説明

干渉計

【課題】 気体の屈折率を高精度に計測すること。
【解決手段】 光源12からのレーザビーム100を測定ビーム102と参照ビーム104に分岐させ、合成ビーム106を出射する台形型偏光ビームスプリッタ14と、台形型偏光ビームスプリッタ14に相対向して配置された再帰ミラー18と、台形型偏光ビームスプリッタ14と再帰ミラー18とを連結し、参照ビーム104の光路を形成する真空容器16と、測定ビーム102と参照ビーム104の干渉に伴う測定を行う計測器20を備え、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ光路のうち測定ビーム102の光路と参照ビーム104の光路が同一の光路長に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームを用いて気体の屈折率等を測定することができる干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気の屈折率を測定する干渉計として、光ビームを発生する光源と、光源からの光ビームをビームスプリッタで参照ビームと測定ビームに分割し、分割された測定ビームを再帰ミラーに向けて照射するとともに、分割された参照ビームを、ビームスプリッタに固定された逆反射体に照射し、再帰ミラーで反射した測定ビームと可動逆反射体で反射した参照ビームをビームスプリッタで合成ビームとして合成し、この合成ビームを検出器に入射し、検出器で可動逆反射体とビームスプリッタとの間の距離の変化を表わす縞の数を、気体の屈折率の変化に伴う測定ビームと参照ビームの光路長の差の変化として検出するために、参照ビームと測定ビームの差の最大変化が、使用する光ビームの1波長よりも短くなるように、ビームスプリッタと再帰ミラーの位置を調整するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−27020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、ビームスプリッタと再帰ミラーとの間の大気が熱膨張すると、熱膨張に伴って大気の屈折率が変化し、大気の屈折率を高精度に計測することができない。
【0005】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、気体の屈折率を高精度に計測することができる干渉計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に係る干渉計は、レーザビームを発生する光源と、前記光源からのレーザビームを測定ビームと参照ビームに分岐させて、再帰ミラーに向けて出射するとともに、前記再帰ミラーで反射した測定ビームと参照ビームを合成して、合成ビームを出射する台形型偏光ビームスプリッタと、前記台形型偏光ビームスプリッタに相対向して配置され、入射した測定ビームと参照ビームをそれぞれ入射した経路とは異なる経路で前記台形型偏光ビームスプリッタに向けて反射させる再帰ミラーと、前記台形型偏光ビームスプリッタと再帰ミラーとを連結するとともに、前記参照ビームの光路を形成する真空容器と、前記台形型偏光ビームスプリッタから出射した合成ビームを受光し、受光した合成ビームを基に前記測定ビームと参照ビームの干渉に伴う測定を行う計測器とを備え、前記レーザビームが前記測定ビームと前記参照ビームに分岐する分岐点(26a)と、前記再帰ミラーで反射した測定ビームと参照ビームが合成ビームに合成される合成点(26b)とを結ぶ光路のうち前記測定ビームの光路と前記参照ビームの光路は、同一の光路長に設定されてなる構成とした。
【0007】
(作用)台形型ビームスプリッタ14と再帰ミラー18を真空容器16を介して連結するとともに、レーザビームが測定ビームと参照ビームに分岐する分岐点(26a)と、再帰ミラーで反射した測定ビームと参照ビームが合成ビームに合成される合成点(26b)とを結ぶ光路のうち測定ビームの光路と参照ビームの光路を同一の光路長に設定したので、干渉計を構成する各要素に歪みや膨張が生じても、これらの影響を抑制して、空気の屈折率を安定した状態で高精度に測定することができる。
【0008】
請求項2に係る干渉計は、請求項1に記載の干渉計において、前記台形型偏光ビームスプリッタは、直角三角形部と、当該直角三角形部の斜辺にその一辺が接合された平行四辺形部との結合により、その周囲に台形形状(14)の四辺が形成され、前記直角三角形部と前記平行四辺形部との接合による接合面の一部は、前記光源からのレーザビームを透過光としての測定ビームと反射光としての参照ビームに分岐させる第1の半透過部を構成し、前記接合面に対して45度傾斜した第1の辺は、前記第1の半透過部で分岐された測定ビームと参照ビームを前記再帰ミラーに向けて出射する出射面を構成し、前記三角形部の一辺であって、前記第1の辺と直交する第2の辺は、前記光源からのレーザビームを透過する入射面を構成し、前記四辺形部の一辺であって、前記接合面と平行な第3の辺は、前記接合面を透過した測定ビームを前記第1の辺から前記再帰ミラーの入出射面に向けて反射させるとともに、前記真空容器から前記第1の辺を介して入射した参照ビームを前記接合面側に反射させる反射面を構成し、前記接合面の他の部位は、前記第3の辺で反射した参照ビームを前記第4の辺側に反射させ、前記再帰ミラーから前記第1の辺に入射した測定ビームを前記第4の辺側に透過し、前記参照ビームと測定ビームを合成して合成ビームを生成する第2の半透過部を構成し、前記四辺形部の一辺であって、前記第1の辺と平行な第4の辺は、前記第2の透過部から合成ビームを前記計測器に向けて出射する出射面を構成し、前記再帰ミラーは、直角三角形形状に形成されて、その斜辺が、前記台形型偏光ビームスプリッタの第1の辺と平行になって配置され、前記再帰ミラーの斜辺のうち前記真空容器と相対向する中心部は、前記参照ビームの入出射面を構成し、前記再帰ミラーの斜辺のうち前記中心部から外れた部位は、前記測定ビームの入出射面を構成し、前記再帰ミラーの残りの二辺のうち一方の反射面は、前記入出射面から入射した測定ビームを他方の反射面に反射させるとともに、前記入出射面から入射して他方の反射面で反射した参照ビームを前記真空容器側へ反射させる第1のミラー反射面を構成し、前記再帰ミラーの他方の反射面は、前記第1のミラー反射面で反射した測定ビームを前記真空容器から外れた領域を介して前記第1の辺側へ反射させるとともに、前記入出射面から入射した参照ビームを前記第1のミラー反射面側に反射させる第2のミラー反射面を構成した。
【0009】
(作用)直角三角形部と平行四辺形部との接合による接合面の一部を、光源からのレーザビームを透過光としての測定ビームと反射光としての参照ビームに分岐させる第1の半透過部として構成し、接合面に対して45度傾斜した第1の辺を、第1の半透過部で分岐された測定ビームと参照ビームを再帰ミラーに向けて出射する出射面として構成し、第1の辺と直交する第2の辺は、光源からのレーザビームを透過する入射面を構成し、接合面と平行な第3の辺は、接合面を透過した測定ビームを第1の辺から再帰ミラーの斜辺に向けて反射させるとともに、真空容器から第1の辺を介して入射した参照ビームを接合面側に反射させる反射面を構成し、接合面の他の部位は、第3の辺で反射した参照ビームを第4の辺側に反射させ、再帰ミラーから入射した測定ビームを第4の辺側に透過し、参照ビームと測定ビームを合成して合成ビームを生成する第2の半透過部を構成し、第1の辺と平行な第4の辺は、第2の透過部からの合成ビームを計測器に向けて出射する出射面を構成し、再帰ミラーは、60°の三角形形状に形成されて、その入射面が、台形型偏光ビームスプリッタの第1の辺と平行になって配置され、再帰ミラーの入出射面の中心部附近は、参照ビームの入出射面(入射面または出射面)を構成し、再帰ミラーの入出射面のうち中心部附近から外れた部位は、測定ビームの入出射面(入射面または出射面)を構成し、再帰ミラーの残りの二辺のうち一方の反射面は、入出射面から入射した測定ビームを他方の反射面に反射させるとともに、入出射面から入射して他方の反射面で反射した参照ビームを真空容器側へ反射させる第1のミラー反射面を構成し、再帰ミラーの他方の反射面は、第1のミラー反射面で反射した測定ビームを真空容器から外れた領域を介して第1の辺側へ反射させるとともに、入出射面から入射した参照ビームを第1のミラー反射面側に反射させる第2のミラー反射面を構成するので、第1の半透過部と第2の半透過部とを結ぶ光路のうち測定ビームの光路と参照ビームの光路を同一の光路長にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、請求項1に係る干渉計によれば、干渉計を構成する各要素に歪みや膨張が生じても、これらの影響を抑制して、空気の屈折率を安定した状態で高精度に測定することができる。
【0011】
請求項2によれば、第1の半透過部と第2の半透過部とを結ぶ光路のうち測定ビームの光路と参照ビームの光路を同一の光路長にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る波長測定用干渉計の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る干渉計の一実施例を示すブロック構成図、図2は、測定ビームと参照ビームの光路を説明するための構成図である。
【0013】
図1において、波長測定用干渉計10は、光源12と、台形型偏光ビームスプリッタ14と、真空容器16と、再帰ミラー18と、計測器20とを備えて構成されている。
【0014】
光源12は、例えば、半導体レーザを備え、半導体レーザの発振によるレーザビーム100を台形型偏光ビームスプリッタ14に向けて出射する。
【0015】
台形型偏光ビームスプリッタ14は、直角三角形形状のプリズムで構成された直角プリズム22と、平行四辺形形状のプリズムで構成された平行四辺形プリズム24を備え、直角プリズム22の斜辺22aが、平行四辺形プリズム24の一辺24aに接合されて、接合面26として形成されている。この台形型偏光ビームスプリッタ14は、光源12からのレーザビーム100が接合面26に入射したときに、接合面26により、レーザビーム100を透過光としての測定ビーム102と反射光としての参照ビーム104とに分岐させ、測定ビーム102と参照ビーム104を再帰ミラー18に向けて出射する。
【0016】
この際、台形を構成する四辺14a、14b、14c、14dのうち辺14a(上底)と辺14b(下底)は互いに平行な一組の対辺として構成され、辺14cと辺14dは他の一組の対辺として構成されているとともに、辺14cは辺14a、14bに直交する辺として、辺14dは接合面26に平行な辺として構成されている。
【0017】
辺14cは、三角形部22の一辺であって、辺14b(第1の辺)に直交し、接合面26に対して45度傾斜した第2の辺を構成するとともに、光源12からのレーザビーム100を透過する入射面を構成する。
【0018】
辺14dは、接合面26と平行な第3の辺であって、接合面26を透過した測定ビーム102を辺14bから再帰ミラー18の反射面18bに向けて反射させる反射面を構成する。
【0019】
接合面26は、その一部が、辺14c(第2の辺)を透過したレーザビーム100を測定ビーム102と参照ビーム104とに分岐させる分岐点として機能し、レーザビーム100を測定ビーム102として透過するとともに、参照ビーム104を反射光として、辺14b側に反射させる第1の半透過部26aを構成する。
【0020】
一方、真空容器16は、円筒状に形成されて、その両端側に、円盤状に形成された光透過性のカバー28、30が窓として固定され、内部が真空に保たれている。カバー28は、辺14bの中心部(辺14bと接合面26との交点を中心とする領域)に固定され、カバー30は、再帰ミラー18の入出射面18aの中心部に固定されている。すなわち、真空容器16は、カバー28、30を介して、台形型偏光ビームスプリッタ14と再帰ミラー18とを連結するとともに、台形型偏光ビームスプリッタ14と再帰ミラー18とを結ぶ、参照ビーム104の光路として構成されている。
【0021】
再帰ミラー18は、60°の三角形形状に形成された全反射プリズムとして構成され、その入出射面18aが、台形型偏光ビームスプリッタ14の辺14bと平行になって配置されている。この再帰ミラー18は、台形型偏光ビームスプリッタ14からの測定ビーム102と参照ビーム104を入射するとともに、入射した測定ビーム102と参照ビーム104をそれぞれ入射した経路とは異なる経路で、台形型偏光ビームスプリッタ14の辺14bに向けて反射させるコーナーキューブプリズムとして構成されている。
【0022】
具体的には、再帰ミラー18の入出射面18aのうち真空容器16と相対向する中心部は、参照ビーム104の入射面または出射面を構成し、入出射面18aのうち中心部から外れた部位は、測定ビーム102の入射面または出射面を構成するようになっている。
【0023】
また、再帰ミラー18の頂点では反射面18b、18c、18d(図示せず)が直角をもって構成されて結合されている。再帰ミラー18の二つの反射面18b、18cの一方の反射面18bは、入出射面18aから入射した測定ビーム102を他方の反射面18cに反射させるとともに、入出射面18aから入射して他方の反射面18cで反射した参照ビーム104を真空容器16側へ反射させる第1のミラー反射面を構成する。
【0024】
さらに、再帰ミラー18の他方の反射面18cは、反射面(第1のミラー反射面)18bで反射した測定ビーム102を真空容器16から外れた領域(空気が存在する領域)を介して、台形型偏光ビームスプリッタ14の反射面14b側へ反射させるとともに、入出射面18aから入射した参照ビーム104を反射面(第1のミラー反射面)18b側に反射させる第2のミラー反射面を構成する。
再帰ミラー18で反射した測定ビーム102と参照ビーム104のうち測定ビーム102は、辺14bから接合面26に入射し、参照ビーム104は辺14bから辺14dに入射する。
【0025】
この際、辺14dは、真空容器16から辺14bを介して入射した参照ビーム104を接合面26側に反射させる反射面を構成する。
【0026】
また、接合面26の他の部位は、辺14dで反射した参照ビーム104を辺14a側に反射させ、再帰ミラー18から辺14bに入射した測定ビーム102を辺14a側に透過し、参照ビーム104と測定ビーム102との合成による合成ビーム106を辺14a側へ照射する第2の半透過部26bを構成するとともに、参照ビーム104と測定ビーム102とを合成する合成点として機能する。
【0027】
さらに、辺14aは、辺14bと平行な第4の辺であって、接合面26からの合成ビーム106を透過して、計測器20に向けて出射する出射面を構成する。
【0028】
計測器20は、例えば、合成ビーム106を構成する参照ビーム104と測定ビーム102との干渉に伴う干渉信号を電気信号に変換する光検出器と、電気信号を位相信号に変換し、位相信号を基に空気の屈折率の絶対値を演算する演算器で構成されている。なお、演算器としては、位相信号を基にビームの波長を演算するもので構成することもできる。
【0029】
上記構成において、光源12から辺14cに向けてレーザビーム100が出射されると、このレーザビーム100は、辺14を透過して接合面26の第1の半透過部26aで測定ビーム102と参照ビーム104に分岐される。測定ビーム102は、辺14で反射した後、空気中を伝播して復帰ミラー18に入射し、復帰ミラー18の反射面18b、18cでそれぞれ反射した後、空気中を伝播して辺14bから接合面26の第2の半透過部26bに入射する。
【0030】
一方、第1の半透過部26aで分岐された参照ビーム104は、カバー29、真空容器16、カバー30を伝播して再帰ミラー18に入射し、復帰ミラー18の反射面18c、18bでそれぞれ反射した後、カバー30、真空容器16、カバー28を伝播して辺14dに入射し、辺14dで反射した後、接合面26の第2の半透過部26bに入射する。
【0031】
接合面26の第2の半透過部26bに入射した参照ビーム104は、接合面26の第2の半透過部26bで測定ビーム102と合成される。参照ビーム104と測定ビーム102の合成による合成ビーム106は、辺14aから計測器20に向けて出射される。
【0032】
この際、第1の半透過部26a(分岐点)と第2の半透過部26b(合成点)とを結ぶ、測定ビーム102の光路と、第1の半透過部26a(分岐点)と第2の半透過部26b(合成点)とを結ぶ、参照ビーム104の光路は、同一の光路長に設定されている。
【0033】
具体的には、図2に示すように、第1の半透過部26aと辺14dにおける測定ビーム102の反射点P1との距離をL1とし、第2の半透過部26bと辺14dにおける参照ビーム104の反射点P2との距離をL2とすると、L1、L2は、平行四辺形部24の各辺に等しいので、L1=L2となる。
【0034】
反射点P1と測定ビーム102の反射面18bにおける反射点P3との距離をL3とし、第1の半透過部26aと、再帰ミラー18の反射面18cに入射する参照ビーム104と測定ビーム102との交点P4との距離をL4とすると、台形の辺14bと再帰ミラー18の入出射面18aが互いに平行であるので、L3=L4となる。
【0035】
反射点P3と、反射点P3で反射した測定ビーム102と再帰ミラー18の反射面18bで反射した参照ビーム104との交点P5との距離をL5とし、交点P5と反射面18bにおける参照ビーム104の反射点P6との距離をL6とすると、再帰ミラー18が直角三角形であるので、L5=L6となる。
【0036】
交点P5と交点P4との距離をL7とし、再帰ミラー18の反射面18cにおける参照ビーム104の反射点P7と反射面18bにおける参照ビーム104の反射点P6との距離をL8とすると、再帰ミラー18が直角三角形であるので、L7=L8となる。
【0037】
交点P4と、再帰ミラー18の反射面18cにおける測定ビーム102の反射点P8との距離をL9とし、交点P4と反射点P7との距離をL10とすると、再帰ミラー18が直角三角形であるので、L9=L10となる。
【0038】
反射点P8と第2の半透過部26bとの距離をL11とし、交点P5と辺14dにおける反射点P2との距離をL12とすると、台形の辺14bと直角三角形の入出射面18aが互いに平行であるので、L11=L12となる。
【0039】
距離L1、L3、L5、L7、L9、L11の合計は、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ光路のうち測定ビーム102の光路長に対応し、距離L4、L10、L8、L6、L12、L2の合計は、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ光路のうち参照ビーム104の光路長に対応し、L1+L3+L5+L7+L9+L11=L2+L4+L6+L8+L10+L12の関係にある。
【0040】
従って、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ、測定ビーム102の光路(L1+L3+L5+L7+L9+L11)と、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ、参照ビーム104の光路(L4+L10+L8+L6+L12+L2)は、同一の光路長となる。
【0041】
本実施例によれば、台形型ビームスプリッタ14と再帰ミラー18を真空容器16を介して互いに平行に配置するとともに、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ測定ビーム102の光路と、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ参照ビーム104の光路を同一の光路長に設定したので、干渉計を構成する各要素に歪みや膨張が生じても、これらの影響を抑制して、空気の屈折率を安定した状態で高精度に測定することができる。
【0042】
また、本実施例によれば、計測器20で合成ビーム106を基にビームの波長を測定するときには、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ、測定ビーム102の光路と、第1の半透過部26aと第2の半透過部26bとを結ぶ、参照ビーム104の光路が同一の光路長に設定されているので、ビームの波長を高精度に測定することができる。
【0043】
また、本実施例によれば、レーザビーム100を合成ビーム106として出射するに際して、1/4波長板を用いることなく、台形型偏光ビームスプリッタ14の入射面(辺14c)に対して90度の方向(辺14a)に合成ビーム106を出射することができるので、受光装置である計測器20の設置が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る干渉計の一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】測定ビームと参照ビームの光路を説明するための構成図である。
【符号の説明】
【0045】
10 干渉計
12 光源
14 台形型偏光ビームスプリッタ
16 真空容器
18 再帰ミラー
20 計測器
100 レーザビーム
102 測定ビーム
104 参照ビーム
106 合成ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを発生する光源と、前記光源からのレーザビームを測定ビームと参照ビームに分岐させて、再帰ミラーに向けて出射するとともに、前記再帰ミラーで反射した測定ビームと参照ビームを合成して、合成ビームを出射する台形型偏光ビームスプリッタと、
前記台形型偏光ビームスプリッタに相対向して配置され、入射した測定ビームと参照ビームをそれぞれ入射した経路とは異なる経路で前記台形型偏光ビームスプリッタに向けて反射させる再帰ミラーと、
前記台形型偏光ビームスプリッタと再帰ミラーとを連結するとともに、前記参照ビームの光路を形成する真空容器と、
前記台形型偏光ビームスプリッタから出射した合成ビームを受光し、受光した合成ビームを基に前記測定ビームと参照ビームの干渉に伴う測定を行う計測器とを備え、
前記レーザビームが前記測定ビームと前記参照ビームに分岐する分岐点と、前記再帰ミラーで反射した測定ビームと参照ビームが合成ビームに合成される合成点とを結ぶ光路のうち前記測定ビームの光路と前記参照ビームの光路は、同一の光路長に設定されてなる、干渉計。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉計において、
前記台形型偏光ビームスプリッタは、直角三角形部と、当該直角三角形部の斜辺にその一辺が接合された平行四辺形部との結合により、その周囲に台形形状の四辺が形成され、
前記直角三角形部と前記平行四辺形部との接合による接合面の一部は、前記光源からのレーザビームを透過光としての測定ビームと反射光としての参照ビームに分岐させる第1の半透過部を構成し、
前記接合面に対して45度傾斜した第1の辺は、前記第1の半透過部で分岐された測定ビームと参照ビームを前記再帰ミラーに向けて出射する出射面を構成し、
前記三角形部の一辺であって、前記第1の辺と直交する第2の辺は、前記光源からのレーザビームを透過する入射面を構成し、
前記四辺形部の一辺であって、前記接合面と平行な第3の辺は、前記接合面を透過した測定ビームを前記第1の辺から前記再帰ミラーの入出射面に向けて反射させるとともに、前記真空容器から前記第1の辺を介して入射した参照ビームを前記接合面側に反射させる反射面を構成し、
前記接合面の他の部位は、前記第3の辺で反射した参照ビームを前記第4の辺側に反射させ、前記再帰ミラーから前記第1の辺に入射した測定ビームを前記第4の辺側に透過し、前記参照ビームと測定ビームを合成して合成ビームを生成する第2の半透過部を構成し、
前記四辺形部の一辺であって、前記第1の辺と平行な第4の辺は、前記第2の透過部から合成ビームを前記計測器に向けて出射する出射面を構成し、
前記再帰ミラーは、直角三角形形状に形成されて、その斜辺が、前記台形型偏光ビームスプリッタの第1の辺と平行になって配置され、
前記再帰ミラーの斜辺のうち前記真空容器と相対向する中心部は、前記参照ビームの入出射面を構成し、前記再帰ミラーの斜辺のうち前記中心部から外れた部位は、前記測定ビームの入出射面を構成し、
前記再帰ミラーの残りの二辺のうち一方の反射面は、前記入出射面から入射した測定ビームを他方の反射面に反射させるとともに、前記入出射面から入射して他方の反射面で反射した参照ビームを前記真空容器側へ反射させる第1のミラー反射面を構成し、
前記再帰ミラーの他方の反射面は、前記第1のミラー反射面で反射した測定ビームを前記真空容器から外れた領域を介して前記第1の辺側へ反射させるとともに、前記入出射面から入射した参照ビームを前記第1のミラー反射面側に反射させる第2のミラー反射面を構成してなることを特徴とする干渉計。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−162629(P2009−162629A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−925(P2008−925)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000148623)株式会社 ソキア・トプコン (114)
【Fターム(参考)】