説明

建設機械の油圧制御装置

本発明は、合・分流弁の切換えの前後で発生する流量変動を抑制して、操作性、作業効率をより向上させることを目的とし、また、合・分流弁の切換時期を正確に判断するようにして、圧力補償弁の圧力損失によるエネルギーロスを抑制してエネルギー効率をより向上させるとともに、複数の油圧アクチュエータの複合動作時の作業効率をより向上させることを目的とする建設機械の油圧制御装置であり、この目的は、第1の合・分流弁(13)および第2の合・分流弁(21)が合流位置(A)になっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ(4、7)の各必要流量(Q1d、Q2d)が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ(2、3)の1ポンプ当たりの最大吐出流量(Qmax)未満であるとコントローラ(14)が判断した場合には(S3の判断YES)、最初に、第1の合・分流弁(13)を合流位置(A)から分流位置(B)に切り換える動作が行われ(S4)、第1の合・分流弁(13)の切換え完了後に(S8の判断YES)、第2の合・分流弁(21)を合流位置(A)から分流位置(B)に切り換える動作が行われる(S9)ように、第1および第2の合・分流弁(13、21)の切換えが制御されることで、達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の油圧制御装置に関し、特に、複数の油圧ポンプから吐出された圧油が複数の吐出油路、複数の主操作弁を介して複数の油圧アクチュエータに供給される油圧回路において、複数の吐出油路を合流状態あるいは分流状態に切り換える油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械には、ブーム、アーム、バケット等の複数の作業機および上部旋回体が設けられており、これら複数の作業機および上部旋回体は、対応する複数の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ)が駆動されることにより、それぞれ作動される。
【0003】
これら複数の油圧アクチュエータの駆動源としては、通常、複数(2個)の可変容量型油圧ポンプ、つまり第1および第2の油圧ポンプが使用される。
【0004】
第1の油圧ポンプから第1の吐出油路を介して第1の主操作弁に圧油が供給され、第1の主操作弁を通過した圧油は、第1の油圧アクチュエータに供給される。ここで、第1の主操作弁は、たとえば左側の操作レバーによって操作される。左操作レバーは、たとえばアーム、上部旋回体の作動を操作する操作レバーであり、第1の油圧アクチュエータは、アーム、上部旋回体を作動させる作業機用油圧アクチュエータである。左操作レバーを操作することで、第1の主操作弁から第1の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が変化されて、それに応じた方向、速度でアーム、上部旋回体が作動される。
【0005】
一方、第2の油圧ポンプから第2の吐出油路を介して第2の主操作弁に圧油が供給され、第2の主操作弁を通過した圧油は、第2の油圧アクチュエータに供給される。ここで、第2の主操作弁は、たとえば右側の操作レバーによって操作される。右操作レバーは、たとえばブーム、バケットの作動を操作する操作レバーであり、第2の油圧アクチュエータは、ブーム、バケットを作動させる作業機用油圧アクチュエータである。右操作レバーを操作することで、第2の主操作弁から第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が変化されて、それに応じた方向、速度でブーム、バケットが作動される。
【0006】
後掲する特許文献1、2、3には、建設機械の油圧回路に、第1の吐出油路と第2の吐出油路とを連通状態若しくは遮断状態にする合・分流弁を設け、合・分流弁を合流位置、分流位置に切り換えるという発明が記載されている。合・分流弁を合流位置に切り換えると、第1の吐出油路と第2の吐出油路とは連通し、両吐出油路は合流状態となり、合・分流弁を分流位置に切り換えると、第1の吐出油路と第2の吐出油路とは遮断され、分流状態となる。
【0007】
建設機械では、左右の操作レバーを同時に操作して、第1および第2の油圧アクチュエータを同時に駆動して、これにより第1および第2の油圧アクチュエータそれぞれに対応する複数の作業機を複合動作させて作業を行う機会が多い。
【0008】
ここで、第1の吐出油路と第2の吐出油路とを単に合流させて、複数の油圧アクチュエータを同時に駆動させることにすると、左右の操作レバーを同じ操作量だけ操作したとしても、負荷が小さい方の油圧アクチュエータ(たとえば第1の油圧アクチュエータ)側には多くの流量が供給され、負荷が大きい方の油圧アクチュエータ(第2の油圧アクチュエータ)には少ない流量しか供給されなくなり、操作性が損なわれる。
【0009】
そこで、負荷の影響を受けることなく、左右操作レバーの操作量に応じた流量が、第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるように、第1および第2の主操作弁毎に、第1および第2の圧力補償弁が設けられる。
【0010】
合・分流弁が合流位置に切り換えられると、これと同時に第1および第2の圧力補償弁で圧力補償が行われる。圧力補償は、第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧P1、P2のうち最高負荷圧、たとえばP2を第1および第2の圧力補償弁に導入することで、行われる。また、合・分流弁が合流位置から分流位置に切り換えられると、これと同時に第1および第2の圧力補償弁による圧力補償が解除される。圧力補償の解除は、最高負荷圧ではなくて自己の油圧アクチュエータの負荷圧を第1および第2の圧力補償弁にそれぞれ導入することで、行われる。
【0011】
第1および第2の主操作弁から第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の流量Q1、Q2(l/min)は、第1および第2の主操作弁の開口面積をA1、A2とし、第1および第2の主操作弁の絞り前後差圧をΔP1、ΔP2とし、流量係数をcとすると、下記(1)、(2)式で表される。
【0012】
Q1=c・A1・√(ΔP1) …(1)
Q2=c・A2・√(ΔP2) …(2)
圧力補償が行われると、負荷が軽い側の第1の主操作弁の絞り前後差圧、つまり上記(1)式の右辺のΔP1は、負荷が重い側の第2の主操作弁の絞り前後差圧ΔP2と同じ値になる。このため圧力補償状態では、下記(3)式に示す関係が成立する。
【0013】
Q1/Q2=A1/A2 …(3)
このように圧力補償が行われることにより、第1および第2の主操作弁の絞り前後差圧が同一値となり、負荷の影響を受けることなく、第1および第2の主操作弁の開度A1、A2、つまり左右操作レバーの操作量に比例した流量Q1、Q2が第1および第2の油圧アクチュエータに供給されることになり、複数の作業機を複合動作させるときの操作性が向上する。
【0014】
(従来技術1)
上述したように、特許文献1、2、3では、合・分流弁が合流位置から分流位置に切り換えられるのと同時に、第1および第2の圧力補償弁で圧力補償が解除され、一方、合・分流弁が分流位置から合流位置に切り換えられるのと同時に、第1および第2の圧力補償弁で圧力補償が行われるように、油圧回路が構成されている。
【0015】
(従来技術2)
特許文献1、2では、第1および第2の油圧ポンプのうち一方の油圧ポンプの斜板が最大傾転位置に達し、かつ他方の油圧ポンプの吐出圧力が一方の油圧ポンプの吐出圧力よりも高くなったときに、合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換えるようにしている。
【0016】
(従来技術3)
特許文献3では、特定の油圧アクチュエータが駆動されたときに、合・分流弁を分流位置あるいは合流位置に切り換えるようにしている。たとえば、一方の走行用油圧モータが作動した場合には、分流位置に切り換えられ、作業機用油圧アクチュエータが作動した場合には合流位置に切り換えられる。
【特許文献1】特開平9−217705号公報
【特許文献2】特開平10−82403号公報
【特許文献3】特開平11−218102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来技術1で説明したように、従来にあっては、合・分流弁が合流位置から分流位置に切り換えられるのと同時に、第1および第2の圧力補償弁で圧力補償が解除され、合・分流弁が分流位置から合流位置に切り換えられるのと同時に、第1および第2の圧力補償弁で圧力補償が行われる。
【0018】
しかし、このように第1および第2の吐出油路の連通、遮断と同時に圧力補償のオン、オフを行うようにすると、合・分流弁の切換えの前後で、第1および第2の吐出油路を通過する流量の変動が生じ、操作性が損なわれ、作業効率が低下する。
【0019】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、合・分流弁の切換えの前後で発生する流量変動を抑制して、操作性、作業効率をより向上させることを第1の解決課題とするものである。
【0020】
ところで、合・分流弁を合流位置にして圧力補償を行っている状態では、負荷が大きい方の油圧アクチュエータ(たとえば第2の油圧アクチュエータ)側の圧力補償弁(第2の圧力補償弁)では、流路を開放して、主操作弁(第2の主操作弁)から油圧アクチュータ(第2の油圧アクチュエータ)に圧油を流れ易くしている一方で、負荷の小さい方の油圧アクチュエータ(第1の油圧アクチュエータ)に対応する圧力補償弁(第1の圧力補償弁)では、流路を絞って、主操作弁(第1の主操作弁)から油圧アクチュエータ(第1の油圧アクチュエータ)に圧油を流れ難くしている。このため負荷が小さい側の圧力補償弁(第1の圧力補償弁)では、無用な圧力損失が生じており、エネルギーロスが発生している。
【0021】
このため、圧力損失によるエネルギーロスを防止するという観点からは、圧力補償を行わなくてもよい状況であれば、出来る限り迅速に合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換えることが、必要である。一方、複数の作業機を複合動作させる場合の作業効率を向上させるという観点からは、適切なタイミングで迅速に合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換えることが、必要である。
【0022】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、合・分流弁の切換時期を正確に判断するようにして、圧力補償弁の圧力損失によるエネルギーロスを抑制してエネルギー効率をより向上させるとともに、複数の油圧アクチュエータの複合動作時の作業効率をより向上させることを第2の解決課題とするものである。
【0023】
また、本発明は、第1および第2の解決課題を同時に達成することを第3の解決課題とするものである。
【0024】
なお、従来技術2では、油圧ポンプの斜板傾転角、吐出圧力に基づいて、合・分流弁の切換え時期を判断するようにしているが、こうした油圧ポンプから得られる情報は、本発明の第1および第2の油圧アクチュエータが実際に要求している流量とは異なるものである。また、従来技術3では、特定の油圧アクチュエータが作動したことをもって合・分流弁の切換えを行うようにしているが、本発明のように油圧アクチュエータがどの程度の流量を実際に要求するかまでを判断した上で、合・分流弁の切換えを行っているわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1発明は、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換えると判断された場合に、最初に、第1の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われ、第1の合・分流弁の切換え完了後に、第2の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0026】
第2発明は、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が合流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満であると判断した場合に、最初に、第1の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われ、第1の合・分流弁の切換え完了後に、第2の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0027】
第3発明は、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が合流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満であると判断した場合に、第1の合・分流弁、第2の合・分流弁を、合流位置から分流位置に切り換える制御を実行する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0028】
第4発明は、第1発明において、
前記制御手段は、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換えると判断された場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御すること
を特徴とする。
【0029】
第5発明は、第2発明において、
前記制御手段は、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御すること
を特徴とする。
【0030】
第6発明は、第3発明において、
前記制御手段は、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、第1の合・分流弁、第2の合・分流弁を、分流位置から合流位置に切り換える制御を実行すること
を特徴とする。
【0031】
第7発明は、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換えると判断された場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0032】
第8発明は、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0033】
第9発明は、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、第1の合・分流弁、第2の合・分流弁を、分流位置から合流位置に切り換える制御を実行する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0034】
第1発明によれば、図1、図2に示すように、コントローラ14で、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21を合流位置Aから分流位置Bに切り換えると判断された場合には(S3の判断YES)、最初に、第1の合・分流弁13を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作が行われ(S4)、第1の合・分流弁13の切換え完了後に(S8の判断YES)、第2の合・分流弁21を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作が行われる(S9)ように、第1および第2の合・分流弁13、21の切換えが制御される。
【0035】
このように本第1発明によれば、合流位置Aから分流位置Bに切り換える際には、第1の合・分流弁13を分流位置Bに切り換えて第1および第2の吐出油路10、11を遮断してから、第2の合・分流弁21を分流位置Bに切り換えて圧力補償をオフにするようにしているので、合分流弁13、21の切り換え前後において第1および第2の吐出油路10、11で発生する流量変動が抑制され、操作性、作業効率が向上する。
【0036】
第3発明によれば、図1、図2に示すように、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21が合流位置Aになっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dが、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満であるとコントローラ14が判断した場合には(S3の判断YES)、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21を、合流位置Aから分流位置Bに切り換える制御(S4〜10)が実行される。
【0037】
このように本第3発明によれば、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dが演算され、必要流量Q1d、Q2dが第1および第2の油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満であると判断された場合に、分流位置に切り換えると判断するようにしたので、第1および第2の合・分流弁13、21の分流位置への切換時期が正確に判断され、圧力補償弁6、9の圧力損失によるエネルギーロスが抑制されてエネルギー効率が向上するとともに、複数の作業機(複数の油圧アクチュエータ4、7)を複合動作させるときの作業効率が向上する。
【0038】
第2発明によれば、図1、図2に示すように、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21が合流位置Aになっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dが、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満であるとコントローラ14が判断した場合には(S3の判断YES)、最初に、第1の合・分流弁13を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作が行われ(S4)、第1の合・分流弁13の切換え完了後に(S8の判断YES)、第2の合・分流弁21を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作が行われる(S9)ように、第1および第2の合・分流弁13、21の切換えが制御される。
【0039】
本第2発明は、第1発明と第3発明とを組み合わせた発明であり、第1発明の効果、第2発明の効果が得られる。
【0040】
第4発明では、第1発明において、更に、コントローラ14で、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換えると判断された場合には(S3の判断NO)、最初に、第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われ(S11)、第2の合・分流弁21の切換え完了後に(S12の判断YES)、第1の合・分流弁13を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われる(S13)ように、第1および第2の合・分流弁13、21の切換えが制御される。
【0041】
このように本第4発明によれば、分流位置Bから合流位置Aに切り換える際には、第2の合・分流弁21を合流位置Aに切り換え圧力補償をオンにしてから、第1の合・分流弁13を合流位置Aに切り換え第1および第2の吐出油路10、11を連通するようにしているので、第1発明の分流位置への切り換え時のみならず、合流位置への切り換え時においても、切り換え前後における第1および第2の吐出油路10、11で発生する流量変動が抑制され、操作性、作業効率が向上する。
【0042】
第6発明では、第3発明において、更に、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21が分流位置Bになっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dのうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上であるとコントローラ14が判断した場合には(S3の判断NO)、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21を、分流位置Bから合流位置Aに切り換える制御(S11〜14)が実行される。
【0043】
このように本第6発明によれば、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dが演算され、必要流量Q1d、Q2dの少なくとも一方が第1および第2の油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上と判断された場合に、合流位置に切り換えると判断するようにしたので、第3発明の分流位置への切り換え時期のみならず、合流位置への切換時期についても、正確に判断されるようになり、圧力補償弁6、9の圧力損失によるエネルギーロスが抑制されてエネルギー効率が向上するとともに、複数の作業機(複数の油圧アクチュエータ4、7)を複合動作させるときの作業効率が向上する。
【0044】
第5発明では、第2発明において、更に、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21が分流位置Bになっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dのうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上であるとコントローラ14が判断した場合には(S3の判断NO)、最初に、第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われ(S11)、第2の合・分流弁21の切換え完了後(S12の判断YES)に、第1の・分流弁13を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われる(S13)ように、第1および第2の合・分流弁13、21の切換えが制御される。
【0045】
本第5発明は、第4発明と第6発明とを組み合わせた発明であり、第4発明の効果、第6発明の効果が得られる。
【0046】
第7発明によれば、図1、図2に示すように、コントローラ14で、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換えると判断された場合には(S3の判断NO)、最初に、第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われ(S11)、第2の合・分流弁21の切換え完了後に(S12の判断YES)、第1の合・分流弁13を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われる(S13)ように、第1および第2の合・分流弁13、21の切換えが制御される。
【0047】
このように本第7発明によれば、分流位置Bから合流位置Aに切り換える際には、第2の合・分流弁21を合流位置Aに切り換え圧力補償をオンにしてから、第1の合・分流弁13を合流位置Aに切り換え第1および第2の吐出油路10、11を連通するようにしているので、合流位置への切り換え前後における第1および第2の吐出油路10、11で発生する流量変動が抑制され、操作性、作業効率が向上する。
【0048】
第9発明によれば、図1、図2に示すように、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21が分流位置Bになっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dのうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上であるとコントローラ14が判断した場合には(S3の判断NO)、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21を、分流位置Bから合流位置Aに切り換える制御(S11〜14)が実行される。
【0049】
このように本第9発明によれば、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dが演算され、必要流量Q1d、Q2dのうち少なくとも一方が第1および第2の油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上と判断された場合に、合流位置に切り換えると判断するようにしたので、第1および第2の・分流弁13、21の合流位置への切換時期が正確に判断されるようになり、圧力補償弁6、9の圧力損失によるエネルギーロスが抑制されてエネルギー効率が向上するとともに、複数の作業機(複数の油圧アクチュエータ4、7)を複合動作させるときの作業効率が向上する。
【0050】
第8発明によれば、図1、図2に示すように、第1の合・分流弁13および第2の合・分流弁21が分流位置Bになっている状態で、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dのうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上であるとコントローラ14が判断した場合には(S3の判断NO)、最初に、第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われ(S11)、第2の合・分流弁21の切換え完了後(S12の判断YES)に、第1の・分流弁13を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われる(S13)ように、第1および第2の合・分流弁13、21の切換えが制御される。
【0051】
本第8発明は、第7発明と第9発明とを組み合わせた発明であり、第7発明の効果、第9発明の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明に係る建設機械の油圧制御装置の実施例を示す油圧回路図である。
【図2】図2は、図1に示すコントローラで行われる処理内容を示すフローチャートである。
【図3】図3(a)、(b)はそれぞれ図1に示す第2の合・分流弁の切り換え動作のタイムチャート、第1の合・分流弁の切り換え動作のタイムチャートである。
【図4】図4(a)、(b)、(c)は第1および第2の合・分流弁の切り換え動作中のモジュレーションカーブを例示した図である。
【図5】図5は、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量を求めるための対応関係を示した図である。
【図6】図6は図1の変形例を示した油圧回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明に係る建設機械の油圧制御装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0054】
図1は、本発明の油圧制御装置の実施形態を示す油圧回路図である。図1は、油圧ショベルに搭載される油圧回路を示している。
【0055】
油圧ショベルには、ブーム、アーム、バケット等の複数の作業機および上部旋回体が設けられており、これら複数の作業機および上部旋回体は、対応する第1の作業機用油圧アクチュエータ4、第2の作業機用油圧アクチュエータ7が駆動されることにより、それぞれ作動される。第1の油圧アクチュエータ4、第2の油圧アクチュエータ7は、油圧シリンダまたは油圧モータで構成されるが、図1では説明の便宜上、油圧シリンダで示している。また、実際の油圧ショベルでは、各作業機および上部旋回体毎に油圧アクチュエータが設けられるが、本実施例では、説明の便宜上、アーム、上部旋回体に対応して第1の油圧アクチュエータ4が設けられ、ブーム、バケットに対応して第2の油圧アクチュエータ7が設けられているものとする。
【0056】
これら第1および第2の油圧アクチュエータ4、7は、2個の可変容量型油圧ポンプ、つまり第1の油圧ポンプ2、第2の油圧ポンプ3を駆動源として駆動される。
【0057】
第1および第2の油圧ポンプ2、3は、エンジン1によって駆動される。
【0058】
第1の油圧ポンプ2の斜板2aは、サーボ機構25によって駆動される。サーボ機構25は、制御信号(電気信号)に応じて作動して、第1の油圧ポンプ2の斜板2aを制御信号に応じた位置に変化させる。第1の油圧ポンプ2の斜板2aの傾転位置が変化されることによって、第1の油圧ポンプ2の容量(cc/rev)が変化される。同様に、第2の油圧ポンプ3の斜板3aは、サーボ機構26によって駆動される。第2の油圧ポンプ3の斜板3aの傾転位置が変化されることによって、第2の油圧ポンプ3の容量(cc/rev)が変化される。第1の油圧ポンプ2の斜板2aが最大傾転位置(最大容量)にあり、エンジン1の回転数が最高回転数のときに、第1の油圧ポンプ2の吐出口から最大吐出流量Qmaxの圧油が供給される。同様に、第2の油圧ポンプ3の斜板3aが最大傾転位置(最大容量)にあり、エンジン1の回転数が最高回転数のときに、第2の油圧ポンプ3の吐出口から最大吐出流量Qmaxの圧油が供給される。この最大吐出流量Qmax(l/min)を、本明細書では、「1ポンプ当たりの最大吐出流量」と定義する。
【0059】
第1の油圧ポンプ2の吐出口は、第1の吐出油路10を介して第1の主操作弁5の入口ポートに連通している。第1の主操作弁5の出口ポートは第1の油圧アクチュエータ4の油室に連通している。
【0060】
第1の油圧ポンプ2から吐出された圧油は、第1の吐出油路10を介して第1の主操作弁5に供給され、第1の主操作弁5を通過した圧油は、第1の油圧アクチュエータ4に供給される。
【0061】
第1の主操作弁5は、たとえば運転室の左側に設けられた左操作レバー29によって操作される。左操作レバー29は、アーム、上部旋回体の作動を操作する操作レバーである。左操作レバー29を操作することで、第1の主操作弁5から第1の油圧アクチュエータ4に供給される圧油の方向および流量が変化されて、それに応じた方向、速度でアーム、上部旋回体が作動される。
【0062】
一方、第2の油圧ポンプ3の吐出口は、第2の吐出油路11を介して第2の主操作弁8の入口ポートに連通している。第2の主操作弁8の出口ポートは第2の油圧アクチュエータ7の油室に連通している。
【0063】
第2の油圧ポンプ3から吐出された圧油は、第2の吐出油路11を介して第2の主操作弁8に供給され、第2の主操作弁8を通過した圧油は、第2の油圧アクチュエータ7に供給される。
【0064】
第2の主操作弁8は、たとえば運転室の右側に設けられた右操作レバー30によって操作される。右操作レバー30は、ブーム、バケットの作動を操作する操作レバーである。右操作レバー30を操作することで、第2の主操作弁8から第2の油圧アクチュエータ7に供給される圧油の方向および流量が変化されて、それに応じた方向、速度でブーム、バケットが作動される。
【0065】
第1の吐出油路10と第2の吐出油路11とは、連通油路(合流油路)12によって接続されている。連通油路12上には、第1の合・分流弁13が設けられている。第1の合・分流弁13は、連通油路12を開路して、第1の吐出油路10と第2の吐出油路11との間を連通させる合流位置Aと、連通油路12を閉路して、第1の吐出油路10と第2の吐出油路11との間を遮断させる分流位置Bを有した切換弁である。第1の合・分流弁13は、付設された電磁ソレノイド13aに加えられる制御信号に応じて、切換え作動する。
【0066】
第1の主操作弁5には、第1の主操作弁5の絞りの前後差圧を所定値に補償する第1の圧力補償弁6が設けられている。
【0067】
一方、第2の主操作弁8には、第2の主操作弁8の絞りの前後差圧を所定値に補償する第2の圧力補償弁9が設けられている。
【0068】
第1の圧力補償弁6は、第1の圧力補償弁6の出口ポート側圧力、つまり第1の油圧アクチュエータ4の保持圧が供給される第1受圧部6aと、シャトル弁15の出口ポート側のパイロット圧が供給される第2受圧部6bと、第1の受圧部6a側に設けられたバネ6cを備えている。
【0069】
シャトル弁15の一方の入口ポートは、保持圧導入油路17を介して第1の圧力補償弁6の出口ポートに連通しており、シャトル弁15の他方の入口ポートは、第1の負荷圧導入油路16を介して、シャトル弁22の出口ポートに連通している。
【0070】
一方、第2の圧力補償弁9は、第2の圧力補償弁9の出口ポート側圧力、つまり第2の油圧アクチュエータ7の保持圧が供給される第1受圧部9aと、シャトル弁18の出口ポート側のパイロット圧が供給される第2受圧部9bと、第1の受圧部9a側に設けられたバネ9cを備えている。
【0071】
シャトル弁18の一方の入口ポートは、保持圧導入油路20を介して第2の圧力補償弁9の出口ポートに連通しており、シャトル弁18の他方の入口ポートは、第2の負荷圧導入油路19に連通している。
【0072】
シャトル弁22は、第1の油圧アクチュエータ4の負荷圧、つまり第1の主操作弁5の出口ポート側圧P1と、第2の油圧アクチュエータ7の負荷圧、つまり第2の主操作弁8の出口ポート側圧P2のうち、高圧側の圧力、つまり最高負荷圧を検出して、最高負荷圧を第1の負荷圧導入油路16および19に出力する弁である。第1の負荷圧導入油路16は、第2の合・分流弁21を介して第2の負荷圧導入油路19に連通している。
【0073】
シャトル弁22の一方の入口ポートは、負荷圧導入油路23を介して第1の主操作弁5の出口ポートに連通しており、シャトル弁22の他方の入口ポートは、第2の合・分流弁21を介して負荷圧導入油路24に連通している。
【0074】
第2の合・分流弁21は、シャトル弁22で検出された最高負荷圧のパイロット圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路16、19に導入する合流位置Aと、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧P1、P2を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路16、19にそれぞれ導入する分流位置Bとを有した切換弁である。第2の合・分流弁21は、付設された電磁ソレノイド21aに加えられる制御信号に応じて、切換え作動する。
【0075】
第1の吐出油路10には、第1の吐出油路10を流れる圧油の圧力P1pを検出する圧力センサ27が設けられている。同様に、第2の吐出油路11には、第2の吐出油路11を流れる圧油の圧力P2pを検出する圧力センサ28が設けられている。
【0076】
圧力センサ27、28の検出信号は、コントローラ14に入力される。また、左右操作レバー29、30の操作量S1、S2が操作量検出センサ31、32によって検出され、操作量S1、S2を示す信号がコントローラ14に入力される。
【0077】
コントローラ14は、後述するように、入力された信号に基づいて、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21の各電磁ソレノイド13a、21aに出力すべき制御信号を作成し、これを出力して、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21の切り換えを制御する。また、コントローラ14は、後述するように、入力された信号に基づいて、サーボ機構25、26に出力すべき制御信号を作成し、これを出力して、第1の合・分流弁13の切り換え制御の際に第1および第2の油圧ポンプ2、3の斜板2a、3aの傾転位置を制御する。
【0078】
なお図1では図示されていないが、第1および第2の油圧ポンプ2、3の斜板2a、3aの傾転位置の制御は、上記切り換え制御の際を除き、ロードセンシング制御によって行われることを前提としている。
【0079】
すなわち、たとえば第1の負荷圧導入油路16に導入される負荷圧(仮にPLとする)が、第1の油圧ポンプ2のサーボ機構25に加えられるととともに、第1の吐出油路10を流れる圧油の圧力(仮にPpとする)が、第1の油圧ポンプ2のサーボ機構25に加えられる。
【0080】
ここで両圧力差Pp−PLは、第1の主操作弁5の絞り前後差圧ΔP1である。サーボ機構25では、第1の主操作弁5の前後差圧ΔP1(=Pp−PL)が一定差圧となるように第1の油圧ポンプ2の斜板2aの傾転位置が制御される。
【0081】
上記(1)式(Q1=c・A1・√(ΔP1))において、第1の主操作弁5の絞り前後差圧ΔP1が一定となるため、第1の油圧アクチュエータ4の負荷の大きさにかかわらず、第1の主操作弁5の開度A1、つまり操作レバー29の操作量S1に比例した流量Q1を第1の油圧アクチュエータ4に供給することができ、操作性が向上する。
【0082】
同様に、第2の油圧ポンプ3側についても、第2の負荷圧導入油路16に導入される負荷圧(PL)が、第2の油圧ポンプ3のサーボ機構26に加えられるととともに、第2の吐出油路11を流れる圧油の圧力(Pp)が、第2の油圧ポンプ3のサーボ機構26に加えられて、同様に、ロードセンシング制御が行われる。
【0083】
また、油圧ショベルでは、作業機用の左右操作レバー29、30以外に、下部走行体の作動を操作する左右の走行用の操作レバー(あるいは操作ペダル)が、運転室に設けられている。
【0084】
油圧ショベルの下部走行体は、左右履帯、左右駆動スプロケット等によって構成されており、車体の左右に設けられた左右の走行用油圧モータによって左右駆動スプロケットを駆動することにより、下部走行体が作動する。
【0085】
左油圧モータは、第1の油圧アクチュエータ4に相当し、第1の吐出油路10を介して供給される圧油によって駆動される。第1の主操作弁5に相当する左走行用操作弁が設けられており、左走行用操作レバーを操作することで、左走行用操作弁から左走行用油圧モータに供給される圧油の方向および流量が変化されて、それに応じた方向、速度で左駆動スプロケット、左履帯が作動される。
【0086】
一方、右油圧モータは、第2の油圧アクチュエータ7に相当し、第2の吐出油路11を介して供給される圧油によって駆動される。第2の主操作弁8に相当する右走行用操作弁が設けられており、右走行用操作レバーを操作することで、右走行用操作弁から右走行用油圧モータに供給される圧油の方向および流量が変化されて、それに応じた方向、速度で右駆動スプロケット、右履帯が作動される。
【0087】
つぎに、図2のフローチャート、図3のタイムチャートを参照してコントローラ14で行われる処理内容について説明する。図3(a)は第2の合・分流弁21の切り換え動作のタイムチャートを示し、図3(b)は第1の合分流弁13の切り換え動作のタイムチャートを示している。
【0088】
オペレータがキースイッチをエンジンスタート位置に操作すると、電源からコントローラ14に電圧が印加されてコントローラ14が起動し、エンジン1が始動される。これに伴いコントローラ14で図2の処理がスタートされる。コントローラ14の起動時の初期状態では、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21は共に、合流位置Aに位置されるように、各電磁ソレノイド13a、21aに制御信号が出力される。
【0089】
第2の合・分流弁21が、合流位置Aに位置されているときには、圧力補償が行われる。
【0090】
第2の合・分流弁21が合流位置Aに位置されると、第1の負荷圧導入油路16と第2の負荷圧導入油路19とが連通するとともに、負荷圧導入油路24が、シャトル弁22の入口ポートに連通する。ここで、第1の主操作弁5の出口ポート側圧である負荷圧P1よりも第2の主操作弁8の出口ポート側圧である負荷圧P2の方が高圧であるとすると、負荷圧導入油路24からシャトル弁22を介して第1の負荷圧導入油路16に最高負荷圧P2が導入される。これにより第1の負荷圧導入油路16、シャトル弁15を介して第1の圧力補償弁6の第2受圧部6bに、最高負荷圧P2が加えられる。この結果、第1の主操作弁5の出口ポート側の負荷圧は、自己の負荷圧P1から、みかけ上、最高負荷圧P2に変化する。
【0091】
一方、負荷圧導入油路24からシャトル弁22、第1の負荷圧導入油路16を介して第2の負荷圧導入油路19に最高負荷圧P2が導入される。これにより第2の負荷圧導入油路19、シャトル弁18を介して第2の圧力補償弁9の第2受圧部9bに、最高負荷圧P2が加えられる。この結果、第2の主操作弁8の出口ポート側の負荷圧は、自己の負荷圧P2(最高負荷圧)を維持する。
【0092】
第1および第2の主操作弁5、8から第1および第2の油圧アクチュエータ4、7に供給される圧油の流量Q1、Q2(l/min)は、第1および第2の主操作弁の開口面積をA1、A2とし、第1および第2の主操作弁の絞り前後差圧をΔP1、ΔP2とし、流量係数をcとすると、下記(1)、(2)式で表される。
【0093】
Q1=c・A1・√(ΔP1) …(1)
Q2=c・A2・√(ΔP2) …(2)
圧力補償が行われると、負荷が軽い側の第1の主操作弁5の絞り前後差圧、つまり上記(1)式の右辺のΔP1は、負荷が重い側の第2の主操作弁8の絞り前後差圧ΔP2と同じ値になる。このため圧力補償状態では、下記(3)式に示す関係が成立する。
【0094】
Q1/Q2=A1/A2 …(3)
このように圧力補償が行われることにより、第1および第2の主操作弁5、8の絞り前後差圧が同一値となり、負荷の影響を受けることなく、第1および第2の主操作弁5、8の開度A1、A2、つまり左右操作レバーの操作量に比例した流量Q1、Q2が第1および第2の油圧アクチュエータ4、7に供給されることになり、複数の作業機を複合動作させるときの操作性が向上する。
【0095】
以上のように初期状態では合流状態にして、左右走行用操作レバーが中立位置にあるか(オフ)、それとも操作された(オン)かが判断される(S1)。
【0096】
左右走行用操作レバーが操作されている場合(S1の判断NO)には、S21、S22、S23に示す走行ロジックが実行され、本発明に係る制御(S3〜S14)は行われない。
【0097】
走行ロジックでは、まず、作業機用操作レバー29、30が中立位置にある(オフ)か、それとも操作された(オン)かかが判断される(S21)。
【0098】
作業機用操作レバー29、30が中立位置にあると判断された場合(S21の判断YES)には、作業機は作動せずに下部走行体が単独で作動している場合であるので、下部走行体の左右履帯の作動を分流状態にして行うようにする。すなわち、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21は共に、合流位置Aから分流位置Bに切り換えられる。下部走行体が単独で作動している場合に、一義的に分流状態にしているのは、ステアリング操作時の操作性を確保するためである。仮にステアリングを切っているときに、合流状態にすると、圧力補償が行われて負荷が軽い方の走行用油圧モータ(たとえば左走行用油圧モータ)に、圧油が流れ易くなり、ステアリング操作時の操作性が悪化するので、これを避けるためである(S22)。
【0099】
一方、作業機用操作レバー29、30が操作されたと判断された場合(S21の判断NO)には、作業機と下部走行体が複合動作している場合であるので、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21の合流位置Aを維持し、合流状態のままとする(S23)。
【0100】
左右走行用操作レバーが中立位置にある場合(S1の判断YES)には、つぎに、作業機用操作レバー29、30が操作された(オン)か否か(オフ)が判断される(S2)。
【0101】
作業機用操作レバー29、30が操作されていない(中立位置にある)と判断された場合(S2の判断NO)は、再度S1の処理に戻るが、作業機用操作レバー29、30のいずれかが操作されたと判断された場合(S2の判断YES)は、S3に移行する。
【0102】
S3では、左右操作レバー29、30の操作量S1、S2に基づいて、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7に供給されるべき必要流量Q1d、Q2d(l/min)が演算される。
【0103】
上記(3)式(Q1/Q2=A1/A2)から明らかなように、合流状態では圧力補償によって、第1および第2の主操作弁5、8の開度A1、A2に応じて第1および第2の油圧アクチュエータ4、7に供給される流量Q1、Q2が定まる。よって
左右操作レバー29、30の操作量S1、S2(第1および第2の主操作弁5、8の開度A1、A2)に基づいて、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7に供給されるべき必要流量Q1d、Q2dを求めることができる。
【0104】
図5は、必要流量Q1d、Q2dの別の求め方について説明する図である。
【0105】
この場合、同図5に示すように、予め第1の油圧アクチュエータ4の負荷圧P1と操作レバー29の操作量S1と第1の油圧アクチュエータ4の必要流量Q1dとの対応関係が記憶されている。そして、第1の油圧アクチュエータ4の負荷圧P1が検出され、この検出負荷圧P1と、検出されたレバー操作量S1とに基づいて、図5に示す対応関係にしたがい第1の油圧アクチュエータ4の必要流量Q1dが演算される。同様にして、第2の油圧アクチュエータ7の負荷圧P2が検出され、検出負荷圧P2とレバー操作量S2とに基づいて、図5に示す対応関係にしたがい第2の油圧アクチュエータ7の必要流量Q2dが演算される。
【0106】
以上のようにして演算された第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dそれぞれが、第1および第2のポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満になっているか否かが判断される(S3)。
【0107】
演算された第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dのそれぞれが、第1および第2のポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満であると判断された場合(S3の判断YES)は、合流状態から分流状態にすべきと判断して、S4に移行する。すなわち、第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量Q1d、Q2dのそれぞれが、第1および第2のポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満であるときは、各油圧アクチュエータ4、7に供給すべき流量を、対応する1個の油圧ポンプの最大吐出流量でまかなえ、分流状態にしても、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7で十分に動作速度が確保され、作業効率の低下を招くことはない。また、分流状態にした方が合流状態で圧力補償の機能を働かせて圧力損失を招くよりもエネルギー効率の観点から望ましい。そこで合流状態で圧力補償を行うことによる圧力損失、それによるエネルギーロスを回避すべく、作業途中でも迅速に分流状態に移行する。
【0108】
このように合流状態から分流状態にする状況は、たとえばアームとバケットを複合動作させている場合である。アームとバケットを複合動作させているときは、レバー操作量が小さい場合だけでなく、操作レバー29、30を最大ストローク位置にして掘削作業を行っている状況でも、負荷圧が高い場合には、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dのそれぞれは、1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満となる。
【0109】
また、油圧ショベルからダンプトラックへの排土後に、バケットを掘削位置に戻す「ダウン旋回動作」を行う場合には、上部旋回体の旋回動作とブームを下げる動作とが複合して行われる。元々旋回動作は、1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満で行われる作業であり、ブームを下げる動作は、負荷圧力が低く、必要流量は、油圧アクチュエータ7内の負圧減少が生じないレベルの少ない流量で十分である。また、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7からタンクに排出される圧油を再利用する油圧再生回路を採用すれば、必要流量は、1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満で十分まかなえる。
【0110】
以下、S4〜S10までの処理によって、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21は合流位置Aから分流位置Bに切り換えられる。
【0111】
コントローラ14は、最初に、第1の合・分流弁13を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作が行われ、第1の合・分流弁13の切換え完了後に、第2の合・分流弁21を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁13、21に制御信号を出力する。これは、最初に第1および第2の吐出油路10、11の分流を行い、それに引き続き第1および第2の負荷圧導入油路16、19の分流を行うことで、分流に切り換えるに際して合流時の圧力補償の機能を出来る限り継続させるようにして、合・分流弁13、21の切り換えの前後で発生する流量変動を抑制するためである。
【0112】
すなわち、まず、図3(b)に示すように、時刻t1で第1の合・分流弁13を合流位置Aから分流位置Bに切り換える動作、つまり連通油路12を閉路する動作を開始する(S4)。
【0113】
第1の合・分流弁13の合流位置Aから分流位置Bへの切り換え動作、つまり第1の合・分流弁13の閉動作は、図3(b)に示すモジュレーションカーブにしたがいスプールが所定の時間(たとえば0.3〜0.5sec)をかけて開位置Aから閉位置Bに移動するように行われる(S4〜S8)。
【0114】
第1の合・分流弁13の閉動作のモジュレーションカーブは、図4(a)、(b)、(c)に例示するものであってもよい。
【0115】
第1の合・分流弁13の閉動作中、コントローラ14は、圧力センサ27、28の検出圧力P1p、P2pに基づいて、第1および第2の油圧ポンプ2、3の斜板2a、3aを制御する。
【0116】
圧力センサ27、28の検出圧力P1p、P2pに基づいて、第1および第2の油圧ポンプ2、3の吐出流量Q1p、Q2p(l/min)の流量差Q1p−Q2pが演算され、第1の油圧ポンプ2の吐出流量Q1pが第2の油圧ポンプ3の流量Q2pよりも大きいか否かが判断される(S5)。
【0117】
第1の油圧ポンプ2の吐出流量Q1pが第2の油圧ポンプ3の流量Q2pよりも大きいと判断された場合(S5の判断YES)には、第1の油圧ポンプ2の吐出流量Q1pが所定の微小流量ΔQ1pづつ徐々に増大するとともに、第2の油圧ポンプ3の吐出流量Q2pが所定の微小流量ΔQ2pづつ徐々に減少するように、サーボ機構25、26に制御信号が出力される。第1の油圧ポンプ2の吐出流量の増大、第2の油圧ポンプ3の吐出流量の減少は、上記S3で演算された第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dに到達するまで行われる。ただし、吐出流量増大の最大値は、油圧ポンプ2の最大吐出流量Qmax(最大斜板傾転位置)までである(S6)。
【0118】
一方、第1の油圧ポンプ2の吐出流量Q1pが第2の油圧ポンプ3の流量Q2p以下であると判断された場合(S5の判断NO)には、第1の油圧ポンプ2の吐出流量Q1pが所定の微小流量ΔQ1pづつ徐々に減少するとともに、第2の油圧ポンプ3の吐出流量Q2pが所定の微小流量ΔQ2pづつ徐々に増大するように、サーボ機構25、26に制御信号が出力される。第1の油圧ポンプ2の吐出流量の減少、第2の油圧ポンプ3の吐出流量の増大は、上記S3で演算された第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dに到達するまで行われる。ただし、吐出流量増大の最大値は、油圧ポンプ3の最大吐出流量Qmax(最大斜板傾転位置)までである(S7)。
【0119】
つぎに第1の合・分流弁13の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が完了したか否かが判断される(S8)。
【0120】
第1の合・分流弁13の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が完了していない場合には(S8の判断NO)、再度S4に戻り、第1の合・分流弁13の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が継続して行われるが(S4)、第1の合・分流弁12の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が完了した場合(S8の判断YES)には、つぎのS9に移行して、第2の合・分流弁21の合流位置Aから分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が開始される(S9)。
【0121】
図3(a)に示すように、第2の合・分流弁21の合流位置Aから分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)は、第1の合・分流弁13の切り換え動作開始時刻t1から所定の時間遅れた時刻t2で開始される。そして、その切り換え動作は、第1の合・分流弁13の切り換え動作時と同様に、図3(a)に示すモジュレーションカーブにしたがいスプールが所定の時間(たとえば0.3〜0.5sec)をかけて閉位置Bまで移動するようにして、行われる(S9〜S10)。
【0122】
第2の合・分流弁21の閉動作のモジュレーションカーブは、図4(a)、(b)、(c)に例示するものであってもよい。
【0123】
第2の合・分流弁21の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が完了したか否かが判断され(S10)、第2の合・分流弁21の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が完了していない場合には(S10の判断NO)、再度S9に戻り、第2の合・分流弁21の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が継続して行われるが(S9)、第2の合・分流弁21の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)が完了した場合には(S10の判断YES)、再度S1に戻り、改めて走行用操作レバーがオフされたか否かが判断され、以下同様の処理が繰り返し実行される。
【0124】
第2の合・分流弁21が分流位置Bに位置されると、圧力補償が解除される。
【0125】
第2の合・分流弁21が分流位置Bに位置されると、第1の負荷圧導入油路16と第2の負荷圧導入油路19とが遮断されるとともに、負荷圧導入油路24とシャトル弁22の入口ポートとが遮断される。これにより負荷圧導入油路23、シャトル弁22、第1の負荷圧導入油路16、シャトル弁15を介して第1の圧力補償弁6の第2受圧部6bに、自己の負荷圧P1が加えられる。この結果、第1の主操作弁5の出口ポート側の負荷圧は、自己の負荷圧P1を維持する。
【0126】
一方、負荷圧導入油路24、第2の合・分流弁21の連通路21b、第2の負荷圧導入油路19、シャトル弁18を介して第2の圧力補償弁9の第2受圧部9bに、自己の負荷圧P2が加えられる。この結果、第2の主操作弁8の出口ポート側の負荷圧は、自己の負荷圧P2を維持する。
【0127】
以上のように本実施例によれば、第1の合・分流弁13の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)完了後に第2の合・分流弁21の分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)を開始するようにして、分流位置に切り換えるに際して合流時の圧力補償をできる限り継続して行わせるようにしたので、第1および第2の合・分流弁13、21の切り換えの前後における流量変動が抑制される。これにより操作性が向上し、作業効率が向上する。
【0128】
一方、S3で、演算された第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の各必要流量Q1d、Q2dのうち、少なくとも一方が、第1および第2のポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上であると判断された場合(S3の判断NO)は、分流状態から合流状態にすべきと判断して、S11に移行する。すなわち、第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量Q1d、Q2dのうち、少なくとも一方が、第1および第2のポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax以上であるときは、各油圧アクチュエータ4、7に供給すべき流量が、対応する1個の油圧ポンプの最大吐出流量だけではまかなえない場合であり、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の動作速度を十分に確保して作業効率の低下を招かないようにするためには、第1および第2の油圧ポンプ2、3の吐出流量を合流させて、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7に供給する必要がある。
【0129】
このように分流状態から合流状態にする状況は、たとえば、ブームを上げる動作とアーム動作とを複合して行っている場合である。
【0130】
以下、S11〜S14までの処理によって、第1の合・分流弁13、第2の合・分流弁21は分流位置Bから合流位置Aに切り換えられる。
【0131】
コントローラ14は、最初に、第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁21の切換え完了後に、第1の合・分流弁13を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁13、21に制御信号を出力する。これは、最初に第1および第2の負荷圧導入油路16、19の合流を行い、それに引き続き第1および第2の吐出油路10、11の合流を行うことで、合流に切り換えるに際して合流時の圧力補償の機能を早めに効かせるようにして、合・分流弁13、21の切り換えの前後で発生する流量変動を抑制するためである。
【0132】
すなわち、まず、図3(a)に示すように、時刻t3で第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える動作を開始する(S11)。
【0133】
第2の合・分流弁21の分流位置Bから合流位置Aへの切り換え動作、つまり第2の合・分流弁21の開動作は、図3(a)に示すモジュレーションカーブにしたがいスプールが所定の時間(たとえば0.3〜0.5sec)をかけて閉位置Bから開位置Aに移動するように行われる(S11〜S12)。
【0134】
第2の合・分流弁21の開動作のモジュレーションカーブは、図4(a)、(b)、(c)に例示するカーブに相当するものであってもよい。
【0135】
第2の合・分流弁13の合流位置Bへの切り換え動作(開動作)が完了したか否かが判断され(S12)、第2の合・分流弁21の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が完了していない場合には(S12の判断NO)、再度S11に戻り、第2の合・分流弁21の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が継続して行われるが(S11)、第2の合・分流弁21の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が完了した場合(S12の判断YES)には、つぎのS13に移行して、第1の合・分流弁13の分流位置Bから合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が開始される(S13)。
【0136】
図3(b)に示すように、第1の合・分流弁13の分流位置Bから合流位置Aへの切り換え動作(開動作)は、第2の合・分流弁21の切り換え動作開始時刻t3から所定の時間遅れた時刻t4で開始される。そして、その切り換え動作は、第2の合・分流弁21の切り換え動作時と同様に、図3(b)に示すモジュレーションカーブにしたがいスプールが所定の時間(たとえば0.3〜0.5sec)をかけて開位置Aまで移動するようにして、行われる(S13〜S14)。
【0137】
第1の合・分流弁13の開動作のモジュレーションカーブは、図4(a)、(b)、(c)に例示するものであってもよい。
【0138】
第1合・分流弁13の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が完了したか否かが判断され(S14)、第1の合・分流弁13の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が完了していない場合には(S14の判断NO)、再度S13に戻り、第1の合・分流弁13の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が継続して行われるが(S13)、第1の合・分流弁13の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)が完了した場合には(S14の判断YES)、再度S1に戻り、改めて走行用操作レバーがオフされたか否かが判断され、以下同様の処理が繰り返し実行される。
【0139】
以上のように本実施例によれば、第2の合・分流弁21の合流位置Aへの切り換え動作(開動作)完了後に第1の合・分流弁13の合流位置Aへの切り換え
動作(開動作)を開始するようにして、合流位置に切り換えるに際して合流時の圧力補償をできる限り早めに効かせるようにしたので、第1および第2の合・分流弁13、21の切り換えの前後における流量変動が抑制される。これにより操作性が向上し、作業効率が向上する。
【0140】
なお、第1の合・分流弁13の分流位置Bから合流位置Aへの切り換え動作(開動作)の際にも(S13、S14)、第1の合・分流弁13の合流位置Aから分流位置Bへの切り換え動作(閉動作)の際の制御(S5、S6、S7)と同様に、第1および第2の油圧ポンプ2、3の斜板2a、3aの傾転位置を制御してもよい。
【0141】
以上のように、本実施例によれば、合流位置から分流位置に切り換える際には、第1および第2の吐出油路10、11を遮断してから、圧力補償をオフにするようにし、分流位置から合流位置に切り換える際には、圧力補償をオンにしてから、第1および第2の吐出油路10、11を連通させるようにしたので、合分流弁13、21の切り換え前後で第1および第2の吐出油路10、11に発生する流量変動が抑制されて、操作性、作業効率が向上する。
【0142】
また、本実施例によれば、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dを演算し、必要流量Q1d、Q2dが第1および第2の油圧ポンプ2、3の1ポンプ当たりの最大吐出流量Qmax未満であるか否かに応じて、分流位置に切り換えるか、合流位置に切り換えるかを判断するようにしたので、合・分流弁13、21の切換時期が正確に判断され、圧力補償弁6、9の圧力損失によるエネルギーロスが抑制されてエネルギー効率が向上するとともに、複数の作業機(複数の油圧アクチュエータ4、7)を複合動作させるときの作業効率が向上する。
【0143】
なお、また、第1の合・分流弁13の切り換えを開始する時刻t1から第2の合・分流弁21の切り換えを開始する時刻t2までの遅れ時間t2−t1、あるいは第2の合・分流弁21の切り換え開始する時刻t3から第1の合・分流弁13の切り換えを開始する時刻t4までの遅れ時間t4−t3は、両者とも同じ時間に設定してもよく、また異ならせてもよい。また、上記遅れ時間t2−t1、t4−t3は、作業機(油圧アクチュエータ)の種類毎に異ならせてもよい。また、モジュレーションカーブは、第1の合・分流弁13を合流位置Aから分流位置Bに切り換える場合、第1の合・分流弁13を分流位置Bから合流位置Aに切り換える場合、第2の合・分流弁21を合流位置Aから分流位置Bに切り換える場合、第2の合・分流弁21を分流位置Bから合流位置Aに切り換える場合の全ての場合について、同じモジュレーションカーブを使用してもよく、各場合で適宜モジュレーションカーブを異ならせてもよい。
【0144】
また、本実施例では、第1および第2の吐出油路10、11それぞれに圧力センサ27、28を設けて、これら圧力センサ27、28の検出圧力に基づいて第1および第2の吐出油路10、11を流れる圧油の流量差Q1p−Q2pを求めるようにしているが、流量差Q1p−Q2pを求めるためのセンサは、圧力センサ以外のセンサであってもよい。たとえば第1および第2の吐出油路10、11を流れる各圧油の差圧を検出する差圧センサを設けて、この差圧センサで検出された基づいて流量差Q1p−Q2pを求めてもよく、第1および第2の吐出油路10、11を流れる圧油の各量Q1p、Q2pを検出する流量センサを各吐出油路10、11毎に設け、各流量センサの検出流量Q1p、Q2pに基づいて流量差Q1p−Q2pを求めてもよい。
【0145】
また、本実施例では、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dを操作レバー29、30の操作量S1、S2に基づいて演算するようにしているが、図6に示すように、第1および第2の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)4、7それぞれに、油圧アクチュエータ4、7のロッドのストローク量を検出するストローク量検出センサ33、34を設け、これら各ストローク量センサ33、34で検出されたストローク量に基づいて、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2dを演算してもよい。
【0146】
また、本実施例では、建設機械として、履帯式の油圧ショベルを想定し、走行用操作レバーがオンの場合には(S1の判断NO)、第1および第2の油圧アクチュエータ4、7の必要流量Q1d、Q2d如何にかかわらず、走行ロジック(S21〜23)に移行することにして、本実施例の制御(S3〜S14)を行わないようにしているが、本発明は、履帯式の油圧ショベル以外の建設機械に対しても適用可能であり、また走行用操作レバーがオンされている場合にも、本発明の制御を行うようにしてもよい。
【0147】
たとえば車輪式の建設機械、たとえばホイールローダに本発明を適用してもよく、図2のフローチャートにおけるS1、走行ロジック(S21〜S23)の処理を省略して、作業機用操作レバーが操作された否かに応じて(S2)、本発明の制御(S3〜S14)に移行させてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換えると判断された場合に、最初に、第1の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われ、第1の合・分流弁の切換え完了後に、第2の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。
【請求項2】
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が合流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満であると判断した場合に、最初に、第1の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われ、第1の合・分流弁の切換え完了後に、第2の合・分流弁を合流位置から分流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。
【請求項3】
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が合流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満であると判断した場合に、第1の合・分流弁、第2の合・分流弁を、合流位置から分流位置に切り換える制御を実行する制御手段と
を備えたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換えると判断された場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御すること
を特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御すること
を特徴とする請求項2記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、第1の合・分流弁、第2の合・分流弁を、分流位置から合流位置に切り換える制御を実行すること
を特徴とする請求項3記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項7】
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換えると判断された場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。
【請求項8】
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、最初に、第2の合・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われ、第2の合・分流弁の切換え完了後に、第1の・分流弁を分流位置から合流位置に切り換える動作が行われるように、第1および第2の合・分流弁の切換えを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。
【請求項9】
第1および第2の可変容量型油圧ポンプと、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプから吐出される圧油が供給されて駆動される第1および第2の油圧アクチュエータと、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向および流量が切り換えられる第1および第2の主操作弁と、
第1および第2の可変容量型油圧ポンプの吐出口と第1および第2の主操作弁とを連通する第1および第2の吐出油路と、
第1および第2の主操作弁の前後差圧を所定値に補償する第1および第2の圧力補償弁と、
第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を連通させる合流位置と、第1の吐出油路と第2の吐出油路との間を遮断させる分流位置とに切り換える第1の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータの各負荷圧のうち最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、
第1および第2の圧力補償弁に負荷圧を導入する第1および第2の負荷圧導入油路と、
最高負荷圧検出手段で検出された最高負荷圧の圧油を、第1および第2の負荷圧導入油路に導入する合流位置と、第1および第2の油圧アクチュエータの負荷圧を、対応する第1および第2の負荷圧導入油路にそれぞれ導入する分流位置とに切り換える第2の合・分流弁と、
第1および第2の油圧アクチュエータに供給されるべき必要流量を演算する必要流量演算手段と、
必要流量演算手段で演算された第1および第2の油圧アクチュエータの各必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量未満になったか否かを判断する判断手段と、
第1の合・分流弁および第2の合・分流弁が分流位置になっている状態で、判断手段が、第1および第2の油圧アクチュエータの必要流量のうち少なくとも一方の必要流量が、第1および第2の可変容量型油圧ポンプの1ポンプ当たりの最大吐出流量以上であると判断した場合に、第1の合・分流弁、第2の合・分流弁を、分流位置から合流位置に切り換える制御を実行する制御手段と
を備えたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【国際公開番号】WO2005/047709
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515454(P2005−515454)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016832
【国際出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】