徴量(第1の画像特徴量)を求め、その尤度判定用の特徴量を記したテンプレートを生成する。具体的には、図4の様に、各輪郭点X1〜Xnにはそれぞれ、その輪郭点を含む所定の領域サイズ(例えば5×5ピクセル)の尤度判定用の領域R2が対応している。そして、詳細輪郭モデル生成部30は、各輪郭点X1〜Xnでの尤度判定用の特徴量として、その輪郭点に対応する尤度判定用の領域R2の画素値から得られる特徴量を用いる。
【0072】
この特徴量としては、例えば、輝度、色、エッジ強度、または、勾配角度(エッジの角度)などを用いる事ができる。この尤度判定用の特徴量として、例えば輝度およびエッジ強度等を組合わせて用いてもよい。ここでは、この尤度判定用の特徴量として、尤度判定用の領域R2の輝度分布が用いられる。なお、図4では、一例として、輪郭点X3に対応した5×5ピクセルの尤度判定用の領域R2の輝度分布が図示されている。
【0073】
また、詳細輪郭モデル生成部30は、生成した詳細輪郭モデルおよびテンプレートを当該フレームの画像G1と対応付けて記憶部12に記憶させる。
【0074】
探索位置設定部31は、図3(b)の様に、現フレームの処理対象画像G2において対象物Tの探索を行う複数(m個)の異なる探索位置S1〜Smを設定する。ここでは、各探索位置S1〜Smは、対象物Tの位置Qと同様に領域により規定されており、対象物Tの位置Qと同じ形状および同じ領域サイズに設定されている。なお、対象物Tの位置Qが点(例えば領域Wの中心点)として規定されている場合は、探索位置S1〜Smも点として規定される。
【0075】
具体的には、探索位置設定部31は、図3(b)の様に、処理対象画像G2において、1つ前のフレームの画像G1での対象物Tの位置Qの周辺に複数の探索位置S1〜Smを設定する。なお、探索位置S1〜Smの設定の仕方としては、例えば、パーティクルフィルタ、または、部分領域探索の技術を利用する事ができる。探索位置設定部31は、探索位置S1〜Smの情報をラフ輪郭モデル生成部32に出力する。
【0076】
ラフ輪郭モデル生成部32は、探索位置設定部31により設定された各探索位置S1〜Smにおいて、上記詳細輪郭モデルに基づいてラフ輪郭モデルを生成する。
【0077】
具体的には、ラフ輪郭モデル生成部32は、図5の様に、各探索位置S1〜Smにおいて、対象物Tの位置Qを当該探索位置Si(i=1〜m)に重ねた場合(即ち、詳細輪郭モデルを当該探索位置Siに当てはめた場合)の、詳細輪郭モデルの複数の輪郭点X1〜Xnの位置に対応する複数の対応点Y1〜Yn(第1対応点)を特定する。なお、複数の対応点Y1〜Ynにはそれぞれ、それに対応する輪郭点X1〜Xnと同じ識別番号が付与されている。
【0078】
そして、ラフ輪郭モデル生成部32は、各探索位置S1〜Smに対し、上記の様に特定した複数の対応点Y1〜Ynの中から第1の所定数(例えばu個)の対応点(第2対応点)Ya1〜Yauを選択し、その第1の所定数の対応点Ya1〜Yauからなるラフ輪郭モデルを生成する。なお、上記第1の所定数は、複数の対応点Y1〜Ynよりも少ない数である。
【0079】
なお、このラフ輪郭モデルは、画像G1での対象物Tの輪郭101を上記詳細輪郭モデルの複数の輪郭点X1〜Xnよりも少ない個数の対応点Ya1〜Yauの集合で再現したものである。即ち、このラフ輪郭モデルは、対象物Tの輪郭101を単純化して(即ちラフに)表したものである。このラフ輪郭モデルは、対応点Ya1〜Yauの個数が少ないほど、ラフさ度合い(単純化度合い)が高くなる。
【0080】
更に具体的には、ラフ輪郭モデル生成部32は、まず以下の様にして、処理対象画像G2において、各対応点Yj(j=1〜n)での対応点選択用の特徴量(第3の画像特徴量)を求める。即ち、ラフ輪郭モデル生成部32は、処理対象画像G2において、図5の様に、対応点Yj(注目対応点)に対応する対応点選択用の領域(第1の領域)の画素値(例えば輝度)と、その対応点Yjの周囲の特定位置にある1つ以上の参考点(例えばYj-1・Yj+1・Yout・Yin)の各々に対応する対応点選択用の領域の画素値(例えば輝度)とに基づいて、対応点Yjでの上記の対応点選択用の特徴量を求める。
【0081】
なお、各点Yj・Yj-1・Yj+1・Yout・Yinに対応する上記の対応点選択用の領域はそれぞれ、その対応する点Yj・Yj-1・Yj+1・Yout・Yinを例えば中心に含む所定の領域である。
【0082】
ここでは、対応点Yjに対する上記参考点として、図5の様に、輪郭102に沿って対応点Yjに隣合う2個の対応点Yj+1・Yj-1と、対応点Yjの近傍であって輪郭102の内側の1点Yinおよび外側の1点Youtとを使用している。対応点Yj+1・Yj-1はそれぞれ、対応点Yjの1つ後および1つ前の識別番号を有する対応点である。画像G2上の輪郭102は、対象物Tの位置Qを当該探索位置Siに重ねた場合の、対象物Tの輪郭101に対応する画像G2上の輪郭である。
【0083】
なお、各参考点Yin・Youtと対応点Yjとの距離については、対応点Yjと各参考点Yj+1,Yj-1との各距離の平均値を採用してもよい。また、各参考点Yin・Youtの対応点Yjからの方位については、例えば、角度Yout・Yj・Yj-1と角度Yout・Yj・Yj+1とが等しくなり、角度Yin・Yj・Yj-1と角度Yin・Yj・Yj+1とが等しくなる様な方位を採用してもよい。また、複数の対応点Y1〜Ynを繋げて輪郭を求め、その輪郭における対応点Yjでの接線に対する法線の方向に、各参考点Yin・Youtを配置してもよく、その際、点Yjから点Yinまでの距離を、各点Yj+1・Yj間、各Yj-1・Yj間の距離の平均としてもよい。なお、上記輪郭として、複数の対応点Y1〜Ynを繋げたものを使用する代わりに、複数の対応点Y1〜Ynに対応する複数の輪郭点X1〜Xnの基になった輪郭(即ち、輪郭抽出部29が抽出した輪郭)101を用いてもよい。
【0084】
また、対応点Yjでの上記の対応点選択用の特徴量としては、例えば、処理対象画像G2における対応点Yjと各参考点Yin・Yj-1・Yj+1との間の各輝度差のうちのその輝度差が一番大きいものと、対応点Yjと参考点Youtとの間の輝度差との差が用いられる。ここでは、対応点Yjの上記の対応点選択用の特徴量として、この様な輝度差の差が用いられるが、この様に限定されるものではなく、例えば、各点Yj-1・Yj・Yj+1に沿った輪郭部分でのエッジ強度の大きさを採用してもよい。また、輝度差とエッジ強度を組合わせて用いてもよい。また、対応点Yjの周辺画素の輝度差(例えば対応点Yjと参考点Youtの輝度差)を用いてもよい。
【0085】
なお、対応点Yjと各参考点Yj-1・Yj+1・Yout・Yinとの間の上記各輝度差は、下記の様に求められる。各点Yj・Yj-1・Yj+1・Yout・Yinに対応する上記対応点選択用の領域は、画像G2の領域であり、互いに同じ領域サイズの領域(例えば5×5ピクセル)である。そして、各点Yj・Yj-1間の上記輝度差(第3画素値差)を求める場合は、各点Yj・Yj-1に対応する上記対応点選択用の各領域において同じ配列位置に在るピクセル間の輝度差を求め、それら各輝度差(または各輝度差の絶対値)を上記対応点選択用の領域に渡って合算したものを各点Yj・Yj-1間の輝度差とする。対応点Yjと他の参考点Yj+1・Yout・Yinとの間の上記各輝度差(第3画素値差、第2画素値差、第1画素値差)についても同様である。なお、この輝度差の計算方法は一例であり、この様に限定されない。この様に対応点Yjでの上記の対応点選択用の特徴量が求められる。
【0086】
なお、ここでは、対応点Yjの参考点として、各点Yj-1・Yj+1・Yout・Yinを用いたが、各点Yout・Yinだけを用いてもよい。
【0087】
そして、ラフ輪郭モデル生成部32は、各探索位置Siについて、複数の対応点Y1〜Ynのうち、画像G2において、輪郭を表している度合いがより高いいくつかの対応点Ya1〜Yauを選択し、対応点Ya1〜Yauからなる該探索位置Siのラフ輪郭モデルを生成する。
【0088】
もし現フレームにおいてある探索位置Siに対象物Tが移動していれば、その探索位置Siの各対応点Y1〜Ynに対象物Tの輪郭が位置している可能性が高く、各対応点Y1〜Ynは輪郭を表すはずである。ただし、対象物Tの輪郭が変形しながら対象物Tが移動している場合、現フレームにおいて対象物Tが探索位置Siに移動していても、その探索位置Siの各対応点Y1〜Ynの中には輪郭を表さない点もある。そのため、現フレームの画像G2においてより輪郭を表している度合いがより高いいくつかの対応点Ya1〜Yauをラフ輪郭モデルを構成する点として選択(選抜)する。画像G2において輪郭を表している度合いが高い対応点Ya1〜Yauからなるラフ輪郭モデルは、該探索位置Siに対象物Tが移動しているか否かを判定するための、優秀かつ単純な輪郭モデルであると考えることができる。
【0089】
対応点Yjが輪郭を表している度合いは、例えば、画像G2における対応点Yjに対応する位置のエッジ強度で表すことができる。また、例えば、対応点Yjが輪郭を表している度合いは、画像G2における対応点Yjに対応する輪郭102の内側と外側との輝度差で表すことができる。
【0090】
具体的には、ラフ輪郭モデル生成部32は、この様に上記の対応点選択用の特徴量を求めた複数の対応点Y1〜Ynのうち、所定の事前知識を満たすものを選び、その中から上記の対応点選択用の特徴量の大きさが上位第1の所定数(例えば上位u個)に(即ち、最大のものから第1の所定数の順位までに)含まれるものを選択して、その第1の所定数の対応点Ya1〜Yauからなるラフ輪郭モデルを生成する。
【0091】
上記所定の事前知識としては、例えば、対応点Yjに着目した場合、対応点Yjと参考点Youtとの間の輝度差は、対応点Yjと参考点Yinとの間の輝度差、対応点Yjと参考点Yj-1との間の輝度差、および、対応点Yjと参考点Yj+1との間の輝度差よりも大きい、という事前知識を利用することができる。
【0092】
上記の対応点Yjでの対応点選択用の特徴量(第3の画像特徴量)は、この事前知識を踏まえたものであり、対応点Yjが対象物Tの輪郭を示している輪郭度合いを表している。即ち、現フレームにおいてその探索位置Siに対象物Tが移動していれば、複数の対応点Y1〜Ynを繋ぐ輪郭102の内側と外側で輝度差が大きいと推測できる。それゆえ、上記事前知識を踏まえた上記の対応点選択用の特徴量は、各対応点Y1〜Ynが対象物Tの輪郭を示している輪郭度合いを表す指標となる。そして、上記の対応点選択用の特徴量が大きいほど、上記の輪郭度合いは高いはずである。本発明は、上記の輪郭度合いに基づいて、複数の対応点Y1〜Ynをより有効ないくつかの対応点Ya1〜Yauに絞り込み、それら各対応点Ya1〜Yauでラフ輪郭モデルを作成するので、このラフ輪郭モデルは、少ない情報(対応点)で有効なモデルになっている。
【0093】
この様に、複数の対応点Y1〜Ynのうち上記の対応点選択用の特徴量が上位第1の所定数に含まれるものから、ラフ輪郭モデルが生成される。よって、各探索位置S1〜Smのラフ輪郭モデルはそれぞれ、少ない情報(対応点)で、その探索位置Siに対象物Tが移動しているか否かを判定する優秀な輪郭モデルとなっている。
【0094】
なお、エッジ強度を対応点選択用の特徴量とする場合は、エッジ強度の大きさが上位第1の所定数に含まれる対応点を選択する。
【0095】
各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauはそれぞれ、その探索位置での画像G2に基づいて生成されるので、例えば図6の様に、個数(u個)は同じでも、組み合わせは異なっている。なお、図6では、作図便宜上、各探索位置S1・S2・S3でのラフ輪郭モデルだけが図示されている。
【0096】
また、ラフ輪郭モデル生成部32は、各探索位置S1〜Smのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauに対応する尤度判定用の領域の画素値に基づいて、各探索位置S1〜Smのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauの尤度判定用の特徴量(第2の画像特徴量)を求める。この尤度判定用の特徴量は、後述の尤度判定部33の尤度の判定で使用されるものである。なお、各対応点Ya1〜Yauに対応する上記の尤度判定用の領域はそれぞれ、その対応する対応点Ya1〜Yauを例えば中心に含む領域である。
【0097】
この尤度判定用の特徴量は、詳細輪郭モデルの各輪郭点X1〜Xnに対応する上記の尤度判定用の領域の画素値から求められた上記尤度判定用の特徴量(ここでは輝度分布:第1の画像特徴量)と同じ種類の特徴量(ここでは輝度分布)である。
【0098】
なお、各対応点Ya1〜Yauに対応する上記の尤度判定用の領域の領域サイズは、詳細輪郭モデルの各輪郭点X1〜Xnに対応する上記の尤度判定用の領域と同じ領域サイズ(例えば5×5ピクセルのサイズ)であるが、各対応点Y1〜Ynに対応する上記の対応点選択用の領域の領域サイズと同じ領域サイズである必要はない。
【0099】
即ち、各対応点Y1〜Ynには、上記の対応点選択用の領域が対応し、各対応点Y1〜Ynのうちの各Ya1〜Yauには、更に、上記の尤度判定用の領域が対応する。なお、上記の尤度判定用の領域は、詳細輪郭モデルの各輪郭点X1〜Xnに対応する上記尤度判定用の領域と同じ領域サイズに固定されるが、上記の対応点選択用の領域は、後述の様に、判定部35からの後述の指示信号に応じて、領域サイズが変更される。
【0100】
またラフ輪郭モデル生成部32は、上記の各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの情報(即ち、各対応点Ya1〜Yauの情報、および、各対応点Ya1〜Yauでの尤度判定用の特徴量の情報)を尤度判定部33に出力する。
【0101】
また、ラフ輪郭モデル生成部32は、後述の様に、判定部35から指示信号(即ち、ラフさ度合いを一段階下げてラフ輪郭モデルを改めて生成させる旨の指示信号)を取得した場合は、後述の様に探索位置絞込部34により絞り込まれた各探索位置に対してだけ、それらのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauの個数(u個)を所定数増やして、ラフ輪郭モデルを改めて生成する。
【0102】
なお、上記所定数として、例えば、予め設定された固定数、または、その時点での各対応点Ya1〜Yauの個数に対して一定割合増やした数を採用できる。また、対応点Ya1〜Yauの個数の増やし方として、対応点Ya1〜Yauの個数を、上記指示信号に応じて、輪郭点X1〜Xnの個数の20%から50%まで段階的に増してもよい。
【0103】
なお、対応点Ya1〜Yauの個数を所定数増やすことに加えて、またはその代わりに、各対応点Y1〜Ynに対応する上記の対応点選択用の領域の領域サイズを所定サイズ増大させ、その所定サイズ増大させた対応点選択用の領域に基づいて、上述同様に、上記の対応点選択用の特徴量を求めてもよい。
【0104】
なお、対応点選択用の領域の領域サイズを所定サイズ増大させる場合は、領域サイズとして、例えば1ピクセルから5×5ピクセルまで段階的に用意し、ラフ度合いが最も高い場合の領域サイズとして初期的に1ピクセルを設定しておき、ラフ輪郭モデル生成部32において上記指示信号を取得する毎に(ラフ度合いが低くなる毎に)、対応点選択用の領域の領域サイズを、縦横共に1ピクセルずつ増大させてもよい。
【0105】
また、ラフ輪郭モデル生成部32は、この改めて生成したラフ度合いが低い(即ちより詳細な)ラフ輪郭モデルに対し、上述同様に、尤度判定用の特徴量を求める。なお、その際、各対応点Ya1〜Yauに対応する尤度判定用の領域は、上述の対応点選択用の特徴量の場合と違って、変更されない。
【0106】
そして、ラフ輪郭モデル生成部32は、改めて生成した各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの情報(各対応点Ya1〜Yauの情報、および、各対応点Ya1〜Yauでの尤度判定用の特徴量の情報)を尤度判定部33に出力する。
【0107】
尤度判定部33は、上記の各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの情報を受信すると、各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの詳細輪郭モデルに対する尤度L(即ち現フレームの画像G2において各探索位置Siが対象物Tの位置であることの尤度)を判定する。
【0108】
具体的には、尤度判定部33は、ラフ輪郭モデル生成部32から上記の各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの情報(即ち各対応点Ya1〜Yauの情報、および、各対応点Ya1〜Yauでの尤度判定用の特徴量(例えば輝度分布)の情報)を取得すると共に、記憶部12から上記の詳細輪郭モデルのテンプレート(即ち各輪郭点X1〜Xnでの尤度判定用の特徴量(例えば輝度分布)の情報)を読み出す。
【0109】
そして、尤度判定部33は、まず、画像G2における探索位置Si(i=1〜m)でのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauと、画像G1における詳細輪郭モデルの各輪郭点X1〜Xnのうちの上記各対応点Ya1〜Yauに対応する各輪郭点Xa1〜Xauとの間で、上記の尤度判定用の特徴量の差を求めることで、各対応点Yajの輪郭点Xajに対する尤度Ljを求める。
【0110】
ここでは、尤度判定部33は、対応する各点Xaj・Yaj(j=1〜u)に対応する上記各領域(5×5ピクセルの尤度判定用の領域)において同じ配列位置に在るピクセル間の輝度差を求め、それら各輝度差(または各輝度差の絶対値)を合算したものを用いて、対応点Yajの輪郭点Xajに対する尤度Ljを求める。なお、各点Xajに対応する上記の尤度判定用の領域は、画像G1の領域であり、各点Yajに対応する上記尤度判定用の領域は、画像G2の領域である。ここでは、尤度Ljは、例えばLj=exp(-|輝度差の合算値|)と定義される。
【0111】
そして、尤度判定部33は、各対応点Yaj(j=1〜u)に渡って各対応点Yajの尤度Ljを合算したものを用いて、探索位置Siでのラフ輪郭モデルの詳細輪郭モデルに対する尤度L(例えばL=(L1+L2+…+Lu)/u)を求める。この場合、尤度Lの最大値は1となる。図7では、一例として、各探索位置S1・S2・S3での輪郭モデルの尤度Lがそれぞれ0.5、0.9、0.3である場合が図示されている。
【0112】
なお、尤度Lの定義は上記の様に限定されない。また、上記の様に定義された尤度Lは、ラフ輪郭モデルが詳細輪郭モデルに類似するほど大きくなるが、ラフ輪郭モデルが詳細輪郭モデルに類似するほど小さくなる様に定義してもよい。
【0113】
また、尤度判定部33は、各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの尤度Lの情報を探索位置絞込部34に出力する。なお、尤度判定部33は、ラフ輪郭モデル生成部32により改めて生成されたラフ輪郭モデルの情報を受信した場合は、その改めて生成されたラフ輪郭モデルの尤度Lを上述同様に判定し、その尤度Lの情報を探索位置絞込部34に出力する。
【0114】
探索位置絞込部34は、上記の各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの尤度Lの情報を受信すると、その尤度Lに基づいて、複数の探索位置S1〜Smの中から探索位置を絞り込む。ここでは、探索位置絞込部34は、複数の探索位置S1〜Smのうち、そのラフ輪郭モデルの尤度Lが所定値以上である探索位置だけ残す。
【0115】
これにより、複数の探索位置S1〜Smのうち、そのラフ輪郭モデルが詳細輪郭モデルに一定以上類似しているものだけ残される。即ち、複数の探索位置S1〜Smのうち、画像G2での対象物Tの位置であることの尤度が高いものだけが残される。
【0116】
なお、探索位置絞込部34は、ラフ輪郭モデル生成部32により改めて生成されたラフ輪郭モデルの尤度Lの情報を受信した場合は、当該尤度Lに基づいて、その絞り込んだ各探索位置を上述同様に更に絞り込む。即ち、探索位置絞込部34は、その絞り込んだ各探索位置において改めて生成されたラフ輪郭モデルの尤度Lを用いて、上述同様に、その絞り込んだ各探索位置を更に絞り込む。
【0117】
そして、探索位置絞込部34は、絞り込んだ探索位置の情報を判定部35に出力する。
【0118】
判定部35は、探索位置絞込部34により絞り込まれた探索位置の数が第2の所定数(例えば3個)以下であるか否かを判定する。
【0119】
また、判定部35は、その判定結果が、絞り込まれた探索位置の数が上記第2の所定数以下である場合は、絞り込まれた探索位置の情報を対象物位置特定部36に出力する。一方、判定部35は、その判定結果が、絞り込まれた探索位置が上記第2の所定数より大きい場合は、ラフ輪郭モデルのラフさ度合いを一段階下げてラフ輪郭モデルを改めて生成させる旨の上記の指示信号を、ラフ輪郭モデル生成部32に出力する。
【0120】
対象物位置特定部36は、探索位置絞込部34により絞り込まれた探索位置が1個の場合は、その探索位置を現フレームの処理対象画像G2での追跡対象である対象物Tの位置Q2と特定する。
【0121】
また、対象物位置特定部36は、探索位置絞込部34により絞り込まれた探索位置が2個以上で且つ上記第2の所定数以下の場合は、その絞り込まれた各探索位置を例えば色情報を用いて1個に絞り込む。色情報を用いた絞込技術としては、例えば色ヒストグラム、勾配ヒストグラム、または、ガボール特徴などの周知の技術を用いる事ができる。
【0122】
具体的には、対象物位置特定部36は、探索位置絞込部34により絞り込まれた各探索位置での複数の対応点Y1〜Ynで囲まれた領域(即ち追跡対象の候補)の色情報と、1つ前のフィールドの画像G1での対象物Tの色情報とを比較する。そして、対象物位置特定部36は、探索位置絞込部34により絞り込まれた各探索位置のうち、その色情報が対象物Tの色情報に一番近似するものを、処理対象画像G2での追跡対象である対象物Tの位置Q2と特定する。
【0123】
なお、対象物位置特定部36は、探索位置絞込部34により絞り込まれた各探索位置を、それら各探索位置全体のエッジの情報を用いて1個に絞り込んでもよい。
【0124】
また、対象物位置特定部36は、上記の様に特定した対象物Tの位置Q2の情報を輪郭抽出部29に出力する。そして、輪郭抽出部29は、対象物位置特定部36により特定された位置Q2に基づいて、上述同様に、処理対象画像G2から対象物Tの輪郭を抽出する。また、対象物位置特定部36は、上記の様に特定した対象物Tの位置Q2の情報を処理対象画像G2と対応付けて記憶部12に記憶させる。
【0125】
この様に、現フレームの処理対象画像G2において抽出された対象物Tの輪郭は、処理対象画像G2での詳細輪郭モデルに用いられ、現フレームの次のフレームの画像で生成されるラフ輪郭モデルの基になる。即ち、追跡部14は、現フレームの処理対象画像G2での対象物Tの上記輪郭を用いて、上述同様に、この処理対象画像G2での詳細輪郭モデルおよびテンプレートを生成し、その詳細輪郭モデルおよびテンプレートを用いて、現フレームの次のフレームの画像での対象物Tの位置を特定する。これが繰り返されることで、画像中の対象物Tが追跡される。
【0126】
なお、この実施の形態では、対象物位置特定部36と探索位置絞込部34とを別構成で説明したが、探索位置絞込部34の機能を対象物位置特定部36に含めて探索位置絞込部34を省略してもよい。
【0127】
また、この実施の形態では、対象物位置特定部22と対象物位置特定部36とを別構成としたが、それらをまとめて1つの対象物位置特定部としてもよい。
【0128】
また、輪郭抽出部29は、画像G2での対象物Tの輪郭の情報を、処理対象画像G2と対応付けて記憶部12に記憶させる。また、輪郭抽出部29は、処理対象画像G2での対象物Tの輪郭の情報を追跡結果出力部38に出力する。
【0129】
追跡結果出力部38は、処理対象画像G2での対象物Tの位置Q2の情報を焦点制御装置3に出力する。
【0130】
<動作説明>
次に、物体追跡装置10の動作を説明する。図3(a)は、あるフレームの画像G1についての追跡処理の例を示す図であり、図3(b)は、その次のフレームの画像G2についての追跡処理の例を示す図である。図3(a)に示すあるフレームの画像G1において、画像G1に対象物Tが映っている。以下では、対象物Tを追跡する例について説明する。図8は、物体追跡装置10における対象物Tの追跡処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【0131】
ステップS1では、画像取得部11により、撮像装置2から撮像された画像G1が取得され、その取得された画像G1が記憶部12に記憶される。
【0132】
ステップS2では、初期化部13により、あるフレームの画像G1が記憶部12から取得され、その追跡対象となる画像G1の中の対象物Tが特定される。
【0133】
ステップS3では、画像取得部11により、次のフレームの画像G2が処理対象画像として撮像装置2から取得され、その取得された画像G2が記憶部12に記憶される。
【0134】
ステップS4では、追跡部14により、現フレームの画像G2の中の対象物Tの位置Q2が特定される。以降、ステップS3およびS4の処理がフレーム毎に繰り返されることで、画像中の対象物Tが追跡される。
【0135】
<初期化処理フロー>
次に、初期化部13の詳細な処理のフローについて説明する。図9は、初期化部13における初期化処理の流れを示すフローチャートである。
【0136】
ステップS11では、対象物指定部21により、利用者から、追跡対象となる対象物Tが存在する画像G1中の位置P(図3(a)参照)の入力が受け付けられる。ここでは、利用者がタッチパネルによって対象物Tの位置Pを指定する。
【0137】
ステップS12では、対象物位置特定部22により、指定された位置Pを含む所定の領域Rについて、対象物Tの検出が行われ、対象物Tの位置Qが特定される。ここでは、対象物Tの位置Qは、対象物Tを含む矩形の領域として設定される。なお、対象物Tの位置Qを、対象物Tを含む矩形の領域の例えば中心として設定してもよい。そして、初期化部13の処理が終了する。
【0138】
<追跡処理フロー>
次に、追跡部14の詳細な処理のフローについて説明する。図5は、次のフレームの画像G2に設定された各探索位置Si(i=1〜m)で生成されるラフ輪郭モデルを説明する図である。図10は、追跡部14における追跡処理の流れを示すフローチャートである。
【0139】
ステップS18では、輪郭抽出部29により、記憶部12に記憶された画像G1において、対象物指定部21により特定された対象物Tの輪郭101(図4参照)が抽出される。
【0140】
ステップS19では、詳細輪郭モデル生成部30により、画像G1において、輪郭抽出部29により抽出された輪郭101に沿って複数(n個)の輪郭点X1〜Xnが抽出され、その複数の輪郭点X1〜Xnからなる詳細輪郭モデルが生成される。そして、この詳細輪郭モデルの情報は、画像G1に対応付けられて記憶部12に記憶される。
【0141】
ステップS20では、詳細輪郭モデル生成部30により、各輪郭点X1〜Xnに対応する尤度判定用の領域の画素値から尤度判定用の特徴量(例えば輝度、エッジ強度、または、勾配角度)が求められ、その特徴量が記されたテンプレートが生成される。そして、このテンプレートの情報は、画像G1に対応付けられて記憶部12に記憶される。
【0142】
ステップS21では、探索位置設定部31により、処理対象画像G2において、対象物Tの探索が行われる複数(m個)の異なる探索位置S1〜Smが設定される。具体的には、探索位置設定部31により、図3(b)の様に、処理対象画像G2において、1つ前のフレームの画像G1での対象物Tの位置Qの周辺に複数の探索位置S1〜Smが設定される。
【0143】
ステップS22では、ラフ輪郭モデル生成部32により、探索位置設定部31により設定された各探索位置S1〜Smにおいて、ステップS19で生成された詳細輪郭モデルに基づいてラフ輪郭モデルが生成される。
【0144】
具体的には、図5の様に、まず、各探索位置Si(i=1〜m)において、対象物Tの位置Qを当該探索位置Siに重ねた場合(即ち、詳細輪郭モデルを当該探索位置Siに当てはめた場合)の、詳細輪郭モデルの複数の輪郭点X1〜Xnの位置に対応する複数の対応点(第1対応点)Y1〜Ynが特定される。そして、各探索位置S1〜Smに対し、この様に特定された複数の対応点Y1〜Ynの中から第1の所定数(例えばu個)の対応点(第2対応点)Ya1〜Yauが選択され、その第1の所定数の対応点Ya1〜Yauからなるラフ輪郭モデルが生成される。
【0145】
具体的には、まず、複数の対応点Y1〜Ynでの対応点選択用の特徴量(例えば輝度分布)が求められる。即ち、対応点Yj(j=1〜n)に対応する対応点選択用の領域の画素値と、その対応点Yjの周囲の特定位置にある1つ以上の参考点(例えばYj-1・Yj+1・Yout・Yin)の各々に対応する対応点選択用の領域の画素値とに基づいて、対応点Yjでの上記の対応点選択用の特徴量が求められる。
【0146】
そして、この様に対応点選択用の特徴量が求められた複数の対応点Y1〜Ynのうち、所定の事前知識を満たし、且つ上記の対応点選択用の特徴量の大きさが上位第1の所定数(例えばu個)に含まれるものが選択され、その第1の所定数の対応点Ya1〜Yauからラフ輪郭モデルが生成される。
【0147】
ステップS23では、ラフ輪郭モデル生成部32により、各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauに対応する尤度判定用の領域の画素値に基づいて、各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauでの尤度判定用の特徴量(例えば輝度分布)が求められる。
【0148】
ステップS24では、尤度判定部33により、各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの詳細輪郭モデルに対する尤度L(即ち現フレームの画像G2において各探索位置Siが対象物Tの位置であることの尤度)が判定される。
【0149】
具体的には、まず、ステップS23で求められた、各探索位置S1〜Smでのラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauでの尤度判定用の特徴量(例えば輝度分布)と、ステップS20で求められた、詳細輪郭モデルの各輪郭点X1〜Xnのうち各対応点Ya1〜Yauに対応する各輪郭点Xa1〜Xauでの尤度判定用の特徴量(例えば輝度分布)との間で、それらの特徴量の差が求められることで、各対応点Yajの輪郭点Xajに対する尤度Ljが求められる。なお、各点Xajに対応する上記の尤度判定用の領域は、画像G1の領域であり、各点Yajに対応する上記の尤度判定用の領域は、画像G2の領域である。
【0150】
ここでは、対応する各点Xaj・Yaj(j=1〜u)に対応する尤度判定用の領域において同じ配列位置に在るピクセル間の輝度差が求められ、それら各輝度差(または各輝度差の絶対値)が合算され、その合算値を用いて、対応点Yajの輪郭点Xajに対する尤度Lj(例えばLj=exp(-|輝度差の合算値|))が求められる。
【0151】
そして、各対応点Yaj(j=1〜u)の尤度Ljが合算されて、探索位置Siでのラフ輪郭モデルの詳細輪郭モデルに対する尤度L(例えばL=(L1+L2+…+Lu)/u)が求められる。
【0152】
ステップS25では、探索位置絞込部34により、尤度判定部33により判定された尤度Lに基づいて、複数の探索位置S1〜Smの中から探索位置が絞り込まれる。ここでは、複数の探索位置S1〜Smのうち、そのラフ輪郭モデルの尤度Lが所定値以上である探索位置だけ残される。
【0153】
ステップS26では、判定部35により、探索位置絞込部34により絞り込まれた探索位置の数が第2の所定数(例えば3個)以下であるか否かが判定される。そしてステップS27で、その判定結果が第2の所定数より大きい場合は、処理がステップS28に移行する。
【0154】
ステップS28では、判定部35からラフ輪郭モデル生成部32に指示信号(即ち、ラフ輪郭モデルのラフさ度合いを一段階下げてラフ輪郭モデルを改めて生成させる旨の指示信号)が出力される。そして、ラフ輪郭モデル生成部32により、判定部35からの上記指示信号が受信されると、ラフ輪郭モデル生成部32により、ステップS25で絞り込まれた各探索位置に対してだけ、ラフ輪郭モデルのラフさ度合いが一段階下げられる。
【0155】
即ち、ラフ輪郭モデル生成部32により、ステップS25で絞り込まれた各探索位置に対してだけ、各対応点Y1〜Ynに対応する対応点選択用の領域の領域サイズが所定サイズ増大され、且つラフ輪郭モデルを構成するための対応点Ya1〜Yauの個数(u個)が所定数増やされる。
【0156】
そして、処理がステップS22に戻り、ステップS25で絞り込まれた各探索位置においてだけ、上記の様にラフさ度合いが一段階下げられた条件の下で、ラフ輪郭モデルが改めて生成される。そして、ステップS23で、ステップS22で改めて生成されたラフ輪郭モデルの各対応点Ya1〜Yauでの尤度判定用の特徴量が前回同様に求められ、ステップS24で、ステップS22で改めて生成されたラフ輪郭モデルの尤度Lが前回同様に求められ、ステップS25で、前回のステップS25で絞り込まれた各探索位置が前回同様に更に絞り込まれ、ステップS26で、更に絞り込まれた各探索位置の数が第2の所定数以下であるか否かが前回同様に判定される。そしてステップS27で、その判定結果が第2の所定数以下になるまで、ステップS28→S22→S23→S24→S25→S26→S27の処理が繰り返される。
【0157】
そしてステップS27で、判定部35の判定結果が第2の所定数以下である場合は、処理がステップS29に移行する。例えば、第2の所定数が3個の場合において、図7の様に、絞り込まれた各探索位置がS1およびS2の2個の場合は、処理がステップS29に移行する。
【0158】
ステップS29では、探索位置絞込部34により絞り込まれた探索位置が1個の場合は、処理がステップS31に移行し、対象物位置特定部36により、その探索位置が処理対象画像G2での追跡対象である対象物Tの位置Q2と特定される。なお、対象物位置特定部36により特定された位置Q2(即ち、現フレームの画像G2における対象物Tの位置Q2)に基づいて、現フレームの次のフレームの画像における当該対象物Tの位置が追跡されることになる。
【0159】
またステップS29で、探索位置絞込部34により絞り込まれた探索位置が1個でない場合(即ち、2個以上で且つ第2の所定数以下の場合)は、処理がステップS30に移行し、対象物位置特定部36により、その絞り込まれた各探索位置が例えば色情報(例えば色ヒストグラム、勾配ヒストグラム、または、ガボール特徴など)を用いて1個に絞り込まれる。
【0160】
具体的には、現フレームの処理対象画像G2における探索位置絞込部34により絞り込まれた各探索位置での複数の対応点Y1〜Ynで囲まれた領域(即ち追跡対象の候補)の色情報と、1つ前のフィールドの画像G1での対象物Tの色情報とが比較される。そして、探索位置絞込部34により絞り込まれた各探索位置の中から、色情報が対象物Tの色情報に一番近似するものだけに絞り込まれる。そして処理がステップS31に移行し、対象物位置特定部36により、その絞り込まれた探索位置が処理対象画像G2での追跡対象である対象物Tの位置Q2と特定される。
【0161】
例えば図7において、各探索位置S1・S2のうち、探索位置S1の色情報の方が対象物Tの色情報に近い場合は、探索位置はS1に絞り込まれ、その探索位置S1が処理対象画像G2での対象物Tの位置Q2と特定される。
【0162】
ステップS32では、輪郭抽出部29により、ステップS31で特定された位置Q2に基づいて処理対象画像G2から対象物Tが検出され、その対象物Tの輪郭が抽出される。この画像G2での対象物Tの輪郭は、現フレームの画像G2での詳細輪郭モデルに用いられ、次のフレームの画像で生成されるラフ輪郭モデルの基にされる。
【0163】
ステップS33では、追跡結果出力部38により、処理対象画像G2での対象物Tの位置Q2の情報が焦点制御装置3に出力される。
【0164】
なお、この<追跡処理フロー>の説明では、ステップS28において、ラフさ度合いを一定段階下げる場合に、(a)各対応点Y1〜Ynに対応する対応点選択用の領域の領域サイズを所定サイズ増大し、且つ(b)ラフ輪郭モデルを構成するための対応点Ya1〜Yauの個数(u個)を所定数増やしたが、上記(a)だけ、または、上記(b)だけでも構わない。
【0165】
また、本実施の形態では、撮影した動画像から対象物を検出して追跡している。しかしながら、物体追跡装置10は、アニメーションその他の動画像にも適用可能である。また、対象物として、人物の上半身や全身の画像を検出してもよいし、ボール、車両、運搬される荷物、その他の動く物体の画像を検出してもよい。また、静止した物体であっても、撮像装置2を動かせば、撮影した画像中では移動することになるので、適用可能である。すなわち、本発明は、取得した時系列の画像の中で移動する対象物の追跡に適用可能である。
【0166】
最後に、物体追跡装置10の各ブロック、特に対象物指定部21、対象物位置特定部22、輪郭抽出部29、詳細輪郭モデル生成部30、探索位置設定部31、ラフ輪郭モデル生成部32、尤度判定部33、探索位置絞込部34、判定部35、対象物位置特定部36、および、追跡結果出力部38は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPU(central processing unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0167】
すなわち、物体追跡装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである物体追跡装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記物体追跡装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0168】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0169】
また、物体追跡装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0170】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、動画像の中の対象物を追跡するデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはカメラ付き携帯電話等の機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0172】
1 物体追跡システム
2 撮像装置
3 焦点制御装置
10 物体追跡装置(対象物追跡装置)
11 画像取得部
12 記憶部
13 初期化部
14 追跡部
21 対象物指定部
22 対象物位置特定部(位置情報取得部)
29 輪郭抽出部
30 詳細輪郭モデル生成部
31 探索位置設定部
32 ラフ輪郭モデル生成部
33 尤度判定部
34 探索位置絞込部
35 判定部(探索位置数判定部)
36 対象物位置特定部(位置情報取得部)
38 追跡結果出力部
G1・G2 画像
S1〜Sm 探索位置
T 対象物
Q・Q2 対象物の位置
X1〜Xn 輪郭点
Y1〜Yn 第1対応点
Ya1〜Yau 第2対応点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する対象物追跡装置であって、
第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得部と、
上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成部と、
上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置設定部と、
上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成部と、
上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定部と、
上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定部と、
を備えることを特徴とする対象物追跡装置。
【請求項2】
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記各探索位置について、
上記各第1対応点について、上記第2フレームにおける当該第1対応点に関する第3の画像特徴量に基づいて、当該第1対応点が輪郭を表している輪郭度合いを求め、
上記複数の第1対応点のうち、上記輪郭度合いの大きさが最大のものから上記第1の所定数の順位までに含まれるものを上記第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の対象物追跡装置。
【請求項3】
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記第2フレームにおける、上記第1対応点に対応するエッジ強度に応じて、または、上記第1対応点に対応する複数の画素値の差に応じて、上記輪郭度合いを求めることを特徴とする請求項2に記載の対象物追跡装置。
【請求項4】
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記各第1対応点について、上記第2フレームにおける上記複数の第1対応点によって表される輪郭の内側の点の画素値と当該第1対応点に対応する画素値との差である第1画素値差と、該輪郭の外側の点の画素値と当該第1対応点に対応する画素値との差である第2画素値差との差に応じて、上記輪郭度合いを求めることを特徴とする請求項2に記載の対象物追跡装置。
【請求項5】
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記各第1対応点について、上記第2フレームにおける上記複数の第1対応点によって表される輪郭において、当該第1対応点とそれに隣接する上記第1対応点との間の画素値の差である第3画素値差と、上記第1画素値差および上記第2画素値差とに応じて、上記輪郭度合いを求めることを特徴とする請求項4に記載の対象物追跡装置。
【請求項6】
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記複数の第1対応点の各々に対し、当該第1対応点およびその周囲の特定位置にある1つ以上の参考点の各々に対応する第1の領域の画素値に基づいて、当該第1対応点が輪郭を表している輪郭度合いを求めることで、上記複数の第1対応点の各々の上記輪郭度合いを求め、上記複数の第1対応点のうち、上記輪郭度合いの大きさが上位第1の所定数に含まれるものを上記第2対応点として選択して、上記第2対応点からなる上記ラフ輪郭モデルを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の対象物追跡装置。
【請求項7】
上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から探索位置を絞り込む探索位置絞込部と、
上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置の数が第2の所定数以下であるか否かを判定する探索位置数判定部とを更に備え、
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記ラフ輪郭モデルの生成後、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数より大きい場合は、上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置に対し、上記複数の第1対応点およびそれらの上記参考点の各々に対応する上記第1の領域の領域サイズを所定サイズ増大し、増大した上記第1の領域の画素値に基づいて上記複数の第1対応点の各々の上記輪郭度合いを求めることで、上記ラフ輪郭モデルを改めて生成し、
上記尤度判定部は、上記ラフ輪郭モデル生成部により改めて生成された上記ラフ輪郭モデルに対して上記尤度を判定し、
上記探索位置絞込部は、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記探索位置絞込部が絞り込んだ上記探索位置の中から更に探索位置を絞り込み、
上記探索位置数判定部は、上記探索位置絞込部により更に絞り込まれた上記探索位置の数が上記第2の所定数以下であるか否かを判定し、
上記対象物位置特定部は、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数以下の場合、上記探索位置絞込部により絞り込まれた探索位置の中から、上記第2フレームにおける上記対象物の位置を特定することを特徴とする請求項6に記載の対象物追跡装置。
【請求項8】
上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から探索位置を絞り込む探索位置絞込部と、
上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置の数が第2の所定数以下であるか否かを判定する探索位置数判定部とを備え、
上記ラフ輪郭モデル生成部は、上記ラフ輪郭モデルの生成後、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数より大きい場合は、上記探索位置絞込部により絞り込まれた上記探索位置に対し、上記第1の所定数を所定数増やして、上記ラフ輪郭モデルを改めて生成し、
上記尤度判定部は、上記ラフ輪郭モデル生成部により改めて生成された上記ラフ輪郭モデルに対して上記尤度を判定し、
上記探索位置絞込部は、上記尤度判定部により判定された上記尤度に基づいて、上記探索位置絞込部が絞り込んだ上記探索位置の中から更に探索位置を絞り込み、
上記探索位置数判定部は、上記探索位置絞込部により更に絞り込まれた上記探索位置の数が上記第2の所定数以下であるか否かを判定し、
上記対象物位置特定部は、上記探索位置数判定部の判定結果が上記第2の所定数以下の場合、上記探索位置絞込部により更に絞り込まれた探索位置の中から、上記第2フレームにおける上記対象物の位置を特定することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の対象物追跡装置。
【請求項9】
上記位置情報取得部は、上記対象物位置特定部により上記第2フレームにおいて上記対象物の位置が特定された場合に、上記対象物位置特定部により特定された該第2フレームにおける上記対象物の位置情報を取得し、該第2フレームを上記第1フレームとして扱うことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の対象物追跡装置。
【請求項10】
複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する対象物追跡方法であって、
第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成ステップと、
上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置ステップと、
上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成ステップと、
上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定ステップと、
上記尤度判定ステップにより判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定ステップと、
を備えることを特徴とする対象物追跡方法。
【請求項11】
複数のフレームからなる時系列画像の中の対象物を追跡する処理をコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
第1フレームにおける追跡対象となる対象物の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
上記第1フレームにおいて、上記位置情報に基づいて、上記対象物の輪郭を示す複数の輪郭点からなる詳細輪郭モデルを生成する詳細輪郭モデル生成ステップと、
上記第1フレームより後の何れかの第2フレームにおいて複数の異なる探索位置を設定する探索位置ステップと、
上記第2フレームにおいて、上記各探索位置に対し、上記詳細輪郭モデルを当該探索位置に当てはめた場合の、上記複数の輪郭点の位置に対応する複数の第1対応点を特定し、上記複数の第1対応点の中から、上記複数の第1対応点よりも少ない第1の所定数の点を第2対応点として選択し、上記第2対応点からなるラフ輪郭モデルを生成するラフ輪郭モデル生成ステップと、
上記各探索位置について、上記第2フレームの画像における上記ラフ輪郭モデルの上記各第2対応点に関する第2の画像特徴量と、上記第1フレームの画像における上記詳細輪郭モデルの上記各輪郭点のうち当該各第2対応点に対応する輪郭点に関する第1の画像特徴量とを比較することで、上記第2フレームにおいて上記各探索位置が上記対象物の位置であることの尤度を判定する尤度判定ステップと、
上記尤度判定ステップにより判定された上記尤度に基づいて、上記複数の探索位置の中から上記対象物の位置を特定する対象物位置特定ステップと、
をコンピュータに実行させる制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−190289(P2012−190289A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53619(P2011−53619)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【特許番号】特許第4784709号(P4784709)
【特許公報発行日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】