説明

少なくとも1つのさらなる物質と液体を混合し混合物を脱ガスし搬送するための方法

液体を少なくとも1つの物質と混合し、混合物を脱ガスし、混合物を搬送することが、以下のステップ、
A) 別々の容器(2、3)内に開始物質として使用される少なくとも1つの液体を用意するステップであって、開始物質のうち少なくとも1つは液体である、ステップと、
B) 1つの開始物質がその容器(2、3)からタンク(4)に搬送された後で、片方の開始物質を搬送するステップであって、それぞれ別個の充填量が秤量セル(24)で測定される、ステップと、
C) タンク(4)内の物質を攪拌し、充填された物質を混合および脱ガスするステップと、
を有する準備段階で混合物が準備されるように行われ、
また、製造段階においてタンク(4)が圧縮空気によって圧縮されることで、液体混合物がタンク(4)から、プロセス制御バルブ(15)が設けられている出力ライン(14)に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのさらなる物質と液体を混合し混合物を脱ガスし搬送するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
液体と少なくとも1つのさらなる物質、例えばさらなる液体とが一緒になって混合する必要があり、その際気泡ができないようにしなくてはならない、というさまざまな用途がある。このような用途の一つが、例えば、鋳造によるレンズの製造である。単体の液体または少なくとも2つの液体から成る混合物であり得る液体モノマーが、2つの鋳型と封止部によって画定されているキャビティに注ぎこまれ、重合化され、それによってレンズが得られる。繰り返し乗じる問題は、完成したレンズに気泡および/または条痕が封入されてしまうということである。これを防ぐためには、キャビティに注ぎ入れる前にモノマーを脱ガスする必要がある。
【0003】
特許文献1には、その当時の従来技術であるモノマーの脱ガス方法が記載されている。その方法によると、モノマーは、回転式蒸発器に充填される。そこでモノマーは、かくはんされるとともに、所定の期間の間減圧される。これによって、モノマー内に含まれていた気泡が逃げて、抽出されることになる。その後、モノマーは、レンズを鋳造するために使用されるまで、窒素雰囲気下で保存される。特許文献1によると、この方法の欠点は、窒素雰囲気下で保存するので、結果として、窒素が酸素しか置換しない可能性があり、また、モノマーが酸素と接触するとモノマーが酸素をただちに吸収してしまうので、鋳造中に最大限の配慮を保証しなくてはならないということである。さらなる欠点は、酸素下での脱ガスの間、モノマーに含まれている他の物質が逃げてしまい、それによってモノマーの組成が変化するおそれがあるということである。したがって、特許文献1は、モノマーがタンクから脱ガス機を通じて鋳造キャビティに搬送されるという方法を提案している。したがって、モノマーは、キャビティに充填される直前の製造工程中に脱ガスされることになる。脱ガス機は、空気透過性の素材から成り真空チャンバ内に格納されている複数の管から成る。
【0004】
これら2つの方法は、特許文献2に既に引用され、しかも不適切であるとみなされている。特許文献2は、特許文献1の脱ガス機に代わる新規な脱ガス機を開示している。
【0005】
上記の3つの方法においては、モノマーまたは完成したモノマー混合物のいずれかが、鋳造前に脱ガスされる。
【0006】
特許文献3は、2つの物質から成るとともにレンズの製造に適している重合可能な混合物について記載している。この2つの物質は、2つのシリンジを通って、部分ごとに混合チャンバに供給され、そこで攪拌されて互いに混合される。混合チャンバは、減圧下であってもよい。その後、混合物は、不活性ガスによって混合チャンバから押圧されて、鋳造キャビティに入る。この方法の欠点は、たとえほんのわずかな分量であっても、十分な脱ガスを行うのは比較的長時間を要するということである。
【0007】
特許文献4は、2つの物質が混合チャンバに供給されて、その後、ピストンによって鋳造キャビティ内に押入される、という方法について記載している。この鋳造キャビティは、気泡が存在している場合にはそれが逃げていくことができるように形成されている。モノマーを鋳造する前に行う脱ガスはこの場合には起こらない。
【0008】
特許文献5から、レンズに適している光学材料が公知となっている。この材料を製造するのに必要な物質が、タンクに入れられて混合される。混合物は、混合前、混合中、かつ/または混合後に減圧され、それによって混合物は脱ガスされる。その後、混合物は、鋳型に入れられて、重合化される。
【0009】
特許文献6から公知となっている方法は、異なる液体を混合および脱ガスするためのものである。タンクに供給される液体の量は、バルブおよびポンプによって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP671254
【特許文献2】WO03/074149
【特許文献3】US5,973,098
【特許文献4】WO2005/084927
【特許文献5】EP1316819
【特許文献6】JP61111130
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、少なくとも1つのさらなる物質と液体を混合し混合物を脱ガスし搬送するための方法に関する。本発明は、例えば、鋳造によってレンズを製造する場合に適している。この場合、少なくとも2つの液体から成る混合物が鋳造キャビティに充填される。液体は、長時間にわたって別個に保管することができる。一方、混合物は、数日間のみしか保管することができない。
【0012】
(発明の簡単な説明)
本発明は、少なくとも1つのさらなる物質と液体を混合し混合物を脱ガスし搬送するための方法を発展させるという目的に基づいている。
【0013】
本発明は、請求項1に記載の特徴から成る。有利な実施形態は、従属請求項から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明を、選択した一実施形態を参照しながら説明する。この実施形態は、鋳造によるレンズの製造に関する。この製造において、タンク内に準備された液体が、圧力を加えることによって、出力ラインを通じて中空針に供給される。この中空針の先端は、2つの鋳型および封止部材によって画定されている鋳型キャビティに開端している。鋳型キャビティは、上方に開放しており、大気圧になっている。液体は、1つの液体と、液体または粉体であるさらなる物質との混合物である。本発明に係る方法は、液体が少なくとも1つのさらなる物質と接触して混合および脱ガスされる準備段階を有する。この準備段階は、
A) 別々の容器内に開始物質として使用される少なくとも1つの液体を用意するステップであって、開始物質のうち少なくとも1つは液体である、ステップと、
B) 1つの開始物質がその容器からタンクに搬送された後で、片方の開始物質を搬送するステップであって、それぞれ別個の充填量が秤量セルで測定される、ステップと、
C) タンク内の物質を攪拌し、充填された物質を混合および脱ガスするステップと、
を有しており、また、本方法は、
タンクが圧縮空気によって圧縮されて液体混合物がタンクから出力ラインに供給される製造段階を有しており、この段階は、以下のステップ:
D) 出力ラインに設けられているプロセス制御バルブを開放して、搬送を開始するステップと、
E) プロセス制御バルブを閉止して、搬送を停止するステップと、
を有する。
【0015】
ステップB)は、特に重要である。その理由は、個々の開始物質の所定のパーセンテージからわずかにずれただけでも、レンズの品質に大きな影響を及ぼすからである。秤量セルは、数キログラムの荷重が加わっても、グラム単位の精度で測定できなくてはならない。
【0016】
レンズを鋳造するために、タンクおよび中空針の間で出力ラインに設けられているプロセス制御バルブが、鋳型キャビティがいったん充填されると、再び開閉する。
【0017】
好適には、タンク内の混合物は、最初、ステップC)における第1の攪拌速度で混合され、その後、第2の攪拌速度で脱ガスされる。ここで、第2の攪拌速度は、混合中の第1の攪拌速度よりも遅い。
【0018】
タンク内の圧力レベルは、必要であれば変化する要件に応じて調整することができる。レンズを鋳造する場合、鋳造キャビティの充填開口部の最も狭い部分は、たとえば、詰まりや鋳型キャビティからの溢れなく流体を搬送することのできる流速を決定する。充填の時間を可能な限り短くするために、圧縮空気が加えられたタンク内の圧力の圧力レベルは、有利には、レンズの鋳造の前に、充填開口部の最も狭い部分の間隔に依存する値にする。ここで、圧力レベルは、間隔が俗化するにつれて、連続的にまたは別個のステップで増加する。
【0019】
タンクの内部を占める温度は、好適には、流体が最適な粘度を有することができるように、少なくとも製造段階中に所定の値に調整される。
【0020】
ステップBにおいて物質を部分に分けてタンクにポンプでくみ上げることが有利であり、それによって、泡の形成が可能な限り抑えられる。
【0021】
さらなる中空針が、鋳造キャビティに流体が充填される場合に、検出のためのセンサとしてレンズの鋳造中に有利に使用される。このさらなる中空針には空気が供給され、それによって、常に低い空気流が中空針から逃げることになる。いったん鋳型キャビティ内の流体が中空針の先端に到達すると、中九針の内部の圧力が増加する。この圧力増加を測定し、プロセス制御バルブの閉止コマンドの生成のために使用する。
【0022】
以下、本発明を、例示的な方法で、方法の実施に適している装置および図面を参照しながら説明する。本例は、レンズを鋳造するための装置に関する。この装置は、混合物内に泡を形成することなく流体を他の物質と混合しなくてはならない他の用途にも同様に使うことができる。本例では、流体同士が混合される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る方法を実行するのに適切な装置の概略斜視図である。
【図2】図1の装置のうち鋳型キャビティの断面図である。
【図3】さらなる鋳型キャビティの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
図1は、本発明に係る方法を実行するのに適した装置の斜視図である。図2は、当該装置を概略的に示しており、縮尺通りではない。この例では、装置は、トローリ上に配置されており、レンズを製造するための完全自動機械内で用いられる。装置は、制御装置1、それぞれ開始物質を有する、一つの容器を収容するための2つの場所2および3、温度制御されたタンク4、3つのフィルタ5、6および7、3つのポンプ8〜10、圧力制御装置11、タンク4を圧力制御装置11または負圧源13のいずれかに接続する切り替えバルブ12、プロセス制御バルブ15を備える出力ライン14、モールドキャビティ17内にモノマー混合物を充填するための中空針16、ならびにさまざまなライン18およびさらなるバルブ19〜22を備える。攪拌機23が、タンク4内に一体化されている。タンク4は、秤量セル24、すなわち、ペサ(Pesa)社製の秤量セル上に配置されている。タンク4は、秤量セル24に自身の重量で負荷をかけている。圧力制御装置11には、圧縮空気が供給される。
【0025】
3つのポンプ8〜10は、好適には膜ポンプである。第1の膜ポンプ8は、第1の容器2から第1のフィルタ5および第1のバルブを通してタンク4に液体をくみ上げるために使われる。その際、フィルタ5内に液体の不純物が残る可能性がある。第2の膜ポンプ9は、同様に、第2の容器3から第2のフィルタ6および第2のバルブ20を通してタンク4に液体をくみ上げるために使われる。膜ポンプ8および9によって、液体を小さな分量に配分して、場合によっては滴の形態で供給することができるようになる。これによって、秤量セル24に関する重量を極めて正確に調量することができるようになる。この例では、フィルタ5〜7は、対応のポンプ8、9または10にそれぞれ一体化されている。
【0026】
装置は、レンズ、特に眼科用レンズとして研磨され眼鏡に載置されるレンズを製造するための完全自動機械内で使用されるように提供されている。それぞれのレンズは、別個の製法に従って製造される。レンズは、モノマーまたはモノマー混合物が鋳型キャビティ17内に充填され、その後重合化されるように製造される。液体は、中空針16を介して供給される。この針の先端は、開口した上側端部が鋳造キャビティ17内に入っている。鋳型キャビティ17は、2つの鋳型25、26および封止部材27から成り、垂直線に対して所定の角度を成して傾斜しているので、液体が鋳型25の内側25Aを下に向かって流れ、それに続いて鋳型キャビティ17を満たすようになっている。鋳型キャビティ17は、圧力の点で、外気に対して封止されていない。したがって、鋳型キャビティは大気圧下にある。図2は、鋳型キャビティ17を、数倍拡大した尺度で示している。
【0027】
機械は、複数のユニットを有する。これらは、複数の鋳型を格納するための格納ユニット、これら鋳型および鋳型キャビティを搬送するための搬送システム、2つの鋳型が封止部材で結合されて鋳型キャビティになる結合ステーション、モノマーが鋳型キャビティ内に鋳造される充填テーション、モノマーを重合して部分的に硬化させることでレンズを形成するUVステーション、レンズが完全に硬化される炉、および、完成したレンズを鋳型キャビティから分離する分離ステーションである。機械は、コンピュータによって制御される。鋳型の幾何学形状データが、コンピュータ内に格納される。
【0028】
最初、タンク4は空であり、洗浄された状態にある。容器2および3は、本例ではそれぞれ液状モノマーである開始物質を収容する。これらの物質は、混合され、脱ガスされ、その後、レンズを鋳造するためのモノマー混合物として準備ができた状態になる。プロセス制御バルブ15は、閉止されている。開始物質を混合および脱ガスしレンズを鋳造するための本発明に係る方法は、準備段階、および追加で待機段階、そして以下のステップを有する製造段階を含む。
A) 別々の容器内に開始物質として使用される少なくとも1つの液体を用意する。
以下では、開始物質の数は2つであると仮定している。開始物質の数が大きい場合には、方法もそれに応じて適合されなくてはならない。
B) 以下の副ステップにしたがってタンク4を充填する。
B1) 秤量セル24が第1の所定の値を示すまで第1の容器2からタンク4に液体をくみ上げる。その後バルブ19を閉止し、それによって容器2およびタンク4が圧力の点で互いに分離される。
B2) 秤量セル24が第2の所定の値を示すまで第2の容器3からタンク4に液体をくみ上げる。その後バルブ20を閉止し、それによって容器3およびタンク4が圧力の点で互いに分離される。
液体をタンク4にポンプでくみ上げることができる。充填すべき物質が液体ではなく、例えば粉体である場合には、それに適したやり方でタンクに搬送される。
C) 少なくともステップB2の後でタンク4を減圧する。
【0029】
図2から分かるように、容器2および3からタンク4に至る接続線18は、タンクのキャップの上部で終端する。したがって、液体は、充填の間滴下する。これによって、泡が形成される。可能な限り泡の形成を防止するために、タンク4は、ステップB1の前に既に減圧することが望ましい。すなわち、ステップCが既にステップB1の前におこなわれることが好ましい。
【0030】
重量に応じて開始物質が充填される。タンク4が上に乗っている秤量セル24によって、充填すべき液体の所望の重量を正確に得ることができ、したがって、2つの液体の比を高精度で達成することができる。これは特に、膜ポンプ8または9によってそれぞれ液体を適切に供給することと組み合わせることで達成される。
D1) 液体をタンク4内に混合する。
液体の混合は、所定の時間tの間に攪拌機23を用いた攪拌によって行われる。攪拌機23の速度は、比較的遅くなっており、それによって可能な限り泡の形成を少なく抑える。
D2) タンク4の液体を洗浄する。このステップは任意選択である。
液体を充填する前にタンク4を徹底的に洗浄したとしても、不純物が残っている可能性がある。このような不純物を濾過するために、2つのバルブ21および22が開放されて、液体が、所定の時間tの間、第3のフィルタ7を通る閉止回路内の循環ポンプ10でくみ上げられる。その後、2つのバルブ21および22が再び閉止される。
E)タンク4の液体を脱ガスする。
所定の時間tの間、攪拌機23を用いた攪拌で脱ガスを行う。攪拌機23の速度は、やはり比較的遅く、それによって泡の形成を防止する。
【0031】
ステップD1およびEは、攪拌機23の速度を脱ガス中のステップEでは混合中のステップD1よりも低くすることで、区別することが好ましい。十分な時間がある場合は、液体の混合は、脱ガスのときと同様の攪拌機23の速度で行うことができる。D1およびEの方法ステップは、したがって、1つの同じステップであってもよい。
【0032】
タンク4の液体が完全に混合され脱ガスされたため、準備段階が完了し、いまやこれらの液体はレンズの鋳造に使用される準備ができている。製造段階が始まるまで、タンク4は、減圧下に保つか、あるいは、わずかに過圧される。この段階は、待機段階と呼ばれる。
【0033】
タンク4の温度は、所定の値に調整されている。この値の大きさは、タンク4の液体の年度がレンズの鋳造を円滑に行うことができるくらい低くなる程度である。本例では、タンク4は、熱的に不活性なスチールタンクである。したがって、その温度は、恒常的に所定の値に調整されている。ただし、これは、製造段階の間にだけ必要である。
F) レンズを鋳造する。
【0034】
レンズの処方によって鋳造キャビティ17の形状および大きさは異なる。通常、2つの鋳型が、それぞれ側面が円筒面25Aおよび26Aとして、鋳造キャビティ17の方を向くように配置されて用いられる。正面キャビティ25は、鋳型キャビティ17に面している側面で縁部に当接しており、その結果、中空針16が充填開口部8に入ることができるに足る十分な大きさを有する充填開口部28が得られる。充填開口部28の最も狭い部分は、鋳型のいくつかの組み合わせにおいては、比較的小さい。このような組み合わせの場合、モノマーは、比較的低い速度で充填される必要がある。その理由は、そうしないと、最も狭い部分に詰まりが生じて、供給される液体が鋳型キャビティ17からあふれ出てしまうからである。他の組み合わせにおいては、充填開口部28の最も狭い部分は比較的大きく、モノマーは詰まりを生じることなく比較的高い速度で充填することができる。特定のガラス(例えば図2に示すもの)の中には、充填開口部28の最も狭い部分は、視覚的には常に比較的大きく、充填するにあたって特に問題とならない。光学軸を符号30で示す他のガラス(例えば図3に示すもの)の中には、最も狭い部分が非常に狭隘なものが多い。コンピュータは、レンズ精度に基づいて、2つの鋳型25および26のうちどちらが鋳型キャビティを形成するための格納ユニットから回収されるべきかどうか、また、どのような間隔で、また、互いに対してどのような相対回転位置で鋳型25および26を位置決めするべきかを決定する。コンピュータはさらに、鋳型25および26の幾何学形状データおよびレンズ精度から、充填開口部28の最も狭い部分の間隔Dがどのくらい大きいかを計算し、また、タンク4に加えるべき圧力を決定し、それによって、鋳型キャビティ17が最適な流体の流速で充填することができるようにする。最適な流速とは、鋳型キャビティ17に充填するのに必要な時間を可能な限り短くするために可能な限り早い流速であるとともに充填開口部28の最も狭い部分で詰まりが生じることがない程度に遅い流速のことである。本例では、圧力制御機11によって圧力は、n個の異なる別個の圧力レベルp〜pに設定することができる。例えば、n=8である。各圧力レベルp〜pは、間隔Dの幅に関連しているので、コンピュータは、間隔Dの計算にしたがって、関連する圧力レベルpを値p〜pから選び出すことができる。
【0035】
所定の圧力レベルが、少なくとも製造段階の開始にあたって形成されている。この圧力レベルは、大気圧よりも高い。圧力形成は、液体内に気泡が形成されるのを防ぐためにゆっくりと行われる。いったん圧力が形成されると、次から次にレンズを鋳造することができる。各レンズの鋳造は、以下のステップに従って行われる。
G) 圧力を増加または低下させて、間隔Dにしたがって最適な流速のために設計された圧力レベルpに近づける。
H) プロセス制御バルブ15を開放する。
I) いったん鋳型キャビティ17が充填されたらプロセス制御バルブ15を閉止する。
【0036】
気泡が形成されないように、ステップGにおいて圧力の変化は慎重に行われる。タンク4を占めている圧力は大気圧よりも高いため、いったんプロセス制御バルブ15が開放されると、流体が鋳型キャビティ17に流れ込む。タンク4内の圧力レベルは、流速を決定する。
【0037】
唯一の圧力レベルを使用して、流速を制御しないことも基本的に可能である。しかしながら、その場合には、大型の鋳型キャビティでの鋳造に比較的長い時間が必要となる。この場合、所定の圧力レベルが、すべての可能な鋳型キャビティの充填開口部28の最も小さな間隔Dのために決定され、ステップGが省略される。
【0038】
プロセス制御バルブ15は、好適には、気泡を形成しないやり方で切り替えるバルブであるとともに閉止状態では吸い戻し機能を行ってレンズの鋳造前後に液体が流れるのを防止するものである。好適なバルブは、例えば、日本の会社SMC製のLVC23U−S06バルブである。気泡を形成しない切り替えバルブを使用することで、バルブがオン・オフ切り替えされるときに気泡が形成されないことが保証される。
【0039】
空気によって圧縮されるさらなる中空針29が、鋳型キャビティ17に液体が充填され、すなわち、鋳型キャビティ17に充填される液体が所定の充填レベルに達する場合、検出用センサとして使用されることが好ましい。その結果、非常に低い空気流が中空針29から常に逃げるようになる。いったん、鋳型キャビティ17に充填された流体が中空針27の先端に達すると、中空針29内の圧力が非常に迅速に増加する。中空針29の圧力は、圧力センサによって測定される。圧力創価は、ステップIを開始するための、すなわち、プロセス制御バルブ15を閉止するための信号を生成する。
【0040】
タンク4は、有利には、タンクの充填が多数のレンズを製造するのに、例えば、一作業日のレンズの鋳造を可能にするのに十分なだけの大きさになっている。その場合、タンク4が夜の間ステップB、C、D1、またはB〜Eのすべてのステップにしたがって再充填されて準備され、その結果、日中、朝から夕方までレンズを製造できるようになる。通常、タンク4は夕方では完全に空にならない。その日の夜、タンクは所定のレベルまで充填される。1つ以上のシフトで行うよう製造を増加する場合には、タンク4を拡大するか、2つのどうようの装置を交互にしようすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を少なくとも1つの物質と混合し、混合物を脱ガスし、混合物を搬送するための方法であって、準備段階が、以下のステップ、
A) 別々の容器(2、3)内に開始物質として使用される少なくとも1つの液体を用意するステップであって、開始物質のうち少なくとも1つは液体である、ステップと、
B) 1つの開始物質がその容器(2、3)からタンク(4)に搬送された後で、片方の開始物質を搬送するステップであって、それぞれ別個の充填量が秤量セル(24)で測定される、ステップと、
C) タンク(4)内の物質を攪拌し、充填された物質を混合および脱ガスするステップと、
を有しており、
タンク(4)が圧縮空気によって加圧され、液体混合物がタンク(4)から出力ライン(14)に供給される製造段階が、以下のステップ、
D) 出力ライン(14)に設けられているプロセス制御バルブ(15)を開放して、搬送を開始するステップと、
E) プロセス制御バルブ(15)を閉止して、搬送を停止するステップと、
を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
ステップC)において、タンク(4)内の混合物は、最初、第1の攪拌速度で攪拌され、その後、第2の攪拌速度で攪拌され、その際、第2の攪拌速度は、第1の攪拌速度よりも小さいことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、出力ライン(14)が2つの鋳型(25、26)および封止部材(27)によって画定されている鋳型キャビティ(17)に開端する中空針(16)に通っており、その際、鋳型キャビティ(17)が大気圧になっている、鋳造によるレンズの製造のための方法において、
圧縮空気によって加えられたタンク(4)の圧力の圧力レベルを、ステップFの前に、鋳型キャビティ(17)の充填開口部(28)の最も狭い部分の間隔(D)に依存する値とし、その際、圧力レベルの増加は、間隔(D)が大きくなるにつれて、連続的にまたは別個のステップで行われることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
さらなる中空針(29)が、鋳型キャビティ(17)に液体が充填される場合の検出のためのセンサとして使用され、このさらなる中空針は、空気で圧縮され、また、このさらなる中空針(29)内部を占める圧力はプロセス制御バルブ(15)の閉止コマンドを生成するために使用される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522631(P2010−522631A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552185(P2009−552185)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052541
【国際公開番号】WO2008/107413
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(506335271)インターグラス テクノロジー エージー (3)
【Fターム(参考)】