説明

強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法

【課題】保存安定性及び塗布乾燥時の膜の均質性に優れた強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】金属アルコキシドと金属酢酸塩と金属アセチルアセトナート塩とアミン類とアルコール溶媒とを混合し、この混合物1を蒸留塔3を用いて加熱して蒸発物の一部を除去しながら還流すると共に水を補給することにより、MOD法用のコロイド溶液を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MOD(Metal Organic Deposition)法によって強誘電体薄膜を形成するのに用いられる強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等に代表される結晶を含む強誘電体薄膜は、自発分極、高誘電率、電気光学効果、圧電効果、焦電効果等を有しているため、圧電素子等の広範なデバイス開発に応用されている。このような強誘電体薄膜の成膜方法としては、例えば、MOD(Metal Organic Deposition)法、ゾル−ゲル法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等が知られているが、特に、MOD法及びゾル−ゲル法は、強誘電体薄膜を比較的低コストで且つ簡便に成膜することができるという利点を有する。
【0003】
強誘電体薄膜をMOD法によって成膜する場合、一般的に、金属アルコキシドや金属アセチルアセトナート塩等の有機金属化合物をアルコールに溶解し、これにアルカノールアミン等のアミン類を加えて得たコロイド溶液を被対象物上に塗布した後、これを乾燥して焼成することで成膜される。一方、ゾル−ゲル法によって成膜する場合には、有機金属化合物をアルコール等の溶媒に溶解し、加水分解させて得たコロイド溶液を被対象物上に塗布した後、これを乾燥して焼成することで成膜される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなコロイド溶液は、被対象物上に塗布した時に、コロイド溶液の各成分の蒸発速度が不均一なため形成された塗膜内で対流が起こり、塗膜の中央から周辺部に向かって伸びる帯(ストライエーション)が発生し、膜の均質性が阻害されるという問題がある。また、金属コロイドの安定性が低下し金属成分が沈降して、保存安定性が悪くなるという問題もある。
【0005】
ここで、ジオール溶媒に起因するアルコールや酸等を除去するために、蒸留工程を設けた発明が開示されている(特許文献2参照)。この文献によれば、縞模様が表面に現れることがなく、表面の微細構造の緻密度が向上された厚膜が形成され、特に、PZT厚膜を製造する際に一番大きい問題となる厚膜表面のクラックの問題が解決できると記載されている。また、残留酢酸金属塩を52モル%以下含有し高密度な強誘電体薄膜前駆体を比較的短時間で得るために、有機溶媒を補給しつつ加熱蒸留する工程を行う方法が開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、これらの文献はゾルーゲル法等によるもので、MOD法については考慮されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平6−5946号公報
【特許文献2】特開2003−2648号公報
【特許文献3】特開平10−64335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、保存安定性及び塗布乾燥時の膜の均質性に優れた強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、金属アルコキシドと金属酢酸塩と金属アセチルアセトナート塩とアミン類とアルコール溶媒とを混合し、この混合物を蒸留塔を用いて加熱して蒸発物の一部を除去しながら還流すると共に水を補給することにより、MOD法用のコロイド溶液を形成することを特徴とする強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法にある。
かかる第1の態様では、金属化合物の加熱溶解中に気相(蒸発物)の一部を反応系外に除去することにより、製造される強誘電体薄膜形成用組成物の低沸点成分が低減されるため、塗膜のストライエーションが抑制されて、膜の均質性が確保できる。また、水の補給により水が十分に存在するので金属コロイドが安定化されるため、強誘電体薄膜形成用組成物の保存安定性が良好になる。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記蒸発物に含まれ除去される水の量以上の水を補給することを特徴とする第1の態様の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法にある。
かかる第2の態様では、除去される水の量以上の水を補給するので、確実に金属コロイドが安定化され、強誘電体薄膜形成用組成物の保存安定性が良好になる。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記加熱の温度は、前記金属アルコキシドから遊離するアルコール類の沸点の±3℃以内であり、前記蒸発物として金属アルコキシドから遊離するアルコール類を除去することを特徴とする第1又は2の態様の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法にある。
かかる第3の態様では、金属アルコキシドから遊離するアルコール類が系外に除去されて、得られる強誘電体薄膜形成用組成物中の金属アルコキシドから遊離するアルコール類が低減されるため、塗膜の当該アルコール類に由来するストライエーションが抑制される。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記金属アルコキシドと前記アルコール溶媒と前記アミン類を混合した後、前記金属酢酸塩及び前記金属アセチルアセトナート塩を混合することを特徴とする第1〜3の何れかの態様の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法にある。
かかる第4の態様では、予め金属アルコキシドがアルコール溶媒中でアミン類によりキレート安定化される。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記金属アルコキシドがチタニウムイソプロポキシドで、前記金属酢酸塩が酢酸鉛で、前記金属アセチルアセトナート塩がジルコニウムアセチルアセトナートであることを特徴とする第1〜4の何れかの態様の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法にある。
かかる第5の態様では、保存安定性及び塗膜の均質性に優れたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる強誘電体薄膜形成用組成物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
本発明の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法は、金属アルコキシドと金属酢酸塩と金属アセチルアセトナート塩とアミン類とアルコール溶媒とを混合し、この混合物を蒸留塔を用いて加熱して蒸発物の一部を除去しながら還流すると共に水を補給することにより、MOD法用のコロイド溶液を形成するものである。なお、MOD(Metal Organic Deposition)法とは、ゲル化反応(加水分解反応)を起こさず、単に金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート塩類、金属酢酸塩及びアミン類等を原料とした溶液の塗布、乾燥、熱処理だけで膜などを得る方法をいう。
【0014】
このように、金属アルコキシド、金属酢酸塩及び金属アセチルアセトナート塩をアミン類と共に加熱してアルコール溶媒に溶解してコロイド溶液を作成する際に、コロイド溶液中の低沸点成分を除去することにより、得られる強誘電体薄膜形成用組成物の低沸点成分が低減される。そのため、コロイド溶液中の各成分の蒸発速度の不均一により生じる塗膜のストライエーションが抑制されて、塗布乾燥後の強誘電体薄膜が均質性や平滑性に優れたものとなる。また、水を混合物へ補給するため、形成された金属コロイドが安定化され、コロイド溶液の保存安定性が良好になる。
【0015】
混合する金属アルコキシドとしては、チタニウムアルコキシド、チタニウムイソプロポキシド等が挙げられる。金属酢酸塩としては、酢酸鉛等が挙げられる。また、金属アセチルアセトナート塩としては、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。なお、金属アルコキシドがチタニウムイソプロポキシドで、金属酢酸塩が酢酸鉛水和物で、金属アセチルアセトナート塩がジルコニウムアセチルアセトナートであることが好ましい。
【0016】
金属酢酸塩、金属アルコキシド及び金属アセチルアセトナート塩の配合割合は特に限定されないが、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる強誘電体薄膜形成用組成物を製造する場合は、Pb:Zr:Ti=1.0〜1.2:0.51〜0.56:0.44〜0.49(モル比)となるように、酢酸鉛、チタニウムアルコキシド及びジルコニウムアセチルアセトナートを混合することが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法において、強誘電体薄膜形成用組成物の溶媒は、アルコール溶媒である。アルコール溶媒として、例えば、ブチルセロソルブ、2−n−ブトキシアルコール、n−ペンチルアルコール、2−フェニルエタノール、2−フェノキシエタノール、メトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、酢酸イソアミル等を挙げることができ、これらの溶媒は単独で用いても複数種用いてもよい。
【0018】
また、本発明の製造方法では、さらにアミン類を混合する。アミン類を含有すると、金属アルコキシド及び酢酸鉛の分散安定性が良好になる。アミン類としては、アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等を挙げることができる。これらのアミン類は、単独で用いても複数種用いてもよい。
【0019】
これらの成分を混合した混合物を、蒸留塔を用いて加熱して蒸発物の一部を除去しながら還流すると共に水を補給することにより、MOD法用のコロイド溶液を製造する。なお、各成分を混合する順番は特に限定されないが、金属アルコキシドとアルコール溶媒とアミン類を混合した後、金属酢酸塩及び金属アセチルアセトナート塩を混合することが好ましい。この順番で混合すると、予め金属アルコキシドがアルコール溶媒中でアミン類によりキレート化されるため、金属アルコキシドの分散安定性が確実に良好になる。
【0020】
具体的には、例えば、図1の概略図に示すように、金属アルコキシドと金属酢酸塩と金属アセチルアセトナート塩とアミン類とアルコール溶媒とを混合した混合物1を入れた反応容器2の気相部に、多段構造の蒸留塔3を設け、この蒸留塔3に凝縮器4を接続して、反応容器2を加熱する。これにより蒸留塔3の塔頂から排出される気相(蒸発物)を、凝縮器4により液化して、この液化物5の一部を装置外に排出し(矢印a)、残りを塔頂から蒸留塔3に還流させる(矢印b)。また、連続的に水を反応容器2へ補給する(矢印c)。この水の補給は連続的に行うことが好ましい。なお、これらの操作は常圧下で行う。
【0021】
加熱の温度は限定されず、例えば70〜80℃とすることができるが、金属アルコキシドから遊離するアルコール類の沸点の±3℃以内とすることが特に好ましい。この温度で加熱すると、蒸発物は金属アルコキシドから遊離するアルコール類を多く含み、蒸発物として金属アルコキシドから遊離するアルコール類が反応系外に除去される。したがって、得られる強誘電体薄膜形成用組成物中に含まれる金属アルコキシドから遊離するアルコール類の量が低減されるため、金属アルコキシドから遊離するアルコール類に由来する塗膜のストライエーションが抑制される。また、加熱時間も特に限定されず、目的とする強誘電体薄膜形成用組成物の量や種類に適した時間とすることができ、例えば30〜60分程度とすればよい。
【0022】
また、金属アルコキシド、酢酸鉛、金属アセチルアセトナート塩を安定化させるためや、形成される強誘電体薄膜のクラックの発生を防止するための安定化剤として、必要に応じて、ポリエチレングリコール等を、混合物を加熱後冷却した後等に添加物として加えてもよい。また、その他の添加剤として、増粘剤等を加えてもよい。
【0023】
ここで、金属アルコキシドとしてチタニウムテトライソプロポキシド(Ti((CHCHO))を、金属アセチルアセトナート塩としてジルコニウムテトラアセチルアセトナート(Zr(CHCOCHCOCH)を、金属酢酸塩として酢酸鉛3水和物(Pb(CHCOO)・3HO)を、アルコール溶媒としてブチルセロソルブを、アミン類としてジエタノールアミンを用いてPZT薄膜形成用組成物(Pb:Zr:Ti=1.2:0.55:0.45)を作製した場合を例に、本発明の製造方法について、以下にさらに詳述する。
【0024】
不活性ガス(窒素)中において、ブチルセロソルブにチタニウムテトライソプロポキシドを混合し、さらにジエタノールアミンを撹拌混合する。ここで、チタニウムテトライソプロポキシドは、空気中では酸化チタンとイソプロパノール(IPA)に容易に分解するが、ジエタノールアミンの添加によりキレート化され空気中での加水分解が抑制される。この分散液に、空気中において、さらに酢酸鉛3水和物及びジルコニウムテトラアセチルアセトナートを常温で撹拌混合した後、上記図1と同様の装置を用いて常圧下で一部還流及び水補給をしつつ、82℃で60分加熱撹拌することにより各成分を溶解し、MOD法用のコロイド溶液を作成する。なお、酢酸鉛は通常アルコールには不溶であるが、ジエタノールアミンの添加により溶解する。また、酢酸鉛3水和物がブチルセロソルブに溶解すると、結晶水が遊離する。
【0025】
このように、チタニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート及び酢酸鉛3水和物の混合物を加熱すると、蒸発により気相中にはIPAと水の混合物が存在する。本発明の製造方法においては、多段構造の蒸留塔を用いて加熱して、蒸発物、すなわちIPA及び水の一部を除去し当該蒸発物の残部を蒸留塔へ還流させつつ、水を別系統で補給することにより、気相中のIPAを選択的に除去している。
【0026】
ここで、溶液中のIPA−水混合物のIPA濃度と平衡状態にある気相のIPA濃度はある濃度範囲では溶液中より高くなる。これは、下記表1に示すIPA−水混合物の気液平衡データ(常圧気液平衡データ IPA−水 Wilson,A. and E..L..Simons: Ind. Eng. Chem.,44,2214(1952))から分かる。この2成分混合系の場合は、液相IPA濃度約69%以下では気相のIPA濃度が高くなる。溶液から蒸発したIPA−水混合物は蒸留塔の上段から還流する液と平衡状態を保ちながら、さらに上段に蒸発する。上段に行くに従って、気相のIPA濃度は高くなっていき、最終的に約69%のIPA濃度で塔頂から排出される。塔頂から排出した気相は凝縮器により液化され、その一部を装置外に排出し、残りを塔頂から蒸留塔に還流させる。この操作により、溶液中のIPA濃度は低下する。例えば、酢酸鉛3水和物1.2molに対してチタニウムテトライソプロポキシドを0.52mol混合した場合には、IPA−水混合物を100%と考えた場合のIPA溶液濃度は36.6%となるが、蒸留塔を用いて加熱することにより、約69%のIPA濃度で蒸留塔の塔頂から除去することができる。
【0027】
【表1】

【0028】
このようにして得られたチタン酸ジルコン酸鉛からなる強誘電体薄膜形成用組成物は、低沸点成分であるIPA濃度が低減されているため、基板等の被対象物上に塗布した際には、ストライエーションが効果的に抑制される。また、この強誘電体薄膜形成用組成物は、十分な水を含有しているため金属コロイドが安定化され、保存安定性に優れた強誘電体薄膜形成用組成物となる。
【0029】
なお、本発明の製造方法によらない場合は、コロイド溶液を基板に塗布した時にIPAが蒸発し易いため、蒸発速度の不均一により膜に対流が起こり、中央から周辺部に向かって伸びる帯(ストライエーション)が発生し、膜の均質性が阻害される。また、加熱時に蒸発した水が反応系外に排出されるので金属コロイドを安定化させることができず金属成分の沈降を招くため、コロイド溶液の保存安定性が低下する。
【0030】
このようにして製造された強誘電体薄膜形成用組成物を、例えばシリコン基板等の被対象物上に塗布し、これを乾燥して焼成することにより強誘電体薄膜を製造することができる。なお、被対象物上に強誘電体薄膜形成用組成物を塗布する塗布工程においては、強誘電体薄膜形成用組成物が貯留されたタンク内に乾燥不活性ガスを所定流量で導入し、強誘電体薄膜形成用組成物をタンクに接続されたノズルまで搬送して、強誘電体薄膜形成用組成物をそのノズルから回転する被対象物上に滴下するのが好ましい。これにより、膜成分が略均一に分散した強誘電体薄膜の前駆体膜を比較的容易に製造することができる。
【0031】
なお、本発明により製造される強誘電体薄膜形成用組成物を用いて形成される強誘電体薄膜は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等に限定されず、この他の強誘電性材料(圧電性材料)やこれにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等の結晶を含むものである。その組成としては、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
【0032】
以上説明した本発明の製造方法に係る強誘電体薄膜形成用組成物を用いて成膜された強誘電体薄膜は、広範なデバイス開発に応用することができ、その用途等は特に限定されないが、例えば、マイクロアクチュエータ、フィルタ、遅延線、リードセレクタ、音叉発振子、音叉時計、トランシーバ、圧電ピックアップ、圧電イヤホン、圧電マイクロフォン、SAWフィルタ、RFモジュレータ、共振子、遅延素子、マルチストリップカプラ、圧電加速度計、圧電スピーカ等に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の製造方法の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 混合物、 2 反応容器、 3 蒸留塔、 4 凝縮器、 5 液化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルコキシドと金属酢酸塩と金属アセチルアセトナート塩とアミン類とアルコール溶媒とを混合し、この混合物を蒸留塔を用いて加熱して蒸発物の一部を除去しながら還流すると共に水を補給することにより、MOD法用のコロイド溶液を形成することを特徴とする強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法。
【請求項2】
前記蒸発物に含まれ除去される水の量以上の水を補給することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法。
【請求項3】
前記加熱の温度は、前記金属アルコキシドから遊離するアルコール類の沸点の±3℃以内であり、前記蒸発物として金属アルコキシドから遊離するアルコール類を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法。
【請求項4】
前記金属アルコキシドと前記アルコール溶媒と前記アミン類を混合した後、前記金属酢酸塩及び前記金属アセチルアセトナート塩を混合することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法。
【請求項5】
前記金属アルコキシドがチタニウムイソプロポキシドで、前記金属酢酸塩が酢酸鉛で、前記金属アセチルアセトナート塩がジルコニウムアセチルアセトナートであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の強誘電体薄膜形成用組成物の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−200588(P2007−200588A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14665(P2006−14665)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】