説明

小規模診断システム

【課題】小規模な医療施設において、撮影された画像と患者の対応付けが効率的に行えるようにすることである。
【解決手段】本発明に係る小規模診断システム100によれば、患者に対して受付順に仮IDを割り付けておき、画像生成装置1における撮影時にこの仮IDを入力してから撮影及び画像データの生成を行い、画像データと仮IDを対応付けて情報処理装置2に送信する。情報処理装置2においては、受信した画像データ及び仮IDを対応付けて一時記憶部に記憶し、患者の仮IDが入力されると、一時記憶部から検索された仮IDに対応する画像データを抽出し、撮影画像表示画面に表示する。この撮影画像表示画面の患者情報入力欄から患者情報が入力されると、入力された患者情報と画像データとを対応付けて画像DB30に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は来院した患者を撮影して画像データを生成し、当該画像データを表示して診断に提供し、表示された画像データと患者情報とを対応付け、対応付けられた画像データと患者情報を保存する小規模診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、来院した患者を、CR(Computed Radiography)装置、FPD(Flat Panel Detector)装置等の画像生成装置を用いて技師が撮影し、得られた画像が診断に提供可能となるように階調処理等の画像処理を加え、画像処理済みの画像を出力し、医師による読影に提供する診断システムが知られている。
【0003】
このような診断システムは、来院した患者を受け付け、撮影オーダを発行する担当(受付)、実際に患者を撮影室で撮影しデジタル画像(画像データ)を生成する担当(技師)、階調性等の得られた画像の診断提供可否を判断し、場合によってはコントラストや濃度を修正する担当(一般の技師の中かから任命された技師等)、画像に基づき疾病の有無を判断(診断)する読影担当(医師)等、複数の担当者が役割分担を行い、診断が進められる。
従来、この患者の画像はフィルム上にハードコピーされて診断に供されていたが、近年では、PACS(Picture Archiving and Communication System)等のビュワーシステムを用い、フィルムレスのシステムも登場している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記の各役割を担当する場所は、受付は1F、放射線科は地下等、広い病院内で離れた場所にあることが多く、且つ、放射線科内で、複数の患者を、複数の技師が、複数の撮影装置を使用して、同時に撮影を実行する場面が定常的であり、複数の患者が常時各工程に滞留しており、生成された画像と個々の患者との対応付けを間違うことが無きよう、各工程での作業毎にIDを付し、RIS(Radiology Information System)/HIS(Hospital Information System)等のネットワークを介して対応付けることが行われる(例えば、特許文献2、3参照)。
【0005】
例えば、1F受付窓口では、患者の主訴に基づき検査内容(撮影内容)を決定し、患者名前とともに撮影オーダ情報を登録する。図8(a)に、受付窓口で登録されるリストの一例を示す。図8(a)のリストは随時追加され、1Fの受付用のワークステーション(以下WS)に表示される。
【0006】
同時に、図8(a)のリストは、RIS/HIS等のネットワークを介して、地下階の放射線科にあるコンソール(放射線科内にあり、撮影条件の設定やRIS/HISの撮影オーダ情報を表示するワークステーションをコンソールと言う)に表示される。尚、コンソールの台数は、分散処理効率を上げる為、複数設けられていることが常であるが、これらもネットワークを介して相互に接続されていおり、任意のコンソールで、所定の検査IDが選択された時、複数の技師間での重複撮影を予防する為、当該リストに処理中である旨を告知する方法(フラッシング表示や色を変える、又は、同一検査を選択するとビープ警告する等)が用いられる。
【0007】
放射線科の技師は、自分の身近にあるコンソールを用い、表示されたリスト上からこれから撮影する検査IDを選択し、使用するCRプレート(カセッテ)のIDを登録する(図8(b)参照)。
【0008】
技師は撮影枚数分のカセッテを持ち、撮影室へ移動し、患者の撮影を行う。その後、撮影済みカセッテを読取装置で読み取る。読取装置は、挿入されたカセッテに貼り付けられたカセッテIDを読み取り、画像データに付帯させて当該カセッテIDを送信し、最終的に検査ID(患者ID)と生成される画像データの対応が付けられる。生成された画像データは、技師が前記検査IDを選択したコンソールに送信され、コンソールに表示される。この段階で、撮影ポジショニングの確認を行い、ポジショニング不良の場合は再撮影を行い、濃度やコントラストの修正や周波数強調処理を適用するか否か等も判断する。この後、当該画像を読影待ち(診断待ち)サーバに保存する。
【0009】
読影医は、読影室のワークステーション(ビュワー機能用に高精細モニタである場合が多い)、前記読影待ちサーバに保存された画像から所定の患者に係る画像を抽出表示させ、読影(診断)を行う。
【特許文献1】米国特許第5,235,510号
【特許文献2】特開2002−159476号公報
【特許文献3】特開2002−311524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本願発明者等の調査分析によれば、開業医やクリニックのような比較的小規模な施設の場合は、画像生成装置の台数も少なく、助手が患者のポジショニングを行い、ポジショニング完了連絡を受け医師がX線曝射スイッチ制御する場合や、患者のポジショニング含め全ての操作を医師自身が行う場合も多い。
【0011】
更に、小規模施設用のレセプト用コンピュータ(レセコン)との連携で、前述する対応付けも考えられるが、各装置メーカの仕様の相違等により統一的な運用が困難な状況であり、そもそも、前述する大規模施設での構成コンセプトのまま各装置の数を少なくしても、小規模施設に最適とは言えない。
【0012】
本発明の課題は、小規模な医療施設において、撮影された画像と患者の対応付けが効率的に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、
来院した患者の検査対象部位を撮影して画像データを生成する一以上の画像生成装置と、前記生成された画像データに基づいて画像を表示手段に表示させ、当該表示された画像と前記患者に関する患者情報とを対応付けて保存手段に保存する情報処理装置と、を備えた小規模診断システムにおいて、
前記画像生成装置は、
前記患者に割り付けられた仮IDを入力する入力手段と、
前記患者の検査対象部位を撮影し、画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成装置の入力手段により前記患者に割り付けられた仮IDが入力され、前記画像生成手段により前記患者を撮影した画像データが生成されると、前記入力された仮IDを前記生成された画像データの付帯情報として付帯させて前記情報処理装置に送信する制御手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記画像生成装置から送信された画像データ及びこれに付帯する仮IDを対応付けて一時的に記憶する一時記憶手段と、
操作入力を行うための入力手段と、
前記情報処理装置の入力手段からの前記患者の仮IDの入力を受け付け、前記入力された仮IDを付帯した画像データを前記一時記憶手段から抽出するとともに、前記入力手段からの前記患者に関する患者情報の入力を受け付け、前記抽出された画像データに付帯された付帯情報の内容を前記入力された患者情報で上書きし、当該情報処理装置が有する保存手段又は外部の保存手段に保存する制御手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記情報処理装置の制御手段は、前記患者情報の入力の受け付け時に、前記抽出された画像データに基づく画像を前記表示手段に表示することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記情報処理装置の制御手段は、前記保存手段に前記画像データを保存後、前記一時記憶手段に記憶された当該画像データを消去することを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記画像生成装置の入力手段は、テンキーであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、画像生成装置で撮影対象の患者に割り付けられた仮IDを入力するという簡単な操作を行うのみで、情報処理装置において、一時記憶手段に記憶された画像データの中から仮IDに基づいて当該患者の画像データを抽出し、患者情報と対応付けることができるので、小規模な医療施設において、画像生成装置における撮影の同時進行が発生しても患者と画像データの対応付けを間違いなく行うことが可能となる。また、患者情報は情報処理装置のみで扱われるので、従来に比べ、医療施設内での個人情報保護を強化することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、操作者が、表示手段に表示された画像を確認しながら患者情報と画像との対応付けを行うことが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、一時記憶手段でその容量分の画像データがたまってしまい、画像生成装置からの画像データを一時記憶手段で記憶できなくなるといった不具合を防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、画像生成装置からの仮IDの入力をテンキーの操作により容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1は、本実施の形態における小規模診断システム100のシステム構成を示す概念図である。小規模診断システム100は、開業医の医院やクリニックに設けられたシステムであり、図1に示すように、画像生成装置1a〜1c、情報処理装置2、サーバ3がLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介して、データが送受信可能なように接続されて構成されている。
【0022】
画像生成装置1は、例えば、CR(Computed Radiography),FPD(Flat Panel Detector),CT(Computed Tomography),MRI(Magnetic Resonance Imaging),乳房撮影装置(マンモグラフィ)、超音波撮影装置等の、患者の検査対象部位を被写体として撮影を行い、撮影した画像をデジタル変換して撮影画像の画像データを生成する画像生成手段を備えた装置である。本実施の形態においては、画像生成装置1aが超音波撮影装置であり、画像生成装置1bが内視鏡撮影装置であり、画像生成装置1cがCR装置である場合を例として説明する。
【0023】
ここで、CR装置1cは、輝尽性蛍光体を用いて被写体を放射線撮影し、被写体を透過した放射線エネルギーを輝尽性蛍光体に蓄積させ、輝尽性蛍光体に蓄積された画像を読み取ることにより撮影画像の画像データの生成を行う装置である。CR装置1cは、読取装置が放射線源を有するとともに輝尽性蛍光体を内蔵しており、撮影〜読取までを1台で行うタイプと、輝尽性蛍光体シートを収容した持ち運び可能なカセッテを用いるタイプとがある。本実施の形態においては、カセッテタイプのCR装置を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
以下、画像生成装置1の構成を、CR装置1cを例にとり説明する。
カセッテタイプのCR装置1cは、放射線源を有する撮影装置10aと、撮影装置10aにおいて放射線撮影に供されたカセッテに収容された輝尽性蛍光体シートから画像を読み取って撮影画像データを生成する読取装置10bにより構成されている(図4参照)。
【0025】
図2に、読取装置10bの機能構成例を示す。
図2に示すように読取装置10bは、CPU11、入力部12、通信部13、RAM14、記憶部15、画像生成部16等を備え、各部はバス17により接続されている。
【0026】
CPU11は、記憶部15に記憶されている制御プログラムを読み出し、RAM14内に形成されたワークエリアに展開し、該制御プログラムに従って読取装置10bの各部を制御する。また、CPU11は、制御プログラムに従って、記憶部15に記憶されている図5、又は7に示す患者・画像対応付けシーケンスにおける画像生成装置1側処理プログラムを始めとする各種処理プログラムを読み出してワークエリアに展開し、読み出したプログラムとの協働により、図5、又は7に示す患者・画像対応付けシーケンスにおける画像生成装置1側処理を始めとする各種処理を実行する。CPU11は、図5、又は7に示す患者・画像対応付けシーケンスにおける画像生成装置1側処理を実行することにより、画像生成装置の制御手段を実現する。
【0027】
入力部12は、テンキーや各種機能キーにより構成され、キーの押下信号を入力信号としてCPU11に出力する。
【0028】
通信部13は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNに接続された外部機器とデータの送受信を行う。
【0029】
RAM14は、CPU11により実行制御される各種処理において、記憶部15から読み出されたCPU11で実行可能な各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等の一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0030】
記憶部15は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、CPU11で実行される制御プログラム、図5又は7の患者・画像対応付けシーケンスにおける画像生成装置1側処理プログラムを始めとする各種プログラム、各種データ等を記憶する。
【0031】
画像生成部16は、放射線撮影に供されたカセッテを装着可能に構成され、装着されたカセッテから輝尽性蛍光体シートを取り出して励起光で走査して、輝尽性蛍光体シートに蓄積・保存された放射線画像情報を輝尽発光させ、この輝尽発光光を光電的に読み取って得られた画像信号に基づき画像データを生成する。
【0032】
超音波撮影装置1aは、図2に示す構成と略同様であるが、画像生成部16の機能は読取装置10bと異なる。超音波撮影装置1aにおいて、画像生成部16は、探触子を有し、この探触子により患者の検査対象部位に超音波を投入し、その反射(エコー)信号に基づいて画像データを生成する。また、超音波撮影装置1aは、生成された画像データに基づき画像を表示する表示部を備えている。
【0033】
内視鏡撮影装置1bは、図2に示す構成と略同様であるが、画像生成部16の機能は読取装置10bと異なる。内視鏡撮影装置1bにおいて、画像生成部16は、照明部、対物光学系、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子等を備えた電子内視鏡を有し、患者の体腔内に挿入された電子内視鏡により撮像されることにより得られた画像信号に基づき撮影画像データを生成する。また、内視鏡撮影装置1bは、生成された画像データに基づき画像を表示する表示部を備えている。
【0034】
情報処理装置2は、画像生成装置1から送信された画像データを受信し、画像処理を施して医師の読影用に表示部に表示するとともに、受信した画像データを患者情報と対応付けてサーバ3に保存するPC(Personal Computer)である。
【0035】
図3に、情報処理装置2の機能構成例を示す。図3に示すように、情報処理装置2は、
CPU21、入力部22、表示部23、通信部24、RAM25、記憶部26を備えて構成され、各部はバス27により接続されている。
【0036】
CPU21は、記憶部26記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM25内に形成されたワークエリアに展開し、該システムプログラムに従って各部を制御する。また、CPU21は、記憶部26に記憶されている、図5又は7の患者・画像対応付けシーケンスにおける情報処理装置2側処理プログラムを読み出してワークエリアに展開し、読み出したプログラムとの協働により、図5又は7の患者・画像対応付けシーケンスにおける情報処理装置2側処理をはじめとする各種処理を実行する。CPU21は、図5、又は7に示す患者・画像対応付けシーケンスにおける情報処理装置2側処理を実行することにより、情報処理装置の制御手段を実現する。
【0037】
入力部22は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号としてCPU21に出力する。
【0038】
表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニタにより構成され、CPU21から入力される表示信号の指示に従って、入力部22からの入力指示やデータ等を表示する。
【0039】
通信部24は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNに接続された外部機器とデータの送受信を行う。
【0040】
RAM25は、CPU21により実行制御される各種処理において、記憶部26から読み出されたCPU21で実行可能な各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等の一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0041】
記憶部26は、HDD(Hard Disc Drive)や不揮発性の半導体メモリ等により構成され、CPU21で実行されるシステムプログラム、図5、又は7の患者・画像対応付けシーケンスにおける情報処理装置2側処理プログラムを始めとする各種処理プログラム、画像処理パラメータ等の各種データ等を記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0042】
本実施の形態において、記憶部26は、図3に示すように、画像生成装置1から送信された画像データ及び仮IDを対応付けて一時的に保存する一時記憶部261を有している。
【0043】
サーバ3は、図3に示す情報処理装置2と同様に、CPU、入力部、表示部、通信部、RAM、記憶部等を備えたコンピュータである。サーバ3は、保存手段としての画像DB(Data Base)30を備えており、通信部を介して情報処理装置2から入力された画像データを保存する。なお、保存手段としての画像DB30は、情報処理装置2に備える構成としてもよい。
【0044】
図4に、開業医の医院等の医療施設において小規模診断システム100を適用した場合の各装置の配置例を示す。情報処理装置2は、医師が撮影された画像を表示して診断を行う装置であり、一般的に、診察室のデスク上に配置される。CR装置1cは、放射線を遮蔽するため、診察室とは別室の撮影室に配置される。内視鏡撮影装置1bは、プライバシー保護のため、診察室とは別室の検査室に配置される。
【0045】
このように、いくつかの室に画像生成装置1が分散し、撮影の同時進行が発生する可能性がある場合、他の患者と取り違えることなく撮影画像の画像データと被写体となった患者の患者情報との対応付けを行う手段が必要となる。しかしながら、従来の診断システムのように、受付、撮影、診察室のそれぞれにワークステーションやコンソールを配置し、受付での撮影内容の登録作業や撮影室(検査室)でのカセッテのID登録作業等を行うのは、規模が小さく、撮影の同時進行が発生するケースが少ない開業医の医院等の医療施設においてはかえって非効率であり、負担が大きい。
【0046】
そこで、小規模診断システム100においては、図5に示す患者・画像対応付けシーケンスにより、小規模な医療施設において効率的であり、かつ、撮影の同時進行が発生する可能性があっても患者と撮影画像の画像データの対応付けを間違いなく行うことが可能な撮影〜診察のワークフローを提供する。
【0047】
ここで、受付においては、来院した患者に対して受付順に仮IDを付与しておく。この仮IDは、患者が受付を行う毎に一つ割り付けられる連続番号であり、例えば、1日にその施設(医院やクリニック)内に停滞する最大患者数を超える枚数分の整理カードのそれぞれに、仮ID(例えば、01〜30)を付与しておき、受付された患者にこの整理カードを渡すようにしてもよいし、受付に設置された発券機等により仮IDを付与するようにしもよい。本実施の形態としては、一例として整理カードを利用した例について説明する。
【0048】
以下、図5を参照して、小規模診断システム100において、一の患者とその患者の画像とを対応付ける際に実行される患者・画像対応付けシーケンスについて説明する。
なお、医師や撮影技師等の撮影を行う操作者を、以下、撮影実施者と称する。
【0049】
まず、撮影実施者は、撮影対象の患者を画像生成装置1の前に連れて行き、画像生成装置1において、入力部12のテンキーを介して、患者に付与された整理カードに表示された仮IDの入力を行い、その患者の検査対象部位を被写体として撮影を行い、撮影画像の画像データの生成を行う。例えば、画像生成装置1がCR装置1cの場合、読取装置10bに備えられた入力部12のテンキーから仮IDの入力を行い、撮影済みのカセッテを読取装置10bにセットし、カセッテに記録された放射線画像の読み取りを行う。
【0050】
画像生成装置1においては、入力部12のテンキーが押下され、仮IDが入力されると(ステップS1;YES)、撮影実施者の操作に応じて画像生成部16により画像データの生成が行われ(ステップS2)、入力された仮IDと生成された画像データが対応付けられて通信部13を介して情報処理装置2へ送信される(ステップS3)。一の患者の画像を複数の撮影条件で複数枚撮影した場合、生成された全ての画像データが仮IDに対応付けられて情報処理装置2へと送信される。なお、ステップS1における仮IDの入力がなければ、画像生成部16における画像データの生成は行われないようになっている。また、入力された仮IDと生成された画像データを対応付けて情報処理装置2に送信する方法としては、例えば、一回の通信接続から通信切断までの間に、まず仮IDを送信し、続いて画像データを送信し、通信を切断することが挙げられる。
【0051】
情報処理装置2においては、通信部24を介して画像データ及び仮IDが受信されると、受信された画像データ及び仮IDが対応付けられて一時記憶部261に記憶される(ステップS4)。なお、一時記憶部261には、当該患者の画像データのみでなく、他の患者を撮影して得られた画像データであって、まだ診察されていない画像データが仮IDと対応付けられた状態で次々と蓄積されていく。
【0052】
撮影が終了すると、患者は整理カードを持って診察室へ移動する。医師は、情報処理装置2の入力部22の操作により、表示部23に画像検索画面を表示させ、患者の整理カードに記載された仮IDを見て、入力部22を介して仮IDの入力を行う。情報処理装置2においては、入力部22の操作に応じて画像検索画面を表示させ、入力部22を介して仮IDの入力を受け付ける。画像検索画面が表示され、この画面から入力部22を介して仮IDが入力されると(ステップS5)、入力された仮IDに対応する画像データが一時記憶部261から抽出され(ステップS6)、抽出された画像データに階調処理や周波数強調処理等の画像処理が施され、画像処理済みの画像データを縮小したサムネイル画像が作成され、表示部23の撮影画像表示画面231に表示される(ステップS7)。
【0053】
図6に、ステップS7において表示部23に表示される撮影画像表示画面231の表示画面例を示す。図6に示すように、撮影画像表示画面231は、抽出された画像を一覧表示するための画像表示欄231a〜231dを有している。画像表示欄231a〜231dの何れかがマウス等により選択されると、選択された画像がライフサイズで単独表示される。医師はこの単独表示画像により、画像の詳細を観察し読影診断を行うことができる。また、当該画面の右上には、画像処理調整欄231eが設けられており、医師は、この画像処理調整欄231eをマウス等により操作することにより、濃度やコントラストの調整を行うことができる。各画像に対応して表示されているOKボタン231hを押下すると、表示されている画像を画像DB30に保存する画像として確定することができる。また、撮影画像表示画面231には、表示された撮影画像に対応付ける患者の患者ID及び患者氏名等の患者情報の入力を受け付ける患者情報入力欄231fが設けられている。医師は、この患者情報入力欄231fから患者情報の入力を行う。
【0054】
入力部22を介して、患者情報入力欄231fから当該患者に関する患者情報の入力が行われると(ステップS8)、ステップS6で抽出された画像データに、この入力された患者情報が対応付けられ通信部24を介してサーバ3に送信され、画像DB30への保存が行われる(ステップS9)。入力部22により撮影画像表示画面231の終了ボタンが押下されることにより、診断の終了が指示されると(ステップS10;YES)、ステップS9でサーバ3に保存された画像データ及び仮IDが一時記憶部261から消去され(ステップS11)、本処理は終了する。
【0055】
医師の診察終了後、整理カードは医師又は受付にて回収され、翌日以降に再利用される。
【0056】
図7に、上述の患者・画像対応付けシーケンスの変形例を示す。
当該シーケンスにおいては、撮影された画像データの付帯情報に仮IDを書き込むことにより、画像データと仮IDとの対応付けを行う点が、図5のシーケンスと異なる。
まず、撮影実施者は、撮影対象の患者を画像生成装置1の前に連れて行き、画像生成装置1において、入力部12のテンキーを介して、患者に付与された整理カードに表示された仮IDの入力を行い、患者の検査対象部位を被写体として撮影を行い、撮影画像の画像データの生成を行う。例えば、画像生成装置1がCR装置1cの場合、撮影済みのカセッテをCR装置1cにセットし、カセッテに記録された放射線画像の読み取りを行う。
【0057】
画像生成装置1においては、入力部12のテンキーが押下され、仮IDが入力されると(ステップS21;YES)、撮影実施者の操作に応じて画像生成部16により画像データの生成が行われ(ステップS22)、入力された仮IDが生成された画像データの付帯情報として書き込まれ、通信部13を介して情報処理装置2へ送信される(ステップS23)。なお、ステップS21における仮IDの入力がなければ、画像生成部16における画像データの生成は行われないようになっている。情報処理装置2においては、通信部24を介して、仮IDが付帯された画像データが受信されると、受信された画像データ及び付帯情報が一時記憶部261に記憶される(ステップS24)。
【0058】
撮影が終了すると、患者は整理カードを持って診察室へ移動する。医師は、情報処理装置2の入力部22の操作により、表示部23に画像検索画面を表示させ、移動してきた患者の整理カードに記載された仮IDを見て、入力部22を介して仮IDの入力を行う。情報処理装置2においては、入力部22の操作に応じて画像検索画面を表示させ、入力部22を介して仮IDが入力されると(ステップS25)、入力された仮IDが付帯情報として付帯された画像データが一時記憶部261から抽出され(ステップS26)、抽出された画像データに階調処理や周波数強調処理等の画像処理が施され、画像処理済みの画像データを縮小したサムネイル画像が作成され、表示部23の撮影画像表示画面231に表示される(ステップS27)。
【0059】
入力部22を介して、撮影画像表示画面231の患者情報入力欄231f(図6参照)から当該患者に関する患者情報の入力が行われると(ステップS28)、ステップS26で抽出された画像データの付帯情報の仮IDがこの入力された患者情報で上書きされ、通信部24を介してサーバ3に送信されて画像DB30への保存が行われる(ステップS29)。入力部22により撮影画像表示画面231の終了ボタンが押下されることにより、診断の終了が指示されると(ステップS30;YES)、ステップS29でサーバ3に保存された画像データが一時記憶部261から消去され(ステップS31)、本処理は終了する。
【0060】
図7に示すシーケンスでは、画像データの付帯情報に仮IDを含めることで、画像データと仮IDとの対応付けを行っている。図5と図7の何れの方法であっても、事前の撮影オーダ情報の操作なく、簡単なテンキー操作により、画像データと患者とを仮に対応付けておくことができる。
【0061】
以上説明したように、小規模診断システム100によれば、患者に対して受付順に仮IDを割り付けておき、画像生成装置1における撮影時にこの仮IDを入力してから撮影及び画像データの生成を行い、画像データと仮IDを対応付けて情報処理装置2に送信する。情報処理装置2においては、画像生成装置1から受信した画像データ及び仮IDを対応付けて一時記憶部261に記憶する。医師が患者の診察時に、検索画面から患者の仮IDを入力すると、情報処理装置2においては、一時記憶部261から検索された仮IDに対応する画像データを抽出し、撮影画像表示画面231に表示する。この撮影画像表示画面231には、患者情報の入力を受け付ける患者ID及び患者氏名の入力欄が設けられており、この入力欄から患者情報が入力されると、入力された患者情報と画像データとを対応付けて画像DB30に保存する。
【0062】
従って、事前に撮影オーダ情報やカセッテIDの登録操作をしておく必要が無く、画像生成装置における撮影の同時進行が発生しても、撮影時には、受付順に患者に割り付けられた、患者IDより桁数の短い仮IDのテンキー操作のみで、情報処理装置2において患者と画像とを間違いなく対応付けることが可能となり、撮影時の操作負担を軽減し、効率的に画像と患者との対応付けを行うことが可能となる。また、患者情報は情報処理装置のみで扱われるので、従来に比べ、医療施設内での個人情報保護を強化することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明に係る小規模診断システム100の好適な一例であり、これに限定されるのものではない。
【0064】
例えば、上記実施の形態においては、診察時に医師が患者情報を入力することとしたが、医師は、仮IDと患者との対応付けの一覧表を紙等に記入しておくこととし、一日の診察の終了後に、まとめて画像と患者との対応付けを入力可能としてもよい。このような運用の場合、患者情報を入力せずに撮影画像表示画面231の表示終了操作が行われたものについては、一時記憶部261の画像データ及び仮IDを消去せずにそのままとし、一日の作業終了時に、一時記憶部261から削除されていない画像データの仮IDを一覧にした画面を表示可能とし、各仮IDに対し、患者情報の入力を受け付けるようにすればよい。仮IDに対し、患者情報が対応付けられると、情報処理装置2は、当該仮IDに対応する画像データに入力された患者情報を対応付けて画像DB30に保存し、一時記憶部261からその画像データを削除する。
【0065】
その他、小規模診断システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る小規模診断システム100の全体構成を示す図である。
【図2】図1の画像生成装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の情報処理装置2の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】開業医の医院等の医療施設において小規模診断システム100を適用した場合の各装置の配置例を示す図である。
【図5】図1の小規模診断システム100において実行される患者・画像対応付けシーケンスを示すフロー図である。
【図6】図5のステップS7において表示部23に表示される撮影画像表示画面231の一例を示す図である。
【図7】図1の小規模診断システム100において実行される患者・画像対応付けシーケンスの変形例を示すフロー図である。
【図8】(a)は、従来の診断システムにおいて受付窓口で登録されるリストの一例を示す図、(b)は、従来の診断システムにおいて(a)に示すリストに放射線科の技師がカセッテ登録した一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
100 小規模診断システム
1 画像生成装置
2 情報処理装置
3 サーバ
11、21 CPU
12、22 入力部
13、24 通信部
14、25 RAM
15、26 記憶部
16 画像生成部
17、27 バス
23 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来院した患者の検査対象部位を撮影して画像データを生成する一以上の画像生成装置と、前記生成された画像データに基づいて画像を表示手段に表示させ、当該表示された画像と前記患者に関する患者情報とを対応付けて保存手段に保存する情報処理装置と、を備えた小規模診断システムにおいて、
前記画像生成装置は、
前記患者に割り付けられた仮IDを入力する入力手段と、
前記患者の検査対象部位を撮影し、画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成装置の入力手段により前記患者に割り付けられた仮IDが入力され、前記画像生成手段により前記患者を撮影した画像データが生成されると、前記入力された仮IDを前記生成された画像データの付帯情報として付帯させて前記情報処理装置に送信する制御手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記画像生成装置から送信された画像データ及びこれに付帯する仮IDを対応付けて一時的に記憶する一時記憶手段と、
操作入力を行うための入力手段と、
前記情報処理装置の入力手段からの前記患者の仮IDの入力を受け付け、前記入力された仮IDを付帯した画像データを前記一時記憶手段から抽出するとともに、前記入力手段からの前記患者に関する患者情報の入力を受け付け、前記抽出された画像データに付帯された付帯情報の内容を前記入力された患者情報で上書きし、当該情報処理装置が有する保存手段又は外部の保存手段に保存する制御手段と、
を備えたことを特徴とする小規模診断システム。
【請求項2】
前記情報処理装置の制御手段は、前記患者情報の入力の受け付け時に、前記抽出された画像データに基づく画像を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の小規模診断システム。
【請求項3】
前記情報処理装置の制御手段は、前記保存手段に前記画像データを保存後、前記一時記憶手段に記憶された当該画像データを消去することを特徴とする請求項1又は2に記載の小規模診断システム。
【請求項4】
前記画像生成装置が有する入力手段は、テンキーであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の小規模診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−117362(P2007−117362A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312925(P2005−312925)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】