説明

弾性波フィルタ

【課題】 低損失かつ小型化可能な弾性波フィルタを提供すること。
【解決手段】 第1多重モードフィルタ10及び12が第1平衡出力ノードOut10及びOut12に接続された第1弾性波フィルタ100と、フィルタ10及び12と開口長が異なる第2多重モードフィルタ20及び22が第2平衡出力ノードOut20及び22に接続され、フィルタ100と通過周波数帯域が異なる第2弾性波フィルタ200とを具備し、Out10とOut20とは第3平衡出力ノードOut30、Out12とOut22とは第4平衡出力ノードOut40を形成し、Out30〜Out10間距離はOut40〜Out12間距離と、Out30〜Out20間距離はOut40〜Out22間距離と異なり、フィルタ10及び12のIDTの開口長はほぼ同一、フィルタ20及び22のIDTの開口長はほぼ同一の、弾性波フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性波フィルタに関し、特に複数の多重モードフィルタを有する弾性波フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信システムの発展に伴い、携帯電話、携帯情報端末等が急速に普及している。例えば、携帯電話端末においては、2つ以上の通信システムを有するマルチバンド対応の携帯電話が開発されている。このような機器では、2つ以上の通信システムの帯域をカバーする広帯域のフィルタが求められている。
【0003】
しかしながら、2つ以上の帯域をカバーし、かつ低損失なフィルタを実現することは困難であった。そこで、複数の弾性波フィルタを並列に接続し、それぞれの弾性波フィルタが各通信システムの通信帯域をカバーするフィルタが用いられている。
【0004】
特許文献1には、2つの弾性波フィルタを用いた1入力2不平衡出力のフィルタが開示されている。また、特許文献2には、2つの弾性波フィルタを用いた1入力2平衡出力のフィルタが開示されている。1つの入力に対し並列に接続された2つの弾性波フィルタにおいて、それぞれの弾性波フィルタがそれぞれの通過周波数帯域の信号を通過させる。通過周波数帯域外の信号を遮断するためには、一方の弾性波フィルタが通過周波数帯域となる周波数において、他方の弾性波フィルタは高インピーダンスとなることが求められる。
【0005】
そこで、特許文献1および特許文献2においては、弾性波フィルタと入力との間に直列共振器を挿入することにより、一方の弾性波フィルタの通過周波数帯域において他方の弾性波フィルタは高インピーダンスとなるようにインピーダンスを調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−68512号公報
【特許文献2】特許3480445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、直列共振器を挿入すると、直列共振器による挿入損失が生じる。また、小型化の妨げにもなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、低損失でかつ小型化可能な弾性波フィルタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の多重モードフィルタが接続され、第1不平衡入力ノードと2つの第1平衡出力ノードとが設けられ、前記複数の多重モードフィルタのうち、第1多重モードフィルタが前記2つの第1平衡出力ノードと接続されている第1弾性波フィルタと、複数の多重モードフィルタが接続され、第2不平衡入力ノードと2つの第2平衡出力ノードとが設けられ、前記複数の多重モードフィルタのうち、前記第1多重モードフィルタとは異なる開口長を有した第2多重モードフィルタが前記2つの第2平衡出力ノードと接続されており、前記第1弾性波フィルタとは通過周波数帯域が異なる第2弾性波フィルタと、を具備し、前記2つの第1平衡出力ノードのうち一方の第1平衡出力ノードと、前記2つの第2平衡出力ノードのうち一方の第2平衡出力ノードとが共通化され、第3平衡出力ノードを形成し、前記2つの第1平衡出力ノードのうち他方の第1平衡出力ノードと、前記2つの第2平衡出力ノードのうち他方の第2平衡出力ノードとが共通化され、第4平衡出力ノードを形成し、前記第3平衡出力ノードから前記一方の第1平衡出力ノードまでの距離は、前記第4平衡出力ノードから前記他方の第1平衡出力ノードまでの距離と異なり、前記第3平衡出力ノードから前記一方の第2平衡出力ノードまでの距離は、前記第4平衡出力ノードから前記他方の第2平衡出力ノードまでの距離と異なり、前記第1多重モードフィルタに含まれる複数のIDTの開口長はほぼ同一であり、前記第2多重モードフィルタに含まれる複数のIDTの開口長はほぼ同一である弾性波フィルタである。本発明によれば、第1多重モードフィルタの開口長と第2多重モードフィルタの開口長とを調整することで、第1弾性波フィルタのインピーダンス及び第2弾性波フィルタのインピーダンスの調整を、容易に行うことができる。このため、直列共振器が不要であり、低損失、小型化が可能となる。また、2つの第1平衡出力ノードの各々と2つの第2平衡出力ノードの各々とが共通化されているため、弾性波フィルタの小型化が可能である。多重モードフィルタ間のインピーダンスがほぼ同一となるので、振幅バランス特性及び位相バランス特性を向上させることができる。
【0010】
上記構成において、前記第1弾性波フィルタ及び前記第2弾性波フィルタのうち少なくとも一方は、前記複数の多重モードフィルタのうち2つの多重モードフィルタが前記第1不平衡入力ノード及び前記第2不平衡入力ノードのうちの少なくとも一方に並列接続されており、前記並列接続された2つの多重モードフィルタの各々に、2つの前記第1多重モードフィルタの各々、及び2つの前記第2多重モードフィルタの各々、のうち少なくとも一方が直列接続されている構成とすることができる。この構成によれば、低損失、小型化が可能となる。
【0011】
上記構成において、前記2つの第1多重モードフィルタの各々、及び前記2つの第2多重モードフィルタの各々、のうち少なくとも一方は、開口長が同一である構成とすることができる。この構成によれば、多重モードフィルタ間のインピーダンスがほぼ同一となるので、振幅バランス特性及び位相バランス特性を向上させることができる。
【0012】
上記構成において、前記第1弾性波フィルタは、前記複数の多重モードフィルタのうち、2つの多重モードフィルタが前記第1不平衡入力ノードに並列接続され、前記並列接続された2つの多重モードフィルタの各々に、前記2つの第1多重モードフィルタの各々が直列接続されており、前記第2弾性波フィルタは、前記複数の多重モードフィルタのうち、2つの多重モードフィルタが前記第2不平衡入力ノードに並列接続され、前記並列接続された2つの多重モードフィルタの各々に、前記2つの第2多重モードフィルタの各々が直列接続されている構成とすることができる。この構成によれば、低損失、小型化が可能となる。
【0013】
上記構成において、前記2つの第1平衡出力ノードの各々と前記2つの第2平衡出力ノードの各々とを接続する配線は、互いに交差していない構成とすることができる。この構成によれば、配線間における出力信号の干渉を防止することができるため、振幅バランス特性及び位相バランス特性を向上させることができる。
【0014】
上記構成において、前記第1不平衡入力ノードと前記並列接続された2つの多重モードフィルタとを接続する配線と、前記第2不平衡入力ノードと前記並列接続された2つの多重モードフィルタとを接続する配線とは交差している構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第1不平衡入力ノードと前記並列接続された2つの多重モードフィルタとを接続する配線と、前記第2不平衡入力ノードと前記並列接続された2つの多重モードフィルタとを接続する配線とは交差していない構成とすることができる。この構成によれば、第1弾性波フィルタ又は第2弾性波フィルタに信号が入力した際に、配線間における入力側の配線間のカップリングによって信号が漏洩することによる減衰量劣化を防ぐことができる。
【0016】
上記構成において、前記第1多重モードフィルタ及び前記第2多重モードフィルタのうち少なくとも一方は、2つに分割されたバスバーを有し、前記2つの分割されたバスバーの各々に、前記2つの第1平衡出力ノードの各々、及び前記2つの第2平衡出力ノードの各々、のうち少なくとも一方が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、弾性波フィルタを構成する多重モードフィルタの数を減少させることができるため、弾性波フィルタの小型化が可能となる。
【0017】
上記構成において、前記第1不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタの各々及び前記第2不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタの各々、のうち少なくとも一方は、開口長が同一である構成とすることができる。この構成によれば、多重モードフィルタ間のインピーダンスがほぼ同一となるので、振幅バランス特性及び位相バランス特性を向上させることができる。
【0018】
上記構成において、前記2つの第1平衡出力ノードの各々と、前記2つの第2平衡出力ノードの各々とが、共通化されてなる2つの平衡出力ノード間には、整合回路が設けられている構成とすることができる。この構成によれば、第1多重モードフィルタの開口長と第2多重モードフィルタの開口長とを調整することで、第1弾性波フィルタのインピーダンス及び第2弾性波フィルタのインピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0019】
上記構成において、前記整合回路はインダクタである構成とすることができる。この構成によれば、第1多重モードフィルタの開口長と第2多重モードフィルタの開口長とを調整することで、第1弾性波フィルタのインピーダンス及び第2弾性波フィルタのインピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0020】
前記第1弾性波フィルタと前記第2弾性波フィルタとは、同一の圧電基板上に形成されている構成とすることができる。この構成によれば、弾性波フィルタを小型化することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、2つの多重モードフィルタの開口長を調整することで、多重モードフィルタのインピーダンスの調整を容易に行うことができる。このため、直列共振器が不要であり、低損失かつ小型化可能な弾性波フィルタが実現できる。さらに、平衡出力ノードを共通化しているため、弾性波フィルタをより小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は実施例1に係る弾性表面波フィルタの平面図である。
【図2】図2は実施例1に係る弾性表面波フィルタを利用した通信機器を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は周波数が第1弾性波フィルタの通過周波数帯域にある信号が入力された場合を示す模式図であり、図3(b)は周波数が第2弾性波フィルタの通過周波数帯域にある信号が入力された場合を示す模式図である。
【図4】図4は計算に用いたパラメータの定義を示す模式図である。
【図5】図5(a)は第1弾性波フィルタの周波数特性の計算結果であり、図5(b)は通過周波数帯域における図5(a)の拡大図である。
【図6】図6(a)は第2弾性波フィルタの周波数特性の計算結果であり、図6(b)は通過周波数帯域における図6(a)の拡大図である。
【図7】図7(a)は第1弾性波フィルタの振幅バランス特性の計算結果であり、図7(b)は第1弾性波フィルタの位相バランス特性の計算結果である。
【図8】図8(a)は第2弾性波フィルタの振幅バランス特性の計算結果であり、図8(b)は第2弾性波フィルタの位相バランス特性の計算結果である。
【図9】図9は実施例2に係る弾性表面波フィルタの平面図である。
【図10】図10は実施例3に係る弾性表面波フィルタの平面図である。
【図11】図11は実施例4に係る弾性表面波フィルタの平面図である。
【図12】図12は実施例5に係る弾性表面波フィルタの平面図である。
【図13】図13は実施例6に係る弾性表面波フィルタの平面図である。
【図14】図14(a)は整合回路を設けた場合を示す模式図であり、図14(b)は整合回路がインダクタである場合を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は実施例1に係る弾性表面波フィルタ1000の平面図である。弾性表面波フィルタ1000は、第1弾性波フィルタ100と、第1弾性波フィルタ100とは通過周波数帯域が異なる第2弾性波フィルタ200とを有している。
【0025】
第1弾性波フィルタ100について説明する。多重モードフィルタ14及び多重モードフィルタ16が、第1不平衡入力ノードIn10に並列接続されている。多重モードフィルタ14には第1多重モードフィルタ10が、多重モードフィルタ16には第1多重モードフィルタ12が、各々直列接続されている。第1多重モードフィルタ10には第1平衡出力ノードOut10が、第1多重モードフィルタ12には第1平衡出力ノードOut12が、各々接続されている。
【0026】
第1多重モードフィルタ10は、第1平衡出力ノードOut10に接続された出力IDT(Interdigital Transducer)10bが中央に配置され、その両側に入力IDT10aが、さらにその外側に反射器R10が配置された構成となっている。また、多重モードフィルタ14は、第1不平衡入力ノードIn10に接続された入力IDT14bの両側に、各々が第1多重モードフィルタ10の入力IDT10aに接続された出力IDT14aが1つずつ配置され、さらにその外側には反射器R14が配置された構成となっている。第1多重モードフィルタ12は第1多重モードフィルタ10と、また多重モードフィルタ16は多重モードフィルタ14と各々同様の構成である。第1多重モードフィルタ10、第1多重モードフィルタ12、多重モードフィルタ14及び多重モードフィルタ16は、例えばニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムに代表される圧電体からなる同一の圧電基板30上に設けられている。
【0027】
多重モードフィルタ14と、多重モードフィルタ16とでは、各々を構成するIDTの電極指の配置が異なっている。これにより、多重モードフィルタ14と、多重モードフィルタ16とからは、位相が180°異なる信号が出力される。結果的に、第1平衡出力ノードOut10と、第1平衡出力ノードOut12とからは、位相が180°異なる信号が出力される。
【0028】
第2弾性波フィルタ200について説明する。多重モードフィルタ24及び多重モードフィルタ26が、第2不平衡入力ノードIn20に並列接続されている。多重モードフィルタ24には第2多重モードフィルタ20が、多重モードフィルタ26には第2多重モードフィルタ22が、各々直列接続されている。第2多重モードフィルタ20には第2平衡出力ノードOut20が、第2多重モードフィルタ22には第2平衡出力ノードOut22が、各々接続されている。
【0029】
第2多重モードフィルタ20及び第2多重モードフィルタ22は、第1多重モードフィルタ10と同様に、出力IDT,入力IDT及び反射器Rにより構成される。また、多重モードフィルタ24及び多重モードフィルタ26は、多重モードフィルタ14と同様の構成である。第2多重モードフィルタ20、第2多重モードフィルタ22、多重モードフィルタ24及び多重モードフィルタ26は同一の圧電基板40上に設けられている。
【0030】
多重モードフィルタ24と多重モードフィルタ26とでは、各々を構成するIDTの電極指の配置が異なる。これにより、多重モードフィルタ24と、多重モードフィルタ26とからは、位相が180°異なる信号が出力される。結果的に、第2平衡出力ノードOut20と、第2平衡出力ノードOut22とからは、位相が180°異なる信号が出力される。
【0031】
図2は、弾性波フィルタ1000を用いる通信機器の例を示すブロック図である。図2を参照に、信号が入力された場合について説明する。
【0032】
送信ノード460aとデュプレクサ420aとの間には、アンプ430aとフィルタ440aとが設けられている。デュプレクサ420aはアンプ450aを介して、弾性表面波フィルタ1000に設けられた第1不平衡入力ノードIn10に接続されている。デュプレクサ420aが設けられているため、送信ノード460aから送信された信号は、第1不平衡入力ノードIn10側には送信されず、スイッチ410を介してアンテナ400へと送信される。また、送信ノード460bとデュプレクサ420bとの間には、アンプ430bとフィルタ440bとが設けられている。デュプレクサ420bはアンプ450bを介して弾性表面波フィルタ1000に設けられた第2不平衡入力ノードIn20に接続されている。デュプレクサ420bが設けられているため、送信ノード460bから送信された信号は、第2不平衡入力ノードIn20側には送信されず、スイッチ410を介してアンテナ400へと送信される。
【0033】
スイッチ410は、デュプレクサ420aとデュプレクサ420bとの間の切り替えを行う。
【0034】
アンテナ400が、第1弾性波フィルタ100の通過周波数帯域に含まれる周波数F1の信号S1を受信した場合を考える。アンテナ400で受信された信号S1は、スイッチ410を介してデュプレクサ420aへと送信され、アンプ450aを介して第1不平衡入力ノードIn10へ入力される。図3(a)は、信号S1が弾性波フィルタ1000に入力された場合を示す模式図である。図3(a)に示すように、第1不平衡入力ノードIn10に入力された信号S1は、第1弾性波フィルタ100を通過し、第1平衡出力ノードOut10及びOut12を介して、平衡出力ノードOut30及びOut40から出力される。
【0035】
アンテナ400が、第2弾性波フィルタ200の通過周波数帯域に含まれる周波数F2の信号S2を受信した場合を考える。アンテナ400で受信された信号S2は、スイッチ410を介してデュプレクサ420bに送信され、アンプ450bを介して第2不平衡入力ノードIn20へ入力される。図3(b)は、信号S2が弾性波フィルタ1000に入力された場合を示す模式図である。図3(b)に示すように、第2不平衡入力ノードIn20に入力された信号S2は、第2弾性波フィルタ200を通過し、第2平衡出力ノードOut20及びOut22を介して、平衡出力ノードOut30及びOut40から出力される。
【0036】
第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20とは共通化され、第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とは共通化されている。このため、第1弾性波フィルタ100を通過した信号S1(図3(a)参照)が第2弾性波フィルタ200へと漏洩する。また、第2弾性波フィルタ200を通過した信号S2(図3(b)参照)が第1弾性波フィルタ100へと漏洩する。こうした現象により、信号S1及びS2の損失が増大する。
【0037】
図1を参照に、第1多重モードフィルタ10の開口長と第1多重モードフィルタ12の開口長とは等しく、これをL1とする。また、第2多重モードフィルタ20の開口長と第2多重モードフィルタ22の開口長とは等しく、これをL2とする。このとき、開口長L1と開口長L2とを調整することにより、第1多重モードフィルタ10と第2多重モードフィルタ20とのそれぞれのインピーダンスの調整、及び第1多重モードフィルタ12と第2多重モードフィルタ22とのそれぞれのインピーダンスの調整を行うことができる。すなわち、第1弾性波フィルタ100の通過周波数帯域においては第2弾性波フィルタ200が高インピーダンスとなり、第2弾性波フィルタの通過周波数帯域においては第1弾性波フィルタ100が高インピーダンスになるように、開口長L1及び開口長L2を調整することができる。これにより、低損失の信号を出力することができる。
【0038】
前述のように、第1多重モードフィルタ10の開口長と第1多重モードフィルタ12の開口長とは、同一である。このことにより、第1多重モードフィルタ10のインピーダンスと第1多重モードフィルタ12のインピーダンスとは、ほぼ同一となる。また、多重モードフィルタ14の開口長と多重モードフィルタ16の開口長とは、同一であるため、多重モードフィルタ14のインピーダンスと多重モードフィルタ16のインピーダンスとは、ほぼ同一となる。同様に、第2多重モードフィルタ20の開口長と第2多重モードフィルタ22の開口長とは、同一である。このことにより、第2多重モードフィルタ20のインピーダンスと第2多重モードフィルタ22のインピーダンスとは、ほぼ同一となる。また、多重モードフィルタ24の開口長と多重モードフィルタ26の開口長とは同一であるため、多重モードフィルタ24のインピーダンスと多重モードフィルタ26のインピーダンスとは、ほぼ同一となる。
【0039】
特に、一方の弾性波フィルタ(例えば第1弾性波フィルタ100)の平衡出力端子(例えばOut10及びOut12)側の多重モードフィルタ(例えば第1多重モードフィルタ10及び12)のそれぞれのインピーダンスは、他方の弾性波フィルタ(例えば第2弾性波フィルタ200)に対して容量として見えるため、多重モードフィルタのそれぞれのインピーダンスが同一であれば、他方の弾性波フィルタのバランス特性の劣化を防止することができる。このため、第1平衡出力ノードOut10に出力される信号と、第1平衡出力ノードOut12に出力される信号との振幅の差(以下振幅平衡度)、及び位相のずれ(以下位相平衡度)、並びに第2平衡出力ノードOut20に出力される信号と、第2平衡出力ノードOut22に出力される信号との振幅平衡度、及び位相平衡度を小さくすることができる。結果的に、第1弾性波フィルタ100から出力される信号の振幅バランス特性及び位相バランス特性、並びに第2弾性波フィルタから出力される信号の振幅バランス特性及び位相バランス特性を保持することができる。なお、位相平衡度とは、信号間の位相差の、180°からのずれと定義する。すなわち、位相平衡度がゼロのときは位相差が180°となる。開口長とは、IDTの、上の電極指と下の電極指とが重なる長さである。
【0040】
実施例1によれば、開口長L1と開口長L2とを調整することにより、低損失な信号を得ることができる。直列共振器を用いる必要がないため、弾性表面波フィルタの小型化が可能であり、直列共振器による信号の挿入損失も生じない。また、平衡出力ノードOut30から出力される信号と平衡出力ノードOut40から出力される信号との振幅バランス特性及び位相バランス特性を保持することができる。
【0041】
また、第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20、及び第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とが共通化されているため、共通化されていない場合と比較して、出力側のノード数を4から2に減らすことができるため、弾性表面波フィルタの小型化が可能となる。
【0042】
実施例1においては、第1弾性波フィルタ100及び第2弾性波フィルタ200が各々4つの多重モードフィルタを有していたが、多重モードフィルタの個数は4つに限定されるものではなく、各々複数の多重モードフィルタを有していればよい。
【0043】
実施例1に係る弾性表面波フィルタの周波数特性、振幅バランス特性及び位相バランス特性の計算結果について説明する。
【0044】
比較例について説明する。第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20、及び第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とを共通化させない状態で、第1多重モードフィルタの開口長L1を、低損失かつ振幅バランス特性及び位相バランス特性を保持した信号が出力されるように最適化する。同様に、第2多重モードフィルタの開口長L2を最適化する。その後、第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20、及び第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とを共通化させた場合を、比較例としている。これに対し、実施例1は第1弾性波フィルタ100の通過周波数帯域においては第2弾性波フィルタ200が高インピーダンスとなり、第2弾性波フィルタ200の通過周波数帯域においては第1弾性波フィルタ100が高インピーダンスとなるように、開口長L1及び開口長L2が最適化されている。
【0045】
図4は計算に用いたパラメータの定義を表す模式図である。図4に示すように、IDTの下側のバスバー6に電極指2が、上側のバスバー8に電極指4が各々設けられている。開口長Lは、下側の電極指2と上側の電極指4とが重なった部分の長さである。第1多重モードフィルタ10及び第1多重モードフィルタ12においては、LはL1である。また、第2多重モードフィルタ20及び第2多重モードフィルタ22においては、LはL2である。波長λは信号の波長である。Wは電極指の幅であり、Pは電極ピッチである。電極膜厚hは電極指の厚さである。
【0046】
表1は、計算に用いた第1多重モードフィルタ10及び第1多重モードフィルタ12のパラメータを示した表である。比較例においては、第1多重モードフィルタ10の開口長と第1多重モードフィルタ12の開口長とが異なっているが、実施例1においては両者の開口長は同一である。
【表1】

【0047】
表2は、第2多重モードフィルタ20及び第2多重モードフィルタ22のパラメータを示した表である。比較例においては、第2多重モードフィルタ20の開口長と第2多重モードフィルタ22の開口長とが異なっているが、実施例1においては両者の開口長は同一である。
【表2】

【0048】
また、表3は、多重モードフィルタ14及び多重モードフィルタ16のパラメータを示した表である。表4は、多重モードフィルタ24及び多重モードフィルタ26のパラメータを示した表である。表3、表4においては、比較例と実施例1との間に差異はない。
【表3】

【表4】

【0049】
電極指本数について説明する。例えば表1に示された第1多重モードフィルタ10の電極指本数、12/40/20、とは図1の左から並んだIDT10a、IDT10b、IDT10a各々の電極指の本数が、12本、40本、20本であることを表している。他の多重モードフィルタについても、同様である。
【0050】
図5(a)から図8(b)に実施例1に係る計算結果を表したグラフを示す。グラフ中の点線は比較例、実線は実施例1を各々表す。
【0051】
図5(a)は、第1弾性波フィルタ100の周波数特性の計算結果を示したグラフである。図5(b)は、第1弾性波フィルタ100の通過周波数帯域における図5(a)の拡大図である。横軸は周波数、縦軸は信号の挿入損失である。図5(b)に示すように、実施例1の方が、比較例よりも通過周波数帯域での挿入損失が最大1dB程度小さい。
【0052】
また、図6(a)は、第2弾性波フィルタ200の周波数特性の計算結果を示したグラフである。図6(b)は、第2弾性波フィルタ200の通過周波数帯域における図6(a)の拡大図である。図6(b)に示すように、実施例1の方が、比較例よりも通過周波数帯域での挿入損失が最大で1dB程度小さい。
【0053】
比較例においては、第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20、及び第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とを共通化させた状態において開口長L1と開口長L2の最適化を行っていない。このため、信号の漏洩が発生し、挿入損失が増大する。これに対し、実施例1においては、開口長L1と開口長L2の最適化を行っている。そのため、第1弾性波フィルタ100の通過周波数帯域においては第2弾性波フィルタ200が高インピーダンスとなり、第2弾性波フィルタの通過周波数帯域においては第1弾性波フィルタ100が高インピーダンスとなる。従って、信号の漏洩を抑制することができ、挿入損失が減少する。結果的に、図5(a)から図6(b)に示したように、実施例1により低損失な信号を得ることができた。
【0054】
図7(a)は、第1弾性波フィルタ100の振幅バランス特性の計算結果を示したグラフである。横軸は信号の周波数、縦軸は第1平衡出力ノードOut10から出力される信号と、第1平衡出力ノードOut12から出力される信号との振幅平衡度である。実線で示した実施例1の方が、比較例よりも値のバラつきが少なく、振幅バランス特性が向上していることが分かる。
【0055】
図7(b)は、第1弾性波フィルタ100の位相バランス特性の計算結果を示したグラフである。横軸は信号の周波数、縦軸は第1平衡出力ノードOut10から出力される信号と、第1平衡出力ノードOut12から出力される信号との位相平衡度である。既述したように、位相平衡度がゼロのとき、第1平衡出力ノードOut10から出力される信号と、第1平衡出力Outノード12から出力される信号との位相差は180°である。実施例1によれば、比較例よりも位相バランス特性が向上していることが分かる。
【0056】
図8(a)は、第2弾性波フィルタ200の振幅バランス特性の計算結果を示したグラフである。第2平衡出力ノードOut20から出力される信号と、第2平衡出力ノードOut22から出力される信号との振幅平衡度を示している。実施例1によれば、比較例よりも振幅バランス特性が向上していることが分かる。
【0057】
図8(b)は、第2弾性波フィルタ200の位相バランス特性の計算結果を示した図である。縦軸は第2平衡出力ノードOut20から出力される信号と、第2平衡出力ノードOut22から出力される信号との位相平衡度である。実施例1によれば、比較例よりも位相バランス特性が向上していることが分かる。
【0058】
以上、図7(a)から図8(b)に示したように、実施例1によれば、振幅バランス特性及び位相バランス特性を、比較例よりも向上させることができた。
【実施例2】
【0059】
実施例2は、第1多重モードフィルタの出力IDT及び第2多重モードフィルタの出力IDTが各々2つに分割されたバスバーを有している例である。図9に実施例2に係る弾性表面波フィルタの平面図を示す。
【0060】
図9を参照に、第1弾性波フィルタ110について説明する。多重モードフィルタ17が、第1不平衡入力ノードIn10に接続されている。多重モードフィルタ17には、第1多重モードフィルタ18が直列接続されている。第1多重モードフィルタ18の中央に設けられた出力IDT18bは2つに分割されたバスバーを有している。出力IDT18bに設けられたバスバー13及びバスバー15の各々に、第1平衡出力ノードOut10及び第1平衡出力ノードOut12が各々接続されている。出力IDT18bの両側に、入力IDT18aが配置され、さらにその外側に反射器R18が配置されている。多重モードフィルタ17は、第1不平衡入力ノードIn10に接続された入力IDT17bの両側に、出力IDT17a及び出力IDT17cが配置され、出力IDT17a及びIDT17cの外側には反射器R17が配置された構成となっている。出力IDT17aと出力IDT17cの各々は、第1多重モードフィルタ18の2つの入力IDT18aの各々に接続されている。多重モードフィルタ17の電極指は、出力IDT17aから出力される信号と、出力IDT17cから出力される信号とでは、位相が180°異なるように配置されている。このため、第1平衡出力ノードOut10と第1平衡出力ノードOut12とからは、位相が180°異なる信号が出力される。
【0061】
第2弾性波フィルタ210は、第1弾性波フィルタ110と同様の構成であり、第2多重モードフィルタ28の中央に設けられた出力IDT28bは2つに分割されたバスバーを有している。出力IDT28bに設けられたバスバー23及びバスバー25の各々に、第2平衡出力ノードOut20及び第2平衡出力ノードOut22の各々が接続されている。多重モードフィルタ27の電極指が、出力IDT27aから出力される信号と、出力IDT27cから出力される信号とでは、位相が180°異なるように配置されている。このため、第2平衡出力ノードOut20と第2平衡出力ノードOut22とからは、位相が180°異なる信号が出力される。
【0062】
実施例1と同様に、第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20とが共通化され、また第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とが共通化されている。このため、第1多重モードフィルタ18の開口長L1と第2多重モードフィルタ28の開口長L2とを調整することで、第1弾性波フィルタ110と第2弾性波フィルタ210とのインピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0063】
実施例2によれば、第1弾性波フィルタ110は第1多重モードフィルタ18と多重モードフィルタ17とからなる。また、第2弾性波フィルタ210は第2多重モードフィルタ28と多重モードフィルタ27とからなる。実施例1と比較して、弾性表面波フィルタを構成する多重モードフィルタの数を減少することができるため、弾性表面波フィルタの小型化が可能となる。
【実施例3】
【0064】
実施例3は、実施例1の第1弾性波フィルタ100と実施例2の第2弾性波フィルタ210とを組み合わせた例である。図10に実施例3に係る弾性表面波フィルタの平面図を示す。
【0065】
第1多重モードフィルタ10は第1平衡出力ノードOut10と、第1多重モードフィルタ12は第1平衡出力ノードOut12と、各々接続されている。第2多重モードフィルタ28の出力IDT28bは2つに分割されたバスバーを有しており、バスバー23及びバスバー25の各々に、第2平衡出力ノードOut20及び第2平衡出力ノードOut22の各々が接続されている。第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20とは共通化され、また第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とは共通化されている。実施例1と同様に、第1多重モードフィルタ10及び第1多重モードフィルタ12の開口長L1と、第2多重モードフィルタ28の開口長L2とを調整することで、第1弾性波フィルタ100と第2弾性波フィルタ210とのインピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0066】
実施例3によれば、実施例1と比較して第2弾性波フィルタを構成する多重モードフィルタの数を減少させることができるため、弾性表面波フィルタの小型化が可能となる。
【0067】
実施例3においては、第1弾性波フィルタ100と第2弾性波フィルタ210とを組み合わせた例を説明したが、実施例2の第1弾性波フィルタ110と、実施例1の第2弾性波フィルタ200とを組み合わせても同様の効果が得られる。
【0068】
実施例2及び実施例3において説明したように、第1多重モードフィルタ及び第2多重モードフィルタのうち少なくとも一方が2つに分割されたバスバーを有し、分割されたバスバーの各々に、第1平衡入力ノードOut10と第1平衡入力ノードOut12の各々、及び第2平衡入力ノードOut20と第2平衡入力ノードOut22の各々、のうち少なくとも一方が設けられていれば、弾性表面波フィルタは小型化可能である。
【0069】
図1に示すように、実施例1は、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタの両方が、不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタを有している例である。それに対し、図10に示すように、実施例3は、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタのうちどちらか一方が、不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタを有している例である。このように、本発明においては、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタのうち少なくとも一方が、不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタを有していればよい。
【実施例4】
【0070】
実施例4は、実施例1の第1多重モードフィルタ12及び多重モードフィルタ16を、第2多重モードフィルタ20及び多重モードフィルタ24と、各々入れ替えた例である。図11に実施例4に係る弾性表面波フィルタの平面図を示す。
【0071】
図11に示すように、多重モードフィルタ14、多重モードフィルタ24、第1多重モードフィルタ10及び多重モードフィルタ20が圧電基板30上に、多重モードフィルタ16、多重モードフィルタ26、第1多重モードフィルタ12及び第2多重モードフィルタ22が圧電基板40上に、各々配置されている。第1不平衡入力ノードIn12と第1不平衡入力ノードIn14とを接続する配線と、第2不平衡入力ノードIn22と第2不平衡入力ノードIn24とを接続する配線とは交差している。それに対し、第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20とを接続する配線と、第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とを接続する配線とは交差していない。
【0072】
実施例4によれば、出力側の配線が交差していないため、出力信号の間での干渉が起こりにくい。このことにより、実施例1のように出力側の配線が交差している場合よりも、出力信号の振幅バランス特性及び位相バランス特性が向上する。
【実施例5】
【0073】
実施例5は、実施例4の第1多重モードフィルタ12及び多重モードフィルタ16を、第2多重モードフィルタ22及び多重モードフィルタ26と各々入れ替えて配置したものである。図12に実施例5に係る弾性表面波フィルタの平面図を示す。
【0074】
図12に示すように、多重モードフィルタ14、多重モードフィルタ24、第1多重モードフィルタ10及び第2多重モードフィルタ20が圧電基板30上に、多重モードフィルタ16、多重モードフィルタ26、第1多重モードフィルタ12及び第2多重モードフィルタ22が圧電基板40上に、各々配置されている。実施例4と同様に、第1平衡出力ノードOut10と第2平衡出力ノードOut20とを接続する配線と、第1平衡出力ノードOut12と第2平衡出力ノードOut22とを接続する配線とは交差していない。さらに、第1不平衡入力ノードIn12と第1不平衡入力ノードIn14とを接続する配線と、第2不平衡入力ノードIn22と第2不平衡入力ノードIn24とを接続する配線とは交差していない。
【0075】
入力側の配線が交差している場合、配線間のカップリングにより、周波数が一方の弾性波フィルタ(例えば第2弾性波フィルタ)の通過周波数帯域にある信号(例えば実施例1において説明したS2)が、他方の弾性波フィルタ(例えば第1弾性波フィルタ)に漏洩する。第1弾性波フィルタと第2弾性波フィルタとは、通過周波数帯域が異なっているため、信号の漏洩により、他方の弾性波フィルタの減衰量を劣化させることとなる。実施例5によれば、入力側の配線が交差していないため、配線間のカップリングによる信号の漏洩を防ぎ、結果的に減衰量劣化を防ぐことができる。
【実施例6】
【0076】
実施例6は、第1弾性波フィルタ100及び第2弾性波フィルタ200を同一の圧電基板50上に配置した例である。図13に実施例6に係る弾性表面波フィルタの平面図を示す。実施例6によれば、実施例1よりも弾性表面波フィルタの小型化が可能となる。
【0077】
平衡出力端子を共通化していることにより、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタの各々は、他方の弾性波フィルタが容量として見え、インピーダンスが容量性になってしまう。そのミスマッチを補正するために、図14(a)に示すように、実施例1から実施例6において、平衡出力ノードOut30と平衡出力ノードOut40との間に整合回路300を設置してもよい。特に容量性インピーダンスの調整を行うためには、図14(b)に示すように、整合回路300はインダクタ310であることが好ましい。
【0078】
実施例1から実施例6においては、弾性表面波フィルタについて説明したが、本発明は弾性境界波フィルタについても適用可能である。
【0079】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
2、4 電極指
10、12、18 第1多重モードフィルタ
14、16、17、24、26、27 多重モードフィルタ
20、22、28 第2多重モードフィルタ
30、40 平衡出力ノード
100、110 第1弾性波フィルタ
200、210 第2弾性波フィルタ
In10、In12、In14 第1不平衡入力ノード
In20、In22、In24 第2不平衡入力ノード
Out10、Out12 第1平衡出力ノード
Out20、Out22 第2平衡出力ノード
Out30、Out40 平衡出力ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多重モードフィルタが接続され、第1不平衡入力ノードと2つの第1平衡出力ノードとが設けられ、前記複数の多重モードフィルタのうち、第1多重モードフィルタが前記2つの第1平衡出力ノードと接続されている第1弾性波フィルタと、
複数の多重モードフィルタが接続され、第2不平衡入力ノードと2つの第2平衡出力ノードとが設けられ、前記複数の多重モードフィルタのうち、前記第1多重モードフィルタとは異なる開口長を有した第2多重モードフィルタが前記2つの第2平衡出力ノードと接続されており、前記第1弾性波フィルタとは通過周波数帯域が異なる第2弾性波フィルタと、を具備し、
前記2つの第1平衡出力ノードのうち一方の第1平衡出力ノードと、前記2つの第2平衡出力ノードのうち一方の第2平衡出力ノードとが共通化され、第3平衡出力ノードを形成し、
前記2つの第1平衡出力ノードのうち他方の第1平衡出力ノードと、前記2つの第2平衡出力ノードのうち他方の第2平衡出力ノードとが共通化され、第4平衡出力ノードを形成し、
前記第3平衡出力ノードから前記一方の第1平衡出力ノードまでの距離は、前記第4平衡出力ノードから前記他方の第1平衡出力ノードまでの距離と異なり、
前記第3平衡出力ノードから前記一方の第2平衡出力ノードまでの距離は、前記第4平衡出力ノードから前記他方の第2平衡出力ノードまでの距離と異なり、
前記第1多重モードフィルタに含まれる複数のIDTの開口長はほぼ同一であり、
前記第2多重モードフィルタに含まれる複数のIDTの開口長はほぼ同一であることを特徴とする弾性波フィルタ。
【請求項2】
前記第1弾性波フィルタ及び前記第2弾性波フィルタのうち少なくとも一方は、前記複数の多重モードフィルタのうち2つの多重モードフィルタが前記第1不平衡入力ノード及び前記第2不平衡入力ノードのうちの少なくとも一方に並列接続されており、前記並列接続された2つの多重モードフィルタの各々に、2つの前記第1多重モードフィルタの各々、及び2つの前記第2多重モードフィルタの各々、のうち少なくとも一方が直列接続されていることを特徴とする請求項1記載の弾性波フィルタ。
【請求項3】
前記第1弾性波フィルタは、前記複数の多重モードフィルタのうち、2つの多重モードフィルタが前記第1不平衡入力ノードに並列接続され、前記並列接続された2つの多重モードフィルタの各々に、前記2つの第1多重モードフィルタの各々が直列接続されており、
前記第2弾性波フィルタは、前記複数の多重モードフィルタのうち、2つの多重モードフィルタが前記第2不平衡入力ノードに並列接続され、前記並列接続された2つの多重モードフィルタの各々に、前記2つの第2多重モードフィルタの各々が直列接続されていることを特徴とする請求項2記載の弾性波フィルタ。
【請求項4】
前記第1多重モードフィルタ及び前記第2多重モードフィルタのうち少なくとも一方は、2つに分割されたバスバーを有し、前記2つの分割されたバスバーの各々に、前記2つの第1平衡出力ノードの各々、及び前記2つの第2平衡出力ノードの各々、のうち少なくとも一方が設けられていることを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載の弾性波フィルタ。
【請求項5】
前記第1不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタの各々、及び前記第2不平衡入力ノードに並列接続された2つの多重モードフィルタの各々、のうち少なくとも一方は、開口長が同一であることを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の弾性波フィルタ。
【請求項6】
前記2つの第1平衡出力ノードの各々と、前記2つの第2平衡出力ノードの各々とが共通化されてなる2つの平衡出力ノード間には、整合回路が設けられていることを特徴とする請求項1から5いずれか一項記載の弾性波フィルタ。
【請求項7】
前記整合回路はインダクタであることを特徴とする請求項6記載の弾性波フィルタ。
【請求項8】
前記第1弾性波フィルタと前記第2弾性波フィルタとは、同一の圧電基板上に形成されていることを特徴とする請求項1から7いずれか一項記載の弾性波フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−143008(P2012−143008A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101889(P2012−101889)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【分割の表示】特願2007−323892(P2007−323892)の分割
【原出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】