巻き付け型ケーブルスリーブ組立体、その製造方法及びその使用方法
【解決手段】ケーブル部を環境から封止するための巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブと、マスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部の内面に配置され、縦方向延長部を横切って延びる。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの封止(sealing)に関し、特に、巻き付け型ケーブルスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
電力業界において、ケーブルの保全状態を維持することは重要である。高電圧ケーブルの短絡等、ケーブルの保全状態が損なわれると、停電や、よりひどい場合、人命が失われる結果となる可能性がある。ケーブル保全に対して大きな脅威をもたらす可能性がある日常の作業は、電気接続部を形成することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気接続部が形成される際に、スプライスコネクタ等の金属露出面が露出する。これらの露出面は、周囲環境にさらされる現場で形成される際に、特に有害である。この環境には、岩や、他の鋭利な物体のほか、接続部が地中に埋設される際の湿度や宙吊りにされる際の降雨が含まれる。このため、このような電気接続部を環境から保護する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するための巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブと、マスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部の内面に配置され、縦方向延長部を横切って延びる。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。
【0005】
本発明の方法の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止する、保護されたケーブル組立体を形成する方法は、巻き付け型スリーブ及びマスチック樹脂製ケーブルパッチを設ける工程を具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部の内面に配置され、縦方向延長部を横切って延びる。本方法は、縦方向延長部がケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、マスチック樹脂製ケーブルパッチがケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように、ケーブル部の周囲に巻き付け型スリーブを巻回する工程をさらに具備する。
【0006】
本発明の方法の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するために巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際にケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する巻き付け型スリーブを設ける工程と、縦方向延長部の内面にマスチック樹脂製ケーブルパッチを配置する工程とを具備し、マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部を横切って延び、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。
【0007】
本発明の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムは、巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する。巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。ケーブル封止パッチは、縦方向延長部の内面に配置されると共に、縦方向延長部を横切って延びる。ケーブル封止パッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。補助圧縮システムは、圧縮部材と、固定部材とを具備する。圧縮部材は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回されてケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能である。固定部材は、巻き付け型スリーブ上に配置可能である。固定部材は、巻き付け型スリーブ及び圧縮部材と機械的に係合し、巻き付け型スリーブ及び圧縮部材間の相対移動を制限するよう構成される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムは、巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する。巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。ケーブル封止パッチは、縦方向延長部の内面に配置されると共に、縦方向延長部を横切って延びる。ケーブル封止パッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。補助圧縮システムは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回されてケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能な弾性圧縮部材を具備する。
【0009】
本発明のさらなる特徴、利点及び詳細は、以下の実施形態の図面及び詳細な説明を読めば当業者には理解されるであろう。このような説明は、単に本発明を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る巻き付け型スリーブ組立体を前側且つ正面側から見た斜視図である。
【図2】図1のスリーブ組立体を上側且つ後側から見た斜視図である。
【図3】図1のスリーブ組立体を上側且つ後側から見た分解斜視図である。
【図4】図1のスリーブ組立体の端面図である。
【図5】図1のスリーブ組立体を形成するためのプレス装置の端面図である。
【図6】図1のスリーブ組立体を使用して被覆される1対のケーブル及びスプライスを示す斜視図である。
【図7】図1のスリーブ組立体から形成される被覆組立体を有する環境保護接続組立体の斜視図である。
【図8】図7の8−8線に沿った図7の接続組立体の断面図である。
【図9】図7の9−9線に沿った図7の接続組立体の断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の部分斜視図である。
【図11】図10の圧縮システムの一部を形成する固定部材を下から見た斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図13】図12の圧縮システムを展開するのに使用される予め拡大されたユニットの斜視図である。
【図14】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図15】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図16】被覆組立体に取り付けられた1対の仮ラッチクリップを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図17】図16の仮ラッチクリップを上から見た拡大斜視図である。
【図18】図16の仮ラッチクリップを下から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態が示された添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、異なる多くの形態で実施することができ、本明細書に説明された実施形態に限定するものと解釈してはならない。図面の説明を通して、同様の要素には同様の参照番号が付される。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用されているように、単数形は、特に明記されない限り、複数も同様に含むことが意図されている。「有する」、「具備する」の用語は、本明細書で使用される際には、説明された特徴、整数、工程、作動、要素、部品の存在を特定するが、1個以上の他の特徴、整数、工程、作動、要素、部品、グループの存在又は追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書で使用されているように、「〜及び〜の一方又は両方」は、関連する1以上の要素のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0013】
1個の要素が別の要素と「結合」すると言及される場合、その他の要素に直接結合することができ、或いは介在する要素が存在することもあり得ることを理解されたい。対照的に、1個の要素が別の要素に「直接結合される」と言及される場合、介在する要素は存在しない。
【0014】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業界の通常の知識を有する者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義される用語等の用語は、本明細書の文脈及び関連技術での意味と一致する意味を有するものとして解釈すべきであり、本明細書で明記して定義されない限り、理想的又は過度に正式に解釈しないことを理解されたい。
【0015】
本明細書で使用されているように、「冷間」又は「冷間被覆」は、被覆又は部品が、加熱を要することなく基材(例えば、ケーブル)の周りに組み立てられる、又は取り付けられることを意味する。
【0016】
本明細書で使用されているように、「冷間収縮」又は「冷間収縮被覆」は、被覆又は部品が、加熱を要することなく基材(例えば、ケーブル)の周りで収縮できることを意味する。
【0017】
図1ないし図15を参照すると、本発明の実施形態に係るケーブル被覆システムすなわちケーブル被覆キット101(図7参照)が図示されている。ケーブル被覆システム101は、電気絶縁材料から作製されたスリーブ組立体100(図1ないし図4参照)と、本明細書でさらに説明される任意の補助圧縮部材すなわち補助圧縮システム172,270,380,480とを有する。ケーブル被覆システム101は、ケーブル及びコネクタ等の電気基材を覆うと共に絶縁するために使用される。ケーブル被覆キット101は、図7ないし図9に示される環境保護接続組立体(環境から保護された接続組立体)10を形成するため、又はケーブルの損傷部を覆うために、2本以上のケーブル20及びコネクタ24間の接続部すなわちスプライス25(図6参照)を覆い且つ封止するよう被覆組立体102(図7ないし図9参照)内に組み込まれる。同様に、ケーブル被覆キットは、ケーブルの外被が除去されたケーブルの一部分を再度被覆するのに使用される。スプライス25又はケーブルの他の適当な部分は、被覆組立体102内に区画される環境封止室104(図7ないし図9参照)に収容される。ケーブル20は、導電性コア20Aと、周囲の電気絶縁体20B(図6参照)とを有する。ケーブル20はケーブル軸B−Bを有する。
【0018】
図1ないし図4を参照すると、スリーブ組立体100は、巻き付け型スリーブ110と、1対のケーブルマスチック樹脂の塊、ストリップ又はパッチ152,154と、及び閉鎖マスチック樹脂の塊又はストリップ160とを有する。
【0019】
巻き付け型ケーブルスリーブ110は、縦軸A−A(図1参照)を画定し、縦方向延長体112及びコネクタシステム130(図7参照)を有する。縦方向延長体112は縦方向延長主部114(図3参照)を有する。縦方向延長部114は、第1縦閉鎖縁120と、この第1縦閉鎖縁120から平行に横方向に離間する第2縦閉鎖縁122と、互いに対向する横方向延長端縁124,126と、外面116及び内面117(図4参照)とを有する。
【0020】
主部114は、横断面において波状部128を有する。図示されているように、波状部128は、横断面においてU形状である。しかし、波状部は、代わりにW形状のジグザグパターン又は他の適当なパターンを有してもよい。
【0021】
コネクタシステム130(図1、図4及び図8参照)は、互いに嵌合可能な第1コネクタ部132及び第2コネクタ部140を有する。第1コネクタ部132は、第1縦縁部120に結合されると共に第1縦縁部120から延びるピン部材すなわちリブ部材134として構成される。リブ部材134は、先端縁136Aがテーパ状輪郭(図示されるように、半円形)をなすピンすなわちリブ136の形態のインサート部材を有する。リブ部材134はテール部材138を有する。テール部材138は第1縦縁120に結合される。
【0022】
第2コネクタ部140は、第2縦縁部122に結合されると共に第2縦縁部122から延びるソケット部材142として構成される。ソケット部材142はソケット144を区画する。ソケット部材142は、ソケット部材142の閉鎖側から延びると共に閉鎖側から横方向に離間する末端を有するリップ部材146(図4参照)を有する。ソケット144は、リブ136と接続可能に係合するよう構成される。ソケット144は、1対の対向する着座部材すなわちラッチ部材すなわち逆刺148(図4参照)を有する。
【0023】
リブ部材134及びソケット部材142は、ケーブル部の周りにスリーブ110を巻き付け固定する際に補助する把持面134A,142A(図4参照)をそれぞれ有する。
【0024】
縦方向に離間する1対の切欠すなわち窓開口部145,147は、第2コネクタ部140に形成されている。窓開口部145,147は、ソケット144に連通すると共に、マスチック樹脂パッチ152,154を縦方向に位置決めされすなわちマスチック樹脂パッチ152,154と整列する。
【0025】
マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、端縁124,126に隣接してスリーブ110にそれぞれ実装され、間に間隙151(図1参照)を区画するよう縦方向に離間した関係にある。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、組成及び構造がほぼ同一であるので、以下ではマスチック樹脂製ケーブルパッチ152のみを詳細に説明する。この説明は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ154にも同様に当てはまることを理解されたい。
【0026】
図3を参照すると、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、互いに対向する縦縁152A,152B、互いに対向する横縁152C,152D、並びに内面153及びその反対側の外面155(スリーブ110の内面116に面する)を有する。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、縦縁152A,152Bがスリーブの縦縁120,122に又は縦縁120,122を越えて配置され、その結果、スリーブ110がケーブルの周りに巻回され固定される際にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152の横端部が重なるように、スリーブ110を連続的に横切って延びる。縦縁152Aは、図面で示されるより縦縁120のさらに内側に配置されてもよい。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、本体156と、本体156から垂下する縦方向延長リブ158を区画する。内面153はほぼ平坦である。
【0027】
外面155は、リブ158の輪郭により波状になり、スリーブ110の内面114とほぼ一致しすなわち内面114に相補的な輪郭を有する。すなわち、リブ158は、波状部128の溝128A内に嵌まり形状が一致する。いくつかの実施形態によれば、外面155は、波状部128の少なくとも始めから終わりまで、実施形態によってはマスチック樹脂製ケーブルパッチ152の横まで完全に内面114に接着又は接合される。
【0028】
図示されているように、間隙151は、主部114上に封止材がない部分である。しかし、他の実施形態によれば、パッチ152,154間の主部114上に追加のマスチック樹脂製ケーブルパッチが設けられてもよく、又は、ケーブル封止材は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152の位置からマスチック樹脂製ケーブルパッチ154の位置まで連続的に延びていてもよい。
【0029】
マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160はソケット144内に配置されるので、ソケット144は閉鎖封止材室として作用する。特に、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、少なくともマスチック樹脂製ケーブルパッチ152からマスチック樹脂製ケーブルパッチ154までソケット144の長さに沿って縦に延びる。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、縁124から縁126までほぼ連続的に延びる。
【0030】
スリーブ110の端部開口及び閉鎖継目の周りに巻き付け型ケーブル被覆組立体102のケーブル室104用の連続封止部を設けるために、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ154は各々、窓開口部145,147でマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160と交差する。特に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は第1窓開口部145を(少なくとも部分的に)通ってマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160に封止接触し、マスチック樹脂製ケーブルパッチ154は第2窓開口部147(図9参照)を(少なくとも部分的に)通ってマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160に封止接触する。
【0031】
巻き付け型スリーブ110は絶縁材料から作製される。この材料は、当業者であれば理解できるように、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマが含まれるがこれらに限定されない様々な絶縁材料であってもよい。いくつかの実施形態によれば、絶縁材料は熱可塑性エラストマである。熱可塑性エラストマは、当業者であれば理解できるように、様々な熱可塑性エラストマであってもよく、好適にはポリプロピレン/ゴムの混合物及びポリウレタンからなるグループから選択される。最も好適な熱可塑性エラストマは、サントプレン(登録商標)の名でアドバンスト・エラストマ・システム社から市販されているポリプロピレン/ゴムの混合物である。縦方向延長部114は、少なくとも約55、好適には少なくとも約80、より好適には少なくとも約90のショアA硬度を有する。縦方向延長部114は、好適には下限及び上限の間の曲げ弾性率を有する。下限は、好適には約2,000psi、より好適には約4,000psi、最も好適には約6,000psiである。上限は、好適には約100,000psi、より好適には約25,000psi、最も好適には約10,000psiである。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、縦方向延長部114は、下限及び上限の間でASTM D412測定法で100%引張係数を有する。いくつかの実施形態において、下限は、好適には約250psi、より好適には約800psi、最も好適には約1,300psiである。上限は、好適には約3,000psi、より好適には約1,800psi、最も好適には約1,600psiである。いくつかの実施形態によれば、縦方向延長部114は、ASTM D412計測法で約60%未満、より好適には約50%未満、最も好適には約20%未満の永久伸び(tension set)を有する。縦方向延長部114は、少なくとも約15%、より好適には少なくとも約30%、最も好適には少なくとも約50%の横距離を有してもよい。縦方向延長部114は、約10%未満、より好適には約5%未満、最も好適には約2%未満の縦距離を有してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、縦方向延長部114は第1のポリマで製作されるのに対し、コネクタ部132,140は第2の異なる(すなわち、タイプや処方が異なる)ポリマで製作される。このため、コネクタ部132,140には、縦方向延長部114よりも大きな剛性が提供される。いくつかの実施形態において、縦方向延長部114を形成する第1ポリマは熱可塑性エラストマであり、より大きな剛性を有するコネクタ部132,140の材料はポリプロピレンである。他のコネクタの構成も使用可能である。例えば、別体の外部ラッチ締め具を縦縁120,122に付けてもよいし、縁120,122に協働する構造を設けてもよい。
【0034】
マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、任意の適当な流動性封止マスチック樹脂で形成されてもよい。本発明の実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも部分的に架橋された(半架橋)ポリマを有する。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも部分的に架橋されたポリマを有するが、依然として変形可能であり、スリーブ110及びケーブル絶縁体20Bに対して接着性を有する。しかし、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の架橋は、作動温度でマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154がスリーブ110から流動することを防止する。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも−20〜135℃の作動温度範囲で自由に流動しない。このため、いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154のポリマは、140℃より高い温度、より好適には150℃より高い温度、最も好適には180℃より高い温度の自由流動温度を有する。いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154のポリマは、架橋による分解の前に流動しない。いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は架橋ブチルゴムを有する。他の適当なマスチック樹脂には、合成ゴム又は合成ポリママスチック樹脂を含むマスチック樹脂がある。さらに、いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は電気的に絶縁体である。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154に含まれる適当なポリマには、タイコ・エレクトロニクス社が販売しているS1278がある。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の厚さT1(図4参照)は約0.25〜2cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の長さL1(図1参照)は約5〜15cmの範囲内にある。各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の幅W1(図1参照)は約7〜40cmの範囲内にある。この幅W1は、スリーブ本体112の幅と同じであってもよい。
【0036】
マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、任意の適当な流動性封止マスチック樹脂で形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154とは異なるマスチック樹脂組成で形成される。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、約−20〜45℃の範囲の取付け温度でマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154より柔軟なマスチック樹脂である。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂160は、作動温度範囲の全温度でマスチック樹脂152,154より柔軟である。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂160は、マスチック樹脂152,154より低い自由流動温度を有する。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154より低い軟化点温度(すなわち、マスチック樹脂が流動するより低い温度範囲)を有する。
【0037】
いくつかの実施形態ではマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160はブチルゴムからなり、いくつかの実施形態ではマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は合成ゴム又は合成ポリママスチック樹脂からなる。マスチック樹脂160は半架橋されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂160は、少なくとも−20〜95℃の作動温度範囲では自由に流動しない。また、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は電気的に絶縁物である。マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160に含まれる適当なポリマには、タイコ・エレクトロニクス社が市販するS1337型マスチック樹脂がある。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160の厚さT2(図4参照)は、約0.25〜1cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160の長さL2(図1参照)は、ソケット144とほぼ同じ長さである。いくつかの実施形態によれば、長さL2は、少なくともマスチック樹脂製ケーブルパッチ152からマスチック樹脂製ケーブルパッチ154までの距離である。
【0039】
巻き付け型スリーブ110は、任意の適当な技法を用いて形成されてもよい。いくつかの実施形態において、電気絶縁材料の連続体(web)が押出し成形され、次に、第1端及び第2端を有する巻き付け型ケーブルスリーブを形成するよう切断される。押出し成形工程は、波状横断面を規定する波状部を有する連続体を押出し成形する工程からなる。押出し成形工程はまた、剛性を有する熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマを同時押出し成形する工程を有してもよい。押出し成形工程は、当業者に理解されるように、任意の適当な方法により行ってもよい。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154及びマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、(後述するように、例えば)連続体が所定長さに切断される前又は後に、スリーブ110に取付け又は付着されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、スリーブ110上にプレスされる前にホットプレスすなわち加熱される。特に、上述したようにいくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は半架橋されたマスチック樹脂であり、室温では限定された流動性すなわち変形可能性を有する。波状溝128Aの内面116との良好な界面及び接着を確保するために、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも所定の時間、所定の高温で加熱され所定の圧力でプレスされるので、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は流動すなわち変形し、波状溝128Aと形状が一致する。その後、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、室温まで冷却される。いくつかの実施形態によれば上述したプレス温度は約60〜100℃の範囲内であり、いくつかの実施形態では約80〜120℃の範囲内である。いくつかの実施形態によれば上述したプレス圧力は約150〜350kPaの範囲内であり、いくつかの実施形態では約250〜750kPaの範囲内である。いくつかの実施形態によれば上述のプレス時間は約0.5〜2秒の範囲内であり、いくつかの実施形態では約0.25〜5秒の範囲内である。
【0041】
図5を参照すると、スリーブ110内にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152をプレスするための本発明の実施形態に係る典型的なプレス装置50が図示される。プレス装置50は、スリーブ110を保持するプラテン52を有する。プレス装置50は、予加熱されたマスチック樹脂製ケーブルパッチ152に荷重を加えるプレスヘッド54をさらに有する。任意であるが、各々を加熱するプラテン52及びプレスヘッド54には、加熱装置(例えば、電気抵抗ヒータ)が作動可能に接続されてもよい。荷重を印加するプレスヘッドには、荷重印加装置すなわちアクチュエータ58(例えば、油圧シリンダ)が作動可能に接続される。或いは、プレスヘッド54は手動で駆動してもよい。いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、上述の温度まで予加熱され、スリーブ110上に載置され、次にプラテン52上に載置されてプレスされる。
【0042】
マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、任意の適当な技法でソケット144に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態によれば、封止材ストリップ160は、ビード又はロープとして(例えば、押出し成形により)形成され、ソケット144内に軸方向に沿って挿入される。或いは、封止材ストリップ160は、軸方向又は横断方向に沿ってソケット144内に押出(例えば、ホットメルト接着剤のようにソケット144内に注入)されてもよい。
【0043】
図6ないし図9を参照すると、被覆キット101は、以下の方法で使用されてもよい。すなわち、1対の送電ケーブル20の間のスプライス接続部25(図6参照)上にスリーブ組立体100を付着させ、環境保護接続組立体10(図7ないし図9参照)を形成する方法である。いくつかの実施形態によれば、ケーブル20は、低電圧又は中間電圧(例えば、約120ボルト及び46kボルト)の送電ケーブルである。
【0044】
スリーブ組立体100が図1に示される開位置にある場合、スリーブ組立体100は、ケーブル組立体102が取り付けられる軸方向の位置でケーブル20に隣接して配置される。次に、スリーブ110は、ケーブル20の周りに(すなわち、スリーブ軸A−A及びケーブル軸B−Bの周りに)巻回され、コネクタ部132,140と係合状態になる。特に、リブ136は、ソケット144内に挿入され、逆刺148によりソケット144内に捕捉される。このようにして、スリーブ110は、閉じた状態でラッチされ、一端から他端まで連続した管状部材を形成し、ケーブル溝104を区画する。いくつかの実施形態によれば、スリーブ110は、閉じたときの緩んだ内径がケーブル20の外径より小さくなり、その結果、スリーブ110がケーブルに密着して波状部128が少なくともいくらか膨らむように、寸法が設定される。しかし、いくつかの実施形態において、閉じたときの緩んだ内径は、外部のすなわち補助の圧縮部材がスリーブ110をケーブル20上に締め付けることを要するように、ケーブル20の外径より大きい。
【0045】
コネクタ部材132,140は、任意の適当な技法を用いてラッチ係合することができる。いくつかの実施形態によれば、一時的な仮ラッチクリップがコネクタ部材132,140に付けられ、取付け作業者がコネクタ部材132,140を相互ロックする間、それらを一緒に保持する。機械的利点を与え、係合をし、又は係合を補助するために、工具を用いてもよい。例えば、取付け作業者は、米国特許第7197816号、米国特許第6094792号、米国特許第6195861号、又は米国特許第6219907号に記載された工具を用いてもよい。
【0046】
リブ136がソケット144内に入ると、先端面136Aはマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160を変位させ、コネクタ部132,140の周囲及び間を流れ、開口145,147間でスリーブ110の全長に沿って軸方向の封止を形成する。
【0047】
スリーブ110がケーブル20の周りで閉じるよう強制されると、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154はケーブル20と係合するよう半径方向内向きに付勢されるので、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154はケーブル20の全周を取り囲み、各ケーブル20の周りに周囲環境封止を形成する。マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160が与える環境封止及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が与える環境封止は、組み合わされることでケーブル室104を環境から封止する。封止全体の連続性は、窓開口部145,147でのマスチック樹脂152,154,160の結合により確保される。この封止は、例えば環境の水分の滲入からケーブル20及びスプライス25を保護することができる。
【0048】
マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、スリーブ110を閉じる際に、補助圧縮部材がある場合にはその補助圧縮部材による荷重印加の際に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154がケーブル20の形状に合致することを可能にする制限された程度の冷間流動性(すなわち、上述の通常の作動中又は作動温度範囲での機械的荷重の下での変形)を示す。しかし、通常の作動温度範囲内では、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の自由に流動する能力は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が過剰に流動したり、這ったり、重力、環境の水圧、ケーブル移動等による封止領域の望ましくない変位をしないように十分に低いままである。さらに、いくつかの実施形態(特に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が半架橋マスチック樹脂で形成された実施形態)によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の自由流動能力もまた、封止領域からのそのような望ましくない変位を防止するために予想される、又は可能性のある作動高温で十分に低いままである。これらの高温は、極度のケーブル抵抗加熱等により経験する可能性がある。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、補助圧縮部材は被覆組立体102上に実装され、ケーブル20に沿ったスリーブ110の変位に抗し、スリーブ110の半径方向及び軸方向の拡張を制限し、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154と封止接触状態にあるスリーブ110やケーブル20と封止接触状態にあるマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154を半径方向内向きに圧縮する。いくつかの実施形態によれば、圧縮部材は、ケーブルタイ、ジップタイすなわちタイラップ172である。他の適当な圧縮部材には、ばねホースクランプ、ロープ、ストラップクランプ、ウォーム駆動ホースクランプ、又はスナップホースクランプが含まれる。
【0050】
図10及び図11を参照しながらいくつかの実施形態によれば、被覆組立体102上には圧縮システム270が設けられる。圧縮システム270は、2対のタイラップ272及び1対の固定部材274を有する。各固定部材274は、位置決めタブ274Eを有する本体274Aを有し、スリーブ着座部274B及びタイ着座部274Cを区画する。一体のピン274Dは、本体274Aからスリーブ着座部274B内へ延びる。そして、本体274Aからは、位置決めリブ274Fも垂下する。いくつかの実施形態によれば、固定部材274は、充填剤入りのポリプロピレン又はポリカーボネート等の剛性を有するポリマ材料で形成される。固定部材274は成形されてもよい。
【0051】
使用の際、固定部材274は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の対応する層の上のスリーブ110の各端部に実装され、その結果、その位置決めタブ274Eは、隣接する端縁124,126に当接する。タイラップ272は、タイ着座部274Cを通って引き回され、固定部材274及びスリーブ110の周りをしっかりと締め、上述したようにマスチック樹脂製ケーブルパッチ152又は154を圧縮する。
【0052】
固定部材274への圧縮荷重により、ピン274Dがスリーブ110の外面に埋まる。このようにして、固定部材274は、スリーブ110に対して軸方向及び周方向に固定されるので、スリーブ110に沿ったタイラップ272の軸方向の位置も同様に固定される。固定部材274は、タイラップ272がマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の周りでその位置を維持することを補助する。固定部材274はまた、タイラップ272の荷重をより広く且つ一様に分布させ、スリーブ110の意図しない変形を減少させる。位置決めタブ274Eは、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154に対して固定部材274を適切に位置決めするよう作用し、また、固定部部材274の蛇行に抗する。
【0053】
図10にタイラップ272が図示され上述されるのに対し、他のタイプの圧縮部材(例えば、クランプ)は、タイラップ272の代わりに用いてもよい。
【0054】
図12を参照すると、本発明の別の実施形態に係る圧縮システム380は、被覆組立体102に部分的に取付けられて図示される。圧縮システム380は、1対の冷間収縮可能な圧縮スリーブすなわち圧縮バンド382を有する。圧縮バンド382はそれぞれ、ホールドアウト(holdout)384(図13に図示)上の予め拡張したユニット381として供給される。ここで、圧縮バンド382は、弾性拡張状態すなわち弾性拡張位置にある。
【0055】
圧縮バンド382は任意の適当な材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は電気絶縁材料で形成される。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は弾性拡張可能な材料で形成される。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382はエラストマ材料で形成される。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)ゴムで形成される。他の適当な材料には、ネオプレン又は他のゴムが含まれる。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、約0.1〜10MPaの範囲内の100%伸び(M100)係数を有する。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は無端バンドである。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の厚さT3(図13参照)は、約0.1〜0.5cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の長さL3は、約5〜15cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の長さL3は、対応するマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の長さL3の約25〜125%の間である。
【0057】
ホールドアウト384は、任意の適当な材料で形成することができる。いくつかの実施形態によれば、ホールドアウト384は、剛性を有するボール紙又はプラスチックで形成される。いくつかの実施形態によれば、ホールドアウト384は、例えば図示されているような剛性を有する筒を形成するよう螺旋状に巻回されたストリップを有する。ホールドアウトデバイス384は工場で取付け可能である。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、代わりに、適当な拡張工具を用いて現場で予め拡張されてもよい。
【0058】
取付けの際、予め拡張されたユニット381は、例えば、接続部25が形成される前に各ケーブル20上に摺動される。いくつかの実施形態によれば、ホールドアウト384の内径は、スリーブ組立体100の外径より大きいので、過度の努力を要せずスリーブ組立体100を十分に受容する。予め拡張されたユニット381は、作業者がケーブルスリーブ組立体100上に圧縮バンド382を取り付ける準備ができるまで、ケーブル20上に保持又は置いておくことができる。
【0059】
スリーブ組立体100が保護被覆組立体102を形成するために上述したように取り付けられた後、予め拡張された各ユニット384は、スリーブ110上、特にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の各一の上の所定位置へ摺動される。次に、ホールドアウト384は圧縮バンド382から除去されるので、圧縮バンド382が緩んでスリーブ110の周りに半径方向に強制的に後退することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、スリーブ110の端縁124,126間の全体に配置され、スリーブ110から宙吊りになったりケーブル20と直接係合したりすることはない。
【0060】
圧縮バンド382の緩んだ内径は、取り付けられたスリーブ組立体100の少なくとも外径より小さい。従って、圧縮バンド382は、(弾性張力のため)スリーブ110及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の上に半径方向内向きの圧縮力すなわちクランプ力、荷重又は圧力が作用する。これにより、圧縮バンド382は、ケーブル20及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154間の界面での封止や、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154及びスリーブ110の内面116間の界面での封止を改善したり維持したりする。このようにして、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154、ケーブル20及びスリーブ110間の係合及びこれによる封止は、維持され強化される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、弾性を保ったままであり、取付け後に下に位置する部品に持続的な半径方向の圧縮荷重を印加する。すなわち、圧縮バンド382は、半径方向内向きのバイアスを印加し続ける。この持続的なバイアスは、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154、ケーブル20及びスリーブ110が拡張し収縮する(例えば、温度変化の結果として)か、互いに関して機械的に変位する場合であっても、これら部品間の封止の維持を補助する。このため、圧縮バンド382は、取付け後、予荷重圧力印加バンドすなわち付勢バンドとして作用する。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は各々、約35〜250kPaの範囲内で持続的な半径方向の圧縮荷重を印加する。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の緩んだ内径は、圧縮バンド382の取付けが意図されている最小直径で取り付けられた被覆組立体102よりも少なくとも10%少ない。
【0063】
螺旋状に巻回されたホールドアウト384が図示され上述されたが、他のタイプのホールドアウト及び配置方法を使用してもよい。例えば、ホールドアウトは、圧縮バンド382がスリーブ110上に巻かれる管であってもよい。
【0064】
図14を参照すると、本発明の別の実施形態に係る圧縮システム480が、被覆組立体201上に部分的に取り付けられて示される。圧縮システム480は、1組の複数の冷間収縮可能な圧縮バンド482A〜482Dが設けられ、スリーブ組立体100の各端部に取り付けられている点を除き、圧縮システム380に対応する。各組の圧縮バンド482A〜482Dは、図示されるように共用のホールドアウト484上に設けられるか、各々がそれら自体の個別のホールドアウトに実装されてもよい。
【0065】
圧縮バンド482A〜482Dは、圧縮バンド382に関して上述したのと同じ材料で形成され、同じ方法で取り付けられる。所与の組の圧縮バンド482A,482B,482C,482Dは、同じ特性又は互いに異なる特性(例えば、弾性係数、緩んだ直径、幅、厚さ、材料)を有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド482A〜482Dの厚さは約0.1〜0.5cmの範囲にある。いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド482A〜482Dの長さL4は約0.25〜3cmの範囲にある。
【0067】
図15を参照すると、本発明の別の実施形態に係る圧縮システム590が、被覆組立体102上に取り付けられて示される。圧縮システム590は、テープラップ594としての被覆組立体102のいずれか一端に取付け可能な圧縮テープ592の長さを有する。
【0068】
圧縮テープ592は任意の適当なテープを有してもよい。いくつかの実施形態によれば、圧縮テープ592は弾性を有するテープである。いくつかの実施形態によれば、圧縮テープ592は自己融合型封止テープからなる。いくつかの実施形態によれば、圧縮テープ592は、テープ592の許容された伸びの程度を制限する基材(いくつかの実施形態ではメッシュ生地)を含浸したシリコーン自己溶融型テープからなる。いくつかの実施形態によれば、テープ592の伸びは約0〜25%に制限されている。適当な圧縮テープは、タイコ・エレクトロニクス社から市販されている溶融テープからなっていてもよい。スリーブ組立体100が保護被覆組立体102を形成するために上述したように取り付けられた後、所定長さの圧縮テープ592は、図示されるように各テープラップ594を形成するために、スリーブ組立体100の周り、特にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の各々の上にきつく巻回される。いくつかの実施形態によれば、テープ592は、スリーブ110の周りに螺旋状に巻回される。テープ592は、スリーブの周りに巻回されると意図的に張力が加えられるので、テープラップ594として一旦取り付けられると、スリーブ110上に半径方向の圧縮荷重が印加される。
【0069】
上述したように、いくつかの実施形態において、圧縮テープ592は弾性を有するテープである。取付けの際、テープ592がテープラップ594としてスリーブ組立体100に一旦付けられると、テープ592が下に位置する部品20,152,154,110に半径方向の圧縮荷重を持続的に印加し続ける(すなわち、フープ応力がテープラップ594に保持される)ように、テープ592が弾性的に延ばされる。この圧縮荷重は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154と密な圧縮接触になるようスリーブ110を押圧する。このようにして、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154、ケーブル20及びスリーブ110間の係合及び封止は、維持され強化される。このため、テープラップ594は、取付け後、予荷重圧力印加テープすなわち付勢テープとして作用する。いくつかの実施形態によれば、各テープラップ594は、約5〜25kPaの範囲内で持続的な半径方向の圧縮荷重を印加する。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、テープラップ594は、スリーブ110の端縁124,126間の全体に配置され、スリーブ110から宙吊りになったりケーブル20と直接係合したりすることはない。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、各テープ592の幅W5は約2〜7cmの範囲にある。いくつかの実施形態によれば、各テープラップ594の長さL5は約5〜15cmの範囲にある。
【0072】
取付け作業者を支援するために、図16に示されるように、互いの近傍に縦縁部120,122(及びコネクタ部132,140)を一時的に保持するために、1個以上の仮ラッチクリップ60を用いてもよい。クリップ60が「第3の手」を提供するので、取付け作業者は、コネクタ部132,140をより容易に相互ロックすることができる。コネクタ部132,140が相互ロックされた後(又は1個以上の補助圧縮部材が取り付けられた後)、クリップ60を除去することができる。
【0073】
図17及び図18を参照すると、仮ラッチクリップ60が示される。仮ラッチクリップ60は、本体62、垂下する横脚64及びラブ66を有し、これらが共同でクリップ溝68を区画する。使用の際、コネクタ部132,140は溝68に受容され、タブ66は把持面134A,142Aの下に入れ子状態となり、クリップ60を所定位置に固定する。
【0074】
本明細書に記載されたスリーブ組立体及び被覆組立体は、ケーブルスプライス等の周りに環境封止を形成するために(例えば、スプライスを再度被覆するために)、範囲が設定された(例えば、波状の)冷間巻回スリーブを提供する。ケーブル周囲を封止するマスチック樹脂製パッチは、IEEE規格404−2006に反映された比較的高いケーブル作動温度に耐えるケーブルの周りに環境からの封止を提供しながら、冷間取付けを用いて効果的な封止を形成することができる。特に、半架橋したマスチック樹脂製パッチ152,154は、これら二重の利益を与える。本明細書に記載されているようにマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154を高温でプレスすることにより、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が巻回スリーブの波状内面に十分に形状が一致して接着し、作動時に十分な係合を提供することを確保できる。マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、ケーブル部を十分に環境から封入する縦方向環境封止を提供することができる。
【0075】
本明細書に記載された圧縮部材及び圧縮システム(例えば、圧縮システム270,380,480,590)は、周囲封止マスチック樹脂152,154を圧縮し、特にケーブル20やスリーブ110を拡張又は収縮させる作動時温度変動を被覆組立体102が受ける場合に、マスチック樹脂152,154の完全性を改善する。いくつかの実施形態によれば、圧縮部材は、マスチック樹脂製パッチ152,154をケーブル20に接合するために限定された時間でケーブル20に接触状態にするマスチック樹脂製パッチ152,154を移動することのみが必要であり、除去可能であるかもしれないし、十分な封止を維持することは最早不要かもしれない。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154及びマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、ケーブル室104に対する水分封止を提供する。いくつかの実施形態によれば、取り付けられた被覆組立体102は、IEEE規格404−2006(定格2500〜500000Vの押出し成形され積層された誘電遮蔽ケーブル結合部に対するIEEE規格)に完全に準拠している。特に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、IEEE規格404−2006に反するケーブル20の周りの水又は汚染物の侵入を許容しないように組成され構成される。
【0077】
本明細書に記載された好適な実施形態は具体的な接続部構成を示したが、当業者が理解する様々な適当な接続部構成も使用可能であることを理解されたい。
【0078】
図1の例示実施形態は縦方向延長部が一体形成されたリブ部材及びソケット部材を示したが、本発明のリブ部材及びソケット部材は、当業者が理解するように様々な手段で第1及び第2の縦方向縁部に結合することができる。リブ部材及びソケット部材はまた、これらの部材を第1及び第2の縦方向縁部に接合することにより第1及び第2の縦方向縁部に結合してもよい。この接合は、当業者が理解する様々な方法で行ってもよい。リブ部材及びソケット部材が縦方向延長部とは異なる材料からなる場合、好適には、リブ部材及びソケット部材を縦方向延長部で同時押出し成形することにより接合が達成される。
【0079】
例示の実施形態は特に機械的なコネクタを有して示されるが、本発明のコネクタは、当業者が理解するように任意の適当なコネクタであってもよいことを理解されたい。例えば、本発明のコネクタは、異なる構成、化学的コネクタ(例えば、接着剤)等を有する機械的コネクタであってもよい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載された圧縮システム(例えば、圧縮システム270,380.480,590)は、別のタイプの(例えば、マスチック樹脂製封止材ではなくゲル封止材を用いた)冷間巻回スリーブを用いて使用することができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、マスチック樹脂以外の封止材からなっていてもよい。例えば、閉鎖ストリップ160は、代わりに、ゲル封止材又はコーキング型の接着剤であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、半架橋されていないマスチック樹脂から形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、ゲル封止材のパッチ又は塊等の非マスチック樹脂製封止パッチに置換してもよい。
【0083】
上述したことは、本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈すべきでない。本発明の二、三の典型的な実施形態を説明したが、当業者であれば、本発明の新規な教示及び利点から大きく逸脱することなく、典型的な実施形態に多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。従って、このような全ての変形は、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲内に含まれることが意図されている。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクションの請求項は、謳われた機能を実行するものとして本明細書に記載された構造をカバーし、構造的等価物のみならず、等価な構造までもカバーすることが意図されている。従って、上述したことは、本発明の例示であり、開示された特定実施形態に限定するものとして解釈すべきでなく、他の実施形態と同様に開示された実施形態に対する変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本発明は特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲の等価物は特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
100 ケーブルスリーブ組立体
110 巻き付け型スリーブ
114 ケーブル室
132 第1コネクタ部
140 第2コネクタ部
144 ソケット
152,154 マスチック樹脂製ケーブルパッチ
160 マスチック樹脂製閉鎖ストリップ
172 ケーブルタイ(補助圧縮システム)
270,380,480 補助圧縮システム
274 固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの封止(sealing)に関し、特に、巻き付け型ケーブルスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
電力業界において、ケーブルの保全状態を維持することは重要である。高電圧ケーブルの短絡等、ケーブルの保全状態が損なわれると、停電や、よりひどい場合、人命が失われる結果となる可能性がある。ケーブル保全に対して大きな脅威をもたらす可能性がある日常の作業は、電気接続部を形成することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気接続部が形成される際に、スプライスコネクタ等の金属露出面が露出する。これらの露出面は、周囲環境にさらされる現場で形成される際に、特に有害である。この環境には、岩や、他の鋭利な物体のほか、接続部が地中に埋設される際の湿度や宙吊りにされる際の降雨が含まれる。このため、このような電気接続部を環境から保護する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するための巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブと、マスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部の内面に配置され、縦方向延長部を横切って延びる。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。
【0005】
本発明の方法の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止する、保護されたケーブル組立体を形成する方法は、巻き付け型スリーブ及びマスチック樹脂製ケーブルパッチを設ける工程を具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部の内面に配置され、縦方向延長部を横切って延びる。本方法は、縦方向延長部がケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、マスチック樹脂製ケーブルパッチがケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように、ケーブル部の周囲に巻き付け型スリーブを巻回する工程をさらに具備する。
【0006】
本発明の方法の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するために巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際にケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する巻き付け型スリーブを設ける工程と、縦方向延長部の内面にマスチック樹脂製ケーブルパッチを配置する工程とを具備し、マスチック樹脂製ケーブルパッチは、縦方向延長部を横切って延び、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。
【0007】
本発明の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムは、巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する。巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。ケーブル封止パッチは、縦方向延長部の内面に配置されると共に、縦方向延長部を横切って延びる。ケーブル封止パッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。補助圧縮システムは、圧縮部材と、固定部材とを具備する。圧縮部材は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回されてケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能である。固定部材は、巻き付け型スリーブ上に配置可能である。固定部材は、巻き付け型スリーブ及び圧縮部材と機械的に係合し、巻き付け型スリーブ及び圧縮部材間の相対移動を制限するよう構成される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムは、巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する。巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備する。巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有する。縦方向延長部は、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する。ケーブル封止パッチは、縦方向延長部の内面に配置されると共に、縦方向延長部を横切って延びる。ケーブル封止パッチは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回される際に、ケーブル部と係合してケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置される。補助圧縮システムは、巻き付け型スリーブがケーブル部の周囲に巻回されてケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能な弾性圧縮部材を具備する。
【0009】
本発明のさらなる特徴、利点及び詳細は、以下の実施形態の図面及び詳細な説明を読めば当業者には理解されるであろう。このような説明は、単に本発明を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る巻き付け型スリーブ組立体を前側且つ正面側から見た斜視図である。
【図2】図1のスリーブ組立体を上側且つ後側から見た斜視図である。
【図3】図1のスリーブ組立体を上側且つ後側から見た分解斜視図である。
【図4】図1のスリーブ組立体の端面図である。
【図5】図1のスリーブ組立体を形成するためのプレス装置の端面図である。
【図6】図1のスリーブ組立体を使用して被覆される1対のケーブル及びスプライスを示す斜視図である。
【図7】図1のスリーブ組立体から形成される被覆組立体を有する環境保護接続組立体の斜視図である。
【図8】図7の8−8線に沿った図7の接続組立体の断面図である。
【図9】図7の9−9線に沿った図7の接続組立体の断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の部分斜視図である。
【図11】図10の圧縮システムの一部を形成する固定部材を下から見た斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図13】図12の圧縮システムを展開するのに使用される予め拡大されたユニットの斜視図である。
【図14】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図15】本発明の実施形態に係る別の圧縮システムを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図16】被覆組立体に取り付けられた1対の仮ラッチクリップを有する図7の被覆組立体の斜視図である。
【図17】図16の仮ラッチクリップを上から見た拡大斜視図である。
【図18】図16の仮ラッチクリップを下から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態が示された添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、異なる多くの形態で実施することができ、本明細書に説明された実施形態に限定するものと解釈してはならない。図面の説明を通して、同様の要素には同様の参照番号が付される。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用されているように、単数形は、特に明記されない限り、複数も同様に含むことが意図されている。「有する」、「具備する」の用語は、本明細書で使用される際には、説明された特徴、整数、工程、作動、要素、部品の存在を特定するが、1個以上の他の特徴、整数、工程、作動、要素、部品、グループの存在又は追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書で使用されているように、「〜及び〜の一方又は両方」は、関連する1以上の要素のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0013】
1個の要素が別の要素と「結合」すると言及される場合、その他の要素に直接結合することができ、或いは介在する要素が存在することもあり得ることを理解されたい。対照的に、1個の要素が別の要素に「直接結合される」と言及される場合、介在する要素は存在しない。
【0014】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業界の通常の知識を有する者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義される用語等の用語は、本明細書の文脈及び関連技術での意味と一致する意味を有するものとして解釈すべきであり、本明細書で明記して定義されない限り、理想的又は過度に正式に解釈しないことを理解されたい。
【0015】
本明細書で使用されているように、「冷間」又は「冷間被覆」は、被覆又は部品が、加熱を要することなく基材(例えば、ケーブル)の周りに組み立てられる、又は取り付けられることを意味する。
【0016】
本明細書で使用されているように、「冷間収縮」又は「冷間収縮被覆」は、被覆又は部品が、加熱を要することなく基材(例えば、ケーブル)の周りで収縮できることを意味する。
【0017】
図1ないし図15を参照すると、本発明の実施形態に係るケーブル被覆システムすなわちケーブル被覆キット101(図7参照)が図示されている。ケーブル被覆システム101は、電気絶縁材料から作製されたスリーブ組立体100(図1ないし図4参照)と、本明細書でさらに説明される任意の補助圧縮部材すなわち補助圧縮システム172,270,380,480とを有する。ケーブル被覆システム101は、ケーブル及びコネクタ等の電気基材を覆うと共に絶縁するために使用される。ケーブル被覆キット101は、図7ないし図9に示される環境保護接続組立体(環境から保護された接続組立体)10を形成するため、又はケーブルの損傷部を覆うために、2本以上のケーブル20及びコネクタ24間の接続部すなわちスプライス25(図6参照)を覆い且つ封止するよう被覆組立体102(図7ないし図9参照)内に組み込まれる。同様に、ケーブル被覆キットは、ケーブルの外被が除去されたケーブルの一部分を再度被覆するのに使用される。スプライス25又はケーブルの他の適当な部分は、被覆組立体102内に区画される環境封止室104(図7ないし図9参照)に収容される。ケーブル20は、導電性コア20Aと、周囲の電気絶縁体20B(図6参照)とを有する。ケーブル20はケーブル軸B−Bを有する。
【0018】
図1ないし図4を参照すると、スリーブ組立体100は、巻き付け型スリーブ110と、1対のケーブルマスチック樹脂の塊、ストリップ又はパッチ152,154と、及び閉鎖マスチック樹脂の塊又はストリップ160とを有する。
【0019】
巻き付け型ケーブルスリーブ110は、縦軸A−A(図1参照)を画定し、縦方向延長体112及びコネクタシステム130(図7参照)を有する。縦方向延長体112は縦方向延長主部114(図3参照)を有する。縦方向延長部114は、第1縦閉鎖縁120と、この第1縦閉鎖縁120から平行に横方向に離間する第2縦閉鎖縁122と、互いに対向する横方向延長端縁124,126と、外面116及び内面117(図4参照)とを有する。
【0020】
主部114は、横断面において波状部128を有する。図示されているように、波状部128は、横断面においてU形状である。しかし、波状部は、代わりにW形状のジグザグパターン又は他の適当なパターンを有してもよい。
【0021】
コネクタシステム130(図1、図4及び図8参照)は、互いに嵌合可能な第1コネクタ部132及び第2コネクタ部140を有する。第1コネクタ部132は、第1縦縁部120に結合されると共に第1縦縁部120から延びるピン部材すなわちリブ部材134として構成される。リブ部材134は、先端縁136Aがテーパ状輪郭(図示されるように、半円形)をなすピンすなわちリブ136の形態のインサート部材を有する。リブ部材134はテール部材138を有する。テール部材138は第1縦縁120に結合される。
【0022】
第2コネクタ部140は、第2縦縁部122に結合されると共に第2縦縁部122から延びるソケット部材142として構成される。ソケット部材142はソケット144を区画する。ソケット部材142は、ソケット部材142の閉鎖側から延びると共に閉鎖側から横方向に離間する末端を有するリップ部材146(図4参照)を有する。ソケット144は、リブ136と接続可能に係合するよう構成される。ソケット144は、1対の対向する着座部材すなわちラッチ部材すなわち逆刺148(図4参照)を有する。
【0023】
リブ部材134及びソケット部材142は、ケーブル部の周りにスリーブ110を巻き付け固定する際に補助する把持面134A,142A(図4参照)をそれぞれ有する。
【0024】
縦方向に離間する1対の切欠すなわち窓開口部145,147は、第2コネクタ部140に形成されている。窓開口部145,147は、ソケット144に連通すると共に、マスチック樹脂パッチ152,154を縦方向に位置決めされすなわちマスチック樹脂パッチ152,154と整列する。
【0025】
マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、端縁124,126に隣接してスリーブ110にそれぞれ実装され、間に間隙151(図1参照)を区画するよう縦方向に離間した関係にある。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、組成及び構造がほぼ同一であるので、以下ではマスチック樹脂製ケーブルパッチ152のみを詳細に説明する。この説明は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ154にも同様に当てはまることを理解されたい。
【0026】
図3を参照すると、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、互いに対向する縦縁152A,152B、互いに対向する横縁152C,152D、並びに内面153及びその反対側の外面155(スリーブ110の内面116に面する)を有する。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、縦縁152A,152Bがスリーブの縦縁120,122に又は縦縁120,122を越えて配置され、その結果、スリーブ110がケーブルの周りに巻回され固定される際にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152の横端部が重なるように、スリーブ110を連続的に横切って延びる。縦縁152Aは、図面で示されるより縦縁120のさらに内側に配置されてもよい。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、本体156と、本体156から垂下する縦方向延長リブ158を区画する。内面153はほぼ平坦である。
【0027】
外面155は、リブ158の輪郭により波状になり、スリーブ110の内面114とほぼ一致しすなわち内面114に相補的な輪郭を有する。すなわち、リブ158は、波状部128の溝128A内に嵌まり形状が一致する。いくつかの実施形態によれば、外面155は、波状部128の少なくとも始めから終わりまで、実施形態によってはマスチック樹脂製ケーブルパッチ152の横まで完全に内面114に接着又は接合される。
【0028】
図示されているように、間隙151は、主部114上に封止材がない部分である。しかし、他の実施形態によれば、パッチ152,154間の主部114上に追加のマスチック樹脂製ケーブルパッチが設けられてもよく、又は、ケーブル封止材は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152の位置からマスチック樹脂製ケーブルパッチ154の位置まで連続的に延びていてもよい。
【0029】
マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160はソケット144内に配置されるので、ソケット144は閉鎖封止材室として作用する。特に、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、少なくともマスチック樹脂製ケーブルパッチ152からマスチック樹脂製ケーブルパッチ154までソケット144の長さに沿って縦に延びる。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、縁124から縁126までほぼ連続的に延びる。
【0030】
スリーブ110の端部開口及び閉鎖継目の周りに巻き付け型ケーブル被覆組立体102のケーブル室104用の連続封止部を設けるために、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ154は各々、窓開口部145,147でマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160と交差する。特に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は第1窓開口部145を(少なくとも部分的に)通ってマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160に封止接触し、マスチック樹脂製ケーブルパッチ154は第2窓開口部147(図9参照)を(少なくとも部分的に)通ってマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160に封止接触する。
【0031】
巻き付け型スリーブ110は絶縁材料から作製される。この材料は、当業者であれば理解できるように、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマが含まれるがこれらに限定されない様々な絶縁材料であってもよい。いくつかの実施形態によれば、絶縁材料は熱可塑性エラストマである。熱可塑性エラストマは、当業者であれば理解できるように、様々な熱可塑性エラストマであってもよく、好適にはポリプロピレン/ゴムの混合物及びポリウレタンからなるグループから選択される。最も好適な熱可塑性エラストマは、サントプレン(登録商標)の名でアドバンスト・エラストマ・システム社から市販されているポリプロピレン/ゴムの混合物である。縦方向延長部114は、少なくとも約55、好適には少なくとも約80、より好適には少なくとも約90のショアA硬度を有する。縦方向延長部114は、好適には下限及び上限の間の曲げ弾性率を有する。下限は、好適には約2,000psi、より好適には約4,000psi、最も好適には約6,000psiである。上限は、好適には約100,000psi、より好適には約25,000psi、最も好適には約10,000psiである。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、縦方向延長部114は、下限及び上限の間でASTM D412測定法で100%引張係数を有する。いくつかの実施形態において、下限は、好適には約250psi、より好適には約800psi、最も好適には約1,300psiである。上限は、好適には約3,000psi、より好適には約1,800psi、最も好適には約1,600psiである。いくつかの実施形態によれば、縦方向延長部114は、ASTM D412計測法で約60%未満、より好適には約50%未満、最も好適には約20%未満の永久伸び(tension set)を有する。縦方向延長部114は、少なくとも約15%、より好適には少なくとも約30%、最も好適には少なくとも約50%の横距離を有してもよい。縦方向延長部114は、約10%未満、より好適には約5%未満、最も好適には約2%未満の縦距離を有してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、縦方向延長部114は第1のポリマで製作されるのに対し、コネクタ部132,140は第2の異なる(すなわち、タイプや処方が異なる)ポリマで製作される。このため、コネクタ部132,140には、縦方向延長部114よりも大きな剛性が提供される。いくつかの実施形態において、縦方向延長部114を形成する第1ポリマは熱可塑性エラストマであり、より大きな剛性を有するコネクタ部132,140の材料はポリプロピレンである。他のコネクタの構成も使用可能である。例えば、別体の外部ラッチ締め具を縦縁120,122に付けてもよいし、縁120,122に協働する構造を設けてもよい。
【0034】
マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、任意の適当な流動性封止マスチック樹脂で形成されてもよい。本発明の実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも部分的に架橋された(半架橋)ポリマを有する。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも部分的に架橋されたポリマを有するが、依然として変形可能であり、スリーブ110及びケーブル絶縁体20Bに対して接着性を有する。しかし、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の架橋は、作動温度でマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154がスリーブ110から流動することを防止する。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも−20〜135℃の作動温度範囲で自由に流動しない。このため、いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154のポリマは、140℃より高い温度、より好適には150℃より高い温度、最も好適には180℃より高い温度の自由流動温度を有する。いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154のポリマは、架橋による分解の前に流動しない。いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は架橋ブチルゴムを有する。他の適当なマスチック樹脂には、合成ゴム又は合成ポリママスチック樹脂を含むマスチック樹脂がある。さらに、いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は電気的に絶縁体である。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154に含まれる適当なポリマには、タイコ・エレクトロニクス社が販売しているS1278がある。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の厚さT1(図4参照)は約0.25〜2cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の長さL1(図1参照)は約5〜15cmの範囲内にある。各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の幅W1(図1参照)は約7〜40cmの範囲内にある。この幅W1は、スリーブ本体112の幅と同じであってもよい。
【0036】
マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、任意の適当な流動性封止マスチック樹脂で形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154とは異なるマスチック樹脂組成で形成される。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、約−20〜45℃の範囲の取付け温度でマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154より柔軟なマスチック樹脂である。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂160は、作動温度範囲の全温度でマスチック樹脂152,154より柔軟である。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂160は、マスチック樹脂152,154より低い自由流動温度を有する。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154より低い軟化点温度(すなわち、マスチック樹脂が流動するより低い温度範囲)を有する。
【0037】
いくつかの実施形態ではマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160はブチルゴムからなり、いくつかの実施形態ではマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は合成ゴム又は合成ポリママスチック樹脂からなる。マスチック樹脂160は半架橋されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂160は、少なくとも−20〜95℃の作動温度範囲では自由に流動しない。また、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は電気的に絶縁物である。マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160に含まれる適当なポリマには、タイコ・エレクトロニクス社が市販するS1337型マスチック樹脂がある。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160の厚さT2(図4参照)は、約0.25〜1cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160の長さL2(図1参照)は、ソケット144とほぼ同じ長さである。いくつかの実施形態によれば、長さL2は、少なくともマスチック樹脂製ケーブルパッチ152からマスチック樹脂製ケーブルパッチ154までの距離である。
【0039】
巻き付け型スリーブ110は、任意の適当な技法を用いて形成されてもよい。いくつかの実施形態において、電気絶縁材料の連続体(web)が押出し成形され、次に、第1端及び第2端を有する巻き付け型ケーブルスリーブを形成するよう切断される。押出し成形工程は、波状横断面を規定する波状部を有する連続体を押出し成形する工程からなる。押出し成形工程はまた、剛性を有する熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマを同時押出し成形する工程を有してもよい。押出し成形工程は、当業者に理解されるように、任意の適当な方法により行ってもよい。マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154及びマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、(後述するように、例えば)連続体が所定長さに切断される前又は後に、スリーブ110に取付け又は付着されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、スリーブ110上にプレスされる前にホットプレスすなわち加熱される。特に、上述したようにいくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は半架橋されたマスチック樹脂であり、室温では限定された流動性すなわち変形可能性を有する。波状溝128Aの内面116との良好な界面及び接着を確保するために、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、少なくとも所定の時間、所定の高温で加熱され所定の圧力でプレスされるので、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は流動すなわち変形し、波状溝128Aと形状が一致する。その後、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、室温まで冷却される。いくつかの実施形態によれば上述したプレス温度は約60〜100℃の範囲内であり、いくつかの実施形態では約80〜120℃の範囲内である。いくつかの実施形態によれば上述したプレス圧力は約150〜350kPaの範囲内であり、いくつかの実施形態では約250〜750kPaの範囲内である。いくつかの実施形態によれば上述のプレス時間は約0.5〜2秒の範囲内であり、いくつかの実施形態では約0.25〜5秒の範囲内である。
【0041】
図5を参照すると、スリーブ110内にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152をプレスするための本発明の実施形態に係る典型的なプレス装置50が図示される。プレス装置50は、スリーブ110を保持するプラテン52を有する。プレス装置50は、予加熱されたマスチック樹脂製ケーブルパッチ152に荷重を加えるプレスヘッド54をさらに有する。任意であるが、各々を加熱するプラテン52及びプレスヘッド54には、加熱装置(例えば、電気抵抗ヒータ)が作動可能に接続されてもよい。荷重を印加するプレスヘッドには、荷重印加装置すなわちアクチュエータ58(例えば、油圧シリンダ)が作動可能に接続される。或いは、プレスヘッド54は手動で駆動してもよい。いくつかの実施形態において、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152は、上述の温度まで予加熱され、スリーブ110上に載置され、次にプラテン52上に載置されてプレスされる。
【0042】
マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、任意の適当な技法でソケット144に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態によれば、封止材ストリップ160は、ビード又はロープとして(例えば、押出し成形により)形成され、ソケット144内に軸方向に沿って挿入される。或いは、封止材ストリップ160は、軸方向又は横断方向に沿ってソケット144内に押出(例えば、ホットメルト接着剤のようにソケット144内に注入)されてもよい。
【0043】
図6ないし図9を参照すると、被覆キット101は、以下の方法で使用されてもよい。すなわち、1対の送電ケーブル20の間のスプライス接続部25(図6参照)上にスリーブ組立体100を付着させ、環境保護接続組立体10(図7ないし図9参照)を形成する方法である。いくつかの実施形態によれば、ケーブル20は、低電圧又は中間電圧(例えば、約120ボルト及び46kボルト)の送電ケーブルである。
【0044】
スリーブ組立体100が図1に示される開位置にある場合、スリーブ組立体100は、ケーブル組立体102が取り付けられる軸方向の位置でケーブル20に隣接して配置される。次に、スリーブ110は、ケーブル20の周りに(すなわち、スリーブ軸A−A及びケーブル軸B−Bの周りに)巻回され、コネクタ部132,140と係合状態になる。特に、リブ136は、ソケット144内に挿入され、逆刺148によりソケット144内に捕捉される。このようにして、スリーブ110は、閉じた状態でラッチされ、一端から他端まで連続した管状部材を形成し、ケーブル溝104を区画する。いくつかの実施形態によれば、スリーブ110は、閉じたときの緩んだ内径がケーブル20の外径より小さくなり、その結果、スリーブ110がケーブルに密着して波状部128が少なくともいくらか膨らむように、寸法が設定される。しかし、いくつかの実施形態において、閉じたときの緩んだ内径は、外部のすなわち補助の圧縮部材がスリーブ110をケーブル20上に締め付けることを要するように、ケーブル20の外径より大きい。
【0045】
コネクタ部材132,140は、任意の適当な技法を用いてラッチ係合することができる。いくつかの実施形態によれば、一時的な仮ラッチクリップがコネクタ部材132,140に付けられ、取付け作業者がコネクタ部材132,140を相互ロックする間、それらを一緒に保持する。機械的利点を与え、係合をし、又は係合を補助するために、工具を用いてもよい。例えば、取付け作業者は、米国特許第7197816号、米国特許第6094792号、米国特許第6195861号、又は米国特許第6219907号に記載された工具を用いてもよい。
【0046】
リブ136がソケット144内に入ると、先端面136Aはマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160を変位させ、コネクタ部132,140の周囲及び間を流れ、開口145,147間でスリーブ110の全長に沿って軸方向の封止を形成する。
【0047】
スリーブ110がケーブル20の周りで閉じるよう強制されると、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154はケーブル20と係合するよう半径方向内向きに付勢されるので、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154はケーブル20の全周を取り囲み、各ケーブル20の周りに周囲環境封止を形成する。マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160が与える環境封止及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が与える環境封止は、組み合わされることでケーブル室104を環境から封止する。封止全体の連続性は、窓開口部145,147でのマスチック樹脂152,154,160の結合により確保される。この封止は、例えば環境の水分の滲入からケーブル20及びスプライス25を保護することができる。
【0048】
マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、スリーブ110を閉じる際に、補助圧縮部材がある場合にはその補助圧縮部材による荷重印加の際に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154がケーブル20の形状に合致することを可能にする制限された程度の冷間流動性(すなわち、上述の通常の作動中又は作動温度範囲での機械的荷重の下での変形)を示す。しかし、通常の作動温度範囲内では、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の自由に流動する能力は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が過剰に流動したり、這ったり、重力、環境の水圧、ケーブル移動等による封止領域の望ましくない変位をしないように十分に低いままである。さらに、いくつかの実施形態(特に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が半架橋マスチック樹脂で形成された実施形態)によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の自由流動能力もまた、封止領域からのそのような望ましくない変位を防止するために予想される、又は可能性のある作動高温で十分に低いままである。これらの高温は、極度のケーブル抵抗加熱等により経験する可能性がある。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、補助圧縮部材は被覆組立体102上に実装され、ケーブル20に沿ったスリーブ110の変位に抗し、スリーブ110の半径方向及び軸方向の拡張を制限し、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154と封止接触状態にあるスリーブ110やケーブル20と封止接触状態にあるマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154を半径方向内向きに圧縮する。いくつかの実施形態によれば、圧縮部材は、ケーブルタイ、ジップタイすなわちタイラップ172である。他の適当な圧縮部材には、ばねホースクランプ、ロープ、ストラップクランプ、ウォーム駆動ホースクランプ、又はスナップホースクランプが含まれる。
【0050】
図10及び図11を参照しながらいくつかの実施形態によれば、被覆組立体102上には圧縮システム270が設けられる。圧縮システム270は、2対のタイラップ272及び1対の固定部材274を有する。各固定部材274は、位置決めタブ274Eを有する本体274Aを有し、スリーブ着座部274B及びタイ着座部274Cを区画する。一体のピン274Dは、本体274Aからスリーブ着座部274B内へ延びる。そして、本体274Aからは、位置決めリブ274Fも垂下する。いくつかの実施形態によれば、固定部材274は、充填剤入りのポリプロピレン又はポリカーボネート等の剛性を有するポリマ材料で形成される。固定部材274は成形されてもよい。
【0051】
使用の際、固定部材274は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の対応する層の上のスリーブ110の各端部に実装され、その結果、その位置決めタブ274Eは、隣接する端縁124,126に当接する。タイラップ272は、タイ着座部274Cを通って引き回され、固定部材274及びスリーブ110の周りをしっかりと締め、上述したようにマスチック樹脂製ケーブルパッチ152又は154を圧縮する。
【0052】
固定部材274への圧縮荷重により、ピン274Dがスリーブ110の外面に埋まる。このようにして、固定部材274は、スリーブ110に対して軸方向及び周方向に固定されるので、スリーブ110に沿ったタイラップ272の軸方向の位置も同様に固定される。固定部材274は、タイラップ272がマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の周りでその位置を維持することを補助する。固定部材274はまた、タイラップ272の荷重をより広く且つ一様に分布させ、スリーブ110の意図しない変形を減少させる。位置決めタブ274Eは、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154に対して固定部材274を適切に位置決めするよう作用し、また、固定部部材274の蛇行に抗する。
【0053】
図10にタイラップ272が図示され上述されるのに対し、他のタイプの圧縮部材(例えば、クランプ)は、タイラップ272の代わりに用いてもよい。
【0054】
図12を参照すると、本発明の別の実施形態に係る圧縮システム380は、被覆組立体102に部分的に取付けられて図示される。圧縮システム380は、1対の冷間収縮可能な圧縮スリーブすなわち圧縮バンド382を有する。圧縮バンド382はそれぞれ、ホールドアウト(holdout)384(図13に図示)上の予め拡張したユニット381として供給される。ここで、圧縮バンド382は、弾性拡張状態すなわち弾性拡張位置にある。
【0055】
圧縮バンド382は任意の適当な材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は電気絶縁材料で形成される。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は弾性拡張可能な材料で形成される。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382はエラストマ材料で形成される。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)ゴムで形成される。他の適当な材料には、ネオプレン又は他のゴムが含まれる。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、約0.1〜10MPaの範囲内の100%伸び(M100)係数を有する。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は無端バンドである。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の厚さT3(図13参照)は、約0.1〜0.5cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の長さL3は、約5〜15cmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の長さL3は、対応するマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の長さL3の約25〜125%の間である。
【0057】
ホールドアウト384は、任意の適当な材料で形成することができる。いくつかの実施形態によれば、ホールドアウト384は、剛性を有するボール紙又はプラスチックで形成される。いくつかの実施形態によれば、ホールドアウト384は、例えば図示されているような剛性を有する筒を形成するよう螺旋状に巻回されたストリップを有する。ホールドアウトデバイス384は工場で取付け可能である。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、代わりに、適当な拡張工具を用いて現場で予め拡張されてもよい。
【0058】
取付けの際、予め拡張されたユニット381は、例えば、接続部25が形成される前に各ケーブル20上に摺動される。いくつかの実施形態によれば、ホールドアウト384の内径は、スリーブ組立体100の外径より大きいので、過度の努力を要せずスリーブ組立体100を十分に受容する。予め拡張されたユニット381は、作業者がケーブルスリーブ組立体100上に圧縮バンド382を取り付ける準備ができるまで、ケーブル20上に保持又は置いておくことができる。
【0059】
スリーブ組立体100が保護被覆組立体102を形成するために上述したように取り付けられた後、予め拡張された各ユニット384は、スリーブ110上、特にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の各一の上の所定位置へ摺動される。次に、ホールドアウト384は圧縮バンド382から除去されるので、圧縮バンド382が緩んでスリーブ110の周りに半径方向に強制的に後退することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、スリーブ110の端縁124,126間の全体に配置され、スリーブ110から宙吊りになったりケーブル20と直接係合したりすることはない。
【0060】
圧縮バンド382の緩んだ内径は、取り付けられたスリーブ組立体100の少なくとも外径より小さい。従って、圧縮バンド382は、(弾性張力のため)スリーブ110及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の上に半径方向内向きの圧縮力すなわちクランプ力、荷重又は圧力が作用する。これにより、圧縮バンド382は、ケーブル20及びマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154間の界面での封止や、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154及びスリーブ110の内面116間の界面での封止を改善したり維持したりする。このようにして、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154、ケーブル20及びスリーブ110間の係合及びこれによる封止は、維持され強化される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は、弾性を保ったままであり、取付け後に下に位置する部品に持続的な半径方向の圧縮荷重を印加する。すなわち、圧縮バンド382は、半径方向内向きのバイアスを印加し続ける。この持続的なバイアスは、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154、ケーブル20及びスリーブ110が拡張し収縮する(例えば、温度変化の結果として)か、互いに関して機械的に変位する場合であっても、これら部品間の封止の維持を補助する。このため、圧縮バンド382は、取付け後、予荷重圧力印加バンドすなわち付勢バンドとして作用する。いくつかの実施形態によれば、圧縮バンド382は各々、約35〜250kPaの範囲内で持続的な半径方向の圧縮荷重を印加する。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド382の緩んだ内径は、圧縮バンド382の取付けが意図されている最小直径で取り付けられた被覆組立体102よりも少なくとも10%少ない。
【0063】
螺旋状に巻回されたホールドアウト384が図示され上述されたが、他のタイプのホールドアウト及び配置方法を使用してもよい。例えば、ホールドアウトは、圧縮バンド382がスリーブ110上に巻かれる管であってもよい。
【0064】
図14を参照すると、本発明の別の実施形態に係る圧縮システム480が、被覆組立体201上に部分的に取り付けられて示される。圧縮システム480は、1組の複数の冷間収縮可能な圧縮バンド482A〜482Dが設けられ、スリーブ組立体100の各端部に取り付けられている点を除き、圧縮システム380に対応する。各組の圧縮バンド482A〜482Dは、図示されるように共用のホールドアウト484上に設けられるか、各々がそれら自体の個別のホールドアウトに実装されてもよい。
【0065】
圧縮バンド482A〜482Dは、圧縮バンド382に関して上述したのと同じ材料で形成され、同じ方法で取り付けられる。所与の組の圧縮バンド482A,482B,482C,482Dは、同じ特性又は互いに異なる特性(例えば、弾性係数、緩んだ直径、幅、厚さ、材料)を有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド482A〜482Dの厚さは約0.1〜0.5cmの範囲にある。いくつかの実施形態によれば、各圧縮バンド482A〜482Dの長さL4は約0.25〜3cmの範囲にある。
【0067】
図15を参照すると、本発明の別の実施形態に係る圧縮システム590が、被覆組立体102上に取り付けられて示される。圧縮システム590は、テープラップ594としての被覆組立体102のいずれか一端に取付け可能な圧縮テープ592の長さを有する。
【0068】
圧縮テープ592は任意の適当なテープを有してもよい。いくつかの実施形態によれば、圧縮テープ592は弾性を有するテープである。いくつかの実施形態によれば、圧縮テープ592は自己融合型封止テープからなる。いくつかの実施形態によれば、圧縮テープ592は、テープ592の許容された伸びの程度を制限する基材(いくつかの実施形態ではメッシュ生地)を含浸したシリコーン自己溶融型テープからなる。いくつかの実施形態によれば、テープ592の伸びは約0〜25%に制限されている。適当な圧縮テープは、タイコ・エレクトロニクス社から市販されている溶融テープからなっていてもよい。スリーブ組立体100が保護被覆組立体102を形成するために上述したように取り付けられた後、所定長さの圧縮テープ592は、図示されるように各テープラップ594を形成するために、スリーブ組立体100の周り、特にマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154の各々の上にきつく巻回される。いくつかの実施形態によれば、テープ592は、スリーブ110の周りに螺旋状に巻回される。テープ592は、スリーブの周りに巻回されると意図的に張力が加えられるので、テープラップ594として一旦取り付けられると、スリーブ110上に半径方向の圧縮荷重が印加される。
【0069】
上述したように、いくつかの実施形態において、圧縮テープ592は弾性を有するテープである。取付けの際、テープ592がテープラップ594としてスリーブ組立体100に一旦付けられると、テープ592が下に位置する部品20,152,154,110に半径方向の圧縮荷重を持続的に印加し続ける(すなわち、フープ応力がテープラップ594に保持される)ように、テープ592が弾性的に延ばされる。この圧縮荷重は、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154と密な圧縮接触になるようスリーブ110を押圧する。このようにして、各マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154、ケーブル20及びスリーブ110間の係合及び封止は、維持され強化される。このため、テープラップ594は、取付け後、予荷重圧力印加テープすなわち付勢テープとして作用する。いくつかの実施形態によれば、各テープラップ594は、約5〜25kPaの範囲内で持続的な半径方向の圧縮荷重を印加する。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、テープラップ594は、スリーブ110の端縁124,126間の全体に配置され、スリーブ110から宙吊りになったりケーブル20と直接係合したりすることはない。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、各テープ592の幅W5は約2〜7cmの範囲にある。いくつかの実施形態によれば、各テープラップ594の長さL5は約5〜15cmの範囲にある。
【0072】
取付け作業者を支援するために、図16に示されるように、互いの近傍に縦縁部120,122(及びコネクタ部132,140)を一時的に保持するために、1個以上の仮ラッチクリップ60を用いてもよい。クリップ60が「第3の手」を提供するので、取付け作業者は、コネクタ部132,140をより容易に相互ロックすることができる。コネクタ部132,140が相互ロックされた後(又は1個以上の補助圧縮部材が取り付けられた後)、クリップ60を除去することができる。
【0073】
図17及び図18を参照すると、仮ラッチクリップ60が示される。仮ラッチクリップ60は、本体62、垂下する横脚64及びラブ66を有し、これらが共同でクリップ溝68を区画する。使用の際、コネクタ部132,140は溝68に受容され、タブ66は把持面134A,142Aの下に入れ子状態となり、クリップ60を所定位置に固定する。
【0074】
本明細書に記載されたスリーブ組立体及び被覆組立体は、ケーブルスプライス等の周りに環境封止を形成するために(例えば、スプライスを再度被覆するために)、範囲が設定された(例えば、波状の)冷間巻回スリーブを提供する。ケーブル周囲を封止するマスチック樹脂製パッチは、IEEE規格404−2006に反映された比較的高いケーブル作動温度に耐えるケーブルの周りに環境からの封止を提供しながら、冷間取付けを用いて効果的な封止を形成することができる。特に、半架橋したマスチック樹脂製パッチ152,154は、これら二重の利益を与える。本明細書に記載されているようにマスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154を高温でプレスすることにより、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154が巻回スリーブの波状内面に十分に形状が一致して接着し、作動時に十分な係合を提供することを確保できる。マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、ケーブル部を十分に環境から封入する縦方向環境封止を提供することができる。
【0075】
本明細書に記載された圧縮部材及び圧縮システム(例えば、圧縮システム270,380,480,590)は、周囲封止マスチック樹脂152,154を圧縮し、特にケーブル20やスリーブ110を拡張又は収縮させる作動時温度変動を被覆組立体102が受ける場合に、マスチック樹脂152,154の完全性を改善する。いくつかの実施形態によれば、圧縮部材は、マスチック樹脂製パッチ152,154をケーブル20に接合するために限定された時間でケーブル20に接触状態にするマスチック樹脂製パッチ152,154を移動することのみが必要であり、除去可能であるかもしれないし、十分な封止を維持することは最早不要かもしれない。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154及びマスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、ケーブル室104に対する水分封止を提供する。いくつかの実施形態によれば、取り付けられた被覆組立体102は、IEEE規格404−2006(定格2500〜500000Vの押出し成形され積層された誘電遮蔽ケーブル結合部に対するIEEE規格)に完全に準拠している。特に、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、IEEE規格404−2006に反するケーブル20の周りの水又は汚染物の侵入を許容しないように組成され構成される。
【0077】
本明細書に記載された好適な実施形態は具体的な接続部構成を示したが、当業者が理解する様々な適当な接続部構成も使用可能であることを理解されたい。
【0078】
図1の例示実施形態は縦方向延長部が一体形成されたリブ部材及びソケット部材を示したが、本発明のリブ部材及びソケット部材は、当業者が理解するように様々な手段で第1及び第2の縦方向縁部に結合することができる。リブ部材及びソケット部材はまた、これらの部材を第1及び第2の縦方向縁部に接合することにより第1及び第2の縦方向縁部に結合してもよい。この接合は、当業者が理解する様々な方法で行ってもよい。リブ部材及びソケット部材が縦方向延長部とは異なる材料からなる場合、好適には、リブ部材及びソケット部材を縦方向延長部で同時押出し成形することにより接合が達成される。
【0079】
例示の実施形態は特に機械的なコネクタを有して示されるが、本発明のコネクタは、当業者が理解するように任意の適当なコネクタであってもよいことを理解されたい。例えば、本発明のコネクタは、異なる構成、化学的コネクタ(例えば、接着剤)等を有する機械的コネクタであってもよい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載された圧縮システム(例えば、圧縮システム270,380.480,590)は、別のタイプの(例えば、マスチック樹脂製封止材ではなくゲル封止材を用いた)冷間巻回スリーブを用いて使用することができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製閉鎖ストリップ160は、マスチック樹脂以外の封止材からなっていてもよい。例えば、閉鎖ストリップ160は、代わりに、ゲル封止材又はコーキング型の接着剤であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、半架橋されていないマスチック樹脂から形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスチック樹脂製ケーブルパッチ152,154は、ゲル封止材のパッチ又は塊等の非マスチック樹脂製封止パッチに置換してもよい。
【0083】
上述したことは、本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈すべきでない。本発明の二、三の典型的な実施形態を説明したが、当業者であれば、本発明の新規な教示及び利点から大きく逸脱することなく、典型的な実施形態に多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。従って、このような全ての変形は、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲内に含まれることが意図されている。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクションの請求項は、謳われた機能を実行するものとして本明細書に記載された構造をカバーし、構造的等価物のみならず、等価な構造までもカバーすることが意図されている。従って、上述したことは、本発明の例示であり、開示された特定実施形態に限定するものとして解釈すべきでなく、他の実施形態と同様に開示された実施形態に対する変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本発明は特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲の等価物は特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
100 ケーブルスリーブ組立体
110 巻き付け型スリーブ
114 ケーブル室
132 第1コネクタ部
140 第2コネクタ部
144 ソケット
152,154 マスチック樹脂製ケーブルパッチ
160 マスチック樹脂製閉鎖ストリップ
172 ケーブルタイ(補助圧縮システム)
270,380,480 補助圧縮システム
274 固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル部を環境から封止するための巻き付け型ケーブルスリーブ組立体であって、
巻き付け型スリーブと、マスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備し、
前記巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有し、
前記縦方向延長部は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記縦方向延長部の内面に配置され、前記縦方向延長部を横切って延び、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置されることを特徴とする巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項2】
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は冷間ケーブル被覆組立体であることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項3】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは半架橋されたマスチック樹脂であることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項4】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは予加熱されていることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項5】
前記縦方向延長部の内面に配置され、前記縦方向延長部を横切って延びる第2マスチック樹脂製ケーブルパッチをさらに具備し、
前記第2マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に第2連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置され、
前記第2マスチック樹脂製ケーブルパッチは、第1の前記マスチック樹脂製ケーブルパッチから縦方向に離間していることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項6】
前記第2縦縁に隣接して前記巻き付け型スリーブ上に実装され、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記巻き付け型スリーブの前記第1及び第2の縦縁を環境から封止するよう構成され配置された、縦方向に延びるマスチック樹脂製閉鎖ストリップをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項7】
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体はコネクタシステムをさらに具備し、
前記コネクタシステムは、前記巻き付け型スリーブの前記第1縦縁に沿って延びると共にインサート部材を有する第1コネクタ部と、本体部の前記第2縦縁に沿って延びると共に、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に前記インサート部を受容するよう構成されたソケットを有する第2コネクタ部とを具備し、
前記マスチック樹脂製閉鎖ストリップは前記ソケット内に配置されることを特徴とする請求項6記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項8】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチ及び前記マスチック樹脂製閉鎖ストリップは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に互いに封止接触することを特徴とする請求項6記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項9】
前記マスチック樹脂製閉鎖ストリップは、前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体の所定の作動温度範囲の全温度で前記マスチック樹脂製ケーブルパッチより柔軟であることを特徴とする請求項6記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項10】
前記縦方向延長部は、波状部と、内部波状面とを有し、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記内部波状面と形状が一致することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項11】
前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回されて前記マスチック樹脂製ケーブルパッチに半径方向内向きの圧縮荷重を印加する際に、前記巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能な圧縮部材を有する補助圧縮システムをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項12】
前記圧縮部材はケーブルタイからなることを特徴とする請求項11記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項13】
前記圧縮システムは、前記巻き付け型スリーブ上に配置可能な固定部材をさらに具備し、
前記固定部材は、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材と機械的に係合し、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材間の相対移動を制限するよう構成されていることを特徴とする請求項11記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項14】
前記圧縮部材は弾性部材からなることを特徴とする請求項11記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項15】
前記圧縮部材は、ホールドアウトに取り付けられた弾性バンドからなることを特徴とする請求項14記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項16】
前記圧縮部材は弾性テープからなることを特徴とする請求項15記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項17】
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、前記ケーブル部上に取り付けられる際にIEEE規格404−2006に準拠することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項18】
ケーブル部を環境から封止する、保護されたケーブル組立体を形成する方法であって、
縦方向延長部、並びに互いに対向する第1及び第2の縦縁を有する巻き付け型スリーブと、前記縦方向延長部の内面に配置され、前記縦方向延長部を横切って延びるマスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備する巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を設ける工程と、
前記縦方向延長部が前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、前記マスチック樹脂製ケーブルパッチが前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように、前記ケーブル部の周囲に前記巻き付け型スリーブを巻回する工程と
を具備することを特徴とする保護されたケーブル組立体を形成する方法。
【請求項19】
第1及び第2のケーブルの間に電気スプライス接続部を形成する工程をさらに具備し、
前記ケーブル部の周囲に前記巻き付け型スリーブを巻回する工程は、前記電気スプライス接続部が前記ケーブル室に収容されるように、前記ケーブル部の周囲に前記巻き付け型スリーブを巻回する工程からなることを特徴とする請求項18記載の保護されたケーブル組立体を形成する方法。
【請求項20】
ケーブル部を環境から封止するために巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法であって、
縦方向延長部、並びに互いに対向する第1及び第2の縦縁を有する巻き付け型スリーブであって、該巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に前記縦方向延長部が前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する巻き付け型スリーブを設ける工程と、
前記縦方向延長部を横切って延びるマスチック樹脂製ケーブルパッチを前記縦方向延長部の内面に配置する工程と
を具備し、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置されることを特徴とする巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項21】
前記前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは半架橋されたマスチック樹脂であることを特徴とする請求項20記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項22】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを所定の高温状態まで加熱する工程と、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチが前記巻き付け型スリーブの前記内面と形状が一致するよう流動するように、前記所定の高温状態で前記巻き付け型スリーブの前記内面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを付ける工程と、
前記巻き付け型スリーブの前記内面上で前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを冷却させる工程と
を具備することを特徴とする請求項20記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項23】
前記所定の高温状態で前記巻き付け型スリーブの前記内面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを押圧する工程をさらに具備することを特徴とする請求項22記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項24】
前記縦方向延長部は、波状部及び内部波状面を具備し、
前記縦方向延長部の前記内面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを配置する工程は、前記内部波状面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチの形状を一致させる工程からなることを特徴とする請求項22記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項25】
巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムであって、
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備し、
前記巻き付け型スリーブは、縦方向延長部、並びに互いに対向する第1及び第2の縦縁を有し、
前記縦方向延長部は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、
前記ケーブル封止パッチは、前記縦方向延長部の内面に配置されると共に、前記縦方向延長部を横切って延び、
前記ケーブル封止パッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置され、
前記補助圧縮システムは、圧縮部材、及び固定部材を具備し、
前記圧縮部材は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回されて前記ケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、前記巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能であり、
前記固定部材は、前記巻き付け型スリーブ上に配置可能であり、
前記固定部材は、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材と機械的に係合し、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材間の相対移動を制限するよう構成されることを特徴とするケーブル被覆システム。
【請求項26】
巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムであって、
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備し、
前記巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有し、
前記縦方向延長部は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、
前記ケーブル封止パッチは、前記縦方向延長部の内面に配置されると共に、前記縦方向延長部を横切って延び、
前記ケーブル封止パッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置され、
前記補助圧縮システムは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回されて前記ケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、前記巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能な弾性圧縮部材を具備することを特徴とするケーブル被覆システム。
【請求項27】
前記弾性圧縮部材は、ホールドアウトに取り付けられた弾性バンドからなることを特徴とする請求項26記載のケーブル被覆システム。
【請求項28】
前記弾性圧縮部材は弾性テープからなることを特徴とする請求項26記載のケーブル被覆システム。
【請求項1】
ケーブル部を環境から封止するための巻き付け型ケーブルスリーブ組立体であって、
巻き付け型スリーブと、マスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備し、
前記巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有し、
前記縦方向延長部は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記縦方向延長部の内面に配置され、前記縦方向延長部を横切って延び、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置されることを特徴とする巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項2】
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は冷間ケーブル被覆組立体であることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項3】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは半架橋されたマスチック樹脂であることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項4】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは予加熱されていることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項5】
前記縦方向延長部の内面に配置され、前記縦方向延長部を横切って延びる第2マスチック樹脂製ケーブルパッチをさらに具備し、
前記第2マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に第2連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置され、
前記第2マスチック樹脂製ケーブルパッチは、第1の前記マスチック樹脂製ケーブルパッチから縦方向に離間していることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項6】
前記第2縦縁に隣接して前記巻き付け型スリーブ上に実装され、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記巻き付け型スリーブの前記第1及び第2の縦縁を環境から封止するよう構成され配置された、縦方向に延びるマスチック樹脂製閉鎖ストリップをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項7】
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体はコネクタシステムをさらに具備し、
前記コネクタシステムは、前記巻き付け型スリーブの前記第1縦縁に沿って延びると共にインサート部材を有する第1コネクタ部と、本体部の前記第2縦縁に沿って延びると共に、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に前記インサート部を受容するよう構成されたソケットを有する第2コネクタ部とを具備し、
前記マスチック樹脂製閉鎖ストリップは前記ソケット内に配置されることを特徴とする請求項6記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項8】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチ及び前記マスチック樹脂製閉鎖ストリップは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に互いに封止接触することを特徴とする請求項6記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項9】
前記マスチック樹脂製閉鎖ストリップは、前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体の所定の作動温度範囲の全温度で前記マスチック樹脂製ケーブルパッチより柔軟であることを特徴とする請求項6記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項10】
前記縦方向延長部は、波状部と、内部波状面とを有し、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記内部波状面と形状が一致することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項11】
前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回されて前記マスチック樹脂製ケーブルパッチに半径方向内向きの圧縮荷重を印加する際に、前記巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能な圧縮部材を有する補助圧縮システムをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項12】
前記圧縮部材はケーブルタイからなることを特徴とする請求項11記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項13】
前記圧縮システムは、前記巻き付け型スリーブ上に配置可能な固定部材をさらに具備し、
前記固定部材は、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材と機械的に係合し、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材間の相対移動を制限するよう構成されていることを特徴とする請求項11記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項14】
前記圧縮部材は弾性部材からなることを特徴とする請求項11記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項15】
前記圧縮部材は、ホールドアウトに取り付けられた弾性バンドからなることを特徴とする請求項14記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項16】
前記圧縮部材は弾性テープからなることを特徴とする請求項15記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項17】
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、前記ケーブル部上に取り付けられる際にIEEE規格404−2006に準拠することを特徴とする請求項1記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体。
【請求項18】
ケーブル部を環境から封止する、保護されたケーブル組立体を形成する方法であって、
縦方向延長部、並びに互いに対向する第1及び第2の縦縁を有する巻き付け型スリーブと、前記縦方向延長部の内面に配置され、前記縦方向延長部を横切って延びるマスチック樹脂製ケーブルパッチとを具備する巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を設ける工程と、
前記縦方向延長部が前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、前記マスチック樹脂製ケーブルパッチが前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように、前記ケーブル部の周囲に前記巻き付け型スリーブを巻回する工程と
を具備することを特徴とする保護されたケーブル組立体を形成する方法。
【請求項19】
第1及び第2のケーブルの間に電気スプライス接続部を形成する工程をさらに具備し、
前記ケーブル部の周囲に前記巻き付け型スリーブを巻回する工程は、前記電気スプライス接続部が前記ケーブル室に収容されるように、前記ケーブル部の周囲に前記巻き付け型スリーブを巻回する工程からなることを特徴とする請求項18記載の保護されたケーブル組立体を形成する方法。
【請求項20】
ケーブル部を環境から封止するために巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法であって、
縦方向延長部、並びに互いに対向する第1及び第2の縦縁を有する巻き付け型スリーブであって、該巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に前記縦方向延長部が前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画する巻き付け型スリーブを設ける工程と、
前記縦方向延長部を横切って延びるマスチック樹脂製ケーブルパッチを前記縦方向延長部の内面に配置する工程と
を具備し、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置されることを特徴とする巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項21】
前記前記マスチック樹脂製ケーブルパッチは半架橋されたマスチック樹脂であることを特徴とする請求項20記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項22】
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを所定の高温状態まで加熱する工程と、
前記マスチック樹脂製ケーブルパッチが前記巻き付け型スリーブの前記内面と形状が一致するよう流動するように、前記所定の高温状態で前記巻き付け型スリーブの前記内面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを付ける工程と、
前記巻き付け型スリーブの前記内面上で前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを冷却させる工程と
を具備することを特徴とする請求項20記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項23】
前記所定の高温状態で前記巻き付け型スリーブの前記内面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを押圧する工程をさらに具備することを特徴とする請求項22記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項24】
前記縦方向延長部は、波状部及び内部波状面を具備し、
前記縦方向延長部の前記内面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチを配置する工程は、前記内部波状面に前記マスチック樹脂製ケーブルパッチの形状を一致させる工程からなることを特徴とする請求項22記載の巻き付け型ケーブルスリーブ組立体を形成する方法。
【請求項25】
巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムであって、
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備し、
前記巻き付け型スリーブは、縦方向延長部、並びに互いに対向する第1及び第2の縦縁を有し、
前記縦方向延長部は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、
前記ケーブル封止パッチは、前記縦方向延長部の内面に配置されると共に、前記縦方向延長部を横切って延び、
前記ケーブル封止パッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置され、
前記補助圧縮システムは、圧縮部材、及び固定部材を具備し、
前記圧縮部材は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回されて前記ケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、前記巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能であり、
前記固定部材は、前記巻き付け型スリーブ上に配置可能であり、
前記固定部材は、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材と機械的に係合し、前記巻き付け型スリーブ及び前記圧縮部材間の相対移動を制限するよう構成されることを特徴とするケーブル被覆システム。
【請求項26】
巻き付け型ケーブルスリーブ組立体及び補助圧縮システムを具備する、ケーブル部を環境から封止するためのケーブル被覆システムであって、
前記巻き付け型ケーブルスリーブ組立体は、巻き付け型スリーブ及びケーブル封止パッチを具備し、
前記巻き付け型スリーブは、縦方向延長部と、互いに対向する第1及び第2の縦縁とを有し、
前記縦方向延長部は、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部の周囲に延びるケーブル室の一部を区画し、
前記ケーブル封止パッチは、前記縦方向延長部の内面に配置されると共に、前記縦方向延長部を横切って延び、
前記ケーブル封止パッチは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回される際に、前記ケーブル部と係合して前記ケーブル部の周囲に連続的環境周囲封止を形成するように構成されると共に配置され、
前記補助圧縮システムは、前記巻き付け型スリーブが前記ケーブル部の周囲に巻回されて前記ケーブル封止パッチに半径方向内向きの圧縮荷重を加える際に、前記巻き付け型スリーブの周囲に取付け可能な弾性圧縮部材を具備することを特徴とするケーブル被覆システム。
【請求項27】
前記弾性圧縮部材は、ホールドアウトに取り付けられた弾性バンドからなることを特徴とする請求項26記載のケーブル被覆システム。
【請求項28】
前記弾性圧縮部材は弾性テープからなることを特徴とする請求項26記載のケーブル被覆システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2013−510544(P2013−510544A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536844(P2012−536844)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052250
【国際公開番号】WO2011/056363
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052250
【国際公開番号】WO2011/056363
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】
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