説明

層状金属ガスケット

複数のブレード、厳密には、金属(2)−非金属(3)を交互に次々と積み重ねた、円環形状のディスクを、備えており、上記ブレードは、各対の連続したブレードの間に、接着剤を配置することによって、一体になっており、上記接着剤は、スプレーの形態で塗布されている、ヘッドガスケット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、高温において、高い密閉特性と、ロッキングトルク(locking torque)を維持する特性と、を備えた、革新的な金属ヘッドガスケット、を提供することであり、更に、関連する製造プロセス、を提供することである。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、金属ヘッドガスケットについて、多数の実施形態が、公知である。これらは、液体又は気体といった流動体に対し、密閉性を確保するのに適した要素であり、バルブ、機械要素、内熱機関エンジン、及び、同様のもの等の、機械的構成要素において、多数の用途がある。それらは、一組の、接着層を介在させることにより結合されている、多数の金属−非金属の交互の層で、構成されている。例えば、日本特許出願第6081956号は、クロム基層で覆われ、次にゴム系接着層で覆われた、金属層で構成された、自動車エンジン用のヘッドガスケットを、開示している。接着層は、更なる耐熱性ゴム層及び二硫化モリブデン層によって、潤滑力を備えて、保護されている。一方、日本特許出願第619137号は、その目的として、ゴム接着層で覆われた金属層で構成された、ヘッドガスケットを、有している。接着層は、更なる発泡ゴム層によって保護されており、その基本高分子は、接着層と同じである。
【0003】
バルブ、特にバタフライバルブ用の、ヘッドガスケットは、かなり幅広く使用されている。それらは、薄板(又は円環(circular crown))状で、交互に配列された金属層−非金属層の連続で、構成されており、ベースメタルは、スチール、好ましくはステンレスであり、また、非金属材料は、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は同様のものである。金属ヘッドガスケットの一実施例は、図1の2つの図に示されている。約600〜700ミリメートルの厚さの接着フィルムは、隣接同士でスリップするのを防止するために、ブレードの間に接触して、配置されている。
【0004】
しかしながら、公知の出願は、高温において密閉性を確保するのに、限界がある。そのような限界は、200℃前後においてであり、これらの温度以上では、接着フィルムは、軟化し、それにより、接着機能を失い、異なるブレード間での互いに対するスリップを生じさせて、結果として、パック全体における密閉性を失わせる。温度が上昇するにつれて、接着層は、実質的には、重さ及び厚さの減少を解消する傾向にある。結果として、これら全てにより、ロッキングトルクにおける減少へと至る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本特許出願第6081956号
【特許文献2】日本特許出願第619137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記欠点を解消し、現状の温度よりかなり高い温度におけるガスケットの使用を可能にする、ヘッドガスケット、及び、その製造プロセス、を画定することである。
【0007】
他の目的では、本発明は、一般に、低温でも、密閉性を向上させる、ガスケットの組成を、画定している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1に記載されるように、前述の目的を達成することである。本発明は、接着剤によって結合されて交互に配置された、金属−非金属の円環体を複数備えた、ヘッドガスケットに関するものであり、その接着剤が、スプレーの形態で塗布されていることを、特徴としている。この方法では、高温において作動する場合に、厚みの損失が起こらない。更に、本発明は、多孔率を減少させ、結果として、低温においても、ガスケットの密閉機能を向上させるために、高密度グラファイトを、非金属材料として使用している。
【0009】
これらの又は他の利点は、表1/1を特別に参照するよりも、本発明の詳細な記載において、より明確になり、また、本発明の1組の好ましい実施形態が、目的を制限しないために、完全に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるヘッドガスケットの正面図及び断面図である。
【図2】グラフォイル(graphoil)ガスケットとして公知である、第2タイプのヘッドガスケットの部分断面図である。
【図3】図1及び図2の両ガスケットの利用を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ヘッドガスケット1の好ましい実施例は、図1に示されたものである。そのヘッドガスケット1は、複数のブレード、厳密には、金属2−非金属3を交互に次々と積み重ねた、円環形状のディスクを、備えている。金属ブレード2は、スチール、好ましくはステンレス、から成っており、一方、非金属ブレード3は、グラファイト又はPTFEから作られている。好ましい実施形態では、グラファイトは、高密度タイプであり、特に、1.5g/cmより大きい。密度が高いほど、グラファイトが低い空隙率を有することが、保証され、それにより、内部漏れが防止され、従って、ガスケットの密閉能力が向上する。ブレードは、各対の連続したブレードの間に、接着剤を配置することによって、一体になっており、その接着剤は、スプレーの形態で塗布されている。このスプレー接着剤は、ナフサ(<50%)、シクロヘキサン(<25%)、液化プロパンガス(25%)、イソブタン(<25%)、及びアセトン(<10%)の中に、天然ゴム及び樹脂を、分散したものからなっている。スプレー接着剤の均一な塗布は、後で高温で溶解しやすい厚さを生成しない。従って、ガスケットは、密閉性及び/又はロッキングトルクの損失を恐れることなく、高温で機能できる。
【0012】
製造工程は、以下の工程で構成されている。初めに、プレートを、好ましくはレーザー技術を用いて切断して、円形状だけでなく他のタイプの形状をも作り、その後、それをトリムして仕上げる。同時に、グラファイトを切断する。スチール層とグラファイト層とを、交互に積み重ね、且つ、ストライカ4を用いて並べることにより、組み立てる。続いて、均一にスプレーされるべき接着剤を塗布し、最後に、冷間成形を行って、最終製品を得る。
【0013】
そのように作られたシーリングガスケットは、高温に耐えることができ、また、肯定的な実験データが、430℃以上の温度において、得られている。
【0014】
また、高密度グラファイトの使用は、第2タイプのガスケットである、グラフォイルガスケット5の、密閉性を、向上させる。その実施例は、図2に示されている。このタイプのガスケットは、弾性戻りを確保するために、制御された速度で、螺旋状に且つ均一に、巻かれた、高密度な連続ストリップと、結合された、(図の実施例では二重螺旋で表されている)特別な形状の外形の、金属材料でできた、連続ストリップで、構成されている。弾性力を得たこれらのガスケットは、可変の、温度及び圧力状態において、完璧な密閉性を確保するのに、特に適しており、材料の膨張による直線的な偏位を、弾性的に回復させることによって、密閉性を何とか維持している。
【0015】
上記記載の両ガスケットは、バタフライバルブにおいて、バタフライの閉じた状態における、バタフライのディスク6とシート7との間に、シールを確保するのに、実質的に適用されている。図3に示されるように、2つのガスケットである、ヘッドガスケット1及びグラフォイルガスケット5は、共同で作動しており、前者は半径方向のシール8を確保し、後者は軸方向のシール9を確保している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレード、厳密には、金属(2)−非金属(3)を交互に次々と積み重ねた、円環形状のディスクを、備えており、
上記ブレードは、各対の連続したブレードの間に、接着剤を配置することによって、一体になっており、
上記接着剤は、スプレーの形態で塗布されている、
ことを特徴とする、ヘッドガスケット。
【請求項2】
金属ブレード(2)が、スチール、好ましくはステンレス、から成っており、
非金属ブレード(3)が、グラファイト又はPTFEから作られている、
請求項1に記載の、ヘッドガスケット。
【請求項3】
グラファイトが、高密度タイプであり、特に、1.5g/cmより大きい、
請求項2に記載の、ヘッドガスケット。
【請求項4】
上記スプレー接着剤が、ナフサ(<50%)、シクロヘキサン(<25%)、液化プロパンガス(25%)、イソブタン(<25%)、及びアセトン(<10%)の中に、天然ゴム及び樹脂を、分散したものからなっている、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の、ヘッドガスケット。
【請求項5】
上記請求項に記載されたヘッドガスケットを、製造する方法であって、
プレートを、好ましくはレーザー技術を用いて切断する工程と、
それをトリムして仕上げる工程と、
グラファイトを切断する工程と、
スチール層とグラファイト層とを、交互に積み重ね、且つ、ストライカ(4)を用いて並べることにより、組み立てる、工程と、
均一及び均質なスプレーで、接着剤を塗布する、工程と、
冷間成形を行う工程と、
によって構成されている、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
制御された速度で、螺旋状に且つ均一に、巻かれた、高密度グラファイトの連続ストリップと、結合された、特別な形状の外形の、金属材料でできた、連続ストリップで、構成されている、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の、グラフォイルガスケット(5)。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のヘッドガスケット、及び、請求項6に記載のグラフォイルガスケットの、使用方法であって、
バタフライバルブにおいて、バタフライのディスク(6)とシート(7)との間に、シールを確保するために、2つのガスケットである、ヘッドガスケット(1)及びグラフォイルガスケット(5)が、共同で作動し、前者が半径方向のシール(8)を確保し、後者が軸方向のシール(9)を確保している、
ことを特徴とする、使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−533272(P2010−533272A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515665(P2010−515665)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/IT2008/000413
【国際公開番号】WO2009/008022
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510009337)セヴァル・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】SEVAL S.r.l.
【Fターム(参考)】