説明

展開構造体及び衝撃吸収装置

【課題】展開前は平面的で狭小部にも設置することができ、簡単な動作で平面から立体に展開して、衝突エネルギーを有効に吸収することができる展開構造体を提供する。衝突位置に配置された展開構造体を展開させて衝突エネルギーを吸収し、衝撃を吸収することができる衝撃吸収装置を提供する。
【解決手段】展開構造体10は、上部プレート12、下部プレート14、回転プレート16、モータ20及び上部プレート12をモータ20に固定するモータブラケット18を備えている。モータ20の駆動により回転プレート16が回転する。下部プレート14は回転プレート16と一緒に回転する。下部プレート14の回転により、上部プレート12と下部プレート14とが平面から立体に展開して、複数の梁が交差する立体交差構造11を形成する。衝突等により立体交差構造11に表面側から衝撃が加わると、複数の梁の各々が弾塑性変形して衝突エネルギーを吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開構造体及び衝撃吸収装置に係り、特に、平面から立体に展開可能な展開構造体と、衝突位置にある展開構造体を展開させて衝突による衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の衝突安全構造では、車両の構成部材の変形により衝突エネルギーが吸収され、車両や乗員への衝撃力が緩和されている。例えば、前面衝突であれば、衝突時にフロントボディが壊れて衝突エネルギーを吸収し、乗員への衝撃力が緩和される。このため、車両の構成部材については、衝突エネルギーを効率よく吸収するための構造が種々提案されている(特許文献1)。
【0003】
例えば、特許文献1では、運動変換装置を含む衝撃吸収緩衝装置が提案されている。運動変換装置は、枝状配置要素からなる梁構造を有しており、この梁構造で直線運動(衝撃)を回転運動に変換して、衝撃を吸収・緩衝して衝撃吸収力を向上させている。
【0004】
また、最近では、歩行者の安全にも配慮がなされている。例えば、ショックアブソーバの粘性抵抗を利用して衝突エネルギーを効率よく吸収し、車両や乗員だけではなく、衝突時に歩行者が受ける衝撃力を緩和する構造も種々提案されている(特許文献2、3)。
【0005】
例えば、特許文献2では、二段バンパ構造を備えた車両用フロントバンパ装置が提案されている。二段バンパ構造は、通常バンパの下側に低位バンパが設けられた構造である。この低位バンパによって、衝突時に歩行者がボンネットへ倒れ込むように仕向けられる。特許文献2の車両用フロントバンパ装置は、低位バンパの位置調節手段と、ショックアブソーバ(油圧シリンダなど)とを備えている。歩行者衝突時には、ショックアブソーバの粘性抵抗を調節すると共に低位バンパの位置を調節して、歩行者の倒れ込みモーメントを最適化している。
【0006】
また、特許文献3では、ショックアブソーバでバンパを支持し、ショックアブソーバの弾性力と減衰力とによりバンパに対する衝撃を緩和する車両の衝撃緩和装置が提案されている。特許文献3の衝撃緩和装置は、ショックアブソーバを自動車用のサスペンションとして実用化されている可変ダンパで構成し、歩行者との衝突時には、可変ダンパの減衰力を弱めてバンパを柔らかくしている。
【特許文献1】特開2000−257688号公報
【特許文献2】特開2003−260994号公報
【特許文献3】特開平10−109605号公報
【特許文献4】特表2002−528682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、車両の構成部材に限らず、構成部材の変形により衝突エネルギーを吸収する衝撃吸収構造においては、衝突エネルギーを有効に吸収するためには、構成部材を変形させるための領域を予め確保しておかなければならない、という問題がある。このため、衝撃吸収構造を適用できる用途や範囲が制限され、狭小部には衝突エネルギーを有効に吸収する衝撃吸収構造を設置することができない。
【0008】
例えば、車両の衝突時に客室空間を保全するためには、ボディの一部を変形領域として予め確保しておかなければならない。前面衝突であれば、フロントボディが壊れて衝突エネルギーを有効に吸収できるが、斜め方向や側面方向からの衝突では、薄いサイドボディが壊れても、衝突エネルギーを十分に吸収しきれない可能性がある。また、特許文献1に記載されたように、梁構造を長さ方向に多数積み上げた構造のサイドメンバーを搭載して、前面衝突に対する衝撃吸収力を向上させることはできるが、サイドボディと客室との隙間は狭く、複雑な梁構造を収納することは難しい。このため、斜め方向や側面方向からの衝突には適用できない。
【0009】
また、特許文献2、3のように、ショックアブソーバ(油圧シリンダ等)の粘性抵抗を利用して衝突エネルギーを吸収する衝突吸収構造は、ショックアブソーバを配置するための領域を予め確保しておかなければならない、という問題がある。ショックアブソーバの小型化は困難であり、構成部材の変形より衝突エネルギーを吸収する衝撃吸収構造と同様に、狭小部には設置することができない。また、特定方向からの衝突には対応できるが、任意方向からの衝突に対応することはできない。
【0010】
一方、特許文献4では、衝撃吸収構造の初期形状をコンパクト化する試みとして、展開型の衝撃吸収装置が提案されている。この衝撃吸収装置では、機械的なアクチュエータ手段により圧縮されたビームが展開して、エネルギー吸収構造体を形成する。このため、初期形状が小さい寸法であるのにもかかわらず、展開後は比較的長い「つぶれ長さ」を提供することができる。
【0011】
確かに、展開後のエネルギー吸収構造体と比べると、初期形状はよりコンパクトである。しかしながら、アクチュエータ手段の構造は複雑でその小型化や軽量化は困難であり、このアクチュエータ手段や圧縮されたビームを収納するための領域を、予め確保しておかなければならない、という問題が依然として存在する。やはり、狭小部には設置することができない。
【0012】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、本発明の目的は、展開前は平面的で狭小部にも設置することができ、簡単な動作で平面から立体に展開して、衝突エネルギーを有効に吸収することができる展開構造体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、衝突が不可避である場合に、衝突位置に配置された展開構造体を展開させて衝突エネルギーを吸収し、衝撃を吸収(緩和)することができる衝撃吸収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1に記載の展開構造体は、固定配置された円周状の第1支持枠、前記第1支持枠の内側に配置された第1回転部、及び前記第1回転部が前記第1支持枠から離れる方向に移動するときに、前記第1回転部を第1方向に回転させるように、前記第1回転部と前記第1支持枠とを連結する複数の第1連結梁を備え、前記第1回転部が前記第1支持枠から離れた状態に展開可能な第1展開部材と、前記第1支持枠に対し回転可能に保持された円周状の第2支持枠、前記第2支持枠の内側に配置された第2回転部、及び前記第2回転部が前記第2支持枠から離れる方向に移動するときに、前記第2回転部を前記第1方向とは逆方向の第2方向に回転させるように、前記第2回転部と前記第2支持枠とを連結すると共に、展開時に前記第1連結梁と干渉しないように設けられた複数の第2連結梁を備え、前記第1展開部材と重なるように配置され、前記第2回転部が前記第2支持枠から離れた状態に展開可能な第2展開部材と、前記第2回転部の前記第2方向への回転に抵抗する力が働くように、前記第1回転部及び前記第2回転部の各々対向する側に設けられた回転抵抗部材と、前記第2支持枠を前記第1方向に回転させて前記第1展開部材及び前記第2展開部材の各々を展開させる展開駆動部と、を含むことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の展開構造体は、請求項1に記載の発明において、少なくとも前記第1連結梁及び前記第2連結梁の各々が、平板状の弾塑性体で形成されたことを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の展開構造体は、請求項1に記載の発明において、前記第1展開部材の前記第1支持枠、前記第1回転部、及び前記複数の第1連結梁が、平板状の弾塑性体で一体に形成されたことを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の展開構造体は、請求項1に記載の発明において、前記第2展開部材の前記第2支持枠、前記第2回転部、及び前記複数の第2連結梁が、平板状の弾塑性体で一体に形成されたことを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の展開構造体は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の発明において、前記第2回転部が前記第2支持枠から離れる方向に移動する距離が最大となるように、前記複数の第1連結梁及び前記複数の第2連結梁が配置されたことを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の展開構造体は、請求項1から5までのいずれか1項に記載の発明において、前記展開駆動部が、前記第2支持枠に連結され且つ中心に凸状の回転軸を備えたディスク状の回転板と、前記回転軸の周りに前記回転板を回転駆動する駆動部と、を含んで構成されたことを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の展開構造体は、請求項6に記載の発明において、前記第2回転部が前記第2支持枠から離れる方向に移動する距離が最大となるときに、前記回転板の回転を停止させる回転停止手段を、更に備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載の展開構造体は、請求項1から7までのいずれか1項に記載の発明において、前記第1回転部と前記第1支持枠とが3本の第1連結梁で連結され、前記第2回転部と前記第2支持枠とが3本の第2連結梁で連結されたことを特徴としている。
【0021】
請求項9に記載の展開構造体は、請求項1から8までのいずれか1項に記載の発明において、前記回転抵抗部材は、前記第1回転部及び前記第2回転部の一方に設けられた凸部と、前記第1回転部及び前記第2回転部の他方に設けられた前記凸部と嵌合する凹部又は開口部と、で構成されたことを特徴としている。
【0022】
請求項10に記載の展開構造体は、請求項1から9までのいずれか1項に記載の発明において、前記第1回転部と連結される前記第1連結梁の端部近傍に切り欠きを設けると共に、前記第2回転部と連結される前記第2連結梁の端部近傍に切り欠きを設けたことを特徴としている。
【0023】
請求項11に記載の衝撃吸収装置は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の展開構造体が平面状に又は並列に複数配列された衝撃吸収部と、衝突物の衝突位置を特定するための情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で取得された情報に基づいて、衝突が検知された場合又は衝突が不可避であると予測された場合に、特定された衝突位置に設置された前記展開構造体の前記第1展開部材及び前記第2展開部材を展開させるように、前記複数の展開構造体の各々に対応する展開駆動部を各々制御する制御部と、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の展開構造体によれば、展開前は平面的で狭小部にも設置することができ、一部の部材を回転駆動するという簡単な動作で平面から立体に展開して、衝突エネルギーを有効に吸収することができる、という効果がある。また、本発明の衝撃吸収装置によれば、本発明の展開構造体を用いているので、狭小部にも設置することができ、衝突が不可避である場合に、衝突位置に配置された展開構造体を展開させて衝突エネルギーを吸収し、衝撃を吸収(緩和)することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0026】
<展開構造体の概略構成>
まず、本発明の実施の形態に係る展開構造体の概略構成について説明する。
図1は本実施の形態に係る展開構造体の展開前の外観を示す斜視図である。図2は同じ展開構造体を表側(展開側)から見た平面図である。図3は同じ展開構造体の分解斜視図である。
【0027】
図1〜図3に示すように、展開構造体10は、複数の部材から組み立てられた円盤状の構造体であり、表側から見たときの形状は略円形である。本実施の形態では、展開構造体10の展開前の大きさは、厚さが数センチメートル(例えば2cm〜4cm)程度であり、外径が十数センチメートル(例えば10cm〜15cm)程度である。なお、展開構造体の大きさは、用途に応じて適宜変更することができる。
【0028】
展開構造体10は、第1展開部材としての上部プレート12、第2展開部材としての下部プレート14、下部プレート14を回転させる回転プレート16、回転プレート16を駆動するモータ20、及び上部プレート12をモータ20に固定するリング状のモータブラケット18を備えている。回転プレート16及びモータ20が、展開駆動部として機能する。
【0029】
上記の展開構造体10では、モータ20の駆動により回転プレート16が回転する。回転プレート16に取り付けられた下部プレート14は、回転プレート16と一緒に回転する。下部プレート14の回転により、上部プレート12と下部プレート14とが、図6(A)及び(B)に示すように、平面から立体に展開して、複数の梁が交差する立体交差構造11を形成する。衝突等により、この立体交差構造11に表側から衝撃が加わると、複数の梁の各々が弾塑性変形して、衝突エネルギーを吸収する。展開後の構造は立体交差構造11であるため、真正面からの衝突だけではなく、斜め方向からの衝突においても、有効に衝突エネルギーを吸収することができる。
【0030】
上部プレート12は、円筒部22、円筒部22の下端部に形成された所定幅のフランジ部24、及び円筒部22の上端部に形成された所定幅のフランジ部26を備えている。フランジ部24は円筒部22の半径方向外側に延在し、フランジ部26は円筒部22の半径方向内側に延在している。これら円筒部22、フランジ部24及びフランジ部26が、第1展開部材の第1支持枠を構成する。なお、以下では、便宜上、フランジ部26を第1支持枠として説明する場合がある。
【0031】
フランジ部26と同じ平面内には、フランジ部26の内側に設けられた回転部28と、フランジ部26と回転部28とを連結する複数の連結梁30と、が設けられている。回転部28には、後述する下部プレート14の表面側に設けられた凸部46と嵌合する開口部32が設けられている。フランジ部24には、複数のネジ孔34が設けられている。本実施の形態では、円筒部22、フランジ部24、フランジ部26、回転部28、及び連結梁30は一体に形成されている。
【0032】
下部プレート14は、平板状に形成されている。下部プレート14は、その外径が円筒部22の内径より小さいリング状の支持枠36、支持枠36の内側に設けられた回転部38、支持枠36と回転部38とを連結する複数の連結梁40、及び支持枠36を回転プレート16に取り付けるためのアーム部42を備えている。アーム部42は、支持枠36の内側で且つ回転部38及び連結梁40の外側に設けられている。回転部38の表面側には、上部プレート12の開口部32に嵌め込まれる凸部46が設けられている。アーム部42には、複数の貫通孔44が設けられている。本実施の形態では、支持枠36、回転部38、連結梁40、凸部46及びアーム部42は一体に形成されている。
【0033】
回転プレート16は、下部プレート14の支持枠36の外径より小径の円板部48を備えている。円板部48の外周付近には、下部プレート14のアーム部42に設けられた複数の貫通孔44に対応する位置に、複数の貫通孔58が設けられている。下部プレート14が回転プレート16に重ねられ、段部を有する回転伝達ピン78が、貫通孔58及び貫通孔44を挿通するように、円板部48の裏面側から差し込まれている。下部プレート14は、回転伝達ピン78により回転プレート16にピン留めされ、回転プレート16と共に回転可能とされている。
【0034】
回転プレート16の円板部48の裏面側には、円筒状の軸受け部50が設けられている。軸受け部50は、円板部48と同軸の貫通孔52を備えている。モータ20は、円柱状のモータ支持体68と、回転軸71とを備えている。モータ20としては、展開構造体10のコンパクト化を図る上で、超音波モータやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を用いた小型モータを用いることが好ましい。
【0035】
軸受け部50の貫通孔52には、モータ20の回転軸71が嵌め込まれている。軸受け部50の側壁には、貫通孔54が設けられている。この貫通孔54には、軸固定ピン56が差し込まれている。軸固定ピン56により軸受け部50の軸方向の回転が抑止され、回転プレート16がモータ20により回転可能とされている。
【0036】
モータブラケット18は、その外径が上部プレート12のフランジ部24の外径と略同じ大きさのリング状の板状体である。モータブラケット18の中央部には、その内径が回転プレート16の外径より大きい開口部60が、同軸状に設けられている。モータブラケット18の中央部分には、複数のネジ孔64が設けられている。また、モータブラケット18の外周付近には、上部プレート12のフランジ部24に設けられた複数のネジ孔34に対応する位置に、複数のネジ孔66が設けられている。
【0037】
円柱状のモータ支持体68の上端部には、半径方向外側に延在するフランジ部80が設けられている。フランジ部80は、モータ支持体68を表側から見たときに、平面視が略矩形状となるように形成されている。フランジ部80には、モータブラケット18に設けられた複数のネジ孔64に対応する位置に、複数のネジ孔73が設けられている。
【0038】
モータブラケット18は、モータ20の回転軸71と同軸となるようにモータ20上に載置されている。段部を有する締結ネジ76が、フランジ部80のネジ孔73及びモータブラケット18のネジ孔64を挿通するように、フランジ部80の裏面側から差し込まれている。この締結ネジ76により、モータブラケット18がモータ20上にねじ留めされている。回転プレート16は、モータブラケット18の開口部60内で回転するように、モータ20に取り付けられている。
【0039】
また、モータブラケット18上には、外周端が揃えられて、上部プレート12が載置されている。段部を有する締結ネジ74が、上部プレート12のフランジ部24のネジ孔34及びモータブラケット18のネジ孔66を挿通するように、フランジ部24の表面側から差し込まれている。この締結ネジ74により、上部プレート12がモータブラケット18上にねじ留めされている。上部プレート12とモータブラケット18との間には、上部プレート12の円筒部22の高さに応じたキャビティが形成されている。下部プレート14は、このキャビティ内に回転可能に収納されている。
【0040】
円筒部22の高さは、下部プレート14の最大厚さよりも僅かに大きい程度である。上部プレート12の回転部28は、下部プレート14の回転部38に重ねられている。回転部38に設けられた凸部46は、回転部28に設けられた開口部32に嵌め込まれている。上部プレート12の回転部28は、展開に伴い所定方向に回転する。一方、下部プレート14の回転部38は、展開に伴い所定方向とは逆方向に回転しようとするが、凸部46が開口部32に嵌め込まれて、逆方向に回転できないように規制されている。即ち、凸部46及び開口部32からなる嵌合機構が、回転抵抗部材として機能する。回転抵抗部材として機能するために、凸部46の外周形状又は開口部32の内周形状は、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状、十字形状等とすることが好ましい。
【0041】
<展開部材の詳細構成>
ここで、上部プレート12及び下部プレート14の展開構造について更に詳しく説明する。図4(A)は上部プレート12を表側から見た斜視図であり、図4(B)は上部プレート12を裏側から見た斜視図である。また、図5(A)は下部プレート14を表側から見た斜視図であり、図5(B)は下部プレート14を裏側から見た斜視図である。
【0042】
上述した通り、上部プレート12は、円筒部22、フランジ部24、フランジ部26、回転部28、及び連結梁30を備えている。これら円筒部22、フランジ部24、フランジ部26、回転部28、及び連結梁30は、金属や樹脂など弾塑性を有する材料(弾塑性体)で一体に形成されている。また、下部プレート14は、支持枠36、回転部38、連結梁40、凸部46及びアーム部42を備えている。これら支持枠36、回転部38、連結梁40、凸部46及びアーム部42は、弾塑性体で一体に形成されている。
【0043】
弾塑性を有する樹脂材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)などの汎用樹脂や、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。また、繊維強化された複合材料や、金属と繊維材料と樹脂との結合構造体なども、材料として好適である。
【0044】
また、衝突時に梁がすぐ破断したのでは、衝撃の緩和が不十分となり、破断面が露出する等の不具合を生じる。従って、破断しやすい材料を使用する場合、破断しやすい箇所がある場合には、表面に補強布や補強テープを貼り付けるなど、上部プレート12と下部プレート14の各々を補強部材により補強することが好ましい。補強により脆化や破断を回避しながら、弾塑性変形によって衝突エネルギーを有効に吸収することができる。
【0045】
(上部プレート)
図4(A)及び(B)に示すように、本実施の形態では、上部プレート12は、展開構造として、リング状のフランジ部26と、フランジ部26の内側に設けられた外周形状が略正三角形の回転部28と、フランジ部26と回転部28とを連結する3本の連結梁30と、を備えている。また、回転部28の中央部分には、正三角形の回転部28の中心点を通る垂線を軸とする、六角形状の開口部32が形成されている。
【0046】
フランジ部26、回転部28、及び連結梁30の厚さは、同じでもよいが、異なっていても良い。例えば、弾塑性変形を容易化するためには、回転部28及び連結梁30を、フランジ部26より薄く形成することが好ましい。フランジ部26と連結梁30とは、各々、所定の幅に形成されている。以下では、フランジ部26の幅を「枠幅」、連結梁30の幅を「梁幅」という。
【0047】
正三角形の回転部28には3つの頂点がある。上部プレート12では、3つの頂点は、上部プレート12の表側から見て、第1の頂点→第2の頂点→第3の頂点の順序で左回りに設定されている。第1の連結梁30は、3つの頂点のいずれか1つを第1の頂点として、その一端が第1の頂点に連結され、第1の頂点とこの第1の頂点に隣接する第2の頂点とを結ぶ正三角形の一辺に平行に延在している。第2の連結梁30は、その一端が第2の頂点に連結され、第2の頂点と第3の頂点とを結ぶ一辺に平行に延在している。第3の連結梁30は、その一端が第3の頂点に連結され、第3の頂点と第1の頂点とを結ぶ一辺に平行に延在している。
【0048】
本実施の形態では、円板状の弾塑性体に対し、鎌状の切り込み25が3箇所に形成されている。鎌状の切り込み25の各々は、同じ形状であり、回転部28の中心点に対して対称な位置に配置されている。鎌状の切り込み25が形成されることで、連結梁30がフランジ部26と繋がる3箇所の繋ぎ部27を残して、長尺状の3本の連結梁30がフランジ部26から切り離されると共に、連結梁30が回転部28と繋がる3箇所の繋ぎ部29を残して、正三角形の回転部28が連結梁30から切り離される。
【0049】
換言すれば、各々の連結梁30の一端はフランジ部26に繋ぎ部27で繋がっており、各々の連結梁30の他端は繋ぎ部29で回転部28に繋がっている。こうして、回転部28は3本の連結梁30によりリング状のフランジ部26に連結されている。上述したように、3つの頂点を、上部プレート12の表側から見て、第1の頂点→第2の頂点→第3の頂点の順序で左回りに設定することで、展開に伴って回転部28は左回りに回転することになる。また、回転部28は連結梁30によりフランジ部26に連結されているので、回転部28がフランジ部26から展開方向に離れるに従い、回転部28を引き戻す方向、即ち、回転を止める方向(回転部28を右回りに回転させる方向)に力が働くことになる。
【0050】
本実施の形態では、3箇所の繋ぎ部29の各々は、鎌状の切り込み25の折れ点の近くに配置されることになる。このため、各々の繋ぎ部29の縁部は、繋ぎ部29の移動を容易化するために、角が削られて丸く形成されている。また、図8(A)に示すように、各々の繋ぎ部29の縁部の連結梁30に近い側には、V字状の切り欠き29Aを設けることが好ましい。V字状の切り欠き29Aにより、回転部28を限界位置まで移動させたときに、繋ぎ部29が反らず、繋ぎ部29での連結梁30の折れ曲げが容易になる。
【0051】
上部プレート12においては、連結梁30の長さができるだけ長くなるように、設計することが好ましい。連結梁30が長くなるほど、展開時のストローク(回転部28が押圧方向へ移動する距離)が大きくなる。本実施の形態では、3本の連結梁30により形成される正三角形が、リング状のフランジ部26の内側に丁度配置されるように、3本の連結梁30の各々を配置することで、連結梁30の長さが最も長くなるように設計されている。なお、切り込み25の形状は、連結梁30の長さ以外にも、フランジ部26の枠幅、連結梁30の梁幅、切り込み25の切込み幅、繋ぎ部27、29の幅などを考慮して設計される。
【0052】
(下部プレート)
図5(A)及び(B)に示すように、本実施の形態では、下部プレート14は、展開構造として、リング状の支持枠36と、支持枠36の内側に設けられた外周形状が略正三角形の回転部38と、支持枠36と回転部38とを連結する3本の連結梁40と、支持枠36を回転プレート16に取り付けるためのアーム部42と、を備えている。また、回転部38の表面側の中央部分には、正三角形の回転部38の中心点を通る垂線を軸とする、六角形状の凸部46が形成されている。
【0053】
支持枠36、回転部38、連結梁40、及びアーム部42の厚さは、同じでもよいが、異なっていても良い。例えば、弾塑性変形を容易化するためには、回転部38及び連結梁40を、支持枠36より薄く形成することが好ましい。また、下部プレート14を回転プレート16にしっかり取り付けるためには、アーム部42を、支持枠36と同じ厚さで形成することが好ましい。本実施の形態では、下部プレート14の裏側は面一に形成され、下部プレート14の表面側では、回転部38及び連結梁40の高さが、支持枠36及びアーム部42より低くなるように形成されている。即ち、回転部38及び連結梁40が、支持枠36及びアーム部42より薄く形成されている。
【0054】
支持枠36と連結梁40とは、各々、所定の幅に形成されている。本実施の形態では、支持枠36の枠幅は、上部プレート12のフランジ部26の枠幅と略同じ幅とされ、連結梁40の梁幅は、上部プレート12の連結梁30の梁幅と略同じ幅とされている。
【0055】
正三角形の回転部38には3つの頂点がある。下部プレート14では、3つの頂点は、下部プレート14の表側から見て、第1の頂点→第2の頂点→第3の頂点の順序で右回りに設定されている。第1の連結梁40は、3つの頂点のいずれか1つを第1の頂点として、その一端が第1の頂点に連結され、第1の頂点とこの第1の頂点に隣接する第2の頂点とを結ぶ正三角形の一辺に平行に延在している。第2の連結梁40は、その一端が第2の頂点に連結され、第2の頂点と第3の頂点とを結ぶ一辺に平行に延在している。第3の連結梁40は、その一端が第3の頂点に連結され、第3の頂点と第1の頂点とを結ぶ一辺に平行に延在している。
【0056】
本実施の形態では、円板状の弾塑性体に対し、斧状の切り込み41が3箇所に形成されている。斧状の切り込み41の各々は、同じ形状であり、回転部38の中心点に対して対称な位置に配置されている。斧状の切り込み41が形成されることで、連結梁40が支持枠36と繋がる3箇所の繋ぎ部43を残して、長尺状の3本の連結梁40が支持枠36から切り離されると共に、連結梁40が回転部38と繋がる3箇所の繋ぎ部45を残して、正三角形の回転部38が連結梁40から切り離される。
【0057】
換言すれば、各々の連結梁40の一端は支持枠36に繋ぎ部43で繋がっており、各々の連結梁40の他端は繋ぎ部45で回転部38に繋がっている。こうして、回転部38は3本の連結梁40によりリング状の支持枠36に連結されている。本実施の形態では、繋ぎ部43の幅は、上部プレート12の繋ぎ部27の幅と略同じ幅であり、繋ぎ部45の幅は、上部プレート12の繋ぎ部29の幅と略同じ幅である。
【0058】
本実施の形態では、3箇所の繋ぎ部45の各々は、繋ぎ部45の移動を容易化するために、その縁部の角が削られて丸く形成されている。また、図8(B)に示すように、各々の繋ぎ部45の縁部の連結梁40に近い側には、V字状の切り欠き45Aを設けることが好ましい。V字状の切り欠き45Aにより、回転部38を限界位置まで移動させたときに、繋ぎ部45が反らず、繋ぎ部45での連結梁40の折れ曲げが容易になる。
【0059】
上述した通り、正三角形の回転部38の3つの頂点は、下部プレート14の表側から見て、第1の頂点→第2の頂点→第3の頂点の順序で右回りに設定されている。即ち、上部プレート12と下部プレート14とが重ね合わされた状態では、上部プレート12の連結梁30の延びる方向(繋ぎ部29から繋ぎ部27に向う方向)は、下部プレート14の連結梁40の延びる方向(繋ぎ部45から繋ぎ部43に向う方向)とは、逆向きである。下部プレート14の支持枠36が固定されていれば、展開に伴い、回転部38は支持枠36に対し右回りに回転することになる。
【0060】
本実施の形態では、下部プレート14の支持枠36が、回転プレート16の回転に伴い左回りに回転する。回転プレート16は、上部プレート12の連結梁30と下部プレート14の連結梁40の両方に、圧縮荷重が作用する方向に回転させる。下部プレート14の回転部38は、嵌合機構により、上部プレート12の回転部28と同じ方向にしか回転できないように規制されている。従って、下部プレート14の支持枠36が左回りに回転するに従い、連結梁40に圧縮荷重が作用して、回転が規制された回転部38が支持枠36から離れ、下部プレート14が展開する。回転部38の移動により、上部プレート12の回転部28が押し上げられる。これにより、上部プレート12が、下部プレート14と共に展開する。
【0061】
なお、回転部38は連結梁40により支持枠36に連結されているので、回転部38が支持枠36から展開方向に離れるに従い、回転部38を引き戻す方向、即ち、回転を止める方向(回転部38を左回りに回転させる方向)に力が働くことになる。
【0062】
下部プレート14では、上部プレート12を重ね合わせて展開した時に、回転部38と上部プレート12の連結梁30とが互いに干渉せず(即ち、移動の邪魔にならず)、連結梁40と上部プレート12の回転部28や連結梁30とが互いに干渉しないように、回転部38及び連結梁40が形成されている。これらの干渉が生じると、展開構造体10の展開が阻害される。
【0063】
また、上部プレート12と同様に、下部プレート14においても、連結梁40の長さができるだけ長くなるように、設計することが好ましい。連結梁40が長くなるほど、展開時のストローク(回転部38が押圧方向へ移動する距離)が大きくなる。本実施の形態では、回転部38を小さくすることで、連結梁40の長さが最も長くなるように設計されている
【0064】
また、本実施の形態では、円板状の弾塑性体に対し、扇状の切り込み47が3箇所に形成されている。扇状の切り込み47の各々は、同じ形状であり、回転部38の中心点に対して対称な位置に配置されている。扇状の切り込み47を形成することで、下部プレート14の支持枠36には、3個のアーチ状のアーム部42が形成されている。回転プレート16の円板部48は、下部プレート14の支持枠36より小径であるため、支持枠36の内側に迫り出すように、取り付け用のアーム部42が形成されている。これらのアーム部42は、回転部38及び連結梁40との干渉を生じないように、回転部38及び連結梁40の外側に配置されている。
【0065】
なお、切り込み41、切り込み47の形状は、連結梁30の長さ、フランジ部26の枠幅、連結梁30の梁幅、切り込み25の切込み幅、繋ぎ部27、29の幅、回転プレート16との位置関係などを考慮して、適宜設計されている。
【0066】
<展開構造体の展開動作>
次に、上記の展開構造体10の展開動作について説明する。
図6(A)及び(B)は展開構造体の展開中の外観を示す斜視図である。図6(A)は展開途中の展開構造体の様子を示す斜視図である。図6(B)は限界位置まで展開させた展開構造体の様子を示す斜視図である。図7(A)及び(B)は各展開部の展開挙動を説明するための平面図である。図7(A)は上部プレート12の展開挙動を表側から見た平面図である。図7(B)は下部プレート14の展開挙動を表側から見た平面図である。
【0067】
図7(B)に示すように、衝突等が検知されると、モータ20(図示せず)の駆動により回転プレート16が、矢印A方向(回転軸に対し左回り)に回転する。回転プレート16が回転すると、回転伝達ピン78により回転プレート16に取り付けられた下部プレート14の支持枠36が、回転プレート16と共に矢印A方向に回転する。下部プレート14の回転部38は、その凸部46が上部プレート12の開口部32に嵌め込まれており、回転部38は上部プレート12の回転部28と同じ方向にしか回転できないように規制されている。
【0068】
図6(A)に示すように、下部プレート14の支持枠36が左回りに回転するに従い、回転が規制された回転部38が支持枠36から離れるように移動し、下部プレート14が平面から立体に展開する。まず、下部プレート14では、回転部38の移動に伴い、弾塑性変形によって連結梁40の両端部が撓み始める。特に、連結梁40が支持枠36に繋がる繋ぎ部43と、連結梁40が回転部38に繋がる繋ぎ部45とが、弾塑性変形により湾曲する。
【0069】
また、回転部38の移動により、上部プレート12の回転部28が押し上げられる。これにより、上部プレート12も下部プレート14と共に、平面から立体に展開する。即ち、下部プレート14が、回転プレートから伝達された回転力を、上部プレート12の回転部28を押し上げる上方向の力に変換して、上部プレート12と下部プレート14とが展開する。ここで回転運動が、直線運動に変換される。
【0070】
図7(A)に示すように、回転部28は、フランジ部26から離れるように移動しながら、矢印B方向(回転軸に対し左回り)に回転する。上部プレート12でも同様に、回転部28の移動に伴い、弾塑性変形によって連結梁30の両端部が撓み始める。特に、連結梁30がフランジ部26に繋がる繋ぎ部27と、連結梁30が回転部38に繋がる繋ぎ部29とが、弾塑性変形により湾曲する。
【0071】
図6(B)に示すように、下部プレート14では、回転部38の更なる移動に伴い、弾塑性変形により連結梁40が更に撓む。特に、連結梁40は両端部で大幅に湾曲し、繋ぎ部45の近傍で折れ曲がる。上部プレート12でも同様に、回転部28の更なる移動に伴い、弾塑性変形により連結梁30が更に撓む。連結梁30は両端部で大幅に湾曲し、繋ぎ部29の近傍で折れ曲がる。
【0072】
電源を遮断する等してモータ20を停止すると、展開構造体10の展開が完了して、複数の梁が交差する立体交差構造11(展開構造)が形成される。この例では、3本の連結梁30と3本の連結梁40の合計6本の梁を有する立体交差構造11が形成される。例えば、図6(B)に示すように、回転部28及び回転部38を限界位置まで移動させて、展開構造体10の展開を完了させる。又は、図6(A)に示すように、回転部28及び回転部38を途中まで移動させて、展開構造体10の展開を完了させる。この場合には、回転部28及び回転部38の移動距離に応じて、立体交差構造11の衝撃吸収力を調節することができる。
【0073】
モータ20の停止後も、モータ20の保持力により、立体交差構造11が保持される。例えば、モータ20として超音波モータを用いた場合には、電源を遮断しても摩擦力により立体交差構造11が保持される。しかしながら、回転部28は連結梁30によりフランジ部26に連結され、回転部38は連結梁40により支持枠36に連結されているので、回転部28及び回転部38が各々の支持枠等から離れるに従い、回転部を引き戻す方向、即ち、回転プレート16を逆回転させる方向に力が働くことになる。
【0074】
従って、モータ20の保持力だけでは、展開構造を保持することが困難な場合もある。このような場合には、回転プレート16の外周部とモータブラケット18との間に、ラチェット機構等、回転方向を一方向に制限する回転阻止手段を設けてもよい。回転プレート16が所定角度まで回転した位置で、ラチェットをロックして展開構造体10の展開を完了し、展開構造を固定することができる。また、ラチェット機構は、回転プレート16とモータ支持体68の上端部(又はフランジ部80)との間に、設けることもできる。
【0075】
<衝撃吸収装置>
次に、本発明の実施の形態に係る衝撃吸収装置の概略構成を説明する。衝撃吸収装置は、上記の展開構造体を含んで構成されている。図10(A)〜(C)は衝撃吸収の原理を説明する概略図である。本実施の形態に係る衝撃吸収装置では、衝突を検知したとき(衝突が不可避と予測されたときを含む)に、上記の展開構造体10を展開させて、複数の梁を有する立体交差構造11を形成し、衝突エネルギーを吸収する。
【0076】
図10(A)は衝突が検知される前(展開前)の展開構造体10の状態を示す。展開前の展開構造体10では、上部プレート12とモータブラケット18との間には、キャビティが形成されている。下部プレート14は、その展開構造(回転部38と連結梁40)以外の部分が、回転プレート16に取り付けられている。下部プレート14は、上部プレート12が重ね合わされて、キャビティ内に回転可能に収納されている。上部プレート12の回転部28と下部プレート14の回転部38とは、共通の回転軸Rの周りに一緒に回転するように嵌着されている。
【0077】
図10(B)は衝突が検知された直後(展開時)の展開構造体10の状態を示す。衝突が検知されると、モータ20(図示せず)により回転プレート16が回転軸Rの周りに回転する。下部プレート14の支持枠36が、回転プレート16の回転に伴い回転する。上部プレート12の支持枠(フランジ部26)は固定配置されている。下部プレート14の回転部38は、上部プレート12の回転部28と同じ方向にしか回転できないように規制されている。下部プレート14の支持枠36が回転することにより、上部プレート12の連結梁30と下部プレート14の連結梁40の両方に圧縮荷重が作用する。これにより、回転部38が支持枠36から離れ、下部プレート14が展開する。回転部38の移動により、上部プレート12の回転部28が力FUPで押し上げられ、上部プレート12が下部プレート14と共に展開する。
【0078】
上述した通り、展開構造体10の展開に従って、上部プレート12の連結梁30と下部プレート14の連結梁40とは、各々の両端部が弾塑性変形により撓む。即ち、上部プレート12の連結梁30は繋ぎ部27,29の近傍で湾曲し、下部プレート14の連結梁40は繋ぎ部43、45の近傍で湾曲する。また、展開限界では、上部プレート12の連結梁30は繋ぎ部29の近傍で折れ曲がり、下部プレート14の連結梁40は繋ぎ部45の近傍で折れ曲がる。これにより、連結梁30と連結梁40からなる複数の梁が交差する立体交差構造11が形成される。一旦、立体交差構造11が形成されると、モータ20(図示せず)の保持力等により、立体交差構造11が維持される。
【0079】
図10(C)は衝突時の立体交差構造11の状態を示す。立体交差構造11の上に重石Gを載せて、立体交差構造11に荷重FDOWNをかける。これは立体交差構造11に衝突エネルギーを与えたのと同じ状態である。上部プレート12の連結梁30と下部プレート14の連結梁40とが、弾塑性変形して衝突エネルギーを吸収する。
【0080】
図示はしていないが、衝突エネルギーを吸収する過程では、上部プレート12の連結梁30は、繋ぎ部27での湾曲が緩和され、中央部分が弾塑性変形により撓み始める。下部プレート14の連結梁40でも同様に、繋ぎ部43での湾曲が緩和され、中央部分が弾塑性変形により撓み始める。下部プレート14の連結梁40が、上部プレート12の連結梁30よりも短い場合には、下部プレート14は展開前の状態に戻ろうとする。このため、上部プレート12の連結梁30が、更に弾塑性変形して、連結梁30の中央部分又は繋ぎ部29で折れ曲がる。
【0081】
(衝撃吸収装置における展開構造体の配置例)
図11は展開構造体10の配置例を示す平面図である。展開前の展開構造体10は、平面的な形状を有しているので、多数の展開構造体10を二次元状に配列して設置して、衝撃吸収構造70を形成することができる。上述した通り、展開構造体10においては、展開する上部プレート12側が表側であり、モータ20側が裏側である(図1参照)。展開構造体10は、モータ20が設けられた裏側を、設置面に向けて設置される。展開構造体10は、図面では手前側に向って展開する。
【0082】
本実施の形態では、展開構造体10は平面視が略円形であるため、1個の円の周囲に6個の円が並ぶ最密充填配列で、設置部位に配置することができる。なお、ここでは、展開構造体10を平面的に配置する例を示したが、用途に応じて、展開構造体10を並列に配置することもできる。即ち、隣接する2個の展開構造体10の表側と裏側とが対向するように、複数の展開構造体10を配列することができる。
【0083】
(車両の衝撃吸収装置の一例)
図12は展開構造体10を車両に設置する場合の設置部位を例示する斜視図である。衝突物との衝突に備えて、フードパネル90、フロントバンパ92、フロントサイドドア94、フロントフェンダーパネル96、フロントピラー98などに設置することができる。コンパクトで平面的な形状を有している展開構造体10は、フードパネル90を構成するアウタパネルとインナパネルとの隙間や、フロントバンパ92のバンパカバーとバンパフレームとの間、フードパネル90とフロントフェンダーパネル96との隙間など、通常はクラッシュボックスを設置できない狭く小さい部位にも設置することができる。また、バック時の衝突に備えて、ラッゲージドアやリアバンパに設置してもよい。
【0084】
図13は本発明の実施の形態に係る衝撃吸収装置の構成を示すブロック図である。この衝撃吸収装置は、車両に搭載されて使用される。本実施の形態に係る衝撃吸収装置100には、複数の展開構造体10からなる衝撃吸収構造70と、衝突物の衝突位置を特定するための情報を取得する情報取得手段として設置されたセンサ群102と、センサ群102から取得した情報に基づいて、衝撃吸収構造70の展開駆動部72を制御する制御部104と、が設けられている。
【0085】
複数の展開構造体10は、展開構造体10を展開させる展開駆動部72を各々備えている。制御部104は、複数の展開駆動部72を各々独立に制御する。なお、図面では、展開構造体10と展開駆動部72とを別々に図示しているが、本実施の形態では、展開構造体10を構成する回転プレート16及びモータ20が、展開駆動部72に相当する。
【0086】
展開駆動部72を備えた展開構造体10が平面状又は並列に配列されて、上述した衝撃吸収構造70が構成されている。衝撃吸収構造70は、上述した通り、フードパネル90、フロントバンパ92、フロントサイドドア94、フロントフェンダーパネル96、フロントピラー98など、衝突が予想される車両の様々な部位に多数設置される。
【0087】
センサ群102としては、自車両の前方、側方及び後方を撮影するビデオカメラ102A、自車両の前方、側方及び後方の熱画像を撮影する赤外線カメラ102B、自車両の前方、側方及び後方の障害物(衝突物)を検出するレーダ102C、自車両への前方、側方及び後方からの衝突を検知する感圧センサ102Dが設けられている。レーダ102Cは、レーザレーダでもよく、ミリ波レーダでもよい。ビデオカメラ102A、赤外線カメラ102B、レーダ102C、及び感圧センサ102Dの各々で得られたデータは、制御部104に逐次入力される。
【0088】
制御部104には、衝突物が衝突する部位を推定する衝突部位推定手段106と、推定された衝突部位において衝突物が衝突する範囲を推定する衝突範囲推定手段108と、が設けられている。センサ群102から入力されたデータに基づいて、衝突が検知された場合又は衝突が不可避であると予測された場合に、推定された衝突部位の推定された衝突範囲に設置された衝撃吸収構造70の展開駆動部72を作動して、衝突位置にある展開構造体10を展開させる。展開により複数の梁を有する立体交差構造11が形成され、立体交差構造11によって衝突エネルギーを吸収する。
【0089】
図14は制御部104が行う作動ルーチンの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS10で、センサ群102から入力されたデータに基づいて、衝突の危険性を検知する。例えば、レーダ102Cで得られたデータなどから、衝突物の接近の有無や衝突物の接近方向を検知することができる。衝突物の接近方向が分かれば、前面衝突か側面衝突かも判断することができ、衝突物が衝突する部位を推定することができる。次のステップS12で、センサ群102から入力されたデータに基づいて、衝突物の形状・重量・速度を予測する。衝突物の形状・重量・速度が分かれば、衝突物が衝突する部位だけでなく、衝突部位における具体的な衝突の範囲を推定することができる。
【0090】
次に、ステップS14で、予測された衝突物の形状・重量・速度から、衝突を回避できるか否かを判断する。衝突は回避できると判断(肯定判断)した場合には、そこでルーチンを終了する。一方、衝突は回避できないと判断(否定判断)した場合には、衝撃吸収構造70の展開構造体10を展開させるために、展開駆動部72に駆動信号を出力して、ルーチンを終了する。このように、必要な部位の展開構造体10を展開させるなど、衝突物の特性に応じて制御動作を行うことができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態の展開構造体は、小型モータで一部の部材を回転駆動するという簡単な動作で、平面から立体に展開し、複数の梁を備えた立体交差構造を形成することができる。
【0092】
また、本実施の形態の展開構造体は、展開前はコンパクトで平面的な形状を有しているので、クラッシュボックス等を設置できない狭く小さい部位にも設置することができる。また、本実施の形態の展開構造体は、平面視が略円形であるため、細密配列することができる。
【0093】
また、本実施の形態の展開構造体は、展開後は複数の梁を備えた立体交差構造を形成するので、表面側から衝突による衝撃が加わると、複数の梁の各々が弾塑性変形して、衝突エネルギーを吸収することができる。特に、立体交差構造であるため、真正面からの衝突だけではなく、斜め方向からの衝突においても、有効に衝突エネルギーを吸収することができる。更に、用途に応じて立体交差構造中の梁の配置や本数を変えることで、衝突エネルギー吸収量を調整することができる。即ち、任意の剛性を持たせることが可能である。
【0094】
また、本実施の形態の衝撃吸収装置は、展開構造体を含む衝撃吸収構造が、車両などの被衝突物に多数配置され、個別に駆動制御されているので、衝突位置に配置された展開構造体を展開させて、衝突による衝撃を吸収することができる。即ち、必要な部位の展開構造体を展開させるなど、衝突物の特性に応じて制御動作を行うことができる。
【0095】
また、センサ群から入力されたデータに基づいて、衝突物の有無を判断し、衝突物の形状・重量・速度などを計測して、衝突物が衝突する部位だけでなく、衝突部位における具体的な衝突の範囲を推定することで、衝突が回避できない場合には、推定された衝突位置に配置された展開構造体を展開させて、衝突による衝撃を吸収することができる。
【0096】
<変形例>
以下、上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0097】
(産業上の利用分野)
上記の実施の形態では、フロントバンパ等、車両のボディに展開構造体を設置して衝撃吸収装置として使用する例について説明したが、コンパクトで平面的な形状を有している展開構造体は、狭く小さい部位にも設置することができる。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとしての利用も可能である。即ち、微細空間における衝突緩衝構造やアクチュエータとしての役割も果たすことができる。また、航空機やヘリコプター等の軽量化が要請される飛行機の底面部に展開構造体を設置して、不時着時の衝撃吸収装置として使用することも可能である。更に、展開構造を工夫することで、宇宙空間で使用する展開構造体(アンテナや太陽電池パネル等)への応用も考えられる。
【0098】
(展開構造体の変形例)
上記の実施の形態では、平面視が略円形の展開構造体(展開構造体10)を用い、立体交差構造(立体交差構造11)では3本の連結梁で正三角形の回転部を支持する構造例について説明したが、展開構造体の構造は、上記実施の形態の構造に限定される訳ではない。用途に応じて好適な形状を選択することができる。立体交差構造中の連結梁の配置や本数を変えることで、衝突エネルギー吸収量を調整することができる。また、展開構造体を構成する第1展開部材と第2展開部材との間で、回転部の形状、嵌合構造、連結梁の形状・配置・本数が異なっていてもよい。
【0099】
例えば、3本の連結梁で回転部を支持する構造は、遊びになる梁がないので、安定感があり最も好ましいが、回転部を支持する連結梁の本数は3本には限られない。2本でもよく、4本以上でもよい。連結梁の本数が増加すると、弾塑性変形による衝突エネルギー吸収量が増加する。連結梁を長くすると、弾塑性変形による衝突エネルギー吸収量が増加する。連結梁の幅を広くすると、弾塑性変形による衝突エネルギー吸収量が増加する。
【0100】
また、連結梁の幅は一定である必要はなく、1本の連結梁の長手方向において、梁幅が変化していてもよい。更に、連結梁の断面形状は矩形状である必要はなく、断面の長手方向において厚さが変化していてもよい。
【0101】
また、回転部の形状は、回転軸の周りに回転可能な形状であればよく、正三角形には限られない。回転部の平面視形状は、円(真円、楕円など)や、三角形以外の多角形(四角形、五角形、六角形、八角形など)とすることもできる。
【0102】
同様に、第1展開部材と第2展開部材との間の嵌合構造(回転抵抗部材)は、第1展開部材(上部プレート12)に設けた内周形状が六角形の開口部と、第2展開部材(下部プレート14)に設けた外周形状が六角形の凸部と、を嵌め合わせるものには限定されない。互いに嵌合する構造であれば他の形状でもよく、凹部と凸部の組合せでもよい。また、第1展開部材側に凸部を設け、第2展開部材側に凹部又は開口部を設けることもできる。
【0103】
(展開部材の変形例)
上記の実施の形態では、第1の展開部材(上部プレート12)及び第2の展開部材(下部プレート14)として、図7(A)及び(B)等に示す展開部材を用いる例について説明したが、第1の展開部材及び第2の展開部材の構造はこれには限定されない。種々の変形例が可能である。
【0104】
図9に第2の展開部材の変形例の一例を示す。この例では、図9に示すように、第2の展開部材(下部プレート14B)では、アーム部を設けずに、支持枠36を回転プレート16Bに取り付けている。アーム部を省略することで、下部プレート14Bを簡単な構造とすることができ、下部プレート14Bにおいて「連結梁」や「回転部」の配置(レイアウト)の自由度が増加する。
【0105】
支持枠36には、複数の貫通孔44Bが設けられている。回転プレート16Bは、下部プレート14Bの支持枠36の外径と略同径の円板部48Bを備えている。円板部48Bの外周付近には、下部プレート14Bの支持枠36に設けられた複数の貫通孔44Bに対応する位置に、複数の貫通孔58Bが設けられている。
【0106】
下部プレート14Bが回転プレート16Bに重ねられ、段部を有する回転伝達ピン78が、貫通孔58B及び貫通孔44Bを挿通するように、円板部48Bの裏面側から差し込まれている。下部プレート14Bは、回転伝達ピン78により回転プレート16Bにピン留めされ、回転プレート16Bと共に回転可能とされている。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施の形態に係る展開構造体の展開前の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す展開構造体を表側(展開側)から見た平面図である。
【図3】図1に示す展開構造体の分解斜視図である。
【図4】(A)は上部プレートを表側から見た斜視図であり、(B)は上部プレートを裏側から見た斜視図である。
【図5】(A)は下部プレートを表側から見た斜視図であり、(B)は下部プレートを裏側から見た斜視図である。
【図6】(A)は展開途中の展開構造体の様子を示す斜視図であり、(B)は限界位置まで展開させた展開構造体の様子を示す斜視図である。
【図7】(A)は上部プレートの展開挙動を表側から見た平面図であり、(B)は下部プレートの展開挙動を表側から見た平面図である。
【図8】(A)及び(B)は第1の展開部材及び第2の展開部材の変形例の一例を示す平面図である。
【図9】第2の展開部材の変形例の一例を示す平面図である。
【図10】(A)〜(C)は衝撃吸収の原理を説明する概略図である。
【図11】展開構造体の配置例を示す平面図である。
【図12】展開構造体を車両に設置する場合の設置部位を例示する斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る衝撃吸収装置の構成を示すブロック図である。
【図14】制御部が行う作動ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0108】
10 展開構造体
11 立体交差構造
12 上部プレート
14 下部プレート
14B 下部プレート
16 回転プレート
16B 回転プレート
18 モータブラケット
20 モータ
22 円筒部
24 フランジ部
26 フランジ部
27、19 繋ぎ部
28 回転部
30 連結梁
32 開口部
34 ネジ孔
36 支持枠
38 回転部
40 連結梁
42 アーム部
43、45 繋ぎ部
44 貫通孔
44B 貫通孔
46 凸部
48 円板部
48B 円板部
50 軸受け部
52 貫通孔
54 貫通孔
56 軸固定ピン
58 貫通孔
58B 貫通孔
60 開口部
64 ネジ孔
66 ネジ孔
68 モータ支持体
71 回転軸
70 衝撃吸収構造
73 ネジ孔
72 展開駆動部
74 締結ネジ
76 締結ネジ
78 回転伝達ピン
80 フランジ部
90 フードパネル
92 フロントバンパ
94 フロントサイドドア
96 フロントフェンダーパネル
98 フロントピラー
100 衝撃吸収装置
102 センサ群
102A ビデオカメラ
102C レーダ
102D 感圧センサ
102B 赤外線カメラ
104 制御部
106 衝突部位推定手段
108 衝突範囲推定手段
DOWN 荷重
UP
G 重石
R 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定配置された円周状の第1支持枠、前記第1支持枠の内側に配置された第1回転部、及び前記第1回転部が前記第1支持枠から離れる方向に移動するときに、前記第1回転部を第1方向に回転させるように、前記第1回転部と前記第1支持枠とを連結する複数の第1連結梁を備え、前記第1回転部が前記第1支持枠から離れた状態に展開可能な第1展開部材と、
前記第1支持枠に対し回転可能に保持された円周状の第2支持枠、前記第2支持枠の内側に配置された第2回転部、及び前記第2回転部が前記第2支持枠から離れる方向に移動するときに、前記第2回転部を前記第1方向とは逆方向の第2方向に回転させるように、前記第2回転部と前記第2支持枠とを連結すると共に、展開時に前記第1連結梁と干渉しないように設けられた複数の第2連結梁を備え、前記第1展開部材と重なるように配置され、前記第2回転部が前記第2支持枠から離れた状態に展開可能な第2展開部材と、
前記第2回転部の前記第2方向への回転に抵抗する力が働くように、前記第1回転部及び前記第2回転部の各々対向する側に設けられた回転抵抗部材と、
前記第2支持枠を前記第1方向に回転させて前記第1展開部材及び前記第2展開部材の各々を展開させる展開駆動部と、
を含む展開構造体。
【請求項2】
少なくとも前記第1連結梁及び前記第2連結梁の各々が、平板状の弾塑性体で形成された請求項1に記載の展開構造体。
【請求項3】
前記第1展開部材の前記第1支持枠、前記第1回転部、及び前記複数の第1連結梁が、平板状の弾塑性体で一体に形成された請求項1に記載の展開構造体。
【請求項4】
前記第2展開部材の前記第2支持枠、前記第2回転部、及び前記複数の第2連結梁が、平板状の弾塑性体で一体に形成された請求項1に記載の展開構造体。
【請求項5】
前記第2回転部が前記第2支持枠から離れる方向に移動する距離が最大となるように、前記複数の第1連結梁及び前記複数の第2連結梁が配置された請求項1から4までのいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項6】
前記展開駆動部が、前記第2支持枠に連結され且つ中心に凸状の回転軸を備えたディスク状の回転板と、前記回転軸の周りに前記回転板を回転駆動する駆動部と、を含んで構成された請求項1から5までのいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項7】
前記第2回転部が前記第2支持枠から離れる方向に移動する距離が最大となるときに、前記回転板の回転を停止させる回転停止手段を、更に備えた請求項6に記載の展開構造体。
【請求項8】
前記第1回転部と前記第1支持枠とが3本の第1連結梁で連結され、前記第2回転部と前記第2支持枠とが3本の第2連結梁で連結された請求項1から7までのいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項9】
前記回転抵抗部材は、前記第1回転部及び前記第2回転部の一方に設けられた凸部と、前記第1回転部及び前記第2回転部の他方に設けられた前記凸部と嵌合する凹部又は開口部と、で構成された請求項1から8までのいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項10】
前記第1回転部と連結される前記第1連結梁の端部近傍に切り欠きを設けると共に、前記第2回転部と連結される前記第2連結梁の端部近傍に切り欠きを設けた請求項1から9までのいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の展開構造体が平面状に又は並列に複数配列された衝撃吸収部と、
衝突物の衝突位置を特定するための情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得された情報に基づいて、衝突が検知された場合又は衝突が不可避であると予測された場合に、特定された衝突位置に設置された前記展開構造体の前記第1展開部材及び前記第2展開部材を展開させるように、前記複数の展開構造体の各々に対応する展開駆動部を各々制御する制御部と、
を含む衝撃吸収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−280008(P2009−280008A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132157(P2008−132157)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】