導電性プラスチックシート製造装置
【課題】従来よりも広幅の導電性プラスチックシートを増産する。
【解決手段】導電性の溶融プラスチックを主流路2cから複数の分岐路2e,2fに供給し、これを平行な2本のスリットを持つ口金5a,5bより押出して2枚のシートS1,S2を形成する。この2枚の成形シート間に複数本の電極線L1,L2を導入しながら、この2枚の成形シートを押圧接着して複数本の電極線を把持した1枚の導電性プラスチックシートS3を製造する。前記口金5a,5bを、一つの金型装置9に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部6a,6bを設けて各ユニット毎に導電性プラスチックの流量を調整する。
【解決手段】導電性の溶融プラスチックを主流路2cから複数の分岐路2e,2fに供給し、これを平行な2本のスリットを持つ口金5a,5bより押出して2枚のシートS1,S2を形成する。この2枚の成形シート間に複数本の電極線L1,L2を導入しながら、この2枚の成形シートを押圧接着して複数本の電極線を把持した1枚の導電性プラスチックシートS3を製造する。前記口金5a,5bを、一つの金型装置9に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部6a,6bを設けて各ユニット毎に導電性プラスチックの流量を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房、苗床、或いは養豚や養鶏場等の広い床面を加熱する導電性プラスチックシートを製造する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床下にある根太やコンクリート床面上に断熱材を介して面状発熱体を敷設し、その上に床板等を敷設した床暖房装置がある。この床暖房装置には、各種の面状発熱体が使用されているが、分類すると、熱媒体暖房型と電気暖房型とに大別される。
【0003】
熱媒体暖房型の床暖房装置は、根太やコンクリート床面上に敷設した合成樹脂発泡体からなる断熱シートの上面にジグザグ状の発熱パターン溝を形成し、この溝内にポリエチレンパイプや銅パイプを配置した後、パイプの一方よりボイラで加熱した熱媒体を供給し、他方よりボイラに還流させるようにしたものである。
【0004】
この種の床暖房装置は、ボイラより供給された熱媒体がパイプ中を進行するうちに放熱して温度低下するので、パイプに供給する熱媒体の温度をかなり高くしないと、必要とする熱量を室内に放出することができない。また、熱媒体がパイプ中を進行するにしたがって温度低下することから、床面に温度ムラが発生し易い。
【0005】
ところで、春の終わりから初秋にかけて暖房を必要としない期間があるが、この間は、熱媒体を流さないので、パイプ内の熱媒体が変質したり、汚物状のものが発生することがある。これがパイプ内面に付着すると、次第にパイプが閉塞される。また、パイプ自体も次第に劣化する。
【0006】
従って、熱媒体暖房型の床暖房装置の寿命は、通常、約6〜8年と言われている。パイプを交換する場合は、その部屋の家具等を移動した後、床面を剥離する必要があることから、修理に長い期間を必要とし、その間、不便な生活を強いられるという問題がある。
【0007】
他方、電気暖房型の床暖房装置は、プラスチックシート等の絶縁シート上に金属箔を積層し、この金属箔をエッチングして発熱パターンを形成したもの、あるいは厚手の絶縁シートの上面に発熱パターン溝を形成し、この発熱パターン溝内に、外周に絶縁被覆したニクロム線を嵌入させたものがある。
【0008】
更に、プラスチックの中にカーボンの微粉末を混入させたペレットを溶融してシート状に成形したものがある。この成形体型発熱体の製造法は、所謂チューブラ方式であり、押出成形機に付設された環状ノズルより溶融したプラスチックを筒状に押出すと同時に、その筒状体の内部に2本の電極を送出しながら、成形体の軟化状態時に2本のピンチロール間で押圧して平板状とし、その両端に電極線を挟持状態とする。そして、電極線と成形体の間に電気的な接合状態を形成しながら急冷して平坦なシート状の面状発熱体を製造している(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
本発明者等の経験によれば、この方法は、筒状体の直径が60〜220mm、その厚さが0.8〜1.5mm程度の比較的シート幅の狭いものであれば、所望の電気抵抗を持つ面状発熱シートを製造することが可能である。
【0010】
従って、標準的な面状発熱シートとして販売されているものは、シート幅が200mm、長さが2500mm、消費電力が1枚当たり100〜200Wのものである。この面状発熱シートを使用して6畳の床面の表面温度を40℃に暖房する場合は、その面状発熱体を5枚平行して敷設することになるが、この場合の全体の消費電力は1.2kW程度である。
【0011】
このように、多数枚の面状発熱体を使用した場合は、個々の面状発熱体の電極線に接続されているリード線を暖房工事中の部屋の床面近傍に配線されている給電ケーブルに接続する必要があるため、配線作業が煩雑となる。更に、個々の面状発熱体には、温度ヒューズや温度センサを配置する必要があるので、配線の煩雑さと合わせて施工コストが増加するという問題がある。
【0012】
例えば、日本家屋の床暖房を施工する場合について説明すると、先づ、根太板上の所定の範囲に断熱材を敷設する。次に、面状発熱シートを敷設する場所の周囲に給電ケーブルを配線すると共に、断熱材の上に所定位置に面状発熱シートを敷設する。次に、給電ケーブルと面状発熱シートの電極を接続した後、給電ケーブルを漏電ブレーカーに接続する。そして、この面状発熱シートの上にアルミ板等の金属板からなる均熱板を敷設して床面側に熱流を発生させると共に温度ムラをなくすように施工し、最後に、表面にフローリング材を敷設して床暖房装置を完成する。
【特許文献1】特公昭54−1232463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の説明から分かるように、日本家屋に床暖房装置を設置する工事は、根太等を加工する大工作業、面状発熱シートを敷設し、これを給電ケーブルに接続する電気工事、そして、床面の仕上げ工事等の大工作業、更に、壁張り等の内装作業が必要である。
【0014】
これらの施工には、それぞれ、専門の作業者が日割り調整に応じて段階的で、かつ、部分的な作業を行なわなければならない。このため、工期が長くなり、作業に遅れが生じて次第に後の作業にも支障が生ずることになる。
【0015】
また、材料費と工事費との関係について検討すると、暖房床の工事費は、面状発熱シート等の材料費を1とすると、電気工事を含む設置工事費は1.5であり、面状発熱シートの材料費に比較して設置工事費がかなり高いものとなる。
【0016】
今、仮に、従来の200mm幅の発熱シートよりも幅の広い、例えば、500mm前後の幅を持つ面状発熱シートを準備することにより、設置する枚数を半分、或いはそれ以下に減らすと共に、電気工事者以外の作業者、例えば、大工でも簡単に結線できる結線器具(防水コネクタ)を採用することによって床暖房の材料費と敷設費とを相対的に低下させることが可能である。
【0017】
また、床面に敷設する面状発熱体の枚数を少なくし、配線の長さと結線箇所を少なくし、更に、温度ヒューズや温度センサの数を少なくすることによって安全性を高めながら設備費を低下させることが可能である。
【0018】
このような意味において、従来の面状発熱シートよりも広幅、好ましくは2〜3倍のものを製造することは、床暖房設備を安価に設置する上で大きな意味を持っている。
【0019】
しかし、従来のチューブラ方式は、所定の厚さの筒状体を成形する環状口金の吐出スリットを調節する調節手段の構造が極めて複雑であり、かつ、その操作も難しかった。
【0020】
その理由は、所定の直径を持つ環状のスリットを正確に形成することが困難であるばかりでなく、個々のスリットの間隙の調節が難しいからである。しかも、ある箇所を間隔調節すると、隣接する部分が影響を受けて間隙が変化し、高精度の筒状体を形成することが困難であるからである。
【0021】
従って、チューブラ方式によるシートの製造は、厚さの精度に余りこだわらない農業用のフイルムやスーパーの包装袋用のフイルムような用途に限定されている。
【0022】
また、従来の装置は、導電性プラスチックシートの両側に配置する電極線を安定して挿入することが困難であるなどの装置上の問題と、安定して操作し難いという操作上の問題があった。
【0023】
また、電極線を配置する部分の導電性プラスチックシートの厚さを少し厚くしたい場合、環状の口金のスリットの調節が困難であった。このような理由から従来のチューブラ方式の装置をそのままスケールアップすることは、実質的に困難であった。
【0024】
本発明は、これらの問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、面上発熱体に適用する導電性プラスチックシートを倍増することができる導電性プラスチックシート製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の課題を解決するため、本発明は、下記のように構成されている。
【0026】
請求項1に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、導電性の溶融プラスチックを主流路から分岐した複数の分岐路に導入し、これを平行な2本のスリットを持つ口金より押出して2枚のシートを形成すると共に、この2枚の成形シートの間に複数本の電極線を導入しながら、前記成形シートを押圧接着して電極線を狭持した1枚の導電性プラスチックシートを製造する導電性プラスチックシート製造装置において、前記口金を、一つの金型装置に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部を設けて各ユニット毎に導電性の溶融プラスチックの流量を調整することを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置である。
【0027】
請求項2に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置の後流側に前記口金に対応する複数の押圧ロール部を設け、かつ、この複数の押圧ロール部を同一又は異なる速度で運転することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置である。
【0028】
請求項3に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置を、各ユニット毎にそれぞれ温度調整することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置である。
【0029】
請求項4に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記分岐路に、前記口金の幅方向に開脚した扇状のランナー溝を設け、各ユニット毎に溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしたことを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置である。
【0030】
請求項5に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、押出機に接続する接続金具と、複数の分岐路を有する分流金具と、溶融プラスチックをシート状に成形する成形金具により形成した金型装置と、該金型装置の後流側に設けた押圧ロール部により構成され、かつ、前記成形金具を、芯金と、その両側に配した金具により形成すると共に、前記芯金と前記金具との合せ面にランナー溝と、絞り弁と、スリット部と、口金を設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を設けた導電性プラスチックシート製造装置において、前記ランナー溝を、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持し、前記スリット部に、緩やかに湾曲した中央部と、その両端部から斜め後流側に向かって伸長する2本の伸長部とからなり、全体的に逆V字状に形成された第2のランナー溝を、1段以上設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたことを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、導電性の溶融プラスチックを主流路から分岐した複数の分岐路に導入し、これを平行な2本のスリットを持つ口金より押出して2枚のシートを形成すると共に、この2枚の成形シートの間に複数本の電極線を導入しながら、前記成形シートを押圧接着して電極線を狭持した1枚の導電性プラスチックシートを製造する導電性プラスチックシート製造装置において、前記口金を、一つの金型装置に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部を設けて各ユニット毎に導電性の溶融プラスチックの流量を調整することを特徴とする。
【0032】
従って、既存の装置を大幅に改造することなく、従来のチューブラ方式に比べてシート幅の広い導電性プラスチックシートを倍増することができる。
【0033】
また、この発明は、上記のように、一つの金型装置に口金を複数ユニット設けているので、面状発熱体の特性や用途に合わせて各口金のスリット幅を調整することにより、一方のユニットでは、標準のシート厚さを持つ導電性プラスチックシートを製造し、他方のユニットでは、特殊なシート厚さを持つ導電性プラスチックシートを製造することができる。更に、一方のユニットでは、標準品よりもシートの厚い導電性プラスチックシートを製造し、他方のユニットでは、標準品よりもシートの薄い導電性プラスチックシートを製造することもできる。
【0034】
更に、幅広の導電性プラスチックシートの場合は、導電性プラスチックシートの中間部にも電極線を配置することにより、あたかも複数枚の面状発熱シートを横並びに接合したような幅広の導電性プラスチックシートを製造することができる。この特殊な導電性プラスチックシートを使用する場合は、従来の面状発熱体を使用した場合に比較して製造価格や施工工事費を低減させることができる。しかも、効率的に敷設することができる。
【0035】
また、上記の導電性プラスチックシートは、主として、床暖房等の面状発熱体として使用されるものであり、その発熱温度は、50℃以下、好ましくは、45℃〜40℃であるので、熱可塑性樹脂であれば各種のものを使用できる。例えば、ポリピロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等を好ましく使用することができる。
【0036】
また、この発明は、基本的に2枚の平坦なシートを押出し、これを軟化状態下で積層接着して1枚の面状発熱シートとするものであるが、このように製造された1枚の面状発熱シートの両面に絶縁性プラスチックからなるシートを押出してラミネート構造とすることによって絶縁シートで被覆された面状発熱体を製造することができる。
【0037】
また、口金の直線状のスリットは、並行な2段に形成されているが、それ以上の複数段にも形成でき、多層構造のシートとすることができる。また、スリットの間隔の調整も容易であるので、面状発熱シートとして最適な電熱特性を持つ厚さのものを製造することができる。
【0038】
請求項2に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置の後流側に前記口金に対応する複数の押圧ロール部を設け、かつ、この複数の押圧ロール部を同一又は異なる速度で運転するするので、複数の押圧ロール部が同一速度の場合は、従来のチューブラ方式に比べて約2〜3倍のシート幅を持つ導電性プラスチックシートを倍増することができる。
【0039】
他方、押圧ロール部の速度が異なる場合は、一方のユニットでは、標準品を製造し、他方のユニットでは、標準品に比べて電熱特性等が異なる特殊な導電性プラスチックシートを製造することができる。
【0040】
請求項3に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置を、各ユニット毎にそれぞれ温度調整することを特徴とするので、ユニット毎に成形シートのシート厚や製造速度を変更した場合でも、迅速に対応することができる。
【0041】
請求項4に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記分岐路に、前記口金の幅方向に開脚した扇状のランナー溝を設け、各ユニット毎に溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしたので、シート幅方向に均質な良好な成形シートを容易に形成することができる。
【0042】
請求項5に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、押出機に接続する接続金具と、複数の分岐路を有する分流金具と、溶融プラスチックをシート状に成形する成形金具により形成した金型装置と、該金型装置の後流側に設けた押圧ロール部により構成され、かつ、前記成形金具を、芯金と、その両側に配した金具により形成すると共に、前記芯金と前記金具との合せ面にランナー溝と、絞り弁と、スリット部と、口金を設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を設けた導電性プラスチックシート製造装置において、前記ランナー溝を、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持し、前記スリット部に、緩やかに湾曲した中央部と、その両端部から斜め後流側に向かって伸長する2本の伸長部とからなり、全体的に逆V字状に形成された第2のランナー溝を、1段以上設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたことを特徴としている。
【0043】
従って、押出機から供給された溶融プラスチックは、前記芯金と金具との合せ面に設けた逆V字状のランナー溝によって幅方向に広げられるのであるが、その際、このランナー溝は、上記のように、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持するように構成したので、前記口金の横幅を従来の2倍以上に拡大しても、押出機から供給された溶融プラスチックは幅方向にスムーズに広げられ、均圧化される。
【0044】
更に、この発明は、前記スリット部に、逆V字状の第2のランナー溝に1段以上設けているので、前記絞り弁によって絞られた溶融プラスチックを、所謂「溜まり部」の作用を持つ第2のランナー溝によって、再度、均圧化することができる。その結果、口金の横幅を大幅に拡大しても、均一なシート厚を持つ導電性プラスチックシートを精度よく製造することができる。
【0045】
また、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたので、押圧ロール部によって押圧接着された幅広の導電性プラスチックシートをカッタによって長手方向に切り裂くことにより、所定のシート幅を持つ導電性プラスチックシートを複数枚同時に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(1)第1実施形態
先ず、第1の実施形態について説明する。図3において、1は、2連式の導電性プラスチックシート製造装置であり、図示しない押出機に接続する接続金具2と分流金具3とシート成形金具4により構成された金型装置9と、この金型装置9の下流側に設けた複数(2組)の押圧ロール部14により構成されている。
【0047】
この導電性プラスチックシート製造装置1は、導電性プラスチックシートS3の量産を図るため、口金5a,5bを含むシート成形金具4をユニット化し、一つの金型装置9にユニット化した複数組(2組)のシート成形金具4を幅方向(横手方向)に隣接して設けている。
【0048】
上記金型装置9は、隣接するシート成形金具4の間に断熱材13を設けて熱移動を絶つようにしている。また、シート成形金具4は、それぞれ、温度コントロールできるようになっている。また、押圧ロール部14は、通常、駆動モータ15によって同速運転されるが、互いに異なる速度で運転することも可能である。その場合は、クラッチ16を解除する。
【0049】
接続金具2は、図2に示すように、フランジ2aと連結部2bで構成され、その中央部には、図示しない溶融プラスチックを誘導する主通路2cが貫通している。また、分流金具3には、主通路2cに接続する流路2dが設けられている。この流路2dは、分岐路2e,2fを2組み備え、その先端には、図3に示すように、シート成形金具4の幅方向に、太い溝状のランナー溝2g及び2hを設け、溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしている。
【0050】
導電性プラスチックシート製造装置1は、上記のように、一つの金型装置9にユニット化した2組のシート成形金具4を幅方向に隣接して設けているので、理解し易いように、一方のユニットについて説明し、他のユニットについては構成及び作用に変わりがないので、説明を省略する。
【0051】
シート成形金具4は、図1に示すように、芯金10を中心とし、その両側に配置した金具4a及び4bを合わせるように構成されている。そして、芯金10と、その両側の金具4a,4bとの合せ面に、ランナー溝2g,2hと、絞り弁7a,7bと、スリット部2i,2jと、口金5a,5bとを設けている。
【0052】
また、芯金10と金具4a,4bとの合せ面(溶融プラスチックの流路)の要所には、溶融プラスチックの流量を調整するための絞り弁7a,7bが配置されている。また、分岐路2e,2fには、2個の流量調整弁6a,6bが設けられ(図3参照。)、シート成形金具4の幅方向に広がるランナー溝2g,2hに送られる溶融プラスチックの流量を調節するようになっている。
【0053】
また、逆V字形に形成されているランナー溝2g,2hの後方(後流側)には、図1に示すように、一直線状の絞り弁7a、7bを設け、スリット部2i,2jによってシート状に展開される溶融プラスチックの流れに対して絞り効果を与えて全体として均一なシート状の流れになるようにしている。
【0054】
また、芯金10に対面している口金5a,5bは、吐出スリットの厚さを調節できるようにシート成形金具4に設けられ、導電性プラスチックシートS1,S2の厚さを調節して吐出するようになっている。
【0055】
上記流量調整弁6a,6bは、分岐路2e,2fに対して弁体を前後させて流路の絞り量を調整する構造になっている。一方、絞り弁7a,7bは、一直線状の弁体7c,7dを芯金10の両面側に設けられている平面に対して前後させ、吐出される溶融プラスチックの厚さを微調整するように構成されている。
【0056】
口金5a,5bは、シート成形金具4を構成する金具4a,4bに対して複数本のボルト5c,5dで固定されている(図4参照。)。更に、芯金10に対してボルト5e,5f(図1参照。)で間隔を調整して導電性プラスチックシートS1,S2の厚さを調節するようになっている。
【0057】
図1に示すように、分流金具3とシート成形金具4を貫通して電極線を案内するガイド孔11a,11bが芯金10の中央部を貫通して開口されている。そして、このガイド孔11a,11bに接続してガイドパイプ12a,12bがシート成形金具4の下端面より突出するように設けられている。そして、多数の細い銅線を編組することにより、微細な空間を有し吐出直後のプラスチックシートとの接着性が改善された偏平な電極線L1,L2が2枚の導電性プラスチックシートS1,S2の間で、かつ、その両側に平行して送り出されるようになっている。
【0058】
上記のように、シート成形金具4の後流側の近傍に一対の押圧ロール14a,14bからなる押圧ロール部14が設けられており、吐出された2枚の軟化状態にある導電性プラスチックシートS1,S2と、2本の電極線L1,L2とを押圧して一体化し、主として、床暖房等に使用される面状発熱体に適した導電性プラスチックシートS3とするように構成されている。
【0059】
そして、図1において、横方向に引き出され、成形装置1に接近して配置されている冷却装置17によってシートS3に水を積極的に散布又は浸漬することにより急冷し(通常は冷却水に浸漬して冷却する。)、導電性構造を持つシートS3の温度調節特性(正特性)を安定化するようにしている。
【0060】
前記電極線L1,L2には、細い銅線を多数本使用して編組したやや偏平な編組線を使用しており、僅かではあるが長さ方向と幅方向に伸縮性を与えたものを使用している。この電極線L1,L2に伸縮性が必要なことは、プラスチックシートS3が冷却される際にかなりの割合(幅方向に10〜30%、長さ方向に4〜9%の割合)で急速に収縮するので、これに追従させるためである。
【0061】
上記のように、シート成形金具4より吐出されたばかりの軟化状態のプラスチックシートS1,S2は、図1に示すように、押圧ロール部14で押圧されて偏平な1枚の面状発熱体に適した導電性プラスチックシートS3となる。
【0062】
そして、この電気電導性プラスチックシートS3が冷却装置17で冷却されると、上記のように、口金5a,5bから吐出された幅よりもかなり収縮する。また、長さ方向にも収縮するが、これについては押圧ロール部14の作用もあり、その収縮量は幅方向よりも少ない。
【0063】
従って、このシートS1,S2の幅方向と長さ方向の収縮に対して電極線L1,L2が追従して収縮する性質を持つものを使用するのが良く、若し、柔軟性のない電極線を使用した場合は、導電性プラスチックシートS3の両側縁部に波打ちが発生してコンブのような状態となる。これらの補正は、困難な場合があるので、注意が必要である。
【0064】
上記のように、複数の金具部材で構成された導電性プラスチックシート製造装置1は、図示しない溶融押出機の押出ノズル部に接続されている。この押出機に供給する熱可塑性プラスチックには、各種のものを使用できるが、その中でもポリプロピレン、耐熱性ポリエチレンあるいはポリブテン等が好ましい。
【0065】
この熱可塑性プラスチックは、約15〜30%の微粒子状の導電性カーボン、例えば、フアーネスブラックを添加してペレットを製造する。そして、図示しない混合機において、このペレットを均一に混合した後、押出機に供給し、約200℃程度の溶融温度に加熱して溶融する。そして、図6に示すように、ノズル部より吐出して本発明の導電性プラスチックシート製造装置1の接続金具2を経て主流路2c内に流入させる。この導電性の溶融プラスチックは、分流金具3の流路2dより分流路2e,2fに分流し、更に、シート成形金具4のランナー溝2g,2hに流入してこの部分で均圧化される。
【0066】
そして、このランナー溝2g,2hを経由して均圧化された溶融プラスチックは、芯金10の両面に形成されているスリット部2i,2jに流入し、ここで、シート状に広開されて流れる。そして、シート成形金具4の下端部に配置されている口金5a,5bで形成されたスリットより2枚の導電性プラスチックシートS1,S2となって連続的に吐出される。
【0067】
一方、分流金具3とシート成形金具4に設けられたガイド孔11a,11bと、更にシート成形金具4に設けられたガイドパイプ12a,12bを通じて2本の編組線からなる電極線L1,L2が成形直後の導電性プラスチックシートS1,S2の間の両側部に送出され、次いで、押圧ロール部14の押圧ロール14a,14bによって口金5a,5bより吐出されて未だ軟化状態にある間に押圧され、電極線L1,L2を挟み込んだ状態で一体化されて1枚の導電性プラスチックシートS3となる。
【0068】
このようにして成形された導電性プラスチックシートS3は、特に、床暖房等に使用される面状発熱体に適しており、連続的に成形されたものが所定の長さに切断される。そして、厚手のポリエステルフイルムやポリエチレンシート等の耐熱性の絶縁シートからなる被覆カバーで全体的に覆い、次いで、この被覆カバー内を脱気しながら水密的に封止して強固な面状発熱体を形成する。そして、導電性性プラスチックシートS3の両縁より引出した電極線L1,L2にリード線を接続し、更に、用途に応じて簡単に配線できる防水コネクタを固定しておく。
【0069】
本発明によって製造される導電性プラスチックシートS3の幅は,400〜530mm、厚さが0.8〜1.5mmである。また、その長さは用途や敷設作業の便利のために、通常は2500mm程度である。その場合の使用電力は、1枚当たり500W程度であり、この使用電力は、電流突入時が最大に流れ、温度の上昇と共に次第に低下して所定の温度で安定する特性を持っている。
【0070】
また、1枚の導電性プラスチックシートS3に2本以上、例えば、3本(両側と中間)の電極線を並行して設けることにより、恰も2枚の面状発熱体を並行して連結したような状態となり、2本の電極間を流れる電流の距離と発熱量を調節できる。
【0071】
本発明によると、従来の方法で製造された導電性プラスチックシートに比べて約2倍以上の幅を持っているので、例えば、床暖房装置の場合は、その敷設枚数が減少してその作業が容易となる。
【0072】
また、配線にコネクタ等に簡便に連結できるものを使用すると、電気工事者以外の者でも工事が可能となり、従来の床暖房工事のように、複数の仕事の異なる作業を時間差を持って行う必要がなくなる等の施工上の効果もある。
(2)第2実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。図10において、1は、2枚取り用に開発した導電性プラスチックシート製造装置である。この導電性プラスチックシート製造装置1は、図10に示すように、図示しない押出機に接続する接続金具2と分流金具3とシート成形金具4より成る金型装置9と、この金型装置9の下流側に設けた幅広の押圧ロール部(図10参照。)14により構成されている。
【0073】
接続金具2は、図8に示すように、フランジ2aと連結部2bで構成され、その軸心部には、図示しない溶融プラスチックを誘導する主通路2cが設けられている。また、分流金具3には、主通路2cに接続する流路2dが設けられている。この流路2dは、二つの分岐路2e,2fに分岐し、その先端には、シート成形金具4の幅方向に伸長した太溝状のランナー溝2g及び2h(図10参照。)を設け、溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしている。
【0074】
シート成形金具4は、図7及び図9に示すように、芯金10を中心とし、その両側に金具4a及び4bを合わせるように配置している。そして、この芯金10と、その両側に配置した金具4a,4bとの合せ面に、ランナー溝2g,2hと、絞り弁7a,7bと、スリット部2i,2jと、口金5a,5bを設けている。更に、スリット部2i,2jには、図10に示すように、第2のランナー溝2m,2nを上下2段に設け、絞り弁7a,7bを通過後の溶融プラスチックの圧力緩和を図っている。
【0075】
また、シート成形金具4は、図示しない多数のヒーターと温度コントローラとを備え、幅方向の温度を均一に温度コントロールできるようになっている。
【0076】
上記分岐路2e,2fには、流量調整弁6a,6bが設けられ(図7及び図8参照。)、シート成形金具4の幅方向に広がるランナー溝2g,2hに送られる溶融プラスチックの流量を調節するようになっている。
【0077】
ランナー溝2g,2hは、図10に示すように、分岐路2e,2fの先端から斜め下流側に向かって左右両側に伸長し、逆V字状を呈するようになっている。その勾配(傾斜角)θ1は、10°乃至15°の範囲が好ましく、15°を超える場合は、ランナー溝2g,2h自体の高さが高くなり、不経済である。他方、10°未満の場合は、ランナー溝2g,2hにおける圧力緩和にムラが生ずることがある。
【0078】
その上、このランナー溝2g,2hは、図10に示すように、前段部と後段部の2部分から構成されており、前段部2g’,2h’は、後段部2g”,2h”に近づく程、その横断面(半円形)の面積が次第に大きくなっている。この前段部2g’,2h’の外側に位置している後段部2g”,2h”は、その横断面(半円形)の面積が不変になっている。更に、ランナー溝2g,2hの前段部2g’,2h’の長さは、シート成形金具4の横幅のほぼ1/2程度となっている。
【0079】
このランナー溝2g,2hの後方(後流側)には、図7及び図9に示すように、一直線状の絞り弁7a、7bを設けており、スリット部2i,2jによってシート状に展開される溶融プラスチックの流れに対して絞り効果を与え、全体として均一なシート状の流れになるようにしている。
【0080】
そして、シート成形金具4には、芯金10の下端部に対面する口金5a,5bを設け、芯金10と口金5a,5bとの間の吐出スリットの厚さ(隙間)を調節するようにしている。
【0081】
口金5a,5bは、シート成形金具4を構成する金具4a,4bに対して複数本のボルト5c,5dで固定されている(図7参照。)。更に、芯金10に対してボルト5e,5f(図7参照。)で間隔を調整して導電性プラスチックシートS1,S2の厚さを調節するようになっている。
【0082】
上記流量調整弁6a,6bは、分岐路2e,2fに対して弁体を前後させて流路の絞り量を調整する構造になっている。他方、絞り弁7a,7bは、一直線状の弁体7c,7dを芯金10の両面に形成された平面部に対して前後させ、流下する溶融プラスチックの厚さを微調整するように構成されている。
【0083】
第2のランナー溝2m,2nは、図10に示すように、緩やかに湾曲した中央部21と、その端部から斜め下流側に向かって左右両側に伸長した伸長部22からなり、全体的に逆V字状を呈するようになっている。その勾配(傾斜角)θ2は、15°乃至20°の範囲が好ましく、20°を超える場合は、ランナー溝2m,2n自体の高さが高くなり、不経済である。他方、15°未満の場合は、ランナー溝2m,2nにおける圧力緩和にムラが生ずることがある。
【0084】
図7に示すように、分流金具3とシート成形金具4とを貫通して後述する電極線を案内する複数組(この例では2組)のガイド孔11a,11bが芯金10の中央部を設けられている。そして、このガイド孔11a,11bに接続してガイドパイプ12a,12bがシート成形金具4の端面より突出するように設けられている。これらのガイド孔11a,11b及びガイドパイプ12a,12bは、図10に示すように、隣接して設けられている。
【0085】
そして、多数の細い銅線を編組して微細な空間が形成され、プラスチックとの接着性が改善された偏平な電極線L1,L2を2枚の導電性プラスチックシートS1,S2の間にそれぞれ送り出すようになっている。
【0086】
上記押圧ロール部14は、一対の押圧ロール14a,14bから構成されており、口金5a,5bから吐出された2枚の軟化状態にある導電性プラスチックシートS1,S2と、2組の電極線L1,L2を押圧して一体化し、主として、床暖房等に使用される導電性プラスチックシートS3を形成する。
【0087】
この導電性プラスチックシートS3は、図7に示すように、横方向に引き出され、成形装置1に接近して配置されている図示しない冷却装置によってシートS3に水を積極的に散布又は浸漬することにより急冷し(通常は冷却水に浸漬して冷却する。)、導電性構造を持つシートS3の温度調節特性(正特性)を安定化するようになっている。
【0088】
上記のように、電極線L1,L2には、細い銅線を多数本使用して編組したやや偏平な編組線を使用しており、好ましくは、僅かではあるが長さ方向と幅方向に伸縮性を与えたものを使用している。
【0089】
この電極線L1,L2に伸縮性が必要なことは、導電性プラスチックシートS3が冷却される際にかなりの割合(幅方向に10〜30%、長さ方向に4〜9%の割合)で急速に収縮するので、これに追従させるためである。
【0090】
上記のように、シート成形金具4より吐出されたばかりの軟化状態の導電性プラスチックシートS1,S2は、図7に示すように、押圧ロール部14で押圧されて偏平な1枚の面状発熱体に適した導電性プラスチックシートS3となる。
【0091】
そして、この電気電導性プラスチックシートS3が冷却装置(図示せず)で冷却されると、上記のように、口金5a,5bから吐出された幅よりもかなり収縮する。また、長さ方向にも収縮するが、これについては押圧ロール部14の作用もあり、その収縮量は幅方向よりも少ない。
【0092】
従って、このシートS1,S2の幅方向と長さ方向の収縮に対して2組の電極線L1,L2が追従して収縮する性質を持つものを使用するのが良く、若し、柔軟性のない電極線を使用した場合は、導電性プラスチックシートS3の両側縁部に波打ちが発生してコンブのような状態となる。これらの補正は、困難な場合があるので、注意が必要である。
【0093】
ここで、導電性プラスチックシートの原料となる熱可塑性プラスチックとしては、各種のものを使用できるが、その中でもポリプロピレン、耐熱性ポリエチレンあるいはポリブテン等が好ましい。
【0094】
この熱可塑性プラスチックは、約15〜30%の微粒子状の導電性カーボン、例えば、フアーネスブラックを添加してペレットを製造する。そして、図示しない混合機において、このペレットを加熱下において均一に混合した後、押出機に供給し、約200℃程度の溶融温度に加熱して溶融する。そして、図11に示すように、押出機のノズル部より本発明の導電性プラスチックシート製造装置1の接続金具2を経て流路2c内に流入させる。次いで、分流金具3の流路2dより分岐路2e,2fに分流されてシート成形金具4のランナー溝2g,2hに流入し、この部分で均圧化される。
【0095】
そして、このランナー溝2g,2hを経由して均圧化された溶融プラスチックは、芯金10の両面に形成されているスリット部2i,2jに流入し、ここで、シート状に広開されて流下する。その間、溶融プラスチックは、スリット部2i,2jに2段に設けた第2のランナー溝2m,2nによって更に均圧化される。そして、シート成形金具4の下端部に配置されている口金5a,5bと芯金10により形成されたスリットより2枚の導電性プラスチックシートS1,S2となって連続的に吐出される。
【0096】
一方、分流金具3とシート成形金具4に設けられた2組のガイド孔11a,11bと、更に、シート成形金具4に設けられた2組のガイドパイプ12a,12bを通じて2組の編組線からなる電極線L1,L2が成形直後の導電性プラスチックシートS1,S2の間の両側部及び中央部に送出され、次いで、押圧ロール部14の押圧ロール14a,14bによって口金5a,5bより吐出されて未だ軟化状態にある間に押圧され、2組の電極線L1,L2を挟み込んだ状態で一体化されて1枚の導電性プラスチックシートS3となる。
【0097】
このようにして成形された導電性プラスチックシートS3は、特に、床暖房等に使用される面状発熱体に適しており、押圧ロール部14から送出されたものが、図12に示すように、高速回転する複数(図では3枚)のカッター23によって2枚に裁断される。ここで、カッターとしては、図示しない支持体に取り付けられた固定式のカッターを使用することができる。
【0098】
従って、所定シート幅の導電性プラスチックシートS3’を2枚取りすることができる。その際、耳部S4も同時に裁断される。その後、各導電性プラスチックシートS3’は、所定の長さに切断される。そして、厚手のポリエステルフイルムやポリエチレンシート等の耐熱性の絶縁シートからなる被覆カバーで全体的に覆った後、この被覆カバー内を脱気しながら水密的に封止して強固な面状発熱体を形成する。そして、導電性プラスチックシートS3’の両縁より引出した電極線L1,L2にリード線を接続し、更に、用途に応じて簡単に配線できる防水コネクタを固定しておく。
【0099】
本発明によって製造された最終的な導電性プラスチックシートS3’の幅は,200〜260mm、厚さは0.8〜1.5mmである。また、その長さは用途や敷設作業の便利のために、通常は2500mm程度である。
【0100】
その場合、使用電力は、1枚当たり100−250W程度であり、この使用電力は、電流突入時が最大に流れ、温度の上昇と共に次第に低下して所定の温度で安定する特性を持っている。
【0101】
また、配線にコネクター等に簡便に連結できるものを使用すると、電気工事者以外の者でも工事が可能となり、従来の床暖房工事のように、複数の仕事の異なる作業を時間差を持って行う必要がなくなる等の施工上の効果もある。
【0102】
本発明の技術的思想は、下記実施の形態に記載されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載された技術的思想の範囲内において変形することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の2連式の導電性プラスチックシート製造装置の断面図である。
【図2】図1のB−B断面図である。
【図3】上記導電性プラスチックシート製造装置の一部断面を含む金具の端面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】溶融プラスチック流路の斜視図である。
【図6】上記導電性プラスチックシート製造装置の作用説明図である。
【図7】本発明の2枚取り式の導電性プラスチックシート製造装置の断面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図7の要部拡大断面図である。
【図10】上記導電性プラスチックシート製造装置の一部断面を含む金具の端面図である。
【図11】上記導電性プラスチックシート製造装置の作用説明図である。
【図12】導電性プラスチックシートを裁断する説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1 導電性プラスチックシート製造装置 2 接続金具
2a フランジ部 2b 連結部
2c,2d,2e,2f 流路 2g,2h ランナー溝
2i,2j スリット部 3 分流装置
4 シート成形金具 4a,4b 金具 5a,5b 口金 6a,6b 流量調整弁
7a,7b 絞り弁 10 芯金
11a,11b ガイド孔 12a,12b ガイドパイプ
17 冷却装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房、苗床、或いは養豚や養鶏場等の広い床面を加熱する導電性プラスチックシートを製造する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床下にある根太やコンクリート床面上に断熱材を介して面状発熱体を敷設し、その上に床板等を敷設した床暖房装置がある。この床暖房装置には、各種の面状発熱体が使用されているが、分類すると、熱媒体暖房型と電気暖房型とに大別される。
【0003】
熱媒体暖房型の床暖房装置は、根太やコンクリート床面上に敷設した合成樹脂発泡体からなる断熱シートの上面にジグザグ状の発熱パターン溝を形成し、この溝内にポリエチレンパイプや銅パイプを配置した後、パイプの一方よりボイラで加熱した熱媒体を供給し、他方よりボイラに還流させるようにしたものである。
【0004】
この種の床暖房装置は、ボイラより供給された熱媒体がパイプ中を進行するうちに放熱して温度低下するので、パイプに供給する熱媒体の温度をかなり高くしないと、必要とする熱量を室内に放出することができない。また、熱媒体がパイプ中を進行するにしたがって温度低下することから、床面に温度ムラが発生し易い。
【0005】
ところで、春の終わりから初秋にかけて暖房を必要としない期間があるが、この間は、熱媒体を流さないので、パイプ内の熱媒体が変質したり、汚物状のものが発生することがある。これがパイプ内面に付着すると、次第にパイプが閉塞される。また、パイプ自体も次第に劣化する。
【0006】
従って、熱媒体暖房型の床暖房装置の寿命は、通常、約6〜8年と言われている。パイプを交換する場合は、その部屋の家具等を移動した後、床面を剥離する必要があることから、修理に長い期間を必要とし、その間、不便な生活を強いられるという問題がある。
【0007】
他方、電気暖房型の床暖房装置は、プラスチックシート等の絶縁シート上に金属箔を積層し、この金属箔をエッチングして発熱パターンを形成したもの、あるいは厚手の絶縁シートの上面に発熱パターン溝を形成し、この発熱パターン溝内に、外周に絶縁被覆したニクロム線を嵌入させたものがある。
【0008】
更に、プラスチックの中にカーボンの微粉末を混入させたペレットを溶融してシート状に成形したものがある。この成形体型発熱体の製造法は、所謂チューブラ方式であり、押出成形機に付設された環状ノズルより溶融したプラスチックを筒状に押出すと同時に、その筒状体の内部に2本の電極を送出しながら、成形体の軟化状態時に2本のピンチロール間で押圧して平板状とし、その両端に電極線を挟持状態とする。そして、電極線と成形体の間に電気的な接合状態を形成しながら急冷して平坦なシート状の面状発熱体を製造している(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
本発明者等の経験によれば、この方法は、筒状体の直径が60〜220mm、その厚さが0.8〜1.5mm程度の比較的シート幅の狭いものであれば、所望の電気抵抗を持つ面状発熱シートを製造することが可能である。
【0010】
従って、標準的な面状発熱シートとして販売されているものは、シート幅が200mm、長さが2500mm、消費電力が1枚当たり100〜200Wのものである。この面状発熱シートを使用して6畳の床面の表面温度を40℃に暖房する場合は、その面状発熱体を5枚平行して敷設することになるが、この場合の全体の消費電力は1.2kW程度である。
【0011】
このように、多数枚の面状発熱体を使用した場合は、個々の面状発熱体の電極線に接続されているリード線を暖房工事中の部屋の床面近傍に配線されている給電ケーブルに接続する必要があるため、配線作業が煩雑となる。更に、個々の面状発熱体には、温度ヒューズや温度センサを配置する必要があるので、配線の煩雑さと合わせて施工コストが増加するという問題がある。
【0012】
例えば、日本家屋の床暖房を施工する場合について説明すると、先づ、根太板上の所定の範囲に断熱材を敷設する。次に、面状発熱シートを敷設する場所の周囲に給電ケーブルを配線すると共に、断熱材の上に所定位置に面状発熱シートを敷設する。次に、給電ケーブルと面状発熱シートの電極を接続した後、給電ケーブルを漏電ブレーカーに接続する。そして、この面状発熱シートの上にアルミ板等の金属板からなる均熱板を敷設して床面側に熱流を発生させると共に温度ムラをなくすように施工し、最後に、表面にフローリング材を敷設して床暖房装置を完成する。
【特許文献1】特公昭54−1232463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の説明から分かるように、日本家屋に床暖房装置を設置する工事は、根太等を加工する大工作業、面状発熱シートを敷設し、これを給電ケーブルに接続する電気工事、そして、床面の仕上げ工事等の大工作業、更に、壁張り等の内装作業が必要である。
【0014】
これらの施工には、それぞれ、専門の作業者が日割り調整に応じて段階的で、かつ、部分的な作業を行なわなければならない。このため、工期が長くなり、作業に遅れが生じて次第に後の作業にも支障が生ずることになる。
【0015】
また、材料費と工事費との関係について検討すると、暖房床の工事費は、面状発熱シート等の材料費を1とすると、電気工事を含む設置工事費は1.5であり、面状発熱シートの材料費に比較して設置工事費がかなり高いものとなる。
【0016】
今、仮に、従来の200mm幅の発熱シートよりも幅の広い、例えば、500mm前後の幅を持つ面状発熱シートを準備することにより、設置する枚数を半分、或いはそれ以下に減らすと共に、電気工事者以外の作業者、例えば、大工でも簡単に結線できる結線器具(防水コネクタ)を採用することによって床暖房の材料費と敷設費とを相対的に低下させることが可能である。
【0017】
また、床面に敷設する面状発熱体の枚数を少なくし、配線の長さと結線箇所を少なくし、更に、温度ヒューズや温度センサの数を少なくすることによって安全性を高めながら設備費を低下させることが可能である。
【0018】
このような意味において、従来の面状発熱シートよりも広幅、好ましくは2〜3倍のものを製造することは、床暖房設備を安価に設置する上で大きな意味を持っている。
【0019】
しかし、従来のチューブラ方式は、所定の厚さの筒状体を成形する環状口金の吐出スリットを調節する調節手段の構造が極めて複雑であり、かつ、その操作も難しかった。
【0020】
その理由は、所定の直径を持つ環状のスリットを正確に形成することが困難であるばかりでなく、個々のスリットの間隙の調節が難しいからである。しかも、ある箇所を間隔調節すると、隣接する部分が影響を受けて間隙が変化し、高精度の筒状体を形成することが困難であるからである。
【0021】
従って、チューブラ方式によるシートの製造は、厚さの精度に余りこだわらない農業用のフイルムやスーパーの包装袋用のフイルムような用途に限定されている。
【0022】
また、従来の装置は、導電性プラスチックシートの両側に配置する電極線を安定して挿入することが困難であるなどの装置上の問題と、安定して操作し難いという操作上の問題があった。
【0023】
また、電極線を配置する部分の導電性プラスチックシートの厚さを少し厚くしたい場合、環状の口金のスリットの調節が困難であった。このような理由から従来のチューブラ方式の装置をそのままスケールアップすることは、実質的に困難であった。
【0024】
本発明は、これらの問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、面上発熱体に適用する導電性プラスチックシートを倍増することができる導電性プラスチックシート製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の課題を解決するため、本発明は、下記のように構成されている。
【0026】
請求項1に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、導電性の溶融プラスチックを主流路から分岐した複数の分岐路に導入し、これを平行な2本のスリットを持つ口金より押出して2枚のシートを形成すると共に、この2枚の成形シートの間に複数本の電極線を導入しながら、前記成形シートを押圧接着して電極線を狭持した1枚の導電性プラスチックシートを製造する導電性プラスチックシート製造装置において、前記口金を、一つの金型装置に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部を設けて各ユニット毎に導電性の溶融プラスチックの流量を調整することを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置である。
【0027】
請求項2に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置の後流側に前記口金に対応する複数の押圧ロール部を設け、かつ、この複数の押圧ロール部を同一又は異なる速度で運転することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置である。
【0028】
請求項3に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置を、各ユニット毎にそれぞれ温度調整することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置である。
【0029】
請求項4に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記分岐路に、前記口金の幅方向に開脚した扇状のランナー溝を設け、各ユニット毎に溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしたことを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置である。
【0030】
請求項5に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、押出機に接続する接続金具と、複数の分岐路を有する分流金具と、溶融プラスチックをシート状に成形する成形金具により形成した金型装置と、該金型装置の後流側に設けた押圧ロール部により構成され、かつ、前記成形金具を、芯金と、その両側に配した金具により形成すると共に、前記芯金と前記金具との合せ面にランナー溝と、絞り弁と、スリット部と、口金を設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を設けた導電性プラスチックシート製造装置において、前記ランナー溝を、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持し、前記スリット部に、緩やかに湾曲した中央部と、その両端部から斜め後流側に向かって伸長する2本の伸長部とからなり、全体的に逆V字状に形成された第2のランナー溝を、1段以上設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたことを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、導電性の溶融プラスチックを主流路から分岐した複数の分岐路に導入し、これを平行な2本のスリットを持つ口金より押出して2枚のシートを形成すると共に、この2枚の成形シートの間に複数本の電極線を導入しながら、前記成形シートを押圧接着して電極線を狭持した1枚の導電性プラスチックシートを製造する導電性プラスチックシート製造装置において、前記口金を、一つの金型装置に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部を設けて各ユニット毎に導電性の溶融プラスチックの流量を調整することを特徴とする。
【0032】
従って、既存の装置を大幅に改造することなく、従来のチューブラ方式に比べてシート幅の広い導電性プラスチックシートを倍増することができる。
【0033】
また、この発明は、上記のように、一つの金型装置に口金を複数ユニット設けているので、面状発熱体の特性や用途に合わせて各口金のスリット幅を調整することにより、一方のユニットでは、標準のシート厚さを持つ導電性プラスチックシートを製造し、他方のユニットでは、特殊なシート厚さを持つ導電性プラスチックシートを製造することができる。更に、一方のユニットでは、標準品よりもシートの厚い導電性プラスチックシートを製造し、他方のユニットでは、標準品よりもシートの薄い導電性プラスチックシートを製造することもできる。
【0034】
更に、幅広の導電性プラスチックシートの場合は、導電性プラスチックシートの中間部にも電極線を配置することにより、あたかも複数枚の面状発熱シートを横並びに接合したような幅広の導電性プラスチックシートを製造することができる。この特殊な導電性プラスチックシートを使用する場合は、従来の面状発熱体を使用した場合に比較して製造価格や施工工事費を低減させることができる。しかも、効率的に敷設することができる。
【0035】
また、上記の導電性プラスチックシートは、主として、床暖房等の面状発熱体として使用されるものであり、その発熱温度は、50℃以下、好ましくは、45℃〜40℃であるので、熱可塑性樹脂であれば各種のものを使用できる。例えば、ポリピロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等を好ましく使用することができる。
【0036】
また、この発明は、基本的に2枚の平坦なシートを押出し、これを軟化状態下で積層接着して1枚の面状発熱シートとするものであるが、このように製造された1枚の面状発熱シートの両面に絶縁性プラスチックからなるシートを押出してラミネート構造とすることによって絶縁シートで被覆された面状発熱体を製造することができる。
【0037】
また、口金の直線状のスリットは、並行な2段に形成されているが、それ以上の複数段にも形成でき、多層構造のシートとすることができる。また、スリットの間隔の調整も容易であるので、面状発熱シートとして最適な電熱特性を持つ厚さのものを製造することができる。
【0038】
請求項2に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置の後流側に前記口金に対応する複数の押圧ロール部を設け、かつ、この複数の押圧ロール部を同一又は異なる速度で運転するするので、複数の押圧ロール部が同一速度の場合は、従来のチューブラ方式に比べて約2〜3倍のシート幅を持つ導電性プラスチックシートを倍増することができる。
【0039】
他方、押圧ロール部の速度が異なる場合は、一方のユニットでは、標準品を製造し、他方のユニットでは、標準品に比べて電熱特性等が異なる特殊な導電性プラスチックシートを製造することができる。
【0040】
請求項3に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記金型装置を、各ユニット毎にそれぞれ温度調整することを特徴とするので、ユニット毎に成形シートのシート厚や製造速度を変更した場合でも、迅速に対応することができる。
【0041】
請求項4に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、前記分岐路に、前記口金の幅方向に開脚した扇状のランナー溝を設け、各ユニット毎に溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしたので、シート幅方向に均質な良好な成形シートを容易に形成することができる。
【0042】
請求項5に記載の導電性プラスチックシート製造装置は、押出機に接続する接続金具と、複数の分岐路を有する分流金具と、溶融プラスチックをシート状に成形する成形金具により形成した金型装置と、該金型装置の後流側に設けた押圧ロール部により構成され、かつ、前記成形金具を、芯金と、その両側に配した金具により形成すると共に、前記芯金と前記金具との合せ面にランナー溝と、絞り弁と、スリット部と、口金を設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を設けた導電性プラスチックシート製造装置において、前記ランナー溝を、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持し、前記スリット部に、緩やかに湾曲した中央部と、その両端部から斜め後流側に向かって伸長する2本の伸長部とからなり、全体的に逆V字状に形成された第2のランナー溝を、1段以上設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたことを特徴としている。
【0043】
従って、押出機から供給された溶融プラスチックは、前記芯金と金具との合せ面に設けた逆V字状のランナー溝によって幅方向に広げられるのであるが、その際、このランナー溝は、上記のように、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持するように構成したので、前記口金の横幅を従来の2倍以上に拡大しても、押出機から供給された溶融プラスチックは幅方向にスムーズに広げられ、均圧化される。
【0044】
更に、この発明は、前記スリット部に、逆V字状の第2のランナー溝に1段以上設けているので、前記絞り弁によって絞られた溶融プラスチックを、所謂「溜まり部」の作用を持つ第2のランナー溝によって、再度、均圧化することができる。その結果、口金の横幅を大幅に拡大しても、均一なシート厚を持つ導電性プラスチックシートを精度よく製造することができる。
【0045】
また、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたので、押圧ロール部によって押圧接着された幅広の導電性プラスチックシートをカッタによって長手方向に切り裂くことにより、所定のシート幅を持つ導電性プラスチックシートを複数枚同時に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(1)第1実施形態
先ず、第1の実施形態について説明する。図3において、1は、2連式の導電性プラスチックシート製造装置であり、図示しない押出機に接続する接続金具2と分流金具3とシート成形金具4により構成された金型装置9と、この金型装置9の下流側に設けた複数(2組)の押圧ロール部14により構成されている。
【0047】
この導電性プラスチックシート製造装置1は、導電性プラスチックシートS3の量産を図るため、口金5a,5bを含むシート成形金具4をユニット化し、一つの金型装置9にユニット化した複数組(2組)のシート成形金具4を幅方向(横手方向)に隣接して設けている。
【0048】
上記金型装置9は、隣接するシート成形金具4の間に断熱材13を設けて熱移動を絶つようにしている。また、シート成形金具4は、それぞれ、温度コントロールできるようになっている。また、押圧ロール部14は、通常、駆動モータ15によって同速運転されるが、互いに異なる速度で運転することも可能である。その場合は、クラッチ16を解除する。
【0049】
接続金具2は、図2に示すように、フランジ2aと連結部2bで構成され、その中央部には、図示しない溶融プラスチックを誘導する主通路2cが貫通している。また、分流金具3には、主通路2cに接続する流路2dが設けられている。この流路2dは、分岐路2e,2fを2組み備え、その先端には、図3に示すように、シート成形金具4の幅方向に、太い溝状のランナー溝2g及び2hを設け、溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしている。
【0050】
導電性プラスチックシート製造装置1は、上記のように、一つの金型装置9にユニット化した2組のシート成形金具4を幅方向に隣接して設けているので、理解し易いように、一方のユニットについて説明し、他のユニットについては構成及び作用に変わりがないので、説明を省略する。
【0051】
シート成形金具4は、図1に示すように、芯金10を中心とし、その両側に配置した金具4a及び4bを合わせるように構成されている。そして、芯金10と、その両側の金具4a,4bとの合せ面に、ランナー溝2g,2hと、絞り弁7a,7bと、スリット部2i,2jと、口金5a,5bとを設けている。
【0052】
また、芯金10と金具4a,4bとの合せ面(溶融プラスチックの流路)の要所には、溶融プラスチックの流量を調整するための絞り弁7a,7bが配置されている。また、分岐路2e,2fには、2個の流量調整弁6a,6bが設けられ(図3参照。)、シート成形金具4の幅方向に広がるランナー溝2g,2hに送られる溶融プラスチックの流量を調節するようになっている。
【0053】
また、逆V字形に形成されているランナー溝2g,2hの後方(後流側)には、図1に示すように、一直線状の絞り弁7a、7bを設け、スリット部2i,2jによってシート状に展開される溶融プラスチックの流れに対して絞り効果を与えて全体として均一なシート状の流れになるようにしている。
【0054】
また、芯金10に対面している口金5a,5bは、吐出スリットの厚さを調節できるようにシート成形金具4に設けられ、導電性プラスチックシートS1,S2の厚さを調節して吐出するようになっている。
【0055】
上記流量調整弁6a,6bは、分岐路2e,2fに対して弁体を前後させて流路の絞り量を調整する構造になっている。一方、絞り弁7a,7bは、一直線状の弁体7c,7dを芯金10の両面側に設けられている平面に対して前後させ、吐出される溶融プラスチックの厚さを微調整するように構成されている。
【0056】
口金5a,5bは、シート成形金具4を構成する金具4a,4bに対して複数本のボルト5c,5dで固定されている(図4参照。)。更に、芯金10に対してボルト5e,5f(図1参照。)で間隔を調整して導電性プラスチックシートS1,S2の厚さを調節するようになっている。
【0057】
図1に示すように、分流金具3とシート成形金具4を貫通して電極線を案内するガイド孔11a,11bが芯金10の中央部を貫通して開口されている。そして、このガイド孔11a,11bに接続してガイドパイプ12a,12bがシート成形金具4の下端面より突出するように設けられている。そして、多数の細い銅線を編組することにより、微細な空間を有し吐出直後のプラスチックシートとの接着性が改善された偏平な電極線L1,L2が2枚の導電性プラスチックシートS1,S2の間で、かつ、その両側に平行して送り出されるようになっている。
【0058】
上記のように、シート成形金具4の後流側の近傍に一対の押圧ロール14a,14bからなる押圧ロール部14が設けられており、吐出された2枚の軟化状態にある導電性プラスチックシートS1,S2と、2本の電極線L1,L2とを押圧して一体化し、主として、床暖房等に使用される面状発熱体に適した導電性プラスチックシートS3とするように構成されている。
【0059】
そして、図1において、横方向に引き出され、成形装置1に接近して配置されている冷却装置17によってシートS3に水を積極的に散布又は浸漬することにより急冷し(通常は冷却水に浸漬して冷却する。)、導電性構造を持つシートS3の温度調節特性(正特性)を安定化するようにしている。
【0060】
前記電極線L1,L2には、細い銅線を多数本使用して編組したやや偏平な編組線を使用しており、僅かではあるが長さ方向と幅方向に伸縮性を与えたものを使用している。この電極線L1,L2に伸縮性が必要なことは、プラスチックシートS3が冷却される際にかなりの割合(幅方向に10〜30%、長さ方向に4〜9%の割合)で急速に収縮するので、これに追従させるためである。
【0061】
上記のように、シート成形金具4より吐出されたばかりの軟化状態のプラスチックシートS1,S2は、図1に示すように、押圧ロール部14で押圧されて偏平な1枚の面状発熱体に適した導電性プラスチックシートS3となる。
【0062】
そして、この電気電導性プラスチックシートS3が冷却装置17で冷却されると、上記のように、口金5a,5bから吐出された幅よりもかなり収縮する。また、長さ方向にも収縮するが、これについては押圧ロール部14の作用もあり、その収縮量は幅方向よりも少ない。
【0063】
従って、このシートS1,S2の幅方向と長さ方向の収縮に対して電極線L1,L2が追従して収縮する性質を持つものを使用するのが良く、若し、柔軟性のない電極線を使用した場合は、導電性プラスチックシートS3の両側縁部に波打ちが発生してコンブのような状態となる。これらの補正は、困難な場合があるので、注意が必要である。
【0064】
上記のように、複数の金具部材で構成された導電性プラスチックシート製造装置1は、図示しない溶融押出機の押出ノズル部に接続されている。この押出機に供給する熱可塑性プラスチックには、各種のものを使用できるが、その中でもポリプロピレン、耐熱性ポリエチレンあるいはポリブテン等が好ましい。
【0065】
この熱可塑性プラスチックは、約15〜30%の微粒子状の導電性カーボン、例えば、フアーネスブラックを添加してペレットを製造する。そして、図示しない混合機において、このペレットを均一に混合した後、押出機に供給し、約200℃程度の溶融温度に加熱して溶融する。そして、図6に示すように、ノズル部より吐出して本発明の導電性プラスチックシート製造装置1の接続金具2を経て主流路2c内に流入させる。この導電性の溶融プラスチックは、分流金具3の流路2dより分流路2e,2fに分流し、更に、シート成形金具4のランナー溝2g,2hに流入してこの部分で均圧化される。
【0066】
そして、このランナー溝2g,2hを経由して均圧化された溶融プラスチックは、芯金10の両面に形成されているスリット部2i,2jに流入し、ここで、シート状に広開されて流れる。そして、シート成形金具4の下端部に配置されている口金5a,5bで形成されたスリットより2枚の導電性プラスチックシートS1,S2となって連続的に吐出される。
【0067】
一方、分流金具3とシート成形金具4に設けられたガイド孔11a,11bと、更にシート成形金具4に設けられたガイドパイプ12a,12bを通じて2本の編組線からなる電極線L1,L2が成形直後の導電性プラスチックシートS1,S2の間の両側部に送出され、次いで、押圧ロール部14の押圧ロール14a,14bによって口金5a,5bより吐出されて未だ軟化状態にある間に押圧され、電極線L1,L2を挟み込んだ状態で一体化されて1枚の導電性プラスチックシートS3となる。
【0068】
このようにして成形された導電性プラスチックシートS3は、特に、床暖房等に使用される面状発熱体に適しており、連続的に成形されたものが所定の長さに切断される。そして、厚手のポリエステルフイルムやポリエチレンシート等の耐熱性の絶縁シートからなる被覆カバーで全体的に覆い、次いで、この被覆カバー内を脱気しながら水密的に封止して強固な面状発熱体を形成する。そして、導電性性プラスチックシートS3の両縁より引出した電極線L1,L2にリード線を接続し、更に、用途に応じて簡単に配線できる防水コネクタを固定しておく。
【0069】
本発明によって製造される導電性プラスチックシートS3の幅は,400〜530mm、厚さが0.8〜1.5mmである。また、その長さは用途や敷設作業の便利のために、通常は2500mm程度である。その場合の使用電力は、1枚当たり500W程度であり、この使用電力は、電流突入時が最大に流れ、温度の上昇と共に次第に低下して所定の温度で安定する特性を持っている。
【0070】
また、1枚の導電性プラスチックシートS3に2本以上、例えば、3本(両側と中間)の電極線を並行して設けることにより、恰も2枚の面状発熱体を並行して連結したような状態となり、2本の電極間を流れる電流の距離と発熱量を調節できる。
【0071】
本発明によると、従来の方法で製造された導電性プラスチックシートに比べて約2倍以上の幅を持っているので、例えば、床暖房装置の場合は、その敷設枚数が減少してその作業が容易となる。
【0072】
また、配線にコネクタ等に簡便に連結できるものを使用すると、電気工事者以外の者でも工事が可能となり、従来の床暖房工事のように、複数の仕事の異なる作業を時間差を持って行う必要がなくなる等の施工上の効果もある。
(2)第2実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。図10において、1は、2枚取り用に開発した導電性プラスチックシート製造装置である。この導電性プラスチックシート製造装置1は、図10に示すように、図示しない押出機に接続する接続金具2と分流金具3とシート成形金具4より成る金型装置9と、この金型装置9の下流側に設けた幅広の押圧ロール部(図10参照。)14により構成されている。
【0073】
接続金具2は、図8に示すように、フランジ2aと連結部2bで構成され、その軸心部には、図示しない溶融プラスチックを誘導する主通路2cが設けられている。また、分流金具3には、主通路2cに接続する流路2dが設けられている。この流路2dは、二つの分岐路2e,2fに分岐し、その先端には、シート成形金具4の幅方向に伸長した太溝状のランナー溝2g及び2h(図10参照。)を設け、溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしている。
【0074】
シート成形金具4は、図7及び図9に示すように、芯金10を中心とし、その両側に金具4a及び4bを合わせるように配置している。そして、この芯金10と、その両側に配置した金具4a,4bとの合せ面に、ランナー溝2g,2hと、絞り弁7a,7bと、スリット部2i,2jと、口金5a,5bを設けている。更に、スリット部2i,2jには、図10に示すように、第2のランナー溝2m,2nを上下2段に設け、絞り弁7a,7bを通過後の溶融プラスチックの圧力緩和を図っている。
【0075】
また、シート成形金具4は、図示しない多数のヒーターと温度コントローラとを備え、幅方向の温度を均一に温度コントロールできるようになっている。
【0076】
上記分岐路2e,2fには、流量調整弁6a,6bが設けられ(図7及び図8参照。)、シート成形金具4の幅方向に広がるランナー溝2g,2hに送られる溶融プラスチックの流量を調節するようになっている。
【0077】
ランナー溝2g,2hは、図10に示すように、分岐路2e,2fの先端から斜め下流側に向かって左右両側に伸長し、逆V字状を呈するようになっている。その勾配(傾斜角)θ1は、10°乃至15°の範囲が好ましく、15°を超える場合は、ランナー溝2g,2h自体の高さが高くなり、不経済である。他方、10°未満の場合は、ランナー溝2g,2hにおける圧力緩和にムラが生ずることがある。
【0078】
その上、このランナー溝2g,2hは、図10に示すように、前段部と後段部の2部分から構成されており、前段部2g’,2h’は、後段部2g”,2h”に近づく程、その横断面(半円形)の面積が次第に大きくなっている。この前段部2g’,2h’の外側に位置している後段部2g”,2h”は、その横断面(半円形)の面積が不変になっている。更に、ランナー溝2g,2hの前段部2g’,2h’の長さは、シート成形金具4の横幅のほぼ1/2程度となっている。
【0079】
このランナー溝2g,2hの後方(後流側)には、図7及び図9に示すように、一直線状の絞り弁7a、7bを設けており、スリット部2i,2jによってシート状に展開される溶融プラスチックの流れに対して絞り効果を与え、全体として均一なシート状の流れになるようにしている。
【0080】
そして、シート成形金具4には、芯金10の下端部に対面する口金5a,5bを設け、芯金10と口金5a,5bとの間の吐出スリットの厚さ(隙間)を調節するようにしている。
【0081】
口金5a,5bは、シート成形金具4を構成する金具4a,4bに対して複数本のボルト5c,5dで固定されている(図7参照。)。更に、芯金10に対してボルト5e,5f(図7参照。)で間隔を調整して導電性プラスチックシートS1,S2の厚さを調節するようになっている。
【0082】
上記流量調整弁6a,6bは、分岐路2e,2fに対して弁体を前後させて流路の絞り量を調整する構造になっている。他方、絞り弁7a,7bは、一直線状の弁体7c,7dを芯金10の両面に形成された平面部に対して前後させ、流下する溶融プラスチックの厚さを微調整するように構成されている。
【0083】
第2のランナー溝2m,2nは、図10に示すように、緩やかに湾曲した中央部21と、その端部から斜め下流側に向かって左右両側に伸長した伸長部22からなり、全体的に逆V字状を呈するようになっている。その勾配(傾斜角)θ2は、15°乃至20°の範囲が好ましく、20°を超える場合は、ランナー溝2m,2n自体の高さが高くなり、不経済である。他方、15°未満の場合は、ランナー溝2m,2nにおける圧力緩和にムラが生ずることがある。
【0084】
図7に示すように、分流金具3とシート成形金具4とを貫通して後述する電極線を案内する複数組(この例では2組)のガイド孔11a,11bが芯金10の中央部を設けられている。そして、このガイド孔11a,11bに接続してガイドパイプ12a,12bがシート成形金具4の端面より突出するように設けられている。これらのガイド孔11a,11b及びガイドパイプ12a,12bは、図10に示すように、隣接して設けられている。
【0085】
そして、多数の細い銅線を編組して微細な空間が形成され、プラスチックとの接着性が改善された偏平な電極線L1,L2を2枚の導電性プラスチックシートS1,S2の間にそれぞれ送り出すようになっている。
【0086】
上記押圧ロール部14は、一対の押圧ロール14a,14bから構成されており、口金5a,5bから吐出された2枚の軟化状態にある導電性プラスチックシートS1,S2と、2組の電極線L1,L2を押圧して一体化し、主として、床暖房等に使用される導電性プラスチックシートS3を形成する。
【0087】
この導電性プラスチックシートS3は、図7に示すように、横方向に引き出され、成形装置1に接近して配置されている図示しない冷却装置によってシートS3に水を積極的に散布又は浸漬することにより急冷し(通常は冷却水に浸漬して冷却する。)、導電性構造を持つシートS3の温度調節特性(正特性)を安定化するようになっている。
【0088】
上記のように、電極線L1,L2には、細い銅線を多数本使用して編組したやや偏平な編組線を使用しており、好ましくは、僅かではあるが長さ方向と幅方向に伸縮性を与えたものを使用している。
【0089】
この電極線L1,L2に伸縮性が必要なことは、導電性プラスチックシートS3が冷却される際にかなりの割合(幅方向に10〜30%、長さ方向に4〜9%の割合)で急速に収縮するので、これに追従させるためである。
【0090】
上記のように、シート成形金具4より吐出されたばかりの軟化状態の導電性プラスチックシートS1,S2は、図7に示すように、押圧ロール部14で押圧されて偏平な1枚の面状発熱体に適した導電性プラスチックシートS3となる。
【0091】
そして、この電気電導性プラスチックシートS3が冷却装置(図示せず)で冷却されると、上記のように、口金5a,5bから吐出された幅よりもかなり収縮する。また、長さ方向にも収縮するが、これについては押圧ロール部14の作用もあり、その収縮量は幅方向よりも少ない。
【0092】
従って、このシートS1,S2の幅方向と長さ方向の収縮に対して2組の電極線L1,L2が追従して収縮する性質を持つものを使用するのが良く、若し、柔軟性のない電極線を使用した場合は、導電性プラスチックシートS3の両側縁部に波打ちが発生してコンブのような状態となる。これらの補正は、困難な場合があるので、注意が必要である。
【0093】
ここで、導電性プラスチックシートの原料となる熱可塑性プラスチックとしては、各種のものを使用できるが、その中でもポリプロピレン、耐熱性ポリエチレンあるいはポリブテン等が好ましい。
【0094】
この熱可塑性プラスチックは、約15〜30%の微粒子状の導電性カーボン、例えば、フアーネスブラックを添加してペレットを製造する。そして、図示しない混合機において、このペレットを加熱下において均一に混合した後、押出機に供給し、約200℃程度の溶融温度に加熱して溶融する。そして、図11に示すように、押出機のノズル部より本発明の導電性プラスチックシート製造装置1の接続金具2を経て流路2c内に流入させる。次いで、分流金具3の流路2dより分岐路2e,2fに分流されてシート成形金具4のランナー溝2g,2hに流入し、この部分で均圧化される。
【0095】
そして、このランナー溝2g,2hを経由して均圧化された溶融プラスチックは、芯金10の両面に形成されているスリット部2i,2jに流入し、ここで、シート状に広開されて流下する。その間、溶融プラスチックは、スリット部2i,2jに2段に設けた第2のランナー溝2m,2nによって更に均圧化される。そして、シート成形金具4の下端部に配置されている口金5a,5bと芯金10により形成されたスリットより2枚の導電性プラスチックシートS1,S2となって連続的に吐出される。
【0096】
一方、分流金具3とシート成形金具4に設けられた2組のガイド孔11a,11bと、更に、シート成形金具4に設けられた2組のガイドパイプ12a,12bを通じて2組の編組線からなる電極線L1,L2が成形直後の導電性プラスチックシートS1,S2の間の両側部及び中央部に送出され、次いで、押圧ロール部14の押圧ロール14a,14bによって口金5a,5bより吐出されて未だ軟化状態にある間に押圧され、2組の電極線L1,L2を挟み込んだ状態で一体化されて1枚の導電性プラスチックシートS3となる。
【0097】
このようにして成形された導電性プラスチックシートS3は、特に、床暖房等に使用される面状発熱体に適しており、押圧ロール部14から送出されたものが、図12に示すように、高速回転する複数(図では3枚)のカッター23によって2枚に裁断される。ここで、カッターとしては、図示しない支持体に取り付けられた固定式のカッターを使用することができる。
【0098】
従って、所定シート幅の導電性プラスチックシートS3’を2枚取りすることができる。その際、耳部S4も同時に裁断される。その後、各導電性プラスチックシートS3’は、所定の長さに切断される。そして、厚手のポリエステルフイルムやポリエチレンシート等の耐熱性の絶縁シートからなる被覆カバーで全体的に覆った後、この被覆カバー内を脱気しながら水密的に封止して強固な面状発熱体を形成する。そして、導電性プラスチックシートS3’の両縁より引出した電極線L1,L2にリード線を接続し、更に、用途に応じて簡単に配線できる防水コネクタを固定しておく。
【0099】
本発明によって製造された最終的な導電性プラスチックシートS3’の幅は,200〜260mm、厚さは0.8〜1.5mmである。また、その長さは用途や敷設作業の便利のために、通常は2500mm程度である。
【0100】
その場合、使用電力は、1枚当たり100−250W程度であり、この使用電力は、電流突入時が最大に流れ、温度の上昇と共に次第に低下して所定の温度で安定する特性を持っている。
【0101】
また、配線にコネクター等に簡便に連結できるものを使用すると、電気工事者以外の者でも工事が可能となり、従来の床暖房工事のように、複数の仕事の異なる作業を時間差を持って行う必要がなくなる等の施工上の効果もある。
【0102】
本発明の技術的思想は、下記実施の形態に記載されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載された技術的思想の範囲内において変形することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の2連式の導電性プラスチックシート製造装置の断面図である。
【図2】図1のB−B断面図である。
【図3】上記導電性プラスチックシート製造装置の一部断面を含む金具の端面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】溶融プラスチック流路の斜視図である。
【図6】上記導電性プラスチックシート製造装置の作用説明図である。
【図7】本発明の2枚取り式の導電性プラスチックシート製造装置の断面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図7の要部拡大断面図である。
【図10】上記導電性プラスチックシート製造装置の一部断面を含む金具の端面図である。
【図11】上記導電性プラスチックシート製造装置の作用説明図である。
【図12】導電性プラスチックシートを裁断する説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1 導電性プラスチックシート製造装置 2 接続金具
2a フランジ部 2b 連結部
2c,2d,2e,2f 流路 2g,2h ランナー溝
2i,2j スリット部 3 分流装置
4 シート成形金具 4a,4b 金具 5a,5b 口金 6a,6b 流量調整弁
7a,7b 絞り弁 10 芯金
11a,11b ガイド孔 12a,12b ガイドパイプ
17 冷却装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の溶融プラスチックを主流路から分岐した複数の分岐路に導入し、これを平行な2本のスリットを持つ口金より押出して2枚のシートを形成すると共に、この2枚の成形シートの間に複数本の電極線を導入しながら、前記成形シートを押圧接着して電極線を狭持した1枚の導電性プラスチックシートを製造する導電性プラスチックシート製造装置において、前記口金を、一つの金型装置に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部を設けて各ユニット毎に導電性の溶融プラスチックの流量を調整することを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項2】
前記金型装置の後流側に前記口金に対応する複数の押圧ロール部を設け、かつ、この複数の押圧ロール部を同一又は異なる速度で運転することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項3】
前記金型装置を、各ユニット毎にそれぞれ温度調整することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項4】
前記分岐路に、前記口金の幅方向に開脚した扇状のランナー溝を設け、各ユニット毎に溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしたことを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項5】
押出機に接続する接続金具と、複数の分岐路を有する分流金具と、溶融プラスチックをシート状に成形する成形金具により形成した金型装置と、該金型装置の後流側に設けた押圧ロール部により構成され、かつ、前記成形金具を、芯金と、その両側に配した金具により形成すると共に、前記芯金と前記金具との合せ面にランナー溝と、絞り弁と、スリット部と、口金を設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を設けた導電性プラスチックシート製造装置において、
前記ランナー溝を、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持し、
前記スリット部に、緩やかに湾曲した中央部と、その両端部から斜め後流側に向かって伸長する2本の伸長部とからなり、全体的に逆V字状に形成された第2のランナー溝を、1段以上設け、
更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたことを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項1】
導電性の溶融プラスチックを主流路から分岐した複数の分岐路に導入し、これを平行な2本のスリットを持つ口金より押出して2枚のシートを形成すると共に、この2枚の成形シートの間に複数本の電極線を導入しながら、前記成形シートを押圧接着して電極線を狭持した1枚の導電性プラスチックシートを製造する導電性プラスチックシート製造装置において、前記口金を、一つの金型装置に複数ユニット配置すると共に、前記口金に連通する前記分岐路に流量調整部を設けて各ユニット毎に導電性の溶融プラスチックの流量を調整することを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項2】
前記金型装置の後流側に前記口金に対応する複数の押圧ロール部を設け、かつ、この複数の押圧ロール部を同一又は異なる速度で運転することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項3】
前記金型装置を、各ユニット毎にそれぞれ温度調整することを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項4】
前記分岐路に、前記口金の幅方向に開脚した扇状のランナー溝を設け、各ユニット毎に溶融プラスチックの圧力を緩和するようにしたことを特徴とする請求項1記載の導電性プラスチックシート製造装置。
【請求項5】
押出機に接続する接続金具と、複数の分岐路を有する分流金具と、溶融プラスチックをシート状に成形する成形金具により形成した金型装置と、該金型装置の後流側に設けた押圧ロール部により構成され、かつ、前記成形金具を、芯金と、その両側に配した金具により形成すると共に、前記芯金と前記金具との合せ面にランナー溝と、絞り弁と、スリット部と、口金を設け、更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を設けた導電性プラスチックシート製造装置において、
前記ランナー溝を、逆V字状に形成すると共に、前記分岐路に接続する前段部と、該前段部に接続する後段部により形成し、更に、前記前段部の太さを後段部に接近するにしたがって次第に太くし、前記後段部は同じ太さを維持し、
前記スリット部に、緩やかに湾曲した中央部と、その両端部から斜め後流側に向かって伸長する2本の伸長部とからなり、全体的に逆V字状に形成された第2のランナー溝を、1段以上設け、
更に、前記芯金に電極線を誘導するガイド孔を複数組設け、かつ、前記押圧ロール部の後流側に複数のカッタを所定の間隔で設けたことを特徴とする導電性プラスチックシート製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−27106(P2006−27106A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210024(P2004−210024)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(592132981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(592132981)
【Fターム(参考)】
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