説明

廃棄物の処理システムおよび処理装置

【課題】効率的に紙おむつ等の繊維や高分子吸収剤等を主成分とする廃棄物を洗浄して処分することができるとともに、水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることができる廃棄物の処理システムおよび処理装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る廃棄物の処理システムは、廃棄物を粉砕する粉砕手段3と、この粉砕手段3によって粉砕された廃棄物に洗浄液を加えつつ撹拌する撹拌手段4と、この撹拌手段4から排出された上記洗浄液を含む上記廃棄物を圧縮して脱水する圧縮手段5と、この圧縮手段5によって分離されて排出された上記洗浄液中の異物を捕捉して排出する異物捕集手段6とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの紙おむつ等の汚物を含んだ繊維や高分子吸収剤からなる医療廃棄物の処理に用いて好適な廃棄物の処理システムおよび処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老人ホーム等の介護施設や病院等の医療施設においては、使用済みの紙おむつやガーゼ等の医療廃棄物が多量に排出されている。
一般に、このような医療廃棄物は、排泄物等の汚物を含んだ繊維や高分子吸収剤を主成分とするものであるために、環境衛生の観点から、そのまま埋め立て処分や投棄処分をすることができない。
【0003】
そこで、従来は、一定量の上記医療廃棄物が溜まった時点で、別途産業廃棄物業者が焼却施設に搬送して焼却処分等を行っていたが、上記医療廃棄物にあっては、医療施設等における保管中に異臭が発生するとともに、バクテリア等の雑菌の発生が懸念されることから、早期の処分が望まれている。
【0004】
このため、上記医療廃棄物が排出される施設に、発生した上記医療廃棄物をリアルタイムで洗浄、裁断等して処理する設備の開発が強く要請されているものの、これら医療廃棄物は、主としてパルプ等の繊維や吸水用の高分子吸収剤(ポリマー)等からなるために、裁断や粉砕によって洗浄液中に大量の水中浮遊物(SS)が混在することになり、よって排水の排出基準を満足することが難しいという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、効率的に紙おむつ等の繊維や高分子吸収剤等を主成分とする廃棄物を洗浄して処分することができるとともに、水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることができる廃棄物の処理システムおよび処理装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明に係る廃棄物の処理システムは、廃棄物を粉砕する粉砕手段と、この粉砕手段によって粉砕された廃棄物に洗浄液を加えつつ撹拌する撹拌手段と、この撹拌手段から排出された上記洗浄液を含む上記廃棄物を圧縮して脱水する圧縮手段と、この圧縮手段によって分離されて排出された上記洗浄液中の異物を捕捉して排出する異物捕集手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記圧縮手段と上記撹拌手段との間には、上記圧縮手段によって分離された排水の一部を上記撹拌手段に戻す循環ラインが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
次いで、請求項3に記載の本発明に係る廃棄物の処理装置は、装置本体と、この装置本体の上部に設けられた廃棄物の投入部と、この投入部の下方に設けられ上記廃棄物を破砕するシュレッダと、このシュレッダの下方に設けられるとともに給水ラインが接続されて破砕された上記廃棄物と洗浄液とを混合しつつ撹拌する撹拌タンクと、この撹拌タンクから排出された上記廃棄物および洗浄液から上記廃棄物を圧縮して排出するとともに上記洗浄液を分離する圧縮機と、この圧縮機の排水ラインから排出された洗浄液中に含まれる異物を捕捉する異物捕集器とを備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、上記圧縮機と上記撹拌タンクとの間には、上記圧縮機の排水ラインに枝配管されて上記異物を含む洗浄液を上記撹拌タンクに戻す戻りラインが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、上記シュレッダは、軸線を水平方向に位置させた複数本の回動軸と、各回動軸に軸線方向に間隔をおいて取り付けられ、外周に円周方向に向けて複数の粉砕刃が形成された回転刃とを備え、
上記回転軸は、隣接する上記回転軸の回転刃を、互いの外周部同士を上記軸線方向視において重複させて上記軸線方向に交互に位置させるとともに、隣接する上記回転軸が逆方向に回転駆動され、かつ上記粉砕刃は、上記回転軸の上方に位置した際に、外方に向けて漸次対向する上記回転刃側に向けて傾斜するように形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれかに記載の発明において、上記撹拌タンクは、円筒状の側板と底板とを有するタンク本体と、このタンク本体内に当該タンク本体の軸線に沿った回転軸に一体的に取り付けられた撹拌翼と、この回転翼を回転駆動する駆動手段と、上記タンク本体の上部に設けられ、当該タンク本体内に洗浄用の洗浄液を供給する給水手段を備えてなり、かつ上記タンク本体の外周部には、上記側板から外方に突出するとともに上記底板から下方に突出する排出部を形成し、この排出部における上記底板に排出口を形成したことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の発明において、上記圧縮機は、一端部に供給口が形成されるとともに、他端部に排出口が設けられた円筒状の本体と、この本体内に回転自在に設けられ、上記供給口から供給された上記廃棄物と洗浄液とを上記排出口側に向けて搬送するスクリューと、このスクリューの外周に設けられて上記洗浄液を分離するフィルタと、このフィルタの外方に形成された上記洗浄液の排水部とを有し、かつ上記排出口には、上記本体内を搬送される上記廃棄物を圧縮する圧縮部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
ここで、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、上記圧縮機の本体は、水平に対して55°〜65°の範囲の傾斜角度で設置され、下部に供給口が形成されるとともに上部に排出口が設けられ、かつ上記圧縮部材は、上記本体に対して屈曲された排出管であることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、請求項3〜8のいずれかに記載の発明において、上記異物捕集器は、一端部に供給口が形成されるとともに、他端部に排出口が設けられた円筒状の本体と、この本体内に回転自在に設けられ、上記供給口から供給された上記異物を含む洗浄液を上記排出口側に向けて搬送するスクリューと、このスクリューの外周に巻回されて上記洗浄液を分離するフィルタと、このフィルタの外方に形成された上記洗浄液の排水部とを有し、かつ上記排出口には、上記本体内を搬送される上記異物を圧縮する圧縮部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
ここで、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、上記異物捕集器の本体は、水平に対して10°〜20°の範囲の傾斜角度で設置され、下部に供給口が形成されるとともに上部に排出口が設けられ、かつ上記圧縮部材は、上記排出口に接続されるとともに、上記異物の排出方向に向けて内径が漸次小さくなる排出管であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または2に記載の廃棄物の処理システムもしくは請求項3〜10のいずれかに記載の廃棄物の処理装置によれば、粉砕手段(シュレッダ)によって廃棄物を裁断または粉砕し、次いで撹拌手段(撹拌タンク)において粉砕された廃棄物を洗浄液と混合することにより洗浄した後に、圧縮手段(圧縮機)で上記廃棄物を絞って脱水し、さらに上記圧縮手段(圧縮機)で分離された洗浄液を異物捕集手段(異物捕集器)に送って、当該洗浄液中の異物である水中浮遊物(SS)を捕捉して排出しているために、汚物が除去された上記廃棄物を圧縮された塊として取り出すことができる。
【0017】
このため、上記廃棄物の塊を、容易に処理することができるとともに、異物捕集手段(異物捕集器)において、洗浄液中に含まれる水中浮遊物等の異物も除去することができる。この結果、効率的に紙おむつ等の繊維状の廃棄物を洗浄して処分することができるとともに、水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることもできる。
【0018】
この際に、請求項2または4に記載の発明によれば、圧縮手段(圧縮機)で分離された洗浄液の一部を、再び撹拌手段へと循環させているために、当該圧縮手段(圧縮機)における廃棄物および異物の捕集効率を向上させることができ、よって後段の異物捕集手段(異物捕集器)の負荷を低減されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図10は、本発明に係る廃棄物の処理システムおよび処理装置を、紙おむつやガーゼ等の医療廃棄物の処理装置に適用した一実施形態を示すものである。
この処理装置は、装置本体1と、この装置本体1の上部に設けられた廃棄物の投入部2と、この投入部2の下方に設けられて廃棄物を破砕するシュレッダ(粉砕手段)3と、このシュレッダ3の下方に設けられた撹拌タンク(撹拌手段)4と、この撹拌タンク4の排出側に配置された圧縮機(圧縮手段)5と、この圧縮機5の後段に設けられたSS回収器(異物捕集器、異物捕集手段)6とから概略構成されたものである。
【0020】
この装置本体1は、矩形の有底箱状に組まれたもので、その上部中央に矩形筒状の上記投入部2が設けられている。この投入部2は、上部に装置本体1の上面に開口する廃棄物投入口2aが形成されており、他方下方には、投入された廃物を搬送するローラコンベア7が配設されている。また、このローラコンベア7の搬送方向先端側には、ホッパ8が設けられている。
【0021】
そして、このホッパ8の底部に形成された開口部8aの下方に、上記シュレッダ3が配置されている。このシュレッダ3は、図5および図6に示すように、軸線を水平方向に位置させた2本の回動軸9が所定間隔をおいて回転自在に設けられており、各回動軸9に複数枚の回転刃10が軸線方向に等間隔をおいて取り付けられている。ここで、2本の回転軸9は、一方の回転軸9の回転刃10間に、他方の回転軸9の回転刃10が挿入された状態で配置されている。
【0022】
これにより、これら回転軸9は、図6に示すように、互いの回転刃10を軸線方向視において外周部同士を重複させて、軸線方向に交互に位置されている。そして、各々の回転刃10の外周には、円周方向に向けて複数(図では6)の粉砕刃10aが形成されている。これらの粉砕刃10aは、回転軸9の上方に位置した際に、外方側に向けて漸次対向する回転刃9側に向けて傾斜するように鉤状に形成されている。
【0023】
そして、回転軸9の端部には、互いに歯合する歯車9aが取り付けられるとともに、一方の回転軸9を回転駆動することにより、2本の回転軸9を互いに逆方向に回転させるモータ11が設けられている。
他方、このシュレッダ3の回転軸9間の下方に、上記撹拌タンク4が設けられている。
【0024】
この撹拌タンク4は、図7および図8に示すように、円筒状の側板4aと底板4bとを有する有底円筒状のタンク本体内の中心部に、回転軸12が回転自在に設けられ、この回転軸12の外周に、複数枚(図では2枚)の板状の撹拌翼13が円周方向に180°隔てた位置に一体的に取り付けられものである。ここで、撹拌翼13は、回転軸12の径方向に突出する基端部13aと、この基端部13aから回転方向に45°屈曲された撹拌部13bとから形成されたもので、撹拌部13bの外縁は、上方から下方に向けて漸次側板4a側に接近するように約45°の傾斜角度に形成されている。
【0025】
また、タンク本体の側板4aの内面には、径方向の突出する平板状の撹拌補助プレート14が円周方向に90°を隔てた3箇所に取り付けられている。なお、各撹拌補助プレート14は、撹拌翼13の撹拌部13bと干渉しないように、上端部から下方に向けた所定の長さ寸法に形成されている。
そして、上記タンク本体の下部に、回転軸12の下端部に歯合してこれを回転駆動するための減速ユニット15aおよびモータ15bが設けられている。
【0026】
さらに、タンク本体の撹拌補助プレート14が設けられていない位置には、側板4aから外方に突出するとともに底板4bから下方に突出する箱状の排出部16が形成されており、この排出部16における底板16aに排出口17が形成されている。なお、図中符号18は、清掃時に内部の水を抜くための排水孔である。
また、排出口17には、排出管19の一端部が接続されており、この排出管19の他端部が上記圧縮機5の供給口20に接続されている。
【0027】
この圧縮機5は、図9に示すように、下端部に上記排出管19が接続された供給口20が形成されるとともに、上端部に排出口21が設けられた円筒状の本体22と、この本体22内に軸線を一致させて回転自在に設けられ、後述する供給口20から供給された廃棄物等を排出口21側に向けて搬送するスクリュー23と、このスクリュー23の外周に密着して設けられたフィルタ24と、このフィルタ24の外方に形成された排水部25と、排出口21に設けられた排出管(圧縮部材)26とから概略構成されたものである。
【0028】
ここで、圧縮機5の本体22は、基台27上に水平に対して55°〜65°の範囲の傾斜角度で設置されている。また、基台27上には、スクリュー23を回転駆動するためのモータ28が並列的に設けられており、基台27の下面に突出するスクリュー23の下端部とモータ28の出力軸とが、スプロケット29aおよびチェーン29bによって回転自在に連結されている。
【0029】
他方、本体22の上端部に形成された排出口21には、短管30が接続されており、この短管30に、水抜き孔31が穿設されている。そして、この短管30に、90°に屈曲されたエルボ管からなる上記排出管26が接続されている。
【0030】
さらに、フィルタ24は、所定の内径(例えば7〜8mmφ)を有する多数の孔が穿設されたパンチングメタルからなるもので、スクリュー23の下端部から上方に向けて、スクリュー23の全長の1/3〜1/2の範囲に設けられている。そして、このフィルタ24に対向する本体22の側壁が切り欠かれることにより開口部が形成され、この開口部を覆うようにして箱状の上記排出部25が設けられている。
【0031】
また、この排出部25の下部に形成された排出口32には、排水ライン33が接続されている。この排水ライン33には、モータ34によって駆動される排水ポンプ35(図1〜図4参照)が介装されており、この排出ポンプ35によって高圧、高水量とされた吐出側が、上記SS回収器6の供給口36に接続されている。
【0032】
このSS回収器6は、図10に示すように、下端部に排水ライン33の排水ポンプ35吐出側が接続された上記供給口36に形成されるとともに、上端部に排出口37が設けられた円筒状の本体38と、この本体38内に軸線を一致させて回転自在に設けられ、供給口37から供給された後述する異物(SS)を含む洗浄液を排出口37側に向けて搬送するスクリュー39と、このスクリュー39の外周に密着して巻回されたフィルタ40と、このフィルタ40の外方に形成された排水部41と、排出口37に接続された排出管(圧縮部材)42とから概略構成されたものである。
【0033】
ここで、SS回収器6の本体38は、基台43上に水平に対して10°〜20°の範囲の傾斜角度で設置されている。また、基台43上には、スクリュー39を回転駆動するためのモータ44が並列的に設けられており、基台34の下面に突出するスクリュー39の下端部とモータ44の出力軸とが、スプロケット45aおよびチェーン45bによって回転自在に連結されている。
【0034】
他方、本体38の上端部に形成された排出口37には、短管46が接続され、この短管46に、水抜き孔47が穿設されている。そして、この短管46に、上記排出管42が接続されている。この排出管42は、本体38側から先端側に向けてその内径が漸次小さくなる(例えば、傾斜角度4°〜6°の)テーパー状に形成されており、この排出管42の先端部に45°のエルボ管48が接続されている。
【0035】
また、フィルタ40は、圧縮機5のフィルタ24よりも小さい内径(例えば2〜3mmφ)の多数の孔が穿設されたパンチングメタルからなるもので、スクリュー39の全長にわたって(図ではその下部のみを示し、上部は省略してある。)その外周に巻回されている。さらに、このSS回収器6においては、スクリュー39の外径よりも本体38の内径が大きく形成されており、これによりフィルタ40の下部外方と本体38の内壁との間に、上記排水部41が形成されている。
【0036】
そして、この排水部41の下部に、排水管49(図1参照)の一端部が接続される排水口50が形成され、この排水管49の他端部は、装置本体1の外壁に設けられた排水接続口49aに接続されている。
また図1に示すように、排水ライン33における排水ポンプ35の吐出側には、3方流量調整弁51が介装されており、この3方流量調整弁51には、排水ライン33から枝配管されてその一部を撹拌タンク4に戻す戻りライン52が接続されている。
【0037】
他方、装置本体1の上部には、投入部2に隣接して洗浄水を貯留するための給水タンク53が設けられている。そして、図1に示すように、この給水タンク53からの洗浄水は、給水ポンプ54を介してその一部がヘッダ55に送られ、当該ヘッダ55からシュレッダ3の上方に供給されている。また、上記洗浄水は、同様にヘッダ56を介して撹拌タンク4の上部に配置された噴出口(給水手段)57からタンク本体内に供給されている。
なお、図中符号58は、装置本体1の外壁に設けられた給水接続口59から給水タンク53に洗浄水を補給するための補給水ラインであり、符号60はオーバーフロー管である。
【0038】
次いで、以上の構成からなる廃棄物の処理装置によって紙おむつ等の繊維状の廃棄物を処理する際の作用について説明する。
先ず、紙おむつ等の繊維状の廃棄物を装置本体1の投入口2aから投入部2内に供給すると、当該廃棄物は、ローラコンベア7によってホッパ8内に送られ、その開口部8aから下方のシュレッダ3に落下する。
【0039】
そして、このシュレッダ3において、モータ11によって回転する回転刃10によって細かく粉砕される。この際に、モータ11を所定の時間毎(例えば、2〜3秒毎)に逆方向に回転させる。すると、図6において、互いの回転軸9の上方に位置する粉砕刃10aが接近する方向に回転する際に、上部の上記廃棄物がこれら粉砕刃10aによって両側から下方へと噛み込まれて行くことにより、確実に裁断される。この結果、例えば紙おむつの主成分となる高分子吸収剤のみならず、この種の紙おむつ等に多く含まれる極細ゴム等についても、完全に細かく裁断することができる。
【0040】
次いで、モータ11が逆方向に回転する際に、一旦上記噛み込みが解かれるために、上記廃棄物によるシュレッダ3の詰まりを防止することができる。また、これと併行して、給水タンク53からの洗浄水を給水ポンプ54およびヘッダ55を介してシュレッダ3の上方から高圧散水することにより、上記裁断・粉砕を円滑に行うことができるとともに、回転刃10に上記高分子吸収剤が張り付いて、悪臭が発生することを防止することもできる。
【0041】
次いで、このシュレッダ3において細かく裁断された廃棄物は、回転刃10間から下方の撹拌タンク4内へと落下する。他方、この撹拌タンク4のタンク本体内には、給水タンク53内の洗浄水が給水ポンプ54およびヘッダ56を介して噴出口57から供給される。また、これに加えて図示されない供給ラインから、例えば上記高分子吸収剤の分離・脱水を行うための塩化カルシウム等の添加剤と、塩化ベニゼルコニウム等の殺菌剤が注入される。
【0042】
そして、この撹拌タンク4において、モータ15bおよび減速ユニット15aによって回転駆動される撹拌翼13によって、細かく裁断された廃棄物が上記洗浄水等と撹拌されることにより、効果的に当該廃棄物の付着していた汚物が洗浄および殺菌されるとともに、高分子吸収剤に吸収されていた水分および汚物が脱水される。この際に、タンク本体の側板4aの内壁に、撹拌補助プレート14を設けているために、撹拌翼13による撹拌に伴ってタンク本体内に渦水流を発生させることができ、よって効率的に、上記洗浄、殺菌および脱水を行うことができる。
【0043】
次いで、撹拌タンク4内において、洗浄、殺菌および脱水された廃棄物は、洗浄液等とともに排出管19から後段の圧縮機5へと送られる。この時に、撹拌タンク4の外周部に、これから外方および下方に突出する排出部16を設け、この排出部16の底板16aに排出口17を形成しているために、当該排出口17から排出管19へ流れる多量の廃棄物を含む上記洗浄水等に旋回流を与えて、円滑に後段の圧縮機5へと搬送することができる。
【0044】
このようにして、排出管19を経て供給口20から圧縮機5内に供給された洗浄水等および廃棄物は、モータ28によって駆動されるスクリュー23の回転に伴って、本体22内を排出口21側へと送られて行く。そして、洗浄水等およびフィルタ24の孔よりも小さなSS等の異物は、フィルタ24を通過して排出部25へと流れる。
【0045】
他方、フィルタ24を通過しない廃棄物は、本体22内を送られて排出口21から短管30を通じて排出管26へと送られる。すると、排出管26は、90°に屈曲されたエルボ管であるために、当該排出管26において廃棄物Wが搬送抵抗を受け、後から送られてくる廃棄物Wによって圧縮される。この際に、廃棄物Wが圧縮されることにより絞り出された水分は、短管30の水抜き孔31から排出される。そして、十分に圧縮された廃棄物Wは、塊となって排出管26の先端部から外部に排出される。
【0046】
また、フィルタ24を通過して排出部25へと流れた水中浮遊物(SS)等の細かな異物を含む洗浄液は、排水ポンプ35により吸引されて排出口32から排水ライン33を経てSS回収器6へと送られる。これと併行して、その一部は、三方流量調整弁51から戻りライン52に送られ、再び撹拌タンク4へと戻される。
【0047】
そして、排水ライン33からSS回収器6へと送られたSS等を含む洗浄液は、供給口36から本体38内へと流入し、さらにモータ44によって駆動されるスクリュー39の回転により本体38内を排出口37側へと送られて行く。この過程で、洗浄液等の水分はフィルタ40を通過して排出部41へと流れる。このようにして、フィルタ40によりSS等の異物が排出基準以下まで除去された洗浄液等の水分は、排水部41の排出口50から外部へと排水される。
【0048】
他方、フィルタ40によって捕集されたSS等の異物Pは、順次スクリュー39によって排出口37から短管46を通じて排出管42へと送られて行く。すると、この排出管42は、先端側に向けてその内径が漸次小さくなるテーパー状に形成されているために、排出管42において異物Pが搬送抵抗を受け、後から送られてくる異物Pによって圧縮される。そして、これら異物Pが圧縮されて塊になる過程で、絞り出された水分は短管46の水抜き孔47から排出部41へと排出される。また、異物Pは、十分に圧縮されて塊となったうえで、エルボ管48の先端部から外部に排出される。
【0049】
このように、上記構成からなる廃棄物の処理装置によれば、シュレッダ3によって紙おむつ等の廃棄物を細かく裁断し、次いで撹拌タンク4において裁断された廃棄物を洗浄液、殺菌剤および高分子分離剤と混合することにより、洗浄、汚物の殺菌および脱水を行った後に、圧縮機5で廃棄物を絞って脱水し、さらにこの圧縮機5で分離された洗浄液等をSS回収器6に送って、圧縮機5では捕集し得なかったSS等の異物を捕捉して排出しているために、汚物が除去された廃棄物を圧縮された塊として容易に取り出すことができる。
【0050】
このため、上記廃棄物の塊を、容易に処理することができるとともに、SS回収器6において、洗浄液中に含まれるSS等の小異物も除去することができるために、効率的に紙おむつ等の汚染された繊維や高分子吸収剤からなる廃棄物を洗浄して処分することができるとともに、上記SS等についても排水中から除去して排水基準を満足させることもできる。
【0051】
また特に、圧縮機5で分離されて未だSS等の異物を含む洗浄液等の一部を、再び撹拌タンク4へと循環させているために、圧縮機5における廃棄物および異物の捕集効率を向上させることができ、よって後段のSS回収器6における負荷を低減されることができる。さらに、圧縮機5においては、本体22を水平に対して55°〜65°の範囲の傾斜させているために、重力を利用して効率的に洗浄液等の水分を、フィルタ24を通して分離することができる。
【0052】
また、SS回収器6においては、排水ポンプ35から高圧かつ高水量の洗浄液等が供給されることに加えて、フィルタ40の孔が小径に形成されているが、スクリュー39の全長にわたってフィルタ40を巻回しているために、フィルタ40における全開口面積を大きく確保することができ、よって水圧を低減して、過度にSS等の異物がフィルタ40を通過することを防ぐことができる。
【0053】
さらに、圧縮機5およびSS回収器6においては、共にスクリュー23、39の外周に、密にフィルタ24、40を巻回しているために、搬送に伴ってフィルタ24、40に付着した廃棄物やSS等の異物を、スクリュー23、39によって剥ぎ取ることができ、当該フィルタ24、40の目詰まりの発生も同時に防ぐことができる。
【0054】
なお、上記実施の形態においては、本発明に係る廃棄物の処理システムを、装置本体1内に一体的に組み込まれた処理装置に適用した場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、上述したシュレッダ3、撹拌タンク4、圧縮機5、SS回収器6、給水タンク53等を別体の装置あるいは設備として個々に設置して、これらの間に排水管19や排水ライン33等を配管するようにしてもよい。
【0055】
また、粉砕手段、撹拌手段、圧縮手段および異物捕集手段としても、上記構成からなるシュレッダ3、撹拌タンク4、圧縮機5およびSS回収器6の他、各種構造のものを適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体の概略構成図である。
【図2】図1の処理装置における外壁を省略した正面図である。
【図3】図2の天板を省略した平面図である。
【図4】図2の外壁を省略した右側面図である。
【図5】図1のシュレッダを示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI線視した側断面図である。
【図7】図1の撹拌タンクを示す縦断面図である。
【図8】図5の平面図である。
【図9】図1の圧縮機を示す縦断面である。
【図10】図1のSS回収器を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 装置本体
3 シュレッダ(粉砕手段)
4 撹拌タンク(撹拌手段)
4a 側板
4b 底板
5 圧縮機(圧縮手段)
6 SS回収器(異物捕集器、異物捕集手段)
9、12 回転軸
10 回転刃
10a 粉砕刃
13 撹拌翼
16 排出部
16a 底板
17 排出口
20、36 供給口
21,37 排出口
22、38 本体
23、39 スクリュー
24、40 フィルタ
26、42 排出管(圧縮部材)
51 三方流量調整弁
52 戻りライン
53 給水タンク
57 噴出口(給水手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を粉砕する粉砕手段と、この粉砕手段によって粉砕された廃棄物に洗浄液を加えつつ撹拌する撹拌手段と、この撹拌手段から排出された上記洗浄液を含む上記廃棄物を圧縮して脱水する圧縮手段と、この圧縮手段によって分離されて排出された上記洗浄液中の異物を捕捉して排出する異物捕集手段とを備えてなることを特徴とする廃棄物の処理システム。
【請求項2】
上記圧縮手段と上記撹拌手段との間には、上記圧縮手段によって分離された排水の一部を上記撹拌手段に戻す循環ラインが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物の処理システム。
【請求項3】
装置本体と、この装置本体の上部に設けられた廃棄物の投入部と、この投入部の下方に設けられ上記廃棄物を破砕するシュレッダと、このシュレッダの下方に設けられるとともに給水ラインが接続されて破砕された上記廃棄物と洗浄液とを混合しつつ撹拌する撹拌タンクと、この撹拌タンクから排出された上記廃棄物および洗浄液から上記廃棄物を圧縮して排出するとともに上記洗浄液を分離する圧縮機と、この圧縮機の排水ラインから排出された洗浄液中に含まれる異物を捕捉する異物捕集器とを備えてなることを特徴とする廃棄物の処理装置。
【請求項4】
上記圧縮機と上記撹拌タンクとの間には、上記圧縮機の排水ラインに枝配管されて上記異物を含む洗浄液を上記撹拌タンクに戻す戻りラインが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項5】
上記シュレッダは、軸線を水平方向に位置させた複数本の回動軸と、各回動軸に軸線方向に間隔をおいて取り付けられ、外周に円周方向に向けて複数の粉砕刃が形成された回転刃とを備え、
上記回転軸は、隣接する上記回転軸の回転刃を、互いの外周部同士を上記軸線方向視において重複させて上記軸線方向に交互に位置させるとともに、隣接する上記回転軸が逆方向に回転駆動され、かつ上記粉砕刃は、上記回転軸の上方に位置した際に、外方に向けて漸次対向する上記回転刃側に向けて傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項6】
上記撹拌タンクは、円筒状の側板と底板とを有するタンク本体と、このタンク本体内に当該タンク本体の軸線に沿った回転軸に一体的に取り付けられた撹拌翼と、この回転翼を回転駆動する駆動手段と、上記タンク本体の上部に設けられ、当該タンク本体内に洗浄用の洗浄液を供給する給水手段を備えてなり、かつ上記タンク本体の外周部には、上記側板から外方に突出するとともに上記底板から下方に突出する排出部を形成し、この排出部における上記底板に排出口を形成したことを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。
【請求項7】
上記圧縮機は、一端部に供給口が形成されるとともに、他端部に排出口が設けられた円筒状の本体と、この本体内に回転自在に設けられ、上記供給口から供給された上記廃棄物と洗浄液とを上記排出口側に向けて搬送するスクリューと、このスクリューの外周に設けられて上記洗浄液を分離するフィルタと、このフィルタの外方に形成された上記洗浄液の排水部とを有し、かつ上記排出口には、上記本体内を搬送される上記廃棄物を圧縮する圧縮部材が設けられていることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。
【請求項8】
上記圧縮機の本体は、水平に対して55°〜65°の範囲の傾斜角度で設置され、下部に供給口が形成されるとともに上部に排出口が設けられ、かつ上記圧縮部材は、上記本体に対して屈曲された排出管であることを特徴とする請求項7に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項9】
上記異物捕集器は、一端部に供給口が形成されるとともに、他端部に排出口が設けられた円筒状の本体と、この本体内に回転自在に設けられ、上記供給口から供給された上記異物を含む洗浄液を上記排出口側に向けて搬送するスクリューと、このスクリューの外周に巻回されて上記洗浄液を分離するフィルタと、このフィルタの外方に形成された上記洗浄液の排水部とを有し、かつ上記排出口には、上記本体内を搬送される上記異物を圧縮する圧縮部材が設けられていることを特徴とする請求項3ないし8のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。
【請求項10】
上記異物捕集器の本体は、水平に対して10°〜20°の範囲の傾斜角度で設置され、下部に供給口が形成されるとともに上部に排出口が設けられ、かつ上記圧縮部材は、上記排出口に接続されるとともに、上記異物の排出方向に向けて内径が漸次小さくなる排出管であることを特徴とする請求項9に記載の廃棄物の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−212790(P2008−212790A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51372(P2007−51372)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(591032954)株式会社巴商会 (9)
【出願人】(592048475)鈴与株式会社 (6)
【Fターム(参考)】