説明

後付けジョイント装置

【課題】主桿と支桿の連繋作業をワンタッチで行うことが可能で、少ない部品点数で強固に連繋させることが可能な後付けジョイント装置の提供。
【解決手段】主筒部4と支筒部5とが一体形成されて成る継手本体2を備える。継手本体2は、少なくとも主筒部4の中軸Aを通る平面を分割平面として対合する2つの分割体2a,2bに分割され、対合する両分割体2a,2bの分割縁のうち一の分割縁を枢軸6aとして、両分割体2a,2bが開閉自在となるように枢着される。更に、分割平面により分割される主筒部4又は支筒部5の少なくとも一の端末に外嵌可能な筒状のスリーブソケット3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主桿に対し支桿が分枝して連繋される連桿構造物に於いて、主桿に支桿を着
脱自在に接続する支桿接続具及び支桿接続具付き持桿から構成される後付けジョイント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護用の手摺りや枠組みパイプのように、主桿に対し支桿が分枝して連繋される連桿構
造物に於いては、主桿と支桿の連結具として、チーズ(T字継手)、クロス(十字継手)
、エルボ(L字継手)などの支桿接続具が広く使用されている。かかる支桿接続具として
は、例えば、特許文献1−11に記載のものが公知である。これらの支桿接続具は、分割
片対合わせ型(特許文献1−6参照)、ヒンジ型(特許文献7−9参照)、及びクリップ
型(特許文献10,11参照)に大別される。
【0003】
分割片対合わせ型の支桿接続具は、T字型の分岐筒体を、左右対称な分岐半筒体に2分
割して、これらの分岐半筒体を、主桿及び支桿を挟んで対合させることにより連繋させる
ものである。分割片対合わせ型の支桿接続具は、分岐半筒体の対合止着方法が、楔合式、
螺子止式、係合止式、及び係合螺子止式のものが公知である。
【0004】
特許文献1に記載の支桿接続具は、楔合式の分割片対合わせ型の支桿接続具である。特
許文献1の図2,図3に示された支桿接続具は、主桿パイプ(A)に支桿パイプ(2)を
T字状に連繋させるためのものである(尚、本段落内の符号は特許文献1の図1,図2に
従う)。この支桿接続具は、主桿パイプ(A)を挟持する筒状のパイプ挟持片(1a,1
a’)と、パイプ挟持片(1a,1a’)の中央の一側面に垂直に突設された脚片(1b
,1b’)とから構成されている。パイプ挟持片(1a,1a’)及び脚片(1b,1b
’)は、パイプ挟持片(1a,1a’)の筒軸線と脚片(1b,1b’)の中軸線とを含
む平面に沿って二分割されている。主桿パイプ(A)に支桿パイプ(2)を連繋させる際
には、まず主桿パイプ(A)を挟んでパイプ挟持片(1a,1a’)を対合させる。これ
により脚片(1b,1b’)も対合し、やや先細りの円柱状となる。そして、この先細り
円柱状の脚片(1b,1b’)を支桿パイプ(2)の先端から管内へ挿入して嵌合させる
。これに伴い、楔効果によって対合するパイプ挟持片(1a,1a’)が締合わされ、主
桿パイプ(A)がパイプ挟持片(1a,1a’)によって緊締され、支桿パイプ(2)が
主桿パイプ(A)に対し直角に固定される。
【0005】
また、特許文献2に記載の支桿接続具は、螺子止式の分割片対合わせ型の支桿接続具で
ある。特許文献2の図1,図2に示された支桿接続具は、主桿パイプ(A)に支桿パイプ
(B)をT字状に連繋させるためのものである(尚、本段落内の符号は特許文献2の図1
,図2に従う)。この支桿接続具は、主桿パイプ(A)を挟持する筒状のパイプ挟持部(
4a)と、パイプ挟持部(4a)の中央の一側面に垂直に突設された筒状のパイプ挟持部
(4b)とが一体成形された分岐筒体(4)を備えている。分岐筒体(4)は、パイプ挟
持部(4a)の中軸線とパイプ挟持部(4b)の中軸線とを含む分割平面に沿って2つの
分岐半筒体に分割されている。また、パイプ挟持部(4b)の側面には、分割平面に直角
な方向のボルト穴(4c)とボルト穴(4c)の周囲に座繰(4d)が凹設されている。
主桿パイプ(A)に支桿パイプ(B)を連繋させる際には、一方の分岐半筒体のパイプ挟
持部(4a)を主桿パイプ(A)の側面に嵌合し、パイプ挟持部(4b)に支桿パイプ(
B)の先端部を嵌合させる。そして、その反対側から他方の分岐半筒体を嵌合させ、両分
岐半筒体により主桿パイプ(A)及び支桿パイプ(B)を挟み込む。そして、両分岐半筒
体のボルト穴(4c,4c)にボルトを通して締め付けることにより、主桿パイプ(A)
及び支桿パイプ(B)を両分岐半筒体で緊締する。これにより、支桿パイプ(B)を主桿
パイプ(A)にT字状に固定することができる。
【0006】
また、特許文献3−5に記載の支桿接続具は、係合螺子止式の分割片対合わせ型の支桿
接続具である。特許文献3−5の支桿接続具は、基本的には特許文献2の支桿接続具と同
様であるが、両分岐半筒体のT字頭部に相当するパイプ挟持部の分割縁のうち、T字脚部
に相当するパイプ挟持部が突設された側と反対側の分割縁(「対向側分割縁」という。)
に、相互に互い違いに嵌り合う蟻型の凹凸からなる蟻差しが形成されている(特許文献3
の図2の符号13、特許文献4の図1の符号2c,3c、特許文献5の図1の符号2,3
参照)。これにより、対向側分割縁が蟻差しにより固定されるため、主桿パイプがより外
れにくくなる。尚、特許文献5に記載の支桿接続具では、T字脚部に相当するパイプ挟持
部の分割縁と、両分岐半筒体のT字頭部に相当するパイプ挟持部の分割縁のうち、T字脚
部に相当するパイプ挟持部が突設された側の分割縁とに、フランジ(5)を形成し、この
フランジ(5)に所定の間隔でボルト孔(6)を形成している。そして、両分岐半筒体を
対合させるときには、これらのボルト孔(6)にボルトを通して両分岐半筒体を締結する
構成としている。
【0007】
また、特許文献6に記載の支桿接続具は、係合止式の分割片対合わせ型の支桿接続具で
ある。基本的には特許文献3−5の支桿接続具と同様であるが、特許文献6の支桿接続具
では、T字脚部に相当するパイプ挟持部もボルトによる締結ではなく蟻差しによる締結を
する構成とされている(特許文献6の図3参照)。これにより、ボルトを着脱・締緩する
手間が省け、ワンタッチで主桿パイプに支桿パイプをT字状に連繋させることができる。
【0008】
ヒンジ型の支桿接続具は、T字型の分岐筒体をヒンジにより開閉し主桿及び支桿に挿脱
可能としたものである。ヒンジ型の支桿接続具も、対合止着方法が螺子止式(特許文献8
)、楔合式(特許文献9)、クリップ式(特許文献7)のものが公知である。
【0009】
特許文献7に記載の支桿接続具は、主桿パイプ(3)に支桿パイプ(1)をT字状に連
繋させるためのものである(尚、本段落内の符号は特許文献7の図1,図2に従う)。こ
の支桿接続具は、主桿パイプ(3)が挿通着脱される筒状の主筒部(4)と支桿パイプ(
1)が挿通着脱される筒状の支筒部(2)とを有し、支筒部(2)は主筒部(4)の中央
部側面に直角に突設されている。主筒部(4)は主筒部(4)の中軸線を含み且つ支筒部
(2)の中軸線に垂直な平面に沿って二分割された2つの半筒体を対合させてなり、両半
筒体の2つの分割縁のうち一方がヒンジ(7)により枢着され、他方には突片(41)が
フランジ状に形成され両突片を夾着するクリップ(8)を備えている。主桿パイプ(3)
に支桿パイプ(1)を連繋させる際には、まず、主筒部(4)の両半筒体を開いて主桿パ
イプ(3)を筒内に嵌合し、両半筒体を閉じてクリップ(8)で夾着する。そして、支筒
部(2)の先端から支桿パイプ(1)を差し込むことにより、主桿パイプ(3)に支桿パ
イプ(1)が連繋される。
【0010】
特許文献8の図4−図6に記載の支桿接続具は、主桿パイプ(12)に支桿パイプ(1
2’)をT字状に連繋させるためのものである(尚、本段落内の符号は特許文献8の図4
−図6に従う)。この支桿接続具も、主桿パイプ(12)が挿通着脱される筒状の主筒部
(13)と支桿パイプ(12’)が挿通着脱される筒状の支筒部(14)とを有し、支筒
部(14)は主筒部(13)の中央部側面に直角に突設され分岐筒体を成している。そし
て、この分岐筒体は、主筒部(13)の中軸線と支筒部(14)の中軸線とを含む分割平
面に沿って2つの分岐半筒体に分割され、主筒部(13)の2つの分割縁のうち、支筒部
(14)が接続された側と反対側の分割縁がヒンジ(16)により枢着されている。また
、各分岐半筒体の支筒部(14)の左右の分割縁には、フランジ(17)が鍔設され、フ
ランジ(17)中央にはボルト孔(18)が貫設されている。主桿パイプ(12)に支桿
パイプ(12’)を連繋させる際には、まず、両分岐半筒体を開いて主桿パイプ(12)
及び支桿パイプ(12’)をそれぞれ主筒部(13)及び支筒部(14)の筒内に嵌合し
、両分岐半筒体を閉じて把持する。そして、フランジ(17)のボルト孔(18)にボル
トを通して締結する。これにより、主桿パイプ(3)に支桿パイプ(1)が連繋される。
【0011】
特許文献9の図1−図3に記載の支桿接続具も基本的には特許文献8の図4−図6に記
載の支桿接続具と同様であるが、特許文献9の支桿接続具の場合、支筒部はフランジを備
えておらず、支筒部は先細り円筒状とされている。主桿パイプに支桿パイプを連繋させる
際には、まず、両分岐半筒体を開いて主桿パイプを主筒部の筒内に嵌合し、両分岐半筒体
を閉じて把持した後、支筒部を支桿パイプの先端から筒内へ差し込む。これにより、楔効
果によって対合する両分岐半筒体が締合わされ、主桿パイプが主筒部によって緊締され、
支桿パイプが主桿パイプに対し直角に連繋される。
【0012】
また、クリップ型の支桿接続具は、クリップによって主桿及び支桿をT字型に把持固定
するものである(特許文献10,11参照)。
【0013】
例えば、特許文献10に記載の支桿接続具は(尚、本段落内の符号は特許文献10の図
1−図3に従う)、主筒部(1)と支筒部(2,2’)とがT字状に連結された分岐筒体
を成し、支筒部(2,2’)は、主筒部(1)の中軸線と支筒部(2,2’)の中軸線と
を含む分割平面に沿って2つの筒体に分割され、主筒部(1)は、該分割平面に沿って支
筒部(2,2’)が接続された側の側面のみが分割されている。そして、主筒部(1)は
弾性を有する。また、支筒部(2,2’)の先端を把持するクリップ(5)及びクリップ
(5)を止める楔片(7)を備えている。主桿パイプ(9)に支桿パイプ(10)を連繋
させる際には、まず、分割平面に沿って半分割された分岐筒体を開いて主筒部(1)に主
桿パイプ(9)を把持し、その後支筒部(2,2’)内に支桿パイプ(10)を挿入する
。そして、クリップ(5)により支筒部(2,2’)を開かないように把持し、クリップ
(5)を楔片(7)により支筒部(2,2’)に固定することで、主桿パイプが主筒部に
よって緊締され、支桿パイプが主桿パイプに対し直角に連繋される。
【0014】
特許文献11に記載の支桿接続具は、(尚、本段落内の符号は特許文献11の図2,図4に従う)、中空にして円筒のT字型の分岐筒体(1)を、該分岐筒体(1)の2本の中軸線を含む平面に対向する分岐筒体(1)の側面のうちの一方を軸方向に二つ割りにし、対向した平行の割縁部(2,3)の断面の形状を略円形にした球状縁としたものである。主桿パイプに支桿パイプを連繋させる際には、主桿パイプ及び支桿パイプを分岐筒体(1)
の割縁部(2,3)間の隙間から筒内へ押し込む。これにより、支桿パイプが主桿パイプ
に対し直角に連繋される。
【0015】
さらに、実施例として特許文献12に記載の介護用手摺装置は、浴槽に臨む壁面に設けた支桿接続具が、手摺(8)を基部に対して中間部及び先端部を90度軸周りに回転可能とし、高齢者などの入浴時における不自由な動きを介助し不安感を解消し、入浴時以外は掃除の邪魔にならず使い勝手のよい支桿接続具とされている。(尚、本段落内の符号は特許文献12の図1,図2に従う)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】

【特許文献1】実開昭55−41691号公報
【特許文献2】実開昭53−143968号公報
【特許文献3】実用新案登録第3054463号明細書
【特許文献4】特開2004−169775号公報
【特許文献5】実公昭32−3544号公報
【特許文献6】特開2006−125518号公報
【特許文献7】実開平3−17309号公報
【特許文献8】実開昭54−29507号公報
【特許文献9】実開昭54−177106号公報
【特許文献10】実開昭56−153683号公報
【特許文献11】特開昭51−119115号公報
【特許文献12】特開平9−308591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記従来の支桿接続具において、分割片対合わせ型の支桿接続具(特許文献1−6)は
、支桿を主桿に連繋する際に主桿と支桿を固定した状態で両分岐半筒体で連繋部を挟み込
み両分岐半筒体を螺子などで固定する必要がある。そのため、連繋作業に手間がかかりワ
ンタッチで行うことができないという問題がある。また、2つの部品(分岐半筒体)が分
離した状態であるため、連繋作業中に片方の部品を過って落としたり失くしたりする可能
性が高くなる。
【0018】
一方、ヒンジ型やクリップ型の支桿接続具は、分岐半筒体が一体の又は連結された部品
から構成されているため、連繋作業が容易であり、連繋作業中に過って部品を落としたり
失くしたりする可能性は低い。しかし、螺子止式のもの(特許文献8)は、両分岐半筒体
を螺子などで固定する必要があるため、連繋作業をワンタッチで行うことができないとい
う問題がある。その点、楔合式(特許文献9)、クリップ式(特許文献7,10,11)
のものは、連繋作業をワンタッチで行うことが可能である。
【0019】
しかしながら、これらの支桿接続具には、以下のような問題点がある。
【0020】
特許文献7に記載の支桿接続具は、主桿パイプを、分割された主筒部の半筒体で挟み込
んだ後、両半筒体の中央部分をクリップにより固定している。しかし、このクリップのみ
では十分な強度での挟着ができない。従って、支桿パイプを主桿パイプに連繋した後に、
支桿パイプと主桿パイプとの間に歪みの外力が加わると、主筒部の両半筒体の端末付近の
分割縁に隙間が生じ、主桿パイプがずれたり外れたりする場合が生じる。
【0021】
特許文献9に記載の支桿接続具は、支桿パイプの端末の管内に支桿接続具の支筒部を嵌
合し、楔結合によって支桿パイプを主桿パイプに固定するものである。この場合、支筒部
の外側面と支桿パイプの端末の管内面との間の摩擦によって支桿パイプが固定されるが、
これらの面の接触面積は小さいため結合強度もあまり大きくはない。従って、支桿パイプ
に引っ張り方向の力が作用した場合に支桿パイプが抜脱し易く、また、支桿パイプに回動
方向の力が作用した場合には、支桿パイプが支筒部に対してぐらつきやすく固定性が悪い
という問題点がある。また、必ずしも支桿パイプが支筒部にまっすぐに接続される保証は
なく、連桿構造物が歪みやすいという問題点もある。更に、この場合、支桿は管状である
必要があり、棒状の支桿の接続には適用することができない。
【0022】
特許文献10に記載の支桿接続具は、分岐筒体に主桿パイプと支桿パイプを挟み込んだ
後、支筒部の端末をクリップにより開かないように把持するものであるが、クリップが弾
力があるため把持強度が比較的弱く、支桿パイプに回動方向の力が作用した場合には、支
桿パイプが支筒部に対してぐらつきやすく固定性が悪いという問題点がある。また、クリ
ップやクリップを支筒部に固定するための楔片を必要とし、連繋作業が比較的煩雑で手間
がかかるという問題がある。
【0023】
特許文献11に記載の支桿接続具は、分岐筒体の弾性によって主桿パイプと支桿パイプ
を把持するものであるため、結合強度が弱く、大きな外力が主桿パイプや支桿パイプに加
わった場合に外れてしまうという問題点がある。
【0024】
そこで、本発明の目的は、主桿と支桿の連繋作業を手動操作で行うことが可能となり、少ない部品点数で強固に連繋させることが可能な支桿接続具を提供することにある。
【0025】
また、本発明の目的は、前記の支桿接続具を用いて、使用者が手摺り等の固定桿に対し
て簡便に支桿を接続して固定することが可能な支桿接続具付き持桿を提供することにある
【0026】
特許文献12に記載の介護用手摺装置は、例えば図1.2を参照に説明すれば、浴室の壁面に取り付けた器具取付受部は専用部品で固着されているため、その後の位置変更は専門工事が必要となる。さらに、浴槽の上部を横切り対向縁壁に手摺主桿部が止着する機構では、手摺の一側をロック機構で取り外し方向に対し固着し、他側は浴槽の上部を横断し対向する浴槽リム面に器具取付受部を設け、その開口部は開口縁に当接させるフランジを備え、器具取付受部を下方から保持する保持部材を設け、この保持部材とフランジとにより器具取付受部をリムに水平移動可能に取り付ける構成とされている。このように、着脱機構や器具取付受部は、浴槽内壁面の補強対策やリム面への取付具保持部材の装着やロック機構の開発など、部品の点数も多数に上り製造原価を押し上げる。
【0027】
そこで、本発明の目的は、新規な手摺にワンセットとして装備するだけではなく、既設の手摺を利用することも視野にいれ、主桿と支桿の連繋作業はワンタッチ操作で完了することを課題に掲げ、少ない部品点数で強固に連繋できる支桿接続具を提供し、作業の迅速化による効率性の向上を図り、産業経済に貢献する機能性の高い後付けジョイント装置ジを提供することにある
【0028】
また、実施例としては、前記の支桿接続具を用いて多種目の介護用具に適用すれば、従来型の手摺が立体化することにより機能が倍増し、その利便性の向上が安全性に帰結することで介護予防とADLの継続に貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る支桿接続具の第1の構成は、主桿に対し1乃至複数の支桿が連繋される連
桿構造物に於いて、前記主桿に前記支桿を着脱自在に接続する支桿接続具であって、前記
主桿に嵌着可能な筒状の主筒部と、前記支桿に嵌着可能な筒状の支筒部とが一体に形成さ
れて成る継手本体を備え、前記継手本体は、少なくとも前記主筒部の中軸を通る平面を分
割平面として対合する2つの分割体に分割され、対合する前記両分割体の分割縁のうち一
の分割縁を枢軸として、前記両分割体が開閉自在となるように枢着されており、前記分割
平面により分割される前記主筒部又は前記支筒部の少なくとも一の端末に外嵌可能な筒状
のスリーブソケットを備えている後付けジョイント装置であることを特徴とする。
【0030】
この構成により、主桿に対し支桿を接続する場合、まず、スリーブソケットを主桿又は
支桿の先端から遊嵌しておき、両分割体を枢軸を中心に開いて、主筒部に主桿に嵌合させ
、支筒部に支桿を嵌合させ、再び両分割体を閉じる。そして、予め主桿又は支桿に遊嵌し
ておいたスリーブソケットを移動させて主筒部又は支筒部の端末に外嵌させる。これによ
り、両分割体はスリーブソケットにより開かないように固定され、支桿は主桿に連繋され
る。このように、簡便に支桿は主桿に連繋することができる。また、接合状態に於いて、
主桿及び支桿は主筒部内面及び支筒部内面の略全体と接触し、スリーブソケットにより押
さえられた状態となるため、主桿及び支桿が継手本体に対してがたつくことが防止される
。また、継手本体の主筒部内又は支筒部内において、主桿又は支桿を主筒部内又は支筒部
内に突起や摩擦等により係止するようにしておけば、支桿を主桿に連繋した後に主桿又は
支桿が主筒部又は支筒部から抜脱することが防止される。
【0031】
ここで、主桿及び支桿は、棒状のものに限らず管状のものであってもよい。また、断面
形状も円形に限らず楕円形や多角形状のものであってもよい。継手本体の主筒部及び支筒
部の内面形状は、主桿及び支桿に外嵌可能な形状であればよく、主桿及び支桿の側面形状
に合わせて形成される。また、両分割体の枢着構造については、特に限定するものではな
く、例えば、ヒンジ(蝶番)による枢着構造、回動軸による枢着構造、可撓部材での結合
による枢着構造などを用いることができる。
【0032】
本発明に係る支桿接続具の第2の構成は、前記第1の構成に於いて、少なくとも一方の
前記分割体の支筒部の筒内には、前記支桿の抜脱を防止する抜脱防止部が設けられている
後付けジョイント装置であることを特徴とする。
【0033】
この構成により、支桿を主桿に連繋した後に支桿が主桿から抜脱することが防止される

【0034】
ここで、「抜脱防止部」としては、支軸部の筒内に設けられ支桿を把持して滑り抜けを
防止するゴムシート、支軸部の筒内に設けられ支桿の滑り抜けを防止する粘着シート、支
桿の端部外側面に形成された係合構造と係合することにより支桿の滑り抜けを防止する支
軸部の筒内に形成された係合構造、支軸部の筒内に設けられ支桿の端部外側面と磁着する
ことで支桿の滑り抜けを防止する永久磁石等を使用することができる。
【0035】
本発明に係る支桿接続具の第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記主筒部
の側面に貫設され、内面には螺子溝が刻設されたボルト穴と、前記ボルト穴に螺着され、
前記主桿を固定する止め螺子と、を備え後付けジョイント装置であるたことを特徴とする。
【0036】
この構成により、主筒部に主桿を挿入した後、止め螺子を固く締めることで、主桿が主
筒部内に強く固定されるので、主桿が回ったりずれたりすることが防止される。
【0037】
本発明に係る支桿接続具の第4の構成は、前記第1乃至3の何れか一の構成に於いて、
前記継手本体は、前記主桿に嵌着可能な筒状の主筒部と、前記主筒部の中軸線と中軸線が
交差するように前記主筒部の外側面に突設され前記支桿端末部に嵌着可能な筒状の支筒部
とからなる分岐筒体であり、該分岐筒体は、前記主筒部及び前記支筒部の中軸線を含む平
面を分割平面として分割された対合する2つの分割体により構成されており、前記両分割
体は、前記支筒部が突設されていない側の前記主筒部の分割縁を枢軸として開閉自在とな
るように枢着されており、前記スリーブソケットは、前記支筒部の端末に外嵌可能である
後付けジョイント装置であることを特徴とする。
【0038】
この構成により、主桿に対しT字状に支桿を接続する場合、まず、スリーブソケットを
支桿の端末から遊嵌しておき、支桿接続具の分岐筒体を枢軸を中心に開いて、主筒部を主
桿に嵌合させ、支筒部を支桿に嵌合させ、両分岐半筒体を閉じる。そして、スリーブソケ
ットを移動させて支筒部に外嵌させる。これにより、両分岐半筒体はスリーブソケットに
より開かないように固定され、支桿は主桿に連繋される。このように、簡便に支桿は主桿
に連繋することができる。
【0039】
本発明に係る第5の支桿接続具付き持桿の構成は、前記第4の構成の支桿接続具と、前記支筒部の2つの分割体のうちの1つの分割体の半筒内面に先端部が固着された持桿と、を備え、前記主筒部は主筒部の中央部に前記支筒部が突設されたT字形状連桿構造物(以下「T字ジョイント」という)で構成されている後付けジョイント装置であることを特徴とする。
【0040】
この構成により、使用者が手摺り等の固定桿に対して持桿を接続する場合、支桿接続具
の分岐筒体を枢軸を中心に回動させて開き、主筒部の半筒体内に固定桿を嵌め込む。そし
て、分岐筒体を枢軸を中心に回動させて閉じ、スリーブソケットを支筒部に外嵌させる。
これにより、支桿接続具を用いて、使用者が手摺り等の固定桿に対して簡便に持桿を接続
して固定することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、本発明の支桿接続具によれば、主筒部及び支筒部からなる継手本体を2
つの分割体に分割し、両分割体を一つの分割縁で枢着し、分割される主筒部又は支筒部の
少なくとも一の端末にスリーブソケットを外嵌して固定するようにしたことで、主桿と支
桿の連繋作業が器具を不用とし手動操作によってワンタッチで行うことが可能となり、従来型の支桿接続具とされるジョイント具に比べて、少ない部品点数でしかも用具不要の手動操作のみで強固に連繋させることが可能となる。
【0042】
また、本発明の支桿接続具の用途としては、イベント会場における架設物の組立てや、建設・建築現場における架設足場や防災天幕用などのパイプ構造物や、農家におけるビニールハウスの工事などや、組み立てと解体作業などの迅速化による効率性の向上などその適用範囲は広く、産業経済への貢献度は高い。
【0043】
また、本発明によれば、前記の支桿接続具を用いて特に介護現場に於いて使用すれば、固定桿である主桿に対して、被介助者の体を支えるための支桿の取り付け位置を被介助者の体格や麻痺状態等によって自由に選べるため非常に有用であり、利用しやすさ及び介護しやすさに配慮した手摺として従来型の介助機能が倍増し、その利便性の向上が安全性に帰結する。従って、こんご益々進展する高齢化社会に向けての自立支援介護予防とADLの継続に貢献できる見地からも、経済性と使用性に優れた福祉用具としての利用価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1に係る支桿接続具の組立斜視図(a)、分解斜視図(b) 及び平面図(c)である。
【図2】本発明の実施例1に係る支桿接続具の使用方法を説明する図である。
【図3】支桿接続具1によって主管Mに支桿Eが連繋された状態を示す図である。
【図4】本発明の実施例2に係る支桿接続具の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施例3に係る支桿接続具の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例4に係る支桿接続具の斜視図である。
【図7】本発明の実施例4に係る支桿接続具の平面図である。
【図8】本発明の実施例4に係る支桿接続具の断面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る支桿接続具の分解斜視図である。
【図10】本発明の実施例5に係る支桿接続具の斜視図である。
【図11】本発明の実施例6に係る支桿接続具の斜視図である。
【図12】本発明の実施例7に係る支桿接続具1付き持桿を浴室における使用状態を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例7に係る支桿接続具1付き持桿とストッパー手段の要部説明斜視図である
【図14a】本発明の実施例8に係る支桿接続具1付き持桿の使用状態を示す説明図である。
【図14b】本発明の実施例8に係る支桿接続具1付き持桿の使用状態を示す説明図である。
【図15a】本発明の実施例8に係る支桿接続具1付き持桿の使用状態を示す一部破断斜視図である。
【図15b】本発明の実施例8に係る支桿接続具1付き持桿の使用状態を示す一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0046】
図1は、本発明の実施例1に係る支桿接続具の組立斜視図(a)、分解斜視図(b)、
及び平面図(c)である。本実施例の支桿接続具1は、主桿に対してその中間に直角に支
桿を連繋するためのT字型継手(チーズ)である。支桿接続具1は、継手本体2とスリー
ブソケット3とを備えている。
【0047】
継手本体2は、主桿Mに対して嵌着可能な筒状の主筒部4と、支桿Eの端末部に対して
嵌着可能な筒状の支筒部5とからなる分岐筒体である。支筒部5は、主筒部4の中央部外
側面に、主筒部4の中軸線Aと支筒部5の中軸線Bが交差するように突設されている。尚
、本実施例では中軸線Aと中軸線Bとが直交する例を示すが、一般的には、中軸線Aと中
軸線Bとは必ずしも直交する必要はない。この分岐筒体である継手本体2は、中軸線A,
Bを含む平面を分割平面として二分割された対合する2つの分割体2a,2bにより構成
されている。また、継手本体2は、これら対合する両分割体2a,2bの分割縁のうち、
支筒部5が突設されていない側の主筒部4の分割縁がヒンジ6により枢着されており、分
割体2a,2bはこのヒンジ6の枢軸6aを回動軸として開閉自在とされている。
支筒部5の一方の分割体2a側の側面には、係合突起7が突設されている。
【0048】
スリーブソケット3は、支筒部5の端末に外嵌可能な短筒状に形成されている。スリー
ブソケット3の支筒部5に嵌合する側の筒端縁部3aには、係合突起7に対向する位置に
、係止凹溝8が形成されている。係止凹溝8は、筒端縁部3aから中軸線Bと平行に切込
み、切込みの奥部で直角に曲がって円周方向に切込まれた鉤状の切り欠きである。
【0049】
また、継手本体2の主筒部4及び支筒部5の内面には、滑止シート9,10が貼設され
ている。滑止シート9,10には、ゴムや粘着テープなどの摩擦材が使用される。
【0050】
以上のように構成された本実施例の支桿接続具1により、主管Mに対して支桿Eを連繋
する場合、まず、図2に示したように、継手本体2を枢軸6aを中心に回動させて開き、
主筒部4の分割体2bの半筒内に主管Mを嵌合させる。また、支桿Eの端末付近にスリー
ブソケット3を遊嵌させておく。そして、この支桿Eの端末を支筒部5の分割体2bの半
筒内に嵌合させる。最後に、継手本体2を枢軸6aを中心に回動させて閉じ、スリーブソ
ケット3を支桿Eの端末方向にずらして支筒部5に外嵌させる。このとき、係合突起7を
係止凹溝8の奥まで係合させてスリーブソケット3を支筒部5に固定させる。これにより
、主管Mに支桿Eが連繋される。
【0051】
図3は、支桿接続具1によって主管Mに支桿Eが連繋された状態を示す図である。支桿
Eの末端部の外側面は、継手本体2の支筒部5の筒内面に圧接されており、その接触面積
は大きい。また、支筒部5の末端部は外周面全体に亘ってスリーブソケット3により拘持
されている。従って、支桿Eに対し回動方向の力F1が作用した場合にも、支桿Eががた
ついたり支桿Eが外れたりすることが防止される。また、主筒部4及び支筒部5の内面に
貼設された滑止シート9,10は主管M及び支桿Eの外側面に圧接されるため、支桿Eに
対し引っ張り方向の力F2が作用した場合、主管に対してずれ方向の力F3が作用した場
合、支桿Eに対し回転方向の力F4が作用した場合、及び主管に対して回転方向の力F5
が作用した場合にも、主管M及び支桿Eがずれたり外れたり回転したりすることが防止さ
れる。
【実施例2】
【0052】
図4は、本発明の実施例2に係る支桿接続具の分解斜視図である。本実施例の支桿接続
具20は、主桿Mに対してその端末に直角に支桿Eを連繋するためのL字型継手(エルボ
)である。支桿接続具20は、継手本体2と2つのスリーブソケット3,3とを備えてい
る。尚、図4において、図1に対応する部分については、同一の符号を付す。また、スリ
ーブソケット3,3の形状は図1と同一である。
【0053】
この場合、継手本体2は中央部でL字状に曲折した筒体で構成されており、曲折部を境
として、一方側が主桿Mに外嵌する主筒部4、他方側が支桿Eに外嵌する支筒部5である
。主筒部4及び支筒部5は直筒状であり、主筒部4の中軸線をA、支筒部5の中軸線をB
と記す。中軸線A,Bは交差しており、継手本体2は、これらの中軸線A,Bを含む平面
を分割平面として対合する2つの分割体2a,2bに分割されている。また、主筒部4の
分割縁のうち曲折方向に対して外側の分割縁の一部にヒンジ6が設けられており、対合す
る両分割体2a,2bはこのヒンジ6によって枢着されている。尚、ヒンジ6は、分割縁
の曲折部寄りに偏設されており、スリーブソケット3が外嵌する部分が開けてある。
【0054】
主筒部4及び支筒部5の端末付近の外側面には、それぞれ、係合突起7,7が突設され
ている。これらの係合突起7,7は、主筒部4及び支筒部5の端末部分に外嵌するスリー
ブソケット3,3の係止凹溝8と係合する。
【0055】
このように、本発明はL字型継手に対しても適用することが可能である。
【実施例3】
【0056】
図5は、本発明の実施例3に係る支桿接続具の分解斜視図である。本実施例の支桿接続
具21は、主桿Mに対してその中間に直角に2本の支桿Eを十字に連繋するための十字型
継手(クロス)である。支桿接続具21は、継手本体2と2つのスリーブソケット3,3
とを備えている。尚、図5において、図1に対応する部分については、同一の符号を付す
。また、スリーブソケット3,3の形状は図1と同一である。
【0057】
この場合、継手本体2は中央部で十字状に分岐した分岐筒体で構成されており、対向す
る一対の直線に並ぶ2つの筒体が、主桿Mに外嵌する主筒部4,4、主筒部4,4に垂直
な残り2つの筒体が、支桿Eに外嵌する支筒部5,5である。主筒部4,4及び支筒部5
,5は直筒状であり、主筒部4,4の中軸線をA、支筒部5,5の中軸線をBと記す。中
軸線A,Bは交差している。継手本体2は、中軸線A,Bを含む平面に直交し、中軸線A
を含む平面を分割平面として対合する2つの分割体2a,2bに分割されている。中軸線
Aに平行な主筒部4,4の2つの分割縁のうちの一方側の一部にヒンジ6が設けられてお
り、対合する両分割体2a,2bはこのヒンジ6によって枢着されている。尚、ヒンジ6
は、分割縁の中央部寄りに設けられており、スリーブソケット3,3が外嵌する部分が開
けてある。
【0058】
主筒部4,4の端末付近の外側面には、それぞれ、係合突起7,7が突設されている。
これらの係合突起7,7は、主筒部4,4の端末部分に外嵌するスリーブソケット3,3
の係止凹溝8と係合する。
【0059】
このように、本発明は十字型継手に対しても適用することが可能である。
【実施例4】
【0060】
図6は、本発明の実施例4に係る支桿接続具の斜視図、図7は、本発明の実施例4に係
る支桿接続具の平面図、図8は、本発明の実施例4に係る支桿接続具の断面図、図9は、
本発明の実施例4に係る支桿接続具の分解斜視図である。
【0061】
図6乃至図9において、本実施例の支桿接続具1は、主桿に対してその中間に直角に支
桿を連繋するためのT字型継手(チーズ)である。また、本実施例の支桿接続具1は、継
手本体2とスリーブソケット3と止め螺子15を備えている。この止め螺子15は、主桿
に傷が付くことを防止するために、樹脂製のものを使用することが好ましい。また、金属
製の止め螺子15を使用する場合には、止め螺子15の先端に、主桿に傷が付くことを防
止するための樹脂製又はゴム製のキャップを被冠させておくことが好ましい。
【0062】
継手本体2は、主桿M(図示せず。図2参照)に対して嵌着可能な筒状の主筒部4と、
支桿E(図示せず。図2参照)の端末部に対して嵌着可能な筒状の支筒部5とからなる分
岐筒体である。支筒部5は、主筒部4の中央部外側面に、主筒部4の中軸線Aと支筒部5
の中軸線Bが交差するように突設されている。尚、本実施例では中軸線Aと中軸線Bとが
直交する例を示すが、一般的には、中軸線Aと中軸線Bとは必ずしも直交する必要はない
。分岐筒体である継手本体2は、中軸線A,Bを含む平面を分割平面として二分割された
対合する2つの分割体2a,2bにより構成されている。また、継手本体2は、これら対
合する両分割体2a,2bの分割縁のうち、支筒部5が突設されていない側の主筒部4の
分割縁がヒンジ6により枢着されており、分割体2a,2bはこのヒンジ6の枢軸6aを
回動軸として開閉自在とされている(図9参照)。支筒部5の一方の分割体2a側の側面
には、係合突起7が突設されている(図8,図9参照)。
【0063】
スリーブソケット3は、支筒部5の端末に外嵌可能な短筒状に形成されている。スリー
ブソケット3の支筒部5に嵌合する側の筒端縁部3aには、係合突起7に対向する位置に
、係止凹溝8が形成されている(図8,図9参照)。係止凹溝8は、スリーブソケット3
の筒内壁に刻設されており、筒端縁部3aから中軸線Bと平行に切込み、切込みの奥部で
T字状に2方に分岐して円周方向に切込まれた凹溝である。
【0064】
また、継手本体2の主筒部4及び支筒部5の内面には、実施例1と同様、滑止シート(
図示せず。)が貼設されている。滑止シートには、ゴムや粘着テープなどの摩擦材が使用
される。
【0065】
主筒部4の中央部外側面に、中心軸Cが支筒部5の中軸線Bと直交するように、ボルト
孔16が貫設されている。ボルト孔16の内面には螺子溝が刻設されている。止め螺子1
5は、このボルト孔16に螺着される。主筒部4に主桿Mを挿入した後、止め螺子15を
固く締めることで、主桿Mが主筒部4内に強く固定されるので、主桿Mが回ったりずれた
りすることが防止される。尚、ボルト孔16の下部には止め螺子15の先端のねじ山が壊
れないようにするために、金属ナット16aが設けられている。金属ナット16aは、継
手本体2に固定されている。
【0066】
また、支筒部の筒内壁の係合突起7と対合する位置に、係止突起17が突設されている
。この係止突起17は、支桿E側の端末部に形設される係合溝(図示せず。)と係合し、
支桿Eが回ったりがたついたりすることを防止するために設けられたものである。
【0067】
なお、本実施例の支桿接続具1の使用方法に関しては、実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【実施例5】
【0068】
図10は、本発明の実施例5に係る支桿接続具の斜視図である。本実施例の支桿接続具
22は、基本的には実施例2(図4)で説明した支桿接続具20と共通しており、共通部
分については同符号を付して説明は省略する。
【0069】
本実施例の支桿接続具22は、主筒部4と支筒部5とが直角に接続した部分に、更に支
筒部5’が接続されている。支筒部5’の中軸線Dは、主筒部4の中軸線Aと支筒部5の
中軸線Bの交点を通り、中軸線A,Bに対して垂直である。このように、支筒部5’を設
けたことで、立体桿構造物のコーナーの接続に支桿接続具22を使用することができる。
【実施例6】
【0070】
図11は、本発明の実施例6に係る支桿接続具の斜視図である。本実施例の支桿接続具
23は、基本的には実施例3(図5)で説明した支桿接続具21と共通しており、共通部
分については同符号を付して説明は省略する。
【0071】
本実施例の支桿接続具23は、支筒部5は主筒部4に対してT字状に接続されている。
また、主筒部4と支筒部5とが直角に接続した部分に、更に支筒部5’が接続されている
。支筒部5’の中軸線Dは、主筒部4の中軸線Aと支筒部5の中軸線Bの交点を通り、中
軸線A,Bに対して垂直である。このように、支筒部5’を設けたことで、立体桿構造物
の梁に直角に2方向に支桿を分岐させる際に支桿接続具23を使用することができる。
【実施例7】
【0072】
図12は、本発明の実施例7に係る支桿接続具1付き支桿E3を浴室に適用した入浴用手摺の使用状態を示す説明図であり、図13は入浴用手摺機構における支桿E3の一部切欠とストッパー手段の要部説明斜視図である。
【0073】
図12,図13において、支桿接続具1に関しては実施例1(図1図2図3)と同様であり、使用方法の共通部分については同符号を付して説明は省略する。支桿E3は支桿接続具1の支筒部5に先端部が固定された入浴用手摺、E3aは曲折され垂下した基端部側の支桿、30は浴槽、31は浴槽リム面、32は公知のT字継ぎ手、33は支筒部、34は方形のベース状プレートである。
【0074】
本実施例7は、支桿接続具1の支筒部5に先端部が固定された支桿E3の基端側が、浴槽30の上面を水平状に横断し、対向する浴槽リム面31の上部でその略端部に公知のT字継ぎ手32が装着され、その支筒部33から垂下して支桿E3aが連繋され、その端側部には方形のベース状プレート34が取り付けられ前記浴槽リム面31に止着されている。
【0075】
使用に際しては、主筒部4の中央部外側面に配置された止め螺子15を固く締めることで主桿Mが主筒部4内に強く固定され、さらに支桿E3aの端側部のベース状プレート34の止着作用により支桿E3の安定が確保される。さらに、浴槽30の掃除などに際しては、止め螺子15を緩めて支桿E3を回動し壁面側に傾斜させ停止すれば邪魔にならずに使い勝手が良くなる。
【0076】
これにより、福祉の現場において、介助者又は被介助者(以下「使用者」という)が、入浴に際して浴槽上部を横断した支桿E3を使用する場合には、支桿E3が長尺であることから使用者は所望の位置を握り掴まり立ちをしながら移動し、身体の向きを変えずに腰をおろして沈む動作ができる。従って、壁面側に配置されている手摺に持ち変えたり身体を捩りながら移行する動作は解消し、起き上がり動作でも腕を伸ばせば正面位置の手摺が掴め楽な姿勢で立ち上がることができる。これにより、家族やホームヘルパーにとっても使用者の動きと呼吸を合わせて介助を行えれば過大な力が不用となり、介助で最も困難とされる入浴時の負担が大幅に減少し職業病とされる腰痛対策に対して大きく貢献できる。
【0077】
ここで、支桿E3に装着するT字ジョイント32は、L字ジョイント(エルボ)を用いて連繋してもよいことは勿論であるが、大手メーカーの浴槽規格として短手方向側の横幅は600mmが大半であり、旧来型の浴槽では若干異なる場合がある。従って、緊合されたT字型ジョイントによる左右方向への摺動操作で長さ方向への位置調整を自在にする方が有利である。
【0078】
ここで、支桿E3aの端側部のストッパー手段としては、キャップ類の受け座であれば形状は自由である。支桿E3aの端側部の安定には方形のベース状プレート34の底面にエラストマー材や、(商標名)タコ足吸着盤などを使用してもよく、(図示せず。)さらに、浴槽リム面に(商標名)稀土類磁石・ネオジ磁石・サマリウムコバルト磁石類を埋め込み受け座の固定手段(図示せず。)としてもよい。
【実施例8】
【0079】
図14aは、本発明の実施例8に係る支桿接続具1付き支桿を浴室に適用し、ストッパー手段を浴槽内壁面に当接した使用状態を示す説明図であり、図14bは支桿を浴槽に臨むパネル面に当接して使用する状態を示す説明図である。
【0080】
図14a,図14bにおいて、支桿接続具1に関しては実施例1(図1.図2.図3)と同様であり、使用方法の共通部分については同符号を付して説明は省略する。支桿E4.E5.E6は支桿接続具1の支筒部5に先端部が固定され全体形状が略U字状の手摺、Pは浴槽に臨むパネル面、30aは浴槽の内壁面、35はストッパー手段である。
【0081】
図14aにおける支桿接続具付き支桿E4は、浴槽に臨む壁面に入浴用手摺として装着された主桿Mを利用するが、具体的には、上段軸である握柄部E4の前方が浴槽の略中央部で曲折され、下段軸E4bの至端部が浴槽の内壁面30aに当接され、下段軸E4bの端側部におけるストッパー手段として方形のベース状プレートが取り付けられている。さらに、図14bにおける支桿接続具付き支桿E5は、下段軸E4bの端側部におけるストッパー手段はアジャスター機構とされ、浴槽に臨む外壁面38に止着されている。
【0082】
これにより、入浴者は、握柄部Eの前方を掴みながら浴槽の仕切り框を跨ぎ入浴を行うが、手摺の位置が主桿Mのほぼ中央部であれば全使用者への適応ができるため、使用者毎に位置の変更を行う手数が省略化できる。従って、不特定多数の入浴者が利用する施設等においては、とくに有効となり経済性に優れる。
【0083】
また、図14bにおける支桿E5を介護現場において玄関の上がり框部の手摺や、便所における便座への立ち座り使用すれば、介助を受けるに至らない介護予防レベルの使用者や身体麻痺が左右のいずれ側の発症者であっても健常側の手で支桿E5が握れることで非常に便利となり、不特定多数者が利用する施設等においては効果的で経済性に優れる。
【0084】
また、ここで、図示はしないが、支桿接続具付き略U字状の支桿は、介護現場においてベッド柵の上段側支柱の水平軸を主桿として使用するベッド用の立体状手摺であってもよい。主桿に対して着脱自在に装着し、ベッド柵の縦軸側の支柱に略U字状の下段軸の端側部に設けられたストッパー手段が柵の垂直又は水平方向の支柱に当接して係止される。従って、U字手摺の作用は、ベッド使用者である高齢者や障害者の起き上がりに際してT字状に突設した手摺が握れることで上半身の持ち上げ動作が非常に楽になる。さらに、手摺を使用しない場合には止め螺子を緩めて持桿を回転し、ベッドの外側に反転すれば邪魔にならずに使い勝手も良く便利となる。
【実施例9】
【0085】
図15aは、本発明の実施例9に係る支桿接続具1付き支桿E7の一部破断斜視図であり、図15bは、構造上略ロ字状の空間部を利用するE7の一部破断斜視図である。
【0086】
図15a、図15bは、支桿接続具1に関しては実施例1(図1図2図3)と同様であり使用方法の共通部分については同符号を付して説明は省略する。E7は支桿接続具1の支筒部5に先端部が固定された手摺、E7aは手摺の延設部、E7bは略ロ字状の空間部、41はトレー、42は緊急時警報通報のボタン、43はペツトボトルである。
【0087】
本発明の実施例9に係る図15aにおける支桿接続具付き支桿E7は、前記実施例第7及び又は実施例8に係る支桿3乃至6の保持強度を高めるための変形を示す。まず、この実施形態における支桿接続具1.1´は、主桿Mの装着部位において直列して少なくとも2個装着し、その支筒部を一定間隔で二股に分枝させ、その一方側の支桿部E7aは延設して手摺として使用するが、一方側の支桿部E7bは延設する支桿E7のやや基端部寄りの前方部で曲折して略ロ字状の空間部を形成し、その至端部は支桿接続具1.1´に固定される。
【0088】
これにより、主桿Mへの連結部間に若干の距離が発生し、支桿Eの直交する方向への負荷に対する各連結でのモーメント負担が軽減し支筒部5の強度が向上する。本実施例においては、支桿接続具1の一方側の支筒部5に連繋された支桿E7の略中間部で前記分岐した支桿E7bの曲折端側部が合流し固定されるものである。従って、直列して2個装着された支桿接続具1.1´の装着部位において全体形状が略ロ字状に構成されることで、支桿接続具1.1´の装着強度は倍加し水平方向側への引っ張り衝撃力の吸収に有効性を発揮する。
【0089】
このように支桿支筒部5を複数にする構成は、上述した実施例第7及び又は実施例8に対して完全に交換可能であり、ストッパー手段としてもベース状プレート35に替えてアジャスター機構36であってもよいことは勿論である。
【0090】
ここで、図15bに示すように略ロ字状の空間部Sは、構造上略ロ字状の空間部となるデツトスペースを利用して別体からなる緊急時警報アラームや無線装置の子機となる発信具を取り付けることで、高齢者であっても脳血管障害の発作時には目前の警報ボタン41にタッチするだけで家族への通報や、或いはガードマン会社などに報知され、重大事故を未然に防止できる安全対策を手元に備えた手摺装置となる。
【0091】
また、ここで、図15bに示す空間部Sにトレー皿42を設け、ペツトボトルや各種グッズなどの置きスペースとして使用するすることが好ましい。
【0092】
また、ここで、緊急時警報具としては、(商標名)痴漢防犯のブザーや、警報ブザー付きや防水式携帯電話機(商標名)au−A5525SAであってよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0093】
1,1’,20,21,22,23 支桿接続具
2 継手本体
2a,2b 分割体
3 スリーブソケット
4 主筒部
5,5’ 支筒部
6 ヒンジ
7 係合突起
8 係止凹溝
9,10 滑止シート
15 止め螺子
16 ボルト孔
16a 金属ナット
17 係止突起
20 支桿接続具付き持桿
21 持桿
A 中軸線
B 中軸線
C 中心軸
D 中軸線
M 主管
E 支桿

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
主桿に対し1乃至複数の支桿が連繋される連桿構造物に於いて、前記主桿に前記支桿を着脱自在に接続する支桿接続具であって、
前記主桿に嵌着可能な筒状の主筒部と、前記支桿に嵌着可能な筒状の支筒部とが一体に形成されて成る継手本体を備え、
前記継手本体は、少なくとも前記主筒部の中軸を通る平面を分割平面として対合する2つの分割体に分割され、対合する前記両分割体の分割縁のうち一の分割縁を枢軸として、前記両分割体が開閉自在となるように枢着されており、
前記分割平面により分割される前記主筒部又は前記支筒部の少なくとも一の端末に外嵌可能な筒状のスリーブソケットを備えていることを特徴とする後付けジョイント装置。
【請求項2】
少なくとも一方の前記分割体の支筒部の筒内には、前記支桿の抜脱を防止する抜脱防止部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の後付けジョイント装置。
【請求項3】
前記主筒部の側面に貫設され、内面には螺子溝が刻設されたボルト穴と、
前記ボルト穴に螺着され、前記主桿を固定する止め螺子と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の後付けジョイント装置。
【請求項4】
前記継手本体は、前記主桿に嵌着可能な筒状の主筒部と、前記主筒部の中軸線と中軸線が交差するように前記主筒部の外側面に突設され前記支桿端末部に嵌着可能な筒状の支筒部とからなる分岐筒体であり、該分岐筒体は、前記主筒部及び前記支筒部の中軸線を含む平面を分割平面として分割された対合する2つの分割体により構成されており、
前記両分割体は、前記支筒部が突設されていない側の前記主筒部の分割縁を枢軸として開閉自在となるように枢着されており、
前記スリーブソケットは、前記支筒部の端末に外嵌可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一記載の後付けジョイント装置。
【請求項5】
請求項4記載の支桿接続具と、 前記支筒部の2つの分割体のうちの1つの分割体の半筒内面に先端部が固着された持桿と、を備え、
前記主筒部は主筒部の中央部に前記支筒部が突設されたT字形状に構成されていることを特徴とする後付けジョイント装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【公開番号】特開2011−169417(P2011−169417A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34767(P2010−34767)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(301009232)株式会社楽々サービス (5)
【Fターム(参考)】