説明

局所抗菌組成物

【課題】従来のアニオン石鹸やアニオン界面活性剤を含まない体表皮領域に適用するための局所抗菌組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、ベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化成分、及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系を含む。組成物は、既知の技術プロトコールEN 12054、EN1276及びEN1499に準じて、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌及びエンテロコッカス・ヒラエからなる群より選ばれる微生物の少なくとも2つの60秒接触時間において少なくともスリーログキル効果を示す。組成物は、固形状、ペースト状又は流動状で与えることができるが、好ましくは容易に流動状になり、主に水性であり、望ましくpH 5-5.5を示す。局所抗菌組成物の製造方法及びそれらの使用方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、表皮、例えば、手、腕、足、顔、頭皮だけでなく、他の身体領域に適用するための局所消毒用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
局所組成物は、化粧品、皮膚科分野だけでなく、医薬分野においてよく知られている。ほとんどの局所組成物は、ヒト皮膚に適用された後に少なくとも1つの特定の効果を与えることを意図しているが、たいていは複数以上の特定の効果を与えることを意図している。例えば、主に、ハンドソープ又はボディソープのようなヒト皮膚の全身洗浄のための石鹸であることを意図しているパーソナルケア組成物は、化粧品及びパーソナルケア製品の分野ではよく知られている。主要な洗浄効果を与えつつ、このようなパーソナルケア組成物は、また、皮膚を加湿するとともに栄養分を与えるような補助的効果をしばしば与える。良好な全身洗浄効果を与えるこのようなパーソナルケア組成物は、通常、良好な洗浄と良好な泡立ちを与えるように認識されている1つ以上のアニオンソープ又はアニオン界面活性剤に基づいている。しかしながら、このような組成物は、典型的には、制限された抗菌効果しか与えない。
また、主に、表皮又はそれに適用した場合の他の身体部分に抗菌効果を与えることに関する局所組成物が当該技術に知られている。このようなものは、典型的には、ローションの形を用い、主にアルコール、通常はエタノールから、更に成分、例えば、増粘剤を追加してしばしば構成される。抗菌効果を与えるのにしばしば技術的に効果的でありつつ、このような組成物は、ひび割れ或いは乾燥した感じを有する表皮の処理された部分に残るアルコールの蒸発のために皮膚を過度に乾燥させる傾向があることも知られている。更に、このような主にアルコールベースの局所組成物は、洗浄効果をほとんど与えない。更にこのような主にアルコールベースの局所組成物は、既知の技術プロトコールEN12054(化学殺菌剤及び消毒剤 - 抗菌活性の評価に対する定量的懸濁試験)、EN1276(懸濁液における細菌活性の評価 - 希釈中和法)及びEN 1499(化学殺菌剤及び消毒剤 - 衛生的手洗い)の試験プロトコール及び成功要求によってモデル化され得るように表皮の表面に短い接触時間適用される場合に高レベルの抗微生物効果を有することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、当該技術におけるこれらの弱点に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一態様において:
・殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物を含み; 且つ
・アニオンソープやアニオン界面活性剤を含まない;
表皮に適用するための局所抗菌組成物であって:
組成物が黄色ブドウ球菌(S. aureus)、大腸菌(E. coli)、緑膿菌(P. aeruginosa)及びエンテロコッカス・ヒラエ(E.hirae)からなる群より選ばれる微生物の少なくとも2つの60秒接触時間において少なくともスリーログキル効果を示す、前記組成物であって;
組成物がベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化成分、及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系を更に含むことを特徴する、前記組成物が記載される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
これらの組成物の本質的特徴は、アニオン界面活性剤やアニオンソープを含まず且つ望ましくは両性界面活性剤を含まないことである。更に、組成物は、良好な程度の泡立ちを示し且つ処理された表面、特に、体表面、例えば、表皮、皮膚、頭皮、毛髪に優れた抗微生物効果を示す。局所抗菌組成物は、ヒト使用を含む動物使用に非常に適している。
局所抗菌組成物は、アニオン界面活性剤及び/又はその塩の形を除外する。除外されるアニオン界面活性剤の種類の例は、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート及びカーボネートである。アニオンソープ界面活性剤は、特に除外される。
好ましくは、局所抗菌組成物は、また、両性界面活性剤を除外する。除外される両性界面活性剤の種類の例は、脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体であり、ここで、脂肪族置換基の少なくとも1つが水可溶化アニオン基、例えば、カルボキシ基、スルホネート基、又はスルフェート基を含有している。特に望ましく除外される両性界面活性剤は、ベタインである。
殺菌カチオン界面活性剤
界面活性剤成分の本質的な特徴は、更に、かなりの殺菌効果を与える1つ以上のカチオン界面活性剤成分の存在である。このようなカチオン界面活性剤は周知であり、有効な例示的カチオン界面活性剤は、例えば、McCutcheon's Functional Materials(Vol. 2), North American Edition, 1998; Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 4th Ed., Vol. 23, pp. 481-541 (1997)に記載されるものの1つ以上であってもよく、この内容は本願明細書に含まれるものとする。これらは、また、これらのカチオン界面活性剤の供給業者から入手できるそれぞれの製品仕様書及び文献に記載される。
下記構造式を有するアルキルアンモニウムハライドが特に好ましい:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R2及びR3は、同じか又は異なるC8-C12アルキルであり、又はR2は、C12-16アルキル、C8-18アルキルエトキシ、C8-18アルキルフェノールエトキシであり、R3は、ベンジルであり、Xは、ハライド、例えば、クロライド、ブロマイド又はヨーダイドであるか又はメトスルフェートアニオンである)。
R2及びR3に挙げられるアルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよいが、好ましくは実質的に直鎖である。
特に有効な第四級殺菌剤には、単一の第四級化合物だけでなく、2つ以上の異なる第四級化合物の混合物を含む組成物が含まれる。このような有効な第四級化合物は、BARDAC(登録商標)、BARQUAT(登録商標)、HYAMINE(登録商標)、LONZABAC(登録商標)、及びONYXIDE(登録商標)の商標によって入手できる。
本明細書に詳しく開示されないが当該技術において知られる他のカチオン界面活性剤も用いることができる。好ましいカチオン界面活性剤は、下記の例の1つ以上によって開示される。カチオン界面活性剤は、単一の化合物として又は2つ以上のカチオン界面活性剤化合物の混合物として存在してもよい。
本発明の特に好ましい実施態様によれば、本発明の組成物において殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物は、必ず、それが一部をなしている組成物の全質量に基づき、約0.0001 - 5%wt.の量で、好ましくは約0.001 - 2.5%wt.の量で、より好ましくは0.01 - 1%wt.の量で存在する。殺菌効果を示すとともに殺菌効果を与える第四級アンモニウム化合物の中で、1つ以上のベンゼン部分を含有しているものが特に好ましく; ベンザルコニウムハロゲン化物(例えば、塩化ベンザルコニウム)が特に好ましく、下記の実施例の1つ以上に示されるベンゼトニウムハロゲン化物(例えば、塩化ベンゼトニウム)が特に好ましい。
【0008】
非イオン性活性剤
局所抗菌組成物は、必要により、更に非イオン性界面活性剤成分を含んでいてもよい。有効な例示的非イオン性界面活性剤は、長鎖アルキル基又はアルキル化アリール基のような疎水性ベース部分及び非イオン性界面活性剤を水に少なくとも部分的に可溶性又は分散性にする充分な数のエトキシ部分及び/又はプロポキシ部分を含む親水性鎖部分を含むものである。
このような非イオン性界面活性剤としては、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール、プロポキシル化脂肪アルコール、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪(C6-C24)酸のエトキシル化エステル、エチレンオキシドと長鎖アミン又はアミドとの縮合生成物、アミンオキシド化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は、単一の化合物として又は2つ以上の非イオン性界面活性剤化合物の混合物として存在することができる。
界面活性剤成分は、任意の有効量で存在することができ、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき、好ましくは0.01%wt.〜95%wt.の量である。好ましくは、注入可能組成物であることを意図する場合には0.01 - 70%wt.の界面活性剤を含む。好ましくは、このような実施態様において、界面活性剤成分は、(好ましい順に)少なくとも0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.15質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1質量%、1.25質量%、1.5質量%、1.5質量%を含み、同時に界面活性剤成分は、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき、(好ましい順に)70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、28質量%、26質量%、24質量%、22質量%、20質量、18質量%、17質量%、16質量%、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%、9.5質量%、9質量%、8.5質量%、8質量%、7.5質量%、7質量%を超えない。
【0009】
三元増粘剤
本発明者らは、驚くべきことに、脂肪アルカノールアミド成分、オキシアルキレン化された化合物及びベンゾフェノン化合物又はベンゾフェノン誘導体を合わせて、これらの3つの成分の1つを除外する水性組成物と比較して、従来の増粘成分、例えば、クレー、ポリアクリレート増粘剤又は多糖ベースの増粘剤が存在しないときでさえ、粘度を少なくとも2倍、好ましくは3倍、より好ましくは少なく4倍、特に好ましくは少なくとも5倍、更により好ましくは少なく8倍、更により好ましくは少なく10倍に上げる三元増粘系を与えることによって多くの水性組成物を濃厚化することができることを見出した。組成物中に脂肪アルカノールアミド、オキシアルキレン化された化合物を含み、粘度を評価し、その後ベンゾフェノンを添加することによってこのように比較することができる。
それ故、本発明の組成物の本質的な特徴は、オキシアルキレン化成分、脂肪アルカノールアミド成分、及びベンゾフェノン成分を含む三元増粘系の存在である。
(1) オキシアルキレン化された化合物
本発明の組成物に用いられる例示的なオキシアルキレン化された化合物は、エチレンオキシド基(オキシエチレン化合物)、プロピレンオキシド基(オキシプロピレン化合物)又はこれらの双方(オキシエチレン/オキシプロピレン化合物)を含む。
適切なオキシアルキレン化された化合物としては、特に、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル及び/又はポリプロピレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル及び/又はポリプロピレングリコールエーテル、アルコキシル化アリール誘導体、特にエトキシル化アリールポリオール誘導体、グリセロールと脂肪酸のオキシアルキレン化トリエステル、特にオキシエチレン化トリエステル、アルキル鎖で変性したエトキシエチレン化ウレタン誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明の組成物に用いることができる例示的ポリエチレングリコールとしては、エチレンオキシド(EO)単位の数が10〜50 000、好ましくは14〜10 000のエチレンオキシド重縮合体が挙げられる。
【0010】
有効なポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールエステルは、下記式を有する:
RCOO−(EO)m−(PO)n−R'
(式中、mは、0〜300の数値であり、nは、0〜300の数値であり、mとnの合計は、6以上であり、R及びR'は、各々独立して、水素又は炭素原子1〜30個、好ましくは炭素原子12〜22個を含有する飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化アルキル鎖、又はアリール鎖を表すが、R及びR'は、同時に水素でない)。
有効なポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールエステルは、下記式を有する:
R−(EO)m−(PO)n−R'
(式中、mは、0〜300の数値であり、nは、0〜300の数値であり、mとnの合計は、6以上であり、R及びR'は、各々独立して、水素又は炭素原子1〜30個、好ましくは炭素原子12〜22個を含有する飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化アルキル鎖、又はアリール鎖を表すが、R及びR'は、同時に水素でない)。
適切なオキシアルキレン化合物としては、更に、脂肪酸のエステル又は脂肪アルコールエーテル及びポリオール、例えば、グリセロール、ソルビトール、グルコース又はペンタエリスリトールのオキシエチレン化誘導体が挙げられる。適切な化合物としては、更に、脂肪酸のオキシアルキレン化グリセリルトリエステルが挙げられる。
局所組成物の好ましいオキシアルキレン化された化合物は、50 - 350単位のエチレンオキシドでエトキシル化されたポリエチレングリコールジステアレートのようなポリエチレングリコールジエステルである。好ましい材料は、150単位のエチレンオキシドでエトキシル化されたポリエチレングリコールジステアレートであると記載される、Hallstar PEG 6000 DSである。
上記説明の範囲内にあるが、本明細書に詳細に開示されず当該技術に知られている、他のオキシアルキレン化された化合物もまた用いることができる。好ましいオキシアルキレン化された化合物は、下記の例の1つ以上によって開示される。オキシアルキレン化された化合物は、単一の化合物として又は2つ以上のオキシアルキレン化された化合物の混合物として存在することができる。
1つ又は複数のオキシアルキレン化された化合物は、有効量で存在することができ、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき、好ましくは0.01%wt.〜25%wt.の量で存在する。しかしながら、好ましくはオキシアルキレン化された化合物は、それらが一部をなしている局所抗菌組成物の全質量に基づき、0.1 - 10%wt、好ましくは0.5 - 15%wt.を含む。
【0011】
(2) 脂肪アルカノールアミド
本発明の三元増粘系の第2の成分は、脂肪アルカノールアミドであり、例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない: コカミドMEA、コカミドDEA、ソイアミドDEA、ラウラミドDEA、オレアミドMIPA、ステアルアミドMEA、ミリストアミドMEA、ラウラミドMEA、カプラミドDEA、リシノールアミドDEA、ミリストアミドDEA、ステアラミドDEA、オレイルアミドDEA、タロウアミドDEA、ラウラミドMIPA、タロウアミドMEA、イソステアルアミドDEA、イソステアラミドMEA、及びこれらの混合物。2つ以上の脂肪アルカノールアミドを用いて、本発明の脂肪アルカノールアミド成分を形成することができる。
脂肪アルカノールアミド成分は、任意の有効な量に存在することができるが、有利には、それが一部をなしている組成物の全質量に基づき0.001 - 95%wt.の量で存在する。有利には、組成物が注入可能な組成物であることを意図する場合には、0.01 - 70%wt.のアルカノールアミド成分を含む。好ましくはこのような実施態様においてアルカノールアミド成分は、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき(好ましい順に)少なくとも0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.15質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1質量%、1.25質量%、1.5質量%、1.5質量%を含み、同時にアルカノールアミド成分は、(好ましい順に) 70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、28質量%、26質量%、24質量%、22質量%、20質量%、18質量%、17質量%、16質量%、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%、9.5質量%、9質量%、8.5質量%、8質量%、7.5質量%、7質量%を超えない。
脂肪アルカノールアミド成分は、本発明の本質的な成分である。
増粘効果に加えて、脂肪アルカノールアミド成分は、同様に補助的な泡促進効果を与えることができる。
(3) ベンゾフェノン
本発明の三元増粘系の第3の成分は、1つ以上のベンゾフェノン化合物及び/又はその誘導体を含むベンゾフェノン成分である。このような化合物の例としては、下記の式で表すことができるものが挙げられる
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、“R”は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、低級アルコキシ基、ホルミル基、アシル群又は--N(R')(R'')基(ここで、R'及びR''は、各々、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル基、ベンジル基又はアシル基を表す)を表す]。
上記化合物の酸及び塩もまた、有効であるとして企図される。前述において、アシル基の例には、アセチル基が含まれ; アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、好ましくは1〜18であり; 用語“低級”は、好ましくは炭素1〜4個が存在することを意味する。好ましいベンゾフェノン化合物及び/又はその誘導体には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンだけでなく、ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸が含まれる。これらの材料のあるものは、現在、BASFからUVINUL商品名で販売されている。
ベンゾフェノン成分は、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき、約20%wt.までの量で存在するが、好ましくは約0.1 - 5%wt.の量で含まれる。ベンゾフェノン成分は、本発明の本質的な成分である。好ましくは、三元増粘系は、局所抗菌組成物の0.01〜25質量%、より好ましくは、0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%、特に1〜5質量%を含む。
それぞれの脂肪アルカノールアミド、オキシアルキレン化された化合物及びベンゾフェノン化合物又はベンゾフェノン誘導体のそれぞれの特に好ましい質量比は、実施例の1つ以上によって開示される。
三元増粘系、即ち、脂肪アルカノールアミド、オキシアルキレン化された化合物及びベンゾフェノン化合物又はベンゾフェノン誘導体がクレー、ポリアクリレート増粘剤又は多糖ベースの増粘剤が存在しないときに本明細書に記載される局所抗菌組成物中に存在することが好ましいことは理解されるべきである。
【0014】
pH調整剤/緩衝剤
本明細書に開示される成分の三元増粘系を含む局所抗菌組成物だけでなく、非局所組成物も0 - 14の範囲にある任意のpHを有してもよいが、好ましい局所抗菌組成物は、本来は酸性であり、本発明者らは、本発明の発泡局所組成物が特定の酸性pH範囲、即ち、約7以下、好ましくは約6以下、特に5.5以下のpHで維持される場合に良好な抗菌効果が得られることを見出した。
特に好ましいpH値は、4.0 - 7.0、より好ましくは4.0 - 6.0、更に好ましくは4.5 - 5.5、特に好ましくは5 - 5.5の範囲にあるものである。更に好ましいpH値は、実施例組成物の1つ以上によって開示される。
組成物のpHは、適切な量の酸、例えば、1つ以上の無機酸、鉱酸を用いて、好ましくは1つ以上の有機酸を用いて設定されるか又は調整されることになる。一般に有効な有機酸は、炭素原子1〜約6個を含有し且つその構造内に少なくとも1つのカルボキシル基(--COOH)を含むものである。有効な例示的有機酸としては: 直鎖脂肪族酸; ジカルボン酸; 酸性アミノ酸; 及びヒドロキシ酸並びにこれらの有機酸の酸塩が挙げられる。
好ましい有効な有機酸には、クエン酸、クレゾール酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸、サリチル酸、ソルビン酸、スルファミン酸、酢酸、安息香酸、ホウ酸、カプリン酸、カプロン酸、シアヌル酸、ジヒドロ酢酸、ジメチルスルファミン酸、ポリアクリル酸、2-エチルヘキサン酸、フマル酸、I-グルタミン酸、イソプロピルスルファミン酸、ナフテン酸、シュウ酸、リン酸、吉草酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、スルホン酸、マレイン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、乳酸、酪酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸だけでなく、グリコール酸も含まれる。本発明の好ましい実施態様において、存在する唯一の酸は: 他の酸を除外したクエン酸、及び/又は乳酸の1つ以上である。
これらの酸は、単独で又は2つ以上の個々の酸の混合物として使用し得る。それらは望ましい酸性pHを得るために任意の有効量で存在することができ、有利には、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき約0 - 15%wt.、より好ましくは0.001 - 10%wt.、更により好ましくは0.01 - 5%wt.の量で存在する。
局所抗菌組成物は、存在することができるその他の成分の種類によっては、1つ以上の酸を添加する必要を含まずに形成することができることは特に理解されるべきである。
本発明の組成物のpHを更に調整するために、1つ以上のpH調整剤及び/又はpH緩衝剤が局所抗菌組成物中に有効量で含まれてもよい。存在する場合、pH調整剤、特にpH緩衝剤は、本発明の組成物のpHを望ましい或いは対象のpH範囲内に維持するのに有効な量で存在する。有利には、これらは、0.001 - 1.5%wt.のような一般的には少量で含まれてもよいが、望ましくは0.01 - 1%wt.の量で存在する。例示的で好ましいpH緩衝剤及びpH調整剤は、下記の実施例の1つ以上によって記載される。
【0015】
有機溶媒
本発明の組成物には、アルコール、グリコール、アセテート、エーテルアセテート、グリコールエーテルのような1つ以上の有機溶媒が含まれてもよい。例示的なアルコールとしては、直鎖又は分枝鎖であってもよく、詳しくは双方の第一アルコール及び第二アルコールを含むことを意図するC3-C8アルコールが挙げられる。例示的なグリコールエーテルとしては、一般構造Ra-O-Rb-OH(ここで、Raは、炭素原子1〜20個のアルコキシ、又は炭素原子少なくとも6個のアリールオキシであり、Rbは、グリコールモノマー単位1〜10個を有するプロピレングリコール及び/又はエチレングリコールのエーテル縮合物である)を有するグリコールエーテルが挙げられる。好ましい有機溶媒には、C1-C4アルキレングリコール、例えば、湿潤剤としても知られるプロピレングリコール、及びC1-C4一価アルコール、例えば、抗菌効果を増加させることができるエタノールが含まれる。存在する場合、有機溶媒成分は、それらが一部をなしている組成物の全質量に基づき、約0.001 - 15%wt.、より好ましくは、0.1 - 10%wt.、更により好ましくは0.5 - 5%wtを含む。ある好ましい実施態様において、有機溶媒成分は、必ず存在し、他のある好ましい実施態様において、有機溶媒成分は必ずしも存在しない。
【0016】
Log殺菌/有効性
本発明に従って提供される局所抗菌組成物は、prEN 12054のプロトコールに準じて、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌及びエンテロコッカス・ヒラエからなる群より選ばれる微生物の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、最も好ましくは4つの60秒接触時間において少なくとも3log10の殺菌効果、好ましくは少なくとも4logの殺菌効果、特に好ましくは少なくとも5log10の殺菌効果を示す。従来技術において認識されるように、この試験“prEN12054 - 化学殺菌消毒剤 - 衛生的及び手術時擦式手指及び手洗い用製品、殺菌作用 - 試験法及び要件 (段階 2, 工程 1)”は、短い接触時間で複数の指定された試験生物体に合格するのが特に難しいものである。このように、本明細書に教示される局所抗菌組成物の好ましい実施態様は、prEN 12054のプロトコールに準じて、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌及びエンテロコッカス・ヒラエからなる群より選ばれる微生物の少なくとも3つ、好ましくはすべて4つの60秒接触時間において少なくとも3log10、好ましくは少なくとも4log10、特に好ましくは少なくとも5log10の殺菌効果を示すことができない先行技術組成物より著しく進歩している。最も好ましい局所抗菌組成物は、既知の技術プロトコールEN12054(化学殺菌剤及び消毒剤 - 抗菌活性の評価に対する定量的懸濁試験)、EN1276(懸濁液における殺菌作用の評価 - 希釈中和法)及びEN 1499(化学殺菌剤及び消毒剤 - 衛生的手洗い)の1つ以上に準じて緑膿菌に対する60秒において少なくとも4log10殺菌効果、好ましくは少なくとも5log10殺菌効果を与えるものである。
【0017】
容器
容易に注入可能な局所抗菌組成物が好ましいが、局所抗菌組成物が、本質的に水で薄められ、且つ0.001Pa・s(1cP)程度の粘度を有する組成物として、又は本質的に固形、或いは硬いが拡散可能な組成物、或いはペースト状として供給することができることは理解されるべきである。従って、局所抗菌組成物の粘度は、非常に広いと予想される。
局所抗菌組成物は、25℃において少なくとも0.5Pa・s(500cP)、好ましくは1〜50Pa・s(1000 - 50,000cP)、より好ましくは約1〜25(1000 - 25,000cP)、特に好ましくは25℃において1.5〜20Pa・s(1500 - 20,000cP)の粘度を有することを特徴とすることができる。粘度は、従来の定量法を用いて、例えば、25℃において12rpmで回転するBrookfield Type LV3粘度計の使用によって求めることができる。
このように、存在する水の量は、広く変化させることができ、主に選択された成分及び望ましい製品の形に左右される。有利には、水は、本発明の組成物の100質量%まで与えるように添加される。存在する場合、水は、それが一部をなしている組成物の全質量の約98%wt.まで広い範囲にある量で存在することができるが、製品の形に基づいて、更にそれが一部をなしている組成物の全質量に基づいて、少なくした量、例えば、95%、92.5%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、更に、30%、25%、20%、15%、10%、5%wtのより少ない量でしばしば存在する。しばしば1つ以上の成分が水性液体担体又は水性/有機液体担体で供給することができるように、それぞれの供給業者から“供給されたまま”の水が成分に添加されない本発明の組成物もまた企図される。
本発明の組成物は、その粘度及び消費者による使用目的に適した容器に詰めることができる。例えば、ローション又はクリームは、びんに詰めることができ、又は噴射剤駆動エアゾール装置に噴射剤と共に詰めることができもしくは手で操作可能なポンプを備えた容器に詰めてもよい。本発明の組成物がより高粘度を有し且つペースト、ゲル又はクリームの形である場合には、開口部が比較的広い再び閉じることのできる容器、例えば、取り外し可能で交換可能なキャップ又は蓋の付いたジャー、カン、たらい又はびんで都合よく供給されてもよい。低粘度を有する組成物の形は、注入することによって、又は手でポンプ圧送可能なトリガーポンプ又は手で操作可能なトリガースプレーポンプを経るようにポンプで送ることによって分配されるびん又はフラスコで供給されてもよい。本発明の組成物は、変形しないびんで提供され保存され得るが、より好ましくは、消費者が組成物を容易に分配するチューブ又は変形可能なびんのようなスクイーズ容器で供給される。従って、本発明の態様は、更に、本明細書に記載されるように本発明の組成物を含有する密閉容器を与える。組成物がバー、タブレット又はケークのような固形である場合には、引き剥がされ捨てられる包装紙に包装されるか、又は固形の未使用部分を消費者が使用する間に保存することができるトレー又は他の容器で提供されてもよい。
【0018】
追加の成分/要素
本発明の局所抗菌組成物は、更に、前記組成物に1つ以上の望ましい美的効果又は技術的効果を与えるために用いることができる1つ以上の選択的な成分を含むことができる。本発明のある好ましい実施態様において、以下の列挙される選択的な要素の1つ以上を特定の好ましい実施態様の本質的な要素とみなすことができる。このような選択的な成分には、化粧品、医薬品又は皮膚科の領域において慣用の添加剤や補助剤、例えば、親水性ゲル化剤又は親油性ゲル化剤、親水性活性物質又は親油性活性物質、追加の増粘剤、湿潤剤、乳白剤、防腐剤、抗酸化剤、溶媒、特に有機溶媒、pH調整剤、pH緩衝剤、キレート化剤、芳香剤、アロマセラピー効果を与える芳香剤又は他の材料、充填剤、防腐剤、染料又は着色剤、UV吸収剤を含む光安定剤が含まれる。これらの種々の添加剤や補助剤の合計量は、領域において通例用いられるものであり、例えば、組成物の全質量の0.01%〜75%、好ましくは0.01% - 50%wt.の範囲にある。
本発明の組成物は、必要により、本発明の有利な技術的特徴、特に抗菌特性に悪影響を及ぼすことが見出されない追加の増粘剤を含んでいてもよい。セルロース、アルキルセルロース、アルコキシセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロース、天然に存在する多糖ポリマー、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガカントゴム又はこれらの誘導体、ポリカルボキシレートポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート交差ポリマー増粘剤、クレー、及びこれらの混合物より選ばれる多糖ポリマーの1つ以上が考慮される。
【0019】
局所抗菌組成物は、本発明の組成物の成分の残りと化学的に反応することが悪影響を及ぼさない、室温で固体であるいかなる粒状材料であってもよい、化粧品用微粒子を含むことができる。有利には、化粧品用微粒子は、局所抗菌組成物の成分の残りに不溶である。
化粧品用微粒子成分に有効な例示的材料としては、無機微粒子、ポリマー有機微粒子、カーボネート、中空シリカマイクロスフェア、ガラスマイクロカプセル、セラミックマイクロカプセル、無機顔料、植物、鉱油又は石油から誘導される結晶性ワックスやミクロクリスタリンワックス、中空ポリマーマイクロスフェア、デンプン、アルギン酸塩、有機染料又は顔料、及びこれらの混合物が挙げられる。2つ以上の化粧品用粒子の混合物は、化粧品用微粒子要素を与えるために用いることができる。角質除去効果を与える材料は、化粧品用微粒子要素成分として好ましい。
化粧品用粒状材料の好ましい種類は、ミクロクリスタリンワックスを含む合成的に生じる或いは合成ワックスに基づくものである。本発明の組成物中に含まれる場合、本発明の化粧品用微粒子成分は、任意の有効量で、局所抗菌組成物の有利には少なくとも0.01%wt.、好ましくは少なくとも0.05%wt、最も好ましくは少なくとも0.1%wtから供給することができる。同様に有利には、化粧品用微粒子成分は、それが一部をなしている局所抗菌組成物の10%wt.以下、好ましくは5%wt以下、より好ましくは2%wt以下、最も好ましくは2%wt以下で存在する。
局所抗菌組成物は、1つ以上の充填剤を粉末の形で含むことができる。限定されない例としてこれらの粉末には、チョーク、タルク、カオリン、スターチ、スメクタイトクレー、化学的に変性した珪酸アルミニウムマグネシウム、有機的に変性したモンモリロナイトクレー、水和珪酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、アルミニウムスターチオクテニルスクシネート又はこれらの混合物が含まれる。組成物中に存在する場合、1つ以上の充填剤は、それが一部をなしている局所組成物の全質量に基づき、約5%wt.までの量で存在することができ、好ましくは約0.001%wt.〜約5%wtの量で存在する。
【0020】
局所組成物は、また、カチオンポリクオタニウム型ポリマーが含まれてもよい。このような材料は、局所組成物の当該技術において周知であり、文献に、特にthe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, Volume 2 (9th Edition, 2002), pages 1311 - 1319に記載されている。他のポリクオタニウム化合物は、ここでは詳しく説明されないが、本発明の組成物にも用いることができる。
局所抗菌組成物に存在する場合、1つ以上のカチオンポリクオタニウム型ポリマーは、それらが一部をなしている局所抗菌組成物の全質量に基づき、有利には約0.001 - 5の%wt.の量で、好ましくは0.01 - 2%wt.の量で存在するが、最も望ましくは約0.05 - 1%wt.の少量の質量パーセントで存在する。
本発明の組成物に含むことができる1つの選択的な成分は、ラテックスである。これは、組成物の混濁化を与えるために用いられ、“乳白剤”として当該技術において述べられている。これは、典型的には、担体中の水不溶性ポリマー又はコポリマーのエマルジョン、分散液又は懸濁液である材料である。担体は、水性溶媒、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒であり得る。ラテックスは、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸又はそのC1 -C20エステル、メタクリル酸又はそのC1 -C20エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、酢酸ビニル、クロトン酸、ビニルネオデカノエート及びブテン酸から形成されるホモポリマー、又はコポリマーに基づくことができる。
本発明において有効な特に好ましいラテックスは、商標ACUSOL(例えば、Rohm & Haas Inc.)として現在市販されているラテックスである。組成物中に存在する場合、ラテックスは、それが一部をなしている局所組成物の全質量に基づき、約5%wt.までの量で存在することができ、好ましくは約0.001%wt.〜約3%wt.の量で存在し、好ましくは約0.1%wt.〜約1.2%wtの量で存在し、最も好ましく約0.1%wt.〜約1%wt.の量で存在する。同時に、ラテックス中に存在する水不溶性ポリマーの量は、ラテックスの約0.01〜約90質量%、好ましくは約0.1〜約60質量%、最適には約10〜約50質量%の範囲にあり得る。
【0021】
局所抗菌組成物には、1つ以上の防腐剤が含まれていてもよい。最も好ましい防腐剤は、防腐剤組成物として商標KATHON CG/ICP(例えば、Rohm and Haas Inc.)で販売されている5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物を含む市販の防腐剤である。有効な防腐剤組成物には、更に、KATHON CG/ICP II(例えば、Rohm and Haas Inc.)、PROXEL(例えば、Zeneca)、SUTTOCIDE A(例えば、Sutton Laboratories)、また、TEXTAMER 38AD(例えば、Calgon Corp.)が含まれる。存在する場合、防腐剤は、特に室温で数ヶ月間の貯蔵で、局所抗菌組成物中の望ましくない微生物の増殖を遅らせるか又は阻止するのに有効であることがわかった任意の量で含まれる。組成物中に存在する場合、好ましい実施態様であるものによれば、防腐剤組成物は、それが一部をなしている局所組成物の全質量に基づき、有利には約1.5%wt.までの量で存在し、好ましくは約0.00001%wt.〜約0.5%wt.の量に存在し、最も好ましくは約0.0001%wt.〜0.25%wtの量で存在する。
局所抗菌組成物には、芳香成分が含まれてもよく、天然芳香剤及び合成芳香剤に基づくことができ、最も一般的には複数のこのような芳香剤の混合物又はブレンドであり、必要により、芳香剤が溶解されているか、懸濁されているか又は分散されている有機溶媒又は有機溶媒の混合物のような担体と併用してもよい。組成物中に存在する場合、好ましい実施態様によれば、芳香成分は、局所組成物の消費者が識別し得るような任意の有効量で存在してもよいが、それが一部をなしている組成物の全質量に基づき、有利には約1%wt.までの量で存在し、好ましくは約0.00001%wt.〜約0.5%wt.の量で存在し、最も好ましくは約0.0001%wt.〜0.25%wtの量で存在する。
【0022】
本発明の局所抗菌組成物には、望ましい色又は色合いを本発明の組成物に与えるように用いることができる化粧品又は局所組成物に有効であることが当該技術に知られている1つ以上の着色剤、例えば、色素又は顔料が含まれていてもよい。局所組成物を形成しているその他の成分と適合できる任意の着色剤が用いられてもよく、これは望ましい視覚上の効果を達成するのに効果的な任意の量で存在することができる。有利には、1つ以上の着色剤は、1つ又は複数の着色剤が一部をなしている組成物の全質量に基づき、約0.001%wt.〜約0.1質量%の量で添加されてもよい。
局所抗菌組成物には、単独で用いることができる1つ以上の湿潤剤が含まれてもよく、2つ以上の湿潤剤が本発明の局所抗菌組成物に含まれてもよい。湿潤剤のうち、アロエベラがその形の一つ以上で天然由来の製品であるとして好ましい。存在する場合、好ましい実施態様であるものによれば、1つ以上の湿潤剤は、有効量、それが一部をなしている組成物の全質量に基づき、有利には0.01 - 2.5%wt.、好ましくは0.01 - 2%wtで含まれてもよい。
本発明の局所抗菌組成物には、いわゆる“アロマセラピー効果”を使用者に与えるように選ばれる1つ以上のエッセンシャルオイルが含まれてもよい。エッセンシャルオイルは、テルペン、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、フェノールのような異なる有機分子の複合混合物である。このようなエッセンシャルオイルは、芳香植物の花、幹、葉、根、樹皮のような天然に存在する植物源からしばしば抽出される。エッセンシャルオイルは単独で用いられてもよいが、結合的芳香効果、おそらくはトリートメント効果も与えるためにエッセンシャルオイルのブレンドを用いることも共通している。
【0023】
本発明に用いられるアロマセラピーの効果を与える1つ以上のこれらのエッセンシャルオイルは、組成物の全質量に基づき、約0.00001質量%〜約1質量%量で存在する。アロマセラピー効果を与える1つ以上のエッセンシャルオイルは、好ましくは組成物の全質量の約0.00005質量%〜約0.75質量%、より好ましくは約0.0001質量%〜約0.5質量%の量で存在する。アロマセラピー効果を与える1つ以上のこれらのエッセンシャルオイルが前記の選択的な芳香成分を含めずに用いることができ且つ前記芳香成分の代わりに全体に又は部分的に用いることができることは理解されるべきである。
局所抗菌組成物には、1つ以上の抗酸化剤成分が含まれてもよい。抗酸化剤の例としては、水溶性抗酸化剤、例えば、スルフヒドリル化合物及びこれらの誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウムやN-アセチルシステイン)、リポ酸やジヒドロリポ酸、レズベラトロール、ラクトフェリン、グルタチオン及びアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビルパルミテートやアスコルビルポリペプチド)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の局所抗菌組成物に用いるのに適した油溶性の抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド、トコフェロール、例えば、トコフェロールアセテート、トコトリエノール、ユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の局所組成物に用いるのに適した抗酸化剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド又はイソフラボノイド又はこれらの誘導体を含有する抽出物、レズベラトロールを含有する抽出物等が挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、マツ樹皮、プロポリス等が挙げられる。存在する場合、このような抗酸化剤の合計量は、それが一部をなしている局所抗菌組成物の全質量に基づき、通常は5%wtを超えず、好ましくは0.0001 - 4%wtの量で存在する。ある好ましい実施態様において、1つ以上の抗酸化剤成分は必ず存在する。
必要により、局所抗菌組成物には、1つ以上のビタミンが含まれていてもよい。存在する場合、好ましい実施態様であるものによれば、1つ以上のビタミンは、有効量、それが一部をなしている局所抗菌組成物の全質量に基づき、有利には0.0001 - 1%wt.、好ましくは0.001 - 0.75%wtで含まれていてもよい。
【0024】
局所抗菌組成物には、1つ以上の光安定剤だけでなく、UV吸収剤が含まれていてもよい。このような材料は、化粧品組成物又は局所組成物において有効であり且つある種の光源、例えば、太陽光、蛍光光源にさらされる場合に悪影響を及ぼすことがあり得る1つ以上の成分を含むことになる組成物にある程度の安定性を与えることが知られている。他のこのような材料は、組成物中に存在してもよい着色剤の作用を安定化するか又は改善することが知られている。本発明の組成物中の成分の1つ以上を光分解性分解又は光酸化分解から保護する任意の美容的に許容され得る材料又は化合物が用いられてもよい。
現在市販されている例示的で好ましいこのような材料としては: Buteth-3及びクエン酸トリブチルを有するナトリウムベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホネートであることが記載されているCIBAFAST H液体; ナトリウムベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホネートであることが記載されているTINOGARD HS; ブメトリゾールであることが記載されているTINOGARD AS; ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾールであることが記載されているTINOGARD TL; 及びトリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレートであることが記載されているTINOGARD Qの1つ以上が挙げられ、すべてCiba Specialty Chemicals(Muttenz, CH.)から現在市販されている。
存在する場合、1つ以上の光安定剤並びにUV吸収剤が任意の有効量で含まれてもよい; 有利には、この材料は、それが一部をなしている局所抗菌組成物の全質量に基づき、0.0001 - 1%wt.、好ましくは0.001 - 0.5%wtの量で存在する。
本発明の局所抗菌組成物には、一つ以上のキレート化剤が含まれていてもよい。好ましいキレート化剤には、酸や塩、特に、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のナトリウム塩やカリウム塩が含まれ、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩が特に有利に用いられる。このようなキレート化剤は、省略されてもよく、一般的には少量、キレート化剤及び/又はその塩の形に基づき0.001 - 0.5%wt.で含まれてもよい。望ましくは、このようなキレート化剤は、本発明の組成物に0.01 - 0.5%wt.の量で含まれるが、最も望ましくは約0.01 - 0.2%wtの低質量パーセントで存在する。
【0025】
本発明の特に好ましい実施態様は、
・0.001〜2.5質量%の殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物;
・0.01〜25質量%のベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化された成分及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系; 及び
・0.01〜7質量%の非イオン性界面活性剤
を含む。
本発明の特に好ましい実施態様は、
・0.001〜2.5質量%の殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物;
・0.01〜25質量%のベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化成分及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系;
・0.01〜7質量%の非イオン性界面活性剤
・0.5〜5質量%の有機溶媒; 及び
・有機カルボン酸
を含む。
態様において、更に、本発明は、また、皮膚又は他の局所表面を洗浄し及び/又は皮膚又は他の局所表面に抗菌効果を与える方法であって、本明細書に記載される水性局所抗菌組成物を洗浄及び/又は抗菌的に有効な量で局所適用する、前記方法を企図する。好ましくは、上記の方法によれば、組成物が適用された皮膚又は他の局所表面に抗菌効果が得られる。
【0026】
本明細書に開示される局所抗菌組成物は、皮膚への適用に主に使用されて、それに洗浄及び/又は抗菌効果を与え、且つこのようなトリートメントに用いられるディスペンサで供給されるものとして企図されるが、これが制限する定義として理解されるべきでないこと及び本発明の組成物の他の形及び他の使用、例えば、化粧水、乳液、クリーム、洗顔クリーム、マッサージ材料、液体化粧石鹸、また、頭髪用化粧品、例えば、シャンプー、リンス又は他の毛髪又は頭皮トリートメントが本発明の範囲内にあるものとして特に企図されることは理解されるべきである。本発明の局所抗菌組成物は、透明、半透明又は不透明であってもよい、ローション、クリーム又はゲルとして配合され得る。ある好ましい実施態様において、局所抗菌組成物は、半透明或いは透明、好ましくは透明な組成物として供給される。
更に、本明細書に開示される局所抗菌組成物の局所適用が顔、首、胸、背中、腕、脇の下、手、足、及び頭皮上の皮膚を含む、身体のいかなる部分の皮膚に適用されてもよいことは特に理解されるべきである。本明細書に開示される局所抗菌組成物は、また、毛髪に用いることができる。
使用するとき、消費者は、本明細書に記載される局所抗菌組成物の量を分配し、前記組成物の適用の前に好ましくは水で湿らせた(例えば、すすいだ)身体の皮膚又は他のいかなる部分にも適用されることは企図される。消費者が身体の適用した皮膚又は他の部分に局所抗菌組成物を擦って、石鹸の泡或いは泡を生成させることができ、その後、処理された領域を流水の流れによって、例えば、シャワーで又は水に浸すことによって、例えば、浴室で消費者がすすぐことが予想される。その後、消費者の身体の皮膚又は他の部分を空気乾燥させるか又は過剰の水分を吸収する1枚以上のタオルの使用も企図される。このように、本発明の態様は、更に、本明細書に記載される局所抗菌組成物の使用に関する。
下記の実施例は、例示的な配合物及び本発明の好ましい実施態様を示すものである。これらの実施例が例示のためにのみ示され、また、本発明の範囲及び特許請求の範囲内にある有効な配合物が本発明の範囲及び真意から逸脱することなく当業者によって容易に製造されることができることは理解されるべきである。
【実施例】
【0027】
以下に記載される本発明に従って製造される本発明の多くの局所抗菌組成物を、均質の混合物が形成されるまで測定された量の確認された成分を水中で混合することによって製造した。その後、最後の成分ベンゾフェノンを撹拌しながら添加し、そのときに組成物の粘度が著しく増大したことが見られた。
下記の組成物において、成分をそれぞれの供給業者から“供給されたまま”で用い、下記の表1、2及び3に示されるように100%wt.未満の“活性物質”を構成してもよく、指定された化合物の100%wt“活性物質”を構成するものとして供給されてもよい。用いられる個々の成分の同一性は、より完全に表3に記載される。100質量部の個々の組成物を供給するために組成物の各々に“適量”(q.s.)の脱イオン水を含めた。
抗微生物効果:
本発明の組成物の局所抗微生物効果をprEN 12054 - 化学殺菌剤及び消毒剤−抗菌活性の評価に対する定量的懸濁試験に従って評価した。この試験を用いて衛生的及び手術時擦式手指及び手洗い用途のための試験組成物の抗微生物効果を評価した。従来技術において認識されるように、prEN 12054の要求は、特に試験の短い接触時間で満たすのに特に難しいものである。
60秒の接触時間について、表1の組成物をprEN 12054に従って評価した。各課題微生物について、2回の実験を各試験に用いた。表2は、確認された組成物について達成したlog10減少を報告したものである。上記から明らかなように、prEN12054のプロトコールに準じて黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌及びエンテロコッカス・ヒラエの各々が、少なくとも4log10減少、更により好ましくは少なくとも5log10減少を示した組成物が特に好ましいものであった。
推奨されたスピンドルを用い12rpmで回転するBrookfield Type LV3粘度計を用いて、20℃と25℃で測定した組成物の粘度を表2に示した。
報告された結果から明らかなように、組成物はprEN12054のプロトコールに従って優れた抗菌活性を示した。
更に本明細書に個別に報告されていないが、2〜4週の間隔で40℃の高温で保存した場合に好ましい組成物は優れた貯蔵安定性を示した。
本発明は種々の変更及び別の形を受けやすいが、その個々の実施態様が本発明を開示された具体的な形に限定することを意図しない一例として示されたことは理解されるべきである; これに対して、本発明は、添付の特許請求の範囲に表される本発明の範囲及び真意の範囲内にあるすべての変更、等価物及び代替物を包含するものである。
【0028】

【0029】

【0030】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
・殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物を含み; 且つ
・アニオンソープやアニオン界面活性剤を含まない;
表皮に適用するための局所抗菌組成物であって:
組成物が黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌及びエンテロコッカス・ヒラエからなる群より選ばれる微生物の少なくとも2つの60秒接触時間において少なくともスリーログキル効果を示す、前記組成物であって;
組成物がベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化成分、及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系を更に含むことを特徴する、前記組成物。
【請求項2】
4.0〜7.0のpHを有する、請求項1に記載の局所抗菌組成物。
【請求項3】
5.5以下のpHを有する、請求項1又は2に記載の局所抗菌組成物。
【請求項4】
5 - 5.5のpHを有する、請求項3に記載の局所抗菌組成物。
【請求項5】
25℃において1.5〜20Pa・s(1500 - 20,000cP)の粘度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の局所抗菌組成物。
【請求項6】
エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール、プロポキシル化脂肪アルコール、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪(C6-C24)酸のエトキシル化エステル、エチレンオキシドと長鎖アミン又はアミドとの縮合生成物、アミンオキシド化合物、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の局所抗菌組成物。
【請求項7】
親水性ゲル化剤又は親油性ゲル化剤、親水性活性物質又は親油性活性物質、追加の増粘剤、湿潤剤、乳白剤、防腐剤、抗酸化剤、溶媒、特に有機溶媒、pH調整剤、pH緩衝剤、キレート化剤、芳香剤又はアロマセラピー効果を与える他の材料、充填剤、防腐剤、染料又は着色剤、及びUV吸収剤を含む光安定剤からなる群より選ばれる1つ以上の物質を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の局所抗菌組成物。
【請求項8】
o 0.001〜2.5質量%の殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物;
o 0.01〜25質量%のベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化成分及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系; 及び
o 0.01〜7質量%の非イオン性界面活性剤
を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の局所抗菌組成物。
【請求項9】
o 0.01〜1質量%の殺菌効果を示す1つ以上の第四級アンモニウム化合物;
o 0.1〜10質量%のベンゾフェノン成分、オキシアルキレン化成分及び脂肪アルカノールアミド成分を含む三元増粘系;
o 0.01〜1質量%の非イオン性界面活性剤;
o 0.5〜5質量%の有機溶媒; 及び
o 有機カルボン酸
を含む、請求項7に記載の局所抗菌組成物。
【請求項10】
表皮を処理する方法であって、それに効果的な洗浄及び/又は抗菌効果を与えるのに洗浄及び/又は抗菌的に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の局所組成物を適用することを含む、前記方法。
【請求項11】
体表皮領域を洗浄するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗菌組成物の使用。

【公表番号】特表2011−511052(P2011−511052A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545552(P2010−545552)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000341
【国際公開番号】WO2009/098476
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510214344)レキット ベンキッサー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】