弁ユニット、弁ユニットを備えた微細流動装置、及び微細流動基板
【課題】弁ユニット、弁ユニット備えた微細流動装置、及び微細流動基板を提供する。
【解決手段】常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナ42Aと、流体の流路を形成するチャンネル35と弁チャンバとを連結する弁連結路44Aと、チャンネル上で弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバ46、47と、を備え、弁物質コンテナまたは弁連結路の内部で硬化された弁物質にエネルギーを供給することにより、弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、チャンネルが閉鎖され、チャンネルを閉鎖する弁物質にエネルギーを供給することにより、弁物質がドレインチャンバに排出され、チャンネルが開放されるように構成されたことを特徴とする弁ユニット40A及びそれを備えた微細流動装置である。
【解決手段】常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナ42Aと、流体の流路を形成するチャンネル35と弁チャンバとを連結する弁連結路44Aと、チャンネル上で弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバ46、47と、を備え、弁物質コンテナまたは弁連結路の内部で硬化された弁物質にエネルギーを供給することにより、弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、チャンネルが閉鎖され、チャンネルを閉鎖する弁物質にエネルギーを供給することにより、弁物質がドレインチャンバに排出され、チャンネルが開放されるように構成されたことを特徴とする弁ユニット40A及びそれを備えた微細流動装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細チャンネルを介した流体の流れを適時に開閉するための弁ユニット、弁ユニットを備えた微細流動装置及び微細流動基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、Lysis反応、PCR(Polymerase Chain Reaction)反応のような生化学反応に使われる基板(言い換えれば、ラボ・オン・チップ)には、流体の流路を形成する微細チャンネルが形成されており、このような微細チャンネルを介した流体の流れを適時に開閉するための弁ユニットが設けられる。
【0003】
図1は、従来の弁ユニットを示した平面図であって、非特許文献1により公知にされている弁ユニットである。
【0004】
図1を参照すれば、従来の弁ユニット10は、流体Fの流路を形成する微細チャンネル12と、微細チャンネル12を通じて流体Fが流れないように微細チャンネル12を遮断するパラフィンワックス20と、パラフィンワックス20に隣接して設けられる、拡張されたチャンネル幅を有するワックスチャンバ15と、を備える。流体Fの流れが要求される際に前記パラフィンワックス20に熱(H)が加えられ、この熱Hによってパラフィンワックス20が溶けて微細チャンネル12が開放されて、停滞されていた流体Fが2点鎖線の矢印方向(すなわち、図中上から下に向かった方向)に流れるようになっている。溶けたパラフィンワックス20は、ワックスチャンバ15に凝集されて流体Fの流れを妨害しない。
【0005】
前記弁ユニット10は、初期段階に閉鎖された微細チャンネル12を開放するための、いわば、開放弁ユニットである。これまでは、図1に示したような開放弁ユニット、または初期段階に開放されたチャンネルを閉鎖するための閉鎖弁ユニットが別個に構成されていたに過ぎず、1つのユニットとしてチャンネルを開閉できる弁ユニットは、公知にされていない。また、チャンネルの開閉動作を反復的に行える弁ユニットも、公知にされていない。したがって、複雑な流体反応プロセスを行うための基板は、複数個の開放弁ユニット及び閉鎖弁ユニットにより、基板の小型化が難しく、基板の製作コストが高く、かつ製作時間も長くかかるという問題点がある。
【非特許文献1】ロビン・ホイ・リュウ(Robin・Hui・Liu)、「Analytical.Chemistry(Vol.76)」、2004年、p.1824―1831
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するためのものであって、1つのユニットとしてチャンネルを開閉できる弁ユニット、弁ユニットを備えた微細流動装置及び微細流動基板を提供することを技術的課題とする。
【0007】
また、本発明は、チャンネルの開閉動作を多数回行える弁ユニット、それを備えた微細流動装置及び微細流動基板を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために本発明は、常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、流体の流路を形成するチャンネルと弁チャンバとを連結する弁連結路と、前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする弁ユニット及びそれを備えた微細流動装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、流体の流路を形成するチャンネルと、常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、前記チャンネルと前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする微細流動基板を提供する。
【0010】
望ましくは、前記エネルギーは、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルス電磁波であり、または少なくとも10mWの出力を有する電磁波でありうる。
【0011】
望ましくは、前記エネルギーは、750〜1300nmの波長を有するレーザ光、赤外光、または前記相転移物質を流体状態に溶融する温度のガスでありうる。
【0012】
望ましくは、前記弁物質は、前記相転移物質に分散された、外部エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含みうる。
【0013】
望ましくは、前記微細発熱粒子は、直径が1nm〜100μmであり、強磁性物質またはAl2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2からなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を成分として含みうる。
【0014】
望ましくは、前記微細発熱粒子は、重合体粒子、クァンタムドット、または磁性ビードでありうる。
【0015】
望ましくは、前記磁性ビードは、Fe、Ni、Cr、及びこれらの酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを成分として含みうる。
【0016】
望ましくは、前記相転移物質は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、天然ワックスからなる群から選択されるワックスのうち、少なくとも1つを含み、
前記ワックスは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリビニルアミドからなる群から選択されるゲルのうち、少なくとも1つを含み、
前記ゲルは、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる群から選択される熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1つを含みうる。
【0017】
望ましくは、前記チャンネルが複数個備えられ、前記チャンネルの個数に対応する個数の前記弁連結路が備えられ、各チャンネルに前記ドレインチャンバが一対ずつ備えられる。
【0018】
望ましくは、前記弁ユニットは、流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路と、をさらに備え、前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路も閉鎖される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1つの弁ユニットがチャンネルの開放動作及び閉鎖動作を行うため、流体反応用基板の小型化及び集積化が容易となる。また、基板の製作コストの節減及び製造時間の短縮が可能である。
【0020】
本発明の弁ユニットは、チャンネルの開閉動作を多数回行えて基板の再使用が可能である。また、これにより、基板で流体の流路を単純に設計しうるので、基板の設計が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態による弁ユニット及び弁ユニットを備えた微細流動装置を詳細に説明する。
【0022】
図2Aないし図2Fは、本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図であり、図3は、本発明の1実施形態による弁ユニットの変形例を示す斜視図である。
【0023】
図2Aないし図2Fを参照すれば、本発明の1実施形態による弁ユニット40Aは、弁物質コンテナ42Aと、前記弁物質コンテナ42Aに注入される弁物質Vと、流体Fの流路を形成するチャンネル35と前記弁物質コンテナ42Aとを連結する弁連結路44Aと、前記チャンネル35上で前記弁連結路44Aの両側のそれぞれに設けられた一対のドレインチャンバ46、47と、を備える。また、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのエネルギー源の一例として、レーザ光源50を含む。前記レーザ光源50は、電磁波の一種であるレーザLを照射するが、本発明のエネルギー源は、レーザ光源50に限定されず、赤外線(IR)照射や、高温ガスの噴射により弁物質Vにエネルギーを供給することもある。
【0024】
前記弁物質コンテナ42A、チャンネル35、弁連結路44A及びドレインチャンバ46、47は、相互に接着された上部及び下部プレート31、34を備えてなされた基板30に形成される。上部プレート31と下部プレート34との接着方法は、接着剤や両面接着テープを利用することもあり、超音波融着によることもある。
【0025】
前記基板30は、図5に示したような流体の微細流動装置100を構成する基板でありうる。具体的に、前記下部プレート34に弁物質コンテナ42A、チャンネル35、弁連結路44A及び一対のドレインチャンバ46、47が形成され、前記上部プレート31には、弁物質コンテナ42Aに弁物質Vを注入するための弁物質注入ホール32が形成されている。前記チャンネル35と弁連結路44Aは、幅が約1mm、深さが約0.1mmの微細チャンネルである。前記ドレインチャンバ46、47は、約3mmの深さを有するように形成され、前記弁物質コンテナ42Aは、ドレインチャンバ46、47より浅く、例えば、1mmほどの深さを有するように形成される。
【0026】
基板30の上側で前記レーザ光源50から照射されたレーザLが基板30の内部の弁物質Vに照射されるように、前記基板30の上部プレート31または前記上部プレート31の少なくとも一部分は透明である。したがって、前記上部プレート31は、ガラスまたは透明プラスチックで形成されることが望ましい。前記下部プレート34も、上部プレート31と同じ材質で形成される。一方、下部プレート34が熱伝導に相対的に優れたシリコン(Si)材質で形成されたとすれば、必要とされるポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain reaction)のような熱サイクルを迅速に、かつ信頼性を向上させて実行することができる。
【0027】
前記弁物質Vは、常温時には、固体状態の相転移物質と、前記相転移物質に均一に分散された多数の微細発熱粒子とを含んでなる。前記相転移物質は、ワックスでありうる。前記ワックスは、加熱することにより、溶融して液体状態に変形し、体積膨脹する。前記ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、または天然ワックスが採用される。
【0028】
一方、前記相転移物質は、ゲルまたは熱可塑性樹脂でもある。前記ゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリビニルアミドが採用される。また、前記熱可塑性樹脂としては、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)が採用される。
【0029】
前記微細発熱粒子は、微細な幅を有するチャンネル35及び弁連結路44Aを自在に通過できるように1nm〜100μmの直径を有する。前記微細発熱粒子は、例えば、レーザLの照射などの方法を通じてエネルギーが供給されることにより、温度が急上昇して発熱する性質を有し、ワックスに均一に分散される性質を有する。このような性質を有するように、前記微細発熱粒子は、金属成分を含むコアと、疏水性の表面構造とを有しうる。例えば、前記微細発熱粒子は、Feからなるコアと、前記Feに結合されてFeを覆い包む多数の界面活性成分とを備えた分子構造を有しうる。
【0030】
一般的に、前記微細発熱粒子は、キャリアオイルに分散された状態で保管される。疏水性の表面構造を有する前記微細発熱粒子が均一に分散されるように、キャリアオイルも疏水性であることが望ましい。ワックスに前記微細発熱粒子が分散されたキャリアオイルを注いで混合することによって弁物質Vを製造しうる。前記微細発熱粒子の粒子形態は、例としてあげた重合体の形態に限定されず、クァンタムドットまたは磁性ビードの形態でも可能である。
【0031】
図4は、純粋パラフィンワックスと、レーザ照射によって発熱する微細発熱粒子が含まれたパラフィンワックスにレーザを照射したときの融点到達時間を比較したグラフである。
【0032】
図4を参照すれば、実線で示されたグラフが純粋(100%)パラフィンワックスの温度グラフであり、点線で示されたグラフが平均直径10nmの微細発熱粒子が分散されたキャリアオイルとパラフィンワックスとが1対1の割合で混合された50%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックスの温度グラフであり、二点鎖線で示されたグラフは、平均直径10nmの微細発熱粒子が分散されたキャリアオイルとパラフィンワックスとが1対4の割合で混合された20%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックスの温度グラフである。実験には、808nmの波長を有するレーザが使われた。パラフィンワックスの融点は、約68〜74℃である。図4を参照すれば、純粋パラフィンワックスは、レーザ照射後20秒以上が経過して始めて、融点に到達する(図中(ii)参照)。一方、50%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックス及び20%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックスは、レーザ照射後に急速に加熱されて約5秒で融点に到達することが確認できる(図中(i)参照)。
【0033】
図2Aないし図2Fを再び参照すれば、微細発熱粒子は、例えば、Fe、Ni、Co、またはこれらの酸化物のような強磁性物質を成分として含みうる。また、Al2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2などの金属酸化物を成分として含むこともある。
【0034】
前記レーザ光源50は、レーザダイオードを備えうる。パルスレーザを照射する場合、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルスレーザを、レーザを連続照射する場合、少なくとも10mWの出力でレーザを照射しうるならば、本実施形態におけるレーザ光源50として採用される。図2Aないし図2Fに示していないが、前記弁ユニット40Aは、レーザビームLの照射方向と照射領域とを調整するための並行光学系ユニット(a collimating unit)をさらに備え、他のレーザ光源(図示せず)をさらに備えることもある。前記並行光学系ユニットは、1つ以上のレンズと、1つ以上のミラーとを備えうる。
【0035】
図2Aに示したように、弁物質コンテナ42Aに注入され、硬化した弁物質Vにレーザ光源50を利用して、一定時間、レーザビームLを照射すれば、前記弁物質Vが急激に溶融、膨脹して弁連結路44Aを通じてチャンネル35に流入される。図2Bに示したように、前記チャンネル35に流入された弁物質Vは、ドレインチャンバ46、47間のチャンネル35に残留し、チャンネル35を閉鎖する。したがって、流体Fは、チャンネル35に沿って流れない状態となる。弁物質Vのうち一部は、前記一対のドレインチャンバ46、47に収容されることもある。
【0036】
図2Cに示したように、一対のドレインチャンバ46、47間で硬化された弁物質Vにレーザ光源50により、再度、一定時間、レーザビームLを照射することにより、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル35から除去される。これにより、図2Dに示したように、チャンネル35が再び開放され、流体Fがチャンネル35に沿って流れる状態となる。
さらに、図2Eに示したように、弁物質コンテナ42Aと弁連結路44Aとに残っている弁物質Vにレーザ光源50を利用して一定時間、レーザビームLを照射すれば、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル35に流入され、かつ硬化し、図2Fに示したように、再度チャンネル35が閉鎖される。このように弁物質VにレーザビームLの照射を繰り返し行うことにより、チャンネル35を反復的に開閉させる。
【0037】
ドレインチャンバが備えられた弁ユニットの場合について説明したが、ドレインチャンバを備えていない弁ユニットも本発明に含まれる。例えば、図10に示したように、弁連結路とチャンネル35とが連結される弁領域(固体状態の弁物質がチャンネルを通じた流体の移動を遮断している領域)のチャンネルの深さd4が、他の部分のチャンネルの深さd6よりも浅く形成された弁ユニットも本発明に含まれる。具体的に、弁連結路(図示せず)に連結された交差溝85は、d5の深さを有し、弁物質Vが固体状態でチャンネル35を塞いでいる弁領域は、d4の深さを有し、チャンネル35は、前記d4より深いd6の深さを有する。
【0038】
図3を参照すれば、1実施形態の変形例による弁ユニット40Bは、弁物質コンテナ42Bとチャンネル35とを連結する弁連結路44Bが、1実施形態による40A(図2Aを参照)の弁連結路44Aとは異なっている。弁連結路44Bは迂回せずに、チャンネル35に直線的に対向した経路に沿って形成されており、1実施形態による40Aの弁連結路44Aと比べ、相対的に短い。したがって、基板30をさらに集約し、かつ小型化しやすい。但し、前記弁ユニット40Bでは、1実施形態による弁ユニット40Aより精密にレーザビームLの照射方向と照射領域とが制御される必要がある。
【0039】
図5は、図2の弁ユニットを備えた微細流動装置の一例を示す斜視図であり、図6Aないし図6Cは、図5の微細流動装置の作動試験結果を順次に示す図である。
【0040】
図5を参照すれば、本発明の望ましい実施形態による微細流動装置100は、円盤形態の基板110と、前記基板110を回転させるためのスピンドルモータ105と、前記基板110に向かってレーザビームLを照射するためのレーザ光源150と、を備える。前記基板110は、相互に接着された上部プレート111と下部プレート114とで形成されている。前記下部プレート114には、放射状に延設されたチャンネル120が設けられ、基板110の中心部と外周部とには、前記チャンネル120の一端及び他端に連結された第1流体チャンバ115と第2流体チャンバ116とが設けられる。
【0041】
前記チャンネル120に沿って多数の弁物質コンテナ130と、前記弁物質コンテナ130と前記チャンネル120とを連結する多数の弁連結路132と、前記チャンネル120上で弁連結路132の両側にそれぞれ対で設けられた多数のドレインチャンバ134、135と、が形成されている。前記弁物質コンテナ130と、弁連結路132と、一対のドレインチャンバ134、135と、レーザ光源150とは、弁ユニット40A(図2Aを参照)を形成する。前記第1流体チャンバ115に流体を注入するために上部プレート111には、流体注入ホール113が形成されている。
【0042】
図6Aは、第2流体チャンバ116に隣接した第1弁物質コンテナ130(i)にレーザを照射して弁物質Vによりチャンネル120を閉鎖した後、一対のドレインチャンバ134(i)、135(i)間にさらにレーザを照射してチャンネル120を再び開放した状態を示す図である。前記第1流体チャンバ115に流体を注入し、基板110(図5を参照)を複数回、回転させることにより、流体がチャンネル120に沿って流れ、第2流体チャンバ116に移動された。このことより、チャンネル120が開放されていることが確認できる。
【0043】
図6Bは、第2流体チャンバ116から2番目に隣接した第2弁物質コンテナ130(ii)にレーザを照射して弁物質Vによりチャンネル120を閉鎖した状態を示す図である。前記第1流体チャンバ115に再び流体を注入し、基板110を回転させたが、流体がチャンネル120に沿って移動しなかった。このことより、チャンネル120が閉鎖されていることが確認できる。
【0044】
図6Cは、第2弁物質コンテナ130(ii)に近接した一対のドレインチャンバ134(ii)、135(ii)間にさらにレーザを照射してチャンネル120を再び開放した状態を示す図である。前記第1流体チャンバ115に再び流体を注入し、基板110を複数回、回転させたところ、流体がチャンネル120に沿って流れ、第2流体チャンバ116に移動し、第2流体チャンバ116の水位が上がった。このことより、チャンネル120が再び開放されていることが確認できる。
【0045】
図7Aないし図7Eは、本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示した平面図である。
【0046】
図7Aないし図7Eを参照すれば、本発明の他の実施形態による弁ユニット60は、弁物質コンテナ62と、前記弁物質コンテナ62に注入される弁物質Vと、一対のチャンネル36、37と前記弁物質コンテナ62とをそれぞれ連結する一対の弁連結路63、64と、前記各チャンネル36、37上で弁連結路63、64の両側に一対ずつ設けられた二対のドレインチャンバ66、67;68、69と、を備える。また、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのレーザ光源50(図2Aを参照)を含む。前記弁物質Vとレーザ光源とについては、図2Aないし図2Fを参照して詳細に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0047】
図7Aに示したように、弁物質コンテナ62に注入されて硬化された弁物質Vに一定時間、レーザビームを照射する。A1は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。それにより、図7Bに示したように、前記弁物質Vが急激に溶融、膨脹して一対の弁連結路63、64を通じて各チャンネル36、37に流入される。前記チャンネル36、37に流入された弁物質Vは、毛細管現象によって拡散され、各チャンネル36、37に残存し、硬化されることにより前記チャンネル36、37を閉鎖する。弁物質Vのうち一部は、ドレインチャンバ66、67;68、69に収容されることもある。
【0048】
二対のドレインチャンバ66、67;68、69の間で硬化された弁物質Vにさらに一定時間、レーザビームを照射する。図7BのA2及びA3は、このとき、レーザの照射領域を表す。それにより、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル36、37から除去される。これにより、図7Cに示したように、チャンネル36、37が再び開放され、流体Fがチャンネル36、37に沿って流れる状態となる。
【0049】
再び、弁物質コンテナ62と一対の弁連結路63、64とに残っている弁物質Vに一定時間、レーザビームを照射する。A4は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。そのようにすれば、図7Dに示したように、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して一対のチャンネル36、37に流入し、チャンネル36、37に残存し、硬化されることにより弁物質Vが再びチャンネル36、37を閉鎖する。
【0050】
二対のドレインチャンバ66、67;68、69の間で硬化された弁物質Vに再び一定時間、レーザビームを照射する。図7DのA5及びA6は、このとき、レーザの照射領域を表す。そのようにすれば、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル36、37から除去される。これにより、図7Eに示したようにチャンネル36、37が再び開放される。このように弁物質VにレーザビームLの照射を繰り返し行ってチャンネル36、37を反復的に開閉させる。
【0051】
図8Aないし図8Eは、本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示した平面図であり、図9は、図8AのIX−IXによる断面図である。
【0052】
図8Aないし図8E、及び図9を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態による弁ユニット80は、弁物質コンテナ82と、前記弁物質コンテナ82に注入される弁物質Vと、チャンネル38と前記弁物質コンテナ82とを連結する弁連結路83と、前記チャンネル38上で弁連結路83の両側に設けられた一対のドレインチャンバ86、87と、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのレーザ光源50(図2Aを参照)と、を備える。前記弁連結路83とチャンネル38との交差部には、交差溝85が形成されている。前記交差溝85は、ドレインチャンバ86、87よりは浅く、チャンネル38よりは深く形成される。
【0053】
また、前記弁ユニット80は、流体Fが収容される流体チャンバ90と、前記流体チャンバ90と交差溝85とを連結する流体連結路92とをさらに備える。前記弁物質コンテナ82と、チャンネル38と、弁連結路83と、ドレインチャンバ86、87と、流体チャンバ90と、流体連結路92と、交差溝85は、基板30の下部プレート34に形成される。基板30の上部プレート31には、流体チャンバ90に流体を注入するための流体注入ホール91が形成されている。一方、前記弁物質Vとレーザ光源については、図2Aないし図2Fを参照して詳細に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0054】
図8Aに示したように、弁物質コンテナ82に注入され、硬化された弁物質Vに一定時間、レーザビームを照射する。A11は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。そのようにすれば、図8Bに示したように、前記弁物質Vが急激に溶融、膨脹して弁連結路83を通じて交差溝85、チャンネル38及び流体連結路92に流入される。チャンネル38に流入された弁物質Vは、前記交差溝85を充填し、毛細管現象によって拡散されて交差溝85とドレインチャンバ86、87との間に残存、硬化し、前記チャンネル38を閉鎖する。弁物質Vのうち一部は、ドレインチャンバ86、87に収容されることもある。また、前記流体連結路92に流入された弁物質Vは、前記流体連結路92に残存し、硬化される。このとき、前記流体チャンバ90に流体Fを注入しても、流体連結路92が閉鎖されているため、流体Fがチャンネル38に沿って流れない。
【0055】
交差溝85とドレインチャンバ87と対向して配置されたドレインチャンバ86との間、および流体連結路92及び交差溝85の一部に一定時間、レーザビームを照射する。図8BのA12は、このとき、レーザの照射領域を表す。そのようにすれば、レーザ照射領域A12で硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して、図8Cに示したように、流体連結路92と交差溝85とを基準として、ドレインチャンバ87と対向するチャンネル38が開放される。これにより、流体Fが図中の矢印方向に沿って流出可能な状態となる。
【0056】
次に、弁物質コンテナ82と弁連結路83とに一定時間、レーザビームを照射する。A13は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。そのようにすれば、弁物質コンテナ82と弁連結路83とに硬化されて残存した弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して、図8Dに示したように、交差溝85と左側ドレインチャンバ86との間、及び流体連結路92に再び流入されて硬化される。したがって、流体チャンバ90内の流体Fは、再び流れが遮断される。
【0057】
次に交差溝85とドレインチャンバ86に対向して配置されたドレインチャンバ87との間、流体連結路92、及び交差溝85の一部に一定時間、レーザビームを照射する。図8DのA14は、このとき、レーザの照射領域を表す。そのようにすれば、レーザ照射領域A14で硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して、図8Eに示したように、流体連結路92と交差溝85とを基準として、ドレインチャンバ86と対向するチャンネル38が開放される。これにより、流体Fが矢印方向に沿って流出可能な状態となる。前記本発明のさらに他の実施形態による弁ユニット80を利用すれば、流体の流れ方向を選択できるという長所がある。
【0058】
一方、微細発熱粒子を含まず、相転移物質のみからなる弁物質にエネルギーを供給して前記弁物質を溶融させることにより、チャンネルを開閉できるように構成された弁ユニット及びそれを備えた微細流動装置も本発明に含まれる。
【0059】
本発明は、図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、生科学分析関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】従来の弁ユニットの一例を示す平面図である。
【図2A】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2B】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2C】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2D】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2E】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2F】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態による弁ユニットの変形例を示す斜視図である。
【図4】純粋パラフィンワックスと、レーザ照射によって発熱する微細発熱粒子が含まれたパラフィンワックスにレーザを照射したときの融点到達時間を比較したグラフである。
【図5】図2の弁ユニットを備えた微細流動装置の一例を示す斜視図である。
【図6A】図5の微細流動装置の作動試験の結果を順次に示す図である。
【図6B】図5の微細流動装置の作動試験の結果を順次に示す図である。
【図6C】図5の微細流動装置の作動試験の結果を順次に示す図である。
【図7A】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7B】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7C】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7D】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7E】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8A】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8B】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8C】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8D】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8E】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図9】図8AのIX−IX線による断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
30 基板、
31 上部プレート、
32 弁物質注入ホール、
34 下部プレート、
35 チャンネル、
40A 弁ユニット、
42A 弁物質コンテナ、
44A 弁連結路、
46、47 ドレインチャンバ、
50 レーザ光源、
V 弁物質、
L レーザ、
F 流体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細チャンネルを介した流体の流れを適時に開閉するための弁ユニット、弁ユニットを備えた微細流動装置及び微細流動基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、Lysis反応、PCR(Polymerase Chain Reaction)反応のような生化学反応に使われる基板(言い換えれば、ラボ・オン・チップ)には、流体の流路を形成する微細チャンネルが形成されており、このような微細チャンネルを介した流体の流れを適時に開閉するための弁ユニットが設けられる。
【0003】
図1は、従来の弁ユニットを示した平面図であって、非特許文献1により公知にされている弁ユニットである。
【0004】
図1を参照すれば、従来の弁ユニット10は、流体Fの流路を形成する微細チャンネル12と、微細チャンネル12を通じて流体Fが流れないように微細チャンネル12を遮断するパラフィンワックス20と、パラフィンワックス20に隣接して設けられる、拡張されたチャンネル幅を有するワックスチャンバ15と、を備える。流体Fの流れが要求される際に前記パラフィンワックス20に熱(H)が加えられ、この熱Hによってパラフィンワックス20が溶けて微細チャンネル12が開放されて、停滞されていた流体Fが2点鎖線の矢印方向(すなわち、図中上から下に向かった方向)に流れるようになっている。溶けたパラフィンワックス20は、ワックスチャンバ15に凝集されて流体Fの流れを妨害しない。
【0005】
前記弁ユニット10は、初期段階に閉鎖された微細チャンネル12を開放するための、いわば、開放弁ユニットである。これまでは、図1に示したような開放弁ユニット、または初期段階に開放されたチャンネルを閉鎖するための閉鎖弁ユニットが別個に構成されていたに過ぎず、1つのユニットとしてチャンネルを開閉できる弁ユニットは、公知にされていない。また、チャンネルの開閉動作を反復的に行える弁ユニットも、公知にされていない。したがって、複雑な流体反応プロセスを行うための基板は、複数個の開放弁ユニット及び閉鎖弁ユニットにより、基板の小型化が難しく、基板の製作コストが高く、かつ製作時間も長くかかるという問題点がある。
【非特許文献1】ロビン・ホイ・リュウ(Robin・Hui・Liu)、「Analytical.Chemistry(Vol.76)」、2004年、p.1824―1831
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するためのものであって、1つのユニットとしてチャンネルを開閉できる弁ユニット、弁ユニットを備えた微細流動装置及び微細流動基板を提供することを技術的課題とする。
【0007】
また、本発明は、チャンネルの開閉動作を多数回行える弁ユニット、それを備えた微細流動装置及び微細流動基板を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために本発明は、常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、流体の流路を形成するチャンネルと弁チャンバとを連結する弁連結路と、前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする弁ユニット及びそれを備えた微細流動装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、流体の流路を形成するチャンネルと、常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、前記チャンネルと前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする微細流動基板を提供する。
【0010】
望ましくは、前記エネルギーは、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルス電磁波であり、または少なくとも10mWの出力を有する電磁波でありうる。
【0011】
望ましくは、前記エネルギーは、750〜1300nmの波長を有するレーザ光、赤外光、または前記相転移物質を流体状態に溶融する温度のガスでありうる。
【0012】
望ましくは、前記弁物質は、前記相転移物質に分散された、外部エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含みうる。
【0013】
望ましくは、前記微細発熱粒子は、直径が1nm〜100μmであり、強磁性物質またはAl2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2からなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を成分として含みうる。
【0014】
望ましくは、前記微細発熱粒子は、重合体粒子、クァンタムドット、または磁性ビードでありうる。
【0015】
望ましくは、前記磁性ビードは、Fe、Ni、Cr、及びこれらの酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを成分として含みうる。
【0016】
望ましくは、前記相転移物質は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、天然ワックスからなる群から選択されるワックスのうち、少なくとも1つを含み、
前記ワックスは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリビニルアミドからなる群から選択されるゲルのうち、少なくとも1つを含み、
前記ゲルは、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる群から選択される熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1つを含みうる。
【0017】
望ましくは、前記チャンネルが複数個備えられ、前記チャンネルの個数に対応する個数の前記弁連結路が備えられ、各チャンネルに前記ドレインチャンバが一対ずつ備えられる。
【0018】
望ましくは、前記弁ユニットは、流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路と、をさらに備え、前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路も閉鎖される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1つの弁ユニットがチャンネルの開放動作及び閉鎖動作を行うため、流体反応用基板の小型化及び集積化が容易となる。また、基板の製作コストの節減及び製造時間の短縮が可能である。
【0020】
本発明の弁ユニットは、チャンネルの開閉動作を多数回行えて基板の再使用が可能である。また、これにより、基板で流体の流路を単純に設計しうるので、基板の設計が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態による弁ユニット及び弁ユニットを備えた微細流動装置を詳細に説明する。
【0022】
図2Aないし図2Fは、本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図であり、図3は、本発明の1実施形態による弁ユニットの変形例を示す斜視図である。
【0023】
図2Aないし図2Fを参照すれば、本発明の1実施形態による弁ユニット40Aは、弁物質コンテナ42Aと、前記弁物質コンテナ42Aに注入される弁物質Vと、流体Fの流路を形成するチャンネル35と前記弁物質コンテナ42Aとを連結する弁連結路44Aと、前記チャンネル35上で前記弁連結路44Aの両側のそれぞれに設けられた一対のドレインチャンバ46、47と、を備える。また、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのエネルギー源の一例として、レーザ光源50を含む。前記レーザ光源50は、電磁波の一種であるレーザLを照射するが、本発明のエネルギー源は、レーザ光源50に限定されず、赤外線(IR)照射や、高温ガスの噴射により弁物質Vにエネルギーを供給することもある。
【0024】
前記弁物質コンテナ42A、チャンネル35、弁連結路44A及びドレインチャンバ46、47は、相互に接着された上部及び下部プレート31、34を備えてなされた基板30に形成される。上部プレート31と下部プレート34との接着方法は、接着剤や両面接着テープを利用することもあり、超音波融着によることもある。
【0025】
前記基板30は、図5に示したような流体の微細流動装置100を構成する基板でありうる。具体的に、前記下部プレート34に弁物質コンテナ42A、チャンネル35、弁連結路44A及び一対のドレインチャンバ46、47が形成され、前記上部プレート31には、弁物質コンテナ42Aに弁物質Vを注入するための弁物質注入ホール32が形成されている。前記チャンネル35と弁連結路44Aは、幅が約1mm、深さが約0.1mmの微細チャンネルである。前記ドレインチャンバ46、47は、約3mmの深さを有するように形成され、前記弁物質コンテナ42Aは、ドレインチャンバ46、47より浅く、例えば、1mmほどの深さを有するように形成される。
【0026】
基板30の上側で前記レーザ光源50から照射されたレーザLが基板30の内部の弁物質Vに照射されるように、前記基板30の上部プレート31または前記上部プレート31の少なくとも一部分は透明である。したがって、前記上部プレート31は、ガラスまたは透明プラスチックで形成されることが望ましい。前記下部プレート34も、上部プレート31と同じ材質で形成される。一方、下部プレート34が熱伝導に相対的に優れたシリコン(Si)材質で形成されたとすれば、必要とされるポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain reaction)のような熱サイクルを迅速に、かつ信頼性を向上させて実行することができる。
【0027】
前記弁物質Vは、常温時には、固体状態の相転移物質と、前記相転移物質に均一に分散された多数の微細発熱粒子とを含んでなる。前記相転移物質は、ワックスでありうる。前記ワックスは、加熱することにより、溶融して液体状態に変形し、体積膨脹する。前記ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、または天然ワックスが採用される。
【0028】
一方、前記相転移物質は、ゲルまたは熱可塑性樹脂でもある。前記ゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリビニルアミドが採用される。また、前記熱可塑性樹脂としては、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)が採用される。
【0029】
前記微細発熱粒子は、微細な幅を有するチャンネル35及び弁連結路44Aを自在に通過できるように1nm〜100μmの直径を有する。前記微細発熱粒子は、例えば、レーザLの照射などの方法を通じてエネルギーが供給されることにより、温度が急上昇して発熱する性質を有し、ワックスに均一に分散される性質を有する。このような性質を有するように、前記微細発熱粒子は、金属成分を含むコアと、疏水性の表面構造とを有しうる。例えば、前記微細発熱粒子は、Feからなるコアと、前記Feに結合されてFeを覆い包む多数の界面活性成分とを備えた分子構造を有しうる。
【0030】
一般的に、前記微細発熱粒子は、キャリアオイルに分散された状態で保管される。疏水性の表面構造を有する前記微細発熱粒子が均一に分散されるように、キャリアオイルも疏水性であることが望ましい。ワックスに前記微細発熱粒子が分散されたキャリアオイルを注いで混合することによって弁物質Vを製造しうる。前記微細発熱粒子の粒子形態は、例としてあげた重合体の形態に限定されず、クァンタムドットまたは磁性ビードの形態でも可能である。
【0031】
図4は、純粋パラフィンワックスと、レーザ照射によって発熱する微細発熱粒子が含まれたパラフィンワックスにレーザを照射したときの融点到達時間を比較したグラフである。
【0032】
図4を参照すれば、実線で示されたグラフが純粋(100%)パラフィンワックスの温度グラフであり、点線で示されたグラフが平均直径10nmの微細発熱粒子が分散されたキャリアオイルとパラフィンワックスとが1対1の割合で混合された50%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックスの温度グラフであり、二点鎖線で示されたグラフは、平均直径10nmの微細発熱粒子が分散されたキャリアオイルとパラフィンワックスとが1対4の割合で混合された20%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックスの温度グラフである。実験には、808nmの波長を有するレーザが使われた。パラフィンワックスの融点は、約68〜74℃である。図4を参照すれば、純粋パラフィンワックスは、レーザ照射後20秒以上が経過して始めて、融点に到達する(図中(ii)参照)。一方、50%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックス及び20%不純物(微細発熱粒子)パラフィンワックスは、レーザ照射後に急速に加熱されて約5秒で融点に到達することが確認できる(図中(i)参照)。
【0033】
図2Aないし図2Fを再び参照すれば、微細発熱粒子は、例えば、Fe、Ni、Co、またはこれらの酸化物のような強磁性物質を成分として含みうる。また、Al2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2などの金属酸化物を成分として含むこともある。
【0034】
前記レーザ光源50は、レーザダイオードを備えうる。パルスレーザを照射する場合、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルスレーザを、レーザを連続照射する場合、少なくとも10mWの出力でレーザを照射しうるならば、本実施形態におけるレーザ光源50として採用される。図2Aないし図2Fに示していないが、前記弁ユニット40Aは、レーザビームLの照射方向と照射領域とを調整するための並行光学系ユニット(a collimating unit)をさらに備え、他のレーザ光源(図示せず)をさらに備えることもある。前記並行光学系ユニットは、1つ以上のレンズと、1つ以上のミラーとを備えうる。
【0035】
図2Aに示したように、弁物質コンテナ42Aに注入され、硬化した弁物質Vにレーザ光源50を利用して、一定時間、レーザビームLを照射すれば、前記弁物質Vが急激に溶融、膨脹して弁連結路44Aを通じてチャンネル35に流入される。図2Bに示したように、前記チャンネル35に流入された弁物質Vは、ドレインチャンバ46、47間のチャンネル35に残留し、チャンネル35を閉鎖する。したがって、流体Fは、チャンネル35に沿って流れない状態となる。弁物質Vのうち一部は、前記一対のドレインチャンバ46、47に収容されることもある。
【0036】
図2Cに示したように、一対のドレインチャンバ46、47間で硬化された弁物質Vにレーザ光源50により、再度、一定時間、レーザビームLを照射することにより、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル35から除去される。これにより、図2Dに示したように、チャンネル35が再び開放され、流体Fがチャンネル35に沿って流れる状態となる。
さらに、図2Eに示したように、弁物質コンテナ42Aと弁連結路44Aとに残っている弁物質Vにレーザ光源50を利用して一定時間、レーザビームLを照射すれば、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル35に流入され、かつ硬化し、図2Fに示したように、再度チャンネル35が閉鎖される。このように弁物質VにレーザビームLの照射を繰り返し行うことにより、チャンネル35を反復的に開閉させる。
【0037】
ドレインチャンバが備えられた弁ユニットの場合について説明したが、ドレインチャンバを備えていない弁ユニットも本発明に含まれる。例えば、図10に示したように、弁連結路とチャンネル35とが連結される弁領域(固体状態の弁物質がチャンネルを通じた流体の移動を遮断している領域)のチャンネルの深さd4が、他の部分のチャンネルの深さd6よりも浅く形成された弁ユニットも本発明に含まれる。具体的に、弁連結路(図示せず)に連結された交差溝85は、d5の深さを有し、弁物質Vが固体状態でチャンネル35を塞いでいる弁領域は、d4の深さを有し、チャンネル35は、前記d4より深いd6の深さを有する。
【0038】
図3を参照すれば、1実施形態の変形例による弁ユニット40Bは、弁物質コンテナ42Bとチャンネル35とを連結する弁連結路44Bが、1実施形態による40A(図2Aを参照)の弁連結路44Aとは異なっている。弁連結路44Bは迂回せずに、チャンネル35に直線的に対向した経路に沿って形成されており、1実施形態による40Aの弁連結路44Aと比べ、相対的に短い。したがって、基板30をさらに集約し、かつ小型化しやすい。但し、前記弁ユニット40Bでは、1実施形態による弁ユニット40Aより精密にレーザビームLの照射方向と照射領域とが制御される必要がある。
【0039】
図5は、図2の弁ユニットを備えた微細流動装置の一例を示す斜視図であり、図6Aないし図6Cは、図5の微細流動装置の作動試験結果を順次に示す図である。
【0040】
図5を参照すれば、本発明の望ましい実施形態による微細流動装置100は、円盤形態の基板110と、前記基板110を回転させるためのスピンドルモータ105と、前記基板110に向かってレーザビームLを照射するためのレーザ光源150と、を備える。前記基板110は、相互に接着された上部プレート111と下部プレート114とで形成されている。前記下部プレート114には、放射状に延設されたチャンネル120が設けられ、基板110の中心部と外周部とには、前記チャンネル120の一端及び他端に連結された第1流体チャンバ115と第2流体チャンバ116とが設けられる。
【0041】
前記チャンネル120に沿って多数の弁物質コンテナ130と、前記弁物質コンテナ130と前記チャンネル120とを連結する多数の弁連結路132と、前記チャンネル120上で弁連結路132の両側にそれぞれ対で設けられた多数のドレインチャンバ134、135と、が形成されている。前記弁物質コンテナ130と、弁連結路132と、一対のドレインチャンバ134、135と、レーザ光源150とは、弁ユニット40A(図2Aを参照)を形成する。前記第1流体チャンバ115に流体を注入するために上部プレート111には、流体注入ホール113が形成されている。
【0042】
図6Aは、第2流体チャンバ116に隣接した第1弁物質コンテナ130(i)にレーザを照射して弁物質Vによりチャンネル120を閉鎖した後、一対のドレインチャンバ134(i)、135(i)間にさらにレーザを照射してチャンネル120を再び開放した状態を示す図である。前記第1流体チャンバ115に流体を注入し、基板110(図5を参照)を複数回、回転させることにより、流体がチャンネル120に沿って流れ、第2流体チャンバ116に移動された。このことより、チャンネル120が開放されていることが確認できる。
【0043】
図6Bは、第2流体チャンバ116から2番目に隣接した第2弁物質コンテナ130(ii)にレーザを照射して弁物質Vによりチャンネル120を閉鎖した状態を示す図である。前記第1流体チャンバ115に再び流体を注入し、基板110を回転させたが、流体がチャンネル120に沿って移動しなかった。このことより、チャンネル120が閉鎖されていることが確認できる。
【0044】
図6Cは、第2弁物質コンテナ130(ii)に近接した一対のドレインチャンバ134(ii)、135(ii)間にさらにレーザを照射してチャンネル120を再び開放した状態を示す図である。前記第1流体チャンバ115に再び流体を注入し、基板110を複数回、回転させたところ、流体がチャンネル120に沿って流れ、第2流体チャンバ116に移動し、第2流体チャンバ116の水位が上がった。このことより、チャンネル120が再び開放されていることが確認できる。
【0045】
図7Aないし図7Eは、本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示した平面図である。
【0046】
図7Aないし図7Eを参照すれば、本発明の他の実施形態による弁ユニット60は、弁物質コンテナ62と、前記弁物質コンテナ62に注入される弁物質Vと、一対のチャンネル36、37と前記弁物質コンテナ62とをそれぞれ連結する一対の弁連結路63、64と、前記各チャンネル36、37上で弁連結路63、64の両側に一対ずつ設けられた二対のドレインチャンバ66、67;68、69と、を備える。また、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのレーザ光源50(図2Aを参照)を含む。前記弁物質Vとレーザ光源とについては、図2Aないし図2Fを参照して詳細に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0047】
図7Aに示したように、弁物質コンテナ62に注入されて硬化された弁物質Vに一定時間、レーザビームを照射する。A1は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。それにより、図7Bに示したように、前記弁物質Vが急激に溶融、膨脹して一対の弁連結路63、64を通じて各チャンネル36、37に流入される。前記チャンネル36、37に流入された弁物質Vは、毛細管現象によって拡散され、各チャンネル36、37に残存し、硬化されることにより前記チャンネル36、37を閉鎖する。弁物質Vのうち一部は、ドレインチャンバ66、67;68、69に収容されることもある。
【0048】
二対のドレインチャンバ66、67;68、69の間で硬化された弁物質Vにさらに一定時間、レーザビームを照射する。図7BのA2及びA3は、このとき、レーザの照射領域を表す。それにより、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル36、37から除去される。これにより、図7Cに示したように、チャンネル36、37が再び開放され、流体Fがチャンネル36、37に沿って流れる状態となる。
【0049】
再び、弁物質コンテナ62と一対の弁連結路63、64とに残っている弁物質Vに一定時間、レーザビームを照射する。A4は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。そのようにすれば、図7Dに示したように、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して一対のチャンネル36、37に流入し、チャンネル36、37に残存し、硬化されることにより弁物質Vが再びチャンネル36、37を閉鎖する。
【0050】
二対のドレインチャンバ66、67;68、69の間で硬化された弁物質Vに再び一定時間、レーザビームを照射する。図7DのA5及びA6は、このとき、レーザの照射領域を表す。そのようにすれば、硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹してチャンネル36、37から除去される。これにより、図7Eに示したようにチャンネル36、37が再び開放される。このように弁物質VにレーザビームLの照射を繰り返し行ってチャンネル36、37を反復的に開閉させる。
【0051】
図8Aないし図8Eは、本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示した平面図であり、図9は、図8AのIX−IXによる断面図である。
【0052】
図8Aないし図8E、及び図9を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態による弁ユニット80は、弁物質コンテナ82と、前記弁物質コンテナ82に注入される弁物質Vと、チャンネル38と前記弁物質コンテナ82とを連結する弁連結路83と、前記チャンネル38上で弁連結路83の両側に設けられた一対のドレインチャンバ86、87と、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのレーザ光源50(図2Aを参照)と、を備える。前記弁連結路83とチャンネル38との交差部には、交差溝85が形成されている。前記交差溝85は、ドレインチャンバ86、87よりは浅く、チャンネル38よりは深く形成される。
【0053】
また、前記弁ユニット80は、流体Fが収容される流体チャンバ90と、前記流体チャンバ90と交差溝85とを連結する流体連結路92とをさらに備える。前記弁物質コンテナ82と、チャンネル38と、弁連結路83と、ドレインチャンバ86、87と、流体チャンバ90と、流体連結路92と、交差溝85は、基板30の下部プレート34に形成される。基板30の上部プレート31には、流体チャンバ90に流体を注入するための流体注入ホール91が形成されている。一方、前記弁物質Vとレーザ光源については、図2Aないし図2Fを参照して詳細に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0054】
図8Aに示したように、弁物質コンテナ82に注入され、硬化された弁物質Vに一定時間、レーザビームを照射する。A11は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。そのようにすれば、図8Bに示したように、前記弁物質Vが急激に溶融、膨脹して弁連結路83を通じて交差溝85、チャンネル38及び流体連結路92に流入される。チャンネル38に流入された弁物質Vは、前記交差溝85を充填し、毛細管現象によって拡散されて交差溝85とドレインチャンバ86、87との間に残存、硬化し、前記チャンネル38を閉鎖する。弁物質Vのうち一部は、ドレインチャンバ86、87に収容されることもある。また、前記流体連結路92に流入された弁物質Vは、前記流体連結路92に残存し、硬化される。このとき、前記流体チャンバ90に流体Fを注入しても、流体連結路92が閉鎖されているため、流体Fがチャンネル38に沿って流れない。
【0055】
交差溝85とドレインチャンバ87と対向して配置されたドレインチャンバ86との間、および流体連結路92及び交差溝85の一部に一定時間、レーザビームを照射する。図8BのA12は、このとき、レーザの照射領域を表す。そのようにすれば、レーザ照射領域A12で硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して、図8Cに示したように、流体連結路92と交差溝85とを基準として、ドレインチャンバ87と対向するチャンネル38が開放される。これにより、流体Fが図中の矢印方向に沿って流出可能な状態となる。
【0056】
次に、弁物質コンテナ82と弁連結路83とに一定時間、レーザビームを照射する。A13は、このとき、レーザが照射される照射領域を表す。そのようにすれば、弁物質コンテナ82と弁連結路83とに硬化されて残存した弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して、図8Dに示したように、交差溝85と左側ドレインチャンバ86との間、及び流体連結路92に再び流入されて硬化される。したがって、流体チャンバ90内の流体Fは、再び流れが遮断される。
【0057】
次に交差溝85とドレインチャンバ86に対向して配置されたドレインチャンバ87との間、流体連結路92、及び交差溝85の一部に一定時間、レーザビームを照射する。図8DのA14は、このとき、レーザの照射領域を表す。そのようにすれば、レーザ照射領域A14で硬化された弁物質Vが再び急激に溶融、膨脹して、図8Eに示したように、流体連結路92と交差溝85とを基準として、ドレインチャンバ86と対向するチャンネル38が開放される。これにより、流体Fが矢印方向に沿って流出可能な状態となる。前記本発明のさらに他の実施形態による弁ユニット80を利用すれば、流体の流れ方向を選択できるという長所がある。
【0058】
一方、微細発熱粒子を含まず、相転移物質のみからなる弁物質にエネルギーを供給して前記弁物質を溶融させることにより、チャンネルを開閉できるように構成された弁ユニット及びそれを備えた微細流動装置も本発明に含まれる。
【0059】
本発明は、図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、生科学分析関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】従来の弁ユニットの一例を示す平面図である。
【図2A】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2B】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2C】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2D】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2E】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図2F】本発明の1実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態による弁ユニットの変形例を示す斜視図である。
【図4】純粋パラフィンワックスと、レーザ照射によって発熱する微細発熱粒子が含まれたパラフィンワックスにレーザを照射したときの融点到達時間を比較したグラフである。
【図5】図2の弁ユニットを備えた微細流動装置の一例を示す斜視図である。
【図6A】図5の微細流動装置の作動試験の結果を順次に示す図である。
【図6B】図5の微細流動装置の作動試験の結果を順次に示す図である。
【図6C】図5の微細流動装置の作動試験の結果を順次に示す図である。
【図7A】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7B】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7C】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7D】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図7E】本発明の他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8A】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8B】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8C】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8D】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図8E】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットの作動を順次に示す平面図である。
【図9】図8AのIX−IX線による断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による弁ユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
30 基板、
31 上部プレート、
32 弁物質注入ホール、
34 下部プレート、
35 チャンネル、
40A 弁ユニット、
42A 弁物質コンテナ、
44A 弁連結路、
46、47 ドレインチャンバ、
50 レーザ光源、
V 弁物質、
L レーザ、
F 流体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
流体の流路を形成するチャンネルと弁チャンバとを連結する弁連結路と、
前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた1対のドレインチャンバと、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする弁ユニット。
【請求項2】
前記エネルギーは、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルス電磁波であり、または少なくとも10mWの出力を有する電磁波であることを特徴とする請求項1に記載の弁ユニット。
【請求項3】
前記エネルギーは、750〜1300nmの波長を有するレーザ光、赤外光、または前記相転移物質を流体状態に溶融する温度のガスであることを特徴とする請求項1に記載の弁ユニット。
【請求項4】
前記弁物質は、前記相転移物質に分散された、外部エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項5】
前記微細発熱粒子は、直径が1nm〜10μmであり、強磁性物質またはAl2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2からなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を成分として含むことを特徴とする請求項4に記載の弁ユニット。
【請求項6】
前記微細発熱粒子は、重合体粒子、クァンタムドット、または磁性ビードであることを特徴とする請求項4に記載の弁ユニット。
【請求項7】
前記磁性ビードは、Fe、Ni、Cr及び、これらの酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを成分として含むことを特徴とする請求項6に記載の弁ユニット。
【請求項8】
前記相転移物質は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、及び天然ワックスからなる群から選択されるワックスのうち、少なくとも1つを含み、
前記ワックスは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリビニルアミドからなる群から選択されるゲルのうち、少なくとも1つを含み、
前記ゲルは、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる群から選択される熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項9】
前記チャンネルは、複数個備えられ、前記チャンネルの数に対応する個数の前記弁連結路が備えられ、各チャンネルに前記ドレインチャンバが一対ずつ備えられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項10】
流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路と、をさらに備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路が閉鎖されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項11】
流体の流路を形成するチャンネルを備える基板と、前記チャンネルを開閉するための弁ユニットとを備えた微細流動装置において、前記弁ユニットは、
常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
前記チャンネルと前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融し、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする微細流動装置。
【請求項12】
前記エネルギーは、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルス電磁波であり、または少なくとも10mWの出力を有する電磁波であることを特徴とする請求項11に記載の微細流動装置
【請求項13】
前記弁物質は、前記相転移物質に分散された、外部エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含むことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の微細流動装置。
【請求項14】
前記微細発熱粒子は、直径が1nm〜10μmであり、強磁性物質またはAl2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2からなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を成分として含むことを特徴とする請求項13に記載の微細流動装置。
【請求項15】
前記微細発熱粒子は、重合体粒子、クァンタムドット、または磁性ビードであることを特徴とする請求項13に記載の微細流動装置。
【請求項16】
前記磁性ビードは、Fe、Ni、Cr及び、これらの酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを成分として含むことを特徴とする請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項17】
前記相転移物質は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、及び天然ワックスからなる群から選択されるワックスのうち、少なくとも1つを含み、
前記ワックスは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリビニルアミド(ポリビニルアミドs)からなる群から選択されるゲルのうち、少なくとも1つを含み、
前記ゲルは、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる群から選択される熱可塑性樹脂かのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項18】
前記チャンネルは、複数個備えられ、前記チャンネルの個数に対応する個数の前記弁連結路が備えられ、各チャンネルに前記ドレインチャンバが一対ずつ備えられたことを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項19】
流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路と、をさらに備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された弁物質に前記エネルギー源からエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路が閉鎖されることを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項20】
前記電磁波が基板の内部に伝達されるように前記基板の少なくとも一部分は透明であることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項21】
前記基板を回転させる回転手段をさらに備え、前記基板の回転による遠心力によって前記流体が押し出されるように構成されることを特徴とする請求項11〜20のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項22】
流体の流路を形成するチャンネルと、常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
前記チャンネルと前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、
前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする微細流動基板。
【請求項23】
前記弁物質は、前記相転移物質に分散されたエネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の微細流動基板。
【請求項24】
流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路とをさらに備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路が閉鎖されることを特徴とする請求項22および請求項23に記載の微細流動基板。
【請求項25】
照射される電磁波のエネルギーが内部に伝達されるように、前記微細流動基板の少なくとも一部分は透明であることを特徴とする請求項22〜24のいずれか1項に記載の微細流動基板。
【請求項26】
流体の流路であって、他の部分より浅い弁領域を備えたチャンネルと、
常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
前記弁領域と前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、前記弁領域へ移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記弁領域で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記弁領域より深い他の部分に流され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする弁ユニット。
【請求項1】
常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
流体の流路を形成するチャンネルと弁チャンバとを連結する弁連結路と、
前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた1対のドレインチャンバと、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする弁ユニット。
【請求項2】
前記エネルギーは、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルス電磁波であり、または少なくとも10mWの出力を有する電磁波であることを特徴とする請求項1に記載の弁ユニット。
【請求項3】
前記エネルギーは、750〜1300nmの波長を有するレーザ光、赤外光、または前記相転移物質を流体状態に溶融する温度のガスであることを特徴とする請求項1に記載の弁ユニット。
【請求項4】
前記弁物質は、前記相転移物質に分散された、外部エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項5】
前記微細発熱粒子は、直径が1nm〜10μmであり、強磁性物質またはAl2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2からなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を成分として含むことを特徴とする請求項4に記載の弁ユニット。
【請求項6】
前記微細発熱粒子は、重合体粒子、クァンタムドット、または磁性ビードであることを特徴とする請求項4に記載の弁ユニット。
【請求項7】
前記磁性ビードは、Fe、Ni、Cr及び、これらの酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを成分として含むことを特徴とする請求項6に記載の弁ユニット。
【請求項8】
前記相転移物質は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、及び天然ワックスからなる群から選択されるワックスのうち、少なくとも1つを含み、
前記ワックスは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリビニルアミドからなる群から選択されるゲルのうち、少なくとも1つを含み、
前記ゲルは、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる群から選択される熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項9】
前記チャンネルは、複数個備えられ、前記チャンネルの数に対応する個数の前記弁連結路が備えられ、各チャンネルに前記ドレインチャンバが一対ずつ備えられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項10】
流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路と、をさらに備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路が閉鎖されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の弁ユニット。
【請求項11】
流体の流路を形成するチャンネルを備える基板と、前記チャンネルを開閉するための弁ユニットとを備えた微細流動装置において、前記弁ユニットは、
常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
前記チャンネルと前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融し、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする微細流動装置。
【請求項12】
前記エネルギーは、少なくとも1mJ/pulseのエネルギーを有するパルス電磁波であり、または少なくとも10mWの出力を有する電磁波であることを特徴とする請求項11に記載の微細流動装置
【請求項13】
前記弁物質は、前記相転移物質に分散された、外部エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含むことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の微細流動装置。
【請求項14】
前記微細発熱粒子は、直径が1nm〜10μmであり、強磁性物質またはAl2O3、TiO2、Ta2O3、Fe2O3、Fe3O4及び、HfO2からなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を成分として含むことを特徴とする請求項13に記載の微細流動装置。
【請求項15】
前記微細発熱粒子は、重合体粒子、クァンタムドット、または磁性ビードであることを特徴とする請求項13に記載の微細流動装置。
【請求項16】
前記磁性ビードは、Fe、Ni、Cr及び、これらの酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを成分として含むことを特徴とする請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項17】
前記相転移物質は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、及び天然ワックスからなる群から選択されるワックスのうち、少なくとも1つを含み、
前記ワックスは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリビニルアミド(ポリビニルアミドs)からなる群から選択されるゲルのうち、少なくとも1つを含み、
前記ゲルは、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる群から選択される熱可塑性樹脂かのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項18】
前記チャンネルは、複数個備えられ、前記チャンネルの個数に対応する個数の前記弁連結路が備えられ、各チャンネルに前記ドレインチャンバが一対ずつ備えられたことを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項19】
流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路と、をさらに備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された弁物質に前記エネルギー源からエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路が閉鎖されることを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項20】
前記電磁波が基板の内部に伝達されるように前記基板の少なくとも一部分は透明であることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項21】
前記基板を回転させる回転手段をさらに備え、前記基板の回転による遠心力によって前記流体が押し出されるように構成されることを特徴とする請求項11〜20のいずれか1項に記載の微細流動装置。
【請求項22】
流体の流路を形成するチャンネルと、常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
前記チャンネルと前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、
前記チャンネル上で前記弁連結路の両側にそれぞれ設けられた一対のドレインチャンバと、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記チャンネルを閉鎖する前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記ドレインチャンバに排出され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする微細流動基板。
【請求項23】
前記弁物質は、前記相転移物質に分散されたエネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の微細流動基板。
【請求項24】
流体が収容される流体チャンバと、前記一対のドレインチャンバ間における前記チャンネルの一部分と前記流体チャンバとを連結する流体連結路とをさらに備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、移動、及び再硬化し、前記流体連結路が閉鎖されることを特徴とする請求項22および請求項23に記載の微細流動基板。
【請求項25】
照射される電磁波のエネルギーが内部に伝達されるように、前記微細流動基板の少なくとも一部分は透明であることを特徴とする請求項22〜24のいずれか1項に記載の微細流動基板。
【請求項26】
流体の流路であって、他の部分より浅い弁領域を備えたチャンネルと、
常温時には固体状態であり、エネルギーを吸収することにより、溶融する相転移物質を含む弁物質が保存される弁物質コンテナと、
前記弁領域と前記弁物質コンテナとを連結する弁連結路と、を備え、
前記弁物質コンテナまたは前記弁連結路の内部で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が溶融、前記弁領域へ移動、及び再硬化し、前記チャンネルが閉鎖され、
前記弁領域で硬化された前記弁物質にエネルギーを供給することにより、前記弁物質が前記弁領域より深い他の部分に流され、前記チャンネルが開放されるように構成されることを特徴とする弁ユニット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−121890(P2008−121890A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284068(P2007−284068)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
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