説明

徘徊検出システム

【課題】 徘徊する可能性が低い被監視者に対しては、監視者にできる限り負担がかからないようにするとともに、徘徊する可能性が高い被監視者に対しては、監視者ができる限り細かく監視できるようにする。
【解決手段】 所定の場所に被監視者が携行するICタグ1から無線機情報を読み取る読取装置2を設置する。無線機情報を読み取った読取装置2の場所が移動可能な領域に含まれていなければ、移動可能な領域から出たことを報知して履歴を記憶する。履歴から集計した頻度が所定の頻度よりも低ければ、該当する領域を広く設定することで、移動可能な領域から出ることが少なく徘徊する可能性が低い被監視者が移動しても報知が減る。集計した頻度が所定の頻度よりも高ければ、該当する領域を狭く設定することで、移動可能な領域から出ることが多く徘徊する可能性が高い被監視者が少しでも移動すると報知が行われるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者が徘徊したことを発見するための徘徊検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、施設とする)では、患者や被介護者(以下、被監視者とする)がベッドを離れて徘徊することがあった。被監視者が徘徊した場合、被監視者の周囲の状況によっては、被監視者の身に危険が生じてしまうことがあった。そこで、被監視者が徘徊している場合には、そのことを医療従事者や介護者(以下、監視者とする)に知らせる必要があった。
【0003】
ところで、被監視者が徘徊していることを検出する行動検出システムが知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載の行動検出システムでは、被監視者である老人にID(Identifier)タグを保持させ、施設の出入り口や食堂、部屋などにトリガー信号発信器を設置している。トリガー信号発信器から出力されたトリガー信号を受信したIDタグは、自装置に割り振られているID番号を示すID番号情報を出力する。また、IDタグから出力されたID番号情報を受信したトリガー信号発信器は、ID番号情報と自装置が設置されている場所を示す場所情報とをネットワークを介して接続されている管理装置へ送信する。管理装置は、被監視者が移動可能な領域を予め定めており、受信したID番号情報と場所情報とから、被監視者が移動可能な領域から出たか否かを判定する。被監視者が移動可能な領域から出たと管理装置にて判断した場合に、管理装置は、表示を点滅させるとともに警報音を出力させて被監視者が徘徊していることを監視者に知らせている。これにより、監視者は、被監視者に特に意識させることなく被監視者の行動を監視することができる。
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術を適用した施設内に、移動可能な領域から出ることが少ない被監視者が居るとする。この被監視者は、移動可能な領域から出ることが少ないため、今のところ徘徊癖は無いと考えられる。しかしながら、このような被監視者であっても、特許文献1に記載の技術では、移動可能な領域を出ると報知が行われるので、監視者が被監視者の安全を確認するために被監視者のところへ駆けつける必要が生じて、監視者に負担をかけてしまうという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載の技術を適用した施設内に、移動可能な領域から出ることが多い被監視者が居るとする。この被監視者は、移動可能な領域から出ることが多いため、徘徊癖があると考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、被監視者が移動可能な領域から出ない場合には報知が行われないので、移動可能な領域の中で徘徊癖のある被監視者が徘徊しても報知が行われず、監視者が対応できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−236128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、徘徊する可能性が低い被監視者に対しては、監視者にできる限り負担がかからないようにするとともに、徘徊する可能性が高い被監視者に対しては、監視者ができる限り細かく監視できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の徘徊検出システムでは、被監視者に無線機を携行させ、施設内の所定の場所に無線機から無線機情報を読み取る読取装置をそれぞれ設置する。被監視者が施設内で移動可能な領域を設定し、被監視者が携行する無線機からの無線機情報を読み取った読取装置の位置が設定された領域に含まれていないと判断した場合に、それを報知して、設定された領域を被監視者が出た頻度を記憶するようにしている。そして、被監視者が移動可能な領域から出た頻度が所定の頻度よりも低いと判断した場合に、その被監視者に対して移動可能な領域を広く設定し、被監視者が移動可能な領域から出た頻度が所定の頻度よりも高いと判断した場合に、その被監視者に対して移動可能な領域を狭く設定するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明では、移動可能な領域を出た頻度が所定の頻度よりも低い被監視者に対しては、徘徊する可能性が低いと判断して移動可能な領域が広く設定される。これにより、徘徊する可能性が低い被監視者に対しては、移動可能な領域を広く設定して、移動可能な領域から出たことによる報知を減らすようにしている。従って、このような被監視者に対しては、監視者にできる限り負担をかけないようにすることができる。また、移動可能な領域を出た頻度が所定の頻度よりも高い被監視者に対しては、徘徊する可能性が高いと判断して移動可能な領域が狭く設定される。これにより、徘徊する可能性が高い被監視者に対しては、移動可能な領域を狭く設定して、移動可能な領域から出たことによる報知を細かく行うようにしている。従って、このような被監視者に対しては、監視者ができる限り細かく監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態による徘徊検出システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による徘徊検出システムを適用した施設における各構成要素の設置例を示す説明図である。
【図3】本実施形態による徘徊検出システムの報知装置の記憶部の記憶内容例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態による徘徊検出システムの構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態による徘徊検出システムは、IC(Integrated Circuit)タグ(特許請求の範囲の無線機に該当する)1、読取装置2、報知装置10を備えて構成されている。
【0012】
また、報知装置10は、制御部11、インターフェース(以下、I/Fとする)部12、記憶部13、報知部14を備えて構成されている。また、制御部11は、集計部11a、頻度判定部11b、領域設定部11c、徘徊判定部11d、現在日時取得部11eを備えて構成されている。
【0013】
図1において、ICタグ1は、施設内を移動する患者や非介護者(以下、被監視者とする)によって常に携行されるものである。ここで、ICタグ1は、被監視者の衣服や靴などに取り付けられている。また、ICタグ1は、ICタグ1と読取装置2とが無線通信可能となる距離に近づいた際に無線を介して読取装置2と接続される。ここで、ICタグ1と読取装置2とが無線通信可能となる距離は、読取装置2が廊下に設置されていれば、少なくとも被監視者が廊下のどの場所に居てもICタグ1と無線通信を確実に行うことができる距離であることが好ましい。また、読取装置2が廊下以外のエリア(例えば、部屋やエレベータなど)内に設置されていれば、少なくとも被監視者がそのエリア内のどの場所に居てもICタグ1と無線通信を確実に行うことができる距離であることが好ましい。また、ICタグ1には、自装置を識別するための無線機情報(例えば、無線機番号など)が予め記憶されている。
【0014】
読取装置2は、所謂ICタグリーダであり、後述する施設の各場所に設置されるものである。ここで、読取装置2は、伝送線を介して報知装置10に接続されている。また、読取装置2は、ICタグ1との間で処理のタイミングで定期的に通信を試みる。具体的には、読取装置2は、ICタグ1が読み取り可能な距離に近づいた場合に、ICタグ1と接続してICタグ1に記憶されている無線機情報を読み取る。そして、読取装置2は、読み取った無線機情報を報知装置10へ出力する。ここで、読取装置2には、自装置を識別するための読取装置情報(例えば、読取装置番号など)が割り振られており、装置用記憶部(図示せず)に記憶されている。また、読取装置2は、無線機情報を報知装置10へ出力する際に、無線機情報とともに読取装置情報を出力する。
【0015】
報知装置10は、被監視者を監視する医療従事者や介護者(以下、監視者とする)が居る部屋(例えば、スタッフルーム)などに設置されており、被監視者が徘徊していることを監視者に知らせるためのものである。ここで、報知装置10には、施設内の各所に設置されている読取装置2が接続されている。
【0016】
図2は、本実施形態の徘徊検出システムを適用した施設における各構成要素の設置例を示す図である。同図に示すように、施設は、複数のエリアに分割されている廊下H1、H2、エレベータE、スタッフルームS、複数の部屋R1、R2、R3を内部に設けている。ここで、部屋R1は、被監視者が居る部屋であり廊下H1に面している。また、部屋R1と廊下H1とを挟んだ向かい側には、エレベータEおよびスタッフルームSが設けられている。また、図2中の部屋R1の右隣には、別の被監視者が居る部屋R2が設けられている。また、部屋R2は廊下H2に面しており、部屋R2と廊下H2とを挟んだ向かい側には、別の被監視者が居る部屋R3が設けられている。
【0017】
また、廊下H1、H2、エレベータE内、スタッフルームS内および部屋R1、R2、R3内には、読取装置2(2a〜2g)を一台ずつ設置している。ここで、ICタグ1を携行している被監視者が居る場所を報知装置20にて特定することができるように、ICタグ1と読取装置2とが無線通信可能となる距離は、一台の読取装置2のみがICタグ1の無線機情報を読み取ることができる距離に調整されている。例えば、ICタグ1を携行している被監視者が廊下H1にいる場合には、廊下H1に設置されている読取装置2aのみがそのICタグ1の無線機情報を読み取ることができる。
【0018】
次に、報知装置10の各構成要素を説明する。制御部11は、報知装置10の各構成要素を後述するように制御する。I/F部12は、読取装置2を接続しており、読取装置2から出力された無線機情報および読取装置情報を入力する。記憶部13は、メモリなどの記憶装置などにより構成されている。また、記憶部13は、読取装置2を識別するための読取装置情報と読取装置2が設置されている場所を示す場所情報とを関連付けて記憶する。また、記憶部13は、被監視者が施設内で移動可能な領域を示す領域情報と無線機情報とを関連付けて記憶する。また、記憶部13は、ICタグ1がそのICタグ1の無線機情報に関連付けて記憶部13に記憶されている領域情報に対応する領域から出たことを履歴情報して記憶する。
【0019】
記憶部13は、図3(a)に示すように、読取装置2を示す読取装置番号などの読取装置情報を格納する読取装置番号領域31、その読取装置2が設置されている場所を示す場所情報を格納する設置場所領域32を記憶している。読取装置番号領域31には読取装置番号として、例えば「2a」などの情報が格納されている。設置場所領域32には読取装置2が設置場所として、例えば「H1」などの情報が格納されている。ここで、監視者などは、読取装置情報および場所情報を図示しない入力部にて入力して記憶部13に記憶させることで、読取装置2が設置されている場所を登録することができる。
【0020】
また、記憶部13は、図3(b)に示すように、被監視者が携行している無線機1を示す無線機番号などの無線機情報を格納する無線機番号領域33、その被監視者が施設内の場所移動可能な領域を示す領域情報を格納する移動可能領域34を記憶している。無線機番号領域33には、無線機番号として、例えば、「M01」などの情報が格納されている。移動可能領域34には、移動可能な領域として、例えば、廊下の場所情報を示す「H1」、「H2」、スタッフルームの場所情報を示す「S」、部屋の場所情報を示す「R1」、「R2」、「R3」などの情報が格納される。
【0021】
また、記憶部13は、図3(c)に示すように、被監視者が携行している無線機1を示す無線機番号などの無線機情報を格納する無線機番号領域35、その被監視者が移動可能な領域から出た日時などの日時情報を格納する読取日時領域36を記憶している。無線機番号領域35には、無線機番号として、例えば、「M01」などの情報が格納されている。また、読取日時領域36には、移動可能な領域から出た日時として、例えば「7/23 10:00」などの情報が格納されている。
【0022】
報知部14は、被監視者が徘徊していることを報知するためのものである。また、報知部14は、スピーカや表示ディスプレイ、表示灯などにより構成されており、スピーカから呼び出し音や音声を出力させたり、表示ディスプレイに呼び出し表示を行わせたり、表示灯を点灯または点滅させたりして報知を行う。
【0023】
集計部11aは、記憶部13に記憶されている履歴情報から所定期間における被監視者が移動可能な領域から出た頻度を示す集計頻度情報をICタグ1毎に集計する。また、本実施形態では、所定期間は、例えば、任意に指定された時点までの24時間などとしている。また、集計部11aが集計頻度情報を集計するには、集計の対象となる期間に該当する履歴情報(本実施形態では、少なくとも24時間分の履歴情報)が記憶部13に記憶されている必要がある。
【0024】
制御部11は、所定のタイミング(例えば、毎日0:00など)で定期的に集計部11aを動作させる。具体的には、制御部11は、所定のタイミングの時点から24時間遡った日時を算出して、算出した日時から所定のタイミングの時点までの24時間の履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報から無線機情報を取得する。集計部11aは、取得した無線機情報により、所定期間におけるICタグ1毎の集計頻度情報を集計する。例えば、図3(c)に示す履歴情報が記憶されている場合に、現在日時7/24 0:00になると、集計部11aは、7/24 0:00から24時間遡った日時(7/23 0:00)までの履歴情報を抽出し、無線機番号M01の集計頻度情報が4、無線機番号M02の集計頻度情報が1であると集計する。
【0025】
頻度判定部11bは、集計部11aが集計した集計頻度情報が所定の頻度より低いか否かを判定する。ここで、頻度判定部11bは、集計部11aが所定期間における集計頻度情報を集計すると動作を開始する。また、所定の頻度とは、被監視者に対して移動可能な領域を広めたり狭めたりするために用いられる基準の頻度であり、監視者などにより予め決められている。頻度判定部11bは、集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度と所定の頻度とを比較する。
【0026】
領域設定部11cは、頻度判定部11bによる判定結果に応じて、該当するICタグ1の領域情報を更新したりするものである。ここで、領域設定部11cは、頻度判定部11bが判定処理を実行すると動作を開始する。具体的には、集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも低いと頻度判定部11bにて判断した場合に、領域設定部11cは、記憶部13を参照し、集計部11aにて集計した集計頻度情報に該当する無線機情報に関連付けて記憶されている領域情報を取得する。領域設定部11cは、取得した領域情報に対応する領域を広い領域に書き換えて記憶部13に記憶させる。ここで、広い領域として設定されている施設内の各場所については、監視者などにより予め登録されている。
【0027】
例えば、書き換える前の移動可能な領域がH1、H2、S、R1、R2、R3であるとする。集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも低いと頻度判定部11bにて判断した場合に、領域設定部11cは、監視者が予め登録しておいた場所(H1、H2、E、S、R1、R2、R3)を広い領域として記憶部13に記憶させる。ここで、本実施形態では、移動可能な領域の数が増えることを領域を広く設定することと定義している。
【0028】
一方、集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも高いと頻度判定部11bにて判断した場合に、領域設定部11cは、記憶部13を参照し、集計部11aにて集計した集計頻度情報に該当する無線機情報に関連付けて記憶されている領域情報を取得する。領域設定部11cは、取得した領域情報に対応する領域を狭い領域に書き換えて記憶部13に記憶させる。ここで、狭い領域として設定されている施設内の各場所については、監視者などにより予め登録されている。
【0029】
例えば、書き換える前の移動可能な領域がH1、H2、S、R1、R2、R3であるとする。集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも高いと頻度判定部11bにて判断した場合に、領域設定部11cは、監視者が予め登録しておいた場所(R1のみ)を狭い領域として記憶部13に記憶させる。ここで、本実施形態では、移動可能な領域の数が減ることを領域を狭く設定することと定義している。
【0030】
徘徊判定部11dは、無線機情報を読み取った読取装置2が設置されている場所がその無線機情報により特定されるICタグ1を携行している被監視者に対して移動可能な領域に含まれているか否かを判定する。I/F部12が読取装置2から出力された無線機情報および読取装置情報を入力した場合に、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した無線機情報に関連付けて記憶されている領域情報を取得する。また、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した読取装置情報に関連付けて記憶されている場所情報を取得する。
【0031】
領域情報および場所情報を取得すると、制御部11は徘徊判定部11dを動作させる。徘徊判定部11dは、制御部11にて取得した場所情報が制御部11にて取得した領域情報に含まれているか否かを判定する。場所情報が領域情報に含まれていると徘徊判定部11dにて判断した場合に、制御部11は、読取装置2が読み取った無線機情報により特定されるICタグ1を携行している被監視者が移動可能な領域から出ていないと判断し、報知部14を動作させない。
【0032】
一方、場所情報が領域情報に含まれていないと徘徊判定部11dにて判断した場合に、制御部11は、読取装置2が読み取った無線機情報により特定されるICタグ1を携行している被監視者が移動可能な領域から出たと判断し、報知部14を動作させる。そして、報知部14は被監視者が徘徊していることを報知する。また、制御部11は現在日時取得部11eを動作させ、現在日時取得部11eは現在日時を計測する時計部(図示せず)から現在日時を示す現在日時情報を取得する。制御部11は、取得した無線機情報と現在日時取得部11eにて取得した現在日時情報とを関連付けて履歴情報として記憶部13に記憶させる。
【0033】
報知部14による報知が行われると、監視者は、報知装置10に備えた操作部(図示せず)を操作する。操作部が操作されると、制御部11は、報知部14の動作を停止させる。
【0034】
次に、図2および図3に示す例に基づいて、本実施形態による徘徊検出システムの領域設定処理および徘徊判定処理を説明する。また、この例では、無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者に対して、移動可能な領域がH1、H2、S、R1、R2、R3であるとしている。また、この例では、所定の頻度を4としている。
【0035】
まず、無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者が部屋R1から廊下H1に出ると、廊下H1に設置されている読取装置2aが無線機情報(M01)を読み取る。無線機情報を読み取った読取装置2aは、読み取った無線機情報(M01)および自装置の読取装置情報(2a)を報知装置10へ出力する。
【0036】
報知装置10のI/F部12が無線機情報および読取装置情報を入力すると、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した無線機情報(M01)に関連付けて記憶されている領域情報(H1、H2、S、R1、R2、R3)を取得する。また、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した読取装置情報(2a)に関連付けて記憶されている場所情報(H1)を取得する。徘徊判定部11dは、制御部11にて取得した場所情報が制御部11にて取得した領域情報に含まれているか否かを判定する。ここで、場所情報が領域情報に含まれているので、制御部11は報知部14を動作させない。
【0037】
さらに、無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者が廊下H1からエレベータEに移動すると、エレベータEに設置されている読取装置2cが無線機情報(M01)を読み取る。無線機情報を読み取った読取装置2cは、読み取った無線機情報(M01)および自装置の読取装置情報(2c)を報知装置10へ出力する。
【0038】
報知装置10のI/F部12が無線機情報および読取装置情報を入力すると、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した無線機情報(M01)に関連付けて記憶されている領域情報(H1、H2、S、R1、R2、R3)を取得する。また、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した読取装置情報(2c)に関連付けて記憶されている場所情報(E)を取得する。徘徊判定部11dは、制御部11にて取得した場所情報が制御部11にて取得した領域情報に含まれているか否かを判定する。ここで、場所情報が領域情報に含まれていないので、制御部11は報知部14を動作させる。そして、報知部14は無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者が徘徊していることを報知する。また、現在日時取得部11eは現在日時情報(7/23 22:00)を取得し、制御部11は取得した無線機情報(M01)と現在日時情報(7/23 22:00)とを関連付けて履歴情報として記憶部13に記憶させる。その後、報知を確認した監視者は、エレベータEに居る無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者のところへ行き、その被監視者を部屋R1に連れ戻す。
【0039】
現在時刻が0:00になると、集計部11aは、24時間(7/23 0:00から7/24 0:00まで)におけるICタグ1毎の集計頻度情報を集計する。無線機番号M01のICタグ1の集計頻度情報は5であり所定の頻度情報である4より高くなるため、領域設定部11cは、記憶部13を参照し、集計部11aにて集計した集計頻度情報に該当する無線機情報(M01)に関連付けて記憶されている領域情報に対応する領域を狭い領域(R1のみ)に書き換えて記憶部13に記憶させる。
【0040】
その後、無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者が部屋R1から廊下H1に出ると、廊下H1に設置されている読取装置2aが無線機情報(M01)を読み取る。無線機情報を読み取った読取装置2aは、読み取った無線機情報(M01)および自装置の読取装置情報(2a)を報知装置10へ出力する。
【0041】
報知装置10のI/F部12が無線機情報および読取装置情報を入力すると、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した無線機情報(M01)に関連付けて記憶されている領域情報(R1のみ)を取得する。また、制御部11は、記憶部13を参照し、取得した読取装置情報(2a)に関連付けて記憶されている場所情報(H1)を取得する。徘徊判定部11dは、制御部11にて取得した場所情報が制御部11にて取得した領域情報に含まれているか否かを判定する。ここで、場所情報が領域情報に含まれていないので、制御部11は報知部14を動作させる。そして、報知部14は無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者が徘徊していることを報知する。また、現在日時取得部11eは現在日時情報を取得し、制御部11は取得した無線機情報(M01)と現在日時情報とを関連付けて履歴情報として記憶部13に記憶させる。その後、報知を確認した監視者は、廊下H1に居る無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者のところへ行き、その被監視者を部屋R1に連れ戻す。このように、無線機番号M01のICタグ1を携行している被監視者に対して、移動可能な領域が狭く設定されると、部屋R2から廊下H1に出ただけで、報知装置10は、その被監視者がエレベータEに来る前に徘徊していることを監視者に知らせることができる。
【0042】
以上、詳しく説明したように、本実施形態の徘徊検出システムでは、被監視者にICタグ1を携行させ、施設内の所定の場所にICタグ1から無線機情報を読み取る読取装置2をそれぞれ設置する。被監視者が携行するICタグ1からの無線機情報を読み取った読取装置2の場所情報がその無線機情報に関連付けて記憶部13に記憶されている領域情報に含まれていない場合に、報知装置10は、被監視者が移動可能な領域から出たことを報知するとともにその履歴を記憶する。そして、報知装置10は、所定のタイミングで履歴から集計した集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも低い場合に、該当する無線機情報に関連付けて記憶されている領域情報に対応する領域を広い領域に設定し、所定の頻度よりも高い場合に、該当する無線機情報に関連付けて記憶されている領域情報に対応する領域を狭い領域に設定している。
【0043】
これにより、移動可能な領域から出ることが少なく、徘徊する可能性が低い被監視者が移動しても移動可能な領域から出たことによる報知が減るようになる。従って、徘徊する可能性が低い被監視者に対しては、監視者にできる限り負担がかからないようになる。また、移動可能な領域から出ることが多く、徘徊する可能性が高い被監視者が少しでも移動すると移動可能な領域から出たことによる報知が行われるようになる。従って、徘徊する可能性が高い被監視者に対しては、監視者ができる限り細かく監視することができる。
【0044】
なお、前述した実施形態では、頻度判定部11bが集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度と監視者などにより予め決められている頻度とを比較する際に、所定の頻度として同じものを使用しているが、これに限定されない。例えば、頻度判定部11bは、集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度と監視者などにより予め決められている頻度とを比較する際に、所定の頻度として異なるものを使用するようにしても良い。この場合、領域を広く設定する際には、所定の頻度のうち低い頻度を使用して、集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも低いか否かを判定する。一方、領域を狭く設定する際には、所定の頻度のうち高い頻度を使用して、集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度よりも高いか否かを判定する。
【0045】
また、前述した実施形態では、頻度判定部11bが集計部11aにて集計した集計頻度情報に対応する頻度と監視者などにより予め決められている頻度とを比較する際に、所定の頻度として同じものを使用しているが、これに限定されない。例えば、被監視者毎に(換言すると、ICタグ1毎に)所定の頻度を異ならせるようにしても良い。
【0046】
また、前述した実施形態では、制御部11は、所定のタイミングで定期的に集計部11aを動作させているが、これに限定されない。例えば、制御部11が履歴情報を記憶部13に記憶させた際に集計部11aを動作させるようにしても良いし、監視者などが手動により集計部11aを実行するようにしても良い。
【0047】
その他、徘徊検出システムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 ICタグ
2(2a〜2g) 読取装置
10 報知装置
11 制御部
11a 集計部
11b 頻度判定部
11c 領域設定部
11d 徘徊判定部
11e 現在日時取得部
12 インターフェース(I/F)部
13 記憶部
14 報知部
31 読取装置番号領域
32 設置場所領域
33、35 無線機番号領域
34 移動可能領域
36 読取日時領域
H1、H2 廊下
E エレベータ
S スタッフルーム
R1〜R3 部屋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
徘徊の有無を監視する対象である被監視者によりそれぞれ携行され、自装置を識別するための無線機情報を発信する無線機と、
施設内の所定の場所にそれぞれ設置され、前記無線機が発信する前記無線機情報を読み取ることができる距離に前記無線機が近づいた場合に、前記無線機情報を読み取る読取装置と、
前記読取装置を識別するための読取装置情報および前記読取装置が設置されている場所を示す場所情報を関連付けて記憶し、前記被監視者が前記施設内で移動可能な領域を示す領域情報および前記無線機情報を関連付けて記憶して、前記無線機が前記領域から出たことを履歴情報して記憶する記憶部と、
前記被監視者が前記領域情報に対応する領域から出たことを報知する報知部と、
前記読取装置が前記無線機情報を読み取った場合に、前記無線機情報を読み取った読取装置の読取装置情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場所情報および読み取った前記無線機情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記領域情報を取得して、取得した前記場所情報が前記領域情報に含まれているか否かを判定する徘徊判定部と、
前記場所情報が前記領域情報に含まれていないと前記徘徊判定部にて判断した場合に、前記報知部を動作させるとともに、履歴情報を前記記憶部に記憶させる制御部と、
前記記憶部に記憶されている前記履歴情報から所定期間内の頻度を示す集計頻度情報を前記無線機情報毎に集計する集計部と、
前記集計部が集計した前記集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度より低いか否かを判定する頻度判定部と、
前記集計部が集計した前記集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度より低いと前記頻度判定部にて判断した場合に、前記記憶部を参照し、該当する無線機情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている領域情報に対応する領域をそれよりも広い領域に設定し、一方、前記集計部が集計した前記集計頻度情報に対応する頻度が所定の頻度より高いと前記頻度判定部にて判断した場合に、前記記憶部を参照し、該当する無線機情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている領域情報に対応する領域をそれよりも狭い領域に設定する領域設定部と、
を備えたことを特徴とする徘徊検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−35616(P2011−35616A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179309(P2009−179309)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】