説明

床構造

【課題】床衝撃音の遮断性能が良好で施工性を向上させることができる床構造を得る。
【解決手段】デッキプレート32上に上床材14が支持されると共に、デッキプレート32には、動吸振器36の弾性部材42が取付ボルト40等を介して支持されている。このため、上床材14に振動が加わった場合、この振動は、デッキプレート32を介して動吸振器36の弾性部材42へ伝わる。これによって、動吸振器36の弾性部材42が弾性変形し、動吸振器36において弾性部材42に支持された質量体44が振動を吸収するように上下動することで、上床材14から床スラブ12への振動が減衰される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重床とされた床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
床構造においては、例えば、床板(床材)の下に大引や根太等の鋼材が水平に渡された組床式の二重床構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような二重床構造では、床衝撃音を吸収するために、例えば、床板にアスファルトシート(遮音シート)を敷設する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平8−475公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の床構造では、重いアスファルトシートを床全面に敷設することになり、施工性が悪い。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、床衝撃音の遮断性能が良好で施工性を向上させることができる床構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の床構造は、床スラブと、前記床スラブ上に支持される複数の支持脚と、前記支持脚上に渡されて支持される複数の大引と、前記大引上に渡されて支持される床支持部材と、前記床支持部材上に支持され、前記床スラブとの間に間隔をもって配置される床材と、前記床支持部材に支持されて弾性変形可能な弾性部材、及び前記弾性部材に支持される質量体を含んで構成される動吸振器と、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明の床構造によれば、床支持部材上に床材が支持されると共に、床支持部材には、動吸振器の弾性部材が支持されている。このため、床材に振動が加わった場合、この振動は、床支持部材を介して動吸振器の弾性部材へ伝わる。これによって、動吸振器の弾性部材が弾性変形し、動吸振器において弾性部材に支持された質量体が振動を吸収するように上下動することで、床材から床スラブへの振動が減衰される。床支持部材は、複数の大引及び複数の支持脚を介して床スラブ上に支持されているので、減衰された振動は、床支持部材から大引及び支持脚を介して床スラブへ伝わる。
【0008】
請求項2に記載する本発明の床構造は、請求項1記載の構成において、前記床支持部材には凹部が形成されており、前記凹部内に前記動吸振器が配置されている。
【0009】
請求項2に記載する本発明の床構造によれば、床支持部材には凹部が形成されており、凹部内に動吸振器が配置されているので、床支持部材よりも下方側のスペースが動吸振器の設置以外の用途に有効に利用される。また、施工時には床支持部材よりも下方側に配置される部材に動吸振器が干渉することもないので、施工性も良い。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の床構造によれば、床衝撃音の遮断性能が良好で施工性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る床構造を示す斜視図である(上床材を透視した状態で示す。)。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る床構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る床構造を示す斜視図である(上床材を透視した状態で示す。)。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る床構造を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る床構造における動吸振器の取付状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明における床構造の第1の実施形態を図面に基づき説明する。なお、図中の矢印UPは床構造における上方向を示す。
【0013】
図1には、床構造10が上床材14を透視した状態の斜視図で示されている。図1に示される床構造10は、組床式の二重床の構造とされており、例えば、体育館等に適用することができる。
【0014】
図1に示されるように、床構造10は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ12と上床材14との間に、床支持構造10A(床下地構造部)を介在させている。床支持構造10Aが介在されることによって床スラブ12と上床材14との間に空間が形成されている。
【0015】
床支持構造10Aは、床スラブ12上に支持される複数の支持脚16を備えている。支持脚16の下部は、金属製(本実施形態では、鋼製)の支持台18によって構成されており、この支持台18は、床スラブ12側が開放された正面視で略ハット形状とされている。なお、本実施形態では、支持脚16の下部が支持台18で構成されているが、支持脚16の下部は、柱状の束(束柱)によって構成されていてもよい。支持台18の一対のフランジ部18Aは、床スラブ12上に配置されて固定手段によって床スラブ12に固定されている。また、支持台18の頂壁部18Bは、調整ボルト20によって貫通されている。
【0016】
調整ボルト20は、支持台18の頂壁部18Bに接する調整ナット22によって螺合されており、直立した状態で支持台18に支持されている。調整ボルト20の軸線方向における一端側となる上端部は、調整ナット24(図2参照)によって螺合されると共に、大引受け金具26に連結されている。
【0017】
大引受け金具26は、一対の側壁26Aが互いに対向する溝状(チャンネル状)に形成されている。大引受け金具26の内側における底部26B側には、緩衝材28(広義には「弾性体」として把握される要素である。)が固着されている。緩衝材28は、ゴム製とされて弾性変形可能であり、振動を減衰させるようになっている。
【0018】
以上説明した支持台18、調整ボルト20、調整ナット22、24(図2参照)、大引受け金具26、及び緩衝材28を含んで支持脚16は構成されている。
【0019】
大引受け金具26の内側において、緩衝材28上には、金属製(本実施形態では、鋼製)の大引30(広義には「ビーム材」として把握される要素である。)が配置されている。大引30は、矩形閉断面を備えた角筒状とされ、複数の支持脚16上に水平方向(床スラブ12に平行な方向)に渡されている。また、支持脚16上に支持される複数の大引30は、所定間隔を開けて互いに平行に配置されている。
【0020】
大引30上には、床支持部材としてのデッキプレート32が渡されて支持されている。デッキプレート32は、金属板(本実施形態では、鋼板)がプレス加工により略矩形の波板状に形成されたものであり、頂部32Aと底部32Bとが大引30の延在方向に交互に配列されている。頂部32A及び底部32Bは、いずれも平坦状に形成され、傾斜壁状の側部32Cを介して繋がっている。また、頂部32A及び底部32Bの延在方向は、大引30の延在方向に対して交差(直交)している。
【0021】
デッキプレート32の底部32Bにおける所定部位は、ねじ等の固定手段で大引30に固定されている。これに対して、デッキプレート32の頂部32Aにおける所定部位は、ねじ等の固定手段で上床材14に固定されている。
【0022】
上床材14は、デッキプレート32上に支持され、床スラブ12との間に間隔をもって配置されている。この上床材14は、合板の捨て板14Aを備えると共に、捨て板14A上に床仕上げ材であるフローリング14B(単層フローリング又は複合フローリング)を設けた積層構造となっている。
【0023】
一方、図2に示されるように、デッキプレート32には、底部32B及び側部32Cにより、上床材14側へ向けて開口した凹部34が形成されており、この凹部34内には、複数の動吸振器36(「ダイナミックダンパデバイス」、「制振ダンパ」等ともいう。)が配置されている。動吸振器36は、後述する弾性部材42及び質量体44を含んで構成されている。
【0024】
図2の部分拡大図に示されるように、デッキプレート32の底部32B上には、動吸振器36の取付用として取付板38が配置されている。取付板38は、デッキプレート32の底部32B及び大引30の頂部30Aにねじ39等の固定手段によって固定されている。取付板38の中央部には、取付ボルト40の軸線方向一端部(下端部)が固定されている。
【0025】
取付ボルト40の軸線方向中間部には取付ボルト40と同軸的にフランジ状の受け座41が一体に固定されている。受け座41上には、取付ボルト40の外周側に配設された弾性部材42が固着されている。これにより、弾性部材42は、受け座41、取付ボルト40及び取付板38を介してデッキプレート32に支持されている。また、弾性部材42は、ゴム製等とされて弾性変形可能であって振動を減衰させるようになっている。
【0026】
弾性部材42上には、取付ボルト40によって貫通された受け座43が配置されており、受け座43上には、質量体44が配置されている。すなわち、質量体44は、受け座43を介して弾性部材42に支持されている。この質量体44は、金属製(本実施形態では、鋼製)とされ、取付板38側が開口された有底略円筒状とされている。質量体44の上部には、取付ボルト40の軸線方向他端部(上端部)が軸線方向に相対移動可能に挿入されている。また、質量体44の凹部の内側には既述した弾性部材42が配設されている。これらによって、質量体44は、弾性部材42の弾性変形によって変位して振動を減衰させるようになっている。
【0027】
以上のように配置された動吸振器36は、デッキプレート32の凹部34内に隠れるように配置されることになる。動吸振器36の設置数は、床衝撃音の遮断性能の必要とされる改善量に応じて設定する。換言すれば、動吸振器36の設置数を増やすことによって床衝撃音の遮断性能の改善量がコントロール可能な構成になっている。
【0028】
(施工手順)
次に、図1に示される二重床の床構造10を構成する際の施工手順について説明する。
【0029】
まず、複数の支持脚16を床スラブ12上に固定する。次に、複数の支持脚16上に大引30を架け渡すように配置すると共に、支持脚16の調整ボルト20及び調整ナット22によって大引受け金具26の高さ位置を調整する。
【0030】
次に、動吸振器36が予め固定されたデッキプレート32を大引30上に配置する。なお、動吸振器36は、デッキプレート32のすべての底部32Bの列に予め固定(設置)しておいてもよいし、任意の底部32Bの列に予め固定(設置)しておいてもよい。デッキプレート32は、大引30の延在方向に対して、頂部32A及び底部32Bの延在方向が直交するように配置する。また、図示を省略するが、隣り合うデッキプレート32の端部同士は、重ね合わせて配置する。
【0031】
次に、デッキプレート32の底部32Bを大引30の頂部30A上に固定する。そして、デッキプレート32の頂部32A上に捨て板14Aを敷設してデッキプレート32に捨て板14Aを固定し、最後に、捨て板14A上にフローリング14Bを敷設する。以上によって、二重床の床構造10が構成される。
【0032】
なお、本実施形態では、動吸振器36をデッキプレート32に予め固定しておくことで、現場での取付け工数を低減しているが、例えば、デッキプレート32を大引30上に配置してから動吸振器36をデッキプレート32に固定してもよい。
【0033】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0034】
図2に示されるように、本実施形態に係る床構造10では、デッキプレート32上に上床材14が支持されると共に、デッキプレート32には、動吸振器36の弾性部材42が取付ボルト40等を介して支持されている。このため、上床材14に振動が加わった場合、この振動は、デッキプレート32等を介して動吸振器36の弾性部材42へ伝わる。これによって、動吸振器36の弾性部材42が弾性変形し、動吸振器36において弾性部材42に支持された質量体44が振動を吸収するように上下動することで、上床材14から床スラブ12への振動が減衰される。デッキプレート32は、複数の大引30及び複数の支持脚16を介して床スラブ12上に支持されているので、減衰された振動は、デッキプレート32から大引30及び支持脚16を介して床スラブ12へ伝わる。
【0035】
ここで、対比構造と比較しながら補足説明すると、例えば、床衝撃音の遮断性能を確保するために、上床材にアスファルトシートを敷設するような対比構造では、重いアスファルトシートを床全面に敷設することになるので、施工性が悪く、かつ大幅なコストアップを招くことになる。また、重量が増加することで、建物の耐力の点でも負担が増す。これに対して、本実施形態に係る床構造10では、重いアスファルトシートを床全面に敷設する必要がないので、これらの問題点を解消することができ、軽量化と施工性の向上が実現される。
【0036】
また、動吸振器36は、デッキプレート32の凹部34内に配置されているので、デッキプレート32よりも下方側のスペースが動吸振器36の設置以外の用途に有効に利用される。また、施工時にはデッキプレート32よりも下方側に配置される床下の構造物(特に換気用のダクト等)に動吸振器36が干渉することもない(又は干渉を容易に回避できる)ので、施工性も良い。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る床構造10によれば、床衝撃音の遮断性能が良好で施工性を向上させることができる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る床構造50について、図3及び図4を用いて説明する。図3には、本発明の第2の実施形態に係る床構造50が上床材14を透視した状態の斜視図にて示されており、図4には、床構造50が縦断面図にて示されている。
【0039】
これらの図に示されるように、床構造50は、デッキプレート32(図1参照)に代えて、床支持部材としての根太52(広義には「ビーム材」として把握される要素である。)を備え、この根太52に補強材54を介して動吸振器56が吊り下げられている点で、第1の実施形態に係る床構造10(図1参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態では、床スラブ12と上床材14との間に介在された床支持構造50A(床下地構造部)が支持脚16、大引30及び根太52を含んで構成されている。
【0040】
図3に示されるように、大引30上には、複数の根太52が渡されて支持されている。根太52の延在方向は、大引30の延在方向に対して、交差(直交)している。根太52は、金属製(本実施形態では、鋼製)とされて断面形状が略ハット状とされ、上床材14を支持する頂部52Aと、頂部52Aの延在方向に直交する方向の両端部から垂下された側部52B、52Cと、これらの側部52B、52Cから互いに離反する方向に延設されたフランジ部52D、52Eと、を含んで構成されており、フランジ部52D、52Eが大引30に固定されている。これらの根太52上には、上床材14が支持されている。これによって、上床材14は、床スラブ12との間に間隔をもって配置されている。
【0041】
一方、互いに隣り合う大引30同士の間には、根太52のフランジ部52D、52Eの下面側に補強材54がねじ55(図4参照)等の固定手段によって固定されている。補強材54は、矩形閉断面を備えた角筒状とされ、根太52に対して交差(直交)して渡されている。なお、本実施形態では、補強材54が根太52に渡されているが、補強材54は、根太52に渡されずに根太52毎に別個に固定される構成としてもよい。
【0042】
図4に示されるように、補強材54の下面には、動吸振器56の取付用として取付板58が配置されている。動吸振器56は、後述する弾性部材64及び質量体66を含んで構成されて複数設置され、取付板58は、補強材54の底部54Aにねじ59等の固定手段によって固定されている。取付板58の中央部には、取付ボルト60の軸線方向一端部(上端部)が固定されている。
【0043】
取付ボルト60の軸線方向他端部(下端部)には、ナット62が螺合されており、ナット62の上面には、受け座63が一体に固定されている。この受け座63は、取付ボルト60によって貫通されている。受け座63上には、取付ボルト60の外周側に配設された弾性部材64が固着されている。これにより、弾性部材64は、受け座63、取付ボルト60、取付板58及び補強材54等を介して根太52に支持されている。また、弾性部材64は、ゴム製等とされて弾性変形可能であって振動を減衰させるようになっている。
【0044】
弾性部材64上には、取付ボルト60によって貫通された受け座65が配置されており、受け座65上には、質量体66が配置されている。すなわち、質量体66は、受け座65を介して弾性部材64に支持されている。この質量体66は、金属製(本実施形態では、鋼製)とされ、下方側が開口された有底略円筒状とされている。質量体66の上部は、取付ボルト60の軸線方向の中間部によって貫通されている。また、質量体66の凹部の内側には既述した弾性部材64が配設されている。これらによって、質量体66は、弾性部材64の弾性変形によって変位して振動を減衰させるようになっている。
【0045】
次に、図3に示される二重床の床構造50を構成する際の施工手順について説明する。なお、大引30を配置して高さ位置を調整するまでは第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
大引30が所定位置に配置された後、大引30の延在方向に対して、根太52の延在方向が直交するように、大引30上に根太52を配置して固定する。次に、複数の動吸振器56が予め一体化された補強材54を根太52に固定する。
【0047】
次に、根太52上に捨て板14Aを敷設し、最後に、捨て板14A上にフローリング14Bを敷設する。以上によって、二重床の床構造50が構成される。
【0048】
このように、本実施形態では、補強材54を根太52に予め固定しておくことによって、複数の動吸振器56を同時に根太52に取り付けることができるので、現場での施工性が良い。
【0049】
また、本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態とほぼ同様の作用が得られて床衝撃音の遮断性能が良好になり、施工性も向上させることができる。
【0050】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る床構造について、図5を用いて説明する。図5には、本発明の第3の実施形態に係る床構造における動吸振器72の取付状態が断面図にて示されている。
【0051】
この図に示されるように、本実施形態に係る床構造は、補強材54(図4参照)に代えて、L型鋼70を介して動吸振器72が根太52に吊り下げられている点で、第2の実施形態に係る床構造50(図4参照)とは異なる。他の構成は、第2の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1、第2の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図5に示されるように、根太52の側部52Bには、L型鋼70の上部70Aがねじ71等の固定手段によって固定されている。L型鋼70は、長尺状の鋼板をプレス加工により縦断面視で略L字状に形成したものであり、根太52の延在方向に沿って配設されている。
【0053】
このL型鋼70にて略水平に配置される下板部70B上には、複数の動吸振器72が配置されている。動吸振器72は、後述する弾性部材80及び質量体82を含んで構成されている。また、下板部70Bの中央部は、動吸振器72の取付用とされた取付ボルト74によって貫通されている。
【0054】
取付ボルト74の軸線方向一端部(下端部)には、ナット76が螺合されており、ナット76の上面には、受け座77が一体に固定されている。この受け座77は、取付ボルト74によって貫通されており、L型鋼70の下板部70Bの下方側に配置されている。これに対して、L型鋼70の下板部70Bの上方側には、受け座78が配置されている。受け座78は、取付ボルト74の軸線方向の中間部に一体に固定されており、取付ボルト74に対して同軸的に配置されている。
【0055】
受け座78上には、取付ボルト74の外周側に配設された弾性部材80が固着されている。これらにより、弾性部材80は、L型鋼70の下板部70Bに固定されると共に、受け座78及びL型鋼70等を介して根太52に支持されている。また、弾性部材80は、ゴム製等とされて弾性変形可能であって振動を減衰させるようになっている。
【0056】
弾性部材80上には、取付ボルト74によって貫通された受け座81が配置されており、受け座81上には、質量体82が配置されている。すなわち、質量体82は、受け座81を介して弾性部材80に支持されている。質量体82は、金属製(本実施形態では、鋼製)とされ、その下部には、取付ボルト74の軸線方向他端部(上端部)が相対移動可能に挿入されている。これらによって、質量体82は、弾性部材80の弾性変形によって変位して振動を減衰させるようになっている。
【0057】
なお、本実施形態では、図5に示されるように、根太52の下方側に動吸振器72が配設されているが、根太52にて頂部52Aと側部52B、52Cとによって形成された凹部53内に、動吸振器72の一部又は全部が入り込んで配置されてもよい。
【0058】
本実施形態に係る床構造を構成する際の施工手順は、第2の実施形態における施工手順とほぼ同様である。より具体的には、第2の実施形態の工程のうち、複数の動吸振器56(図3参照)が予め一体化された補強材54(図3参照)を根太52に固定する工程に代えて、複数の動吸振器72が予め一体化されたL型鋼70を根太52に固定する工程が行われる点を除き、第2の実施形態と同様である。
【0059】
以上説明した本実施形態の構成によっても、前述した第2の実施形態とほぼ同様の作用及び効果が得られる。
【0060】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、弾性部材42、64、80がゴム製である場合を例に挙げて説明したが、弾性部材は、例えば、圧縮コイルバネ等のような弾性変形可能な他の弾性部材であってもよい。
【0061】
また、上記第1の実施形態では、動吸振器36がデッキプレート32及び大引30に取り付けられているが、動吸振器は、デッキプレート(床支持部材)のみに取り付けられてもよい。
【0062】
また、第2、第3の実施形態では、動吸振器56、72が他部材(補強材54やL型鋼70等)を介して根太52に取り付けられているが、動吸振器は、根太(床支持部材)に直接取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 床構造
12 床スラブ
14 上床材(床材)
16 支持脚
30 大引
32 デッキプレート(床支持部材)
34 凹部
36 動吸振器
42 弾性部材
44 質量体
50 床構造
52 根太(床支持部材)
56 動吸振器
64 弾性部材
66 質量体
72 動吸振器
80 弾性部材
82 質量体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床スラブと、
前記床スラブ上に支持される複数の支持脚と、
前記支持脚上に渡されて支持される複数の大引と、
前記大引上に渡されて支持される床支持部材と、
前記床支持部材上に支持され、前記床スラブとの間に間隔をもって配置される床材と、
前記床支持部材に支持されて弾性変形可能な弾性部材、及び前記弾性部材に支持される質量体を含んで構成される動吸振器と、
を有する床構造。
【請求項2】
前記床支持部材には凹部が形成されており、前記凹部内に前記動吸振器が配置されている請求項1記載の床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−180576(P2010−180576A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23427(P2009−23427)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】