説明

局所作用性コルチコステロイドを用いる胃腸管の炎症性疾患の治療方法

【課題】炎症性腸疾患に伴う症状を軽減または解消するのに十分でありかつステロイド剤の全身レベルの投与に伴う副作用を軽減または解消するのにも十分な量の局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的活性をもつその塩を含む経口投与製剤の提供。
【解決手段】異なる量のベクロメタゾンなどの局所作用性コルチコステロイドを含む少なくとも2種の個別の製剤において、少なくとも1つの錠剤、丸剤、カプセル剤またはミクロスフェアの形態に製剤化した剤形で、少なくとも1つの経口用剤形を、胃、小腸または結腸内で溶解するように製剤化したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年3月15日に出願された米国特許仮出願第60/276,013号の恩典を請求するものであり、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、治療を必要とする患者の胃腸管および/または腸の炎症性疾患の治療のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管を含む組織の慢性炎症を特徴とする状態を指す一般的な用語である。IBDに伴う症状には、腹痛および腹部痙攣、下痢、体重減少、ならびに腸出血または直腸出血が含まれうる。以下の2つの疾患に罹患している米国人は最大で100万人おり、患者数はそれぞれほぼ同程度である。これらの疾患の原因はわかっていない。
【0004】
IBDの最も一般的な形態には潰瘍性大腸炎およびクローン病の2つがある。一般性の低い形態のIBDには、コラーゲン腸炎およびリンパ球性腸炎、ならびに腸内微生物病原体に起因する腸炎が含まれる。潰瘍性大腸炎は大腸(結腸および直腸)の炎症性疾患であり、結腸の最も内側の層の炎症および潰瘍形成を特徴とする。その症状には腹痛、腹部痙攣、食欲減退および体重減少、裏急後重および下痢が含まれ、直腸出血を伴うこともある。潰瘍性大腸炎に伴う炎症は結腸の全長に及ぶ可能性があるが、通常は直腸で最も高度で、結腸に沿ってさまざまな長さで連続的に波及し、通常は炎症が近位側から遠位側に向かうパターンをとるのが最も一般的である。
【0005】
クローン病は、別の種類の炎症性腸疾患である。クローン病は消化管のどの部分にも生じる可能性があるが、小腸の遠位部分にみられることが最も多い。クローン病患者の約40%では炎症性疾患が回盲部に限局しており、患者の30%〜35%では小腸近位部および胃に疾患があり、患者の約25%では疾患が大腸に限局している。潰瘍性大腸炎とは異なり、クローン病では、罹患した小腸領域の間に正常な小腸領域が認められ、これは「不連続」病変と呼ばれる。また、潰瘍性大腸炎は結腸の最も内側の層のみを冒すが、クローン病は腸壁の全層を冒し、しばしば瘻孔を生じることからも、クローン病と潰瘍性大腸炎とは識別可能である。
【0006】
IBDの治療は通常、アミノサリチル酸塩(すなわち、5-アミノサリチル酸またはスルファサラジン);免疫調節性化合物(すなわち、アザチオプリン、シクロスポリンまたは6-メルカプトプリン);ステロイド剤(すなわち、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンまたはブデソニド);またはTNF-αなどのサイトカインおよび他の炎症メディエーターに対するモノクローナル抗体の投与を伴う。抗TNF-α抗体の使用によるステロイド抵抗性の瘻孔形成性クローン病の治療は成功している。アミノサリチル酸塩は軽症〜中等症のIBD症例の治療に用いられ、通常、クローン病を初めて発症した患者に対する最も重要な(first line)治療法である。さらに、アミノサリチル酸塩が奏功しなかった患者に対しては、メトトレキサートまたはアザチオプリンなどの免疫調節薬が通常投与される。しかし、免疫調節薬は効果が現れるまでに最大3カ月を要する上に、腫瘍性疾患のリスクも増大させる。重症例では、結腸または腸の罹患部を除去するための手術が必要なこともある。何十年にもわたる慢性クローン病を治療するには手術が不可避である。
【0007】
中等症ないし重症の潰瘍性大腸炎およびクローン病に対して選択される治療とは、強力な抗炎症薬であるステロイド剤の投与である。ステロイド剤は、疾患の位置、重症度および範囲に応じて、経口、静脈内、注腸または坐薬のいずれによって投与することもできる。ほとんどの場合にはステロイド剤は経口投与され、時に非経口的に投与される。ステロイドは通常、炎症の初期症状を解消するために用いられ、長期的に反復投与されることは副作用の理由から稀である。経口投与が、簡便性および有効性の点で最も好まれている。IBDの治療に日常的に用いられるステロイド剤は、プレドニゾン、メチルプレドニゾンまたはプレドニゾロンである。しかし、経口、局所または注射投与経路によってこの種のステロイドを用いることにより、ステロイド薬が体循環中で高レベルとなる。これらの薬剤を1日量を上回る用量で数週間にわたって長期投与すると、体重増加、表皮の菲薄化、満月様顔貌、座瘡、顔面多毛、高血圧、気分変動、感染症への易罹病性、および視床下部-下垂体-副腎(HPA)系の低下を含む、さまざまな望ましくない副作用が生じる恐れがある。
【0008】
ステロイド剤は局所投与しても強力な作用を維持すると考えられており、この特徴は喘息およびある種の皮膚疾患の治療に利用されている。しかし、ステロイド剤の全身吸収は薬剤を局所投与した場合にも起こり、同じく望ましくない副作用が生じる。このため、ステロイド剤に伴う望ましくない副作用を生じさせずに、その強力な抗炎症性を利用することが可能な、潰瘍性大腸炎およびクローン病などのIBDの治療方法に対しては未だに需要が存在する。
【0009】
局所作用を有するが全身作用はそれほど強くないステロイドが特徴付けられており、IBDの治療に用いられている。最近数十年でさまざまなステロイド類似体が開発されている。これらのステロイドの特徴は、インビトロではステロイド受容体と結合する活性が高いことであるが、インビボでは肝内で迅速に代謝されて、活性のないまたは活性の低い代謝産物となる。肝内での初回通過代謝が高度なため、ステロイド投与による望ましくない有害な副作用の多くは回避される。IBDの治療に有効であるためには、局所作用性ステロイドを胃腸管の罹患した炎症部分に到達するような様式で製剤化する必要がある。これは、潰瘍性大腸炎の治療のための浣腸剤として投与可能な局所用ステロイドのガレノス製剤、または小腸もしくは大腸における炎症の治療のための経口投与が可能な制御放出型製剤を製造することによって行われてきた。制御放出型製剤は通常、例えば環境のpH変化に遭遇した場合に、または基質の単なる浸食および基質からの薬剤の拡散により、薬剤を条件付きでポリマー基質から放出するように設計されている。例えば、米国特許第5,643,602号(特許文献1)は、ノンパレイユ(non-pareil)の種からなる核をコーティングしているブデソニドおよび他のステロイド類似体の製剤を記載しており、ここで核は、腸の回盲部にみられる高pHで溶解するポリマー製コーティングによってさらに囲まれている。したがって米国特許第5,643,602号(特許文献1)に記載された製剤は局所用ステロイドを小腸内で緩徐に放出するように設計されており、そのため、小腸の近位部分で利用される局所用薬剤はほとんどない。米国特許第6,096,731号(特許文献2)はさらに、ゲルカプセル剤および腸溶性ゲルカプセル剤として製剤化されたベクロメタゾンを用いた、移植片対宿主病に起因する肝損傷および細胞損傷の予防を開示している。したがって、クローン病の治療のために求められているのは、近位部小腸の炎症および胃の炎症の両方を効果的に治療する局所用ステロイド製剤である。加えて、遠位部小腸および結腸において大腸炎の治療に十分な局所濃度に達すると考えられる局所用ステロイド製剤も同様に求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,643,602号
【特許文献2】米国特許第6,096,731号
【発明の概要】
【0011】
胃腸管の炎症性疾患に罹患した患者に対する経口用医薬品の投与方法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
局所作用性コルチコステロイド、または薬学的活性をもつその塩、例えばジプロピオン酸ベクロメタゾンなどの治療的有効量の少なくとも2種の異なる剤形を患者に経口投与する段階。
【0012】
したがって、本発明の目的は、炎症性腸疾患を治療する方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
炎症性腸疾患の治療を必要とする患者に対して、炎症性腸疾患に伴う症状を軽減または解消するのに十分でありかつステロイド剤の全身レベルの投与に伴う副作用を軽減または解消するのにも十分な量の局所作用性コルチコステロイドを含む剤形である、少なくとも2種の別個の剤形の局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的活性をもつその塩を投与することを含む方法を提供する段階。
【0013】
本発明を、それがより十分に理解されるような以下の例示的な図面を参照して、いくつかの好ましい態様とともに説明する。図面を参照する際には、図示された詳細は例示的なものでありかつ本発明の好ましい態様を例示的に考察することのみを目的としており、本発明の原理および概念的局面について最も有用かつ理解しやすい説明と考えられるものを提供するために示されていることが強調されねばならない。この点に関して、本発明の基本的理解のために必要な程度よりも詳細に本発明の構造的詳細を示そうという試みは全くなされておらず、図面とともに付された説明により、当業者には本発明のいくつかの形態を実際に具体化する方法が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】健康志願者に対して空腹条件下で、IR錠、EC錠、またはIR錠とEC錠との併用としてBDP 6mgを経口投与した後の17-BMPの平均血漿中濃度を示している。
【図2】健康志願者に対して空腹条件下で、IR錠、EC錠、またはIR錠とEC錠との併用としてBDP 6mgを経口投与した後のBOHの平均血漿中濃度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的に許容されるその塩の経口投与を含む、IBDを治療するための方法を提供するが、これらの投与量は、IBDの局所的治療の目的には治療的に有効であるが、ステロイド剤に通常伴ってみられる副作用を生じるのに十分な全身循環中薬剤レベルの発生は許容しない。選択された局所作用性コルチコステロイド剤の治療的有効量は経口薬として胃腸管内に導入され、壁を通過して循環路に入った薬剤は全身循環に達する前に効率的に代謝されて不活性化される。または局所作用性コルチコステロイドは、腸壁または胃壁を容易に通過しないものでもよい。このため、副作用は実質的に軽減される。
【0016】
本明細書で用いる「局所作用性」という用語は、胃腸粘膜に対して低用量で高い局所活性を有する薬剤、または高い局所活性を有していて胃腸管壁を容易には通過しない薬剤を指す。「治療的有効量」という用語は、患者におけるIBDの症状を軽減または解消するのに十分な薬剤の量を指す。「全身循環」という用語は、ステロイド剤の代謝部位よりも遠位にあり、薬剤の循環中定常レベルが達成されている循環路の部分を指す。本発明は主として、胃腸管の炎症性腸疾患、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎、S状結腸炎、全大腸炎およびクローン病の治療に用いるために開発されたが、これは上記の疾患の治療には限定されず、胃腸管の炎症を呈する他の疾患の治療にも用いられうる。「薬学的に許容される塩」という用語は、適切な塩の付加によって修飾された、開示する化合物の遊離酸型または遊離塩基型の誘導体を指す。その例には、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩、およびカルボン酸などの酸性残基の無機塩または有機塩が含まれる。
【0017】
本発明の1つの態様においては、即時放出性および腸溶性の組成物をそれぞれ少なくとも1つ含む、少なくとも2種の別個の剤形の局所作用性コルチコステロイドを投与する。「即時放出性」製剤とは、胃腸管の最初の部分、例えば胃、十二指腸および近位小腸で溶解して作用することを意図して製剤化された製剤である。「腸溶性」製剤とは、より下方の腸管、例えば遠位小腸、回盲部または結腸(大腸)で溶解して作用することを意図して製剤化された製剤である。この2種の別個の剤形が含む局所作用性コルチコステロイドは、等量でも異なる量でもよい。本発明は本態様に限定されることを意図していないが、局所作用性コルチコステロイドが2種の異なる剤形にある態様は、本発明の基本的かつ新規な特徴を包含している。
【0018】
2種の別個の剤形は、その他のコルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制剤、または抗生物質などの別の薬剤を含んでもよい。このようなステロイド剤の例には、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、デスオキシメタゾンおよびベタメタゾンが含まれる。非ステロイド性抗炎症薬の例には、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、スリンダク、ピロキシカム、エトドラク、ケトプロフェンおよびトルメチンが含まれる。免疫抑制剤の例には、例えば、シクロスポリンAおよびその類似体、FK506およびその類似体、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ラパマイシン、メトトレキサートおよびタクロリムスが含まれる。抗生物質の例には、ペニシリン、エリスロマイシン、アンピシリン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ストレプトマイシン、ポリミキシン、テトラサイクリンおよびそれらの誘導体が含まれる。
【0019】
局所作用が強くかつ低用量で有効性を有することから、本発明の方法に用いるのに適した好ましい局所作用性コルチコステロイド剤はジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)およびベタメタゾン-17-バレレート(betamethasone-17-valerate)。強い局所抗炎症作用を有することから、最も好ましい薬剤はベクロメタゾン17,21-ジプロピオネート(beclomethasone 17,21-dipropionate)である。しかし、本発明はそれらには限定されず、実質的な局所作用性を有する任意のステロイド剤を含むことを意図している。他のこのようなステロイド剤には、例えば、プロピオン酸アルクロメタゾン、ブデソニド、22Sブデソニド、22Rブデソニド、ベクロメタゾン-17-モノプロピオネート、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルニソリド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、ハルシノニド、モメタゾンフロエートおよびトリアムシノロンアセトニドが含まれる。局所作用性コルチコステロイドの好ましい投薬レベルは一般に0.1mg/日〜8mg/日の範囲であり、より一般的には2mg/日〜4mg/日の範囲である。より好ましくは、投与量は約2mg以内であり、好ましくは約1mg以内であり、1回ずつ、例えば1日1回投与される。投薬レベルは、任意の有意な程度まで、すなわち有害な全身作用を引き起こすのに十分な高レベルでは、薬剤が全身循環中に入らないような、およびしたがって全身循環中に薬剤が存在することに起因するこのような作用が回避されるような投薬レベルでなければならない。または、投薬レベルは、胃腸管壁を通過する量がこの種の薬剤に伴う望ましくない副作用を誘発するのに必要な量よりも少ないものである必要がある。
【0020】
別個の剤形の数をできるだけ少ない数に制限することが好ましく、したがって、好ましい態様では別個の剤形は2種である。一般的に、2種の異なる剤形を用いた送達を行うと、患者は胃から直腸までの胃腸管全体にわたって局所作用性コルチコステロイドの投与を受ける。例えば、1つの剤形をゲルカプセル剤として製剤化し、第2の剤形を腸溶性ゲルカプセル剤として製剤化することができる。
【0021】
本発明の1つの態様においては、別個の錠剤、丸剤、トローチ剤、ゲルカプセル剤などとして、別個の剤形を患者に投与する。2つの剤形の同時投与によって局所用コルチコステロイドの迅速放出および緩徐放出がともに生じるように、本態様では、胃内で放出される局所用コルチコステロイドを含む第1の剤形、および腸内で放出される局所用コルチコステロイドを含む第2の剤形を含むように、これらの別個の剤形を設計する。本発明のさらにもう1つの好ましい態様では、別個の剤形を、患者に対する経口投与用の単一製剤形態、すなわち1個の錠剤または1個のゲルカプセル剤として配合する。本発明のこの態様において、局所用コルチコステロイドを、小腸内での局所用ステロイドの放出を制御するためのミクロスフェア、ポリマー性ミクロスフェア、ヒドロゲル、油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、ミセルまたは逆ミセルとして製剤化してもよく、これとは別に、局所用コルチコステロイドの迅速放出を可能にするため、適切な基質中のミクロスフェアまたは薬物送達媒体の外部に局所用コルチコステロイドを添加してもよい。言い換えれば、この種の製剤は、例えば局所用コルチコステロイドの腸溶性製剤を含有する内核、および、核を取り囲む、薬剤の迅速放出製剤を含有する外殻を含むと考えられる。内核または外殻の一方または他方が選択的に、局所用コルチコステロイドとは異なる第2の薬剤を含みうることにも注意されたい。この種の配合は、緩徐放出特性および急速放出特性の両方を備えた単一の製剤をもたらす。局所用ステロイドをミクロスフェア、ヒドロゲルおよびナノスフェアに取り込むのに適したポリマー系には、これに限定されるわけではないが、ポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、ポリオール、ポリイミン、ポリペプチド、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリ酸エステル、ポリアクリル酸、アルジネート、ヒアルロン酸、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、オリゴ糖、多糖、カラギーナンおよびその塩、デキストラン、脱アセチル化キトサン、ゼラチン、ブロック共重合体、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、メトキシ-PEG、メトキシ-PEGアミン、ポリアクリリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコールならびにそれらの共重合体の単成分ポリマー系およびそれらの組み合せが含まれる。
【0022】
BDPは、シェリングプラウ社(Schering-Plough Corporation)(Kenilworth、N.J.)などの数多くの販売元から、結晶原末の形態で入手可能である。ベクロメタゾン17,21-ジプロピオネートは以下の構造を有する。
【化1】

【0023】
本発明の方法に用いる局所作用性コルチコステロイドを、製剤の分野の当業者に周知の技法により経口投与用に製剤化することができ、これはカプセル剤、丸剤、トローチ剤、特定の溶解特性を有する被覆ミクロスフェア、または乳剤としての製剤を含む。適したカプセル剤または丸剤は一般に、0.1mg〜8mg、典型的には約1mgの局所作用性コルチコステロイド、および任意で充填剤を含むが、これには、微結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたは乳糖などの充填剤;コーンスターチもしくはアルギン酸などの崩壊剤;ショ糖、サッカリンもしくはフェニルアラニンなどの甘味剤;またはペパーミント、レモン、シナモン、サリチル酸メチルもしくはオレンジ着香料などの着香料が非制限的に含まれる。さらに、カプセル剤または丸剤を、糖、シェラックまたは酢酸フタル酸セルロースなどのさまざまな材料でコーティングしてもよい。適切な被覆を加えることにより、カプセル剤、ミクロスフェアまたは丸剤を腸管のさまざまな位置で溶解させることが可能になる。例えば、酢酸フタル酸セルロースをコーティングして調製された腸溶性カプセル剤は胃内では元のままであるが、小腸のアルカリ性環境では溶解し、それによって内容物を小腸および結腸の内部に送達する。その他の有用な腸溶性コーティングには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、および「Eudragit」(Roehm GmbH & Co.、Darmstadt、Germany)の商標名で当業者に公知の酸性イオン化基を有する、メタクリル酸-メタクリル酸エステル共重合体に基づくポリマーが含まれる。
【0024】
局所作用性コルチコステロイドを、水中油型乳剤、油中水型乳剤、多重乳剤(w/o/w)として製剤化することもでき、リポソームおよび/または組織化された脂質相に封入もしくは会合させることもできる。乳剤系、マイクロエマルジョン系または脂質粒子系などの脂質に基づく送達系では、疎水性分子と水との相互作用を制御するために、極性脂質および関連する両親媒性界面活性剤分子が用いられる。多くの場合、薬剤と脂質または界面活性剤成分との分子的相互作用を高めるために、疎水性薬剤用の送達系が、水混和性のある有機溶媒を含むことも必要である。
【0025】
脂質および界面活性剤は、親水性部分および疎水性部分の両方を有する両親媒性分子であるという点で、短鎖および長鎖の炭化水素とは区別できる。界面活性剤は、親水性-疎水性バランス(HLB)として知られる経験的尺度によって都合良く分類され、この値は約1〜約45の範囲内であり、非イオン性界面活性剤に対して約1〜約20の範囲内である。HLB値が1に近いほど界面活性剤の親水性が高いことを示し、HLB値が約10を上回る場合は疎水性の強い界面活性剤であることを表す。水とは異なり、界面活性剤はさまざまな種類の凝集物を形成する。リン脂質は水中で二層膜を形成することを特徴とするが、一方で他の極性脂質が水中に低濃度で存在すると、ミセル構造を形成する。極性脂質の水中での濃度に応じて、ミセルは通常50個〜100個の脂質分子を含む球状となるか、またはロッド状もしくは円盤状のマクロ構造となる。これらのいずれの場合にも、炭化水素の尾部はミセルの内部に形成され、極性頭部基が水と接触する。極性脂質の水中での濃度がさらに高いと、逆のタイプのミセル、すなわち逆ミセルが形成される。従来のミセル相はL1相としても知られる。逆ミセル相はL2としても知られる。L2相では水が内部の相を形成し、脂質の疎水性尾部が連続相を形成する。ミセル、およびミセルを含む薬学的組成物の研究は広範囲に行われており、文献中に詳細に記載されている;例えば、「レミントン薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第17版(1985)を参照されたい。水性溶液中では、ミセルは疎水性治療薬をミセルの炭化水素コアの中に組み入れることができる。
【0026】
水中油型(o/w)乳剤も通常、油相、界面活性剤相および水相から形成される。一般に、薬物送達系を含む乳剤に用いられる油は、親油性薬剤を可溶化させて有効性を高めかつ毒性を低くするように作製される。一般的な乳剤に用いられる油は、鉱油、植物油、動物油、精油およびそれらの合成油などのさまざまな油のうち任意のものである。多くの場合には、トリグリセリドを豊富に含む油、例えばベニバナ油、綿実油、オリーブ油または大豆油が用いられる。最も単純な形態では、疎水性治療薬を送達するのに適したトリグリセリド含有製剤は、治療薬を含む水中油型乳剤である。この種の乳剤は、単一の界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを利用して水性環境内に分散された油相中で可溶化された、ジプロピオン酸ベクロメタゾンなどの疎水性治療薬を含む。したがって、疎水性局所用ステロイド剤の適切な製剤を作製するための1つの方法とは、疎水性局所用ステロイド剤を油中で可溶化させて、この油相を水性溶液中に分散させることである。油が周囲温度で固体または液体のどちらであるかに応じて、水中油型乳剤に固体脂質粒子としての特徴を持たせることもできる。界面活性剤は固体乳剤を形成させるためにも必要である。また、液体油相に作用するのと同一の力は、短期または長期の保存時に脂質と水との界面で疎水性薬剤を沈殿させ、脂質粒子乳剤系を不安定化させる原因ともなる。分散系は乳化剤によって安定化されうり、乳剤の形態として提供されうる。水性環境では、油相または固体脂質コア相に溶解した薬剤を機械的な力によって分散させ、水相中に懸濁化された微小滴またはミクロスフェアを生じさせることもでき、これは医薬品として保存した場合に安定である。
【0027】
安定な水中油型乳剤の形成は、完全な疎水性の油と水との間に界面を形成する界面活性剤の使用によって促進されうる。油および1つまたは複数の界面活性剤の性質に応じて、水中油型乳剤の特徴を備えた大きな液滴、またはミセル構造の特徴を備えたはるかに小さい構造のいずれかが形成される。高圧均質化または類似の剪断力により、液滴または粒子の大きさをさらに制御することができる。脂質粒子は通常、疎水性成分が融解するような比較的高い周囲温度で形成される。
【0028】
疎水性治療薬は水性溶液にはほとんど溶解できないが、コロイド性油粒子を形成するトリグリセリドに基づく溶媒中に治療的有効濃度で調製されうるような十分な親油性を有すると考えられ、この粒径は広範に分布しかつ直径数百ナノメートルから数ミクロンの範囲にわたる比較的大きな粒径を有する。油、界面活性剤および水相を含む逆ミセルは、油中水型マイクロエマルジョンとしても特徴付けられている(Constantinides, P.P., 「薬剤の溶解性および経口吸収性を改善するための脂質マイクロエマルジョン:物理的および生物薬剤学的な側面(Lipid Microemulsions for Improving Drug Dissolution and Oral Absorption: Physical and Biopharmaceutical Aspects)」、Pharm. Res. 12 (11) 1561~1572, 1995およびその中の参考文献を参照されたい)。さらに、さまざまな液晶構造が、ヘキサゴナル相および逆ヘキサゴナル相を含む、通常のミセルおよび逆ミセルと類似した様式で、極性脂質と水との混合物中に共存することも可能である。従来、単純な逆ミセル(水/両親媒性物質)は薬物粘膜送達システムには用いられていない。
【0029】
マイクロエマルジョン系は、油相、界面活性剤および水から通常形成される三成分系または四成分系である。例えば、米国特許第5,707,648号には油相、水相、および界面活性剤の混合物を含むマイクロエマルジョンが記載されている。マイクロエマルジョン系におけるある相の別の相への可溶化は、引力と斥力とのバランスによる影響を受ける。マイクロエマルジョンは熱力学的に安定であり、このため液滴は時間が経過しても融合および沈殿を生じないと考えられる。マイクロエマルジョン液滴の直径は10ナノメートル〜200ナノメートルの範囲であり、一方、乳剤の液滴は一般に1ミクロンよりも大きい。マイクロエマルジョン液滴の界面は界面活性剤の単層とみなすことができる。マイクロエマルジョンは、連続相中に溶解した分散相の量によって特徴付けされうる。マイクロエマルジョンは従来、上記の成分に加えて、一般的には短鎖アルコールであるエタノールもしくはブタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどのグリコール、または、中鎖アルコール、アミンまたは酸である、共界面活性剤を用いて形成されている。液体状態において、ベクロメタゾンの乳剤または脂質製剤は、最適にゲルカプセル剤中に封入されうる。
【0030】
当業者はさらに、任意の適した様式で、および「レミントン薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、Gennaro編、Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990(これは参照として本明細書に組み入れられる)に開示されたものなどの一般に容認されたやり方で、薬剤を製剤化することもできる。
【0031】
本発明の1つの重要な局面とは、腸および/または肝臓の組織に対して局所的に投与されるように、局所作用性コルチコステロイドを経口投与することである。したがって本明細書内で用いられる限り、経口投与という用語は、静脈内注射によって遂行されるような全身投与を除外することを意図している。むしろ、本方法は、腸および/または肝臓の組織に対する高い局所作用性を有し、全身的な利用能はほとんどまたは全くないような局所作用性コルチコステロイドの投与を達成することを意図している。局所作用性の高さは、薬剤の分布を腸粘膜に限定するための、当業者に公知のさまざまな手段のいずれかによって達成されうる。例えば、腸粘膜の表面が局所濃度の高い薬剤で覆われるように薬剤を製剤化すること、または薬剤が腸粘膜を通過して全身循環に入ることを抑制するように薬剤を製剤化することができる。このような分布制限は副作用の減少をもたらし、これは本発明の重要な利点である。
【0032】
適切な(すなわち、即時放出性製剤および腸溶性製剤をそれぞれ1つずつ含む二重錠製剤を用いた)製剤化により、局所作用性コルチコステロイドを腸全体の全粘膜表面に高用量で送達することができる。すなわち、この惹起性免疫応答が起こる部位である腸粘膜の全体で、高濃度の局所作用性コルチコステロイドが達成されうる。
【0033】
ここで、以下の実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本明細書で説明する本発明の特定の態様は例示を目的としているが、発明の精神および範囲を逸脱することなくさまざまな修正を行えることが理解されると考えられる。
【0034】
実施例
実施例1. ジプロピオン酸ベクロメタゾンの即時放出性(IR)錠剤および腸溶性(EC)錠剤への製剤化
実施例で用いられる即時放出性(IR)錠剤および遅延放出性(腸溶性(EC))錠剤の構成成分を、表1に列挙する。
【0035】
(表1)遅延放出性および即時放出性のベクロメタゾン錠剤の組成

N/A=非適用
【0036】
実施例2. ベクロメタゾンの即時放出性錠剤および遅延放出性錠剤による志願者の処置
健康な成人志願者12例に対して、IR錠およびEC錠の4種類の組み合わせのうち1つとして、BDP 6mgの単回投与を行った。いくつかの特定の時点で血液試料を採取し、BDP、ベクロメタゾン-17-モノプロピオネート(17-BMP)およびベクロメタゾン(BOH)の血漿中濃度を測定して2種類の錠剤製剤の生物学的利用能を評価した。5日間のウォッシュアウト期間後に、同じ被験者に対して以下の組み合わせの単回経口投与を行った。これを、各被験者が全処置を受けるまで繰り返した。1日目、8日目、15日目および22日目の0時に、被験者に対して以下の処置のうち一つを行った:
A:6×1mg BDP IR錠を空腹条件下で投与;
B:6×1 mg BDP EC錠を空腹条件下で投与;
C:3×1mg BDP IR錠+3×1mg BDP EC錠を空腹条件下で投与。
【0037】
投与はすべて180mLの水を用いて行った。血液試料(7mL)を、各投与前ならびに、投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間、24時間、36時間および48時間に採取した。血液試料は処置および保存時まで氷上で保存した。血漿試料を遠心処理によって分離した後、アッセイを行うまで20℃以下で凍結させた。有効な液体クロマトグラフィー/質量分析/質量分析(LC/MS/MS)法を用いて、BDP、17-BMPおよびBOHの濃度に関して、血漿試料を分析した。
【0038】
実施例3. 即時放出性および遅延放出性ベクロメタゾン錠剤の薬物動態
BDP、17-BMPおよびBOHに関する血漿中の薬物動態パラメーターを、ノンコンパートメント解析法を用いて算出した。解析には、有効なアッセイ下限値(LOQ)と等しいまたはそれを上回る血漿中濃度のみを用いた。BDP、17-BMPおよびBOHに関するLOQはそれぞれ5pg/mL、20pg/mLおよび20pg/mLであった。最高血漿中濃度(Cmax)およびCmax到達時間(Tmax)はデータから直接採用した。吸収遅延時間(Tlag)は、薬剤投与後に血漿中濃度が初めてLOQ以上となった時点として評価し、これもデータから直接採用した。消失速度定数λは、血漿中濃度-時間曲線の末端対数線形区間の勾配の負値として算出した。消失半減期(t1/2)は以下の式に従って算出した。
【数1】

【0039】
ゼロ時点から濃度がLOQ以上の最終試料までの曲線下面積(AUC0-t)は、線形台形法を用いて算出し、式
【数2】

を用いて無限時まで外挿したが、式中、Ctfとは、LOQ以上の最終濃度である。薬物動態計算および統計解析はすべて、Windows(登録商標)バージョン8用のSAS(登録商標)を用いて行った。
【0040】
LOQ(5pg/mL)以上のBDP血漿中濃度は、全処置に対する全被験者について全く認められなかった。胃から腸までの移行に要する時間の結果として、17-BMPおよびBOH両方に関して、EC錠の投与後の吸収遅延時間の方がIR錠よりも長かった(表2)。IR錠についての「遅延時間」は1回目の試料採取時間(0.5時間)と同じであり、このことはこの製剤からの吸収における遅延は測定不可能であることを意味する。EC錠投与後の17-BMP(図1)およびBOH(図2)の血漿中濃度は、IR錠の場合よりも高かった。IR錠とEC錠との同時投与により、17-BMP(図1)およびBOH(図2)の血漿中濃度はどちらもEC錠単独の場合と類似していたが、これらについて遅延時間はなかった。どちらのCmaxも本質的には同じであったが、AUCの平均値は併用時の方がEC錠単独よりも10%〜20%高かった(表2)。
【0041】
(表2)健康志願者に対する空腹条件下でのIR錠、EC錠またはIR錠とEC錠との併用によるBDP 6mgの経口投与後の17-BMPおよびBOHの薬物動態パラメーター

1平均±標準偏差、ただしTlagおよびTmaxは除き、これらについては中央値を記載している。
【0042】
17-BMPおよびBOHの血漿中濃度に基づくと、BDPのIR錠およびEC錠の製剤は経口投与後にBDPを放出し、後者の方が生物学的利用能が約20%高かった。IR錠およびEC錠の同時投与により、EC単独の場合と同程度の血漿中濃度が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤形が、炎症性腸疾患に伴う症状を軽減または解消するのに十分でありかつステロイド剤の全身レベルの投与に伴う副作用を軽減または解消するのにも十分な量の局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的活性をもつその塩を含む、少なくとも2種の別個の剤形の局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的活性をもつその塩を、炎症性腸疾患の治療を必要とする患者に投与する段階を含む、炎症性腸疾患を治療する方法。
【請求項2】
少なくとも2種の別個の経口用剤形が、異なる量の局所作用性コルチコステロイドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2種の別個の経口用剤形が、等量の局所作用性コルチコステロイドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
局所作用性コルチコステロイドがジプロピオン酸ベクロメタゾンである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
局所作用性コルチコステロイドがベクロメタゾン17,21-ジプロピオネートである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
局所作用性コルチコステロイドがベタメタゾン-17-バレレートである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
局所作用性コルチコステロイドを0.1mg/日〜8mg/日の用量で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
局所作用性コルチコステロイドを2mg/日〜4mg/日の用量で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
局所作用性コルチコステロイドをプレドニゾンまたはプレドニゾロンと併用して投与する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの経口用剤形を、錠剤、丸剤、カプセル剤またはミクロスフェアの形態に製剤化する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの経口用剤形を、胃、小腸または結腸内で溶解するように製剤化する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
局所作用性コルチコステロイドを即時放出性錠剤として製剤化する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
局所作用性コルチコステロイドを腸溶性剤形として製剤化する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
局所作用性コルチコステロイドを乳剤として製剤化する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの経口用剤形をゲルカプセル剤として製剤化し、少なくとも1つの別の経口用剤形を腸溶性ゲルカプセル剤として製剤化する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
局所作用性コルチコステロイドが、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ブデソニド、22Sブデソニド、22Rブデソニド、ベクロメタゾン-17-モノプロピオネート、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルニソリド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、ハルシノニド、モメタゾンフロエートおよびトリアムシノロンアセトニドからなる群より選択されるメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
2種の異なる剤形を単一製剤形態として併用する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
単一製剤形態が免疫抑制剤をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
単一製剤形態がシクロスポリンAをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
単一製剤形態がメトトレキサートをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
単一製剤形態がアザチオプリンまたはその誘導体をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項22】
単一製剤形態がポリマー性ミクロスフェアとして製剤化される、請求項17記載の方法。
【請求項23】
ポリマー性ミクロスフェアを、ポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、ポリオール、ポリイミン、ポリペプチド、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリ酸エステル、ポリアクリル酸、アルジネート、ヒアルロン酸、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、オリゴ糖、多糖、カラギーナンおよびその塩、デキストラン、脱アセチル化キトサン、ゼラチン、ブロック共重合体、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、メトキシ-PEG、メトキシ-PEGアミン、ポリアクリリルアミド、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールからなる群より選択されるポリマー性材料から製剤化する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
単一製剤形態をポリマー性ヒドロゲルとして製剤化する、請求項17記載の方法。
【請求項25】
以下を含む、炎症性腸疾患の治療に用いるためのキット:
剤形が、炎症性腸疾患に伴う症状を軽減または解消するのに十分でありかつステロイド剤の全身レベルの投与に伴う副作用を軽減または解消するのにも十分な量の局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的活性をもつその塩を含む、少なくとも2種の別個の剤形の局所作用性コルチコステロイドまたは薬学的活性をもつその塩;および
剤形を保持するための容器。
【請求項26】
少なくとも2種の別個の経口用剤形が、異なる量の局所作用性コルチコステロイドを含む、請求項25記載のキット。
【請求項27】
少なくとも2種の別個の経口用剤形が、等量の局所作用性コルチコステロイドを含む、請求項25記載のキット。
【請求項28】
局所作用性コルチコステロイドがジプロピオン酸ベクロメタゾンである、請求項25記載のキット。
【請求項29】
局所作用性コルチコステロイドがベクロメタゾン17,21-ジプロピオネートである、請求項25記載のキット。
【請求項30】
局所作用性コルチコステロイドがベタメタゾン-17-バレレートである、請求項25記載のキット。
【請求項31】
プレドニゾンおよびプレドニゾロンからなる群より選択されるメンバーを含有する経口用剤形をさらに含む、請求項25記載のキット。
【請求項32】
少なくとも1つの経口用剤形を、錠剤、丸剤、カプセル剤またはミクロスフェアの形態に製剤化する、請求項25記載のキット。
【請求項33】
少なくとも1つの経口用剤形を、胃、小腸または結腸内で溶解するように製剤化する、請求項25記載のキット。
【請求項34】
局所作用性コルチコステロイドを即時放出性錠剤として製剤化する、請求項25記載のキット。
【請求項35】
局所作用性コルチコステロイドを腸溶性剤形として製剤化する、請求項25記載のキット。
【請求項36】
局所作用性コルチコステロイドを乳剤として製剤化する、請求項25記載のキット。
【請求項37】
少なくとも1つの経口用剤形をゲルカプセル剤として製剤化し、少なくとも1つの別の経口用剤形を腸溶性ゲルカプセル剤として製剤化する、請求項25記載のキット。
【請求項38】
局所作用性コルチコステロイドが、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ブデソニド、22Sブデソニド、22Rブデソニド、ベクロメタゾン-17-モノプロピオネート、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルニソリド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、ハルシノニド、モメタゾンフロエートおよびトリアムシノロンアセトニドからなる群より選択されるメンバーである、請求項25記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−106038(P2010−106038A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3527(P2010−3527)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【分割の表示】特願2002−573023(P2002−573023)の分割
【原出願日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【出願人】(503338284)エンテロン ファーマシューティカルズ インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】