説明

導電性被覆物を製造するための印刷可能組成物およびその製造方法

本発明は、カーボンナノチューブおよび少なくとも1つの水性処方物中におけるポリマー分散剤をベースとする導電性被覆物を製造するための印刷可能組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブおよび少なくとも1つの水性処方物中におけるポリマー分散剤をベースとする導電性印刷像の製造のためのインキおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性特性を有する表面は、商業的用途、例えば電気的スイッチング回路、センサーおよび加熱コイルの製造において広く分布している。
【0003】
配線は、種々の方法により表面に適用される。しかしながら、得られる導電性特性は、金属または半導体被覆物質をベースとすることが、既知の生成物に共通する。
【0004】
上記の生成物には通常、高度の分配が必要とされる。従って、大きな需要を低価格で満たすために、用いる材料および方法により、得られる成分を可能な限り低いコストで製造することを可能としなければならない。これを可能にする方法は、例えば導電性被覆物の製造のための通常のスクリーン印刷法である。
【0005】
上記の要件は、成分についての金属導体、とりわけ貴金属の使用により、幾つかの応用分野において、とりわけ価格の観点から不利であるという事実が生じる。つい最近知られるようになった用途は、例えばいわゆる「無線自動識別」タグ(省略のためRFIDタグ)である。これは、取り付けられる物体に関するデータの貯蔵および移動のために実質的に用いられる受動または能動導電性成分である。
【0006】
これに従って研究が行われ、2008年にヨーロッパのみにおいて、2600億の個々の生成物のうち、5%(すなわち130億)もの生成物にこれらの成分の1つが取り付けられていると言われている(報道発表、「Enorme Wachstumsraten fuer RFID−Markt in Europa(欧州におけるRFID市場についての莫大な成長速度)」、SOREON Research GmbH、フランクフルトアムマイン、2004年5月10日)。
【0007】
とりわけ、これらの生成物の多くについて、該成分が、生成物を用いた後に廃棄しなければならないパッケージに適用されることが考えられる。その結果、金属導体または半導体生成物は、完全に焼却処分することが困難であるので廃棄に不利である。他方、易燃性物質から主に構成される成分は、この点において有利である。これらの適当な例は、カーボンブラックもしくはグラファイト、または本発明に示される特別なカーボンナノチューブをベースとする導電性ペーストまたはインキである。
【0008】
被覆物の良好な導電性についての要件は、いずれの場合にも被覆物に用いる処方物における導電性粒子の微細分散およびその高い比導電率である。
【0009】
US2006/124028A1には、インクジェットプリンターに用いるためのカーボンナノチューブを用いるインキが上記の目的のために開示されている。該インキは、0.02〜0.07N/mの表面張力および25℃で0.001〜0.03Pa・秒の粘度を特徴とする。カーボンナノチューブの含有量は、0.1〜30重量%として広い制限内で開示されている。0.03Pa・秒までの粘度を有するインキは、スクリーン印刷に適していない。この目的のためには、1Pa・秒の大きさのオーダーの粘度が必要である。
【0010】
US2005/284232A1には、カーボンナノファイバーを含有する導電性被覆物が開示されている。該被覆物は、適切なインキが刷毛塗り、ロール法または噴霧法により塗布されることが意図される。該インキは、4〜12重量%のカーボンナノファイバーの含有量を、基材と同様のマトリックス、例えばウレタン、ポリイミド、シアン酸エステルおよび他の有機物中に有する。スクリーン印刷に関するパラメーター、例えば特定の基材上での表面張力または粘度等は開示されていない。粘度は、マトリックスを溶解させることにより低減させることができることが開示されている。
【0011】
WO2005/119772A2には、カーボンナノチューブを含むインキが開示され、用いるカーボンナノチューブは、20nm未満の外径を有し、≦10重量%の濃度で用いられる。後処理温度は、75℃を越えると開示され、これは少なくとも10分間継続することとなる。さらに、例えばスクリーン印刷に用いるためのインキの組成物が開示され、これは、とりわけ得られる処方物中に分散体をもたらすかまたは得るために、セルロースの誘導体を用いる。該インキの得られる表面抵抗は、開示による後処理後に最大10kΩ/mである。
【0012】
WO2005/029528A1には、カーボンナノチューブを含むインキまたはペーストが開示され、これは、電極を製造する目的のための種々の印刷技術(例えばスクリーン印刷)により表面に適用される。開示のインキは、カーボンナノチューブと無機補助剤とを含む水性処方物、またはカーボンナノチューブとポリマー有機補助剤とを含む有機溶媒中における処方物のいずれかである。用いるカーボンナノチューブは、当業者に通常既知の種類である。粘度、表面張力および導電性についてのインキの物理特性は、開示されていない。開示のインキは、有機溶媒中に存在し、従って潜在的に環境上の危険性を有するか、またはこれが非導電性であり、また、後処理の過程において容易に除去されない無機補助剤、例えばAlまたはSiO等を含むかのいずれかであるので不利である。従って、印刷像の導電性がこれらの補助剤を有さないインキと比べて不利であるとみなすことができる。
【0013】
上記の先行技術では、円筒型のカーボンナノチューブが常にインキの製造に用いられる。これらのカーボンナノチューブは、例えばIjimaによる出版物(出版物:S.Ijima、Nature 354、第56〜58頁、1991年)に記載の、単一壁(いわゆる「単一壁カーボンナノチューブ」−SWNT−)または多壁(いわゆる「多壁カーボンナノチューブ」−MWNT−)カーボンナノチューブのいずれかの構造である。これらの既知のカーボンナノチューブは、同心円上に配置された1以上の閉じたグラフェン層がナノチューブの構造の基礎を形成するカーボンチューブの構造を含むことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/124028号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/284232号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/119772号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/029528号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】「Enorme Wachstumsraten fuer RFID−Markt in Europa」、SOREON Research GmbH、フランクフルトアムマイン、2004年5月10日
【非特許文献2】S.Ijima、「Nature 354」、第56〜58頁、1991年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、工業規模の印刷法、例えばスクリーン印刷等に極めて適当であり、先行技術に比べ向上した導電性を有し、かつ環境に優しい、特別なカーボンナノチューブを含むインキを提供するという課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
意外にも、上記の課題は、堆積に集まり、および巻き上がった幾つかのグラフェン層(マルチスクロール型)のこれまでに記載されていない内部構造を有する特別なカーボンナノチューブの特定の割合を含有し、および少なくとも1つの水性処方物中におけるポリマー分散剤の割合を含む、導電性印刷像の製造のためのインキにより達成することができることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、カーボンナノチューブの少なくとも5分の1が、堆積に集まり、および巻き上がった幾つかのグラフェン層(マルチスクロール型)を有する分子構造を有するカーボンナノチューブから構成されることを特徴とする、カーボンナノチューブおよび少なくとも1つの水性処方物中におけるポリマー分散剤をベースとする導電性被覆物の製造のための印刷可能組成物を提供する。
【0019】
本発明では、用語印刷像とは、通常既知の印刷技術により表面に適用されている表面上の構造のことである。従って、印刷像として、印刷技術により表面に塗布されている配線が挙げられる。従って、該用語は、創造的側面に関して制限的な方法で理解されるべきではない。
【0020】
マルチスクロール型の特別なカーボンナノチューブとは、例えば公式な出願番号102007044031.8を有する未だ未公開の独国特許出願により供されるカーボンナノチューブおよびその凝集体のことである。カーボンナノチューブおよびその製造についてのその内容は、本出願の開示内容においてここに含まれる。マルチスクロール型の特別なカーボンナノチューブは、それ自体既知の他の種類のカーボンナノチューブ、すなわち単一壁CNTおよび/または多壁CNTとの混合物に用いることができる。
【0021】
既知のCNT構造とは違い、断面から見たこれらの特別なカーボンナノチューブにおける個々のグラフェンまたはグラファイト層は、カーボンナノチューブの中心から外縁に途切れることなく連続的に続く。これにより、既知のカーボンナノチューブと比べてより開放した端部を挿入のための入り口帯として利用することができるので、例えば向上したおよびより急速な他の物質の挿入が管構造中において可能となる。
【0022】
意外にも、これらの特性の結果、ポリマー分散剤と組み合わせて、得られるインキの良好な分散性および均一性が達成される。また、以下、用語インキを、用語印刷可能組成物の代わりに簡略のために用いる。
【0023】
カーボンナノチューブは、処理形態または未処理形態で本発明によるインキ中に存在し得る。カーボンナノチューブが処理されている場合には、カーボンナノチューブは好ましくは、酸化剤により予め処理されている。酸化剤は好ましくは、硝酸および/または過酸化水素であり、酸化剤は特に好ましくは過酸化水素である。
【0024】
長さと外径との比が5を越える、好ましくは100を越えるカーボンナノチューブを有する組成物が好ましい。
【0025】
この場合、用いるカーボンナノチューブは好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nm、さらに特に好ましくは6〜60nmの平均外径を有する。
【0026】
特別なカーボンナノチューブは通常、少なくとも部分的に凝集体として本発明によるインキ中に存在する。好ましくは、15ナンバーパーセント未満のカーボンナノチューブが凝集体として存在する。特に好ましくは5ナンバーパーセント未満のカーボンナノチューブが凝集体として存在する。
【0027】
カーボンナノチューブが、凝集体として存在する場合には、これらは実質的には好ましくは≦5μm、特に好ましくは≦3の直径を有する。さらに特に好ましくは、凝集体直径は≦2μmである。
【0028】
最も小さい可能性のある凝集体の一部は、結果として、インキの粘度および導電性の物理的特性並びにその加工性が本発明に従って用いた場合に向上するので有利である。粗くかつ非常に多くの凝集体は、特定の状況下で印刷中に印刷設備の目詰まりを生じさせ得る。さらに、粗くかつ非常に多くの凝集体は、高い導電性を有する印刷像の領域を生じさせ得るが、一方、他の領域は導電性を有さないか、またはわずかに低い導電性を有する。電気配線の合成抵抗は、個々の抵抗の直列接続から得られることが当業者に通常既知であり、従って、全配線の抵抗は、このような不均一な抵抗分布が非常に多くかつ非常に粗い凝集体により生じる場合に不都合なほどに高い。
【0029】
カーボンナノチューブの好ましい長さと外径との比および平均外径は、存在する凝集体中において密接な接触と共に、得られる導電性層の良好なパーコレーションを可能とするので、得られるインキの高い比導電率を確実とする。
【0030】
インキ中におけるカーボンナノチューブの割合は通常、0.1重量%〜15重量%である。インキ中におけるカーボンナノチューブの割合は好ましくは、0.1重量%〜10重量%である。
【0031】
カーボンナノチューブのより低い割合は、得られるインキを非常に低い粘度にし、従って、場合によっては、もはや高いスループットの印刷法、例えばスクリーン印刷に適していない。カーボンナノチューブの高い割合は、印刷法に用いるべきインキにとってなお重要であると思われる水準を超えて粘度を増加させる。
【0032】
本発明では、水性処方物とは、溶媒が主に水からなる組成物のことであり、インキは好ましくは50重量%を越えて含有する。インキは特に好ましくは少なくとも水80重量%を含有する。
【0033】
溶媒として高い含有量の水は、インキが、印刷工程および塗布後のいずれにおいても、溶媒について工業衛生学の観点から許容できることを意味するので有利である。
【0034】
少なくとも1つのポリマー分散剤は通常、以下の系列から選択される少なくとも1つの剤である:水溶性ホモポリマー、水溶性ランダムコポリマー、水溶性ブロックコポリマー、水溶性グラフトポリマー、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、ゼラチン、ゼラチン誘導体、アミノ酸ポリマー、ポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリアクリレート、ポリエチレンスルホネート、ポリスチレンスルホネート、ポリメタクリレート、ポリスルホン酸、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの濃縮生成物、ナフタレンスルホネート、リグニンスルホネート、アクリル酸モノマーのコポリマー、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ(2−ビニルピリジン)、ブロックコポリマー、ポリスチレンブロックを有するブロックコポリエーテルならびにポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド。
【0035】
少なくとも1つのポリマー分散剤は好ましくは、以下の系列から選択される少なくとも1つの剤である:ポリビニルピロリドン、ブロックコポリエーテルおよびポリスチレンブロックを有するブロックコポリエーテル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシメチルプロピルセルロース、ゼラチン、ゼラチン誘導体およびポリスルホン酸。
【0036】
さらに特に好ましくは、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリスチレンブロックを有するブロックコポリマーをポリマー分散剤として用いる。特に適当なポリビニルピロリドンは、5000〜400000の範囲の分子量Mを有する。適当な例は、FlukaからのPVP K15(分子量約10000amu)またはFlukaからのPVP K90(分子量約360000amu)または乾燥分散剤を基準としてCポリエーテル62重量%、Cポリエーテル23重量%およびポリスチレン15重量%を有し、7:2単位のCポリエーテルとCポリエーテルとのブロック長の比を有する、ポリスチレンブロックを有するブロックコポリマー(例えばBYK−Chemie(ウェーゼル)からのDisperbyk 190)である。
【0037】
少なくとも1つのポリマー分散剤は、0.01重量%〜10重量の割合で、好ましくは0.1重量%〜7重量%の割合で、特に好ましくは0.5重量%〜5重量%の割合で有利に存在する。
【0038】
通常用いる好ましいポリマー分散剤は、カーボンナノチューブの適当な分散を支援することに加えて、本発明によるインキの粘度の調節、並びに表面張力およびそれぞれの基材へのインキの皮膜形成および接着の調節を可能とするので、特に記載した割合において有利である。
【0039】
本発明によるインキは通常、少なくとも0.5Pa秒、好ましくは1〜200Pa秒の動的粘度を有する。
【0040】
インキの粘度は、インキを高スループット印刷法、例えばスクリーン印刷等における使用に特に適するようにする。非常に低い粘度を有する組成物は通常、水性インキ処方物が適用される表面上のインキのたるみを生じさせ、従って、乏しい印刷像を生じさせる。これは、スイッチング回路のための電気配線の印刷に特に重要である。
【0041】
新規なインキの好ましい発展では、少なくとも1つのポリマー分散剤に加えて、インキに少なくとも1つの導電性塩を含ませることもできる。
【0042】
この場合、少なくとも1つの導電性塩は好ましくは、カチオンを有する塩のリストから選択される:テトラアルキルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、テトラアルキルホスホニウム、およびアニオンとしてより複雑な無機イオン、例えばテトラフルオロホウ酸塩等による簡単なハライドから大きな有機イオン、例えばトリフルオロメタンスルホンイミド等まで種々のイオンを用いる。
【0043】
少なくとも1つの導電性塩の本発明によるインキへの添加は、これらの塩がごくわずかな蒸気圧を有し、導電性であるので有利である。従って、該塩は、高温にて減圧下でさえ被膜形成剤および導電性剤として利用可能である。従って、とりわけ実施する印刷法では、印刷像のたるみの防止を可能とすることができる。
【0044】
新規なインキの他の発展では、インキは、カーボンナノチューブおよびポリマー分散剤の割合と共にカーボンブラックの割合をさらに含み得る。
【0045】
本発明では、カーボンブラックとは、グラファイト形態またはアモルファス形態での元素炭素の微細な粒子のことである。微細粒子は、本発明では、1μm以下の平均径を有する粒子である。
【0046】
発展によりカーボンブラックを本発明によるインキに添加する場合には、カーボンブラックは好ましくは、名称Printex(登録商標)PEとしてEVONICから得られるカーボンブラックである。
【0047】
カーボンブラックのインキへの一部の添加は、粘度をほんのわずかに上昇させて、該インキから得られる印刷像の導電性を、カーボンナノチューブ間の潜在的ボイドをカーボンブラックで充填し、その結果、カーボンナノチューブ間の導電接続を確立し、従って印刷像の導電性断面を増加させることによりさらに増加させることができるので有利である。
【0048】
本発明はまた、少なくとも以下の工程:
a)任意に、カーボンナノチューブを酸価前処理する工程、
b)ポリマー分散剤を水性溶媒中に溶解し、カーボンナノチューブを得られる溶液中に投入および分散することにより水性予備分散体を製造する工程、
c)少なくとも10J/m、好ましくは10J/m、特に好ましくは10〜10J/mの体積系エネルギー密度を予備分散体に、カーボンナノチューブ凝集体の凝集体径が実質的に≦5μm、好ましくは≦3、特に好ましくは≦2となるまで入力する工程
を含むことを特徴とする、水性処方物中においてカーボンナノチューブおよび少なくとも1つのポリマー分散剤をベースとする導電性被覆物の製造用の印刷可能組成物の製造のための方法を提供する。
【0049】
カーボンナノチューブの前処理を、本発明による方法の工程a)により行う場合には、好ましくは、前処理は通常、酸化剤で処理することにより行う。
【0050】
酸化剤による前処理は、好ましくは、カーボンナノチューブを酸化剤の5〜10重量%水溶液中に分散させ、次いでカーボンナノチューブを酸化剤から分離し、次いで乾燥させることにより有利に行う。分散は、酸化剤中において、通常、1〜12時間行う。カーボンナノチューブは、好ましくは2時間〜6時間、特に好ましくは約4時間、酸化剤中に分散させる。カーボンナノチューブの酸化剤からの分離は、通常、沈殿により行う。分離は、好ましくは、地球の重力下での沈殿により、または遠心分離器中における沈殿により行う。カーボンナノチューブの乾燥は通常、周囲空気中で、60℃〜140℃の温度、好ましくは80℃〜100℃の温度で行う。
【0051】
酸化剤は通常、硝酸および/または過酸化水素であり、酸化剤は好ましくは過酸化水素である。
【0052】
新規な方法の工程b)による水性予備分散体の調製は、少なくとも1つのポリマー分散剤を初期投入の水に溶解し、次いでカーボンナノチューブを添加することにより有利に行う。
【0053】
本発明の好ましい発展によれば、好ましくは系列:C〜Cアルコール、特にC〜Cアルコール、エーテル、特にジオキサラン、およびケトン、特にアセトンから選択される有機溶媒を水に添加することもできる。
【0054】
新規なインキの好ましい発展によれば、カーボンブラックおよび/または導電性塩を新規な方法の工程b)において添加することも可能である。
【0055】
カーボンナノチューブの添加は、少なくとも1つのポリマー分散剤と共にまたは連続して行うことができる。好ましくは、少なくとも1つのポリマー分散剤をまず添加し、次いでカーボンナノチューブをバッチに添加する。特に好ましくは、少なくとも1つの分散剤の添加、および引き続くカーボンナノチューブのバッチにおける添加を、撹拌および/または超音波処理しながら行う。
【0056】
新規なインキの好ましい発展によれば、上記のインキが導電性塩および/またはカーボンブラックを含む場合には、好ましくは、カーボンブラックは同様にカーボンナノチューブと共に添加し、および/または導電性塩は同様に少なくとも1つのポリマー分散剤と共に添加する。
【0057】
予備分散体の調製のための撹拌および/または超音波を伴う連続的およびバッチ式のカーボンナノチューブの添加は、カーボンナノチューブの分散が向上した完成インキを得ることが可能となるので有利であり、カーボンナノチューブは、沈殿に対して安定性である形態で存在し、従って本発明による工程c)に従って必要とされる予備分散体へのエネルギーの入力を低減させることができる。
【0058】
本発明による方法の工程b)の好ましい発展によれば、少なくとも1つのポリマー分散剤の添加およびカーボンナノチューブの添加後に、少なくとも1つの導電性塩も添加する。
【0059】
特に好ましくは、例えばせん断エネルギーの形態での、新規な方法の工程c)による予備分散体への体積系エネルギー密度の入力は、予備分散体をホモジナイザーへ少なくとも1回通過させることにより行う。該方法では、体積系エネルギー密度を、例えばノズル開口部の領域において予備分散体中に導入することができる。当業者に既知の全ての実施態様、例えば高圧ホモジナイザーは、ホモジナイザーとして適当である。特に適当な高圧ホモジナイザーは原理上、例えば文献Chemie Ingenieur Technik、第77巻、第3版(第258〜262頁)から既知である。特に好ましいホモジナイザーは、高圧ホモジナイザーであり、さらに特に好ましい高圧ホモジナイザーは、ジェット分散機、ギャップホモジナイザーおよびMicrofluidizer(登録商標)型の高圧ホモジナイザーである。
【0060】
好ましくは、予備分散体は、ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーを少なくとも2回通過させる。特に好ましくは、予備分散体は、少なくとも3回、ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーを通過させる。
【0061】
ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーの多重通過は、任意の残存するカーボンナノチューブの粗い凝集体を上記の方法により粉砕し、その結果、インキを物理特性、例えば粘度および導電性等にいおいて向上させるので有利である。入力圧を調節すること、およびホモジナイザーのギャップ幅の自動的に得られる調節により、任意の残存する凝集体の最大サイズは、目標とした方法により影響を受けることがある。
【0062】
上記の経済最適は、インキのカーボンナノチューブの15ナンバーパーセント未満が≦10μmの凝集体としてなお存在する場合に得られるが、これは予備分散体のホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーへの3回の通過にほぼ相当する。
【0063】
ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーは、通常、ジェット分散機またはギャップホモジナイザーであり、これは少なくとも50barの入力圧および自動的に調節されたギャップ幅で操作する。
【0064】
ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーは、1000barの入力圧および自動的に調節されたギャップ幅で好ましく操作する。さらに特に好ましくは、Micronlab型の高圧ホモジナイザーである。
【0065】
新規な方法の工程b)およびc)の同様に好ましい別の実施態様は、3本ロールミル中における予備分散体の処理を提供する。
【0066】
好ましい方法は、予備分散体b)の調製およびせん断エネルギーc)の入力を、回転ロールを有する3本ロールミル中における予備分散体の処理により行い、少なくとも以下の工程:
b1)カーボンナノチューブを溶液中に予備分散し、粗い凝集体を粉砕し、水性溶媒中におけるポリマー分散剤の溶液を、カーボンナノチューブと共に、第1ロールおよび異なった回転の速度を有する第2ロールの間の第1ギャップ中に導入する工程、
b2)前記予備分散体を、工程b1)から第2ロールおよび異なった回転の速度を有する第3ロールの間の第2ギャップへ輸送し、該予備分散体を輸送中にロール表面に少なくとも部分的に接着させる工程、
c1)前記分散体中におけるカーボンナノチューブ凝集体を実質的に≦5μm、好ましくは≦3μm、特に好ましくは≦2μmの直径に粉砕する、予備分散体を第2ギャップ中へ導入する工程、
c2)完成分散体を第3ロールのロール表面から取り出す工程
を含んでなる。
【0067】
本発明による方法の別の実施態様は好ましくは、第1ロールと第2ロールとの回転の速度の比および第2ロールと第3ロールとの回転の速度の比が、互いに独立して少なくとも1:2、好ましくは少なくとも1:3であるように操作する。
【0068】
第1ロールと第2ロールとの間および第2ロールと第3ロールとの間のギャップの幅は、同じであってもまたは異なっていてもよい。好ましくは、ギャップ幅は同じである。特に好ましくは、ギャップ幅は、同じかつ10μm以下、好ましくは5μm未満、特に好ましくは3μm未満である。
【0069】
新規な方法の別の工程b)およびc)を行うことは、同じ直径のロールの回転の異なった速度により、カーボンナノチューブの良好な分散を可能とする高剪断速度が第1ギャップおよび第2ギャップ中に得られるので特に有利である。とりわけ、好ましい同様に小さいギャップ幅との組み合わせでは、結果が極めて有利である。工程c)の別の実施態様により、凝集体の少ない割合および小さい凝集体のサイズを有するインキを得ることが可能である。好ましい実施態様では、ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザー中におけるギャップの調節は、3本ロールミル中のロール間のギャップの調節に相当するように入力圧を調節することにより調節する。好ましい実施態様では、3本ロールミルにおいて2つのギャップを通過させることは、ホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザーにおける2回の通過により大体対応させることができる。
【0070】
本発明による方法およびその好ましい別の実施態様により得られた本発明によるインキは、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、または一般的に知られている同様の導電性印刷像の製造のための高スループット法に用いるのに特に適している。
【0071】
本発明はまた、本発明による組成物を、特にスクリーン印刷またはオフセット印刷により表面へ印刷し、および溶媒を除去することにより得られる導電性被覆物を提供する。
【0072】
本発明はまた、本発明による組成物から得られる被覆物を示す非導電性または低導電性材料(10オーム・m未満の表面抵抗)の表面を有する物品を提供する。
【0073】
本発明によるインキの使用の発展では、インキの導電性印刷像は必要に応じて後処理することができる。
【0074】
印刷インキの熱後処理はその使用において好ましくは、室温(23℃)〜150℃、好ましくは30℃〜140℃、特に好ましくは40℃〜80℃の温度で乾燥させることにより行う。
【0075】
熱後処理は、本発明によるインキの基材への接着をそれにより向上させることができ、印刷インキをそれによりスラーに対して固定することができる場合に有利である。
【0076】
本発明によるインキおよびその好ましい発展の印刷像の良好な導電性に加えて、新規なインキはまた、他の用途について有利であり得る他の特性を有する。
【0077】
例えば、カーボンナノチューブならびに本発明に用いる特別なカーボンナノチューブの物質の群は、特に高い強度を有することが一般的に知られている。従って、本発明によるインキを用いて、表面にインキを塗布することにより、表面上に特別なカーボンナノチューブの正の機械的特性を少なくとも部分的に移すことが考えられる。
【0078】
さらに、例えば公式出願番号102007044031.8を有する未だ未公開の独国特許出願の開示により得られるカーボンナノチューブは、特別な長さと直径との比(いわゆるアスペクト比)を特徴とする。本発明によるインキについて、カーボンナノチューブが応力の方向に沿ってそれ自体整列する場合、カーボンナノチューブが互いの接触を失うことなく、従って印刷像が導電性を失うことなく、得られた印刷像を、変形応力の形態で(例えば、表面がポリマー材料から構成される場合、熱成形により)さらなる機械的荷重に暴露する可能性が生じる。
【0079】
以下の実施例は、例となる説明として働き、本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0080】
実施例1:(触媒の調製)
0.306kgのMg(NO・6HOの水(0.35リットル)中における溶液を、0.36kgのAl(NO・9HOの0.35Lの水中における溶液と混合した。次いで、それぞれ0.5Lの水に溶解した0.17kgのMn(NO・4HOおよび0.194kgのCO(NO・6HOを添加し、全混合物を、硝酸を添加することにより30分間撹拌しながら約2のpH値にした。該溶液の流れを、20.6重量%水酸化ナトリウム溶液と1.9:1の比でミキサー中において混合し、得られる懸濁液を水5Lの装填物に添加した。該装填物のpH値を、水酸化ナトリウム溶液の添加を制御することにより約10で保持した。
【0081】
沈殿固体を、懸濁液から分離し、数回洗浄した。次いで、洗浄固体を16時間以内にパドル乾燥機中で乾燥した。該乾燥機の温度は、周囲温度から160℃に最初の8時間以内に上昇させた。次いで、固体を実験室ミル中において50μmの平均粒度に粉砕し、粒度30μm〜100μmの範囲の中間部分を取り出して、引き続く焼成を容易にし、特に流動床中における流動性を向上させ、高い生成物収率を得た。次いで、固体を12時間オーブン中で500℃にて空気を流入させて焼成し、次いで24時間冷却した。次いで、触媒物質をさらに7日間、室温での後酸化のために置いたままにした。合計121.3gの触媒物質を単離した。
【0082】
実施例2:(CNTの流動床における調製)
実施例1において調製した触媒を、流動床装置中において実験室規模で試験した。このために、規定量の触媒を伝熱媒体により外部的に加熱した100mmの内径を有する鋼製反応器中に置いた。流動床の温度は、電気的に加熱した伝熱媒体のPID制御により調節した。流動床の温度は、熱電素子により決定した。出発ガスおよび不活性希釈ガスを、電気的に制御した質量流調節器を用いて反応器中に供給した。
【0083】
まず、反応器を窒素で不活性にし、650℃の温度にまで加熱した。次いで、24gの量の実施例1による触媒1を計量投入した。
【0084】
次いで、出発ガスをエタンおよび窒素の混合物としてすぐに切り替えた。出発ガス混合物の体積比は、エタン:N=90:10であった。全体積流を40LN・分−1に調節した。出発ガスの通過は触媒上で33分間行った。次いで、ラン反応を、出発生成物供給を遮断することにより停止し、反応器内容物を取り出した。
【0085】
実施例3:
25gの実施例2に従って調製したカーボンナノチューブを水250g中に初期投入した。室温で、334gの10%Hをこれに液滴状に1.15時間以内に添加した。わずかなガスの生成が起こり、温度は29℃に上昇した。次いで、該混合物をさらに4時間室温で撹拌し、カーボンナノチューブが沈むように終夜置いたままにした。次いで、上澄みを移した。沈降カーボンナノチューブを2回水で洗浄し、次いで60℃で一定質量に達するまで乾燥した。凝集体は、該予備分散後、200μmより小さかった。
【0086】
毎回0.5gの酸化カーボンナノチューブを10回、95gの2%水性PVP40溶液(SIGMA−ALDRICH製)中に、3分間、毎回超音波フィンガー(G. Heinemann、Ultraschall und Labortechnik)を用いて30%の最大出力の振幅で分散した。次いで、全分散液をさらに6分間超音波フィンガー(40%振幅)により処理した。該試料を、高圧ホモジナイザー(Gaulin Micron Lab、AVP Gaulin GmbH)を用いて、3回通過により1000バール圧で処理し、さらなる分散のために毎回1000バールの圧力差で処理した。該粒子は、この分散後、3μmより小さかった。分散体の粘度は、1/秒のせん断速度で2.68Pa・秒であった。
【0087】
得られるペーストを、スクリーン(Heinen、Cologne−Pulheim)によりポリカーボネート(Macrolon(登録商標) Bayer Material Science AG)上に塗布し、室温で乾燥した。次いで、得られた印刷像の導電性を決定する。これは3×10S/mである。
【0088】
透過電子顕微鏡下での被覆物の写真は、カーボンナノチューブの凝集体が1μm未満の直径を有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブおよび少なくとも1つの水性処方物中におけるポリマー分散剤をベースとする導電性被覆物の製造のための印刷可能組成物であって、該カーボンナノチューブの少なくとも5分の1が、堆積に集まり、および巻き上がった幾つかのグラフェン層を有する分子構造を有するカーボンナノチューブから構成されること特徴とする、印刷可能組成物。
【請求項2】
カーボンナノチューブは、5を越える、好ましくは100を越える長さと外径との比を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カーボンナノチューブは、3〜100nm、好ましくは5〜80nm、特に好ましくは6〜60nmの平均外径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
カーボンナノチューブは、組成物中に少なくとも部分的に凝集体として存在し、該凝集体径は実質的に、5μm未満、好ましくは3μm未満、特に好ましくは2μm未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
全てのカーボンナノチューブの割合は、組成物中において0.1重量%〜15重量%、好ましくは5重量%〜10重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
カーボンナノチューブは、特にHNOおよび/またはHにより、好ましくはHにより酸化前処理されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
ポリマー分散剤は、水溶性ホモポリマー、水溶性ランダムコポリマー、水溶性ブロックコポリマー、水溶性グラフトポリマー、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、ゼラチン、ゼラチン誘導体、アミノ酸ポリマー、ポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリアクリレート、ポリエチレンスルホネート、ポリスチレンスルホネート、ポリメタクリレート、ポリスルホン酸、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの濃縮生成物、ナフタレンスルホネート、リグニンスルホネート、アクリル酸モノマーのコポリマー、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ(2−ビニルピリジン)、ブロックコポリマー、ポリスチレンブロックを有するブロックコポリエーテルならびにポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドの系列から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
ポリマー分散剤の割合は組成物中において、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜7重量%、特に好ましくは0.5重量%〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
有機溶媒、好ましくはアルコール、エーテル、ケトンおよびジオキサランが添加されてよい、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
組成物は、0.5Pa・秒、好ましくは1〜200Pa・秒の動的粘度を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
カーボンナノチューブおよび少なくとも1つの水性処方物中におけるポリマー分散剤をベースとする導電性被覆物の製造用の印刷可能組成物、特に請求項1〜9のいずかに記載の印刷可能組成物の製造方法であって、少なくとも以下の工程:
a)任意に、カーボンナノチューブを酸価前処理する工程、
b)ポリマー分散剤を水性溶媒中に溶解し、カーボンナノチューブを得られる溶液中に投入および分散することにより水性予備分散体を製造する工程、
c)少なくとも10J/m、好ましくは10J/m、特に好ましくは10〜10J/mの体積系エネルギー密度を予備分散体に、カーボンナノチューブ凝集体の凝集体径が実質的に≦5μm、好ましくは≦3、特に好ましくは≦2となるまで入力する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
酸化前処理を、HNOおよび/またはHにより、好ましくはHにより行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
体積系エネルギー密度の入力を、予備分散体をホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザー、とりわけジェット分散機またはギャップホモジナイザーへ通過させることにより行い、体積系エネルギー密度を予備分散体中にノズル開口部の領域において導入することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
予備分散体をホモジナイザー、好ましくは高圧ホモジナイザー、特にジェット分散機またはギャップホモジナイザーへ通過させることを少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回行うことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
予備分散体b)の調製およびせん断エネルギーc)の入力を、予備分散体を回転ロールを有する3本ロールミル中で処理することにより行うことを特徴とする、請求項11または12に記載の方法であって、少なくとも以下の工程:
b1)水性溶媒中におけるポリマー分散剤の溶液をカーボンナノチューブと共に第1ロール及び異なった回転の速度を有する第2ロールの間の第1ギャップに導入し、カーボンナノチューブを溶液中に予備分散し、粗い凝集体を粉砕する工程、
b2)前記予備分散体を、工程b1)から第2ロールおよび異なった回転の速度を有する第3ロールの間の第2ギャップへ輸送し、該予備分散体を輸送中にロール表面に少なくとも部分的に接着させる工程、
c1)前記分散体中におけるカーボンナノチューブ凝集体を実質的に≦5μm、好ましくは≦3μm、特に好ましくは≦2μmの直径に粉砕する、予備分散体を第2ギャップ中へ導入する工程、
c2)完成分散体を第3ロールのロール表面から取り出す工程
を含む、前記方法。
【請求項16】
第1ロールおよび第2ロールの間のギャップの幅および第2ロールおよび第3ロールの間のギャップの幅は、互いに独立して、10μm未満、好ましくは5μm未満、特に好ましくは3μm未満であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1ロールおよび第2ロールの回転の速度の比および第2ロールおよび第3ロールの回転の速度の比は、互いに独立して、少なくとも1:2、好ましくは少なくとも1:3であることを特徴とする、請求項15または16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
導電性印刷像の製造のための高スループット印刷法、特にスクリーン印刷法またはオフセット印刷法における請求項1〜10のいずれかに記載の印刷可能組成物の使用。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれかに記載の組成物を、特にスクリーン印刷またはオフセット印刷により表面上に印刷し、および溶媒を除去することにより得られる導電性被覆物。
【請求項20】
請求項19に記載の被覆物を有する非導電性または低導電性物質の物品。

【公表番号】特表2011−517009(P2011−517009A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546252(P2010−546252)
【出願日】平成21年2月7日(2009.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000870
【国際公開番号】WO2009/100865
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】