説明

床面清掃ロボット

【課題】 高速道路サービスエリア等のトイレのように、清掃中における人の出入りが避けられないような場所でも、清掃の仕残しを無くすようにした床面清掃ロボットを提供する。
【解決手段】進行方向の前方に障害物が検出されたときは、その都度、その障害物位置を除く未清掃エリア全体を最短走行距離で清掃可能とする最新走行経路情報を新たに生成し、その最新走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて走行し、その走行を完了したときに、前記障害物位置を最短走行距離で清掃可能とする最終走行経路情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の清掃エリア内を自律走行しながら、床面を清掃する床面清掃ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の清掃エリア内を自律走行しながら、床面を清掃する床面清掃ロボットが提案されている。かかる床面清掃ロボットは、走行方向の前方に現れる障害物(壁面)を検出する障害物検出センサを搭載しており、障害物を検出したときは、その位置情報を記憶するとともに障害物との衝突を回避するように方向転換(例えばUターン)して、エリア内の床面清掃(走行)を継続する。それらの動きを繰り返して、例えば、記憶した障害物の位置情報が閉曲線を成した場合に、壁面で仕切られた清掃エリア内全体の清掃が完了したものとして動作を終了する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−148090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、高速道路サービスエリアのトイレ等では、トイレ利用客が24時間途絶えることなく訪れるので、清掃のためにトイレを閉鎖することはできないという事情がある。また、トイレ利用客に対して、トイレ内の使用可能エリアを細かく指示したり、その指示を守らせたりするために係員を配置することは、コスト面で非常に難しい。したがって、高速道路サービスエリアのトイレ等では、上述したような床面清掃ロボットによる清掃中であっても、その走行経路内をトイレ利用客がお構いなしに行き来することがある。
【0004】
上記従来の床面清掃ロボットは、自らの走行方向の前方に立っていたり、あるいは横切ったりするトイレ利用客を、壁面同様の障害物として検出し、これに衝突する手前でUターンする等、衝突を回避しながら清掃を継続させることができる。当然ながら、障害物として検出されたトイレ利用客は、間もなく当該位置から立ち去って、床面清掃ロボットが壁面として検出した位置の向う側は、すぐに清掃可能な状態に戻る。しかしながら、床面清掃ロボットは、既に当該位置を壁面等で仕切られて清掃のできない領域として記憶しているため、実際には清掃の仕残し部分が存在するにもかかわらず、清掃を完了したものと認識して、清掃作業を終了することが生じ得る。
【0005】
また、高速道路パーキングエリア等のトイレには、利用客が建物外から直接出入りするため、天候状況(建物外通路の濡れ具合)しだいで利用客の履物に付着して室内に持ち込まれる泥水量が変動し、また、道路混雑状況しだいでパーキングエリア利用者数も変動するため、トイレ床面の汚れ具合も大きく変動する。これに対して、床面清掃ロボットによる床面への洗浄水の噴き付け量、床面を磨く洗浄ブラシの押付力、床面に広がった汚水の吸込力等を一定値に設定していると、時には、床面に水溜りや汚れ残りができる清掃不良を生じることがある。もちろん、洗浄水噴き付け量、ブラシ押付力、汚水吸込力等のすべてを最高レベルに設定しておけば、床面の濡れ・汚れはきれいに除去されるが、洗浄水の消費やバッテリーの消耗が著しく増加するため、洗浄水補充やバッテリー充電のメンテナンスが頻繁に繰り返されることによる稼働率低下を生じる。
【0006】
本願発明は、かかる事情に鑑みて、高速道路サービスエリア等のトイレのように、清掃中における清掃エリアへの人の出入りが避けられず、また、天候等によって床面の濡れ・汚れ具合が大きく変動するような場所であっても、清掃の仕残し、清掃不良、及び洗浄水・バッテリー無駄な消費・消耗を無くすようにした床面清掃ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1の発明は、所定の清掃エリア内を自律走行しながら、当該清掃エリアの床面清掃を行う床面清掃ロボットであって、
ロボット自体を方向転換可能に走行させる走行手段と、ロボット走行中に床面を清掃する清掃手段と、前記清掃エリアの地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図情報と、ロボットが一回走行することによって清掃可能な清掃幅寸法と、に基づいて、前記清掃エリア全体を最短走行距離で清掃するための走行経路情報を生成する走行経路情報生成手段と、前記走行経路生成手段により生成される走行経路情報を記憶する走行経路情報記憶手段と、ロボットの走行位置情報を常時検出する走行位置検出手段と、前記走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて、前記走行手段を制御する走行制御手段と、前記清掃手段による清掃作業が実施された既清掃エリアの情報を記憶し、該既清掃エリア情報を前記清掃作業の実施に伴って更新する既清掃エリア情報記憶手段と、ロボットの進行方向の前方を含むロボットの周囲に存在する障害物とその位置及び大きさを含む障害物情報を検出する障害物検出手段と、を備えてなり、
ロボットの進行方向の前方に障害物が検出されたときは、前記走行経路情報生成手段が、その都度、当該最新の障害物位置を除く未清掃エリア全体を最短走行距離で清掃可能とする最新走行経路情報を、前記障害物情報、前記地図情報及び前記既清掃エリア情報に基づいて新たに生成し、前記走行経路情報記憶手段は、ロボット走行位置が前記最新の障害物位置へ到達する前に、前記走行経路情報を前記最新走行経路情報に更新され、前記走行制御手段は、更新された前記最新走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて、前記走行手段を引き続き制御し、前記最新走行経路情報に基づく走行を完了したときは、前記走行経路情報生成手段が、前記最新の障害物位置を最短走行距離で清掃可能とする最終走行経路情報を生成し、前記走行制御手段は、前記最終走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて、前記走行手段を制御することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0008】
本願請求項2の発明は、請求項1記載の床面清掃ロボットであって、
前記障害物検出手段がロボットの進行方向の前方に新規障害物を検出した場合において、ロボットの走行位置が前記新規障害物位置へ到達する前に、前記走行経路情報記憶手段に記憶される前記走行経路情報が更新されないときは、前記走行制御手段が前記走行手段に対してロボット走行を停止させる制御を行い、前記走行経路情報が新規走行経路情報に更新されたときに、前記走行制御手段が、前記新規走行経路情報に基づいて、前記走行手段の制御を再開させることを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0009】
本願請求項3の発明は、請求項1又は2記載の床面清掃ロボットであって、
前記障害物検出手段がロボットの進行方向の前方に新規障害物を検出した場合に、ロボットが障害物に接近していることを知らせるアラーム音声を発する音声発生手段を備えることを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0010】
本願請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段による清掃実施前の床面に光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、を有し、前記照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づいて、床面の汚れ及び濡れ具合に関する床面状況を検出する床面状況検出手段と、前記清掃手段を制御する清掃制御手段と、を備えてなり、
前記床面状況検出手段による床面状況検出結果に基づいて、前記清掃手段の運転条件を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0011】
本願請求項5の発明は、請求項4記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃エリアの室内温度及び室内湿度を検出する温湿度検出手段を備えてなり、
前記温湿度検出手段による室内温湿度検出結果に基づいて、前記清掃手段の運転条件を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0012】
本願請求項6の発明は、請求項4又は5記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、回転ブラシ、該回転ブラシを回転駆動するブラシ駆動手段、及び前記回転ブラシを床面に押し付けるブラシ押付手段を有する床面磨き手段を備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記床面状況検出結果に基づいて、前記回転ブラシの回転速度及び押付力を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0013】
本願請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、床面に供給される洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、前記洗浄水タンクに設けられて供給水量を調節可能な供給水量調節手段及び供給水温を調節可能な供給水温調節手段を有する洗浄水供給手段と、を備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記床面状況検出結果及び/又は室内温湿度検出結果に基づいて、床面に対して供給する洗浄水の供給水量及び供給水温を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0014】
本願請求項8の発明は、請求項7記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、前記洗浄水供給手段に対して、前記洗浄水タンクと切り替え可能に接続され、床面に供給される消臭薬剤を貯留する薬剤タンクを備えており、
さらにロボットの下部には、床面の臭気を検出可能な半導体センサを有する臭気検出手段を備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記臭気検出手段による臭気検出結果に基づいて、前記洗浄水に代えて、前記消臭薬剤を前記洗浄水供給手段から床面に対して供給させることを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0015】
本願請求項9の発明は、請求項4乃至8の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、床面上の水分を吸引力調節可能に吸引するバキューム手段と、ロボットの下部に設けられるブレード部材を床面に押付力調節可能に押し付けて、ロボット走行に伴う前記ブレード部材の移動により前記バキューム手段の吸引口付近に床面上の水分を拭い寄せるワイパー手段と、からなる床面水分除去手段を備えており、
さらに前記床面水分除去手段による水分除去前の床面に光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、を有し、前記照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づいて、床面上の水分量を検出する除去前水分量検出手段を、備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記除去前水分量検出手段による水分量検出結果に基づいて、前記バキューム手段の吸引力及び前記ワイパー手段のブレード部材押付力を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0016】
本願の請求項10の発明は、請求項9記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、前記床面水分除去手段による水分除去が行われた床面に対して乾燥用空気を噴出可能で、その空気量を調節可能な供給空気量調節手段、及び空気温を調節可能な供給空気温調節手段を有する乾燥用空気噴出手段を備えており、
さらに前記床面水分除去手段による水分除去後の床面に光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、を有し、前記照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づいて、水分除去後の床面上の水分量を検出する除去後水分量検出手段を、備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記除去後水分量検出手段による水分量検出結果に基づいて、前記乾燥用空気噴出手段により噴出される乾燥用空気の空気量及び空気温を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0017】
本願請求項11の発明は、請求項4乃至10の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記走行制御手段は、前記清掃手段を制御する制御信号を前記清掃制御手段から受信することにより、前記清掃手段による清掃作業の内容に応じて予め設定された走行速度でロボットを走行させるように、前記走行手段による走行速度を調節することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0018】
本願請求項12の発明は、請求項4乃至10の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
ロボットの各構成部分に発生する故障を検出する故障検出手段を備えてなり、
前記故障検出手段によって故障が検出されたときは、
前記走行制御手段及び前記清掃制御手段が通常の清掃作業を中止するとともに、
検出された故障の内容に応じて、ロボットの運転をその場で停止するか、又は前記走行経路生成手段が現位置から所定の待機位置まで最短距離で退避する退避用走行経路情報を生成し、前記走行制御手段が前記退避用走行経路情報に基づいて、前記所定の待機位置まで退避するか、を選択的に実施することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【0019】
本願請求項13の発明は、請求項12記載の床面清掃ロボットであって、
オペレータ用情報通信手段と通信可能な無線通信手段を備えてなり、
前記故障検出手段によって故障が検出されたときは、その故障の内容を、前記無線通信手段を介して前記オペレータ用情報通信手段に送信することを特徴とする床面清掃ロボットを提供する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、床面清掃ロボットは、地図情報に基づいて清掃エリア全体を最短走行距離で清掃するための走行経路情報を予め生成しておき、これに基づく走行をしながら清掃作業を行い、ロボットの進行方向の前方に障害物を検出する都度、当該最新障害物位置を除く未清掃エリア全体を最短走行距離で清掃する最新走行経路情報を生成し、これに基づいて走行しながら清掃作業を続け、最新走行経路情報に基づく清掃作業を完了したときは、未清掃エリアである最新障害物位置を清掃する。したがって、壁面等によって仕切られる清掃不能なエリアと、人やその荷物によって一時的に清掃不能となっている清掃エリアと、を区別して、一時的に清掃不能となっている清掃エリアについては、清掃可能となった時点で清掃を行うため、人が頻繁に出入りすることによって清掃作業が妨げられる場所であっても清掃の仕残しを生じる心配が無い。
【0021】
請求項2の発明によれば、床面清掃ロボットの走行方向の前方に人(障害物)が突然進入してきた場合等には、最新走行経路情報を生成する時間が十分確保できず、そのままロボットを走行させると衝突事故を招く恐れがあるため、そのような場合には走行停止して、最新走行経路情報の生成後に運転を再開することにより事故を防止することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、新規障害物を検出した場合に、ロボットの接近を知らせるアラームを発するので、当該障害物として検出された人がロボットに気づかずに接触事故を発生することが防止される。
【0023】
請求項4の発明によれば、清掃実施前に床面の汚れや濡れ具合等の床面状況を検出し、その検出結果に基づいて運転条件を調節するので、清掃不十分で床面に汚れ残りや水分残りを生じたり、逆に汚れ等の少ない部分に過剰な清掃作業を施して長時間を要したり、バッテリー等を無駄に消耗したりする事態が防止される。
【0024】
請求項5の発明によれば、清掃エリアの室内温湿度を検出し、その検出結果に基づいて運転条件を調節するので、例えば温度が高く湿度が低い場合には、床面が乾き易いため、水分除去作業を簡単に済ませることにより、清掃作業を効率化し、バッテリー等を無駄に消耗したりする事態が防止することができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、床面状況検出結果に基づいて、回転ブラシの回転速度や押付力を調整するので、清掃作業の過不足による汚れ残りや駆動バッテリーの無駄な消耗を抑えることができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、床面状況検出結果及び室内温湿度検出結果に基づいて、床面への供給水量や供給水温を調節するので、床面に水溜りができたり、乾き易い状態にある床面に高温の洗浄水を供給する等して無駄に駆動バッテリーを消耗したりする事態を防止することができる。
【0027】
請求項8の発明によれば、床面の臭気検出結果に基づき、洗浄水を消臭薬剤に切り替えて供給するようにしたので、清掃したにもかかわらず室内に臭いが残る事態を防止することができる。
【0028】
請求項9及び10の発明によれば、清掃した床面の水分を除去する作業前に、その水分量を検出し、その検出結果に基づいて、水分除去をするバキューム手段の吸引力やワイパー手段の押付力、床面を乾燥する乾燥用空気噴出手段の空気量及び空気温を調節するので、床面上に水溜りが残ったりする事態や、駆動バッテリーを無駄に消耗する事態をぼうしすることができる。
【0029】
請求項11の発明によれば、清掃作業の内容に応じて走行速度を調節して、例えば汚れを念入りに除去する設定になっている場合には走行速度を落とす等して、清掃品質の安定化を図ることができるものである。
【0030】
請求項12の発明によれば、故障が発生したときに、その内容に応じて、選択的に停止したり、所定の待機位置まで退避したりするので、オペレータが修理作業に向かうまでの間に運転を継続して二次不具合や事故が発生することが防止される。
【0031】
請求項13の発明によれば、故障が発生したときに、その故障の内容を無線通信手段によってオペレータに知らせるので、オペレータが修理作業に向かうときに、必要な準備を済ませていくことができるので、効率的に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の実施の形態を、図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る床面清掃ロボットの外観斜視図である。図2乃至図5は、ロボットの外観カバーの内部を表した図で、図2は正面図、図3は平面図、図4は側面図、図5は背面図であり、図6は、制御関係を表したブロック図である。図7は、床面清掃ロボットによる清掃が行われる清掃エリアSで新規障害物が検出されることなく、清掃作業が行われた場合のロボット走行経路を示す図、図8は、新規障害物が検出されて、走行経路が変更された場合を示す図である。
【0033】
(床面清掃ロボット1)
床面清掃ロボット1は、所定の清掃エリアS(図7)内を自律走行しながら、その走行経路上の床面を清掃するものであり、図1に示されるように外観カバーCで覆われており、その内部に、図6に示されるように、ロボット自体を方向転換可能に走行させる走行手段2と、ロボット走行中に床面を清掃する清掃手段3と、走行手段2や清掃手段3の制御に使用する各種情報を記憶又は生成したり、走行手段2や清掃手段3に対して制御信号を出力したりする制御部4と、制御部4に対して提供する走行位置情報等を検出する各種の検出手段5を備えてなる。所定の清掃エリアSは、高速道路のパーキングエリア内に設けられたトイレの室内であり、洗面台W、及び大便器が設置される個室Rを備える。
【0034】
(走行手段2)
走行手段2は、図2乃至図5に示されるように、床面清掃ロボット1の下部に設けられて、前後進車輪21と、車輪駆動モータ22(図5)と、ハンドリング車輪23と、ハンドリング車輪用モータ24(図3、図4)と、を備えてなる。前後進車輪21は、床面清掃ロボット1の前後方向の中央付近にリジッド方式で設けられる左右一対の車輪であって、車輪駆動モータ22によって駆動され、ロボットの前進及び後進を可能とする。車輪駆動モータ22は、床面清掃ロボット1に搭載される不図示のバッテリー(不図示)によって駆動される電気駆動モータである。バッテリーは、以下に記載される各種電気駆動モータ、制御部その他の電源でもある。
【0035】
ハンドリング車輪23は、前後進車輪21の後方に設けられる非駆動の操舵用車輪であって、連結されるハンドリング機構23a(図3、図4)によって操舵されることにより、床面清掃ロボット1の床面F上における左右方向への方向転換を可能とする。ハンドリング車輪用モータ24は、ハンドリング機構23aを駆動することで、ハンドリング車輪23を操舵する。なお、前後進車輪21をロボットの前後方向の中央付近に配設したのは、後方のハンドリング車輪23と接近させて旋回半径を小さくするとともに、後述する回転ブラシ311の配置スペースを、ロボットの前方下部に確保するためである。
【0036】
(清掃手段3)
清掃手段3は、床面清掃ロボット1の走行中に作動させられることにより、床面清掃ロボット1の走行経路上の床面Fを清掃するものであり、図6に示されるように、床面磨き手段31と、洗浄水供給手段32と、床面水分除去手段33と、乾燥用空気噴出手段34と、を備えてなる。
【0037】
(床面磨き手段31)
床面磨き手段31は、図2乃至図5に示されるように、床面Fに押し付けられた状態で回転してロボットが通過する走行経路上の床面Fを磨く二つの回転ブラシ311と、各回転ブラシ311を回転駆動するブラシ駆動手段(電気駆動モータ)312と、これらの回転ブラシを床面Fに押し付けるブラシ押付手段313と、を備えてなる。回転ブラシ311は、円盤状のベース311aに下方に延びるブラシ毛を固定したものであり、ロボットの前方下部に設けられており、ロボット走行時に、ブラシ先端で床面Fに付着した汚れを除去する。ブラシ押付手段313は、ブラシ駆動手段312に連結される電気アクチュエータであって、ブラシ駆動手段312を介して回転ブラシ311を床面Fに押し付ける。
【0038】
(洗浄水供給手段32)
洗浄水供給手段32は、床面磨き手段31による汚れ除去を行い易くするために、洗浄水(清水又は清水に適量の洗剤等を加えたもの)を、ロボットの前方下部に取り付けられるノズルから床面Fに供給するものであって、床面Fに供給される洗浄水を貯留する洗浄水タンク321(図2、図3)と、洗浄水タンク321に接続されて供給水量を調節可能な供給水量調節手段322(図6)と、供給水温を調節可能な供給水温調節手段323(図6)と、を備えてなる。供給水量調節手段322は、洗浄水タンク321にホースで接続される噴射孔径可変ノズル(不図示)であって、噴射孔を開閉したり、絞ったりするように電気駆動される。洗浄水は、回転ブラシ311が押し付けられる床面Fの付近に供給される。
【0039】
供給水温調節手段323は、洗浄水タンク321からホースに洗浄水を供給するタンク出口付近に設けられる付近に設けられる電気ヒータであって、加温しない常温か、それより高い温度に水温調節することができる。なお、洗浄水供給手段32には、洗浄水タンク321と供給水量調節手段322を接続するホースの途中部に、消臭薬剤を貯留する薬剤タンク324(不図示)が電気切替弁325(図6)を介して接続される。薬剤タンク324は、洗浄水タンク321と切り替えられることにより、供給水量調節手段(ノズル)322ノズルから消臭薬剤を供給させることができる。
【0040】
(床面水分除去手段33)
床面水分除去手段33は、ロボットが通過する床面F上の水分(汚水)を吸引力調節可能に吸引するバキューム手段331と、ロボットの下部でバキューム手段331の吸引口331a(図3)の直後に設けられるブレード部材332a(図3)を床面Fに押付力調節可能に押し付けられた(下面が接地させられた)状態で、ロボットの前進走行によってブレード部材332aを前方移動させることによりバキューム手段331の吸引口331a付近に床面F上の水分を拭い寄せるワイパー手段332と、を備えてなる。バキューム手段331は、ポンプで吸引した汚水を汚水タンク331b(不図示)に回収するものであり、汚水タンク331bは、洗浄水タンク321と略同容量に設定されている。ワイパー手段332に備えるブレード部材332aは、平面視で弓形状に形成されることにより、両サイドから吸引口331aが設けられる中央部へ汚水を集める。これらの床面水分除去手段33は、回転ブラシ311の後方に配設されており、回転ブラシ311による磨き作業によって生じた汚水を回収する。
【0041】
(乾燥用空気噴出手段34)
乾燥用空気噴出手段34は、床面水分除去手段33による汚水除去が行われた後、床面Fが乾き難そうな場合に、床面Fに対して、ロボット後方下部に設けられた空気ノズル343から、乾燥用空気を噴出して床面Fの乾燥を図るものである。乾燥用空気噴出手段34は、床面Fに対して乾燥用空気を噴出可能で、その空気量を調節可能な供給空気量調節手段341、及び空気温を調節可能な供給空気温調節手段342を備えてなる。乾燥用空気噴出手段34は、通常の電気ドライヤーと同様の構造であって、供給空気量調節手段341は、モータの回転速度によって供給空気量を調節する電気ブロアであり、供給空気温調節手段342は、供給空気量調節手段341と、空気ノズル343と、を接続する空気通路344の途中部に配設される電熱ヒータである。
【0042】
(制御部4)
制御部4は、走行手段2に対して走行制御信号を出力する走行制御手段41と、清掃手段3に対して清掃制御信号を出力する清掃制御手段42と、を備えており、走行制御手段41によって清掃エリアS内を余すところなくロボットを走行(清掃)させるとともに、清掃制御手段42によって走行中に清掃手段を効率良く稼働させ、消耗品や充電バッテリーの無駄な消耗を抑えながら、床面Fを綺麗に清掃させるものである。
【0043】
(走行制御手段41による制御)
さて、走行制御手段41による制御を実行させるために、清掃エリアSの地図情報を記憶する地図情報記憶手段411と、その地図情報と、ロボットが一回走行することにより清掃可能な清掃幅寸法と、に基づき清掃エリアS全体を最短走行距離で清掃させるための走行経路情報を生成する走行経路情報生成手段412と、その走行経路情報を記憶する走行経路情報記憶手段413と、を備えるとともに、ロボットの走行位置情報を常時検出する走行位置検出手段51から走行位置情報を常時受信する。走行位置検出手段51は、走行手段2の車輪駆動モータ22及びハンドリング車輪用モータ24の作動状況を取り込んで、それを基にロボットの現在走行位置を常時検出する。
【0044】
上記地図情報は、図7に示される清掃エリアSの床面Fの寸法形状を二次元情報として記憶したもので、洗面台W等の清掃不能エリアの情報も含まれており、床面清掃ロボット1による清掃可能範囲を特定する。走行経路情報は、地図情報で特定される清掃可能範囲を残らず清掃することを前提として、床面清掃ロボット1が最短走行距離で清掃を終了するための走行経路を、走行経路情報生成手段412により算出したものである。なお、走行経路情報生成手段412は、最短距離の走行経路を複数算出した場合、例えば、各走行経路の旋回頻度等に基づき走行時間が最も短くなる走行経路を選択する。ロボットが一回走行することにより清掃可能な清掃幅寸法とは、二つの回転ブラシ部分の横幅寸法T1やブレード部材332aの横幅寸法T2等に基づき決定される。
【0045】
清掃エリアS内へ人の出入りがない無人状態であれば、走行位置検出手段51からの走行位置情報を参照しながら、床面清掃ロボット1を上記走行経路情報どおりに移動させて、その間に清掃手段を運転させておくことにより、エリア内を隈なく清掃することはきわめて容易に行われる。しかしながら、清掃エリアSには、床面清掃ロボット1の清掃作業にお構いなくトイレ利用客が訪れて、床面清掃ロボット1の行く手を遮るような位置に立ったり、前を横切ったりするため、単に走行経路情報どおり走行するのは大変危険であり、その一方、トイレ利用客が居なくなるまで運転を中断することは無駄が多い。
【0046】
そこで、制御部4は、走行制御手段41による制御を実行させるための手段として、上記各手段に加えて、清掃手段3による清掃作業が実施された既清掃エリア(言い換えれば、走行手段2によってロボットが走行した既走行エリア)の情報を取り込み、清掃作業の実施(ロボットの走行)に伴って更新することができる既清掃エリア情報記憶手段414を備え、床面清掃ロボット1の前方を含むロボットの周囲に存在する障害物とその位置及び大きさを含む障害物情報を検出する障害物検出手段52からの障害物位置情報を取得する。なお、障害物検出手段52としては、カメラ、赤外線センサ、レーザーセンサが採用され、床面清掃ロボット1の前面、側面及び後面に設置される(いずれも不図示)。
【0047】
そして、障害物検出手段52により、走行経路上においてロボットの進行方向の前方に障害物(人)が検出されたときは、走行経路情報生成手段412が、当該障害物位置を除く未清掃エリア全体を最短走行距離で清掃可能とする最新走行経路情報を、障害物情報、地図情報及び既清掃エリア情報に基づいて、その都度、新たに生成する。走行経路情報記憶手段413は、ロボットが当該障害物位置へ到達する前、すなわち障害物に接触する前に最新走行経路情報の更新を済ませ、走行制御手段41は、更新された最新走行経路情報及び走行位置検出手段51からの走行位置情報に基づいて、走行手段2を引き続き制御する。
【0048】
これにより、図8に示されるように、床面清掃ロボット1は、障害物Xとの衝突を回避する経路を進行するとともに、かつ、ロボットの走行を停止させる等することなく、清掃を継続することができる。更新された最新走行経路情報に基づく走行(清掃)が完了したときは、走行経路情報生成手段412が、走行経路情報から除外されて最後に残った障害物位置を最短走行距離で清掃可能とする最終走行経路情報を生成する。走行経路情報記憶手段413は、最終走行経路情報の更新が済ませることにより、走行制御手段41が、最終走行経路情報及び走行位置情報に基づき、図8において点線で示されるような走行経路を通過するように、走行手段2を制御し、障害物Xがあった位置を通過することにより清掃を終了する。清掃を終了した床面清掃ロボット1は、清掃エリアS内に予め設定されているロボット待機位置に戻って運転を停止する。
【0049】
(清掃制御手段42による制御)
清掃制御手段42による制御は、ロボット走行中に清掃手段3を効率良く稼働させ、消耗品や充電バッテリーの無駄な消耗を抑えながら、床面Fを綺麗に清掃させるために、ロボットの走行経路上における床面状況(汚れ・濡れ)、清掃エリアS内の温湿度や臭気等を検出する各種の検出手段からの情報信号を受信する。走行経路上における床面状況を検出する床面状況検出手段53は、清掃手段3による清掃実施前の床面Fに光を照射する発光部とその反射光を受ける受光部(いずれも不図示)と、を有し、照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づき、床面Fの汚れ・濡れ具合を検出する。床面状況検出手段53の発光部及び受光部は、清掃実施前の床面Fを検出対象とするため、回転ブラシ311より前方のロボット前端部に、床面Fに向けた状態で設置される。
【0050】
床面状況検出手段53の床面状況検出結果に基づいて、清掃制御手段42は、清掃手段3の運転条件を以下のように調節する。例えば、床面Fが綺麗に清掃されているときに比べて照度減衰率が著しく大きい場合には、床面Fが泥等で汚れているが水分が少ないと想定されるため、洗浄水を多めに供給して、回転ブラシの回転速度や押付力を上げる等の制御を行う。逆に、照度減衰率が小さくなっている場合には、床面Fに残存している水分が多いと想定されるため、洗浄水の供給を少なく抑えて、バキューム手段331の吸引力やブレード部材332aの押付力を上げる制御を行う。これらの制御は、予め各床面状況検出結果に対応させた状態で設定されている。
【0051】
清掃エリアS内の室内温度及び室内湿度を検出する温湿度検出手段54は、濡れた床面Fの乾き易さを判断するために使用される。温湿度検出手段54による室内温湿度検出結果に基づいて、清掃制御手段42は、清掃手段3の運転条件を以下のように調節する。例えば、温度が高い一方、湿度が低い場合には、床面Fが濡れていても短時間で乾くと想定されるため、洗浄水の供給水温は低めに、供給水量は床面Fの汚れ具合との関係で必要であれば少し多めにする等の制御を行う。逆に、温度が低く、湿度が高い場合には、供給水量は少なめに抑え、床面Fの汚れ具合との関係で供給水量を抑えることが難しい場合には、供給水温を上げて蒸発し易くする等の制御を行う。これらの制御は、予め検出結果に対応させた状態で設定されている。
【0052】
清掃エリアS内の床面Fから発生する臭気を検出する臭気検出手段55は、床面Fに消臭処理を施す必要があるか否かを判断するために使用される。臭気検出手段55は、トイレで発生する臭気成分を検出可能な半導体センサを備えてなり、清掃制御手段42は、その臭気検出結果に基づいて清掃手段3の運転条件を調節する。具体的には、洗浄水供給手段32において、消臭薬剤を貯留する薬剤タンク324を接続する電気切替弁325を作動させることにより、洗浄水タンク321に貯留される洗浄水に代えて、薬剤タンク324に貯留される消臭薬剤を床面Fに供給させる。また、臭気成分が検出されなくなれば、洗浄水タンク321からの洗浄水供給に戻す。
【0053】
床面状況検出手段53と同様に、床面Fに光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、をそれぞれ有し、照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づき、床面F上の水分量を検出する水分量検出手段56,57が、回転ブラシ311の後方で、かつ床面水分除去手段33の前方と、床面水分除去手段33の後方で、かつ乾燥用空気噴出手段34の空気ノズルの前方と、に設けられている。床面水分除去手段33の前方に配置される水分除去前の水分量検出手段56の水分量検出結果は、バキューム手段331の吸引力及びブレード部材332aの押付力の調節に使用される。
【0054】
また、床面水分除去手段33の後方に配置される水分除去後の水分量検出手段57の水分量検出結果は、乾燥用空気噴出手段34の乾燥用空気の供給量及び供給温度の調節に使用される。床面水分除去手段33とは別にこれらの検出手段を設けたのは、洗浄水の供給量によって、その供給前とは床面水分量が大きく異なることがあることに対応し、あるいは、床面水分除去手段33による水分除去の程度に応じて、床面Fを乾燥させるための乾燥用空気量を減らすとともに空気温を下げてバッテリーの消耗を抑えたり、逆に、乾燥用空気量を増やすとともに空気温も上げて床面Fの濡れを解消したりするためである。
【0055】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、ロボットの進行方向の前方に障害物を新規に検出した場合、ロボットの走行位置が当該障害物位置へ到達する前に、走行経路情報記憶手段413に記憶される走行経路情報を更新させる旨を説明したが、ロボットの走行位置の直前に人が割り込む等して、当該障害物(人)位置へ到達するまでに、走行経路情報が更新されない場合も考えられる。かかる場合には、走行制御手段41が走行手段2に対してロボット走行を停止させる制御を行って、ロボットを待機させ、走行経路情報が更新されたときに、走行制御手段41が、新規走行経路情報に基づいて、走行手段2の制御を再開させるようにしても良い。これにより、走行経路情報の生成遅れによる事故が防止され、安全性を担保することができる。
【0056】
上記実施形態では、ロボットの進行方向の前方に障害物を新規に検出した場合、ロボットの走行経路変更することとしたが、アラーム音声を発する音声発生手段を備えておき、障害物検出手段からの検出信号に基づいて、ロボットが障害物に接近していることを走行経路の変更に先立って知らせるようにしても良い。これにより、障害物である人が気づいて場所移動したりした場合には、経路を変更する必要がなくなり、効率性が維持されるためである。
【0057】
上記実施形態では、床面状況検出結果や温湿度検出結果等に応じて、清掃手段3の制御のみを行うこととしたが、走行制御手段41に、清掃手段3を制御する制御信号を清掃制御手段42から受信して、清掃手段による清掃作業の内容に応じて予め設定された走行速度でロボットを走行させるように、走行手段2による走行速度を調節することとしても良い。例えば、乾燥空気量及び空気温を最大値に上げるような清掃制御信号が出力されている場合には、走行速度を小さくすることによって、乾燥空気量及び空気温を上げることなく清掃品質の安定・向上を図ることでバッテリーの消耗を抑えられるものである。
【0058】
上記実施形態では、清掃が終了したらロボット待機位置に帰還することとしたが、ロボットの各構成部分に発生する故障を検出する故障検出手段をロボット内に備えておき、故障検出手段によって故障が検出されたときは、走行制御手段41及び清掃制御手段42が通常の清掃作業を中止するとともに、検出された故障の内容に応じて、ロボットの運転をその場で停止するか、又は走行経路生成手段が現位置からロボット待機位置まで最短距離で退避する退避用走行経路情報を生成し、走行制御手段41が退避用走行経路情報に基づいて、ロボット待機位置まで退避するか、を選択的に実施するようにしても良い。故障発生時に、その内容に応じて、選択的に停止し、又はロボット待機位置へ退避するため、オペレータによる修理作業の実施前に二次不具合や事故が発生することが防止される。
【0059】
さらに、床面清掃ロボット1にオペレータ用情報通信手段と通信可能な無線通信手段を備えておき、上述した故障検出手段によって故障が検出されたときは、その故障の内容を、無線通信手段を介してオペレータ用情報通信手段に送信するようにしても良い。オペレータが修理作業に向かうときに、予め故障内容を知ることができるので、修理に必要な準備を済ませていくことができ、効率的な対応を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態に係る床面清掃ロボットの外観斜視図。
【図2】ロボットの外観カバーの内部を表した図(正面図)。
【図3】ロボットの外観カバーの内部を表した図(平面図)。
【図4】ロボットの外観カバーの内部を表した図(側面図)。
【図5】ロボットの外観カバーの内部を表した図(背面図)。
【図6】走行手段、清掃手段、制御部、検出部の制御関係を示すブロック図。
【図7】清掃エリア内で新規障害物を検出することなく、清掃作業された場合のロボット走行経路を示す図。
【図8】新規障害物Xが検出されて、走行経路が変更された場合を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 床面清掃ロボット
2 走行手段
21 前後進車輪
22 車輪駆動モータ
23 ハンドリング車輪
23a ハンドリング機構
24 ハンドリング車輪用モータ
3 清掃手段
31 床面磨き手段
311 回転ブラシ
311aベース
312 ブラシ駆動手段
313 ブラシ押付手段
32 洗浄水供給手段
321 洗浄水タンク
322 供給水量調節手段
323 供給水温調節手段
325 電気切替弁
33 床面水分除去手段
331 バキューム手段
331a吸引口(バキューム手段)
332 ワイパー手段
332aブレード部材(ワイパー手段)
34 乾燥用空気噴出手段
341 供給空気量調節手段
342 供給空気温調節手段
343 空気ノズル
344 空気通路
4 制御部
41 走行制御手段
411 地図情報記憶手段
412 走行経路情報生成手段
413 走行経路情報記憶手段
414 既清掃エリア情報記憶手段
42 清掃制御手段
5 検出手段
51 走行位置検出手段
52 障害物検出手段
53 床面状況検出手段
54 温湿度検出手段
55 臭気検出手段
56 水分量検出手段
57 水分量検出手段
C 外観カバー
F 床面
R 個室
S 清掃エリア
T1 横幅寸法
T2 横幅寸法
W 洗面台
X 障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の清掃エリア内を自律走行しながら、当該清掃エリアの床面清掃を行う床面清掃ロボットであって、
ロボット自体を方向転換可能に走行させる走行手段と、
ロボット走行中に床面を清掃する清掃手段と、
前記清掃エリアの地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報と、ロボットが一回走行することによって清掃可能な清掃幅寸法と、に基づいて、前記清掃エリア全体を最短走行距離で清掃するための走行経路情報を生成する走行経路情報生成手段と、
前記走行経路生成手段により生成される走行経路情報を記憶する走行経路情報記憶手段と、
ロボットの走行位置情報を常時検出する走行位置検出手段と、
前記走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて、前記走行手段を制御する走行制御手段と、
前記清掃手段による清掃作業が実施された既清掃エリアの情報を記憶し、該既清掃エリア情報を前記清掃作業の実施に伴って更新する既清掃エリア情報記憶手段と、
ロボットの進行方向の前方を含むロボットの周囲に存在する障害物とその位置及び大きさを含む障害物情報を検出する障害物検出手段と、を備えてなり、
ロボットの進行方向の前方に障害物が検出されたときは、前記走行経路情報生成手段が、その都度、当該最新の障害物位置を除く未清掃エリア全体を最短走行距離で清掃可能とする最新走行経路情報を、前記障害物情報、前記地図情報及び前記既清掃エリア情報に基づいて新たに生成し、
前記走行経路情報記憶手段は、ロボット走行位置が前記最新の障害物位置へ到達する前に、前記走行経路情報を前記最新走行経路情報に更新され、
前記走行制御手段は、更新された前記最新走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて、前記走行手段を引き続き制御し、
前記最新走行経路情報に基づく走行を完了したときは、前記走行経路情報生成手段が、前記最新の障害物位置を最短走行距離で清掃可能とする最終走行経路情報を生成し、
前記走行制御手段は、前記最終走行経路情報及び前記走行位置情報に基づいて、前記走行手段を制御することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の床面清掃ロボットであって、
前記障害物検出手段がロボットの進行方向の前方に新規障害物を検出した場合において、ロボットの走行位置が前記新規障害物位置へ到達する前に、前記走行経路情報記憶手段に記憶される前記走行経路情報が更新されないときは、前記走行制御手段が前記走行手段に対してロボット走行を停止させる制御を行い、前記走行経路情報が新規走行経路情報に更新されたときに、前記走行制御手段が、前記新規走行経路情報に基づいて、前記走行手段の制御を再開させることを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の床面清掃ロボットであって、
前記障害物検出手段がロボットの進行方向の前方に新規障害物を検出した場合に、ロボットが障害物に接近していることを知らせるアラーム音声を発する音声発生手段を備えることを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段による清掃実施前の床面に光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、を有し、前記照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づいて、床面の汚れ及び濡れ具合に関する床面状況を検出する床面状況検出手段と、
前記清掃手段を制御する清掃制御手段と、を備えてなり、
前記床面状況検出手段による床面状況検出結果に基づいて、前記清掃手段の運転条件を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項5】
請求項4記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃エリアの室内温度及び室内湿度を検出する温湿度検出手段を備えてなり、
前記温湿度検出手段による室内温湿度検出結果に基づいて、前記清掃手段の運転条件を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項6】
請求項4又は5記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、回転ブラシ、該回転ブラシを回転駆動するブラシ駆動手段、及び前記回転ブラシを床面に押し付けるブラシ押付手段を有する床面磨き手段を備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記床面状況検出結果に基づいて、前記回転ブラシの回転速度及び押付力を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、床面に供給される洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、前記洗浄水タンクに設けられて供給水量を調節可能な供給水量調節手段及び供給水温を調節可能な供給水温調節手段を有する洗浄水供給手段と、を備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記床面状況検出結果及び/又は室内温湿度検出結果に基づいて、床面に対して供給する洗浄水の供給水量及び供給水温を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項8】
請求項7記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、前記洗浄水供給手段に対して、前記洗浄水タンクと切り替え可能に接続され、床面に供給される消臭薬剤を貯留する薬剤タンクを備えており、
さらにロボットの下部には、床面の臭気を検出可能な半導体センサを有する臭気検出手段を備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記臭気検出手段による臭気検出結果に基づいて、前記洗浄水に代えて、前記消臭薬剤を前記洗浄水供給手段から床面に対して供給させることを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項9】
請求項4乃至8の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、床面上の水分を吸引力調節可能に吸引するバキューム手段と、ロボットの下部に設けられるブレード部材を床面に押付力調節可能に押し付けて、ロボット走行に伴う前記ブレード部材の移動により前記バキューム手段の吸引口付近に床面上の水分を拭い寄せるワイパー手段と、からなる床面水分除去手段を備えており、
さらに前記床面水分除去手段による水分除去前の床面に光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、を有し、前記照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づいて、床面上の水分量を検出する除去前水分量検出手段を、備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記除去前水分量検出手段による水分量検出結果に基づいて、前記バキューム手段の吸引力及び前記ワイパー手段のブレード部材押付力を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項10】
請求項9記載の床面清掃ロボットであって、
前記清掃手段は、前記床面水分除去手段による水分除去が行われた床面に対して乾燥用空気を噴出可能で、その空気量を調節可能な供給空気量調節手段、及び空気温を調節可能な供給空気温調節手段を有する乾燥用空気噴出手段を備えており、
さらに前記床面水分除去手段による水分除去後の床面に光を照射する発光部と、その反射光を受ける受光部と、を有し、前記照射光に対する反射光の照度の減衰率に基づいて、水分除去後の床面上の水分量を検出する除去後水分量検出手段を、備えてなり、
前記清掃制御手段は、前記除去後水分量検出手段による水分量検出結果に基づいて、前記乾燥用空気噴出手段により噴出される乾燥用空気の空気量及び空気温を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項11】
請求項4乃至10の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
前記走行制御手段は、前記清掃手段を制御する制御信号を前記清掃制御手段から受信することにより、前記清掃手段による清掃作業の内容に応じて予め設定された走行速度でロボットを走行させるように、前記走行手段による走行速度を調節することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項12】
請求項4乃至10の何れかに記載の床面清掃ロボットであって、
ロボットの各構成部分に発生する故障を検出する故障検出手段を備えてなり、
前記故障検出手段によって故障が検出されたときは、
前記走行制御手段及び前記清掃制御手段が通常の清掃作業を中止するとともに、
検出された故障の内容に応じて、ロボットの運転をその場で停止するか、又は前記走行経路生成手段が現位置から所定の待機位置まで最短距離で退避する退避用走行経路情報を生成し、前記走行制御手段が前記退避用走行経路情報に基づいて、前記所定の待機位置まで退避するか、を選択的に実施することを特徴とする床面清掃ロボット。
【請求項13】
請求項12記載の床面清掃ロボットであって、
オペレータ用情報通信手段と通信可能な無線通信手段を備えてなり、
前記故障検出手段によって故障が検出されたときは、その故障の内容を、前記無線通信手段を介して前記オペレータ用情報通信手段に送信することを特徴とする床面清掃ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−17428(P2010−17428A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182102(P2008−182102)
【出願日】平成20年7月12日(2008.7.12)
【出願人】(508099911)西日本高速道路メンテナンス関西株式会社 (5)
【出願人】(508099922)知能技術株式会社 (6)
【Fターム(参考)】