説明

廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置

【課題】 熱分解キルン炉から熱分解残渣が排出される段階で紐状金属を引掛けて巻き取り分離させ、後段で引掛ったり詰りを生じることを防止する。
【解決手段】 熱分解キルン炉1から熱分解残渣11を取り出す熱分解残渣ライン14の途中に、熱分解残渣取出装置31を設ける。熱分解残渣取出装置31は、ケーシング35内にスクリュー36を配置して片持ち式に支持させ、該スクリュー36の先端部に紐状金属巻取機32を着脱可能に取り付ける。スクリュー36を回転させて熱分解残渣11をケーシング35内を搬送して排出用シュート34へ排出させる前に、熱分解残渣11中に混ざっている紐状金属を紐状金属巻取機32で引掛けて巻き取り分離させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ等の廃棄物を外熱により加熱して熱分解して熱分解ガスと熱分解残渣とに分離し、熱分解ガスは下流で燃焼してから排ガス処理をして大気へ放出させるようにし、熱分解残渣は回収するようにする熱分解ガス化装置に用いる熱分解残渣からの紐状金属分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ等の廃棄物の処理システムとしては、廃棄物を焼却炉で燃焼させるようにした燃焼方式に代るものとして、近年では、廃棄物を低酸素雰囲気で加熱することにより熱分解させて、熱分解ガスと熱分解残渣(チャー)とを発生させ、該熱分解ガスと熱分解残渣を溶融炉へ導き、少ない空気量(たとえば、空気比1.3程度)で高温にて燃焼させ、溶融スラグとして取り出し、排ガスは排ガス処理をした後に大気へ放出するようにした熱分解ガス化溶融システムのほかに、上記熱分解残渣を選別して鉄、アルミ等の有価金属と炭化物に分けた後、炭化物を粉砕して回収するようにした熱分解ガス化システムが開発され、実用化されている。
【0003】
上記廃棄物を熱分解キルン炉内で外熱により間接加熱して熱分解させ、熱分解ガスと熱分解残渣を発生させて、熱分解残渣を回収するようにした熱分解ガス化装置としては、図4に一例を示すようにしたものが提案されている。
【0004】
すなわち、一端の入口2側に供給管2aを一体に接続し且つ他端の出口3側に排出管3aを一体に接続した内筒4と、該内筒4の外側に同心状に配置した外筒5との間に、加熱流路6を形成し、上記外筒5と内筒4を一体で回転できるようにした熱分解キルン炉1を、一端の入口2側よりも他端の出口3側が僅かに低くなるように傾斜させて横向きに配置し、図示しない駆動装置により低速で回転するようにしてある。
【0005】
又、上記熱分解キルン炉1の入口2には、給じん機7が供給管2a内に挿入されて設けてあり、投入ホッパ8に投入された廃棄物9を給じん機7により入口2へ供給するようにしてある。一方、上記熱分解キルン炉1の出口3には、熱分解ガス10と熱分解残渣11とを分離する分離室12を設け、該分離室12の頂部には熱分解ガスライン13を接続して、該熱分解ガスライン13により熱分解ガス10を下流の燃焼炉へ送って燃焼させるようにし、又、上記分離室12の底部には熱分解残渣ライン14を接続して、該熱分解残渣ライン14により熱分解残渣11を取り出すようにしてある。更に、上記熱分解キルン炉1の出口3側には、加熱ガス入口15が設けてあって、図示しない熱風発生炉で発生した高温の加熱ガス16を加熱ガス供給ライン17を通して上記加熱ガス入口15へ供給し、加熱流路6を流通させて、入口2側に設けた加熱ガス出口18より排出させるようにすることにより、上記加熱流路6内を流通する高温の加熱ガス16による外熱により内筒4内の廃棄物9を間接加熱させて熱分解させ、上記熱分解ガス10と熱分解残渣11を発生させるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
上記のように、熱分解キルン炉1内で廃棄物9が熱分解されて炭化されると、炭化物である熱分解残渣11は、一般的には熱分解残渣ライン14により排出された後、鉄、アルミ等の有価金属や廃棄すべき不燃物とその他の可燃物としての炭である炭化物とに分けられ、有価金属は回収し、不燃物は廃棄し、炭化物は必要に応じて粉砕して粉状にして回収して燃料化するようにしてある。
【0007】
しかし、上記熱分解キルン炉1内で熱分解される廃棄物9中に金属が含まれていると得られた炭化物である熱分解残渣11中の金属は、塗装や被覆が除去された金属の素材だけが原型のまま熱分解残渣11として排出されて来ている。
【0008】
かかる原型のまま排出されて来る炭化物中の金属が、鉄缶、スチール缶等の如き1個毎の取り扱いが容易な形状のものである場合は、比較的簡単に回収することができるが、銅線や、針金、番線等の如き紐状の金属は、熱分解される前の廃棄物9中の絡み易い物に絡み付いたまま炭化されて排出されたり、炭化されて排出される途中で引掛り易いところに引掛ってしまうことがあり、排出段階で紐状金属が1本でも引掛ると、そこを起点として次々に紐状金属が引掛ることにより絡み付きが助長されて大きな固まりに発達することがある。
【0009】
特に、コンベヤ等の搬送手段の途中で紐状の金属が引掛って来ると、搬送に支障を来たすおそれがあり、又、回転部に引掛ると、次々と引掛って来る紐状金属が回転により巻き付けられて鳥の巣状に固まって行き、トラブル発生の原因となることがある。
【0010】
又、銅線と針金が絡まる等、異種金属同士が絡み合った状態で排出されて来ることもある。
【0011】
上記のように、熱分解キルン炉1の分離室12から排出された熱分解残渣11中の紐状の金属が、搬送途中で引掛ったり、回転部に引掛って鳥の巣状に絡められて固められると、これを自動的に分離させて回収することは極めて困難なことである。
【0012】
そのため、これまでは、上記排出された熱分解残渣11中の紐状の金属を磁力選別機で分離するようにすることが考えられていた。
【0013】
しかし、磁力選別機で分離しようとする場合は、針金だけが絡まったものであるときには分離して回収することも可能であるが、たとえば、針金と銅線が絡まったような場合には、磁力選別機で分離してそのまま回収することはできず、現実的ではない。
【0014】
近年では、熱分解残渣を粉砕機で粉砕した後に、磁力選別機で選別するようにしたものが提案されている。
【0015】
図5はその一例として、シュレッダーダストの乾留残渣(熱分解残渣)を処理するようにしたものを示すもので、シュレッダーダスト19を乾留炉としての熱分解キルン炉1で熱分解処理して熱分解ガス10と熱分解残渣11を発生させ、該熱分解ガス10と熱分解残渣11を分離させて取り出すようにしている。上記熱分解残渣11は、熱分解キルン炉1から取り出すと、先ず、破砕機20による破砕工程Iで破砕することにより、熱分解残渣11中に含まれるワイヤー状の物体、たとえば、銅線等を切断し、鳥の巣状の固まりとならないように細かくするようにする。次に、チャー分離機21によるチャー分離工程IIにて、上記破砕機20で破砕された小さいサイズの熱分解残渣11a中のチャー22と金属類23とを風力選別により分別し、金属類23は磁力選別機の如き鉄回収機24による鉄回収工程IIIに導いて金属類23から鉄25を磁力選別して回収するようにしてある。しかる後、上記鉄25を選別した後の非鉄金属類26を高磁力選別機27により選別するための高磁力選別工程Vを設けて、非鉄金属類26中の銅28とアルミ29とステンレス30とを、強磁界条件下における各々の磁性の相違に基づく挙動の違いを利用して選別するようにするものが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0016】
前記した図4に示す熱分解キルン炉1から排出される熱分解残渣11中の紐状の金属を分離するために、図5に示す処理方法を利用して、先ず、破砕機20で熱分解残渣11を破砕した後、磁力選別機で磁力選別すれば、紐状の金属を分離させることは可能である。
【0017】
【特許文献1】特開2003−277760号公報
【特許文献2】特開2001−232340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、熱分解キルン炉1から排出される熱分解残渣11中の紐状の金属を、搬送途中で引掛ったり、回転部で巻き付いて鳥の巣状に固まるのを未然に防止するため、熱分解残渣11が排出されると、特許文献2に記載されているように、破砕機で破砕して細かくしてから、磁力選別機で選別するようにすれば、紐状の金属と炭化物(チャー)とを分離することができ、又、紐状の金属が銅線や針金であっても、これらを更に選別することができることになるが、熱分解キルン炉1の下流側には、破砕機や各種の選別機を設置することが必要となり、そのために、広い設置スペースを必要とすることになる。
【0019】
したがって、現状では、このような多くの機器を必要とすることなく紐状の金属を分離して回収できるようにするには、熱分解残渣の搬送ラインに、滞留部を出来るだけ無くし、且つ極力引掛りそうな突起を無くす等の工夫をした上で、各所に点検用のマンホールを設けて定期的に点検するようにし、紐状の金属が引掛る等の原因で閉塞の兆候が見られると、掃除をするということしか対応の手段がないのが実状で、現在では、一度閉塞が起きると、プラントが停止するばかりでなく、非常に大変な人力での作業が必要となっていた。
【0020】
そこで、本発明は、熱分解キルン炉から熱分解残渣を排出させる段階で紐状の金属を1個所に積極的に巻き付けて分離させるようにした廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上記課題を解決するために、廃棄物を外熱により加熱して熱分解し熱分解ガスと熱分解残渣を発生させるようにしてある熱分解キルン炉から上記熱分解残渣を取り出す熱分解残渣ラインの途中に、排出側に紐状金属巻取機を有する熱分解残渣取出装置を設置した構成とする。
【0022】
又、上記構成における熱分解残渣取出装置を、スクリューコンベヤ型式とし、片持ち式としたスクリューの先端部に、紐状金属巻取機を着脱可能に取り付けてなる構成とし、更に、紐状金属巻取機を、紐状金属を引掛けて巻き付けるように多数の引掛けアームを放射方向に取り付けてなるものとして、上記引掛けアームが熱分解残渣の搬送方向に直交するようにしたり、引掛けアームの先端部を、回転方向に向けて屈曲させた構成とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置によれば、次の如き優れた効果を奏し得る。
(1)廃棄物を外熱により加熱して熱分解し熱分解ガスと熱分解残渣を発生させるようにしてある熱分解キルン炉から上記熱分解残渣を取り出す熱分解残渣ラインの途中に、排出側に紐状金属巻取機を有する熱分解残渣取出装置を設置した構成としてあるので、排出段階で熱分解残渣中に混在している紐状金属を紐状金属巻取機に巻き取ることができて、多くの紐状金属を分離することができ、後段の搬送系や選別機、排出系等での引掛りや詰り等のトラブルを抑制することができる。
(2)熱分解残渣取出装置を、スクリューコンベヤ型式とし、片持ち式としたスクリューの先端部に、紐状金属巻取機を着脱可能に取り付けてなる構成とすることにより、熱分解残渣取出装置の排出側を中心に点検やメンテナンスを集中させることができ、紐状金属巻取機に紐状金属が巻き取られて固まりに成長する状況を点検できて、紐状金属巻取機を交換することができる。これにより、熱分解残渣の搬送を阻害することもなくなる。
(3)紐状金属巻取機を、紐状金属を引掛けて巻き付けるように多数の引掛けアームを放射方向に取り付けてなるものとして、上記引掛けアームが熱分解残渣の搬送方向に直交するようにし、更に、各引掛けアームの先端部を、回転方向に向けて屈曲させた構成とすることにより、紐状金属を容易に引掛けて巻き取って行くことができ、短かい紐状金属から長い紐状金属まで確実に引掛けて巻き取って分離させることができる。
(4)上記のように排出段階で簡単な機構により多くの紐状金属を取り除くことができることから、紐状金属除去のための破砕機や磁力選別機を後段に設置する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1及び図2は本発明の実施の一形態を示すもので、図4に示す熱分解ガス化装置の熱分解キルン炉1と同様に、熱分解キルン炉1を低速で回転している状態で、入口2に給じん機7により投入ホッパ8内の廃棄物9を供給しつつ、加熱ガス入口15から供給した高温の加熱ガス16を、加熱流路6に流通させて、該加熱ガス16による外熱により間接加熱して廃棄物9を熱分解し、生成された熱分解ガス10と熱分解残渣11を分離室12で分離し、熱分解ガス10は熱分解ガスライン13より排出させ、又、熱分解残渣11は分離室12底部に接続した熱分解残渣ライン14より排出するようにしてある構成において、上記熱分解残渣ライン14の上流部位置に、熱分解残渣11中の紐状金属を積極的に分離するための紐状金属巻取機32を着脱可能に備えた熱分解残渣取出装置31を設置する。
【0026】
上記熱分解残渣取出装置31は、一端側上面に投入用シュート33を有し且つ他端側に排出用シュート34を取り付けたケーシング35内に、回転軸(スクリュー軸)37の外周に螺旋状に羽根38を取り付けたスクリュー36を、ケーシング35の一端側より挿入して、先端部を排出用シュート34との間に所要の隙間を保持するように位置させると共に、基端側をケーシング35に回転自在に支持させて片持ち式とし、該スクリュー36の基端部に連結した駆動装置39より熱分解残渣11を搬送するようにしたスクリューコンベヤ型式の構成とする。
【0027】
上記スクリューコンベヤ型式の熱分解残渣取出装置31におけるスクリュー36の先端側、すなわち、回転軸37の先端側には、搬送されて来る紐状金属を引掛けて巻き取って行くように、多数の引掛けアーム40を支持軸41に放射方向に且つ該支持軸41の軸方向の複数個所に取り付けてなる紐状金属巻取機32を配置し、該紐状金属巻取機32の支持軸41の一端部に取り付けた取付座42を、上記回転軸37の先端面にねじ43等で着脱自在に取り付けるようにし、スクリュー36と一体となって上記紐状金属巻取機32が回転するようにする。
【0028】
又、上記ケーシング35の排出用シュート34側の上面には、所要大きさのメンテナンス用のハッチ44を設け、該ハッチ44を利用して上記紐状金属巻取機32の着脱作業を行うことができるようにする。更に、上記ハッチ44には、中央部分に覗窓46を備えた蓋45を開閉可能に取り付け、運転中は覗窓46から紐状金属巻取機32への紐状金属の巻き付き状況を監視できるようにする。同様に、上記紐状金属巻取機32の延長線上の排出用シュート34の後側壁34aにも、覗窓47を設け、排出用シュート34の後方からも紐状金属巻取機32を注視することができるようにする。
【0029】
上記紐状金属巻取機32は、図2(イ)(ロ)に一例の詳細を示す如く、支持軸41のほぼ全長に亘るように多数の引掛けアーム40を取り付けて、支持軸41の軸方向には密に配置されているようにすると共に、各々放射方向に取り付けてあって、紐状金属の長さの長いものは勿論、比較的長さの短かい紐状金属でも確実に引掛けて巻き取って行くことができるようにしてある。又、各引掛けアーム40は、単なる直線状のものでも有効であるが、図2(ロ)に示す如く先端部を回転方向に折り曲げて鉤状にしたものを用いるようにする。なお、上記各引掛けアーム40の支持軸41への取り付けは、引掛けアーム40の末端部を支持軸41の外側面に固定して放射状に配設するようにするが、支持軸41に貫通孔を設けて、該貫通孔に長尺の引掛けアーム40を中央部まで挿通させて保持させるようにすることもできる。
【0030】
熱分解キルン炉1の分離室12から熱分解残渣ライン14に排出された熱分解残渣11は、投入用シュート33に入ってから熱分解残渣取出装置31のケーシング35内に投入され、スクリュー36の回転により排出側となる下流側へ搬送され、排出用シュート34を経て下流へ排出される。この間に、熱分解残渣11中に混入している銅線、針金、番線の如き紐状の金属は、炭化物(チャー)とともにケーシング35内を搬送され、排出用シュート34の方向へ移送される。スクリュー36の先端部まで搬送されて来た紐状金属は、排出用シュート34に達する前に、回転している紐状金属巻取機32の各引掛けアーム40のいずれかに引掛けられ、更に、各引掛けアーム40に絡み付けられて巻き取られて行く。
【0031】
このように炭化物中の紐状金属は、紐状金属巻取機32に引掛けられて巻き取られることから、熱分解残渣取出装置31に投入されて搬送される炭化物中の紐状金属は、長さの長いもの、短かいものに限らず、多数ある引掛けアーム40に次々と引掛けられて炭化物中から取り除かれて順次巻き取られ、ほとんどの紐状金属を炭化物中より分離して取り除くことができる。
【0032】
上記熱分解残渣取出装置31中のスクリュー36と一体に回転している紐状金属巻取機32は、覗窓46,47から監視することができて、上記紐状金属巻取機32に紐状金属が引掛けられて巻き取られている状況は容易に点検することができる。紐状金属巻取機32への紐状金属の巻取り量が多くなり過ぎると、熱分解残渣取出装置31の搬送を阻害することになるおそれがある。
【0033】
そのため、上記熱分解残渣取出装置31の運転が開始されると、以後は、定期的に点検し、紐状金属巻取機32に巻き取られた紐状金属の量が熱分解残渣取出装置31の搬送を阻害する要因にならないように、巻き取られた紐状金属の固まりが或る程度まで成長した段階で、一時的に熱分解残渣取出装置31の運転を停止し、メンテナンス用のハッチ44を開けて、スクリュー36の先端より作業員が紐状金属巻取機32を工具を使って取り外し、予め用意しておいた新しい紐状金属巻取機32を工具を使ってスクリュー36の先端に取り付けることにより交換し、ハッチ44の蓋45を閉じた後、熱分解残渣取出装置31の運転を再開させるようにする。
【0034】
以後、同様に、紐状金属巻取機32に巻き取られた紐状金属の量を点検しながら上記紐状金属巻取機32を交換することにより、紐状金属を炭化物中から分離させることができ、後段の搬送系や選別機、排出系等での紐状金属の引掛りや詰り等をなくすことができる。
【0035】
上記スクリュー36の先端から取り外して回収した紐状金属巻取機32は、系外で巻き付いた紐状金属を分離して取り外し、予備の巻取機32として再利用できるようにしておく。
【0036】
上記において、紐状金属巻取機32の多数の引掛けアーム40は、図2(イ)に示す如く支持軸41の軸心方向に沿って変化させ、搬送方向の上流側の方の長さを短かくした配列としてあるので、搬送されて来る紐状金属が万一、上流側の引掛けアーム40に引掛らないで通過しても、下流側に位置する引掛けアーム40で引掛けることができ、又、紐状金属が引掛けアーム40に引掛って巻き付けられて行くときには、上流側から順に巻き付けられて徐々に成長して行くことになり、炭化物の搬送を阻害しにくいものとすることができて有利である。
【0037】
次に、図3(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態として、上記紐状金属巻取機32の各引掛けアーム40の変形例を示すものである。
【0038】
すなわち、図2(イ)に示した場合と同様に、炭化物の搬送方向の上流側から下流側へ順に長さが長くなるように引掛けアーム40を整列させた構成において、各引掛けアーム40を回転方向へ湾曲するように屈曲させた形状としたものである。
【0039】
この実施の形態によれば、搬送されて来る炭化物中の紐状金属を、より引掛け易く、且つ引掛けアーム40に引掛けた紐状金属をより絡み付け易くすることができる。
【0040】
なお、本発明は上記の実施の形態のものに限定されるものではなく、たとえば、紐状金属巻取機32は図2(イ)、図3(イ)に示す実施の形態では、炭化物の搬送方向の上流側から下流側へ向けて引掛けアーム40を長くした場合を示したが、これに限定されるものではなく、上流側から下流側へ長さの異なる引掛けアーム40を交互に配置するようにしたり、上流側に長い引掛けアーム40を配置するようにしてもよいこと、又、各引掛けアーム40は、回転方向に折り曲げたり、湾曲させた場合を示したが、回転方向に対して所要角度傾斜させて折り曲げたり、湾曲させるようにし、且つ傾斜させる方向を、炭化物搬送方向の上流側へ向くようにしてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】図1のA部の拡大を示すもので、(イ)は切断側面図、(ロ)は(イ)のB−B矢視図である。
【図3】本発明の実施の他の形態として、図2に拡大して示す紐状金属巻取機の変形例を示すもので、(イ)は側面図、(ロ)は(イ)のC−C矢視図である。
【図4】従来の廃棄物の熱分解ガス化装置の一例を示す概略図である。
【図5】従来提案されている熱分解残渣処理方法を示す概要図である。
【符号の説明】
【0042】
1 熱分解キルン炉
9 廃棄物
10 熱分解ガス
11 熱分解残渣
14 熱分解残渣ライン
31 熱分解残渣取出装置
32 紐状金属巻取機
34 排出用シュート
35 ケーシング
36 スクリュー
37 回転軸
40 引掛けアーム
41 支持軸
44 ハッチ
45 蓋
46,47 覗窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を外熱により加熱して熱分解し熱分解ガスと熱分解残渣を発生させるようにしてある熱分解キルン炉から上記熱分解残渣を取り出す熱分解残渣ラインの途中に、排出側に紐状金属巻取機を有する熱分解残渣取出装置を設置したことを特徴とする廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置。
【請求項2】
熱分解残渣取出装置を、スクリューコンベヤ型式とし、片持ち式としたスクリューの先端部に、紐状金属巻取機を着脱可能に取り付けてなる構成とした請求項1記載の廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置。
【請求項3】
紐状金属巻取機を、紐状金属を引掛けて巻き付けるように多数の引掛けアームを放射方向に取り付けてなるものとして、上記引掛けアームが熱分解残渣の搬送方向に直交するようにしてなる請求項1又は2記載の廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置。
【請求項4】
各引掛けアームの先端部を、回転方向に向けて屈曲させた請求項3記載の廃棄物の熱分解残渣からの紐状金属分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−300475(P2006−300475A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126293(P2005−126293)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】