説明

導電性ローラ及びそれを備えた画像形成装置

【課題】紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を備え、トナーへの正帯電付与性能が高い導電性ローラを提供する。
【解決手段】シャフト2と、該シャフト2の半径方向外側に配設された弾性層3と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層4とを備える導電性ローラ1において、
前記塗膜層4の少なくとも最表層を、下記一般式(I):


[式中、nは1以上の整数であり、Rはn価の炭化水素基である]で表されるアクリレートモノマーを含む最表層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ローラ及び該導電性ローラを備えた画像形成装置に関し、特にトナーへの正帯電付与性能に優れた導電性ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラム等にトナーを供給し、感光ドラムの潜像に該トナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させることで現像を行う。そのため、上記現像ローラを、導電性を有する弾性体で形成する必要がある。
【0003】
上記加圧現像法において、現像ローラは、感光ドラムに密着した状態を確実に保持しながら回転しなければならないため、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーにカーボンブラックや金属粉を分散させた導電性の弾性体やこれらを発泡させた発泡体からなる導電性弾性層を形成した構造となっている。また、トナーに対する帯電性や付着性の制御、現像ローラの弾性層による感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、更に塗膜層を形成する場合がある。
【0004】
例えば、特開2000−130429号公報には、接触帯電量が0〜15nCのポリウレタン樹脂層を最表層とした半導電性シリコーンゴムロールが開示されており、該半導電性シリコーンゴムロールは、弾性層に適用したシリコーンゴムの耐環境特性を損なうことなく、安定した摩擦帯電特性を有し、トナーに対して十分な帯電量を付与することができるとのことである。
【0005】
また、特開平11−249412号公報には、両末端に活性水素を有するポリシロキサンを含有するポリオールを用いて弾性層を作製することで、弾性層自体の帯電付与性能を向上させた導電性ローラが開示されている。
【0006】
ところで、従来、上記塗膜層は、ローラを溶剤系若しくは水系の塗工液中にディップ又は該塗工液をローラにスプレーした後に、熱又は熱風で乾燥硬化して形成されており、長時間の乾燥が必要なため、量産には長い乾燥ラインが必要である。また、上記塗膜層は、その用途から微妙な導電性及び表面状態が要求されるが、乾操ライン内の温度分布及び風量等のバラツキが塗膜層の性能に大きく影響するため、品質上の問題があった。
【0007】
これに対し、長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を形成する手法として、ローラの弾性層の表面に紫外線硬化性の樹脂原料を塗布し、該樹脂原料を硬化させて、弾性層の表面に紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を形成する技術が提案されている(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−130429号公報
【特許文献2】特開平11−249412号公報
【特許文献3】特開2002−310136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、塗膜層を紫外線硬化型樹脂で構成することで、長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を形成することができるが、従来の紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を備えた導電性ローラは、トナーへの正帯電付与性能が不十分であった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を備え、トナーへの正帯電付与性能が高い導電性ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる導電性ローラを用いた、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造の極性の低いアクリレートモノマーを含む原料組成物を紫外線照射で硬化させて塗膜層の少なくとも最表層を形成することで、トナーへの正帯電付与性能に優れた導電性ローラが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の導電性ローラは、シャフトと、該シャフトの半径方向外側に配設された弾性層と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層とを備え、
前記塗膜層の少なくとも最表層が、下記一般式(I):
【化1】


[式中、nは1以上の整数であり、Rはn価の炭化水素基である]で表されるアクリレートモノマーを含む最表層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の導電性ローラの好適例においては、前記一般式(I)中のnが1であって、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
【0014】
本発明の導電性ローラの他の好適例においては、前記一般式(I)中のnが2であって、Rが、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基である。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、上記の導電性ローラを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定構造の極性の低いアクリレートモノマーを含む原料組成物を紫外線照射で硬化させて、塗膜層の少なくとも最表層を形成することで、導電性ローラのトナーへの正帯電付与性能を向上させることができる。また、かかる導電性ローラを備え、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<導電性ローラ>
以下に、本発明の導電性ローラを詳細に説明する。図1は、本発明の導電性ローラの一例の断面図である。図示例の導電性ローラ1は、シャフト2と、該シャフト2の外周に形成された弾性層3と、該弾性層3の外周面に形成された塗膜層4とを備える。なお、図示例の導電性ローラは、塗膜層4が一層よりなるが、本発明の導電性ローラの塗膜層4は、二層以上から構成されていてもよい。
【0018】
ここで、本発明の導電性ローラは、塗膜層の少なくとも最表層が、上記一般式(I)で表されるアクリレートモノマーを含む最表層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする。一般に、トナーは、導電性ローラの最表層との摩擦(摩擦帯電現象)により、帯電する。ここで、トナーへの帯電のし易さは、弾性層や塗膜層の帯電序列により決定される。そして、上記式(I)のアクリレートモノマーは、エチレンオキシ基(EO)やプロピレンオキシ(PO)基等を含む通常のアクリレートモノマーよりも極性が低く、極性の低い式(I)のアクリレートモノマーを原料として形成された塗膜層は、従来の塗膜層よりもトナーを正に帯電させ易い。そのため、本発明の導電性ローラは、トナーに対する正帯電付与性能に優れる。
【0019】
本発明の塗膜層は、少なくとも最表層が、上記一般式(I)で表されるアクリレートモノマーを含む最表層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなるが、最表層以外の塗膜層は、特に限定されず、最表層と同様であっても、異なってもよい。なお、塗膜層の最表層用原料は、上記アクリレートモノマーの他に、アクリレートオリゴマー、光重合開始剤、微粒子等を含有することが好ましい。
【0020】
上記一般式(I)で表されるアクリレートモノマーは、反応性希釈剤として作用し、即ち、紫外線で硬化する上、最表層用原料の粘度を低下させることが可能である。上記一般式(I)で表されるアクリレートモノマーにおいて、nは1以上の整数であり、Rはn価の炭化水素基である。式(I)のアクリレートモノマーは、式(I)中のRがn価の炭化水素基であるため、エチレンオキシ基(EO)やプロピレンオキシ(PO)基等の酸素を含むアクリレートモノマーよりも極性が低い。ここで、nは1以上の整数であり、1又は2であることが好ましい。また、上記炭化水素基は、芳香族炭化水素基であっても、直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基であっても、脂環式炭化水素基であってもよい。
【0021】
式(I)中のnが1の場合、Rとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。ここで、アルキル基としては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、オクチルシクロペンチル基、オクチルシクロヘキシル基、デシルシクロペンチル基、デシルシクロヘキシル基、ドデシルシクロペンチル基、ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ヘキシルフェニル基、エチルナフチル基、ノニルフェニル基、ペンチルナフチル基、ドデシルフェニル基、オクチルナフチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルヘキシル基、フェニルノニル基、フェニルドデシル基等が挙げられる。
【0022】
式(I)中のnが2の場合、Rとしては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基が挙げられる。ここで、アルキレン基としては、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等が挙げられ、シクロアルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリシクロデカンジイル基、メチルトリシクロデカンジイル基、エチルトリシクロデカンジイル基、ジメチルトリシクロデカンジイル基、ジエチルトリシクロデカンジイル基、メチルエチルトリシクロデカンジイル基等が挙げられ、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基等が挙げられ、アラルキレン基としては、キシリレン基等が挙げられる。式(I)で表され、nが2のアクリレートモノマーとして、具体的には、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジメチルトリシクロデカンジアクリレート等が好ましい。
【0023】
上記塗膜層の最表層用原料における式(I)で表されるアクリレートモノマーの含有率は、30〜60質量%の範囲が好ましい。最表層用原料における式(I)のアクリレートモノマーの含有率が30質量%未満では、導電性ローラのトナーへの正帯電付与性能を向上させる効果が小さく、一方、60質量%を超えると、塗膜の伸び及び強度がともに小さくなり、感光体との摩擦に耐えきれず、破壊がおこるおそれがある。
【0024】
上記塗膜層用原料に用いることが好適なアクリレートオリゴマーとしては、ウレタン系アクリレートオリゴマー、エポキシ系アクリレートオリゴマー、エーテル系アクリレートオリゴマー、エステル系アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系アクリレートオリゴマー、フッ素系アクリレートオリゴマー、シリコーン系アクリレートオリゴマー等が挙げられる。上記アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε-カプロラクトンの付加物等と、アクリル酸との反応により、或いはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有するアクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0025】
上記ウレタン系アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有するアクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。また、上記エポキシ系アクリレートオリゴマーとしては、グリシジル基を有する化合物とアクリル酸との反応生成物が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し且つグリシジル基を有する化合物とアクリル酸との反応生成物が更に好ましい。更に、上記エーテル系アクリレートオリゴマー、エステル系アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)とアクリル酸との反応によって得られる。
【0026】
上記塗膜層用原料に用いる光重合開始剤は、紫外線を照射されることによって、上述したアクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーの重合を開始させる作用を有する。該光重合開始剤としては、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及び3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記塗膜層用原料における、光重合開始剤の配合量は、上記アクリレートモノマーと上記アクリレートオリゴマーとの合計100質量部に対して、0.2〜5.0質量部の範囲が好ましい。光重合開始剤の配合量が0.2質量部以下では、塗膜層用原料の紫外線硬化を開始させる効果が小さく、一方、5.0質量部を超えると、紫外線硬化を開始させる効果が飽和する一方、塗膜層用原料のコストが高くなる。
【0028】
上記塗膜層用原料は、更に、微粒子を含有してもよい。塗膜層の原料混合物に微粒子を含ませることで、導電性ローラの表面に適度な微小凹凸を形成することができる。該微粒子としては、ゴム、ウレタン又は合成樹脂製の微粒子やカーボン製の微粒子およびシリカ系微粒子等の無機微粒子が好ましく、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタンアクリレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ガラス状カーボン製の微粒子およびシリカ微粒子が特に好ましい。これら微粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、該微粒子の含有量は、上記アクリレートモノマーと上記アクリレートオリゴマーとの合計100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲が好ましい。
【0029】
上記塗膜層4の厚さは、5〜30μmの範囲が好ましい。塗膜層の厚さが5μm未満では、塗膜層を配設する効果が小さく、30μmを超えると、導電性ローラの表面が硬くなり、柔軟性が損なわれる。
【0030】
本発明の導電性ローラのシャフトとしては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体や高剛性樹脂製の円筒体等が挙げられる。なお、シャフトに高剛性の樹脂を使用する場合、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて、十分に導電性を確保することが好ましい。ここで、高剛性樹脂に分散させる導電剤としては、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が好ましい。これら導電剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。該導電剤の配合量は、特に制限されるものではないが、高剛性樹脂の全体に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0031】
上記金属製芯金や金属製円筒体の材質としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。また、上記高剛性の樹脂基材の材質としては、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアセタール、ポリアミド6・6、ポリアミドMXD6、ポリアミド6・12、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートが好ましい。これら高剛性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明の導電性ローラの弾性層は、エラストマーを含み、必要に応じて導電剤等の他の成分を含む。該弾性層に用いるエラストマーとしては、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの混合物等が挙げられる。該弾性層には、上記エラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させる等して、上記エラストマーを発泡体として用いてもよい。また、本発明の導電性ローラの弾性層は、上述した塗膜層に用いるアクリレートオリゴマーやアクリレートモノマー等を含む原料を紫外線硬化させて形成した紫外線硬化型樹脂から構成されていてもよい。
【0033】
上記弾性層に用いる導電剤としては、イオン導電剤、電子導電剤等が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられ、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。
【0034】
上記弾性層は、上記導電剤の配合により、その抵抗値を103〜1010Ωcmとすることが好ましく、104〜108Ωcmとすることが更に好ましい。弾性層の抵抗値が103Ωcm未満では、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧により導電性ローラ自体が破壊する場合があり、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生しやすくなる。
【0035】
上記弾性層の硬度は、特に限定されるものではないが、アスカーC硬度で80度以下であることが好ましく、20〜70度であることが更に好ましい。弾性層のアスカーC硬度が80度を超えると、導電性ローラと感光ドラム等との接触面積が小さくなり、良好な現像が行えなくなるおそれがあり、また、トナーに損傷を与え感光ドラムや成層ブレードヘのトナー固着等が発生して画像不良が起こり易い。一方、弾性層が低硬度過ぎると、感光ドラムや成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッター等の画像不良が発生するおそれがある。上記弾性層は、感光ドラムや成層ブレード等に当接して使用されるため、硬度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪をなるべく小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とすることが好ましい。
【0036】
本発明の導電性ローラは、例えば、シャフトの外周に弾性層を形成してなるローラ本体の外表面に上記最表層用原料を塗布した後、紫外線照射することで作製できる。また、塗膜層が複数存在する場合は、最表層以外の塗膜層を上記ローラ本体の外表面に形成した後、上記最表層用原料を塗布し、紫外線照射することで、本発明の導電性ローラを作製することができる。なお、最表層用原料の塗布方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件は、最表層用原料に含まれる成分、組成及び塗布量等に応じて適宜選択され、照射強度や積算光量等を適宜調整すればよい。
【0037】
上述した本発明の導電性ローラは、画像形成装置の現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として用いることができる。
【0038】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述した導電性ローラを備えることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上記導電性弾性ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
【0039】
以下に、図2を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム5と、感光ドラム5の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム5を帯電させるための帯電ローラ6と、トナー7を供給するためのトナー供給ローラ8と、トナー供給ローラ8と感光ドラム5との間に配置された現像ローラ9と、現像ローラ9の近傍(図では上方)に設けられた現像ブレード10と、感光ドラム5の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ11と、感光ドラム5に隣接して配置されたクリーニングローラ12とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画層形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
【0040】
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム5に帯電ローラ6を当接させて、感光ドラム5と帯電ローラ6との間に電圧を印加して、感光ドラム5を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム5上に形成する。次に、感光ドラム5と、トナー供給ローラ8と、現像ローラ9とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ8上のトナー7が現像ローラ9を経て感光ドラム5に送られる。現像ローラ9上のトナー7は、現像ブレード10により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ9と感光ドラム5とが接触しながら回転することにより、トナー7が現像ローラ9から感光ドラム5の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー7は、転写ローラ11で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム5上に残留するトナー7は、クリーニングローラ12によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、例えば、現像ローラ9に上述した本発明の導電性ローラを用いることで、現像ローラ9が接触したトナー7を確実に摩擦帯電させるため、優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】
<ウレタンソリッドを弾性層とする基材の作製>
グリセリンにプロピレンオキサイドを付加した3官能で分子量9,000のポリエーテルポリオール100質量部に導電性カーボン1.6質量部とジブチル錫ジラウレート0.15質量部を加え十分に撹拌混合した後、減圧下で撹拌しながら20分間脱泡して、これをポリオール成分とした。ポリオール成分の水酸基価は19mgKOH/gであった。一方、NCO含有率が11%のポリプロピレングリコール変性ポリメリックMDIを減圧下で撹拌しながら20分間脱泡して、これをイソシアネート成分とした。ポリオール成分とイソシアネート成分の比率が101.75/13.70(イソシアネートインデックス:103)の割合になるようにして2成分注型機にてポリオールとイソシアネートを3000rpmで高速撹拌混合し、混合したウレタン原液を外径寸法がφ6mmの芯金をセットした筒形状のモールド金型に注入し、90℃で60分間熱風循環オーブンにて加熱キュアーした。筒形状のモールドから芯金つきウレタン・ローラを取り出し、ウレタンソリッドを弾性層とする基材を得た。
【0043】
<UV樹脂を弾性層とする基材の作製>
外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂製導電性ローラ基材にウレタンアクリレートオリゴマーUV3700B[(株)日本合成化学製]60質量部、アクリレートモノマーMTG−A[メトキシトリエチレングリコールアクリレート, (株)共栄社化学製]40質量部、光開始剤IRGACURE651[2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン, (株)チバ・スペシャリティケミカルズ(株)]1質量部、イオン導電剤MP100[過塩素酸ナトリウムのポリオール錯塩, (株)昭島化学製]2質量部からなる弾性層用原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、窒素雰囲気下で回転させながらUV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射し、UV樹脂を弾性層とする基材を得た。
【0044】
(実施例1〜3及び比較例1〜4)
次に、上記基材の表面に、表1に示す配合の塗膜層用原料をロールコーターにて塗布し、UV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射して、表面にUV塗膜[厚さ:10μm]を有する導電性ローラを得た。得られた導電性ローラのトナー帯電量、耐久可能枚数、抵抗値、平均表面粗さを下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0045】
(1)トナー帯電量
トナー帯電量は、210HS−2A Q/m Meter[(株)Trek製]を用い、シアン1%濃度印字後にローラ表面に付着したトナーを先端ノズル部から吸引することで電荷量を測定して求めた。なお、トナー帯電量をQ/M値(単位質量あたりのトナー帯電量)と定義し、電荷量を吸引トナー質量で割ったものとした。
【0046】
(2)耐久可能枚数
市販のレーザープリンターを用い、シアンを1%濃度で印字して、耐久試験を行った。該耐久試験において、連続印字したとき白地部(非印字部)にトナーが付着し始めた印字枚数を耐久可能枚数(カブリ発生枚数)とした。
【0047】
(3)抵抗値
抵抗値は、ローラを金属板に載せ、両端金属シャフト部に500gの荷重をかけた後、静止状態にてR8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER[ADVANTEST製]を用い、シャフトとローラ表面間に100V電圧を印加し、表面抵抗を測定して求めた。
【0048】
(4)平均表面粗さ
平均表面粗さ(Ra値)は、サーフコム590A[(株)東京精密製]を用い、ローラ表面上の凹凸形状を先端針でなぞることで算出した。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から明らかなように、上記一般式(I)で表されるアクリレートモノマーを含有する原料を紫外線硬化させて形成した塗膜層(最表層)を備える導電性ローラは、トナー帯電量が高く、かかる導電性ローラを現像ローラとして画像形成装置に組み込むことで、画像形成装置の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の導電性ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 導電性ローラ
2 シャフト
3 弾性層
4 塗膜層
5 感光ドラム
6 帯電ローラ
7 トナー
8 トナー供給ローラ
9 現像ローラ
10 現像ブレード
11 転写ローラ
12 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトの半径方向外側に配設された弾性層と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層とを備える導電性ローラにおいて、
前記塗膜層の少なくとも最表層が、下記一般式(I):
【化1】


[式中、nは1以上の整数であり、Rはn価の炭化水素基である]で表されるアクリレートモノマーを含む最表層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記一般式(I)中のnが1であって、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記一般式(I)中のnが2であって、Rが、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラを備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−212780(P2007−212780A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32811(P2006−32811)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】