説明

引き伸ばし剥離可能な接着テープ

接着テープ、この接着テープを含有する物品、この接着テープを作製する方法、及びこの接着テープの用途について説明する。接着テープは引き伸ばし剥離可能であり、2つの基材を1つに連結するために用いることができる。接着テープは容易に取り外され、任意の理由により2つの基材を分離することができる。接着テープは、裏材層と、裏材層に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層と、を含む。裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。各感圧性接着剤層は、第2のアクリルコポリマーと、第2のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
引き伸ばし剥離可能な接着テープ、この接着テープを含む物品、この接着テープを作製する方法、及びこの接着テープの用途を説明する。
【背景技術】
【0002】
引き伸ばし剥離可能な接着テープは、物品を基材に結合するために使用されてきた。物品は、多くの場合、フック、クランプ、ハンガー、又は小物入れであり、基材は、多くの場合、壁の表面である。接着テープの引き伸ばしによって、物品を基材から剥離することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
接着テープは、少なくとも1つの感圧性接着剤層に隣接する裏材層を備える。多くの実施形態において、接着テープは、第1の感圧性層と第2の感圧性接着剤層との間に位置する裏材層を備える。裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。各感圧性接着剤層は、第2のアクリルコポリマーと、第2のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子と、を含む。感圧性接着剤層中に無機粒子が存在することにより、基材に接着された後に接着テープがきれいに剥がれるのを容易にする。
【0004】
第1の態様では、(A)裏材層と、(B)裏材層の主表面に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層と、を含む、引き伸ばし剥離可能な接着テープを用意する。裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。裏材層中の第1のアクリルコポリマーは、第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物であって、第1の重合性反応混合物は、(1)第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物を含む、第1のアクリルコポリマーを含み、第1の重合性反応混合物は、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第1の一価のモノマー混合物は、1)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含有する。少なくとも1つの感圧性接着剤層は、(1)第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、(2)第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に懸濁又は分散される無機粒子と、を含有する。第2のアクリルコポリマーは、第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物であり、第2の重合性反応混合物は、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第2の一価のモノマー混合物は、1)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含有する。接着テープは、引き伸ばして剥離され、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。
【0005】
第2の態様では、物品が用意される。第1の実施形態では、物品は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられた接着テープと、を含む。接着テープは、第1の基材を第2の基材に連結する。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。第1のアクリルコポリマーは、第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物であって、第1の重合性反応混合物は、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第1の一価のモノマー混合物は、1)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含有する。第1の感圧性接着剤層及び第2の圧力接着剤層はそれぞれ、(1)第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、(2)第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に懸濁又は分散される無機粒子と、を含有する。第2のアクリルコポリマーは、第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物であって、第2の重合性反応混合物は、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含有する。
【0006】
第2の実施形態では、物品は、第1の基材と、第1の基材に接着された接着テープと、を含む。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材を超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から接着テープが剥離される。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。第1のアクリルコポリマーは、第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物であり、第1の重合性反応混合物は、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第1の一価のモノマー混合物は、1)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含有する。第1の感圧性接着剤層は、(1)第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、(2)第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に懸濁又は分散される無機粒子と、を含有する。第2のアクリルコポリマーは、第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物であり、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含有する。
【0007】
第3の態様では、2つの基材を連結及び分離する方法を用意する。この方法は、第1の基材及び第2の基材を用意することを含む。この方法は、接着テープが第1の基材を第2の基材に連結するように第1の基材と第2の基材との間に接着テープを位置付けることを更に含む。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。この方法は、接着テープのツメを引いて、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープを剥離することを更に含む。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物である、第1のアクリルコポリマーを含有し、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第1の一価のモノマー混合物は、1)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含有する。第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層はそれぞれ、(1)第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、(2)第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に懸濁又は分散される無機粒子と、を含有する。第2のアクリルコポリマーは、第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物であり、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含有する。
【0008】
上記の本発明の概要は、本発明のそれぞれの実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。図、「発明を実施するための形態」、及び実施例により、これらの実施形態をより詳しく例示する。
【0009】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図2】図1に例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して1つに連結された2つの基材を含む代表的な物品の概略図。
【図3】別の代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図4】図3に例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して1つに連結された2つの基材を含む別の代表的な物品の概略図。
【0011】
本発明は様々な変更例及び代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すと共に詳細に説明する。しかしながら本発明を、記載される特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されるべきである。逆に、本発明は、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる、すべての修正、等価な形態、及び代替形態を対象とすることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
接着テープ、この接着テープを含有する物品、この接着テープを作製する方法、及びこの接着テープの用途について説明する。接着テープは引き伸ばし剥離可能であり、単一の基材に接着でき、又は2つの基材を1つに連結する(すなわち、接着テープを介して接着する)ために用いることができる。2つの基材の間に位置付けられるとき、接着テープは容易に取り外され、任意の理由により2つの基材を分離することができる。接着テープを引き伸ばし、基材の一方又は両方から剥離する。2つの基材の連結に欠陥がある場合、又は、一方又は両方の基材を別の物品で再利用することが望ましい場合には、接着テープを引き伸ばすことにより取り外すことができ、どちらかの基材を損傷させることなく2つの基材を分離することができる。
【0013】
様々な引き伸ばし剥離接着テープが既知であるが、これらの接着テープにおいてアクリル系接着剤を使用するには問題がある。多くの場合、アクリル系接着剤層の接着強度が時間とともに高くなり、取り外しが困難になり得る。取り外しを試みると、接着テープは多くの場合、破断したり、基材上に接着剤の残留物が残ったり、又はその両方である傾向がある。驚くべきことに、本明細書に記載する接着テープは、接着テープを破断することなく取り外すことができる。取り外しにより、基材上に残る接着剤残留物が非常にわずかであるか、又は残らない。引き伸ばしにより取り外す前に、接着剤は典型的には、高荷重の剪断接着力を示す。
【0014】
更に、高温高湿条件にさらされるとき、基材にまだ接着したままで、良好な剥離特性を有するアクリル系引き伸ばし剥離可能な接着テープを用意することは困難であった。驚くべきことに、本明細書に記載される接着テープは、典型的には、高温高湿条件にさらされた後でも基材に接着したままであるが、引き伸ばしにより取り外すことができる。
【0015】
本明細書で用いられる用語「接着剤」及び「感圧性接着剤」は、互換的に用いられる。同様に、「接着剤層」及び「感圧性接着剤層」という用語は、互換的に用いられる。「感圧性接着剤層」及び「PSA層」という用語は、互換的に用いられる。
【0016】
本明細書で用いられる用語「重合性材料」は、エチレン性不飽和基などの重合可能な基を有する、任意の分子量の化合物を意味する。つまり、重合性材料は、モノマー、架橋剤、オリゴマーなどを包含することができる。重合プロセスにより、ポリマー形成がもたらされ、このプロセスには、ポリマー鎖の伸長、1つ以上のポリマー鎖の架橋、又はその両方の反応が含まれる。用語「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを意味するのに用いられる。
【0017】
本明細書で用いられる用語「〜の範囲」は、終点及びそれら終点間の全ての値を含む。
【0018】
引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層と、裏材層に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層とを含む。いくつかの実施形態では、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層の第1の主表面に隣接して位置付けられた単一の感圧性接着剤層を含む。そのような引き伸ばし剥離可能な接着テープは、任意の所望の目的のために基材の外側表面に配置され、接着されることができる。例えば、接着テープは保護機能を用意することができ、保護がもはや必要なくなった又は望まれなくなった場合に、取り外すことができる。
【0019】
他の実施形態では、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層の両側の主表面に隣接して位置付けられる2つの感圧性接着剤層を含む。そのような引き伸ばし剥離可能な接着テープを用いて、第1の基材を第2の基材に連結することができる。後に、第1の基材を第2の基材から分離することが望まれる場合には、接着テープを引き伸ばして取り外すことができる(例えば、第1の基材から剥離する、又は第2の基材から剥離する、又は第1及び第2の基材の両方から剥離する)。分離後、基材を再度使用することができる。これは、基材の少なくとも1つが、高価である、又は脆性である、又は製造が困難である時に、特に有利である。
【0020】
2つの感圧性接着剤層を伴う代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの構造を図1に概略的に示す。接着テープ100は、2つの感圧性接着剤層10と30との間に位置付けられる裏材層20を含む。第1の接着剤層10は、裏材層20の第1の主表面22に隣接しており、第2の接着剤層30は、裏材層20の第2の主表面23に隣接している。裏材層20の第1の主表面は、裏材層2の第2の主表面の反対側である。図1に示すように、第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30は両方とも裏材層20に接触しており、裏材層20に直接に接着されている。図示されていない他の実施形態では、第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30は、プライマー層のような1つ以上の介在層を介して裏材層20に間接に接着される。裏材層20は、第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30の両方を超えて延在する。接着剤層を超えて延在する裏材層21の領域は、ツメ21として機能できる。図1において、ツメ21は裏材層の一部である。
【0021】
図2は、図1に概略的に示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して連結された2つの基材の概略図である。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、第1の基材40と第2の基材50との間に位置付けられる。すなわち、物品200は、次の順序で、第1の基材40、第1の接着剤層10、裏材層20、第2の接着剤層30、及び第2の基材50を含む。第1の接着剤層10が第1の基材40に接着し、第2の接着剤層30が第2の基材50に接着する。感圧性接着剤層は、典型的に、指圧以下で基材に接着され得、取り外しのために接着テープが引き伸ばされるまで基材に接着したまま維持され得る。第1の基材40は、接着テープを介して第2の基材50に連結される。
【0022】
図2で、裏材層20は第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30の両方を超えて延在する。第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30の両方を超えて延在する裏材層の領域は、基材40及び50の両方から接着テープを引き伸ばし剥離するためのツメ21として機能できる。ツメ21を引き、接着テープを引き伸ばすことによって、第1の接着剤層10を第1の基材40から剥離することができ、第2の接着剤層30を第2の基材50から剥離することができ、又は接着剤層の両方を基材の両方から剥離することができる。この組み合わせ剥離は、第2の基材からの第1の基材の分離及び第1の基材と第2の基材との間からの接着テープの取り外しを可能にする。
【0023】
別の引き伸ばし剥離可能な接着テープを図3に概略的に示す。この実施形態では、裏材層20は第1の接着剤層10からも第2の接着剤層30からも延在していない。この接着テープを使用して第1の基材40と第2の基材50とを連結した図を、図4に概略的に示す。接着テープの領域(層10、20、及び30)は、基材40及び50の両方を超えて延在する。基材40及び50の両方を超えて延在する接着テープの領域は、ツメ22として機能できる。ツメ24は外側表面が接着剤層10及び30であるので、粘着性である。あるいは、フィルムなどの追加的な層(図3に図示せず)をツメの領域に、接着剤層10及び30を覆って配置して、非粘着性の表面をもたらすことができる。ツメ24を引き、接着テープを引き伸ばすことによって、第1の接着剤層10を第1の基材40から剥離することができ、第2の接着剤層30を第2の基材50から剥離することができ、又は接着剤層の両方を基材の両方から剥離することができる。この組み合わせられた剥離は、第2の基材からの第1の基材の分離及び第1の基材40と第2の基材50との間から接着テープ(層10、20、及び30)の取り外しを可能にする。
【0024】
接着テープを一方又は両方の基材から剥離することには、ツメ上で引くこと及び接着テープを引き伸ばすことが含まれる。ツメは、基材の少なくとも1つを超えて延在する。つまり、少なくとも1つの基材は、ツメ領域で接着テープに接触しない。より具体的には、少なくとも1つの基材は、ツメ領域で接着剤層に接触しない。ツメは、基材の表面に平行又は実質的に平行の方向に引かれる。ツメは、通常は、基材から0度、5度未満、10度未満、又は15度未満の方向に引かれる。ツメは、多くの場合、裏材層の一部である。いくつかの実施形態では、ツメは、接着剤層と接触している裏材層の第1の領域を超えて延在する、裏材層の第2の領域から形成される。ツメは、多くの場合、これらの実施形態において非粘着性である。他の実施形態では、ツメは裏材層及び接着剤層の少なくとも1つを含む。ツメは、これらの実施形態において粘着性である。
【0025】
接着テープの接着剤層及び裏材層は、典型的には、両方とも延伸性が高い。ツメを引くことは、接着テープの伸長又は引き伸ばしを引き起こす。引き伸ばすことは、第1の基材と第2の基材との間の領域における接着テープの体積を減少し、1つ又は両方の基材からの接着テープの剥離を促進する。接着テープは、典型的には、引き伸ばし剥離条件下で破断すること又は切れることなく、第1の方向に(多くの場合、第1の方向は長手方向である)少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。接着剤層が十分な貼着力を有する場合、接着剤層が基材に対してよりも裏材層に対して強く接着している場合、及び、破断若しくは切れて元の位置に戻ることなく、基材間の接着テープの体積を減らすために十分に接着テープを伸長できる場合に、ツメを引くことにより、両方の基材から接着剤層を剥離することができる。接着テープを2つの基材の間から取り外すことができる、又は2つの基材を分離することができる、又はそれらの両方である。
【0026】
図1及び図3に概略的に示される引き伸ばし剥離可能な接着テープのいくつかの実施形態では、裏材層20、並びに接着剤層10及び30の両方は光学的に透明である。本明細書で使用されるとき、用語「光学的に透明」とは、400〜700ナノメートルの波長範囲において少なくとも90パーセントの視感透過率及び5パーセント以下の曇りを有する裏材層、接着剤層、又は接着テープを指す。視感透過率は、多くの場合少なくとも92パーセント、少なくとも94パーセント、少なくとも95パーセント、少なくとも96パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセント、又は少なくとも99パーセントである。曇度は、多くの場合、4以下、3以下、2以下、又は1以下である。視感透過率及び曇度の両方は、例えば、ASTM−D 1003−07を使用して決定することができる。視覚的に透明な材料全てが光学的に透明であるとは見なされない。すなわち、視覚的な透明性が常に光学的透明性と同義であるとは限らない。視覚的に透明な材料は、5を超える曇度、90%未満の透過値、又はこれら両方を有する場合がある。
【0027】
第1の基材及び光学的に透明な接着テープの両方を通して見たときに第2の基材が目視できるように、光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープを2つの基材の間に位置付けることができる。接着テープが光学的に透明な場合、図2及び図3の第2の基材50は、第1の基材40及び接着テープ(図では、接着テープは層10、20、及び30に相当する)を通して見ることによって目視できる。例えば、光学的に透明な接着テープを用いて、第1の基材のような、光学的に透明な基材(例えばカバーレンズ)を、第2の基材のような、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)に連結することができる。連結に欠陥がない場合は、光学的に透明な接着テープは第1の基材とディスプレイとの間に位置付けられたまま維持される。しかし、連結に欠陥がある場合は、ディスプレイを損傷せずに接着テープを取り外すことができる。接着テープを交換し、第1の基材及びディスプレイを、別の光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープで再び連結することができる。
【0028】
裏材層及び各感圧性接着剤層は、アクリルコポリマーを含む。これらのアクリルコポリマーは、典型的には、架橋されたランダムコポリマーである。裏材層に含まれる第1のアクリルコポリマーは、各感圧性接着剤層に含まれる第2のアクリルコポリマーとは異なる組成物を有する。裏材層は、破断することなく、第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばしできるように、典型的にはゴム状である。つまり、第1のアクリルコポリマーの用意に用いられるモノマーは、このコポリマーのガラス転移温度(Tg)が典型的には室温を下回るように選択される。裏材層は、粘着性又は非粘着性であってよい。つまり、第1のアクリルコポリマーの調製に用いられるモノマーは、Dahlquistの基準(すなわち、ゴム状の平坦部弾性率がDahlquist数より高くなり得る)を考慮せずに選択される。しかし、第2のアクリルコポリマーは、粘着性が強く持続する傾向がある。第2のアクリルコポリマーは通常、必須の粘弾性を示し、粘着性、剥離接着性、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすよう処方される。つまり、第2のアクリルコポリマーの調製に用いられるモノマーは、Dahlquistの基準(すなわち、ゴム状の平坦部弾性率がDahlquist数より低い)を満たすよう選択される。
【0029】
第1及び第2のアクリルコポリマーは、多くの場合、感圧性接着剤層のヤング率が裏材層のヤング率より低くなるように選択される。接着剤層のヤング率が裏材層のヤング率より低い場合、引き伸ばされると接着剤層は裏材層の変形中に降伏し、裏材層が引き裂かれる可能性はより低くなる。更に、第2のアクリルコポリマーは、多くの場合、第1のアクリルコポリマーよりも高い破断点伸びパーセントを有するように選択される。この条件が満たされると、基材から剥離される際に圧力接着剤層が残留物を基材上に残す可能性はより低くなる。
【0030】
裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。第1のアクリルコポリマーは、第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物であり、第1の重合性反応混合物は、(a)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有する。より具体的には、第1の重合性反応混合物は、第1のアクリルコポリマーは、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、第1の一価のモノマー混合物は、1)前記第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含有する。いくつかの実施形態では、裏材層は、第1のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子を更に含む。
【0031】
第1のアクリルコポリマーの調製に好適な架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。本明細書で使用されるとき、用語「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル基、メタクリロイル基、又はその両方を意味する。同様に、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート、又はその両方を意味し、用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はその両方を意味し、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両方を意味する。架橋剤は、ジ(メタ)クリレート、トリ(メタ)クリレート、テトラ(メタ)クリレート、ペンタ(メタ)クリレートなどであってよい。例えば、(メタ)アクリル酸を多価アルコール(すなわち、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルコール)と反応させることにより、これらの架橋剤を形成してよい。多価アルコールは、多くの場合、2つ、3つ、4つ、又は5つのヒドロキシル基を有する。架橋剤の混合物を使用することができる。
【0032】
多くの実施形態において、架橋剤は少なくとも2つのアクリロイル基を含む。2つのアクリロイル基を有する代表的な架橋剤としては、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマージアクリレート、及びネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート変性カプロラクトンが挙げられる。な3つ又は4つの(メタ)アクリロイル基を有する代表的架橋剤としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Surface Specialties(Smyrna,GA)から商品名TMPTA−Nで、及びSartomer(Exton,PA)から商品名SR−351で市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、Sartomerから商品名SR−444で市販されている)、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(Sartomerから商品名SR−368で市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(例えば、Surface Specialtiesから商品名PETIA(テトラアクリレート対トリアクリレートを約1:1の比で含む)及び商品名PETA−K(テトラアクリレート対トリアクリレートを約3:1の比で含む)で市販されている)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomerから商品名SR−295で市販されている)、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、Sartomerから商品名SR−355で市販されている)、及びエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomerから商品名SR−494で市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な5つの(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤として、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、Sartomerから商品名SR−399で市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む高分子材料である。例えば、架橋剤は、少なくとも2つのアクリロイル基を有するポリ(アルキレンオキシド)(例えば、SartomerからSR210、SR252、及びSR603などで市販されているポリエチレングリコールジアクリレート)又は少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するポリ(ウレタン)(例えば、SartomerからのCN9018などのポリウレタンジアクリレート)であってよい。架橋剤の分子量が大きくなると、生じるアクリルコポリマーは、破断前により高い伸びを有する傾向がある。高分子架橋剤は、その非高分子の対応部と比較して、より多い重量パーセント量で用いられる傾向がある。
【0034】
架橋剤は、多くの場合、第1のアクリルコポリマーの貼着力及び引張り強度を高める。第1の重合性反応混合物中の第1の架橋剤の量は、多くの場合、架橋剤の分子量及び架橋に利用できる反応部位の数に基づいて選択される。しかし、添加される架橋剤が多すぎる場合、生じる第1のアクリルコポリマーは、剥離目的での引き伸ばしが困難になり得る。架橋剤は、典型的には、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量で存在する。架橋剤は、最大60重量パーセント、最大50重量パーセント、最大40重量パーセント、最大30重量パーセント、最大20重量パーセント、又は最大10重量パーセントの量で存在し得る。架橋剤の量は、多くの場合、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、又は少なくとも5重量パーセントである。架橋剤が非高分子材料である場合、架橋剤の量は、多くの場合、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき0.01〜20重量パーセントの範囲、0.01〜10重量パーセントの範囲、0.01〜5重量パーセントの範囲、0.01〜2重量パーセント、又は0.01〜1重量パーセントの範囲である。しかし、架橋剤が高分子材料である場合、架橋剤の量は、多くの場合、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき5〜70重量パーセントの範囲、10〜70重量パーセントの範囲、20〜70重量パーセントの範囲、20〜50重量パーセント、又は40〜70重量パーセントの範囲である。
【0035】
第1の架橋剤に加え、第1の重合性反応混合物は、第1の一価のモノマー混合物又は第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物を含む。一価のモノマー混合物は、1)低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の極性モノマーと、の両方を含む。本明細書で使用されるとき、用語「一価のモノマー」は、モノマー中にフリーラジカル重合反応が可能な基が1つのみあることを意味する。一価のモノマーは、典型的には、単一のエチレン性不飽和基を有する。部分重合生成物は、通常は、部分重合された材料に、更に重合されていない一価のモノマーを含む。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「低Tg生成アクリルモノマー」は、重合されると、20℃以下、10℃以下、0℃以下、又は−10℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するホモポリマーを形成できるアクリルモノマーを意味する。いくつかの極性モノマーは低Tg生成アクリルモノマーになり得るが、低Tg生成アクリルモノマーは、典型的には、極性モノマーでないものであると考えられる。
【0037】
いくつかの好適な低Tg生成アクリルモノマーは、アルキルアクリレート、アリール置換アルキルアクリレート、又はアリールオキシ置換アルキルアクリレートである。代表的なアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、及びラウリルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアリール置換アルキルアクリレート又はアリールオキシ置換アルキルアクリレートとしては、2−ビフェニルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、及び2−フェノキシエチルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
低Tg生成アクリルモノマーは、ゴム状の(例えば、引き伸ばし可能な)第1のアクリルコポリマーの形成を促進する傾向がある。低Tg生成アクリルモノマーの量が低すぎる場合、生じるアクリルコポリマーは、剥離目的で引き伸ばされるように、十分にゴム状でない場合がある。つまり、アクリルコポリマーが硬すぎて、引張りによる伸長を受けられない場合がある。低Tg生成アクリルモノマーは、典型的には、第1の重合性反応混合物の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量で存在する。低Tg生成アクリルモノマーの量は、多くの場合、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセントである。低Tg生成アクリルモノマーは、最大99重量パーセント、最大95重量パーセント、最大90重量パーセント、最大80重量パーセント、又は最大75重量パーセントの量で存在してよい。例えば、低Tg生成アクリルモノマーの量は、40〜99重量パーセントの範囲、45〜95重量パーセントの範囲、45〜90重量パーセントの範囲、50〜95重量パーセントの範囲、60〜95重量パーセントの範囲、又は70〜95重量パーセントの範囲であってよい。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「極性モノマー」は、単一のエチレン性不飽和基及び極性基を有するモノマーを意味する。極性基は、多くの場合、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその塩、二級アミド基、三級アミド基、又はエーテル基(すなわち、少なくとも1つの、式−R−O−R−(式中、各Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキレンである)であるアルキレン−オキシ−アルキレン基を含む基)である。任意の好適な塩も使用できる。多くの実施形態において、塩のカチオンは、アルカリ金属のイオン(例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウムイオン)、アルカリ土類のイオン(例えば、カルシウム、マグネシウム、又はストロンチウムイオン)、アンモニウムイオン、又は1つ以上のアルキル又はアリール基で置換されたアンモニウムイオンである。
【0040】
ヒドロキシル基を有する代表的な第1の極性モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド又は3−ヒドロキシプロピルアクリルアミド)、及びエトキシル化ヒドロキシエチルメタクリレート(例えば、Sartomerから商品名CD570、CD571、CD572で市販されているモノマー)が挙げられるが、これらに限定されない。カルボキシル基を有する代表的な極性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸が挙げられるが、これらに限定されない。二級アミド基を有する代表的な極性モノマーとしては、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、第三オクチルアクリルアミド、又はN−オクチルアクリルアミドなどのN−アルキルアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。三級アミド基を有する代表的な極性モノマーとしては、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、並びにN,N−ジアルキルアクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、及びN,N−ジブチルアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。エーテル基を有する代表的な極性モノマーとしては、エトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、及び2−エトキシエチルアクリレートなどのアルコキシル化アルキルアクリレート、並びに、ポリ(エチレンオキシド)アクリレート、及びポリ(プロピレンオキシド)アクリレートなどのポリ(アルキレンオキシド)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(アルキレンオキシド)アクリレートは、ポリ(アルキレングリコール)アクリレートと呼ばれることが多い。これらのモノマーは、ヒドロキシル基又はアルコキシ基などの任意の好適な末端基を有することができる。例えば、末端基がメトキシ基のとき、モノマーをメトキシポリ(エチレングリコール)アクリレートと呼ぶことができる。
【0041】
第1の極性モノマーは、多くの場合、裏材層の感圧性接着剤層への接着を強化するため、及び、第1のアクリルコポリマーの貼着力を強化するために添加される。しかし、添加される極性モノマーが多すぎる場合、低Tg生成アクリルモノマーの量がそれに応じて低下するため、アクリルコポリマーは、そのゴム状特性を失う傾向がある。第1の極性モノマーは、典型的には、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量で存在する。極性モノマーは、多くの場合、最大30重量パーセントの量、最大25重量パーセント、最大20重量パーセント、又は最大15重量パーセントの量で存在する。極性モノマーの量は、多くの場合、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、又は少なくとも5重量パーセントである。極性モノマーの量は、例えば、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき1〜30重量パーセントの範囲、5〜30重量パーセントの範囲、1〜25重量パーセントの範囲、5〜25重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、又は5〜20重量パーセントの範囲であってよい。
【0042】
添加できる極性モノマーの量は、使用される特定の極性モノマーによってある程度決まる。例えば、極性モノマーがアクリル酸、メタクリル酸、又はイタコン酸などの酸性モノマーの場合、添加量は通常、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、又は15重量パーセント以下である。一方、ビニルカプロラクトン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アルキルアクリルアミド、アルコキシル化アルキルアクリレート、及びポリ(アルキレンオキシド)アクリレートなどの極性モノマーは、通常最大35重量パーセントの量で使用されてよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、裏材層の形成に用いられる一価のモノマー混合物は、高Tg生成アクリルモノマーを更に含む。本明細書で使用されるとき、用語「高Tg生成アクリルモノマー」は、重合されると、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも80℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成できるアクリルモノマーを意味する。いくつかの極性モノマーは高Tg生成アクリルモノマーになり得るが、高Tg生成アクリルモノマーは、典型的には、極性モノマーでないものであると考えられる。高Tg生成アクリルモノマーは、多くの場合、第三ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチルアクリレート(dicyclopenyl acrylate)、3,5−ジメチルアダマンチルアクリレート、4−ビフェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート(naphtyl acrylate)、及びフェニルアクリレートなどのモノマーから選択される。
【0044】
高Tg生成アクリルモノマーは、典型的には、裏材層の弾性率を強化するために添加される。より多くの極性モノマーを使用することと比較して、裏材層の剛性への影響と同様に、引張り強度を高めることができる。高Tg生成アクリルモノマーは、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量で存在してよい。高Tg生成アクリルモノマーの量は、最大35重量パーセント、最大30重量パーセント、最大25重量パーセント、又は最大20重量パーセントであってよい。高Tg生成アクリルモノマーは、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、又は少なくとも10重量パーセントに等しい量で存在してよい。例えば、高Tg生成アクリルモノマーの量は、1〜40重量パーセントの範囲、1〜30重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、5〜40重量パーセントの範囲、5〜30重量パーセントの範囲、10〜40重量パーセントの範囲、又は10〜30重量パーセントの範囲であってよい。
【0045】
重合性材料に加え、第1の重合性反応混合物は、典型的には、種々重合性材料のフリーラジカル重合のための反応開始剤を含む。重合開始剤は、熱反応開始剤、光開始剤(photoinitator)、又はその両方であってよい。フリーラジカル重合反応に既知である任意の好適な熱反応開始剤又は光開始剤(photoinitator)を使用できる。反応開始剤は、典型的には、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき0.01〜5重量パーセントの範囲、0.01〜2重量パーセントの範囲、0.01〜1重量パーセントの範囲、又は0.01〜0.5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0046】
いくつかの実施形態では、熱反応開始剤が使用される。熱反応開始剤は、典型的には、過酸化物又はアゾ化合物である。代表的な過酸化物として、過酸化ベンゾイル、過酸化シクロヘキサン、又は過酸化ラウリルが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアゾ化合物として、DuPont(Wilmington,DE)から商品名VAZO 67で市販されている2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、DuPontからVAZO 64として市販されている2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、及びDuPontからVAZO 52として市販されている2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
多くの実施形態において、光開始剤が使用される。いくつかの代表的な光開始剤は、ベンゾインエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル若しくはベンゾインイソプロピルエーテル)又は置換ベンゾインエーテル(例えば、アニソインメチルエーテル)である。他の代表的な光開始剤は、2,2−ジエトキシアセトフェノン又は2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba Corp.(Tarrytown,NY)から商品名IRGACURE 651で、若しくはSartomer(Exton,PA)から商品名ESACURE KB−1で市販されている)などの置換アセトフェノンである。更に別の代表的な光開始剤は、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトール、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどの芳香族スルホニルクロライド、及び、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムである。
【0048】
裏材層は、典型的には、第1の重合性反応混合物を含む第1の前駆体組成物から形成される。いくつかの実施形態では、裏材は、第1の重合性反応混合物及び無機粒子を含む第1の前駆体組成物から調製される。例えば、裏材層の貼着力を高めるために無機粒子を添加することができる。添加する場合、無機粒子は、任意の部分重合の前にモノマー混合物に添加されてよく、又はモノマー混合物の部分重合後に添加されてよい。
【0049】
無機粒子を、均一に又は不均一に第1の前駆体組成物中に分散してよい。同様に、無機粒子を、均一に又は不均一に第1のアクリルコポリマー中に分散してよい。無機粒子は、金属、金属酸化物、又はセラミック材料であってよい。無機粒子は、多くの場合、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカなどから選択されるが、これらに限定されない。
【0050】
多くの実施形態において、無機粒子はヒュームドシリカ粒子である。好適なヒュームドシリカは、Evonik Industries(Essen,Germany)から商品名AEROSIL(例えば、AEROSIL R972、R974、R976、R300、R380、R130、R150、R200、R202、R805、及びR812)で、又はCabot(Alpharetta,GA)から商品名CABOSIL(例えば、CABOSIL TS−720、TS−610、TS−530、及びTS−500)で市販されている。ヒュームドシリカは、親水性表面又は疎水性表面のいずれかを有することができ、任意の好適な表面積を有することができる。例えば、表面積は、1〜500m/グラムの範囲、10〜400m/グラムの範囲、又は100〜400m/グラムの範囲であってよい。
【0051】
他の実施形態では、無機粒子は、シリカエアロゲル粒子(例えば、粉砕したエアロゲル又はエアロゲル(areogel)粉末)などのエアロゲルである。シリカエアロゲル粒子は、多くの場合、ナノメートル範囲(例えば100ナノメートル未満、又は50ナノメートル未満)の孔を有し、少なくとも500m/グラムに等しい表面積を有する。いくつかの代表的なエアロゲルシリカ粒子は、20マイクロメートル未満又は10マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する。シリカエアロゲル粒子のサイズは光の波長より大きいものの、粒子は多くの場合半透明であり、光学的に透明だとは見なされなくても、比較的透明な接着剤層の形成に用いることができる。代表的な半透明及び不透明グレードのシリカエアロゲル粒子は、Cabot(Billerica,MA)から商品名NANOGELで市販されている。
【0052】
第1のアクリルコポリマー又は第1の前駆体組成物への分散を促進するよう、無機粒子を表面変性することができるが、無機粒子は多くの場合、表面変性されない。無機粒子は、粒塊であっても非粒塊であってもよく、粒子団であっても非粒子団であってもよい。無機粒子は、任意の所望の粒径を有することができる。接着テープが光学的に透明である実施形態では、無機粒子は、1000ナノメートル未満、500ナノメートル未満、200ナノメートル未満、100ナノメートル未満、又は50ナノメートル未満の平均基本粒子サイズを有する傾向がある。多くの実施形態において、無機粒子は、1〜200ナノメートルの範囲、1〜100ナノメートルの範囲、1〜75ナノメートルの範囲、又は1〜50ナノメートルの範囲の平均基本粒子サイズを有するナノ粒子である。光学的に透明である必要がない接着テープの調製には、より大きい無機粒子を使用してよい。例えば、無機粒子は、最大5マイクロメートル、最大10マイクロメートル、最大20マイクロメートル、最大50マイクロメートル、又は最大100マイクロメートルの平均粒子サイズを有してよい。
【0053】
裏材層に添加する場合、無機粒子は、第1のアクリルコポリマーの重量に基づき、又は第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき、最大25重量パーセントの量で存在してよい。裏材層に添加された無機粒子の量が多すぎる場合、裏材層が引き伸ばしには硬すぎるようになる傾向がある。別の言い方をすれば、裏材層中に存在する第1のアクリルコポリマーの量が低すぎると、引張りにより好適な伸長をもたらせなくなる場合がある。無機粒子は、最大25重量パーセント、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、又は最大10重量パーセントの量で存在してよい。いくつかの実施形態では、第1の重合性反応混合物中に、又は第1のアクリルコポリマー中に、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、又は少なくとも10重量パーセントの無機粒子がある。いくつかの例では、無機粒子は、1〜25重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、1〜15重量パーセントの範囲、又は1〜10重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0054】
典型的には、第1の重合性反応混合物に添加される溶媒はない。つまり、第1の重合性反応混合物は、通常、市販元から得られるモノマー中に存在する場合がある有機溶媒の量のみ含有する。いくつかの実施形態では、第1の重合性反応混合物は、有機溶媒を含まないか、有機溶媒を実質的に含まない。本明細書で使用されるとき、第1の重合性反応混合物中の有機溶媒に関する用語「実質的に含まない」又は「実質的にない」は、有機溶媒が、重合性材料又は重合された材料の重量に基づき5重量パーセント未満、4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満の量で存在することを意味する。
【0055】
いくつかの代表的な第1の前駆体組成物は、第1の重合性反応混合物を含むが無機粒子は含まない。第1の重合性反応混合物は、(a)第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、(c)反応開始剤(initator)と、を含む。第1の架橋剤は、0.01〜70重量パーセントの範囲の量で存在する。第1の一価のモノマー混合物は、40〜95重量パーセントの範囲の量の低Tg生成アクリルモノマーと、1〜35重量パーセントの範囲の量の第1の極性モノマーと、を含む。反応開始剤は、0.01〜5重量パーセントの範囲の量で存在する。いくつかの例は、1〜40重量パーセントの範囲の量の高Tg生成アクリルモノマーを更に含む。これらの重量パーセント量は全て、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づいている。重合性材料は、架橋剤と、重合されていない任意の一価のモノマーと、任意の部分重合された材料と、を含む。
【0056】
第1の前駆体組成物のより詳細な例では、第1の架橋剤は0.01〜20重量パーセントの範囲の量で存在し、第1の一価のモノマー混合物は50〜95重量パーセントの範囲の量で存在する低Tg生成アクリルモノマーを含み、極性モノマーは1〜20重量パーセントの範囲の量で存在する。反応開始剤は、0.01〜2重量パーセントの範囲の量で存在する。いくつかの例は、1〜20重量パーセントの範囲の量の高Tg生成アクリルモノマーを更に含む。これらの重量パーセント値は全て、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づいている。
【0057】
他の代表的な第1の前駆体組成物は、第1の重合性反応混合物と、無機粒子と、を含む。第1の重合性反応混合物は、第1の架橋剤と、第1の一価のモノマー混合物又は第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物のいずれかを含む。第1の架橋剤は、0.01〜70重量パーセントの範囲の量で存在する。第1の一価のモノマー混合物は、40〜95重量パーセントの範囲の量の低Tg生成アクリルモノマーと、1〜35重量パーセントの範囲の量の極性モノマーと、を含む。反応開始剤は、0.01〜5重量パーセントの範囲の量で存在する。いくつかの例は、1〜40重量パーセントの範囲の量の高Tg生成アクリルモノマーを更に含む。これらの重量パーセント値は全て、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づいている。無機粒子は、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき、又は第1のアクリルコポリマーの重量に基づき1〜25重量パーセントの範囲の量で存在する。重合性材料は、架橋剤と、重合されていない任意の一価のモノマーと、任意の部分重合された材料と、を含む。
【0058】
無機粒子を含有する第1の前駆体組成物のより詳細な例では、第1の架橋剤は0.01〜20重量パーセントの範囲の量で存在し、第1の一価のモノマー混合物は50〜95重量パーセントの範囲の量で存在する低Tg生成アクリルモノマーを含み、極性モノマーは1〜20重量パーセントの範囲の量で存在する。反応開始剤は、0.01〜2重量パーセントの範囲の量で存在する。これらの重量パーセント値は全て、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づいている。無機粒子は、1〜20重量パーセントの範囲の量で存在する。いくつかの別の詳細例は、第1の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき、又は第1のアクリルコポリマーの重量に基づき1〜20重量パーセントの範囲の量の高Tg生成アクリルモノマーを更に含む。
【0059】
第1の前駆体組成物(任意の無機粒子を含む又は含まない)は、多くの場合、剥離ライナーなどの支持体上に配置され、続いて重合されて裏材層を形成する。第1の前駆体組成物を支持体上に配置する任意の方法を用いることができる。例えば、第1の前駆体組成物を、ナイフコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、又は押出成形などの手技を用いて、支持体上にコーティング層として適用することができる。続いて、第1の前駆体組成物を含有するコーティング層(すなわち、第1の前駆体層)を、光開始剤(photoinitator)が存在する場合は化学線に、又は熱反応開始剤が存在する場合は熱に、さらすことができる。化学線又は熱にさらすと、第1の前駆体組成物内の非反応モノマー(例えば、非反応エチレン性不飽和基)の重合がもたらされる。
【0060】
いくつかの実施形態では、支持体上への第1の前駆体組成物の配置の前に、いくつかの重合性材料(例えば、第1の重合性反応混合物中のいくつかの一価のモノマー)を部分重合し、混合物の粘度を上げる。つまり、粘度を上げ、第1の前駆体層の形成に、より容易に扱うことができるシロップ様材料を形成する。多くの場合、低Tg生成アクリルモノマーなどの一価のモノマー及び極性モノマーを、反応開始剤の一部と混合する。添加する反応開始剤の種類に応じて、混合物を化学線又は熱にさらし、一価のモノマーを部分重合する。続いて、架橋剤及び反応開始剤の任意の残存部分を部分重合生成物に添加する。無機粒子が第1の前駆体組成物に含まれる場合、一価のモノマーの部分重合の前又は後のいずれかに添加してよい。続いて、生じた第1の前駆体組成物をコーティング層として支持体上に配置してよい。続いて、コーティング層(すなわち、第1の前駆体層)を、光開始剤(photoinitator)が存在する場合は化学線に、又は熱反応開始剤が存在する場合は熱に、さらすことができる。化学線又は熱にさらすと、第1の前駆体組成物内の非反応モノマー、つまり非反応エチレン性不飽和基の重合がもたらされる。
【0061】
裏材層(例えば、第1のアクリルコポリマー)を形成する重合反応は、多くの場合、不活性環境(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素など)で、つまり空気又は酸素がない、又は空気又は酸素が実質的にない環境で行われる。例えば、窒素、二酸化炭素、又はアルゴンなどの不活性ガスを用いて、第1の前駆体組成物から空気及び酸素を抜くことができる。別の例では、第1の前駆体組成物が、2つの剥離ライナーの間などの2つの別の層の間に位置付けられる時に、重合反応を行ってよい。これらの追加層(例えば、剥離ライナー)は、重合反応中の空気又は酸素への暴露を最小眼にするよう機能することができる。
【0062】
多くの場合、裏材層の厚さは、望まれる引き伸ばし剥離力に基づいて選択される。裏材層の厚さが増大するにつれて、通常、より大きい引き伸ばし剥離力が必要とされる。逆に、裏材層の厚さが減少するほど、低い引き伸ばし剥離力が必要とされる。裏材層の厚さは、例えば、最大40ミル(1.0ミリメートル、つまり1000マイクロメートル)であってよい。本明細書で用いられるとき、用語「ミル」は、0.001インチであり、1ミルは約0.0025センチメートル又は約0.025ミリメートル又は約25マイクロメートルに等しい。多くの実施形態において、厚さは最大30ミル(750マイクロメートル)、最大20ミル(500マイクロメートル)、最大10ミル(250マイクロメートル)、最大8ミル(200マイクロメートル)、最大6ミル(150マイクロメートル)、又は最大5ミル(125マイクロメートル)である。多くの場合、厚さは少なくとも1ミル(0.025ミリメートル、つまり25マイクロメートル)、少なくとも2ミル(50マイクロメートル)、少なくとも3ミル(75マイクロメートル)、又は少なくとも4ミル(100マイクロメートル)である。いくつかの好適な裏材層は、1ミル(25マイクロメートル)〜20ミル(500マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜8ミル(200マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜7ミル(175マイクロメートル)の範囲、2ミル(50マイクロメートル)〜8ミル(200マイクロメートル)の範囲、3ミル(75マイクロメートル)〜6ミル(150マイクロメートル)の範囲、又は4ミル(100マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲の厚さを有する。
【0063】
裏材層、並びに裏材層を含有する接着テープは、破断することなく、第1の方向(例えば、長手方向)に少なくとも50パーセント引き伸ばし(伸長)可能である。いくつかの実施形態では、裏材層及び裏材層を含有する接着テープは、破断することなく、少なくとも100パーセント、少なくとも150パーセント、少なくとも200パーセント、少なくとも300パーセント、少なくとも400パーセント、又は少なくとも500パーセント引き伸ばすことができる。裏材層及び裏材層を含有する接着テープは、多くの場合、破断することなく、最大3000パーセント又は更に大きく、最大1200パーセント、最大1000パーセント、最大800パーセント、最大750パーセント、又は最大700パーセント引き伸ばすことができる。これらの比較的大きい伸長値は、基材に接着された後の接着テープの引き伸ばし剥離を促進する。
【0064】
裏材層のヤング率は、引き伸ばしに対する裏材層の抵抗性を示す指標となり得る。ヤング率は、多くの場合、約10MPa〜約75MPaの範囲である。例えば、ヤング率は20〜75MPaの範囲、20〜60MPaの範囲、20〜50MPaの範囲、又は25〜50MPaの範囲であり得る。ヤング率は、ASTM D790−07又はASTM D882−02の方法を用いて測定できる。
【0065】
裏材層の引張り強度は、裏材層が破断せずに支持可能な荷重の指標であり、裏材層が破断せずにどれだけ遠くまで引き伸ばされ得るかの指標である。引張り強度は、典型的に、約10MPa〜約60MPa又はそれ以上の範囲である。例えば、引張り強度は10〜60MPaの範囲、10〜50MPaの範囲、20〜60MPaの範囲、20〜55MPaの範囲、又は25〜50MPaの範囲である場合がある。引張り強度は、ASTM D882−02の方法を用いて測定できる。
【0066】
感圧性接着層は、裏材層の少なくとも1つの主表面に隣接して位置付けられる。多くの実施形態において、第1の感圧性接着層は裏材層の第1の主表面に隣接して位置付けられ、第2の感圧性接着層は裏材層の第2の主表面に隣接して位置付けられる。裏材層の第2の主表面は、第1の主表面に対向する面である。各感圧性接着剤層は、直接的又は間接的(例えば、介在するプライマー層を介する接着)に裏材層に接着される。各感圧性接着剤層は、裏材層に含まれる第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーを含む。各感圧性接着剤層に含まれる第2のアクリルコポリマーは、多くの場合、粘着付与剤を添加することなく、それ自体が感圧性接着剤である。しかし、粘着付与剤の添加により、各感圧性接着剤層の粘着度を上げることができる。
【0067】
少なくとも1つの感圧性接着剤層は、第2の重合性反応混合物及び無機粒子を含有する第2の前駆体組成物から形成される。第2の重合性反応混合物は、(a)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、エチレン性不飽和基を有する第2の極性一価のモノマーと、を含む第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物のと、を含む。第2の重合性反応混合物のポリマー生成物は、裏材層に含まれる第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーである。無機粒子は第2の前駆体組成物に含まれ、第2のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される。
【0068】
より具体的には、第2の重合性反応混合物は、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性一価のモノマーと、を含む。部分重合生成物は、通常は、部分重合された材料に加えて、重合されていない一価のモノマーを含む。無機粒子は、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき、又は第2のアクリルコポリマー(第2の重合性反応混合物のポリマー生成物である)の重量に基づき最大25重量パーセントの量で存在する。
【0069】
第2の重合性反応混合物は第2の架橋剤を含む。好適な架橋剤は、裏材層の形成に第1の重合性反応混合物で用いたものと同じであってよい。しかし、多くの実施形態において、第2の架橋剤は500グラム/モル未満の平均分子量を有する。つまり、第2の架橋剤は通常、高分子材料というよりは非高分子材料である。更に、第2の架橋剤は、多くの場合、2〜4つの(メタ)アクリロイル基を有する。多くの例では、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基である。代表的な第2の架橋剤としては、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレン(tetraethlyene)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート変性カプロラクトン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
第2の架橋剤は、典型的には、感圧性接着剤層の貼着性強化のために添加される。基材から取り外すために接着テープを引き伸ばすとき、良好な貼着力を有する接着剤層が、基材の表面上に残留物を残す可能性がより低い。しかし、添加される架橋剤が多すぎる場合、層は適合性がより低くなる傾向があり、感圧性接着剤として機能しない場合がある。第2の重合性反応混合物中の第2の架橋剤の量は、多くの場合、架橋剤の分子量及び架橋に利用できる反応部位の数に基づいて選択される。第2の架橋剤は、多くの場合、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量で存在する。第2の架橋剤の量は、多くの場合、第2の重合性反応混合物中のモノマーの総重量に基づき最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、最大10重量パーセント、又は最大5重量パーセントである。第2の架橋剤は、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.02重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも0.75重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、又は少なくとも2重量パーセントに等しい量で存在してよい。いくつかの例では、第2の重合性反応混合物中の架橋剤は、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき0.01〜25重量パーセントの範囲、0.01〜15重量パーセントの範囲、0.01〜10重量パーセントの範囲、0.01〜5重量パーセントの範囲、0.05〜5重量パーセントの範囲、0.1〜5重量パーセントの範囲、0.01〜2重量パーセントの範囲、0.1〜2重量パーセントの範囲、又は0.01〜1重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0071】
第2の架橋剤に加え、第2の重合性反応混合物は、(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含む。第2の一価のモノマー混合物は、1)少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)エチレン性不飽和基を有する第2の重合モノマーと、の両方を含む。
【0072】
第2の一価のモノマー混合物中のアルキル(メタ)アクリレートは、通常、ガラス転移温度(Tg)及び第2のアクリルコポリマーの貯蔵弾性率を制御するために添加される。感圧性接着剤層を用意するため、第2のアクリルコポリマーのTgは、通常、室温未満(例えば、25℃未満又は20℃未満)であり、貯蔵弾性率はDahlquist基準を下回る。
【0073】
アルキル(メタ)アクリレートは、多くの場合、アルキルアクリレートである。アルキルアクリレートは、アクリル酸と一価アルコールの反応生成物であることができる。アルコールは、通常、三級アルキルアルコールではない。好適なアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、多くの場合、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも6個の炭素原子、又は少なくとも8個の炭素原子であるアルキル基を有する。例えば、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、多くの場合、4〜20個の炭素原子、4〜18個の炭素原子、4〜16個の炭素原子、4〜14個の炭素原子、4〜12個の炭素原子、又は4〜10個の炭素原子を有する。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖状、環状、又はこれらの組み合わせであってよく、任意にフェニルなどのアリール基で置換されてもよい。代表的なアルキル(メタ)アクリレートとして、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−メチルブチルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、及びドデシルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合、2つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、感圧性接着剤層の形成に用いられる第2の重合性反応混合物中に含まれる。例えば、第2の重合性反応混合物は、2つ、3つ、4つ、又は更にはそれ以上の、少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有することができる。
【0074】
アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、多くの場合、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量で存在する。例えば、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントに等しい量で存在してよい。アルキル(メタ)アクリレートの量は、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき最大99重量パーセント、最大95重量パーセント、最大90重量パーセント、最大85重量パーセント、又は最大80重量パーセントであってよい。いくつかの例では、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、40〜99重量パーセントの範囲、50〜99重量パーセントの範囲、50〜95重量パーセントの範囲、60〜95重量パーセントの範囲、60〜90重量パーセントの範囲、70〜95重量パーセントの範囲、又は70〜90重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0075】
第2の一価のモノマー混合物中の第2の極性モノマーは、通常、裏材層への接着の強化、極性表面を有する基材への接着性をもたらし、感圧性接着剤層の貼着力増強のために添加される。第2の一価のモノマー混合物に含まれる代表的な第2の極性モノマーは、上記の第1の一価のモノマー混合物で用いるものと同じである。第2の極性モノマーは、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量で存在してよい。多くの実施形態において、第2の極性モノマーは、最大35重量パーセント、最大30重量パーセント、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、又は最大10重量パーセントの量で存在する。第2の重合性反応混合物は、多くの場合、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、又は少なくとも5重量パーセントの第2の極性モノマーを含有する。第2の極性モノマーは、例えば、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき1〜40重量パーセントの範囲、1〜35重量パーセントの範囲、1〜30重量パーセントの範囲、1〜25重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、1〜15重量パーセントの範囲、2〜15重量パーセントの範囲、5〜20重量パーセントの範囲、又は5〜15重量パーセントの範囲で存在してよい。
【0076】
第2のモノマー混合物に添加できる極性モノマーの量は、使用される特定の極性モノマーによって、ある程度決まる。例えば、極性モノマーがアクリル酸、メタクリル酸、又はイタコン酸などの酸性モノマーの場合、添加量は通常、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、又は5重量パーセント以下である。一方、ビニルカプロラクトン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アルキルアクリルアミド、アルコキシル化アルキルアクリレート、及びポリ(アルキレンオキシド)アクリレートなどの極性モノマーは、通常最大40重量パーセントの量で使用されてよい。
【0077】
第2の重合性反応混合物は、通常、フリーラジカル重合開始剤を更に含む。任意の既知のフリーラジカル重合反応用反応開始剤を使用できる。第1の重合性反応混合物で使用するのに説明した同じ反応開始剤及び量を、第2の重合性反応混合物に含んでよい。
【0078】
各感圧性接着剤層は、第2の重合性反応混合物のポリマー生成物である第2のアクリルコポリマー中に懸濁又は分散される無機粒子を含有する。無機粒子を感圧性接着剤層に添加すると、この層の貼着力が増し、ゴム状の平坦部弾性率が増加する傾向がある。驚くべきことに、無機粒子を添加すると、接着テープが取り外しのために引き伸ばされるとき、基材上に残る残留物が減少する。つまり、無機粒子の存在下で、接着剤層の粘着度が、引き伸ばしとともに減少する傾向がある。
【0079】
裏材層での使用に説明した同じ種類と量の無機粒子を、各感圧性接着剤層で用いてよい。多くの実施形態において、無機粒子は、ヒュームドシリカ又はシリカエアロゲル粒子などのシリカである。任意の好適な方法を用いて、無機粒子を第2の重合性反応混合物に添加、及び第2の重合性反応混合物と混合することができる。
【0080】
感圧性接着剤層は、例えば、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき、又は第2のアクリルコポリマーの重量に基づき、最大25重量パーセントの無機粒子を含んでよい。例えば、感圧性接着剤層は、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、最大10重量パーセント、又は最大5重量パーセントの無機粒子を含有することができる。感圧性接着剤層は、多くの場合、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、又は少なくとも10重量パーセントの無機粒子を含む。例えば、無機粒子の量は、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき、又は第2のアクリルコポリマーの重量に基づき、1〜25重量パーセントの範囲、1〜20重量パーセントの範囲、2〜20重量パーセントの範囲、1〜15重量パーセント、1〜10重量パーセントの範囲、又は2〜10重量パーセントの範囲であってよい。
【0081】
第2の重合性反応混合物の重合により形成される第2のアクリルコポリマーは、典型的には、感圧性接着剤物質であるが、粘着付与剤を第2の前駆体組成物に添加してもよい(すなわち、第2の前駆体組成物は、第2の重合性反応混合物と、無機粒子と、粘着付与剤と、を含んでよい)。感圧性接着剤組成物に典型的に含まれる任意の粘着付与剤を使用してよい。固体又は液体粘着付与剤のいずれかを使用してよい。固体粘着付与剤は、一般には、10,000グラム/モル以下の数平均分子量(Mn)、及び約70℃を超える軟化点を有する。液体粘着付与剤は、約0℃〜約70℃の軟化点を有する粘稠な物質である。固体粘着付与樹脂が一般的に好ましい。
【0082】
好適な粘着付与樹脂として、ロジン及びその誘導体(例えばロジンエステル)、ポリテルペン及び芳香族修飾ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、並びに、炭化水素樹脂、例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族修飾炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、及びジシクロペンタジエン系樹脂が挙げられる。添加される場合、これらの粘着付与樹脂は、多くの場合、水素添加され、感圧性接着剤層への色寄与を低下させる。
【0083】
添加される場合、粘着付与剤は、多くの場合、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大約40重量パーセントの量で存在する。粘着付与剤は、例えば、最大35重量パーセント、最大30重量パーセント、最大25重量パーセント、最大20重量パーセント、最大15重量パーセント、又は最大10重量パーセントの量で存在してよい。いくつかの第2の前駆体組成物は、1〜40重量パーセント、5〜40重量パーセント、10〜40重量パーセント、又は5〜30重量パーセントの粘着付与剤を含有する。
【0084】
典型的には、第2の重合性反応混合物に添加される溶媒はない。つまり、第2の重合性反応混合物は、通常、市販元から得られるモノマー中に存在する場合がある有機溶媒の量のみ含有する。いくつかの実施形態では、第2の重合性反応混合物は、有機溶媒を含まないか、有機溶媒を実質的に含まない。本明細書で使用されるとき、第2の重合性反応混合物中の有機溶媒に関する用語「実質的に含まない」又は「実質的にない」は、有機溶媒が、重合性材料又は重合された材料の重量に基づき5重量パーセント未満、4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満の量で存在することを意味する。
【0085】
第2の前駆体組成物は、第2の重合性反応混合物と、無機粒子と、を含む。第2の重合性反応混合物は、(a)第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含む。いくつかの代表的な第2の前駆体組成物は、0.01〜25重量パーセントの範囲の量で第2の架橋剤を含む。第2の一価のモノマー混合物は、多くの場合、a)40〜99重量パーセントの範囲の量のアルキル(メタ)アクリレートと、b)1〜40重量パーセントの範囲の量の極性モノマーと、を含む。反応開始剤は、多くの場合、0.01〜5重量パーセントの範囲の量で存在する。無機粒子は、多くの場合、1〜25重量パーセントの範囲の量で存在する。これらの重量パーセント値は全て、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づいている。重合性材料は、架橋剤と、重合されていない任意の一価のモノマーと、任意の部分重合された材料と、を含む。
【0086】
第2の前駆体組成物のより詳細な例では、第2の架橋剤は、0.01〜10重量パーセントの範囲の量で存在し、第2の一価のモノマー混合物は、60〜95重量パーセントの範囲の量のアルキル(メタ)アクリレートを含み、極性モノマーは、5〜20重量パーセントの範囲の量で存在する。反応開始剤は、0.01〜2重量パーセントの範囲の量で存在する。無機粒子は、1〜20重量パーセントの範囲の量で存在する。これらの重量パーセント値は全て、第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づいている。
【0087】
この第2の前駆体組成物を支持体又は別の層の上に配置し、続いて重合して感圧性接着剤層を形成することができる。剥離ライナーなどの支持体、又は裏材層などの別の層の上に第2の前駆体組成物を配置する任意の方法を使用することができる。例えば、第2の前駆体組成物を、ナイフコーティング、ダイコーティング、又は押出成形などの手技を用いて、支持体又は別の層上にコーティング層として適用することができる。続いて、第2の前駆体組成物を含有するコーティング層(すなわち、第2の前駆体層)を、光開始剤(photoinitator)が存在する場合は化学線に、又は熱反応開始剤が存在する場合は熱にさらすことができる。化学線又は熱にさらすと、第2の前駆体組成物内で、任意の残存する重合性材料の重合(すなわち、非反応エチレン性不飽和基の重合)がもたらされる。
【0088】
いくつかの実施形態では、支持体(例えば、剥離ライナー)又は別の層(例えば、裏材層)上への第2の前駆体組成物の配置に先立って、第2の重合性反応混合物に含まれるいくつかのモノマーを部分重合し、第2の重合性反応混合物の粘度を上げる。この粘度は多くの場合、シロップ様材料に相当するまで増加する。多くの場合、アルキル(メタ)アクリレートモノマーなどの一価のモノマー及び極性モノマーを、フリーラジカル重合開始剤の一部と混合する。添加する反応開始剤の種類に応じて、混合物を化学線又は熱にさらし、一価のモノマーを部分重合する。続いて、架橋剤及び反応開始剤の任意の残存部分を部分重合生成物に添加する。第2の前駆体組成物中の無機粒子は、一価のモノマーの部分重合の前又は後のいずれかに添加してよい。続いて、生じた第2の前駆体組成物をコーティング層(すなわち、第2の前駆体層)として配置してよい。続いて、コーティング層を、光開始剤(photoinitator)が存在する場合は化学線に、又は熱反応開始剤が存在する場合は熱にさらすことができる。化学線又は熱にさらすと、第2の前駆体組成物内で重合性材料の反応がもたらされる。
【0089】
任意の好適な厚さを、1つ又は複数の感圧性接着剤層に使用することができる。多くの実施形態において、それぞれの感圧性接着剤層は、20ミル(500マイクロメートル)以下、10ミル(250マイクロメートル)以下、5ミル(125マイクロメートル)以下、4ミル(100マイクロメートル)以下、3ミル(75マイクロメートル)、又は2ミル(50マイクロメートル)以下の厚さを有する。感圧性接着剤層の厚さは、多くの場合、少なくとも0.5ミル(12.5マイクロメートル)又は少なくとも1ミル(25マイクロメートル)である。例えば、感圧性接着剤層の厚さは、0.5ミル(2.5マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、0.5ミル(5マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、0.5ミル(12.5マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜3ミル(75マイクロメートル)の範囲、又は1ミル(25マイクロメートル)〜2ミル(50マイクロメートル)の範囲であってよい。
【0090】
裏材層及び少なくとも1つの感圧性接着剤層を含有する接着テープは、任意の好適な方法で形成できる。いくつかの実施形態では、裏材層は、感圧性接着剤層と別に調製される。裏材層の調製後、少なくとも1つの、別に形成された感圧性接着剤層を、裏材層の主表面に積層することができる。多くの場合、第1の感圧性接着剤層は裏材層の第1の主表面に積層され、第2の感圧性接着剤層は裏材層の第2の主表面(すなわち、第1の主表面の反対側)に隣積層される。つまり、接着テープを、第1の感圧性接着剤層−裏材層−第2の感圧性接着剤層の順で配列する。
【0091】
この構成体は、多くの場合、裏材用剥離ライナーで支持される裏材層を、第1の剥離ライナーで支持される第1の感圧性接着剤層へ積層することにより、調製される。積層は、典型的には、結果として得られる、第1の剥離ライナー−第1の感圧性接着剤層−裏材層−裏材層用剥離ライナーの構造に加圧することにより達成される。積層後、裏材層用剥離ライナーを外し、露出した裏材層を、第2の剥離ライナー上に支持される第2の感圧性接着剤層に積層する。再び、典型的には、結果として得られる、第1の剥離ライナー−第1の感圧性接着剤層−裏材層−第2の感圧性接着剤層−第2の剥離ライナーの構造に加圧することにより積層を達成する。
【0092】
他の実施形態では、裏材層をシートとして調製し、続いて、第2の前駆体組成物を、予め形成した裏材層の少なくとも1つの表面に適用する。つまり、裏材層は、第2の前駆体組成物の配置の支持体として機能する。裏材層に接触している間に、第2の前駆体組成物を重合し、第1の感圧性接着剤層を形成する。接着テープが2つの感圧性接着剤層を有する場合は、別に形成された感圧性接着剤層の積層によって、第2の感圧性接着剤層を、裏材層のもう一方の主表面(すなわち、第2の主表面)に隣接させて位置付けることができる。別の方法としては、別の第2の前駆体組成物を裏材層の別の主表面に適用し、裏材層に接触している間に、重合して第2の感圧性層を形成することができる。この代替実施形態では、第1の感圧性接着剤層は、多くの場合、第1の剥離ライナーに隣接して位置付けられる。
【0093】
第2の前駆体組成物から少なくとも1つの感圧性接着剤層を形成するのに用いられる重合反応は、多くの場合、不活性環境(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素など)で、つまり空気又は酸素がない、又は空気又は酸素が実質的にない、環境で行われる。例えば、不活性ガスを用いて、前駆体組成物から空気及び酸素を抜くことができる。別の方法としては、前駆体組成物が、裏材層と剥離ライナーとの間などの2つの表面の間に位置付けられる時に、重合反応及び架橋反応を行ってよい。この2つの別の表面は、重合反応中の空気又は酸素への暴露を最小眼にするよう機能する。
【0094】
更に別の実施形態では、裏材層の前駆体(すなわち、第1の前駆体組成物)が感圧性接着剤層用前駆体(すなわち、第2の前駆体組成物)に隣接するよう配置され、その後、前駆体層が硬化される(すなわち、重合される及び/又は架橋される)。第1の前駆体組成物の硬化及び第2の前駆体組成物の硬化は、連続的に行っても、同時に行ってもよい。連続的構成では、第1の前駆体組成物の層を硬化して裏材層を形成し、続いて第2の前駆体組成物でコーティングし、その後硬化して第1の感圧性接着剤層を形成してもよい。同時構成では、両方の層を剥離ライナーなどの支持体上に配置し(例えば、押出し又はコーティング)、同時に硬化することができる。同時構成又は連続的構成のいずれかを、連続プロセスで実施してもよい。
【0095】
接着テープが2つの感圧性接着剤層を含む場合、3つの前駆体組成物を、互いに隣接するよう押出し、同時に硬化することができる。例えば、第1の前駆体組成物を、押出成形法を用いて、2つの第2の前駆体組成物間に位置付けることができる。第2の前駆体層のうちの1つを、剥離ライナーなどの支持体に隣接させることができる。第2の剥離ライナーを、別の第2の前駆体組成物に隣接して位置付けることができる。熱又は化学線にさらすことにより、3つの層を同時に硬化してよい。得られる硬化構造は、2つの剥離ライナー間に接着テープを含み、第1の剥離ライナー−第1の感圧性接着剤層−裏材層−第2の感圧性接着剤層−第2の剥離ライナーの順で配列される。
【0096】
接着テープ中の様々な層は、多くの場合、化学線を用いて硬化される(すなわち、様々な前駆体組成物は光開始剤を含む)。好適な化学線としては、赤外線領域、可視領域、紫外線領域、又はそれらの組み合わせでの電磁放射線が挙げられる。光開始剤は、多くの場合紫外線に曝露することにより活性化される。当該技術分野において既知の全ての紫外線源を使用することができる。好適な紫外線源としては、水銀アーク、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、プラズマアーク、紫外線バックライト、紫外線発光ダイオード及び紫外線発光レーザが挙げられるがこれらに限定されない。多くの場合、比較的低い光度を有する光源が好ましい。
【0097】
より具体的な代表的な方法では、第1の前駆体組成物を含有する第1の前駆体層を用意することにより、第1の前駆体層の第1の主表面に隣接して位置付けられる第2の前駆体組成物を含有する第2の前駆体層を用意することにより、及び、第1の前駆体層の第2の主表面に隣接して位置付けられる第2の前駆体組成物を含有する第3の前駆体層を用意することにより、接着テープを作製してよい。つまり、第2の前駆体層及び第3の前駆体層の両方が、第2の前駆体組成物を含む。この方法は、第1の前駆体層、第2の前駆体層、及び第3の前駆体層を化学線に暴露し、第1の前駆体層を重合して、第1のアクリルコポリマーを含む裏材層を形成し、第2の前駆体層を重合して、第2のアクリルコポリマーと、第2のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子と、を含む第1の感圧性接着剤層を形成し、第3の前駆体層を重合して、第2のアクリルコポリマーと、第2のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子と、を含む第2の感圧性接着剤層を形成することを更に含む。第1の前駆体組成物は、第1の重合性反応混合物を含み、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、第1の一価のモノマー混合物は、1)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、(c)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき最大5重量パーセントの量の第1の光開始剤と、を含有する。第2の前駆体組成物はそれぞれ、第2の重合性反応混合物及び無機粒子を含む。第2の重合性反応混合物は、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2のアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、(c)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の重量に基づき最大5重量パーセントの量の第2の光開始剤と、を含有する。この方法では、3つの層(例えば、第1の前駆体層、第2の前駆体層、及び第3の前駆体層)は、多くの場合、化学線で同時に硬化される。しかし、1つ又は2つの層を、任意の残りの層の適用及び硬化前に硬化してもよい。
【0098】
硬化前に2つの前駆体組成物が互いに隣接する位置にある場合、1つの前駆体組成物の別の前駆体内への拡散を最小限にするように、各層の粘度は十分に高くなくてはならない。拡散により、各層の組成が変化する傾向がある。各層の組成物は異なる機能をもたらすように選択されているため、多くの場合、この組成物を維持するのが望ましい。しかし、層間接着のために、層間にいくらかの拡散があることが望ましい場合もある。
【0099】
任意の好適な剥離ライナーを用いて、接着テープを調製する、又は一時的に接着剤層を保護してもよい。好適な剥離ライナーとしては、紙(例えば、クラフト紙)及び高分子フィルムが挙げられる。多くの用途で、高分子フィルムが好ましい。剥離ライナーとして使用される高分子フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、又はポリエチレン若しくはポリプロピレンのようなポリオレフィン、又はこれらの組み合わせから形成することができる。いくつかの剥離ライナーの表面を、剥離剤、例えば、シリコーン、フルオロシリコーンなどのフッ素性化学物質、又はその他低表面エネルギー材料で処理してよい。好適な剥離ライナー及びライナーの処理方法は、例えば、米国特許第4,472,480号(Olson)、同第4,980,443号(Kendziorski)、及び同第4,736,048号(Brownら)に更に記載されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、感圧性接着剤層の外側表面(すなわち、裏材層の反対側の感圧性接着剤層の表面)に、微細構造化表面を付与することが望ましい場合もある。微細構造化表面は、積層中の空気の放出を促進する傾向がある。感圧性接着剤層上に微細構造化表面を有するのが望ましい場合、微細構造化機構を含むツール又はライナー(例えば、剥離ライナー)と接触させながら、この層を形成することができる。前駆体組成物を硬化し、感圧性接着剤層を形成した後、次いでライナー又はツールを外して、微細構造化表面を有する接着剤フィルムを露出する。光学的用途においては一般に、光学的特性との干渉を防ぐため、微細構造は時間と共に消失することが望ましい。
【0101】
多くの実施形態において、接着テープは両面接着テープである。調製されるように、接着テープは、多くの場合、第1の感圧性接着剤層に隣接する第1の剥離ライナー、及び、第2の感圧性接着剤層に隣接する第2の剥離ライナーを有する。接着テープを使用するため、基材などの別の表面に接着するため、各剥離ライナーを外して圧力接着剤層を露出することができる。裏材層は、多くの場合、第1及び第2の感圧性接着剤層に直接的に接触する。別の方法としては、プライマー層などの別の層で、裏材層を感圧性接着剤層から分離してもよい。
【0102】
別の態様では、物品を用意する。一実施形態では、物品は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられた接着テープと、を含む。接着テープは、第1の基材を第2の基材に連結する。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、第1のアクリルコポリマーを含む。裏材層中の第1のアクリルコポリマーは、第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物であり、(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含有し、第1の一価のモノマー混合物は、1)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、2)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の極性モノマーと、を含有する。第1の感圧性接着剤層及び第2の圧力接着剤層はそれぞれ、(1)第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、(2)第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に懸濁又は分散される無機粒子と、を含有する。第2のアクリルコポリマーは、第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物であり、(a)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、含有し、第2の一価のモノマー混合物は、1)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、2)第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含有する。
【0103】
第2の実施形態では、物品は、第1の基材と、第1の基材に接着された接着テープと、を含む。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層及び第1の感圧性接着剤層は、上述したものと同じである。
【0104】
これらの実施形態では、各感圧性接着剤層は無機粒子を含む。裏材層は、任意に無機粒子を含んでよい。任意の好適な基材を、それぞれの感圧性接着剤層に接着することができる。基材は、任意の所望の機能をもたらすことができ、任意の好適な材料から形成することができ、任意の所望の可撓性又は剛性を有することができ、任意の所望のサイズ、形状、厚さ、又はアスペクト比を有することができる。基材は単層であってもよく、支持層、プライマー層、ハードコート層(例えばアクリル系又はポリウレタン)、装飾デザインなどのような材料の多重層を含んでもよい。一方の基材又は両方の基材が、別の物品の外側の表面の層であってもよい。一方の基材又は両方の基材は、高分子材料、ガラス材料、セラミック材料、金属含有材料(例えば、金属又は金属酸化物又は金属合金)、又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な材料を含有することができる。
【0105】
基材に使用される代表的な金属、金属酸化物、又は金属合金として、酸化インジウムスズ、チタン、ニッケル、スチール、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、銀、金、プラチナ、鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は、導電性材料又は絶縁性材料であってよい。基材に使用できる高分子材料の代表例としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリプロピレン、又はポリノルボルネンなどのポリ(環状オレフィン)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、セルローストリアセテート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エポキシ、ナイロンなどが挙げられる。
【0106】
2つの接着剤層を持つ接着テープは光学的に透明であってよく、多くの場合光学的に透明である。第2の基材が第1の基材及び第2の基材の両方を通して見えるように、光学的に透明な接着テープを例えば第1の基材と第2の基材との間に位置付けることができる。第2の基材は、好ましくは、第1の基材及び光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープの両方を通して、歪みなく見ることができる。第2の基材及び第1の基材は、例えば、光学的に連結され得る。本明細書で用いられる用語「光学的に連結される」とは、第1の基材と第2の基材との間のあらゆる空隙が除去されることを意味する。空隙は、基材間の屈折率の不一致をもたらす場合がある。基材の光学的連結は、多くの場合、輝度の強化及びコントラストの強化をもたらす。更に、基材の連結は、構造的支持の増加をもたらすことができる。
【0107】
光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープと組み合わせて用いられる少なくとも1つの基材は、多くの場合、光学的に透明であるか、透明であるように選択される。基材は、例えば、可撓性、剛性、強度若しくは支持、反射性、反射防止性、偏光性、又は透過性(例えば、異なる波長に対して選択的に)をもたらすなど、様々な機能を有し得る。即ち、基材は可撓性又は剛性、反射性又は非反射性、目に見えて透明であるか、着色されているが透明である、又は不透明である(例えば、透過性でない)、導電性又は絶縁性、及び偏光又は非偏光であり得る。結果的に得られる物品は、光学素子であってよく、又は光学素子を調製するために使用されてもよい。本明細書で使用される用語「光学素子」とは、光学的効果又は光学的用途を有する物品又は構成要素を指す。光学素子は、例えば、電子ディスプレイ、投射装置若しくはアプリケーション、フォトニクス装置若しくはアプリケーション、又はグラフィック装置若しくはアプリケーションに使用することができる。
【0108】
これらの装置又はアプリケーションのいくつかでは、第1の基材及び第2の基材は、多くの場合、ディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ)、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム、又は多層光学フィルムから独立して選択される。代表的な基材として、液晶ディスプレイ、エレクトロウェッティングディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極線管、又はタッチセンサーなどの電子ディスプレイの外側表面が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
より具体的には、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられた引き伸ばし剥離可能な接着テープと、を含む物品が用意される。第1の基材及び第2の基材は、ディスプレイ、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム、又は多層光学フィルムからそれぞれ独立して選択される。引き伸ばし剥離可能な接着テープは光学的に透明であり、第1の基材を第2の基材に連結する。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、(A)第1のアクリルコポリマーを含有する裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層であって、各感圧性接着剤層が第2のアクリル化合物と、第2のアクリル化合物に分散又は懸濁される無機粒子と、を含む接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含む。ツメは、裏材層の一部を含むか、裏材層に取り付けられている。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。例えば、接着テープの長さは、破断せずに少なくとも50パーセント増加することができる。
【0110】
いくつかの用途では、第1の基材は、情報ディスプレイ装置の部分である第2の基材に連結された保護層である。保護層は、保護フィルム、ガラスの層、ポリカーボネートの層などであってよい。保護層は、例えば、情報ディスプレイ装置のカバーレンズとして機能することができる。情報ディスプレイ装置の例としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロント及びリアプロジェクションディスプレイ、陰極線管及び標識を含む、広範な表示域構成を有する装置が挙げられる。このような表示域構成を、携帯情報端末、携帯電話、タッチスクリーン、腕時計、カーナビゲーションシステム、グローバルポジショニングシステム、測深器、計算機、電子書籍、CD又はDVDプレーヤー、投射型テレビスクリーン、コンピュータモニタ、ノートパソコンのディスプレイ、計器、計器パネルカバー、又はグラフィックディスプレイのような看板等を含む、種々の持ち運び可能な及び持ち運びできない情報ディスプレイ装置で使用することができる。いくつかの用途では、全ての空隙が除去された剛性カバーとディスプレイ画面との間の結合は、表示される画像の質を向上することができる。
【0111】
いくつかの特定の用途では、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、情報ディスプレイ装置と、ガラス又はポリカーボネートで調製されたカバーレンズとを連結することができる。すなわち、物品は、カバーレンズ−光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−情報ディスプレイ装置の構成体を有することができる。より具体的には、物品は、カバーレンズ−第1の光学的に透明な接着剤層−裏材層−第2の光学的に透明な接着剤層−情報ディスプレイ装置の順序で配列され得る。情報ディスプレイ装置は、カバーレンズと、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープとの両方を通して見ることによって目視できる。例えば、第1の基材がカバーレンズであり、第2の基材が液晶ディスプレイである場合がある。液晶ディスプレイの外側表面は、多くの場合、偏光器である。他の例では、第1の基材がカバーレンズであり、第2の基材が、主にガラスである外側表面を伴うエレクトロウェッティングディスプレイである場合がある。
【0112】
光学的に透明な接着テープを用いて、2つより多くの基材を1つに連結することができる。すなわち、物品は、2つより多くの基材及び2つ以上の光学的に透明な接着テープを含むことができる。例えば、物品は、第1の基材−第1の光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第2の基材−第2の光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第3の基材という順序で配列され得る。より具体的には、物品は、第1の基材−第1の光学的に透明な接着剤層−第1の裏材層−第2の光学的に透明な接着剤層−第2の基材−第3の光学的に透明な接着剤層−第2の裏材層−第4の光学的に透明な接着剤層−第3の基材という順序で配列されることになる。第3の基材は、第1の基材、第1の光学的に透明な接着剤層、第2の基材、及び第2の光学的に透明な接着剤層を通して見ることによって目視することができる。例えば、第1の基材はカバーレンズである場合があり、第2の基材はタッチパネルである場合があり、第3の基材は液晶ディスプレイのような情報ディスプレイ装置である場合がある。タッチパネルは、多くの場合、ガラス、ポリエステル、又はインジウムスズ酸化物の外側表面を有する。
【0113】
あるいは、光学的に透明な接着テープを用いて2つの基材を1つに連結し、別の光学的に透明な接着剤を用いて追加的な基材を接合することができる。例えば、物品は、第1の基材−光学的に透明な接着剤−第2の基材−光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第3の基材という順序で配列され得る。具体的な例として、第1の基材はカバーレンズである場合があり、第2の基材はタッチパネルである場合があり、第3の基材は液晶ディスプレイのような情報ディスプレイ装置である場合がある。この実施形態は、情報ディスプレイ装置をほかの物品に連結するためだけに、引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用する。より安価な構成要素は、引き伸ばし剥離可能でない接着剤を使用して連結することができる。
【0114】
他の用途では、基材の少なくとも1つは光学フィルムである。任意の好適な光学フィルムを物品に使用することができる。本明細書で使用するとき、用語「光学フィルム」は、光学的効果を生み出すために使用できるフィルムを指す。光学フィルムは通常、単層又は複層であり得る、ポリマー含有フィルムである。いくつかの光学フィルムは、異なる屈折率を有するポリマー材質を交互に重ねた層を有する。他の光学フィルムは、ポリマー層と金属含有層とを交互に重ねた層を有する。光学フィルムは可撓性であり、好適な任意の厚さにすることができる。光学フィルムは、多くの場合、電磁スペクトルの一部の波長(例えば、電磁スペクトルの可視紫外線範囲、赤外線範囲の波長、又は無線周波数範囲)に対して、少なくとも部分的に透過性、反射性、反射防止性、偏光性、光学的に透明、又は拡散性である。代表的な光学フィルムには、可視光鏡面フィルム、カラー鏡面フィルム、太陽光反射フィルム、赤外線反射フィルム、紫外線反射フィルム、反射偏光フィルム(輝度上昇フィルム及びデュアル輝度上昇フィルムを含む)、吸収性偏光フィルム、光学的に透明なフィルム、色つきフィルム、及び反射防止性フィルムが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な光学フィルムについては、米国特許第6,049,419号(Wheatleyら)、第5,882,774号(Jonzaら)、第6,049,419号(Wheatleyら)、RE第34,605号(Schrenkら)、第5,579,162号(Bjornardら)、及び第5,360,659号(Arendsら)に更に説明されている。
【0115】
引き伸ばし剥離可能な接着テープと連結された2つの基材を含む物品は、耐久性であることができる。本明細書で使用されるとき、用語「耐久性」は、物品を高温(例えば、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、又は少なくとも85℃)、又は高湿条件(例えば、少なくとも70パーセント相対湿度、少なくとも75パーセント相対湿度、少なくとも80パーセント相対湿度、少なくとも85パーセント相対湿度、又は少なくとも90パーセント相対湿度)にさらしても層間剥離がないことを意味する。高い温度及び相対湿度の条件を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、又は少なくとも7日間、維持することができる。例えば、物品を、60℃及び90パーセント相対湿度、又は85℃及び85パーセント相対湿度のような条件に、層間剥離なく1週間さらすことができる。接着テープが光学的に透明な多くの実施形態では、接着テープは、高い温度及び湿度条件に曝露された後でさえ光学的に透明に維持される。例えば、曇りは5以下に維持することができ、視感透過率は少なくとも90パーセントであることができる。好ましくは、高い温度及び湿度条件に曝されることにより物品内に気泡は形成されず、光学的歪みも生じない。
【0116】
加えて、接着テープ又は感圧性接着剤層は、好ましくは、高い温度及び湿度条件に曝露されたときに黄変しない。すなわち、接着テープは、長期間にわたって紫外線に対する抵抗性を有することができる。なお更に、接着テープは、湿気に曝露される条件下で使用することができる。接着剤は、多くの場合、屋内及び屋外両方の用途に使用することができる。
【0117】
両面接着テープは、2つの基材に接着した後に(すなわち、接着テープは2つの基材間に位置づけることができる)、接着テープの裏材層及び接着剤層を引き伸ばすことによって、一方又は両方の基材から剥離することができる。剥離された後、接着テープを2つの基材の間から取り外し、基材を互いに分離することができる。接着テープは、第2の感圧性接着剤を第2の基材から完全に剥離する前に、第1の感圧性接着剤層を第1の基材から剥離できるように構成することができる。すなわち、接着テープは、第1の基材から、及び第2の基材からの制御された順序の剥離をもたらすように構成することができる。これは、多くの場合、第1の感圧性接着剤と第2の感圧性接着剤に含まれるアクリルコポリマーの組成を変化させることによって達成することができる。あるいは、これは、米国特許第6,001,471号(Briesら)に記載されているように、感圧性接着剤層の1つに非接着域を有することによって達成することができる。
【0118】
2つの基材を接着テープで連結する工程は、それぞれの接着剤層に隣接する剥離ライナーを含む形態で接着テープを用意することを含み得る。すなわち、接着テープは、第1の剥離ライナー−第1の接着剤層−裏材層−第2の接着剤層−第2の剥離ライナーという順序で配列された層の構成体として用意され得る。第1の剥離ライナーを取り外して、第1の接着剤層を曝露することができる。次に、曝露された第1の接着剤層を第1の基材に隣接させて位置づけ、第1の基材に直接又は間接に接着することができる。次に、第2の剥離ライナーを取り外して、第2の接着剤層を曝露することができる。次に、曝露された第2の接着剤層を第2の基材に隣接させて位置づけ、第2の基材に直接又は間接に接着することができる。
【0119】
両面接着テープは、2つの基材に接着した後に(すなわち、接着テープは2つの基材間に位置づけることができる)、接着テープの裏材層及び接着剤層を引き伸ばすことによって、一方又は両方の基材から剥離することができる。剥離された後、接着テープを2つの基材の間から取り外し、基材を互いに分離することができる。例えば、接着テープは、2つの基材の連結に欠陥がある場合に、引き伸ばしによって剥離することができる。製作中の欠陥は、2つの基材の不整合、2つの基材間への気泡の入り込み、又は模様若しくは皺の形成の結果である場合がある。あるいは、基材は分離して、基材のうち少なくとも1つを再使用することができる。典型的に、引き伸ばし剥離接着テープは、基材間から、視認できる接着剤残留物をどちらの基材にも残さず又はどちらの基材にもほとんど残さずに、きれいに取り外すことができる。加えて、引き伸ばし剥離接着テープは、通常、いずれの基材の外観、機能、又は性能も損なわずに取り外すことができる。
【0120】
また、装置の耐用期間にわたって、交換又はリサイクルのために基材のうちの1つを取り外すことが望まれる場合は、基材間の接着テープを引き伸ばし剥離することによって2つの基材を分離することができる。それらの基材は、いずれの基材も損なわずに分離することができる。これは、基材の一方又は両方を損なう場合のある応力レベルを典型的に導入する他の多くの分離方法に勝る利点である。そのような分離は、多くの既知の感圧性接着剤では非常に困難である場合がある。
【0121】
いくつかの用途では、引き伸ばし剥離プロセスを助けるために巻き取り用具を使用して、2つの基材間からの接着テープの取り外しを促進することが望ましい場合がある。そのような巻き取り用具は、接着テープのツメを付着させる円筒のような、ごく単純なものである場合がある。巻き取り用具を回転し、接着テープが引き伸ばされるにつれて巻き取られるようにすることができる。そのようなプロセスでは、十分な幅の電動ローラーを用いて機械化することにより、ツメの全幅を同時にかつ滑らかに引いて、ゼロ度剥離によって基材から接着テープを取り外すことができる。機械化された装置により接着テープに付加される応力及びひずみ率を制御することによって、裏材層を引き裂かずに、かつ基材に接着剤残留物を一切残さずに、接着テープを剥離及び取り外しすることができる。機械化のアプローチは、大型の電子ディスプレイ又はグラフィックのような大きい基材を分離する場合に特に有利であろう。真空操作装置を用いて、分離する工程中の基材を持ち上げ、支持することができる。真空操作用具で基材を固定することにより、2つの基材間からの接着テープの剥離及び取り外しを阻止又は妨害し得る追加的な圧縮力を接着テープに与えずに基材を固定することができるまた、真空操作用具を用いて、接着テープの取り外し後に損傷なく基材を回収することができる。
【実施例】
【0122】
これらの実施例は、例示のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。別段の記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、及び比率はすべて、重量に基づく。用いた溶媒及びその他の試薬は、別段の記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0123】
材料
ブチルアクリレートは、Mitsubishi Chemical Co.(Minato−ku,Tokyo−to,Japan)から購入したアルキルアクリレートである。
【0124】
2−エチルヘキシルアクリレートは、Nihon Shokubai Co.,Ltd.(Z9Himeji,Hyogo,Japan)から購入したアルキルアクリレートである。
【0125】
2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)は、Dow Chemical Co.(Freeport,TX)から市販されている極性モノマーである。
【0126】
イソオクチルアクリレートは、Sartomer(Exton,PA)から商品名SR−440で市販されているアルキルアクリレートである。
【0127】
イソステアリルアクリレートは、Shin−Nakamura Chemical Co.,Ltd.(Arimoto,Wakayama,Japan)から購入したアルキルアクリレートである。
【0128】
イソボルニルアクリレートは、Osaka Organic Chemical Industry Ltd.(Chuou−ku,Osaka−fu,Japan)から購入したアルキルアクリレートである。
【0129】
シクロヘキシルアクリレートは、Toagosei Co.,Ltd.(Minato−ku Tokyo Japan)から購入したアルキルアクリレートである。
【0130】
メトキシポリエチレングリコールアクリレート(MPGA)は、Sartomer(Exton,PA)から市販されており、約550グラム/モルの重量平均分子量を有する。
【0131】
N−ビニルカプロラクタムは、Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0132】
第三オクチルアクリルアミドは、BASF Corporation(Parrispany,NJ)から市販されている。
【0133】
ベンジルアクリレートは、Ciba Specialty Chemicals K.K.(Minato−ku,Tokyo,Japan)から購入したアラルキルアクリレートである。
【0134】
アクリル酸は、Kyoeisha Chemical Co.,Ltd.(Minato−ku Tokyo Japan)又はToagosei Co.,Ltd.(Minato−ku Tokyo Japan)から購入した極性モノマーである。
【0135】
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンは、Ciba Specialty Chemicals K.K.(Minato−ku,Tokyo,Japan)から市販されている光開始剤(photoinitator)である。
【0136】
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートは、Kyoeisha Chemical Co.,Ltd.(Nara−shi Nara Japan)から購入した架橋剤である。
【0137】
ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート変性カプロラクトンは、Nippon Kayaku Co.,Ltd.(Chiyoda−ku,Tokyo−to,Japan)から商品名KAYARAD HX−620で購入した架橋剤である。
【0138】
AEROSIL R972は、Nippon Aerosil(Shinjuku−ku,Tokyo−to,Japan)から市販されている疎水性ヒュームドシリカの商品名である。
【0139】
AEROSIL R300は、Nippon Aerosil(Shinjuku−ku,Tokyo−to,Japan)から市販されている親水性ヒュームドシリカの商品名である。
【0140】
NANOGELは、Cabot Corp.,(Billerica,MA)から市販されているシリカエアロゲル粉末(グレードOBD201)の商品名である。この粒子は、約8マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。
【0141】
試験方法
最大引張り伸び/最大引張り強度−方法A
寸法が幅10mm、長さ70mmとなるように、裏材層のテストストリップを調製した。テストストリップの両末端部を、20mmのサンプル標点距離を用いて引張試験機のロードセル(Shimasdzu:AGS−100D)にクランプした。このサンプルを500mm/分のクロスヘッド速度でストリップが破断するまで引っ張った。最大引張り強度(N/cm)及び最大伸び(%)を求めた。
【0142】
最大引張り伸び/最大引張り強度−方法B
方法Bは方法Aと同様であるが、サンプル幅を12.5mmとし、標点距離を25mmとした。クロスヘッド速度は305mm/分とした。
【0143】
剥離試験−方法C
幅15mm、長さ30mmの寸法を有する接着テープのテストストリップを調製した。各接着テープは裏材層及び2つの感圧性接着剤層を有した。接着テープの20mmの部分を、ポリ(メチルメタクリレート)基材(Mitsubishi RayonのMR−200)とガラス基材(Nihon Tact Co.,Ltd.のEagle 2000)との間に位置付け、接着テープの10mmを引張りツメとして機能するように残した。得られた物品は、1キログラムのおもり(おもりは物品の上部に配置した)を用いて20分間そのまま置いた。片方のつかみ具がツメをクランプし、もう一方が基材をクランプするようにサンプルを引張試験機に装着し、次いでロードセル(Shimasdzu:AGS−100D)を用いて500mm/分の速度で引っ張った。サンプルのツメを引張り、2つの基材の間から引き伸ばした。接着テープが2つの基材の間からきれいに除かれたことを示す「あり」、又はテープストリップが基材から完全に除かれる前に接着テープが引き裂かれたか、相当量の残留物が基材上に残ったことを示す「なし」のいずれかで結果を特徴づけた。
【0144】
剥離試験−方法D
二重コーティングした接着テープストリップ(1.25cm×2.5cm)を2枚のガラス製顕微鏡スライド(7.6cm×3.80cm)の間に配置し、このアセンブリの一方の末端から突出した25mmのツメを残した。このアセンブリを4.5kgのローラーで2回加圧し、スライドにサンプルをしっかりと結合させた。ガラススライドを下位(固定)のつかみ具で把持し、ツメを上位(クロスヘッド)のつかみ具でクランプするように、アセンブリを引張り試験機(Instron model 4501,Instron Co,Canton,MA)に装着した。つかみ具を30.5cm/分の速度で分離し、引き伸ばしにより脱接着(すなわち剥離)を生じるのに必要な平均力(剥離応力と言い、N/cm2で表す)を記録した。接着テープが2つの基材の間からきれいに除かれたことを示す「あり」、又はテープストリップが基材(ガラススライド)から完全に除かれる前に接着テープが引き裂かれたか、相当量の残留物が基材上に残ったことを示す「なし」のいずれかで結果を特徴づけた。
【0145】
曇り及び視感透過率
曇りパーセント及び視感透過率パーセントをASTM法D1003−07に従って決定した。商品名GARDNER BYK COLOR TCS PLUS Model 8870として市販されているBYK Gardner(Columbia,Md.)の分光光度計を用いて測定を行った。CIE標準発光体Aを使用した。
【0146】
準備的実施例1−感圧性接着剤A
2−エチルヘキシルアクリレート(90部)、アクリル酸(10部)、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤(0.04phr)の初期混合物から感圧性接着剤シロップを調製した。本明細書で使用されるとき、略語「phr」は、樹脂100部に対する部を表す。この初期混合物を、窒素雰囲気下で、Brookfield粘度が1000〜3000センチポアズになるまで、紫外線で部分重合した。部分重合に続き、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤(0.2phr)を1,6−ヘキサンジオールジアクリレート架橋剤(0.08phr)と共に添加した。生じた混合物をプロペラミキサーを使用して十分に混合し、続いて真空ポンプを用いてデシケータ内で慎重に脱気した。シリコーン剥離剤(Teijin DuPont Films Japan Ltd.)で処理したポリエチレンフタレートフィルムに、濡れた状態の厚さ50マイクロメートルのシロップのコーティングを適用した。硬化プロセスを起こすため、約900mJ/平方センチメートルの光量で、このコーティングをUVA(紫外線)光に暴露した。
【0147】
準備的実施例2−感圧性接着剤B
ヒュームドシリカ(10phr、AEROSIL R972)をコーティング前にシロップに混合した以外は、準備的実施例1に記載するように、別の感圧性接着剤層を調製した。
【0148】
準備的実施例3−感圧性接着剤C
2−エチルヘキシルアクリレート(75部)、イソボルニルアクリレート(15部)、2−HEA(10部)、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤(0.04phr)の初期混合物から感圧性接着剤シロップを調製した。この初期混合物を、窒素雰囲気下で、Brookfield粘度が1000〜3000センチポアズになるまで、紫外線で部分重合した。部分重合に続き、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤(0.2phr)を1,6−ヘキサンジオールジアクリレート架橋剤(0.03phr)及びヒュームドシリカ(10phr、AEROSIL R300)と共に添加した。生じた混合物をプロペラミキサーを使用して十分に混合した。シリコーン剥離剤(Teijin DuPont Films Japan Ltd.)で処理したポリエチレンフタレートフィルムに、濡れた状態の厚さ50マイクロメートルのシロップのコーティングを適用した。硬化プロセスを起こすため、約900mJ/平方センチメートルの光量で、このコーティングをUVA(紫外線)光に暴露した。
【0149】
準備的実施例4−感圧性接着剤D
ヒュームドシリカAEROSIL R300(10phr)をヒュームドシリカAEROSIL R972(10phr)に置き換えた以外は、準備的実施例3の手順を用いて、別の感圧性接着剤層を調製した。
【0150】
準備的実施例5−感圧性接着剤E
一価のモノマーをイソオクチルアクリレート(90phr)及び第三オクチルアクリルアミド(10phr)に置き替え、並びにヒュームドシリカをAEROSIL R972(10phr)に置き換えた以外は、準備的実施例3の手順を用いて、別の感圧性接着剤層を調製した。
【0151】
準備的実施例6−感圧性接着剤F
一価のモノマーをイソオクチルアクリレート(90phr)及び第三オクチルアクリルアミド(10phr)に置き替えた以外は、準備的実施例3の手順を用いて、別の感圧性接着剤層を調製した。ヒュームドシリカをAEROSIL R972(5phr)に置き換えた。
【0152】
準備的実施例7−感圧性接着剤G
シリカエアロゲル粉末(10phr、NANOGEL grade OBD201)をコーティング前にシロップに混合した以外は、準備的実施例1に記載するように、別の感圧性接着剤層を調製した。
【0153】
(実施例1)
2−エチルヘキシルアクリレート(66部)、イソボルニルアクリレート(22部)、アクリル酸(10部)、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤(0.04phr)を含有する初期混合物からシロップを調製した。この初期混合物を、窒素雰囲気下で、Brookfield粘度が1000〜3000センチポアズになるまで、紫外線で部分重合した。部分重合に続き、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート変性カプロラクトン(0.1phr)及び追加の2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤(0.2phr)をシロップに追加した。この混合物をプロペラミキサーで十分に混合し、続いて真空ポンプを用いてデシケータ内で慎重に脱気した。濡れた状態の厚さが200マイクロメートルのシロップ層をシリコーン剥離剤で処理したポリエチレンフタレートフィルム上にコーティングし、硬化プロセスを起こすため、UVA光に暴露した。得られた硬化層を裏材層とした。
【0154】
感圧性接着剤層Bのサンプルを裏材層の両主表面にラミネートし、裏材層が中央部にある3層の接着テープを構成した。
【0155】
実施例1の試験結果を表2に含める。
【0156】
(実施例2〜7)
表1に示すモノマー混合物を用いて、実施例1で記載の方法と同様に実施例2〜7を調製した。各サンプルで裏材層にラミネートした感圧性接着剤層(PSA層)も表1に示した。実施例2〜8の試験結果を表2に含める。方法Aを用いて、最大引張り強度及び最大引張り伸びを決定した。方法Cを用いて、ストリップがきれいに除去できるかを確認した。
【0157】
【表1】

【0158】
【表2】

【0159】
(実施例8〜13)
表3に示すモノマー混合物を用いて、実施例で記載の方法と同様に実施例8〜13を調製した。各サンプルで裏材層にラミネートした感圧性接着剤層も表3に示した。実施例8〜13の試験結果を表4に含める。方法Dを用いて、サンプルがきれいに除去できるかを確認し、剥離応力を決定した。
【0160】
【表3】

【0161】
【表4】

【0162】
比較例1
100部のブチルアクリレート、及び0.04phr(シロップ100部に対する部)の2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤を含有する初期混合物からシロップを調製した。この初期混合物を、窒素雰囲気下で、Brookfield粘度が1000〜3000センチポアズに達するまで、紫外線で部分重合した。部分重合後、0.1phrの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及び追加の0.2phrの2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン反応開始剤をシロップに追加した。この混合物をプロペラミキサーで十分に混合し、続いて真空ポンプを用いてデシケータ内で慎重に脱気した。濡れた状態の厚さが200マイクロメートルのシロップをシリコーン剥離剤で処理したポリエチレンフタレートフィルム上にコーティングし、硬化プロセスを起こすため、UVA光に暴露した。得られた硬化層を裏材層とした。
【0163】
感圧性接着剤層Aのサンプルを裏材層の両主表面にラミネートし、裏材層が中央部にある3層の接着テープを構成した。
【0164】
この比較例の試験結果を表4に含める。
【0165】
比較例2〜4
表2に示すモノマー混合物を用いて、比較例1で記載の方法と同様に比較例2〜4を調製した。各サンプルで裏材層にラミネートした感圧性接着剤層(PSA層)も表5に示した。これら比較例の試験結果を表6に含める。方法Aを用いて、サンプルの最大引張り強度及び最大伸びを決定した。方法Cを用いて、テストサンプルがきれいに除去できるかを確認した。
【0166】
【表5】

【0167】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏材層と、前記裏材層の主表面に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層と、を含む接着テープであって、
前記裏材層は、(1)第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物を含む、第1のアクリルコポリマーを含み、
前記第1の重合性反応混合物は、
(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、
(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、
前記第1の一価のモノマー混合物は、
1)前記第1の重合性反応混合物中の前記重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、
2)前記第1の重合性反応混合物中の前記重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含み、
前記少なくとも1つの感圧性接着剤層は、
(1)第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物を含む、前記第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、
(2)前記第2のアクリルコポリマーの総重量に基づき最大25重量パーセントの量で前記第2のアクリルコポリマー中に分散又は懸濁される無機粒子と、を含み、
前記第2の重合性反応混合物は、
(a)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、
(b)(i)第2の一価モノマー混合物、又は、(ii)前記第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物のいずれかと、を含み、
前記第2の一価のモノマー混合物は、
1)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、
2)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含み、
引き伸ばして剥離され、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、接着テープ。
【請求項2】
前記裏材層が、前記第1のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子を更に含む、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
前記第1の一価のモノマー混合物が、前記第1の重合性反応混合物の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の高Tg生成アクリルモノマーを更に含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記接着テープが、破断せずに前記第1の方向に少なくとも300パーセント引き伸ばし可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項5】
前記感圧性接着剤層中の前記無機粒子がシリカを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項6】
前記シリカが、ヒュームドシリカ又はシリカエアロゲル粒子から選択される、請求項5に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記接着テープが、ASTM法D1003−07に基づいて、5パーセント以下の曇り、及び少なくとも90パーセントに等しい視感透過率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項8】
第1の基板、
第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置付けられる接着テープを含む物品であって、
前記接着テープは、が前記第1の基材を前記第2の基材に連結し、
前記接着テープは、
(A)裏材層と、
(B)前記裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層、及び、前記裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、
(C)前記第1の基材及び前記第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含み、
前記裏材層は、(1)第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物を含む第1のアクリルコポリマーを含み、
前記第1の重合性反応混合物は、
(a)前記第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、
(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、ii)前記第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、
前記第1の一価のモノマー混合物は、
1)前記第1の重合性反応混合物中の前記重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、
2)前記第1の重合性反応混合物中の前記重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含み、
前記第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層はそれぞれ、
(1)第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物を含む、前記第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、
(2)前記第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で前記第2のアクリルコポリマー中に分散又は懸濁される無機粒子と、を含み、
前記第2の重合性反応混合物は、
(a)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、
(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、
前記第2の一価のモノマー混合物は、
1)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、
2)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含み、
前記ツメを引くことによって前記接着テープが引き伸ばされ、前記第1の基材から、又は前記第2の基材から、又は前記第1の基材及び前記第2の基材の両方から前記接着テープが剥離され、
前記ツメが引かれるとき、前記接着テープが破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、物品。
【請求項9】
前記接着テープが光学的に透明であり、第1の基材及び第2の基材が互いに独立してディスプレイ、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム、又は多層光学フィルムから選択される、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記接着テープが光学的に透明であり、前記第1の基材及び前記接着テープを通して見たときに前記第2の基材が可視である、請求項8又は9に記載の物品。
【請求項11】
前記裏材層が、前記第1のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される無機粒子を更に含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記第1の一価のモノマー混合物が、前記第1の重合性反応混合物の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の高Tg生成アクリルモノマーを更に含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記接着テープが、破断せずに前記第1の方向に少なくとも300パーセント引き伸ばし可能である、請求項8〜12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
第1の基材と、
前記第1の基材に接着される接着テープと、を含む物品であって、
前記接着テープは、
(A)裏材層と、
(B)前記裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層と、
(C)前記第1の基材を超えて延在するツメと、を含み、
前記裏材層は、(1)第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物を含む第1のアクリルコポリマーを含み、
前記第1の重合性反応混合物は、
(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、
(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、
前記第1の一価のモノマー混合物は、
1)前記第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、
2)前記第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含み、
前記第1の感圧性接着剤層は、
(1)第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物を含む、前記第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、
(2)前記第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に分散又は懸濁される無機粒子と、を含み、
前記第2の重合性反応混合物は、
(a)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、
(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物のいずれかと、を含み、
前記第2の一価のモノマー混合物は、
1)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、
2)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含み、
前記ツメを引くことによって前記接着テープが引き伸ばされ、前記第1の基材から前記接着テープが剥離され、
前記ツメが引かれるとき、前記接着テープが破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、物品。
【請求項15】
2つの基材を連結及び分離する方法であって、
第1及び第2の基材を用意する工程と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に接着テープを位置付ける工程であって、前記接着テープが前記第1の基材を前記第2の基材に連結し、
前記接着テープが、
(A)裏材層と、
(B)前記裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層、及び、前記裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、
(C)前記第1の基材及び前記第2の基材の少なくとも1つを超えて延在するツメと、を含み、
前記裏材層は、(1)第1の重合性反応混合物の第1の重合生成物を含む第1のアクリルコポリマー、を含み、
前記第1の重合性反応混合物は、
(a)第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大70重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む第1の架橋剤と、
(b)(i)第1の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第1の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、
前記第1の一価のモノマー混合物は、
1)前記第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の低Tg生成アクリルモノマーと、
2)前記第1の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大35重量パーセントの量の第1の極性モノマーと、を含み、
前記第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層はそれぞれ、
(1)第2の重合性反応混合物の第2の重合生成物を含み、前記第1のアクリルコポリマーとは異なる第2のアクリルコポリマーと、
(2)前記第2のアクリルコポリマーの重量に基づき最大25重量パーセントの量で第2のアクリルコポリマー中に分散又は懸濁される無機粒子と、含み、
前記第2の重合性反応混合物は、
(a)第2の重合性反応混合物中の高分子材料の総重量に基づき最大25重量パーセントの量の少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する第2の架橋剤と、
(b)(i)第2の一価のモノマー混合物、又は、(ii)前記第2の一価のモノマー混合物の部分重合生成物と、を含み、
前記第2の一価のモノマー混合物は、
1)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき少なくとも40重量パーセントに等しい量の少なくとも4個の炭素のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、
2)前記第2の重合性反応混合物中の重合性材料の総重量に基づき最大40重量パーセントの量の第2の極性モノマーと、を含む、工程と、
前記接着テープを引き伸ばし、前記第1の基材から、又は前記第2の基材から、又は前記第1の基材と前記第2の基材の両方から前記接着テープを剥離するために、前記ツメを引く工程であって、前記接着テープが破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である工程と、を含む方法。
【請求項16】
前記裏材層が、前記第1のアクリルコポリマーに分散又は懸濁される最大25重量パーセントの無機粒子を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接着テープが光学的に透明であり、前記第1の基材及び前記第2の基材が互いに独立してディスプレイ、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム、又は多層光学フィルムから選択される、請求項15又は16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−514119(P2012−514119A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544590(P2011−544590)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069714
【国際公開番号】WO2010/078346
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】