説明

建物内案内システム

【課題】建物内を移動する人の健康状態を好適に保つことができる建物内案内システムを提供する。
【解決手段】建物10には居住空間15a〜15iが設けられており、それら居住空間15a〜15iは壁体16により互いに区分けされている。壁体16には屋内出入口17が形成されており、屋内出入口17には開き戸が設けられている。また、居住空間15a〜15iの温度を検出する建物内温度センサがコントローラと電気的に接続されている。コントローラは、人が建物10内を移動する場合に、建物内温度センサにより検出された居住空間15a〜15iの各温度に基づいて移動元から移動先まで移動可能な候補ルートを複数抽出し、各候補ルートにおいて移動元から移動先までの温度変化が最も緩やかなルートを移動ルートとして設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の健康状態を好適に管理するために、生体センサ等により人の生体情報を取得するとともにその生体情報に基づいて健康状態の管理処理を行う技術がある。管理処理を行う構成としては、例えば、生体情報に基づいて献立の作成や運動メニューの作成などを行うことにより健康状態を管理する構成(例えば特許文献1)や、生体情報に基づいて温度や湿度などを調整することにより建物内の環境を整えて健康状態を管理する構成などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−126138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の部屋や廊下が設けられている建物において、人が環境の異なる部屋等の間を移動した場合に、環境の変化により健康状態等に影響が及ぶことが懸念される。したがって、建物内を移動する人の健康状態等を好適に管理する構成に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、建物内を移動する人の健康状態等を好適に保つことができる建物内案内システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明は、各々区分けされた複数の建物内空間を有する建物に適用され、該建物内における人の移動を案内する建物内案内システムであり、前記複数の建物内空間について該建物内空間ごとの環境情報を建物内環境情報として取得する建物内情報取得手段と、前記建物内における人の移動時に移動元及び移動先を判定する判定手段と、前記建物内情報取得手段により取得された建物内環境情報に基づいて、前記判定手段により判定した移動元と移動先との間における前記人の移動ルートを設定する移動ルート設定手段と、前記移動ルート設定手段により設定された移動ルートに基づいて所定の案内処理を実施する案内手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、移動ルートが建物内空間ごとの環境情報に基づいて設定されるため、建物内空間ごとに環境が相違する場合にもその環境を考慮して移動ルートの設定、及び移動ルートに基づく人の案内(誘導)を行うことができる。この場合、移動元から移動先までの複数の建物内空間を健康状態にとって都合の良い順で人に通過させることが可能となる。つまり、人は互いの環境が大きく異なる建物内空間を直接行き来することなく移動元から移動先まで移動することが可能となるため、その移動に際して環境の変化による健康状態等への影響を抑制できる。つまり、建物内を移動する人の健康状態を好適に保つことができる。
【0008】
第2の発明では、前記建物内情報取得手段は、前記建物内空間ごとの温度情報を前記建物内環境情報として取得し、前記移動ルート設定手段は、前記建物内情報取得手段により取得された前記温度情報に基づいて前記移動ルートを設定する。
【0009】
第2の発明によれば、移動ルートが建物内空間ごとの温度情報に基づいて設定されるため、建物内空間ごとに温度が相違する場合にもそれを考慮して移動ルートを設定することができる。したがって、人が移動元から移動先までの複数の建物内空間を移動する際に、ヒートショック発生の抑制が可能な移動ルートを設定することができる。
【0010】
第3の発明では、前記移動ルート設定手段は、前記移動元から前記移動先までにおいて隣り合い且つ行き来可能な前記建物内空間の温度差に基づいて前記移動ルートを設定する。
【0011】
第3の発明によれば、隣り合い且つ行き来可能な建物内空間の温度差に基づいて移動ルートが設定されるため、例えば移動元に隣り合う建物内空間が複数ある場合に、ヒートショック発生の抑制が可能な温度差になっている建物内空間を移動ルートに含めることができる。したがって、ヒートショック発生の抑制が可能な移動ルートを設定できる。
【0012】
第4の発明では、前記移動ルート設定手段は、前記判定手段により判定された移動元と移動先との間に想定可能な複数の候補ルートを設定する候補ルート設定手段と、前記建物内情報取得手段により取得された建物内環境情報に基づいて、前記候補ルート設定手段により設定された複数の候補ルートから前記人の移動ルートを選択する選択手段とを有している。
【0013】
第4の発明によれば、複数の候補ルートから移動ルートが選択されるため、移動元から移動先までの複数の建物内空間が人の健康状態等にとって都合の良い順で並んだルートを移動ルートとして設定することができる。この場合、分岐点となる建物内空間にて次に進む建物内空間をその都度選択する構成とは異なり、環境の変化に伴う負担が心身に加えられることが懸念される移動パターンを移動ルートから排除することができる。したがって、建物内を移動する人の健康状態等を好適に保つ構成としては、複数の候補ルートから移動ルートを選択する構成が好適である。
【0014】
第5の発明では、前記建物内環境情報として取得した前記建物内空間ごとの温度情報に基づいて、前記複数の候補ルートのそれぞれについて、当該候補ルート上に存在して隣り合う建物内空間の温度差を算出する温度差算出手段を備え、前記選択手段は、前記温度差算出手段により算出された各候補ルートに含まれるそれぞれの前記温度差の最大値が最も小さい候補ルートを前記移動ルートとして選択する。
【0015】
第5の発明によれば、複数の候補ルートについて、隣り合う建物内空間の温度差の最大値が他の候補ルートに比べて小さい候補ルートが移動ルートとして選択される。つまり、移動元から移動先までの温度変化が最も緩やかなルートを移動ルートとして設定できる。
【0016】
第6の発明では、前記複数の候補ルートのそれぞれについて前記移動元から前記移動先までの長さを算出するルート長さ算出手段を備え、前記移動ルート設定手段は、前記ルート長さ算出手段の算出結果に基づいて前記移動ルートを設定する。
【0017】
第6の発明によれば、複数の候補ルートについて、建物内空間ごとの環境情報に加えてルートの長さに基づいて移動ルートが設定される。この場合、例えば歩行が困難な人に対しては、移動距離が極力小さくなり且つ環境の変化に伴う負担の発生を抑制できるルートを移動ルートとして設定することが可能となる。
【0018】
第7の発明では、人の生体情報を取得する生体情報取得手段を備え、前記移動ルート設定手段は、前記生体情報取得手段により取得された生体情報に基づいて前記移動ルートを設定する。
【0019】
第7の発明によれば、人の健康状態に合わせて移動ルートを設定することができる。つまり、環境の変化に伴う負担が大きくなりやすい人に対しては移動ルートを設定し、負担が大きくなりにくい人に対しては移動ルートを設定しないことが可能となる。
【0020】
第8の発明では、屋外の環境情報を取得する屋外情報取得手段を備え、前記移動ルート設定手段は、屋外に通じる建物出入口が前記移動先に含まれている場合に、前記屋外情報取得手段により取得された屋外の環境情報に基づいて前記移動ルートを設定する。
【0021】
第8の発明によれば、建物内空間ごとの環境情報だけでなく屋外の環境情報に基づいて移動ルートを設定することが可能となる。したがって、人が建物内から屋外へ出る場合に、環境の変化が極力小さくなるルートで人を移動元から屋外まで案内することができる。つまり、人が建物内を移動する場合だけでなく外出する場合にも健康状態等を好適に保つことができる。
【0022】
第9の発明では、前記複数の建物内空間のうち隣り合う建物内空間を連通する屋内出入口に設けられたドアを対象として開放を規制する開放規制手段を備え、前記案内手段は、前記案内処理として、前記移動ルートに含まれる屋内出入口の開放を規制せず、且つ前記移動ルートに含まれない屋内出入口の開放を規制するようにして前記開放規制手段の動作制御を実施する。
【0023】
第9の発明によれば、建物内の人の移動に際して移動ルートが設定された場合に、人にとって移動ルートに含まれる屋内出入口を開放して通ることは、移動ルートに含まれない屋内出入口を開放して通ることに比べて容易なものとなる。この場合、開放しようとしている屋内出入口が移動ルートに含まれているか否かを人に知らせることになり、その人を移動ルートに沿って移動させることができる。
【0024】
なお、ドアの開放を規制する構成としては、ドアを閉鎖する方向に付勢し且つその付勢力を調整する付勢部を有している構成が挙げられる。この場合、移動ルートに含まれている屋内出入口についてはドアを開放させる際の手ごたえが軽くなるように付勢力を調整し、移動ルートに含まれていない屋内出入口については手ごたえが重くなるように付勢力を調整することが可能となる。したがって、人はドアを介しての手ごたえの重さで移動ルートを知ることができる一方で、移動ルートに含まれていない屋内出入口でも適宜開放して通ることが可能となる。
【0025】
第10の発明では、前記ドア又はその周辺に設けられた表示装置を備え、前記案内手段は、前記案内処理として、前記開放規制手段による開放規制の有無を前記表示装置に表示させる。
【0026】
第10の発明によれば、屋内出入口のドアに対する開放規制の有無が表示装置により表示されるため、人は実際にドアを開放させるよりも前に案内ルートを知ることができる。したがって、建物内空間に複数の屋内出入口が設けられている場合に、各屋内出入口のドアを開放させてみないと移動ルートが分からないという不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態における建物を模式的に示した平面図。
【図2】屋内出入口周辺の構成を示す図。
【図3】建物内案内処理の処理手順を示すフローチャート。
【図4】候補ルートについて説明するための図。
【図5】間取りの具体例を示す図。
【図6】候補ルートについて説明するための図。
【図7】間取りの具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明を住宅等の建物の一階部分について具体化している。図1は建物10を模式的に示した平面図である。
【0029】
図1に示すように、建物10には複数の建物内空間として居住空間15a〜15iが設けられている。それら居住空間15a〜15iは壁体16により互いに区分けされており、例えばリビングや寝室、廊下、玄関などをそれぞれ構成している。壁体16には屋内出入口17が形成されており、屋内出入口17は居住空間15a〜15iにおいて隣り合う空間を連通している。この場合、人は屋内出入口17を通じて居住空間15a〜15iの間を移動することが可能となっている。屋内出入口17には開閉体としての開き戸19(図2参照)が設けられている。また、建物10においては、居住空間15dと居住空間15eとの間、及び居住空間15eと居住空間15hとの間には屋内出入口17が形成されておらず、人が行き来できないようになっている。
【0030】
建物10には出入口ホールとしての玄関や勝手口ホールが設けられている。玄関は居住空間15iにより形成されており、勝手口ホールは居住空間15gにより形成されている。居住空間15iには屋外に通じる玄関出入口20が形成されており、居住空間15gには屋外に通じる勝手口21が形成されている。
【0031】
本実施形態では、居住空間15a〜15iの各温度を温度情報として取得するとともに、人が居住空間15a〜15iの間を移動する場合の移動ルートを前記各温度に基づいて設定し、さらに移動ルートに沿って人を案内する建物内案内システムが構築されている。これにより、人が建物10内を移動する際のヒートショック発生が抑制されるようになっている。
【0032】
建物内案内システムにおいては、開き戸19の開きやすさを調整することにより人が通るべき屋内出入口17を案内するようになっている。ここでは、開き戸19の構成について図2を参照しつつ説明する。図2は屋内出入口17周辺の構成を示す図である。なお、図2には建物内案内システムに関する電気的な構成を示すブロック図を図示している。
【0033】
図2に示すように、開き戸19には、その開き戸19の開きやすさを調整する開き戸調整装置22が開放規制手段として設けられている。開き戸調整装置22は、開き戸19の閉鎖速度を調整するドアクローザとは異なり、開き戸19を開放するために必要な加重の大きさを調整する構成となっている。具体的には、開き戸19の開放に伴って伸びるアーム部と、アーム部を縮む方向へ付勢する付勢部とを有している。この場合、付勢部は開き戸19を閉鎖する方向に付勢する機能を有していることになる。付勢部は付勢力の大きさを調整する機能を有しており、付勢力を低レベルとすることで開き戸19の開放に必要な加重を小さくし、付勢力を高レベルとすることで開き戸19の開放に必要な加重を大きくする。付勢力が低レベルにある場合、人は開き戸19を軽く感じて容易に開放させることができ、付勢力が高レベルにある場合、人は開き戸19を重く感じて容易には開放させることができない。
【0034】
開き戸19には、開き戸19の開きやすさを表示する表示ランプ23が設けられている。表示ランプ23は、開き戸19の表裏両面にそれぞれ取り付けられており、例えば青色及び赤色のいずれかにて点灯するランプ部を有している。なお、表示ランプ23は屋内出入口17周辺の壁面に取り付けられていてもよい。
【0035】
次に、建物内案内システムに関する電気的な構成について説明する。
【0036】
建物内案内システムは制御手段としてのコントローラ31を含んで構成されている。コントローラ31は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば居住空間15aの壁面に取り付けられている。コントローラ31は、人によって入力操作される操作部32と、建物内案内システムに関する情報を記憶する記憶部33とを有しており、住人のスケジュール情報や健康状態情報などが操作部32から入力されることによりそれら情報が記憶部33に記憶される。健康状態情報には年齢や体調、体質、持病などに関する情報が含まれており、記憶部33において初期値が記憶された後は情報内容が都度更新される。
【0037】
コントローラ31には、建物10内の空間温度を検出する建物内温度センサ41と、外気温度を検出する外気温度センサ42と、生体情報を検出する生体センサ43と、建物10内にいる人を検知する人感センサ44とが接続されており、これらセンサ41〜44は検出信号をコントローラ31に対して出力する。
【0038】
建物内温度センサ41は居住空間15a〜15iのそれぞれに設けられており、居住空間15a〜15iごとに温度を検出する。この場合、建物内温度センサ41は、居住空間15a〜15iの各温度を建物内の環境情報として取得する建物内情報取得手段に相当する。外気温度センサ42は例えば外壁の屋外面に取り付けられており、外気温度を屋外の環境情報として取得する屋外情報取得手段に相当する。
【0039】
生体センサ43は例えば寝室のベッドや枕、腕時計等に内蔵されており、人の体温や心拍数などを生体情報として検出する。この場合、生体センサ43は生体情報取得手段に相当し、コントローラ31は検出された生体情報により記憶部33の健康状態を都度更新する。人感センサ44は居住空間15a〜15iのそれぞれに設けられており、コントローラ31は居住空間15a〜15iのうち人がいる空間を人感センサ44の検出信号に基づいて特定する。
【0040】
コントローラ31には、開き戸調整装置22、表示ランプ23、移動ルートを表示する表示モニタ46、建物10内の空調を行うエアコン47が接続されており、コントローラ31は指令信号を出力することによりこれら開き戸調整装置22、表示ランプ23、表示モニタ46、エアコン47の動作制御を行う。表示モニタ46及びエアコン47は居住空間15a〜15iのそれぞれに設けられている。エアコン47は居住空間15a〜15iの温度を個別に調整することが可能となっている。
【0041】
続いて、コントローラ31により実行される建物内案内処理について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、建物内案内処理は所定周期で繰り返し実行される。
【0042】
図3において、ステップS11では、建物内温度センサ41、外気温度センサ42、生体センサ43及び人感センサ44の各検出信号を取得する。また、記憶部33から健康状態情報を生体情報として取得するとともに、スケジュール情報を取得する。ステップS12では、建物10内において人が移動するか否かを判定する。ここでは、スケジュール情報に基づいて現在時刻が人の起床時刻であるか否かを判定し、起床時刻であれば人が洗面所やトイレに移動するとする。また、スケジュール情報に基づいて人が外出するか否かを判定し、外出するのであれば人が玄関に移動するとする。なお、操作部32に対する入力操作に基づいて、人がトイレや玄関に移動するか否かを判定してもよい。
【0043】
人が移動する場合、ステップS13に進み、移動ルート設定の対象となる対象者の現在位置を人感センサ44の検出信号に基づいて取得する。この場合、対象者の移動元を判定することになる。ステップS14では、生体情報やスケジュール情報に基づいて対象者の移動先を判定する。ここでは、人がトイレに行くのであれば移動先をトイレとして判定し、人が外出するのであれば移動先を玄関や建物出入口として判定する。
【0044】
ステップS15では、移動元から移動先へ移動することができるルートを候補ルートとして抽出する。なお、移動元からの移動に際して同じ居住空間を複数回通るルートや、一度屋外に出て再び建物内に戻るルート、屋内出入口17にて連通されていない居住空間同士を移動するルートなどは候補ルートとして抽出しない。
【0045】
ステップS16では、移動ルートの設定を行うか否かを判定する。ここでは、抽出した候補ルートが複数あるか否かを判定し、候補ルートが複数ある場合に移動ルートの設定を行うとしてステップS17に進む。
【0046】
一方、候補ルートが1つである場合は、そのまま本処理を終了する。なお、候補ルートが複数あっても、ヒートショック発生の懸念がない場合や、例えば歩行に不自由がなく移動距離に健康上の制約がない場合は、移動ルートを設定する必要がないとしてそのまま本処理を終了する。ヒートショック発生の懸念がない場合としては、人の健康状態が良好である場合や、移動元においてエアコン47の空調運転が行われていない場合、移動元と移動先との温度差が所定値(例えば5℃)より小さい場合などが挙げられる。
【0047】
ところで、候補ルートに含まれる居住空間の温度が候補ルートごとに異なり、それら候補ルートのそれぞれについてヒートショック発生の可能性が異なることが想定される。また、候補ルートごとに移動元から移動先までの移動距離が異なることも想定される。そこで、ステップS17では、ヒートショック対策と移動距離の短縮化とを比較してヒートショック対策を優先するか否かを判定する。ここでは、複数の候補ルートの長さがほぼ同じであるか否かを判定する処理や、人の健康状態が良好であるか否かを判定する処理、冬季や夏季など居住空間15a〜15iごとの温度差が大きくなりやすい季節であるか否かを判定する処理などを行う。各候補ルートの長さがほぼ同じである場合や、人の健康状態が良好でない場合、居住空間15a〜15iの間の温度差が大きくなりやすい季節である場合はヒートショック対策を優先するとして、ステップS18に進む。
【0048】
ステップS18では、複数の候補ルートのそれぞれについて温度差情報を算出する。ここでは、居住空間15a〜15iのうち候補ルートを形成する空間の温度をそれぞれ取得し、それぞれの候補ルートについて、移動元から移動先までの順で空間の温度を並べた温度分布を作成するとともに、隣り合う空間の温度差を隣り合う空間の組み合わせごとにそれぞれ算出する。なお、移動先が玄関などの出入口ホールである場合、移動元から移動先までの空間の温度に加えて外気温度を含めて温度分布を作成し、出入口ホールと屋外とについてもそれらの温度差を算出する。
【0049】
ステップS19では、ヒートショック対策優先の移動ルートとして設定する。ここでは、1つの候補ルートについて算出された温度差情報に基づいて各候補ルートにおける複数の温度差のうち最大値を算出し、最大値が最も小さい候補ルートを移動ルートとして設定する。この場合、複数の候補ルートのうち移動元から移動先までの温度変化が最も緩やかなルートを移動ルートとして設定することになる。
【0050】
ステップS20では、ヒートショック対策優先の移動ルートに沿って人を移動させるべく案内処理を行う。案内処理では、移動ルートが通る屋内出入口17の開き戸19については開き戸調整装置22により開き戸19を開きやすい状態とし、移動ルートが通らない屋内出入口17の開き戸19については開き戸調整装置22により開き戸19を開きにくい状態とする。また、開きやすい状態にある開き戸19の表示ランプ23はその旨を示すように点灯(例えば赤色で点灯)させ、開きにくい状態にある開き戸19の表示ランプ23をその旨を示すように点灯(例えば青色で点灯)させる。さらに、移動ルートを表示モニタ46に表示させる。
【0051】
ヒートショック対策を優先しない場合、すなわち移動距離の短縮化を優先する場合、ステップS21に進み、複数の候補ルートのそれぞれについて長さを算出する。ここでは、建物内案内システムに関する情報として記憶部33に記憶されている居住空間15a〜15iの大きさに基づいて候補ルートの長さを算出する。ステップS22では、各候補ルートうち最も長さの短いルートを移動距離の短縮化を優先する移動ルートとして設定する。ステップS20では、ヒートショック対策優先の移動ルートを設定した場合と同様に、ヒートショック対策を優先しない移動ルートに沿って人を移動させるべく案内処理を行う。
【0052】
ここで、建物内案内システムにおいて移動ルートが設定される手順について説明する。
【0053】
まず、人が玄関出入口20を通って屋外に出る場合の移動ルート設定手順について図4、図5を参照しつつ説明する。図4は候補ルートについて説明するための図、図5は間取りの具体例を示す図である。図4において、(a)は候補ルートを模式的に示す図、(b)は候補ルートごとの温度変化を示す図である。また、図4(a)においては屋内出入口17の図示を省略する。
【0054】
図4(a)において、居住空間15aにいる人が玄関出入口20を通って屋外に出る場合、移動元は居住空間15aとされ、移動先は居住空間15iとされる。この場合、移動元から移動先まで移動可能な候補ルートとして候補ルートA〜Cという3つのルートが抽出される。なお、建物10内の温度については、居住空間15aが20℃、居住空間15bが17℃、居住空間15cが9℃、居住空間15dが10℃、居住空間15eが14℃、居住空間15fが9℃、居住空間15gが1℃、居住空間15hが3℃、居住空間15iが5℃にそれぞれなっているとする。
【0055】
人の移動に際してヒートショック対策が優先される場合、候補ルートA〜Cにおいて屋外まで含めた各温度分布は図4(b)に示すような態様にて算出される。具体的には、候補ルートAにおける温度分布は、20℃→17℃→14℃→9℃→5℃→0℃となっており、候補ルートBにおける温度分布は、20℃→17℃→9℃→9℃→5℃→0℃となっており、候補ルートCにおける温度分布は、20℃→10℃→1℃→3℃→5℃→0℃となっている。なお、各温度分布には屋外温度0℃が含まれている。
【0056】
この場合、候補ルートA〜Cのそれぞれについて、ルート上で隣り合い且つ行き来可能な空間の温度差が算出されるとともに温度差の最大値が判定され、最大値の最も小さいルートが温度変化の最も緩やかなルートとして移動ルートに設定される。具体的には、候補ルートAの温度差の最大値は居住空間15e,15fの温度差である5℃、候補ルートBの温度差の最大値は居住空間15b,15cの温度差である8℃、候補ルートCの温度差の最大値は居住空間15a,15dの温度差である10℃として算出され、それらの中で最も小さい5℃が最大値となる候補ルートAが移動ルートに設定される。
【0057】
人の移動に際して移動距離の短さを優先する場合、候補ルートA〜Cのそれぞれの長さが算出され、長さの最も短いルートが移動ルートとして設定される。
【0058】
人が玄関を通って外出することになる間取りについて具体例を挙げて説明する。図5に示すように、寝室51〜53、書斎54、廊下55、出入口ホールとしての玄関56を有する建物50において、書斎54と玄関56とを移動可能とする候補ルートR1,R2が抽出された場合、ヒートショック対策が優先されるのであれば、温度差の最大値が小さい方のルートが移動ルートとして設定され、移動距離の短縮化が優先されるのであれば、移動距離の短い方のルートが移動ルートとして設定される。ちなみに、候補ルートR1は寝室51を通るルートとなっており、候補ルートR2は寝室53を通るルートとなっている。
【0059】
ここで、居住空間15aにいる人が外出する場合、上記のように、玄関出入口20を通るのであれば移動先を居住空間15iとする3つのルートが候補ルートA〜Cとして抽出されるが、勝手口21を通ってもよいのであれば移動先を居住空間15gとするルートが候補ルートに追加されることになる。
【0060】
次は、居住空間15aにいる人が玄関出入口20又は勝手口21を通って屋外に出る場合の移動ルート設定手順について図6、図7を参照しつつ説明する。図6は候補ルートについて説明するための図、図7は間取りの具体例を示す図である。図6において、(a)は候補ルートを模式的に示す図、(b)は候補ルートごとの温度変化を示す図である。なお、図6(a)においては屋内出入口17の図示を省略する。
【0061】
居住空間15aにいる人が勝手口21を通って屋外に出る場合、候補ルートD,Eという2つのルートが抽出される。この場合、玄関出入口20を通って屋外に出る際の候補ルートA〜Cと合わせて5つのルートが候補ルートとして抽出されることになるが、候補ルートA〜Cはそれぞれの長さが同じであり、候補ルートAがヒートショック対策及び移動距離の短縮化の両方の条件を満たしているとして、候補ルートD,Eに候補ルートAだけを加えた3つのルートの中から移動ルートを設定することにする。なお、居住空間15a〜15iの各温度は図4(a)とそれぞれ同じになっている。
【0062】
人の移動に際してヒートショック対策が優先される場合、候補ルートA,D,Eにおいて屋該まで含めた各温度部分布は図6(b)に示すような態様にて取得される。候補ルートAを除いて具体的に説明すると、候補ルートDにおける温度分布は、20℃→17℃→9℃→9℃→5℃→3℃→1℃→0℃となっており、候補ルートEにおける温度分布は、20℃→10℃→1℃→0℃となっている。なお、各温度分布には屋外温度0℃が含まれている。
【0063】
この場合、上記のように候補ルートAの温度差の最大値は5℃、候補ルートDの温度差の最大値は居住空間15e,15fの温度差である5℃、候補ルートEの温度差の最大値は居住空間15a,15dの温度差である10℃として算出され、それらの中で最も小さい5℃が最大値となる候補ルートA,Dの両方が移動ルートとして設定される。なお、この場合、候補ルートDより候補ルートAの方がルート長さが短いのであれば、候補ルートAだけが移動ルートとして設定されてもよく、この場合に人は玄関出入口20を通って屋外に出ることになる。
【0064】
人の移動に際して移動距離の短さを優先する場合、候補ルートA,D,Eのうち最もルート長さの短いものが移動ルートとして設定される。例えば、候補ルートEの長さが最も短いのであればその候補ルートEが移動ルートとして設定される。この場合、人は勝手口21を通って屋外に出ることになる。
【0065】
出入口ホールが複数設けられている間取りについて具体例を挙げて説明する。図7に示すように、リビング61、勝手口を有する出入口ホールとしてのキッチン62、寝室63、第1廊下64、出入口ホールとしての第1玄関65、第2廊下66、出入口ホールとしての第2玄関67を有する建物60において、寝室63から屋外に通じる候補ルートR3,R4,R5が抽出された場合、ヒートショック対策が優先されるのであれば、移動距離の短いルートが移動ルートとして設定され、移動距離の短縮化が優先されるのであれば、移動距離の短いルートが移動ルートとして設定される。ちなみに、候補ルートR3は第1玄関65を通るルートとなっており、候補ルートR4は第2玄関67を通るルートとなっており、候補ルートR5はキッチン62を通るルートとなっている。
【0066】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0067】
人が建物10内を移動する場合、居住空間15a〜15iの各温度に基づいて複数の候補ルートが抽出されるとともに、それら候補ルートのうち移動元から移動先までの温度変化が最も緩やかなルートが移動ルートとして設定される。この場合、移動元と移動先との間の温度差がヒートショック発生を懸念するほど大きくても、移動ルートにおいては通過する空間の温度が移動元から段階的に移動先の温度に近づくことになる。したがって、移動ルートに沿って移動するように人を案内することにより、建物10内の移動に伴うヒートショック発生を抑制することができる。
【0068】
複数の候補ルートの中から移動ルートが選択されるため、候補ルートのうち全体として温度変化が最も緩やかなルートを移動ルートとして設定することができる。例えば、建物10内における分岐点となる空間で進む方向が選択される構成では、都度の分岐ごとに温度差の小さい空間側が移動方向として選択されることになるが、人を案内するルートが全体として温度変化が最も緩やかなルートになるとは限らない。したがって、全体として温度変化が最も緩やかなルートを移動ルートとして設定する構成としては、複数の候補ルートの中から移動ルートを選択する構成がヒートショック発生を抑制する上で効果的である。
【0069】
複数の候補ルートの中から移動ルートが選択されるため、候補ルートのうち移動距離の最も小さいルートを移動ルートとして設定することができる。したがって、健康状態が良好であってヒートショック発生の懸念が少ない人が建物10内を移動する場合や、移動元と移動先との間での温度差がヒートショック発生の懸念がないほど小さい場合、歩行に難があるなど移動に困難を伴う人が建物10内を移動する場合などに、移動距離を極力短くすることができる。これにより、人は最も温度変化が穏やかなルートを通って移動する場合と、そうでない場合とを使い分けることができるため、ヒートショック発生の抑制を可能としつつ、移動元から移動先まで遠回りして移動しなければならないという煩わしさを人に感じさせることを回避できる。
【0070】
移動先が玄関等の出入口ホールである場合、複数の候補ルートのそれぞれについて外気温度を含んだ温度差情報が算出され、その温度差情報に基づいて移動ルートが選択されるため、人が建物10内を移動する際だけでなく建物10内から屋外に出る際においてもヒートショック発生を抑制することができる。
【0071】
移動ルートが設定された場合、移動ルートに含まれている屋内出入口17の開き戸19は開きやすい状態とされ、移動ルートに含まれていない屋内出入口17の開き戸19は開きにくい状態とされる。この場合、人は開き戸19を開ける際にこの屋内出入口17が移動ルートに含まれているか否かを知ることができるため、移動ルートに沿って建物10内を案内されることになる。また、開き戸19に設けられた表示ランプ23の点灯態様は開き戸19の開きやすさに応じて異なるため、人は実際に開き戸19を開放させるより前にその屋内出入口17が移動ルートに含まれているか否かを知ることができる。したがって、複数の屋内出入口17が設けられている空間において、複数の開き戸19を開放させてみないと移動ルートが分からないという不都合を回避できる。
【0072】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0073】
(1)居住空間15a〜15iごとの湿度に関する情報を建物内環境情報として移動ルートの設定が行われてもよい。例えば、居住空間15a〜15iの湿度を検出する建物内湿度センサが設けられており、複数の候補ルートのうち移動元から移動先までの湿度変化が緩やかなルートが移動ルートとして設定される構成とする。この構成によれば、人が建物10内を移動する際に、湿度差に起因した負担が心身に加えられることを抑制できる。
【0074】
また、居住空間15a〜15iごとの建物設備に関する情報を建物内環境情報として移動ルートの設定が行われてもよい。例えば、居住空間15a〜15iのうち建物設備としてのテーブルが設けられているキッチンや、階段が設けられている階段室など通過しにくい空間を除いて移動ルートが設定される構成とする。この構成によれば、人が建物10内を移動する際の安全性を好適に保つことができる。
【0075】
(2)上記実施形態では、複数の候補ルートの中から移動ルートが選択される構成としたが、移動元から移動先までの間において分岐点となる空間で進行方向が選択されて結果として移動ルートが設定される構成としてもよい。例えば、移動元に隣り合っており且つ移動元から移動可能な空間が複数存在している場合、それらの空間のうち移動元との温度差が最も小さい空間が進行先であると判定され、進行先とされた空間にて同様の判定が行われるという処理が繰り返し行われることで移動ルートが設定される構成とする。
【0076】
また、移動元から移動先まで移動可能な候補ルートが複数ではなく1つだけ抽出された場合でも、その候補ルートが移動ルートとして設定される構成としてもよい。
【0077】
(3)上記実施形態では、候補ルートにおいて移動元から移動先までの温度変化の態様に基づいて移動ルートが設定されたが、移動元と移動先との温度差に基づいて移動ルートが設定されてもよい。例えば、移動先が複数設定されている場合、それら移動先の中で移動元との温度差が最も小さい移動先を含む候補ルートが移動ルートとして設定される構成とする。
【0078】
(4)上記実施形態では、各候補ルートにおける温度差の最大値に基づいて移動ルートを設定したが、各候補ルートの温度差のばらつき具合に基づいて移動ルートを設定してもよい。例えば、各候補ルートにおいて算出された複数の温度差のばらつき(差異)を比較し、ばらつきが最も小さいルートを移動ルートとして設定する構成とする。この構成によれば、候補ルートにおいて隣り合う居住空間の組み合わせごとに算出された複数の温度差の大きさが同じであれば、温度差の最大値が他の候補ルートに比べて大きくても移動ルートとして設定されることになる。
【0079】
(5)複数の候補ルートのうちいずれも移動ルートとして設定されない構成としてもよい。例えば、各候補ルートにおいて温度差の最大値が所定値(例えば5℃)より大きいか否かを判定し、大きい場合に移動ルートを設定しない構成とする。この構成では、温度差の最大値が最も小さい候補ルートに含まれる居住空間を対象としてエアコン47による温度調整を行い、温度差の最大値が所定値より小さくなった場合にその候補ルートを移動ルートとして設定することが好ましい。
【0080】
また、この構成では、例えば衣服を重ね着するなど身支度を整える旨を表示モニタ46等の報知装置から人に対してアドバイスすることが好ましい。これにより、温度差の最大値が所定値より大きい候補ルートに沿って人が移動してもヒートショック発生を抑制することができる。なお、アドバイスには、重ね着する衣服の種類や、着衣するタイミング、着衣する場所などに関する情報が含まれていることが好ましい。
【0081】
(6)建物10内に複数の人がいる場合、それぞれの人について移動ルートを設定する構成としてもよい。
【0082】
(7)開き戸19には、開放規制手段として施錠装置が設けられていてもよい。例えば、移動ルートに含まれる屋内出入口17の開き戸19を解錠状態とし、移動ルートに含まれない屋内出入口17の開き戸19は施錠状態とする構成とする。この構成によれば、人が移動ルートから外れて移動することをより確実に規制できるため、子供や高齢者を案内する場合に特に有効である。これは、建物10内において行動に注意が必要な場所(例えばキッチンや階段)に子供や高齢者が意図せずに入ってしまうことを回避できるためである。
【0083】
(8)移動ルートに合わせて居住空間15a〜15iの照明器具の点灯制御が行われる構成としてもよい。例えば、居住空間15a〜15iのうち移動ルートに含まれる空間の照明器具を点灯状態とし、移動ルートに含まれない空間の照明器具を消灯状態とする構成とする。この場合、人は移動ルートには含まれない空間に入った場合にその旨を察知することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…建物、15a〜15i…建物内空間としての居住空間、17…出入口としての屋内出入口、19…ドアとしての開き戸、20…建物出入口としての玄関出入口、21…建物出入口としての勝手口、22…案内手段及び開放規制手段としての開き戸調整装置、23…案内手段及び表示装置としての表示ランプ、31…判定手段、移動ルート設定手段、候補ルート設定手段、選択手段、温度差算出手段、ルート長さ算出手段及び制御手段としてのコントローラ、41…建物内情報取得手段としての建物内温度センサ、42…屋外情報取得手段としての外気温度センサ、43…生体情報取得手段としての生体センサ、46…案内手段としての表示モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々区分けされた複数の建物内空間を有する建物に適用され、該建物内における人の移動を案内する建物内案内システムであり、
前記複数の建物内空間について該建物内空間ごとの環境情報を建物内環境情報として取得する建物内情報取得手段と、
前記建物内における人の移動時に移動元及び移動先を判定する判定手段と、
前記建物内情報取得手段により取得された建物内環境情報に基づいて、前記判定手段により判定した移動元と移動先との間における前記人の移動ルートを設定する移動ルート設定手段と、
前記移動ルート設定手段により設定された移動ルートに基づいて所定の案内処理を実施する案内手段と
を備えていることを特徴とする建物内案内システム。
【請求項2】
前記建物内情報取得手段は、前記建物内空間ごとの温度情報を前記建物内環境情報として取得し、
前記移動ルート設定手段は、前記建物内情報取得手段により取得された前記温度情報に基づいて前記移動ルートを設定することを特徴とする請求項1に記載の建物内案内システム。
【請求項3】
前記移動ルート設定手段は、前記移動元から前記移動先までにおいて隣り合い且つ行き来可能な前記建物内空間の温度差に基づいて前記移動ルートを設定することを特徴とする請求項2に記載の建物内案内システム。
【請求項4】
前記移動ルート設定手段は、
前記判定手段により判定された移動元と移動先との間に想定可能な複数の候補ルートを設定する候補ルート設定手段と、
前記建物内情報取得手段により取得された建物内環境情報に基づいて、前記候補ルート設定手段により設定された複数の候補ルートから前記人の移動ルートを選択する選択手段と
を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物内案内システム。
【請求項5】
前記建物内環境情報として取得した前記建物内空間ごとの温度情報に基づいて、前記複数の候補ルートのそれぞれについて、当該候補ルート上に存在して隣り合う建物内空間の温度差を算出する温度差算出手段を備え、
前記選択手段は、前記温度差算出手段により算出された各候補ルートに含まれるそれぞれの前記温度差の最大値が最も小さい候補ルートを前記移動ルートとして選択することを特徴とする請求項4に記載の建物内案内システム。
【請求項6】
前記複数の候補ルートのそれぞれについて前記移動元から前記移動先までの長さを算出するルート長さ算出手段を備え、
前記移動ルート設定手段は、前記ルート長さ算出手段の算出結果に基づいて前記移動ルートを設定することを特徴とする請求項4乃至5のいずれか1項に記載の建物内案内システム。
【請求項7】
人の生体情報を取得する生体情報取得手段を備え、
前記移動ルート設定手段は、前記生体情報取得手段により取得された生体情報に基づいて前記移動ルートを設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建物内案内システム。
【請求項8】
屋外の環境情報を取得する屋外情報取得手段を備え、
前記移動ルート設定手段は、屋外に通じる建物出入口が前記移動先に含まれている場合に、前記屋外情報取得手段により取得された屋外の環境情報に基づいて前記移動ルートを設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建物内案内システム。
【請求項9】
前記複数の建物内空間のうち隣り合う建物内空間を連通する屋内出入口に設けられたドアを対象として開放を規制する開放規制手段を備え、
前記案内手段は、前記案内処理として、前記移動ルートに含まれる屋内出入口の開放を規制せず、且つ前記移動ルートに含まれない屋内出入口の開放を規制するようにして前記開放規制手段の動作制御を実施することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の建物内案内システム。
【請求項10】
前記ドア又はその周辺に設けられた表示装置を備え、
前記案内手段は、前記案内処理として、前記開放規制手段による開放規制の有無を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項9に記載の建物内案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−106979(P2011−106979A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262526(P2009−262526)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】