説明

形状解析装置及び形状解析プログラム

【課題】測定子に対して試料を相対的に自転させることにより測定子で試料の表面を走査する円柱形状測定装置が生成する表面の凹凸データを解析して、真円度等の試料の形状パラメータを算出する形状解析装置及び形状解析プログラムにおいて、作業者が、測定データから算出すべき形状パラメータを選択する際の作業性を向上する。
【解決手段】形状解析装置1は、形状パラメータの算出に使用する凹凸データをユーザに1つ以上選択させるデータ選択入力部12と、データ選択入力部12にて選択した凹凸データを測定した測定面の数と面方向情報に応じて、算出可能な形状パラメータのリスト13を生成する形状パラメータリスト生成部14と、形状パラメータリスト生成部14により生成されたリスト13の中から、算出すべき形状パラメータをユーザに選択させるパラメータ選択入力部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定子に対して試料を相対的に自転させることにより測定子で試料の表面を走査する円柱形状測定装置が生成する測定データを解析して、真円度等の試料の形状パラメータを算出する形状解析装置及び形状解析プログラムに関する。特にこのような形状解析装置や形状解析プログラムにおいて、作業者(ユーザ)に、測定により得られた測定データや、算出しようとする形状パラメータを選択するためのユーザインタフェースの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
円柱形状測定装置は、所定の軸を回転軸として測定子に対して試料を相対的に自転させ、このとき試料の表面の凹凸を測定子で走査することによって、試料の表面の凹凸を測定する。図1は、下記特許文献1に示される円柱形状測定装置の構成を示す図である。
円柱形状測定装置90は、試料(被測定物)を回転させる為の回転テーブル91と、試料の表面の凹凸を走査するための測定子92と、を備えている。本構成例では、測定子92は、試料の表面に触針93を接触ながら測定子92と試料表面とを相対移動させることによって試料表面の凹凸を走査する。このような触針を用いた測定子92のほか、非接触センサで試料表面の凹凸を読み取る測定子も用いられることがある。
円柱形状測定装置90は、試料に対して測定子92をZ方向に沿って、及びXY平面内で直動させる(直線的に移動させる)カラム94、上下台95及びアーム96を備えている。
【0003】
図1に示す円柱形状測定装置90の構成例では、回転テーブル91によって試料が回転することによって、測定子92に対して試料が相対的に自転する。この他にも測定子92が試料の周りを回ることによって、測定子92に対して相対的に試料が自転するタイプの円柱形状測定装置も使用されている。
また図1に示す円柱形状測定装置90の構成例では、試料に対して測定子が移動することによって測定子と試料とが相対的に直動するが、このほかにも、試料を移動させることによって測定子と試料とが相対的に直動するように構成することも可能である。
【0004】
円柱形状測定装置90は、回転テーブル91の上に載置した試料を自転させながら触針93を試料に当てて測定を行う回転測定動作と、試料に対して測定子92を1方向に直動させながら触針93を試料に当てて測定を行う直動測定動作とを行うことができる。それぞれの測定動作の際に、試料の側面、並びに上面及び下面のいずれの凹凸を測定するかによって、円柱形状測定装置90により測定される測定データは、以下の4種類に大別することができる。
【0005】
図2の(A)は、円柱形状測定装置90により測定される第1の種類の測定データを説明する図であり、回転測定動作により得られる。
第1の種類の測定データは、触針93を試料Wの外周面S1に接触させながら、軸ARを回転軸として試料Wを自転させて外周面S1の凹凸を測定して得られるデータである。図示の試料Wのように中空形状の試料を測定する場合には、軸ARを回転軸として試料Wを自転させて内周面S3上の凹凸を測定することができ、このように内周面S3を測定して得られるデータもこの種類に属する。
外周面S1を測定する場合には、走査線である円周L1に沿った試料Wの外周面S1の凹凸を示すデータが得られ、このデータは円周L1を外周とする断面S2の外周の凹凸を示す。
内周面S3を測定する場合には、走査線である円周L2に沿った試料Wの内周面S3の凹凸を示すデータが得られ、このデータは円周L3を内周とするドーナツ形の断面S4の内周の凹凸を示す。
【0006】
図2の(B)は、円柱形状測定装置90により測定される第2の種類の測定データを説明する図であり、回転測定動作により得られる。
第2の種類の測定データは、触針93を試料Wの上面S5又は下面S6に接触させながら、軸ARを回転軸として試料Wを自転させてこれらの面の凹凸を測定して得られるデータである。上面S5を測定して得られるデータは、円状の走査線L3に沿った上面S5の凹凸を示し、下面S6を測定して得られるデータは、円状の走査線L4に沿った下面S6の凹凸を示す。
【0007】
図3の(A)は、円柱形状測定装置90により測定される第3の種類の測定データを説明する図であり、直動測定動作により得られる。
第3の種類の測定データは、触針93を試料Wの外周面S1に接触させながら、測定子92をZ方向に直動させて外周面S1の凹凸を測定して得られるデータである。図示の試料Wのように中空形状の試料を測定する場合には、測定子92をZ方向に直動させて内周面S3上の凹凸を測定することができ、このように内周面S3を測定して得られるデータもこの種類に属する。外周面S1を測定して得られるデータは、直線状の走査線L5に沿った外周面S1の凹凸を示し、内周面S3を測定して得られるデータは、直線上の走査線L6に沿った内周面S3の凹凸を示す。
【0008】
図3の(B)は、円柱形状測定装置90により測定される第4の種類の測定データを説明する図であり、直動測定動作により得られる。
第4の種類の測定データは、触針93を試料Wの上面S5又は下面S6に接触させながら測定子92をXY面内で直動させ、これらの面の凹凸を測定して得られるデータである。上面S5を測定して得られるデータは、直線状の走査線L7に沿った上面S5の凹凸を示し、下面S6を測定して得られるデータは、直線状の走査線L8に沿った下面S6の凹凸を示す。
【0009】
円柱形状測定装置により得られた測定データを解析することによって、測定データが採取された試料の形状について、様々な種類の形状パラメータを算出することができる。ここで形状パラメータには、例えば以下に示す、円柱形状の試料の断面の真円度や、振れ(面基準)がある。
【0010】
図4は真円度の説明図である。真円度は、試料の断面の円周の形状(図示L3)を回転測定動作によって測定し、得られた円周形状が幾何学的に正しい円からどれだけ離れているか(ΔR)を算出することによって得られる。
図5は、振れ(面基準)の説明図である。回転測定動作によって測定した基準面SRと同じ傾きを持ち、回転測定動作によって測定した円周CRにより得られた基準面中心Cを通るデータム軸ADを中心とする測定円CMの変位の大きさを示す。
【0011】
円柱形状測定装置により得られた測定データを分析して形状パラメータを計算するために形状解析プログラムを用いられている。図6は、従来行われている形状解析プログラムを用いた解析作業のフローチャートである。
ステップS11では、形状解析プログラムは、そのプログラムに用意されている解散可能な形状パラメータのリストをコンピュータのディスプレイに表示して作業者に提示する。作業者は表示された形状パラメータのリストのうちから1つを選択して、以下のステップで計算を行う形状パラメータを決定する。
【0012】
ステップS12では、形状解析プログラムは、コンピュータに設けられた大容量の記憶装置(例えばハードディスクドライブ装置やDVD−RAM装置など)の所定のフォルダに記憶された測定データを表示し、作業者は、これら測定データのうち形状パラメータの計算に使用するデータを選択する。
ステップS13では、形状解析プログラムは、ステップS12で選択された測定データを解析して、ステップS11で選択した形状パラメータを計算する。
【0013】
【特許文献1】特開平5−231806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在、円柱形状測定装置の測定データを解析する形状解析プログラムにより計算できる形状パラメータの種類は非常に多い。例えば、回転測定動作により得られた測定データから算出できる形状パラメータには、例えば「真円度」、「平面度」、「平面度(複)」、「平行度」、「同心度」、「同軸度」、「振れ」、「振れ(面基準)」、「振れ(軸方向)」、「径偏差」、「円筒度」、「直角度(軸基準)」及び「直角度(面基準)」などがあり、また直動測定動作により得られた測定データから算出できる形状パラメータには、例えば「Z軸真直度」、「軸心真直度」、「直動円筒度」、「直動平行度」、「直動直角度」、「直動径偏差」及び「R軸真直度」などがある。
【0015】
このため作業者は、コンピュータのディスプレイ上に表示された、非常に多くの種類の形状パラメータのうちから所望のものを選択する、という煩雑な作業を強いられる。また形状パラメータの名称には互いに似たような紛らわしいものがあるため、多数の形状パラメータのうちから選択しなければならない選択作業を、ますます煩雑なものとしていた。
【0016】
このような問題点に鑑み、本発明は、測定子に対して試料を相対的に自転させることにより測定子で試料の表面を走査する円柱形状測定装置が生成する測定データを解析して、真円度等の試料の形状パラメータを算出する形状解析装置及び形状解析プログラムにおいて、作業者が、測定データから算出すべき形状パラメータを選択する際の作業性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的と達成するために、本発明では、円柱形状測定装置によって得られる試料表面の凹凸データのうち、試料の形状パラメータの算出に使用するものを作業者に先に選択させ、選択した凹凸データから計算できる形状パラメータのリストを生成して、計算すべき形状パラメータを作業者にこのリストから選ばせる。
上述のとおり、形状パラメータの種類は多岐に及ぶが、各形状パラメータを算出するには、それぞれ算出に使用する凹凸データを測定した面の数や方向が決まっている。したがって、形状パラメータの算出に使用する凹凸データを先に選択させて、選択した凹凸データから算出できる形状パラメータを決定して、これら決定した形状パラメータのうちから、算出すべきパラメータを作業者に選択させれば、作業者が形状パラメータを選択するときの選択枝を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、円柱形状測定装置が生成する測定データを解析して、真円度等の試料の形状パラメータを算出する形状解析装置及び形状解析プログラムにおいて、作業者が、測定データから算出すべき形状パラメータを選択する際の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図7は、本発明の実施例による形状解析装置の全体構成図である。
形状解析装置1は、図1を示して説明した円柱形状測定装置から、この円柱形状測定装置が試料の表面の凹凸を測定子で走査することにより得た表面の凹凸データである測定データを入力し、この測定データを解析することにより試料の形状パラメータを算出する。図示するとおり、形状解析装置1は、円柱形状測定装置から入力した測定データ11を記憶する記憶装置と、データ選択入力部12と、形状パラメータリスト生成部14と、パラメータ選択入力部15と、形状パラメータリスト算出部16とを備えている。
【0020】
作業者は、記憶装置内に記憶された測定データ11のうちから形状パラメータの算出に使用する測定データを選択する際に、データ選択入力部12を用いてデータの選択と選択結果の入力を行う。
形状パラメータリスト生成部14は、データ選択入力部12によりデータの選択が行われると、形状解析装置1により算出可能な各形状パラメータについて、データ選択入力部12により選択されたデータから算出可能か否かを判定し、その判定結果をパラメータ算出可否テーブル13に記憶する。
【0021】
パラメータ選択入力部15は、形状パラメータリスト生成部14によって算出可能と判定された形状パラメータうちから、形状解析装置1に算出させる形状パラメータを作業者に選択させる。
形状パラメータリスト算出部16は、データ選択入力部12を用いて選択されたデータを解析して、選択パラメータ選択入力部15を用いて選択された形状パラメータを算出する。
【0022】
図7に示す各機能ブロックは、コンピュータと、このコンピュータ上で動作する本発明の実施例による形状解析プログラムによって実現される。図7に示す形状解析装置1を、コンピュータを用いて実現した場合のハードウェア構成を図8に示す。形状解析装置1は、形状解析プログラム26を実行するCPU21と、このCPU21に接続されたメモリ22、キーボード23、マウス24、ディスプレイ25、及びハードディスクドライブ27と、を備えている。
【0023】
ハードディスクドライブ27には、本発明の実施例による形状解析プログラム26と、円柱形状測定装置から入力した測定データ11と、パラメータ算出可否テーブル13が記憶される。また形状解析装置1は、形状解析プログラム26をコンピュータにインストールし、測定データ11をコンピュータのハードディスクドライブ27に入力するためのディスクドライブユニット28を備えている。
【0024】
図9の(A)は、図2の(A)及び(B)を参照して説明した回転測定動作の際に円柱形状測定装置が生成する第1及び第2の種類の測定データの構成例を示す図である。測定子92に対して試料Wを相対的に自転させながら試料表面の凹凸を測定子92で走査する回転測定動作の場合には、測定データは、各測定点における表面の凹凸を示す座標データi(i=1、2、…)と、それぞれの測定時刻における測定子92に対する試料Wの自転角度の角度位置を示す回転角度情報iと、からなるデータ対の列になる。
【0025】
図9の(A)に示す測定データは、座標データi及び回転角度情報iの列からなるデータ本体部分に加えてヘッダ情報を含む。ヘッダ情報には、その測定データを測定したときの測定動作情報と、測定時に測定子92により走査した面(図1に示す円柱形状測定装置の場合には触針93を摺動させた面)の方向を示す面方向情報を含んでいる。
例えば、回転測定動作により得られた図9の(A)に示す測定データの場合、ヘッダ情報の測定動作情報には、回転測定動作を示す情報「回転」が含まれる。
【0026】
また面方向情報には、図2の(A)に示す円周L1に沿って測定子92による走査が行われた場合には「外周面」を示す情報が、円周L2に沿って測定子92による走査が行われた場合には「内周面」を示す情報が含まれる。
さらに図2の(B)に示す円周L3に沿って測定子92による走査が行われた場合には面方向情報には「上面」を示す情報が含まれ、円周L4に沿って測定子92による走査が行われた場合には「下面」を示す情報が含まれる。
【0027】
図9の(B)は、図3の(A)及び(B)を参照して説明した直動測定動作の際に円柱形状測定装置が生成する第3及び第4の種類の測定データの構成例を示す図である。測定子92に対して試料Wを自転させず、相対的に直動させながら試料表面の凹凸を測定子92で走査する回転測定動作の場合には、測定データは、各測定点における表面の凹凸を示す座標データi(i=1、2、…)の列になる。
【0028】
図9の(B)に示す測定データもヘッダ情報を含んでいる。図9の(A)に示す測定データと同様にヘッダ情報には測定動作情報と面方向情報とを含んでおり、本例では例えば測定動作情報には、直動測定動作を示す「直動」が含まれる。
また面方向情報には、図3の(A)に示す直線L5に沿って測定子92による走査が行われた場合には「外周面」を示す情報が、直線L6に沿って測定子92による走査が行われた場合には「内周面」を示す情報が含まれる。
さらに図2の(B)に示す直線L7に沿って測定子92による走査が行われた場合には面方向情報には「上面」を示す情報が含まれ、直線L8に沿って測定子92による走査が行われた場合には「下面」を示す情報が含まれる。
【0029】
さらに図3の(A)に示すように、直動測定動作の際には測定子92に対して試料Wを自転させないので、回転テーブル91は測定動作中に回転しない。図9の(B)のヘッダ情報は、直動測定動作における回転テーブル91の角度位置情報を含む。後述するとおり、直動測定動作に関するいくつかの形状パラメータ、例えば後述する「軸心真直度」や「直動円筒度」などの算出にあたっては、試料Wの外周面S1又は内周面S3上の互いに対向する箇所をZ方向に沿って走査して得た2つの測定データを用いる。
図9の(B)の角度位置情報は、試料Wの外周面S1又は内周面S3をZ方向に走査したときの回転テーブル91の角度位置情報を示すことによって、試料Wの外周面S1又は内周面S3をZ方向に走査して得た測定データについて、データを測定した走査線を試料Wの自転軸から見たときの相対的な方位角を与える。この角度位置情報は、2つの測定データが試料Wの表面上の互いに対向する箇所で測定されたものか否かを判定する際に利用される。
【0030】
図10は、本発明の実施例による形状解析プログラム26による形状パラメータの解析作業のフローチャートである。
ステップS21では、作業者は、円柱形状測定装置から入力されハードディスクドライブ27に保存された複数の測定データ11のうちから、形状パラメータの算出に使用するものを1つ以上選択する。この様子を図11及び図12を参照して説明する。
図11は、形状解析プログラム26がディスプレイ25に表示するメイン画面を示す図である。
【0031】
メイン画面には、形状解析プログラム26に行わせる動作を選択するツールバー31が設けられており、図示するとおりツールバー31は、ファイルの入出力動作やプログラムの終了指示などを行うための「ファイル」ボタン、回転測定動作による測定データを解析して形状パラメータを算出させる指示を行うための「回転系測定」ボタンと、直動測定動作による測定データを解析して形状パラメータを算出させる指示を行うための「直動系測定」ボタンとが設けられている。
【0032】
マウス24によって「ファイル」ボタンをクリックすることにより、図12の(A)に示すようなファイル操作用プルダウンメニュー32が表示される。さらにマウス24によってメニュー項目「開く」を選択することにより、図12の(B)に示す入力ファイル指定画面33がディスプレイ25に表示される。
入力ファイル指定画面33には、ハードディスクドライブ27内の所定のフォルダ(ディレクトリ)内に記録されている測定データファイルのファイル名一覧34が表示される。作業者は、ファイル名一覧34内のファイル名をマウス24で指定することにより、またはファイル名をキーボード23で直接入力することによって、以降のステップで行う形状パラメータの算出に使用する測定データを1つ以上選択する。
【0033】
図10に戻りステップS22では、形状解析プログラム26は、ステップS21で選択した1以上の測定データから計算できる形状パラメータのリストを作成する処理を行う。
形状パラメータのリストを作成する処理は、形状解析プログラム26によって算出することが可能な各形状パラメータについて、ステップS21で選択した測定データから算出できるか否かを判定し、その判定結果をパラメータ算出可否テーブル13に記憶することによって行う。
図13は、パラメータ算出可否テーブル13のうち、回転測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータに関する部分のみを示したパラメータ算出可否テーブル13aを示す図である。
【0034】
本実施例による形状解析プログラム26は、回転測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータとして、「真円度」、「平面度」、「平面度(複)」、「平行度」、「同心度」、「同軸度」、「振れ」、「振れ(面基準)」、「振れ(軸方向)」、「径偏差」、「円筒度」、「直角度(軸基準)」及び「直角度(面基準)」を算出することができる。パラメータ算出可否テーブル13aは、これらの形状パラメータのそれぞれについて、ステップS21で選択した測定データから算出できるか否かのフラグを記録するための計算可否フィールドを有する。
【0035】
以下、上記に列挙した回転測定動作による測定データから算出可能な各形状パラメータの意義と、それぞれのパラメータを計算するために必要な測定面数と測定面の種類を説明する。
以下の説明において「測定面数」の語は、測定子92による走査が1回行われて1つの測定データが得られた測定面の数を意味するものとして使用する。例えば、同一の面にて2回走査が行われ2つの測定データが採取された場合には測定面数は「2」となる。
ここで、図2の(A)を参照して説明した試料Wの外周L1又は内周L2を測定した第1の種類の測定データについて測定面数をカウントする場合には、1つの外周L1を1回走査して得た1つの断面S2の外周の凹凸を測定した測定データの測定面数を「1」とし、または1つの内周L2を1回走査して得た断面S4の内周の凹凸を測定した測定データの測定面数を「1」とする。
【0036】
形状パラメータ「真円度」の意義は図4を参照して説明したとおりである。真円度を算出するには、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した、測定面数が1以上の第1の種類の測定データを必要とする。
【0037】
図14を参照して形状パラメータ「平面度」の意義を説明する。平面度は、平面S1又はS2上の凹凸を回転測定して得られた平面形状が、幾何学的に正しい平面からどれだけ離れているかの誤差の大きさを示す。したがって平面度の算出には、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した、測定面数が1以上の第2の種類の測定データを必要とする。
形状パラメータ「平面度(複)」は、平面の凹凸を2回以上回転測定し、全ての測定データの最大値と最小値の幅を平面度として示したものである。したがって平面度(複)の算出には、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した測定面数が2以上の第2の種類の測定データを必要とする。
【0038】
図15を参照して形状パラメータ「平行度」の意義を説明する。平行度は、2つ以上の平行な平面の凹凸を回転測定し、一方の面SRをデータム面とし、他方の面SMを測定面としたとき、データム面SRに幾何学的に平行な平面体から測定面SMがどれだけ離れているかの誤差の大きさを示す。したがって平行度の算出には、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した測定面数が2以上の第2の種類の測定データを必要とする。
【0039】
図16を参照して形状パラメータ「同心度」の意義を説明する。同心度は、同じ中心を持つ2つ以上の円周CR、CM1及びCM2の凹凸を回転測定し、基準円CRの中心を通り、ワークWの回転中心に平行な軸をデータム軸ADとしたときの、データム軸の軸心に対する各測定円CM1及びCM2のそれぞれの中心位置C1及びC2の位置の狂いの大きさを示す。したがって同心度の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データを必要とする。
【0040】
図17を参照して形状パラメータ「同軸度」の意義を説明する。同軸度は、同じ中心を持つ3つ以上の円周CR1、CR2及びCMの凹凸を回転測定し、基準円CR1及びCR2の中心を通るデータム軸ADからの、測定円CMの軸心AMの狂いの大きさを示す。したがって同軸度の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が3以上の第1の種類の測定データを必要とする。
【0041】
図18を参照して形状パラメータ「振れ」の意義を説明する。振れは、2つ以上の円周C1〜C4の凹凸を回転測定し、データム軸心に対する測定円C1〜C4の変位の大きさ、又はデータム軸を直線とする円筒面の変位の大きさを示す。したがって、振れの算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データを必要とする。
【0042】
形状パラメータ「振れ(面基準)」の意義は図5を参照して説明したとおりである。振れ(面基準)の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データと、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した測定面数が1以上の第2の種類の測定データを必要とする。
【0043】
図19を参照して形状パラメータ「振れ(軸方向)」の意義を説明する。振れ(軸方向)は、2つ以上の基準円CR1及びCR2の中心から求めたデータム軸ADに垂直な平面から、測定面SMまでの距離の最大値と最小値の差を示す。したがって、振れ(軸方向)の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データと、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した測定面数が1以上の第2の種類の測定データを必要とする。
【0044】
図20を参照して形状パラメータ「径偏差」の意義を説明する。径偏差は、同じ半径をもつ2つ以上の円周C1〜C3の凹凸を回転測定し、これらの円周C1〜C3の半径差の最も大きい値ΔRを示す。したがって、径偏差の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データを必要とする。
【0045】
図21を参照して形状パラメータ「円筒度」の意義を説明する。円筒度は、同一中心軸及び同一半径を持つ円周の凹凸を2つ以上測定し、幾何学的に正しい円筒からこれら測定円の狂いの大きさeを示す。したがって、円筒度の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データを必要とする。
【0046】
次に形状パラメータ「直角度(軸基準)」の意義を説明する。説明には図19を使用する。直角度(軸基準)は、2つ以上の基準円CR1及びCR2の中心から求めたデータム軸ADに垂直な2つの平面で、測定面SMを挟んだときの2平面の間隔を示す。したがって、直角度(軸基準)の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データと、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した測定面数が1以上の第2の種類の測定データを必要とする。
【0047】
図22を参照して形状パラメータ「直角度(面基準)」の意義を説明する。直角度(面基準)は、基準平面SRの凹凸と、基準円CR及び測定円CMの円周の凹凸を回転測定し、基準平面SRに垂直かつ基準円CRの中心C1を通る軸をデータム軸ADとして、測定円CMの中心位置C2とデータム軸ADとの距離の最大値を示す。したがって、直角度(軸基準)の算出には、図2の(A)に示す試料Wの外周L1又は内周L2を測定した測定面数が2以上の第1の種類の測定データと、図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した測定面数が1以上の第2の種類の測定データを必要とする。
【0048】
以上のとおり回転測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータのそれぞれについて説明した、各形状パラメータを算出するのに必要な測定面数と測定面の種類に関する条件を図23に示す。
図23において、「○(1)」は、図10に示すステップS21で選択した測定データが図2の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定子92で走査して得られたデータである場合、すなわち図9の(A)に示す測定データのヘッダ情報の面方向情報フィールドに「外周面」または「内周面」を示す情報が含まれている場合に、算出可能であることを示す。
「○(2)」は、ステップS21で選択した測定データが図2の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定子92で走査して得られたデータである場合、すなわち測定データの面方向情報フィールドに「上面」または「下面」を示す情報が含まれている場合に、算出可能であることを示す。
【0049】
「○(3)」は、ステップS21で選択した測定データのうち少なくとも2つの測定データの面方向情報フィールドに「外周面」または「内周面」が含まれており、かつ少なくとも1つの測定データの面方向情報フィールドに「上面」または「下面」を示す情報が含まれている場合に、算出可能であることを示す。
「○(4)」は、ステップS21で選択した全て測定データの面方向情報フィールドに「外周面」が含まれているか、又はステップS21で選択した全て測定データの面方向情報フィールドに「内周面」が含まれている場合に、算出可能であることを示す。
「×」は、算出不能であることを示す。
【0050】
図24は、パラメータ算出可否テーブル13のうち、直動測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータに関する部分のみを示したパラメータ算出可否テーブル13bを示す図である。
本実施例による形状解析プログラム26は、直動測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータとして、「Z軸真直度」、「軸心真直度」、「直動円筒度」、「直動平行度」、「直動直角度」、「直動径偏差」及び「R軸真直度」を算出することができる。パラメータ算出可否テーブル13bは、これらの形状パラメータのそれぞれについて、ステップS21で選択した測定データから算出できるか否かのフラグを記録するための計算可否フィールドを有する。
以下、上記に列挙した直動測定動作による測定データから算出可能な各形状パラメータの意義と、それぞれのパラメータを計算するために必要な測定面数と測定面の種類を説明する。
【0051】
形状パラメータ「Z軸真直度」は、図3の(A)に示すように、測定子92をZ方向に直動させながら測定子92で試料Wの外周面S1又は内周面S3を走査して得られた凹凸データが、幾何学的に正しい直線からどれだけ離れているかを示す。したがって、Z軸真直度の算出には、図3の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定した、測定面数が1以上の第3の種類の測定データを必要とする。
【0052】
図25を参照して形状パラメータ「軸心真直度」の意義を説明する。軸心真直度は、円筒状試料Wの表面の対向する箇所において、Z方向に沿う走査線L1及びL2に沿って凹凸を測定したとき、これらの測定データ間の中心線の変位の幅を示す。したがって軸心真直度の算出には、図3の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定した、測定面数が2の第3の種類の測定データを必要とし、なおこれらの測定データを測定した走査線L1及びL2が、円筒状試料Wの表面の対向する箇所にあることを要する。
【0053】
2つの走査線L1及びL2が、円筒状試料Wの表面の対向する箇所にあるか否かは、図9の(B)に示す直動測定動作の際の測定データのヘッダ情報に含まれる、回転テーブル91の角度位置情報により決定することができる。
すなわち、走査線L1上で測定した測定データの角度位置情報フィールドには、走査線L1上を測定子92で走査するために(すなわち図1に示す円柱形状測定装置の構成例では、触針93を走査線L1上に位置付けるために)制御された回転テーブル91の角度位置θ1が含まれ、走査線L2上で測定した測定データの角度位置情報フィールドには、走査線L2上を測定子92で走査するために制御された回転テーブル91の角度位置θ2が含まれる。したがって、それぞれの測定データに含まれる角度位置情報θ1及びθ2の間の相対角度を求めることによって、2つの走査線L1及びL2が対向する箇所にあるか否かを判定することができる。
【0054】
例えば、2つの測定データの角度位置情報フィールドに記憶される角度位置がθ1及びθ2であるとすると、θ1’=θ1+90°、θ2’=θ2−90°を計算する。そしてθ1’≧360°のとき、θ1’をθ1’=θ1’−360°と補正し、θ1’<360°のときθ1’をθ1’=θ1’+360°と補正する。
このとき、θ2>θ1’かつθ2<θ2’であれば2つの測定データを測定した箇所は対向していると判定する。
【0055】
同じく図25を参照して形状パラメータ「直動円筒度」の意義を説明する。直動円筒度は、円筒状試料Wの表面の対向する箇所において、Z方向に沿う走査線L1及びL2に沿って凹凸を測定したとき、これらの測定データ間の中心軸の平均線に平行な直線で、2つの測定データが示す形状を挟んだときの径方向の最大変位量を示す。
したがって直動円筒度の測定には、図3の(A)に示す円筒状試料Wの表面の外周面S1上又は内周面S3上の2箇所についての測定した測定データの対を最低1対必要とし、1対の測定データに含まれる2つの測定データを測定した箇所が、円筒状試料Wの表面の対向する箇所にあることを要する。2つの測定データを測定した箇所が円筒状試料Wの表面の対向する箇所にあるか否かは、軸心真直度の場合と同様に判定することができる。
【0056】
形状パラメータ「直動平行度」の意義を説明する。直動平行度は、円筒状試料Wの表面をZ方向に沿う走査線L1及びL2に沿って凹凸を測定したとき、一方の走査線L1を測定した面をデータム面とし、他方の走査線L2を測定した面を測定面として、2つの面の平行度を示す。
したがって直動平行度の算出には、図3の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定した、測定面数が2の第3の種類の測定データを必要とする。
【0057】
図26を参照して形状パラメータ「直動直角度」の意義を説明する。直動直角度は、円筒状試料Wの表面の対向する箇所において、Z方向に沿う走査線L1及びL2に沿って凹凸を測定したとき、基準平面SRに直交する直線からこれらの測定データ間の中心軸の離れの幅を示す。
したがって直動直角度の算出には、図3の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定した、測定面数が2の第3の種類の測定データを必要とし、なおこれらの測定データを測定した走査線L1及びL2が、円筒状試料Wの表面の対向する箇所にあることを要する。走査線L1及びL2が対向する箇所にあるか否かの判定は、軸心真直度の場合と同様に判定することができる。
【0058】
直動径偏差は、試料Wの外周面S1の1箇所又は2箇所において、測定子92をZ方向に沿って走査したときの径方向の変位を示す。したがって直動径偏差の算出には、図3の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定した、測定面数が1又は2の第3の種類の測定データを必要とする。
【0059】
R軸真直度は、測定子92を試料Wの径方向、すなわちXY平面に平行に走査したときの凹凸データが、幾何学的に正しい直線からどれだけ離れているかを示す。したがって、R軸真直度の算出には、図3の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定した、測定面数が1以上の第4の種類の測定データを必要とする。
【0060】
以上のとおり直動測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータのそれぞれについて説明した、各形状パラメータを算出するのに必要な測定面数と測定面の種類に関する条件を図27に示す。
図27において、「○(1)」は、図10に示すステップS21で選択した測定データが図3の(A)に示す試料Wの外周面S1又は内周面S3を測定子92で走査して得られたデータである場合、すなわち図9の(B)に示す測定データのヘッダ情報の面方向情報フィールドに「外周面」または「内周面」を示す情報が含まれている場合に、算出可能であることを示す。
「○(2)」は、ステップS21で選択した測定データが図3の(B)に示す試料Wの上面S5又は下面S6を測定子92で走査して得られたデータである場合、すなわち測定データの面方向情報フィールドに「上面」または「下面」を示す情報が含まれている場合に、算出可能であることを示す。
【0061】
「○(3)」は、ステップS21で選択した2つの測定データの面方向情報フィールドに「外周面」または「内周面」を示す情報が含まれており、かつ、これらの測定データを測定した箇所が試料Wの表面の対向する箇所にある場合に、算出可能であることを示す。
「○(4)」は、ステップS21で選択した測定データが、その面方向情報フィールドに「外周面」または「内周面」を示す情報が含まれており、かつ、試料Wの表面の互いに対向する2箇所について測定された1対の測定データの複数対からなる場合に、算出可能であることを示す。
「×」は、算出不能であることを示す。
【0062】
ステップS22において形状解析プログラム26は、ステップS21で選択した測定データの測定面数を判定する。
そして形状解析プログラム26は、ヘッダ情報の測定動作情報フィールドを参照し、選択された測定データを測定したときの測定動作が、回転測定動作であるのか直動測定動作であるのかを判定する。
【0063】
また形状解析プログラム26は、ヘッダ情報の面方向情報フィールドを参照して、選択された測定データを測定した時に測定子92により走査した面の方向を判定する。
さらに形状解析プログラム26は、ステップS21にて選択した測定データに、直動測定動作により試料の内外周をZ方向に走査して測定した複数の測定データが含まれる場合には、これら選択された測定データに、試料Wの対向する箇所にて測定された2つの測定データからなる測定データの対が存在するかを判定する。
測定データの対をなす2つの測定データが対向条件を充足するか否か、すなわちこれら2つの測定データが試料Wの対向する箇所にて測定されたか否かの判定は、軸心直角度、直動円筒度及び直動直角度の算出可否の判定条件に関する上記の説明で述べたように、2つの測定データのヘッダ情報の角度位置情報フィールドにそれぞれ記憶された回転テーブル91の回転位置間の相対角度に基づいて行う。
【0064】
そして、形状解析プログラム26は、これらの測定面数、測定動作の種類、面の方向及び対向条件の判定結果に応じて、それぞれの形状パラメータについて算出可否を判定する上記の判定基準にしたがって、各パラメータの算出可否を判定し、その判定結果をパラメータ算出可否テーブル13に記憶する。
【0065】
図28の(A)は、測定面数が2の測定データをステップS21で選択した場合の、回転測定動作に関する形状パラメータに関するパラメータ算出可否テーブル13aの内容を示す図である。ここで、ステップS21で選択した測定データの両方の測定動作情報フィールドには「回転」が含まれ、面方向情報フィールドには「外周面」が含まれていた場合の判定結果を示している。
【0066】
図29の(A)は、測定面数が2の測定データをステップS21で選択した場合の、直動測定動作に関する形状パラメータに関するパラメータ算出可否テーブル13bの内容を示す図である。ここで、ステップS21で選択した測定データの測定動作情報フィールドには「直動」が含まれ、両方の測定データの面方向情報フィールドには「外周面」が含まれ、かつこれらの測定データを測定した箇所が対向しない場合の判定結果を示している。
【0067】
図10に戻り、ステップS23において形状解析プログラム26は、パラメータ算出可否テーブル13において、算出可能であると記憶された形状パラメータのみをディスプレイ25に表示する。
作業者は表示された形状パラメータのみから、算出する形状パラメータを選択することができる。
このとき、例えば図28の(B)及び図29の(B)に示すように、作業者が、マウス24を操作してツールバー31の「回転系測定」ボタン又は「直動系測定」ボタンを押下し、算出する形状パラメータを選択するプルダウンメニューを表示するとき、それぞれのプルダウンメニュー35及び36に、パラメータ算出可否テーブル13において、算出可能であると記憶された形状パラメータのみを表示することとしてよい。
図28の(B)及び図29の(B)に示されるプルダウンメニュー35及び36は、それぞれ図28の(A)及び図29の(A)に示したパラメータ算出可否テーブル13a及び13bに記憶された判定結果を反映したものである。
作業者は、プルダウンメニュー35及び36に表示された項目のみから、算出する形状パラメータを選択することができる。
【0068】
図10に戻り、ステップS24において形状解析プログラム26は、ステップS21にて選択した測定データを解析して、ステップS23にて選択した形状パラメータを計算する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、測定子に対して試料を相対的に自転させることにより測定子で試料の表面を走査する円柱形状測定装置が生成する測定データを解析して、真円度等の試料の形状パラメータを算出する形状解析装置及び形状解析プログラムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】円柱形状測定装置の構成図である。
【図2】(A)及び(B)は、それぞれ円柱形状測定装置により測定される第1及び第2の種類の測定データの説明図である。
【図3】(A)及び(B)は、それぞれ円柱形状測定装置により測定される第3及び第4の種類の測定データの説明図である。
【図4】真円度の説明図である。
【図5】振れ(面基準)の説明図である。
【図6】従来の形状解析プログラムによる解析作業のフローチャートである。
【図7】本発明の実施例による形状解析装置の全体構成図である。
【図8】コンピュータを用いて図7に示す形状解析装置を実現した場合のハードウェア構成図である。
【図9】(A)は回転測定動作の際に円柱形状測定装置が生成する測定データの構成例を示す図であり、(B)は直動測定動作の際に円柱形状測定装置が生成する測定データの構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施例による形状解析プログラムによる形状パラメータの解析作業のフローチャートである。
【図11】形状解析プログラムがディスプレイに表示するメイン画面を示す図である。
【図12】(A)はファイル操作用プルダウンメニューを示す図であり、(B)は入力ファイル指定画面を示す図である。
【図13】回転測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータに関する部分のみを示したパラメータ算出可否テーブルを示す図である。
【図14】平面度の説明図である。
【図15】平行度の説明図である。
【図16】同心度の説明図である。
【図17】同軸度の説明図である。
【図18】振れの説明図である。
【図19】振れ(軸方向)の説明図である。
【図20】径偏差の説明図である。
【図21】円筒度の説明図である。
【図22】直角度(面基準)の説明図である。
【図23】回転測定動作による各形状パラメータを算出するのに必要な測定面数と測定面の種類に関する条件表を示す図である。
【図24】直動測定動作による測定データから算出可能な形状パラメータに関する部分のみを示したパラメータ算出可否テーブルを示す図である。
【図25】軸心真直度の説明図である。
【図26】直動直角度の説明図である。
【図27】直動測定動作による各形状パラメータを算出するのに必要な測定面数と測定面の種類に関する条件表を示す図である。
【図28】(A)は測定面数が2の測定データを選択した場合におけるパラメータ算出可否テーブル13aの内容を示す図であり、(B)は(A)に示すテーブルの内容に応じて表示されるプルダウンメニューを示す図である。
【図29】(A)は測定面数が2の測定データを選択した場合におけるパラメータ算出可否テーブル13bの内容を示す図であり、(B)は(A)に示すテーブルの内容に応じて表示されるプルダウンメニューを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 形状解析装置
11 測定データ
12 データ選択入力部
13 パラメータ算出可否テーブル
14 形状パラメータリスト生成部
15 パラメータ選択入力部
16 形状パラメータリスト算出部
26 形状解析プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸を回転軸として測定子に対して試料を相対的に自転させることにより前記測定子で前記試料の表面を走査する測定動作によって走査線上における前記表面の凹凸データを生成する円柱形状測定装置によって得られた凹凸データを解析して、前記試料の形状パラメータを算出する形状解析装置であって、
前記円柱形状測定装置が生成する前記凹凸データには、少なくとも第1及び第2の種類があり、
前記第1の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の任意の断面についてこの断面の外周の凹凸を示すデータであって、前記測定動作により前記試料の側面を前記測定子で走査することにより測定され、
前記第2の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の上面についてこの上面の凹凸を示すデータであって、前記測定動作により前記試料の上面を前記測定子で走査することによって測定され、
前記凹凸データは、そのデータを生成したときに前記測定子により走査された前記試料の表面の向きを示す面方向情報を含み、
前記形状解析装置は、
アクセス可能な前記凹凸データから、前記形状パラメータの算出に使用するデータをユーザに1つ以上選択させるデータ選択入力部と、
前記データ選択入力部にて選択した前記凹凸データを測定した前記測定面の数と前記凹凸データが各々含む面方向情報に応じて、予め定められた選択基準に従って、複数の種類の形状パラメータの中から算出すべき形状パラメータを選択して、形状パラメータのリストを生成する形状パラメータリスト生成部と、
前記形状パラメータリスト生成部により生成された前記リストの中から、算出すべき形状パラメータをユーザに選択させるパラメータ選択入力部と、
を備えることを特徴とする形状解析装置。
【請求項2】
前記測定動作を第1の種類の測定動作として、
前記円柱形状測定装置は、さらに、前記測定子と前記試料とを直線的に相対移動させることにより前記測定子で前記試料の表面を走査する第2の種類の測定動作によって走査線上における前記表面の凹凸データを生成し、
前記凹凸データには、さらに第3及び第4の種類があり、
前記第3の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の側面についてこの側面の凹凸を示すデータであって、前記第2の種類の測定動作により前記試料の側面を前記所定の回転軸に沿って前記測定子で走査することにより測定され、
前記第4の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の上面についてこの上面の凹凸を示すデータであって、前記第2の種類の測定動作により前記試料の上面を前記測定子で走査することにより測定され、
前記凹凸データは、そのデータを生成したときの測定動作が前記第1及び第2の種類の測定動作のいずれかであるかを示す測定動作情報をさらに含み、
前記形状パラメータリスト生成部は、前記データ選択入力部にて選択した前記凹凸データを測定した前記測定面の数と前記凹凸データが各々含む面方向情報及び測定動作情報に応じて、予め定められた選択基準に従って、複数の種類の形状パラメータの中から算出すべき形状パラメータを選択して、形状パラメータのリストを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の形状解析装置。
【請求項3】
所定の軸を回転軸として測定子に対して試料を相対的に自転させることにより前記測定子で前記試料の表面を走査する測定動作によって走査線上における前記表面の凹凸データを生成する円柱形状測定装置によって得られた凹凸データにアクセス可能なコンピュータに、該凹凸データを解析して前記試料の形状パラメータを算出する処理を行わせる形状解析プログラムであって、
前記円柱形状測定装置が生成する前記凹凸データには、少なくとも第1及び第2の種類があり、
前記第1の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の任意の断面についてこの断面の外周の凹凸を示すデータであって、前記測定動作により前記試料の側面を前記測定子で走査することにより測定され、
前記第2の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の上面についてこの上面の凹凸を示すデータであって、前記測定動作により前記試料の上面を前記測定子で走査することによって測定され、
前記凹凸データは、そのデータを生成したときに前記測定子により走査された前記試料の表面の向きを示す面方向情報を含み、
前記形状解析プログラムは、
アクセス可能な前記凹凸データから、前記形状パラメータの算出に使用する1つ以上のデータに関してユーザが行った選択を受け付けるデータ選択処理と、
前記データ選択処理にて選択された前記凹凸データを測定した前記測定面の数と前記凹凸データが各々含む面方向情報に応じて、予め定められた選択基準に従って、複数の種類の形状パラメータの中から算出すべき形状パラメータを選択して、形状パラメータのリストを生成する形状パラメータリスト生成処理と、
前記形状パラメータリスト生成処理により生成された前記リストの中から、算出すべき形状パラメータに関してユーザが行った選択を受け付けるパラメータ選択処理と、
を前記コンピュータに行わせることを特徴とする形状解析プログラム。
【請求項4】
前記測定動作を第1の種類の測定動作として、
前記円柱形状測定装置は、さらに、前記測定子と前記試料とを直線的に相対移動させることにより前記測定子で前記試料の表面を走査する第2の種類の測定動作によって走査線上における前記表面の凹凸データを生成し、
前記凹凸データには、さらに第3及び第4の種類があり、
前記第3の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の側面についてこの側面の凹凸を示すデータであって、前記第2の種類の測定動作により前記試料の側面を前記所定の回転軸に沿って前記測定子で走査することにより測定され、
前記第4の種類の凹凸データは、測定面としての前記試料の上面についてこの上面の凹凸を示すデータであって、前記第2の種類の測定動作により前記試料の上面を前記測定子で走査することにより測定され、
前記凹凸データは、そのデータを生成したときの測定動作が前記第1及び第2の種類の測定動作のいずれかであるかを示す測定動作情報をさらに含み、
前記形状パラメータリスト生成処理において、前記データ選択処理にて選択された前記凹凸データを測定した前記測定面の数と前記凹凸データが各々含む面方向情報及び測定動作情報に応じて、予め定められた選択基準に従って、複数の種類の形状パラメータの中から算出すべき形状パラメータを選択して、形状パラメータのリストを生成する処理を、
コンピュータに行わせることを特徴とする請求項3に記載の形状解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−69067(P2009−69067A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239622(P2007−239622)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】