説明

平面研削盤のワーク投入装置

【課題】保持空間内におけるワークの傾きに起因した噛み込みを防止し、ワークを確実に収納ポケット内に収納することができるワーク投入装置を提供する。
【解決手段】ワーク投入装置10は、ワークWを保持するための保持空間21が表裏に貫通するように形成された板状の保持プレート20と、保持空間21内にワークWを供給する供給機構30と、保持空間21内に供給されたワークWを下方に押す押出機構40と、保持空間21内の空気を吸引し、当該保持空間21内に供給されたワークWを保持面21a,21cに吸着して、当該ワークWを保持空間21内に保持するための吸引機構50とから構成される。ワークWを保持面21a,21cに吸着することで、その姿勢が変化するのを防止することができ、ワークWを確実に収納ポケット5内に収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク収納用のポケットを有する円板状の搬送部材を備え、当該搬送部材を回転させることにより、前記収納ポケットに収納されたワークを、研削面が対向する一対の砥石間に搬入して、当該ワークを研削するように構成された平面研削盤に設けられるワーク投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記平面研削盤に設けられるワーク投入装置の一つとして、例えば、特開平11−138430号公報に開示されたワークキャリア装置が提案されている。
【0003】
このワークキャリア装置は、複数の吸引孔が形成された水平な上端面を有するガイド台と、当該ガイド台の上端面上に回転自在に配置され、収納ポケットとしての複数のワーク保持孔が形成されたキャリア円板と、当該キャリア円板を挟むように、前記ガイド台の上端面と対向する位置に設けられ、内部に多数のワークが収納されたローディング装置などから構成される。
【0004】
そして、このワークキャリア装置では、キャリア円板を回転させて、ワーク保持孔とローディング装置とを上下に一致させることで、ローディング装置内に収納されたワークのうち、最下端のワークが自重によって落下して、ワーク保持孔に供給される。
【0005】
尚、ローディング装置内に収納されたワークは、ワーク保持孔とローディング装置との位置が完全に一致するまでは、キャリア円板の上面によって支持されている。また、この際、キャリア円板及びワーク保持孔に供給されたワークは、ガイド台の上端面に形成された吸引孔を介して吸引されるため、上端面に引き付けられる。これにより、キャリア円板の波打ちが防止されるとともに、ワークがワーク保持孔に保持される。
【0006】
ところが、上記構成のワークキャリア装置においては、ワークを自重によって落下させてワーク保持孔に供給するように構成されているため、例えば、振動などの外乱によって、ワークが落下せず、ワーク保持孔にワークが供給されないといった問題が生じていた。
【0007】
そこで、このような問題を解決すべく、従来、図4及び図5に示すようなワーク投入装置が提案されている。このワーク投入装置10’は、研削盤1に付設されるもので、当該研削盤1は、図4に示すように、研削面が相互に対向するように上下に設けられ、それぞれ回転駆動される一対の砥石2と、上面が水平となるように設けられた定盤3と、前記定盤3の上方に配設され、適宜駆動手段によって軸中心に回転駆動されるキャリア円板4とを備えて構成され、前記ワーク投入装置10’は、適宜ワーク投入位置において、前記キャリア円板4の上方に配設される。尚、前記キャリア円板4は、ワークWが収納される上下に貫通した複数の収納ポケット5を備えており、この収納ポケット5は、所定のピッチ円上、且つ所定のピッチ間隔で放射状に穿設されている。また、前記ワークWは直方体形状を有しており、前記収納ポケット5の形状は、当該ワークWを収納可能なように、矩形状となっている。
【0008】
前記ワーク投入装置10’は、ワークWを保持するための保持空間21が表裏に貫通するように形成された板状の保持プレート20と、前記保持空間21にワークWを供給する供給機構30と、前記保持空間21に供給されたワークWを下方に押す押出機構40とから構成され、前記キャリア円板4に設けられた前記収納ポケット5内にワークWを投入する。尚、図5(a)は、前記ワーク投入装置10’の構造を示した平面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるB−Bの断面図である。
【0009】
前記保持プレート20は、前記キャリア円板4の上方に、その裏面が、当該キャリア円板4との間に僅かな隙間を空けて対向するように設けられている。また、前記保持空間21は、図5(a)に示すように、前記キャリア円板4の回転中心を通る法線Lを中心として、この法線と平行に設けられた、前記キャリア円板4の回転方向(図5(a)において矢印で示す方向であり、以下、単に「回転方向」という)の上流側に位置する保持面21a、及び前記回転方向の下流側に位置する保持面21bと、これら保持面21a,21bと直交する保持面21cとによって囲まれた空間であり、保持面21aと保持面21bとの間は、ワークWが通過可能な間隔となっている。尚、保持面21aと保持面21cとは逃面21dによって接続され、保持面21bと保持面21cとは逃面21eによって接続されている。また、前記保持面21bは、保持面21aよりも長く形成され、前記法線方向において、前記保持面21aよりも外側まで延設されている。
【0010】
そして、この保持プレート20は、前記キャリア円板4の回転動作によって、その保持空間21が当該キャリア円板4の収納ポケット5と、順次、上下に合致、即ち、重なり合うようになっている。
【0011】
前記供給機構30は、ワークWを搬送する振動フィーダ31と、ワークWが通過可能な間隔を空けて平行に対向した案内面32a,33aを有し、且つ前記振動フィーダ31の搬送面との間に適宜隙間を空けてその上方に設けられた一対のガイド部材32,33とから構成される。そして、前記ガイド部材32は、その案内面32aが前記保持空間21を形成する保持面21bと対向する位置まで延設されるとともに、当該案内面32aが前記保持面21aの延長線上に位置するように配設され、案内面32aと保持面21aとが同一平面上に位置している。また、前記ガイド部材33も同様に、その案内面33aが前記保持面21bの延長線上に位置するように配設され、当該案内面33aと保持面21bとが同一平面上に位置している。
【0012】
斯くして、この供給機構30によれば、ワークWが、前記振動フィーダ31の搬送作用によって、ガイド部材32,33間を搬送路とし、その両案内面32a,33aにより案内されて順次連続的に搬送され、前記保持面21bと案内面32aとの間を通過して前記保持プレート20の保持空間21内に供給される。
【0013】
尚、ワークWを搬送する手段としては、上記振動フィーダ31に限れられものではなく、ベルトコンベアなど他の搬送手段を用いることができる。
【0014】
前記押出機構40は、図5(b)に示すように、前記保持プレート20の上方に設けられたプッシャ41と、このプッシャ41に接続されるプッシングロッド44及び圧縮コイルバネ45と、前記プッシングロッド44の上端部に接続され、このプッシングロッド44及び圧縮コイルバネ45を介して前記プッシャ41を上下方向に移動させるアクチュエータ46と、前記プッシャ41を保持する保持部材47と、当該保持部材47を支持する支持部材48とから構成されている。
【0015】
前記プッシャ41は、上下に連結された下部材42及び上部材43からなる。下部材42は、矩形状をしたフランジ部42bと、このフランジ部42bの下面に突設された直方体形状の突起部42aと、フランジ部42bの上面に突設された円環状の受け部42cとを備えている。また、上部材43は、同じく矩形状をしたフランジ部43aと、このフランジ部43aの上面に設けられた直方体状の基部43bとからなり、更に、前記フランジ部43aの下面と基部43bの上面とにそれぞれ開口し、フランジ部43aの下面に開口する側が大径に、基部43bの上面に開口する側が小径になった挿通穴43cが形成されている。
【0016】
尚、前記下部材42の突起部42aの下面寸法は、前記ワークWより、若干小さい寸法に設定されており、当該突起部42aが前記収納ポケット5に対して進退可能になっている。また、その突出長さは、前記保持プレート20の厚さよりも長い寸法に設定されている。尚、前記突起部42aの下面寸法は、ワークWの寸法と同じであっても良い。
【0017】
前記プッシングロッド44は、小径の軸部44aと、この軸部44aの下端に形成された、これより大径であり且つ円環状をした受け部44bとからなる略円筒状をした部材であり、受け部44bが前記上部材43の大径側の挿通穴43cに嵌挿され、軸部44aが小径側の前記挿通穴43cに嵌挿されている。
【0018】
そして、前記圧縮コイルバネ45の上端が前記プッシングロッド44の受け部44bの円環内に挿入されるとともに、その下端が前記下部材42の受け部42cの円環内に挿入され、且つ当該受け部42cが上部材43の大径側の挿通穴43cに嵌挿された状態で、下部材42のフランジ部42bと上部材43のフランジ部43aとが接合され、これらフランジ部42bとフランジ部43aとが、例えば、ボルトによって締結されることで、当該上部材43と下部材42とが連結されている。
【0019】
斯くして、前記圧縮コイルバネ45により、前記プッシングロッド44は上方に付勢され、一方、前記プッシャ41は下方に付勢された状態で、これらプッシャ41、圧縮コイルバネ45及びプッシングロッド44が、一つの組立体として組み付けられている。
【0020】
前記保持部材47は、逆L字状をした基部47aと、この基部47aの垂直辺部側面から側方に突設された一対のガイド辺部47b,47bとを備え、前記基部47aの水平辺部が前記支持部材48によって支持されている。そして、前記上部材43の基部43bが前記一対のガイド辺部47b,47b間に挿入され、前記プッシャ41の上下方向の移動が、この一対のガイド辺部47b,47bによって案内される。
【0021】
そして、前記プッシングロッド44は、その軸部44aが、前記基部47aの水平辺部及び支持部材48を貫通して、上述した如く、その上端部が前記アクチュエータ46に接続されている。
【0022】
この押出機構40によれば、前記アクチュエータ46によってプッシングロッド44を上下方向に駆動させることで、これに接続された圧縮コイルバネ45を介してプッシャ41が上下方向に駆動され、前記下部材42の突起部42aが前記保持プレート20の保持空間21を通過し、収納ポケット5に対して進退する。
【0023】
尚、前記アクチュエータ46の具体的な手段としては、ある程度高速に動作するものであれば、何ら限定されるものではないが、一例としては、例えば、空圧シリンダや油圧シリンダの他、電動モータとクランク機構を組み合わせたものが例示される。
【0024】
また、特に図示しないが、ワーク投入装置10’を構成する保持プレート20、供給機構30及び押出機構40は、適宜支持部材によって支持されている。
【0025】
以上の構成を備えたワーク投入装置10’によれば、まず、前記供給機構30により、ワークWが前記保持プレート20の保持空間21内に順次連続的に供給され、ワークWは、その先端部が保持面21cに当接して、同保持空間21内に位置決めされる。
【0026】
一方、前記研削盤1のキャリア円板4は、前記駆動手段によって回転駆動されることで、その収納ポケット5が、順次、前記保持プレート20に設けられた保持空間21の真下(投入位置)と、前記一対の砥石2間に設定された研削位置とを通過する。
【0027】
そして、保持空間21と収納ポケット5との位置が完全に一致したとき、即ち、保持空間21と収納ポケット5とが上下に完全に重ね合わさったとき、前記押出機構40のアクチュエータ46によって、前記プッシャ41が駆動されて下方に移動し、これにより、前記保持空間21内に位置決めされたワークWが、当該プッシャ41の突起部42aによって下方に押し出され、その下方の収納ポケット5内に収納される。
【0028】
このようにして、プッシャ41が下方端に至ると、前記アクチュエータ46は、プッシャ41を上方に移動させ、原位置に復帰させる。以後、この動作を連続的に繰り返すことで、順次連続的に前記保持空間21の下方に位置する収納ポケット5内に、ワークWを収納する。
【0029】
斯くして、このワーク投入装置10’によれば、プッシャ41により、ワークWを収納ポケット5内に押し入れるようにしているので、上述したような、ワークWが自然落下しないといった問題が生じるのを防止することができる。また、前記押出機構40は、前記プッシングロッド44とプッシャ41との間に圧縮コイルバネ45を設けた構成となっているので、プッシャ41の突起部42aがワークWを押し入れる際の衝撃を緩和することができる。
【0030】
尚、この研削盤1では、ロータリエンコーダが付設されたサーボモータを用いて前記キャリア円板4を回転させており、このロータエンコーダによって検出されるサーボモータの角度位置を基に、保持空間21と収納ポケット5とが一致するタイミングを認識して、前記アクチュエータ46を駆動し、プッシャ41を下方に移動させている。但し、保持空間21と収納ポケット5とが一致するタイミングを認識する方法としては、これに限られるものではなく、適宜センサにより収納ポケット5の位置を直接検出するようにしても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開平11−138430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
上述したように、上記構成のワーク投入装置10’によれば、ワークWが自然落下しないという問題については、これを解消することができる。
【0033】
ところが、このようなワーク投入装置10’においても、未だ解決されない、以下に述べるような問題があった。尚、図6及び図7は、このような問題が生じる過程を説明するための説明図である。
【0034】
図6(a)に示すように、上記ワーク投入装置10’においては、収納ポケット5と保持空間21との位置が一致しない状態では、保持空間21内のワークWはキャリア円板4の上面に支持された状態となっている。そして、キャリア円板4の回転によって、収納ポケット5と保持空間21が徐々に重なるようになると、これにしたがってワークWは徐々にキャリア円板4による支持を失い、同部が下方に沈んで、当該ワークWはその姿勢が傾いた状態となる(図6(b)参照)。したがって、収納ポケット5と保持空間21の位置が完全に上下に重なり、ワークWがプッシャ41により収納ポケット5に向けて押し出される際には、当該ワークWはその姿勢が傾いたまま、押し出されることになる(図7(a)参照)。
【0035】
この結果、図7(b)に示すように、ワークWが傾いたまま収納ポケット5に収まり、収納ポケット5の内壁に噛み込んで、ワークWの一部が保持空間21に残ったままになり、キャリア円板4の回転が停止されるという問題が引き起こされる。そして、このようにワークWの噛み込みを生じると、ワークWや収納ポケット5が破損するといった問題も生じ、また、噛み込んだワークWを取り除くために、当該作業の間、機械を停止しなければならず、生産効率が低下するという問題も生じる。
【0036】
尚、本願発明者らの知見によると、このような問題は、ワークWの幅寸法と厚さ寸法とが略同寸法である場合に生じ易い。
【0037】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたもので、ワークの噛み込みを防止し、当該ワークを確実に収納ポケット内に収納することができるワーク投入装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記課題を解決するための本発明は、
研削面同士が対向するように配設された一対の砥石と、ワークが収納される収納穴が設けられ、回転駆動手段によって軸中心に回転駆動される円板状の搬送部材を有する搬入装置とを備えてなり、前記収納穴が、前記ワークが投入される投入位置と前記一対の砥石間に位置する研削位置とを通過するように、前記搬送部材が回転駆動され、前記研削位置にて前記ワークの一対の平行な被研削面を研削する平面研削盤に設けられ、前記投入位置において前記収納穴にワークを投入するワーク投入装置であって、
前記ワークを保持する保持空間が表裏に貫通するように形成された保持部材と、
前記2つの被研削面がそれぞれ保持部材の表裏面側に位置するように、前記ワークを前記保持空間に供給する供給機構と、
前記保持空間に供給されたワークを、前記保持空間を形成する面に吸着させて該ワークを前記保持空間に保持するための吸引機構と、
前記保持空間に保持されるワークを保持空間の外部へ押し出す押出機構とから構成されてなり、
前記保持部材は、裏面側が前記搬送部材と対向し、かつ前記保持空間が前記投入位置に位置するように設けられ、
前記吸引機構は、一端が前記保持空間を形成する面に開口した吸引路と、該吸引路を通じて保持空間の空気を吸引する吸引手段とから構成され、
前記押出機構は、前記保持空間に保持されるワークの被研削面に対して垂直な方向に駆動し、前記保持部材の表面側から前記被研削面を押すプッシャと、前記収納穴が前記投入位置にあり、該収納穴と前記保持空間とが連通すると、前記プッシャを駆動させるプッシャ駆動手段とから構成されたワーク投入装置に係る。
【0039】
本発明によれば、前記供給機構により、保持部材に形成された保持空間内にワークを順次連続的に供給するとともに、前記吸引手段により、吸引路を通じて保持空間内の空気を吸引することで、保持空間内に供給されたワークを前記吸引路が開口した面に吸着させ、当該保持空間内にワークを保持する。
【0040】
そして、前記回転駆動手段によって回転駆動される搬送部材の収納穴が前記投入位置に位置し、当該収納穴と保持空間とが重なり合ってこれらが相互に連通する状態となったとき、前記プッシャを駆動して、前記保持空間から収納穴へとワークを押し出し、これを収納穴に収納する。その際、ワークは保持空間内に吸着,保持されているので、プッシャによって押し出されるまで、その姿勢が維持される。したがって、上述した従来例に係るような、ワークが傾くことによって生じる噛み込みの問題が解消される。
【0041】
そして、このようにしてワークを収納穴に収納した後、プッシャを原位置に復帰させる。以後、この動作を連続的に繰り返すことで、順次連続的にワークWを収納穴に収納する。
【0042】
このように、本発明によれば、保持空間内に供給されたワークを吸引機構により吸着して保持するようにしているので、ワークは、プッシャによって搬送部材の収納穴に収納されるまで、その姿勢が傾くことはなく、当該ワークを確実に収納穴内に収納することができる。したがって、従来例に係るようなワークの噛み込みを防止することができ、これに起因した上記諸問題が生じるのを防止することができる。
【0043】
尚、前記プッシャは、前記プッシャ駆動手段により、バネを介して駆動されるように構成することが好ましい。このようにすれば、プッシャがワークを押す際の衝撃をバネによって緩和することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、本発明に係るワーク投入装置によれば、ワークを保持空間内に吸着,保持するようにしているので、プッシャによって収納穴に収納するまで、ワークの姿勢を維持することでき、当該ワークを確実に収納穴内に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク投入装置の構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるA−Aの断面図である。
【図2】収納ポケットにワークを投入する過程を説明するための図であり、(a)はワークが保持空間に供給された状態を示す図であり、(b)はワークが保持空間内に吸着保持された状態を示す図である。
【図3】収納ポケットにワークを投入する過程を説明するための図であり、(a)はプッシャでワークを押している状態を示す図であり、(b)はワークが収納ポケットに収納された状態を示す図である。
【図4】従来のワーク投入装置が設けられた立型両頭平面研削盤の概略構成を示す平面図である。
【図5】従来のワーク投入装置の構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるB−Bの断面図である。
【図6】従来のワーク投入装置を用いて収納ポケットにワークを投入する過程を説明するための図であり、(a)はワークが保持空間に供給された状態を示す図であり、(b)はワークが傾いた状態を示す図である。
【図7】従来のワーク投入装置を用いて収納ポケットにワークを投入する過程を説明するための図であり、(a)は傾いた姿勢のワークをプッシャが押している状態を示す図であり、(b)はワークが傾いた姿勢で収納ポケットに収納された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の具体的な実施形態に係るワーク投入装置について、図1乃至図3を参照しつつ説明する。尚、本実施形態に係るワーク投入装置は、図4に示した従来のワーク投入装置10’に代えて、上述した研削盤1に設けられるもので、キャリア円板4に形成された収納ポケット5にワークWを投入する装置である。
【0047】
図1に示すように、本例のワーク投入装置10は、従来のワーク投入装置10’の構成に加えて、前記保持空間21に供給されたワークWを吸着,保持するための吸引機構50を設けた構成となっている。したがって、従来のワーク投入装置10’と同じ構成部分については同じ符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0048】
同図1に示すように、前記吸引機構50は、前記保持空間21を形成する保持面21aに2箇所開口し(開口51a,51b)、保持面21cに1箇所開口し(開口51c)、且つ前記保持プレート20の表面に1箇所開口(開口51d)するように前記保持プレート20に形成された吸引路51と、一端が前記開口51dに螺着された吸引用配管52と、この吸引用配管52の他端に接続した真空ポンプ53とから構成される。尚、吸引手段としては、前記真空ポンプ53に代えて真空エジェクタなどを用いることができる。
【0049】
斯くして、この吸引機構50によれば、吸引用配管52及び吸引路51を介して、保持面21aの開口51a,51b、並びに保持面21cの開口51cに、それぞれ真空ポンプ53の負圧が作用し、前記保持空間21内に供給されたワークWの前端面が保持面21cに吸着され、側面が保持面21aに吸着され、ワークWはこのように吸着された状態で、当該保持空間21内に保持される。
【0050】
尚、図1から分かるように、前記保持面21aに開口する開口51a,51bは、前記保持面21c寄りに設けられている。これは、開口51a,51bが保持面21cから離れた位置に設けられている場合には、前記保持空間21に供給されるワークWが、その前端面が保持面21cに当接して位置決めされる前に保持面21aに吸着されおそれがあるからである。開口51a,51bを保持面21c寄りに設けることで、ワークWの前端面が保持面21cに当接して位置決めされた状態で、これを保持面21aに吸着することができる。また、保持面21aに適宜間隔をあけた2つの開口51a,51bを設けることで、細長いワークWを確実に保持面21aに吸着することができる。
【0051】
次に、以上の構成を備えたワーク投入装置10により、キャリア円板4の収納ポケット5にワークWを投入する過程について、図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0052】
即ち、本例のワーク投入装置10によれば、まず、ワークWが、前記振動フィーダ31の搬送作用によって、ガイド部材32,33間を搬送路とし、その両案内面32a,33aにより案内されて順次連続的に搬送され、前記保持面21bと案内面32aとの間を通過して前記保持プレート20の保持空間21内に供給される。
【0053】
そして、保持空間21内に供給された先頭のワークWは、その前端面が保持面21cに当接して位置決めされるとともに、当該前端面が保持面21bに吸着され、その側面が保持面21aに吸着され、このように吸着された状態で、保持空間21内に保持される。
【0054】
尚、保持空間21内のワークWは、前記収納ポケット5と保持空間21とが上下に一致していないとき、即ち、収納ポケット5と保持空間21が上下に重なり合っていないときには、キャリア円板4の上面によって支持された状態にあり、また、前記振動フィーダ31の搬送作用によって、後続のワークWにより搬送方向に付勢された状態となっている。
【0055】
そして、キャリア円板4が前記駆動手段によって回転駆動されて、その収納ポケット5が前記保持空間21の真下に至り、当該保持空間21と収納ポケット5との位置が完全に重なり合うと、前記押出機構40のアクチュエータ46によって、前記プッシャ41が駆動されて下方に移動し、これにより、前記保持空間21内に位置決めされたワークWが、当該プッシャ41の突起部42aによって下方に押し出され、その下方の収納ポケット5内に収納される。
【0056】
その際、ワークWは保持空間21内でその保持面21a,21bに吸着されているので、保持空間21と収納ポケット5とが徐々に重なり合うことにより、ワークWがキャリア円板4による支持を徐々に失っても、当該ワークWはその姿勢が傾くことなく維持され、姿勢を維持したままプッシャ41によって押し出されて収納ポケット5内に収納される。
【0057】
そして、プッシャ41が下方端に至ると、前記アクチュエータ46は、プッシャ41を上方に移動させ、原位置に復帰させる。以後、この動作を連続的に繰り返すことで、順次連続的に前記保持空間21の下方に位置する収納ポケット5内に、ワークWを収納する。
【0058】
尚、図4に示すように、研削盤1には、前記研削位置よりも前記回転方向下流側に、収納ポケット5内に収納されているワークWを回収する回収位置6が設定されており、研削位置で研削加工が施されたワークWは、回収位置6に設けられた適宜ワーク回収装置(図示せず)によって回収される。
【0059】
以上のように、本例のワーク投入装置10によれば、ワークWを保持空間21内で吸着して保持するようにしているので、当該保持空間21内でワークWの姿勢が傾くのを防止でき、上述した従来例に係るような、ワークが傾くことによって生じる噛み込みの問題を解消することができ、この噛み込みに起因した上記諸問題が生じるのを防止することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0061】
上例においては、保持面21aに開口51a,51bを形成する構成としたが、これに限られるものではなく、保持面21bに開口を形成して、当該保持面21bにワークWを吸着するようにしても良い。
【0062】
また、本発明に係るワーク投入装置は、立型両頭平面研削盤だけでなく、例えば、横型平面研削盤に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 研削盤
2 砥石
4 キャリア円板
5 収納ポケット
10 ワーク投入装置
20 保持プレート
21 保持空間
31 搬送部材
32,33 ガイド部材
33a,33b 案内面
41 プッシャ
45 圧縮コイルバネ
46 アクチュエータ
51a,51b,51c,51d 開口
51 吸引路
52 吸引用配管
53 真空ポンプ
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削面同士が対向するように配設された一対の砥石と、ワークが収納される収納穴が設けられ、回転駆動手段によって軸中心に回転駆動される円板状の搬送部材を有する搬入装置とを備えてなり、前記収納穴が前記ワークが投入される投入位置と前記一対の砥石間に位置する研削位置とを通過するように、前記搬送部材が回転駆動され、前記研削位置にて前記ワークの一対の平行な被研削面を研削する平面研削盤に設けられ、前記投入位置において前記収納穴にワークを投入する装置であって、
前記ワークを保持する保持空間が表裏に貫通するように形成された保持部材と、
前記2つの被研削面がそれぞれ保持部材の表裏面側に位置するように、前記ワークを前記保持空間に供給する供給機構と、
前記保持空間に供給されたワークを、前記保持空間を形成する面に吸着させて該ワークを前記保持空間に保持するための吸引機構と、
前記保持空間に保持されるワークを保持空間の外部へ押し出す押出機構とから構成されてなり、
前記保持部材は、裏面側が前記搬送部材と対向し、かつ前記保持空間が前記投入位置に位置するように設けられ、
前記吸引機構は、一端が前記保持空間を形成する面に開口した吸引路と、該吸引路を通じて保持空間の空気を吸引する吸引手段とから構成され、
前記押出機構は、前記保持空間に保持されるワークの被研削面に対して垂直な方向に駆動し、前記保持部材の表面側から前記被研削面を押すプッシャと、前記収納穴が前記投入位置にあり、該収納穴と前記保持空間とが連通すると、前記プッシャを駆動させるプッシャ駆動手段とから構成されてなることを特徴とする平面研削盤のワーク投入装置。
【請求項2】
前記プッシャは、バネを介して前記プッシャ駆動部によって駆動されることを特徴とする請求項1記載の平面研削盤のワーク投入装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−91140(P2013−91140A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235639(P2011−235639)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000167222)光洋機械工業株式会社 (85)
【Fターム(参考)】