説明

導電性ローラ

【課題】弾性層が電気的に低抵抗で低硬度であり、また、弾性層に用いる導電性ゴム組成物がゴム練り加工性や押出加工性に優れた導電性ローラを提供する。
【解決手段】該導電性ローラの導電性弾性層が、下記条件を満たすファーネスカーボンブラックを、ゴム成分100質量部に対し、20〜100質量部含有するゴム組成物から構成される。
(1)CTAB値が100m/g〜170m/gであること
(2)DBP吸油量が110ml/100g〜170ml/100gの範囲にあり、24MDBP吸油量が110ml/100g以下であり、かつDBP吸油量−24MDBP吸油量が20〜60ml/100gであること
(3)NSA値−CTAB値が15〜100m/gであること

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性ローラに係わり、特に電子写真等の画像形成装置における感光体に接触して配置される帯電ローラなどの導電性ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、感光体の表面を均一に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成し、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成(現像)、転写紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。
【0003】
前記感光体の表面を均一帯電するための手段としては、電圧を印加した帯電部材を感光体に所定の押圧力で当接させて感光体を所定の電位に帯電させる接触帯電方式が知られている。接触帯電方式の中でも帯電ローラは、接触帯電方式による均一帯電のための重要なポイントである感光体への一様な接触が、二つの回転円筒体同士によりなされるため、ブラシ帯電やブレード帯電などの他の接触帯電方式よりも実現容易であり、採用されている。
【0004】
そして、そのような帯電ロールにあっては、導電体たる所定の導電性軸体の外周面上に、ソリッドゴム層やゴム発泡体層等からなる比較的低抵抗領域(10〜10Ω)の導電性弾性体層(以下、基層と記す場合がある)が、所定の厚さで設けられていると共に、該基層の外周面上に中抵抗領域(10〜1010Ω)の抵抗調整層が設けられ、更に必要に応じて、抵抗調整層の外周面上に保護層が、それぞれ、積層形成されて、構成されてなる構造が一般に採用されている。
【0005】
帯電ローラは感光体との接触帯電を行うものであるため、一様なニップ幅を保つことが要求され、そのために前記基層としては、低硬度であることも必要とされる。このような基層としては、エチレンプロピレンジエンゴム等の原料ゴムにケッチェンブラックやアセチレンブラック等の導電性カーボンブラックと軟化剤を含有するゴム組成物やその発泡体が用いられる(例えば特許文献1)。しかしながら、これらの導電性カーボンブラックは高価であるためゴム材料費が高くなるうえ、これらの導電性カーボンブラックによる抵抗調整は少量の変動で抵抗値が大きく変動するため抵抗値を安定化させることが難しいという問題があった。低抵抗化のために微粒子径を有するゴム用のカーボンブラック(ファーネスカーボンブラック)を使用した場合には、所望の導電性を得るためには多量の添加量が必要となりカーボンブラックを分散させることが難しくなるうえ、ゴム組成物の粘度が高くなりゴムローラを製造する押出加工性が悪化するだけでなく、加硫した後も基層の硬度が高くなりやすいという問題があった。
【0006】
一方、カーボンブラックの抵抗制御によらずある程度抵抗が低いゴム組成物を得る方法として、ゴム自体が比較的低抵抗性をもつ、例えば、エピクロルヒドリン系ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等の極性ゴムを使用した導電性ゴム組成物を用いることが知られている(例えば特許文献2)。しかしながら、これらのゴム組成物を用いた場合には中抵抗領域(10〜1010Ω)の抵抗領域までは抵抗調整が可能であるが、さらに抵抗を下げようとすると導電性カーボンブラック等の添加が必要になり、結局低抵抗化と低硬度化の両立が難しいという問題があった。
【特許文献1】特開2002−250336号公報
【特許文献2】特開平8−292640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情を背景になされたものであって、その解決課題とするところは、少なくとも導電性軸体の外周上に弾性層を有する電子写真等の画像形成装置に用いられる帯電ローラなどの導電性ローラにおいて、該弾性層が電気的に低抵抗で低硬度であり、また、未加硫状態の前記導電性ゴム組成物が、比較的低コストであり、ゴム練り加工性や押出加工性が良い導電性ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成するため、本発明は以下の構成をとる。
【0009】
導電性軸体の外周上に少なくとも1層の弾性層を有する導電性ローラにおいて、該弾性層が、少なくとも下記(1)〜(3)
(1)CTAB値が100m/g〜170m/gであること
(2)DBP吸油量が110ml/100g〜170ml/100gの範囲にあり、24MDBP吸油量が110ml/100g以下であり、かつDBP吸油量−24MDBP吸油量が20〜60ml/100gであること
(3)NSA値−CTAB値が15〜100m/gであること
を満たすファーネスカーボンブラックをゴム成分100質量部に対し20〜100質量部含有するゴム組成物からなることを特徴とする導電性ローラである。
【0010】
また、該ゴム成分がエチレンプロピレンジエンゴムまたはジエン系ゴムであることを特徴とする導電性ローラである。
【0011】
また、押出機を用いて未加硫の該ゴム組成物を押出すと同時に、連続的に該導電性軸体を該押出機のクロスヘッドダイを通過させて、該導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物を配置せしめローラ形状にした後、加硫工程を経て製造されることを特徴とする導電性ローラである。
【0012】
更に、該ゴム組成物において、該ゴム成分100質量部に対し、鉱物油が10〜120質量部含有されていることを特徴とする導電性ローラである。
【0013】
また、該ゴム組成物において、該ゴム成分100質量部に対し、ケッチェンブラックが3〜12質量部含有されていることを特徴とする導電性ローラである。
【0014】
また、該導電性弾性層が発泡ゴム化していることを特徴とする導電性ローラである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の導電性弾性体層を有する導電性ローラによれば、該導電性弾性体層が電気的に低抵抗で低硬度であり、また、未加硫状態の前記導電性ゴム組成物が、比較的低コストであり、ゴム練り加工性や押出加工性が良い。
【0016】
従って、本発明の導電性ローラは、電子写真等の画像形成装置に用いられる帯電ローラなどの導電性ローラに好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の導電性ローラは、導電性軸体の外周上に少なくとも1層の弾性層を有する導電性ローラにおいて、該弾性層が少なくとも下記(1)〜(3)
(1)CTAB値が100m/g〜170m/gであること
(2)DBP吸油量が110ml/100g〜170ml/100gの範囲にあり、24MDBP吸油量が110ml/100g以下であり、かつDBP吸油量−24MDBP吸油量が20〜60ml/100gであること
(3)NSA値−CTAB値が15〜100m/gであること
を満たすファーネスカーボンブラックをゴム成分100質量部に対し20〜100質量部含有するゴム組成物からなることを特徴とする導電性ローラである。
【0018】
CTAB(セチルメチルブロマイド吸着比表面積)値が100m/g〜170m/gのファーネスカーボンブラックである。この領域のカーボンブラックは、極めて微粒子径の小さいカーボンブラックであることを示す。カーボンブラックの導電性付与硬化としては、微粒子である程導電性付与硬化が高いことが知られており、本発明でも微粒子のカーボンブラックを用いる。即ち、CTAB値が100m/gよりも小さいと導電性向上効果が小さく、低抵抗な基層を得るためには、非常に多量のカーボンブラックを添加する必要性が生じ、基層の硬度が高いものとなる。また、CTAB値が170m/gよりも大きいものは、さらに極めて微粒子になるため容易に製造することが出来ないうえゴム成分中への分散が難しくなる。
【0019】
DBP吸油量(ジブチルフタレート吸油量)が110ml/100g〜170ml/100gの高ストラクチャー領域内にあるファーネスカーボンブラックである。一般に、(1)に属するカーボンブラック(CTAB値が100m/g〜170m/g)は、前述の如く、ゴム中に均一に分散させるのが難しいことが知られている。DBP吸油量を110ml/100g以上に大きくすると、カーボンブラックをゴム中に混練する時に大きなエネルギーが加わり、分散性の向上が得られる。さらに、24MDBP吸油量(24000psiで4回圧縮した後のジブチルフタレート吸油量)が110ml/100g以下である必要がある。24MDBP吸油量が110ml/100gよりも大きいと基層の硬度が高いものとなる。このため24MDBP吸油量はより小さいことが望まれる。即ち、DBP吸油量が大きく、24MDBP吸油量は小さいことを意味する。DBP吸油量−24M4DBP吸油量が20ml/100g以上必要であり、好ましくは25ml/100g以上である。なお、DBP吸油量−24M4DBP吸油量はストラクチャーのこわれ易さを示す目安である。すなわちDBP吸油量は初期のカーボンブラックのストラクチャーレベルを示し、24M4DBP吸油量は、混練後のカーボンブラックのストラクチャーレベルの目安となっている。しかしながら、一般に(1)に属するカーボンブラックでは、DBP吸油量が大きくなるにつれ、24MDBP吸油量も大きくなる傾向にあり、DBP吸油量−24MDBP吸油量を60ml/100gを超えて大きくすることは製造上難しくなる。このため、DBP吸油量−24MDBP吸油量の上限は、60ml/100gとする。即ち、前記24MDBP吸油量が110ml/100g以下を達成する為には、DBP吸油量の上限は170ml/100gである。以上のことからDBP吸油量は100ml/100g〜170ml/100gであり、特に好ましくは120ml/100g〜160ml/100gの範囲内である。
【0020】
SA(窒素吸着比表面積)値(m2/g)とCTAB値の差(N2SA値−CTAB値)が15〜100m/gのファーネスカーボンブラックを使用する。
【0021】
SA値もCTAB値もカーボンブラックの比表面積を表すものであるが、NSA値がカーボンブラックの全比表面積を表すのに対し、CTAB値は有効比表面積を表す。詳述すると、カーボンブラックは粒子状のものであるが、カーボンブラック表面には細孔と呼ばれるくぼみが存在する場合があり、NSA値が細孔も含めた比表面積の測定値であるのに対し、CTAB値は細孔部分を含まない比表面積である。すなわち、NSA値−CTAB値が15m/g以上であることは、カーボンブラック粒子中に細孔が多く含まれることを意味している。細孔部はゴムの補強には関与しないと言われ、また細孔部が増加すると耐摩擦性が低下すると言われているために、一般にゴム用カーボンブラックとしては、細孔ができるだけ発生しないように造られている。しかしながら、検討を重ねた結果、細孔が多いカーボンブラックの使用は、導電性の向上に寄与することが判明した。すなわち、カーボンブラックのNSA値−CTAB値が15m/g以上必要である。一方、NSA値−CTAB値が100m/gを超えるようにするためには、特殊な後処理等が必要になりカーボンブラックの製造コストが高いものとなる。このため、NSA値−CTAB値は、15〜100m/gとする。
【0022】
該ファーネスカーボンブラックを、ゴム成分100質量部に対し、20〜100質量部含有する。このファーネスカーボンブラックの含有量が20質量部未満では導電性付与効果が小さく、100質量部を超えて含有すると基層硬度が高くなりやすく、好ましくは、このファーネスカーボンブラックの含有量は20〜80質量部である。
【0023】
本発明の導電性ローラの弾性層としては、ゴム成分がエチレンプロピレンジエンゴムまたはジエン系ゴムであることが好ましい。エチレンプロピレンジエンゴムまたはジエン系ゴムは、低価格であり、加硫系として硫黄加硫が可能なため各種加硫工程の選択が可能であり、低コストな製造方法が採用できる。ジエン系ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)等が挙げられ、これらのジエン系ゴムを単独若しくは2種以上ブレンドして用いられる。
【0024】
本発明の導電性ローラの低コストな製造方法としては、押出機を用いて未加硫の該ゴム組成物を押出すと同時に、連続的に該導電性軸体を押出機のクロスヘッドダイを通過させて、該導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物を配置せしめローラ形状にした後、加硫工程を経て製造されることが挙げられる。
【0025】
また、更に、本発明の導電性ローラの弾性層に用いるゴム組成物には、ゴム成分100質量部に対し、軟化剤として鉱物油を20〜120質量部含有することが好ましい。前記の如く基層は、低硬度であることも求められ軟化剤を含有することが好ましく、軟化剤としては、低価格であり感光体を汚染しづらいという観点から鉱物油が適している。鉱物油としては、ゴム用のプロセスオイルとして公知のものが使用でき、例えばパラフィン系プロセスオイルやナフテン系プロセスオイル等が挙げられる。鉱物油の含有量は、20質量部未満では軟化効果が不十分になり易く、120質量部を超えるとカーボンブラックの分散性が悪化するほか、ゴム練りや押出等の加工性も悪化し易くなる。更に好ましくは、鉱物油の含有量は、20〜80質量部である。
【0026】
また、本発明の導電性ローラは、基層の電気抵抗を低めに設定することが望まれる場合には前記カーボンブラックのほかにケッチェンブラックを3〜12質量部含有することが好ましい。例えば、基層の電気抵抗を10〜10Ωに調整したい場合、上記ファーネスカーボンブラックのみによる抵抗調整ではカーボンブラック添加量があまりにも多くなりすぎ、加工性を確保することが困難になる場合がある。このためケッチェンブラックと併用する。但し、ケッチェンブラックは高価であるため含有量としては3〜12質量部が好ましい。ケッチェンブラックの含有量が3質量部未満では、含有効果が小さく、12質量部を超えると材料費が高くなってよくない。
【0027】
また、本発明の導電性ローラは、基層の硬度をより低硬度化する場合には、発泡ゴム化して用いてもかまわない。
【0028】
なお、本発明の導電性ローラに使用されるゴム組成物には、上記成分の他にも公知の各種配合剤を適宜配合することができる。配合剤としては、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、老化防止剤、加工助剤等があげられる。加硫剤としても特に限定するものでなく、イオウ、4−4’ジチオモルホリン、各種パーオキサイド加硫剤などがあげられ、中でも加硫速度がコントロールしやすく取り扱いが容易なイオウが好ましい。加硫促進剤としても特に限定するものでなく、ゴム用として公知な各種加硫促進剤が使用可能であり、例えば2−メルカプトベンゾチアゾールやジベンゾチアジルジスルフィド等のベンゾチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドやN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、テトラエチルチウラムジスルフィドやテトラメチルチウラムモノスルフィドやジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ジチオカルバミン酸塩類等があげられ、これらを単独あるいは2種以上を併用して用いられる。充填剤としても特に限定するものではなく、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、炭酸マグネシウム、クレー等があげられ、これらを単独あるいは2種以上を併用して用いられる。
[実施例]
以下に本発明について実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
CTAB(セチルテトラアンモニウムブロマイド)値は、JIS K6217 第8項に記載の方法に準拠した。
【0030】
DBP吸油量は、JIS K6217 第9項A法に記載の方法に準拠した。
【0031】
24MDBP吸油量は、JIS K6217 第10項に記載の方法に準拠した。
【0032】
SA値は、JIS K6217 第7項D法に記載の方法に準拠した。
【0033】
ローラ硬度としては、アスカーC硬度計を用い500g荷重時のローラ硬度を測定した。
【0034】
ローラ電気抵抗は、導電性ローラの軸体に総圧1kgの荷重が掛かるように外径30mmのアルミニウム製のドラムに圧着した状態で、軸体とアルミドラムとの間に10Vの電圧を印加することによって測定した。
【0035】
実施例及び比較例に用いたファーネスカーボンブラックの物理化学特性を表1に示す。
【0036】
〈硬度〉
硬度は、マイクロ硬度計MD−1(高分子計器(株)社製)を用い導電性ローラの弾性体の硬度を測定した。
【0037】
〈ローラ電気抵抗〉
ローラ抵抗は、導電性ローラの軸体に総圧1kgの荷重が掛かるように外径30mmのアルミニウム製のドラムに圧着した状態で、軸体とアルミドラムとの間に20Vの電圧を印加することによって測定した。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例及び比較例のゴム組成物及び導電性ローラは、以下のようにして作製した。
【0040】
ゴム組成物の作製
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム[EPDM;商品名 EPT4070 三井化学(株)社製]100質量部、ファーネスカーボンブラック[A〜G]50質量部、酸化亜鉛[商品名 亜鉛華2種 白水テック(株)社製]5質量部、ステアリン酸[商品名 ステアリン酸S 花王(株)社製]1質量部、ケッチェンブラック[商品名 ケッチェンブラック600JD ケッチェンブラックインターナショナル(株)社製]5質量部、パラフィンオイル[商品名 ダイアナプロセスオイルPW−380 出光興産(株)社製]70質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)[商品名 ノクセラーM 大内振興化学工業(株)社製]2質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)[商品名 ノクセラーTRA 大内振興化学工業(株)社製] 1質量部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)[商品名 ノクセラーBZ 大内振興化学工業(株)社製]1質量部、イオウ[商品名 サルファックスPMC 鶴見化学工業(株)社製]2質量部を混錬りし未加硫のゴム組成物を作製した。
【0041】
(比較例4)
比較例2に対しファーネスカーボンブラック量を65質量部とした以外は比較例2と同様にして未加硫のゴム組成物を作製した。
【0042】
導電性ゴムローラの作製
次に、φ40mmのクロスヘッド 押出機を用いて前記未加硫のゴム組成物を押出すと同時に、連続的にホットメルト接着剤を塗布した外径がφ6mm、全長240mmの導電性軸体を押出機のクロスヘッドダイを通過させて、導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物を配置せしめローラ形状にした後、200℃で30分間熱風炉に投入して加硫を行い芯金上に導電性加硫ゴム層を形成した未研削のゴムローラを作製した。この成形体を、研磨砥石GC80を取り付けた研削機にセットし、研削条件として回転速度2000RPM、送り速度500m/分で外径をφ12mm(ゴム厚み3mm)になるように研磨し、導電性ゴムローラを作製した。
【0043】
実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2により明らかな通り実施例1〜3は、低硬度でありかつ導電性が高いものになっていることがわかる。これに対して、比較例1及び2は、硬度が同等ではあるが、導電性が低いものになっている。比較例3は、硬度もやや高く実施例に対し導電性も低いものであった。ファーネスカーボンブラック含有量を多くした硬度4は、導電性は高いものになっているがローラ硬度が高いものになっている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により低硬度でありながら導電性が高いローラが得られており、画像形成装置の分野における利用が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸体の外周上に少なくとも1層の導電性弾性層を有する導電性ローラにおいて、該導電性弾性層が、少なくとも下記(1)〜(3)
(1)CTAB値が100m/g〜170m/gであること
(2)DBP吸油量が110ml/100g〜170ml/100gの範囲にあり、24MDBP吸油量が110ml/100g以下であり、かつDBP吸油量−24MDBP吸油量が20〜60ml/100gであること
(3)NSA値−CTAB値が15〜100m/gであること
を満たすファーネスカーボンブラックを、ゴム成分100質量部に対し、20〜100質量部含有するゴム組成物からなることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
該ゴム成分がジエン系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンゴムを含有することを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
押出機を用いて未加硫の該ゴム組成物を押出すと同時に、連続的に該導電性軸体を該押出機のクロスヘッドダイを通過させて、該導電性軸体の外周上に未加硫のゴム組成物を配置せしめローラ形状にした後、加硫工程を経て製造されることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
該ゴム組成物において、該ゴム成分100質量部に対し、鉱物油が10〜120質量部含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項5】
該ゴム組成物において、該ゴム成分100質量部に対し、ケッチェンブラックが3〜12質量部含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項6】
該導電性弾性層が発泡ゴム化していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ローラ。

【公開番号】特開2006−171278(P2006−171278A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362678(P2004−362678)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】