説明

差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造

【課題】ベースプレートを小さくすることができ、高機能化を図ることができる差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造を提供する。
【解決手段】ベースプレート2の下面に電動モータで駆動可能な差動式キャスタ1と、フリーキャスタ3(4)とがそれぞれ少なくとも1つ取付けられ、ベースプレート2の上面にシート61が設けられると共に、ベースプレート2に複数の電装部品が配置される差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造において、ベースプレート2の下面の差動式キャスタ1、及びフリーキャスタ3(4)を避けるようにして各電装部品のうちの少なくともコントロールボックス73が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベースプレートに複数の電装部品が配置される差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、差動式キャスタを用いて自走可能にした電動車椅子が知られている。
この差動式キャスタは、ベースプレートに回転自在に取付けられた支軸の一端に一対の駆動輪を備えたものである。これら駆動輪には電動モータが内蔵され、各々駆動輪が独立して駆動することができるようになっている。そして、各駆動輪の回転差によって電動車椅子や搬送車の走行方向を変更可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−90903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、電動車椅子にあっては、ベースプレート上にシートを取付ける他に、差動式キャスタの電動モータを駆動させるためのバッテリや、駆動輪の走行向きを制御するためのコントロールボックスを配置する必要がある。
また、電動車椅子は、高齢者等が移動の際に使用されることが多いため、室内の狭いスペースでも使用できるようにベースプレートをできる限り小さくする必要がある。
【0004】
しかしながら、ベースプレート上に搭乗者の邪魔にならないようにバッテリやコントロールボックスを配置しようとすると配置スペースに制約が生じ、ベースプレートが大きくなってしまうという課題がある。
また、例えば、バッテリの充電装置等、他の電装部品を電動車椅子に搭載したい場合、ベースプレート上に他の電装部品を搭載するスペースを確保することが困難で電動車椅子の高機能化が図り難いという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ベースプレートを小さくすることができ、高機能化を図ることができる差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、ベースプレートの下面に電動モータで駆動可能な差動式キャスタと、フリーキャスタとがそれぞれ少なくとも1つ取付けられ、前記ベースプレートの上面にシートが設けられると共に、前記ベースプレートに複数の電装部品が配置される差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造において、前記ベースプレートの下面の前記差動式キャスタ、及び前記フリーキャスタを避けるようにして前記各電装部品のうちの少なくともコントロールボックスが配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、ベースプレートの下面を有効活用し、ベースプレートの上面に配置される電装部品の数を減少させることができると共に、電装部品の配置自由度を高めることができる。
また、ベースプレートの下面にコントロールボックスを配置することで、ベースプレートの上面に空きスペースを確保することができ、この空きスペースに、例えば、バッテリ充電装置等、他の電装部品を搭載することも可能になる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記ベースプレートの下面の前記差動式キャスタ、及び前記フリーキャスタを避けるようにしてバッテリが配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、さらにベースプレートの上面に空きスペースを確保することが可能になる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記差動式キャスタは、前記ベースプレートに回転自在に支持された支軸と、前記支軸の一端に設けられた一対の電動モータと、前記一対の電動モータの出力軸にそれぞれ連係された一対の車輪とから成ることを特徴とする。
このように構成することで、支軸を中心に一対の車輪を支軸の周方向に回転させることができるため、差動式キャスタ付車両の旋回半径を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、ベースプレートの下面を有効活用し、ベースプレートの上面に配置される電装部品の数を減少させることができると共に、電装部品の配置自由度を高めることができる。このため、ベースプレートを小さくすることができる。
また、ベースプレートの下面にコントロールボックスを配置することで、ベースプレートの上面に空きスペースを確保することができ、この空きスペースに、例えば、バッテリ充電装置等、他の電装部品を搭載することも可能になる。このため、差動式キャスタ付車両を高機能なものにすることが可能になる。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、さらにベースプレートの上面に空きスペースを確保することが可能になるため、差動式キャスタ付車両をより高機能なものにすることが可能になる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、支軸を中心に一対の車輪を支軸の周方向に回転させることができるため、差動式キャスタ付車両の旋回半径を小さくすることができる。よって、例えば、室内の狭いスペースであっても差動式キャスタ付車両の移動範囲を広げることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、電動車椅子60は、ベースプレート2の上面にシート61が高さ調整可能に取付けられている。シート61は、搭乗者の臀部が乗るシートクッション62と、シートクッション62にステー63で支持された背もたれ64とを有し、シートクッション62の両側部には、フレーム状の肘掛部65が1つずつ固定されている。搭乗者から見て右側の肘掛部65には、電源のON/OFFを切り替えたり、静止位置での回転を支持したりするボタン等が配設された操作パネル66が取付けられている。
【0013】
さらに、操作パネル66の前端部には、電動車椅子60の移動方向及び速度を入力可能な操作レバー67が設けられている。尚、シートクッション62の底部から下向きに延びるポール68は、ベースプレート2上に設けられた受け部69に挿入され、ボルト70で締結固定されている。そして、ボルト70の締結固定位置を変更することでシート61の高さを調整できるようになっている。ポール68は、シートクッション62の平面視中央からやや後方に、受け部69は、ポール68に対応してベースプレート2の中心部Cよりもやや後方に配置されている。
【0014】
ベースプレート2は、平面視で略円形を有し、前端(図1における右側端、図2における下端)の側部が一段下がってフットレスト71を形成している。フットレスト71は、搭乗者の足全体を載せるのに十分な大きさを有する。
ベースプレート2の下面側には、電動車椅子60を走行させる手段として、2つの差動式キャスタ1,1と、2つのフリーキャスタ3,4とが配設されている。差動式キャスタ1,1は、ベースプレート2の中心部Cを基準にして前後方向に略対称な位置に設けられており、前側の差動式キャスタ1は、フットレスト71の間に配置されている。
【0015】
フリーキャスタ3,4は、ベースプレート2の中心部Cを基準にして左右方向に略対称な位置に設けられている。フリーキャスタ3,4は、ベースプレート2に支柱が鉛直軸を中心に360°回転自在に支持され、一対の車輪が支柱に対して回転自在に取付けられている。そして、各キャスタ1,3,4を駆動させたときの軌跡は、図2に二点鎖線で示すように、平面視でベースプレート2から外側には突出しないようになっている。さらに、シート61の外形もベースプレート2の外径より小さくなるように形成されている。
【0016】
ここで、ベースプレート2の上面には、フットレスト71からシート61の受け部69に至るまでの間にバッテリ72が配置されている一方、ベースプレート2の下面には、径方向略中央、つまり、2つの差動式キャスタ1,1と、2つのフリーキャスタ3,4とを避けるようにしてコントロールボックス73が配置されている。バッテリ72は、後述する電動モータ12に電力を供給するためのものであって、コントロールボックス73は、電動モータ12の回転速度や回転方向を制御したり、差動式キャスタ1の走行向きを制御したりするものである。
【0017】
尚、コントロールボックス73は、搭乗者の重心と、ポール68、及び受け部69の配置位置とを考慮してベースプレート2の中心部Cよりもやや前方に配置することが望ましい。このようにすることで、ベースプレート2の上面側と下面側とのアンバランス低減を図ることが可能になる。このため、差動式キャスタ1をより確実に床面等に接地させることが可能になり、電動車椅子60の安定した走行が実現できる。
【0018】
図3に示すように、差動式キャスタ1は、これをベースプレート2に取付けるための取付け板5を備えている。取付け板5には、径方向中央に2つの軸受け6,7が設けられ、ここに支軸8が回転自在に支持されている。
支軸8は、鉛直方向(図3における上下方向)に沿って延在する主軸9と、主軸9の下端(図3における下側)に設けられ水平方向(図3における左右方向)に沿って延在する副軸10とが一体成形されたものである。主軸9、及び副軸10には、それぞれの軸方向に沿って貫通する中空部9a,10aが一連に形成されている。
【0019】
主軸9の上端側(図3における上側)は、ベースプレート2から孔2aを介して上方に突出しており、ここに、支軸8の回転角度を検出するための中空軸型エンコーダ11が設けられている。中空軸型エンコーダ11は、この上端側に設けられた中空状のカラー33と下端側に設けられた受け座34とによって支軸8の軸方向への移動が規制されるようになっている。受け座34は、ボルト54で取付け板5に締結固定してある。
【0020】
また、カラー33には、スリップリング50がボルト53によって締結固定されている。スリップリング50は、固定側から回転側に電力を供給する所謂ロータリーコネクタであって、この実施形態においては、ベースプレート2に取付けられているバッテリ72(固定側)から後述する電動モータ12(回転側)に電力を供給したり、コントロールボックス73(固定側)から中空軸型エンコーダ11に信号を送受信したりするために用いられる。
【0021】
一方、副軸10の両端には、一対の車輪35,35が軸受け36,36でそれぞれが回転自在に取付けられている。各車輪35,35は、副軸10に回転自在に支持された有底筒状のホイール37を有し、ホイール37の開口部を蓋部38で覆うと共に、ホイール37の外周部分に床面等に接地するタイヤ39がタッピングネジ40で固定されている。ホイール37と蓋部38が形成する内部空間には、電動モータ12が1つずつ内蔵されており、各々車輪35,35を独立して回転駆動できるようになっている。
【0022】
電動モータ12は、支軸8の副軸10に固定されたブラケット15と、ブラケット15に固定された有底筒状のヨーク13とを有し、ブラケット15、及びヨーク13でアーマチュア14を回転自在、且つ水平方向に沿うように支持している。
ブラケット15は、副軸10の中空部10aに内嵌される筒部24と、筒部24のアーマチュア14側(図3における左右方向)端から径方向外側に延出するフランジ部25とが一体成形されたものであって、中空部10aの軸方向中央に設けられた電動モータ取付けプレート31にボルト32によって締結固定されている。
【0023】
筒部24の周壁には、ボルト32を螺入するためのボルト孔55が形成されていると共に、主軸9側(図3における上側)に筒部24の軸方向に貫通する貫通孔24aが形成されている。この貫通孔24aは、電力供給線30を挿通するためのものである。また、筒部24のアーマチュア14側(図3における左右方向)には、径方向中央に軸受け26が設けられ、ここにアーマチュア14の出力軸17の一端が回転自在に支持されている。
【0024】
フランジ部25のアーマチュア14側(図3における右側)には、ホルダーステー48が取付けられている。このホルダーステー48には、複数のブラシホルダ28が設けられており、このブラシホルダ28に、それぞれブラシ29が出没自在に内装されている。これらブラシ29には、電力供給線30の一端が電気的に接続されている。
この電力供給線30は、支軸8の中空部9a,10a、筒部24の貫通孔24aに配索され、スリップリング50を介してバッテリ72に電気的に接続されている。
【0025】
フランジ部25の周縁部には、ヨーク13の開口部が固定されている。ヨーク13の内周面には、複数の永久磁石27が周方向に等間隔で接着剤等により固定されている。
ヨーク13のエンド部(底部)16には、径方向中央にアーマチュア14の出力軸17を挿通するための挿通孔18が形成され、この挿通孔18内に軸受け19が設けられている。この軸受け19は、アーマチュア14の出力軸17の他端側を回転自在に支持するためのものである。
【0026】
アーマチュア14は、出力軸17に外嵌固定されたアーマチュアコア20と、アーマチュアコア20に巻装されたアーマチュアコイル21と、アーマチュアコア20の一端側(図3における中央側)に配置されたコンミテータ(整流子)22とで構成されている。
コンミテータ22の外周面には、導電材で形成されたセグメント23が複数枚取付けられている。
【0027】
セグメント23は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。各セグメント23には、アーマチュアコイル7の巻き始め端と巻き終わり端とがヒュージングにより接続されている。
また、セグメント23は、ブラシ29の先端部に摺接している。これにより、外部からの電源が電力供給線30,ブラシ29を介してコンミテータ22に供給されるようになっている。
【0028】
出力軸17の他端側は、ヨーク13のエンド部16に形成されている挿通孔18から外側に向かって突出している。この出力軸17の突出した部分には、外周面にギア部41が形成され、減速機構42に噛合されている。
減速機構42は、出力軸17に噛合され歯数の異なる2つの平歯車を同軸上に備えた段付平歯車43と、車輪35の蓋部38に一体に形成され段付平歯車43に噛合される内歯歯車45とで構成されている。段付平歯車43は、ヨーク13のエンド部16に突設されている不図示の支軸に回転自在に支持されている。この不図示の支軸は、段付歯車43を貫通し、車輪35の蓋部38側に突出している。この支軸が突出した部位には、支持部材44が取付けられている。この支持部材44は、軸受け46を介して蓋部38を回転自在に支持している。このように、アーマチュア14の出力軸17は、減速機構42を介して車輪35と連係した状態になっている。
【0029】
次に、この電動車椅子の動作について説明する。
電動車椅子60を使用するときは、一対のフットレスト71のそれぞれに足を載せ、シート61に座る。このとき、搭乗者は平面視でベースプレート2の内側の空間に居ることになる。
電動車椅子60を操縦するときは、操作パネル66を操作して電源を入れ、移動したい方向に操作レバー67を傾倒させる。操作レバー67は、初期状態で中立位置にあり、各電動モータ12は車輪35が前方に向いた姿勢で停止している。
【0030】
操作レバー67を前方に傾倒させときは、コントロールボックス73の運動制御部が各電動モータ12を同じ回転速度(回転比=1)で、且つ前進する方向に正転させる。電動モータ12の回転速度は、操作レバー67の傾斜角度に合わせて変化させる。すなわち、コントロールボックス73の操作量演算部の演算結果から、操作レバー67の傾斜角度が小さいと判定されたときは、運動制御部が電動モータ12の回転速度を小さくする。
【0031】
これに対して、傾斜角度が大きいと判定されたときは、運動制御部が電動モータ12の回転速度を大きくする。電動モータ12のアーマチュア53が回転し、減速機構42で減速された回転数で差動式キャスタ1が駆動し、フリーキャスタ3,4が従動して電動車椅子60が前進する。電動車椅子60を後退させるときは、操作レバー67を後ろ向きに傾倒させる。電動モータ12が逆転する他は前進時と同様の動作をする。
【0032】
電動車椅子60を右旋回させるときは、操作レバー67を右に傾倒させる。コントロールボックス73は、各差動式キャスタ1で前進方向の左側にある電動モータ12の回転数が操作レバー67の傾斜角度に応じた所定の回転数になるように、且つ右側にある電動モータ12の回転数がゼロ又は左側の電動モータ12より小さい回転数になるように、回転数及び回転比を演算する。
【0033】
左側の電動モータ12の回転方向は、前進時と同じ正転方向である。左側の車輪35が所定の回転数で回転するのに対して、右側の車輪35は殆ど回転しないので、各差動式キャスタ1の一対の車輪35,35の間に回転差が生じ、差動式キャスタ1が支軸8を中心に回転し、電動車椅子60が右側に旋回する。また、電動車椅子60を左旋回させるときは、操作レバー67を左に傾倒させる。各差動式キャスタ1の左右の電動モータ12の動作が逆転する他は右旋回時と同様の動作をする。
【0034】
電動車椅子60を静止位置で回転させるときは、操作パネル66の回転ボタンを押す。コントロールボックス73は、例えば、前側の電動キャスタ21で前進方向の左側にある電動モータ12を正転させ、右側にある電動モータ12を停止させる。後側の差動式キャスタ1で前進方向の右側にある電動モータ12を正転させ、左側にある電動モータ12を停止させる。
【0035】
このようにすると、一対の車輪35,35の間に回転差が生じ、電動車椅子60が停止した状態で差動式キャスタ1に向きが変わる。一対の車輪35,35が回転方向に向いたら、コントロールボックス73が各車輪35,35を同じ回転数で、且つ同じ方向に回転させる。これによって、電動車椅子60がその場で回転する。差動式キャスタ1の向きを変更するときは、一対の車輪35,35の一方を正転させ、他方を逆転させてもよい。
【0036】
したがって、上述の実施形態によれば、ベースプレート2の下面の2つの差動式キャスタ1,1、及び2つのフリーキャスタ3,4を避けるようにしてコントロールボックス73が配置されている。このように、ベースプレート2の下面を有効活用することで、ベースプレート2の上面には、バッテリ72のみ配置すればよく、バッテリ72の配置自由度が高まるばかりか、ベースプレート2を小さくすることが可能になる。
【0037】
また、ベースプレート2の上面には、バッテリ72しか配置されていないので、空きスペースSを確保することができる(図1参照)。このため、この空きスペースSに、例えば、バッテリ72を充電させるための充電装置を配置する等、他の電装部品を搭載することが可能になる。例えば、充電装置を配置した場合にあっては、バッテリ72を持ち運びする等の煩わしい作業がなくなり、搭乗者の労力を低減させることができる。このように、ベースプレート2にバッテリ72やコントロールボックス73の他に電装部品を搭載することで電動車椅子60の高機能化を図ることが可能になる。
【0038】
さらに、差動式キャスタ1がベースプレート2に回転自在に支持された支軸8と、支軸8の一端に、支軸8を中心に振り分け配置された一対の車輪35,35と、各車輪35,35に内蔵されている一対の電動モータ12,12とを備えたものであるため、電動車椅子60を前後左右に走行させることができる他に、静止位置で旋回、つまり、ベースプレート2の中心部Cを中心に旋回させることもできる。このため、例えば、室内の狭いスペースであっても走行可能な場所を増やすことができ、電動車椅子60の移動範囲を広げることが可能になる。
【0039】
尚、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
また、上述の実施形態では、ベースプレート2の下面の2つの差動式キャスタ1,1と、2つのフリーキャスタ3,4とが配設されている場合について説明したが、これに限られるものではなく、ベースプレート2の下面に差動式キャスタ1とフリーキャスタ3(4)が少なくとも1つ配設されていればよい。
【0040】
さらに、上述の実施形態では、ベースプレート2の上面にバッテリ72を配置する一方、ベースプレート2の下面の差動式キャスタ1,1、及びフリーキャスタ3,4を避けるようにしてコントロールボックス73を配置した場合について説明したが、これに限られるものではなく、バッテリ72もベースプレート2の下面の差動式キャスタ1,1、及びフリーキャスタ3,4を避けるようにして配置してもよい。このようにすれば、ベースプレート2の上面の空きスペースSをより大きく確保することが可能になり、さらなる電動車椅子の高機能化を図ることができる。
また、バッテリ72もベースプレート2の下面に配置することで、ベースプレート2の上面側と下面側とのアンバランスをより低減させることが可能になる。このため、差動式キャスタ1をより確実に床面等に接地させることが可能になり、さらに電動車椅子60の安定した走行を実現することが可能になる。
【0041】
さらに、上述の実施形態では、ベースプレート2が平面視で略円形に形成されている場合について説明したが、これに限られるものではなく、多角形状であってもよい。
また、アーマチュア14の出力軸17は、減速機構42を介して車輪35と連係した状態になっている場合について説明したが、これに限られるものではなく、減速機構42に代えて遊星減速機構としてもよい。この場合、段付歯車43を出力軸17に噛合って自転すると共に、出力軸17を中心に公転可能な遊星歯車に代えればよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態における電動車椅子の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態における電動車椅子の平面図である。
【図3】本発明の実施形態における差動式キャスタの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 差動式キャスタ
2 ベースプレート
3 フリーキャスタ
8 支軸
12 電動モータ
17 出力軸
35 車輪
61 シート
72 バッテリ
73 コントロールボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートの下面に電動モータで駆動可能な差動式キャスタと、フリーキャスタとがそれぞれ少なくとも1つ取付けられ、
前記ベースプレートの上面にシートが設けられると共に、
前記ベースプレートに複数の電装部品が配置される差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造において、
前記ベースプレートの下面の前記差動式キャスタ、及び前記フリーキャスタを避けるようにして前記各電装部品のうちの少なくともコントロールボックスが配置されていることを特徴とする差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造。
【請求項2】
前記ベースプレートの下面の前記差動式キャスタ、及び前記フリーキャスタを避けるようにしてバッテリが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造。
【請求項3】
前記差動式キャスタは、
前記ベースプレートに回転自在に支持された支軸と、
前記支軸の一端に設けられた一対の電動モータと、
前記一対の電動モータの出力軸にそれぞれ連係された一対の車輪とから成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の差動式キャスタ付車両の電装部品配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−212272(P2008−212272A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51285(P2007−51285)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】