説明

往復動ピストン内燃機関及び往復動ピストン内燃機関を運転する方法

【課題】外部点火を用いずにLPGを燃料としてディーゼルプロセスで運転できる往復動ピストン内燃機関を提供すること。
【解決手段】燃焼空気を供給し、これをシリンダ中で圧縮するステップと、燃料噴射機構によってディーゼル燃料及びLPG燃料をシリンダ中の圧縮燃焼空気の中に噴射するステップと、を有し、ディーゼル燃料及びLPG燃料の噴射の前に、ディーゼル燃料が、燃料混合装置(60)によりLPG燃料と混合され、LPG燃料とディーゼル燃料とからなる均一な燃料エマルジョンがまず生成され、つづいてこの燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ中に噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に従い構成される、ディーゼルプロセスを用いて駆動エネルギーを発生する往復動ピストン内燃機関、並びに請求項7の前提部に従い構成される、ディーゼルプロセスで作動する往復動ピストン内燃機関の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導入部で述べられた種類の往復動ピストン内燃機関及び方法は、特許文献1に開示されている。
【0003】
以下に、燃料としてLPG(液化石油ガス;ドイツ語圏内では、AutogasあるいはCampinggasとも呼ばれる)により運転する往復動ピストン内燃機関の可能な幾つかの実施変形形態を記述する。LPGは、プロパン(C)及びブタン(C10)を主成分とした混合物である。こうした往復動ピストン内燃機関は、例えば4行程の大型エンジンとして形成されている。
【0004】
往復動ピストン内燃機関は、運転過程により分類される。最も広く用いられる運転過程は、ディーゼルプロセス及びオットープロセスである。ディーゼルプロセスは、内部での混合気形成(圧縮終了後の上死点での燃料噴射注入)、及び圧縮終了時の燃焼空気の高温による燃料の自己点火により特徴づけられる。これに対して、オットープロセスは、外部での混合気形成(集中気化器または個別のシリンダ吸気管中における)、及び外部点火(点火栓あるいは同様な点火源による)により特徴づけられる。オットーエンジンにおいても、内部での混合気形成(「直接噴射装置」)の実施形態もあるが、ディーゼルプロセスとは対照的にこれは圧縮行程中に行われる。
【0005】
さらなる大きな相違点は、圧縮比の選択にある。両方の運転過程の効率とも圧縮比が高くなると好転する。しかしオットーエンジンの圧縮比を高くすることは、いわゆるノッキング現象が運転中に起こることによって限界がある。ノッキングは、点火開始時の高圧、高温下で発生し、点火過程中にシリンダ中の過度に速い圧上昇により生じ、この圧上昇が、大きな付加的な熱及び機械的負荷を燃焼室の構成部品に及ぼす。圧縮比及び点火時の熱的条件に加えて、ノッキング傾向は、選択する燃料に大きく依存し、そのノッキング挙動はいわゆるオクタン価により表される。ディーゼルエンジンは、燃料の自己点火に必要な圧縮最終温度を確保するために、基本的にオットーエンジンよりも高い圧縮比を必要とする。
【0006】
ある燃料がどちらの過程のエンジンで燃焼できるかを判断できるためには、過程に固有な以下の特性が重要である。オットーエンジンでの燃焼において、燃料は、ノッキングを起こしにくく(熱的に安定、高いオクタン価)、かつできるだけ低い沸点温度範囲を有さなければならない。これに対し、ディーゼルエンジンでの燃焼において、これに対し、燃料は、可能な限り点火し易く(低点火温度、高い、いわゆるセタン価)、さらには、潤滑性が良好なことである(後者は、噴射を高圧で行うので噴射機構の潤滑が非常に重要であるという純粋に工学的な理由による)。
【0007】
ガソリンは、主として芳香族炭化水素でなり、オットー燃料の望ましい基準を良好に満たす。これに対しディーゼル燃料は、長鎖飽和炭化水素(パラフィン)の混合物で、ディーゼルエンジンでの燃焼のための望ましい基準を良好に満たす。
【0008】
プロパン及びブタンの混合物(以下PGと呼ぶ)は、ガソリンに比べて高いノッキング耐性を有し、このため、とくに前記混合物が環境条件下に存在する気相中での、ガソリン燃焼用に設計されたオットーエンジンでの燃焼に非常に適している。これは例えば、従来型のガソリンエンジンが気化ユニットの装備を施され、これによって液化ガス(Autogas)での運転の質が高められている自動車分野で実用に供されている。
【0009】
例えば、発電所での使用や、船舶動力への使用に供されている、最近の大型エンジンは、通常ディーゼルエンジンである。こうした大型エンジンでも、オットープロセスでガスを燃焼させることもでき、このときは、外部混合気形成装置(例えば、吸気管噴射)及び外部点火装置(点火栓またはディーゼルパイロット噴射の噴射によるパイロット燃料点火)を装備する。しかしながら、大型エンジンの圧縮比が高いため、PGでのノッキングのないオットープロセスの運転は実現できない。むしろ、圧縮比を、オットープロセスで通常の値に下げねばならず、これによって大型エンジンの動力密度や効率が低下し、このため経済的運転が不可能になる。
【0010】
これに代り、PGをディーゼルプロセスで燃焼することが考えられ、これには、内部混合気形成の原理に従い、液相で(すなわちLPGとして)、高圧下で圧縮行程後の上死点(点火死点)で噴射注入する。しかしLPGは、シリンダにおいて圧縮後温度で点火するまでには点火性が良くないので、完全なディーゼルプロセスもまた実現できない。これに対処するため、外部点火が考えられる。すなわち、混合物形成のやり方はディーゼルプロセスに対応し、これに対し点火のやり方はオットープロセスに対応する、オットーエンジンとディーゼルエンジンの間の混合方法に対応する運転方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許第60317482号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、外部点火を用いずLPGを燃料として運転できる請求項1の前提部に記載の往復動ピストン内燃機関を提供することにある。本発明のさらなる課題は、外部点火を用いずにLPGを燃料として往復動ピストン内燃機関を運転できる請求項7に記載の前提部の方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、請求項1に記載の往復動ピストン内燃機関、あるいは、請求項7に記載の方法により解決される。本発明の発展形は従属請求項のそれぞれに示されている。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、クランク軸と結合した往復動ピストンが配備された少なくとも1つのシリンダと、シリンダ中において往復動ピストンで圧縮する燃焼空気を供給する空気送入装置と、シリンダ中の圧縮された燃焼空気中に、LPG燃料貯槽からのLPG燃料及びディーゼル燃料貯槽からのディーゼル燃料を噴射する燃料噴射機構と、を有する、ディーゼルプロセスを用いて駆動エネルギーを発生する往復動ピストン内燃機関が提供される。本発明の往復動ピストン内燃機関は、LPG燃料貯槽さらにはディーゼル燃料貯槽と連通しており、LPG燃料及びディーゼル燃料から均一な燃料エマルジョンを生成するために配備されている燃料混合装置が備えられ、燃料噴射機構は、燃料混合装置と連通しており、燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ中に噴射するように配備されていることを特徴とする。
【0015】
本発明による往復動ピストン内燃機関の一実施形態によれば、燃料混合装置は、均一な燃料エマルジョンを生成するために、往復動ピストン内燃機関の運転状態に大きさが依存するLPG燃料の体積流に、これより大きさが小さいディーゼル燃料の体積流を混合するように配備されている。
【0016】
往復動ピストン内燃機関の運転状態は、例えば負荷状態、温度や湿度等の環境条件により特徴づけることができる。
【0017】
本発明による往復動ピストン内燃機関のさらなる実施形態によれば、燃料混合装置は、ディーゼル燃料体積流量の大きさが、LPG燃料体積流量の大きさの25%未満になるように配備されている。好ましくは、ディーゼル燃料体積流量の大きさは、LPG燃料体積流量の大きさの1%〜15%の範囲であり、とりわけ5%〜10%の範囲である。
【0018】
本発明による往復動ピストン内燃機関のさらなる実施形態によれば、燃料混合装置は、各運転状態(例えば負荷状態)に対して、燃料エマルジョンの十分な点火性を、燃料エマルジョン中のディーゼル燃料割合を最小にして確保できるように、ディーゼル燃料体積流量の大きさとLPG燃料体積流量の大きさとの比を、往復動ピストン内燃機関の運転状態に依存して変化させるように配備されている。
【0019】
本発明による往復動ピストン内燃機関のさらなる実施形態によれば、これが、例えば、発電所での使用や、船舶動力への使用に用いられる、4行程大型エンジンとして作られている。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、クランク軸と結合した往復動ピストンが内部に配備された少なくとも1つのシリンダと、シリンダ中に燃焼空気を供給する空気送入装置と、LPG燃料貯槽からのLPG燃料及びディーゼル燃料貯槽からのディーゼル燃料を噴射する燃料噴射機構と、を有する、ディーゼルプロセスで作動する往復動ピストン内燃機関の運転方法が提供される。本発明によれば、この方法は、燃焼空気を供給し、これをシリンダ中で圧縮するステップと、燃料噴射機構によってディーゼル燃料をシリンダ中の圧縮燃焼空気の中に噴射するステップと、燃料噴射機構によってLPG燃料をシリンダ中の圧縮燃焼空気の中に噴射するステップと、を有する。本発明の方法は、ディーゼル燃料及びLPG燃料の噴射の前に、ディーゼル燃料が、燃料混合装置によりLPG燃料と混合され、LPG燃料とディーゼル燃料とからなる均一な燃料エマルジョンがまず生成され、つづいてこの燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ中に噴射することを特徴とする。
【0021】
本発明による方法の一実施形態によれば、均一な燃料エマルジョンは、往復動ピストン内燃機関の運転状態に大きさが依存するLPG燃料の体積流に、これより大きさが小さいディーゼル燃料の体積流を混合して生成される。
【0022】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、均一な燃料エマルジョンが、ディーゼル燃料体積流量の大きさが、LPG燃料体積流量の大きさの25%未満になるように生成される。好ましくは、均一な燃料エマルジョンが、ディーゼル燃料体積流量の大きさが、LPG燃料体積流量の大きさの1%〜15%の範囲、とりわけ5%〜10%の範囲になるように生成される。
【0023】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、各運転状態(例えば負荷状態)に対して、燃料エマルジョンの十分な点火性を、燃料エマルジョン中のディーゼル燃料割合を最小にして確保できるように、ディーゼル燃料体積流量の大きさとLPG燃料体積流量の大きさとの比を、往復動ピストン内燃機関の運転状態に依存して変化させる。
【0024】
要約すると、本発明により、PGあるいはLPGの燃焼には、できるだけディーゼルプロセスに近づけ、外部点火の必要性を回避するのが、有利であろうことが判明した。この目的のため、本発明の一実施形態によれば、シリンダ中への噴射前のLPG燃料に、少量のディーゼル燃料を均一に混合し、つづいて燃料エマルジョンを噴射注入することが提案される。このディーゼル燃料の部分が、LPG燃料だけでは不足している好ましい自己点火性を、燃料エマルジョンに付与する。両成分の均一な混合により、燃料エマルジョンが、(放電にせよパイロット噴射にせよ)局在する点火源による外部点火、及び噴射と点火との時間的ずれにより達成できない点火挙動及び燃焼経過について、全く純粋なディーゼル燃料並みに振舞うことができる。
【0025】
本発明は、請求項から明示的に参照される特徴の組合せだけでなく、本発明で開示された特徴を、技術的に有意義な範囲で任意に組み合わせた実施形態をも明白に含んでいる。
【0026】
本発明を、好ましい実施形態により、添付の図面を参照して、以下に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態による往復動ピストン内燃機関の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示されるように、本発明によりディーゼルプロセスで作動する往復動ピストン内燃機関1は、クランク軸11に結合し、シリンダスリーブ13中を滑動する往復動ピストン12が内部に配備された少なくとも1つのシリンダ10と、空気交換機構20と、燃料噴射機構30と、LPG燃料貯槽40(例えば、LPGタンクあるいは圧力容器)と、ディーゼル燃料貯槽50(例えば、ディーゼル燃料タンク)と、燃料混合装置60と、必要に応じ燃料ポンプ70と、を有する。
【0029】
空気交換機構20は、往復動ピストン12で圧縮するシリンダ10中の燃焼空気を送入する(例えば、空気吸入弁の形の)空気送入装置21と、排気ガスをシリンダ10から排出する(例えば、空気排気弁の形の)排気装置22と、を有する。空気送入装置21及び空気排気装置22は、例えばカムシャフト(図示していない)により作動、あるいは開閉される。
【0030】
燃料噴射機構30は、シリンダ10中の圧縮された燃焼空気中に、LPG燃料貯槽40からのLPG燃料とディーゼル燃料貯槽50からのディーゼル燃料とを噴射するように設けられている。この燃料噴射機構30には、好ましくは噴射ノズルあるいは噴射装置が備わっている。
【0031】
燃料混合装置60は、燃料圧力配管41により、LPG燃料貯槽40と連通しているので、該燃料混合装置60は、LPG燃料(すなわち液化ガス)を供給できる。
【0032】
燃料混合装置60は、さらに燃料圧力配管51により、ディーゼル燃料貯槽50と連通しているので、該燃料混合装置60は、ディーゼル燃料を供給できる。
【0033】
燃料混合装置60は、ブタン/プロパン混合ガスの液体凝集状態に必要な圧力を維持して、LPG燃料及びディーゼル燃料から、均一な燃料エマルジョンを生成するように設けられている。
【0034】
燃料混合装置60は、燃料圧力配管61により、高圧燃料ポンプ70と連通しており、該高圧燃料ポンプ70は、燃料圧力配管71により、燃料噴射機構30と連通している。該燃料噴射機構30は、燃料混合装置60により生成された燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ10中に噴射する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、燃料混合装置60は、均一な燃料エマルジョンを生成するために、往復動ピストン内燃機関1の運転状態に大きさが依存するLPG燃料の体積流に、これより大きさが小さいディーゼル燃料の体積流を混合するように配備されている。上記は、好ましくは、ディーゼル燃料体積流量の大きさが、LPG燃料体積流量の大きさの25%未満になるように行う。
【0036】
本発明のさらなる実施形態において、燃料混合装置60は、ディーゼル燃料体積流量の大きさが、LPG燃料体積流量の大きさの1%〜15%の範囲、とりわけ5%〜10%の範囲になるように設けられる。
【0037】
好ましくは、燃料混合装置60は、各運転状態(例えば負荷状態)に対して、燃料エマルジョンの十分な点火性を、燃料エマルジョン中のディーゼル燃料割合を最小にして確保できるように、ディーゼル燃料体積流量の大きさとLPG燃料体積流量の大きさの比を、往復動ピストン内燃機関1の運転状態に依存して変化させるように設けられる。
【0038】
本発明の一実施形態において、往復動ピストン内燃機関1は、例えば、発電所での使用や、船舶動力への使用に供される、4行程大型エンジンとして作られている。これに代って、往復動ピストン内燃機関1は、2行程大型エンジンとしても作られる。
【0039】
往復動ピストン内燃機関1の本発明による運転方法は、少なくとも燃焼空気を供給し、これをシリンダ10中で圧縮するステップと、燃料噴射機構30でディーゼル燃料及びLPG燃料をシリンダ10中の圧縮燃焼空気の中に噴射するステップと、を有し、ディーゼル燃料及びLPG燃料の噴射の前に、ディーゼル燃料が、燃料混合装置60によりLPG燃料と混合され、LPG燃料とディーゼル燃料とからなる均一な燃料エマルジョンがまず生成され、つづいてこの燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ10中に噴射する。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、均一な燃料エマルジョンは、往復動ピストン内燃機関1の運転状態に大きさが依存するLPG燃料の体積流に、これより大きさが小さいディーゼル燃料の体積流を混合して生成される。
【0041】
本発明のさらなる実施形態によれば、均一な燃料エマルジョンが、ディーゼル燃料体積流量の大きさが、LPG燃料体積流量の大きさの25%未満になるように生成される。好ましくは、ディーゼル燃料体積流量の大きさは、LPG燃料体積流量の大きさの1%〜15%の範囲、とりわけ5%〜10%の範囲である。
【0042】
各運転状態(例えば負荷状態)に対して、燃料エマルジョンの十分な点火性を、燃料エマルジョン中のディーゼル燃料割合を最小にして確保できるように、ディーゼル燃料体積流量の大きさとLPG燃料体積流量の大きさとの比を、往復動ピストン内燃機関1の運転状態に依存して変化させる。
【0043】
本発明に係る上記の記述から、本発明の原理は、制限を受けることなくディーゼルプロセスで作動する複数のシリンダを有する往復動ピストン内燃機関、及び対応した運転方法に展開できることは、当業者にとって明白である。その場合、シリンダごとに燃料混合装置を備えても、すべてのシリンダに共通の唯一の燃料混合装置を備えてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 往復動ピストン内燃機関
10 シリンダ
11 クランク軸
12 往復動ピストン
13 シリンダスリーブ
20 空気交換機構
21 空気送入装置
22 空気排気装置
30 燃料噴射機構
40 LPG燃料貯槽
41 燃料圧力配管
50 ディーゼル燃料貯槽
51 燃料圧力配管
60 燃料混合装置
61 燃料圧力配管
70 高圧燃料ポンプ
71 燃料圧力配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルプロセスを用いて駆動エネルギーを発生する往復動ピストン内燃機関(1)であって、
クランク軸(11)と結合した往復動ピストン(12)が配備された少なくとも1つのシリンダ(10)と、
前記シリンダ(10)中において前記往復動ピストン(12)で圧縮する燃焼空気を供給する空気送入装置(21)と、
前記シリンダ(10)中の圧縮された燃焼空気中に、LPG燃料貯槽(40)からのLPG燃料及びディーゼル燃料貯槽(50)からのディーゼル燃料を噴射する燃料噴射機構(30)と、
を有する、往復動ピストン内燃機関(1)において、
前記LPG燃料貯槽(40)さらには前記ディーゼル燃料貯槽(50)と連通しており、LPG燃料及び/またはディーゼル燃料から均一な燃料エマルジョンを生成するために配備されている燃料混合装置(60)が備えられ、前記燃料噴射機構(30)は、前記燃料混合装置(60)と連通しており、前記燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ(10)中に噴射するように配備されていることを特徴とする往復動ピストン内燃機関。
【請求項2】
前記燃料混合装置(60)は、均一な燃料エマルジョンを生成するために、往復動ピストン内燃機関(1)の運転状態に大きさが依存するLPG燃料の体積流に、これより大きさが小さいディーゼル燃料の体積流を混合するように配備されている請求項1に記載の往復動ピストン内燃機関(1)。
【請求項3】
前記燃料混合装置(60)が、ディーゼル燃料体積流量の大きさがLPG燃料体積流量の大きさの25%未満になるように配備されている請求項2に記載の往復動ピストン内燃機関(1)。
【請求項4】
前記燃料混合装置(60)が、ディーゼル燃料体積流量の大きさがLPG燃料体積流量の大きさの1%〜15%の範囲になるように配備されている請求項2または3に記載の往復動ピストン内燃機関(1)。
【請求項5】
前記燃料混合装置(60)が、ディーゼル燃料体積流量の大きさがLPG燃料体積流量の大きさの5%〜10%の範囲になるように配備されている請求項2から4のいずれか一項に記載の往復動ピストン内燃機関(1)。
【請求項6】
前記往復動ピストン内燃機関(1)が、4行程大型エンジンとして形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の往復動ピストン内燃機関(1)。
【請求項7】
クランク軸(11)と結合した往復動ピストン(12)が内部に配備された少なくとも1つのシリンダ(10)と、前記シリンダ(10)中に燃焼空気を供給する空気送入装置(21)と、LPG燃料貯槽(40)からのLPG燃料及びディーゼル燃料貯槽(50)からのディーゼル燃料を噴射する燃料噴射機構(30)と、
を有する、ディーゼルプロセスで作動する往復動ピストン内燃機関(1)の運転方法であって、
燃焼空気を供給し、これをシリンダ(10)中で圧縮するステップと、
前記燃料噴射機構(30)によってディーゼル燃料を前記シリンダ(10)中の圧縮燃焼空気の中に噴射するステップと、
前記燃料噴射機構(30)によってLPG燃料を前記シリンダ(10)中の圧縮燃焼空気の中に噴射するステップと、
を有する、方法において、
ディーゼル燃料及びLPG燃料の噴射の前に、ディーゼル燃料が、燃料混合装置(60)によりLPG燃料と混合され、LPG燃料とディーゼル燃料とからなる均一な燃料エマルジョンがまず生成され、つづいて前記燃料エマルジョンを少なくとも1つのシリンダ(10)中に噴射することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記均一な燃料エマルジョンが、往復動ピストン内燃機関(1)の運転状態に大きさが依存するLPG燃料の体積流に、これより大きさが小さいディーゼル燃料の体積流を混合して生成される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記均一な燃料エマルジョンが、ディーゼル燃料体積流量の大きさがLPG燃料体積流量の大きさの25%未満になるように生成される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記均一な燃料エマルジョンが、ディーゼル燃料体積流量の大きさがLPG燃料体積流量の大きさの1%〜15%の範囲、とりわけ5%〜10%の範囲になるように生成される請求項8または9に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−53625(P2013−53625A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193097(P2012−193097)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(510153962)マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー (65)
【Fターム(参考)】