説明

座席空調用送風ユニット

【課題】座席空調用送風ユニットの小型化と、補修作業時におけるこの座席空調用送風ユニットに搭載された送風機の脱着の容易化とを図る。
【解決手段】単一の送風機17を収納するケース18に、ダクト13、14と接続される開口部21、22が設けられていると共に送風通路19、20がケース18内に形成されており、送風通路19、20は、始端点X1と送風機17の中心点Pを結ぶ線に対し0度より大きく90度以下の角度R1で中心点Pを起点として延びる線上に終端点X2を配して、始端点X1から終端点X2まで通風面積が暫時拡大した構成の通風面積拡大通路28と、通風面積拡大通路28の終端点X2を始端点とし開口部21、22の最も風上側に終端点X3を配して、中心点Pから始端点X2までと中心点Pから終端点X3までを同一寸法にし、始端点X2から終端点X3まで中心点Pをその中心とした円軌道に沿ってケース18が延出した構成の通風面積同一通路29を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の座席に座った状態の搭乗者に対しこの座席側から空調空気を提供する空調装置の特に座席の座部内に収納される送風ユニットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースに単一の遠心式ファンを収納すると共に相反する複数の吹出口が形成された車両用空調装置や送風機は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に示されるように既に公知である。
【0003】
また、車両の座席に座った状態の搭乗者に対しこの座席側から空調空気を提供する構造の空調装置は、例えば特許文献5及び特許文献6に示されるように既に公知である。
【特許文献1】特開平11−139138号公報
【特許文献2】実開昭54−70108号公報
【特許文献3】特開2001−317494号公報
【特許文献4】特開2000−307281号公報
【特許文献5】特開2000−142075号公報
【特許文献6】特開2005−21481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対し、車両の座席の座部は、その座り心地の良好性を生ずるための構造体と、座席の操作性を高めるために座席の座部の下側に配置されたモータなどの補助器具とが既に収納、配置されており、このような車両の座席の座部内に座席空調用空調装置の送風ユニットを追加的に収納するには、当該送風ユニットの小型化が要請されるところ、特許文献5及び特許文献6に記載の座席空調用空調装置の送風ユニットでは、このような小型化の要請に十分に応えられる構造とはなっていない。
【0005】
また、特許文献1に記載の車両用空調装置に収納される遠心式ファンは、複数の羽根を有するところ、この羽根がその回転方向に対し後を向く後向きファンとなっており、羽根の出口角は90度より大きく150度以下のもので、スクロール型の送風ユニットに対応したファンを採用していないものである。
【0006】
更に、特許文献2に記載の送風機は、遠心式のファンと、このファンを収納する収納部及び、この収納部からそれぞれ相反する側に延出した吹出口で構成されたファンケーシングとから成るものであるところ、収納部から吹出口に至る送風通路の構造について何ら開示していないものである。
【0007】
更にまた、特許文献3に記載のPDP冷却シロッコファンの取付構造は、空調装置用のものでなく、しかも、風の出口が吹出方向に沿って開口面積が暫時大きくなっているもので、シロッコファンからの空気を接続されたダクトに送出する際に圧力損失を低減して所定以上の風圧を確保する構造にはなっていない。
【0008】
すなわち、特許文献1乃至特許文献3のいずれも、送風ユニットとしてスクロール型のものを採用することを前提としつつ、座席空調用送風ユニットを座席の限定的な領域内に収納可能とするために如何に小型化するかという着想においては、何ら動機付けとはならないものである。
【0009】
一方、座席空調用送風ユニットの送風ユニットを車の座席の座部内に収納するため、送風ユニットに搭載された送風機の空気吸込み口は、車両の上下方向の下側を向くので、送風機のモータは、特許文献6に示されるように、通気抵抗の防止やモータ熱による空気の加熱を防止するために、送風機のブロワに対し車両上下方向の上側となるように配置されるのが通常である。このため、送風機のモータを補修するためには送風機全体を取り外す必要があるところ、送風ユニットのケースに設けられた吹出用開口部よりダクトを取り外す必要性も生ずる。
【0010】
この場合に、吹出用開口部がケースに複数設けられ、且つ各吹出用開口部の開口の向きが車両の接地方向に沿って各々異なっている場合には、ダクトを自在な方向に可変するフレキジブル機能を与えなければならないが、ダクトにフレキジブル機能を与えるとダクト内の通風面積が狭まりダクト内の通気抵抗が大きくなり、送風量が減少する等の不具合を生ずる。
【0011】
そこで、本発明は、車両の座席の限られた領域内でも収納可能なように、複数の吹出用開口部を備えたスクロール型とすることを前提としながら、全体構成の小型化を図ると共に、フレキジブル機能を有しないダクトと接続する場合でも、補修作業における送風機の脱着を容易化した座席空調用送風ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る座席空調用送風ユニットは、ファンとモータとより成る単一の送風機と、この送風機を当該送風機のファンとモータとが車両上下方向に沿って位置するように収納するケースとを有して構成され、前記ケースにダクトと接続される複数の空気吹出用開口部が設けられていると共に、前記送風機のファンの径方向外側に配置されて、この送風機から前記吹出用開口部まで空気を送る送風通路が前記空気吹出用開口部と同じ数にて前記ケース内に形成されており、各送風通路は、通風面積拡大通路を有し、この通風面積拡大通路は、前記送風機のファンの中心を中心点とし、通風面積が相対的に絞られた部位に始端点を配し、この始端点と前記中心点とを結ぶ線に対し、前記中心点を基点として0度より大きく、360度を前空気吹出用開口部の総数の倍の数で割った数値以下の角度で延びる線上に終端点を配して、前記始端点からこの終端点に至るまで通風面積が暫時拡大された構成であることを特徴としている(請求項1)。そして、前記各送風通路は、前記通風面積拡大通路と連通した通風面積同一通路を有し、この通風面積同一通路は、前記送風機のファンの中心を中心点とし、前記通風面積拡大通路の終端点をそのまま始端点とし、前空気吹出用開口部に対し風上側になる部位に終端点を配して、前記中心点からこの終端点までの寸法と前記中心点から前記始端点までの寸法を同じにし、前記始端点からこの終端点に至るまで、前記ケースのうち前記送風機の径方向外側壁を、前記中心点を円の中心にした円軌道に沿って延出させることで、通風面積が同一の構成であることを特徴としている(請求項2)。
【0013】
例えば、2つの送風通路を有し、2つの送風通路の空気吹出用開口部が送風機の中心を中心点として180度の真反対側に設けられている構成にあっては、送風機の中心に有する中心点と通風面積拡大通路の始端点とを結ぶ線に対し、同じ中心点と通風面積拡大通路の終端点とを結ぶ線の中心角は例えば90度である。これにより、各送風通路について、通風面積拡大通路の通風方向に沿った長さを相対的に短縮することができるので送風通路が全て通風面積拡大通路から成る場合に比し、送風通路について送風機の径方向外側への拡がりを抑制して、送風ユニットを相対的に小型化することが可能となる。しかも、このように送風通路の通風面積拡大通路の通風方向に沿った長さを相対的に短くしても、その分、この通風面積拡大通路の中で最も通風面積が大きい終端点の部位と略同じ通風面積の通風面積同一通路が配されるので、通気抵抗の増大を招くことはなく、送風機からの送風量を安定的にダクト側に供給することが可能である。尚、送風機は、例えば遠心式送風機である。
【0014】
そして、前記空気吹出用開口部は、前記通風面積同一通路から前記送風機のファンの中心を中心点とした円軌道に沿って延出すると共に、この円軌道と交差して開口が形成されている(請求項3)。これにより、ダクトと吹出用開口部との接続状態を解除して送風ユニットについて送風機のファンの中心点を回転の軸心として所定方向に回転させるのみで各ダクトが吹出用開口部から一度に外れる。また、ダクトの開口を、送風機の中心を中心点とした円軌道と直角に交差する位置に配置することにより、送風ユニットを送風機の中心を回転の軸心として先の方向とは逆方向に回転させるのみで、吹出用開口部は各ダクトの開口端部と接続可能な位置に移動する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各送風通路について、通風面積拡大通路の通風方向に沿った長さが相対的に短くなり、これに伴い通風面積同一通路の通風方向に沿った寸法を大きく採ることができるので、送風通路が全て通風面積拡大通路から成る場合に比し、送風通路の送風機のファンの径方向に沿った拡がりを抑制して、送風ユニットを相対的に小型化することが可能となる。しかも、このように送風通路の通風面積拡大通路の通風方向に沿った長さを相対的に短くしても、その分、この通風面積拡大通路の中で最も通風面積が大きい終端点の部位と略同じ通風面積の通風面積同一通路が配されるので、通気抵抗の増大を招くことはなく、送風機からの送風量を安定的にダクト側に供給することが可能である。従って車両の座席の座部への送風ユニットの収納を実現することができる。
【0016】
また、本発明によれば、ダクトと吹出用開口部との接続状態を解除して送風ユニットについて送風機の中心を回転の軸心として所定方向に回転させるのみで、各ダクトが吹出用開口部から一度に外れ、また、ダクトの開口を、送風機の中心を中心点とした円軌道と直角に交差する位置に配置することにより、送風ユニットを送風機の中心を回転の軸心として先の方向とは逆方向に回転させるのみで、吹出用開口部が各ダクトの開口端部と接続可能な位置に移動するので、ダクトの送風機の開口部からの脱着作業を容易化し、ひいては送風機のケースからの脱着作業を容易化することができる。しかも、フレキジブル機能を有しないダクトを接続することで足りるため、フレキジブル機能を有するダクトを用いる場合に比しダクトの通路内を流れる空気の通気抵抗を小さくすることができるので、空調性能の向上を図ることができる。更に、ダクトに対しフレキジブル機能を有する部位を持たせる必要がなくなるので、フレキジブル機能を有するダクトを用いる場合に比しダクトの型費等の製造コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を図面により説明する。
【0018】
図1において、この発明における座席空調用送風ユニット3をその一部として使用する車両用空調装置1が示されている。この車両用空調装置1は、車室内を空調するための車室内空調ユニット2と、車両の乗員の各座席に空調空気を送る座席空調用送風ユニット3と、車室内空調ユニット2から座席空調用送風ユニット3に当該車室内空調ユニット2で空調された空調空気を送るフロアダクト4とを有して構成されている。
【0019】
このうち、車室内空調ユニット2は、図示しないが、内外気を導入するための送風機とこの送風機で導入された空気を冷却する冷却用熱交換器と、この冷却用熱交換器で冷却された空気を加熱する加熱用熱交換器と、冷却用熱交換器と加熱用熱交換器との間に配されて、冷却用熱交換器で冷却された空気が加熱用熱交換器に送られる量と冷却用熱交換器で冷却された空気が加熱用熱交換器をバイパスする量とを調整するエアミックスドアと、加熱用熱交換器で加熱された温風と冷却用熱交換器で冷却され且つ加熱用熱交換器をバイパスした冷風とを混合するための混合室とを少なくとも有して構成されている。但し、車両使用環境によっては、冷却用熱交換器のみのクーラユニットとしてのみ機能し、或いは加熱用熱交換器のみのヒータユニットとしてのみ機能する場合もある。
【0020】
そして、この車室内空調ユニット2の空気下流側において、フロアダクト4の入口側の開口端が接続されている。このフロアダクト4は、例えば車両のフロア5の車両幅方向の中央の車両上下方向の上側に突出し、且つ車両進行方向に沿って延びる突部5aの側面に沿って引き回されているもので、そのフロアダクト4の出口側の開口端は、フロア5の上方で且つ座席6の後述する座部7の車両上下方向の下側の近傍に位置している。もっともこのフロアダクト4の出口側の開口端は、座席6を車両進行方向の最後方側に移動させた場合でも、その座席6に座る乗員から見えないようになっている。
【0021】
ここで、フロアダクト4の入口側の開口端は、車室内空調ユニット2の混合室より風下側にて車室内空調ユニット2と接続されるが、冷却用熱交換器の風下側直近又は加熱用熱交換器の風下側直近にて車室内空調ユニット2と接続されて、冷風又は温風のみがフロアダクト4の入口側の開口端からフロアダクト4内に送られるようにしても良い。また、フロアダクト4の入口側の開口端に切換ドア(図示せず)を配置して、フロアダクト4内に送られる空気の割合を0%から100%の間で調整するようにして、例えば助手席側の座席6が空席の場合には当該座席6の座席空調用送風ユニット3に空気が送られないようにしても良い。
【0022】
座席空調用送風ユニット3は、座部7と背もたれ部8とから成る座席6に座る者に対し空調空気を送ることで、座部7と背もたれ部8と人体とが密着することで生ずる蒸れや発汗を起因としたベタつきを抑制するためのものである。
【0023】
そして、この座席空調用送風ユニット3は、スライドダクト9と、このスライドダクト9に対し車両上下方向の上側に位置する送風ユニット本体10と、座部7の人体の臀部側及び太股側(車両上下方向の上側)の上面に開口して空調空気を送出する送出口部11と背もたれ部8の人体の背中側(車両進行方向の前側)の側面に開口して空調空気を送出する送出口部12と、送出口部11と送風ユニット本体10とを接続するダクト13と、送出口部12と送風ユニット本体10とを接続するダクト14とを有して構成されている。
【0024】
このうち、スライドダクト9は、この実施形態では、基部15と集風口部16とを車両上下方向において基部15が上側となるように構成されている。集風口部16は、フロアダクト4の出口側の開口端から送出された空調空気を集めるためのもので、基部15に対し車両上下方向に伸縮可能に接続されていると共に、座席6が、座席側レール25aがフロア側レール25b上をこのフロア側レール25bに沿って可動することで移動する場合には、座席側レール25aに固定されている。基部15はこの集風口部16の開口から取り込まれた空気を後述する送風機17側に送るためのもので、例えば集風口部16の外径よりも大きな内径を有すると共にその軸方向の両側が開口した筒状体をなしている。
【0025】
このため、座席6が車両の上下方向に移動する場合には、集風口部16の基部15からの延出量が調整され、座席6が車両進行方向に沿って移動する場合には、基部15と共にこの座席6の移動に従って移動する。
【0026】
送風ユニット本体10は、図3に示されるように、ケース18に単体の遠心式の送風機17を収納したもので、スクロール型であり、その内部には後述する構成の送風通路19、20と、この送風通路19、20の最も風下側と連通した開口23を有する開口部2122とを有している。送風機17は、ファン26とモータ27とから成り、この実施形態では、モータ27が基部15を通過する空調空気に対する抵抗となり且つモータ27の熱で温められるのを防止するために、ファン26の車両上下方向の上側にモータ27が位置するようにケース18に収納されている。但し、ファン26の車両上下方向の下側にモータ27が位置するようにケース18に収納される構成を排除するものではない。
【0027】
これらの構成によれば、インストルメントパネルの操作部に配置されている座席空調用のスイッチをONにすると、送風機17が稼働し、車室内空調ユニット2内で空調された空気は、フロアダクト4を通って、図1の矢印に示すようにこのフロアダクト4の出口側の開口端から座席6側に送られた後、同じく図1の矢印に示すようにスライドダクト9の集風口部16の開口から座席空調用送風ユニット3内に取り込まれる。そして、この空調空気は、座席空調用送風ユニット3内では、スライドダクト9の基部15から送風ユニット本体10へ車両上下方向に沿って通り、送風ユニット本体10内で送風機17により車両上下方向から車両の水平方向への流れに変わって、ダクト13、14を介して送出口部11、12から吹き出される。
【0028】
ところで、送風ユニット本体10は、図3に示されるように、送風通路19、20は、ファン26の径方向の外側に配置されていると共に、ケース18の送風通路19、20はそれぞれ通風面積拡大通路28と通風面積同一通路29とを有しており、通風面積拡大通路28と通風面積同一通路29とは連続している。
【0029】
このうち、通風面積拡大通路28は、通風面積が相対的に絞られた部位に始端点X1を配し、送風機17のファン26の中心を中心点Pとして設定し、この中心点Pと始端点X1とを結ぶ図3に示す一点鎖線に対し、中心点Pを起点として90度以下の角度R1(この実施形態では85度)で延びる、図3に示す一点鎖線上に終端点X2を配した場合に、始端点X1から終端点X2に至るまで、ケース18の送風機の径方向外側壁18aが、中心点Pと始端点X1とを結ぶ一点鎖線の寸法を半径とした円軌道より送風機17の径方向外側に膨らむことで、その通風面積が暫時拡大された構成となっている。
【0030】
また、通風面積同一通路29は、通風面積拡大通路28の終端点X2をそのまま始端点X2とし、開口部21、22の風上側端に終端点X3を配し、送風機17の中心を中心点Pとして設定した場合に、中心点Pから始端点X2までの寸法と中心点Pから終端点X3までの寸法を同じにし、ケース18のうち送風機17の径方向外側壁18aは、始端点X2から終端点X3までの範囲において、中心点Pを中心に描かれた円軌道に沿って円弧状に延出させることで、その通風面積が同一の構成となっている。
【0031】
そして、開口部21、22は、通風面積同一通路29の終端から延出したもので、図4に示されるように、ケース18のうち送風機17の径方向外側壁18aに連なる側壁と、この側壁に対し送風機17の径方向の内側に位置する側壁とを有し、この両側壁が、送風機17の中心点Pを中心に描かれた円軌道を示す線L1と並行するように、同じく中心点Pを中心に描かれた円軌道に沿って円弧状に延出したものとなっている。
【0032】
送風ユニット本体10について上記の構成とすることにより、送風通路19、20について、通風面積拡大通路28の通風方向に沿った長さを相対的に短縮することができるので、送風通路19、20が全て通風面積拡大通路28から成る場合に比し、送風通路1920について送風機17の径方向外側への拡がりを抑制して、送風ユニット本体10を相対的に小型化することが可能となる。
【0033】
さらに、送風機17の中心点Pを回転の軸心として、送風ユニット本体10を図4の図上、反時計回りに回転させるのみで、各ダクト13、14が開口部21、22から一度に外れる。また、ダクト13、14の開口を、送風機17の中心点Pを中心として描かれる円軌道と略直角に交差する位置に配置することにより、送風機17の中心点Pを回転の軸心として、送風ユニット本体10を図4の図上、時計回り(先の方向とは逆方向)に回転させるのみで、開口部21、22の開口33から内部に延びる方向がダクト13、14の開口端部と接続可能な軌道上にあるので、開口部21、22とダクト13、14とを容易に接続させることができる。
【0034】
最後に、送風ユニット本体10内に構成される送風通路19、20は、この実施形態では、送風機17の中心点Pを基準として180度の反対方向に形成されているが、必ずしもこれに限定されず、車両の接地方向に沿って同一の方向を向かない限り、どのような方向を向いていても良い。そして、この場合には、それぞれの角度R1の数値は0度以上90度の範囲内で異なったものとなる。また、この実施形態では、送風通路の数、開口部の数を2つとして説明してきたが、これについても必ずしもこの数に限定されず、例えば3又は4の送風通路、開口部を有していても良い。この場合には、角度R1の数値は、0度より大きく、360度を開口部の総数の倍の値で割った数値以下の角度、例えば4つの送風通路、開口部の場合には、0度より大きく、45度以下の角度となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、この発明に係る座席空調用ユニットを備えた車両用空調装置の全体構成図である。
【図2】図2は、同上の座席用空調ユニットの構成を示す説明図である。
【図3】図3は、同上の座席空調用ユニットの送風ユニット本体のうち座席側の構成を示す断面図である。
【図4】図4は、同上の送風ユニット本体の構成を示す車両上下方向の上方から見た平面図である。
【符号の説明】
【0036】
3 座席空調用送風ユニット
10 送風ユニット本体
13 ダクト
14 ダクト
17 送風機
18 ケース
18a ケースの送風機の径方向外側壁
19 送風通路
20 送風通路
21 開口部
22 開口部
23 開口
26 ファン
27 モータ
28 通風面積拡大通路
29 通風面積同一通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンとモータとより成る単一の送風機と、この送風機を当該送風機のファンとモータとが車両上下方向に沿って位置するように収納するケースとを有して構成され、前記ケースにダクトと接続される複数の空気吹出用開口部が設けられていると共に、前記送風機のファンの径方向外側に配置されて、この送風機から前記吹出用開口部まで空気を送る送風通路が前記空気吹出用開口部と同じ数にて前記ケース内に形成されており、各送風通路は、通風面積拡大通路を有し、
この通風面積拡大通路は、前記送風機のファンの中心を中心点とし、通風面積が相対的に絞られた部位に始端点を配し、この始端点と前記中心点とを結ぶ線に対し、前記中心点を基点として0度より大きく、360度を前空気吹出用開口部の総数の倍の数で割った数値以下の角度で延びる線上に終端点を配して、前記始端点からこの終端点に至るまで通風面積が暫時拡大された構成であることを特徴とする座席空調用送風ユニット。
【請求項2】
前記各送風通路は、前記通風面積拡大通路と連通した通風面積同一通路を有し、この通風面積同一通路は、前記送風機のファンの中心を中心点とし、前記通風面積拡大通路の終端点をそのまま始端点とし、前空気吹出用開口部に対し風上側になる部位に終端点を配して、前記中心点からこの終端点までの寸法と前記中心点から前記始端点までの寸法を同じにし、前記始端点からこの終端点に至るまで、前記ケースのうち前記送風機の径方向外側壁を、前記中心点を円の中心にした円軌道に沿って延出させることで、通風面積が同一の構成であることを特徴とする請求項1に記載の座席空調用送風ユニット。
【請求項3】
前記空気吹出用開口部は、前記通風面積同一通路から前記送風機のファンの中心を中心点とした円軌道に沿って延出すると共に、この円軌道と交差して開口が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の座席空調用送風ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−296840(P2008−296840A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147367(P2007−147367)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオサーマルシステムズ (282)
【Fターム(参考)】