屋内外判定装置、屋内外判定方法および屋内外判定プログラム、並びに、測位システム、測位方法及び測位プログラム
【課題】受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定する。
【解決手段】屋内外判定装置30は、判定用ＤＢ31と、対象の受信機から受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報（ＭＲ）を受信する受信部32と、ＭＲより受信信号の無線信号源数Ｎを特定する特定部33と、無線信号源数Ｎが、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な最小限の無線信号源数Ｍ以上か否かを判定する可否判定部34と、Ｎ≧Ｍの場合に第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定部35と、Ｎ＜Ｍの場合に第２の屋内外判定法として、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の組合せに対応する屋内外特徴情報に基づく屋内外判定を行うか、又は、無線信号源数Ｎと無線信号源数最小値Ｑと第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な最小限の無線信号源数Ｐとに基づく屋内外判定を行う第２の屋内外判定部36と、を備える。
【解決手段】屋内外判定装置30は、判定用ＤＢ31と、対象の受信機から受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報（ＭＲ）を受信する受信部32と、ＭＲより受信信号の無線信号源数Ｎを特定する特定部33と、無線信号源数Ｎが、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な最小限の無線信号源数Ｍ以上か否かを判定する可否判定部34と、Ｎ≧Ｍの場合に第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定部35と、Ｎ＜Ｍの場合に第２の屋内外判定法として、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の組合せに対応する屋内外特徴情報に基づく屋内外判定を行うか、又は、無線信号源数Ｎと無線信号源数最小値Ｑと第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な最小限の無線信号源数Ｐとに基づく屋内外判定を行う第２の屋内外判定部36と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、受信機の位置が屋内か屋外かを判定する屋内外判定装置、屋内外判定方法および屋内外判定プログラム、並びに、受信機の位置を推定する測位システム、測位方法及び測位プログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から、ＧＰＳ（Global Positioning System、全地球測位システム）を用いて受信機の測位を行う技術が知られている（例えば、非特許文献１参照）。また、移動体通信網から取得した衛星の位置等を示すアシストデータを利用して、測位を行うＡＧＰＳ（Assisted ＧＰＳ）という方式も知られている。
【０００３】
ＧＰＳによる位置測位が成功しない場合（即ち、ＧＰＳによる測位結果がフィックスしない場合）、移動体通信網の信号を用いて測位を行う基地局測位やＧＰＳ衛星からの信号と移動体通信網の信号とを併用して測位を行うハイブリッド（Hybrid）と呼ばれる測位が行われることがある。
【非特許文献１】井坂丈泰、「ＧＰＳ技術入門」、東京電機大学出版局、２００３年２月２８日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来の方法では、ＧＰＳによる位置測位が成功するか否かは、実際に測位を開始してみないと判らなかった。また、上記の判断を含むＧＰＳ測位も時間がかかっていた。受信機において演算処理が行われるＵＥ−ｂａｓｅｄ ＡＧＰＳ測位方式では、特に時間がかかっていた。例えば、ＧＰＳ衛星からの信号が受信できない屋内においては、ＧＰＳ測位が不能となった後に、基地局測位等の別の測位に入るため測位全体の時間としては多くの時間がかかっていた。この場合、測位に時間がかかった割には測位精度が悪い結果しか返ってこないという結果になる。そのため、受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定し、その判定結果に応じてＧＰＳ測位の実行を適切に制御することが待望される。
【０００５】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定することができる屋内外判定装置、屋内外判定方法および屋内外判定プログラムを提供すること、並びに、より短い時間で受信機の状態に応じた測位結果を得ることができる測位システム、測位方法及び測位プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために、本発明に係る屋内外判定装置は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定手段と、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御手段と、を備えることを特徴とする。
【０００７】
上記の第１の態様の屋内外判定装置では、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信すると、受信された測定レポート情報より受信信号の無線信号源数を特定し、測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベースから抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する。そして、無線信号源数、無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかが判定される。このように、対象の受信機からの測定レポート情報より無線信号源数と無線信号源数最小値とを得て、これら無線信号源数、無線信号源数最小値、および所定の最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを適切に判定することができる。
【０００８】
より具体的には、無線信号源数、無線信号源数最小値、および最小限の無線信号源数に基づく判定については、無線信号源数、無線信号源数最小値、および最小限の無線信号源数を比較し、無線信号源数が無線信号源数最小値以上の場合、対象の受信機が屋外にいると判定し、無線信号源数が最小限の無線信号源数以上であり且つ無線信号源数最小値未満の場合、対象の受信機が屋内にいると判定し、無線信号源数が最小限の無線信号源数未満の場合、屋内外の判定不能と判定することができる。
【０００９】
また、第１の屋内外判定法と第２の屋内外判定法とが存在する環境では、本発明に係る屋内外判定装置は、第２の態様として、以下のように構成することができる。
【００１０】
本発明に係る屋内外判定装置は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、を備えることを特徴とする。
【００１１】
本発明に係る屋内外判定装置では、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信すると、受信された測定レポート情報より受信信号の無線信号源数を特定し、無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する。ここで、無線信号源数が最小限の無線信号源数以上と判定された場合は、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行し、無線信号源数が最小限の無線信号源数未満と判定された場合は、以下のように第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。即ち、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベースから抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する。そして、無線信号源数、無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかが判定される。
【００１２】
このように、まず、無線信号源数と最小限の無線信号源数との比較結果に基づいて、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行を制御し、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行不可の場合は、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行へ速やかに切り替えることができる。第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、対象の受信機からの測定レポート情報より無線信号源数と無線信号源数最小値とを得て、これら無線信号源数、無線信号源数最小値、および所定の最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを適切に判定することができる。
【００１３】
さらに、第１の屋内外判定法と第２の屋内外判定法とが存在する環境において、本発明に係る屋内外判定装置は、第３の態様として、信号受信時の受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報をさらに記憶した判定用データベース、を備えた以下の構成とすることができる。
【００１４】
本発明に係る屋内外判定装置は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベースと、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、を備えることを特徴とする。
【００１５】
本発明に係る屋内外判定装置では、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信すると、受信された測定レポート情報より受信信号の無線信号源数を特定し、無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する。ここで、無線信号源数が最小限の無線信号源数以上と判定された場合は、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行し、無線信号源数が最小限の無線信号源数未満と判定された場合は、以下のように第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。即ち、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を判定用データベースから抽出し、抽出された屋内外特徴情報に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、無線信号源数、無線信号源数最小値、および第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する。
【００１６】
このように、まず、無線信号源数と最小限の無線信号源数との比較結果に基づいて、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行を制御し、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行不可の場合は、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行へ速やかに切り替えることができる。第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、屋内外特徴情報に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、無線信号源数、無線信号源数最小値、および第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するか、の何れかを選択的に行い、屋内外判定を適切に行うことができる。
【００１７】
ところで、本発明は、上記のように第１〜第３の態様の屋内外判定装置の発明として記述できる他に、以下のように屋内外判定方法及び屋内外判定プログラムの発明としても記述することができる。これらはカテゴリ等が異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【００１８】
本発明に係る屋内外判定方法は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定するステップと、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とする（第１の態様）。
【００１９】
また、本発明に係る屋内外判定方法は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とする（第２の態様）。
【００２０】
さらに、本発明に係る屋内外判定方法は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とする（第３の態様）。
【００２１】
本発明に係る屋内外判定プログラムは、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定機能と、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御機能と、を実行させることを特徴とする（第１の態様）。
【００２２】
また、本発明に係る屋内外判定プログラムは、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、を実行させることを特徴とする（第２の態様）。
【００２３】
さらに、本発明に係る屋内外判定プログラムは、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、を実行させることを特徴とする（第３の態様）。
【００２４】
ところで、本発明は、上記の屋内外判定装置を含んで構成された測位システムに係る発明として、以下のように記述することができる。
【００２５】
本発明に係る測位システムは、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位システムであって、前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得手段と、前記無線通信情報取得手段によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定手段と、前記有効性推定手段によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御手段と、を備え、前記無線通信情報取得手段は、前述した第１〜第３の何れかの態様の屋内外判定装置を含んで構成され、前記屋内外判定装置による判定結果を前記無線通信に関する情報とすることを特徴とする。
【００２６】
上記測位システムでは、屋内外判定装置を含んで構成された無線通信情報取得手段によって、適切な屋内外判定結果を得ることができ、かかる屋内外判定結果に応じた測位結果を効率的に（より短い時間で）得ることができる。
【００２７】
本発明は、上記のように測位システムの発明として記述できる他に、以下のように測位方法及び測位プログラムの発明としても記述することができる。これらはカテゴリ等が異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【００２８】
本発明は、上記の屋内外判定方法が実行される測位方法に係る発明として、以下のように記述することができる。
【００２９】
本発明に係る測位方法は、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位方法であって、前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得ステップと、前記無線通信情報取得ステップにおいて取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定ステップと、前記有効性推定ステップにおいて推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御ステップと、を含み、前記無線通信情報取得ステップでは、前述した第１〜第３の何れかの態様の屋内外判定方法が実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とすることを特徴とする。
【００３０】
また、本発明は、上記の屋内外判定プログラムが実行される測位プログラムに係る発明として、以下のように記述することができる。
【００３１】
本発明に係る測位プログラムは、コンピュータに、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定させる測位プログラムであって、前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得機能と、前記無線通信情報取得機能によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定機能と、前記有効性推定機能によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御機能と、を前記コンピュータにより実行させ、前記無線通信情報取得機能の実行時には、前述した第１〜第３の何れかの態様の屋内外判定プログラムが実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【００３２】
本発明によれば、受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定することができ、また、かかる適切な屋内外判定結果に応じた測位結果を効率的に（より短い時間で）得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３３】
以下、図面とともに本発明に係る測位システム及び測位方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【００３４】
［測位サーバおよびセルラ端末の構成］
図１に、本実施形態に係る測位システムである測位サーバ１０を示す。測位サーバ１０は、本実施形態に係る受信機であるセルラ端末２０の位置を推定する装置である。測位サーバ１０によるセルラ端末２０の測位（の制御）は、セルラ通信システム（移動通信システム）の枠組みを利用して行われる。測位サーバ１０は、セルラ通信システムに含まれる複数のセルラ基地局５０と接続されており各セルラ基地局５０との間で情報を送受信することができ、また、セルラ基地局５０を介してセルラ端末２０との間で通信を行うことができる。また、測位サーバ１０は、セルラ通信システムに含まれていてもよい。
【００３５】
本実施形態に係る測位サーバ１０を詳細に説明する前に、測位対象であるセルラ端末２０について説明する。セルラ端末２０は、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する装置であり、具体的には、図１に示すようにセルラ通信部２１と、ＧＰＳ受信部２２と、データ蓄積部２３とを備えて構成されている。
【００３６】
セルラ通信部２１は、セルラ通信システムのセルラ通信網（移動体通信網）に含まれる複数のセルラ基地局５０との間で無線通信することにより、セルラ通信（移動体通信）を行う手段である。セルラ通信部２１には、セルラ通信用のアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられてセルラ通信が行われる。セルラ通信部２１は、電話通信等の通常のセルラ通信を行うと共に、測位サーバ１０におけるセルラ端末２０の測位のために用いられるセルラ通信による情報を取得する。具体的にどのような情報を取得するのかについては後述する。セルラ通信部２１は、取得した情報をデータ蓄積部２３に蓄積させる。
【００３７】
また、セルラ通信部２１は、セルラ基地局５０（セルラ通信網）を介して測位サーバ１０との間で情報の送受信を行う。セルラ通信部２１は、データ蓄積部２３に蓄積されている、測位サーバ１０において測位のために用いられる情報を、測位サーバ１０に送信する。セルラ通信部２１から測位サーバ１０に送信される情報には、後述するＧＰＳ測位や基地局測位に用いられる情報と、ＧＰＳ測位の制御に用いられる情報（後述する無線通信に関する情報、又は当該無線通信に関する情報を生成するための情報）とが含まれる。この送信は、セルラ端末２０の測位が行われる際に、例えば測位サーバ１０からの要求又はセルラ端末２０に対するユーザ操作をトリガとして行われる。
【００３８】
ＧＰＳ受信部２２は、ＧＰＳ衛星４０から送信される、測位に用いられる信号を受信する手段である。ＧＰＳ受信部２２には、ＧＰＳ衛星４０からの信号を受信するためのアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられて受信が行われる。ＧＰＳ受信部２２は、ＧＰＳ測位の演算に用いられる、受信したＧＰＳ衛星４０からの信号に関する情報をデータ蓄積部２３に蓄積させる。なお、ＧＰＳ測位の演算自体は、測位サーバ１０にて行われる。
【００３９】
上記のＧＰＳ衛星４０は、時刻に応じて所定の場所に位置しており、当該位置から測位に用いられる測位用の信号を送信している。具体的には、ＧＰＳ衛星４０は、高度約２万ｋｍの６個の周回軌道上に４〜５個ずつ配置されており、時間の経過に伴って周回軌道上を移動する。ＧＰＳ衛星４０が送信する測位用の信号には、ＧＰＳ衛星４０を区別して特定するための識別情報、ＧＰＳ衛星４０の軌道を示す情報、及び信号を送信した時刻を示す情報が含まれている。
【００４０】
データ蓄積部２３は、セルラ通信部２１及びＧＰＳ受信部２２各々によって取得された測位に用いられる情報が格納される。以上が、セルラ端末２０の機能構成である。
【００４１】
引き続いて、図２に本実施形態に係るセルラ端末２０のハードウェア構成を示す。図２に示すように、セルラ端末２０は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）２０１、ＲＡＭ（Random Access Memory）２０２、ＲＯＭ（Read Only Memory）２０３、操作部２０４、ディスプレイ２０５、セルラ通信モジュール２０６、セルラ通信用アンテナ２０７、ＧＰＳ受信モジュール２０８及びＧＰＳ受信用アンテナ２０９等のハードウェアにより構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した機能が発揮される。以上が、セルラ端末２０の構成である。
【００４２】
続いて、測位サーバ１０について説明する。図１に示すように、測位サーバ１０は、送受信部１１と、ＧＰＳ測位演算部１２と、基地局測位演算部１３と、無線通信情報取得部１４と、有効性推定部１５と、推定用データベース１６と、ＧＰＳ測位制御部１７とを備えて構成される。
【００４３】
送受信部１１は、セルラ基地局５０を介してセルラ端末２０との間で情報の送受信を行う手段である。送受信部１１は、セルラ端末２０から受信した情報を、情報に応じてＧＰＳ測位演算部１２、基地局測位演算部１３及び無線通信情報取得部１４に出力する。
【００４４】
ＧＰＳ測位演算部１２は、セルラ端末２０の位置をＧＰＳ測位によって算出する手段である。具体的には、ＧＰＳ測位演算部１２は、（セルラ端末２０のＧＰＳ受信部２２によって受信されて）セルラ端末２０から測位サーバ１０に送信された、セルラ端末２０がＧＰＳ衛星４０から受信した信号の情報を受信する。続いて、ＧＰＳ測位演算部１２は、その情報からＧＰＳ衛星４０の位置、セルラ端末２０からＧＰＳ衛星４０までの距離等を算出して、セルラ端末２０の位置を算出する。また、この算出には、セルラ端末２０によってセルラ通信システムから取得されて測位サーバ１０に送信された、ＧＰＳ衛星４０の位置等を示すアシストデータが用いられてもよい。ＧＰＳ測位演算部１２は、後述するようにＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位の実行可否の制御を受けて、ＧＰＳ測位（演算）を行う。ＧＰＳ測位演算部１２は、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力する。ＧＰＳ測位演算部１２は、ＧＰＳ測位によるセルラ端末２０の位置の算出が失敗した場合、その旨を基地局測位演算部１３に通知する。
【００４５】
基地局測位演算部１３は、セルラ端末２０の位置を基地局測位によって算出する手段である。基地局測位とは、具体的には、以下に示すような処理である。基地局測位演算部１３は、セルラ端末２０から測位サーバ１０に送信された、基地局測位用の情報を受信する。基地局測位用の情報は、例えば、セルラ端末２０のセルラ通信部２１によって測定されて取得される、セルラ端末２０とセルラ基地局５０との間で送受信される電波の伝送遅延（例えばＲＴＴ：Round Trip Time）や電波の減衰量を示す情報（あるいはそれらの情報を算出するために測定された情報でもよい）、及びセルラ基地局５０やセクタを特定する情報（基地局ＩＤ，セクタＩＤ）である。基地局測位演算部１３は、上記の電波の伝送遅延等の情報に基づいて、セルラ端末２０とセルラ基地局５０との間の距離を算出して、セルラ基地局５０の位置情報等を参照して、セルラ端末２０の位置を算出する。ここで、測位サーバ１０には、セルラ基地局５０の位置やセクタの方向を示す情報を、予め記憶している（この情報は、基地局測位演算部１３だけでなく後述する無線通信情報取得部１４等にも用いられる）。
【００４６】
基地局測位演算部１３は、後述するようにＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位の実行可否の制御を受けて、基地局測位（演算）を行う。また、ＧＰＳ測位演算部１２からＧＰＳ測位によるセルラ端末２０の位置の算出が失敗した旨の通知がなされた場合にも、基地局測位（演算）を行う。基地局測位演算部１３は、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力する。なお、基地局測位については、ＧＰＳ測位と比べて相対的に速い時間で測位処理を行うことができる。
【００４７】
無線通信情報取得部１４及び有効性推定部１５は、ＧＰＳ測位によるセルラ端末２０の位置の算出を行うか否かを判定するための手段である。この判定について本実施形態では、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定結果に基づいて行う方法が採用される。以下、無線通信情報取得部１４及び有効性推定部１５の機能を説明する。
【００４８】
図３に示すように、無線通信情報取得部１４は、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定を行う屋内外判定装置３０を内蔵しており、屋内外判定装置３０は、判定用データベース３１と、受信部３２と、特定部３３と、可否判定部３４と、第１の屋内外判定部３５と、第２の屋内外判定部３６とを備えている。
【００４９】
このうち判定用データベース３１は、図４に示すように、セルラ端末２０により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、信号受信時のセルラ端末２０の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報（ここでは一例としてＧＰＳ測位の可否を表す情報（以下「ＧＰＳ可否情報」という））と、を対応付けて記憶している。図４では、例えば、無線信号源のBTS-A, BTS-B, BTS-Dから同時に信号を受信した実績があり、その際にＧＰＳ測位は可能であったことを示し、また、無線信号源のBTS-A, BTS-B, BTS-Eから同時に信号を受信した実績があり、その際にＧＰＳ測位は可能でなかったことを示している。なお、判定用データベース３１の構築については後述する。
【００５０】
受信部３２は、セルラ端末２０から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報（Measurement Report（以下「ＭＲ」と称する））を受信する。ＭＲには、受信信号の無線信号源の識別情報以外に、受信信号レベル、信号の伝送遅延（例えばＲＴＴ：Round Trip Time）情報、減衰量を示す情報、ＧＰＳ測位可否の情報などが含まれている。
【００５１】
特定部３３は、受信されたＭＲより、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する。
【００５２】
可否判定部３４は、無線信号源数Ｎが、後述する第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｍ以上であるか否かを判定する。なお、最小限の無線信号源数Ｍは、予め定められた値である。
【００５３】
第１の屋内外判定部３５は、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上の場合（即ち、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な状況にある場合）に、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。ここでの第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定は、一例として、パターンマッチング測位を行う環境で、セルラ端末２０からのＭＲを、予め保持した測位用データベースと照合することでセルラ端末２０の概算位置を算出し、ＭＲ中の測定データと概算位置における予測データとの間の矛盾の有無に基づいて屋内外を判定するものである。
【００５４】
第２の屋内外判定部３６は、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満の場合（即ち、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不可能な状況にある場合）に、後に詳述する第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。
【００５５】
以上のような構成の屋内外判定装置３０を内蔵した無線通信情報取得部１４は、セルラ端末２０の屋内外の判定結果を、無線通信に関する情報として、図１の有効性推定部１５に出力する。
【００５６】
図１の有効性推定部１５は、無線通信情報取得部１４から無線通信に関する情報としてセルラ端末２０が屋内にいるか屋外にいるかを示す情報が入力されると、当該情報に基づいてＧＰＳ測位の有効性を推定する。例えば、セルラ端末２０が屋外にあるとされた場合は、ＧＰＳ測位は有効であると推定し、セルラ端末２０が屋内にあるとされた場合は、ＧＰＳ測位は有効でないと推定される。これは、セルラ端末２０が屋外にない場合、ＧＰＳ衛星４０からの電波を受信できないため測位不能となるためである。有効性推定部１５は、推定したＧＰＳ測位の有効性を示す情報をＧＰＳ測位制御部１７に出力する。上記が、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判別結果に基づいてＧＰＳ測位の有効性を判定するための構成である。
【００５７】
ＧＰＳ測位制御部１７は、有効性推定部１５によって推定された有効性に基づいて、セルラ端末２０のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御手段である。具体的には、ＧＰＳ測位制御部１７は、ＧＰＳ測位が有効であるとされた場合、ＧＰＳ測位演算部１２に対して、ＧＰＳ測位を実行させるように制御する。一方、ＧＰＳ測位が有効でないとされた場合、基地局測位演算部１３に対して基地局測位を実行させるように制御する（ＧＰＳ測位演算部１２に対してはＧＰＳ測位の実行は指示しない、あるいはＧＰＳ測位の実行を禁止する）。以上が、測位サーバ１０の機能構成である。
【００５８】
図５に測位サーバ１０のハードウェア構成を示す。図５に示すように測位サーバ１０は、ＣＰＵ１０１、主記憶装置であるＲＡＭ１０２及びＲＯＭ１０３、通信を行うための通信モジュール１０４、並びにハードディスク等の補助記憶装置１０５等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、上述した測位サーバ１０の機能が発揮される。
【００５９】
［屋内外判定処理の説明］
引き続いて、図６のフローチャートを用いて、本実施形態に係る屋内外判定装置３０で実行される屋内外判定処理（屋内外判定方法）を説明する。この処理は、例えば、後述する測位処理（図９、図１０）における、無線通信情報取得部１４による無線通信情報取得ステップ（図９のＳ０１、図１０のＳ１１）において実行される。
【００６０】
まず、無線通信情報取得部１４に内蔵された屋内外判定装置３０において、受信部３２が、受信信号の無線信号源の識別情報を含むＭＲをセルラ端末２０から受信し（図６のＳ２１）、特定部３３が、受信されたＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の数をカウントすることで、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する（Ｓ２２）。例えば、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報が「BTS-A」と「BTS-B」の２つであった場合は、無線信号源数Ｎは「２」に特定される。なお、無線信号源については、同一セルに属する受信信号を同じ無線信号源からの受信信号と捉えてもよいし、または、同一セルに属する異なるセクタからの受信信号を、異なる無線信号源からの受信信号と捉えてもよい。
【００６１】
そして、可否判定部３４は、無線信号源数Ｎが、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｍ以上であるか否かを判定する（Ｓ２３）。
【００６２】
Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な状況にあると判断できるため、第１の屋内外判定部３５が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する（Ｓ２４）。ここでは、一例として、セルラ端末２０からのＭＲを、予め保持した測位用データベース（不図示）と照合することでセルラ端末２０の概算位置を算出し、ＭＲ中の測定データと概算位置における予測データとの間の矛盾の有無に基づいて屋内外を判定する。
【００６３】
一方、Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不可能な状況にあると判断できるため、第２の屋内外判定部３６が、以下のような第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。
【００６４】
第２の屋内外判定部３６は、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報と、当該組合せ情報に対応するＧＰＳ可否情報とを判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値Ｑとして設定する（Ｓ２５）。
【００６５】
具体例としては、図７に示すように、無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-B）がＭＲに含まれていた場合、当該無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-B）を全て含んだ組合せ情報として、（BTS-A, BTS-B, BTS-D）、（BTS-A, BTS-B, BTS-E）、（BTS-A, BTS-B）の３つの組合せ情報と、これらに対応するＧＰＳ可否情報とが、判定用データベース３１から抽出される。そして、上記３つの組合せ情報に含まれた無線信号源の数（ここでは「３」、「３」、「２」）のうちの最小値「２」が、無線信号源数最小値Ｑとして設定される。
【００６６】
別の例として、無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-E）がＭＲに含まれていた場合、当該無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-E）を全て含んだ組合せ情報として、（BTS-A, BTS-C, BTS-E, BTS-G）、（BTS-A, BTS-B, BTS-E）の２つの組合せ情報と、これらに対応するＧＰＳ可否情報とが、判定用データベース３１から抽出される。そして、上記２つの組合せ情報に含まれた無線信号源の数（ここでは「４」、「３」）のうちの最小値「３」が、無線信号源数最小値Ｑとして設定される。
【００６７】
次に、第２の屋内外判定部３６は、無線信号源数Ｎが無線信号源数最小値Ｑ以上であるか否かを判定する（Ｓ２６）。Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信していると判断できるため、セルラ端末２０は屋外にいると考えられる。そこで、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の組合せと同じ組合せ情報に対応するＧＰＳ可否情報の有無を確認し（Ｓ２７）、ＧＰＳ可否情報が有れば、当該ＧＰＳ可否情報に基づいて屋内外を判定し（Ｓ２９）、ＧＰＳ可否情報が無ければ、セルラ端末２０は屋外にいると判定する（Ｓ２８）。
【００６８】
一方、Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の組合せと同じ組合せ情報に対応するＧＰＳ可否情報の有無を確認し（Ｓ３０）、ＧＰＳ可否情報が有れば、当該ＧＰＳ可否情報に基づいて屋内外を判定する（Ｓ２９）。ＧＰＳ可否情報が無ければ、無線信号源数Ｎが、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｐ未満であるか否かを判定し（Ｓ３１）、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ未満ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不能であると判定する（Ｓ３３）。一方、Ｓ３１で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ以上ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定は可能であるが、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信しておらず受信状況が劣悪であると判断できるため、セルラ端末２０は屋内にいると判定する（Ｓ３２）。
【００６９】
以上のような図６の屋内外判定処理により、セルラ端末２０が屋内にいるか、屋外にいるか、判定不能であるか、の何れかの判定結果が速やかに得られる。
【００７０】
上述したように、本実施形態に係る測位サーバ１０では、無線信号源数Ｎと最小限の無線信号源数Ｍとの比較結果に基づいて、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行を制御し、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行不可の場合は、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行へ速やかに切り替えることができる。また、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定では、ＧＰＳ可否情報が有る場合は、該ＧＰＳ可否情報に基づいて屋内外を適切に判定することができ、ＧＰＳ可否情報が無い場合は、無線信号源数Ｎ、無線信号源数最小値Ｑ、および第２の屋内外判定法が可能な最小限の無線信号源数Ｐに基づいて屋内外を適切に判定することができる。
【００７１】
なお、判定用データベース３１については、例えば、以下のようにして構築することができる。第１に、ＭＲに含まれた情報（受信信号の無線信号源の識別情報、受信信号レベル、信号の伝送遅延（例えばＲＴＴ：Round Trip Time）情報、減衰量を示す情報、ＧＰＳ測位可否の情報など）を記憶している測位用データベース（不図示）から、必要な情報（受信信号の無線信号源の識別情報やＧＰＳ可否情報）を抽出することで、判定用データベース３１を構築することができる。なお、上記測位用データベースをそのまま判定用データベースとして、利用してもよい。
【００７２】
第２に、判定用データベース３１は、通常の測位および測位用データベース構築の過程で得られる測定情報を用いて、構築することができる。この第２の手法は、測定データを用いる方法と予測データを用いる方法の２種類に分けられる。
【００７３】
このうち、測定データを用いる方法とは、セルラ端末にて測定された無線信号源の識別情報とＧＰＳ測位の可否に結び付けてデータベース化するものである。例えば、図８（ａ）に示すように、測定データを含んだＭＲ１、ＭＲ２、ＭＲ３を受信し、ＭＲ１、ＭＲ２から無線信号源の識別情報の組合せ（BTS-A, BTS-B, BTS-C）とＧＰＳ測位可能の情報を結び付けてデータベース化し、さらに、ＭＲ３から無線信号源の識別情報の組合せ（BTS-A, BTS-D）とＧＰＳ測位不可の情報を結び付けてデータベース化することで、図８（ａ）の判定用データベースが構築される。
【００７４】
一方、予測データを用いる方法とは、グリッド（測位されるエリアをメッシュ状に区切った個々の場所）の全てが屋外であると仮定して、各グリッドにおける地形や回りの障害物を考慮した伝搬予測式から予測データを作成して、データベース化するものである。例えば、図８（ｂ）に示すように、あるグリッド（位置：ＰＯＳ１）における周囲の全無線信号源の受信信号強度を事前に決められた伝搬予測式に従って算出し（Ｓ４１）、全予測受信信号強度に対して、事前に決められた方法に従って、その無線信号源信号の受信可否を判定する（Ｓ４２）。例えば、事前に決められたノイズレベルを基準とし、受信強度が当該ノイズレベルよりも高ければ、無線信号源信号の受信可能と判定し、受信強度が当該ノイズレベル以下ならば、無線信号源信号の受信不可と判定する。そして、受信可能と判定された無線信号源の識別子の組合せを判定用データベースに記憶する（Ｓ４３）。以降、各グリッドについてＳ４１〜Ｓ４３を実行することで判定用データベースが構築される。
【００７５】
［測位処理の説明］
引き続いて、図９のフローチャートを用いて、本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理（測位方法）を説明する。この処理は、例えば、測位サーバ１０によって、セルラ端末２０からセルラ通信網を介して測位要求が受信されることによって開始される。なお、上記以外をトリガとして測位処理が開始されてもよい。
【００７６】
まず、セルラ端末２０において取得された、セルラ通信部２１による通信の情報が測位サーバ１０に送信される。この情報は、上述した無線通信に関する情報に係るものである。測位サーバ１０では、送受信部１１を介して無線通信情報取得部１４によって当該情報が受信される。受信された情報に基づいて、無線通信情報取得部１４によって、無線通信に関する情報が取得される（Ｓ０１、無線通信情報取得ステップ）。無線通信に関する情報は、上述したようにセルラ端末２０の概算位置を示す情報、及びセルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定情報である。取得された上記の無線通信に関する情報は、無線通信情報取得部１４から有効性推定部１５に出力される。
【００７７】
続いて、有効性推定部１５によって、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定情報からＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ０２、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋外にいると判定されていた場合、続いて、有効性推定部１５によって、推定用データベース１６が参照されてセルラ端末２０の概算位置を示す情報からＧＰＳ測位の精度を示す情報が取得され、それに基づいてＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ０３、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、ＧＰＳ測位の精度が良好と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。
【００７８】
ＧＰＳ測位が有効である旨がＧＰＳ測位制御部１７に入力されると、ＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位演算部１２に対して、セルラ端末２０のＧＰＳ測位を実行させる制御が行われる。続いて、制御を受けたＧＰＳ測位演算部１２によって、ＧＰＳ測位演算が行われる（Ｓ０４、ＧＰＳ測位制御ステップ）。なお、ＧＰＳ測位演算を行うための、セルラ端末２０によるＧＰＳ衛星４０からの測位用信号の受信に係る情報は、この時点で測位サーバ１０からセルラ端末２０に要求されて取得してもよいし、セルラ端末２０からこの時点までに送信するようにされていてもよい。
【００７９】
ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功した場合（Ｓ０５）、ＧＰＳ測位演算部１２によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。
【００８０】
Ｓ０２及びＳ０３の何れか一方で、ＧＰＳ測位が有効でないと推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋内にいると判定された場合、又はＧＰＳ測位の精度が劣悪と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。ＧＰＳ測位が有効でない旨がＧＰＳ測位制御部１７に入力されると、ＧＰＳ測位制御部１７から基地局測位演算部１３に対して、セルラ端末２０の基地局測位を実行させる制御を行う（ＧＰＳ測位演算部１２に対して測位演算を行う制御は行われない）。続いて、制御を受けた基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ０６、ＧＰＳ測位制御ステップ）。また、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功しなかった場合も（Ｓ０５）、基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ０６）。
【００８１】
なお、基地局測位演算を行うための、セルラ端末２０によるセルラ基地局５０との間の信号の送受信に係る情報は、この時点で測位サーバ１０からセルラ端末２０に要求されて取得してもよいし、セルラ端末２０からこの時点までに送信するようにされていてもよい。また、上述したＧＰＳ測位の有効性の推定の処理の際に概算位置の算出として基地局測位演算部１３と同様の演算処理が行われていた場合は、概算位置を示す情報を測位結果の情報とし、必ずしもこの時点で基地局測位演算部１３による測位演算が行われなくてもよい。
【００８２】
基地局測位演算部１３による基地局測位演算が成功した場合（Ｓ０７）、基地局測位演算部１３によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。また、基地局測位演算部１３による基地局測位演算が失敗した場合（Ｓ０７）、測位処理が失敗した旨を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。
【００８３】
以上が本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理である。なお、Ｓ０２及びＳ０３におけるＧＰＳ測位の有効性の推定は、必ずしも両方行われる必要はなく、少なくともいずれか一方が行われればよい。
【００８４】
［測位処理の別の例の説明］
引き続いて、図１０のフローチャートを用いて、本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理（測位方法）の別の例を説明する。上記の例では、ＧＰＳ測位演算は、ＧＰＳ測位が有効であると推定された後に行われていたが、測位サーバ１０における処理の開始時点からＧＰＳ測位を開始させるものである。
【００８５】
上述した処理と同様に測位サーバ１０では、無線通信情報取得部１４によって、無線通信に関する情報が取得される（Ｓ１１、無線通信情報取得ステップ）。取得された上記の無線通信に関する情報は、無線通信情報取得部１４から有効性推定部１５に出力される。その一方で、ＧＰＳ測位演算部１２によってＧＰＳ測位演算が開始される（Ｓ１２）。
【００８６】
続いて、無線通信に関する情報が入力された有効性推定部１５によって、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定情報からＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ１３、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋外にいると判定されていた場合、続いて、有効性推定部１５によって、推定用データベース１６が参照されてセルラ端末２０の概算位置を示す情報からＧＰＳ測位の精度を示す情報が取得され、それに基づいてＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ１４、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、ＧＰＳ測位の精度が良好と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。その場合、ＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位演算部１２に対して、特段の制御は行われず、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位の演算処理は継続される。
【００８７】
Ｓ１３及びＳ１４の何れか一方で、ＧＰＳ測位が有効でないと推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋内にいると判定された場合、又はＧＰＳ測位の精度が劣悪と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。ＧＰＳ測位が有効でない旨がＧＰＳ測位制御部１７に入力されると、ＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位演算部１２に対して、ＧＰＳ測位演算を中止させる制御が行われる。制御を受けたＧＰＳ測位演算部１２は、ＧＰＳ演算処理を中止する（Ｓ１５、ＧＰＳ測位制御ステップ）。
【００８８】
ＧＰＳ測位の中止の制御が行われずに、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功した場合（Ｓ１６）、ＧＰＳ測位演算部１２によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。
【００８９】
また、ＧＰＳ測位演算を中止させる制御が行われた際、併せて、ＧＰＳ測位制御部１７から基地局測位演算部１３に対して、セルラ端末２０の基地局測位を実行させる制御を行う。続いて、制御を受けた基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ１７、ＧＰＳ測位制御ステップ）。また、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功しなかった場合も（Ｓ１６）、基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ１７）。
【００９０】
基地局測位演算部１３による基地局測位演算が成功した場合（Ｓ１８）、基地局測位演算部１３によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。また、基地局測位演算部１３による基地局測位演算が失敗した場合（Ｓ１８）、測位処理が失敗した旨を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。以上が本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理の別の例である。
【００９１】
上述したように、本実施形態に係る測位サーバ１０では、例えばセルラ端末２０の位置等の状態に応じたセルラ通信部２１による無線通信に関する情報が取得される。続いて、当該情報に基づいてＧＰＳ測位の有効性が推定されて、当該有効性に基づいて、受信機におけるＧＰＳ測位の実行が制御される。従って、セルラ端末２０が、ＧＰＳ測位が行いやすい状態にある場合にはＧＰＳ測位を実行させ、ＧＰＳ測位が行いにくい状態にある場合にはＧＰＳ測位を実行させない等の制御を行うことができる。また、測位サーバ１０では、実行可否の判断に時間がかかるＧＰＳ測位を実際に行うことなく、ＧＰＳ測位の実行可否の制御を行うことができる。即ち、本実施形態に係る測位サーバ１０によれば、ＧＰＳ測位が不得手とするセルラ端末２０の状態の場合にＧＰＳ測位を回避することで、より短い時間でセルラ端末２０の状態に応じた測位結果を得ることができる。また、その場合、ＧＰＳ測位用の信号受信を回避、あるいはその時間を減少させることによって、セルラ端末２０における消費電力を低減することができる。
【００９２】
なお、上述したように、本実施形態では、測位演算を行う主体が測位サーバ１０であったが、測位演算を行う主体がセルラ端末２０であってもよい。即ち、その場合、本発明の機能をセルラ端末２０が全て備えている構成であってもよい。その場合、判定等に必要な情報を予めセルラ端末２０に送信しておく。また、セルラ端末２０が備えるＩＣチップに全ての機能が備えられていてもよい。また、上述した機能の何れかをセルラ端末２０が備える構成としてもよい。例えば、セルラ端末２０の概算位置の算出や屋内外の判定は、セルラ端末２０において行われてもよい。また、ＧＰＳ測位演算機能（ＧＰＳ測位演算部１２の機能）をセルラ端末２０が有していてもよい。
【００９３】
また、上述したように測位対象となるセルラ端末２０は、必ずしもセルラ通信が行えるものでなくてもよく、無線通信が行えるものであればよい。具体的には例えば、上述したように無線タグから情報の読出しができたり、無線ＬＡＮが行えたりするものであればよい。
【００９４】
［測位プログラムおよび屋内外判定プログラムについて］
引き続いて、上述した一連の測位サーバ１０の測位を行う処理をコンピュータに実行させるための測位プログラムを説明する。図１１に示すように、測位プログラム６１は、コンピュータが備える記録媒体６０に形成されたプログラム格納領域６０ａに格納される。
【００９５】
測位プログラム６１は、測位処理を統括的に制御するメインモジュール６１ａと、送受信モジュール６１ｂと、ＧＰＳ測位演算モジュール６１ｃと、基地局測位演算モジュール６１ｄと、無線通信情報取得モジュール６１ｅと、有効性推定モジュール６１ｆと、推定用データベースモジュール６１ｇと、ＧＰＳ測位制御モジュール６１ｈとを備えて構成される。送受信モジュール６１ｂ、ＧＰＳ測位演算モジュール６１ｃ、基地局測位演算モジュール６１ｄ、無線通信情報取得モジュール６１ｅ、有効性推定モジュール６１ｆ、推定用データベースモジュール６１ｇ及びＧＰＳ測位制御モジュール６１ｈを実行させることにより実現される機能は、上述した測位サーバ１０の送受信部１１、ＧＰＳ測位演算部１２、基地局測位演算部１３、無線通信情報取得部１４、有効性推定部１５、推定用データベース１６及びＧＰＳ測位制御部１７の機能とそれぞれ同様である。
【００９６】
次に、判定用データベース３１を備えたコンピュータによって、図６の屋内外判定処理を実行させるための屋内外判定プログラムを説明する。図１２に示すように、屋内外判定プログラム６２は、上記コンピュータが備える記録媒体６０に形成されたプログラム格納領域６０ａに格納される。
【００９７】
屋内外判定プログラム６２は、屋内外判定処理を統括的に制御するメインモジュール６２ａと、受信モジュール６２ｂと、特定モジュール６２ｃと、可否判定モジュール６２ｄと、第１の屋内外判定モジュール６２ｅと、第２の屋内外判定モジュール６２ｆとを備えて構成される。受信モジュール６２ｂ、特定モジュール６２ｃ、可否判定モジュール６２ｄ、第１の屋内外判定モジュール６２ｅ、第２の屋内外判定モジュール６２ｆを実行させることにより実現される機能は、上述した図３の屋内外判定装置３０の受信部３２、特定部３３、可否判定部３４、第１の屋内外判定部３５および第２の屋内外判定部３６の機能とそれぞれ同様である。
【００９８】
なお、上述した測位プログラム６１および屋内外判定プログラム６２の各々は、その一部若しくは全部が通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記録（インストールを含む）される構成としてもよい。
【００９９】
［屋内外判定装置の変形例］
ところで、屋内外判定装置３０の実施形態としては、以下に述べる２つの変形例を採用してもよい。第１の変形例は、判定用データベース３１が屋内外特徴情報（上記実施形態ではＧＰＳ可否情報）を記憶しておらず、屋内外特徴情報に基づく屋内外判定を行わない態様である。第２の変形例は、屋内外特徴情報に基づく屋内外判定を行わず且つ第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定も行わない態様である。以下、各変形例を順に説明する。
【０１００】
［第１の変形例］
第１の変形例における屋内外判定装置３０の機能構成は、前述した図３の機能構成と同様であるが、屋内外判定処理（屋内外判定方法）は図１３のフローチャートとなる。即ち、第１の変形例における屋内外判定処理では、まず、屋内外判定装置３０において受信部３２が、受信信号の無線信号源の識別情報を含むＭＲをセルラ端末２０から受信し（図１３のＳ２１）、特定部３３が、受信されたＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の数をカウントすることで、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する（Ｓ２２）。次に、可否判定部３４は、無線信号源数Ｎが、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｍ以上であるか否かを判定する（Ｓ２３）。
【０１０１】
Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な状況にあると判断できるため、第１の屋内外判定部３５が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する（Ｓ２４）。
【０１０２】
一方、Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不可能な状況にあると判断できるため、第２の屋内外判定部３６が、以下のような第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。第２の屋内外判定部３６は、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値Ｑとして設定する（Ｓ２５）。
【０１０３】
次に、第２の屋内外判定部３６は、無線信号源数Ｎが無線信号源数最小値Ｑ以上であるか否かを判定する（Ｓ２６）。Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信していると判断できるため、セルラ端末２０は屋外にいると判定する（Ｓ２８）。
【０１０４】
一方、Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、無線信号源数Ｎが、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｐ未満であるか否かを判定し（Ｓ３１）、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ未満ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不能であると判定する（Ｓ３３）。一方、Ｓ３１で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ以上ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定は可能であるが、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信しておらず受信状況が劣悪であると判断できるため、セルラ端末２０は屋内にいると判定する（Ｓ３２）。
【０１０５】
以上のような図１３の屋内外判定処理により、セルラ端末２０が屋内にいるか、屋外にいるか、判定不能であるか、の何れかの判定結果が速やかに得られる。
【０１０６】
なお、判定用データベース３１を備えたコンピュータによって、上述した図１３の屋内外判定処理を実行させるための屋内外判定プログラムについては、その構成が前述した図１２の構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【０１０７】
［第２の変形例］
第２の変形例における屋内外判定装置３０は、図１４に示すように、前述した実施形態と同様の判定用データベース３１、受信部３２および特定部３３とともに、設定部３７と判定制御部３８とを備える。このうち設定部３７は、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値Ｑとして設定する。判定制御部３８は、無線信号源数Ｎ、無線信号源数最小値Ｑ、および屋内外判定が可能な最小限の無線信号源数Ｐに基づいて、後述する手順で屋内外判定を行う。
【０１０８】
第２の変形例における屋内外判定処理（屋内外判定方法）は図１５のフローチャートとなる。即ち、屋内外判定装置３０において受信部３２が、受信信号の無線信号源の識別情報を含むＭＲをセルラ端末２０から受信し（図１５のＳ２１）、特定部３３が、受信されたＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の数をカウントすることで、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する（Ｓ２２）。次に、設定部３７が、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値Ｑとして設定する（Ｓ２５）。
【０１０９】
次に、判定制御部３８は、無線信号源数Ｎが無線信号源数最小値Ｑ以上であるか否かを判定する（Ｓ２６）。Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信していると判断できるため、セルラ端末２０は屋外にいると判定する（Ｓ２８）。
【０１１０】
一方、Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、無線信号源数Ｎが、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｐ未満であるか否かを判定し（Ｓ３１）、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ未満ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不能であると判定する（Ｓ３３）。一方、Ｓ３１で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ以上ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定は可能であるが、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信しておらず受信状況が劣悪であると判断できるため、セルラ端末２０は屋内にいると判定する（Ｓ３２）。
【０１１１】
以上のような図１５の屋内外判定処理により、セルラ端末２０が屋内にいるか、屋外にいるか、判定不能であるか、の何れかの判定結果が速やかに得られる。
【０１１２】
以下、判定用データベース３１を備えたコンピュータによって、上述した図１５の屋内外判定処理を実行させるための屋内外判定プログラムについて、概説する。
【０１１３】
図１６に示すように、屋内外判定プログラム６２は、上記コンピュータが備える記録媒体６０に形成されたプログラム格納領域６０ａに格納される。屋内外判定プログラム６２は、屋内外判定処理を統括的に制御するメインモジュール６２ａと、受信モジュール６２ｂと、特定モジュール６２ｃと、設定モジュール６２ｇと、判定制御モジュール６２ｈとを備えて構成される。受信モジュール６２ｂ、特定モジュール６２ｃ、設定モジュール６２ｇ、判定制御モジュール６２ｈを実行させることにより実現される機能は、上述した図１４の屋内外判定装置３０の受信部３２、特定部３３、設定部３７および判定制御部３８の機能とそれぞれ同様である。
【図面の簡単な説明】
【０１１４】
【図１】測位システムである測位サーバ、及び受信機であるセルラ端末の機能構成を示す図である。
【図２】セルラ端末のハードウェア構成を示す図である。
【図３】無線通信情報取得部の機能構成を示す図である。
【図４】判定用データベースに記憶された情報例を示す図である。
【図５】測位サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図６】屋内外判定処理（屋内外判定方法）を示すフローチャートである。
【図７】図６の処理を説明するための図である。
【図８】判定用データベースの構築を説明するための図である。
【図９】測位サーバで実行される処理（測位方法）を示すフローチャートである。
【図１０】測位サーバで実行される処理（測位方法）の別の例を示すフローチャートである。
【図１１】測位プログラムの構成を示す図である。
【図１２】屋内外判定プログラムの構成を示す図である。
【図１３】屋内外判定処理（屋内外判定方法）の第１の変形例を示すフローチャートである。
【図１４】無線通信情報取得部の第２の変形例の機能構成を示す図である。
【図１５】屋内外判定処理（屋内外判定方法）の第２の変形例を示すフローチャートである。
【図１６】屋内外判定プログラムの第２の変形例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【０１１５】
１０…測位サーバ、１１…送受信部、１２…ＧＰＳ測位演算部、１３…基地局測位演算部、１４…無線通信情報取得部、１５…有効性推定部、１６…推定用データベース、１７…ＧＰＳ測位制御部、２０…セルラ端末、２１…セルラ通信部、２２…ＧＰＳ受信部、２３…データ蓄積部、３０…屋内外判定装置、３１…判定用データベース、３２…受信部、３３…特定部、３４…可否判定部、３５…第１の屋内外判定部、３６…第２の屋内外判定部、３７…設定部、３８…判定制御部、４０…ＧＰＳ衛星、５０…セルラ基地局、６０…記録媒体、６０ａ…プログラム格納領域、６１…測位プログラム、６１ａ…メインモジュール、６１ｂ…送受信モジュール、６１ｃ…ＧＰＳ測位演算モジュール、６１ｄ…基地局測位演算モジュール、６１ｅ…無線通信情報取得モジュール、６１ｆ…有効性推定モジュール、６１ｇ…推定用データベースモジュール、６１ｈ…ＧＰＳ測位制御モジュール、６２…屋内外判定プログラム、６２ａ…メインモジュール、６２ｂ…受信モジュール、６２ｃ…特定モジュール、６２ｄ…可否判定モジュール、６２ｅ…第１の屋内外判定モジュール、６２ｆ…第２の屋内外判定モジュール、６２ｇ…設定モジュール、６２ｈ…判定制御モジュール、１０１…ＣＰＵ、１０２…ＲＡＭ、１０３…ＲＯＭ、１０４…通信モジュール、１０５…補助記憶装置、２０１…ＣＰＵ、２０２…ＲＡＭ、２０３…ＲＯＭ、２０４…操作部、２０５…ディスプレイ、２０６…セルラ通信モジュール、２０７…セルラ通信用アンテナ、２０８…受信モジュール、２０９…受信用アンテナ。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、受信機の位置が屋内か屋外かを判定する屋内外判定装置、屋内外判定方法および屋内外判定プログラム、並びに、受信機の位置を推定する測位システム、測位方法及び測位プログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から、ＧＰＳ（Global Positioning System、全地球測位システム）を用いて受信機の測位を行う技術が知られている（例えば、非特許文献１参照）。また、移動体通信網から取得した衛星の位置等を示すアシストデータを利用して、測位を行うＡＧＰＳ（Assisted ＧＰＳ）という方式も知られている。
【０００３】
ＧＰＳによる位置測位が成功しない場合（即ち、ＧＰＳによる測位結果がフィックスしない場合）、移動体通信網の信号を用いて測位を行う基地局測位やＧＰＳ衛星からの信号と移動体通信網の信号とを併用して測位を行うハイブリッド（Hybrid）と呼ばれる測位が行われることがある。
【非特許文献１】井坂丈泰、「ＧＰＳ技術入門」、東京電機大学出版局、２００３年２月２８日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来の方法では、ＧＰＳによる位置測位が成功するか否かは、実際に測位を開始してみないと判らなかった。また、上記の判断を含むＧＰＳ測位も時間がかかっていた。受信機において演算処理が行われるＵＥ−ｂａｓｅｄ ＡＧＰＳ測位方式では、特に時間がかかっていた。例えば、ＧＰＳ衛星からの信号が受信できない屋内においては、ＧＰＳ測位が不能となった後に、基地局測位等の別の測位に入るため測位全体の時間としては多くの時間がかかっていた。この場合、測位に時間がかかった割には測位精度が悪い結果しか返ってこないという結果になる。そのため、受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定し、その判定結果に応じてＧＰＳ測位の実行を適切に制御することが待望される。
【０００５】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定することができる屋内外判定装置、屋内外判定方法および屋内外判定プログラムを提供すること、並びに、より短い時間で受信機の状態に応じた測位結果を得ることができる測位システム、測位方法及び測位プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために、本発明に係る屋内外判定装置は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定手段と、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御手段と、を備えることを特徴とする。
【０００７】
上記の第１の態様の屋内外判定装置では、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信すると、受信された測定レポート情報より受信信号の無線信号源数を特定し、測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベースから抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する。そして、無線信号源数、無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかが判定される。このように、対象の受信機からの測定レポート情報より無線信号源数と無線信号源数最小値とを得て、これら無線信号源数、無線信号源数最小値、および所定の最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを適切に判定することができる。
【０００８】
より具体的には、無線信号源数、無線信号源数最小値、および最小限の無線信号源数に基づく判定については、無線信号源数、無線信号源数最小値、および最小限の無線信号源数を比較し、無線信号源数が無線信号源数最小値以上の場合、対象の受信機が屋外にいると判定し、無線信号源数が最小限の無線信号源数以上であり且つ無線信号源数最小値未満の場合、対象の受信機が屋内にいると判定し、無線信号源数が最小限の無線信号源数未満の場合、屋内外の判定不能と判定することができる。
【０００９】
また、第１の屋内外判定法と第２の屋内外判定法とが存在する環境では、本発明に係る屋内外判定装置は、第２の態様として、以下のように構成することができる。
【００１０】
本発明に係る屋内外判定装置は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、を備えることを特徴とする。
【００１１】
本発明に係る屋内外判定装置では、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信すると、受信された測定レポート情報より受信信号の無線信号源数を特定し、無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する。ここで、無線信号源数が最小限の無線信号源数以上と判定された場合は、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行し、無線信号源数が最小限の無線信号源数未満と判定された場合は、以下のように第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。即ち、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベースから抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する。そして、無線信号源数、無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかが判定される。
【００１２】
このように、まず、無線信号源数と最小限の無線信号源数との比較結果に基づいて、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行を制御し、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行不可の場合は、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行へ速やかに切り替えることができる。第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、対象の受信機からの測定レポート情報より無線信号源数と無線信号源数最小値とを得て、これら無線信号源数、無線信号源数最小値、および所定の最小限の無線信号源数に基づいて、対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを適切に判定することができる。
【００１３】
さらに、第１の屋内外判定法と第２の屋内外判定法とが存在する環境において、本発明に係る屋内外判定装置は、第３の態様として、信号受信時の受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報をさらに記憶した判定用データベース、を備えた以下の構成とすることができる。
【００１４】
本発明に係る屋内外判定装置は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベースと、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、を備えることを特徴とする。
【００１５】
本発明に係る屋内外判定装置では、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信すると、受信された測定レポート情報より受信信号の無線信号源数を特定し、無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する。ここで、無線信号源数が最小限の無線信号源数以上と判定された場合は、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行し、無線信号源数が最小限の無線信号源数未満と判定された場合は、以下のように第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。即ち、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を判定用データベースから抽出し、抽出された屋内外特徴情報に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、無線信号源数、無線信号源数最小値、および第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する。
【００１６】
このように、まず、無線信号源数と最小限の無線信号源数との比較結果に基づいて、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行を制御し、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行不可の場合は、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行へ速やかに切り替えることができる。第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定として、屋内外特徴情報に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、無線信号源数、無線信号源数最小値、および第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するか、の何れかを選択的に行い、屋内外判定を適切に行うことができる。
【００１７】
ところで、本発明は、上記のように第１〜第３の態様の屋内外判定装置の発明として記述できる他に、以下のように屋内外判定方法及び屋内外判定プログラムの発明としても記述することができる。これらはカテゴリ等が異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【００１８】
本発明に係る屋内外判定方法は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定するステップと、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とする（第１の態様）。
【００１９】
また、本発明に係る屋内外判定方法は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とする（第２の態様）。
【００２０】
さらに、本発明に係る屋内外判定方法は、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、を備えることを特徴とする（第３の態様）。
【００２１】
本発明に係る屋内外判定プログラムは、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定機能と、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御機能と、を実行させることを特徴とする（第１の態様）。
【００２２】
また、本発明に係る屋内外判定プログラムは、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、を実行させることを特徴とする（第２の態様）。
【００２３】
さらに、本発明に係る屋内外判定プログラムは、受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、を実行させることを特徴とする（第３の態様）。
【００２４】
ところで、本発明は、上記の屋内外判定装置を含んで構成された測位システムに係る発明として、以下のように記述することができる。
【００２５】
本発明に係る測位システムは、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位システムであって、前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得手段と、前記無線通信情報取得手段によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定手段と、前記有効性推定手段によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御手段と、を備え、前記無線通信情報取得手段は、前述した第１〜第３の何れかの態様の屋内外判定装置を含んで構成され、前記屋内外判定装置による判定結果を前記無線通信に関する情報とすることを特徴とする。
【００２６】
上記測位システムでは、屋内外判定装置を含んで構成された無線通信情報取得手段によって、適切な屋内外判定結果を得ることができ、かかる屋内外判定結果に応じた測位結果を効率的に（より短い時間で）得ることができる。
【００２７】
本発明は、上記のように測位システムの発明として記述できる他に、以下のように測位方法及び測位プログラムの発明としても記述することができる。これらはカテゴリ等が異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【００２８】
本発明は、上記の屋内外判定方法が実行される測位方法に係る発明として、以下のように記述することができる。
【００２９】
本発明に係る測位方法は、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位方法であって、前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得ステップと、前記無線通信情報取得ステップにおいて取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定ステップと、前記有効性推定ステップにおいて推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御ステップと、を含み、前記無線通信情報取得ステップでは、前述した第１〜第３の何れかの態様の屋内外判定方法が実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とすることを特徴とする。
【００３０】
また、本発明は、上記の屋内外判定プログラムが実行される測位プログラムに係る発明として、以下のように記述することができる。
【００３１】
本発明に係る測位プログラムは、コンピュータに、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定させる測位プログラムであって、前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得機能と、前記無線通信情報取得機能によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定機能と、前記有効性推定機能によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御機能と、を前記コンピュータにより実行させ、前記無線通信情報取得機能の実行時には、前述した第１〜第３の何れかの態様の屋内外判定プログラムが実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【００３２】
本発明によれば、受信機の位置が屋内か屋外かを適切に判定することができ、また、かかる適切な屋内外判定結果に応じた測位結果を効率的に（より短い時間で）得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３３】
以下、図面とともに本発明に係る測位システム及び測位方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【００３４】
［測位サーバおよびセルラ端末の構成］
図１に、本実施形態に係る測位システムである測位サーバ１０を示す。測位サーバ１０は、本実施形態に係る受信機であるセルラ端末２０の位置を推定する装置である。測位サーバ１０によるセルラ端末２０の測位（の制御）は、セルラ通信システム（移動通信システム）の枠組みを利用して行われる。測位サーバ１０は、セルラ通信システムに含まれる複数のセルラ基地局５０と接続されており各セルラ基地局５０との間で情報を送受信することができ、また、セルラ基地局５０を介してセルラ端末２０との間で通信を行うことができる。また、測位サーバ１０は、セルラ通信システムに含まれていてもよい。
【００３５】
本実施形態に係る測位サーバ１０を詳細に説明する前に、測位対象であるセルラ端末２０について説明する。セルラ端末２０は、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する装置であり、具体的には、図１に示すようにセルラ通信部２１と、ＧＰＳ受信部２２と、データ蓄積部２３とを備えて構成されている。
【００３６】
セルラ通信部２１は、セルラ通信システムのセルラ通信網（移動体通信網）に含まれる複数のセルラ基地局５０との間で無線通信することにより、セルラ通信（移動体通信）を行う手段である。セルラ通信部２１には、セルラ通信用のアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられてセルラ通信が行われる。セルラ通信部２１は、電話通信等の通常のセルラ通信を行うと共に、測位サーバ１０におけるセルラ端末２０の測位のために用いられるセルラ通信による情報を取得する。具体的にどのような情報を取得するのかについては後述する。セルラ通信部２１は、取得した情報をデータ蓄積部２３に蓄積させる。
【００３７】
また、セルラ通信部２１は、セルラ基地局５０（セルラ通信網）を介して測位サーバ１０との間で情報の送受信を行う。セルラ通信部２１は、データ蓄積部２３に蓄積されている、測位サーバ１０において測位のために用いられる情報を、測位サーバ１０に送信する。セルラ通信部２１から測位サーバ１０に送信される情報には、後述するＧＰＳ測位や基地局測位に用いられる情報と、ＧＰＳ測位の制御に用いられる情報（後述する無線通信に関する情報、又は当該無線通信に関する情報を生成するための情報）とが含まれる。この送信は、セルラ端末２０の測位が行われる際に、例えば測位サーバ１０からの要求又はセルラ端末２０に対するユーザ操作をトリガとして行われる。
【００３８】
ＧＰＳ受信部２２は、ＧＰＳ衛星４０から送信される、測位に用いられる信号を受信する手段である。ＧＰＳ受信部２２には、ＧＰＳ衛星４０からの信号を受信するためのアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられて受信が行われる。ＧＰＳ受信部２２は、ＧＰＳ測位の演算に用いられる、受信したＧＰＳ衛星４０からの信号に関する情報をデータ蓄積部２３に蓄積させる。なお、ＧＰＳ測位の演算自体は、測位サーバ１０にて行われる。
【００３９】
上記のＧＰＳ衛星４０は、時刻に応じて所定の場所に位置しており、当該位置から測位に用いられる測位用の信号を送信している。具体的には、ＧＰＳ衛星４０は、高度約２万ｋｍの６個の周回軌道上に４〜５個ずつ配置されており、時間の経過に伴って周回軌道上を移動する。ＧＰＳ衛星４０が送信する測位用の信号には、ＧＰＳ衛星４０を区別して特定するための識別情報、ＧＰＳ衛星４０の軌道を示す情報、及び信号を送信した時刻を示す情報が含まれている。
【００４０】
データ蓄積部２３は、セルラ通信部２１及びＧＰＳ受信部２２各々によって取得された測位に用いられる情報が格納される。以上が、セルラ端末２０の機能構成である。
【００４１】
引き続いて、図２に本実施形態に係るセルラ端末２０のハードウェア構成を示す。図２に示すように、セルラ端末２０は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）２０１、ＲＡＭ（Random Access Memory）２０２、ＲＯＭ（Read Only Memory）２０３、操作部２０４、ディスプレイ２０５、セルラ通信モジュール２０６、セルラ通信用アンテナ２０７、ＧＰＳ受信モジュール２０８及びＧＰＳ受信用アンテナ２０９等のハードウェアにより構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した機能が発揮される。以上が、セルラ端末２０の構成である。
【００４２】
続いて、測位サーバ１０について説明する。図１に示すように、測位サーバ１０は、送受信部１１と、ＧＰＳ測位演算部１２と、基地局測位演算部１３と、無線通信情報取得部１４と、有効性推定部１５と、推定用データベース１６と、ＧＰＳ測位制御部１７とを備えて構成される。
【００４３】
送受信部１１は、セルラ基地局５０を介してセルラ端末２０との間で情報の送受信を行う手段である。送受信部１１は、セルラ端末２０から受信した情報を、情報に応じてＧＰＳ測位演算部１２、基地局測位演算部１３及び無線通信情報取得部１４に出力する。
【００４４】
ＧＰＳ測位演算部１２は、セルラ端末２０の位置をＧＰＳ測位によって算出する手段である。具体的には、ＧＰＳ測位演算部１２は、（セルラ端末２０のＧＰＳ受信部２２によって受信されて）セルラ端末２０から測位サーバ１０に送信された、セルラ端末２０がＧＰＳ衛星４０から受信した信号の情報を受信する。続いて、ＧＰＳ測位演算部１２は、その情報からＧＰＳ衛星４０の位置、セルラ端末２０からＧＰＳ衛星４０までの距離等を算出して、セルラ端末２０の位置を算出する。また、この算出には、セルラ端末２０によってセルラ通信システムから取得されて測位サーバ１０に送信された、ＧＰＳ衛星４０の位置等を示すアシストデータが用いられてもよい。ＧＰＳ測位演算部１２は、後述するようにＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位の実行可否の制御を受けて、ＧＰＳ測位（演算）を行う。ＧＰＳ測位演算部１２は、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力する。ＧＰＳ測位演算部１２は、ＧＰＳ測位によるセルラ端末２０の位置の算出が失敗した場合、その旨を基地局測位演算部１３に通知する。
【００４５】
基地局測位演算部１３は、セルラ端末２０の位置を基地局測位によって算出する手段である。基地局測位とは、具体的には、以下に示すような処理である。基地局測位演算部１３は、セルラ端末２０から測位サーバ１０に送信された、基地局測位用の情報を受信する。基地局測位用の情報は、例えば、セルラ端末２０のセルラ通信部２１によって測定されて取得される、セルラ端末２０とセルラ基地局５０との間で送受信される電波の伝送遅延（例えばＲＴＴ：Round Trip Time）や電波の減衰量を示す情報（あるいはそれらの情報を算出するために測定された情報でもよい）、及びセルラ基地局５０やセクタを特定する情報（基地局ＩＤ，セクタＩＤ）である。基地局測位演算部１３は、上記の電波の伝送遅延等の情報に基づいて、セルラ端末２０とセルラ基地局５０との間の距離を算出して、セルラ基地局５０の位置情報等を参照して、セルラ端末２０の位置を算出する。ここで、測位サーバ１０には、セルラ基地局５０の位置やセクタの方向を示す情報を、予め記憶している（この情報は、基地局測位演算部１３だけでなく後述する無線通信情報取得部１４等にも用いられる）。
【００４６】
基地局測位演算部１３は、後述するようにＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位の実行可否の制御を受けて、基地局測位（演算）を行う。また、ＧＰＳ測位演算部１２からＧＰＳ測位によるセルラ端末２０の位置の算出が失敗した旨の通知がなされた場合にも、基地局測位（演算）を行う。基地局測位演算部１３は、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力する。なお、基地局測位については、ＧＰＳ測位と比べて相対的に速い時間で測位処理を行うことができる。
【００４７】
無線通信情報取得部１４及び有効性推定部１５は、ＧＰＳ測位によるセルラ端末２０の位置の算出を行うか否かを判定するための手段である。この判定について本実施形態では、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定結果に基づいて行う方法が採用される。以下、無線通信情報取得部１４及び有効性推定部１５の機能を説明する。
【００４８】
図３に示すように、無線通信情報取得部１４は、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定を行う屋内外判定装置３０を内蔵しており、屋内外判定装置３０は、判定用データベース３１と、受信部３２と、特定部３３と、可否判定部３４と、第１の屋内外判定部３５と、第２の屋内外判定部３６とを備えている。
【００４９】
このうち判定用データベース３１は、図４に示すように、セルラ端末２０により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、信号受信時のセルラ端末２０の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報（ここでは一例としてＧＰＳ測位の可否を表す情報（以下「ＧＰＳ可否情報」という））と、を対応付けて記憶している。図４では、例えば、無線信号源のBTS-A, BTS-B, BTS-Dから同時に信号を受信した実績があり、その際にＧＰＳ測位は可能であったことを示し、また、無線信号源のBTS-A, BTS-B, BTS-Eから同時に信号を受信した実績があり、その際にＧＰＳ測位は可能でなかったことを示している。なお、判定用データベース３１の構築については後述する。
【００５０】
受信部３２は、セルラ端末２０から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報（Measurement Report（以下「ＭＲ」と称する））を受信する。ＭＲには、受信信号の無線信号源の識別情報以外に、受信信号レベル、信号の伝送遅延（例えばＲＴＴ：Round Trip Time）情報、減衰量を示す情報、ＧＰＳ測位可否の情報などが含まれている。
【００５１】
特定部３３は、受信されたＭＲより、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する。
【００５２】
可否判定部３４は、無線信号源数Ｎが、後述する第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｍ以上であるか否かを判定する。なお、最小限の無線信号源数Ｍは、予め定められた値である。
【００５３】
第１の屋内外判定部３５は、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上の場合（即ち、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な状況にある場合）に、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。ここでの第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定は、一例として、パターンマッチング測位を行う環境で、セルラ端末２０からのＭＲを、予め保持した測位用データベースと照合することでセルラ端末２０の概算位置を算出し、ＭＲ中の測定データと概算位置における予測データとの間の矛盾の有無に基づいて屋内外を判定するものである。
【００５４】
第２の屋内外判定部３６は、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満の場合（即ち、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不可能な状況にある場合）に、後に詳述する第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。
【００５５】
以上のような構成の屋内外判定装置３０を内蔵した無線通信情報取得部１４は、セルラ端末２０の屋内外の判定結果を、無線通信に関する情報として、図１の有効性推定部１５に出力する。
【００５６】
図１の有効性推定部１５は、無線通信情報取得部１４から無線通信に関する情報としてセルラ端末２０が屋内にいるか屋外にいるかを示す情報が入力されると、当該情報に基づいてＧＰＳ測位の有効性を推定する。例えば、セルラ端末２０が屋外にあるとされた場合は、ＧＰＳ測位は有効であると推定し、セルラ端末２０が屋内にあるとされた場合は、ＧＰＳ測位は有効でないと推定される。これは、セルラ端末２０が屋外にない場合、ＧＰＳ衛星４０からの電波を受信できないため測位不能となるためである。有効性推定部１５は、推定したＧＰＳ測位の有効性を示す情報をＧＰＳ測位制御部１７に出力する。上記が、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判別結果に基づいてＧＰＳ測位の有効性を判定するための構成である。
【００５７】
ＧＰＳ測位制御部１７は、有効性推定部１５によって推定された有効性に基づいて、セルラ端末２０のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御手段である。具体的には、ＧＰＳ測位制御部１７は、ＧＰＳ測位が有効であるとされた場合、ＧＰＳ測位演算部１２に対して、ＧＰＳ測位を実行させるように制御する。一方、ＧＰＳ測位が有効でないとされた場合、基地局測位演算部１３に対して基地局測位を実行させるように制御する（ＧＰＳ測位演算部１２に対してはＧＰＳ測位の実行は指示しない、あるいはＧＰＳ測位の実行を禁止する）。以上が、測位サーバ１０の機能構成である。
【００５８】
図５に測位サーバ１０のハードウェア構成を示す。図５に示すように測位サーバ１０は、ＣＰＵ１０１、主記憶装置であるＲＡＭ１０２及びＲＯＭ１０３、通信を行うための通信モジュール１０４、並びにハードディスク等の補助記憶装置１０５等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、上述した測位サーバ１０の機能が発揮される。
【００５９】
［屋内外判定処理の説明］
引き続いて、図６のフローチャートを用いて、本実施形態に係る屋内外判定装置３０で実行される屋内外判定処理（屋内外判定方法）を説明する。この処理は、例えば、後述する測位処理（図９、図１０）における、無線通信情報取得部１４による無線通信情報取得ステップ（図９のＳ０１、図１０のＳ１１）において実行される。
【００６０】
まず、無線通信情報取得部１４に内蔵された屋内外判定装置３０において、受信部３２が、受信信号の無線信号源の識別情報を含むＭＲをセルラ端末２０から受信し（図６のＳ２１）、特定部３３が、受信されたＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の数をカウントすることで、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する（Ｓ２２）。例えば、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報が「BTS-A」と「BTS-B」の２つであった場合は、無線信号源数Ｎは「２」に特定される。なお、無線信号源については、同一セルに属する受信信号を同じ無線信号源からの受信信号と捉えてもよいし、または、同一セルに属する異なるセクタからの受信信号を、異なる無線信号源からの受信信号と捉えてもよい。
【００６１】
そして、可否判定部３４は、無線信号源数Ｎが、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｍ以上であるか否かを判定する（Ｓ２３）。
【００６２】
Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な状況にあると判断できるため、第１の屋内外判定部３５が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する（Ｓ２４）。ここでは、一例として、セルラ端末２０からのＭＲを、予め保持した測位用データベース（不図示）と照合することでセルラ端末２０の概算位置を算出し、ＭＲ中の測定データと概算位置における予測データとの間の矛盾の有無に基づいて屋内外を判定する。
【００６３】
一方、Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不可能な状況にあると判断できるため、第２の屋内外判定部３６が、以下のような第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。
【００６４】
第２の屋内外判定部３６は、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報と、当該組合せ情報に対応するＧＰＳ可否情報とを判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値Ｑとして設定する（Ｓ２５）。
【００６５】
具体例としては、図７に示すように、無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-B）がＭＲに含まれていた場合、当該無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-B）を全て含んだ組合せ情報として、（BTS-A, BTS-B, BTS-D）、（BTS-A, BTS-B, BTS-E）、（BTS-A, BTS-B）の３つの組合せ情報と、これらに対応するＧＰＳ可否情報とが、判定用データベース３１から抽出される。そして、上記３つの組合せ情報に含まれた無線信号源の数（ここでは「３」、「３」、「２」）のうちの最小値「２」が、無線信号源数最小値Ｑとして設定される。
【００６６】
別の例として、無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-E）がＭＲに含まれていた場合、当該無線信号源の識別情報（BTS-A, BTS-E）を全て含んだ組合せ情報として、（BTS-A, BTS-C, BTS-E, BTS-G）、（BTS-A, BTS-B, BTS-E）の２つの組合せ情報と、これらに対応するＧＰＳ可否情報とが、判定用データベース３１から抽出される。そして、上記２つの組合せ情報に含まれた無線信号源の数（ここでは「４」、「３」）のうちの最小値「３」が、無線信号源数最小値Ｑとして設定される。
【００６７】
次に、第２の屋内外判定部３６は、無線信号源数Ｎが無線信号源数最小値Ｑ以上であるか否かを判定する（Ｓ２６）。Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信していると判断できるため、セルラ端末２０は屋外にいると考えられる。そこで、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の組合せと同じ組合せ情報に対応するＧＰＳ可否情報の有無を確認し（Ｓ２７）、ＧＰＳ可否情報が有れば、当該ＧＰＳ可否情報に基づいて屋内外を判定し（Ｓ２９）、ＧＰＳ可否情報が無ければ、セルラ端末２０は屋外にいると判定する（Ｓ２８）。
【００６８】
一方、Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の組合せと同じ組合せ情報に対応するＧＰＳ可否情報の有無を確認し（Ｓ３０）、ＧＰＳ可否情報が有れば、当該ＧＰＳ可否情報に基づいて屋内外を判定する（Ｓ２９）。ＧＰＳ可否情報が無ければ、無線信号源数Ｎが、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｐ未満であるか否かを判定し（Ｓ３１）、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ未満ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不能であると判定する（Ｓ３３）。一方、Ｓ３１で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ以上ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定は可能であるが、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信しておらず受信状況が劣悪であると判断できるため、セルラ端末２０は屋内にいると判定する（Ｓ３２）。
【００６９】
以上のような図６の屋内外判定処理により、セルラ端末２０が屋内にいるか、屋外にいるか、判定不能であるか、の何れかの判定結果が速やかに得られる。
【００７０】
上述したように、本実施形態に係る測位サーバ１０では、無線信号源数Ｎと最小限の無線信号源数Ｍとの比較結果に基づいて、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行を制御し、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行不可の場合は、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定の実行へ速やかに切り替えることができる。また、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定では、ＧＰＳ可否情報が有る場合は、該ＧＰＳ可否情報に基づいて屋内外を適切に判定することができ、ＧＰＳ可否情報が無い場合は、無線信号源数Ｎ、無線信号源数最小値Ｑ、および第２の屋内外判定法が可能な最小限の無線信号源数Ｐに基づいて屋内外を適切に判定することができる。
【００７１】
なお、判定用データベース３１については、例えば、以下のようにして構築することができる。第１に、ＭＲに含まれた情報（受信信号の無線信号源の識別情報、受信信号レベル、信号の伝送遅延（例えばＲＴＴ：Round Trip Time）情報、減衰量を示す情報、ＧＰＳ測位可否の情報など）を記憶している測位用データベース（不図示）から、必要な情報（受信信号の無線信号源の識別情報やＧＰＳ可否情報）を抽出することで、判定用データベース３１を構築することができる。なお、上記測位用データベースをそのまま判定用データベースとして、利用してもよい。
【００７２】
第２に、判定用データベース３１は、通常の測位および測位用データベース構築の過程で得られる測定情報を用いて、構築することができる。この第２の手法は、測定データを用いる方法と予測データを用いる方法の２種類に分けられる。
【００７３】
このうち、測定データを用いる方法とは、セルラ端末にて測定された無線信号源の識別情報とＧＰＳ測位の可否に結び付けてデータベース化するものである。例えば、図８（ａ）に示すように、測定データを含んだＭＲ１、ＭＲ２、ＭＲ３を受信し、ＭＲ１、ＭＲ２から無線信号源の識別情報の組合せ（BTS-A, BTS-B, BTS-C）とＧＰＳ測位可能の情報を結び付けてデータベース化し、さらに、ＭＲ３から無線信号源の識別情報の組合せ（BTS-A, BTS-D）とＧＰＳ測位不可の情報を結び付けてデータベース化することで、図８（ａ）の判定用データベースが構築される。
【００７４】
一方、予測データを用いる方法とは、グリッド（測位されるエリアをメッシュ状に区切った個々の場所）の全てが屋外であると仮定して、各グリッドにおける地形や回りの障害物を考慮した伝搬予測式から予測データを作成して、データベース化するものである。例えば、図８（ｂ）に示すように、あるグリッド（位置：ＰＯＳ１）における周囲の全無線信号源の受信信号強度を事前に決められた伝搬予測式に従って算出し（Ｓ４１）、全予測受信信号強度に対して、事前に決められた方法に従って、その無線信号源信号の受信可否を判定する（Ｓ４２）。例えば、事前に決められたノイズレベルを基準とし、受信強度が当該ノイズレベルよりも高ければ、無線信号源信号の受信可能と判定し、受信強度が当該ノイズレベル以下ならば、無線信号源信号の受信不可と判定する。そして、受信可能と判定された無線信号源の識別子の組合せを判定用データベースに記憶する（Ｓ４３）。以降、各グリッドについてＳ４１〜Ｓ４３を実行することで判定用データベースが構築される。
【００７５】
［測位処理の説明］
引き続いて、図９のフローチャートを用いて、本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理（測位方法）を説明する。この処理は、例えば、測位サーバ１０によって、セルラ端末２０からセルラ通信網を介して測位要求が受信されることによって開始される。なお、上記以外をトリガとして測位処理が開始されてもよい。
【００７６】
まず、セルラ端末２０において取得された、セルラ通信部２１による通信の情報が測位サーバ１０に送信される。この情報は、上述した無線通信に関する情報に係るものである。測位サーバ１０では、送受信部１１を介して無線通信情報取得部１４によって当該情報が受信される。受信された情報に基づいて、無線通信情報取得部１４によって、無線通信に関する情報が取得される（Ｓ０１、無線通信情報取得ステップ）。無線通信に関する情報は、上述したようにセルラ端末２０の概算位置を示す情報、及びセルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定情報である。取得された上記の無線通信に関する情報は、無線通信情報取得部１４から有効性推定部１５に出力される。
【００７７】
続いて、有効性推定部１５によって、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定情報からＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ０２、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋外にいると判定されていた場合、続いて、有効性推定部１５によって、推定用データベース１６が参照されてセルラ端末２０の概算位置を示す情報からＧＰＳ測位の精度を示す情報が取得され、それに基づいてＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ０３、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、ＧＰＳ測位の精度が良好と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。
【００７８】
ＧＰＳ測位が有効である旨がＧＰＳ測位制御部１７に入力されると、ＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位演算部１２に対して、セルラ端末２０のＧＰＳ測位を実行させる制御が行われる。続いて、制御を受けたＧＰＳ測位演算部１２によって、ＧＰＳ測位演算が行われる（Ｓ０４、ＧＰＳ測位制御ステップ）。なお、ＧＰＳ測位演算を行うための、セルラ端末２０によるＧＰＳ衛星４０からの測位用信号の受信に係る情報は、この時点で測位サーバ１０からセルラ端末２０に要求されて取得してもよいし、セルラ端末２０からこの時点までに送信するようにされていてもよい。
【００７９】
ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功した場合（Ｓ０５）、ＧＰＳ測位演算部１２によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。
【００８０】
Ｓ０２及びＳ０３の何れか一方で、ＧＰＳ測位が有効でないと推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋内にいると判定された場合、又はＧＰＳ測位の精度が劣悪と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。ＧＰＳ測位が有効でない旨がＧＰＳ測位制御部１７に入力されると、ＧＰＳ測位制御部１７から基地局測位演算部１３に対して、セルラ端末２０の基地局測位を実行させる制御を行う（ＧＰＳ測位演算部１２に対して測位演算を行う制御は行われない）。続いて、制御を受けた基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ０６、ＧＰＳ測位制御ステップ）。また、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功しなかった場合も（Ｓ０５）、基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ０６）。
【００８１】
なお、基地局測位演算を行うための、セルラ端末２０によるセルラ基地局５０との間の信号の送受信に係る情報は、この時点で測位サーバ１０からセルラ端末２０に要求されて取得してもよいし、セルラ端末２０からこの時点までに送信するようにされていてもよい。また、上述したＧＰＳ測位の有効性の推定の処理の際に概算位置の算出として基地局測位演算部１３と同様の演算処理が行われていた場合は、概算位置を示す情報を測位結果の情報とし、必ずしもこの時点で基地局測位演算部１３による測位演算が行われなくてもよい。
【００８２】
基地局測位演算部１３による基地局測位演算が成功した場合（Ｓ０７）、基地局測位演算部１３によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。また、基地局測位演算部１３による基地局測位演算が失敗した場合（Ｓ０７）、測位処理が失敗した旨を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。
【００８３】
以上が本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理である。なお、Ｓ０２及びＳ０３におけるＧＰＳ測位の有効性の推定は、必ずしも両方行われる必要はなく、少なくともいずれか一方が行われればよい。
【００８４】
［測位処理の別の例の説明］
引き続いて、図１０のフローチャートを用いて、本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理（測位方法）の別の例を説明する。上記の例では、ＧＰＳ測位演算は、ＧＰＳ測位が有効であると推定された後に行われていたが、測位サーバ１０における処理の開始時点からＧＰＳ測位を開始させるものである。
【００８５】
上述した処理と同様に測位サーバ１０では、無線通信情報取得部１４によって、無線通信に関する情報が取得される（Ｓ１１、無線通信情報取得ステップ）。取得された上記の無線通信に関する情報は、無線通信情報取得部１４から有効性推定部１５に出力される。その一方で、ＧＰＳ測位演算部１２によってＧＰＳ測位演算が開始される（Ｓ１２）。
【００８６】
続いて、無線通信に関する情報が入力された有効性推定部１５によって、セルラ端末２０が屋内にいるか否かの判定情報からＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ１３、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋外にいると判定されていた場合、続いて、有効性推定部１５によって、推定用データベース１６が参照されてセルラ端末２０の概算位置を示す情報からＧＰＳ測位の精度を示す情報が取得され、それに基づいてＧＰＳ測位の有効性が推定される（Ｓ１４、有効性推定ステップ）。上記からＧＰＳ測位が有効であると推定された場合、即ち、ＧＰＳ測位の精度が良好と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。その場合、ＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位演算部１２に対して、特段の制御は行われず、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位の演算処理は継続される。
【００８７】
Ｓ１３及びＳ１４の何れか一方で、ＧＰＳ測位が有効でないと推定された場合、即ち、セルラ端末２０が屋内にいると判定された場合、又はＧＰＳ測位の精度が劣悪と推定された場合、その旨が有効性推定部１５からＧＰＳ測位制御部１７に入力される。ＧＰＳ測位が有効でない旨がＧＰＳ測位制御部１７に入力されると、ＧＰＳ測位制御部１７からＧＰＳ測位演算部１２に対して、ＧＰＳ測位演算を中止させる制御が行われる。制御を受けたＧＰＳ測位演算部１２は、ＧＰＳ演算処理を中止する（Ｓ１５、ＧＰＳ測位制御ステップ）。
【００８８】
ＧＰＳ測位の中止の制御が行われずに、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功した場合（Ｓ１６）、ＧＰＳ測位演算部１２によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。
【００８９】
また、ＧＰＳ測位演算を中止させる制御が行われた際、併せて、ＧＰＳ測位制御部１７から基地局測位演算部１３に対して、セルラ端末２０の基地局測位を実行させる制御を行う。続いて、制御を受けた基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ１７、ＧＰＳ測位制御ステップ）。また、ＧＰＳ測位演算部１２によるＧＰＳ測位演算が成功しなかった場合も（Ｓ１６）、基地局測位演算部１３によって、基地局測位演算が行われる（Ｓ１７）。
【００９０】
基地局測位演算部１３による基地局測位演算が成功した場合（Ｓ１８）、基地局測位演算部１３によって、算出したセルラ端末２０の位置を示す情報を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。また、基地局測位演算部１３による基地局測位演算が失敗した場合（Ｓ１８）、測位処理が失敗した旨を測位結果の情報として、例えばセルラ端末２０に出力し、測位処理が終了する。以上が本実施形態に係る測位サーバ１０で実行される測位処理の別の例である。
【００９１】
上述したように、本実施形態に係る測位サーバ１０では、例えばセルラ端末２０の位置等の状態に応じたセルラ通信部２１による無線通信に関する情報が取得される。続いて、当該情報に基づいてＧＰＳ測位の有効性が推定されて、当該有効性に基づいて、受信機におけるＧＰＳ測位の実行が制御される。従って、セルラ端末２０が、ＧＰＳ測位が行いやすい状態にある場合にはＧＰＳ測位を実行させ、ＧＰＳ測位が行いにくい状態にある場合にはＧＰＳ測位を実行させない等の制御を行うことができる。また、測位サーバ１０では、実行可否の判断に時間がかかるＧＰＳ測位を実際に行うことなく、ＧＰＳ測位の実行可否の制御を行うことができる。即ち、本実施形態に係る測位サーバ１０によれば、ＧＰＳ測位が不得手とするセルラ端末２０の状態の場合にＧＰＳ測位を回避することで、より短い時間でセルラ端末２０の状態に応じた測位結果を得ることができる。また、その場合、ＧＰＳ測位用の信号受信を回避、あるいはその時間を減少させることによって、セルラ端末２０における消費電力を低減することができる。
【００９２】
なお、上述したように、本実施形態では、測位演算を行う主体が測位サーバ１０であったが、測位演算を行う主体がセルラ端末２０であってもよい。即ち、その場合、本発明の機能をセルラ端末２０が全て備えている構成であってもよい。その場合、判定等に必要な情報を予めセルラ端末２０に送信しておく。また、セルラ端末２０が備えるＩＣチップに全ての機能が備えられていてもよい。また、上述した機能の何れかをセルラ端末２０が備える構成としてもよい。例えば、セルラ端末２０の概算位置の算出や屋内外の判定は、セルラ端末２０において行われてもよい。また、ＧＰＳ測位演算機能（ＧＰＳ測位演算部１２の機能）をセルラ端末２０が有していてもよい。
【００９３】
また、上述したように測位対象となるセルラ端末２０は、必ずしもセルラ通信が行えるものでなくてもよく、無線通信が行えるものであればよい。具体的には例えば、上述したように無線タグから情報の読出しができたり、無線ＬＡＮが行えたりするものであればよい。
【００９４】
［測位プログラムおよび屋内外判定プログラムについて］
引き続いて、上述した一連の測位サーバ１０の測位を行う処理をコンピュータに実行させるための測位プログラムを説明する。図１１に示すように、測位プログラム６１は、コンピュータが備える記録媒体６０に形成されたプログラム格納領域６０ａに格納される。
【００９５】
測位プログラム６１は、測位処理を統括的に制御するメインモジュール６１ａと、送受信モジュール６１ｂと、ＧＰＳ測位演算モジュール６１ｃと、基地局測位演算モジュール６１ｄと、無線通信情報取得モジュール６１ｅと、有効性推定モジュール６１ｆと、推定用データベースモジュール６１ｇと、ＧＰＳ測位制御モジュール６１ｈとを備えて構成される。送受信モジュール６１ｂ、ＧＰＳ測位演算モジュール６１ｃ、基地局測位演算モジュール６１ｄ、無線通信情報取得モジュール６１ｅ、有効性推定モジュール６１ｆ、推定用データベースモジュール６１ｇ及びＧＰＳ測位制御モジュール６１ｈを実行させることにより実現される機能は、上述した測位サーバ１０の送受信部１１、ＧＰＳ測位演算部１２、基地局測位演算部１３、無線通信情報取得部１４、有効性推定部１５、推定用データベース１６及びＧＰＳ測位制御部１７の機能とそれぞれ同様である。
【００９６】
次に、判定用データベース３１を備えたコンピュータによって、図６の屋内外判定処理を実行させるための屋内外判定プログラムを説明する。図１２に示すように、屋内外判定プログラム６２は、上記コンピュータが備える記録媒体６０に形成されたプログラム格納領域６０ａに格納される。
【００９７】
屋内外判定プログラム６２は、屋内外判定処理を統括的に制御するメインモジュール６２ａと、受信モジュール６２ｂと、特定モジュール６２ｃと、可否判定モジュール６２ｄと、第１の屋内外判定モジュール６２ｅと、第２の屋内外判定モジュール６２ｆとを備えて構成される。受信モジュール６２ｂ、特定モジュール６２ｃ、可否判定モジュール６２ｄ、第１の屋内外判定モジュール６２ｅ、第２の屋内外判定モジュール６２ｆを実行させることにより実現される機能は、上述した図３の屋内外判定装置３０の受信部３２、特定部３３、可否判定部３４、第１の屋内外判定部３５および第２の屋内外判定部３６の機能とそれぞれ同様である。
【００９８】
なお、上述した測位プログラム６１および屋内外判定プログラム６２の各々は、その一部若しくは全部が通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記録（インストールを含む）される構成としてもよい。
【００９９】
［屋内外判定装置の変形例］
ところで、屋内外判定装置３０の実施形態としては、以下に述べる２つの変形例を採用してもよい。第１の変形例は、判定用データベース３１が屋内外特徴情報（上記実施形態ではＧＰＳ可否情報）を記憶しておらず、屋内外特徴情報に基づく屋内外判定を行わない態様である。第２の変形例は、屋内外特徴情報に基づく屋内外判定を行わず且つ第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定も行わない態様である。以下、各変形例を順に説明する。
【０１００】
［第１の変形例］
第１の変形例における屋内外判定装置３０の機能構成は、前述した図３の機能構成と同様であるが、屋内外判定処理（屋内外判定方法）は図１３のフローチャートとなる。即ち、第１の変形例における屋内外判定処理では、まず、屋内外判定装置３０において受信部３２が、受信信号の無線信号源の識別情報を含むＭＲをセルラ端末２０から受信し（図１３のＳ２１）、特定部３３が、受信されたＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の数をカウントすることで、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する（Ｓ２２）。次に、可否判定部３４は、無線信号源数Ｎが、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｍ以上であるか否かを判定する（Ｓ２３）。
【０１０１】
Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能な状況にあると判断できるため、第１の屋内外判定部３５が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する（Ｓ２４）。
【０１０２】
一方、Ｓ２３で、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不可能な状況にあると判断できるため、第２の屋内外判定部３６が、以下のような第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する。第２の屋内外判定部３６は、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値Ｑとして設定する（Ｓ２５）。
【０１０３】
次に、第２の屋内外判定部３６は、無線信号源数Ｎが無線信号源数最小値Ｑ以上であるか否かを判定する（Ｓ２６）。Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信していると判断できるため、セルラ端末２０は屋外にいると判定する（Ｓ２８）。
【０１０４】
一方、Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、無線信号源数Ｎが、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｐ未満であるか否かを判定し（Ｓ３１）、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ未満ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不能であると判定する（Ｓ３３）。一方、Ｓ３１で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ以上ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定は可能であるが、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信しておらず受信状況が劣悪であると判断できるため、セルラ端末２０は屋内にいると判定する（Ｓ３２）。
【０１０５】
以上のような図１３の屋内外判定処理により、セルラ端末２０が屋内にいるか、屋外にいるか、判定不能であるか、の何れかの判定結果が速やかに得られる。
【０１０６】
なお、判定用データベース３１を備えたコンピュータによって、上述した図１３の屋内外判定処理を実行させるための屋内外判定プログラムについては、その構成が前述した図１２の構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【０１０７】
［第２の変形例］
第２の変形例における屋内外判定装置３０は、図１４に示すように、前述した実施形態と同様の判定用データベース３１、受信部３２および特定部３３とともに、設定部３７と判定制御部３８とを備える。このうち設定部３７は、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値Ｑとして設定する。判定制御部３８は、無線信号源数Ｎ、無線信号源数最小値Ｑ、および屋内外判定が可能な最小限の無線信号源数Ｐに基づいて、後述する手順で屋内外判定を行う。
【０１０８】
第２の変形例における屋内外判定処理（屋内外判定方法）は図１５のフローチャートとなる。即ち、屋内外判定装置３０において受信部３２が、受信信号の無線信号源の識別情報を含むＭＲをセルラ端末２０から受信し（図１５のＳ２１）、特定部３３が、受信されたＭＲに含まれた無線信号源の識別情報の数をカウントすることで、受信信号の無線信号源数Ｎを特定する（Ｓ２２）。次に、設定部３７が、ＭＲに含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ組合せ情報を判定用データベース３１から抽出し、抽出された組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値Ｑとして設定する（Ｓ２５）。
【０１０９】
次に、判定制御部３８は、無線信号源数Ｎが無線信号源数最小値Ｑ以上であるか否かを判定する（Ｓ２６）。Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ以上であれば、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信していると判断できるため、セルラ端末２０は屋外にいると判定する（Ｓ２８）。
【０１１０】
一方、Ｓ２６で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｍ未満であれば、無線信号源数Ｎが、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数Ｐ未満であるか否かを判定し（Ｓ３１）、無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ未満ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が不能であると判定する（Ｓ３３）。一方、Ｓ３１で無線信号源数Ｎが最小限の無線信号源数Ｐ以上ならば、第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定は可能であるが、セルラ端末２０が最小限の無線信号源数Ｍ以上の無線信号源から信号を受信しておらず受信状況が劣悪であると判断できるため、セルラ端末２０は屋内にいると判定する（Ｓ３２）。
【０１１１】
以上のような図１５の屋内外判定処理により、セルラ端末２０が屋内にいるか、屋外にいるか、判定不能であるか、の何れかの判定結果が速やかに得られる。
【０１１２】
以下、判定用データベース３１を備えたコンピュータによって、上述した図１５の屋内外判定処理を実行させるための屋内外判定プログラムについて、概説する。
【０１１３】
図１６に示すように、屋内外判定プログラム６２は、上記コンピュータが備える記録媒体６０に形成されたプログラム格納領域６０ａに格納される。屋内外判定プログラム６２は、屋内外判定処理を統括的に制御するメインモジュール６２ａと、受信モジュール６２ｂと、特定モジュール６２ｃと、設定モジュール６２ｇと、判定制御モジュール６２ｈとを備えて構成される。受信モジュール６２ｂ、特定モジュール６２ｃ、設定モジュール６２ｇ、判定制御モジュール６２ｈを実行させることにより実現される機能は、上述した図１４の屋内外判定装置３０の受信部３２、特定部３３、設定部３７および判定制御部３８の機能とそれぞれ同様である。
【図面の簡単な説明】
【０１１４】
【図１】測位システムである測位サーバ、及び受信機であるセルラ端末の機能構成を示す図である。
【図２】セルラ端末のハードウェア構成を示す図である。
【図３】無線通信情報取得部の機能構成を示す図である。
【図４】判定用データベースに記憶された情報例を示す図である。
【図５】測位サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図６】屋内外判定処理（屋内外判定方法）を示すフローチャートである。
【図７】図６の処理を説明するための図である。
【図８】判定用データベースの構築を説明するための図である。
【図９】測位サーバで実行される処理（測位方法）を示すフローチャートである。
【図１０】測位サーバで実行される処理（測位方法）の別の例を示すフローチャートである。
【図１１】測位プログラムの構成を示す図である。
【図１２】屋内外判定プログラムの構成を示す図である。
【図１３】屋内外判定処理（屋内外判定方法）の第１の変形例を示すフローチャートである。
【図１４】無線通信情報取得部の第２の変形例の機能構成を示す図である。
【図１５】屋内外判定処理（屋内外判定方法）の第２の変形例を示すフローチャートである。
【図１６】屋内外判定プログラムの第２の変形例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【０１１５】
１０…測位サーバ、１１…送受信部、１２…ＧＰＳ測位演算部、１３…基地局測位演算部、１４…無線通信情報取得部、１５…有効性推定部、１６…推定用データベース、１７…ＧＰＳ測位制御部、２０…セルラ端末、２１…セルラ通信部、２２…ＧＰＳ受信部、２３…データ蓄積部、３０…屋内外判定装置、３１…判定用データベース、３２…受信部、３３…特定部、３４…可否判定部、３５…第１の屋内外判定部、３６…第２の屋内外判定部、３７…設定部、３８…判定制御部、４０…ＧＰＳ衛星、５０…セルラ基地局、６０…記録媒体、６０ａ…プログラム格納領域、６１…測位プログラム、６１ａ…メインモジュール、６１ｂ…送受信モジュール、６１ｃ…ＧＰＳ測位演算モジュール、６１ｄ…基地局測位演算モジュール、６１ｅ…無線通信情報取得モジュール、６１ｆ…有効性推定モジュール、６１ｇ…推定用データベースモジュール、６１ｈ…ＧＰＳ測位制御モジュール、６２…屋内外判定プログラム、６２ａ…メインモジュール、６２ｂ…受信モジュール、６２ｃ…特定モジュール、６２ｄ…可否判定モジュール、６２ｅ…第１の屋内外判定モジュール、６２ｆ…第２の屋内外判定モジュール、６２ｇ…設定モジュール、６２ｈ…判定制御モジュール、１０１…ＣＰＵ、１０２…ＲＡＭ、１０３…ＲＯＭ、１０４…通信モジュール、１０５…補助記憶装置、２０１…ＣＰＵ、２０２…ＲＡＭ、２０３…ＲＯＭ、２０４…操作部、２０５…ディスプレイ、２０６…セルラ通信モジュール、２０７…セルラ通信用アンテナ、２０８…受信モジュール、２０９…受信用アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、
前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定手段と、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御手段と、
を備える屋内外判定装置。
【請求項２】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、
を備える屋内外判定装置。
【請求項３】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベースと、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、
を備える屋内外判定装置。
【請求項４】
前記第２の屋内外判定手段は、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記最小限の無線信号源数に基づく判定については、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記最小限の無線信号源数を比較し、前記無線信号源数が前記無線信号源数最小値以上の場合、前記対象の受信機が屋外にいると判定し、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上であり且つ前記無線信号源数最小値未満の場合、前記対象の受信機が屋内にいると判定し、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満の場合、屋内外の判定不能と判定する、
ことを特徴とする請求項１〜３の何れか１項に記載の屋内外判定装置。
【請求項５】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、
前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定するステップと、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、
を備える屋内外判定方法。
【請求項６】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、
を備える屋内外判定方法。
【請求項７】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、
を備える屋内外判定方法。
【請求項８】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、
前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定機能と、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御機能と、
を実行させる屋内外判定プログラム。
【請求項９】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、
を実行させる屋内外判定プログラム。
【請求項１０】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、
を実行させる屋内外判定プログラム。
【請求項１１】
無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位システムであって、
前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得手段と、
前記無線通信情報取得手段によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定手段と、
前記有効性推定手段によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御手段と、
を備え、
前記無線通信情報取得手段は、
請求項１〜４の何れか１項に記載の屋内外判定装置を含んで構成され、前記屋内外判定装置による判定結果を前記無線通信に関する情報とする、
ことを特徴とする測位システム。
【請求項１２】
無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位方法であって、
前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得ステップと、
前記無線通信情報取得ステップにおいて取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定ステップと、
前記有効性推定ステップにおいて推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御ステップと、
を含み、
前記無線通信情報取得ステップでは、
請求項５〜７の何れか１項に記載の屋内外判定方法が実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とする、
ことを特徴とする測位方法。
【請求項１３】
コンピュータに、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定させる測位プログラムであって、
前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得機能と、
前記無線通信情報取得機能によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定機能と、
前記有効性推定機能によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御機能と、
を前記コンピュータにより実行させ、
前記無線通信情報取得機能の実行時には、
請求項８〜１０の何れか１項に記載の屋内外判定プログラムが実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とする、
ことを特徴とする測位プログラム。
【請求項１】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、
前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定手段と、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御手段と、
を備える屋内外判定装置。
【請求項２】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベースと、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、
を備える屋内外判定装置。
【請求項３】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベースと、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信手段と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定手段と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定手段と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定手段と、
を備える屋内外判定装置。
【請求項４】
前記第２の屋内外判定手段は、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記最小限の無線信号源数に基づく判定については、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記最小限の無線信号源数を比較し、前記無線信号源数が前記無線信号源数最小値以上の場合、前記対象の受信機が屋外にいると判定し、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上であり且つ前記無線信号源数最小値未満の場合、前記対象の受信機が屋内にいると判定し、前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満の場合、屋内外の判定不能と判定する、
ことを特徴とする請求項１〜３の何れか１項に記載の屋内外判定装置。
【請求項５】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、
前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定するステップと、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、
を備える屋内外判定方法。
【請求項６】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、
を備える屋内外判定方法。
【請求項７】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えた屋内外判定装置により実行される屋内外判定方法であって、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信するステップと、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定するステップと、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行するステップと、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定するステップと、
を備える屋内外判定方法。
【請求項８】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、
前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を、無線信号源数最小値として設定する設定機能と、
前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する判定制御機能と、
を実行させる屋内外判定プログラム。
【請求項９】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報を記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて、前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、
を実行させる屋内外判定プログラム。
【請求項１０】
受信機により同時に受信される信号の無線信号源として想定される屋外の無線信号源の識別情報の組合せ情報と、前記信号の受信時の前記受信機の屋内又は屋外の特徴を表す屋内外特徴情報と、を対応付けて記憶した判定用データベース、を備えたコンピュータにより、
対象の受信機から、受信信号の無線信号源の識別情報を含む測定レポート情報を受信する受信機能と、
受信された前記測定レポート情報より前記受信信号の無線信号源数を特定する特定機能と、
前記無線信号源数が、第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数以上であるか否かを判定する可否判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数以上と判定された場合、前記第１の屋内外判定法に基づく屋内外判定を実行する第１の屋内外判定機能と、
前記無線信号源数が前記最小限の無線信号源数未満と判定された場合、前記第１の屋内外判定法とは異なる第２の屋内外判定法として、前記測定レポート情報に含まれた無線信号源の識別情報を全て含んだ前記組合せ情報と、当該組合せ情報に対応する屋内外特徴情報と、を前記判定用データベースから抽出し、抽出された前記組合せ情報に含まれた無線信号源の数の最小値を無線信号源数最小値として設定し、抽出された前記屋内外特徴情報に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるかを判定するか、又は、前記無線信号源数、前記無線信号源数最小値、および前記第２の屋内外判定法に基づく屋内外判定が可能とされる最小限の無線信号源数に基づいて前記対象の受信機が屋内にいるか屋外にいるか若しくは屋内外の判定不能であるかを判定する第２の屋内外判定機能と、
を実行させる屋内外判定プログラム。
【請求項１１】
無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位システムであって、
前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得手段と、
前記無線通信情報取得手段によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定手段と、
前記有効性推定手段によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御手段と、
を備え、
前記無線通信情報取得手段は、
請求項１〜４の何れか１項に記載の屋内外判定装置を含んで構成され、前記屋内外判定装置による判定結果を前記無線通信に関する情報とする、
ことを特徴とする測位システム。
【請求項１２】
無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定する測位方法であって、
前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得ステップと、
前記無線通信情報取得ステップにおいて取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定ステップと、
前記有効性推定ステップにおいて推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御ステップと、
を含み、
前記無線通信情報取得ステップでは、
請求項５〜７の何れか１項に記載の屋内外判定方法が実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とする、
ことを特徴とする測位方法。
【請求項１３】
コンピュータに、無線通信機能とＧＰＳ測位に用いられる信号の受信機能とを有する受信機の位置を推定させる測位プログラムであって、
前記受信機における無線通信に関する情報を取得する無線通信情報取得機能と、
前記無線通信情報取得機能によって取得された前記無線通信に関する情報に基づいて、ＧＰＳ測位の有効性を推定する有効性推定機能と、
前記有効性推定機能によって推定された前記有効性に基づいて、前記受信機のＧＰＳ測位の実行を制御するＧＰＳ測位制御機能と、
を前記コンピュータにより実行させ、
前記無線通信情報取得機能の実行時には、
請求項８〜１０の何れか１項に記載の屋内外判定プログラムが実行され、得られた判定結果を前記無線通信に関する情報とする、
ことを特徴とする測位プログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【公開番号】特開２０１０−１２７８４３（Ｐ２０１０−１２７８４３Ａ）
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３０４９４８（Ｐ２００８−３０４９４８）
【出願日】平成２０年１１月２８日（２００８．１１．２８）
【出願人】（３９２０２６６９３）株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１１月２８日（２００８．１１．２８）
【出願人】（３９２０２６６９３）株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Ｆターム（参考）】
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