説明

徐放性ステロイド組成物

【要約書】抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される組成物は、様々な大きさの結晶及び結晶複合体で含まれ、組成物中で大きさが約20μmよりも大きい結晶及び結晶複合体の割合は、大きさが約20μm未満の結晶及び結晶複合体の割合よりも多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用
本願は、2004年2月4日出願オーストラリア仮出願番号2004900546号明細書、2004年9月10日出願オーストラリア仮出願番号2004905195号明細書、2004年10月25日出願オーストラリア仮出願番号2004906125号明細書、及び2005年1月21日出願オーストラリア仮出願番号2005900253号明細書の恩恵を主張する。
先行出願、及び本願で示すメーカーの使用説明書、記載、製品規格、及び製品シートと一緒に本願に引用する全ての文献、又は本願に援用する全ての文献を、参照することにより本願に援用し、また、本願の実施に用いられうる。
【0002】
本発明は、微粒子形状で存在し、結晶の大きさ及び分布が決定及び選択可能な抗炎症ステロイドによる治療が適した変性網膜症の治療に関する。特に、トリアムシノロン、特に、眼の炎症状態の治療に使用されるトリアムシノロンアセトニドの結晶の大きさの使用範囲に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明者は、特許文献1(Billson及びPenfold)の共同発明者であり、参照することにより全体を本願に援用する。特許文献1は、患者に加齢黄斑変性の治療方法を提供し、好ましくは、硝子体内注射で患者へ投与することで、硝子体内にやや溶け難い抗炎症ステロイドの効果的な量を蓄積形式で投与することを含む。特許文献1に記載の方法で使用される好適なステロイドは、トリアムシノロンアセトニド(TA)を含む。
【0004】
本発明者は、また、脈絡膜血管新生を患う危険性が高いと特定された眼に、抗炎症ステロイドを硝子体内注射することで新血管形成を予防することを対象とした特許文献2(Gillies、Penfold及びBillson)の共同発明者である。特許文献2の方法で使用される好適なステロイドは、トリアムシノロンアセトニド及びフルオシノロンアセトニドを含む。
【0005】
これらの特許明細書に提示される治療方法は、例えば、予備実験及びその後に続く臨床試験の両方に関して奨励されているが、変性網膜症、眼内血管新生、及び眼の炎症症状を含むがこれらに限定されない上記眼症状の治療方法を更に改善する必要性がある。
【0006】
そのような望ましい改善の1つは、特に、特定の適応症及び病状を考慮して、抗炎症薬の治療効果を持続させることである。例えば、トリアムシノロンアセトニドを投与する場合、Massin他は、ほとんどの場合、臨床的に有意な黄斑浮腫及び他の網膜疾患の治療において、トリアムシノロンアセトニドの常用量(4mg)の硝子体内注射の薬効が約3ヶ月後に減退することを見出した(例えば、非特許文献1)。Massin他は、視力の測定に基づいてトリアムシノロンアセトニドの薬効を測定した。例えば、黄斑浮腫の場合に使用される光コヒーレンストモグラフィーは、1回硝子体内注射したトリアムシノロンアセトニドのピーク有効性が、該硝子体内注射約6週間後に達成され、その後、視力の低下、及び黄斑の肥厚が起こることを示す。他の研究は、1回の硝子体内注射として投与したトリアムシノロンアセトニドの平均排出半減期が硝子体切除していない患者で18.6日であったことを示した(例えば、非特許文献2)。約5半減期後で全てのトリアムシノロンアセトニドが放出されると仮定すると、トリアムシノロンアセトニドは、硝子体切除を受けていない患者において、約3ヶ月(93±28日)間、硝子体液に測定可能な濃度で持続するはずである。トリアムシノロンアセトニドのような抗炎症ステロイドの3ヶ月滞留時間は、特定の病状に対しては適度であるが、多くの患者は、注射頻度がより少なければ、眼内注射に付随する合併症の危険性がより低いため、治療効果のある更に長い滞留時間の恩恵を受ける。
【0007】
抗炎症薬の効果を持続させるために多くの方策が推進されている。使用されているアプローチの1つは、投与量を単に増加させる(上限25mg)ことである(例えば、非特許文献3及び4。)これは、トリアムシノロンアセトニドの治療効果の持続時間を延長するが、また、合併症の発生率及び重症度も増加させ、特に、ステロイド誘導により眼内圧を亢進させる(例えば、非特許文献5)。
【0008】
抗炎症薬効果の持続に使用可能な他の可能なアプローチは、他の硝子体内ステロイド製剤と効果的に使用される、徐放性賦形剤を使用することである。しかしながら、このアプローチの主な不利点は、複雑となることから、米国食品医薬品局等の管理機関からの徐放性賦形剤を配合した薬の最終的な認可が、遅れるかもしれないことである。
【0009】
抗炎症薬の治療効果のある滞留時間を増大させる第3のアプローチは、粒径を変えることである。しかしながら、このアプローチは、眼病治療薬等の多くの薬には定着していない。実際に、粒径と硝子体内での治療効果のある滞留時間との相互関係を示さない薬もあるようである。例えば、最近の研究では、メジアン粒径が大きく異なる2つのトリアムシノロンアセトニド製剤(4μ及び17.3μ)が、硝子体内で本質的に同じ薬物半減期を有することが報告されている(例えば、非特許文献6)。
【0010】
治療効果のある滞留時間を調節するための薬の粒径の変更に関する他の問題は、特定の薬物粒子、特に粒径が0.5μm未満〜約1μmの抗炎症ステロイドが、投与に用いる注射針の閉塞を生じる傾向があるという発明者の発見に関連する。一般的に、硝子体に薬を投与する場合、眼科医は、強膜等の眼の外側組織を突き通るために出来る限り細い(例えば、直径が小さい)針の使用を好む。直感的に、より小さな直径の針を使用することは、ステロイドを眼に注射する間により大きな粒子は針を詰まらせる傾向がある論理的予想を考慮して、注入されるより小さい薬物粒子、例えば小さい粒子の抗炎症ステロイド等を選択することにもつながる。しかしながら、発明者は、0.5μm未満〜約1μmの粒子は「凝集」又は「圧縮」と言われるプロセスにより針を詰まらせる傾向があることを発見した。
【0011】
従って、1回の硝子体内注射後、トリアムシノロンアセトニド等の抗炎症ステロイドの治療効果を持続する手段を開発する必要があり、もう一方で、そのような化合物の送達に付随する問題を改善する。
【0012】
本願における文献の引用又は同定は、そのような文献が本発明の先行技術として有用であることの承認ではない。
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,770,589号明細書(米国特許出願第08/586,750号明細書)
【特許文献2】オーストラリア特許第769,671号明細書(オーストラリア特許出願第46732/99号明細書)
【非特許文献1】Massin P他(2004)“Intravitreal triamcinolone acetonide for diabetic diffuse macular edema: preliminary results of a prospective controlled trial” Ophthalmology, 111(2):218−24
【非特許文献2】Beer PM他(2003)“Intraocular concentration and pharmacokinetics of triamcinolone acetonide after a single intravitreal injection” Ophthalmology, 110(4):681−6
【非特許文献3】Jonas JB他(2004)“Duration of the effect of intravitreal triamcinolone as treatment for diffuse diabetic macular edema” Am J Ophthalmol., 138(1):158−60
【非特許文献4】Jonas JB他(2004)“Intraocular availability of triamcinolone acetonide after intravitreal injection” Am J Ophthalmol, 137(3):560−2
【非特許文献5】Degenring RF他(2004)“Intraocular triamcinolone for diffuse diabetic macular edema” Ophthalmologe., 101(3):251−4
【非特許文献6】Robinson他“Preclinical Evaluation of a Triamcinolone Acetonide Preservation Free (TAC‐PF) Formulation for Intravitreal Injection,” Association for Research in Vision and Ophthalmology, (ARVO), 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
先行技術に付随する問題に対応するために行った研究で、トリアムシノロンアセトニド等の抗炎症ステロイド薬が、微粉化結晶として調製される場合に、しばしば融着、集合、又は凝集して結晶複合体の形状になることが明らかになった。結晶複合体は、外見は大きい粒子だが、実際には小さな結晶からなる(例えば、図1参照)。更に、結晶複合体の溶解速度は、小さな結晶の溶解速度と同等である。従って、本発明の1つの原理によると、治療製剤中の薬の総濃度を増加させずに、トリアムシノロンアセトニド等の抗炎症ステロイドを硝子体内で治療効果のある滞留時間を増大させる鍵は、抗炎症ステロイドのより大きな結晶の割合を増加させると同時にステロイドの結晶複合体の割合を減少させることである。従って、トリアムシノロンアセトニド等の抗炎症ステロイド等の溶解速度は、治療組成物すなわち製剤中のより大きな薬物結晶の相対的な存在比を増加させることで減速(即ち、より長い溶解時間)することができる。より大きな薬物結晶は、結晶複合体と比較して体積に対する表面積がより小さく、そのようなものは溶解速度が遅い。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によると、様々な大きさの結晶及び結晶複合体の形状を含む抗炎症ステロイド、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される組成物を提供し、組成物中で大きさが約20μmよりも大きい結晶及び結晶複合体の割合は、大きさが約20μm未満の結晶及び結晶複合体の割合よりも多い。好ましくは、組成物は、大きさが約50μm〜約600μmの結晶を含む。好ましくは、大きさが約50μm〜約600μmの結晶の割合は、同様の大きさの結晶複合体の割合よりも多い。
【0016】
本発明の第2の態様によると、様々な大きさの結晶及び結晶複合体の形状で含まれる抗炎症ステロイド、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される組成物を提供し、結晶は約0.5μm〜約40μm、及び約50μm〜約600μmの大きさに凝集する。好ましくは、結晶は、約0.5μm〜約40μm、及び約50μm〜約600μmの大きさで結晶複合体よりも凝集する。更により好ましくは、大きさが約50μm〜約600μmの結晶の割合は、大きさが約0.5μm〜約40μmの結晶の割合よりも多い。
【0017】
本発明の第3の態様によると、患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロン組成物の調製方法を提供し、該方法は、結晶複合体と比較して、組成物中の結晶の濃度を増加する工程を含む。
【0018】
本発明の第4の態様によると、患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロン組成物の調製方法を提供し、該方法は、特定のトリアムシノロン製剤中で約50μm〜約600μmの結晶複合体の割合と比較して、大きさが約50μm〜約600μmの結晶の割合を増加させる工程を含む。
【0019】
本発明の第5の態様によると、患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容される組成物の調製方法を提供し、該方法は、結晶及び結晶複合体を含むトリアムシノロン組成物から約50μm〜約600μmの大きさのトリアムシノロン結晶を選択する工程を含む。該方法は、眼科的に許容されるキャリア、希釈剤及び/又は賦形剤に結晶を前記範囲で添加する工程を更に含む。
【0020】
本発明の第6の態様によると、本発明の第3、4又は5の態様に記載される方法のいずれかにより調製される薬学的に許容される組成物を提供する。
【0021】
本発明の第7の態様によると、治療を必要とする患者の眼の炎症症状の治療方法を提供し、該方法は少なくとも1つの眼組織に又はその傍に、ここで開示される薬学的に許容される組成物、又はここで開示される方法により調製される薬学的に許容される組成物を投与する工程を含む。
【0022】
好ましくは、抗炎症ステロイドは、トリアムシノロン類製剤の一つである。本発明の非常に好適な形態において、使用されるトリアムシノロン製剤は、トリアムシノロンアセトニドである。更に、明細書は、本発明の「活性」化合物又は「治療」化合物として、本発明のトリアムシノロンアセトニドを含む本発明の抗炎症ステロイドに言及する。本発明の薬学的に許容される組成物は、好ましくは、硝子体内注射、又は局所適用により眼に送達される。しかしながら、送達形態、いわゆる、送達ルート又は方法は、硝子体内注射、又は局所適用に制限されず、むしろ、当業者に公知の又は使用される適切な方法を含むことが理解されよう。
【0023】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付の請求項の観点から検討する場合、詳細については上記及び下記記載より検討されるとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
総則
本明細書に記載の発明が、具体的に記載するもの以外の変形及び変更を受けることが当業者に理解されよう。
本発明は、全ての変形及び変更を含む。本発明は、また、明細書に参照される、又は示される全ての工程、特徴、組成物及び化合物を、個別に又は集団で、並びに工程又は特徴のいずれか及び全ての組合せ、又はいずれか2つ以上を含む。
この本文で引用する各文献、引例、特許出願、又は特許は、参照することにより全てが明示的に援用され、これは、本文の1部として読者に読まれ、及び検討されるべきことを意味する。この本文で引用する各文献、引例、特許出願、又は特許は、単に簡潔性の理由により繰り返されない。
本発明は、本明細書に記載される例証の目的のためだけに示される詳細な実施形態により範囲を制限されない。機能的に同等の製品、組成物、及び方法は、明らかに本明細書に記載される発明の範囲内である。
本明細書に記載される発明は、1つ以上の値の範囲(例えば、大きさ、濃度等)を含む。値の範囲は、範囲内の全ての値を含むと理解され、範囲を規定する値、及び同じ又は範囲の境界を規定する値に隣接値として実質的に同じ結果をもたらす範囲付近の値を含む。
この明細書を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む」又は「含んでいる」等の派生語は、記載される実体又は実体の群を含むことを意味するが、しかし、他の実体又は他の実体の群を除外するものではない。この開示において、及び特に請求項及び/又は段落において、「含む」及びその派生語は、米国特許法に帰属する意味であることに留意すべきである(例えば、「有する」及びその派生語を意味する。「本質的に…からなる」及びその派生語は、米国特許法に帰属する意味である。例えば、明らかには引用されていない要素を許容するが、先行技術に見られる、又は本発明の基本的な、若しくは新規の特徴に影響を及ぼす要素は除外する。
ここで使用される選択された用語の他の定義は、本発明の明細書内に見出され、明細書を通して適用される。定義さていなければ、ここで使用される他の全ての科学的及び技術的用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されるような同じ意味を有する。
【0025】
本発明は、特定の抗炎症ステロイド製剤中で結晶複合体を除外すると同時に、結晶の大きさを増大させることで活性化合物の作用部位での薬物暴露の総量を変えずに抗炎症ステロイドのほぼ平らな溶解曲線が実現できる予想外の発見に基づく。結晶は複合体とは異なり、眼内でより長く持続する活性化合物源を提供する。
【0026】
本発明の第1の態様によると、様々な大きさの結晶及び結晶複合体の形状で含まれるトリアムシノロンアセトニド等の抗炎症ステロイド、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される組成物であって、該組成物中で大きさが約20μmよりも大きい結晶及び結晶複合体の割合は、大きさが約20μm未満の結晶及び結晶複合体の割合よりも多い組成物を提供する。好ましくは、組成物は、大きさが約50μm〜約600μmの結晶を含む。好ましくは、大きさが約50μm〜約600μmの結晶の割合は、同様の大きさの結晶複合体の割合よりも多い。
【0027】
本発明の第2の態様によると、様々な大きさの結晶及び結晶複合体の形状で含まれるトリアムシノロンアセトニド等の抗炎症ステロイド、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される組成物であって、結晶は約0.5μm〜約40μm、及び約50μm〜約600μmの大きさに凝集する組成物を提供する。好ましくは、結晶は、約0.5μm〜約40μm、及び約50μm〜約600μmの大きさで結晶複合体よりも凝集する。更により好ましくは、大きさが約50μm〜約600μmの結晶の割合は、大きさが約0.5μm〜約40μmの結晶の割合よりも多い。
【0028】
本明細書で使用する「結晶複合体」とは、集合、融着、又は何か他の方法で互いに結合する、結晶及び非結晶を含む。この語句は、注射針(27ゲージ針等、しかしこれに限定されない)通過後に集合したままの複合体を含む。光散乱測定を参照すると(表6、表7、図3A、図3B、図4及び図5)、結晶の大きさが、約0.5μm(ケナコルト(R)A40中)〜約600μm(NewChem非微粉化物質中)の範囲であることが分かる。
【0029】
本発明の文脈において、本明細書で使用する「結晶」は、その通常の意味として特徴的な内部構造を有し、且つ一定の特徴的な角度で交差する対称的に配列された平面に囲まれる固体を有する。通常、結晶は、より小さな結晶の複合体にはならない。しかしながら、単一の大結晶は、大結晶に付着する非常により小さな結晶を有し得る。結晶がそのような形態で含まれる場合には、結晶複合体とは見なされない。図6及び図7は、例えば、走査電子顕微鏡検査により、結晶の大きさは様々であるが120μmよりも大きい結晶が観察できることを示す(図6の底辺の11個の点は120μmを示し、及び図7の底辺の11個の点は120μmを示す)。
【0030】
結晶は、特定の大きさの範囲で結晶含有量を増やすようにされた製剤中で凝集すると考えられており、これは、特定の大きさの結晶を選択した後で、他の製剤とそれら結晶を組み合わせることにより、あるいは製剤としてそれら結晶を使用することにより達成される。特定の大きさの結晶の選択方法は当業者により理解される。
【0031】
上記範囲内での結晶の大きさは、治療対象の眼組織中又はその傍での、必要とされる抗炎症ステロイドの溶解時間及び作用寿命に応じて変わる。好ましくは、大粒径の結晶の範囲は、約50μm〜約600μm、約60μm〜約500μm、約70μm〜約400μm、約80μm〜約300μm、約90μm〜約250μm、又は約100μm〜約200μmで変わる。小粒径範囲の結晶を含む場合、該結晶の大きさは、約1μm〜約40μm、約5μm〜約35μm、約10μm〜約30μm、約15μm〜約25μm、又は約20μm〜約22μmで変わる。
【0032】
本発明で使用される抗炎症薬ステロイドは、本明細書に記載の範囲の大きさの結晶、又は結晶複合体のいずれかで調製可能であり、抗炎症薬作用を有し、また眼領域の炎症性疾患の治療での使用に適している。好適な抗炎症ステロイドは、例えば、下記式に示す11−置換−16α,17α−置換メチレンジオキシステロイドを含む:
【化9】

式中、
【化10】

は、
【化11】

又は、
【化12】

であり、
及びRは、水素、又はアルキルであり、
【化13】

は、
【化14】

であり、
は、メチル、ヒドロキシメチル、又はメチルアミノアルキレンカルボニルオキシメチル、アルキルカルボニルオキシメチル、又はフェニルアミノアルキレンカルボニルオキシメチルであり、
は、アルカノイルであり、Xはハロゲンである。
【0033】
より好ましくは、下記式に示す化合物である:
【化15】

は、ヒドロキシメチル、フェニルカルボニルアミノイソプロピルカルボニルオキシメチル、又は、2,2−ジメチルプロピルカルボニルオキシメチルである。
【0034】
好適なステロイドの1つは、結晶構造の9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16,17−[1−メチルエチリジンビス(オキシ)]プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンである。
【化16】

この化合物は、一般名であるトリアムシノロンアセトニドとしてもまた知られており、公知の方法で好適に調製される。例えば、Fried他、(1958),J. Am. Chem. Soc. 80,2338 (1958)、米国特許第2,990,401号明細書、米国特許第3,048,581号明細書、又は米国特許第3,035,050号明細書に開示され、これらはそれぞれ参照することにより本願に明確に援用する。
【0035】
本発明の活性化合物(即ち、本明細書に記載の抗炎症ステロイド)は、結晶複合体よりもむしろ結晶形状で含まれることを確実にするために、好ましくは、複合体を本発明の組成物の調製よりも前に分離させる。抗炎症薬ステロイドの結晶複合体は、超音波破砕、及び微粉化(30μm未満の粒子と定義する)等の当技術分野で周知の様々な方法により分離される。超音波破砕は、短期間(例えば、30秒)使用する場合に結晶複合体を破壊し、又はより長期間使用する場合に結晶を破砕するために使用される。結晶の大きさは、更に、再結晶化/再結晶成長、γ線照射、及び高温(例えば、加圧滅菌)により影響される。粒子又は結晶は、また、不活性キャリアの密度勾配遠心分離、選択ろ過、又は乾燥篩分け等の当技術で公知の方法、又は微細物質を分割する当技術の他の方法により分画される。
【0036】
約0.5μm未満〜約1μmの粒子及び結晶は、組成物が注射により送達される場合に、凝集又は圧縮作用により針を詰まらせる傾向があることが分かっている。更に、これらのより小さな粒子は、硝子体内に迅速に溶解するため、より大きな粒子よりもより迅速に眼内環境から消失する。その一方、約1μm〜約12μmの粒子は、残留効果を与えるために十分な期間眼内環境に残り、また、注射器から送達される場合に針が詰まる傾向がない。
【0037】
結晶が、約0.5μm〜約40μm及び約50μm〜約600μmの大きさで凝集する場合、組成物の特性は、大粒径範囲の粒子の体積あたりの相対的重量を小粒径範囲の粒子の体積あたりの重量に対して増減させることで変更される。組成物の特性の変更により、当業者が治療する病気、及び治療に必要とされる寿命に応じて重要である硝子体内での様々な滞留時間の組成物を開発可能である。例えば、大粒径範囲の結晶に対する、小粒径範囲の結晶の体積あたりの重量の比は、約1:1,1:2,2:1,1:3,3:1,2:3,3:2,1:4,4:1,3:4,4:3,1:5,5:1,2:5,5:2,3:5,5:3,4:5,5:4,1:6,6:1,5:6,6:5である。
【0038】
本発明を別の方法で考察すると、小粒径範囲の粒子又は結晶の割合は、1%(w/v),5%(w/v),10%(w/v),15%(w/v),20%(w/v),25%(w/v),30%(w/v),35%(w/v),40%(w/v),45%(w/v),50%(w/v),55%(w/v),60%(w/v),65%(w/v),70%(w/v),75%(w/v),80%(w/v),85%(w/v),90%(w/v),95%(w/v),99%(w/v)よりも大きく、大粒径範囲はその逆数である。同様に、大粒径範囲の粒子又は結晶の割合は、1%(w/v),5%(w/v),10%(w/v),15%(w/v),20%(w/v),25%(w/v),30%(w/v),35%(w/v),40%(w/v),45%(w/v),50%(w/v),55%(w/v),60%(w/v),65%(w/v),70%(w/v),75%(w/v),80%(w/v),85%(w/v),90%(w/v),95%(w/v),99%(w/v)よりも大きく、小粒径範囲はその逆数である。
【0039】
約0.5μm〜約40μm分画と比較して約50μm〜約600μm分画の結晶の分布に応じて、製剤の滞留時間が実質的に向上可能である。ここで使用する滞留時間とは、治療組成物が病気に対する治療効果を達成可能である治療に使用される時間を示す。
【0040】
一般的に、約50μm〜約600μm分画の結晶の割合が増加するほど、滞留時間が改善されるが、長い滞留時間と治療効果の達成を上手く両立する必要がある。この両立は、眼内で必要とされる抗炎症薬効果の寿命及び病気によって異なる。本発明により調製される製剤は、好ましくは、少なくとも2ヶ月を超える滞留時間を有する。より好ましくは、滞留時間は3ヶ月よりも長く、4,5,6,7〜12ヶ月よりも長い滞留時間が達成可能であり、非常に好ましい。
【0041】
実例として、本発明の組成物は、約0.5μm〜約40μm結晶を25%(w/v)、及び約50μm〜約600μm結晶を75%(w/v)含む。組成物は、好ましくは、約0.5μm〜約40μm結晶を約20%(w/v)及び約50μm〜約600μm結晶を約80%(w/v)含む。これらの割合とすることで、抗炎症ステロイドのほぼ均一な溶解曲線の長期間持続及び滞留時間の増加が続く活性化合物の初期投与が可能となる。あるいは、約50%(w/v)の約0.5μm〜約40μm結晶と約50%(w/v)の約50μm〜約600μm結晶との組成物、又は約75%(w/v)の約0.5μm〜約40μm結晶と約25%(w/v)の約50μm〜約600μm結晶との組成物が提供されうる。
【0042】
好適な形態は、本発明は、約0.5μm〜約40μmの結晶を約25%(w/v)と約100μm〜約200μm結晶を約75%(w/v)含む。好ましくは、組成物は、約0.5μm〜約40μm結晶を約20%(w/v)と約100μm〜約200μmの結晶を約80%(w/v)含む。また、約0.5μm〜約40μmの結晶を約50%(w/v)と約100μm〜約200μmの結晶を約50%(w/v)含むか、あるいは、約0.5μm〜約40μmの結晶を約75%(w/v)と約100μm〜約200μmの結晶を約25%(w/v)含む。
【0043】
本発明の抗炎症ステロイドの薬学的に許容される塩の結晶もまた検討される。本明細書に記載の抗炎症ステロイドの薬学的に許容される塩は、例えば、薬学的に許容される酸と一緒に形成される無毒性酸付加塩が挙げられる。例えば、これらに限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸及びリン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコナート、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、及び酒石酸塩等が挙げられる。本発明の使用に適切な抗炎症ステロイドは、また、基剤と一緒に薬学的に許容される金属塩、特に、無毒性アルカリ金属塩も含む。例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明は、様々な大きさの結晶状で存在する単一抗炎症ステロイド組成物を投与するものとして記載されるが、一方で、該結晶は、約0.5μm〜約40μm及び約50μm〜約600μmの混合物、又は約0.5μm〜約40μm及び約100μm〜約200μmの混合物に存在するが、これらに限定されると理解すべきではない。2つ以上の抗炎症ステロイド、又は抗炎症ステロイド及び他の活性剤の組合せもまた、本発明の方法で使用される。このような性質の組合せは、公知の方法で調製可能である。同様に、本発明は、小粒径範囲のステロイドが大粒径範囲で使用されるステロイドと異なる、ステロイドの組合せを含む。
【0045】
本発明の第3の態様によると、患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロン組成物の調製方法を提供し、該方法は、結晶複合体と比較して、組成物中の結晶の濃度を増加する工程を含む。
【0046】
本発明の第4の態様によると、患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロン組成物の調製方法を提供し、該方法は、特定のトリアムシノロン製剤中で約50μm〜約600μmの結晶複合体の割合と比較して、大きさが約50μm〜約600μmの結晶の割合を増加させる工程を含む。
【0047】
本発明の第5の態様によると、患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容される組成物の調製方法を提供し、該方法は、結晶及び結晶複合体のどちらも含むトリアムシノロン組成物から約50μm〜約600μmの大きさのトリアムシノロン結晶を選択する工程を含む。また、該方法は、結晶及び結晶複合体のどちらも含むトリアムシノロン組成物から約100μm〜約200μmの大きさのトリアムシノロン結晶を選択する工程を含む。該方法は、眼科的に許容されるキャリア、希釈剤及び/又は賦形剤に結晶を前記範囲で添加する工程を更に含む。
【0048】
本発明の第6の態様によると、本発明の第3、4又は5の態様に記載される方法のいずれかにより調製される薬学的に許容される組成物を提供する。
【0049】
本発明の薬学的組成物で使用される的確な製剤は、広範囲の商業及び科学的基準により変わる。好ましくは、薬学的組成物への添加剤は、硝子体内蓄積注射として薬学的組成物の送達に適している。
【0050】
組成物は、少なくとも薬学的に許容される添加剤(希釈剤、キャリア、添加剤、賦形剤、又は無毒、非医薬、非免疫抗原性の安定薬等)も更に含む。好ましくは、薬学的に許容される添加剤は眼科的に許容され、好ましくは硝子体に適合し、及び眼内に視力を損なう残留物を残すべきではない。組成物中で使用される薬学的に許容される添加剤は、好ましくは、硝子体内蓄積注射として薬学的組成物の送達に適している。
【0051】
薬学的に許容される組成物の製剤に使用される希釈剤は、好ましくは、組成物の生物活性に過度に作用しないように選択される。注射可能な製剤に特に有効である希釈剤は、例えば、水、様々な塩類溶液、有機又は無機塩溶液、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス液が挙げられる。
【0052】
更に、薬学的組成物は、他の緩衝剤、希釈剤、キャリア、抗原性補強剤、又は賦形剤等の添加剤等が挙げられる。眼に適用可能な薬理学的に許容される緩衝剤が使用され、例えば、トリス緩衝液、又はリン酸塩緩衝液が挙げられる。他の作用薬が様々な目的の製剤に用いられる。例えば、緩衝剤、防腐剤、補助溶剤、界面活性剤、油、湿潤剤、緩和剤、安定剤、又は抗酸化剤が用いられる。使用する水溶性防腐剤は、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、エチルアルコール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール等が挙げられる。これらの作用薬の量は、それぞれ約0.001重量%〜約5重量%、及び好ましくは約0.01重量%〜約2重量%で含まれる。使用する適切な水溶性緩衝剤は、米国食品医薬品局によって認可されている炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウム等が所望の投与経路に対して使用される。これらの作用薬は、システムのpHを約2〜約9、及び好ましくは約4〜約8に維持するために十分な量で含まれる。該緩衝剤は、重量対重量百分率に基づいて組成物全体の約5%程度である。電解液として塩化ナトリウム及び塩化カリウム等もまた製剤に含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
いくつかの既存製品、例えば、ケナコルト(R)A40等に提供される薬学的に許容される添加剤又は希釈剤としては、ベンジルアルコール等の溶媒等が挙げられ、これらは硝子体内で粒子をより速く消失させることが分かっている。これにより意外にも抗炎症ステロイドの寿命及び効果が、市販の組成物である希釈剤により弱まることが発見された。本発明は、意外にもまた、粒子又は結晶が生理食塩水又は同様の溶液に懸濁されれば、硝子体内での溶解が更に延長されることも分かった。平衡塩類溶液は、生理食塩水の代わりに使用し得る。本発明の実施に適切な様々な平衡塩類溶液は、当業者に周知である。例えば、乳酸リンゲル液の媒体が使用される。平衡塩類溶液の選択で、ケナコルト(R)A40に比べて活性剤の即効性を高めることができる。希釈剤の選択に関する結果は、実施例4に詳細を示す。本発明の送達のための希釈剤の選択は、賦形剤の潜在的な毒性及び/又は炎症性を避けるためにもまた選択される。
【0054】
従って、本発明は、また、抗炎症ステロイドが懸濁する希釈剤も対象とする。好ましくは、希釈剤は、平衡塩類溶液である。最も好ましくは、平衡塩類溶液が乳酸リンゲル液の媒体である。
【0055】
本発明の第7の態様によると、治療を必要とする患者の眼の炎症症状の治療方法を提供し、該方法は少なくとも1つの眼組織に又はその傍に、ここで開示される薬学的に許容される組成物、又は、ここで開示される方法により調製される薬学的に許容される組成物に投与する工程を含む。
【0056】
「治療」又は「治療する」という用語は、本発明の対象とする眼の炎症症状の予防、遅延、停止、改善を示すためにここでは同意語として使用される。
【0057】
ここで使用される「眼の炎症症状」とは、眼の障害又は病態、例えば、病状の構成要素として炎症に起因する、又は炎症を有する健全な状態の動物に正常でない眼疾患を示す。眼疾患は、眼の血管新生、網膜疾患(糖尿病性網膜症、鎌状赤血球性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性(例えば、若年性黄斑変性、新生血管黄斑変性、加齢性黄斑変性))、虹彩ルベオーシス、炎症性疾患、慢性ブドウ膜を含む炎前部及び後部ブドウ膜炎、新生物(網膜芽細胞腫、偽神経膠腫)、フックス虹彩毛様体炎、血管新生緑内障、角膜血管新生(炎症性、移植による)、血管疾患の後遺症(網膜虚血、脈絡膜血管機能不全、脈絡膜血栓症(choroidal thrombosis)、頸動脈虚血)、脈絡膜血管新生、翼状片、眼神経の新生血管形成、眼球穿通又は眼球打撲による新生血管形成及び近視性網膜症のような滲出性網膜症、様々な原因論から生じる類嚢胞黄斑浮腫、滲出性の黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、中心静脈閉塞、分枝静脈閉塞、及び網膜のレーザー治療に起因する黄斑浮腫等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
各必要用量(即ち、各用量及び投与頻度)は疾病の重症度、投与方法、患者の反応、患者の健康状態及び患者の病歴により変わる。影響のある化合物の有効量が本発明の方法で好適に用いられる。本発明により使用される化合物の用量は、化合物、組成物の製剤、投与方法、及び治療条件により変わる。眼球外及び眼球内製剤(侵襲的な器具で送達される)に対して、治療組成物は、標的となる眼の区画(例えば、網膜疾患の治療に対する後眼房)内で最終濃度が約0.05mg/ml〜約25mg/mlに達するような高濃度で送達される。
【0059】
硝子体内注射によりステロイドを投与する場合に、抗炎症ステロイドを注射用に体積を最小化するために凝集させなければならない。好ましくは、抗炎症ステロイドが眼内送達により投与される場合に、治療製剤の最終濃度は約0.05mg/ml〜約8mg/mlである。より好ましくは、約1mg/ml〜約7mg/ml、約1.5mg/ml〜約6mg/ml、約2mg/ml〜約5mg/ml、又は約3mg/ml〜約4mg/mlである。実例として、抗炎症ステロイドは、約4mg/mlで硝子体内に沈殿する。この適量範囲で治療する病状に投与される。
【0060】
本発明の方法を使用して、薬学的に許容される製剤は、少なくとも眼の炎症状態の部位に治療薬を送達する方法により患者に投与される。好ましくは、組成物は、正確な投与量の単回投与に適切な単位投与形態で投与される。好適な送達方法は、眼内送達であるが、本発明は、眼内送達に限定されない。本発明の実施に適切な投与経路は、また、局所適用、カニューレによる送達、眼窩底への眼窩周囲注射(テノン嚢下を含む)、結膜下注射、縫合有無での眼内への移植(例えば、水晶体嚢への移植)、及び硝子体内注射を含むが、これらに限定されない。1つ以上のステロイド、又は付加的な活性剤が投与されれば、投与は、例えば、硝子体内注射による第1ステロイド、及び局所適用による第2ステロイドの送達等の投与方法の組合せによる。
【0061】
組成物の投与は、好ましくは眼内注射によるが、十分な量のステロイドが治療する組織に接触すれば、他の投与様式が効果的でありうる。眼内注射は、ステロイドを含む浸透組成物を使用する場合に、硝子体内注射、眼房注射、結膜下注射若しくはテノン嚢下注射等の眼の外層への注射、又は軟膏、ゲル、若しくは点眼液として角膜への局所適用により効果をもたらす。好ましくは、眼内注射は硝子体内注射であり、好ましくは、セルフシール21〜30ゲージ針、又は他の適切な目盛りつき送達装置による。眼内注射は、セルフシール針で毛様体扁平部を通して注射される。好ましくは、27ゲージ針がこの目的に使用される。
【0062】
本発明の実施に使用される注射器は、21〜30ゲージ針(例えば、23,24,25,26又は27ゲージ針)を収容可能な適切な注射器であり、好ましくは、小容量であり、例えば、1.5mL、又はより好ましくは0.5mLである。針、及び注射器は、針が注射器から取外しできるタイプが可能であるが、器具は単一の注射針構造が好ましい。これは、注射器から針が離脱する可能性を明らかに制限する。器具は、また、好ましくは、改ざん防止である。従って、本発明のこの組成物は、投与準備が整っている事前に準備した注射器に単回投与量の形態で提供される。
【0063】
適切な様式の注射器は、ユニジェクト(R)(ベクトン・ディッキンソン株式会社)の名で販売されている。この様式の注射器では、プランジャーよりはむしろ針を供給する柔軟なリザーバ側に圧力を印加することで、物質が針を通って眼内に注入される。名前が示唆するように、リザーバ及び針の構成は、単一ユニットを形成する。
【0064】
本発明の治療頻度は、治療する疾病、抗炎症ステロイドの送達可能な濃度、及び送達方法等を含むが、これらに限定されない様々な要因によって決定する。治療頻度に影響する他の要因は、また患者の健康及び病歴も含む。硝子体内注射により抗炎症ステロイドが送達されれば、投薬頻度は、毎月又は3ヶ月毎である。投薬頻度は、3ヶ月毎よりも少ないことが好ましい。前回投与したステロイド物質が目で観て分解した場合に投与して、投薬頻度を目視によって決定してもよい。しかしながら、ステロイド物質は目に見えて分解するが、眼内で溶解した治療レベルで存在しうるため、この計量には注意するべきである。治療結果が達成されると、薬を漸減、又は投与中止可能となる。時々、副作用が治療中止の根拠となる。一般的に、化合物の有効量とは、自覚症状を取り除く、あるいは、臨床医学者若しくは他の有資格のオブザーバーによる客観的に特定可能な改善を提供するものである。
【0065】
硝子体内注射は、当技術分野で周知の様々な方法で達成される。例えば、眼を、ベタジン(R)等の滅菌剤で洗浄して、眼内でステロイド結晶が腹側表面に向かって後極に定着する位置に細いゲージ針(例えば、27ゲージ)を用いてステロイドを適切なキャリアに注射する。注射前に眼に陽圧をかけて、眼を注射に備える必要がある。症例によっては、穿刺術が必要である。局部麻酔、又は全身麻酔が必要である。
【0066】
本発明は、また、様々な大きさの結晶形状で含まれる抗炎症ステロイドの薬学的に許容される組成物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、結晶は、ここで記載される大きさの範囲の混合物で、生体適合性及び生分解性マトリックスで、例えば、局所形式で含まれる。
【0067】
抗炎症ステロイド、又はその薬学的に許容される塩の局所適用は、in−situゲル化可能な水性組成物である。該組成物は、眼、又は眼の外部で涙液と接触することでゲル化を促進する効果的な濃度でゲル化剤を含む。適切なゲル化剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのテトラ置換エチレンジアミンブロック共重合体(例えば、ポロキサミン)等の熱硬化性重合体、ポリカルボフィル、及びジェラン、カラギナン(例えば、κ-カラギナン及びι-カラギナン)、キトサン、及びアルギン酸ゴム等の多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
ここで使用される「in−situゲル化可能な」とは、眼と、又は眼の外部で涙液との接触でゲルを形成する低粘性の液体だけではなく、また、眼に投与すると実質的に増加した粘度、又はゲル剛性を示す半液体及びチキソトロピーゲルなどのより粘性のある液体も含む。実に、本発明の組成物をゲルとして製剤することは、例えば、反射性まばたきでの流涙等による、投与直後に組成物の損失を最低化するために都合が良い。投与することで更に粘度の増加、又はゲル剛性を示す組成物が好まれるが、最初のゲルが涙液の排液による損失に十分な耐性を示して、ここで特定した効果的な滞留時間を提供すれば、絶対に必要なものではない。
【0069】
眼科疾患の治療に対する局所製剤を調製するために、治療効果をもたらす量の抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩が、当技術分野で公知の眼科用賦形剤中に含有される。投与される治療化合物の量、及び局所製剤中の化合物濃度は、希釈剤、選択される送達システム又は器具、患者の病態、副作用及び製剤中の化合物の安定性によって決定される。よって、医師は、本願で問題となる患者、又は同様の患者における臨床経験により、治療化合物の適切な濃度を含む適切な製剤を用い、及び投与する製剤の量を選択する。
【0070】
本発明の方法は、単一、または光ダイナミック療法、レーザー治療、又は1つ以上の生物学的又は薬学的治療等の1つ以上の他の治療との組合せで行われる。
【0071】
網膜のレーザー治療が示唆される場合は、レーザー治療の前又は後で、抗炎症ステロイドが注射により投与される。
【0072】
抗生物質、又は抗血管新生薬等の他の物質が、抗炎症ステロイドとの併用療法で注射される。本発明の方法で用いることが可能な内皮細胞に対するVEGF作用を阻害するために設計された2つの抗血管新生薬は、(a)ルーセンティス(R)(ジェネンテック)、(b)マキュジェン(R)(アイテック・ファーマシューティカルズ)である。ルーセンティス(R)及びマキュジェン(R)は、硝子体内に注射される化合物、及び効力のある抗血管新生製剤である。非常に好適な形体において、本発明の薬学的組成物は、記載される抗炎症ステロイド、及びルーセンティス(R)又はマキュジェン(R)等の抗血管新生製剤を含む。
【0073】
以前は、rhuFab V2、又はAND−Fabとして知られていたルーセンティス(R)(ラニビツマブ(ranibizumab))は、ジェネンテックが開発した治療用ヒト化抗VEGF(血管内皮細胞増殖因子)抗体フラグメントであり、血管新生(新しい血管の形成)に重要な役割をするタンパク質であるVEGFを結合、又は抑制する。ルーセンティス(R)は、新規の血管の成長を阻止し、滲出型加齢性黄班変性(AMD)の疾患の増悪に導くと考えられる血液の漏れを減らすように設計される。本発明により調製された薬学的組成物と併用して投与される場合、ルーセンティス(R)は、用量が約300μg又は約500μgのいずれかで4回投与されるべきである。
【0074】
マキュジェン(R)(ペガプタニブナトリウム、抗VEGFアプタマー、又はEYE001 アイテック・ファーマシューティカルズ)は、特に、VEGF分子を結合し、及び内皮細胞表面のレセプターの活性化を阻止する遺伝物質の合成フラグメントからなる。本発明により調製された薬学的組成物と併用して投与される場合、マキュジェン(R)は、用量が約0.3mg又は約3.0mgのいずれかで4又は6週間毎に投与されるべきである。
【0075】
本発明の他の態様において、抗炎症ステロイドは、ここで説明される眼科疾患治療のために、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン)、エストロゲン(例えば、エストラジオール)、アンドロゲン(例えば、テストステロン)レチノイン酸誘導体(例えば、9シスレチノイン酸、13トランスレチノイン酸、オールトランスレチノイン酸)、ビタミンD誘導体(例えば、カルシポトリオール、カルシポトリエン)、非ステロイド抗炎症薬、ビタミンD誘導体、抗感染症薬、タンパク質キナーゼC阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬、抗アポトーシス薬、成長因子、栄養ビタミン、不飽和脂肪酸、及び/又は眼用抗感染薬と併用して調製される。更に、本発明の他の実施形態において、これらの薬剤の混合物が使用される。
【0076】
ここで記載する眼用抗感染薬は、ペニシリン(アンピシリン、アゾシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ピペラシリン、及びチカルシリン)、セファロスポリン(セファマンドール、セファゾリン、セフォタキシム、セフスロジン、セフタジジム、セフトリアキソン、セファロチン、及びモキサラクタム)、アミノグリコシド(アミカシン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン及びネオマイシン)、アズトレオナム、バシトラシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、コトリモキサゾール、フシジン酸、イミペネム、メトロニダゾール、テイコプラニン及びバンコマイシン等の各種薬剤、抗真菌性薬(アンホテリシンB、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、オキシコナゾール、及びテルコナゾール)、抗ウイルス性薬(アシクロビル、エチルデオキシウリジン(ethyldeoxyuridine)、ホスカネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、及び(S)‐1‐(3‐ヒドロキシ‐2‐フォスフォニルエトキシプロピル)シトシン((S)‐1‐(3‐dydroxy‐2‐phospho‐nyluethoxypropyl)cytosine)(HPMPC)、抗腫瘍薬(アルキル化剤、(クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、及びブスルファン)、アントラサイクリン系抗生物質(ドキソルビシン、ダウノマイシン、及びダクチノマイシン)、シスプラチン、及びニトロソウレア等の細胞周期(分裂)非特異性剤))、ピリミジン拮抗薬(シタラビン、フルオロウラシル及びアザシチジン)等の代謝拮抗薬、葉酸拮抗薬(メトトレキサート)、プリン拮抗薬(メルカプトプリン及びチオグアニン)、ブレオマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、ポドフィロトキシン類(エトポシド(VP−16))、及びニトロソウレア類(カルムスチン(BCNU))、シクロスポリンA及びSK506等の免疫抑制薬、及び抗炎症薬又は抑制因子(阻害因子)、プラスミノゲン活性化因子の阻害因子等のタンパク質分解酵素の阻害因子等が挙げられるがこれらに限定されない。硝子体内投与及び硝子体半減期に加えて上記薬剤の局所及び結膜下投与の用量が“Intravitreal Surgery Principles and Practice”,Peyman G A and Shulman, J Eds., 2nd edition, 1994,(Appleton−Longe)に開示され、この関連部分を本願に明示的に援用する。
【実施例】
【0077】
本発明の更なる特徴は、以下の限定的でない実施例により詳細に記載される。しかし、当然のことながら、この詳細な説明は本発明を例示する目的のためだけに挙げられる。上記に示した本発明の大まかな説明を限定すると決して理解すべきではない。
【0078】
実施例1
組成物1の調製
ケナコルト(R)A40の形状のTA試料を天津天藥藥業股フェン有限公司(Tianjin Tianyao Pharmaceuticals 中国天津)のTA試料と均等な割合で混合した(「中国試料」)。これにより粒径が1μm〜100μmのTAを含む組成物を得る。
【0079】
組成物2の調製
ケナコルト(R)A40の形状のTA試料を分画して約1μm〜20μmの大きさの結晶を抽出する。更に、中国試料のTAを分画して約80μm〜120μmの大きさの結晶を抽出する。そして、分画した物質を、4対1(w/v)の割合で混合する。これにより粒径が1μm〜120μmのTAを含む組成物を得る。
【0080】
組成物3の調製
ケナコルト(R)A40の形状のTA試料を分画して約5μm〜20μmの大きさの結晶を抽出する。更に、中国試料のTAを分画する約105μm〜120μmの大きさの結晶を抽出する。そして、分画した物質を、1対1(w/v)の割合で混合する。これにより粒径が1μm〜120μmのTAを含む組成物を得る。
【0081】
組成物4の調製
ケナコルト(R)A40の形状のTA試料を分画して約5μm〜15μmの大きさの結晶を抽出する。更に、中国試料のTAを分画して約110μm〜120μmの大きさの結晶を抽出する。そして、分画した物質を、1対4(w/v)の割合で混合する。これにより粒径が1μm〜120μmのTAを含む組成物を得る。
【0082】
実施例2
粒径分析
新しい及び古いケナコルト(R)A40試料に対してレーザー散乱法(マルバーン)を使用して粒径分析を行ったところ、TA粒子は平均の大きさが13μmであった。両方とも分布が非常に狭かった。
SICOR S.p.A(イタリア、ミラノ)(「イタリア試料」)の物質分析を図4に示す。
【0083】
微粉化された中国のTA試料を分析すると、ケナコルト(R)A40物質と同様に平均粒径は11.48μm(図5)であった。しかしながら、粒径分布は、ケナコルト(R)A40試料よりも広かった。
これらの結果の1つの重要な発見は、TA結晶は古い試料では成長せず、ケナコルト(R)A40生成物中の粒子分布は、かなり狭い範囲内に良く調整されていることである。中国試料のより広い粒径分布によって、ケナコルト(R)A40製品よりも一定な放出率が長い期間にわたって提供されることが期待される。
【0084】
実施例3
トリアムシノロンアセトニドの溶解試験−比較試験
方法
試料10mgを1%のTween80を含む平衡塩類溶液10mLに溶解して試料を調製した。そして、溶液中の試料を激しく振とうさせ、22ゲージ針を通して何度も高速放出させた。そして、この懸濁2mLを実質的に全粒子を保持する22μmのデュラポア(R)メンブレンフィルターでろ過した。そして、フィルターを水2mLでリンスした。
この試料の調製方法は、大きな結晶として溶解してそのため結果に偏りを生じると考えられる大きな結晶の凝塊からなる粒子の問題を回避する。
【0085】
溶解は、約11mL/分で溶解チャンバを通して20%メタノール水のガス抜きした溶剤溶液をくみ上げる流入システムを使用して行った。この流速は、溶剤/吸光剤/キャリア許容量の大きな余剰が実験を通して維持されるシンク条件に維持した。流速と溶剤溶液との組合せにより、流入セルが実質的に全実行時間30分間で許容域に吸光値を記録可能であり且つ実験が適当な期間内に完了可能な割合で、TA結晶が溶解する。
【0086】
溶剤溶液へのTAの溶解度は、水単独へのTAの溶解度の約2〜3倍である。しかしながら、溶剤溶液の湿潤特性は、水単独の湿潤特性よりも優れている。
【0087】
試料約2mgを上記に概要を説明したようにフィルター上で調製した。そして、フィルターを、溶解チャンバとして使用した変更したステンレス鋼swinnex(R)アダプターに置いた。溶解チャンバからの流出液は、波長238nmで分光光度計日立1001の低容量流入セルに通した。吸光度は振れ100%を生じる2吸光度単位でチャート式記録計に記録した。
【0088】
溶解試験は、流速11mL/分で30分間行なった。2分間の平均吸光値を算出した。実験はデュプリケートで行い、各試料に対する2つの吸光値を平均した。
【0089】
結果
中国試料
【表1】

表1の結果を検討すると、吸光値の合計は2.222(平均0.148)であり、従って、チャンバを通った溶解液の量を考慮すると、この期間中に溶解したTAの量(350のE1%を使用する)は1.40mgであると計算できる。
【0090】
これは、溶解チャンバに入れた試料の量に基づいて、予想していたほぼ2mg未満である。
しかしながら、試料溶液は、溶解チャンバに加える数時間前に調製したため、実験の開始前にかなりの量の物質が溶解した可能性がある。これは、最初の溶解速度を遅らせるが、その後の溶解速度に影響しない。
【0091】
・ケナコルト(R)A40試料
【表2】

表2の結果を検討すると、吸光値の合計は2.862(平均0.191)であり、従って、チャンバを通った溶解液の量を考慮すると、この期間中に溶解したTAの量(350のE1%を使用する)は1.80mgであると計算できる。
これは、溶解チャンバに入れた試料の量に基づいて、予想していたほぼ2mg未満である。
しかしながら、試料溶液は40mg/mlの懸濁液から調製した。おそらく40mgよりも多い量が(過量のため)アンプルから移動したであろうが、しかし、溶液中で更に時間がたてば粒子は溶解するであろうことは間違いない。この試料は、調製後に適度に迅速に使用した。
【0092】
・イタリア試料
【表3】

表3の結果を検討すると、吸光値の合計は3.049(平均0.203)であり、従って、チャンバを通った溶解液の量を考慮すると、この期間中に溶解したTAの量(350のE1%を使用する)は1.92mgであると計算できる。
結論
ケナコルト(R)A40及び中国試料の両方は10分間で、同程度(それぞれ、89.7%及び89.0%)溶解した一方で、イタリア試料は99.3%溶解した。イタリア試料は14分間で完全に溶解したが、ケナコルト(R)A40及び中国試料は、20分間後に98%及び97.3%だけ溶解した。
ケナコルト(R)A40及び中国試料の溶解特性に大差がないことが分かる。
【0093】
実施例4
様々な媒体中のトリアムシノロンアセトニドの平衡溶解度
HPLCアッセイ法をTA用に開発した。これは、様々な媒体中でのTAの平衡溶解度の決定に使用した。アセトニトリル溶液が、溶剤/吸光剤/キャリア許容量の大きな余剰が維持されるシンク条件の維持に有利であると考えられる。ケナコルト(R)A40上清中のTA濃度もまた調査した。結果を表4に示す。
【表4】

特筆すべきことに、ケナコルト(R)A40の上清中のTA濃度が、水又は生理食塩水中よりもかなりかなり高い。TAの平衡濃度は、アセトニトリルの濃度の増加と共に増加する。これによって、上清だけの場合に観察された最初の臨床効果が説明される。このTAの高濃度は、ベンジルアルコール、又はケナコルト(R)A40の製剤に用いられる界面活性剤中でのミセル可溶化によるものである。
【0094】
実施例5
溶解試験
最初の溶解試験は、水に様々な濃度で溶かしたアセトニトリルを溶媒として使用し、中国試料に対して行った。結果は表5に示す。
【表5】

アセトニトリル濃度の増加に伴って、試料中のTAの溶解速度が増加しているのが明らかである。
【0095】
実施例6
トリアムシノロンアセトニド試料の分画−密度遠心分離
TAの乾燥粉末試料を、4℃の蒸留水中で密度遠心分離により分画した。
【0096】
実施例7
トリアムシノロンアセトニド試料の分画−ろ過
蒸留水中で懸濁したTA試料を、最大孔径10μm〜50μmのミリポアフィルターを通して分画した。
【0097】
実施例8
様々なソースのトリアムシノロンアセトニド結晶構造
Farmabios S.p.A(イタリア Gropello Cairoli)(以下「Farmabios」とする)及びNewChem S.p.A(イタリア ミラノ)(以下「NewChem」とする)のTA結晶を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。図8及び図9からわかるように、Farmabiosの結晶は、「ずんぐり」しており、一方、NewChemの結晶は、より高いアスペクト比を有する「針状」であった。更に、図10及び図11では結晶の多孔率の相違が観察される。
【0098】
実施例9
様々なソースからのトリアムシノロンアセトニド結晶の粒径分布
方法
微粉化Farmabios、並びに非微粉化Farmabios及びNewChem TA試料の粒径分布をレーザー光散乱法により分析した。粒径分布は、室温で磁気攪拌したセルMS7を使用したMastersizer S(マルバーン)で測定し、3NDDを示した。MilliQ水のバックグラウンド測定を得た。試料は、懸濁溶液(エッペンドルフ型チューブ内でMilliQ水にTween20を0.25%及びカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液[NaCMC]を0.25%)250μL中に高濃度懸濁5mgとして調製して、最大攪拌スピードの半分で攪拌しながら、最大20mLのMilliQ水を含む磁気攪拌したセルに懸濁液の全体量を加えた。この速度は、大粒子のTAの分散に対して事前に最適化した。必要に応じて、懸濁液を更に水で希釈して、15%〜20%のあいまいな数値とした。測定は2500走査を実施した。
結果
図12及び図13は、3つのTA試料に対して得られた粒径分布を示す。3つのTA試料に対して得られたD(v,0.9)値を下記表6に一覧にする。D(v,0.9)は、最大に理解されると90%平均値となり、即ち、粒子の10%だけがこの値よりも大きいと推定される。
【表6】

2つの非微粉化試料に対するD(v,0.9)値は同様であった。微粉化物質は、予想よりもより大きく、これは、凝集体が形成されたことを示す。(試料は超音波破砕しなかった)。
【0099】
実施例10
異なるソースからのトリアムシノロンアセトニド試料の溶解
方法
・溶解試験
TAの懸濁液20mg/mLを、懸濁溶液(MilliQ水中にTween200.25%及びカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液[NaCMC]0.25%)で調製した。離型剤400mL(生理食塩水、MilliQ水にNaCl0.9%)をErweka製1L溶出器内に投入し、そして、これを37℃に温度調節した米国薬局方(USP)2適合溶出装置(Erweka)内に置いた。離型剤を100rpm、37℃で攪拌して平衡化した時点で、TA懸濁液をボルテックスして混合し、時間=0の時に懸濁液100μL(2mg)をピペットで離型剤に直ちに加えた。
その後、試験下のシステムで決定された間隔で、離型剤1mLを使い捨て注射器1mLに吸引した。そして、注射器フィルター(スーポア アクロディスク(R) 0.2μm、Pall Gelman)を取り付け、試料0.8mLを注射器からフィルターを通して放出して、再び離型剤に戻した。
最後の200μL迄をエッペンドルフチューブに回収して、100μLを、アセトニトリル100μLを含む第2エッペンドルフチューブに正確にピペットで加えて、ボルテックスして混合した。そして、この混合物を注射用に、挿入されたHPLCガラスバイアルに移した。
このプロセスは、毎回新しい注射器、及び注射器フィルターを使用して繰り返された。
【0100】
・フィルター確認
飽和度の1%及び10%溶液を、TA(15μg/mL)で飽和した生理食塩水原液から調製した。溶液を注射器フィルターでろ過して、ろ液を200μLずつ回収した。HPLCにより、ろ液中のTA濃度が、TA溶液600μLがフィルターを通った後で、それぞれ94%及び95%に達したことが示された。その結果として、ろ過前の量800μL(上記溶解方法参照)は、ろ液濃度が溶解容器内で溶解した代表的なTA濃度であることを確定的にするのに十分であると仮定した。
【0101】
・HPLC法
アセトニトリル40%及びMilliQ水60%からなる移動相を調製し、ろ過前にトリフルオロ酢酸0.1%を加えた。168 PDA検出器を備えたBeckman system Gold(R)及びWaters 717 Autosamplerを使用し、移動相をBeckman Ultrasphere(R)カラムC8カラム(4.6mm×25cm,5μm)に、1.2mL/分でポンプで通した。100μL注入後、TA保持時間は約7分であった。
標準液を、アセトニトリル中で1mg/mL濃度のTA原液から1000ng/mL,500ng/mL,250ng/mL,100ng/mL,75ng/mL及び50ng/mLの濃度で移動相中に調製した。50ng/mL標準液は、正に許容可能な精度限界内(%CV=20%,n=4 注入)であり、他の濃度は全て%CV<10%、直線性>0.999であった。水系試料は、移動相との混和性を確実にする注入前に、アセトニトリルに50%(v/v)で希釈した。
結果
NewChemの非微粉化TAが、Farmabiosの非微粉化TAと同じ振る舞いをすることが分かった。Farmabios又はNewChemのいずれかのTA間の結晶形状及び多孔率の相違にも係わらず、図14の予備データ及び図15及び図16の更なるデータは、これらの試験で使用した条件下のいずれかのソースの非微粉化TA間の溶解速度に識別可能な相違がないことを示す。
注記:図16のNewChem試料の試料採取点間の隙間は、溶解が週末に放置されたためであり(非採取)、一方で、Farmabios試料は平日中に採取して、この場合、中間の試料は採取した。
図16において、60%辺りで溶解が平坦な理由は、微粉化懸濁に比べて、懸濁溶液中にTA非微粉化試料原液を調製したエッペンドルフチューブからのTA非微粉化試料原液の全てを移すのはより難しいことに起因しうる。より多くの非微粉化物質が、溶解容器にTA懸濁を移すために使用したピペットチップに残るかもしれない。
【0102】
実施例11
微粉化及び非微粉化トリアムシノロンアセトニドの溶解
方法
溶解試験は、微粉化及び非微粉化FarmabiosTA試料と、微粉化TA:非微粉化TAの割合が80w/w:20w/w、50w/w:50w/w、及び20w/w:80w/wの混合物とについて行った。溶解の基本的な測定方法は、上記実施例10に記載の方法と同様な方法を使用した。2つの個別の試料及び3つの混合物を、エッペンドルフチューブに重量(2.0mg)で調製し、懸濁媒体(Tween20 0.25%及びカルボキシメチルセルロースナトリウム0.25%)1mLを、37℃で生理食塩水(MilliQ水にNaCl0.9%)400mLを含む溶出槽(Erweka)に含有物を加える直前に、粉体を湿らすために加えた。懸濁媒体は、USP2適合パドルを用いて100rpmで攪拌した。試料を設定した時間間隔で溶解槽から注射器で吸引・ろ過し、ろ液の最後の100μlを、HPLCに注入前にアセトニトリル100μlで希釈して、懸濁媒体中のTA濃度を測定した。
結果
溶解は、Farmabiosの微粉化及び非微粉化TAを6時間(図17)及び20時間(図18)プロファイルし、図19では微粉化及び非微粉化TAの混合物が、非微粉化TA量が増加するにつれて溶解速度がより遅くなる安定した経過を示す。図20では、100%微粉化TAが同じ動向で追随する。
【0103】
実施例12
粘性媒体の溶解試験
方法
溶解試験は、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム媒体粘度グレード3%を生理食塩水に加えて調製した粘性ゲル中で行った。この溶解試験では、in vivoの状況とより酷似するがシンク条件を今だ維持するシステムの溶解データが得られた。溶解の基本的な測定方法は、上記実施例10で述べた通りである。しかし、試料(0.5mL)は、TA量を測定する前に、ゲルから取り除いた後で3分間遠心分離した。遠心分離工程は、ゲルが簡単にろ過できないために必要であった。
結果
結果にいくつかばらつきがあるが、図21及び図22に示すデータは、上記実施例11に示すように、生理食塩水に溶解した微粉化TA、非微粉化TA及び混合物で観察されたものと基本的に同じ動向を示す。
【0104】
実施例13
模擬眼球拡散装置
臨床症状に近い粘性媒体中のTAの溶解度を説明するために、模擬眼球の基準としてin vitro溶解セルを使用した。
方法
セル(図23)は、容積がそれぞれ約9mLで、透析膜(3)(Spectropor 3、分画分子量3500)で分割される2つの区画(ドナーチャンバ(1)及びレセプターチャンバ(2))からなる。ゲル(4)(生理食塩水に1%ヒアルロン酸(HA);模擬硝子体液)をドナーチャンバ(1)に置き、生理食塩水離型剤(5)を透析膜(3)の反対側のレセプターチャンバ(2)に置いた。透析膜(3)は、TAは通すが、HAは通さないので、ゲル(4)が損なわれないことを確実にする。そして、TA(6)を含む組成物をドナーチャンバ(1)内のゲル(4)に注入して、試料採取口(7)からレセプターチャンバ(2)の全内容物を取り除くことで、レセプターチャンバ(2)内の生理食塩水離型剤(5)中の遊離薬物の出現をHPLCによりモニターした。レセプターチャンバ(2)内の生理食塩水離型剤(5)は、試料の採取毎に交換した。全実験中、装置全体を振とうしながら(100rpm)37℃の水槽に浸した。
FarmabiosTA4mgを微粉化又は非微粉化形状で40mg/mL懸濁液としてゲルに注入した。レセプターチャンバから回収した試料を最大10mlまで生理食塩水で希釈し、試料をHPLCにかけてTA量を測定した。
結果
図24及び図25に示すように、微粉化物質が非微粉化TAよりもより速くレセプター溶液に出現し、2週間にわたる微粉化又は非微粉化製剤の放出プロファイルの累積は異なる。
【0105】
実施例14
トリアムシノロンアセトニド試料の分画−沈殿
方法
TA濃縮懸濁液(1mL,100mg/mL)を、底にクランプで取り付けたMilliQ水400mLを含むガラスチューブ(高さ1000mm×内径25mm)の先端部にピペットで加えた。粒子を、70秒間(より大きい粒子の殆どを、小さい粒子とは異なる「区画」に明白に分割するために十分な時間)重力下で沈殿させ、クランプを開放して分散体150mLを回収して、大「区画」を単離した。そして、分散体を、ワットマン#1フィルター紙でろ過して、60℃で4時間乾燥した。
結果
より大きい粒子はより小さい粒子よりも早く沈殿するため、大きさの分類が可能となる。ある時点でカラムの底から物質を取り除くことで、異なる粒径分布の分画が得られた。
NewChem TA物質を異なる大きさの分画に分割することができた。様々な分画の粒径を下記表7及び図26に示す。明らかな分離が達成され、明確なD(v,0.9)値を下記表に示す。試料は非常に違って見え、分粒の結果を反映した。
【表7】

【0106】
実施例15
均質化による粒径減少
方法
沈殿により小さい分画を得たTAよりもTAの粒径を非常に小さく減少させるために、TAの懸濁液(懸濁溶液中に20mg/mL)を4mLチューブに加え、精製を始める前に、懸濁液にローターステーター方式Polytron(R)ホモジナイザーの軸を浸した。
結果
ホモジナイザーは、ローターとステーターとの間に詰まった大きな粒子を断片に実質的に破砕した。200μm未満の結晶が好ましかった。しかしながら、好ましくない溶解特性が得られるため、微粒子の過剰な生成は避けるのが望ましかった。下記表8は、ホモジナイザー速度及び曝露時間による粒子特性の変化を示す。
【表8】

*最大値は、最大粒子数、すなわち、%対粒径プロットにおける最大値である。
粒子の精製は、精製時間1分、最大速度6で、D(v,0.9)を約200μmまで小さくすることに成功した。
【0107】
実施例16
注射能力
方法
注射能力を補助するために、非微粉化TA160mg、微粉化TA40mg及び生理食塩水(MilliQ水に0.9%NaCl)5mLを攪拌して混合することでTA溶液を調製した。懸濁したTAを超音波破砕器Branson 220(250℃,50Hz〜60Hz,125W)で30秒間、短時間超音波破砕して、攪拌器に戻した。
ヒアルロン酸(HA)50mgを計量し、このヒアルロン酸の約1/3を懸濁液に加えた。30秒間攪拌後、懸濁液を30秒間超音波破砕した後攪拌器に戻した。ヒアルロン酸を添加、攪拌、及び超音波破壊する工程は、ヒアルロン酸が全て添加されるまで繰り返した。ヒアルロン酸が全て溶解するまで、更に30分間懸濁液を混合した。懸濁液は23ゲージ針で送達可能である。
結晶を実質的に破壊せずに弱い結晶複合体を粉砕するために、短時間の超音波破砕(例えば30秒)とした。
【0108】
実施例17
In Vivo試験
微粉化TA/非微粉化TAの20/80混合物400μgをウサギの眼に注射する。TAは一方の眼のみに注射し、他方の眼は対照となるため、各個体がその対照となる。
試料は、一定の間隔で前眼房から取り出す。前眼房内のTAの濃度は、硝子体内のTAの濃度と相関する。硝子体から前眼房へのTAの通過メカニズムは簡単な拡散の1つであり、また認可された評価方法である(Beer他、Intraocular concentrations and pharmacokinetics of TA after a single intravitreal injection, Ophthalmology 2003;110:681−686)。硝子体内の試料は一定の間隔で取り出す。全ての試料TA含有量をHPLCにより算定する。試験期間の終了後動物を屠殺し、眼球組織試料を採取する。
投与量は、治療容量よりも低いが、このより低い容量で効能が示される。
【0109】
実施例18
In Vivo−微粉化TA対非微粉化TA
方法
体重2kg〜3kgの25羽のニュージーランド白ウサギをこの実験に使用した。動物は、眼科と視覚に関する研究会議(Association for Research in Vision and Ophthalmology)の研究に使用された動物の管理及び処理に対する決議に基づいて扱った。
全ての調査及び手順の前に、動物を塩酸ケタミン(50mg/kg)及び塩酸キシラジン(5mg/kg)の混合物約1mlで麻酔した。局所麻酔は、プロパラカイン0.5%の局所投与により達成された。
細隙灯検査及び非直像眼底鏡による検査は、全ての眼に対する薬の投与前後、1,2,3,6,9,13,16,20,及び21日目に行われた。
ウサギは5つのグループに分けた。グループ1(n=5)にはTA400μg/0.1ml(1日2回)を局所投与、グループ2(n=5)にはTA400μg/0.1mlを硝子体内注射、グループ3(n=5)にはTA400μg/0.1mlを結膜下注射、グループ4(n=5)には微粉化TA400μg/0.1mlを硝子体内注射、グループ5(n=5)には微粉化TA400μg/0.1mlを結膜下投与した。
全ての処置が無菌状態で、視覚化のために顕微鏡を操作しながら行われた。
【0110】
・局所適用
グループ1の眼には、試験期間中1日2回TA400μgの滴を局所適用した。薬は、50μL一滴を眼に投与した。
・硝子体内注射
グループ2及び4の眼には、硝子体内注射を行った。注射の直後に、眼内圧を下げるため及び薬の逆流を最小化するために前眼房に栓をした。硝子体内注射は、23ゲージ針を着けたツベルクリン注射器を角膜輪部の後部約2mmに挿入(べべルを上に)して行った。
・結膜下注射
グループ3及び5の眼へは、23ゲージ針を着けたツベルクリン注射器を結膜の後側頭部に挿入して結膜下注射を行った。薬の逆流を最小化するために注射の直後に綿棒をその領域に押した。
・前房穿刺
前房穿刺(0.1ml)は、全てのグループに対して、局所投与、結膜下注射又は硝子体内注射後1,2,3,6,9,13,16,20日目に行った。27ゲージ0.5インチ針を着けたツベルクリン注射器を、べベルを前に向けてべベル全体が角膜を貫通するまで、虹彩の上に平行な面で透明な補助角膜辺縁部(paralimbal clear cornea)に挿入した。液体試料0.2mlを取り出した。房水の試料は、直ぐに−70℃で冷凍した。
・安楽死及び摘出
動物は、21日目に、最初にペントバルビタールナトリウム100mg/kgを静脈注射して屠殺した。両眼を摘出し、−70℃の凍結器に入れた。
・眼の解体
全ての凍結した眼を、5つの部分(角膜、房水、網膜、強膜、及び虹彩毛様体)に切り裂いた。グループ3及び5(結膜下注射)の強膜は、鼻側部分及び側頭部分の2つの部分に切り裂いた。組織を光学顕微鏡用に調製した。
【0111】
実施例19
In Vivo−浮腫モデル
血管浮腫をニュージーランド白/Dutch−beltedウサギに誘発する。各ウサギの左目に生理的pHで等張性の微粉化TA/非微粉化TAの20/80混合物400μgを注射して被験眼とする。各動物の右目は対照とし、ケナログ(R)A40を注射する。
浮腫に対するTAの効果は、注射した眼を観察し(インドシアニン/蛍光眼底血管造影)、更に光コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)で調査する。
眼内圧は、第1週目は1日2回モニターし、そして、3ヶ月間毎日モニターする。この後眼内圧上昇が依然として観察されれば、必要に応じて眼内圧は6ヶ月以上モニターする。
毒性試験を、網膜電図を使用して試験中に非侵襲的に行う。注射から2週間後、2羽のウサギを屠殺して組織病理検査し、試験中に2週間毎に2羽のウサギを屠殺する。
【0112】
実施例20
In Vivo−新血管形成モデル
新血管形成をニュージーランド白/Dutch−beltedウサギにレーザー焼灼で誘発する。各ウサギの左目に生理的pHで等張性の微粉化TA/非微粉化TAの20/80混合物400μgを注射して被験眼とする。各動物の右目は対照とし、ケナログ(R)A40を注射する。
新血管形成が、細隙灯生体顕微鏡検査法及び眼底撮影により観察される。
眼内圧は、第1週目は1日2回モニターし、そして、6ヶ月間毎日モニターする。
毒性試験を、網膜電図を使用して試験中に非侵襲的に行う。注射から2週間後、2羽のウサギを屠殺して組織病理検査し、試験中に2週間毎に2羽のウサギを屠殺する。
【0113】
本発明は、特定の好適な実施形態を参照して記載されるが、当然のことながら本発明の広義の原理の範囲内で多くの変形及び変更がなされる。従って、添付の請求項に定義されるように、好適な実施形態及びその変形及び変更の全ては、本発明の範囲及び精神内に含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
本発明は、添付の図面と共に詳細な説明を読むことで理解が容易になる。
【図1】図1は、トリアムシノロンアセトニド粒子の結晶の大きさを示す電子顕微鏡写真であり、図面の側辺に沿う11個の点の列は4.30μmを示す。
【図2】図2は、トリアムシノロンアセトニドの粒子の特定の範囲の電子顕微鏡写真であり、図面の側辺に沿う11個の点の列は1.19μmを示す。
【図3A】図3Aは、ケナコルト(R)A40トリアムシノロンアセトニドの第1バッチの粒径分析を示すヒストグラムである。
【図3B】図3Bは、ケナコルト(R)A40トリアムシノロンアセトニドの第2バッチの粒径分析を示すヒストグラムである。
【図4】図4は、イタリア試料のトリアムシノロンアセトニドのバッチの粒径分析を示すヒストグラムである。
【図5】図5は、中国試料のトリアムシノロンアセトニドのバッチの粒径分析を示すヒストグラムである。
【図6】図6は、トリアムシノロンアセトニドの粒子の結晶の大きさを示す電子顕微鏡写真であり、図面の底辺の11個の点の列は120μmを示す。
【図7】図7は、トリアムシノロンアセトニドの粒子の結晶の大きさを示すもう1つの電子顕微鏡写真であり、図面の底辺の11個の点の列は120μmを示す。
【図8】図8は、ずんぐりした形の結晶を示すFarmabiosの非微粉化トリアムシノロンアセトニドの電子顕微鏡写真である(倍率160倍、長さ100μm〜400μm)。
【図9】図9は、針のような形状の結晶を示すNewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニドの電子顕微鏡写真である(倍率160倍、長さ200μm〜500μm)。
【図10】図10は、結晶が多孔質であるFarmabiosの非微粉化トリアムシノロンアセトニドの電子顕微鏡写真である(倍率1020倍、直径80μm)。
【図11】図11は、結晶が非多孔質であるNewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニドの電子顕微鏡写真である(倍率2600倍、直径80μm)。
【図12】図12は、レーザー光散乱法により決まるFarmabios及びNewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニドの粒径のプロファイルを示すグラフである(粒径20μm〜90μm、平均誤差棒(n=3)±s.d.)。
【図13】図13は、レーザー光散乱法により決まるFarmabiosの微粉化トリアムシノロンアセトニドの粒径のプロファイルを示すグラフである(粒径5μm〜50μm、挿入図は同じデータを明確にするためのログスケールで示す。)。
【図14】図14は、Farmabios及びNewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニド試料を、t=0、37℃、USP2適合装置内で生理食塩水400mLに懸濁液2mg/mLを加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである(データは、平均値±s.d.,n=3)。
【図15】図15は、Farmabios及びNewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニドを8時間放置した溶解速度の比較を示すグラフである。
【図16】図16は、Farmabios及びNewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニドを80時間放置した溶解速度の比較を示すグラフである。
【図17】図17は、Farmabiosの微粉化及び非微粉化トリアムシノロンアセトニド試料を、t=0、6時間、37℃、USP2適合装置で生理食塩水400mLに懸濁液2mg/mL加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである。
【図18】図18は、Farmabiosの微粉化及び非微粉化トリアムシノロンアセトニドを、t=0、20時間、37℃、USP2適合装置で生理食塩水に懸濁液2mg/mL加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである。
【図19】図19は、Farmabiosの微粉化トリアムシノロンアセトニド試料、非微粉化トリアムシノロンアセトニド試料、及びその混合物を、t=0、37℃、USP2適合装置で生理食塩水400mLに懸濁液2mg/mL加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである(データは、平均値±s.d.,n=3)。
【図20】図20は、Farmabiosの100%非微粉化トリアムシノロンアセトニドを、t=0、37℃、USP2適合装置で生理食塩水400mLに懸濁液2mg/mL加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである(データは、平均値±s.d.,n=3)。
【図21】図21は、3%CMCゲルにFarmabiosの非微粉化トリアムシノロンアセトニドを、t=0、37℃、180分間、USP2適合装置で3%CMC含有生理食塩水400mLに懸濁液2mg/mL加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである(データは、平均値±s.d.,n=3)。
【図22】図22は、3%CMCゲルにFarmabios、NewChemの非微粉化トリアムシノロンアセトニド、及び非微粉化:微粉化=80:20混合物を、t=0、37℃、USP2適合装置で3%CMC含有生理食塩水400mLに懸濁液2mg/mL加えたもの1mLを用いて溶解度を示すグラフである(データは、平均値±s.d.,n=3)。
【図23】図23は、模擬眼球拡散装置の図である。
【図24】図24は、1%ヒアルロン酸(HA)ゲルに微粉化及び非微粉化トリアムシノロンアセトニドを37℃、14日間用いる模擬眼球拡散装置実験を示すグラフである(データは、平均値±範囲、n=2)。
【図25】図25は、1%ヒアルロン酸(HA)ゲルに微粉化及び非微粉化トリアムシノロンアセトニド及びその混合物を37℃、14日間用いる模擬眼球拡散装置実験を示すグラフである(データは、平均値±範囲、n=2)。
【図26】図26は、1mカラムに加えた化NewChem非微粉トリアムシノロンアセトニド100mgの沈殿分離から得る3つの分画の粒径を示すグラフである。
【符号の説明】
【0115】
1 ドナーチャンバ
2 レセプターチャンバ
3 透析膜
4 ゲル
5 生理食塩水離型剤
6 トリアムシノロンアセトニド(TA)
7 試料採取口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される組成物であって、
抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩を含み、
前記ステロイド又はその薬学的に許容される塩は結晶又は結晶複合体の形状であり、前記薬学的に許容される組成物は直径が約20μm未満である結晶及び結晶複合体よりも、直径が約20μmよりも大きい結晶及び結晶複合体をより多い割合で含むことを特徴とする薬学的に許容される組成物。
【請求項2】
前記組成物が、直径が約50μm〜約600μmの結晶を含む請求項1に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項3】
前記結晶の割合が、直径が約50μm〜600μmの結晶複合体の割合よりも多い請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
薬学的に許容される組成物であって、
抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩
を含み、前記ステロイド又はその薬学的に許容される塩は、結晶又は結晶複合体として形成され、及び前記結晶は、更に直径が約0.5μm〜約40μmの第1結晶群及び大きさが約50μm〜約600μmの第2結晶群からなることを特徴とする薬学的に許容される組成物。
【請求項5】
前記第1結晶群が、前記結晶複合体よりも凝集する請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1結晶群が、直径が約1μm〜約40μm、約5μm〜約35μm、約10μm〜約30μm、約15μm〜約25μm、又は約20μm〜約22μmである請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2結晶群が、直径が約70μm〜約400μm、約80μm〜約300μm、約90μm〜約250μm、又は約100μm〜約200μmである請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗炎症ステロイドが、下記式で表される11−置換−16α,17α−置換メチレンジオキシステロイドである請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【化1】

式中
【化2】

は、
【化3】

又は、
【化4】

であり、
及びRは、水素、又はアルキルであり、
【化5】

は、
【化6】

であり、
は、メチル、ヒドロキシメチル、又はメチルアミノアルキレンカルボニルオキシメチル、アルキルカルボニルオキシメチル、又はフェニルアミノアルキレンカルボニルオキシメチルであり、Rは、アルカノイルであり、Xはハロゲンである。
【請求項9】
前記化合物が、下記式で表される化合物である請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【化7】

は、ヒドロキシメチル、フェニルカルボニルアミノイソプロピルカルボニルオキシメチル又は、2,2−ジメチルプロピルカルボニルオキシメチルである。
【請求項10】
前記化合物が、下記の結晶構造の9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−16,17−[1−メチルエチリジンビス(オキシ)]プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンである請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【化8】

【請求項11】
前記化合物が、薬学的に許容される塩である請求項8から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
前記第1結晶群の、前記第2結晶群に対する体積あたりの重量の比が、約1:1,1:2,2:1,1:3,3:1,2:3,3:2,1:4,4:1,3:4,4:3,1:5,5:1,2:5,5:2,3:5,5:3,4:5,5:4,1:6,6:1,5:6,又は6:5である請求項4から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約20%(w/v)、及び約50μm〜約600μm結晶を80%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約25%(w/v)、及び約50μm〜約600μm結晶を約75%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約50%(w/v)、及び約50μm〜約600μm結晶を約50%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約75%(w/v)、及び約50μm〜約600μm結晶を約25%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約20%(w/v)、及び約100μm〜約200μm結晶を約80%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約25%(w/v)、及び約100μm〜約200μm結晶を約75%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約50%(w/v)、及び約100μm〜約200μm結晶を約50%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、約0.5μm〜約40μm結晶を約75%(w/v)、及び約100μm〜約200μm結晶を約25%(w/v)含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
組成物がトリアムシノロンアセトニドの結晶及び結晶複合体を含み、前記組成物において結晶複合体の濃度と比較して結晶の濃度を増加する工程を含むことを特徴とする患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロンアセトニド組成物の調製方法。
【請求項22】
組成物がトリアムシノロンアセトニドの結晶及び結晶複合体を含み、前記組成物において結晶複合体の割合と比較して結晶の割合を増加する工程を含み、前記結晶及び結晶複合体は、直径が約50μm〜約600μmであることを特徴とする患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロンアセトニド組成物の調製方法。
【請求項23】
直径が約50μm〜約600μmのトリアムシノロン結晶を、結晶及び結晶複合体のどちらも含むもう1つのトリアムシノロン組成物から選択する工程を含むことを特徴とする患者の硝子体内で改善された治療効果のある滞留時間を有する薬学的に許容されるトリアムシノロン組成物の調製方法。
【請求項24】
大きさが約100μm〜約200μmのトリアムシノロン結晶を、結晶及び結晶複合体のどちらも含むトリアムシノロン組成物から選択する工程を更に含む請求項21から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
眼科的に許容されるキャリア、希釈剤及び/又は賦形剤に前記範囲の結晶を添加する工程を更に含む請求項21から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
請求項21から25のいずれかに記載の方法により調製されることを特徴とする薬学的に許容される組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を更に含む請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記添加剤が、眼科的に許容される請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記添加剤が、硝子体に適合し、眼内に視力を損なう残留物を残さない請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記添加剤が、硝子体内蓄積注射として前記薬学的組成物の送達に適している請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記添加剤が希釈剤である請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
前記希釈剤が、水、食塩水、有機塩溶液、無機塩溶液、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス液を含む群より選択される請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記希釈剤が平衡塩類溶液である請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記平衡塩類溶液が乳酸リンゲル液の媒体である請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
請求項1から20のいずれかに記載の薬学的に許容される組成物、請求項21から25のいずれかに記載の方法により調製される薬学的に許容される組成物、又は請求項26から34のいずれかに記載の薬学的に許容される組成物を、少なくとも1つの眼組織に又はその傍に投与する工程を含むことを特徴とする治療を必要とする患者の眼の炎症症状の治療方法。
【請求項36】
前記組成物が、局所適用、カニューレによる送達、眼窩底への眼窩周囲注射、結膜下注射、縫合有無での眼内への移植、又は眼内注射により投与される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記眼内注射が、硝子体内注射、眼房注射、又は結膜下注射、若しくはテノン嚢下注射等の眼の外層への注射である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記眼内注射が、セルフシール21〜30ゲージ針、又は他の適切な目盛りつき送達装置で毛様体扁平部を通して行われる請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記局所適用が軟膏、ゲル又は点眼液による請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記薬学的に許容される組成物が、標的となる眼の画分内で薬学的に許容される組成物の最終濃度が約0.05mg/ml〜約25mg/mlに達するのに十分な濃度で送達される請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記薬学的に許容される組成物が眼内送達で投与され、前記薬学的に許容される組成物の最終濃度は約0.05mg/ml〜約8mg/mlである請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記濃度が約1mg/ml〜約7mg/ml、約1.5mg/ml〜約6mg/ml、約2mg/ml〜約5mg/ml、又は約3mg/ml〜約4mg/mlである請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記薬学的に許容される組成物は、硝子体内投与され、前記薬学的に許容される組成化合物の最終濃度は、約4mg/mlである請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、正確な投与量の単回投与に適切な単位投与形態で投与される請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が1〜3ヶ月毎に投与される請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記組成物が、3ヶ月毎よりも少ない頻度で投与される請求項35に記載の方法。
【請求項47】
抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩の薬学的に許容される組成物であって、
前記抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩は結晶形状であり、前記結晶は、更に直径が約0.5μm〜約40μmの第1結晶群及び直径が約50μm〜約600μmの第2結晶群を含み、及び前記薬学的に許容される組成物は、更に生体適合性及び生分解性マトリックスを含むことを特徴とする抗炎症ステロイド又はその薬学的に許容される塩の薬学的に許容される組成物。
【請求項48】
前記薬学的に許容される組成物の投与が、光ダイナミック療法、レーザー治療、又は1つ以上の生物学的又は薬学的治療等の1つ以上の他の治療との組合せで行われる請求項35に記載の方法。
【請求項49】
前記他の治療が網膜のレーザー治療であり、及び前記レーザー治療の前後に抗炎症ステロイドが注射により投与される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つの付加化合物が、前記薬学的に許容される組成物と一緒に投与され、前記付加化合物は、抗生物質、抗血管新生薬、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン)、エストロゲン(例えば、エストラジオール)、アンドロゲン(例えば、テストステロン)、レチノイン酸誘導体(例えば、9シスレチノイン酸、13トランスレチノイン酸、オールトランスレチノイン酸)、ビタミンD誘導体(例えば、カルシポトリオール、カルシポトリエン)、非ステロイド抗炎症薬、抗感染症薬、タンパク質キナーゼC阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬、抗アポトーシス薬、成長因子、ビタミン、及び不飽和脂肪酸からなる群より選択される請求項35に記載の方法。
【請求項51】
前記抗血管新生薬がルーセンティス(R)又はマキュジェン(R)である請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記組成物が、抗生物質、抗血管新生薬、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン)、エストロゲン(例えば、エストラジオール)、アンドロゲン(例えば、テストステロン)、レチノイン酸誘導体(例えば、9シスレチノイン酸、13トランスレチノイン酸、オールトランスレチノイン酸)、ビタミンD誘導体(例えば、カルシポトリオール、カルシポトリエン)、非ステロイド抗炎症薬、抗感染症薬、タンパク質キナーゼC阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬、抗アポトーシス薬、成長因子、ビタミン、及び不飽和脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1つの付加化合物もまた含む請求項1から20のいずれかに記載の薬学的に許容される組成物、請求項21から25のいずれかに記載の方法により調製される薬学的に許容される組成物、又は請求項26から34のいずれかに記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項53】
前記抗血管新生薬がルーセンティス(R)及びマキュジェン(R)からなる群より選択される請求項52に記載の薬学的に許容される組成物。

【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−520496(P2007−520496A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551684(P2006−551684)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000146
【国際公開番号】WO2005/074942
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506267329)レットメッド ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】