小型高出力オルタネータ
【課題】小型高出力永久磁石オルタネータの提供。
【解決手段】オルタネータ102のロータ208は、円筒形ケーシング234と、該円筒形ケーシング234上に配置された所定数の永久磁石236とを含み、該円筒形ケーシング234の軸を中心として回転するように構成されている。ステータ210は、コア244と、複数組の導電巻線280とを含む。前記導電巻線280の各組に対応して集電体138がそれぞれ設けられ、各組の個別導電巻線280は、その対応する集電体138に電気的に接続されている。各集電体138は、冷媒をステータの巻線に接触させるように導く冷媒流路に配置され、互いに電気的に絶縁されるとともに、互いに及び巻線から離間されている。連続したリング状及び複数の円弧状の集電体138が開示されている。
【解決手段】オルタネータ102のロータ208は、円筒形ケーシング234と、該円筒形ケーシング234上に配置された所定数の永久磁石236とを含み、該円筒形ケーシング234の軸を中心として回転するように構成されている。ステータ210は、コア244と、複数組の導電巻線280とを含む。前記導電巻線280の各組に対応して集電体138がそれぞれ設けられ、各組の個別導電巻線280は、その対応する集電体138に電気的に接続されている。各集電体138は、冷媒をステータの巻線に接触させるように導く冷媒流路に配置され、互いに電気的に絶縁されるとともに、互いに及び巻線から離間されている。連続したリング状及び複数の円弧状の集電体138が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互関連出願]
本出願は、チャールズ・ワイ・ラフォンテーヌらの名義で2006年2月22日付で出願された米国仮特許出願第60/775,904号の優先権を主張する。また、本出願は、米国仮特許出願第60/649,720号の優先権を主張する2006年2月2日付の米国特許出願第11/347,777号の継続出願であり、その優先権を主張する。これら全ての先行出願の全体を、あらゆる目的のため、参照によって本明細書中に組み込むものである。
【0002】
[技術分野]
本発明は、例えば、ブラシレス交流発電機のような、機械的なエネルギーと電気的なエネルギーとの変換を行う機器のための電圧及び電流制御システムに関し、特に、小型高出力永久磁石オルタネータ、例えば自動車用に適した小型高出力永久磁石オルタネータ用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
オルタネータは通常、回転するシャフトに取り付けられ、静止したステータに対して同心円上に配置されるロータを備える。ロータは通常、ステータの内部に配置される。しかし、ステータがロータの内部に同心円状に配置されていても良い。回転部材は通常、モータやタービン等の外部エネルギー源によって、直接又はプーリベルト等の中間システムを介して駆動される。ステータ及びロータはそれぞれ、一連の極を有している。ロータとステータのいずれか一方が磁界を発生し、発生した磁界は、他方の構造体の極の巻線と相互作用する。磁界が巻線と交差すると電界が発生し、この電界は適当な負荷に供給される。誘導電界(これは一般に、電圧源として知られている)は通常、整流器を通され、場合によっては調整された後に、直流出力源として提供される。誘導電流は通常、整流器を通され、場合によっては調整された後に、直流出力源として提供される。場合によっては、調整された直流出力信号は、DC−ACインバータを通され、交流出力として提供される。
【0004】
従来、自動車用途に用いられるオルタネータは通常、エンジンの外側に取り付けられたハウジングと、ハウジングに収容された3相巻線を有するステータと、ステータ内部でハウジング内に回転可能に支持された、ベルト駆動クローポール型(例えばランデル型)ロータとを備える。しかしながら、従来型のオルタネータにおいて出力を増加させるためには、そのサイズを大幅に大きくしなければならない。従って、車輌内におけるスペースの制約により、このようなオルタネータを、空調設備や冷凍設備や通信機器への電力供給用途といった高出力(例えば5KW)用途に用いることは困難となりがちである。
【0005】
更に、巻線を備えたクローポール型ロータは比較的重く(往々にしてオルタネータの総重量の4分の3程度を占める)、慣性が大きい。実際、この慣性は、エンジンが加速される際に常にエンジンに対する負荷となる。このことは、エンジン効率の低下につながりやすく、余分な燃料消費の原因となる。また、この慣性は、電気又はハイブリット車輌等の用途において問題となる可能性がある。ハイブリット車輌においては、速度が所定の閾値、例えば30Kph(通常、ガソリンエンジンの最も効率の良いRPM領域に対応する)より上である場合には、ガソリンエンジンを車輌の推進用に用いる。同様に、所謂「マイルドハイブリッド」においては、運転者がアクセルペダルを押し下げた際の初期駆動推進力を提供するのにスタータ・ジェネレータが用いられており、車輌が運行時に停車する際に、燃料を節約し排気を削減するためにエンジンを停止させやすくなっている。通常、このようなマイルドハイブリッドシステムにおいては、高電圧(例えば42ボルト)電気システムの使用が検討されている。このようなシステムにおけるオルタネータは、特に渋滞時において、連続する停車の合間にスタータ・ジェネレータを駆動して初期駆動推進力を提供するのに十分なレベルまでバッテリを充電可能であることが必要とされる。従って、比較的高出力で低慣性なオルタネータが必要とされている。
【0006】
一般に、車輌内の制御・駆動システムや、空調およびその他の機器を作動させるために、更に多くの電力が必要とされている。このことは、特にレジャー車輌や、冷凍車輌等の産業輸送用車輌や、建設用車輌や、軍事用車輌において当てはまる。
【0007】
例えば、自動車業界においては、機械式又は油圧式の制御・駆動システムではなく電気式のインテリジェント制御・駆動システムを使用し、車輌のエンジンに対する負荷を低減し燃費を向上しようという動きがある。このようなシステムは、例えば、ステアリングサーボ(通常、ステアリング補正が必要な場合にのみアクティブとなる)、ショックアブソーバ(フィードバックを利用し、ショックアブソーバの硬さを道路や速度状況に合わせ調整する)、及び空調装置(コンプレッサを、温度を一定に保つために必要な最低限の速度で動かす)と共に用いることができる。このような電気式制御・駆動システムが使用されることにより、車輌の電力システムに対しての要求が増大する傾向にある。
【0008】
同様に、車載冷凍システムを電気的に駆動することも望まれている。例えば、冷凍システムを(車輌のエンジンのRPMとは無関係に)速度可変で駆動すると効率を向上させることができる。更には、電気的に駆動されるシステムを用いた場合、種々の部品、例えば、コンプレッサ(エンジン上の)、凝縮器(大気に曝されるように配置される)、及び蒸発器(冷凍室内に配置される)を接続するホースを、家庭用冷蔵庫や空調装置で用いられているような電気的に駆動される密閉システムに置き換えることができる。従って、このような用途に用いられる車輌電力システムは、電気的に駆動される機器が必要とする電力を提供可能であることが望まれている。
【0009】
更には、既存の車輌に後付けできる「取り外し交換型」の高出力オルタネータが特に必要とされている。通常、車輌のエンジン室内においては、オルタネータを収容するスペースは非常に限られている。取替え用オルタネータが空きスペース内にはまらなければ、取り付けは(仮にできたとしても)非常に複雑なものとなり、通常、ラジエタやバンパといった主要部品の取り外しと、追加のブラケット、ベルトおよび他の器具の設置が必要になる。従って、取替え用オルタネータが既存のスペース内にはまり、既存の機器に接続できることが望ましい。
【0010】
永久磁石オルタネータは一般に公知である。このようなオルタネータにおいては、必要とされる磁界を発生するのに永久磁石が用いられる。永久磁石発電機は、従来の巻線界磁型発電機に比べ、大幅に軽量・小型である傾向にある。永久磁石オルタネータの例として、スコットらに1997年4月29日付けで付与された米国特許第5,625,276号明細書、スコットらに1998年1月6日付けで付与された米国特許第5,705,917号明細書、スコットらに1999年3月23日付けで付与された米国特許第5,886,504号明細書、スコットらに1999年7月27日付けで付与された米国特許第5,929,611号明細書、スコットらに2000年3月7日付けで付与された米国特許第6,034,511号明細書、及びスコットに2002年8月27日付けで付与された米国特許第6,441,522号明細書に記載のものが挙げられる。
【0011】
特に軽量・小型の永久磁石オルタネータは、「外側」永久磁石ロータと「内側」ステータとを採用することで実現できる。ロータは、中空円筒形ケーシングを備え、その円筒形状の内面には高エネルギー永久磁石が配置されている。ステータはロータのケーシング内に同心円状に配置され、軟磁性コアと導電性巻線とを適切に備える。コアは略円筒形であり、その外周面は軸方向に刻みが入れられ、等間隔に並んだ所定数の歯とスロットを有している。導電性巻線(ワニス銅モータワイヤ等の適切に絶縁された導体から形成される)は、スロットから他のスロットへと、所定数の歯の周囲にコアの側面の外側に沿って巻回される。ここで、巻線における、コアの側面に沿った凹状スロットの外側に延在する部分を、エンドターンと呼ぶ。ステータを中心としたロータの回転により、ロータの磁石から発せられる磁束がステータの巻線と相互作用し、ステータの巻線に電流が誘導される。このようなオルタネータの例として、例えば上記の、スコットらに1998年1月6日付けで付与された米国特許第5,705,917号明細書や、スコットらに1999年7月27日付けで付与された米国特許第5,92,611号明細書に記載のものが挙げられる。
【0012】
永久磁石発電機から供給される電力は、ロータの速度によって大きく変動する。多くの用途において、ロータ速度の変化は、例えば、自動車のエンジンスピードの変動や負荷特性の変化によってよく起こることである。従って、電子制御システムが一般的に用いられている。永久磁石オルタネータ及びその制御システムの例としては、上記のスコットらに1997年4月29日付けで付与された米国特許第5,625,276号明細書に記載のものが挙げられる。他の制御システムの例としては、アンダーソンらに2000年1月25日付けで付与された米国特許第6,018,200号明細書に記載のものが挙げられる。制御システムの他の例としては、同一権利者による同時係属出願である、「永久磁石オルタネータ用制御装置」と題され、2004年6月6日に出願されたクアジらによる米国特許出願第10/860,393号及び「交流発電機用制御装置」と題され、2006年2月2日に出願されたフェーバーマンら(本発明者らを含む)による米国特許出願第11/347,777号明細書に記載のものが挙げられる。上記同一権利者による出願を、その全文が本明細書に記載されたものとしてここに援用する。
【0013】
広範囲のロータ速度への対応の必要性は、自動車用途において特に切実である。例えば、大型ディーゼルトラックエンジンは、通常、アイドル時の600RPMから幹線道路上での速度における2600RPMまでの回転数で動作するが、エンジンがトラックの減速のために用いられる場合に回転数は時として3000RPMにもなる。従って、オルタネータシステムにおいて、RPM変動比は5:1である。軽負荷ディーゼルエンジンはこれよりも若干広い範囲、例えば、600〜4000RPMの回転数で動作する。ガソリン車輌エンジンに用いられるオルタネータは、更に広いRPM範囲、例えば、600〜6500RPMに対応可能でなければならない。加えて、このオルタネータは、負荷の変動、即ち0負荷から負荷限度にも対応可能でなければならない。よって、ガソリン車輌エンジンと共に用いられる永久磁石オルタネータにおいては、出力電圧変動比は12:1にもなる。従って、従来型の永久磁石オルタネータにおいて、一定の負荷の下でのアイドル時に(例えば12ボルトの)動作電圧を提供する必要がある場合、この負荷におけるエンジンの最大RPMにおいては、この動作電圧の数倍、例えば10倍の電圧、例えば120ボルトが提供されることになる。アイドル時の電圧が例えば、電気駆動空調装置又は通信機器用に120Vである場合、エンジンの最大RPMにおいて電圧は、例えば1200ボルトにもなる。このような電圧レベルに対処するのは困難であり、実際のところ危険でもある。また、このような極端な電圧・電流変動に対しては、より高価な部品が必要となる。エンジンのRPMが高い場合(例えば幹線道路上でのスピード)に発生する高い電圧・電流に対応した部品は、中程度の電圧に対応した部品と比べ非常に高価である。
【0014】
従来の高電流自動車オルタネータにおけるステータは、効果的に直列に接続された断面積の大きい導電体で構成される。より詳細には、それぞれが各位相(A、B及びC相)に対応した複数のコイルの組が従来用いられている。各位相コイルの組(A、B及びC)は、その一端側において「Y」又は「Δ」状に互いに接続(終端)されている。これらコイルの組の他端は、各位相が分離されるように位相毎に配置され、次いで終端されて集められ、オルタネータから延出され電圧制御装置に向けられる。出力終端においては、同一位相のコイルの端部が、絶縁モータリードワイヤにグループ化されて半田付けされる。更には、これらのモータリードワイヤを、各位相A、B及びC用の3個の独立した導電体の末端となる更に大きなゲージモータリードワイヤにグループ化して半田付けしてもよい。これらのリードワイヤは、導電体をステータのエンドターンに結びつけることによりステータに固定される。導電体をエンドターンに結びつけることにより、オルタネータを通過する冷却流体に曝される銅の量が減少する。これにより事実上、導電体は断熱ブランケットとして機能し、エンドターン及びリードワイヤの冷却が妨げられる。この巻回方法においては、いくつかの更なる問題が存在しうる。例えば、極位相コイル毎の巻数が小さいため(場合によっては巻数が1)、位相極コイルの巻数を変えることによって設計出力電圧を細かく変えることは困難又は不可能である。また、導電体の断面積が大きいため、ステータの巻回が困難となる。また、コイル間に短絡が生じると、通常、ステータ全体が焼き切れてオルタネータが停止し、駆動システムに損傷を与えたり、車輌のエンジンが過負荷となったりする可能性がある。
【0015】
一般に知られている永久磁石オルタネータにおいては、所定数の歯の周囲にスロットを介して巻かれた所定数の独立した巻線の組が組み込まれており、各組により提供される出力はその他の組の状態によってそれほど影響されない。例えば、このようなオルタネータは、その制御装置とともに、スコットらに1999年5月4日付けで付与された米国特許第5,900,722号明細書に記載されている。この米国特許第5,900,722号明細書に記載されたオルタネータにおいては、巻線の組の数が極の数の整数分の1に等しくなっており、所望の出力を得るために、制御回路は個々の巻線の組への電流経路を選択的に完成させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、比較的容易に巻回可能であり、短絡の影響を最小限に抑え、更には同時に冷却を容易にする位相極コイルを用い、その巻数を変えることにより所望の出力電圧を得ることができる小型・高出力オルタネータに対する必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の種々の態様において、ステータの巻線は所定数の極位相コイルとして巻回され、極位相コイルの数は磁極の数と等しいのが好ましい。各極位相コイルは、オルタネータの必要出力を発生するのに十分な巻数で巻回され、更に各極位相コイルにおける出力電流の割合は、1/(磁極の数)に等しくなっている。個々の極位相コイルは並列に接続される。
【0018】
本発明の他の態様において、各出力位相に対応する導電位相リングは、そのそれぞれに、その位相に対応するコイルが電気的に接続された状態でオルタネータ内に組み込まれ、冷却、グループ化及び出力位相の制御システムへの伝送を容易にしている。
【0019】
本発明の他の態様において、導電位相リングは非導電支持構造体によって所定の位置に保持される。
【0020】
本発明の他の態様において、導電位相リングは、導電位相リング及びエンドターンを通過する冷却流体、例えば空気に曝されることにより効率的な冷却効果が得られるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、機械的エネルギーと電気的エネルギーとの変換を行うシステムのブロック図である。
【図2A】図2Aは、本発明の種々の態様に係るオルタネータの外観の側面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示すオルタネータのA−Aに沿った断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示すオルタネータのB−Bに沿った簡略断面図であって、オルタネータ内における導電位相リングの相対配置を示す図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示すオルタネータにおける端子の簡略断面図である。
【図2E】図2Eは、導電位相リングの他の実施形態を示す図である。
【図2F】図2Fは、図2Aのオルタネータのステータコア及び導電位相リングの簡略斜視図であり、導電位相リングとそれに対応する巻線の組との接続を示す図である(巻線のエンドターンは省略)。
【図2G】図2Gは、本発明における位相リングを利用し、直流電圧を出力するように構成されたオルタネータの概略ブロック配線図である(図2A〜2Gを、図2と総称する。)。
【図3A】図3Aは、本発明の種々の態様に係るオルタネータの他の実施形態の外観の側面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示すオルタネータのC−Cに沿った断面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aのオルタネータのステータコア及び分割導電位相リングの簡略斜視図であって、分割導電位相リングとそれに対応する巻線の組との接続を示す図である(巻線のエンドターンは省略)。
【図3D】図3Dは、本発明における分割位相リングを利用し、直流電圧を出力するように構成されたオルタネータの概略ブロック配線図である(図3A〜3Dを、図3と総称する。)。
【図4A】図4Aは、本発明の種々の態様に係るオルタネータの他の実施形態の外観の上面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示すオルタネータのD−Dに沿った断面図である。
【図4C】図4Cは、図3Aのオルタネータのステータコア及び多重分割導電位相リングの簡略斜視図であって、多重分割導電位相リングとそれに対応する巻線の組との接続を示す図である(巻線のエンドターンは省略)。
【図4D】図4Dは、本発明における多重分割導電位相リングを利用し、直流電圧を出力するように構成されたオルタネータの概略ブロック配線図である(図4A〜4Dを、図4と総称する。)。
【図5】図5は、本発明の各実施形態において用いられるステータにおける1つの3位相極グループ内の3個の巻線のそれぞれを示す概略ブロック配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に従い説明する。図面において、特に明記しない限り、同じ名称は同じ部材を示す。
【0023】
図1を参照すると、本発明の種々の態様に係るオルタネータ102等の動力変換装置は、整流制御システム100、例えばエンジンやタービン等の機械的エネルギー源(例えば駆動装置)104及びモータ等の負荷106と適宜協働し、必要に応じてバッテリやコンデンサ、フライホイール等のエネルギー貯蔵装置108とも協働する。
【0024】
整流制御システムは、オルタネータ102からの交流信号を整流し、即ち、交流信号を直流信号に変換し、直流信号の電圧を所定のレベル、例えば28Vに調整するのに適していればどのようなシステムでもよい。フェーバーマンら(本発明者らを含む)により、「交流発電機用制御装置」と題され、2006年2月2日に出願された同一権利者の米国特許出願第11/347,777号明細書に記載されるように、好ましい実施形態において、システム100は、制御装置110及びスイッチングブリッジ112を備える。必要に応じて、インバータ(負荷106の構成要素に分類される場合がある)を設け、所定の一定周波数及び振幅(例えば60Hz、120V)の交流信号を生じるようにすることもできる。
【0025】
一般に、オルタネータ102は、エネルギー源104からの機械的な入力に応じて交流出力を生じる。オルタネータ102は多相(例えば3相、6相等)交流出力信号、例えば、位相A(118)、位相B(120)及び位相C(122)を提供するのが好ましい。これらの出力信号は通常調整されておらず、駆動RPM(ソース104)に応じて大きく変動する。
【0026】
オルタネータ102からの交流位相信号は、好ましくは入力ヒューズ128を介してシステム100に入力される。システム100は、オルタネータ102からの交流信号を整流し、即ち、交流信号を直流信号に変換し、直流信号の電圧を所定のレベル、例えば28Vに調整する。好ましい実施形態において、スイッチングブリッジ112は、制御装置110からの制御信号に応じて、前記交流信号の各種位相ごとにオルタネータ102から負荷106までの導通経路を選択的に提供する。スイッチングブリッジ112の例は、同一権利者による同時係属出願である2006年2月2日に出願されたフェーバーマンら(本発明者らを含む)による米国特許出願第11/347,777号明細書に示されている。制御装置110は、調整された出力信号を所定電圧で生成するために、スイッチングブリッジ112に対する制御信号を選択的に生成する。制御装置110は、入力114において内部から、あるいは入力140において外部から、調整された出力を適宜サンプルし、適正な出力を維持するために、ブリッジ112に対する信号を調整する。更には、出力電流を入力116において検出し、ブリッジ112に対する制御信号をさらに修正する。
【0027】
調整された直流信号、すなわち電圧調整された出力(Voltage Regulated Output)(VRO)は、適宜出力ヒューズ136を介して負荷106及びエネルギー貯蔵装置108に入力される。負荷106は、電力を使用する任意の装置であり、例として、ランプ、モータ、ヒータ、電子機器、およびインバータやDC−DCコンバータ等の出力変換機が挙げられる。エネルギー貯蔵装置108は、制御システム110の出力をフィルタリング又は円滑化する(ただし、各種実施形態において、制御装置110自身が適当なフィルタリング機能を内蔵あるいは別途実現してもよい。)。
【0028】
システム100は、必要に応じて他の出力150及び160を提供することもできる。更には、システムの保護のために適切なクローバー回路142を設けることもできる。
【0029】
オルタネータ102は、同一権利者による同時係属出願である「小型高出力オルタネータ」と題され2004年7月12日に出願されたチャールズ・Y・ラフォンテーヌ及びハロルド・C・スコットによる米国特許出願第10/889,980号明細書に記載されたタイプのオルタネータであることが一般に好ましい。しかしながら、オルタネータ102は、各極毎に巻線の組(各相に対応する少なくとも一つの巻線を含む)を有し、一つの位相に対応する巻線の全ては並列に接続されている。上記のラフォンテーヌらによる出願を、その全文が本明細書に記載されたものとしてここに援用する。
【0030】
本発明の一態様によれば、同一位相に対応するコイル間の並列接続は、対応する導電位相リング138によってなされ、この接続は、導電位相リング138とオルタネータの出力端子262との間に配置された可融性リンク124を含む。各コイルの出力は、対応する導電位相リング138によって集められ、導電位相リング138は対応する出力端子126に接続されている。
【0031】
オルタネータ102の極の総数が増えると、コイルの数も増える。従来のコイル集約方法においては、モータワイヤを従来の方式で絶縁されたモータリードワイヤに半田付する。オルタネータの定格出力を大きくした場合、モータリードワイヤの負荷容量もそれに応じて大きくする必要がある。リードモータワイヤの負荷の増加は通常、単ワイヤのゲージを大きくするか複数のワイヤを並列に使用することによってワイヤの累積ゲージを大きくすることにより達成される。この結果、モータリードワイヤの断面積が飛躍的に大きくなる。コイルの総数及びそれらのエンドターン、またリードワイヤ及びその絶縁を考慮すると、上述のようにして得られる、導電体とモータリードワイヤとが結合されたステータアセンブリはエンドターンを断熱し、冷却の観点からは好ましくない。また、得られたアセンブリにおいては、エンドターンの冷却を唯一可能としている冷媒流(例えば空気流)が制限され、冷却効果が更に減少する。
【0032】
従って、比較的容易に巻回可能であり、短絡の影響を最小限に抑え、更には同時に冷却を容易にする位相極コイルを用い、その巻き数を変えることにより所望の出力電圧が得られる小型高出力オルタネータが必要とされている。本発明の種々の態様によれば、このような小型高出力オルタネータは、所定数の極位相コイル、好ましくは磁極の数と同数の極位相コイルを採用し、各極位相コイルを、オルタネータの所要出力を発生するのに十分な巻数で(比較的小径のワイヤを用いて)、且つ各極位相コイルにおける出力電流の割合が1/(磁極の数)に等しくなるように巻回し、好ましくは導電位相リング(集電体)138を使用して個々の極位相コイルを並列に接続することによって実現される。導電位相リング138を使用することにより、オルタネータ102の組み立てが大幅に簡略化されるばかりではなく、巻線の冷却が容易になる。
【0033】
より詳細には、オルタネータ102は、好ましくはテーパ突出部204とねじ部206とを含むシャフト202と、ロータ208と、ステータ210と、前側エンドプレート212と、前側軸受214と、止めナット216と、後側エンドプレート218と、後側シャフト保持リング220と、後側軸受222と、後側止めナット224と、外側ケーシング226と、各連結棒(図示せず)とを備えるのが好ましい。ロータ208はシャフト202に取り付けられ、シャフトと共に回転する。ステータ210はロータ208内に近接して収容され、ロータ208から薄いエアギャップ228の分だけ離間している。前側エンドプレート212、前側軸受214、後側軸受222、後側エンドプレート218、外側ケーシング226及び連結棒は、協働して支持アセンブリとなり、シャフト202、ロータ208及びステータ210の位置関係を維持する。シャフト202は、前側エンドプレート212及び後側エンドプレート218にそれぞれ取り付けられた軸受214及び222によって支持される。軸受214及び222は、シャフト202を回転可能に保持するとともに、前側及び後側エンドプレートに対して同心且つ垂直になるように位置合わせする。ロータ208はシャフト202に取り付けられ回転するが、テーパシャフト部204を介して確実に位置を定められている。後側エンドプレート218は、ステータ210を、ロータ208内でシャフト202及びロータ112に対して適切な位置に配置されるように搭載し位置決めする。外側ケーシング226は、その軸(好ましくは円筒形)に対して垂直な端面を有し、前側エンドプレート212と後側エンドプレート218との間に配置される。連結棒は、エンドプレート218及び212を外側ケーシング226に対して押し付け、これにより各部材はまっすぐに適正位置に保持される。
【0034】
自動車用オルタネータの典型的用途においては、プーリ230がシャフト202の端部に取り付けられる。エンジン(例えば、104、図2には示さず)の動力は、適切なベルトドライブ(図示せず)を介してプーリ230に、従ってシャフト202に伝達される。その結果、シャフト202は、ロータ208をステータ210を中心に回転させる。ロータ208は磁界を発生し、この磁界はステータ210の巻線と相互作用する。磁界が巻線と交差すると、電流が生じ、適切な負荷に供給される。
【0035】
ロータ208は、エンドキャップ232と、円筒状ケーシング234と、ケーシング234の内部側壁にその極が互い違いになるように配置された所定数(例えば、16対)の永久磁石236とを備えるのが好ましい。ロータエンドキャップ232は、適切に実質的に開口しており、周辺部238と、各クロスアーム(図示せず)と、シャフト202との接続を提供する中央ハブ240とを含む。冷媒(例えば空気)の各通路242がエンドキャップ234を貫通して設けられ、各通路242は、周辺部238と、隣接するクロスアーム(図示せず)と、中央ハブ240とによって画定されている。
【0036】
好適には、ステータ210は、コア244と導電巻線(概略的に示す)280とを備える。好適には、コア244は、軟磁性材料、例えば、無方向性・低損失(鉛を含有しない)スチールからなる薄いシートの積層体を含み、これらのシートは所望の形状に切断され又は打ち抜かれ、位置を揃えて接合されている。コア244は通常、円筒形であり、その外周面は軸方向に刻み目が付けられている、即ち、所定数の歯とスロットを有する。好ましくは、コア244は、実質的に開口しており、中央開口部を有する。また、好適には、コア244は、後側エンドプレート218への取り付けを容易にするための軸方向貫通孔を有するクロスアームを含む。
【0037】
好適には、前側エンドプレート212は略円筒形である。好適には、前側エンドプレート212は、前側軸受214を位置決めする同軸開口部を有し中央部に配置されたハブ246と、中心開口部から半径方向に所定の距離を隔てた位置において、互いに等しい角距離をおいて配置された、各連結棒(図示せず)を収容するための各ねじ穴(図示せず)を有する周辺部と、周辺部248をハブ246に連結し、冷媒(例えば空気)の各通路250を画定する(例えば4個の)クロスアーム(図示せず)とを含む。
【0038】
後側エンドプレート218は、後側軸受222を保持して位置を定めるとともに、ステータコア244を搭載して位置を定める。好適には、後側エンドプレート218は、小径前方部254を有する段付き中央ハブ252と、ハブ252を貫通する中央開口部256とを含み、好ましくは前側エンドプレート212と同一の外径を有する略円筒形状であり、各クロスアーム(図示せず)によってハブ252に接続されている。好適には、後側エンドプレート218は、冷媒(例えば空気)の各通路258を含み、冷媒通路258は、隣接するクロスアーム(図示せず)と、外側部260と、ハブ252によって画定されている。
【0039】
ステータ巻線280からの出力は、位相リング138によって集められ、対応する出力端子262に提供される。より詳細には、出力端子262(各位相毎に設けられる)は後側エンドプレート218に好適に設けられる。好適には、端子262は、可融性リンク124を介して、対応する導電位相リング(集電体)138に電気的に接続される。出力端子262及び可融性リンク124は、導電位相リング138の周囲に径方向に配置される。各位相リング138は、例えば導電体276を介して、対応する位相のコイルを集約する(例えば、それらコイルの各々に電気的に接続されている。)。個々の導電ケーブル(例えば図2Gの294)がそれぞれ端子262に取り付けられ、位相出力を制御装置100に送る。
【0040】
導電位相リング138は、適切な導電性材料、例えばメッキ銅で形成される。好適には、位相リング138は、冷却を促進するため非絶縁化又は(例えばワニスによって)最小限絶縁されており、一旦取り付けられ周囲から力や加速度を受けても互いにアイソレートされた状態が容易に維持されるよう、十分に硬く又は剛性を有している。導電位相リングは、棒状材料から作成することもでき、また適切な材料からなるシートを打ち抜いて作成することもできる。図2に示す実施形態においては、各導電位相リング138は連続体であり、例えば一片の棒状材料の両端部を半田付けやロウ付け等によって結合することにより、1つの連続した導電リングに形成されたものである。
【0041】
連続した固形の位相リング138を使用することは、可融性リンク124への2つの電流経路が、位相リング138用の材料として、よりゲージの小さい(従ってより軽量でより安価な)材料の使用を可能にするという点で特に有利である。連続した固形の位相リング138を利用する場合、電流は、可融性リンク124を装着した位置とは180度反対側の位置において効果的に分けられる。位相リング上の可融性リンク124へ向う片半分側で導電体276によって生じた電流の全ては、効果的にその片半分側に留まり、他の片半分側において生じた電流は、その経路を辿り可融性リンク124へ至る。その結果、可融性リンク124へ経路が一つのみである導体と比べて、ゲージが約半分である位相リングが得られる。
【0042】
各リング138は冷媒流路内に配置され、互いに、また後側エンドプレート218から電気的に絶縁され離間される。好適には、導電位相リング138は、耐衝撃性が高く化学的に安定な材料、例えばポリアミド−イミドで好ましく作られた非導電性の導電位相リング取付構造体264を用いてエンドプレート218に機械的に固定され、この結果、各位相出力に対し一個づつ設けられる各導電位相リングは、互いに、また後側エンドプレート218から物理的に離間されまた電気的に絶縁される。オルタネータ102によって生じる冷媒(例えば空気)流に対する暴露を可能な限り大きくするため、導電位相リング138は、冷媒(例えば空気)通路258内に配置される。空気流に対する暴露は、隣接する位相リングの直径を徐々に変えることによって更に大きくなる。例えば、位相A(端子118)に対応する位相リング138は、エンドプレート218の内面に最も近接して配置されているが、その直径は相対的に大きい(エンドプレート218内の冷媒(例えば空気)通路258の外径に適度に近い)。位相B(端子120)に対応する位相リング138は、後方にずらして同軸上に適切に配置され、その直径はより小さくなっている(好適には、位相B用のリングの外径は、位相A用のリングの内径よりも所定量だけ小さい)。同様に、位相C(端子122)に対応する位相リング138は、位相B用のリング138の後方にずらして同軸上に適切に配置され、その直径はさらに小さくなっている(好適には、位相C用のリングの外径は、位相B用のリングの内径よりも所定量だけ小さい)。この配列は位相リング取付構造体264によって実現され、この配列によって、各リングは、周囲導入口温度に可能なかぎり近い温度で冷却空気流に曝される。周囲導入口から最も離れたリングの直径が最大であることが好ましい。
【0043】
図2Dを参照すると、好適には、出力端子アセンブリ126は、好ましくは高導電性耐腐食材料(例えばメッキ銅)からなるねじ切りされた導電性スタッド266と、出力端子をオルタネータの後側エンドプレート218から電気的に絶縁するための、好ましくは耐衝撃性が高く化学的に安定な材料(例えばポリアミド−イミド)からなる非導電性ブッシング268とを備える。好ましい実施形態におけるねじ切りされた導電性スタッド266は一体化された肩部270を有する。肩部270は、オルタネータの後側エンドプレート218の内側における座面として機能し、ナット272でエンドプレート218に締め付けることが可能となり、それによってアセンブリが後側エンドプレート218に取り付けられる。
【0044】
可融性リンク124は、例えば、オルタネータ102、制御装置100又はこれらの機器によって給電される電気システムを破壊すると予想される負荷が加えられた場合に溶融するように直径と長さを計算されたワイヤ(好ましくはメッキ銅)等の適切な材料によって作られる。好ましい実施形態において、可融性リンク124は、ねじ切りされた導電性スタッド266と導電位相リング138の両者に半田付け又はロウ付けされる。可融性リンクを固定するための他の方法としては、可融性リンク124の端部に適切なラグを取り付け、このラグを、ねじ切りされたナットを用いてスタッド266に機械的に固定する方法がある。
【0045】
特に図2B及び2Cを参照すると、導電位相リング138は構造体264に固定されている。導電位相リング138は、冷媒経路内に配置されて、冷媒流(例えば空気流)274に曝され、これにより、導電体276(コイル巻線を位相リングに接続している)とともに導電位相リング138が冷却される。リング取付構造体264は、位相リング138とステータのエンドターン(図示せず)との間に空隙を形成するように配置される。この空隙により、ステータ後側のエンドターンが冷却流体に曝されるが、これは従来の巻回ステータにおいては成し得なかったことである。
【0046】
冷媒(例えば冷却空気)は、オルタネータを通り抜け、ステータ210の巻線のエンドターン280に当たり、エンドターンを冷却する。次いで、空気流は分岐され、ステータのコア244を通り抜け空洞278に入り、その際ステータ210の遠位におけるエンドターンを冷却する。分岐された空気流の他方は、ロータケーシング234と外側ケーシング226との間を通り、ロータケーシング234及び磁石236を冷却する。分岐した空気流は、空気流路250において合流し、オルタネータから遠心ファン282へと流れ出る。
【0047】
導電体276は、1つの3位相極グループを構成するA位相用部材118と、B位相用部材120と、C位相用部材122とを備え、後述するように、ステータ210から延出され、対応する導電位相リング138にそれぞれ半田付け又はロウ付けされる。好ましい実施形態において、導電体276は、空気流274に曝される。場合によっては、導電体276を薄肉電気絶縁材料、例えばノーメックスで覆い、接地するのを防ぐのが望ましい。
【0048】
次に図2Eを参照すると、導電位相リング138を作成する他の方法としては、導電位相リングが、孔284を開け、その孔にねじを切るのに適した表面を有する長方形材料から形成されている。この実施形態において、可融性リンク124の端部は、例えばねじ式締め具288によって締められる適切なラグ286を用いて導電位相リング138に取り付けることができる。同様に、導電体276にも同様なラグを装着して、締め具290を用いて導電体276を導電位相リング138に固定することもできる。次いで、導電位相リング138は、264と同様な適切な構造体を用いて同様な方法によって後側エンドプレート218に固定される。あるいは、スロット292を等間隔で各位相リングに刻み入れることができ、ステータから延出される個々の導電体を半田付けすることができる。この組み立て方法の、前述した導電体276を位相リング138に固定する方法に対する主要な利点は、電気モータを製造する際に導電体を終端処理するのに用いられる既存の超音波半田付け装置を改変することにより組み立ての自動化を実現できることである。
【0049】
ここで図2Fを参照すると、ステータ210は、分りやすくするためにコイルを省略して図示してあり、個々の導電体276も大幅に簡略化してある。この特定の実施形態においては、A、B及びCの3位相にそれぞれに対応した各位相リング138は、一片の絶縁されていない耐腐食性導電性材料、例えばメッキ銅を半田付け、ロウ付け又は加工することにより連続体として形成される。図示された端子126は、A位相用118、B位相用120、及びC位相用122である。各極の組の出力は、位相リング138を介してオルタネータ内で集められ、3位相全てに相当する3個の導電体を介してオルタネータから出力され、制御装置100に送られる。
【0050】
ここで図2Gを参照すると、A、B及びC位相用巻線118、120及び122からの導電体276のそれぞれは、対応する集電位相リング138において終端し、これら各集電位相リング138は導電体294を介して制御装置100に接続される。制御装置100の出力は、用途により定められた電圧、例えば、直流28Vに電圧調整された出力(Voltage Regulated Output)すなわちVROとなる。
【0051】
出力端子264と制御装置100との間に結合された導電体294は、電流を適切に運ぶのに十分なゲージとされている。ワイヤ又はケーブルのゲージが大きくなるにつれ、その大ゲージワイヤの曲げ半径が大きくなるため、ケーブルを引き回すのが困難になる。その結果、多くの用途においては、ゲージの非常に大きなワイヤ又はケーブルを使用するのが困難である。後述するように、大型の導電体が適していない用途においては、位相リングを複数のセクションに分割することができ、各位相リングセクションには、そのセクションにおいて生じる少量の電流を運ぶのに適したサイズの導電体を割り当てることができる。
【0052】
例えば、複数の組に分割された複数の位相リングを用いることで、電流に対する要求基準を軽減することができる。ここで図3A〜3Dを参照すると、オルタネータ302においては、2組の位相リング306が、それらに対応する端子126及び可融性リンク124とともに配備されており、対応する制御装置308及び310と協働するようになっている。これらの位相リング310は、地点312及び314において電気的に分離されている。各組は、別途にA、B及びC位相成分を運び、各成分は対応する制御装置308又は310に導かれる。後側エンドプレート304は、第2の組の端子126を収容するように加工されているという点以外は、全ての点でエンドプレート218と同じである。
【0053】
ここで図3Dを参照すると、各位相リング部306は、ステータ210からの対応する導電体276を受け入れる。位相リング部306は、端子126及び導電体316を介して制御装置308又は310に電気的に接続される。端子126が位相リング部306の中央部に接続されている場合、電流は、可融性リンク124が取り付けられている位置において効果的に分割される。位相リング部上の可融性リンク124へ向う片半分側で導電体276によって生じた電流の全ては、効果的にその片半分側に留まり、他の片半分側において生じた電流は、その経路を辿り可融性リンク124へ至る。その結果、可融性リンク124へ経路が一つのみである導体と比べて、ゲージが約半分である位相リング部が得られる。導電体316のゲージは、その用途に特有の要求に応じて大きさを調整できる。例えば直流28Vで600ampの出力を適切に伝導するのに必要な導電体のサイズを考えると、最新のエンジン室には提供できるスペースが殆どない。超高出力用途において、導電体316が運ぶ電流を半分にすることにより、ケーブルの引き回しが非常に容易になる。更には、制御装置においても、それに応じた利点が得られる。アンペア数が増加するにつれ、部品のサイズやコストも増加するが、この増加は線形ではない。従って、導電体が運ぶ電流と、更には制御部品を半分にすることにより、場所とコストの節約ができる。
【0054】
電流に対する要求は、位相リングを複数の部分に分割することにより更に低減することができる。例えば、図4A〜4Dを参照すると、位相リングを4つのセクション406に分割でき、これらは地点416、418、420及び422において電気的に分離されている。対応する一組の端子118、120及び122が各位相リングセグメント毎に設けられており、対応する制御装置408、410、412及び414に接続されている。位相リング部306の場合と同様に、端子126は位相リング部406の中央部に接続され、電流は、可融性リンク124が取り付けられている位置において効果的に分けられる。位相リング部上の可融性リンク124へ向う片半分側で導電体276によって生じた電流の全ては、効果的にその片半分側に留まり、他の片半分側において生じた電流は、その経路を辿り可融性リンク124へ至る。その結果、可融性リンク124へ経路が一つのみである導体と比べて、ゲージが約半分である位相リング部が得られる。制御装置408、410、412及び414の出力端子は、並列に接続され、出力VRO+及びVRO−が供給される。
【0055】
前述のように、ステータのコア210は略円筒形であり、その外側周面は軸方向に刻みが入れられ、等間隔に並んだ所定数の歯とスロットを有している。導電巻線(ワニス銅モータワイヤ等の適切に絶縁された電気伝導体から形成される)は、スロットから他のスロットへと、所定数の歯の周囲にコアの側面の外側に沿って巻回される。次に図5を参照すると、ステータのコア210は、所定数、例えば36個のスロット(図5においては概略的に表されており、参照符号1〜36で示されている)を含む。各導電巻線は、ロータの各磁極に対応した、所定数の個別の位相コイル(位相A、B及びC用)を含む。3相オルタネータの各極位相コイルは、位相A用極コイル518と、位相B用極コイル520と、位相C用極コイル522とを備え、これらがまとまって1つの極位相コイルグループ526を形成する。オルタネータの極毎に、1つの極位相コイルグループ(例えば、12極オルタネータにおいては12組の極位相コイルグループ)が設けられ、「Y」接続部524において協働する。12極オルタネータの極位相コイル導電体526は、それぞれ対応する導電位相リング506、508及び510に取り付けられる。
【0056】
例えば、一つの極位相コイル522(極グループ1の位相C用)はステータ210のスロット36と3の周囲に巻回される。コイル522を構成する導電体526の巻数は、オルタネータの一位相分の定格出力電圧を生じるのに必要な巻数と等しくされている。個々の位相コイルが担う出力電流の割合は、1/(オルタネータの磁極の数)に等しくなる。従って、個々の極位相コイルは、比較的細いワイヤを用い比較的巻数を多くして形成される。
【0057】
この構成により、オルタネータの製造時及びオルタネータの動作時の両者において多くの利点が得られる。
【0058】
個々の極位相コイルは、比較的巻数を多くして形成されるため、巻数を変えることによって設計電圧の小幅な変更を実現できる。例えば、全ての極位相コイルが直列に接続され、従来の方法で巻回されたある特定の12極オルタネータにおいては、1940rmpにおいて直流14V(適切な整流後)、300アンペアを得るためには、ワイヤゲージ6.285に等しい導電体の巻数1.0417が必要になると思われる。この巻数も、またそれと同等のワイヤゲージも、製造上実用的な数ではない。極位相コイルを並列に接続した本実施例のオルタネータを構成することにより、各極位相コイルの巻数は、17ゲージワイヤを用いた場合12.5となる。(なお、1/2巻は、極位相コイルの一端(開始端と呼ぶ)をステータ積層体の一方の側で終端させ、他端(終了端と呼ぶ)をステータ積層体の他の側で終端させることにより形成できる。この構成を図18Aに示す。)上記の例において、当初の設計巻数を変更し1.0833(繰り返すが、非実用的な数である)に増加させる場合、rpmは減少し1894となる。上記の他方の構成においては、各並列極位相コイルの巻数を増加させ13にすることにより、上記変更を達成することができる。導電体の断面積が比較的小さいため、コイルの巻回はより容易になる。
【0059】
極位相コイルの巻線間で短絡が起こると、オルタネータで生じる出力の大部分が短絡したコイルを流れる。コイルは、断面積の比較的小さな導電体を用い比較的巻数を多くして構成されているため、短絡した巻線は、非常に短時間で溶融し、短絡は解消される。開路した一個の極位相コイルによる出力の減少は、約1/(磁極の数+位相の数)である。例えば、12極3相オルタネータにおいて、極位相コイルの一つが短絡しその後短絡が自己解消した際の出力の減少は、約3%である。
【0060】
例えば、極位相コイルの巻線間の短絡は、通常2秒より短い時間で解消される。オルタネータ駆動システムに対する損傷は無く、エンジンは余分な負荷無しに運転し続け、オルタネータは接続された負荷に対して出力を供給し続ける。導電位相リング138は、Aリング506、Bリング508及びCリング510として個別に識別されている。3個の極位相コイル導電体、すなわちA位相512、B位相514及びC位相516は、分りやすくするために概略的に描かれている。この図において、一組の極位相コイルグループを構成する3個の極位相コイルのそれぞれは、「Y」接続部524において接続されている。前述したように、位相集電リングを用い、「Δ」接続を使用することも可能である。
【0061】
位相コイル導電体は、冷却を妨げない効率的な方式で集められている。位相コイル導電体が位相コイルのエンドターンからステータ210の面に対し90度の角度で延出している状態においては、エンドターンは最大限可能な量の空気流に曝され、その結果、エンドターンは、可能な限り最大限に冷却される。
【0062】
本発明を様々な例示的実施形態とともに説明してきたが、本発明は、ここに示された特定の形態に限定されるものでなく、本発明の精神から逸脱することなく、本発明の他の実施形態を創出しうると考えられる。以下の特許請求の範囲に表される本発明に従って、部品、材料、値、構造、およびその他の設計・配置における態様を改変してもよい。
【技術分野】
【0001】
[相互関連出願]
本出願は、チャールズ・ワイ・ラフォンテーヌらの名義で2006年2月22日付で出願された米国仮特許出願第60/775,904号の優先権を主張する。また、本出願は、米国仮特許出願第60/649,720号の優先権を主張する2006年2月2日付の米国特許出願第11/347,777号の継続出願であり、その優先権を主張する。これら全ての先行出願の全体を、あらゆる目的のため、参照によって本明細書中に組み込むものである。
【0002】
[技術分野]
本発明は、例えば、ブラシレス交流発電機のような、機械的なエネルギーと電気的なエネルギーとの変換を行う機器のための電圧及び電流制御システムに関し、特に、小型高出力永久磁石オルタネータ、例えば自動車用に適した小型高出力永久磁石オルタネータ用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
オルタネータは通常、回転するシャフトに取り付けられ、静止したステータに対して同心円上に配置されるロータを備える。ロータは通常、ステータの内部に配置される。しかし、ステータがロータの内部に同心円状に配置されていても良い。回転部材は通常、モータやタービン等の外部エネルギー源によって、直接又はプーリベルト等の中間システムを介して駆動される。ステータ及びロータはそれぞれ、一連の極を有している。ロータとステータのいずれか一方が磁界を発生し、発生した磁界は、他方の構造体の極の巻線と相互作用する。磁界が巻線と交差すると電界が発生し、この電界は適当な負荷に供給される。誘導電界(これは一般に、電圧源として知られている)は通常、整流器を通され、場合によっては調整された後に、直流出力源として提供される。誘導電流は通常、整流器を通され、場合によっては調整された後に、直流出力源として提供される。場合によっては、調整された直流出力信号は、DC−ACインバータを通され、交流出力として提供される。
【0004】
従来、自動車用途に用いられるオルタネータは通常、エンジンの外側に取り付けられたハウジングと、ハウジングに収容された3相巻線を有するステータと、ステータ内部でハウジング内に回転可能に支持された、ベルト駆動クローポール型(例えばランデル型)ロータとを備える。しかしながら、従来型のオルタネータにおいて出力を増加させるためには、そのサイズを大幅に大きくしなければならない。従って、車輌内におけるスペースの制約により、このようなオルタネータを、空調設備や冷凍設備や通信機器への電力供給用途といった高出力(例えば5KW)用途に用いることは困難となりがちである。
【0005】
更に、巻線を備えたクローポール型ロータは比較的重く(往々にしてオルタネータの総重量の4分の3程度を占める)、慣性が大きい。実際、この慣性は、エンジンが加速される際に常にエンジンに対する負荷となる。このことは、エンジン効率の低下につながりやすく、余分な燃料消費の原因となる。また、この慣性は、電気又はハイブリット車輌等の用途において問題となる可能性がある。ハイブリット車輌においては、速度が所定の閾値、例えば30Kph(通常、ガソリンエンジンの最も効率の良いRPM領域に対応する)より上である場合には、ガソリンエンジンを車輌の推進用に用いる。同様に、所謂「マイルドハイブリッド」においては、運転者がアクセルペダルを押し下げた際の初期駆動推進力を提供するのにスタータ・ジェネレータが用いられており、車輌が運行時に停車する際に、燃料を節約し排気を削減するためにエンジンを停止させやすくなっている。通常、このようなマイルドハイブリッドシステムにおいては、高電圧(例えば42ボルト)電気システムの使用が検討されている。このようなシステムにおけるオルタネータは、特に渋滞時において、連続する停車の合間にスタータ・ジェネレータを駆動して初期駆動推進力を提供するのに十分なレベルまでバッテリを充電可能であることが必要とされる。従って、比較的高出力で低慣性なオルタネータが必要とされている。
【0006】
一般に、車輌内の制御・駆動システムや、空調およびその他の機器を作動させるために、更に多くの電力が必要とされている。このことは、特にレジャー車輌や、冷凍車輌等の産業輸送用車輌や、建設用車輌や、軍事用車輌において当てはまる。
【0007】
例えば、自動車業界においては、機械式又は油圧式の制御・駆動システムではなく電気式のインテリジェント制御・駆動システムを使用し、車輌のエンジンに対する負荷を低減し燃費を向上しようという動きがある。このようなシステムは、例えば、ステアリングサーボ(通常、ステアリング補正が必要な場合にのみアクティブとなる)、ショックアブソーバ(フィードバックを利用し、ショックアブソーバの硬さを道路や速度状況に合わせ調整する)、及び空調装置(コンプレッサを、温度を一定に保つために必要な最低限の速度で動かす)と共に用いることができる。このような電気式制御・駆動システムが使用されることにより、車輌の電力システムに対しての要求が増大する傾向にある。
【0008】
同様に、車載冷凍システムを電気的に駆動することも望まれている。例えば、冷凍システムを(車輌のエンジンのRPMとは無関係に)速度可変で駆動すると効率を向上させることができる。更には、電気的に駆動されるシステムを用いた場合、種々の部品、例えば、コンプレッサ(エンジン上の)、凝縮器(大気に曝されるように配置される)、及び蒸発器(冷凍室内に配置される)を接続するホースを、家庭用冷蔵庫や空調装置で用いられているような電気的に駆動される密閉システムに置き換えることができる。従って、このような用途に用いられる車輌電力システムは、電気的に駆動される機器が必要とする電力を提供可能であることが望まれている。
【0009】
更には、既存の車輌に後付けできる「取り外し交換型」の高出力オルタネータが特に必要とされている。通常、車輌のエンジン室内においては、オルタネータを収容するスペースは非常に限られている。取替え用オルタネータが空きスペース内にはまらなければ、取り付けは(仮にできたとしても)非常に複雑なものとなり、通常、ラジエタやバンパといった主要部品の取り外しと、追加のブラケット、ベルトおよび他の器具の設置が必要になる。従って、取替え用オルタネータが既存のスペース内にはまり、既存の機器に接続できることが望ましい。
【0010】
永久磁石オルタネータは一般に公知である。このようなオルタネータにおいては、必要とされる磁界を発生するのに永久磁石が用いられる。永久磁石発電機は、従来の巻線界磁型発電機に比べ、大幅に軽量・小型である傾向にある。永久磁石オルタネータの例として、スコットらに1997年4月29日付けで付与された米国特許第5,625,276号明細書、スコットらに1998年1月6日付けで付与された米国特許第5,705,917号明細書、スコットらに1999年3月23日付けで付与された米国特許第5,886,504号明細書、スコットらに1999年7月27日付けで付与された米国特許第5,929,611号明細書、スコットらに2000年3月7日付けで付与された米国特許第6,034,511号明細書、及びスコットに2002年8月27日付けで付与された米国特許第6,441,522号明細書に記載のものが挙げられる。
【0011】
特に軽量・小型の永久磁石オルタネータは、「外側」永久磁石ロータと「内側」ステータとを採用することで実現できる。ロータは、中空円筒形ケーシングを備え、その円筒形状の内面には高エネルギー永久磁石が配置されている。ステータはロータのケーシング内に同心円状に配置され、軟磁性コアと導電性巻線とを適切に備える。コアは略円筒形であり、その外周面は軸方向に刻みが入れられ、等間隔に並んだ所定数の歯とスロットを有している。導電性巻線(ワニス銅モータワイヤ等の適切に絶縁された導体から形成される)は、スロットから他のスロットへと、所定数の歯の周囲にコアの側面の外側に沿って巻回される。ここで、巻線における、コアの側面に沿った凹状スロットの外側に延在する部分を、エンドターンと呼ぶ。ステータを中心としたロータの回転により、ロータの磁石から発せられる磁束がステータの巻線と相互作用し、ステータの巻線に電流が誘導される。このようなオルタネータの例として、例えば上記の、スコットらに1998年1月6日付けで付与された米国特許第5,705,917号明細書や、スコットらに1999年7月27日付けで付与された米国特許第5,92,611号明細書に記載のものが挙げられる。
【0012】
永久磁石発電機から供給される電力は、ロータの速度によって大きく変動する。多くの用途において、ロータ速度の変化は、例えば、自動車のエンジンスピードの変動や負荷特性の変化によってよく起こることである。従って、電子制御システムが一般的に用いられている。永久磁石オルタネータ及びその制御システムの例としては、上記のスコットらに1997年4月29日付けで付与された米国特許第5,625,276号明細書に記載のものが挙げられる。他の制御システムの例としては、アンダーソンらに2000年1月25日付けで付与された米国特許第6,018,200号明細書に記載のものが挙げられる。制御システムの他の例としては、同一権利者による同時係属出願である、「永久磁石オルタネータ用制御装置」と題され、2004年6月6日に出願されたクアジらによる米国特許出願第10/860,393号及び「交流発電機用制御装置」と題され、2006年2月2日に出願されたフェーバーマンら(本発明者らを含む)による米国特許出願第11/347,777号明細書に記載のものが挙げられる。上記同一権利者による出願を、その全文が本明細書に記載されたものとしてここに援用する。
【0013】
広範囲のロータ速度への対応の必要性は、自動車用途において特に切実である。例えば、大型ディーゼルトラックエンジンは、通常、アイドル時の600RPMから幹線道路上での速度における2600RPMまでの回転数で動作するが、エンジンがトラックの減速のために用いられる場合に回転数は時として3000RPMにもなる。従って、オルタネータシステムにおいて、RPM変動比は5:1である。軽負荷ディーゼルエンジンはこれよりも若干広い範囲、例えば、600〜4000RPMの回転数で動作する。ガソリン車輌エンジンに用いられるオルタネータは、更に広いRPM範囲、例えば、600〜6500RPMに対応可能でなければならない。加えて、このオルタネータは、負荷の変動、即ち0負荷から負荷限度にも対応可能でなければならない。よって、ガソリン車輌エンジンと共に用いられる永久磁石オルタネータにおいては、出力電圧変動比は12:1にもなる。従って、従来型の永久磁石オルタネータにおいて、一定の負荷の下でのアイドル時に(例えば12ボルトの)動作電圧を提供する必要がある場合、この負荷におけるエンジンの最大RPMにおいては、この動作電圧の数倍、例えば10倍の電圧、例えば120ボルトが提供されることになる。アイドル時の電圧が例えば、電気駆動空調装置又は通信機器用に120Vである場合、エンジンの最大RPMにおいて電圧は、例えば1200ボルトにもなる。このような電圧レベルに対処するのは困難であり、実際のところ危険でもある。また、このような極端な電圧・電流変動に対しては、より高価な部品が必要となる。エンジンのRPMが高い場合(例えば幹線道路上でのスピード)に発生する高い電圧・電流に対応した部品は、中程度の電圧に対応した部品と比べ非常に高価である。
【0014】
従来の高電流自動車オルタネータにおけるステータは、効果的に直列に接続された断面積の大きい導電体で構成される。より詳細には、それぞれが各位相(A、B及びC相)に対応した複数のコイルの組が従来用いられている。各位相コイルの組(A、B及びC)は、その一端側において「Y」又は「Δ」状に互いに接続(終端)されている。これらコイルの組の他端は、各位相が分離されるように位相毎に配置され、次いで終端されて集められ、オルタネータから延出され電圧制御装置に向けられる。出力終端においては、同一位相のコイルの端部が、絶縁モータリードワイヤにグループ化されて半田付けされる。更には、これらのモータリードワイヤを、各位相A、B及びC用の3個の独立した導電体の末端となる更に大きなゲージモータリードワイヤにグループ化して半田付けしてもよい。これらのリードワイヤは、導電体をステータのエンドターンに結びつけることによりステータに固定される。導電体をエンドターンに結びつけることにより、オルタネータを通過する冷却流体に曝される銅の量が減少する。これにより事実上、導電体は断熱ブランケットとして機能し、エンドターン及びリードワイヤの冷却が妨げられる。この巻回方法においては、いくつかの更なる問題が存在しうる。例えば、極位相コイル毎の巻数が小さいため(場合によっては巻数が1)、位相極コイルの巻数を変えることによって設計出力電圧を細かく変えることは困難又は不可能である。また、導電体の断面積が大きいため、ステータの巻回が困難となる。また、コイル間に短絡が生じると、通常、ステータ全体が焼き切れてオルタネータが停止し、駆動システムに損傷を与えたり、車輌のエンジンが過負荷となったりする可能性がある。
【0015】
一般に知られている永久磁石オルタネータにおいては、所定数の歯の周囲にスロットを介して巻かれた所定数の独立した巻線の組が組み込まれており、各組により提供される出力はその他の組の状態によってそれほど影響されない。例えば、このようなオルタネータは、その制御装置とともに、スコットらに1999年5月4日付けで付与された米国特許第5,900,722号明細書に記載されている。この米国特許第5,900,722号明細書に記載されたオルタネータにおいては、巻線の組の数が極の数の整数分の1に等しくなっており、所望の出力を得るために、制御回路は個々の巻線の組への電流経路を選択的に完成させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、比較的容易に巻回可能であり、短絡の影響を最小限に抑え、更には同時に冷却を容易にする位相極コイルを用い、その巻数を変えることにより所望の出力電圧を得ることができる小型・高出力オルタネータに対する必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の種々の態様において、ステータの巻線は所定数の極位相コイルとして巻回され、極位相コイルの数は磁極の数と等しいのが好ましい。各極位相コイルは、オルタネータの必要出力を発生するのに十分な巻数で巻回され、更に各極位相コイルにおける出力電流の割合は、1/(磁極の数)に等しくなっている。個々の極位相コイルは並列に接続される。
【0018】
本発明の他の態様において、各出力位相に対応する導電位相リングは、そのそれぞれに、その位相に対応するコイルが電気的に接続された状態でオルタネータ内に組み込まれ、冷却、グループ化及び出力位相の制御システムへの伝送を容易にしている。
【0019】
本発明の他の態様において、導電位相リングは非導電支持構造体によって所定の位置に保持される。
【0020】
本発明の他の態様において、導電位相リングは、導電位相リング及びエンドターンを通過する冷却流体、例えば空気に曝されることにより効率的な冷却効果が得られるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、機械的エネルギーと電気的エネルギーとの変換を行うシステムのブロック図である。
【図2A】図2Aは、本発明の種々の態様に係るオルタネータの外観の側面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示すオルタネータのA−Aに沿った断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示すオルタネータのB−Bに沿った簡略断面図であって、オルタネータ内における導電位相リングの相対配置を示す図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示すオルタネータにおける端子の簡略断面図である。
【図2E】図2Eは、導電位相リングの他の実施形態を示す図である。
【図2F】図2Fは、図2Aのオルタネータのステータコア及び導電位相リングの簡略斜視図であり、導電位相リングとそれに対応する巻線の組との接続を示す図である(巻線のエンドターンは省略)。
【図2G】図2Gは、本発明における位相リングを利用し、直流電圧を出力するように構成されたオルタネータの概略ブロック配線図である(図2A〜2Gを、図2と総称する。)。
【図3A】図3Aは、本発明の種々の態様に係るオルタネータの他の実施形態の外観の側面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示すオルタネータのC−Cに沿った断面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aのオルタネータのステータコア及び分割導電位相リングの簡略斜視図であって、分割導電位相リングとそれに対応する巻線の組との接続を示す図である(巻線のエンドターンは省略)。
【図3D】図3Dは、本発明における分割位相リングを利用し、直流電圧を出力するように構成されたオルタネータの概略ブロック配線図である(図3A〜3Dを、図3と総称する。)。
【図4A】図4Aは、本発明の種々の態様に係るオルタネータの他の実施形態の外観の上面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示すオルタネータのD−Dに沿った断面図である。
【図4C】図4Cは、図3Aのオルタネータのステータコア及び多重分割導電位相リングの簡略斜視図であって、多重分割導電位相リングとそれに対応する巻線の組との接続を示す図である(巻線のエンドターンは省略)。
【図4D】図4Dは、本発明における多重分割導電位相リングを利用し、直流電圧を出力するように構成されたオルタネータの概略ブロック配線図である(図4A〜4Dを、図4と総称する。)。
【図5】図5は、本発明の各実施形態において用いられるステータにおける1つの3位相極グループ内の3個の巻線のそれぞれを示す概略ブロック配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に従い説明する。図面において、特に明記しない限り、同じ名称は同じ部材を示す。
【0023】
図1を参照すると、本発明の種々の態様に係るオルタネータ102等の動力変換装置は、整流制御システム100、例えばエンジンやタービン等の機械的エネルギー源(例えば駆動装置)104及びモータ等の負荷106と適宜協働し、必要に応じてバッテリやコンデンサ、フライホイール等のエネルギー貯蔵装置108とも協働する。
【0024】
整流制御システムは、オルタネータ102からの交流信号を整流し、即ち、交流信号を直流信号に変換し、直流信号の電圧を所定のレベル、例えば28Vに調整するのに適していればどのようなシステムでもよい。フェーバーマンら(本発明者らを含む)により、「交流発電機用制御装置」と題され、2006年2月2日に出願された同一権利者の米国特許出願第11/347,777号明細書に記載されるように、好ましい実施形態において、システム100は、制御装置110及びスイッチングブリッジ112を備える。必要に応じて、インバータ(負荷106の構成要素に分類される場合がある)を設け、所定の一定周波数及び振幅(例えば60Hz、120V)の交流信号を生じるようにすることもできる。
【0025】
一般に、オルタネータ102は、エネルギー源104からの機械的な入力に応じて交流出力を生じる。オルタネータ102は多相(例えば3相、6相等)交流出力信号、例えば、位相A(118)、位相B(120)及び位相C(122)を提供するのが好ましい。これらの出力信号は通常調整されておらず、駆動RPM(ソース104)に応じて大きく変動する。
【0026】
オルタネータ102からの交流位相信号は、好ましくは入力ヒューズ128を介してシステム100に入力される。システム100は、オルタネータ102からの交流信号を整流し、即ち、交流信号を直流信号に変換し、直流信号の電圧を所定のレベル、例えば28Vに調整する。好ましい実施形態において、スイッチングブリッジ112は、制御装置110からの制御信号に応じて、前記交流信号の各種位相ごとにオルタネータ102から負荷106までの導通経路を選択的に提供する。スイッチングブリッジ112の例は、同一権利者による同時係属出願である2006年2月2日に出願されたフェーバーマンら(本発明者らを含む)による米国特許出願第11/347,777号明細書に示されている。制御装置110は、調整された出力信号を所定電圧で生成するために、スイッチングブリッジ112に対する制御信号を選択的に生成する。制御装置110は、入力114において内部から、あるいは入力140において外部から、調整された出力を適宜サンプルし、適正な出力を維持するために、ブリッジ112に対する信号を調整する。更には、出力電流を入力116において検出し、ブリッジ112に対する制御信号をさらに修正する。
【0027】
調整された直流信号、すなわち電圧調整された出力(Voltage Regulated Output)(VRO)は、適宜出力ヒューズ136を介して負荷106及びエネルギー貯蔵装置108に入力される。負荷106は、電力を使用する任意の装置であり、例として、ランプ、モータ、ヒータ、電子機器、およびインバータやDC−DCコンバータ等の出力変換機が挙げられる。エネルギー貯蔵装置108は、制御システム110の出力をフィルタリング又は円滑化する(ただし、各種実施形態において、制御装置110自身が適当なフィルタリング機能を内蔵あるいは別途実現してもよい。)。
【0028】
システム100は、必要に応じて他の出力150及び160を提供することもできる。更には、システムの保護のために適切なクローバー回路142を設けることもできる。
【0029】
オルタネータ102は、同一権利者による同時係属出願である「小型高出力オルタネータ」と題され2004年7月12日に出願されたチャールズ・Y・ラフォンテーヌ及びハロルド・C・スコットによる米国特許出願第10/889,980号明細書に記載されたタイプのオルタネータであることが一般に好ましい。しかしながら、オルタネータ102は、各極毎に巻線の組(各相に対応する少なくとも一つの巻線を含む)を有し、一つの位相に対応する巻線の全ては並列に接続されている。上記のラフォンテーヌらによる出願を、その全文が本明細書に記載されたものとしてここに援用する。
【0030】
本発明の一態様によれば、同一位相に対応するコイル間の並列接続は、対応する導電位相リング138によってなされ、この接続は、導電位相リング138とオルタネータの出力端子262との間に配置された可融性リンク124を含む。各コイルの出力は、対応する導電位相リング138によって集められ、導電位相リング138は対応する出力端子126に接続されている。
【0031】
オルタネータ102の極の総数が増えると、コイルの数も増える。従来のコイル集約方法においては、モータワイヤを従来の方式で絶縁されたモータリードワイヤに半田付する。オルタネータの定格出力を大きくした場合、モータリードワイヤの負荷容量もそれに応じて大きくする必要がある。リードモータワイヤの負荷の増加は通常、単ワイヤのゲージを大きくするか複数のワイヤを並列に使用することによってワイヤの累積ゲージを大きくすることにより達成される。この結果、モータリードワイヤの断面積が飛躍的に大きくなる。コイルの総数及びそれらのエンドターン、またリードワイヤ及びその絶縁を考慮すると、上述のようにして得られる、導電体とモータリードワイヤとが結合されたステータアセンブリはエンドターンを断熱し、冷却の観点からは好ましくない。また、得られたアセンブリにおいては、エンドターンの冷却を唯一可能としている冷媒流(例えば空気流)が制限され、冷却効果が更に減少する。
【0032】
従って、比較的容易に巻回可能であり、短絡の影響を最小限に抑え、更には同時に冷却を容易にする位相極コイルを用い、その巻き数を変えることにより所望の出力電圧が得られる小型高出力オルタネータが必要とされている。本発明の種々の態様によれば、このような小型高出力オルタネータは、所定数の極位相コイル、好ましくは磁極の数と同数の極位相コイルを採用し、各極位相コイルを、オルタネータの所要出力を発生するのに十分な巻数で(比較的小径のワイヤを用いて)、且つ各極位相コイルにおける出力電流の割合が1/(磁極の数)に等しくなるように巻回し、好ましくは導電位相リング(集電体)138を使用して個々の極位相コイルを並列に接続することによって実現される。導電位相リング138を使用することにより、オルタネータ102の組み立てが大幅に簡略化されるばかりではなく、巻線の冷却が容易になる。
【0033】
より詳細には、オルタネータ102は、好ましくはテーパ突出部204とねじ部206とを含むシャフト202と、ロータ208と、ステータ210と、前側エンドプレート212と、前側軸受214と、止めナット216と、後側エンドプレート218と、後側シャフト保持リング220と、後側軸受222と、後側止めナット224と、外側ケーシング226と、各連結棒(図示せず)とを備えるのが好ましい。ロータ208はシャフト202に取り付けられ、シャフトと共に回転する。ステータ210はロータ208内に近接して収容され、ロータ208から薄いエアギャップ228の分だけ離間している。前側エンドプレート212、前側軸受214、後側軸受222、後側エンドプレート218、外側ケーシング226及び連結棒は、協働して支持アセンブリとなり、シャフト202、ロータ208及びステータ210の位置関係を維持する。シャフト202は、前側エンドプレート212及び後側エンドプレート218にそれぞれ取り付けられた軸受214及び222によって支持される。軸受214及び222は、シャフト202を回転可能に保持するとともに、前側及び後側エンドプレートに対して同心且つ垂直になるように位置合わせする。ロータ208はシャフト202に取り付けられ回転するが、テーパシャフト部204を介して確実に位置を定められている。後側エンドプレート218は、ステータ210を、ロータ208内でシャフト202及びロータ112に対して適切な位置に配置されるように搭載し位置決めする。外側ケーシング226は、その軸(好ましくは円筒形)に対して垂直な端面を有し、前側エンドプレート212と後側エンドプレート218との間に配置される。連結棒は、エンドプレート218及び212を外側ケーシング226に対して押し付け、これにより各部材はまっすぐに適正位置に保持される。
【0034】
自動車用オルタネータの典型的用途においては、プーリ230がシャフト202の端部に取り付けられる。エンジン(例えば、104、図2には示さず)の動力は、適切なベルトドライブ(図示せず)を介してプーリ230に、従ってシャフト202に伝達される。その結果、シャフト202は、ロータ208をステータ210を中心に回転させる。ロータ208は磁界を発生し、この磁界はステータ210の巻線と相互作用する。磁界が巻線と交差すると、電流が生じ、適切な負荷に供給される。
【0035】
ロータ208は、エンドキャップ232と、円筒状ケーシング234と、ケーシング234の内部側壁にその極が互い違いになるように配置された所定数(例えば、16対)の永久磁石236とを備えるのが好ましい。ロータエンドキャップ232は、適切に実質的に開口しており、周辺部238と、各クロスアーム(図示せず)と、シャフト202との接続を提供する中央ハブ240とを含む。冷媒(例えば空気)の各通路242がエンドキャップ234を貫通して設けられ、各通路242は、周辺部238と、隣接するクロスアーム(図示せず)と、中央ハブ240とによって画定されている。
【0036】
好適には、ステータ210は、コア244と導電巻線(概略的に示す)280とを備える。好適には、コア244は、軟磁性材料、例えば、無方向性・低損失(鉛を含有しない)スチールからなる薄いシートの積層体を含み、これらのシートは所望の形状に切断され又は打ち抜かれ、位置を揃えて接合されている。コア244は通常、円筒形であり、その外周面は軸方向に刻み目が付けられている、即ち、所定数の歯とスロットを有する。好ましくは、コア244は、実質的に開口しており、中央開口部を有する。また、好適には、コア244は、後側エンドプレート218への取り付けを容易にするための軸方向貫通孔を有するクロスアームを含む。
【0037】
好適には、前側エンドプレート212は略円筒形である。好適には、前側エンドプレート212は、前側軸受214を位置決めする同軸開口部を有し中央部に配置されたハブ246と、中心開口部から半径方向に所定の距離を隔てた位置において、互いに等しい角距離をおいて配置された、各連結棒(図示せず)を収容するための各ねじ穴(図示せず)を有する周辺部と、周辺部248をハブ246に連結し、冷媒(例えば空気)の各通路250を画定する(例えば4個の)クロスアーム(図示せず)とを含む。
【0038】
後側エンドプレート218は、後側軸受222を保持して位置を定めるとともに、ステータコア244を搭載して位置を定める。好適には、後側エンドプレート218は、小径前方部254を有する段付き中央ハブ252と、ハブ252を貫通する中央開口部256とを含み、好ましくは前側エンドプレート212と同一の外径を有する略円筒形状であり、各クロスアーム(図示せず)によってハブ252に接続されている。好適には、後側エンドプレート218は、冷媒(例えば空気)の各通路258を含み、冷媒通路258は、隣接するクロスアーム(図示せず)と、外側部260と、ハブ252によって画定されている。
【0039】
ステータ巻線280からの出力は、位相リング138によって集められ、対応する出力端子262に提供される。より詳細には、出力端子262(各位相毎に設けられる)は後側エンドプレート218に好適に設けられる。好適には、端子262は、可融性リンク124を介して、対応する導電位相リング(集電体)138に電気的に接続される。出力端子262及び可融性リンク124は、導電位相リング138の周囲に径方向に配置される。各位相リング138は、例えば導電体276を介して、対応する位相のコイルを集約する(例えば、それらコイルの各々に電気的に接続されている。)。個々の導電ケーブル(例えば図2Gの294)がそれぞれ端子262に取り付けられ、位相出力を制御装置100に送る。
【0040】
導電位相リング138は、適切な導電性材料、例えばメッキ銅で形成される。好適には、位相リング138は、冷却を促進するため非絶縁化又は(例えばワニスによって)最小限絶縁されており、一旦取り付けられ周囲から力や加速度を受けても互いにアイソレートされた状態が容易に維持されるよう、十分に硬く又は剛性を有している。導電位相リングは、棒状材料から作成することもでき、また適切な材料からなるシートを打ち抜いて作成することもできる。図2に示す実施形態においては、各導電位相リング138は連続体であり、例えば一片の棒状材料の両端部を半田付けやロウ付け等によって結合することにより、1つの連続した導電リングに形成されたものである。
【0041】
連続した固形の位相リング138を使用することは、可融性リンク124への2つの電流経路が、位相リング138用の材料として、よりゲージの小さい(従ってより軽量でより安価な)材料の使用を可能にするという点で特に有利である。連続した固形の位相リング138を利用する場合、電流は、可融性リンク124を装着した位置とは180度反対側の位置において効果的に分けられる。位相リング上の可融性リンク124へ向う片半分側で導電体276によって生じた電流の全ては、効果的にその片半分側に留まり、他の片半分側において生じた電流は、その経路を辿り可融性リンク124へ至る。その結果、可融性リンク124へ経路が一つのみである導体と比べて、ゲージが約半分である位相リングが得られる。
【0042】
各リング138は冷媒流路内に配置され、互いに、また後側エンドプレート218から電気的に絶縁され離間される。好適には、導電位相リング138は、耐衝撃性が高く化学的に安定な材料、例えばポリアミド−イミドで好ましく作られた非導電性の導電位相リング取付構造体264を用いてエンドプレート218に機械的に固定され、この結果、各位相出力に対し一個づつ設けられる各導電位相リングは、互いに、また後側エンドプレート218から物理的に離間されまた電気的に絶縁される。オルタネータ102によって生じる冷媒(例えば空気)流に対する暴露を可能な限り大きくするため、導電位相リング138は、冷媒(例えば空気)通路258内に配置される。空気流に対する暴露は、隣接する位相リングの直径を徐々に変えることによって更に大きくなる。例えば、位相A(端子118)に対応する位相リング138は、エンドプレート218の内面に最も近接して配置されているが、その直径は相対的に大きい(エンドプレート218内の冷媒(例えば空気)通路258の外径に適度に近い)。位相B(端子120)に対応する位相リング138は、後方にずらして同軸上に適切に配置され、その直径はより小さくなっている(好適には、位相B用のリングの外径は、位相A用のリングの内径よりも所定量だけ小さい)。同様に、位相C(端子122)に対応する位相リング138は、位相B用のリング138の後方にずらして同軸上に適切に配置され、その直径はさらに小さくなっている(好適には、位相C用のリングの外径は、位相B用のリングの内径よりも所定量だけ小さい)。この配列は位相リング取付構造体264によって実現され、この配列によって、各リングは、周囲導入口温度に可能なかぎり近い温度で冷却空気流に曝される。周囲導入口から最も離れたリングの直径が最大であることが好ましい。
【0043】
図2Dを参照すると、好適には、出力端子アセンブリ126は、好ましくは高導電性耐腐食材料(例えばメッキ銅)からなるねじ切りされた導電性スタッド266と、出力端子をオルタネータの後側エンドプレート218から電気的に絶縁するための、好ましくは耐衝撃性が高く化学的に安定な材料(例えばポリアミド−イミド)からなる非導電性ブッシング268とを備える。好ましい実施形態におけるねじ切りされた導電性スタッド266は一体化された肩部270を有する。肩部270は、オルタネータの後側エンドプレート218の内側における座面として機能し、ナット272でエンドプレート218に締め付けることが可能となり、それによってアセンブリが後側エンドプレート218に取り付けられる。
【0044】
可融性リンク124は、例えば、オルタネータ102、制御装置100又はこれらの機器によって給電される電気システムを破壊すると予想される負荷が加えられた場合に溶融するように直径と長さを計算されたワイヤ(好ましくはメッキ銅)等の適切な材料によって作られる。好ましい実施形態において、可融性リンク124は、ねじ切りされた導電性スタッド266と導電位相リング138の両者に半田付け又はロウ付けされる。可融性リンクを固定するための他の方法としては、可融性リンク124の端部に適切なラグを取り付け、このラグを、ねじ切りされたナットを用いてスタッド266に機械的に固定する方法がある。
【0045】
特に図2B及び2Cを参照すると、導電位相リング138は構造体264に固定されている。導電位相リング138は、冷媒経路内に配置されて、冷媒流(例えば空気流)274に曝され、これにより、導電体276(コイル巻線を位相リングに接続している)とともに導電位相リング138が冷却される。リング取付構造体264は、位相リング138とステータのエンドターン(図示せず)との間に空隙を形成するように配置される。この空隙により、ステータ後側のエンドターンが冷却流体に曝されるが、これは従来の巻回ステータにおいては成し得なかったことである。
【0046】
冷媒(例えば冷却空気)は、オルタネータを通り抜け、ステータ210の巻線のエンドターン280に当たり、エンドターンを冷却する。次いで、空気流は分岐され、ステータのコア244を通り抜け空洞278に入り、その際ステータ210の遠位におけるエンドターンを冷却する。分岐された空気流の他方は、ロータケーシング234と外側ケーシング226との間を通り、ロータケーシング234及び磁石236を冷却する。分岐した空気流は、空気流路250において合流し、オルタネータから遠心ファン282へと流れ出る。
【0047】
導電体276は、1つの3位相極グループを構成するA位相用部材118と、B位相用部材120と、C位相用部材122とを備え、後述するように、ステータ210から延出され、対応する導電位相リング138にそれぞれ半田付け又はロウ付けされる。好ましい実施形態において、導電体276は、空気流274に曝される。場合によっては、導電体276を薄肉電気絶縁材料、例えばノーメックスで覆い、接地するのを防ぐのが望ましい。
【0048】
次に図2Eを参照すると、導電位相リング138を作成する他の方法としては、導電位相リングが、孔284を開け、その孔にねじを切るのに適した表面を有する長方形材料から形成されている。この実施形態において、可融性リンク124の端部は、例えばねじ式締め具288によって締められる適切なラグ286を用いて導電位相リング138に取り付けることができる。同様に、導電体276にも同様なラグを装着して、締め具290を用いて導電体276を導電位相リング138に固定することもできる。次いで、導電位相リング138は、264と同様な適切な構造体を用いて同様な方法によって後側エンドプレート218に固定される。あるいは、スロット292を等間隔で各位相リングに刻み入れることができ、ステータから延出される個々の導電体を半田付けすることができる。この組み立て方法の、前述した導電体276を位相リング138に固定する方法に対する主要な利点は、電気モータを製造する際に導電体を終端処理するのに用いられる既存の超音波半田付け装置を改変することにより組み立ての自動化を実現できることである。
【0049】
ここで図2Fを参照すると、ステータ210は、分りやすくするためにコイルを省略して図示してあり、個々の導電体276も大幅に簡略化してある。この特定の実施形態においては、A、B及びCの3位相にそれぞれに対応した各位相リング138は、一片の絶縁されていない耐腐食性導電性材料、例えばメッキ銅を半田付け、ロウ付け又は加工することにより連続体として形成される。図示された端子126は、A位相用118、B位相用120、及びC位相用122である。各極の組の出力は、位相リング138を介してオルタネータ内で集められ、3位相全てに相当する3個の導電体を介してオルタネータから出力され、制御装置100に送られる。
【0050】
ここで図2Gを参照すると、A、B及びC位相用巻線118、120及び122からの導電体276のそれぞれは、対応する集電位相リング138において終端し、これら各集電位相リング138は導電体294を介して制御装置100に接続される。制御装置100の出力は、用途により定められた電圧、例えば、直流28Vに電圧調整された出力(Voltage Regulated Output)すなわちVROとなる。
【0051】
出力端子264と制御装置100との間に結合された導電体294は、電流を適切に運ぶのに十分なゲージとされている。ワイヤ又はケーブルのゲージが大きくなるにつれ、その大ゲージワイヤの曲げ半径が大きくなるため、ケーブルを引き回すのが困難になる。その結果、多くの用途においては、ゲージの非常に大きなワイヤ又はケーブルを使用するのが困難である。後述するように、大型の導電体が適していない用途においては、位相リングを複数のセクションに分割することができ、各位相リングセクションには、そのセクションにおいて生じる少量の電流を運ぶのに適したサイズの導電体を割り当てることができる。
【0052】
例えば、複数の組に分割された複数の位相リングを用いることで、電流に対する要求基準を軽減することができる。ここで図3A〜3Dを参照すると、オルタネータ302においては、2組の位相リング306が、それらに対応する端子126及び可融性リンク124とともに配備されており、対応する制御装置308及び310と協働するようになっている。これらの位相リング310は、地点312及び314において電気的に分離されている。各組は、別途にA、B及びC位相成分を運び、各成分は対応する制御装置308又は310に導かれる。後側エンドプレート304は、第2の組の端子126を収容するように加工されているという点以外は、全ての点でエンドプレート218と同じである。
【0053】
ここで図3Dを参照すると、各位相リング部306は、ステータ210からの対応する導電体276を受け入れる。位相リング部306は、端子126及び導電体316を介して制御装置308又は310に電気的に接続される。端子126が位相リング部306の中央部に接続されている場合、電流は、可融性リンク124が取り付けられている位置において効果的に分割される。位相リング部上の可融性リンク124へ向う片半分側で導電体276によって生じた電流の全ては、効果的にその片半分側に留まり、他の片半分側において生じた電流は、その経路を辿り可融性リンク124へ至る。その結果、可融性リンク124へ経路が一つのみである導体と比べて、ゲージが約半分である位相リング部が得られる。導電体316のゲージは、その用途に特有の要求に応じて大きさを調整できる。例えば直流28Vで600ampの出力を適切に伝導するのに必要な導電体のサイズを考えると、最新のエンジン室には提供できるスペースが殆どない。超高出力用途において、導電体316が運ぶ電流を半分にすることにより、ケーブルの引き回しが非常に容易になる。更には、制御装置においても、それに応じた利点が得られる。アンペア数が増加するにつれ、部品のサイズやコストも増加するが、この増加は線形ではない。従って、導電体が運ぶ電流と、更には制御部品を半分にすることにより、場所とコストの節約ができる。
【0054】
電流に対する要求は、位相リングを複数の部分に分割することにより更に低減することができる。例えば、図4A〜4Dを参照すると、位相リングを4つのセクション406に分割でき、これらは地点416、418、420及び422において電気的に分離されている。対応する一組の端子118、120及び122が各位相リングセグメント毎に設けられており、対応する制御装置408、410、412及び414に接続されている。位相リング部306の場合と同様に、端子126は位相リング部406の中央部に接続され、電流は、可融性リンク124が取り付けられている位置において効果的に分けられる。位相リング部上の可融性リンク124へ向う片半分側で導電体276によって生じた電流の全ては、効果的にその片半分側に留まり、他の片半分側において生じた電流は、その経路を辿り可融性リンク124へ至る。その結果、可融性リンク124へ経路が一つのみである導体と比べて、ゲージが約半分である位相リング部が得られる。制御装置408、410、412及び414の出力端子は、並列に接続され、出力VRO+及びVRO−が供給される。
【0055】
前述のように、ステータのコア210は略円筒形であり、その外側周面は軸方向に刻みが入れられ、等間隔に並んだ所定数の歯とスロットを有している。導電巻線(ワニス銅モータワイヤ等の適切に絶縁された電気伝導体から形成される)は、スロットから他のスロットへと、所定数の歯の周囲にコアの側面の外側に沿って巻回される。次に図5を参照すると、ステータのコア210は、所定数、例えば36個のスロット(図5においては概略的に表されており、参照符号1〜36で示されている)を含む。各導電巻線は、ロータの各磁極に対応した、所定数の個別の位相コイル(位相A、B及びC用)を含む。3相オルタネータの各極位相コイルは、位相A用極コイル518と、位相B用極コイル520と、位相C用極コイル522とを備え、これらがまとまって1つの極位相コイルグループ526を形成する。オルタネータの極毎に、1つの極位相コイルグループ(例えば、12極オルタネータにおいては12組の極位相コイルグループ)が設けられ、「Y」接続部524において協働する。12極オルタネータの極位相コイル導電体526は、それぞれ対応する導電位相リング506、508及び510に取り付けられる。
【0056】
例えば、一つの極位相コイル522(極グループ1の位相C用)はステータ210のスロット36と3の周囲に巻回される。コイル522を構成する導電体526の巻数は、オルタネータの一位相分の定格出力電圧を生じるのに必要な巻数と等しくされている。個々の位相コイルが担う出力電流の割合は、1/(オルタネータの磁極の数)に等しくなる。従って、個々の極位相コイルは、比較的細いワイヤを用い比較的巻数を多くして形成される。
【0057】
この構成により、オルタネータの製造時及びオルタネータの動作時の両者において多くの利点が得られる。
【0058】
個々の極位相コイルは、比較的巻数を多くして形成されるため、巻数を変えることによって設計電圧の小幅な変更を実現できる。例えば、全ての極位相コイルが直列に接続され、従来の方法で巻回されたある特定の12極オルタネータにおいては、1940rmpにおいて直流14V(適切な整流後)、300アンペアを得るためには、ワイヤゲージ6.285に等しい導電体の巻数1.0417が必要になると思われる。この巻数も、またそれと同等のワイヤゲージも、製造上実用的な数ではない。極位相コイルを並列に接続した本実施例のオルタネータを構成することにより、各極位相コイルの巻数は、17ゲージワイヤを用いた場合12.5となる。(なお、1/2巻は、極位相コイルの一端(開始端と呼ぶ)をステータ積層体の一方の側で終端させ、他端(終了端と呼ぶ)をステータ積層体の他の側で終端させることにより形成できる。この構成を図18Aに示す。)上記の例において、当初の設計巻数を変更し1.0833(繰り返すが、非実用的な数である)に増加させる場合、rpmは減少し1894となる。上記の他方の構成においては、各並列極位相コイルの巻数を増加させ13にすることにより、上記変更を達成することができる。導電体の断面積が比較的小さいため、コイルの巻回はより容易になる。
【0059】
極位相コイルの巻線間で短絡が起こると、オルタネータで生じる出力の大部分が短絡したコイルを流れる。コイルは、断面積の比較的小さな導電体を用い比較的巻数を多くして構成されているため、短絡した巻線は、非常に短時間で溶融し、短絡は解消される。開路した一個の極位相コイルによる出力の減少は、約1/(磁極の数+位相の数)である。例えば、12極3相オルタネータにおいて、極位相コイルの一つが短絡しその後短絡が自己解消した際の出力の減少は、約3%である。
【0060】
例えば、極位相コイルの巻線間の短絡は、通常2秒より短い時間で解消される。オルタネータ駆動システムに対する損傷は無く、エンジンは余分な負荷無しに運転し続け、オルタネータは接続された負荷に対して出力を供給し続ける。導電位相リング138は、Aリング506、Bリング508及びCリング510として個別に識別されている。3個の極位相コイル導電体、すなわちA位相512、B位相514及びC位相516は、分りやすくするために概略的に描かれている。この図において、一組の極位相コイルグループを構成する3個の極位相コイルのそれぞれは、「Y」接続部524において接続されている。前述したように、位相集電リングを用い、「Δ」接続を使用することも可能である。
【0061】
位相コイル導電体は、冷却を妨げない効率的な方式で集められている。位相コイル導電体が位相コイルのエンドターンからステータ210の面に対し90度の角度で延出している状態においては、エンドターンは最大限可能な量の空気流に曝され、その結果、エンドターンは、可能な限り最大限に冷却される。
【0062】
本発明を様々な例示的実施形態とともに説明してきたが、本発明は、ここに示された特定の形態に限定されるものでなく、本発明の精神から逸脱することなく、本発明の他の実施形態を創出しうると考えられる。以下の特許請求の範囲に表される本発明に従って、部品、材料、値、構造、およびその他の設計・配置における態様を改変してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形ケーシングと該ケーシング上に配置された所定数の永久磁石とを備え、ケーシングの軸を中心として回転するように構成されたロータと、
コアと、複数組の導電巻線とを備えたステータであって、導電巻線の各組は、所定数の個別導電巻線を含み、ある電気的位相に対応しているステータと、
導電巻線の各組に対応してそれぞれ設けられた集電導電体であって、各組の個別導電巻線の各々が、その対応する集電導電体に並列に電気的に接続されている集電導電体と、
冷媒をステータの巻線に接触させるように導く冷媒流路と、を備えた小型高出力動力変換装置であって、
前記各集電導電体は、前記冷媒流路内に配置され、互いに電気的に絶縁されるとともに、互いに及び巻線から離間され、
前記集電導電体の各々が連続した導電リングを備え、
冷却を促進するために、前記各導電リングは直径が異なり、
前記各導電リングが同心円状に配置され、互いに軸方向にずらされていることを特徴とする小型高出力動力変換装置。
【請求項2】
各導電リングに対応してそれぞれ設けられた出力端子アセンブリであって、該リングと一点で電気的に接続された出力端子アセンブリを更に含み、この端子アセンブリの接続点とは異なる位置において該リングに接続された前記個別導電巻線から供給される電流が、出力端子アセンブリの接続点と該リング上において該接続点から約180度の位置の点とによって描かれる2つの経路のうちの一つを通るようになっていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】
前記端子アセンブリが、導電スタッドと、該スタッドとそれに対応する導電リングとの間に電気的に接続された可融性リンクとを含むことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項4】
前記導電リングを所定配置に維持するよう、前記導電リングと協働する非導電性取付構造体を更に含むことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項5】
前記リングが、両端が互いに連結された棒状材料で形成されていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項6】
前記リングが、導電性材料からなるシートを打ち抜いて形成されていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項7】
前記リングが矩形材料で形成されていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項8】
前記集電導電体を所定配置に維持するよう、前記集電導電体と協働する非導電性取付構造体を更に含むことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項9】
冷却を促進するため、前記集電導電体が絶縁されていないことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項10】
前記リングを周囲導入口温度で冷却流体に曝すため、前記取付構造体が、前記リングの組を軸方向に同心円状に支持することを特徴とする請求項4の装置。
【請求項11】
前記リングが、通常運転時における加速時にそれらの形状を維持できる程度に比較的硬質であることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項12】
前記集電導電体のそれぞれが、電気的位相毎に、所定数の導電円弧部からなる組を備え、その所定数の導電円弧部は互いに電気的に絶縁されサイズが同一であることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項13】
各導電円弧部に対応して設けられ、該導電円弧部に一点で電気的に接続された出力端子アセンブリを更に含むことを特徴とする請求項12の装置。
【請求項14】
前記出力端子アセンブリが、導電スタッドと、該スタッドとそれに対応する導電円弧部との間に電気的に接続された可融性リンクとを含むことを特徴とする請求項13の装置。
【請求項15】
冷却を促進するために、前記導電円弧部の各組は直径が異なることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項16】
前記導電円弧部の各組が、同心円状に配置され、互いに軸方向にずらされていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項17】
前記円弧部を所定配置に維持するよう、前記円弧部の組と協働する非導電性取付構造体を更に含むことを特徴とする請求項12の装置。
【請求項18】
前記円弧部を周囲導入口温度で冷却流体に曝すため、前記取付構造体が、前記円弧部の組を軸方向に同心円状に支持することを特徴とする請求項17の装置。
【請求項19】
前記円弧部に接続された前記一点が、前記円弧部のほぼ中央点であることを特徴とする請求項13の装置。
【請求項20】
前記円弧部が棒状材料で形成されていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項21】
前記導電円弧部が矩形材料で形成され、前記個別巻線を収容するように構成された各切込み部を含むことを特徴とする請求項12の装置。
【請求項22】
前記集電導電円弧部が、通常運転時における加速時にそれらの形状を維持できる程度に比較的硬質であること特徴とする請求項12の装置。
【請求項23】
前記ロータにおける各磁極に対応した個別位相コイルが、導電円弧部の組のそれぞれに均等に配分されていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項24】
前記集電導電体のそれぞれが、電気的位相毎に、2個の導電円弧部からなる組を含み、該2個の導電円弧部は互いに電気的に絶縁されサイズが同一であることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項25】
前記集電導電体のそれぞれが、電気的位相毎に、4個の導電円弧部からなる組を含み、該4個の導電円弧部は互いに電気的に絶縁されサイズが同一であることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項26】
冷媒流路が、前記ステータのコアを通る流路と、前記ロータを通る流路とを含むことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項27】
前記個別導電巻線が、個別巻線の短絡条件下においては、該個別導電巻線が溶融し短絡を解消する程度に比較的小さい直径を有することを特徴とする請求項1の装置。
【請求項1】
円筒形ケーシングと該ケーシング上に配置された所定数の永久磁石とを備え、ケーシングの軸を中心として回転するように構成されたロータと、
コアと、複数組の導電巻線とを備えたステータであって、導電巻線の各組は、所定数の個別導電巻線を含み、ある電気的位相に対応しているステータと、
導電巻線の各組に対応してそれぞれ設けられた集電導電体であって、各組の個別導電巻線の各々が、その対応する集電導電体に並列に電気的に接続されている集電導電体と、
冷媒をステータの巻線に接触させるように導く冷媒流路と、を備えた小型高出力動力変換装置であって、
前記各集電導電体は、前記冷媒流路内に配置され、互いに電気的に絶縁されるとともに、互いに及び巻線から離間され、
前記集電導電体の各々が連続した導電リングを備え、
冷却を促進するために、前記各導電リングは直径が異なり、
前記各導電リングが同心円状に配置され、互いに軸方向にずらされていることを特徴とする小型高出力動力変換装置。
【請求項2】
各導電リングに対応してそれぞれ設けられた出力端子アセンブリであって、該リングと一点で電気的に接続された出力端子アセンブリを更に含み、この端子アセンブリの接続点とは異なる位置において該リングに接続された前記個別導電巻線から供給される電流が、出力端子アセンブリの接続点と該リング上において該接続点から約180度の位置の点とによって描かれる2つの経路のうちの一つを通るようになっていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】
前記端子アセンブリが、導電スタッドと、該スタッドとそれに対応する導電リングとの間に電気的に接続された可融性リンクとを含むことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項4】
前記導電リングを所定配置に維持するよう、前記導電リングと協働する非導電性取付構造体を更に含むことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項5】
前記リングが、両端が互いに連結された棒状材料で形成されていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項6】
前記リングが、導電性材料からなるシートを打ち抜いて形成されていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項7】
前記リングが矩形材料で形成されていることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項8】
前記集電導電体を所定配置に維持するよう、前記集電導電体と協働する非導電性取付構造体を更に含むことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項9】
冷却を促進するため、前記集電導電体が絶縁されていないことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項10】
前記リングを周囲導入口温度で冷却流体に曝すため、前記取付構造体が、前記リングの組を軸方向に同心円状に支持することを特徴とする請求項4の装置。
【請求項11】
前記リングが、通常運転時における加速時にそれらの形状を維持できる程度に比較的硬質であることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項12】
前記集電導電体のそれぞれが、電気的位相毎に、所定数の導電円弧部からなる組を備え、その所定数の導電円弧部は互いに電気的に絶縁されサイズが同一であることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項13】
各導電円弧部に対応して設けられ、該導電円弧部に一点で電気的に接続された出力端子アセンブリを更に含むことを特徴とする請求項12の装置。
【請求項14】
前記出力端子アセンブリが、導電スタッドと、該スタッドとそれに対応する導電円弧部との間に電気的に接続された可融性リンクとを含むことを特徴とする請求項13の装置。
【請求項15】
冷却を促進するために、前記導電円弧部の各組は直径が異なることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項16】
前記導電円弧部の各組が、同心円状に配置され、互いに軸方向にずらされていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項17】
前記円弧部を所定配置に維持するよう、前記円弧部の組と協働する非導電性取付構造体を更に含むことを特徴とする請求項12の装置。
【請求項18】
前記円弧部を周囲導入口温度で冷却流体に曝すため、前記取付構造体が、前記円弧部の組を軸方向に同心円状に支持することを特徴とする請求項17の装置。
【請求項19】
前記円弧部に接続された前記一点が、前記円弧部のほぼ中央点であることを特徴とする請求項13の装置。
【請求項20】
前記円弧部が棒状材料で形成されていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項21】
前記導電円弧部が矩形材料で形成され、前記個別巻線を収容するように構成された各切込み部を含むことを特徴とする請求項12の装置。
【請求項22】
前記集電導電円弧部が、通常運転時における加速時にそれらの形状を維持できる程度に比較的硬質であること特徴とする請求項12の装置。
【請求項23】
前記ロータにおける各磁極に対応した個別位相コイルが、導電円弧部の組のそれぞれに均等に配分されていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項24】
前記集電導電体のそれぞれが、電気的位相毎に、2個の導電円弧部からなる組を含み、該2個の導電円弧部は互いに電気的に絶縁されサイズが同一であることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項25】
前記集電導電体のそれぞれが、電気的位相毎に、4個の導電円弧部からなる組を含み、該4個の導電円弧部は互いに電気的に絶縁されサイズが同一であることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項26】
冷媒流路が、前記ステータのコアを通る流路と、前記ロータを通る流路とを含むことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項27】
前記個別導電巻線が、個別巻線の短絡条件下においては、該個別導電巻線が溶融し短絡を解消する程度に比較的小さい直径を有することを特徴とする請求項1の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【公開番号】特開2012−213321(P2012−213321A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144310(P2012−144310)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2008−556425(P2008−556425)の分割
【原出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505446873)マグネティック アプリケーションズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2008−556425(P2008−556425)の分割
【原出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505446873)マグネティック アプリケーションズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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