説明

帳票印刷システム,帳票印刷検品方法及びプログラム

【課題】プリンタで印刷された帳票の印刷状態の良否を正確に判定し得る帳票印刷システム,帳票印刷検品方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】作成された帳票データにおける印字領域のピクセルデータを元画像データ作成が作成し当該印字領域の位置情報と共に記憶部に記憶し、前記帳票データに基づいてプリンタが印刷した帳票をイメージスキャナがスキャニングして当該帳票のピクセルデータを印刷結果画像データとして読み取り、この読み取った印刷結果画像データにおける印字領域に相当する領域と記憶部に記憶された当該印字領域のピクセルデータとを比較手段が比較し、この比較結果に基づいて前記プリンタに印刷された帳票が正常であるか否かを印刷結果判定手段が判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票を印刷しその印刷物を検品する帳票印刷システム,帳票印刷検品方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
帳票を印刷するシステムにおいては、プリンタで印刷された帳票のイメージをスキャナで取り込んで元のデータと比較することで、印刷が正しく行われたか否かをチェックする技術が広く知られている。
【0003】
これに関連する技術が、特許文献1乃至3に開示されている。特許文献1には、帳票作成装置PCから受信した印刷ジョブを蓄積し、印刷された原稿をイメージを取り込んで、対応する印刷ジョブから作成されたビットマップイメージと比較して印刷状態の良否を判定する印刷処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献2に開示された関連技術は、印刷ジョブを生成し出力するホストコンピュータと、印刷ジョブに応じて印刷するプリンタ部とこの印刷物を走査して電子画像を生成するリーダ部とを有する画像入出力システムとがLAN(Local Area Network)を介して接続し、ホストコンピュータが、印刷ジョブの印刷データについて1ページごとにラスタイメージを生成してハードディスクに格納し、リーダ部から送られてくる電子画像と対応するページのラスタイメージとを比較して同一でなければ印刷は異常であると判定するという技術である。これにより、ホストコンピュータから画像入出力システムまでの通信の不具合を含め、印刷エラーを検出することができ、プリンタに印刷データが到達する前にデータ化けやビット落ちなどが発生しても対応することができるという技術である。
【0005】
特許文献3には、印字すべきイメージデータの文字の黒領域と媒体上に印字された文字の黒領域との比を求めて、この値が予め定められた値より下回ったときはインク交換の警告を発するプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−160284号公報
【特許文献2】特開2008−065447号公報
【特許文献3】平1−316284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至3に開示された各関連技術では、スキャナによるイメージ読み取り時のゴミの混入などによる印刷不備の誤検出が発生するという問題があった。また、プリンタで使用されるプリンタフォントと全く同一のフォントをコンピュータが使用できないことが通常であり、この場合、単純なイメージ比較を行っても完全に一致せず印刷不備の誤検出が発生するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記各関連技術が有する問題を解決し、プリンタで印刷された帳票の印刷状態の良否をより正確に判定し得る帳票印刷システム,帳票印刷検品方法及びプログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の帳票印刷システムは、帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する文字コード,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る帳票データを作成する帳票データ作成手段と、この作成された前記帳票データに基づいて帳票を印刷するプリンタとを備えた帳票印刷システムであって、
前記帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成する画像データ作成手段と、この作成された前記印字領域のピクセルデータをその印字領域の位置情報と共に記憶する画像データ記憶部と、前記プリンタで印刷された帳票をスキャニングして当該帳票のピクセルデータを印刷画像データとして読み取るイメージスキャナと、前記画像データ記憶部に記憶された前記印字領域のピクセルデータを基準にして前記印刷画像データの当該印字領域に相当する領域の画像データと比較する印刷結果比較手段と、この比較した結果に基づいて前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定する印刷結果判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の帳票印刷検品方法は、帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する文字コード,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る帳票データを作成し、この作成された帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成して当該印字領域の位置情報と共に記憶部に記憶し、前記帳票データに基づいてプリンタが帳票を印刷し、この印刷された帳票をイメージスキャナがスキャニングして当該帳票のピクセルデータを印刷画像データとして読み取り、前記記憶部に記憶された前記印字領域のピクセルデータを基準にして前記印刷画像データにおける当該印字領域に相当する領域の画像データと比較し、この比較した結果に基づいて前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の帳票印刷検品用プログラムは、帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する文字コード,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る帳票データを作成する帳票データ作成機能と、この作成された帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成し当該印字領域の位置情報と共に記憶装置に記憶させる画像データ作成機能と、前記帳票データを予め接続されたプリンタへ出力する機能と、前記プリンタが前記帳票データに基づいて印刷した帳票をスキャニングしたイメージスキャンから当該帳票のピクセルデータを印刷画像データとして入力する機能と、前記記憶装置に記憶された前記印字領域のピクセルデータを基準にして前記印刷画像データにおける当該印字領域に相当する領域の画像データと比較する印刷結果比較機能と、この比較した結果に基づいて前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定する印刷状態判定機能と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成したため、これにより、帳票データに基づく印字領域のピクセルデータとプリンタで帳票データに基づいて印刷された帳票をイメージスキャナがスキャニングして読み取ったピクセルデータの当該印字領域に相当する領域のデータとを比較して印刷結果が正常か否かを判定するので、帳票の紙面全体のピクセルデータを比較して判定する場合よりも、スキャニング時のゴミ混入等を起因とする印刷異常の誤判定を有効に軽減し、帳票が正常に印刷されたか否かを正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態の帳票印刷システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に開示した実施形態における帳票用紙上の印字領域の位置情報を説明する図である。
【図3】図1に開示した実施形態における帳票作成装置が保持するフォント対照表を示す図である。
【図4】図1に開示した実施形態における印字領域の位置情報とその印字領域の黒ピクセル比率とを対応付けて示す情報を示す図である。
【図5】図1に開示した実施形態の帳票印刷システムにおける画像データ作成手段の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に開示した実施形態の帳票印刷システムにおける印刷結果比較手段及び印刷結果判定手段の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の帳票印刷システムの構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態の帳票印刷システムは、帳票データを作成する帳票作成装置1と、帳票作成装置1からの印刷要求を受け付けるプリントサーバ2と、プリントサーバ2と接続するプリンタ3と、プリンタ3が印刷した帳票をスキャニングするイメージスキャナ4とで構成されている。
【0016】
図1に示すように、本実施形態における帳票作成装置1は、帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する項目,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る書式情報を予め格納した書式情報格納部11と、業務システム100から入力された印字データを書式情報の印字領域に組み込んで帳票データを作成する帳票データ作成手段12と、この帳票データ作成手段12に作成された帳票データに基づいて印字領域をラスタライズし当該印字領域のピクセルデータを作成する画像データ作成手段13と、帳票データを含む帳票印刷要求と画像データ作成手段13に作成されたピクセルデータ及びそれに対応する印字領域の位置情報とをプリントサーバ2へ送信する印刷要求送信手段15と、プリントサーバ2から送られてくる印刷結果の良否を示す情報を提示する印刷状態提示手段16とを備えている。
【0017】
プリントサーバ2は、帳票作成装置1から帳票印刷要求と各印字領域の位置情報及びその印字領域のピクセルデータとを受信する印刷要求受信手段21と、この受信した帳票印刷要求を一時的に保管するためにスプール23へ送る機能と各印字領域の位置情報及びその印字領域のピクセルデータを画像データ記憶部24へ出力する機能とを備えた印刷要求スプール手段22と、帳票印刷要求を一時的に格納するメモリであるスプール23と、各印字領域の位置情報及びピクセルデータを記憶する画像データ記憶部24と、プリンタ3の動作状況に応じたタイミングでスプール23から帳票印刷要求を読み出してプリンタ3に対応するプリンタ言語に変換してプリンタ3へ出力する印刷制御手段25とを備えている。
【0018】
また、プリントサーバ2は、更に、プリンタ3で印刷された帳票をスキャニングして読み取られたピクセルデータをイメージスキャナ4から印刷結果画像データとして入力し、画像データ記憶部24に記憶された印字領域のピクセルデータと印刷結果画像データの当該印字領域に対応する領域の画像データとを比較する印刷結果比較手段26と、この比較した結果に基づいて印刷結果画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定し判定結果を帳票作成装置1へ送る印刷結果判定手段27とを備えている。
【0019】
プリンタ3は、プリントサーバ2からの帳票印刷要求に含まれる帳票データに基づいて専用の帳票用紙に印刷を行って帳票を作成する。イメージスキャナ4は、プリンタ2で印刷された帳票をスキャニングして帳票のピクセルデータを読み取り印刷結果画像データとしてプリントサーバ2へ送信する。プリンタ3とイメージスキャナ4は、複合機として一体になっていてもよいし、プリンタ3とイメージスキャナ4の間に、プリンタ3から排出された印刷物をイメージスキャナ4へ運ぶための搬送機構を設けた構成であってもよい。
【0020】
帳票作成装置1に装備された書式情報格納部11は、帳票の書式が定義された書式情報を格納する。書式情報は、帳票用紙上に文字又は画像を印刷する箇所として設定された印字領域を定義しており、各印字領域毎に位置情報,項目属性,プリンタフォント名,文字サイズが記録された情報である。このように書式情報には、用紙のどの領域にどのような項目をどのようなフォント(書体)、文字サイズで印刷するかが定められている。例えば、帳票が請求書の場合、請求書宛名、請求品目、単価、数量、小計、合計といった項目の記載を、用紙のどの領域にそれぞれ印字を行うかが書式情報に定義されている。プリントフォントとは、プリンタ3が印刷するときに定める文字の書体である。
【0021】
ここで、図2は、印字領域の位置情報について説明する図である。印字領域の位置情報は、帳票用紙の紙面をXY平面としたX−Y座標で表わされている。図2に示すように、帳票用紙の左上の頂点を原点Oとして印字領域A1,A2,・・・を設定した場合、印字領域A1の各頂点の座標が点P=(X1,Y1)、点Q=(X2,Y1)、点R=(X2,Y2)、点S=(X1,Y2)となるので、本実施形態では、印字領域A1の位置情報を「(X1,Y1)−(X2,Y2)」もしくは「(X1,Y1,X2,Y2)」で表すように定めている。
【0022】
帳票データ作成手段12は、業務システム100から印字データを入力すると、書式情報格納部から書式情報を読み出して、印字データと書式情報とを合わせて帳票データを作成し、画像データ作成手段13及び印刷要求送信手段15へ出力する。印字データは、上述した印字領域に印刷される内容を表す文字コードや画像データであり、例えば、CSV(Comma Separated Values)形式のデータである。帳票データは、各印字領域毎に位置情報,文字コード又は画像データ,プリンタフォント名,文字サイズが記録された情報である。このように帳票データには、用紙のどの領域にどのような文字をどのようなフォント、文字サイズで印刷するかが定められている。
【0023】
画像データ作成手段13は、帳票データ作成手段12に作成された帳票データに示された印字領域をラスタライズして印字領域のピクセルデータを作成する。ピクセルデータとは、点の集合で画像を表したデータであり、その画像を形成する点がピクセルである。ピクセルデータは、各ピクセルの階調情報を有するデータである。
【0024】
画像データ作成手段13は、帳票データに記された印字領域の文字列データ、文字サイズ、プリンタフォント名に基づいて、印字領域のピクセルデータを作成する。このとき、画像データ作成手段13は、フォント対照表記憶部14に予め記憶されたフォント対照表を参照して、帳票データに示された印字領域のプリンタフォント名から類似のフォントを特定し、この類似のフォントを採用して印字領域をイメージに展開する。
【0025】
フォント対照表は、帳票作成装置1が予め保持している各ラスタライズ使用フォントとこれに類似するプリンタフォントとの対応関係を示すテーブルデータであり、図3にその一例を示す。これにより、プリンタ3で使用されるものと同一のフォントが使用できない場合でも、帳票データを印刷時と対応するフォントでピクセルデータに変換することができる。
【0026】
また、画像データ作成手段13は、予め設定された閾値以下の階調のピクセルを黒ピクセルと判定して、印字領域のピクセルデータにおける黒ピクセルの数とこの印字領域の全ピクセル数とを計算し、この全ピクセル数に占める黒ピクセル数の比率を算出するピクセル計測機能13aを備えている。0階調のピクセルのみを黒ピクセルと判定するようにしてもよい。
【0027】
更に、画像データ作成手段13は、帳票データにおける各印字領域の位置情報とその印字領域のピクセルデータの黒ピクセル比率とを対応付けた情報を印刷要求送信手段15へ出力する機能を備えている。ここで、図4は、画像データ作成手段13が印刷要求送信手段15へ出力するデータの一例を示す図である。図4に示すように、各印字領域の位置情報とその印字領域の黒ピクセル比率とが対応付けられた情報が画像データ作成手段13から印刷要求送信手段15へ送られる。
【0028】
印刷要求送信手段15は、帳票データ作成手段12からの帳票データを含む帳票印刷要求と、画像データ作成手段13からの各印字領域の位置情報およびその印字領域の黒ピクセル比率とをプリントサーバ2へ送信する。
【0029】
プリントサーバ2に装備された印刷要求受信手段21は、帳票作成装置1から帳票印刷要求と各印字領域の位置情報及びその印字領域の黒ピクセル比率とを受信する。印刷要求スプール手段22は、受信された帳票印刷要求をスプール23に記憶させる機能と、各印字領域の位置情報及びその印字領域の黒ピクセル比率とを画像データ記憶部24に記憶させる機能とを備えている。
【0030】
画像データ記憶部24は、帳票印刷要求に係る帳票データをラスタライズした場合の各印字領域毎の位置情報とその印字領域の黒ピクセル比率とを記憶する。記憶される情報については、図4に示す。
【0031】
印刷制御手段25は、プリンタ3の動作状態を管理してスプール23に記憶されている帳票印刷要求をプリンタ3に対応するプリンタ言語にして順にプリンタ3へ出力する。プリンタ言語は、例えば、ページ記述言語やPDF(Portable Document Format)形式の情報などである。
【0032】
印刷結果比較手段26は、プリンタ3が帳票印刷要求に応じて印刷した帳票をスキャニングしたイメージスキャナ4から当該帳票のピクセルデータを印刷結果画像データとして入力する機能と、印刷結果画像データを入力すると画像データ記憶部24に記憶されている印字領域の位置情報を読み出して、この位置情報に基づいて印刷結果画像データにおける当該印字領域に相当する領域を特定し、この特定した領域の黒ピクセル比率を計測するピクセル計測機能26aとを備えている。
【0033】
また、印刷結果比較手段26は、印刷結果画像データにおける印字領域に相当する領域の黒ピクセル比率と画像データ記憶部24に記憶されている当該印字領域の黒ピクセル比率との差を計算して、その算出された差の値を印刷結果判定手段27へ出力する機能を備えている。
【0034】
印刷結果判定手段27は、印刷結果比較手段26から入力した黒ピクセル比率の差が予め設定された誤差範囲内にあった場合にプリンタ3に印刷された帳票は正常であると判定し、誤差範囲内にない場合には異常であると判定する。そして、この判定結果を帳票作成装置1へ送信する。
【0035】
帳票作成装置1に装備された印刷状態提示手段16は、プリントサーバ2から送られてくる印刷状態の判定結果を提示して管理者に印刷結果の正否を知らせる手段である。例えば、図示していない表示装置に印刷結果の正否を表す画像を表示させるような構成である。
【0036】
ここで、上述した画像データ作成手段13は、帳票データをラスタライズして印字領域のピクセルデータを作成し、このピクセルデータの黒ピクセル比率を計測する構成としたが、このような構成ではなく、フォントごとに文字コードとその黒ピクセル数とを対応付けて示す対応表を予め保持し、文字サイズによる補正を行って印字領域の黒ピクセル数を算出するように構成してもよい。このような構成では、帳票データをラスタライズする必要が無く、四則演算のみで印字領域の黒ピクセル比率を算出でき、負荷を軽減することができる。
【0037】
また、イメージスキャナ4は、多値階調でピクセルデータを読み取る機能を備えてもよく、この場合、プリントサーバ2における印刷結果比較手段26のピクセル計測機能25aは、印刷結果画像データの印字領域に相当する領域の中で階調が予め設定された閾値以下のピクセルを黒ピクセルと判断して当該領域の黒ピクセル比率を計算する機能を備えている。このような構成することで、イメージスキャン4のスキャニング時に読み込まれてしまうゴミに画像を、黒ピクセルでないと判定でき、ゴミの写り込みを印刷ミスと誤検出してしまう可能性を軽減できる。
【0038】
また更に、帳票データ作成手段12は、各印字領域の特定の位置に比較用の点が印字される帳票データを作成し、印刷結果比較手段26は、印刷結果画像データにおける比較用の点を基準にして印字領域に相当する領域を特定するように構成してもよい。このように構成することで、印刷結果画像データの印字領域に対応する領域を特定する際の精度が向上する。また、印字領域内に比較用の点を2点以上印字すれば、その2点を基準にすることで傾き補正を行うことができる。
【0039】
また、プリントサーバ2における印刷結果比較手段26は、イメージスキャナ4からの印刷結果画像データにおける印字領域に相当する領域を特定したときに、当該領域をはみ出すように印刷されていることを検出した場合、その旨を知らせる情報を印刷結果判定手段27へ送る機能を備え、印刷結果判定手段27は、この情報を受けた場合、プリンタケーブル劣化などでプリンタ3への帳票データが破損し、文字化けが発生していると判断して、印刷状態が異常であると判定する機能を備えてもよい。
【0040】
次に、本実施形態の帳票印刷システムの動作について説明する。ここで、以下の動作説明は、本発明の印刷検品方法の実施形態となる。
【0041】
図5は、本実施形態の帳票印刷システムにおける画像データ作成手段13の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態における画像データ作成部13は、まず、入力した帳票データから文字コードが埋め込まれた印字領域とその埋め込まれている文字列、文字の大きさ,プリンタフォント名を読み出して(図5のステップS51)、フォント対照表に基づいて、プリンタフォント名から、類似のラスタライズ使用フォントを特定する(図5のステップS52)。このように、フォント対照表を用いることで、プリンタ3で用いられるプリンタフォントが使用できない場合でも、そのプリンタフォントに類似のフォントを選択することができる。
【0042】
そして、この特定されたラスタライズ使用フォントのフォントファイルを使用して印字領域をラスタライズしイメージに展開する(図5のステップS53)。印字領域の黒ピクセルの数と当該印字領域の全ピクセル数を計算し、全ピクセルに占める黒ピクセルの比率を求める(図5のステップS54)。
【0043】
続いて、帳票データに示された各印字領域の位置情報とその印字領域の黒ピクセル比率とを対応付けた情報を印刷要求送信主手段15へ出力する(図5のステップS55)。そして、黒ピクセル比率を計測していない別の印字領域があるか否かを確認し、存在する場合は、その別の印字領域に対して同様の処理を実行する(図5のステップS56のはい)。全ての印字領域について処理を行った場合は、終了する(図5のステップS56のいいえ)。
【0044】
図6は、本実施形態の帳票印刷システムにおける印刷結果比較手段26及び印刷結果判定手段27の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図6に示すように、まず、印刷結果比較手段26が、イメージスキャナ4から印刷結果画像データを入力すると、画像データ記憶部24から印字領域の位置情報及び黒ピクセル比率の組を読み出す(図6のステップS62)。
【0046】
続いて、印刷結果比較手段26が、読み出した印字領域の位置情報に基づいて印刷結果画像データにおける当該印字領域に相当する領域を特定しこの領域に含まれる黒ピクセルの数を計算して、当該領域の全ピクセル数を計算し、この全ピクセルに占める黒ピクセルの比率を求める(図6のステップS63)。
【0047】
印刷結果比較手段26が、画像データ記憶部24から読み出した印字領域の黒ピクセル比率と印刷結果画像データの当該印字領域に相当する領域の黒ピクセル比率との差を算出して印刷結果判定手段27へ送出する(図6のステップS64)。この算出された黒ピクセル比率の差を入力した印刷結果判定手段27が、その差が予め設定された誤差範囲内に収まっているか否かを判定する(図6のステップS65)。
【0048】
このように、印刷前の画像データと印刷結果をスキャニングして読み取った画像データとの各印字領域の黒ピクセル比率を比較して印刷の正否を判定することで、ピクセル毎に比較する場合よりも、処理負荷を軽減することができる。
【0049】
上記黒ピクセル比率の差が誤差範囲内にあると判定した場合は、印刷結果比較手段26が、画像データ記憶部24に記憶されている情報を検索して、黒ピクセル比率の差を算出していない別の印字領域に関する情報が残っているか否かを確認し(図6のステップS66)、残っている場合はその別の印字領域に対して上記黒ピクセル比率の差を算出して印刷結果判定手段27へ送出し、残っていないと確認した場合には、その旨を知らせる情報を印刷結果判定手段27へ送り、その情報を受けた印刷結果判定手段27が全ての印字領域において黒ピクセル比率の差が誤差範囲内にありプリンタ3で印刷された帳票が正常であると判定し、この判定結果を帳票作成装置1へ送信する(図6のステップS67)。
【0050】
一方で、印刷結果判定手段27が、黒ピクセル比率の差が誤差範囲内に無かったと判定したときは、プリンタ3で印刷された帳票が異常であると判定し、この判定結果を帳票作成装置1へ送信する(図6のステップS68)。
【0051】
このように、本実施形態の帳票印刷システムは、帳票印刷要求を作成した帳票作成装置1で、帳票印刷要求に係る帳票データのピクセルデータを作成しそのピクセルデータと印刷結果画像データを比較して、印刷結果の正否を判定するため、プリンタ3までの通信経路での異常発生を含めて、印刷結果が要求通りであるかを確認することができる。
【0052】
ここで、上述した帳票作成装置1とプリントサーバ2は、一体になって1つの装置で構成してもよい。また、上述した帳票作成手段12,画像データ作成手段13,印刷要求スプール手段22,印刷制御手段25,印刷結果比較手段26,印刷結果判定手段27,印刷状態提示手段16については、その動作内容をプログラム化して、1台のコンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0053】
また、帳票データがカラー出力に対応する情報の場合であれば、画像データ作成手段13は、印字領域の黒ピクセル比率を計測するのではなく、印字領域内の各ピクセルをCMYKあるいはRGBで色分解した情報を作成するように構成し、印刷結果比較手段26も、印刷結果画像データの印字領域内の各ピクセルを同様に色分解して、色分解したものでそれぞれ比較するように構成してもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態の帳票印刷システムでは、帳票印刷が、予め設計された印字領域に印字データを埋め込んで出力するという構成であることと、同一サイズの同一文字の白黒ピクセルの比率を類似のフォントの間で比較するとそれぞれほぼ同じであることは自明であることを利用して、帳票データにおける印字領域の画像データと印刷された帳票をスキャニングして読み取った画像データにおける印字領域に相当する領域とを比較して印刷の正否を判定する。これにより、例えば、スキャニング時にゴミが混入しても印字領域外であれば、印刷異常を検出することは無いので、帳票全体を比較して印刷の正否を判定する場合よりも誤判定を軽減することができる。これは、専用用紙の特定の印字領域のみに文字又は画像を印字する構成の帳票印刷システムであるから実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、帳票を印刷するシステムにおいて、印刷が正常に行われたか否かを確認するのに適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 帳票作成装置
2 プリントサーバ
3 プリンタ
4 イメージスキャナ
11 書式情報格納部
12 帳票データ作成手段
13 画像データ作成手段
14 フォント対照表記憶部
15 印刷要求送信手段
16 印刷状態提示手段
21 印刷要求受信手段
22 印刷要求スプール手段
23 スプール
24 画像データ記憶部
25 印刷制御手段
26 印刷結果比較手段
27 印刷結果判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する文字コード,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る帳票データを作成する帳票データ作成手段と、この作成された前記帳票データに基づいて帳票を印刷するプリンタとを備えた帳票印刷システムであって、
前記帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成する画像データ作成手段と、
この作成された前記印字領域のピクセルデータをその印字領域の位置情報と共に記憶する画像データ記憶部と、
前記プリンタで印刷された帳票をスキャニングして当該帳票のピクセルデータを印刷画像データとして読み取るイメージスキャナと、
前記画像データ記憶部に記憶された前記印字領域のピクセルデータを基準にして前記印刷画像データの当該印字領域に相当する領域の画像データと比較する印刷結果比較手段と、
この比較した結果に基づいて前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定する印刷結果判定手段と、を備えたことを特徴とする帳票印刷システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の帳票印刷システムにおいて、
前記画像データ作成手段は、前記作成した前記印字領域のピクセルデータの黒ピクセル比率を計測してその印字領域の位置情報と共に前記画像データ記憶部に記憶する機能を備え、
前記印刷結果比較手段は、前記印刷結果画像データの前記印字領域に相当する領域の黒ピクセル比率を計測しこの計測した黒ピクセル比率と前記画像データ記憶部に記憶された当該印字領域のピクセルデータの黒ピクセル比率との差を計算する機能を備え、
前記印刷結果判定手段は、前記印刷結果比較手段で計算された黒ピクセル比率の差が予め設定された誤差範囲内にある場合、前記印刷結果画像データに係る帳票は正常に印刷されたと判定する機能を備えたことを特徴とする帳票印刷システム。
【請求項3】
前記請求項2に記載の帳票印刷システムにおいて、
前記画像データ作成手段は、前記帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成する際に、予め保持したラスタライズ用フォントとこれに類似するプリンタフォントとの対応関係を示すフォント対照表に基づいて、前記帳票データに示された前記印字領域のプリンタフォントに類似するラスタライズ用フォントを選出しこの選出したラスタライズ用フォントを用いて当該印字領域をイメージ展開することを特徴とする帳票印刷システム。
【請求項4】
前記請求項3に記載の帳票印刷システムにおいて、
前記イメージスキャナは、前記印刷画像データを多値階調で読み取る機能を備え、
前記印刷結果比較手段は、前記印刷結果画像データの前記印字領域に相当する領域の画像データの中で、予め設定された閾値以下の階調を持つピクセルを黒ピクセルと判断して黒ピクセル数を計数し、当該画像データの黒ピクセル比率を計算することを特徴とする帳票印刷システム。
【請求項5】
帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する文字コード,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る帳票データを作成し、
この作成された帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成して当該印字領域の位置情報と共に記憶部に記憶し、
前記帳票データに基づいてプリンタが帳票を印刷し、
この印刷された帳票をイメージスキャナがスキャニングして当該帳票のピクセルデータを印刷画像データとして読み取り、
前記記憶部に記憶された前記印字領域のピクセルデータを基準にして前記印刷画像データにおける当該印字領域に相当する領域の画像データと比較し、
この比較した結果に基づいて前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定することを特徴とする帳票印刷検品方法。
【請求項6】
前記請求項5に記載の帳票印刷検品方法において、
前記印字領域のピクセルデータの作成及び記憶に際しては、
前記印字領域のピクセルデータの黒ピクセル比率を計測して当該印刷領域の位置情報と共に記憶部に記憶することとし、
前記印刷画像データの比較及び判定に際しては、
前記印刷結果画像データの前記印字領域に相当する領域の黒ピクセル比率を計測して、前記記憶部に記憶された当該印字領域のピクセルデータの黒ピクセル比率との差を計算し、この計算された黒ピクセル比率の差が予め設定された誤差範囲内にあれば前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであると判定することを特徴とする帳票印刷検品方法。
【請求項7】
前記請求項6に記載の帳票印刷検品方法において、
前記印字領域のピクセルデータの作成に際しては、
予め保持したラスタライズ用フォントとこれに類似するプリンタフォントとの対応関係を示すフォント対照表に基づいて、前記帳票データに示された前記印字領域のプリンタフォントに類似するラスタライズ用フォントを選出しこの選出したラスタライズ用フォントを用いて当該印字領域をイメージ展開することを特徴とする帳票印刷検品方法。
【請求項8】
前記請求項7に記載の帳票印刷検品方法において、
前記イメージスキャナがスキャニングして取り込む印刷画像データが、多値階調のピクセルデータである場合、前記印刷結果画像データの前記印字領域に相当する領域の黒ピクセル比率を計測する際に、予め設定された閾値以下の階調を持つピクセルを黒ピクセルと判断して前記黒ピクセル比率を計測することを特徴とする帳票印刷検品方法。
【請求項9】
帳票用紙上に設定された印字領域の位置情報とこの印字領域に印刷する文字コード,プリンタフォント名,文字サイズを定めた情報とから成る帳票データを作成する帳票データ作成機能と、
この作成された帳票データに基づいて前記印字領域のピクセルデータを作成し当該印字領域の位置情報と共に記憶装置に記憶させる画像データ作成機能と、
前記帳票データを予め接続されたプリンタへ出力する機能と、
前記プリンタが前記帳票データに基づいて印刷した帳票をスキャニングしたイメージスキャンから当該帳票のピクセルデータを印刷画像データとして入力する機能と、
前記記憶装置に記憶された前記印字領域のピクセルデータを基準にして前記印刷画像データにおける当該印字領域に相当する領域の画像データと比較する印刷結果比較機能と、
この比較した結果に基づいて前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであるか否かを判定する印刷状態判定機能と、をコンピュータに実行させることを特徴とする帳票印刷検品用プログラム。
【請求項10】
前記請求項9に記載の帳票印刷検品用プログラムにおいて、
前記画像データ作成機能を、前記印字領域のピクセルデータの黒ピクセル比率を計測して当該印字領域の位置情報と共に記憶装置に記憶させる機能とし、
前記印刷状態判定機能を、前記印刷画像データの前記印字領域に対応する領域の黒ピクセル比率を計測して前記記憶部に記憶された当該印字領域に係る黒ピクセル比率との差を計算し、この差が予め設定された誤差範囲内にあれば前記印刷画像データに係る帳票が正常に印刷されたものであると判定する機能として、前記コンピュータに実行させることを特徴とする帳票印刷検品用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−60123(P2011−60123A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210821(P2009−210821)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】