説明

屋根型紙容器の筒状包材の包装構造と包装方法

【課題】充填機周りの包装体の置きスペースを減らし作業スペースを広くして作業性が向上する屋根型紙容器の筒状包材の包装体を提供する。
【解決手段】プラスチック等の熱可塑性樹脂フィルムの包装材12で250枚の筒状包材2aを包んだ状態でこの包装材12を加熱溶融圧着して縦シール14した後、両端部15を横シール16して包装体13が形成される。このとき、一方の端部15は包装体13の内部の空気を排出するための排出口17を備える。この排出口17は横シール16の一部分がシール無しの状態で形成されて成る空間領域である。筒状包材2aはスプリング効果によって少し開くので各々の筒状包材2a間には空間が発生するが、排出口17から内部空気の排気を終了後に排出口17を熱圧着で密封シールして密封シール部を形成することで包装体13の内部は空気が無い状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体食品を充填する屋根型紙容器に関し、詳しくは筒状に形成した包材を用いて液体食品を充填して成る屋根型紙容器の筒状包材の包装構造と包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する屋根型紙容器の充填装置に関する従来技術として特許文献1の内容が知られている。特許文献1によれば、図8に示すように、屋根型紙容器21の充填装置22は成形ステーション23と充填ステーション24と封止ステーション25で構成される。
【0003】
まず、成形ステーション23で筒状材26は底部27を折り曲げ形成してコンベヤーライン28に供給される。次の充填ステーション24で充填ノズル29を介して内容液を充填した後、加熱機30で筒状材26の上部が加熱される。この上部を封止ステーション25にて封圧機31で加圧して屋根型紙容器21が形成される。
【0004】
図9に示すように、筒状材26は例えば250枚毎にポリエチレンコート紙27で直方体形状に包装して包装体28が形成され、この包装体28が充填装置22に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−082844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
筒状材26を包装する際に筒状材26がスプリングバックによって広がるので、包装体28の内部で各々の筒状材26間に隙間Sが発生する。このため、包装体28の内部は合計250XSの空間を有する状態なので包装体28は長さKが長く容積も大きくなり嵩張るため複数の包装体28が準備された充填機周りは作業スペースが狭くなるという問題があった。さらに、ポリエチレンコート紙27による包装は結束が緩く型崩れし易く、逆にこの型崩れを避けるために強く結束すると筒状材26の角を傷め易いという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の屋根型紙容器用の包装体の問題点を解決して、包装体の容積を確実に減らすことによって充填機周りの包装体の置きスペースを減らし作業スペースを広くして作業性が向上し、結束が固くて型崩れし難い屋根型紙容器の筒状包材の包装構造と包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、シート状の紙基材を筒状にして成る筒状包材の下端部を折畳んで底部が形成され内容液を充填後に上端部を折畳んで屋根型頂部が形成される紙容器の筒状包材の包装構造である。そして、前記筒状包材を複数枚毎に包装材で包んで縦シールすると同時に前記包装材の両端部を横シールして包装体が形成され、前記横シールに前記包装体の内部空気の排出口としての無シール部を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の屋根型紙容器の筒状包材の包装構造であって、前記包装材は熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、シート状の紙基材を筒状にして成る筒状包材の下端部を折畳んで底部が形成され内容液を充填後に上端部を折畳んで屋根型頂部が形成される紙容器の筒状包材の包装方法で、この包装方法は、前記筒状包材を複数枚毎に熱可塑性樹脂フィルムの包装材で包んで縦シールすると同時に前記包装材の両端部を横シールして包装体が形成され、前記横シールに備える排出口としての無シール部から前記包装体の内部空気を排出した後で前記排出口を熱シールで閉鎖することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、前記筒状包材は複数毎に包装材で密封されて成る包装体が形成された際に、折り畳まれた状態の各々の前記筒状包材にはスプリング効果によって前記筒状包材は筒状開口部が少し開いた状態となり、包装体には空気が含まれるので、包装体の外形は複数の前記筒状包材が平らに折り畳まれて内部に空気が残存しない状態に比べて容積が大きい形状である。
【0012】
ところが、所定枚数の前記筒状包材が密封された状態で前記包装体は内部の空気を排出する排出口を備えるので、この排出口から内部空気を排出して前記包装体を最小体積状態にすることができる。このため、前記包装体を保管する場所が最小化できるので保管スペースの効率が向上する。そして、充填機の周りの作業スペースに余裕ができるので作業効率が向上するため、紙容器の製造コストも低減できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記包装材は熱可塑性樹脂フィルムであるので、
前記排出口から包装体の内部空気を排出して包装体の外形を最小体積にした状態で前記排出口は容易に熱圧着によって空気が再入しないように封止できる。さらに、熱可塑性樹脂フィルムによる包装は結束が確実で型崩れし難くいため筒状材の角を傷めることもない。このため、請求項1の効果と同様の効果を確実且つ容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における、内容液Qが充填された屋根型紙容器1の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、屋根型紙容器1を形成する包材2に縦方向、横方向に複数の折り目7、8、斜め方向に複数の折り目9、10が形成された状態を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態における、複数枚の筒状包材2aを収納した包装材12の一方の端部15が排出口17を残して横シール16で熱シールされた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態における、図3のA−A詳細矢視図である。
【図5】排出口17から包装体13の内部の空気を排気終了後に、排出口17を熱圧着でシールして密封シール部17aを形成し、包装体9が外形直方体に形成された状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における、図5のB−B詳細矢視図である。
【図7】包装体13から筒状包材2aを取出す際に、横シール16と密封シール部17aを含む端部15を切除する状態を示す斜視図である。
【図8】従来例における、屋根型紙容器21の充填装置22で、コンベヤーライン28に設けられた成形ステーション23、充填ステーション24、封止ステーション25の構成を示す図である。
【図9】従来例における、筒状材26が250枚毎にポリエチレンコート紙27で直方体形状に包装されて成る包装体28の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
<屋根型紙容器の筒状包材の包装構造の構成>
【0016】
図1、図2に示すように、屋根型紙容器1は紙基材からなる外形略矩形の包材2を折り曲げて、屋根型の頂部3と、矩形の4側面から成る側部4と、矩形の底部5とで形成される。内部には牛乳やジュース等の液体食品が内容液Qとして充填される。
【0017】
包材2の表面は屋根型紙容器1の成型を容易に行うため溝状の折曲線6を備え、折曲線6は縦線7が4本、横線8が3本、底部5の斜線9が4本、頂部3用斜線10が4本で形成される。縦線7は包材2を断面矩形の筒状に折り曲げ形成する位置に設け、横線8は頂部3と側部4と底部5をそれぞれ区分する位置に設けられる。なお、包材2の一端部P1の近傍に固着領域11を設けて、この固着領域11が包材2の他端部P2の近傍に固着して筒状包材2aが形成される。
【0018】
図示しない充填機に、筒状包材2aが畳んだ状態で供給された後、筒状包材2aは縦線7に沿って折り曲げて断面矩形に広げられる。そして、下部の対向する二面が斜線9に沿ってそれぞれ折畳まれた後に他の対向する二面が重なって底部5が形成される。この状態で内部に内容液Qが充填される。さらに、筒状の上部の対向する二面を斜線10に沿って折込むと同時に、他の対抗する二面を斜めに重ねて密閉して頂部3を形成し屋根型紙容器1が形成される。
【0019】
このように、紙基材2はそれぞれの折曲線6(7,8,9,10)に沿って容易に折り曲げることができるので、屋根型頂面3、矩形の四側面4、矩形の底面5が確実に形成できる。屋根型頂面3と側面4の表面にはデザイン等の印刷が施される。
【0020】
より詳しくは、紙基材2の表裏面に低密度ポリエチレン樹脂の熱可塑性材料層を備えるので当該部を加熱溶融して圧着することで容易に屋根型紙容器1が形成できる。尚、紙基材2は内面側にバリヤー層としてアルミ箔等を備えることもある。
【0021】
図3、図4に示すように、筒状包材2aは250枚毎に包装材12に密封包装されて、外形が幅W、高さH、長さLの直方体形状の包装体13が形成される。より詳しくは、包装材12はプラスチック等の熱可塑性樹脂フィルムで、250枚の筒状包材2aを包んだ状態でこの包装材12を加熱溶融圧着して縦シール14した後、両側の端部15をそれぞれ横シール16形成して包装体13が形成される。
【0022】
より詳しくは、筒状包材2aはスプリング効果によって少し開くので各々の筒状包材2a間には空間Kが発生する。このため、一方の端部15に包装体13の内部の空気Eを排出するための排出口17を備え、この排出口17は熱圧着による横シール16の一部分がシール無しの状態で形成される。
【0023】
図5、図6に示すように、図示しない吸気器具を用いて排出口17から内部の空気を容易に排気できるので、排気終了後に排出口17を熱圧着でシールして密封シール部17aにすると、内部に空間Kがほとんど無い状態の包装体13が形成できる。
【0024】
このため、包装体13の外形寸法LはL1=L−250xKと短くなり、包装材13を最小体積の状態で充填機に供給できる。なお、幅W、高さHは同じで変わらない。
【0025】
<屋根型紙容器の筒状包材の包装構造の作用>
図7に示すように、筒状包材2aを使用する際は、矢印P−Pで示すように、包装体13の横シール16と密封シール部17aを含む端部15の領域を筒状包材2aから離れた位置で切断する。これにより、包装体13の開封時に筒状包材2aを傷つけることがなく、250枚の筒状包材2aを容易に取出して使用することができる。なお、包装体13の密封シール部17aが形成されない反対側の端部15を切断して開封することもできる。
【0026】
このように、包装体13が最小体積の状態になるので嵩張らず充填室における包装体13を保管する場所が有効的に使えるので作業スペースが実質的に増える。このため、作業環境に優れ作業効率が向上して充填装置の稼働率が向上するので紙容器の製造コストも低減できる。包装材12がプラスチック等の熱可塑性樹脂フィルムなので筒状包材2aを確実にきつく結束できので、型崩れによる筒状包材2aの損傷を回避できる。
【0027】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。たとえば、平屋根型の紙容器の紙基材に対しても適用できる。排出口に空気逆止構造を備えると排出口を熱シールする作業が省略できる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装容器で包装充填する製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
2a 筒状包材
12 包装材
13 包装体
14 縦シール
15 端部
16 横シール
17 排出口
17a 密封シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の紙基材を筒状にして成る筒状包材の下端部を折畳んで底部が形成され内容液を充填後に上端部を折畳んで屋根型頂部が形成される紙容器の筒状包材の包装構造であって、
前記筒状包材を複数枚毎に包装材で包んで縦シールすると同時に前記包装材の両端部を横シールして包装体が形成され、前記横シールに前記包装体の内部空気の排出口としての無シール部を備えることを特徴とする屋根型紙容器の筒状包材の包装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根型紙容器の筒状包材の包装構造であって、前記包装材は熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする屋根型紙容器の筒状包材の包装体構造。
【請求項3】
シート状の紙基材を筒状にして成る筒状包材の下端部を折畳んで底部が形成され内容液を充填後に上端部を折畳んで屋根型頂部が形成される紙容器の筒状包材の包装方法であって、前記筒状包材を複数枚毎に熱可塑性樹脂フィルムの包装材で包んで縦シールすると同時に前記包装材の両端部を横シールして包装体が形成され、前記横シールに備える排出口としての無シール部から前記包装体の内部空気を排出した後で前記排出口を熱シールで閉鎖することを特徴とする屋根型紙容器の筒状包材の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−240738(P2012−240738A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115278(P2011−115278)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】