説明

屋外構築物の屋根パネル及びこれを用いた屋外構築物の屋根

【課題】 水平や緩傾斜を含めて屋根フレームの配置角度に拘らず,常に屋根パネルに勾配を付して配置し得るようにして,屋外構築物のデザインの自由度を可及的に確保し得るようにする。
【解決手段】 合成樹脂板に冷間加工を施して,パネル基板10の幅方向両側に対向して対向起立片11を起立し且つその先端を幅方向外方に向けた支持突片12を突出するとともに対向起立片12をその長手方向一端側を幅広,他端側を幅狭とするように起立幅を変化した屋根パネル1を形成し,屋根フレーム2の対向する区分構造材20bに支持突片12を,端部構造材20aと交差構造材20cに長手方向両端をそれぞれ支持固定して屋外構築物の屋根とする。水平や緩傾斜のデザインとして雨水排出ができ,屋根パネル1はその複雑断面形状によって優れた耐荷重性を呈するものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は,例えばバルコニー,ストックヤード,カーポート,テラス等の屋外構築物に好適に使用できる屋外構築物の屋根パネル及びこれを用いた屋外構築物の屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の屋外構築物の屋根パネルは,外周を支持部位とした合成樹脂又は金属製にして平板をなすものとし,屋根フレームの構造材によって囲繞した矩形空間を被覆し且つ支持部位をその対向する構造材に支持固定するものとし,このとき一般に屋根フレームは,これを片流れ又は切妻状に傾斜することによって,該屋根パネルに配置した屋根パネルに勾配を付するものとしてあり,また屋根パネルが,例えば1m程度以上の長さを有する場合には,強風時の吹上荷重や積雪荷重に対する屋根パネルの配置強度を確保するように,上記矩形空間の対向する構造材間に,例えば50〜60cmのピッチで中骨を介設し,屋根パネルの長手方向中間を支持固定することによって,その面強度を確保して耐荷重性を確保するものとされる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−152550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,屋根パネルは屋根フレームの傾斜角度に応じた勾配を付して配置したものとなるから,屋根パネルの雨水を流下するに適した屋外構築物の屋根を形成することができるが,屋根フレームを傾斜しないと屋根フレームに勾配を付することができないため,屋外構築物の屋根は常に傾斜した形態のものとなり,そのデザインが単調化するとともに屋根フレームに配置した中骨により屋根の下面が複雑化して煩雑な印象を与えるものとなるために,屋外構築物のデザインの自由度が制約される傾向を招き易い。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,水平や緩傾斜を含めて屋根フレームの配置角度に拘らず,常に勾配を付して配置し得るようにして屋外構築物のデザインの自由度を可及的に確保するとともにそれ自体強度に優れて,中骨の有無を問わずに吹上や積雪に対する耐荷重性を確保し得るようにした屋外構築物の屋根パネルを提供するにあり,また該屋根パネルを用いた屋外構築物の屋根を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明の屋根パネルは,パネル基板,その幅方向両側の対向起立片,その上端から幅方向両側にして外側に突出する支持突片によって幅方向に複雑断面形状をなすようにして強度確保を行うようにするとともにパネル基板と支持突片間の対向起立片の形状を長手方向に細長の三角形又は台形をなすようにして,パネル基板と支持突片を相互に傾斜配置することによって,支持突片を屋根フレームに支持固定したとき,パネル基板に勾配を付するようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,パネル基板と,該パネル基板の幅方向両側に対向して起立した対向起立片と,該対向起立片の先端に配置したそれぞれ幅方向外方に向けた支持突片とを備えるとともに上記対向起立片をその長手方向一端側を幅広,他端側を幅狭とするように起立幅を変化して支持突片に対して上記パネル基板を傾斜配置してなることを特徴とする屋外構築物の屋根パネルとしたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,上記複雑断面形状にしてパネル基板と支持突片を傾斜配置した特殊形状をなす屋根パネルを,パネル基板の幅方向両側に曲げ加工を施して対向起立片及び支持突片を一体に形成した合成樹脂製又は金属製のものとすることによって,その生産を容易にして確実になし得るようにするとともに高度な防水性を確保したものとするように,これを,上記屋根パネルを,合成樹脂板又は金属板の幅方向両側に対向起立片と支持突片の曲げ加工を施すことによって一体に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の屋外構築物の屋根パネルとしたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記屋根パネルを,屋外構築物の屋根として採光性と降雹等に対する耐衝撃性を備えるとともにその靭性によって冷間曲げ加工による上記対向起立片と支持突片の形成を容易になし得るようにした好ましい形態のものとするように,これを,上記屋根パネルを,採光性を有するポリカーボネート樹脂板としてなることを特徴とする請求項2に記載の屋外構築物の屋根パネルとしたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記対向起立片の起立幅変化を,その対向起立片における上下端の傾斜,上端傾斜にして下端水平,上端水平にして下端傾斜の形態のうちから,
該上端水平にして下端傾斜のものとして,良好な外観を確保したものとする一方,上記曲げ加工を行って対向起立片と支持突片を形成するときには,当初パネル基板に平行,次いで対向起立片に傾斜の曲げ加工とすることによって,該曲げ加工を容易になし得るものとするように,これを,上記対向起立片の起立幅変化を,パネル基板側の下端を傾斜し,支持突片側の上端を平行して行ってなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の屋外構築物の屋根パネルとしたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は,上記屋根パネルを用いることによって,水平や緩傾斜を含めて屋根フレームの配置角度に拘らず,常に勾配を付して屋根パネルを配置し得るようにしてデザインの自由度を可及的に確保するとともに屋根パネルの優れたそれ自体の強度によって,中骨の有無を問わずに吹上や積雪に対する耐荷重性を確保し得るようにした屋外構築物の屋根を提供するように,これを,請求項1乃至4のいずれかの屋外構築物の屋根パネルを用いて,屋根フレームの構造材の矩形空間にパネル基板を嵌挿し且つ支持突片をその対向する構造材に支持固定して,該屋根パネルを屋根フレームに対して勾配を付して配置してなることを特徴とする屋外構築物の屋根としたものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は,上記に加えて,屋根フレームを水平配置のものとし,または緩傾斜のものとして,可及的にデザインを良好としたものとするように,これを,上記屋根フレームを,その構造材を水平配置乃至緩傾斜配置した屋根フレームとしてなることを特徴とする請求項5に記載の屋外構築物の屋根としたものである。
【0012】
請求項7に記載の発明は,同じく上記に加えて,屋根フレームに対する幅方向両側の支持突片の支持固定に加えて,パネル基板の長手方向両側を屋根フレームに支持固定することによって,屋根フレームに対して屋根パネルを安定且つ確実に支持するとともに漏水のない屋根とするように,これを,上記パネル基板の長手方向端部を,該長手方向端部に平行な構造材に支持固定してなることを特徴とする請求項5又は6に記載の屋外構築物の屋根としたものである。
【0013】
請求項8に記載の発明は,同じく上記に加えて,勾配を付して配置した屋根パネルの雨水流下を雨樋で受けるようにして,屋外構築物の屋根として,その完成度を高度化したものとするように,これを,上記パネル基板の長手方向端部のうち下位側の支持固定を,構造材に配置した雨樋を介して行ってなることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の屋外構築物の屋根としたものである。
【0014】
本発明は,これらをそれぞれ発明の要旨として,上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,パネル基板,その幅方向両側の対向起立片,その上端から幅方向両側にして外側に突出する支持突片によって幅方向に複雑断面形状をなすようにして強度確保を行うようにするとともにパネル基板と支持突片間の対向起立片の形状を長手方向に細長の三角形又は台形をなすようにして,パネル基板と支持突片を相互に傾斜配置することによって,支持突片を屋根フレームに支持固定したとき,パネル基板に勾配を付するようにし,水平や緩傾斜を含めて屋根フレームの配置角度に拘らず,常に勾配を付して配置し得るようにして屋外構築物のデザインの自由度を可及的に確保するとともにそれ自体強度に優れて,中骨の有無を問わずに吹上や積雪に対する耐荷重性を確保し得るようにした屋外構築物の屋根パネルを提供することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,上記複雑断面形状にしてパネル基板と支持突片を傾斜配置した特殊形状をなす屋根パネルを,パネル基板の幅方向両側に曲げ加工を施して対向起立片及び支持突片を一体に形成した合成樹脂製又は金属製のものとすることによって,その生産を容易にして確実になし得るようにするとともに高度な防水性を確保したものとすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記屋根パネルを,屋外構築物の屋根として採光性と降雹等に対する耐衝撃性を備えるとともにその靭性によって冷間曲げ加工による上記対向起立片と支持突片の形成を容易になし得るようにした好ましい形態のものとすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記対向起立片の起立幅変化を,その対向起立片における上下端の傾斜,上端傾斜にして下端水平,上端水平にして下端傾斜の形態のうちから,該上端水平にして下端傾斜のものとして,良好な外観を確保したものとする一方,上記曲げ加工を行って対向起立片と支持突片を形成するときには,当初パネル基板に平行,次いで対向起立片に傾斜の曲げ加工とすることによって,該曲げ加工を容易になし得るものとすることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は,上記屋根パネルを用いることによって,水平や緩傾斜を含めて屋根フレームの配置角度に拘らず,常に勾配を付して屋根パネルを配置し得るようにしてデザインの自由度を可及的に確保するとともに屋根パネルの優れたそれ自体の強度によって,中骨の有無を問わずに吹上や積雪に対する耐荷重性を確保し得るようにした屋外構築物の屋根を提供することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は,上記に加えて,屋根フレームを水平配置のものとし,または緩傾斜のものとして,可及的にデザインを良好としたものとすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は,同じく上記に加えて,屋根フレームに対する幅方向両側の支持突片の支持固定に加えて,パネル基板の長手方向両側を屋根フレームに支持固定することによって,屋根フレームに対して屋根パネルを安定且つ確実に支持するとともに漏水のない屋根とすることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は,同じく上記に加えて,勾配を付して配置した屋根パネルの雨水流下を雨樋で受けるようにして,屋外構築物の屋根として,その完成度を高度化したものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,1は屋根パネルであり,該屋根パネル1は,パネル基板10と,該パネル基板10の幅方向両側に対向して起立した対向起立片11と,該対向起立片11の先端に配置したそれぞれ幅方向外方に向けた支持突片12とを備えるとともに上記対向起立片11をその長手方向一端側を幅広,他端側を幅狭とするように起立幅を変化して支持突片12に対して上記パネル基板10を傾斜配置したものとしてある。
【0024】
本例にあって該屋根パネル1における上記対向起立片11の起立幅変化は,これを,パネル基板側の下端を傾斜し,支持突片側の上端を平行して行ったものとし,また上記屋根パネル1は,これを合成樹脂板又は金属板の幅方向両側に対向起立片11と支持突片12の曲げ加工を施すことによって一体に形成したものとしてある。
【0025】
屋根パネル1は,採光性を有するポリカーボネート樹脂板によるものとし,該ポリカーボネート樹脂板に上記幅方向両側の対向起立片11と支持突片12の曲げ加工を施して形成した一体のものとし,例えばその肉厚を2mmとした厚肉にして,その幅を75cmの幅広とする一方,該肉厚及び幅を共通としてその長さを1mと1.5mとした平面矩形をなす長短複数,特に2種としたものとしてある。
【0026】
パネル基板10と支持突片12の傾斜角度は,屋根フレーム2に配置したとき,該屋根フレーム2に対して所定の勾配をなすように,対向起立片11を,例えば6±2度の範囲で傾斜してあり,本例にあって該傾斜の角度は,1m長さのものにあっては5度,1.5mのものにあっては3度として,その長さに応じて変化してある。このとき対向起立片11は,その側面視の形状を長手方向に長い三角形又は台形,本例にあっては長手方向両端の高さを長辺側で,例えば5〜10cm,短片側で1〜3cmとする如くにした台形をなすものとしてある。
【0027】
ポリカーボネート樹脂板への曲げ加工は,冷間加工によってこれを行ってある。即ちポリカーボネート樹脂は靭性に優れるために,他の合成樹脂板の如くに熱間加工を行うことなく,その対向起立片11と支持突片12の機械的な加工が可能であるため,例えばプレス機を用いた曲げ加工を行ってある。本例にあって屋根パネル1は,幅方向にパネル基板10と対向起立片11を画する内側平行線,該平行線の外側に対向起立片11の上端と支持突片12を画する上記平行線に対して傾斜する一対の中間傾斜線,該傾斜線の外側に支持突片の端部を画する該傾斜線に対して平行な端部平行線を,それぞれ平板に配置又は仮想配置し,上記内側平行線,中間傾斜線に沿ってそれぞれ直角をなすように曲げ加工を施し,また端部平行線に沿って事前又は事後に切断を施すことによって,これを生産するものとしてある。
【0028】
以上のように構成した屋根パネル1は,これを用いて,屋根フレーム2の構造材の矩形空間にパネル基板10を嵌挿し且つ支持突片12をその対向する構造材20bに支持固定して,該屋根パネル1を屋根フレーム2に対して勾配を付して配置して,屋外構築物の屋根を形成するものとしてあり,このとき上記屋根フレーム2は,これを,その構造材を水平配置乃至緩傾斜配置した屋根フレーム,本例にあっては水平配置の屋根フレームとしてあり,また該屋根パネル1は,その上記パネル基板10の長手方向端部を,該長手方向端部に平行な構造材に支持固定してあり,このとき上記パネル基板10の長手方向端部のうち下位側の支持固定を構造材20aに配置した雨樋20dを介して行ったものとしてある。
【0029】
即ち本例の屋根フレームは,構造材,即ち端部構造材20aとして桁材,梁材,該端部構造材20a間を区分する区分構造材20bとして架設材を組合せ使用して,図4のように1列の矩形空間を形成するように,また更に区分構造材20bに交差する交差構造材20cとして棟木を追加的に使用して,図8のように複数列,例えば2列の矩形空間を形成するように,これら構造材を水平をなすように枠組みして,該1列又は複数列の矩形空間を幅方向に多数並列配置したアルミ製のものとしてあり,該屋根フレーム2の矩形空間にはそれぞれ屋根パネル1を配置することによって水平の屋根を形成するものとしてある。本例にあって上記矩形空間は,屋根パネル1のパネル基板10に略等しい面積にして該パネル基板10を受入れ可能なものとしてあり,これによって該矩形空間にパネル基板10を嵌挿するとともに幅方向両側の支持突片12を,対向する上記区分構造材20bの上面に載置して各屋根パネル1を支持する一方,その支持突片12上に,該支持突片12の全長に亘る長尺の又は間欠的に該支持突片12を押える短尺乃至短寸にしてその突出幅を覆う幅を有するパネル固定部材22を載置し,区分構造材20bとパネル固定部材22間に支持突片12を挟持した状態で,該パネル固定部材22を区分構造材20bにネジ27止めして,その固定を行ったものとしてある。
【0030】
このとき該支持突片12にはその先端の全長に止水ビートによる水密材28を配置して,支持突片12と区分構造材20bとの隙間から雨水が屋根パネル1の下面に浸入するのを防止してあり,また上記パネル固定部材22には支持突片12の全長に亘るようにカバー材23を,例えばパネル固定部材22とカバー材23に形成した一方の突条,他方の受条を相互に係合することによってスナップイン係止又はスライド係止して配置して,パネル固定部材22を該カバー材23で被覆カバーしてある。
【0031】
即ち屋根パネル1を1列とした図4の屋根において,該屋根パネル1は,その長手方向両端部のうち上位側の端部を,端部構造材20aにおける矩形空間内の上方位置にネジ止めして配置した端部受材24上に載置するとともにその上面側に,例えば該端部受材24の全長に亘る押え材25を載置し,支持突片12におけると同様に該端部受材24と押え材25間にパネル基板10の端部を挟持した状態で,該押え材25を端部受材24にネジ27止めして,該端部受材24を介して端部構造材20aに対する支持固定を行ってあり,このとき該端部受材24及び押え材25に水密材28を配置して屋根パネル1の下面側に雨水が浸入するのを防止して,屋根の水密性を確保したものとしてある。また長手方向両端部のうち下位側の端部は,上記のとおり雨樋20dを介してその支持固定を行ってあり,該下位側の端部は,端部構造材20aにおける矩形空間内の下方位置にネジ止めして配置した雨樋20d上に載置するとともに該雨樋20dの上面側に,その全長又は間欠的な短尺乃至短寸に設置したパネル止め具26によって,パネル基板10の端部上面を雨樋20dに引寄せ支持するように固定することによって,同じく雨樋20dとパネル止め具26間にパネル基板10の端部を挟持した状態として,その支持固定を行ったものとしてある。このとき同じく雨樋20dに水密材28を配置して屋根パネル1の下面側に雨水が浸入するのを防止して屋根の水密性を確保してある。
【0032】
また屋根パネル1を2列とした図8の屋根において,屋根パネル1の長手方向両端部のうち上位側の端部は交差構造材20cの棟木に対して支持固定してあり,支持突片12及び下位側の端部は,上記図4の屋根と同様にその支持固定を行ってある。交差構造材20cは,例えば割型の複数部材としてあり,隣接する区分構造材20b間の長手方向中央位置に該区分構造材20bに直交するように架設固定することによって該区分構造材20bの長手方向にその空間を2区分して2列の矩形空間を形成してあり,該上位側の端部の交差構造材20cによる支持固定は,交差構造材20cに配置した幅方向両側の受座に該上位側の端部を載置するとともにこれに交差構造材20cの押え材25を載置し,同じく交差構造材20cと押え材25間に端部を挟持した状態で,押え材25を交差構造材20cにネジ27止めすることによってこれを行ったものとしてある。このときも同じく交差構造材20c及び押え材25にそれぞれ水密材28を配置して屋根パネル1の下面側に雨水が浸入するのを防止して屋根の水密性を確保してある。
【0033】
図中3は屋根フレーム2を支持する支柱,21は,端部構造材20aに区分構造材20bを固定するために該端部構造材20aに設置し,また区分構造材20bに交差構造材20cを固定するために架設材に設置した連結金具,29は,屋根に部分的に配置した屋根パネル1非設置の開放空間を示す。
【0034】
このように形成した屋根にあって,屋根パネル1は,幅広のパネル基板10の幅方向両側に逆L字状をなすように対向起立片11と支持突片12を一体に配置するとともに対向起立片11の幅を幅広から幅狭に変化した,長手方向に複雑断面形状を呈するそれ自体優れた強度を有するものとなる結果,屋根パネル1として耐荷重性を充分に確保したものとなし得る。その長手方向中間をこれに交差する中骨を用いて該中骨によって支持固定するような補強が必要でなくなり,屋外構築物の屋根に用いて吹上げや積雪に対する強度を備えたものとすることができる。また該屋根パネル1は,パネル基板10と支持突片12を相互に傾斜配置した一体のものとしたから,屋根フレーム2の配置角度に拘らず,屋根フレーム2に対して常に勾配を付した配置が可能となり,従って屋根フレーム2を水平や緩傾斜のものとして,これに屋根パネル1を配置することによって,従来見られない水平や緩傾斜の屋根を含めて屋外構築物やその屋根のデザインの自由度を可及的高度に確保することができるとともに常に得られる勾配によって雨水の良好な排出をなし得るものとすることができる。また本例にあっては採光性を有するポリカーボネート樹脂を用いて,これに冷間加工を施すことによって一体の屋根パネル1としたから,その生産が可及的に容易である上,屋根の採光性と高度な防水性を確保したものとなって屋外構築物に好適にして且つ汎用的に使用することが可能となる。
【0035】
図示した例は以上のとおりとしたが,屋根パネルを,アルミ,鋼板等の金属製とし,FRPのように補強合成樹脂やAlC等,合成樹脂製乃至金属製以外の材料によるものとすること,対向起立片の起立幅変化を,パネル基板側の下端を水平とし,支持突片側の上端を傾斜して行い,また上下端の双方を傾斜したものとすること,屋根パネルの長手方向端部を載置する受座を端部構造材に一体成型したものとすること,この場合を含めて,屋根パネルの長手方向端部に,屋根フレームの端部構造材に対して水平に載置する水平の水平部位を配置し,該水平部位を端部構造材乃至これに配置した受座,端部受材乃至雨樋に支持固定すること,屋根フレームを緩傾斜したものとし,また従前の屋根と同様に傾斜したものとして構成すること,屋根フレームを3列又はそれ以上の列の矩形空間を備えるように構造材を配置し,該矩形空間に屋根パネルを配置したものとすること,屋外構築物を,支柱に屋根を片持ちしたものとすること等の形態を含めて,本発明の実施に当って,屋根パネル,そのパネル基板,対向起立片,支持突片,屋外構築物,屋根,屋根フレーム,その端部,区分及び交差の各構造材,必要に応じて用いる雨樋,受材等の各具体的形状,構造,材質,数,寸法,用途,生産方法,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り,様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】屋根パネルの斜視図である。
【図2】屋根パネルの側面図である。
【図3】屋根パネルの平面図である。
【図4】屋根パネルを1列とした屋外構築物の斜視図である。
【図5】1列の屋根パネルと構造材の関係を示す斜視図である。
【図6】図4の屋根パネルの支持突片と端部構造材の関係を示す縦断面図である。
【図7】図4の屋根パネルの長手方向上位側と端部構造材の関係を示す縦断面図である。
【図8】屋根パネルを2列とした屋外構築物の斜視図である。
【図9】2列の屋根パネルと構造材の関係を示す斜視図である。
【図10】図8の屋根パネルの支持突片と区分構造材の関係を示す縦断面図である。
【図11】図8の屋根パネルの長手方向下位側と雨樋の関係を示す縦断面図である。
【図12】図8の屋根パネルの長手方向上位側と交差構造材の関係を示す縦断面図である。
【図13】屋根下面の形態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 屋根パネル
10 パネル基板
11 対向起立片
12 支持突片
2 屋根フレーム
20a 端部構造材
20b 区分構造材
20c 交差構造材
20d 雨樋
21 構造材連結金具
22 パネル固定部材
23 カバー材
24 端部受材
25 押え材
26 パネル止め具
27 ネジ
28 水密材
29 開放空間
3 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル基板と,該パネル基板の幅方向両側に対向して起立した対向起立片と,該対向起立片の先端に配置したそれぞれ幅方向外方に向けた支持突片とを備えるとともに上記対向起立片をその長手方向一端側を幅広,他端側を幅狭とするように起立幅を変化して支持突片に対して上記パネル基板を傾斜配置してなることを特徴とする屋外構築物の屋根パネル。
【請求項2】
上記屋根パネルを,合成樹脂板又は金属板の幅方向両側に対向起立片と支持突片の曲げ加工を施すことによって一体に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の屋外構築物の屋根パネル。
【請求項3】
上記屋根パネルを,採光性を有するポリカーボネート樹脂板としてなることを特徴とする請求項2に記載の屋外構築物の屋根パネル。
【請求項4】
上記対向起立片の起立幅変化を,パネル基板側の下端を傾斜し,支持突片側の上端を平行して行ってなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の屋外構築物の屋根パネル。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの屋外構築物の屋根パネルを用いて,屋根フレームの構造材の矩形空間にパネル基板を嵌挿し且つ支持突片をその対向する構造材に支持固定して,該屋根パネルを屋根フレームに対して勾配を付して配置してなることを特徴とする屋外構築物の屋根。
【請求項6】
上記屋根フレームを,その構造材を水平配置乃至緩傾斜配置した屋根フレームとしてなることを特徴とする請求項5に記載の屋外構築物の屋根。
【請求項7】
上記パネル基板の長手方向端部を,該長手方向端部に平行な構造材に支持固定してなることを特徴とする請求項5又は6に記載の屋外構築物の屋根。
【請求項8】
上記パネル基板の長手方向端部のうち下位側の支持固定を,構造材に配置した雨樋を介して行ってなることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の屋外構築物の屋根。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−203742(P2009−203742A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48358(P2008−48358)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000222130)東洋エクステリア株式会社 (102)
【Fターム(参考)】