説明

封止要素のための自己潤滑プラスチック材料

【課題】圧力及び高温の動作条件の下で使用される往復圧縮機における摺動面の耐摩耗性を、長期間にわたって維持できる封止要素。
【解決手段】封止要素10のための自己潤滑プラスチック材料は、前記材料は、潤滑剤が封入された複数のマイクロカプセル12が内部に分散されている耐摩耗性ポリマーマトリクス11から構成され、前記ポリマーマトリクスは、ポリブタジエン−スチレン(PBS)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混合物を含む樹脂から形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封止要素のための自己潤滑プラスチック材料に関する。
【0002】
特に、本発明は、往復圧縮機の封止要素の製造に特に適している自己潤滑作用を有するプラスチック材料に関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、往復圧縮機は、ガスを圧縮するためにシリンダの内部で軸方向に運動されるピストンを具備している。一般に、往復圧縮機のピストンは、ピストン及びシリンダの軸に対して同軸に配列され且つピストン自体の側壁に形成された受け座に収容された複数の環状封止要素を具備している。更に、ピストンの封止要素又はリングは円筒形空洞に沿って摺動するときに磨耗を受けることも知られている。
【0004】
この磨耗を制限するという目的をもって、液体又は粉末の形の潤滑剤を利用することにより摺動面の摩擦を最小にする努力がなされている。潤滑剤が存在するところで摺動が起こっているにもかかわらず、時間の経過に伴って磨耗は封止要素の一体性を損ない、そのため、初期耐用年数が過ぎた後では、圧縮機は最高圧力を実現することができなくなってしまう。
【0005】
この欠陥は、運動中に大きな圧力差を維持するために封止リングが必要とされるような動作圧力の高い圧縮機の場合には特に重大な問題になる。摺動中に接触する構成要素の磨耗を最小にするために、封止要素の製造に際して新たな耐摩耗性材料が利用されている。
【0006】
非金属材料の中で、封止要素を製造するために現在使用されている典型的な材料の1つはテトラフルオロエチレン又はそれを含有するプラスチック混合物である。PTFEと略されるこの樹脂は、弾性係数が低く、処理しやすく、封止特性を有し、動摩擦係数が低いために広く使用されている。
【0007】
しかし、PTFE樹脂から製造された封止要素、特に往復ピストンの封止リングは、長期間にわたり応力にさらされた場合に永久変形を起こしやすいことがわかっている。特に、圧力及び温度が高い動作条件の下では、PTFE封止リングは早期に品質劣化を起こすのみならず、封止特性が損なわれるほどに分割線に沿って永久変形を受ける。
【0008】
更に、潤滑が不適切に行われている往復圧縮機における摺動面の温度は100℃を超える値にまで上昇する可能性があるため、PTFE封止要素は大きな圧力負荷にさらされたときに押し出されてしまう場合が多い。特に、摺動中に封止要素と接触しなければならない結合部材が熱伝導率の低い鋼から製造されている場合には、潤滑剤が結合部材に適切に熱を伝達したとしても、摺動面の温度は鋼内部の熱の蓄積によって過剰に上昇する傾向にある。
【0009】
結合部材が耐食ライニングを具備するアルミニウム合金から製造されている場合、表面の粗度が低くなるために、熱は伝達されない。このような条件の下では、シリンダライニングのみならず、アルミニウム基板にさえも構造上の損傷が起こりうる。従って、使用条件によっては、封止要素の製造にPTFEを使用すると、他の繊維、添加剤及び充填材による補強が必要になるためにある程度は不満足な点が現れるが、それらを添加することも不都合を伴わないというわけではない。
【0010】
そこで、現在は、PTFEに加えて、PEEK又はPBSなどの、摩擦係数の低い他の非金属系材料が封止要素の製造に使用されている。特に、PEEKは、動作負荷が大きく、圧力が高い適用用途においても高い耐摩耗性を示す材料である。
【0011】
しかし、往復圧縮機の封止要素の唯一の成分としてPEEKを使用すると、その結果、シリンダライナスリーブの磨耗が過剰になることがわかっている。この欠点は、摺動面の間に適切な潤滑充填材を加えることによって一部克服されている。
【0012】
PBSは、高い温度に相対的に耐えることができ、潤滑作用によって硫化物を形成することが可能なポリマーであるため、PEEKに代わって封止要素の製造に現在使用されている。それらの特性によって、PBSは乾式摺動に適用する場合に特に適している。しかし、PBSは高い熱伝導率を有しておらず、そのため、高温の動作条件の下ではその使用が制限されるという欠点を示す。この欠点を克服し、機械的強度を増加させるために、PBSは過剰な熱の消散を可能にする添加剤及び充填材と組み合わせて使用される。
【0013】
実際、往復圧縮機においては、シリンダライナスリーブの金属面に移行層が存在するためにポリマー系封止要素が主に動作していることがわかっている。この現象の結果、ポリマー同士が低摩擦で摺動することになる。そのような移行層がない場合には、摩擦の大きな金属とポリマーとの接触が起こり、その結果、封止リングの早期磨耗をもたらす。
【0014】
従って、強制送り潤滑がなければ、従来使用されている封止要素の性能は移行層の有無によって実質的に確定される。そのため、摺動する部品の間の摩擦力を減少させる移行膜を絶えず形成することが可能である、摩擦率の低い材料から製造された封止リングを利用することができれば価値があるだろうということは自明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】英国特許公開第02013793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の一般的な目的の1つは、封止要素の早期磨耗をもたらす従来の技術の欠点を克服する又は大幅に低減することである。
【0017】
本発明の別の目的は、磨耗率が低く且つ強制送り潤滑を必要としない、往復圧縮機の封止要素を製造するための非金属系材料を提供することである。
【0018】
本発明の更に別の目的は、圧力負荷が高く、高温である条件の下であっても優れた対磨耗特性を有する、往復圧縮機の封止要素のための自己潤滑プラスチック材料を提供することである。
【0019】
別の目的は、潤滑剤を伴わない摺動条件の下で永久変形を実質的に受けない、封止要素の製造のためのプラスチック材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的及び以下の説明から更に明白になる他の目的にかんがみて、本発明の第1の面は、封止要素に特に適しており、潤滑剤が封入された複数のマイクロカプセルが内部に分散されている耐摩耗性ポリマーマトリクスから構成される自己潤滑材料を提供する。
【0021】
前記耐摩耗性ポリマーマトリクスは、高圧及び高温の条件の下であっても低い磨耗率を示す1つ以上の熱可塑性樹脂及び/熱硬化性樹脂を含んでいると好都合である。本発明の好ましい一実施例によれば、前記ポリマーマトリクスは1つ以上のポリケトン、好ましくは芳香族ポリケトンを含み、それらのポリケトンの中でも、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用するのが好ましい。
【0022】
別の実施例によれば、使用できる前記ポリマーマトリクスの基本成分は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリブタジエン−スチレン(PBS)をそれぞれ単独で使用するか、又はそれらを組み合わせるか、あるいは別のポリマーと混合して使用するなど、負荷の高い動作条件の下で高い耐磨耗性を有する熱可塑性又は熱硬化性樹脂である。
【0023】
本発明の材料のポリマーマトリクスは、摩擦磨耗に対してより大きな抵抗を与えることが可能である別の物質を更に含有していても良い。例えば、ポリマーマトリクスは、摺動部分の摩擦により発生される熱を効率良く消散させるために本発明の材料の熱伝導率を増加させる機能を果たす添加剤及び/又は充填材を含んでいても良い。本発明の材料は、機械的強度並びに変形及び磨耗に対する抵抗を向上させるように繊維を更に含有していると好都合であろう。
【0024】
一実施例によれば、前記ポリマーマトリクスは、対を成す摺動部分の摩擦を減少させるために硬質相及び/又は移行膜を更に組み込まれている。本発明の材料の本質的特徴は、前記ポリマーマトリクスの内部に分散された潤滑マイクロカプセルの存在である。本発明では、便宜上、潤滑マイクロカプセルはカプセルに封入された潤滑粒子及び多重粒子、均質な流体、又はカプセルに封入された潤滑多層材料、及び通常マイクロカプセル内に内蔵された潤滑剤を意味することが意図されている。適切な潤滑剤は、例えば、有機油、天然油又は合成油などの潤滑油である。特に適する油は、酸性度が低く且つ高い動作温度に耐える潤滑油である。
【0025】
好ましい一実施例によれば、前記マイクロカプセルに封入される潤滑油は、約40℃の温度で測定した場合、20〜250センチストークス(cSt)の範囲内の粘度値を示す。本発明の目的のために使用されるマイクロカプセルは球形、対称形又は不規則な形状のいずれであっても良い。一実施例によれば、カプセルは5〜500μの範囲内の平均直径を有する。前記マイクロカプセルはワックス又はポリマー材料、好ましくはPMUと略されるポリオキシメチレン尿素から成るシェルから構成されていると好都合である。潤滑剤の他にも、マイクロカプセルは所期の適用用途に応じて選択された添加剤を含んでいても良い。特に高圧条件の下で使用する場合には、亜鉛、ホウ素及びその混合物などの微量元素が混入されていても良い。潤滑マイクロカプセルは、2〜30重量%の含有量を実現するようにポリマーマトリクスの内部に均一に分散されていると好都合である。
【0026】
潤滑流体を封入されたカプセルは、軟質アルギン酸ビード及び現場重合を伴う、乾燥噴霧、噴射造粒、コアセルベーションなどの様々なマイクロカプセル封入技術を使用して製造されれば良い。潤滑粒子に要求される寸法及び本発明のプラスチック材料の最終的な用途に応じて、様々な潤滑剤カプセル封入技術が使用される。例えば、乾燥噴霧方法を使用すると、5〜30μという小さな寸法のカプセルの中に油を封入することが可能である。
【0027】
通常は1〜100μの寸法のカプセルを製造するために使用される噴射造粒方法では、カプセルに封入されるべき潤滑剤は、まず、溶融ワックス又は他のポリマーマトリクスの中へ導入され、次に小滴として噴霧され、冷却されることにより凝固する。その結果形成されるマイクロカプセルは内容物である潤滑剤のシェルとして作用する。噴射造粒により製造されたマイクロカプセルは圧力を受けたときに潤滑剤を放出するか、又は希望に応じて適切な融点を有するポリマーを選択することにより所定の温度にさらされたときに潤滑剤を放出する。
【0028】
コアセルベーション方法を使用する場合にも、潤滑剤は25〜約300μの範囲内の直径のカプセルに封入されることが可能であろう。単純なコアセルベーションでは、カプセルの壁は通常はゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン及び他のポリマーから形成される。複雑なコアセルベーションにおいては、カプセルの壁はゼラチン−アカシアコポリマーに基づく系を使用して製造される。
【0029】
利用可能である様々な技術の中で、潤滑液体の滴の周囲に、好ましくは尿素−フォルムアルデヒドコポリマー(PMU)から成る強固なポリマーシェルを製造することが可能であるという理由により、マイクロカプセルの製造には現場重合が好ましい。PMUシェルへのカプセル封入は、通常、カプセルに封入されるべき材料のエマルジョンが水溶液として調製されるエマルジョンプロセスである。
【0030】
一例として、本発明の目的を実現するために、特開平2−001798号に記載されている方法を使用して製造された潤滑剤を含むマイクロカプセルを使用できるであろう。
【0031】
製造後、マイクロカプセルは、好ましくは成形により、例えば、圧縮成形又は射出成形によってポリマーマトリクスに混入される。成形中、260〜350℃の範囲内の温度が使用されると好都合である。圧縮成形は、複合材料の加熱及び加圧を一様にするために密閉成形型の中で実行されると好都合である。
【0032】
一実施例によれば、型から空気を放出させるために、型は低温時に、例えば、1.5〜2.5tに加圧される。型は予熱されたプレス機の中に配置される。プレス機の温度は、使用されるポリマー材料の融点に応じて決定されるのが好都合である。負荷を加える前に、選択された圧力温度の約80〜90%を実現できる。従って、負荷は一般に合わせて約10〜15分の期間の間に時間が経過し、圧力が増加するにつれて250〜1500kgの値まで加えられる。最終負荷は、成形型が周囲温度まで冷却されている間は維持される。
【0033】
別の実施例によれば、処理温度を低くするか、又は短時間の加熱サイクルと冷却サイクルによって、射出成形方法が使用される。
【0034】
封止要素の基本構成要素として本発明の自己潤滑材料を使用すると、マイクロカプセルがあるために、再生可能な潤滑剤供給源を設けることにより自己潤滑のために必要とされる移行層が最小限で済むことがわかっている。更に、本発明の自己潤滑材料の使用により、封止要素の磨耗速度は大幅に低下し、その結果、対を成す摺動要素の表面の磨耗の危険が最小限に抑えられ、圧縮機の耐用年数が長くなる。
【0035】
別の面によれば、本発明は、先に説明した自己潤滑材料から形成された封止要素又はパッキンを提供する。前記封止要素は往復圧縮機ピストンの封止リングであるのが好都合である。
【0036】
別の面によれば、本発明は、添付の特許請求の範囲第13項から第17項による先に説明した種類の自己潤滑材料の使用を提供する。
【0037】
更に別の面によれば、本発明は、運動中に互いに隣接する又は接触する要素の摩擦又は磨耗を減少させる方法を提供し、この方法においては、前記要素の隣接する面の少なくとも一部は先に説明した種類の自己潤滑材料を具備する。
【0038】
好ましい一実施例によれば、本発明は、磨耗を減少させ且つ/又は特に乾式摺動に適用される場合に容易にわかるほど耐用年数を改善するために往復圧縮機の封止要素として前記自己潤滑材料を使用することを提供する。
【0039】
本発明による自己潤滑プラスチック材料と関連する他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、単に限定的な意味を持たない例として提供される以下の説明から更に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】往復圧縮機のピストンのための従来の封止要素の動作モードの概略図。
【図2】本発明の封止要素及びそれと対を成す摺動要素の概略側断面図。
【図3】周知の耐摩耗性材料及び本発明の一実施例による材料について摩擦係数及び磨耗係数を比較した棒グラフ。
【図4】周知のPEEK系耐磨耗性材料及び本発明の一実施例による自己潤滑マイクロカプセルを混入したPEEK系材料について磨耗係数を比較した棒グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1を参照すると、往復圧縮機(図示せず)のピストン2の側方受け座3に収容された、PEEK樹脂から製造された従来の封止リング1が示されている。ピストン2は往復運動を伴って動き、シリンダー(図示せず)の内側スリーブ4に沿って摺動する。これらの対を成す2つの摺動要素の摺動運動は、スリーブ4の金属面に付着された摺動層5によって起こる。この層又は膜により、摩擦係数の低い往復運動が可能になる。移行層5が設けられていないと、金属と樹脂との接触によって摩擦が大きくなる。
【0042】
図2を参照すると、図中符号10は、本発明の自己潤滑材料から製造された封止要素の一実施例の横断面を示す。
【0043】
封止要素10は、潤滑油で充満された複数のマイクロカプセル12が内部に均一に分散されたPEEKのポリマーマトリクス11から構成されている。図2は、封止要素10と対を成す摺動要素13を更に概略的に示しており、この摺動要素13は図中符号14で示される圧力負荷を受けて、図中符号15で示される矢印により指示される方向に摺動面に沿って摺動する。流体潤滑剤で充満されたマイクロカプセル12はせん断力によって破裂マイクロカプセル16へと変形される。マイクロカプセルの破裂は熱の影響によって起こっても良いが、破裂マイクロカプセル16からの流体の放出は摺動面を潤滑して、摩擦係数及び磨耗係数を減少させる。
【0044】
図3は、係数K(inmin/ft/lb/hr)x10としての磨耗係数によって表される磨耗(斜線が引かれている柱状部22及び点で埋められた柱状部24)及びμで表される摩擦係数(白色の柱状部21及び23)の比較試験の結果をまとめた4つの棒グラフ(21〜24)を示す。
【0045】
柱状部21〜24は、
1)General Electricの標準製品であるUltem(登録商標)1000と呼ばれているポリマー(柱状部21及び22)、及び
2)本発明の方法の一実施例に従って製造された、10重量%の割合でマイクロカプセル が混入されたUltem(登録商標)1000に基づくポリマー材料(柱状部23及び24)
を焼き戻し鋼に対して摺動させた結果として得られた比較挙動データを示す。
【0046】
Ultem(登録商標)1000樹脂に混入されたマイクロカプセルは、本発明の一実施例に従って粘度の低い油を封入されている。
【0047】
棒グラフに結果をまとめた磨耗試験は、300ft/min(1.524m/s)の摺動速度、200psi(13.8bar)の圧力負荷及び20時間の「慣らし運転」、80時間の「定常状態」という試験持続時間を既定した条件の下で実行された。
【0048】
実行された試験の結果に基づけば、本発明の方法の一実施例に従って製造されたマイクロカプセルを混入したプラスチックUltem(登録商標)1000の鋼に対する磨耗率は十分3桁は減少し、摩擦は従来の技術の樹脂Ultem(登録商標)1000と比較して1桁減少することが明白である。
【0049】
図4を参照すると、
1)PEEKから成る封止要素(GE Corporation製造のVictrex(登録商標)PEEK 450G、点々で示された柱状部31)
2)本発明の一実施例に従って約10重量%と等価の量でGargoyl潤滑剤のマイクロカプセルが混入されたPEEKから成る第2の封止要素(斜線の柱状部32)
の2つを焼き戻し鋼に対して摺動させて実行された摩擦試験の、係数K(inmin/ft/lb/hr)x10で表される結果をまとめた棒グラフ(31及び32)が示されている。
【0050】
棒グラフ31及び32にまとめられた結果は、本発明による封止要素に関して、摩擦係数がほぼ1桁と著しく減少したことを示している。
【符号の説明】
【0051】
10…封止要素、11…ポリマーマトリクス、12…マイクロカプセル、13…摺動要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止要素のための自己潤滑プラスチック材料において、潤滑剤が封入された複数のマイクロカプセルが内部に分散されている耐摩耗性ポリマーマトリクスから構成される材料。
【請求項2】
前記ポリマーマトリクスはポリケトンから形成されていることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項3】
前記ポリケトンは芳香族ポリケトンであることを特徴とする請求項2記載の材料。
【請求項4】
前記芳香族ポリケトンはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であることを特徴とする請求項3記載の材料。
【請求項5】
前記ポリマーマトリクスはポリブタジエン−スチレン(PBS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びその混合物から選択される樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項6】
前記マイクロカプセルはポリオキシメチレン尿素(PMU)のシェルから構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の材料。
【請求項7】
前記マイクロカプセルは5〜500μの平均直径を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の材料。
【請求項8】
前記マイクロカプセルは前記ポリマーマトリクス内に2〜30重量%の重量比で分散されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の材料。
【請求項9】
前記マイクロカプセル内に封入されている前記潤滑剤は酸性度の低い油であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の材料。
【請求項10】
前記潤滑剤は、20〜250センチストークス(cSt)の範囲内の粘度を有する流体潤滑剤であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の材料。
【請求項11】
前記潤滑剤は、機械的強度及び熱伝導率を増加させるために添加剤又は充填材を更に含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の材料。
【請求項12】
前記添加剤は亜鉛、ホウ素及びその混合物より成る群から選択された微量元素であることを特徴とする請求項11記載の材料。
【請求項13】
摩擦を減少させるための請求項1から12のいずれか1項に記載の材料の使用。
【請求項14】
運動中の要素の隣接する面における磨耗を減少させるための請求項1から12のいずれか1項に記載の材料の使用。
【請求項15】
自己潤滑材料としての請求項1から12のいずれか1項に記載の材料の使用。
【請求項16】
磨耗率を低下させた自己潤滑封止要素としての請求項1から12のいずれか1項に記載の材料の使用。
【請求項17】
前記封止要素は往復圧縮機におけるピストンの封止リングである請求項16記載の使用。
【請求項18】
運動中の隣接する要素の摩擦又は磨耗を減少させる方法において、前記摺動要素の隣接する面の一方は請求項1から12のいずれか1項に記載の自己潤滑材料を具備する方法。
【請求項19】
対の摺動要素のうちの一方の要素は金属系である請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−38107(P2011−38107A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−213212(P2010−213212)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2003−556671(P2003−556671)の分割
【原出願日】平成14年12月30日(2002.12.30)
【出願人】(500445479)ヌオーヴォ ピニォーネ ホールディング ソシエタ ペル アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Holding S.p.A.
【Fターム(参考)】