説明

広帯域レーダ装置及びその移動物体検出方法

【課題】広帯域レーダ装置において、移動物体の位置検出精度を高め、かつ信号を変換するときの計算回数を少なくすることである。
【解決手段】2次元座標上の距離を示す距離設定値を設定する(S13)。設定した距離設定値に応じた角度ステップ(角度間隔)を計算する(S114)。次に、計算により求めた角度ステップに基づいて角度を設定する(S15)。1次元のUWBレーダパルス応答差分信号から、距離設定値と角度により定まる2次元平面上の該当する位置の受信信号強度を計算する(S15)。これにより1次元の信号が2次元のUWBレーダパルス応答差分信号に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域レーダ装置及びその移動物体検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)の電波を送受信して移動物体の位置(距離、方位、高さ)を高精度で検出する超広帯域レーダ装置が知られている。
超広帯域レーダ装置は、超高距離分解能と高精度の位置評定ができることが特徴である。また、超広帯域の電波は、コンクリートや材木等の非金属(減衰媒質)を透過する性質が有り、この性質を活かして種々のレーダやセンサへの適用が検討されている。超高距離分解能と減衰媒質透過の2つの特徴を活かしたUWBレーダとして、例えば、建物内の不正侵入者の動きを壁越しに検知するUWBレーダ(壁透過レーダ、スルーウォールレーダ)、森林に潜む危険動物等の動きを森林や植栽を透過させて検知するUWBレーダ(森林透過レーダ)、自動車のフロント内部に設定して非金属のバンパーやフロントグリル越しに前方を走行する自動車との距離を高精度に計測するUWBレーダ等が検討されている。
【0003】
図25は、従来の超広帯域レーダ装置(以下、UWBレーダ装置という)100の構成と移動物体検出処理のフローチャート(その1)を示す図である。
UWBレーダパルス送信部101から検出対象にUWBレーダパルスを繰り返し送信し、第1のUWBレーダパルス受信部102と第2のUWBレーダパルス受信部103でターゲットからの反射波を受信する。
【0004】
UWBレーダパルス送受信制御部104は、第1のUWBレーダパルス受信部102と第2のUWBレーダパルス受信部103から出力される各サンプリング時刻における第1のUWBレーダパルス応答信号と第2のUWBレーダパルス応答信号をそれぞれ積分検波する。
【0005】
以下に説明する、ステップS111〜S118の第1のUWBレーダパルス応答信号に対する処理と第2のUWBレーダパルス応答信号に対する処理は、UWBレーダ装置100の制御部により実行される。
【0006】
第1のUWBレーダパルス応答信号の表示サンプリング(サンプリング時刻)毎の差分を抽出し、移動物体を示す第1のUWBレーダパルス応答差分信号を検出する(図25、S111)。
【0007】
第2のUWBレーダパルス応答信号の表示サンプリング毎の差分を抽出し、移動物体を示す第2のUWBレーダパルス応答差分信号を検出する(S112)。
図26は、各時刻のUWBレーダパルス応答信号とその応答差分信号を示す図である。
【0008】
UWBレーダパルス受信部102または103で、移動物体からの反射波を受信した場合には、図26(a)に示す時刻t1におけるUWBレーダパルス応答信号と、図26(b)に示すUWBレーダパルス応答信号の差分を抽出すると、図26(a’)に示すようなUWBレーダパルス応答差分信号が得られる。
【0009】
また、図26(b)に示す時刻t2におけるUWBレーダパルス応答信号と、図26(c)に示す時刻t3におけるUWBレーダパルス応答信号の差分を抽出すると、図26(b’)に示すUWBレーダパルス応答差分信号が得られる。
【0010】
図25のステップS113〜S116の処理は、第1の移動物体データ変換部105の処理を示している。
先ず、1次元の第1のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元平面上の信号に変換するために距離を設定する(S113)。次に、予め決められている角度間隔(角度ステップ)に基づいて角度を設定する(S114)。
【0011】
次に、第1のUWBレーダパルス応答信号と設定された距離と角度における受信信号強度を計算する(S115)。そして、受信信号強度を積分して設定された距離と角度における2次元平面上に受信強度を持ったUWBレーダパルス2次元応答差分信号に変換する(S116)。上記の処理を距離と角度を変化させて行うことで、距離の方向の1次元の信号を距離と方位の2次元の要素を持った信号に変換できる。
【0012】
上記の処理により、図27に示す距離の方向で受信信号強度が変化するUWBレーダパルス応答差分信号が、距離と方位の2次元の要素を持ったUWBレーダパルス2次元応答差分信号に変換される。
【0013】
第2のUWBレーダパルス応答差分信号に対しても上記のステップS113〜S116と同じ処理が実行される。第2のUWBレーダパルス応答差分信号に対する処理を第2の移動物体データ変換部106と呼ぶ。
【0014】
次に、第1のUWBレーダパルス受信部102の受信位置等の影響を補正するために第1の移動物体データ(第1のUWBレーダパルス2次元応答差分信号)をシフトさせる処理を行う(S117)。シフトさせた信号を第1のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と呼ぶ。同様に、第2の移動物体データ(第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号)をシフトさせる処理を行う(S118)。シフトさせた信号を第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と呼ぶ。
【0015】
次に、第1のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を合成し(S119)、合成したUWBレーダパルス2次元応答合成信号を表示部(図示せず)に表示させる(S120)。これにより移動物体の位置が表示部に表示される。
【0016】
図28(A)、(B)は、従来の等間隔角度ステップ法における距離と角度ステップの関係と距離と角度の関係を示す図である。
図28(A)の横軸は距離設定値、縦軸は角度設定値を示している。等間隔角度ステップ法では、UWBレーダ装置100の送信部101からの距離に無関係に角度ステップは一定値に設定されているので、図28(B)に示すように2次元平面上では、原点からの距離が大きくなるほど2次元平面上のデータの円周方向の間隔が大きくなる。
【0017】
図29は、従来の等間隔角度ステップ法で1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元の信号に変換したときのデータ密度を示す図である。
従来の等間隔角度ステップ法では、図29に示すように原点からの距離が小さいときにはデータ密度は密であるが、原点からの距離が大きくなるほどデータ密度が疎になる。従って、UWBレーダ装置100の送信部101を原点とした時に、原点からの距離が大きくなるほど移動物体の位置の検出精度が低くなる。
【0018】
図30は、従来のUWBレーダ装置100の構成と他の移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。以下の説明では、図25と同じブロック及び同じ処理には同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0019】
図30のフローチャートと図25のフローチャートの相違点は、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元の信号に変換するときに、図30のステップS121において、高さの間隔を設定する点である。そして、次のステップS115で、距離と設定された高さの間隔で決まる高さ方向の位置における受信信号強度を計算し、さらにステップS116で受信信号強度を積分して、距離と高さの成分からなる2次元平面上の信号に変換している。
【0020】
特許文献1には、UWB技術を用いた方位検出装置において、送信系から複数の受信系へ直接送信された信号と基準信号とを比較して複数の受信系の位相の変動量を算出し、算出した位相の変動量に基づいて受信系の位相差を補正することが記載されている。
【0021】
特許文献2には、マスタ装置で生成する高速送信符号と、スレーブ装置で生成する高速符号との相関がとれるようにビットシフト制御器でビットシフトを行うことが記載されている。
【0022】
特許文献3には、障害物で反射された高周波信号を複数のアンテナを切り換えながら受信し、障害物の方向を検知することが記載されている。
上記の特許文献には、UWBレーダにおいて、物体の位置検出精度を高める技術については記載されていない。
【特許文献1】特開2005−331466号公報
【特許文献2】特開2005−181215号公報
【特許文献3】特開2005−265412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述したように従来のUWBレーダ装置では、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元の信号に変換するときに、レーダパルスの送信部からの距離が遠くなるにつれてデータ数が少なくなり、その結果、移動物体の位置検出精度が低くなるという問題点が有った。距離が遠い位置の角度分解能を高くすれば位置検出精度を高くすることはできるが、従来の等間隔角度ステップ法で角度分解能を高めると、1次元の信号を2次元の信号に変換するときの計算回数が非常に多くなってしまう。
【0024】
本発明の課題は、広帯域レーダ装置において、移動物体の位置検出精度を高め、かつ信号を変換するための計算回数を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の広帯域レーダ装置は、広帯域のレーダパルスを送信する送信手段と、観測対象の物体から反射されるレーダパルスを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたサンプル時刻の異なるレーダパルス応答信号の差分を、移動物体を示すレーダパルス応答差分信号として検出する移動物体検出手段と、前記送信手段の位置を基準とした距離に応じて変化する角度ステップを算出する角度ステップ算出手段と、前記角度ステップに基づいて角度を算出する角度算出手段と、1次元の前記応答差分信号を、前記角度算出手段により算出された前記角度と前記距離により定まる2次元平面上の位置のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する移動物体データ変換手段と、複数の前記レーダパルス2次元応答差分信号を合成する移動物体データ合成手段と、前記移動物体データ合成手段により合成されたレーダパルス2次元応答合成信号を表示する表示制御手段とを備える。
【0026】
この発明によれば、移動物体の検出位置検出精度を高め、かつ信号を変換するときの計算回数を少なくできる。
上記の発明の広帯域レーダ装置において、前記角度ステップ算出手段は、最大距離において必要な角度分解能と距離方向の位置を示す距離設定値の最大値を乗算した値を定数として記憶しておき、前記定数を2次元平面上の距離を示す前記距離設定値で除算した値を、前記距離設定値に対応する角度ステップとして算出する。
【0027】
このように構成することで、定数を用いて距離に応じた角度ステップを算出することができる。
上記の発明の広帯域レーダ装置において、前記受信手段は、第1及び第2の受信手段を有し、前記移動物体検出手段は、前記第1の受信手段で受信された、サンプル時刻の異なる第1のレーダパルス応答信号の差分を第1のレーダパルス2次元応答差分信号として抽出する第1の移動物体検出手段と、前記第2の受信手段で受信された、サンプル時刻の異なる第2のレーダパルス応答信号の差分を第2のレーダパルス2次元応答差分信号として抽出する第2の移動物体検出手段を有し、前記角度ステップ算出手段は、前記距離設定値に応じた角度ステップを算出する第1及び第2の角度ステップ算出手段を有し、前記角度算出手段は、前記第1及び第2の角度ステップ算出手段により算出され角度ステップに基づいて角度を算出する第1及び第2の角度算出手段を有し、前記移動物体データ変換手段は、1次元の前記第1及び第2のレーダパルス応答差分信号を、算出された前記角度と距離により定まる2次元座標上の位置の2次元のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する第1及び第2の移動物体データ変換手段を有し、前記移動物体データ合成手段は、前記第1及び第2のレーダパルス2次元応答差分信号を合成する。
【0028】
このように構成することで2つの受信手段で受信したレーダパルスに基づいて移動物体の位置を高精度で検出することができる。
上記の発明の広帯域レーダ装置において、前記移動物体データ変換手段は、2次元の各座標における前記レーダパルス2次元応答差分信号の積分回数を記憶する積分回数記憶手段と、各座標の前記レーダパルス2次元応答差分信号の振幅データを前記積分回数で除算した値を該当する座標の前記振幅データとして算出する。
【0029】
このように構成することで、積分回数の違いによる受信信号強度の差を取り除くことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、移動物体の位置検出精度を高め、かつ信号を変換するときの計算回数を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の超広帯域レーダ装置10の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。超広帯域とは、例えば、数GHz〜数十GHzの帯域である。
【0032】
超広帯域レーダ装置(以下、UWBレーダ装置という)10は、UWBレーダパルス送信部11と、第1のUWBレーダパルス受信部12と、第2のUWBレーダパルス受信部13と、UWBレーダパルス送受信制御部14を有する。
【0033】
UWBレーダパルス送信部11は、UWBレーダパルスを繰り返し送信する。第1のUWBレーダパルス受信部12と第2のUWBレーダパルス受信部13は、固定物及び移動物体からの反射波を受信して第1及び第2のUWBレーダパルス応答信号を出力する。
【0034】
UWBレーダパルス送受信制御部14は、UWBレーダパルス送信部11と第1及び第2のUWBレーダパルス受信部12、13の同期を取り、第1のUWBレーダパルス受信部12で受信された信号と、第2のUWBレーダパルス受信部13で受信された信号を積分検波して、それぞれ表示サンプリング毎の第1のUWBレーダパルス応答信号と第2のUWBレーダパルス応答信号に変換する。
【0035】
図1のステップS11〜S21の処理は、UWBレーダ装置10の図示しない制御部により実行される。
第1のUWBレーダパルス受信部12から出力される、異なる時刻(異なる表示サンプリング)の第1のUWBレーダパルス応答信号の差分を抽出し、抽出した差分信号を移動物体を示す第1のUWBレーダパルス応答差分信号として出力する(図1、S11)。
【0036】
同様に、第2のUWBレーダパルス受信部12から出力される、異なる時刻の第2のUWBレーダパルス応答信号の差分を抽出し、抽出した差分信号を移動物体を示す第2のUWBレーダパルス応答差分信号として出力する(S12)。
【0037】
図2は2チャネル(第1及び第2)のUWBレーダパルス応答差分信号を示す図である。図2に示すUWBレーダパルス応答差分信号は7mから8mの間の信号振幅が大きくなっており、この付近に移動物体が存在することを示している。
【0038】
次に、1次元の第1のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元の信号に変換するために2次元座標上の距離を示す距離設定値を設定する(S13)。さらに、設定した距離設定値に応じた角度ステップ(角度間隔)を計算する(S14)。角度ステップの計算は、例えば、所定の定数と距離設定値とからその距離設定値における角度ステップを計算する。
【0039】
次に、計算により求めた角度ステップに基づいて角度を設定する(S15)。この第1の実施の形態では、角度ステップを距離に応じて変化させているので、2次元平面の角度方向のデータの間隔が距離に応じて変化する。
【0040】
次に、第1のUWBレーダパルス応答差分信号に基づいて、距離設定値と角度により定まる2次元平面上の該当する位置の受信信号強度を計算する(S16)。さらに、計算により求めた受信信号強度を積分する(S17)。上記のステップS13〜S17の処理を実行するプログラムモジュールを第1の移動物体データ変換部15と呼ぶ。
【0041】
上記のステップS13〜S17の処理を距離と角度を変えて繰り返し実行することで、1次元の第1のUWBレーダパルス応答差分信号を、2次元平面上に受信信号強度を持った第1のUWBレーダパルス2次元応答差分信号に変換することができる。
【0042】
第2のUWBレーダパルス応答差分信号に対しても上記のステップS13〜S17と同じ処理が実行され、第2のUWBレーダパルス応答差分信号が、2次元平面上に受信信号強度を持った第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号に変換される。第2のUWBレーダパルス応答差分信号に対する処理を実行するプログラムモジュールを第2の移動物体データ変換部16と呼ぶ。
【0043】
次に、第1のUWBレーダパルス受信部12の位置と、第2のUWBレーダパルス受信部13の位置の差による移動物体の検出位置の差を補正するために第1の移動物体データ(第1のUWBレーダパルス2次元応答差分信号)を所定量シフトさせる(S18)。この所定量シフトさせた信号を第1のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と呼ぶ。同様に第2の移動物体データ(第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号)を所定量シフトさせる(S19)。この所定量シフトさせた信号を第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と呼ぶ。このように第1のUWBレーダパルス2次元応答差分信号と、第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号を所定量シフトさせることで、同じ2次元座標のデータに変換することができる。
【0044】
次に、第1のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を合成して移動物体の位置を示すUWBレーダパルス2次元応答合成信号を作成する(S20)。
【0045】
次に、UWBレーダパルス2次元応答合成信号を表示部に表示する(S21)。これにより2次元平面上に移動物体の位置が表示される。
ここで、図3のフローチャートを参照して第1の移動物体データ処理部15における第1の移動物体データ変換処理について説明する。
【0046】
ステップS13の距離ポイント設定処理(距離設定処理)では、2次元座標の距離方向のデータの位置を示す距離ポイント(距離設定値)を設定する。距離ポイントとは、例えば、距離方向の何番目のデータかを示す情報であり、距離方向の最大データ数が200の場合、1番目のデータの距離ポイントとして「1」、2番目のデータの距離ポイントとして「2」・・・最大距離におけるデータの距離ポイントとして「200」を設定する。
【0047】
ステップS14の角度ステップ計算処理では、最大距離において所望の角度分解能を得るための値を定数として設定しておき、その定数を距離ポイントで除算した値を角度ステップとして算出する。つまり、「角度ステップ=定数/距離ポイント」から算出する。
【0048】
ステップS15の角度ポイント設定処理(角度設定処理)では、上記のステップS14で算出した角度ステップ(角度間隔)毎に角度を設定する。
ステップS21のX座標計算処理では、検出エリアを複数のマス目に分割したときの2次元座標のX座標を算出する。具体的には、X座標=round(距離ポイント×cos(角度ポイント))の式から計算する。”round”とは最も近い整数に丸める演算である。距離ポイントとは、ステップS13で設定した距離ポイントであり、角度ポイントとは、ステップS15で設定したX軸を基準とした角度である。
【0049】
次のステップS22のY座標計算処理では、検出エリアを複数のマス目に分割したときのY座標を計算する。具体的には、Y座標=round(距離ポイント×sin(角度ポイント))の式から計算する。
【0050】
次のステップS23の振幅データ計算処理では、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号の振幅データから、2次元座標の上記のX座標、Y座標におけるUWBレーダパルス2次元応答差分信号の振幅データを計算する。つまり、第1のUWBレーダパルス応答差分信号の設定した距離ポイントの振幅データを、算出したX座標、Y座標におけるUWBレーダパルス2次元応答差分信号の振幅データとして求める。これを式で表すと、「座標(X、Y)の振幅データ=第1のUWBレーダパルス応答差分信号の設定した距離ポイントにおける振幅データ」となる。
【0051】
次のステップS17の受信強度積分処理では、座標(X、Y)の振幅データの加算処理を行う。この処理では、元々の座標(X、Y)の振幅データに、ステップS23の受信強度計算処理で計算した座標(X,Y)の振幅データを加算する。
【0052】
次のステップS24では、全ての角度ポイントの処理が終了したか否かを判定する。全ての角度ポイントに対する計算が終了していないときには(S24、NO)、ステップS15に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0053】
全ての角度ポイントに対する計算が終了したときには(S24、YES)、ステップS25に進み、全ての距離ポイントに対する計算が終了したか、つまり検出エリア全体について移動物体データの2次元データへの変換が終了したか否かを判定する。全ての距離ポイントに対する計算が終了していないときには(S25、NO)、ステップS13に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0054】
図4は、第1の実施の形態の距離設定値と角度ステップの関係と、距離設定値と角度の関係を示す図である。
図4(B)の横軸を距離設定値、縦軸を角度設定値とすると、距離設定値が小さいほど角度ステップの値は大きく、距離設定値が大きくなるほど角度ステップの値が小さくなるように設定してある。すなわち、UWBレーダパルス送信部11の位置(原点)の近くでは角度ステップが大きく、原点から離れるほど角度ステップの値が小さくなるように、距離設定値と角度ステップを定義している。
【0055】
図4(A)は、上述した移動物体データ変換処理において、1次元の信号を2次元平面上の信号に変換したときのデータの位置を示す図である。図4(B)に示すように、距離設定値が小さい位置では角度ステップが大きいために同じ円周上のデータ数は少ないが、距離設定値が大きい位置では、角度ステップが小さく設定されているので、同じ円周上のデータ数が多くなっている(データが密になっている)。なお、図4(A)において、横軸を方位方向、縦軸を距離方向として表しているのは、距離と方位を要素とする2次元のデータであることを示すためであり、横軸方向が方向、縦軸方向が距離を示しているわけではない。
【0056】
図5は、距離設定値に応じて角度ステップを変化させた第1の実施の形態のデータ密度を示す図である。
図5は、検出エリアの角度範囲が180°の場合のデータ密度を示している。最大距離の位置の必要とする角度分解能と距離設定値の最大値とから定数を決める。そして、その定数を距離ポイント(距離設定値)で除算して角度ステップを算出する。
【0057】
上記のように角度ステップを算出することで、図5に示すように、原点からの距離が小さい位置では角度ステップが大きくなるので円周上のデータ数が少なくなる。また、原点からの距離が大きい位置では角度ステップが小さくなるので円周上のデータ数が多くなる。
【0058】
図6は、図1のステップS18及びS19の移動物体データシフト処理の説明図である。図6の四角いマス目は、2次元座標に変換した移動物体データ(UWBレーダパルス2次元応答差分信号)を示している。第1のUWBレーダパルス受信部12と第2のUWBレーダパルス受信部13は、UWBレーダパルス送信部11に対して位置がずれているので、第1のUWBレーダパルス応答差分信号と第2のUWBレーダパルス応答差分信号をそれぞれ2次元座標上で所定量シフトさせることで、第1のUWBレーダパルス受信部12で受信した信号を、UWBレーダパルス送信部11を原点とする2次元座標上の信号に変換している。
【0059】
図7は、図1のステップS20の移動物体データ合成処理の説明図である。この処理では、第1のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を合成してUWBレーダパルス2次元応答合成信号を作成している。この2次元応答合成信号は、第1のUWBレーダパルス受信部12で受信された信号から得られる信号と、第2のUWBレーダパルス受信部13で受信された信号から得られる信号を合成した信号であり、中央の黒い部分が受信信号強度が大きいデータを示しいている。このUWBレーダパルス2次元応答合成信号は、2次元座標上の移動物体の位置を示す信号である。
【0060】
ここで、従来の等間隔角度ステップ法と、第1の実施の形態のデータ変換方法における移動物体データ変換処理の計算回数を、図8を参照して比較する。
角度範囲が60°〜120°、必要とする角度分解能が0.1°で、距離方向のデータ数が100個と200個の場合について説明する。
【0061】
距離方向データ数が100個の場合、従来の等間隔角度ステップ法の計算回数は「角度ステップ数×距離方向データ数」となる。この場合、角度ステップ数は、(60°/0.1°)+1で601となるので、計算回数は、図8(A)に示すように、601×100=60100回となる。
【0062】
第1の実施の形態のデータ変換方法では、最大距離において従来と同じ角度分解能を得るための定数は「最大距離ポイント数(最大距離設定値)×必要な角度分解能」の式で表すことができる。距離方向のデータ数が「100」、角度分解能が0.1°とすると、最大距離ポイント数=データ数であるから、定数は「100×0.1=10」、となる。
【0063】
従って、1番目(距離ポイント「1」)の位置の角度ステップは、定数10を距離設定値「1」で除算して得られる10°となる。よって、60°の角度範囲を10°の角度ステップでデータ変換を行う場合の計算回数は、(60/10)+1で7回となる。
【0064】
2番目の距離ポイント「2」の位置の角度ステップは、定数10°を距離設定値「2」で除算して得られる5°となる。よって、60°の角度範囲を5°の角度ステップで計算する場合の計算回数は、(60/5)+1で13回となる。
【0065】
3番目の距離ポイント「3」の位置の角度ステップは、定数10°を距離設定値「3」で除算して得られる3.3°となる。よって、60°の角度範囲を3.3°の角度ステップで計算する場合の計算回数は、60/3.3+1で19回となる。
【0066】
最大距離(距離ポイント「100」)の位置の角度ステップは、定数10を距離ポイント「100」で除算して得られる0.1°となる。よって、60°の角度範囲を0.1°の角度ステップで計算する場合の計算回数は、60/0.1+1で601回となる。
【0067】
第1の実施の形態において、1次元の移動物体データを2次元の移動物体データに変換するときのデータ変換のための計算回数は、上記の計算回数の合計値であり、図8(A)に示すように30400回となる。すなわち、実施の形態のデータ変換方法で、最大距離で同じ角度分解能を得るための計算回数は従来の方法の約1/2となる。
【0068】
距離方向データ数が200の場合は、角度ステップを求めるための定数は、最大距離の位置での必要な角度分解能が0.1°で、距離方向データ数が200であるから、200×0.1=20となる。従って、この場合の計算回数は、図8(B)に示すように、60500回となる。この場合の従来の等間隔角度ステップ法による計算回数は120200回であるので、実施の形態の計算回数は従来の方法の約1/2になる。
【0069】
従って、第1の実施の形態の移動物体データの2次元データへの変換方法の計算回数は、従来の等間隔角度ステップ法の計算回数の1/2になり、計算回数を大幅に減らすことができる。
【0070】
ここで、第1の実施の形態のデータ変換方法と、従来の等間隔角度ステップ法の信号の表示状態を比較する。
図9(A)、(B)は、第1の実施の形態の移動物体検出方法によるUWBレーダパルス2次元応答差分信号の表示状態を示す図である。
【0071】
UWBレーダパルス2次元応答差分信号は、原点からの距離が大きくなるにつれて角度ステップが小さく設定されているので、図9(A)、(B)に示すように第1及び第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号は連続した波形として表示される。
【0072】
これに対して、図10(A)、(B)に示す、従来の等間隔角度ステップ法で2次元の信号に変換した場合のUWBレーダパルス2次元応答差分信号は、角度ステップが距離にかかわらず一定値であるために、原点から距離が大きい位置では、第1及び第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号のデータが存在しない部分があるために、UWBレーダパルス2次元応答差分信号の波形が不連続に表示される。
【0073】
図11(A)、(B)は、第1の実施の形態のデータ変換方法で変換したUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を示す図である。
第1のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号も第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号も、図11(A)、(B)に示すように欠落の無い連続した信号波形が表示される。
【0074】
これに対して、従来の等間隔角度ステップ法によるUWBレーダパルス2次元応答シフト信号は、角度ステップが大きいためにデータが存在しない部分があるために、図12(A)、(B)に示すように、信号の一部が欠落して不連続な波形が表示される。
【0075】
図13(A)、(B)は、それぞれ第1の実施の形態のデータ変換方法で変換したUWBレーダパルス2次元応答合成信号と、等間隔角度ステップ法で変換したUWBレーダパルス2次元応答合成信号の表示状態を示す図である。
【0076】
第1の実施の形態のUWBレーダパルス2次元応答合成信号は、欠落のない連続した信号波形が表示されているが、等間隔角度ステップ法によるUWBレーダパルス2次元応答合成信号は、信号の一部が欠落した不連続な波形となっている。
【0077】
従って、第1の実施の形態のデータ変換方法で変換したUWBレーダパルス2次元応答合成信号を用いることで移動物体の位置を正確に検出することができる。
上述した第1の実施の形態によれば、距離に応じて角度ステップを変化させることで、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元のUWBレーダパルス2次元応答差分信号に変換するときに、原点(UWBレーダパルス送信部11の位置)からの距離が遠い位置の角度分解能を高め、かつ二次元座標のデータに変換するときの計算回数を少なくできる。これによりUWBレーダパルス送信部11から離れた位置に存在する移動物体の位置を高精度で検出することができる。
【0078】
上記の第1の実施の形態では、最大距離の距離ポイント数にその位置で必要とする角度分解能を乗算した値を定数として記憶し、その定数と距離ポイントから角度ステップを求めているが、このような計算方法に限らず、例えば、距離と角度ステップを対応づけたテーブルを設け、そのテーブルを参照して距離に応じた角度ステップを算出するようにしても良い。また、距離ポイントは、何番目のデータかを示す情報に限らず、距離を直接示す情報でも良い。
【0079】
次に、図14は、本発明の第2の実施の形態のUWBレーダ装置10の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図14において、図1と同じブロック及び処理には同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0080】
この第2の実施の形態の特徴は、積分回数の違いにより信号強度の差が生じないようにしたことである。
ステップS17において受信信号強度の積分処理が終了したなら、ステップS31の積分ウェイト補正処理で、積分回数の違いによる受信信号強度の差を補正する。図14のステップS11〜S17及びS18〜S21の処理は、図1と同じである。
【0081】
図15は、図14のステップS31の積分ウェイト補正処理を含む移動物体データ変換処理の内容を示すフローチャートである。
図15において、図3と同じ処理には同じ符号をつけてそれらの処理の説明を省略する。図15のステップS32の受信強度積分回数記憶処理は、任意の座標(X,Y)の受信信号に対して積分処理を行う毎に積分回数データに「1」を加算して、加算結果を座標(X,Y)の積分回数データとして記憶する。次のステップS24において、特定の距離ポイントに対する全角度ポイントのデータ変換処理が終了したか否かを判定する。特定の距離ポイントにおける全角度ポイントに対するデータ変換処理が終了したなら、ステップS25に進み、全ての距離ポイントに対するデータ変換処理が終了したか否かを判定する。
【0082】
全ての距離ポイント及び角度ポイントに対するデータ変換処理が終了したなら、ステップS31の積分ウェイト補正処理を実行する。この積分ウェイト補正処理では、座標(X,Y)の信号の振幅データを座標(X,Y)の積分回数データで除算する。この処理によりより、2次元のデータに変換する際に、近距離の移動物体の反射信号に対する積分回数が増えるために2次元座標における信号の受信信号強度が強くなり、それとは逆に遠距離の移動物体の反射信号の積分回数が少なくなるために信号の信号強度が弱くなり、両者の信号強度に差が生じるのを改善できる。
【0083】
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、積分回数の差による信号の受信信号強度の差を補正することができるので、表示部に表示する移動物体の検出信号の明るさを均一にすることができる。
【0084】
次に、図16は、第3の実施の形態のUWBレーダ装置10の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図16において、図1と同じブロック及び処理には同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0085】
第3の実施の形態の特徴は、第1のUWBレーダパルス受信部12及び第2のUWBレーダパルス受信部13のアンテナ特性による受信信号強度の差を補正するようにしたものである。
【0086】
図16の第1の移動物体データ変換部15のステップS17で受信信号強度の積分処理が終了したなら、次のステップS41において、第1のUWBレーダパルス2次元応答差分信号を、予め決められている第1のUWBレーダパルス受信部12のアンテナ係数に基づいて補正する。同様に第2の移動物体データ変換部16のステップS41において、第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号を、予め決められている第2のUWBレーダパルス受信部13のアンテナ係数に基づいて補正する。
【0087】
上述した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、UWBレーダパルス受信部のアンテナの特性の差による影響を取り除くことができる。
次に、図17は、本発明の第4の実施の形態のUWBレーダ装置10の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図17において、図1と同じブロック及び処理には同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0088】
第4の実施の形態の特徴は、1次元の信号を2次元の信号に変換するときに、距離に応じて高さステップを変化させるようにしたものである。
図17の第1の移動物体データ変換部15のステップS42の高さステップ計算処理において、距離設定値に基づいて高さステップを算出する。高さステップの計算方法は基本的には角度ステップの計算方法と同じで良い。具体的には、最大距離の距離ポイント数と必要とする高さ方向の分解能を乗算して得られる値を定数として予め記憶しておき、その定数を距離ポイント(距離設定値)で除算して高さステップ(高さ方向の間隔)を算出する。そして、次のステップS43の高さ設定処理において、高さステップを順次加算して水平軸を基準とする高さを求める。
【0089】
ステップS16の受信強度計算処理では、ステップS13の距離設定処理の距離設定値により定まる距離と高さで決まる2次元座標上の位置の受信信号強度を算出する。
上述した第4の実施の形態によれば、距離に応じて高さステップを変化させることで、1次元の信号を2次元の信号に変換するときに、原点(UWBレーダパルス送信部11の位置)からの距離が遠い点の高さ方向の分解能を高めることができる。これにより原点から離れた位置での移動物体の位置の検出精度を高めることができる。
【0090】
次に、図18は、本発明の第5の実施の形態のUWBレーダ装置50の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図18において、図1と同じブロック及び処理には同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0091】
第5の実施の形態の特徴は、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を、距離と角度と高さの3つの変数を持った3次元のUWBレーダパルス応答差分信号に変換することである。
【0092】
図18において、UWBレーダ装置50は、UWBレーダパルス送信部11と、第1及び第2のUWBレーダパルス受信部12、13と、第3及び第4のUWBレーダパルス受信部51、52と、UWBレーダパルス送受信制御部14を有する。
【0093】
第3及び第4のUWBレーダパルス受信部51、52は、観測対象の目標からの反射波を受信して第3及び第4のUWBレーダパルス応答信号を出力する。
UWBレーダパルス送受信制御部14は、第1〜第4のUWBレーダパルス受信部12、13、51、52から受信する応答信号をそれぞれ表示サンプリング毎のUWBレーダパルス応答信号に変換して出力する。
【0094】
ステップS51の第3の移動物体検出処理では、時刻t1の第3のUWBレーダパルス応答信号と時刻t2の第3のUWBレーダパルス応答信号の差分を抽出して第3のUWBレーダパルス応答差分信号に変換する。
【0095】
ステップS52の第4の移動物体検出処理では、時刻t1の第4のUWBレーダパルス応答信号と時刻t2の第4のUWBレーダパルス応答信号の差分を抽出して第4のUWBレーダパルス応答差分信号に変換する。
【0096】
第3の移動物体データ変換部53の処理と、第4の移動物体データ変換部54の処理は、図17のステップS13、S42、S43、S16及びS17の処理と同じである。
ステップS53の第3の移動物体データシフト処理は、距離と高さの2つの変数で定義される第3のUWBレーダパルス2次元応答差分信号を所定量シフトさせる。
【0097】
ステップS54の第4の移動物体データシフト処理は、距離と高さの2つの変数で定義される第4のUWBレーダパルス応答差分信号を所定量シフトさせる。
ステップS55の移動物体合成処理は、距離と角度の2つの変数で定義される第1及び第2のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号と、距離と高さの2つの変数で定義される第3及び第4のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を合成してUWBレーダパルス3次元応答合成信号に変換する。
【0098】
ステップS56の移動物体データ表示処理は、移動物体の位置を示すUWBレーダパルス3次元応答合成信号を表示部に表示させる。
上述した第5の実施の形態によれば、距離に応じて角度ステップと高さステップを変化させることで、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を3次元のUWBレーダパルス応答差分信号に変換するときに、最大距離における角度分解能と高さ方向の分解能を所望の値にすることができる。これによりUWBレーダパルス送信部から距離が離れた位置での移動物体の位置検出精度を高めることができる。
【0099】
次に、図19は、本発明の第6の実施の形態のUWBレーダ装置60の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図19において、図1のブロック及び処理と同じものには同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0100】
第6の実施の形態の特徴は、UWBレーダパルス信号の送信部を2個有し、2個の送信部から送信され、移動物体で反射された信号を1つの受信部で受信することである。
図19において、UWBレーダ装置60は、第1のUWBレーダパルス送信部61と、第2のUWBレーダパルス送信部62と、UWBレーダパルス受信部63と、UWBレーダパルス送受信制御部14とを有する。
【0101】
第1のUWBレーダパルス送信部61は、所定の検出エリアにUWBレーダパルスを繰り返し送信する。第2のUWBレーダパルス送信部62もUWBレーダパルスを繰り返し送信する。UWBレーダパルス受信部63は、第1及び第2のUWBレーダパルス送信部61、62から送信され、対象から反射された信号を受信してUWBレーダパルス応答信号として出力する。UWBレーダパルス送受信制御部14は、UWBレーダパルス応答信号を第1のUWBレーダパルス送信部61から送信されたレーダパルスの反射信号である第1のUWBレーダパルス応答信号と、第2のUWBレーダパルス送信部62から送信されたレーダパルスの反射信号である第2のUWBレーダパルス応答信号に切り分け、さらに表示サンプリング毎のUWBレーダパルス応答信号に変換する。
【0102】
ステップS11の第1移動物体検出処理及び第1の移動物体データ変換部15の処理と、ステップS12の第2の移動物体検出処理及び第2の移動物体データ変換部16の処理は、図1と同じである。
【0103】
ステップS18の第1移動物体データシフト処理は、第1のUWBレーダパルス送信部61から送信される信号の2次元応答差分信号が、第2のUWBレーダパルス送信部62から送信される信号の2次元応答差分信号と同じ原点を有する2次元座標上の信号となるように第1の移動物体データを所定量シフトさせる。
【0104】
ステップS19の第2の移動物体データシフト処理は。同様に第2のUWBレーダパルス送信部62から送信された信号の第2のUWBレーダパルス2次元応答差分信号が、第1のUWBレーダパルス2次元応答差分信号と同じ原点を有する2次元座標上の信号となるようにデータを所定量シフトさせる。その後、ステップS20の移動物体データ合成処理で、UWBレーダパルス2次元応答差分信号を合成する。
【0105】
上述した第6の実施の形態によれば、2つの送信部61、62からそれぞれUWBレーダパルス信号を繰り返し送信し、1つの受信部63で目標からの反射波を受信するUWBレーダ装置60において、距離に応じて角度ステップを変化させることで、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元のUWBレーダパルス応答差分信号に変換するときに、原点(第1のUWBレーダパルス送信部61と第2のUWBレーダパルス送信部62の位置から算出する仮想的な位置)からの距離が遠い位置の角度分解能を高めることができる。これにより第1及び第2のUWBレーダパルス送信部61及び62から離れた位置においても移動物体の位置を高精度で検出することができる。
【0106】
次に、図20は、本発明の第7の実施の形態のUWBレーダ装置70の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図20において、図1のブロック及び処理と同じものには同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0107】
第7の実施の形態の特徴は2個のUWBレーダパルス送受信部71、72を有することである。
図20において、UWBレーダ装置70は、第1のUWBレーダパルス送受信部71と、第2のUWBレーダパルス送受信部72と、UWBレーダパルス送受信制御部14と有する。
【0108】
第1のUWBレーダパルス送受信部71は、UWBレーダパルスを繰り返し送信すると共に、固定物及び移動物体からの反射波を受信して第1のUWBレーダパルス応答信号を出力する。第2のUWBレーダパルス送受信部72は、UWBレーダパルスを繰り返し送信すると共に、固定物及び移動物体からの反射波を受信して第2のUWBレーダパルス応答信号を出力する。
【0109】
UWBレーダパルス送受信制御部14は、第1のUWBレーダパルス送受信部71と第2のUWBレーダパルス送受信部72の同期を取り、第1のUWBレーダパルス受信部12で受信された信号と、第2のUWBレーダパルス受信部13で受信された信号を積分検波して、それぞれ表示サンプリング毎の第1のUWBレーダパルス応答信号と第2のUWBレーダパルス応答信号として出力する。図20のステップS11、S12、S13〜S21の処理は、図1の処理と同じである。
【0110】
上述した第7の実施の形態によれば、第1及び第2のUWBレーダパルス送受信部71、72を有するUWBレーダ装置70において、距離に応じて角度ステップを変化させることで、1次元のUWBレーダパルス応答差分信号を2次元のUWBレーダパルス応答差分信号に変換するときに、原点(第1のUWBレーダパルス送信部61と第2のUWBレーダパルス送信部62の位置から算出する仮想的な位置)からの離れた位置の角度分解能を高め、かつデータを変換するための計算回数を少なくできる。これにより検出エリアの最大距離付近においても移動物体の位置を高精度で検出することができる。また、1つのUWBレーダパルス送受信部71,72でレーダパルスの送信と受信を行っているのでUWBレーダ装置70の構成が簡素になる。
【0111】
次に、図21は、本発明の第8の実施の形態のUWBレーダ装置10の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図21において、図1のブロック及び処理と同じものには同じ符号をつけてそれらの説明を省略する。
【0112】
この第8の実施の形態は、UWBレーダパルス2次元応答合成信号により特定される移動物体の位置を補正することを特徴としている。
図21において、ステップS11、S12、S13〜S20の処理は、図1と同じである。ビル壁の向こう側の移動物体の位置を検出するときに、壁の材料、壁厚の違いにより検出した移動物体の位置に誤差が生じることがある。ステップS81の移動体物体位置補正処理はこの誤差を補正するための処理である。
【0113】
図22は、ステップS81の移動物体位置補正処理の具体的なフローチャートである。
図22のステップS82で、対象となるビルの壁材、壁厚を設定する。次に、ステップS83で、設定した壁材、壁厚の時間遅延量をデータベース81から読み込む。
【0114】
データベース81は図示しない記憶装置に記憶されており、そのデータベース81は、壁材と壁厚と対応づけて遅延時間データが格納されている。例えば、壁材Aで、壁厚T1のときの遅延時間は1psであり、壁材Aで、壁厚T4のときの遅延時間は4psとなる。
【0115】
時間遅延量をデータベース81から取得したなら、次のステップS84で、「時間遅延量×2×光速/2」の式で位置補正量を計算する。なお、位置補正量を計算する式で、時間遅延量に「2」を乗算しているのは、レーダ信号の反射波を受信するときに、レーダ信号が遮蔽物体を往復で通過するためであり、最後に「2」で除算しているのは、ターゲットまでの距離をレーダ信号の送信部及び受信部から片道の距離で表示するためである。
【0116】
次のステップS85で、UWBレーダパルス2次元応答合成信号により特定される位置から位置補正量を減算して移動物体の位置を算出する。
上記の処理によりUWBレーダパルス応答信号が透過するビルの壁材、壁厚等による信号の遅延時間を補正することができるので、ビルの内部にいる移動物体の位置をより正確に検出することができる。
【0117】
上述した第8の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、ビルの内部等にいる移動物体の位置をより正確に検出することができる。
次に、図23は、本発明の第9の実施の形態のUWBレーダ装置10の構成と移動物体検出処理のフローチャートを示す図である。図23において、図1と同じブロック及び処理については同じ符号を付けてそれらの説明を省略する。
【0118】
第9の実施の形態は、移動物体が車か、生物か、人間かを識別する機能を設けたことを特徴としている。
図23において、ステップS11、S12、S13〜S20、S21の処理は、図1と同じである。
【0119】
図23のステップS91の移動物体識別処理について、図24のフローチャートを参照して説明する。
図24のステップS92で、移動物体の反射波であるUWBレーダパルス2次元応答合成信号の受信範囲が所定範囲以上か否かを判別する。
【0120】
移動物体の検出信号の受信範囲が一定範囲以上あるときには、車などを移動物体として検出したものと認識する。他方、移動物体の検出信号の受信範囲が一定範囲未満のときには、生物を検出したものと推定し、ステップS93に進む。ステップS93では、移動物体の受信信号強度が所定値以上か否かを判別する。
【0121】
ステップS93で、受信信号強度が所定値以上と判別されたときには、移動物体を動物と認識する。他方、受信信号強度が所定値未満のときには、ステップS94またはS95に進む。
【0122】
ステップS94では、移動物体の速度が所定値以上か否かを判別する。ステップS94で、移動速度が所定値以上と判定されたときには、移動物体が走行しているものと判定する。他方、移動速度が所定値未満と判定されたときには、歩行しているものと判断する。
【0123】
ステップS95では、移動物体の位置が所定値より高いか否かを判別する。ステップS95で、移動物体の高さが所定値以上であったときには、移動物体は人間の大人であると判定する。他方、移動物体の高さが所定値未満のときには、移動物体は子供と認識する。
【0124】
上述した第9の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、移動物体が物か、生物か、人間か等を認識することができる。
本発明は上述した実施の形態に限らず、例えば、以下のように構成しても良い。
(1)本発明は、超広帯域レーダ装置に限らず広帯域レーダ装置等にも適用できる。
(2)レーダ装置は、UWBレーダパルス送信部、第1のUWBレーダパルス受信部、第2のUWBレーダパルス受信部及びUWBレーダパルス送受信制御部等からなるものに限らず、それらの機能を1つにまとめても良いし、機能の一部または全部をソフトウェアで実現しても良い。
【0125】
(付記1) 広帯域のレーダパルスを送信する送信手段と、
観測対象の物体から反射されるレーダパルスを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信されたサンプル時刻の異なるレーダパルス応答信号の差分を、移動物体を示すレーダパルス応答差分信号として検出する移動物体検出手段と、
前記送信手段の位置を基準とした距離に応じて変化する角度ステップを算出する角度ステップ算出手段と、
前記角度ステップに基づいて角度を算出する角度算出手段と、
1次元の前記応答差分信号を、前記角度算出手段により算出された前記角度と前記距離により定まる2次元平面上の位置のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する移動物体データ変換手段と、
前記データ変換手段により変換された複数のレーダパルス2次元応答差分信号を合成する移動物体データ合成手段と、
前記移動物体データ合成手段により合成されたレーダパルス2次元応答合成信号を表示する表示制御手段とを備える広帯域レーダ装置。
(付記2) 前記角度ステップ算出手段は、最大距離において必要な角度分解能と距離方向の位置を示す距離設定値の最大値を乗算した値を定数として記憶しておき、前記定数を2次元平面上の距離を示す前記距離設定値で除算した値を、前記距離設定値に対応する角度ステップとして算出する付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記3) 前記受信手段は、第1及び第2の受信手段を有し、
前記移動物体検出手段は、前記第1の受信手段で受信されるサンプル時刻の異なる第1のレーダパルス応答信号の差分を第1のレーダパルス2次元応答差分信号として抽出する第1の移動物体検出手段と、前記第2の受信手段で受信されるサンプル時刻の異なる第2のレーダパルス応答信号の差分を第2のレーダパルス2次元応答差分信号として抽出する第2の移動物体検出手段を有し、
前記角度ステップ算出手段は、前記距離設定値に応じた角度ステップを算出する第1及び第2の角度ステップ算出手段を有し、
前記角度算出手段は、前記第1及び第2の角度ステップ算出手段により算出され角度ステップに基づいて角度を算出する第1及び第2の角度算出手段を有し、
前記移動物体データ変換手段は、前記第1及び第2のレーダパルス応答差分信号を、算出された前記角度と距離により定まる2次元座標上の位置の2次元のレーダパルス応答差分信号に変換する第1及び第2の移動物体データ変換手段を有し、
前記移動物体データ合成手段は、前記第1及び第2の2次元のレーダパルス応答差分信号を合成する付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記4) 前記移動物体データ変換手段は、2次元の各座標における前記レーダパルス2次元応答差分信号の積分回数を記憶する積分回数記憶手段と、各座標の前記レーダパルス2次元応答差分信号の振幅データを前記積分回数で除算した値を該当する座標の前記振幅データとして算出する付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記5) 前記送信手段と前記受信手段のアンテナ係数に基づいて前記移動物体データ変換手段で得られる積分データを補正するアンテナウェイト補正手段を有する付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記6) 距離に応じて高さステップが変化する高さステップを算出する高さステップ算出手段を有し、
前記受信強度算出手段は、前記角度ステップにより定まる角度と受信距離と前記高さステップにより定まる高さとに定まる2次元の点の受信信号強度を算出する請求項1記載の広帯域レーダ装置。
(付記7) 前記送信手段は、第1及び第2の送信手段を有し、
前記受信手段は、前記第1及び第2の送信手段から送信され、観測対象の物体から反射されるレーダパルスを受信し、
前記移動物体検出手段は、サンプル時刻の異なる第1のレーダパルス応答信号の差分を抽出する第1の移動物体検出手段と、サンプル時刻の異なる第2のレーダパルス応答信号の差分を抽出する第2の移動物体検出手段とを有し、
前記角度ステップ算出手段は、距離に応じた角度ステップを算出する第1及び第2の角度ステップ算出手段を有し、
前記角度算出手段は、前記第1の角度ステップ算出手段により算出された前記角度ステップに基づいて角度を算出する第1及び第2の角度算出手段を有し、
前記移動物体データ変換手段は、前記第1及び第2のレーダパルス応答差分信号を、前記距離と算出された前記角度により定まる2次元座標上の位置の2次元のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する第1及び第2の移動物体データ変換手段を有し、
前記第1及び第2の2次元のレーダパルス応答差分信号を合成する移動物体データ合成手段とを備える付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記8) 前記送信手段及び前記受信手段は、レーダパルスを送信するとともに、観測対象の目標から反射されるレーダパルスを受信する第1及び第2の送受信手段からなり、
前記移動物体検出手段は、前記第1の送受信手段から出力される、サンプル時刻の異なる第1のレーダパルス応答信号の差分を抽出する第1の移動物体検出手段と、前記第2の送受信手段から出力される、サンプル時刻の異なる第2のレーダパルス応答信号の差分を抽出する第2の移動物体検出手段とを有し、
前記角度ステップ算出手段は、距離に応じた角度ステップを算出する第1及び第2の角度ステップ算出手段を有し、
前記角度算出手段は、前記角度ステップに基づいて角度を算出する第1及び第2の角度算出手段を有し、
前記移動物体データ変換手段は、前記第1及び第2のレーダパルス応答差分信号を、距離と算出された前記角度により定まる2次元座標上の位置の2次元の第1及び第2のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する第1及び第2の移動物体データ変換手段を有し、
前記移動物体データ合成手段は、前記第1及び第2のレーダパルス2次元応答差分信号を合成する付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記9) 前記レーダパルス2次元応答合成信号により定まる移動物体の位置を、前記レーダパルスが通過する遮蔽物の時間遅延量に基づいて補正する位置補正手段を有する付記1記載の広帯域レーダ装置。
(付記10) 広帯域のレーダパルスを送信して移動物体を検出する広帯域レーダ装置の移動物体検出方法であって、
観測対象の物体から反射されるレーダパルスを受信手段で受信するステップと、
受信されたサンプル時刻の異なるレーダパルス応答信号の差分を抽出し、移動物体を示すレーダパルス応答差分信号に変換するステップと、
2次元平面上の距離に応じて変化する角度ステップを算出するステップと、
前記角度ステップに基づいて角度を算出するステップと、
1次元の前記レーダパルス応答差分信号を、前記距離と前記角度により定まる2次元のレーダパルス2次元応答差分信号に変換するステップと、
変換された複数のレーダパルス2次元応答差分信号を合成するステップと、
合成されたレーダパルス2次元応答合成信号を表示するステップとを有する広帯域レーダ装置の移動物体検出方法。
(付記11) 最大距離において必要な角度分解能と距離方向の位置を示す距離設定値の最大値を乗算した値を定数として記憶しておき、前記定数を前記距離設定値で除算した値を、前記距離設定値に対応する角度ステップとして算出する付記10記載の広帯域レーダ装置の移動物体検出方法。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】第1の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図2】UWBレーダパルス応答差分信号を示す図である。
【図3】第1の移動物体データ変換処理のフローチャートである。
【図4】(A)、(B)は、第1の実施の形態の距離と角度ステップと、距離と角度の関係を示す図である。
【図5】第1の実施の形態のデータ密度を示す図である。
【図6】移動物体データシフト処理の説明図である。
【図7】移動物体データ合成処理の説明図である。
【図8】(A)、(B)は、等間隔角度ステップ法と実施の形態の角度ステップ算出法の計算回数の比較表である。
【図9】(A)、(B)は、実施の形態のUWBレーダパルス2次元応答差分信号を示す図である。
【図10】(A)、(B)は、等間隔角度ステップ法によるUWBレーダパルス2次元応答差分信号を示す図である。
【図11】(A)、(B)は、実施の形態のUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を示す図である。
【図12】(A)、(B)は、等間隔角度ステップ法によるUWBレーダパルス2次元応答シフト信号を示す図である。
【図13】(A)、(B)は、UWBレーダパルス2次元応答合成信号を示す図である。
【図14】第2の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図15】第1の移動物体データ変換処理のフローチャートである。
【図16】第3の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図17】第4の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図18】第5の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図19】第6の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図20】第7の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図21】第8の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図22】移動物体位置補正処理のフローチャートである。
【図23】第9の実施の形態の移動物体検出処理のフローチャートである。
【図24】移動物体識別処理のフローチャートである。
【図25】従来の移動物体検出処理のフローチャート(その1)である。
【図26】各時刻のUWBレーダパルス応答信号とその応答差分信号を示す図である。
【図27】1次元のUWBレーダパルス応答差分信号と2次元応答差分信号を示す図である。
【図28】(A)、(B)は、従来の等間隔角度ステップ法における距離と角度ステップの関係と、距離と角度の関係を示す図である。
【図29】従来の等間隔角度ステップ法のデータ密度を示す図である。
【図30】従来の移動物体検出処理のフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0127】
10、50、60、70 UWBレーダ装置
11 UWBレーダパルス送信部
12 第1のUWBレーダパルス受信部
13 第2のUWBレーダパルス受信部
14 UWBレーダパルス送受信制御部
15 第1の移動物体データ変換部
16 第2の移動物体データ変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域のレーダパルスを送信する送信手段と、
観測対象の物体から反射されるレーダパルスを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信されたサンプル時刻の異なるレーダパルス応答信号の差分を、移動物体を示すレーダパルス応答差分信号として検出する移動物体検出手段と、
前記送信手段の位置を基準とした距離に応じて変化する角度ステップを算出する角度ステップ算出手段と、
前記角度ステップに基づいて角度を算出する角度算出手段と、
1次元の前記レーダパルス応答差分信号を、前記角度算出手段により算出された前記角度と前記距離により定まる2次元平面上の位置のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する移動物体データ変換手段と、
複数の前記レーダパルス2次元応答差分信号を合成する移動物体データ合成手段と、
前記移動物体データ合成手段により合成されたレーダパルス2次元応答合成信号を表示する表示制御手段とを備える広帯域レーダ装置。
【請求項2】
前記角度ステップ算出手段は、最大距離において必要な角度分解能と距離方向の位置を示す距離設定値の最大値を乗算した値を定数として記憶しておき、前記定数を前記距離設定値で除算した値を、前記距離設定値に対応する角度ステップとして算出する請求項1記載の広帯域レーダ装置。
【請求項3】
前記受信手段は、第1及び第2の受信手段を有し、
前記移動物体検出手段は、前記第1の受信手段で受信された、サンプル時刻の異なる第1のレーダパルス応答信号の差分を第1のレーダパルス応答差分信号として抽出する第1の移動物体検出手段と、前記第2の受信手段で受信された、サンプル時刻の異なる第2のレーダパルス応答信号の差分を第2のレーダパルス応答差分信号として抽出する第2の移動物体検出手段を有し、
前記角度ステップ算出手段は、前記距離に応じた角度ステップを算出する第1及び第2の角度ステップ算出手段を有し、
前記角度算出手段は、前記第1及び第2の角度ステップ算出手段により算出され角度ステップに基づいて角度を算出する第1及び第2の角度算出手段を有し、
前記移動物体データ変換手段は、1次元の前記第1及び第2のレーダパルス応答差分信号を、算出された前記角度と距離により定まる2次元座標上の位置のレーダパルス2次元応答差分信号に変換する第1及び第2の移動物体データ変換手段を有し、
前記移動物体データ合成手段は、前記第1及び第2のレーダパルス2次元応答差分信号を合成する請求項1記載の広帯域レーダ装置。
【請求項4】
前記移動物体データ変換手段は、2次元の各座標における前記レーダパルス2次元応答差分信号の積分回数を記憶する積分回数記憶手段と、各座標の前記レーダパルス2次元応答差分信号の振幅データを前記積分回数で除算した値を該当する座標の前記振幅データとして算出する請求項1記載の広帯域レーダ装置。
【請求項5】
広帯域のレーダパルスを送信して移動物体を検出する広帯域レーダ装置の移動物体検出方法であって、
観測対象の物体から反射されるレーダパルスを受信手段で受信するステップと、
受信されたサンプル時刻の異なるレーダパルス応答信号の差分を抽出し、移動物体を示すレーダパルス応答差分信号に変換するステップと、
2次元平面上の距離に応じて変化する角度ステップを算出するステップと、
算出された前記角度ステップに基づいて角度を算出するステップと、
1次元の前記レーダパルス応答差分信号を、前記距離と前記角度により定まる座標のレーダパルス2次元応答差分信号に変換するステップと、
複数のレーダパルス2次元応答差分信号を合成するステップと、
合成されたレーダパルス2次元応答合成信号を表示するステップとを有する広帯域レーダ装置の移動物体検出方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−39616(P2008−39616A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215038(P2006−215038)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】